1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月三日(水曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 平田 米男君
理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑 孝君
理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君
理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君
理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君
岩永 峯一君 小林 多門君
阪上 善秀君 園田 修光君
田中 和徳君 玉沢徳一郎君
西川 公也君 蓮実 進君
松本 和那君 宮腰 光寛君
目片 信君 山本 有二君
田中 慶秋君 畑 英次郎君
平野 博文君 山本 譲司君
長内 順一君 西野 陽君
辻 第一君 中島 武敏君
中西 績介君
出席国務大臣
国務大臣
(国土庁長官) 関谷 勝嗣君
出席政府委員
環境庁自然保護
局長 丸山 晴男君
国土庁地方振興
局長 中川 浩明君
農林水産省農産
園芸局長 樋口 久俊君
運輸省海上交通
局長 宮崎 達彦君
建設大臣官房長 小野 邦久君
自治省行政局長
兼内閣審議官 鈴木 正明君
委員外の出席者
大蔵省主税局税
制第一課長 加藤 治彦君
文部大臣官房審
議官 伊勢呂裕史君
運輸省航空局監
理部長 藤野 公孝君
自治大臣官房審
議官 石井 隆一君
建設委員会専門
員 白兼 保彦君
委員の異動
三月三日
辞任 補欠選任
飯島 忠義君 園田 修光君
同日
辞任 補欠選任
園田 修光君 飯島 忠義君
二月十九日
住宅の瑕疵保証制度の充実等に関する請願(逢沢一郎君紹介)(第六一六号)
同月二十五日
新道路整備五箇年計画の推進と道路特定財源の堅持に関する請願(小坂憲次君紹介)(第九四三号)
同(村井仁君紹介)(第九四四号)
過疎地域活性化のための新立法措置に関する請願(小坂憲次君紹介)(第九四五号)
同(村井仁君紹介)(第九四六号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
午前十時開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/0
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001・平田米男
○平田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平野博文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/1
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002・平野博文
○平野委員 民主党の平野博文でございます。
本日、奄美群島振興法の特別措置法及び小笠原諸島振興開発法の一部を改正する法律案について、その関連で質問をさせていただきたいと思います。
まず、この質問に入っていく前に、質問通告はしていないわけでありますが、この法律についてもそうでございますが、過去の、法律案を改正する中で、附帯決議が必ずつけられておるわけでございます。平成元年、平成六年、この附帯決議を見ておりますと、非常にその時々の課題を、あるいは強い期待を込めた附帯決議をされているわけでございますが、この附帯決議の持つ意味と、附帯決議されたことに対して、その計画を進める上において、どういうふうに認識をされて法律施行をされておられるか。
通告しておりませんが、まず大臣に、附帯決議の重みの認識の度合いについて、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/2
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003・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 私も、いろいろの委員会に所属させていただいて、理事も務めさせていただきましたが、大体法律案が、大体といいますか法律案が成立をいたしましたときには、ほぼ附帯決議というものが添付されるわけでございまして、その内容はいろいろあるのだろうと思いますが、まず一つは法律案の内容で、これこれの事項については特段に今後とも、その法律ができても、これが中心の課題であるから、特にそのことを完全に達成をするように、また注意を払って行ってもらいたいという意味もあると思います。
それから、もう一つは、法律案として文章にはなかなか書きづらいといいましょうか、そういうことではなくして委員の先生方が、法律案の字句としては書くことはできないけれども、それ以上に、その法律の持っております目的の重要性等々を、私はまた列記することができるのではないかなと思います。
それからまた、もう一つは、例えばこの奄美、小笠原の特別措置法なども、今回、五年間の延長ということではありますが、その五年間の後の環境の変化というのは想像を絶するものがあると思います。それで、例えば五年後には、あるいは三年後には見直しをするとか、そういうようなまた文言が入ってきたような、私は経験上、感じております。
ですから、この附帯決議というのは、非常なる私は重みをもって受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/3
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004・平野博文
○平野委員 今、大臣からは、附帯決議についての重みの重要性を御答弁いただいたわけであります。
特に、私、完全にやはり達成をする、非常に附帯決議の中身について注意を払い、重要視しながら進めていく、こういう大臣の御答弁ですから、当然、当局におかれましても、それぞれの御担当の方はその思いで推進をされてきた、こういうふうに理解をいたしますが、大臣言われましたこの二つ、非常に重要でございますから、そういう視点で、この改正法案について質問をさせていただきたいと思います。
ただ、残念ながら、ずっと見ていますと、同じような文言がずっと並んでおりまして、大臣の決意とは随分、実際やられていることと決意との中身が、実行の、プランニングの中では随分違うように思えてならないのであります。
そういう視点で、平成元年も平成六年も附帯決議でいきますと、やはり委員会では奄美なら奄美、こういうところではやはりソフトの施策を充実するように、平成元年にもソフト、こういうことでずっと来ているのですが、現実的に、そのソフトということがどういうふうにこの十年間、その考え方のもとにやられてきているのか、こういうところもあわせて質問をしてまいりたい、このように思うところでございます。
それでは、私の承知しているところでいきますと、昭和二十九年に議員立法で特別措置法が誕生いたしましたのが奄美でございます。もともとこの趣旨というのは、やはり戦後の復興、こういうことを軸にでき上がってきたわけでございます。また、小笠原につきましては昭和四十四年に措置法が制定されました。五十四年に振興開発ということに中身が変わってきまして、現在に至っておるわけでございます。
私は、この両島に、群島にお住まいの方々の思いを決して軽視するつもりはございませんし、大変その地域の中で頑張ってこられているということに対しては敬意を表したいと思いますが、この特別措置法を施行しながら、実際、本当に、真の意味の地域開発なり本土との格差の是正がされてきているのか、こういうところに疑問を持たざるを得ないところでございます。
そういう視点で、まずお聞きしたいわけでございますが、奄美群島の振興開発特別措置法の一部改正ということで、今回のこの法律の有効期限を平成十六年三月三十一日までの五年間、延長する、こういうことでございますし、加えまして、振興開発計画の開発期間を平成六年度を初年度とする十年に改める、こういうことにもなっているわけであります。
なぜ振興開発計画を平成六年度に、これは前倒しというのでしょうか、後ろ戻しというのでしょうか、なぜこういう格好になるのか、ここが非常にわからないわけであります。本来の趣旨でいきますと、延長するならば、その時点から、開発についても初年度として実行していくのが普通のあり方だと思うのですが、平成六年度までさかのぼらせてやっていくという、非常に特異に私は思うのでありますが、その点の経緯についてまずお教えをいただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/4
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005・中川浩明
○中川(浩)政府委員 お答えを申し上げます。
ただいま先生御指摘のように、今回の法律改正で、法律の期限を五年間延長、同時に、それぞれの振興開発計画の計画期間を十年とするという改正を行っております。
この措置についてでございますが、一般的に申し上げまして、地域振興立法における計画につきましては、公共事業の計画等とは異なりまして、ある程度長期的な視点が必要であるということから、その計画期間は十カ年とするのがほぼ基本の考え方ではなかろうかと思っております。
しかし、奄美及び小笠原のそれぞれの振興開発計画につきましては、その対象といたします地域が奄美群島、小笠原諸島として、沖縄とか離島、半島等と比較いたしましても非常に小さな地域に限定されていることから、経済的、社会的な状況の変化に、より影響を受けやすいという実態にございますため、十カ年という計画期間とすることを原則としながらも、法律の有効期限を五年間で区切った上、計画についてはその五年間ごとに見直しを行うという方式を採用しているために、このような法律改正の形式になったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/5
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006・平野博文
○平野委員 もう一つよくわからないのでありますが、それであるならば、長期という視点に立つということで十年という部分と、法律改正は五年単位で延長する、こういうことであれば、五年という視点でやればいいんじゃないですか、法律改正と同時に計画も五年と。十年が必要であれば十年延長をするという視点で、初年度はあくまでもやはり法律改正をした時点から開発目標、計画をつくっていくという発想になぜ立たないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/6
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007・中川浩明
○中川(浩)政府委員 公共事業の計画等は、短いものもございますが、一般的に申し上げて、地域振興立法に基づきます振興計画というのは十カ年の計画というのが一般的であるという前提に立ちまして、奄美、小笠原について、法律の期限との整合性を図るという意味から、このような措置をとっているものでございまして、確かに、法律の期限と計画の期限とがそごがあるといいますか、期限に差があるということから、わかりにくい面はございますけれども、できるだけその振興計画、長期的視点に立ちながら、しかしながら五年ごとに見直しをする、こういう両者の考え方をとってこのような措置になっているものと理解をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/7
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008・平野博文
○平野委員 さすれば、非常によくわからないんですが、これは時限立法ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/8
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009・中川浩明
○中川(浩)政府委員 法律でその終期を定めております、いわゆる時限立法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/9
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010・平野博文
○平野委員 この法律がもし改正されるとなりますと、五十年も時限立法を続けている、こういうことになりますよね。そういう意味で、もう五十年続けようが何しようが、これはあくまでも時限立法だ、こういう理屈に立ちますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/10
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011・中川浩明
○中川(浩)政府委員 法律上の形式としては、五年の期限を持つ時限立法でございまして、五年ごとに新しい法律改正という形で国会の御議決を賜っているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/11
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012・平野博文
○平野委員 私は、この法律にも絡むわけですが、時限立法というのは、その時々に最低限この期間必要だから、期限を切って、あるいは他の関連とは違ってでも時限という字句のもとに、例えば財政投入をする、そのかわり格段の成果も生む、これが本来時限立法のあり方だと思うのであります。
しかしながら、この奄美、これは島民の方に大変失礼な言い方になったら恐縮でありますが、決してそういうことじゃなくて、法律のあり方、行政施策のあり方について私は質問しておるのでございまして、五十年もかかって何を成果として見ていくのか、さらにこれから五十年もまたこの法律がじくじくと進められていくのか、このことを考えますと、非常に私、本来の時限立法という法律体系のあり方をもっともっと真剣に考えていかなきゃならないと思いますし、ややもしますと、予算関連、時限立法だから早く審議してもらわないと切れちゃうんですよ、こういう、その審議促進のための時限立法にされているということはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/12
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013・中川浩明
○中川(浩)政府委員 この奄美、小笠原の振興法につきましては、それぞれの地域の過去の歴史的な事情等を考えて制定されたものでございまして、一定期間の振興によって成果が上がるという前提に立っての期限つきの法律になっているものと理解をいたしておりますが、その都度見直した場合においてまだまだその振興の必要性があるということで、御指摘のように、今回の改正がなされますと五十年という期間にわたる結果になったものと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/13
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014・平野博文
○平野委員 さすれば、私は、今回のこの法律提起でございますが、後段で御質問いたしますが、まだ多分十分できてないから延長する、こういう前提に立っているんでしょうけれども、少なくともこの五年間で終わる、完結する、それぐらいの決意をお持ちでございますか、時限立法である以上は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/14
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015・中川浩明
○中川(浩)政府委員 今回、法律の五年の延長をお願いしているところでございます。
この趣旨は、今回の法律改正によりまして、さらに奄美、小笠原の振興を図ることによって本土との格差等の解消に努めるという趣旨で、五年間という期限で、その振興を積極的に行うための法律改正を行いたいというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/15
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016・平野博文
○平野委員 大臣、ここでちょっと聞きたいんですが、奄美でいきますと、四百二十億円ぐらいだったと思いますが、この五年でこの法律の目的が達成できる、こういうふうに大臣、お考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/16
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017・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 時限立法のその趣旨等々からの先生の御指摘でございますが、本当に鋭い御指摘だと思います。
本来でございますと、時限立法で法律をやっておるというのは、先生御指摘のように、とにかく、五年であるとか十年であるとかいうものであれば、その間に終わるということが本来でありましょう。しかし、そういうようなことをやっても、例えば十年間で達成することはできなかった、それで、ではもう一度、期限を切って延長をするということが普通の流れだろうと思います。
ですから、御指摘のように、確かにこれは五十年たつわけでございますから、その間行ってなかったのではないか、効果が出てないじゃないかというようなことでございますが、逆に言いますればそれほど、この特別措置法を適用しなければならないほどその地域の情勢というのは非常に難しい、両地区とも一時期米軍に接収をされていたところでございますから、そういうようなところに難しさがあると思います。
ですから、私、役所の皆さんといろいろ論議をいたしましたときにも、先生御指摘のようなことも私の方からも提起したわけでございまして、私もあの法律に関係しておりましたが、地域改善特別措置法、結局、これも何度となく時限立法を延長してまいりまして、前回の最後のあれは三年間でございましたか、これがもう最後ということで、今、一般法に移行をいたしております。
ですから、五年間延長したので、奄美があるいは小笠原がそういう一般法、ですから、あと過疎法であるとか、あるいは離島とするならば離島振興法の範疇に入れるかどうかということ、それは確かに政治判断、政治決断、そこに私は正直来ておると思います。
ですから、そういうようなことを、私は、逆に言えば、委員の先生方の御決定をしていただいて、附帯決議に入れていただいて、これが最後の延長の期間であるというふうに決定をしていただければ、私は、またその方向で進めていくことはできると思います。
そういうように附帯決議で決定しても、例えば地域改善対策特別委員会でも、最後であったんですけれども、その最後の最後ということで三年間にしまして一般法に移行をした経過もございます。ですから、先生が御指摘されていらっしゃいますように、このままでいったらいつまでたってもいくじゃないか、百年続くんではないかというような御指摘だろうと思いますが、ですから、そこは、委員の先生方の私は御指示をいただきたいとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/17
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018・平野博文
○平野委員 大臣の今の御答弁は、私は非常に喜んでおります。そういう視点でやはりやってこなければならなかっただろうと思いますし、やれなかったのかもわかりませんが、したがって、私はそういう視点で質問を続けていきます。
振興開発計画というのは、数値目標がきちっと記載されていないんですね。振興開発というのは計画ですから、あくまでも期間と目標がやはり明確に出されるのが本来の振興開発計画だと思うのであります。したがって、そういう意味での目標がきちっと記載されていない、数値目標が記載されていないがゆえに、振興計画に対する成果が非常に見えにくいのではないか、このように思うんですが、当局の方で、そんなことはありません、こういうふうにきちっと成果が出ておりますということの、もし反論があれば、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/18
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019・中川浩明
○中川(浩)政府委員 それぞれの地域につきましてそれぞれ振興開発計画を定めておりますが、この振興開発計画の中には、人口とか所得についてはその目標数値を明記いたしておりまして、それを目標として各種の施策を展開することといたしているところでございます。
ただ、それぞれの施設の整備水準などにつきましては、全国の経済社会状況などに大きく依存すること、また奄美、小笠原におきます振興開発については、住民の生活の安定及び福祉の向上に資するため、総合的な振興開発計画を策定することとしていることから、それぞれの目標につきましては、ある程度の期間が経過した後に総合的に判断すべきという考え方のもとに、具体的な数値目標を設定することはいたしておりません。
この法律の有効期限であります五年間に必要な各種の施策を積極的に講じることによりまして、数字的には示しておりませんが、本土との格差解消という大きな意味での目標の達成に努めてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/19
