1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月十日(火曜日)
午前十時三十九分開会
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出席者は左の通り
理事
勝俣 稔君
柴田 栄君
木下 友敬君
常岡 一郎君
委員
草葉 隆圓君
有馬 英二君
紅露 みつ君
斎藤 昇君
谷口弥三郎君
西田 信一君
横山 フク君
片岡 文重君
藤田藤太郎君
山下 義信君
竹中 恒夫君
衆議院議員
海外同胞引揚及
び遺家族援護に
関する調査特別
委員長 田口長治郎君
山下 春江君
北條 秀一君
国務大臣
厚 生 大 臣 坂田 道太君
政府委員
厚生大臣官房長 森本 潔君
厚生大臣官房会
計課長 山本 正淑君
厚生省公衆衛生
課長 尾村 偉久君
厚生省医務局長 小澤 龍君
厚生省薬務局長 高田 正巳君
厚生省児童局長 高田 浩運君
厚生省引揚援護
局長 河野 鎭雄君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○未帰還者に関する特別措置法案(衆
議院提出)
○社会福祉事業法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/0
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001・木下友敬
○理事(木下友敬君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
未帰還者に関する特別措置法案を議題といたします。提案理由の説明を願います。衆議院海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員長田口長治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/1
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002・田口長治郎
○衆議院議員(田口長治郎君) ただいま議題となりました未帰還者に関する特別措置法策につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
終戦後、すでに十四年を経過する今日、なお三万三千余名に上る未帰還者があり、しかもその大部分が、現在も生存しているという期待の持てない者ではないかと推測されながらも、依然としてそれらの消息を明らかにし得ない状況にありますことは、ただにそれら関係留守家族の方々のみならず、国民のひとしく痛恨にたえないところであります。
このような未帰還者の調査究明及び帰還の促進については、従来から政府、柳委員会会民間一体となって努力して参りましたが、未帰還者の大部分が、終戦前後の混乱期にその消息を断った者であることを考えますと、いかに調査を徹底的に行いましても、なお状況を明らかにすることのできない者も多いのではないかと思われるのであります。
国会においても、従来からしばしばその問題について調査、検討を進めて参ったのでありますが、結論として、このような未帰還者に関しましては、最終的戸籍処理を、国が、裁判手続によって行うことが妥当であると考えられ、また、留守家族の希望に沿うことでもあると思われますので、この際、国が所要の手続を講じ、その結果死亡したものとみなされる者の遺族には、できる限りの援護がなさるべきであると考え、この法案を提出することとした次第であります。
以下、この法案の概要について御説明いたしたいと存じます。
まず第一に、厚生大臣は、調査の結果に基いて未帰還者が終戦直後の混乱期及びこれに引き続く時期において死亡したのではないかと思われる者であると認める場合には、民法第三十条の宣告の請求を行い得ることとしたことであります。なお、この請求をする場合には、厚生大臣は、留守家族の意向を尊重して行わなければならないことにし、また、この厚生大臣の請求に基く民法第三十条の宣告を、この法案では戦時死亡宣告と呼ぶこととしております。
第二に、未帰還者が戦時死亡宣告を受けたときは、その遺族に対し、弔慰料を支給することとし、その額は三万円、ただし、その未帰還者に関し、恩給法による公務扶助料、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金、遺族給与金等を受ける権利を取得した者に対しては三万円としたことであります。
第三に、終戦前後の混乱期及びこれに引き続く時期において死亡したのではないかと思われる未帰還者が戦時死亡宣告を受けたときは、恩給法及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の適用については原則として公務によって死亡したものとみなしてそれぞれの法律の三万円としたのでございます。ただ、しかし、恩給法による公務扶助料とか、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金や遺族給与金などを受ける者に対しましては、それぞれ五万円の弔慰金または三万円の特別弔慰金などが支給されることでもありますので、これらの場合については、弔慰料は二万円でごしんぼうを願うことにいたしたのであります。
第七条は、同順位の遺族が数人ある場合、また、第八条は弔慰料の支給を受ける権利を有する者が死亡した場合などはどうするかを規定しております。
第九条は、一たん支給いたしました弔慰料は、その後、たとえば御本人が生きていられることがわかって、戦時死亡宣告が取り消しが行われた場合におきましても、返還しないことができるようにしようというのであります。
第十条は、時効の規定でありまして、第三条第二、項に規定してありまするように、弔慰料は遺族の請求によって行うことになりますので、三年間請求をしない場合は権利は消滅することになるのであります。
また、譲渡の禁止や免税等について第十一条及び第十二条にそれぞれ規定いたしました。