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020・平野博文
○平野委員 では、積極的にやってきたんだ、本土との格差をなくしてきたんだ、こういうことだと思うんですが、そういう発想で一つの切り口で申し上げますと、奄美で、昭和二十八年に本土復帰以来、特別措置法のもとにさまざまな施策を打ってきた、まあ打ってこられたんでしょう。ところが、人口の流出という視点で見ますと、やはりいろいろな施策を打ちますとそこに活力が生まれてくる、また活力を生むために地元島民の支援策を打っていくわけですが、昭和三十年から平成八年までの人口の増減率を見ましても、三三%と、人口が減っていっているんですね、それだけ本土に流出しておられるのか、他に流出されているのか。そういう意味でいいますと、地域の振興という意味では、やはり人口動態というのは非常に大きなファクターになるんです。にもかかわらず、三三%の人口が減っている、こういう状況でありますから、今まで実施をされてきたことに対しての部分というのは、人口流出という一つのファクターから見たら、余り施策の評価がそこに成果として生まれていないのではないかと私は思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/20
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021・中川浩明
○中川(浩)政府委員 確かに、奄美におきまして、平成七年と昭和三十年を比較いたしました人口増減率はマイナスの三三・九%となっております。確かに、鹿児島県が一二・二%のマイナス、沖縄県は逆に五九%の増ということから比べてみますと、大きな落ち込みであることは御指摘のとおりでございます。ただ、一般離島と比べてみますと、一般離島は四三・五%という減少になっておりますので、それよりは若干は数値的には上回っていることになります。
この実態は、やはり奄美群島が本土から遠く隔絶した外海離島である上に、台風常襲地帯でもあるという厳しい諸条件下に置かれており、その特性と発展可能性を十分に生かすことができず、なお本土との間に諸格差が残されているという実態を反映しているのではないかと思います。特に若年層の島外流出が著しいということは、やはり島内に就労の場が必ずしも十分でないということが、その原因でなかろうかと思っております。
そのため、若者の島外流出を防ぎ、人口の定着を図るため、奄美の特性を生かした産業振興を図ることが不可欠であると考えておりますので、振興計画の中でも、各種の施策を強力に推進することによりまして、若者にとっての就労の場の確保あるいは魅力づくり、高齢者の方々も安心して暮らせる活力に満ちた地域社会の実現を図ることをその目標としているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/21
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022・平野博文
○平野委員 今言われましたことをちょっと検証してみますと、やはり若者が集まる町、そこにおられるお年寄りがそこで頑張れる、こういう視点の産業なり新しいあれを起こしていかなきゃならない、こういうことでございます。奄美、まあ小笠原も同じようなことになるんだと思いますが、一つの例を見ますと、奄美の群島における総人口と就業者の数、それを産業別で見たときにどういう分布になっているか、こういうことですが、私も現地、十分掌握されていませんから、数字上から指摘をさせてもらいたいと思うんです。
第一次のいわゆる農業、林業、こういうところにおける実数、構成比で見ますと、農業に従事しておられる方というのは、構成比でいきますと一九%なんですね。工業とか製造業、建設業、こういう第二次産業でいきますと二二%で、その中の一四%の方が建設業に従事しておられる、多いんですね。第三次というのはサービス業が非常に多くて、公務員の方も多いわけですが、サービス業についておられる方が多い。これはサービス業というのは、僕はある意味ではわかるんです。非常に観光者数がふえているとか、そういうところに従事されている方ですから、第三次産業がやはり大きなウエートを占めてくるというのはわかるのでありますが、建設業の方が非常に多い、こういうのが奄美群島においても言えると思います。小笠原で見ますと、第二次産業の中でも建設業が二二・五%、サービス業が多いのはこれはその地域の特性としてわかるんですが、建設業が何でこんなにこの両島に多いのか。これは私、非常に疑問を呈さざるを得ないと思うんです。逆に言いますと、公共事業によって生計を立てておられる島の方々が非常にウエートが高いのではないか、こういうふうに思うんですね。
そういう視点に立ちますと、永遠に公共事業を出していかない限り、島の活力というのが維持できない、こういうことになるのではないかと私は推測しておるんです。
それよりも、第三次産業の、その島に合った、特性を生かすための、例えば航空便をもっとふやすとか、いわゆる小笠原にあるいは奄美に来やすいような流通仕組みあるいは交通システムを与えてやっていく方が、よりその地域のインセンティブを高めることになるのではないか。この五十年間、四十五年ですが、の今日までのあり方は余りにも公共事業に偏った助成仕組みにあったのではないかと私は思うのでありますが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/22
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023・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 それは今日までの、戦後からの日本全体の地域の問題にも関係してくると思うのでございますが、先生も御指摘をいただきましたが、予算委員会等々におきましても、景気喚起に公共事業をというが、それはもう昔ほどの効果はないのではないかという御指摘が多々ございました。
確かに、今までのハード一辺倒のような公共事業だけではだめでございまして、今後からは生活に関連する、いわゆる都市公園であるとかあるいは下水道の整備であるとか、そういうような方向に公共事業というのもずっと変わってくると思います。あるいは環境関係とか科学技術関係とか文教関係に変わってくる。それは、私はまたそうあるべきだろうと思いますが、戦後日本がそういう形で、地方に対しましても、公共事業を、予算をつけると景気が喚起されたというのも、ある時期は確かにそうだったと思うのです。そういう流れがのんべんだらりと今日まで続いておったということは、私も、建設大臣としても、あるいは国土庁長官としても反省しておりまして、そういうようなことを是正する方向に徐々に努力はしておるわけでございます。
この小笠原、奄美にいたしましても、やはり定番的に公共事業を拡大していけばその地域が活性化した時期があったことは事実でございましょう。ですが、それをいつまでも続けていくわけにはいけない。ですから、私は先生御指摘のように、確かに公共事業云々ということをここで見直していく、その率を見直していく、そして、第三次産業に対します予算づけをまた大きなものにしていくということをやっていかなければならないと思っております。
それと、先生先ほど御指摘の、いわゆる特別措置法でいろいろ予算も特段につけておる、税制の優遇措置もしておる、しかし、それにしては人口流出が多いではないかということは、これは先生、私は離島振興とかあるいは過疎対策も担当してまいりましたが、自然の流れというのはなかなかとめることができない要素も正直あるわけでございまして、その点はひとつ御理解をいただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/23
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024・平野博文
○平野委員 それではちょっと時間が来ますので、次の質問に移りたいと思いますが、今回の奄美群島の特別措置法の改正案では、新たに地方税の課税免除という、減収補てんの措置が講ぜられることになっておりますが、これによってどれぐらいの効果を期待されているんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/24
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025・中川浩明
○中川(浩)政府委員 奄美群島におきましては、昭和二十九年以来、特別措置法によりまして、基盤整備、各種産業振興施策を実施してまいりましたことによりまして、生産、生活条件は改善をされたところではございますが、依然として所得水準等の点で本土との間に諸格差が存在をいたしております。また、先ほども先生からのお話もございましたように、近年、若者の島外流出が激しく、平成二年から七年までの人口減少率も過疎地域よりも高いという実態にもございまして、人口の減少というのが大きな問題になっているところでございます。
このため、平成十年度に特別土地保有税の非課税措置を宿泊施設に拡充し、また製造業、旅館業に係る所得税及び法人税の特別償却制度を創設いたしたところでございます。
今回、お願いをいたしております減収補てん制度は、これら税制上の特例措置とともに、特に奄美群島の今後の産業振興の大きな柱となろうと考えております観光業の振興のために、法律の延長に合わせまして制度の創設を図ろうとしているものでございます。
奄美群島への入り込み観光客数につきましては、平成九年に四十四万三千人となっておりますが、これも今、増加傾向にございますので、今回の措置によりまして観光業の振興が図られ、近年の観光客の要請に応じた質の高い宿泊施設の整備が推進されるものと期待をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/25
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026・平野博文
○平野委員 今、局長お答えになりましたけれども、そうしますと、こういう理解でいいんでしょうか。この地方税の課税免除等に対する補てん制度というのは、過疎地域の活性化特別措置法にも盛り込まれているわけですよね。それにプラス、改めて観光とかそういうものをするために措置をした、こういう理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/26
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027・中川浩明
○中川(浩)政府委員 今回の減収補てん措置につきましては、現在の過疎法がとっております措置と同様の措置でございまして、群島内の過疎市町村については、従来の措置がそのまま継続されるということで、特段のメリットはないといいますか措置にはならないわけでございますが、奄美群島内の十四市町村すべてが過疎団体ではございませんで、名瀬市及び与論町の二市町は非過疎団体ということになっておりますので、これまで過疎地域の措置をこの二市町は受けることができなかったものでございます。
ところで、両市町におきます宿泊施設数は、奄美群島内の宿泊施設の総数の約三割強となっておりまして、宿泊施設における観光の中心がこの二市町ということもございますので、奄美群島における観光の振興を図るために今回の措置が非常に重要であろう、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/27
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028・平野博文
○平野委員 それでは、小笠原諸島の振興開発の特別措置法では、二十二条で離島振興法の適用除外を明記していますが、一方の奄美では、離島振興法の適用除外の条項はないんですね。これは、なぜ小笠原には条項が入っておって、奄美には振興法の適用除外の条項がないのか。この点については、同じではないかという気はいたすのですが、片一方に入って片一方に入っていないというこのことについて、御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/28
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029・中川浩明
○中川(浩)政府委員 離島振興法は、離島の地理的特殊性に着目し、離島の振興を図ることを目的として、昭和二十八年の七月に議員立法によって成立をされているものでございます。一方、奄美群島は、地理的に見れば御指摘のように離島の一つということでございますが、昭和二十八年に日本復帰に至るまで日本の施政権、施政下にはなかったわけでございますので、そういう特殊事情があるために、一般的な離島振興の目的の離島振興法によるのではなくて、特別立法という形で、昭和二十九年六月に議員立法によって、急速な復興を図るという趣旨で法律が制定されたものでございます。
御指摘のとおり、奄美群島振興開発特別措置法には離島振興法の適用除外の規定は設けられておりませんが、この点につきましては、離島振興法と奄美群島振興開発特別措置法の両法の立法趣旨からいたしまして、法制定時に、離島振興法の適用を受けることを想定していなかったこと、現行法上、奄美法の特例措置は離島法のその措置よりも手厚く、離島振興対策実施地域の指定を受けるための必要性が乏しいということもございまして、特に適用除外規定を置かなくても問題が生じないという考え方で、このような措置になっているものと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/29
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030・平野博文
○平野委員 非常にわかりにくい。小笠原では適用除外、奄美ではその限りにあらず、その背景は今までの経過上の問題だ。実際は、私は、別にこの特別措置法をとらなくても、言いたいことは、離島振興法でも十分これからやれるのではないか、こういう視点で見たときに、こういう問題があると非常にぐあいが悪いな、こういうふうに思っているのですよ。これは別に適用除外にしたって、何か問題があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/30
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031・中川浩明
○中川(浩)政府委員 ただいま申し上げましたように、離島振興法の特別措置に比べまして、奄美の特別措置の方が一般的に手厚い措置となっておりますので、特に適用除外という形をとりましても、実体的な意味での障害はないものと理解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/31
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032・平野博文
○平野委員 それでは次に、奄美の部分でありますが、すぐ近くの沖縄との間でも相当の格差があるわけであります。あの地域はやはり琉球というこういうことからいきますと、沖縄だけは特別だ。奄美は、離島よりも少しは厚くするけれども、沖縄との格差というのが随分あるように思うのであります。
沖縄振興開発特別法と奄美群島振興開発法の各事業における国の補助率を見てみますと、沖縄の補助率の方が高いわけであります。沖縄も本土に比べまだ格差はあるわけでありますが、米軍基地とかそういう特殊事情が背景になっている部分もあるかもしれませんが、そういうところは理解をいたしますが、奄美群島はそれ以上のやはり本土との格差があるように思います。
逆に、私は、奄美群島における国庫の補助率を沖縄並みに上げるというケースだって考えたらいいと思うのです。ただし、これは先ほど言いましたように、前提は、これで達成し得るという決意でないと、やはりずるずる行くことの方が問題なような気がしますから、いわゆる沖縄と同じ立場で奄美のあり方というのは議論をされたことは、国土庁としてはあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/32
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033・中川浩明
○中川(浩)政府委員 沖縄と奄美は、我が国の南西諸島に属しておりまして、また気候的にも亜熱帯地域という地理的及び自然的条件が類似をいたしておりますほか、産業面、文化面でも共通の面があることは事実でございます。
ただ、特別措置につきましては、ただいま御説明いたしましたように、奄美は昭和二十八年ということで、沖縄に比べて約二十年先行した形で特別措置が行われておりますので、沖縄の振興措置を考える際に、奄美について、その前例として検討はなされたことは承知はいたしておりますが、奄美の振興措置について、沖縄の振興措置を考慮しながら現時点においてはいろいろと検討いたしておりますが、制定時以降、沖縄についての措置は、事後的な措置として奄美についての措置の参考にしていたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/33
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034・平野博文
○平野委員 そういう状況で、やはり私は、ここで視点を変えて質問をいたしますが、今、奄美群島では一市十町三村という自治体が構成されているわけでございます。人口では、平成七年度では十三万ぐらいお住まいだ、こういうふうに聞いておりますが、奄美群島における平成八年度ベースでの生活保護率というのが三・六%で、全国平均〇・七に対して高い。六十五歳以上の人口構成比においても、今では大体二三%ぐらいのお年寄り、六十五歳以上の方がお住まいになっておられるということで、全国平均から見ましても非常に高いわけでございます。このように考えますと、高齢化の進行を初めいろいろな意味で、ひとり暮らしのお年寄りや母子家庭が多い、これからますます福祉のニーズというのが一方では高まってくる、こういうことでございます。
それで、来年から介護保険等々のサービスが施行されていくわけでありますが、現行の一市十町三村、こういう自治体の受け皿で、本土よりもさらに高い高齢、こういう時代にきちっと対応でき得るのか、非常に私は心配をしているわけでございます。また、一方では、市町村の財政力の指数を見ましても、全国平均は〇・四二、こういう数字に対して奄美群島は〇・一四、非常に厳しい財政状況にある。
こういうところから考えてみますと、もう少しやはり、私は市町村の合併推進論者ですからこれを奄美に適用せよ、こう言うつもりはございませんが、長期的な立場に立って見ますと、より地方自治体が自立し得る、そういう仕組みに二十一世紀はつくっていかなければならない、こういうふうに思うのでございまして、市町村の財政力を高めていくためにも、効率的な自治体運営を図っていかなければならないと私は思っております。
そういう視点での、この特例法の対象になっているところについての市町村合併に対するインセンティブを中央から与えていくべきであると私は思いますが、その点について、きょうは自治省の方に来ていただいていると思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/34
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035・鈴木正明
○鈴木(正)政府委員 市町村の合併の問題でございますが、今お話しのように、地方分権が進んでまいりまして、その担い手である市町村というものが基礎的自治体として行政サービスというものの水準を高め、また確保していくという意味でも、行政の効率化を図り、市町村の合併というものを積極的に推進していくことは必要である、このように考えております。特に、少子高齢化の進展で、介護の問題もございます。そういった住民ニーズに的確にこたえていく、あるいは厳しい財政状況の中で行政の効率化を図っていくということでは、行財政基盤の強化という意味で、市町村合併ということは避けて通れない課題だろうと思います。
それで、奄美群島につきましては、やはり離島という事情もございますが、他方、交通通信手段の発達によりまして、住民の方の日常生活圏というものもそれなりに広がっておりますし、また行政面でも島内あるいは島の間で広域行政という実績もございますので、そういったことを踏まえまして、それぞれの地域で市町村のあり方というものをやはり議論していただいて、合併についても検討していただきたい、こういうふうに考えております。
自治省といたしましては、そういった基本的考え方のもとに、合併特例法の改正案を今回の分権関係の一括法の中に盛り込みまして、インセンティブについて思い切った拡充策を考えたいと思っております。
例えば、市町村が合併した場合に、合併特例債というものを創設いたしまして、過疎債並みの交付税措置つきの手当てをいたしまして、それで合併による町づくりというものを推進していくとか、あるいは合併算定がえと申しまして、交付税を従来、合併前からの額を保障するという期間を、五年でございますが、それを十年に延ばす、町づくりにある程度時間が必要ですので十年に延ばす、さらには、例えば合併しますと、旧市町村の、特に周辺市町村の意見というものが反映されないのじゃないかという御議論もありますので、地域審議会というような制度をつくりまして、旧市町村の方々の意見、意向が反映できるような仕組みも考えるといったことでございます。