次に第十三条は、少し込み入っておりますが、要するに、未帰還者が戦時死亡宣告を受けたときは、もしその者が、恩給法もしくは戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用を受ける者である場合は、原則として公務によって死亡したものとみなして、それぞれの法律の規定による処遇を与えようというのであります。
なお、第四欄には、便宜上死亡したものとみなす日をそれぞれ規定しておりますが、それは戦傷病者戦没者遺族等援護法あるいは改正恩給法を最初から適用することを明らかにしたものでありまして、審判によって死亡したものとみなされる人は違うことを御承知おきを願いたいのであります。
また、本法は、生死の分明でないものについて適用されるものであります関係から、その後、その者の状況が分明になった場合等についても規定しておくこととしたのであります。
第十四条は、実施機関を都道府県知事にすることについて、また、沖縄地域についても適用するために第十五条を設け、第十六条には、厚生省令への委任を規定いたしました。
最後に、附則において、本法の施行期日を本年四月一日からと定め、また、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正して、さらに本年八月一日から三年引き続いて留守家族手当を支給し得ることとし、また、戦時死亡宣告を受けた一般邦人に対しては本法による三万円の弔慰料のほか、遺族給付金を支給するよう、引揚者給付金等支給法の一部を改正する等の処置をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/2
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003・木下友敬
○理事(木下友敬君) 御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/3
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004・山下義信
○山下義信君 この法案は、多年の懸案でありましたものを衆議院の方で両党が御心配いただいて共同提案していただいたわけですが、いろいろ御心配にあずかったことに対しまして厚く感謝いたします。
まだ実は詳細に拝見していないのでありますが、御提案の理由を今承わって、また、山下委員の詳細な御説明を承わったのでありますが、こういう感じがするのでありますが、その点はどうなっておりましょうか。大体、戦時死亡宣告の手続をされた方々の立場を非常に尊重されまして、できるだけ丁重なお取扱いをしようという御趣旨、それでそのお取扱いの御趣旨はいわば、具体的に言えば、公務死亡の取扱いをしようということ、こういう御趣旨のように拝承するのであります。従いまして、それに関連の諸規定がそれぞれなされてある。ただ、まだ私がつまびらかにいたしませんのは、せっかく戦時死亡宣告を受けた方々の扱い方を公務死亡の格でお取扱いなさろうという御趣旨でありながら、そこに若干の差等をお設けになりました、たとえば弔慰金のごときも、その表現も弔慰料というような表現をお用いになる。扶助料は別といたしまして、弔慰金のごとき性格のもので、しかも公的に支給されるもので弔慰料というような名目は、私の記憶では他になかったように思うわけであります。なぜ弔慰金となさらずに弔慰料というような名目になされたのか、その御趣旨が、その御意味が察しかねるのであります。また、せっかく丁重にお取扱いになろう、すなわち、公務死亡の格でお扱いになろうとして、戦傷病者遺家族の弔慰金に準じて三万円という額を定めになりながら、なおまた、そのお扱いをいたしかねるような一階段を設けて、二万円というような差額をどうしてお設けになりましたのかということが了解しかねるのであります。三万円という弔慰金は、軍人の場合の五万円の弔慰金に比して差額をつけたときにすらも議論があったのでありまして本来弔慰金というような性格のものは差額をつけることは非常に不合理なんであります。恩給の金額とかあるいは扶助料の金額等、もとの所得を基準にして算定をいたしますような性格のものは差額があるのが当然でありまするが、弔慰金というがごとき性格のものは、階級を問わず、もとの所得を問わず、すべて一律に支給されるのがこれが合理的であると私は考えるのであります。従いまして、戦傷病者遺家族援護法等において三万円の弔慰金という差額を設けましたときも、お互いに論争いたしましたときは、差額を設けるべきではないが、当時財源の都合でがまんをいたしたのであって軍人よりは準軍属が一段下である、準軍属よりはこの留守家族援護法で今回処置された戦時死亡宣告者が一段下であるという、かくのごとき死者の取扱いに差等を設けて、弔慰に差等があるということはきわめて不合理な話でありまして、こういう際にこそ是正に努力を賜わるべきであると思う。従って、この弔慰金は私どもから申し上げるならば、今日ここに立って弔慰金を差し上げるということを考えても、五万円といたしましてもなお多しとしない。何を遠慮なされて三万円となされたか。ことに一般的に公務死亡の扱いをしてやろうといいながら、その中で、またそれから一段と落ちるものを、扱い方の下るものを作って二万円というがごとき、はなはだ国としては、俗言で申しますれば、しみったれたような取扱いをなされる、みみっちいお計らいをなされたということは、せっかく国として、国家としてこういう処理をなされ、ことに他院の方で熱心に両党が御尽力下すったのに、金額の点でまことにせっかくのおぼしめしがきわめて消極的なように見えるのでありますが、もうお定めになりましたことでございますからかれこれ申すのではございまんが、拝承いたしましてきわめて遺憾な感じがいたしますので、伺う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/4
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005・山下春江
○衆議院議員(山下春江君) 山下委員の仰せの点につきまして、私どもが考えておりますのは、弔慰金はすでに法で定めておりますので、今回の処置によりまして公務死亡と審判を受けたのは当然その法に基く、五万円の弔慰金をもらえるのでありまして、そうしてしかも、その五万円の弔慰金をお受け取りになる方の中には、生計依存規定等がございまして、今日まで留守家族手当ももらわない、あるいは何の手当ももらわないという遺族もあったのでございますが、その方は、今回宣告を受けられますと、すみやかな機会に、それぞれの期限にさかのぼって、まとめて恩給を受け取られることになるのであります。それから軍属の方々、特別弔慰金三万円をおもらいになる方も、そのような処遇が受けられるわけでございます。そこで、しみったれたと仰せられればその通りでございますが、とにかくそういうような処遇が、この際受けられるお方々に対しては、まことにお気の毒でございまして、長い間お気の毒でございましたという一種の弔慰の意を表するお金は二万円でごしんぼう願って、そのほかに、一般邦人という、留守家族手当ももらっていなかった、それから今度この審判が決定いたしましても何ら処遇のワクにはまらないという方もおられるのでございます。そのお方々に対しては、あとう限りのお慰めをいたしたいという気持で、自民党、社会党共同して非常な努力を重ねて参ったのでありますが、衆議院の引揚委員会におきまして、この一般邦人を処遇するのには、お慰め金を三万円ぐらい上げることにしようではないかということをかねがね決議いたしたことが二回もございますので、かつて、政府提案の場合に、これはひとしく二万円になっておりましたが、私どもはそういうことともにらみ合せて、いかにもこれで最後になるお方々に対して同額ということは忍びないと思いまして、努力を重ねまして、これで打ち切りになられる一般邦人の方々に対して、三万円という差等をむしろどうかしてつけたいと思って努力して実はつけましたことで、法的に今のような御疑問がおありになることもよくわかりますが、私どもは、それ以上に、これでもう留守家族のメンバーから離れておしまいになる方々に対して、あとう限りのあたたかいお慰めをいたしたいというので差等がつきましたのでございまして、私どもといたしましては、むしろこの差等をできるだけ大幅につけたいと思ったのが二万円と三万円ということになったような次第でございます。その点一つ御賢察を賜わりたいと思いますが、なお、私の申し上げることで足らざる点は、社会党の北條さんからも補足さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/5
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006・山下義信
○山下義信君 そうすると、宣告を受けると予想される者が約五千件ぐらいと御説明がございましたが、五千件の中に、恩給法の適用を受ける者、援護法の適用を受ける者いずれの法律の通用も受けられない、つまり、言うと弔慰料三万円を受けるという者の、およその推定はあるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/6
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007・山下春江
○衆議院議員(山下春江君) 所要の手続を経なければなりませんので、ここで明確な数字は申し上げられませんが、大体推定いたすところでは、半分半分くらいではないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/7
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008・山下義信
○山下義信君 私の遺憾に思いまする点はやはり依然として残るのでありまして、御趣旨を承わりまして了とする面もありますが、やはり私の遺憾と思います点もやはり残るのでありまして、言葉をかえて申しますというと、七万円の弔慰金並びに弔慰料を受くる者、五万円の弔慰金並びに弔慰料を受くる者、ただ三万円の弔慰料で済まされてしまう者、こういうふうにだんだん格差が広がってくるのでございますね。それがしかも、この法律の適用を受けようとする者の半数に及ぶということになりますると、はなはだお取り扱いが不十分なような感じが依然として残るのであります。私が最初に申し上げました軍人の弔慰金、準軍属の弔慰金、同じような扱いにしたらどうかということを伺ったのでありましたが、それと同じ感じの点も依然として残る。三万円と二万円という御苦心の点がありましても、いずれの法律の適用も受けない対象者というものは、やはりそこに非常な差がつけられてある。これは、ただ、国としては、何らの扱いをしない、ただ今ごろ死んだという認定をするなら、気の毒だといってつかみ金を三万円くれるというだけのことなんだ。恩給の適用を受ける者、援護法の通年を受ける君と比較すると、多々ますますその取扱いの開きが生じてくる。せっかく法律をお作りになりますのですから、この法律自体が援護法と同格の法律である、この法律自体が恩給法とほとんど同格のような法律をお作りになれば、恩給法の適用を受けざる者、援護法の適用を受けざる者の特別法によって、何も戦時災害に該当しなくても、何も戦時中の死亡に該当しなくても、そういうきびしい条件でなくても、すべて今日戦時死亡宣告を受くる者は軍人並びに準軍属に準ずる扱いをこの法律でおとりになれば、私は、国のあたたかい気持が十分通ずるのではなかったろうかという気持がする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/8
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009・山下春江
○衆議院議員(山下春江君) 私、先ほど逐条で申し上げましたので落しましたのでございますが今の三万円を差し上げるケースに対しましては、引揚者給付金の法律を改正いたしまして、その三万円をお受けになる一般邦人には遺族給付金を二万八千円を五カ年間差し上げるというふうに、給付金の方の法律を同時に直すことにいたしました。……ちょっと今のところで五カ年関は間違いました。二万八千円を別に差し上げる。遺族援護法及び恩給法の恩典を受ける方にはそれは差し上げないのでございますが、三万円で打ち切られる方には、給付金を二万八千円を併給いたしまして、五万八千円を差し上げるように関係法律をこの際この法律で修正をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/9