それで、合併の進め方におきましては、やはり地元の実情に精通している都道府県の役割というものは大きいと考えておりますので、都道府県の方で、県下の市町村の合併についてひとつパターンといったものを検討し、お示しいただくというようなことで進めたいと考えておりまして、自治省としてもその指針というものを示してまいりたい、このような形でまいりたいと考えておりますが、特に離島あるいは山間地の場合には、やはり合併が地理的条件等で非常に困難なところもあると思います。そういうところにつきましては、例えば都道府県による補完とか代行とか、あるいは広域行政による補完とか、そういうことも考えていかなければならないのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/35
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036・平野博文
○平野委員 特にこの奄美を今やっているわけでございますから、自治省といたしましても、そのことを進めることの方が、将来の島民の方々の行政サービスがより効率的に進められる、こういうことで、国土庁もあわせてそういう視点での遂行をぜひ願うものでございます。
次に、奄美群島の振興開発基金ということで質問をしたいと思うのです。
この基金には、保証業務と融資業務、出資業務ということで、三つの大きな柱があったように私記憶をしております。平成元年の法改正において、新しく出資業務という業務ができ上がったわけでありますが、平成元年につくられたにもかかわらず実績がゼロだ、こういうことなんですね。現実的に、このときに創設をして、この島の特殊性から見ますと、観光施設の建設とか人がたくさん入ってもらうような仕組みのために、これは私はいわゆるソフトだと思っておるんですが、そういうソフト施策を充実しよう、本来こういうことで出資業務という業務を基金の中に柱として盛り込んでいただいたのです。
しかしながら、今日現在ではゼロだ、こういうことで、やはり本来のそういう施策を打っていかなければならないと決めたのにもかかわらず、この十年間これがゼロであるというこの実態、背景は、どういうことからこういう状態になっているのか、御質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/36
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037・中川浩明
○中川(浩)政府委員 奄美群島振興開発基金は、奄美群島の振興開発計画に基づきます事業に伴い、必要な資金を供給すること等によりまして、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、または奨励することを目的として設置されました法人でございます。
この奄美群島振興開発基金に、ただいま御指摘のように、平成元年度に出資業務が創設されたところでございます。その趣旨は、奄美群島におきます事業者の規模が総じて零細であり、産業振興のためには保証、融資の業務のみならず、企業の立ち上がり時に出資による支援が不可欠であるということから、民間資本導入の呼び水効果や企業の経営の安定化を目的としたものでございます。
この出資業務は、あくまでも奄美の民間企業の自発的な熱意によりまして、産業の振興開発上、貢献度の高いものであって、県や市町村等の公共団体とも十分協議が調いましたプロジェクトに対しまして、基金が適切な判断のもとに政策誘導を行う目的で出資を行うものでございます。したがいまして、国や基金が先駆的に企業を設立しようとするものではなくて、あくまでも地元の企業、県、市町村といった関係者の間で十分に協議が調ったものについて、基金が出資という形で援助をする形態のものでございます。
先生ただいま御指摘のように、この出資業務につきましては、これまで十年間実績がございませんが、これは奄美群島の経済が、大島つむぎの長期不況に代表されますように大変低迷をいたしておりまして、企業マインドが冷え込んでいたこと、また事業の採算性、企業の取り組み状況等において十分な面が必ずしもなかったということなどから、出資の具体化に至らなかったものではないかと考えております。
なお、このところ、地域の特殊性を生かした島おこしの機運の高まりとともに、新たな特産品の開発に企業家の期待が高まっておりますことから、今後、地方公共団体等、関係機関との連携を図りつつ、奄美群島におきます産業振興のため、この奄美基金の出資の機能を十分活用してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/37
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038・平野博文
○平野委員 私は、これはやはりもっと行政がしっかり誘導してなかった責任というのはあると思うのですね。つくってあげましたよ、つくってあげたけれども、それに対して言ってこなかったのは皆さんが悪いんじゃないですか、こういう答弁のように思えてならないのですけれども。
やはり産業振興しなければ奄美群島の皆さん方のためにならないと思ったら、より先行してでも、特別法までつくってやろうとしているのにそこだけは、来るのを待っていますよ、こんなやり方は私はだめだと思うのですね。それだったら一般法でいいんですよ。特別にこの期間を決めて、本土との格差をなくそうとしているわけですから、こういうところについてもやはりもっと行政責任を駆使しながら、民活を導入しながらでも、積極的にリーダーシップを持って進めてもらっていないことのこれは証明じゃないですか。そういうところがこの十年間、やったけれどもだめだったというのだったらまだいいんですよ、一件もないというのが、実績ゼロだというのが、私、不思議でならぬのですよ。余りにも中央、行政の自分勝手なデスクプランでつくっているんじゃないですか、これは。地元の自治体の皆さん方の思いを十分反映した業務でないんだと思いますよ、これは。
したがって、私は、これからは国土庁が決めて、あるいは政府が決めて、それをやらんかい、やるんだったら補助率高めてあげますよ、こういう発想の業務というのはやめにしていただいて、要は地域が本当にしたいもの、それを全力で支援をする。したがって、私、最後に言いたいことでございますが、今回のこの計画についても、計画の趣旨というのは、当該知事が計画案を作成して、内閣総理大臣が計画決定をする、今こういう仕組みなんですね。それを当該の市町村が決めたら、中央が幾ら決めても当該がしなければ動かないんですよ、当該が責任を持って決めたことに全力を持って支援をするという、向こうが本来動くような仕組みをつくってやることが非常に大事だと私は思っております。
そういう意味合いで、これからの地方分権を進める観点からも、より地方に、基礎自治体の方に権限をやはり移してやる、こういうことをぜひお願いをし、そのことに対して、大臣、もし御意見がございましたら、御意見を受けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/38
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039・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 これからは地方分権、もちろんこの地方分権法に向かっていくわけでございまして、地方のことは地方の方が一番御存じでありますから、その考え方は私は正しいと思います。
ただ、こういう特別措置法を適用しなければならないという地域ですから、先生の御意見は私も理解できるんですが、こういう観点からもひとつ考えていかなければならないと思いますのは、やはりそういう特別措置法を適用しなければならないような特別な事情のある地域の発展を願うことでございますから、どうしても財政的には非常に弱い。そしてまた、御指摘がございましたように、人口構成的にも、これは人口が流出をしていく、だんだんとなお過疎の方向にある。そしてまた、地政学的に見てもいろいろ厳しい状態がある。
ですから、先生、そういうところは逆に言えば私は国家が、ですから今の支援の基金にしても、利用者がゼロということはやはりそれは行政、国の指導が行き渡っていないと思うんですが、そういうところは国が強力なる指導をやっていかなければならない。失礼な表現になりますかもしれませんが、そういう地域ではまだそういうような十分なる人材が私は育っていないと思いますので、しばらくの間、やはり国の温かい、強力なる指導でもって、その地域の発展のイニシアチブをとっていくということが今の時点ではないかなと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/39
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040・平野博文
○平野委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/40
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041・平田米男
○平田委員長 長内順一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/41
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042・長内順一
○長内委員 公明党の長内順一でございます。よろしくお願い申し上げます。
きょうは、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、質問をさせていただきたいと思うわけでございます。
今、同僚議員の方からさまざまな角度でお話がございました。大臣の方からも、非常に突っ込んだ御意見も伺えたかなというふうに思っております。なかなか難しい問題、そして地域がまた特異な地域ということで、ここへ国がこれからどのような方策をもってこたえていくのかというのは、まさに私は政治の大事な課題ではないかな、いろいろなテーマがあるでしょうけれども、過疎と過密、この問題というのは、まさに建設大臣の所管される国土庁の中で重要な位置づけになっているんではないかな、また、これまで多くの政治家が、特に大物と言われる政治家がこの過疎と過密の解消ということには随分尽力をされてきた、これが一つの歴史なのではないかな、こんなふうに実は受けとめさせていただいているところでございます。
さて、本日のこの振興法でございますが、先ほどもお話がございましたように、奄美群島の方は昭和二十八年に本土復帰をしているわけでございます。しかしながら、当時は荒廃した状態でなかなか厳しい状況にあった。そういう中で、昭和二十九年の六月、第十九回の国会において議員立法で奄美群島復興特別措置法というのが制定され、それが形を変えながら、名称を変えながら、昭和三十九年に現在の奄美群島振興開発特別措置法ということで現在に至っているというところでございます。
そして、もう一つの小笠原の方は、昭和四十三年の六月二十六日に本土復帰をいたしました。しかし、当時はもうほとんど無人島の状況でございまして、一部欧米の方がお住まいになっていて、何か島の中では英語が日常語というような、そんな状況であったというふうに国土庁の局長さんはおっしゃっておりますけれども、そんなことから翌年の昭和四十四年の十二月に小笠原諸島復興特別措置法が制定された、こんな経緯でございます。
そこで、この両方の振興法なんでございますけれども、先ほどからの大臣等の議論を伺っており、また地元の皆さんの声をかいま見たときに、どうも思ったようにはいっていないような気がいたしてなりません。
例えば、これは日本島嶼学会というんでしょうか、いわゆる島の人方がお集まりになってシンポジウムを開いて議論をされている中で、こんな発言があるんですよ。
実は、奄美群島振興開発審議会の会長を務めていらっしゃる兼光秀郎さんという方なんですね。この方は東京国際大学の教授でもあります。そして、この方は何か島外の方ではなくて、奄美の二世の方である。そして、私が今紹介いたしましたように、一九九七年からその審議会の会長を務めていらっしゃる。この方が基調報告をしたそうであります。私は、外の人間じゃなくてその島の方が報告をしている、これは大変重要な発言だなと思って、目にとまりました。
こういうことを言っているわけですね。前後ちょっと割愛させてもらいますけれども、「奄美群島の島外依存度をめぐって」ということがテーマだったそうであります。それで、これまでの過去のさまざまな部分を分析した上で、これで市場経済と言えるのか、これだけの政府漬けを島民が意識しないといけない、本土との格差は振興法の事業があっても依然として広がっていると。そして、これが二十一世紀まで続くのか、疑問に感じないのが不思議だ、このような発言なんですね。
そしてもう一方、これは嘉数さん、沖縄振興開発金融公庫副理事長、この方も基調報告をしております。簡単に言います。小さい島々の経済的自立は無理で、政府などの投入資金をよい方向へ使う精神的自立が必要だ、そして、本土との格差是正論はもう終わったと思う、自然環境を含めた生活基盤を後世に残すような持続的発展こそ目指す方向ではないか、こんなふうにシンポジウムの中で報告をしているわけであります。
私は、全部が全部こういう意見ではないと思います。しかしながら、こういう発言を拝見した場合、これまでの実に長い間のこの振興法の効果があらわれていないんではないかなと。ですから、これは先ほど大臣が一番最後に、大変な地域に国が支援の手を差し伸べるのは当然のことだろうとおっしゃっていましたけれども、まさしくそのことと、今のような奄美の島の二世の方が、現地の方が、審議会の会長がおっしゃっている、ちょっと評価、意見が二分されているんではないか、こんなふうに思うわけであります。
まず、大臣のこの件に対する御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/42
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043・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 確かに、もう今、戦後五十四年たったわけでございまして、そういう特別な地域の発展、開発というのはその地域だけを見たのではだめでございまして、戦後のずっと今日までの日本全体の流れの中にあると思うわけでございます。
そういうような観点から見てみますと、人口の流出というのは、どうしても地元に雇用の場が十分にないということでその島を離れてしまうという流れがあったと思うわけでございます。ですから、そういうところにおきましては、結局、国の税制上の対策であるとか、予算をつけるとか、あるいは公共事業でもってその地域の活性化を求めていくというようなことになってきた。
そして、今先生御指摘の、島内の方々が、今のこういうままではだめなのではないか、違った形から自立の方向に向かっていかなければならないのではないかという御意見、確かに私は、そういうような認識がまた地元でほうふつとわいてくるということになりますと、そこからまた一つの打開策というのを見出していくことができるのではないか。そういうような感覚の方がふえますれば、先ほどの御質問にもございましたように、この時限立法を五年ごと、ずっと五十年間延ばしてきたというようなことは、私はもうそろそろ本当に、メルクマールといいましょうか、期限を切ってやっていく。そうすると、やはり私は、行政の方の意欲も、あと十年というようなことでもしも切るとするならば、その間になし得なければならないということになりましょうし、また、先ほどの委員長の方のような感覚が地元の方々に生まれてくるのではないかな。
こういうようなことを言いますと失礼かもしれませんけれども、五十年間常にそういうような補助政策というものがもうずっと続いておるものですから、そこに私は、そんなことを言いますと現地の方々に、そういう意味では言っておるわけではございませんが、やはりその甘えの中に、ぬるま湯の中につかったようなことになってしまう。ですから行政の方も、また地元の島民の方々も、そういうなれ合いといいましょうか、というものになってしまうと思うわけでございます。
私は、ですから本当にこの機会に、きょう法律を御審議していただいておるわけでございますが、本当にもうそういう意味で時期を明記する時期には来ているのではないか、この特別措置法の期限を最終的には何年というふうに決めて、そして強力に努力をしていくという時期に来ているのではないかなという感じを抱いているのが私の正直な気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/43
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044・長内順一
○長内委員 今、大臣の方から、ノー原稿で率直な御意見をいただきました。私は、大臣、今この法律を期限で切ってしまって、そしてもう卒業させてしまうということを力説しているわけではありません。私は北海道選出の議員でありまして、それで、過疎だとか離島だとかそれから豪雪だとか、それから炭鉱の閉山後の振興策だとか、こういうところで随分国のバックアップをいただいてその地域が何とか、そこで生活する人が希望を持って取り組んでいるという姿があるから、今一遍にここでこれを卒業させろというふうには申し上げておりません。きっと大臣もそうだと思います。
そこで、今大臣がおっしゃったように、そろそろ中身だなと、これ。公共事業でどんどん工事をやってもらう、これも大事だけれども、いよいよ中身を見る時代に入ってきたのかな、こういう意味だと私は受けとめさせていただいたのでございますけれども、これからこの振興法を継続させる、それから、大臣がおっしゃるように、ある意味で期限を一つ切って卒業させる、これはどちらもそうなんですけれども、まさしく、この場合の条件というのはどんなふうにお考えなのか、お聞かせいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/44
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045・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 実は、きょうの法案をいろいろ勉強、論議を国土庁でも行ったわけでございますが、そのときに、私が国土庁長官を拝命いたしましたのは一月十四日だったのですけれども、ですから日程的には時間がなかったといえばなかったわけでございますが、この奄美それから小笠原の問題をここで私が答弁をさせていただくというためには、現地を本当に視察をしておかなければこれはどうも自信を持って言えない。そして、委員の先生方も、ぜひそういうようなことで両方の地域を視察されて、そしてここで御論議されると本当にもっと、どういいましょうか、現地を見た後での話で、やっていけるのではないかなというふうに言ったわけでございます。
そういうようなことで、その後の進展の状態の数値は局長から後ほど報告をしていただきたいと思うのでございますが、ただ、この特別措置法で全然発展がないというわけではないわけでございますから。
それで、先ほどの答弁でも述べさせていただきましたが、地域改善対策特別措置法というのがございますが、これは私は党の副委員長も務めたりいたしまして内容はよく知っているのですが、それもずっとそういうふうに特別な措置をして、その地域の開発ができた、住宅の整備ができた、それであと幾ら残っておる、それは何年の予算をつければ終わるからということで、最終的に五年で切ったのですけれども、それでもまだできなくて、最終的に、最後の最後ですよというのであと三年延ばしてそれを切ったわけでございます。
ですから、そういうふうにやはり現地の状態をきちっと把握をして対処していくべきではないかなと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/45
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046・長内順一
○長内委員 まさしく大臣のおっしゃるとおりでして、私も、ここに質問に立つことになりまして、いろいろな方からお話を伺ったり資料をひっくり返しているうちに、いや、これ、できれば一度現地に行っていろいろな方のお話を伺った上でここへ立ちたかったなというのが本当に率直な感想でございます。
しかしながら、今大臣もおっしゃっておりましたけれども、私、もう一度お伺いしますけれども、これは局長でも結構です。継続する、それでここで終える、いわゆる卒業させる、どちらでもいいのですけれども、その場合のメルクマールといいますか条件、こういうことであれば、ここまで来れば卒業ですよと。先ほど大臣おっしゃっていましたように、ここまで行きたいのだけれども、今ここまでしか来ていないからあと一回だけ、五年間だけ延長したいんだとか、いわゆる具体的な話をしませんと、先ほどの同僚議員と大臣のお話ではありませんけれども、これはずっと継続していっちゃう。ですから、継続するための要件、それから打ち切るなら打ち切るための要件、どういうことになるのか、それをお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/46
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047・中川浩明