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010・山下義信
○山下義信君 援護局長、事務的に一つ説明して下さい。三万円の弔慰料を受くる者と、二万円の弔慰料を受くる者と、恩給法、援護法の適用を受くる者、もう一度まとめて事務的な説明をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/10
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011・河野鎭雄
○政府委員(河野鎭雄君) 戦時死亡宣告を受けました場合の弔慰金との関係でございますが、遺族援護法に定めます五万円ないし三万円の弔慰金は一律に出ることになっております。遺族援護法に該当しない方につきましては、引揚者給付金の法律で二万八千円の遺族給付金が出ることになる。そのほかに、長年不明確な状態に置かれ、最後の段階において不明確のまま最終的な処理を行わなければならないような状態に置かれた方々でございます。そのほかに、特に弔慰の意を表するということで弔慰料をプラスして出すようにいたしているというのがただいま御提案になっております趣旨と承知いたしておるわけでございます。それによりまして、今申し上げました弔慰金あるいは遺族給付金のほかにプラスいたしまして、軍人軍属等につきましては三万円、一般邦人につきましては三万円という弔慰料がプラスされて支給される、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/11
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012・山下義信
○山下義信君 私は法律を見ないで大体を伺っておる。その方が腹に入りやすい。法律を読むとわからなくなる。それで伺うのですが、従って、引揚者の給付金の法律のことも記憶があいまいですから、今の御説明でだいぶわかったのですが、そうすると、この第六条で三万円の弔慰料を受くる人、これは恩給法も援護法も適用を受けたい。三万円ずっと給与される。その方は恩給や援護法によるものは受けませんが、引揚者の給付金の法律で死亡弔慰金二万八千円、それを受けるのですが、そうすそと合せて五万八千円になる。その点はわかりました。そうすると、遺家族援護法の適用を受ける者は幾ら弔慰金をもらうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/12
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013・河野鎭雄
○政府委員(河野鎭雄君) 遺家族援護法の関係はございません。遺家族援護法でどういう処遇をされるかによって弔慰金の方が、あるいは弔慰料の方が変るということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/13
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014・山下義信
○山下義信君 もう一度繰り返して説明して下さい。遺家族援護法の適用を、受ける者は弔慰金の関係はないのですか。そうすると、その引揚者給付金の弔慰金の関係はどうなんですか。結局この二万円を受くる人の弔慰金の関係はどれとどれとをもらうのですか。この二万円だけですか。引揚者援護法の関係がない。あの弔慰金は関係がないということになると、あの三万円はないのですね。その辺の、二万円を受くる人の弔慰金の関係はどれとどれがもらうのですかということをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/14
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015・河野鎭雄
○政府委員(河野鎭雄君) 遺族援護法とほかとの関係が出て参りますのは、恩給法に基く公務扶助料、あるいは遺族援護法に基きます遺族年金、こういったものとの調整の問題だけが出て参るわけでございます。弔慰金、弔慰料、遺族給付金、これは遺族援護法、留守家族援護法でどういう処遇を受けておったかということとは一切無関係になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/15
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016・山下義信
○山下義信君 だいぶわかりましたが、まだ少しわかりません。あの弔慰金の関係だけ言ってみて下さい。三万円の弔慰料を受くる者は他の弔慰金との関係は先ほどの御説明でわかった。二万円の弔慰料を受くる者の他の弔慰金との関係は、他に受くべき弔慰金があるかないかということをおっしゃってもらえばわかるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/16
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017・河野鎭雄
○政府委員(河野鎭雄君) 二万円の弔慰料を受けます者は、恩給法に基く公務扶助料、それから遺族援護法に基きます遺族給与金を受けるような方々、こういう方々でございますので、具体的に申し上げますと、軍人、軍属でございますと、五万円の弔慰金と二万円の弔慰料が出るわけでございます。準軍国につきましては三万円の弔慰金と二万円の弔慰料、それからそのほかの方々につきましては三万円の弔慰料に二万八千円の遺族給与金、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/17
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018・山下義信
○山下義信君 わかりました。やはり私のお尋ねした通りなんです。ですから、軍人の場合は七万円の弔慰金並びに弔慰料となり、準軍属の場合には五万円の弔慰金並びに弔慰料となり、そうでない者には三万円の弔慰料と、それから先般お作りになりました引揚者給付金等の法律によりまして、合計五万八千円の弔慰金並びに弔慰料ということになり、そこになお若干の差額、ことに五万円と五万八千円、八千円の差額がつくということが説明がつきかねるような気がするのです。これは自然にそういう差額が、今の引揚者給付金の方が二万八千円になっている。だからこうなったのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/18
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019・北條秀一
○衆議院議員(北條秀一君) 私の山下委員の御質問に対する説明も、山下委員及びその他の委員の皆さんの十分な御了承を得ることができないかと考えます。しかし、これはありていに申しますと、山下委員の言われるように、そういった基本方針のもとにすべてのものを処理すべきが当然であると思うのでありますが、しかし、現在の何と言いますか、政治組織と言いますか、そういうものからして、どうしても理想的にものが運べないというところに私は永久に解決できない問題が残ってくると思うのであります。そこで、今お話しになりましたように、弔慰料三万円に、一般邦人の場合は、さきに成立いたしました引揚者給付金等支給法に基きましてこれは御承知のように、十八才未満は七千円、十八才以上は一万五千円、三十才以上は二万円、五十才以上は二万八千円、こういう給付金が支給されるわけでありますが、そこで、今回、こういったきわめてお気の毒な人たちに対して、この法律に基いて弔慰料を差し上げようというふうに考えて措置をしようとしておられるわけでありますが、基本的には弔慰料に撃ちいたしまして、通信調査をいたしておるわけでございます。昨年まで、二十五年以降府県を合せまして約三百万件ぐらいの通信調査をいたしておる。それから次の段階といたしましては、通信だけではなかなか十分聴取ができないというふうに思われますので、特に資料を持っておられるというふうに思われます方々においでをいただきまして、いろいろお伺いをしておるわけでございます。その場合には、個々においでいただく場合と、十人または数十人一緒においでいただいていろいろ話を伺うというふうな方法をあわせてとっておりますが、これも累計といたしまして約二十万人あまりに上っておるわけでございます。それからなかなかおいでいただけない方もございます。そういった方々につきましては、こちらからお宅等に出向いていろいろ事情を伺うというふうな措置をとっております。この件数が今まで約五万件ございます。大体そういったような調査をいたしまして、国内の調査をやっておるわけでございます。そのほかに、海外につきましてもいろいろ努力して参っておるわけでございます。幸いソ連関係におきましては、例の共同宣言におきまして、調査に協力をするというふうな事項が入っております。まあそういったようなこともございますので、ソ連に駐在しております大使館にこちらからも係官を派遣してございます。そういった機関を通じまして、向うの情報を極力集めるように努力をいたしておるわけであります。ただ、テンポからいいまして、なかなか思うようにいかない点は遺憾の点があるわけでありますが、ソ連側も努力してくれておるということは確かに認められるところでございます。中共地区につきましては、御承知のような国交関係になっておりますので、なかなか思うように資料が得られません。日赤等を通じまして安否照会をしておりますが、これにつきましても若干の回答は来ておりますが、量的にいいますとあまり多くはないようであります。今後さらに努力をしなければならぬと、こういうふうに考えておるわけであります。
それからさらに南方諸地域につきましては、大体在外公館もございますので、これらを通じまして従来も極力調査をさせておるわけであります。
また、こういったような法律を作らなければならないというふうな段階にかんがみまして、昨年設置されました国内の閣僚懇談会におきましても、いろいろ御検討いただきまして、こういった特別の措置をとるということであるなら、前提としてできるだけの手を打つべきではないかというふうなことで、昨年秋以来、特別調査を実施いたしておるわけであります。これも対外的な調査、対内的な調査と両方あるわけでありますが、国内調査につきましては、特に北方におきます北方と申しますか、ソ連、中共地区を重点といたしまして、できるだけ広く今までの漏れを防ぐというふうな角度から、できるだけ網を広く広げて、ほとんど未帰還者全員を対象といたしました調査をしたいということで、ただいま実施中でございます。まだその結果を得られないのでございますが、まあ一応年度内ぐらいに一応の集計をしてみたいというふうに考えているわけであります。と同時に、また対外的につきましても、たとえばソ連地区につきましては、住所の判明しております生存未帰還者がかなりございます。こういった人たちを対象といたしまして、ソ連大使館から直接通信をいたしまして、御本人の状況及びそれ以外に知れている状況を、極力教えていただくようにというふうなことをいたしております。まあ中共地区につきましては、赤十字から向うの紅十字会に対して同様の照会をとってもらいたいというふうな申し入れをしておるわけであります。さらに南方につきましては、在外公館を通じまして、こちらでリストを外務省に差し上げまして、これをもととして、さらにできるだけ調査をしてもらいたいということでお願いをいたしておりまして、外務省でも極力努力いただいてお願いいたしておるような次第であります。
以上のような方法によりまして、今後もさらに努力をしていきたいと思うわけであります。今回の法律ができたからといって、未帰還者調査を中止するというふうな考えをいたしておるわけではございません。特に留守家族の手当の延長の措置もとられておるわけでございますから、今後もさらに未帰還者調査の徹底に努力をして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/19