○中川(浩)政府委員 奄美群島振興開発特別措置法は、先生も御案内のように、奄美群島の特殊事情にかんがみまして、振興開発事業を実施することによりまして、その基礎条件の改善と地理的及び自然的特性に即した奄美群島の振興開発を図りまして、住民の生活の安定、福祉の向上に資するということを目的としたものでございまして、振興開発事業の実施によりまして奄美群島の生活水準をおおむね本土の水準に近づけることを目標としてこれまで事業を行ってきたところでございます。
これまで多くの事業を行ってまいりました結果、多くの分野で格差が縮小してまいっておりますけれども、まだ依然として格差が残っているものもございます。例えば、先ほどお話もございました人口増減率で見てみますと、全国は一・六%の増加でございますが、奄美群島についてはこの五年間で四・九%の減少となっておりますし、高齢者比率は逆に高いという実態もございます。また、所得について見ますと、人口一人当たりの所得は百九十万九千円ということで、五年前に比べますと一四・四%の増加を示しておりますけれども、依然として、全国水準と比べますと六三%、こういう実態にございます。また、生活環境の整備を見てみますと、ごみ処理施設の処理率については、五一・七%から五八・五%と上昇はしているものの、全国平均に比べますとかなり低いということでもございますし、また、し尿処理施設の処理率は三八・一%、全国平均が八九・五ですので、それの半分以下となっているという実態もございます。
このように、多くの項目についてまだ依然として格差が解消されていないという実態にございます。今回お願いをいたしております法律の延長五年間にその実態がどのように変わっていくのか、事業の推進あるいは地域の住民の皆さん方の努力によって、格差の解消の状態を踏まえて、今後の対策については検討していくべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/47
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048・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 局長が答弁しておりましたが、本土並みの水準にといいますけれども、私はそれは美辞麗句だろうと思います。本土並みの水準まで行くというと、これはまた何十年かかるのではないかと思うわけでございまして、先生の御意見もそうだろうと思うのですが、やはりここで一つの数値を決めるべきだろうと私は思うのです。
それで、それが達成できたときには、いわゆる一般法、ですから離島振興法であるとかそういうものに移行をしていくということをやっていかなければ、まあ局長としての答弁とすればああいうような答弁以外できないのだろうと思いますけれども、私は、そこをやはりもうそろそろ決めるべき時期に来ておるようには思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/48
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049・長内順一
○長内委員 今の大臣の答弁で私は了としたいと思います。すなわち、全国の平均なんということは、これは大臣がおっしゃるとおり、そこまで行こうとしたらこれはまた何十年もかかってしまいます。ですから、個々に数値目標をきちっと決めて、そしてここまで来たものについてはどうするのか、ここまで来たものについてはどうするのかという形で進めていきませんと、全体を包んで、それで平均レベルということであれば、なかなからちが明かないのではないかなというのが私の意見でございまして、ぜひともこれはより具体的な形で対応する、これは国家にとってもそうですけれども、地域の住民の方にとっても、先ほど局長がおっしゃったように、本土との格差是正、そして自立をして、そこで振興していくのだということを考えると、厳しいかもしれないけれどもそういう道を指し示してあげることが政治のとるべき道だ、私はこんなふうに思うものですから、訴えさせていただきたいと思います。
ちょっとこの辺で議論したかったのですが、時間がなくなってまいりましたので、具体的にもうちょっと細かい話をしてみたいと思います。
一つは、今回の振興法の事業、これは非常に補助率が高い。また、地方自治体においては起債が認められておりますから、これはもうどちらかというと、あらゆる事業が目の前に出てくると、非常に飛びつきやすい事業が多いわけであります。ところが、その結果どうなっているかというと、御自分のところの自治体の財政にそぐわない事業の導入を随分されている。例えば、九七年度において、奄美の関連十四自治体のうちの半分の七自治体で、起債制限比率が、警戒ラインと言われている一五%をもう突破しております。
こういうふうになってきますと、今の続きになるわけでありますけれども、せっかくその地域の振興のためにこういう振興法をもって国は支えようとしていることが、現地においては全く、裏目とは言いませんけれども、思った形にはなっていない。特にこの自治体の財政危機に対してどのような御認識を持っているのか、自治省、見えていますか、御所見をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/49
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050・石井隆一
○石井説明員 お答え申し上げます。
ただいま先生おっしゃいましたとおり、奄美の十四市町村、全国の市町村に比べましてもかなり公債費の負担が高くなっております。自治省といたしましては、毎年度の地方財政対策におきまして、地方税あるいは地方交付税等の必要な地方一般財源の確保に努めまして、個々の地方団体の運営に支障が生じないように対応しているつもりでございますが、特に、今お話に出ましたような、例えば奄美の、公債費負担の重い個別の市町村につきましては、自主的に公債費負担適正化計画を策定していただきまして、その場合の公債費負担の軽減に取り組むために財政上の支援措置をする。これは十四市町村のうち九つの市町村について、奄美については対象になっております。
それから十一年度の臨時特例の措置といたしまして、地方債の中でも七%以上の高金利の地方債を持っておる団体がございますので、こういったところにつきましては政府資金の繰り上げ償還を認めるということで、今臨んでおります。奄美につきましても、十四団体のうち八団体ぐらいがその対象になる予定になっております。
今後ともこうした対策を講じまして、できるだけ各市町村の財政の健全性が確保されますように、自治省としても取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/50
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051・長内順一
○長内委員 これ、ちょっとやめますけれども、自治体の財政の厳しい部分、これについてはやはり国の方できちっと見て指導していきませんと、勢い、こういう振興法で有利な形の事業がどんどんできるということになりますと、自治体の方でもちょっとその辺の判断を間違うケースも出てくると思いますので、この点はぜひお願いをしたいと思います。
それで局長、ちょっと細かく伺いたいのです。
一般論で結構なのですが、要するに、こういう形で、振興法によって公共工事、事業がどんどん導入される。道路だとか港湾だとか空港だとか、農地、学校、これは決して効果がなかったわけではなくて、大変立派なものが後に残されている、これは事実だと思います。しかしながら、先ほどからここでもお話がありますように、人口は減少し、そして高齢化が猛烈なスピードで進んでいる。ですから、この振興策、これが従来の公共工事中心の対応だけではもういけないところに来ているのではないかな、こんなふうに私は考えるところでございます。
そこで局長、何回か小笠原だとか奄美はもう当然行かれていると思いますけれども、要するに、そういう生活基盤、インフラの部分ではなくて、もっと大事なことがあるのではないかなというふうに私は思うものですから、ちょっと申し上げます。
例えば、小笠原でいいですよ、小笠原のアクセスは今何で行われていますか。これは船ですね。おがさわら丸という船一隻だけで、本当にこれがまさしくパイプライン、ライフラインになっているわけでありますけれども、これは、例えば一日に東京を出る、そして小笠原に行く。次、私が小笠原に行きたいといって行けるのはいつでしょうか。一週間後ですね。小笠原に一日に船が出る。その後で仕事ができて小笠原に行きたい、例えば、委員会で質問するので小笠原で視察をしたいといっても、一週間たたなかったら行けないわけですよ。これなんかはどうなのかなと。きっと、小笠原に住みたいなんて思っている方も、これを聞くとあらっと思ってしまうのじゃないかと思うのですね。
それから、局長、去年ですか、東京で見られるのと同じようなテレビが見られるようになったのは。今までは衛星放送だけですか。それから、例えばラジオは今聞けないんでしょう。それから携帯電話はどうですか。時間がないから私全部言ってしまいますけれども、携帯電話も使えないわけでしょう。ことしからですか、使えるようになったのは。
島の中では、島内価格といいますか、ガソリンがリッター百八十円前後している。こちらでは今百円以下なんじゃないですか。倍ですよね。ありとあらゆるものが、島内価格ということで物すごい高い。これで、皆さんが目標としている三千名の人口を確保するということが果たして可能なのかどうなのか。
道路は立派になった、港湾も立派になった、でも生活するにはとても生活しにくい、こんなことになりはしないかなと思うのですが、この点についての御所見をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/51
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052・中川浩明
○中川(浩)政府委員 小笠原の件につきましての御質問でございますが、確かに小笠原諸島は、やはり交通機関の整備ということが最も大きな課題であるということが地元におきましても認識をされておりまして、その解決策の一つとして、現在小笠原におきまして空港整備事業が推進されようといたしております。
やはり小笠原の島民にとりましては、一たん急病等になったときに、空港があって定期便が飛んでいるということは非常に安心にもなるわけでございますので、そういう面からいきましても、この空港整備事業は非常に重要な事業になるのではないかというように思っております。
また、そのほか観光の開発あるいは生活面、福祉面、教育の面などの事業の推進も、これから小笠原にとって非常に重要な課題である、このように考えておりまして、今度の五年間の延長によりまして、そういう面に重点を置いた振興ということがぜひ必要であろう、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/52
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053・長内順一
○長内委員 ですから、そういう施策はいいんだけれども、先ほどから私が言っているのは、公共事業だとかそういうので道路も橋もみんな立派になったんですよ。ところが、生活空間としての小笠原というのは果たして快適なのかどうなのか。私どもの周りでも、何か今度小笠原に定住をしたいなんというような職員の方もいらっしゃって、私もびっくりしたのですけれども、でもその方にしてみたって、私が今言ったようなことは、快適な未来を約束するというふうにはなかなかならないのじゃないかと思うのですね。
ですから、まさしくこれから振興法の中身については、ただ土木工事、建設工事、これも大事なんですよ、でもここだけではなくて、もう一つ、やはり私が言ったような生活基盤というかそういう視点もぜひ忘れないで対応してもらいたいな、こんなふうに思うのですよ。
それで、時間がないからあれなんですけれども、もう一つ。
要するに、自給ができない、例えば小笠原の場合。これはなぜかというと、私は北海道で、亜熱帯というのがどういうのかわかりませんけれども、もっと農業に向いているのじゃないかな、寒冷地よりもずっと向いているのじゃないかなと思うのですが、実際に島でとれて、それで島から移出している、こういう農産物というのはほとんどないですね。トケイソウの実だとかそれからオガサワラトマトだとか——局長、わかりますか。局長、聞いてください。わかりますか、私が言っているの。こういうものしかないんでしょう。
ですから、ここで例えば、亜熱帯というのは農業に絶対適していると私は思うのですよ。農業基盤をもっときちっとする、そして農業技術を導入する、そんなことも含めて、島内の自立のための施策についてどのようにお考えになるか、短い言葉でひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/53
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054・中川浩明
○中川(浩)政府委員 今後の小笠原諸島振興開発の最も大きな課題が、やはり産業面での振興をどのように図っていくかということだと思います。
農業につきましては、ただいま先生もおっしゃいましたように、亜熱帯性の気象条件等を十分活用できるような観葉植物、花卉、野菜、果樹等の生産の振興が最も大きな課題になるのではなかろうかと思っております。
また、そのほか水産業あるいは観光といった面の産業振興に力を入れていく必要があるものと考えておりまして、そういう視点から今後の計画づくりを進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/54
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055・長内順一
○長内委員 ですから、振興法を卒業するというためにはどうしても島内の自立といいますか、そして外との交通アクセス、もう一つは通信のアクセス、こういうことを充実しなければ、幾ら絵にかいたもちで、青写真としてはこの時点で卒業しますといっても現実は伴わないわけだから、今局長がまさしく御答弁いただいたようなことを、きちっとこれから数値目標を持って、計画を持ってやっていくということが政治、もっと言えば行政のあり方だな、私はこんなふうに考えているところでございます。
それでは、もう一つ伺います。
今申し上げましたように、国土庁でも小笠原の場合はいわゆる全総の中でこういうふうに位置づけています。「小笠原諸島については、東京圏との連携の強化に配慮しつつ、亜熱帯気候等による特有の自然環境や我が国南端に位置する地理的特性を十分に生かした振興開発を推進する。」こういうところがあるわけでありますが、この亜熱帯の地域を活用する意味で、ここに国の研究機関か何かを持ってこられないか、そういうことも含めて、国としてどういうふうに取り組んでいくのか。
せっかく国土庁で、全国のグランドデザインの中でこういうふうに位置づけているわけですから、例えば研究機関、そういうことも含めて、国として何かここに具体的に対応できるものがないかどうか、御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/55
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056・中川浩明
○中川(浩)政府委員 現時点におきまして、国の研究施設を小笠原に立地するという点についてお話しできるようなものはございませんが、せっかくのお話でもございますので、関係省庁とも十分協議をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/56
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057・長内順一
○長内委員 時間になりましたけれども、最後に大臣に申し上げたいと思います。
そんな難しい議論でございませんで、私は少なくとも、そこに住まわれる方、そして大変な環境の中で生きている方、この方々をそのままにするというわけにはいきません。ですから、そういう方々にも配慮しつつ、しかしながら、こういうものに対する一般的な物の考え方というのがございますから、そこの一つのバランス、これを考えて、ぜひとも先ほど申し上げたような形でメルクマールをお考えいただきたいというふうに思います。
もう一つは、これは当然でありますけれども、奄美にしても小笠原にしても、大変風光明媚な、自然が豊かな地域だというふうに伺っておるわけでございます。片方で、基盤整備を初めとする、また観光の開発を初めとするさまざまな事業が展開されるわけでありますから、片方で環境の保全、片方では事業展開、こういう相反することがこれから一つテーマになってくるのかな、こんなことについてもこれから御配慮の上、この地域も日本の中で非常に大事な地域になってまいりますので、ひとつぜひともこの対応をお願いしたいというふうに思いますので、最後、決意も含めて御所見を伺って、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/57
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058・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 小笠原の船の便が一週間に一本というのは私も今初めて聞いたわけでございまして、やはりそういうような生活の航路であるとか、そういうことをまずきちっとやって、先生御指摘のように、自給ができる体制というものは農産物においてもやっていかなければならないと思っております。
それから、私は建設大臣に昨年就任いたしまして、そのとき二つのことを言いました。その一つは、これからは建設行政もすべてガラス張りで、オープンで、内容もすべて計画の段階からその地域の方々にも御相談を申し上げ、すべてオープンでいこう。それと、もう一つは、建設行政はもちろん開発でありますが、その開発も自然と共生できる範疇の開発じゃないとだめだということをお願いしたんですが、亜熱帯地域としてすばらしい自然環境があるわけですから、それを壊すことなく開発を進めていくということは、基本的な考え方として今後進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/58
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059・長内順一
○長内委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/59
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060・平田米男
○平田委員長 西野陽君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/60
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061・西野陽
○西野委員 自由党の西野陽でございます。
今次この奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、我が党は賛成の立場から御質問をいたしたいというふうに思います。
この法律が延長ということで提示をされまして、私は思い起こすのでありますが、私ごとで大変僣越でございますが、奄美群島に渡りましたのは私の五十数年の人生の中で二回だけでありまして、実は一回は私のハネムーンで、当時は日本列島の最南端。私のときなんかは、外国へ行く人なんてほとんどいなかった。一番遠いところへ行こう、それが徳之島、こういうことに自分で決めまして、もうウン十年前でございますが、徳之島でハネムーンを楽しんだ思い出があります。
ところが、さて、後また九州に戻っていろいろ予定を組んでおったんですが、三月の末でありましたから、私は関西で、大阪で、台風なんてものが襲来するのは早くて大体七月か八月なんていうようなことを思っていたんですが、三月の末にたまたま九州に帰る飛行機が欠航になってしまった。なぜ欠航だ。熱帯性低気圧、台風の弱いもので飛行機が飛ばなくなってしまった。そのために私どものあの思い出のスケジュールが大幅に狂ったこと。そして、フライトがありまして、初めて乗った飛行機が、当時はプロペラでしたけれども、揺れに揺れまして、私は二度と飛行機には乗らないとそのときに実は思った苦い経験を、今この奄美で思い出しておるわけであります。
そんな中で、きょうも同僚、先輩の委員の皆さんからいろいろと本法案につきます問題点の指摘があった。一部重複するところもあるかもしれませんが、改めて浮き彫りにする意味で御指摘をいたしておきたいというふうに思います。
御案内のとおり、お話がありましたように、奄美群島は昭和二十八年に日本に復帰をいたしたわけであります。そして、その翌年、昭和二十九年に、奄美群島復興特別措置法という形で早速制定をされまして、直ちに公布をされた。そして、さらに二十年経過した昭和四十九年に、今度は奄美群島振興開発特別措置法と名前を変えられまして公布されたわけであります。したがって、その間、その法律に従ってそれなりの措置は講じられてきたものだと思いますし、かつまた、相応の成果というものも、これまた決して否定するものではありません。
ところが、措置法ができまして約四十五年経過をいたしておるわけでありますが、率直に申し上げて、いまだ後進性という汚名を払拭するには至ってないだろう、こう思うわけであります。
そこで、改めてその実態を少しばかり出してみたいと思いますが、特に私は、お隣の沖縄と比較をして、細かい問題ですが、個々の問題を浮き彫りにしたいなというふうに思います。
奄美と沖縄は、奄美の方が十九年前に日本に復帰をしているわけです。約二十年おくれて、沖縄が日本に復帰をしているわけです。約二十年の格差がある、であるけれども、一体内容はどうなのかと個々にちょっとお尋ねをしたいと思いますが、先ほど来の質問で一部出ておりますので、それは私の方から申し上げて、出ておらない項目について、局長の方からまず理解をされている数値をお示しいただきたいなというふうに思います。
所得水準をお尋ねしようと思いましたら、先ほども出ておりまして、全国平均が一〇〇%だということにいたしますと、沖縄が七〇・九%、それに対して奄美は六三%。さらに、し尿処理のお話も出ましたけれども、し尿処理率が、全国平均が八九%、沖縄ではそれが六五%、奄美はどれだけかといいますと、これも先ほど答弁がありました、沖縄の約半分、三八%です。
そこで、それでは次に、出ておらない問題をお尋ねいたしますが、医者ですね、医師は、人口十万人当たり全国平均は百八十四人であります。沖縄は幸いそれにこよなく近づいておりますが、百六十三名であります。さて、それでは奄美は何人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/61
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062・中川浩明
○中川(浩)政府委員 奄美群島の平成七年度の人口十万人当たりの医師数は、百二十二人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/62
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063・西野陽
○西野委員 もちろん沖縄より少ないわけですね。
さらに、小学校の校舎の整備率は、全国平均で八八%と言われております。それに対して、沖縄はこれまたほぼ近くなっておりますが、八六%という数字が出ております。奄美は幾らでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/63
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064・中川浩明
○中川(浩)政府委員 ただいまお示しの小学校校舎整備率は平成九年度の数字でございますが、奄美群島におきます平成九年度の小学校校舎整備率は、六七%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/64
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065・西野陽
○西野委員 個々に別々で申しわけないんですが、人口の増減率につきましては先ほど質疑がございまして、お答えになっておりますので、私の方から申し上げますが、昭和三十年から平成七年までの間でございますが、全国平均では三九・四%、約四〇%近い人口増があります。それに比べて、沖縄の方は全国平均を上回って五九%、約六〇%も人口増があったということであります。これは、いろいろな政策が十二分に功を奏していると思いますが、それでは、奄美はどういう形になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/65
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066・中川浩明
○中川(浩)政府委員 奄美群島の平成七年の国勢調査の人口は十三万五千七百九十一人でございまして、昭和三十年の国勢調査人口と比べまして、三三・九%の減でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/66
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067・西野陽
○西野委員 全国平均がふえておりますし、沖縄もそれを上回っておる。ところが、奄美は、先ほども少し話がありましたけれども、今のお示しのとおり、減少しているということ。明らかに沖縄と比べても格差が出ておる、人口の増減については出ておる、そのとおりだと思います。
さらに、観光客の入り込み数なんですけれども、観光でいろいろ有名なんですが、平成五年から平成九年の五年間の例でお示しをいただきたいんですが、沖縄では、県の観光の資料によりますと、この五年間で六十八万人ふえておるというふうに言われておりますが、さて、奄美はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/67
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068・中川浩明
○中川(浩)政府委員 鹿児島県の調査によりますと、奄美群島の平成九年の入り込み観光客数は四十四万三千人でございまして、平成五年の数字と比べますと、八万三千人の増でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/68
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069・西野陽
○西野委員 さらに、先ほど小笠原のアクセスの話が出ておりましたが、航空便数をお尋ねしたいんですが、本土、特に羽田にいたしましょう、羽田—那覇間ですね、一日に現在十五便ありますが、それでは、羽田—奄美間は一日何便ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/69
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070・中川浩明
○中川(浩)政府委員 一日一便でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/70
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071・西野陽
○西野委員 これも明らかに、一日に一回しかないということで、まず交通、飛行機の便数からしても大きな差があるということはもう御案内のとおりであります。
それだけではないんでして、これはまた運賃です、航空運賃。羽田—那覇間は三万一千五十円であります。それでは、羽田—奄美間は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/71
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072・中川浩明
○中川(浩)政府委員 現在、奄美、これは名瀬でございますが、奄美—羽田間の往復運賃は、通常期の料金で三万四千二百八十円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/72
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073・西野陽
○西野委員 羽田からは奄美の方が近いんです。那覇の方が遠いんです。ところが、近い奄美の方が高いんです。ここにも差があるというふうに思います。
これは、一つは恐らくこういうことにも原因があるのかなと思うんですが、運輸省の方がおられたら実態をお示しいただきたいと思いますが、現行では、本土—那覇間の航空機の燃料税の軽減措置というものがお互いに講じられております。本土—那覇間では、現行は五分の三の負担、すなわち一万五千六百円ということになりますが、ことしの本法の施行以来、平成十一年の七月からは半分、二分の一の負担、すなわち一万三千円の負担ということで、軽減を一七%されることになっています。
この本土—奄美間は、現行は格別の軽減措置はありません。それに対して、今回の措置等々において恐らく軽減はされると思うんでありますが、幾らでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/73
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074・藤野公孝
○藤野説明員 航空局監理部長でございます。
平成十一年度税制改正案に盛り込まれております航空機燃料税の軽減措置でございますけれども、通常の四分の三に軽減するという内容を盛り込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/74
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075・西野陽
○西野委員 ということは、四分の三ということですから、二万六千円が一万九千五百円、こういうことに軽減されると思います。すなわち、今申し上げた金額からいきましても、この税金、航空機の燃料税だけでもキロリットル当たり六千五百円、那覇と奄美とでは差があるんですね。だから、税制上でもこれだけの差があるということは、おわかりいただけると思います。
先ほど補助率の問題も出ておったわけでありますが、改めて申し上げますので、この数値が間違っているかどうか、お答えをいただきたいと思います。
県道の改築、沖縄は九〇%の補助率であります。それに対して奄美は何%か。これは三点お尋ねしますので、一挙にお答えください。簡易水道は沖縄は六六%です。それに対して奄美は何%ですか。一般農道は沖縄は八〇%の補助率です。奄美は何%の補助率ですか。三点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/75
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076・中川浩明
○中川(浩)政府委員 奄美群島振興開発事業として実施されます県道改築に係る国庫補助率は十分の七、七〇%でございます。先ほど先生お示しの沖縄は九〇%ということでございます。また、簡易水道につきましては二分の一、五〇%でございます。一般農道整備に係る国庫補助率は十分の六・五、六五%となっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/76
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077・西野陽
○西野委員 関谷さん、国の補助率も、県道、簡易水道、農道、これを見ましても、沖縄と奄美とでは多少違います。二〇%から一五%ぐらいですね。やはり差があるんですね。沖縄の方が優遇されているんですよ。奄美の方が少ないんですね。これは同じ離島と思うんですが、この差というのはどういうところから出てくるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/77
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078・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 確かに、返還された年次も約二十年違いましょうし、その後の、よく今予算委員会等々でも出ておりますが、ガイドラインの法案に関連して、いわゆる米軍の七〇%が沖縄に駐留をしておる、そういうような特殊な歴史的な問題、そしてまた現状の問題、あるいはヘリポートの建築等々もいろいろありましょう。そういうようなところからこの差が出てきておると思うわけでございまして、さて、その沖縄並みの補助率にすることができるかどうか、これはまた先生方の御指導でもあろうと思いますが、また、できるものなら当然そういうことをしてあげたいとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/78
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079・西野陽
○西野委員 さらに、昨年の四月一日、沖縄振興開発特別措置法が改正をされたわけですね。ここでもかなりのまた特別扱いを、沖縄に特別扱いしてはいかぬということではないんですが、私は今奄美と比較した話をしておりますので、誤解のないようにしていただきたいと思います。
例えば、この昨年の改正で、特別自由貿易地域制度の創設なんというのが出ましたので、先般の新聞を見ていますと、カジノが導入されるのじゃないか、これを研究してと。なかなかユニークで、そういうふうなものも研究をされている。さらには情報通信産業振興地域制度も導入をされる。さらに観光振興地域制度の創設もされた。さらに工業等開発地区制度の拡充もされた。
こういう中で、例えば製造業においては法人税の所得控除を実施する。きょうは大蔵の方はお見えになっているんですかね。特定機械、特定の建物等においては法人税の税額控除及び地方税の免除が行われている。沖縄に対して、私はこれで結構だと思っております。それでは、奄美につきましては、このような同じ措置がとられておるのか、税制上の問題。大蔵、おられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/79
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080・加藤治彦
○加藤説明員 先ほど先生御指摘のように、昨年度の税制改正におきまして、沖縄に対する法人税の特別所得控除制度等々の制度が創設されました。
これにつきましては、沖縄を取り巻くさまざまな事情等を踏まえまして、政府及び与党内でいろいろな議論がございました。その結果、沖縄の状況に応じて特別の措置が講じられたものと理解しておりまして、こうした点が、やや特殊な沖縄特有の措置ということで私どもは理解をしておるわけでございます。(西野委員「奄美にはあるんですか、ないんですか」と呼ぶ)
奄美地域の税制ということでございますと、過疎地域の特別償却制度が奄美にも適用になるというようなものはございますが、それ以外、特に特定のものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/80
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081・西野陽
○西野委員 今、大蔵省の加藤さんがお答えになったとおり、昨年から税制上でも沖縄の方はいろいろな角度から軽減措置が講じられておる。奄美については、過疎地域の、その程度だ。今回の特別措置法の改正で地方税が減免になること、これはこれで一つの前進ではあろうと思うのですが、いわばその程度なんですね。それだけなんです。沖縄と比較すれば、その程度しかないんです。
だから、私は、そういう意味では余りにも格差もあるし、不十分だなというふうに思うわけでありますから、そういうことからいたしますと、どうも今回のこの改正は、五年刻みの、いわば単純に現行法をそのまま、若干いらっていますけれども、単純延長したにすぎないというような印象があって私はしようがないのですね。
そんなことを言っておりますと、これは沖縄さんとまた比較して申しわけないのですが、ことしの予算では沖縄特別振興対策調整費というのがあるのですね、これは百億ついているのですね。これは結構だと思うのですね。では、奄美にもそれに似たようなものはあるのかなというと、ないのですね。
さらに、この百億の調整費がつきますと、まず沖縄の自動車道の料金がさらに引き下げをされる。沖縄発着の航空運賃も当然引き下げを行われる。電気通信料金も値下げをされる、現行よりもさらに値下げをされる。
奄美の方は、措置は、地方税の減免と離島の関係ぐらいのことだ、ほかはそのまま。さらに、これはまた沖縄と格差が出てくるような気がしてならないのですね。そういう点から、これは国会でもいろいろしっかりお願いをし、内閣の、政府の方で取り組みをしてもらわなければならぬというふうに思うのでございますが、関谷さん、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/81
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082・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 今日までの特別措置法の目的等々を考えますときには、とにもかくにも北海道開発庁があり、沖縄開発庁という大きなものがある。それで、歴史的にも相似通った経過を踏んできておる奄美と沖縄との間に差があり過ぎるではないかという御指摘でございますが、最近の沖縄の情勢を取り巻く環境等々もあって、特段の特別措置、対策を政府が打ったということは事実であるわけでございまして、全く同地域、近隣であるわけでございますから、奄美に対してももう少し充実、特別措置の充実に努めていくということは、私は、ぜひやっていくべきではないか。
すべてが沖縄と同等の内容のものをすることができるかどうかというと、なかなか難しいところがあるのではないかと思いますが、今のいわゆる特別措置の中での優遇対策、それを充実していくということ、そして、充実をやっていくということが、この特別措置法が、今後、また期限も予測することができず、だらだらと再度延期をしていくということを防ぐ一つの目的を立てることもできると思うわけでございまして、ですから、その特別の対策を充実して、そしてこの期限、メルクマールを決めていくという流れになっていくのではないだろうか。
先生の御指摘の、ただ沖縄と比べて、それではこちらがどうだという観点もございますが、それをまた一つの理由づけとして、ぜひ、これから何十年も時限立法をどんどん延ばしていくということではなくして、私は、やはりそういう意味でもその充実を図って、期限を決めていくべきだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/82
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083・西野陽
○西野委員 この奄美と沖縄というのは、本土から数百キロですか、離れておって、しかも方向も南方で、気候は亜熱帯で、台風が来るのも同じ条件だ。自然条件もそうだし、物理的な位置もそうだし、そういうところにある。
しかし、大臣もお話があったとおり、確かに沖縄にはSACOの存在がありますし、基地の問題等々、また違う我が国の安全保障の問題もあります。そういうことも理解をしておるのですが、同じ関西地方に大阪に住んでおる者が、南方のといいますかその方面を見まして、そういう歴史的、あるいはいろいろ差はあるけれども、なぜかくも奄美と沖縄が違うのかなと。
では、それでは奄美さんももっと発展をしていくために、いろいろな意味で活性化されるように、いろいろな角度から細かい点を御指摘したわけですが、人口は減るし、所得は上がっていますけれども沖縄には至らず、お医者さんも少ないし、そこへもって運輸省の方から今度はまた、沖縄さんの方には特別措置は講じられるけれども、奄美の方が近いのに高いとか、どこを見ても、これはもう少し奄美に配慮が足らないのではないか。ただこの法律を一定の期間だけ延長すれば、これで事足りるのではないかというような印象を私は受けてしようがないのです。
ですから、先ほど来も御指摘がありましたとおり、数値目標といいますか、本土並みでなくても、仮に沖縄並みでなくても、こよなく沖縄には近づけるという、この程度というものを、やはり数値というか状態を示されて、できるだけ早い時期に、奄美の文字どおりの振興策が講じられていくことを期待しておきたいというふうに思いますので、屋上屋を重ねるかもしれませんが、これについての御感想がありましたら、大臣から最後、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/83
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084・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 今、先生御指摘の、沖縄の自動車道の料金の引き下げであるとか、あるいは航空運賃の引き下げであるとか、あるいは電気通信料金の値下げ等々は別に法律で決めなくてもできるものでございますから、先生の御意思等々を急遽、附帯決議の中に一項目入れていただいて、極力、沖縄に近い特別措置をするというようなことを明記していただければ、またそういうことは進めやすいのではないかな、そこに附帯決議の重要性というものがあるのではないかなと思うわけでございます。急ぎ理事会をしていただいて、文章を訂正していただいたらいいのではないだろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/84
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085・平田米男
○平田委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十二分休憩
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午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/85
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086・平田米男
○平田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。辻第一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/86
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087・辻第一
○辻(第)委員 私は、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