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020・山下義信
○山下義信君 法案と説明書の原稿が御配付になっただけで、適当な参考資料もありませんので、ことに、ただいま私がお尋ねしました、政府が、この生存者の安否究明にどれだけの努力をして、どういう成果が上ったかという最近のデータを、一つ資料として御提出を願いたい。私は、この法律案は、今次戦役の最終のこれは始末をつける法律案でありまして、考えるというと、非常に感銘の深いものがある。お互いにこの法律案の審議は、誠意を尽して厳粛に取り扱うべきものであると私は思う。できるだけの入念な取扱いをしなくちゃならぬ。時間を入念というのでなくして、いろいろなお互いの心づかいをこの法案の中に込めなきゃならぬ。それで、今のような政府の安否の究明調査が、どのような方法で行われてどのような成果を上げられたか。今の援護局長の御説明は、大体の建前を大略お話しになった。具体的な数字をあげて、資料としてお出しを願いたい。昨年の年末に行われた国内調査、私は、その労を多とします。この政府の資料をもって各府県ごとに調査をせられたその結果、死亡確認が、正当にその消息のわかった者が、あるいは数百件わかったのではないかと思うが、そういうものも数字的な資料をもって、最近こういう調査をしたらこういう結果が出たということは、資料としてお出しを願いたい。ことに、今お話しになりました中共関係が、大部分その中共関係の調査は、ここ数年来何にも成果が上っていない。何にも具体的なことが行われていない。行うことができない。で、中共に対してもやっておりますというようなことをおっしゃってもできていない。できない。ただ、今御説明にあったように、赤十字社を通じて紅十字会に安否の問い合せのものを、僅少な件数でやっておるにとどまる。それも返事があったかどうかつまびらかにしない。その赤十字社から紅十字会に安否を尋ねたその件数、その回答があったかなかったか、そういうものもあわせて、最近の調査状況を具体的に資料でお示しを願いたい。言うまでもなく、自他周知のごとく、生死不明の調査はお断わりするということは、従来の中共の、中国の態度で、現存者の安否ならば調べてあげます、しかし、これこれの生死不明者があるなどというがごときことを日本政府が言うことは、断じて中国をこれは中傷するものであるという態度をとっておるのである。そういうことを言うならば、戦時中日本で生死不明になっておった中国人の調査要求をするということを言っておるくらいで、われわれは生死不明者を知りたいということを言っておるけれども、中国政府が応じないということは、自他周知の通りなんです。せめて生死のややわかった、ことにその安否のかすかでも手がかりのある者は調べてやろうと、こういうことであったのでありますが、それらもひっくるめて、これは一つ資料として、——当局も熱心にやっておられたのであろうと思うけれども、しかしながら、一面においては、そういうような作業の方の要員は漸次減少して、その方の事務はだんだんしりつぼみになりつつあることはいなめない事実である。熱心にやる、熱心にやる、だんだんしまいになるほど大規模に手を広げてやらなきゃならぬ。しまいになるほどが大切なんです。しまいの一年、二年が大切なんです。私は、この際衆議院の引揚委員長にお尋ねするが、フィリピンのルバング島に残っておる二人の元日本軍人が、最近の新聞紙上を見ても伝えられておるが、この二名の元軍人の生存者が明確にある。この二人の兵士をどうして救い出すか、どうして日本に帰還させるか、いかなる方法をおとりになろうとしておられるか、これは当然田口委員長にもお考えがあろうと思います。また、ちょうど御出席でありますから厚生大臣にもお尋ねするが、こういう一人残った、二人残ったという人を救出するということも大事業なのです。しかるに、政府はだんだん日がたつに従い、年がたつに従ってしりつぼみになって、しまいにはあやふやないいかげんなことでお茶をにごして幕を下ろすが、私はそういうことはよろしくないと思う。最後の締めくくりほど全力を尽さなくちゃならぬ。どうか資料として御提出を願いたい。
それから今お尋ねいたしましたフィリピンのルバング島に現存しておるという二名の旧日本兵士をどういうふうにして救出するというお考えが貴院の方でも御討究になっておるかどうか、政府はそれに対してどういう手段をおとりになるかどうか。最近の報ずるところでは、何か事件を起してフィリピン政府は場合によって射殺してもよろしいというがごとき布告を出したやに新聞紙に伝えられておりますが、この一名、二名の戦場に残されたる同胞を救い出すというごとき大きな人道事業に真剣に取り組むこそ、私は何と言うてよろしいか、道義を重んじ、世界に伍して文化の水準も語り得る私は国家であると思う。どういうお考えがありますか、この機会に承わることができますれば欣快に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/20
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021・田口長治郎
○衆議院議員(田口長治郎君) ただいま山下委員からお話のありましたフィリピンの二人の方はもちろんでございますが、今まで、この衆議院の特別委員会で各方面の参考人に来てもらいまして話を聞いておるのでございますが、フィリピンばかりでなしに、ごくわずかの個所でございますけれども、今判明しておるところには、点々とわずかな人が残っておるというような、そういう状態のところが相当あるのではないか、こういうふうに想像される参考人の話も承わっておるのでございますが、これらの現地でのいわゆる日本人の態度、その他につきましてもいろいろ研究をしております。承わるところによりますと、どうも確かに日本人であるが、本人は日本人であるということを認知されることを忌避しているような態度である、こういうようなことで、現地に行きましても、早く言いますというと、どうも今まで外におった人が家の中に隠れてしまう、こういうような態度になっておる方も相当あるようでございまして、こういうような状態から、これらの、ごくわずかの地点でございましょうけれども、存在しているわずかの人を救出することは、これはいかなる方法を講じてもやらなければなりませんけれども、非常にむずかしい問題でございまして、いろいろ現地の大公使館あるいは現地の日本人などにもどういう方法で救出したらいいかということについて、参考人その他にもいろいろ聞くわけでございますが、そういうような事情で、今的確にこういう方法でいこう、こういうことについて結論は持っておりませんけれども、山下委員と同じように、いかなることがありましても、こういう人を一つ救出しなければならぬ、こういうような気持でおりまして、いろいろ政府その他と、その手段方法について今研究をしているのでございますが、気持といたしましては、山下委員と全く同じ気持であることを御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/21