奄美群島も小笠原諸島も、本土から遠く隔絶をされた外洋離島という地理的、自然的条件、あるいはまた社会的、経済的条件の中で、大変な厳しい状況の中で御苦労をいただいております。そういう中で、本当に住民の期待にこたえた開発振興が求められているというのが現状ではないかと思います。
まず、小笠原の問題についてお伺いをいたします。
小笠原の基幹産業として農業、漁業をどう発展させるかは重要な課題です。しかし、現実問題として、農業、漁業人口がこの四年間でどうなったのか、一点、お尋ねします。
それから、外洋離島の特性からいろいろな困難があることも事実ですが、同時に、小笠原固有の問題、不在地主の存在がネックになっていることも事実です。以前から東京都がこの問題の解決に努力されていますが、国土庁としてどのようにしてこられたのか、また今後、国土庁なり国全体がより積極的な役割を果たすことが重要だと考えています。どのように対応をされるのか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/87
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088・中川浩明
○中川(浩)政府委員 お答えを申し上げます。
小笠原におきます農業、漁業の就業者人口のこの五年間の推移について、平成二年と平成七年の国勢調査を比較して見てみますと、農業の就業者は、五十五人であったものが六十九人と十四人の増、漁業の就業者は、百一人から百人とほぼ横ばいとなっている状況にございます。
また、二点目の不在地主の点についてお答えをいたします。
小笠原におきましては、かつて強制疎開があったというような事情から、帰島していない地権者が多いという実態にございますし、また、土地所有者が死亡した場合、相続人が内地で生活している者が多いなどの理由から、御指摘のように不在地主が多い状況がございます。東京都においては、地権者の調査を行うなど、的確に今、地権者の把握に努めているところでございます。
都あるいは村で地権者の方々を確認し、その必要が生じた場合に、売却等の交渉をするといったようなことで対応されているところでございます。
国土庁としてどのように対応するのかというお尋ねでございました。
この点について、国土庁としては、実際の事業等を行っている立場ではございませんので、実際の地権者を把握するということには当たってはおりませんけれども、農業振興策、あるいはそれ以外のいろいろな事業推進に当たって、不在地主の問題は大きな問題であると思っておりますので、東京都、小笠原村ともいろいろ協議をしながら、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/88
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089・辻第一
○辻(第)委員 農業、漁業の問題、そしてこの不在地主の問題、十二分に対応をいただきたい、お願いをいたします。
次に、個別の問題として、小笠原でのテレビの聴視の問題がございます。
小笠原は本土から一千キロも離れ、いわゆる地上波のテレビ電波が届かない、衛星を使ってNHKや民放の電波を小笠原に送ることでテレビの難視聴を解決しています。以前は、小笠原では地上波の放送を見ることができなかったわけですから、このシステムで大いに改善されたんですが、このため、小笠原村が年間一億六千八百万円、東京都が一億五千二百万円、さらに放送事業者とこのシステムを利用している沖縄が衛星の使用料を負担しています。人口二千三百人の小笠原村の負担としては、決して少なくない負担でございます。小笠原の振興対策の枠組みの中で、村の負担の軽減が図られるよう検討していただきたい、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/89
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090・中川浩明
○中川(浩)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、昭和五十九年に小笠原村では、実用放送衛星ゆり二号によりまして衛星放送が開始されて、昭和六十一年からは、NHKの衛星第一、第二の二チャンネルが受信可能となったところでございます。
それに加えまして、平成八年からは、郵政省の補助事業でございます電気通信格差是正事業といたしまして、地上波テレビ放送システムを整備し、東京都区部の地上波と同じ八つのチャンネルが視聴可能となっているところでございます。この事業を受けまして、小笠原村では、小笠原村テレビ視聴管理組合を設立して、利用料徴収や施設の管理運営等を現在行っております。
ただ、この地上波テレビ放送システムには、今お話のございましたように、多額の運営費が必要でございまして、平成八年度で四億四千三百万円、平成九年度で四億八千三百万円となっておりまして、平成九年度について見ますと、東京都がそのうち一億九千四百万円、小笠原村も同額を負担しているという実態にございます。
この経費について、国の補助対象とできないのかというお話でございますが、いろいろと検討いたしておりますけれども、郵政省の電気通信格差事業の補助対象にもなっていないという実態をかんがみますと、その対象とすることについては大変難しい問題があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/90
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091・辻第一
○辻(第)委員 さらに十分な検討をいただきたいというようにお願いをいたします。
次に、小笠原の最大のセールスポイントは自然です。現に、小笠原の土地利用についていえば、硫黄島を含めて、諸島全体の六割が自然保護地域、父島では七割が自然保護地域です。今後、小笠原振興策を進めていく上で考えなければならない最大の課題が、豊かな自然環境を守って活用することではないでしょうか。
小笠原における振興事業の実施に当たっては、大型開発ではなく、福祉や医療や教育に重点を置いて実施すべきであります。また、空港整備は島民の願いであります。環境、自然破壊に十分配慮していただきたい、このように考えるのですが、大臣のお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/91
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092・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 御指摘のまず第一点でございますが、これからのいろいろな開発というのは、特にまたこういう小笠原のような自然環境の美しいものが保持されている地域においては、開発は自然破壊をしない範疇において進めていかなければならないと思っております。
それから、大型開発が中心であったというのは、これは戦後、日本各地区がそういう開発の方法でやってきたわけでございますが、今や、どの地域におきましても、いわゆる生活に直結した開発というものが必要でもあろうと思っておるわけでございまして、ましてや小笠原の福祉、医療、教育の面につきましては、一層の充実を図るべく努力を現在行っておるわけでございまして、地域福祉センターや診療所、それから学校施設等の整備を行っておるわけでございます。
それから、一千キロも離れたところでございますから空港の建設というのは必須のものでありまして、第六次空港整備五カ年計画におきましては、予定事業となりましたときに、自然環境に配慮した位置あるいは規模等を検討することが課題とされておりまして、現在、そういう環境アセスメントのための調査等を進めておるところでございます。
国土庁としましては、その調査結果を踏まえつつ、自然環境との調和に配慮した空港建設ということを、適切に対処してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/92
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093・辻第一
○辻(第)委員 ぜひ、大臣もおっしゃいましたが、住民の生活に密着した、そのような対策を十二分にやっていただきたいというようにお願いをいたします。
次に、奄美の問題でお尋ねをいたします。
特別措置法がつくられてもう四十五年が経過をした。一九五四年の復興事業から第三次振興開発事業に至るまで、投資額は一兆四千億円に上ったということです。道路や港湾、空港などは確かに見違えるように整備されました。
しかし、先ほど申しました外洋離島でありますとか、あるいは台風が常襲をするというような地理的、社会的条件という中、そして、この振興策がやはり土木事業を中心、まあ極端に言えば一辺倒というような形ではなかったのか、そのゆがみ。そして、前回の改正ではソフトの問題や福祉や医療、教育の配慮規定が追加をされたのですけれども、しかし今なお奄美は人口が減っている、過疎だ。そして大変な高齢化、少子化という状況です。所得も大変低い、そして物価高。こういう状況の中、いろいろな産業や農業なども、技術的発展の基礎が失われるのではないかというほど厳しい状況ですね。地方自治体も深刻な財政危機ということであります。
ここで、これまでの公共事業一辺倒ではなしに、抜本的なといいますか、地域の総合的な振興開発への転換が本当に求められている、そうして、産業の振興あるいは医療や福祉、教育、文化の発展が本当に求められているのではないかということでございます。繰り返すようでありますが、奄美の振興事業は公共事業に重点が置かれて、そういう中で、サトウキビや大島つむぎなどの産業は厳しい状況でございます。
南海日日新聞の二月八日の社説は「対策を講じているが、その中身は高率の補助金で公共事業を進めるのが中心、結果、各種基盤整備事業が進み、土木建設業が成長したが、肝心の人口定着には結びつかず、過疎と高齢化が進行、公共工事による振興策の限界が見えてきた」このように述べています。
例えば、名瀬市道の山田線という道路でございますけれども、旧道の拡張工事の予定がループ橋になった、また、山間部でありながら三メートルの二車線、二・五メートル幅の歩道つきという道路になって、事業費が三十五億六千万円にも拡大をした。
奄美の各地で問題になっているのが、港湾や漁港の整備。この事業による防波堤の建設の結果、塩害がひどくなったり、また、工事に着手しながら、その港湾の活用のめどが立たずに中止をされたり、こういうむだな公共事業が数多く存在をいたしております。当然、こういうことは計画を見直さなければいかぬわけでありますが、こうしたことについて、十分な見直しをすべきだ。事業としては各省庁にまたがる点もあろうかと思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/93
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094・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 今日までの公共事業、これは離島であるとかそういう地域だけではなくして、一に日本全体、いずれにいたしましても、終戦で瓦れきの山となった日本を、社会資本の整備充実ということで今日までいわゆるハードの面で進めてきたわけでございまして、この奄美群島の振興開発といいますのも、もちろんのことそういう角度からスタートをいたしまして今日までたったわけでございますから、これからは、先生御指摘のように自然を破壊しない、そして人間の生活そのものに直結する公共事業、そして生活そのものを豊かにする関連の公共事業という分野に変えていかなければならないし、私は、当然そちらの方向に今もう進んできておると思うわけでございまして、公共事業もそういうような形で大いに変わってくると思っております。
そういう中にありまして、何といいましても奄美の特色を生かしました農業振興とか観光、リゾート産業等の推進を図りまして、やはり活力のある地域社会の形成というものをやっていって人口の流出を防いでいく、そして人口が微増といいましょうか、少しずつにしてもふえてくるような、そういう環境に戻してこなければならないと思うわけでございまして、今後とも、そういうようなことで、積極的にあらゆる施策を実行していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/94
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095・辻第一
○辻(第)委員 よろしくお願いをいたします。
次に、龍郷町、奄美大島の北部にあります東シナ海に面した町ですが、ここの円という人口三百人足らずの集落で、道路改良工事に絡む海岸埋め立ての問題があります。この地区では、さきに漁港の整備が行われましたが、これ自体、完成後間もなくその構造物が傾いてしまうような事態がありました。
この地区の海岸に設置された波よけの施設によって、塩害が発生しています。海岸に設置された防波堤などによる塩害は、台風でなく、ふだんでも風の強いときに防波堤に波が打ちつけられて、細かいしぶきとなって飛散する。名瀬市の小湊漁港、瀬戸内町の管鈍などの各所で同じ問題が発生しています。防波堤などがないときは、砂浜と防風林などで波が吸収をされ、また飛散を防ぐなどしていたものが、人工構造物設置の結果、逆に被害が広がるということになりました。円地区でも、道路の沖出しでさらに塩害がひどくなり、砂浜の消滅が危惧されています。同地区でも、問題を指摘する住民が少なくありません。
土地がふえると推進を主張する人もおられますが、海岸に人工構造物をつくる際には、その地域の自然環境を知り尽くしている人の知恵を生かすべきではないか、地域住民の声を十分反映すべきではないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/95
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096・中川浩明
○中川(浩)政府委員 先生御案内のとおり、奄美は台風の常襲地帯ということもございまして、海岸の防護というのは非常に大きな、必要性の高い事業でございます。海岸事業によりまして、防波堤や離岸堤等の建設は、高潮、波浪による被害の防除という意味から、その緊急性の高い地区から着工いたしてまいっております。
ただ、その場合でありましても、実施に当たりましては、地元からの要望に基づき、同意を得た上で行っておりまして、地元住民の理解を得る中で、そしてまた自然環境にも十分留意して行っているところでございますので、御理解をちょうだいいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/96
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097・辻第一
○辻(第)委員 次に、与論島でございます。
与論コースタルリゾートの建設が問題になっています。この事業は港湾と漁港の整備から成っていますが、あわせて、海洋レクリエーション基地を建設しようというものです。ここでも、塩害やサンゴ礁の破壊などの自然破壊の問題が指摘をされています。与論島は奄美群島の中でもすぐれた観光地として知られていますが、問題を指摘しておられる皆さん方は、この計画は観光産業に貢献しない、また茶花湾という観光資源を破壊すると言っておられます。その他、問題になっている漁港もあります。むしろ、砂浜の減少している茶花湾や百合が浜などの養浜事業が求められています。
事業に当たっては、自然破壊の問題など、住民の意見をよく聞いて慎重な対応を行っていただきたい。お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/97
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098・中川浩明
○中川(浩)政府委員 与論のコースタルリゾート整備でございますが、この事業は、与論島の地域活性化のため、越波災害の解消などの防災機能を保持しつつ、恵まれた自然環境を活用した海洋レクリエーション基地の整備をすることとしているものでございます。その実施に当たりましては自然環境にも十分留意することといたしておりまして、地元住民の理解も得られているものと聞いております。
奄美群島の観光振興を図るためには、海洋性の自然と固有の文化資源を生かした観光リゾート産業の一層の推進を図る必要がございますが、当然のことでございますが、この事業の推進に当たりましては、排水対策、赤土流出対策など、乱開発の防止、環境保全に十分留意していく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/98
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099・辻第一
○辻(第)委員 先日、国土庁からいただいた資料を見ますと、国道、県道改良率などは全国平均を上回る整備率になっています。ところが、教育、文化の分野などでは、全国平均を大きく下回っています。
五年前の法律改正で、地域振興支援策として、地方債、医療、交通確保、高齢者の福祉増進、教育の充実についての配慮条項が新設されました。この条項が新設されて、従来と比較して、この五年間どう変わったのかお尋ねをいたしますが、恐縮ですが、簡明にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/99
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100・中川浩明
○中川(浩)政府委員 ただいまお話のございました、前回の法律改正におきまして創設されました配慮規定でございますが、この規定は、国及び地方公共団体の積極的な取り組み姿勢を示すとともに、地方公共団体にあっては当該規定に係る施策を積極的に講じ、国にあっては地元の要望等を踏まえつつ、当該規定に係る施策に要する費用について所要の予算を確保する等、当該規定に係る施策の積極的な推進に努めていくという趣旨で設けられたものでございます。
具体的な効果について一、二申し上げてみますと、例えば地方債の配慮規定という規定がございますが、この規定に関連いたしまして、奄美群島振興開発基金の融資業務の融資財源として、鹿児島県が特別転貸債を起こすことができるなどの措置がとられておりますし、また、教育の充実規定に関しましては、公立文教施設整備事業等に係ります予算措置の積極的な確保が図られているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/100
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101・辻第一
○辻(第)委員 私は、ちょうど十年前の奄振法の改正の際にも、学校の校舎の整備、改築の補助金の増額を求めました。現在、奄美には小学校が休校中を含めて百三、中学校が五十九校ありますが、奄美の学校の校舎は復帰直後からの復興事業、振興事業で建設されたものが多く、今それらが改築の時期を迎えています。しかし、対策はなかなか進んでおりません。
名瀬市に伊津部小学校という学校がありますが、その一号校舎は一九六一年から七三年にかけて四回に分けて整備されたものです。一九七三年に建築された三教室を除いて残りの分、八教室程度のようでありますが、ひび割れがひどいなど耐震性が問題だということで、使用中止、立入禁止ということになっているんですね。ほかに四つの校舎もあるんですが、それらにも雨漏りがするとか、ドアとか扉が開閉が難しいとか、ひび割れだとか、いろいろ問題を抱えておるわけでございます。先ほど申しました一号校舎の一部分が使えないために、教室不足で大変不便な状態でございます。こうしたことへの対応に力点を置くべきではないか。文部省にまずお尋ねをいたします。
また、国土庁長官に、今後の振興計画においてはこうした面に力を入れるべきだということでございますが、再度お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/101
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102・伊勢呂裕史
○伊勢呂説明員 お答えいたします。
奄美群島におきます平成十年五月一日現在の昭和三十年代に建築されましたものの保有面積というのは約八万一千平米でございまして、奄美群島の公立小中学校の建物全体の約二五%となっております。これに対しまして、全国の公立小中学校では、昭和三十年代に建築されたものの保有面積というのは、建物全体に占める割合というのは約九%というふうになっております。
しかしながら、奄美群島におきましては、平成元年度以降に新たに整備されました公立小中学校の保有面積というのは約九万五千平米でございまして、奄美群島の公立小中学校の建物全体の約二九%を占めております。全国の公立小中学校の場合ですとこれが一二%でございまして、そういう意味では、奄美群島における学校施設の整備というのは、他の地域に比較しますと、近年進められているのではないかと考えているところでございます。
文部省といたしましては、今後とも、厳しい財政状況のもとではございますけれども、奄美群島内の市町村の計画に支障が生じないように、必要な事業量を確保してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/102