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022・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) ただいま山下委員のお話でございますが、まことに一人といえども、二人といえども、日本人の人で戦地におって帰られないという、こういう実情は、われわれとしてあらゆる手段を講じてこれを救出しなければならないということは山下委員と全く私同感に考えております。ただその問題につきましては、現在のところ、外務当局と交渉はいたしておりますものの、まだ確実な情報を得ておりません。もしできますならば、われわれの方であらゆる調査を行い、そうしてその方々の日本に帰りたいという意思でありますならば、われわれの方でも大いに努力をして救出できるようにいたしたいと、こういうふうに考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/22
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023・河野鎭雄
○政府委員(河野鎭雄君) ルバング島に日本の旧軍人がいるという情報は、だいぶ前からの話でございます。これの救出につきましては、いろいろ外務省とも協力いたしまして手段を尽してきているわけでございます。たとえば、数年前に家族等も現地に行って呼びかけをいたしましたりあるいは飛行機からビラをまいて呼びかけをするというような手段をとって参っているわけであります。先般——昨年でございましたか、フィリピンに遺骨収集団が参りました際にも、飛行機からビラをまく、それから特に係官を残しまして山の中にも入らせまして、何らかの合図応答を確認したいということで努力をいたしたわけでございますが、ついに何らの連絡、手がかりが得られないでむなしく帰ってきたような次第でございます。その後も大使館にお願いしましていろいろ努力をいたしてもらっているわけでございます。最近にもまたビラをまく手配をいたしております。先ほどお話のございました殺傷行為を行なったのじゃないかというふうな情報もございますが、これは必ずしも情報通り信用していいかどうか、非常に疑問があるのではないかというふうな考え方をいたしておりますが、いずれにいたしましても、そういうようなうわさがある以上は、できるだけ手段を尽して、何らかの手がかりを得たいというふうに考えているわけでございます。ビラをまく一方、たとえば山の中に通信箱のようなものでも置いて、向うが自由に何らか連絡する手段を提供しておくというふうなこともあわせて考えたいというふうに、いろいろ苦慮いたしておる次第でございます。今後とも何とか手段を尽したいものと、かように考えておりますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/23
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024・草葉隆圓
○草葉隆圓君 衆議院の海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会が、終戦後すでに十四年経過しました今日、なお、未帰還者の問題で留守家族も、また、私どもも日夜心配しております問題を、今回解決の一つとして本法案を御提出になりました御苦労に対しましては、衷心より敬意を表する次第であります。これはなかなか留守家族もいろいろ割り切れない心持であったのをいろいろ調整されまして、ここまで持っておいでになったことの御努力に対しまして深く感謝を申し上げます。
そこで、本法にいうております未帰還者というものの定義と申しまするか、内容、これが大へん大きく今後に響いてくると思うのです。未帰還者給与法第二条に、未帰還者とはこれこれとはっきり書いてある。本法すなわちこの未帰還者に関する特別措置法では第一条に「この法律は、未帰還者のうち、国がその状況に関し調査究明した結果、なおこれを明らかにすることができない者について、特別の措置を講ずる。」従って、この未帰還者というのは、ごく広い意味の未帰還者をさして、まあ社会通念から考えた未帰還者をさして言っておられるのじゃないかと思うのです。ところが、本法第二条には、未帰還者留守家族等援護法を御引用になって、第二条第一項、これはいわゆる未復員者と、特別な地域における未帰還者、これは具体的に申しますると、従来ありました特別未帰還者給与法、それを受けた未帰還者である。全般の未帰還者を含んでおらない。それからその内容におきましても、たとえば現地召集等は含んでおらない。未帰還者援護法の第二条のいう未帰還者というのは限定されている。ここにある第一条の未帰還者というのは、もっと広い意味を考えておられるのだと、そうして第二条の未帰還者、いわゆる未帰還者留守家族等援護法の未帰還者を中心にして、これに対しては民法の三十条にかかわらず、厚生大臣が請求することができる。その請求になった者にはこれこれこれの弔慰金その他の方法を講ずる。これが大体本法の規定であります。そうすると、それ以外の未帰還者——留守家族等援護法の第二条にいう該当以外の地域における未帰還者をどうされるかという問題、あるいはまた、その中におけるこの本法にいう未帰還者以外の未帰還者に対しては、ここには載っておりませんから、これに対する立法的な考え方、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/24
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025・山下春江
○衆議院議員(山下春江君) 草葉委員仰せの通りでございまして、その目的のところに示しますことは非常に広義に解されるのでございますが、法律の内容で扱っておりますものは、特別未帰還者の法律のワク内の人を今回の法律で扱うことでございまして、しからば一体その目的の広義の未帰還者というものの処置、お言葉にありました現地召集等をどう扱うかということでございまして、起草小委員会におきましてはそれらの問題について非常に熱心に検討いたしましたけれども、本法案と同時にそれを扱いますことは、いろいろな問題で非常に扱いにくくなります点が、法律的にも、扱い上からもございますので、本法案が成立いたしました後に、これらの問題——残された問題につきまして、また、私どもがこの問題の残した部分を御相談をして救済の方法を講じようというので、今回はそれはこの法律には加えなかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/25
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026・草葉隆圓
○草葉隆圓君 それで、ただいまの御答弁によってはっきりいたした点は、いわゆる未帰還者留守家族等援護法に申しまする未帰還者あるいは本法の第一条にいう未帰還者、これが解釈が大へん違っておるが、その中で現地召集のものは別法でやる。さらに、ほかの法律で、衆議院の特別委員会で検討する準備をしておるということで、これは了承いたしました。どうぞその点もあわせて一つお考えを願いたい。その場合に、この未帰還者留守家族等援護法の区域を限定いたしております。つまり朝鮮でありましたら三十八度以北、満州、関東州、中国本土、従って、南方諸島というのは当時わざと入れなかった、これもいろいろな状態で、いわゆる抑留という形のものだけをとって参ったわけであります。だから、その後は必ずしもそうじゃないような状態もままあるのです。こういう点に対しましても一つ御検討をされるように、現地召集以外においても御検討いただくことが妥当ではないかと思いまするが、その御準備があるということで、私はこれは了承いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/26
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027・木下友敬
○理事(木下友敬君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/27
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028・木下友敬
○理事(木下友敬君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/28
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029・木下友敬
○理事(木下友敬君) 次に、社会福祉事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/29
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030・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) ただいま議題となりました社会福祉事業法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は、精神薄弱者援護施設を経営する事業を第一種社会福祉事業に加えることをその内容とするものであります。
精神薄弱者福祉施策は、従来児童福祉法により十八才未満の精神薄弱児童を対象とする収容施設及び通園施設を設置し、その保護と更生援護を行なってきたのでありますが、昭和三十四年度予算案において、新たに十八才以上の精神薄弱者を対象とする公立施設に対して国庫補助の道が開かれることとなり、これを機会に成人の精神薄弱者に対する福祉施策を強力に推進していく所存でありますが、そのためには、すでに第一種社会福祉事業とされている精神薄弱児施設を経営する事業、精神薄弱児通園施設を経営する事業と並びまして、十八才以上の精神薄弱者を収容しその保護と更生援護を行う精神薄弱者援護施設を経営する事業を第一種社会福祉事業に加え、これを法の規制のもとに置いて、健全な運営と発展をはかるための指導、監督及び助成を行う必要があると考える次第であります。
以上がこの法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/30
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031・木下友敬
○理事(木下友敬君) 本案に関する質疑は次会以後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/31
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032・木下友敬
○理事(木下友敬君) 御異議ないと認めます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/32
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033・木下友敬
○理事(木下友敬君) 速記をつけて。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00919590210/33
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