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103・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 先生御指摘のように、もちろんこれからも社会資本整備というのは行ってまいらなければならないと思いますが、特に今後は、人材の育成、それから後継者の対策、先ほど報告がございました、教育施設ですばらしい教育を行う、あるいは現地のサトウキビの価格安定の問題、あるいは大島つむぎがございますが、その技術開発であるとか、そういう流通機構の新しいルートをつくるとか、どういいましょうか、強いて言えばソフト面といいましょうか、人材面といいましょうか、そういうところに比重をまた大きなものにしていくときに来ておると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/103
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104・辻第一
○辻(第)委員 今後の奄美振興を考えるときには、やはりおくれているところを十分引き上げていくということに重点を置くべきだと考えます。
学校で言えば、全国平均よりはるかに低い整備率だと思うのですが、奄美と全国の整備率はどうなのか。そして、このおくれをなくすためには補助金の問題がございます。義務教育の補助金については、奄美に対して補助単価の補正などはありますが、補助率は現在十分の五・五でございます。関係市町村は三分の二に引き上げるよう求めております。文部省の答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/104
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105・伊勢呂裕史
○伊勢呂説明員 整備率のお話でございますが、平成十年五月一日現在の奄美群島の公立小中学校施設の整備状況につきましては、建築後三十年以上経過したものが全体の三五%を占めておりまして、これは全国平均ですと一八%となっております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、平成元年度以降の整備につきましては、奄美群島は二九%、全国平均では一二%ということで、奄美群島においては近年整備が進んでおる状況でございます。
補助金、補助率の話でございますけれども、奄美群島におきます小中学校校舎の改築などにつきましては、毎年度、市町村の計画に支障のないように必要な事業量の確保に努めるとともに、補助単価につきましても、奄美の実情を十分考慮して一般の離島よりも高い単価とするなど、整備が円滑に進められるよう努力しているところでございますし、また、奄美群島の歴史的経緯や実情にかんがみまして、これまで所要の補助率の引き上げ、今十分の五・五と申し上げましたが、それが講じられておりますところでございまして、この法案についてもその継続をお願いしているところでございます。
ただ、現行制度以上に補助金の補助率を引き上げるということになりますと、道路とか港湾、保育所など、他の施設との整合性あるいは国と地方の役割分担の一層の明確化を図る観点から、学校施設についてのみ国庫補助率をさらに引き上げるというのは非常に難しいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/105
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106・辻第一
○辻(第)委員 奄美振興対策事業関係の予算は、一九九八年度当初予算が約四百億、それが補正で追加をされて六百億にもなります。五割増しという大変なことでありまして、奄美の市町村の財政が深刻な事態になっています。名瀬市を初め、多くの自治体の起債制限比率が一五%を超える状況になっています。これが二〇%を超えると、一般単独事業などの起債が制限をされる。一五%という数字は警戒ラインです。瀬戸内町は一九・九%になっています。
このままさらに悪化すると、国の予算がついても事業は行うことができない状況。奄美振興事業については起債充当率が一〇〇%と優遇されているため、自治体はとりあえず一般財源がなくても事業が行えるものの、補助事業に伴う単独事業などもあって、財政悪化に拍車をかける結果になっています。
こうした中で、公共事業ばかりを伸ばすのではなく、奄美における各種の水準を総合的に引き上げるために、その他の分野においても予算的にも補助制度の内容も改善、拡充をされるべきだと考えます。国土庁、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/106
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107・中川浩明
○中川(浩)政府委員 公共事業についてのお尋ねでございますが、奄美群島の振興開発につきましては、これまで国の特別措置に基づきまして、生活基盤、産業基盤の整備等、各種の公共事業を実施することによりまして、着実な社会資本の整備を図ってまいったところでございます。
また、公共事業以外の振興開発事業につきましても、例えばハブ対策であるとか特殊病害虫の防除、観光、農林水産業の振興、島おこし方策等の調査研究など、多方面にわたってその推進を図ってきたところでございまして、相応の成果を上げてきたものと考えております。
今後の奄美群島の振興開発に当たりましても、事業の緊急性等を考慮しながら、真に必要な公共事業について、自然環境等に留意しながら積極的に実施していくべきものと考えておりまして、同時に、そのほかの振興開発事業につきましても一層力を入れて施策を講じてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/107
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108・辻第一
○辻(第)委員 もう時間がないのですが、奄美振興の重要な柱は観光です。交通の問題でお尋ねをいたします。
関西汽船が沖縄航路から撤退をする、エアーニッポンも一部撤退をする、空路の方は琉球エアーコミューターにより運航されるということになりましたが、運賃が二五%増、同時に、空路が維持されてもダイヤの問題もございます。今や航路や空路の維持が問題になっています。東京—沖縄間は片道三万一千五十円、特割なら二万円を切る運賃もあります。一方、奄美大島は三万四千二百八十円で一日一本。鹿児島乗り継ぎだと三万七千五十円で、特割はありません。空路や航路維持のために一定の措置がとられているとはいえ、沖縄の方が安いという実態は、奄美の観光、ビジネスにも大きな重荷になっております。
そういう点で、空路だけのことでお答えいただきたいのですが、空路の路線の安定的維持、運賃引き下げにもう一努力必要ではないか。運輸省にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/108
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109・藤野公孝
○藤野説明員 奄美などの離島の航空路線の維持、確保、活性化につきまして、現行の着陸料の軽減あるいは固定資産税の軽減措置の拡充等、離島路線全般につきます措置をやりますほかに、今般、新たに住民の生活に特に必要な航空路線につきまして、航空機燃料税の減免、軽減措置及び運航費の一部に対する新たな補助金制度の創設というものを盛り込んだところでございます。
今後、これらの支援措置を総合的に適切に活用しまして、関係地方公共団体との連携のもとに、離島航空路線の維持、確保を図ってまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/109
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110・辻第一
○辻(第)委員 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/110
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111・平田米男
○平田委員長 中西績介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/111
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112・中西績介
○中西(績)委員 昨年五月二十九日に、奄美群島振興開発審議会から奄美群島の振興開発について意見具申が出されております。これによりますと、総合的な対策が必要だということを説き、特にまた平成十年三月閣議決定されました新全国総合開発計画、二十一世紀のグランドデザインの中に、沖縄との連携強化によりアジア太平洋地域における新たな位置づけを求め、亜熱帯気候等による特有の環境や我が国南端に位置される地理的特性を十分生かした振興計画を推進する、こういうことを受けて、今、沖縄振興開発計画との均衡を考慮いたしまして振興計画を樹立して、特別の措置を引き続き積極的に講ずるということになっておるようであります。これを受けまして、今回のこの法の有効期限を平成十六年三月三十一日まで五年間延長いたしまして、平成六年の第三次計画を十年に改めることになったと思います。
まず第一点お聞きしたいと思いますのは、四十年を超え、この間目標に対して成果と問題点を総括されておるのかどうか、整理されておるかどうか、この点についてお答えいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/112
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113・中川浩明
○中川(浩)政府委員 お答えを申し上げます。
奄美群島におきましては、昭和二十八年の日本本土復帰以来、復興、振興、振興開発と、四十五年にわたりましてその積極的な振興の諸施策を講じてまいったところでございまして、各般にわたりまして相応の成果が上がっているものと考えております。
しかしながら、奄美群島は、本土から遠く隔絶した外海離島、台風常襲地帯という厳しい自然的、社会的条件下にあるため、その後進性を克服することは大変難しい側面を有しておりまして、本土との間には依然として所得水準を初めとする諸格差が存しており、その上、若年層を中心とする人口の流出なども依然として続いているという実態にございます。
このため、今後、若者の就労の場の確保など、産業の振興を重点とした一層の振興を図る等、引き続き積極的な振興方策の推進が必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/113
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114・中西績介
○中西(績)委員 今お答えいただきましたけれども、四十年にわたって同じようなことがずっと繰り返されてきたのではないかということを、きょう午前中からの討論を聞いておりましても、その点がまだまだ。本当にこの地域をどのようにしていくかという、ここいらにやはり焦点を絞って論議をしていかないと、先ほどからのお答えいただいたところを見ますと、全般的に、生活基盤なりいろいろなものを全部挙げていく、こういう体制のようでありますが。
それでは、もう一つ聞きますけれども、第三次振興計画の目標は、本土との諸格差の是正、自立的発展の基礎条件整備、住民が充実した人生を送ることのできる地域社会の実現を図ることとなっております。特に、この計画の内容につきまして、第三次振興計画におきましては、ソフト施策を加えて、医療の確保、交通の確保、情報通信体系の充実、高齢福祉の増進、教育の充実、地域文化の振興等、国、地方公共団体が配慮する規定を新たに設けたけれども、ここに示されておる、特に、生活中心、先ほどからお答えになっておられる社会基盤、あるいは教育、文化などのこれらの問題について、五年後、来るわけでありますけれども、これらについて大きな前進が図られておるかどうか、この点だけでもお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/114
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115・中川浩明
○中川(浩)政府委員 ただいまお話ございましたように、前回の法律改正におきまして、各般の施策の推進という意味での配慮規定が設けられたところでございます。このそれぞれの配慮規定の設けられた趣旨に沿いまして、関係省庁におきまして、それぞれ必要な予算額を確保する等の積極的な努力をしていただいているものと考えているところでございます。
しかしながら、先回の改正以来まだ五年を経過したにすぎませんということもございまして、生活環境の整備などにつきましては、先ほど数値として申し上げましたごみ処理施設あるいはし尿処理施設処理率などについては依然として大きな格差のあることは実態でございまして、今後ともその格差解消のための積極的な努力が必要であるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/115
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116・中西績介
○中西(績)委員 今お答えいただきましたように、依然として、きょう午前中からも細かく論議されておったようでありますけれども、主要指標一覧というのがございまして、この中でいろいろな概況なり所得・暮らし、産業、交通基盤、社会基盤、教育文化などということが示されまして、それについてのパーセントが、全国あるいは沖縄、鹿児島、小笠原、奄美、こういうところとの対比がずっと出ております。これらを見ましても、私は、このように第三次計画においては従来型でなしにある程度こうした面に力を入れようということでもって、配慮規定まで設けて取り組んできたと言われているわけですけれども、この部分について、果たして、今社会基盤なり教育文化などを挙げてみましても、前回に引き比べて大きく前進したとは思われません。
と申しますのは、本年度予算を見てみましても、特徴ある予算の組み方はしていないんです。十年ですから、十年間におけるこれらの総括なりなんなりをしておるといたしますならば、少なくとも第三次案からさらにこれを延長してやるわけですから、十一年度予算については何か特徴あるように、先ほどからるる言われておるように、この部分についてはどんなことがあっても達成をしようという目標なりなんなりを、組み替えるなりなんなりしてそれを詰めるというための予算措置というのが出てきていなきゃなりませんけれども、観光については二二九%となっていますね。ほかのところではほとんど従来どおりの流れになっておるということになれば、今ここに掲げられておるように、配慮規定まで設けてこの分野を強めていこうという、こうしたことが余り明確に示されておらないという感じがしてなりません。
したがって、こうした点についてもう少しお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/116
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117・中川浩明
○中川(浩)政府委員 今回御提案をいたしております特別措置法の改正が実現しました段階では、現在の奄美群島の振興計画の改定を行うことといたしておりますが、その際には、現状の奄美群島の状況を踏まえながら、新しい観点から今後の振興方策をまとめていくという意味から、昨年の十一月に振興開発の大綱というものを明らかにいたしておりますが、その中には、ただいま先生がおっしゃいましたような、快適で住みよい生活環境の確保であるとか、あるいは産業の振興の中では、農業、水産業に加えて観光の振興などを特に挙げまして、今後の大きな課題として位置づけようとしているところでございます。
予算の面におきましても、このような大綱方針に沿った形で確保していただくように、関係省庁とも協議を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/117
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118・中西績介
○中西(績)委員 これは十年にするわけですから、五年が既に終わって、平成十一年というのはそのまた初年度になってくるわけでありますけれども、そうなってまいりますと、先ほどから私が指摘をするように、四十五年間なり、この間における問題、それは先ほどから大臣もお答えいただいておるように、土木事業中心の、公共事業中心的な、開発という名に隠されていろいろな面での事業が行われてきました。そういう点だけでなしに、やはり生活面を取り入れたということで言われておるわけでありますけれども、そういう点が、本来ならば本年の予算の中ぐらいからある程度出てこなくちゃならぬかったと私は思っているんですね。しかし、それがまた一年おくれになっていく、こういう結果になっておるようでありますが、この点は十分留意をしていただいて、これから本格的に取り組んでいただければと思っています。
それと同時に、もう一つ、審議会が、こうした延長をするに当たっての理由の中に、先ほどもちょっと触れましたように、新全国総合開発計画、二十一世紀グランドデザイン、この内容をこれから具体化していくということになっておるようでありますけれども、成果と問題点が明らかになっておる、そのことが十分踏まえられておらないと、この新全国総合開発計画、この中に奄美群島をどのような位置づけにして今後やっていくかということが出てこないんじゃないかと思うんですね。
ですから、ここいらは、やはりある程度構想と展望というものを、こういう位置づけをしてこれからはやっていくんだということになっていかなくちゃならぬと思うんですけれども、この点についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/118
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119・中川浩明
○中川(浩)政府委員 ただいまお触れになりました奄美群島振興開発審議会からは、昨年の五月二十九日に、「奄美群島の振興開発について」という意見の申し出をいただいております。その中には、閣議決定された新全国総合開発計画において、その特有の自然環境や地理的特性を生かした振興開発を推進する必要があるとされているように、広大な圏域の亜熱帯地域に位置する同群島において、特有の農水産資源、観光資源等を開発及び活用すること等により、その特性に応じた振興開発を推進することが必要であって、これは我が国経済の発展と国民福祉の向上にとって極めて有益である、こういう位置づけ、御意見をいただいているところでございます。
この意見をもとに、先ほどもちょっと触れましたけれども、奄美群島の今後の振興開発の方針を大綱という形でまとめるに当たりましては、特性を生かした産業の振興、群島内外との交流、連携の促進、快適で住みよい生活環境の確保、個性豊かな地域社会の発展、この四項目を大きな柱に位置づけまして、今後、奄美群島の振興を図っていく必要があるものと考えております。多くの事業におきましても、このような基本的な考え方をもとに、各省庁歩調を合わせて積極的な推進を図ってまいりたいと思っております。
もちろん、その裏打ちには予算が必要でございますので、来年度の予算、さらには来々年度以降の予算につきましても、その積極的な確保に努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/119
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120・中西績介
○中西(績)委員 今、大綱に沿って地域の特徴を生かした計画をということを言っておるようでありますけれども、この際、やはり割り切って、ゾーン的に、この地域はこういう点でという、国内全域における位置づけというものはこれからグランドデザインで明らかになってくるわけでしょう。
そのときに、奄美の、あるいは小笠原の、こういうことになっていくだろうと思うんですけれども、例えば、奄美の場合を考えてまいりますと、御存じのように、二十万を超える人口から今十三万五千人。七万人、三三・九%減になっていますね。これを増加させようといったって、今のように高齢者率の高いところ、若い人がいないところでなかなかだろうと思うんです。そして、従来のような工業的なものを、工場誘致というようなことでもってこれを回復しようといったってなかなかだろうと思う。地域的にどうなのかという、成算が成り立つかどうか。第一、航空機だってそうだし、すべてがそういう格好でだめだから、運賃は高いし回数は減るし、なくなっていくという格好になっている。
ですから、そこをどういう位置づけにしたときに、この分については、もう国家が、国がこれだけのものはやはりある程度、その地域の荒廃をなくすということで考えるならば、それをどう補助していくかということになってこざるを得ぬのですよ。そこいら、やはり国民にわかりやすく、さっきから大臣も言われておりますように、透明にこれからは全部やっていくということですから、全部さらけ出して、みんなで討論をして、荒廃させないためにはいかにあるべきかということを中心にするならするということでやってもらわなくては、そういうあれはなかなか出てこない。
特に、私考えますけれども、この地域はすぐれた緑があり、海があり云々ということになるわけでありますけれども、そうなってくると、構成比からすると二二・九%既にある。これは三〇くらいにはなるだろうと思うんですね、高齢者率。そうなってくると、私は、ここが快適で住みよい生活環境を保証することによって、ちょうどヨーロッパの場合、イギリスでも、あるいはドイツでもフランスでも、山にあこがれるというのは、平野ばかりだから、山岳に対しては物すごくそこにみんな押しかけていくという、こういう状況にあるわけでしょう。
そうすると、我々国内にないこうした地域、だから、そこはこのように生活するためには本当に安心して住めるところなんだという、これをやはり明確に皆さんにわかるようにしていくことによって、例えば今本土に来ておる人たちが、今度は高齢になったときには帰ってでもという、そしてそこで安住の地とするような、そういう地域にするんだと割り切れば、また政策はおのずと出てくるんじゃないかというふうな気がするんです。ですから、そういうような大胆なこれから後のあり方というのは、あってほしいと私は思っています。
そうした意味で、先ほどからも出ている教育、文化の、あるいは福祉の、生活環境のという、そして物価等についてもここは高いわけですから、生活するについても、収入が少なくて住むことができません。だから、こういう問題点等を洗いざらい、さっき申し上げるような点から御論議いただければと思っています。これはもう答弁要りません。
最後に、小笠原の問題、一つだけ触れたいと思うんですけれども、確かに、人口増加率一四・四%、高齢者率は八・八%、これは低いですね。ただ、問題は、先ほどから出ているように、所得と暮らしの内容、物価高などなどいろいろ問題があるわけでありますから、ここいらをこれからどのようにしていくかということになってくるんですが、それについてはもう先ほど申し上げましたから触れませんけれども、問題は、この小笠原諸島における目標人口は、平成十年までは二千五百人。三千人という一定の目標があるようでありますけれども、今到達はいたしておりませんね。十年四月一日で二千三百三人。
ということになってまいりますと、今後、この計画の中に、人口増を求めていくのかどうかですね。では、ここは人口増しなくちゃならぬか、なぜしなくちゃならぬかという、そこいらの論議をしておかないと、ただ単にふやすという、こういう格好であってはならぬだろう、私はこう思うんですね。この点はどう考えておられるのか。
ということになってくると、一九四四年の強制疎開、島民約七千五百人おったわけでありますけれども、過去十年間、帰島者は百六十四人。今後、旧島民の帰島促進計画なるものは推進をするのかどうか、ここいらについてちょっとお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/120
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121・中川浩明
○中川(浩)政府委員 小笠原の人口は、ただいま御指摘ございましたように、現在二千三百三人ということで、現在の計画の中でも、平成十年度末の人口の予測として、短期滞在者を含めて約三千人と想定をしているところでございまして、そのうち常住人口は約二千五百人と予定をいたしているところで、若干それには達していない、こういう実態にございます。
今後の目標人口ということでございますが、平成十五年度末につきましても約二千五百人と推計をいたしておりまして、この計画として、人口をふやすという考えではなくて、ある程度、どの程度の人口が常住していくのかということの予測を立てた上で振興計画を立ててまいりたいと考えているところでございます。
次に、旧島民の帰島の問題についてお尋ねがございました。
お触れにもなりましたように、小笠原諸島は強制疎開という過去の歴史を持っておりまして、戦前のピーク時には約七千七百人の人口を数えたところでございますが、そのうち、昭和六十三年度から平成九年度までの旧島民の帰島者は百六十四人にとどまっているところでございます。
その理由といたしましては、本土への引き揚げ後、既に五十年を超える時が経過して、内地での生活基盤が一応確立し、安定した生活を送っていることなどが、旧島民の帰島が順調に進んでいない理由として考えられるところでございます。
旧島民の帰島対策が必要なことは認識をいたしておりまして、帰島に伴う各種の課税の特例措置あるいは生活再建資金の貸し付け、都営住宅への優先的入居などの政策を行っているところでございます。
今後、人口の問題もそうでございますが、空港の整備が一つの大きな転換点になろうかと思いますが、そのほか、振興開発事業の進展に伴いまして、生活環境施設の整備の充実等により、魅力のある島づくりが進んでまいるに従って旧島民の帰島もふえてくることが予想されますので、その促進方も図ってまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/121
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122・中西績介
○中西(績)委員 終わりますが、先ほど申し上げたように、この島民の数についても、それの根拠なり、これから後のあり方等で、これだけのものはということを出していかないとだめだと思うのですね。したがって、先ほどから申し上げるように、全国総合開発計画の中におけるこれら総合的なものをどのようにして位置づけし、そしてこの分については、きょうの論議の過程の中にあったように、もうこの程度でやっていくというなら割り切って、そして、それをただ抑えるということでなくて、島民なり我々はみんな認める、こういう体制をつくっていただかなくてはならぬのではないか、こう思っておりますので、その点は答弁は要りませんけれども、よろしくお願いを申し上げて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/122
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123・平田米男
○平田委員長 園田修光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/123
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124・園田修光
○園田(修)委員 まず最初に、委員長初め委員の皆さんに、本当に感謝を申し上げます。質問の時間を与えていただいて、私自身、午前中の質問からずっと部屋でビデオを撮っております。奄美の十三万五千の島民にきょうのこの委員会の模様を見せて、皆さん本当に涙が出る思いだろうと私は思って聞いておりました。まさに奄美のことを真剣に考えてくださり、小笠原のことを真剣に論議をしてくださる姿に、本当に心から感謝を申し上げます。
実は、皆さんに奄美を視察していただきたい。ぜひともこれはお願いしたいことであります。それと同時に、奄美というのがちょうど本土と沖縄の真ん中をずっと走っているのですよ、南西諸島の、本土と沖縄の真ん中に。そして、先ほど来から特定地域の立法、時限立法をという話もございました。まさに四十五年を過ぎようとしているわけであります。
その結果が出ているのかと言われますけれども、まさにたくさんの費用をいただいて、莫大なお金を使っていただいて、人口流出も、十三万五千にとどまったのではなかろうかという意見の方が多いのです、奄美では。これが、たくさんのお金をかけただけないじゃないかと言われる人は、島外の人たちは多いでしょうけれども、ただ、あれだけのお金をつぎ込んだから今の奄美の人口があれだけにおさまったのだよと。産業も、つむぎもだめ、サトウキビもだめになったけれども、それでも頑張ってその奄美の島に残って生活をしようという方々、これは、あれだけ社会資本の整備をしっかりとやっていただいたおかげでもあろうかと私は思っております。
そして、時限立法のお話がありました。まさに、きょうこういう国会の場で奄美のことについて審議をしていただける。本当なら、本土と沖縄のはざまで全くだれも議論もしない、だれからも忘れ去られるような地域なんですよ。今、沖縄の方は、基地問題、そしていろいろな形で沖縄の振興策というのが国会全体で議論になる。しかしながら、そのはざまにある奄美なんというのは、五年ごとの時限立法があって初めて議論されて、きょうおられる国会議員の皆さんも、ああ、奄美というところがあるのだな、その声だけでも私は地元の議員としては大変ありがたいことだと思っているところであります。
ですから、この時限立法、きょうは延長の問題でありますけれども、まさに今我々が一番奄美で心配をしているのは、本土と沖縄のはざまに挟まって、このままでは沈没していくのじゃないかという心配をしております。
先ほど来から、各先生方から奄美と沖縄の補助率のことを言われました。まさにこれは、国家的な議論の中で沖縄は話されますけれども、しかしながら、奄美はそういうわけにはいかない。もちろん、復帰も沖縄より十九年さきなんです。しかしながら、整備率あるいは補助率を見てみても、もう格段に差があるわけですね。また、今度のSACOの現状を見てみると、それ以上に差がある。
今、委員の皆さんが自立して産業を起こしなさいよと言っても、我々は恵まれた自然を持っていますから観光に一生懸命やろうと思ったやさきに、飛行機が通らなくなる。今の国の施策の中で、国際化はいいです。国際化によって規制緩和がなされて官から民へ、そしてその形の中で民間企業としては、もう営利企業であります、市場原理の中では、我々の地域は必ず落とされていく地域なんです。ですから、それはやはり国家国民が、みんなが、日本国である以上はナショナルミニマムという形で守っていただく方策というのも、これは私の奄美だけじゃなくて、小笠原も離島もそうでありますけれども、まさにそういう観点で物事を考えていただかなければ、これからやっていけない。
そしてまた、たくさんの投下をしていただきますけれども、奄美がどれぐらいになったらもうこれをやめますよということは、奄美も一生懸命、ウサギとカメじゃないですけれども、ゆっくりゆっくり前に向けて、ウサギに向けて走っているのですよ。走っているけれども、本土はまた跳び越えていっちゃうのです。だから、格差はだんだん縮まってはいかないです、一向に。どこまで行ったら本土並みになるのか。どの地域で数値を目標にしてこの時限立法を切るのかという議論は、まだ私は早い議論だろうと思っております。
一つだけ、この規制緩和の、航空機の空路そして航路の問題、これも先ほど私はお話をしました。そして、一つだけ残念なことがあります。
これは、沖縄の国庫補助率との問題で、私は、最低限生活に必要な部類、上水下水、この上水の面で、今奄美のちょうど永良部地域、与論島というところがあります。この南部三島というのは、永良部、与論そして徳之島というのは、同じ隆起サンゴ礁の上に乗っかった島なんです。ですから、上水、水を飲もうとしてもどこからも、蓄えられるところがない。ですから、淡水化事業なんです。海水を淡水化する事業なんです。そして、沖縄の離島はもうやっているのですよ。沖縄の離島は、これは済んでいる。
しかしながら、今度与論を初めとしてやるわけでありますけれども、与論の国庫補助率、水を飲むことに対して、生活に最低限度の水を飲むことに対して、沖縄県にある島と鹿児島県にある島とはまさしく補助率が違う。同じ気象条件の中、同じ環境の中で、隆起サンゴ礁の上に立った、どっちも淡水化事業をしなければならない、同じ自然条件ですよね。ただ、それが鹿児島県にあるから、沖縄県にあるからで補助率が大分違ってくる。そういうものはやはり是正をしてもらわなきゃいけない。
そういう形のものを、沖縄との比較で先ほどからたくさんの先生がされておられますから、まさにやはり奄美もしっかりと守っていただくようにお願いを申し上げたい。このことについて最後に大臣から答弁をいただいて、私の皆さんへの御礼にかえさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/124
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125・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 総括締めくくりというごあいさつがございましたが、ちょっと三分ぐらい時間をいただいて、今日までのこの政界のことも含めて、ちょっと自分の感じておりますことを述べさせていただきたいと思うのでございます。
今御質問いただいた中西先生と私は同期でございまして、昭和五十一年に初めて国会へ来たメンバーでございまして、その後八回当選という経歴の者なんですけれども、我々が出てまいりました当初は、委員会の質疑の内容も、きょうのようなぎりぎりの、この時限立法というのはいつまでも、四十年もやっていっておかしいではないかというようなことは出ませんでした。
そしてまた、我が国土庁の局長をどうこう言うわけではないんですが、本土並みの水準になんということを堂々と言うわけですが、それは今から十何年前なら言えますけれども、現代ではそんなことはやはり無理だと思います。今園田先生がおっしゃったように、奄美が進めばまた本土はもっと進むわけですから、本土並みのものになるなんということはあり得ない、あり得ないと言うと失礼ですが、無理な話なんですから。目標をきちっと決めないと、いつまでにやるとかあるいは何%成長するとか、そういうものを決めてやっていかなければ、この時限立法というものは、私は、いつまでもだらだらと続いていかざるを得ないと思うわけでございまして、もうそういうようなことははっきりと言う時代だろうと思うわけでございまして、そういう時代になったからいずれ政府委員がいなくなるんだろうと思うのでございますが、それは別で、余分なことでございましたが。
それはそれといたしまして、やはり我々政治家の主導で、もう先生の今の地元の切々たる御意見、本当に私は胸にしみ込みまして、なお一層努力をしていきたいと思っております。そして、こういう文章が後ほどの附帯決議にも入っておるわけでございまして、「沖縄との均衡を考慮しつつ、」ときちっとなっておりますから、これは、先生の御意思は肝に銘じて対処していくことができると思っております。
ですから、これからは本当にお互いがオープンで、政治家と政治家が思っておることを吐露して、お互いが行き過ぎた表現になるところもあるかもしれません。ですから、きょうビデオをお持ちになられるということでございますが、私は、別に時限立法は早く切れという意味で言っておるわけではないのでございますから。やはり一つの目標の期限は決めなければ、いつまでもだらだらとやるわけにはいかないということでございます。ということは、それだけ国が責任を持つということ、地元の方もまた協力をしていただくということだろうと思うわけでございまして、きょうの委員会の討論が空論にならないように、ただ話した、聞いたというだけには終わらないように、必ず実現をさすことをお誓いいたしまして、総括といたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/125
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126・平田米男
○平田委員長 もう時間ですので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/126
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127・園田修光
○園田(修)委員 今、大変ありがたいことであります。みんなが奄美のことを本当に真剣に考えていただいて、本当にありがたく思います。
ぜひ委員会で視察をしていただいて、奄美の現状を見ていただくことがやはり議論にもつながることであろうかと思っておりますから、ぜひ委員長、よろしくお願いを申し上げます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/127
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128・平田米男
○平田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/128
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129・平田米男
○平田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/129
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130・平田米男
○平田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/130
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131・平田米男
○平田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、佐田玄一郎君外五名より、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。鉢呂吉雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/131
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132・鉢呂吉雄
○鉢呂委員 ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一 奄美群島振興開発計画の改定及び小笠原諸島振興開発計画の策定に当たっては地元市町村の意向を十分に尊重するとともに、その計画の進捗状況を把握し、本法有効期限以降の制度及び各種施策のあり方について検討を行うこと。
二 振興開発事業については、沖縄との均衡を考慮しつつ、補助率、補助採択基準等について十分な配慮をすること。また、事業の効率的展開に資するよう当該自治体の基盤強化を図ること。
三 奄美群島の特性に即した産業の振興を図るため、大島紬等地場産業の育成に努めるとともに、農林水産業、観光・リゾート産業等の開発・推進及び流通の改善に資するよう農業基盤、交通基盤等の整備に特段の配慮をすること。また、奄美群島振興開発基金については、出資業務のあり方の検討を含め、基金の業務の効率化を図るとともに、その充実強化に努めること。
四 小笠原諸島における産業の振興を図るため、交通施設、農漁業施設、観光施設等の整備に特段の配慮をすること。また、空港整備構想の推進を図るため諸課題の解決に努めるとともに、あわせて自然環境の保全にも十分留意すること。
以上でございます。
委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/132
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133・平田米男
○平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/133
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134・平田米男
○平田委員長 起立総員。よって、佐田玄一郎君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、関谷国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。国土庁長官関谷勝嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/134
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135・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 大変充実した御討議をいただきまして、どうもありがとうございました。
奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。
本委員会におきます御審議やただいまの附帯決議において提起されました今後の施策のあり方、奄美群島振興開発基金の業務の効率化、自然環境への配慮等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして法の運営を図ってまいりたいと考えております。
ここに本法律案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
ありがとうございました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/135
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136・平田米男
○平田委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたく存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶものあり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/136
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137・平田米男
○平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/137
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138・平田米男
○平田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00419990303/138
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