1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月二十七日(金曜日)
午前十一時開議
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議事日程 第十二号
昭和三十九年三月二十七日
午前十時三十分開議
第一 国務大臣の報告に関する件
(日韓会談に関する報告)
第二 原爆被爆者援護強化に関す
る決議案(藤野繁雄君外十二名
発議)(委員会審査省略要求事
件)
第三 下級裁判所の設立及び管轄
区域に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出)
第四 労働保険審査官及び労働保
険審査会法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第五 奄美群島復興特別措置法の
一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第六 放送法第三十七条第二項の
規定に基づき、承認を求めるの
件(衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、日程第一 国務大臣の報告に関
する件(日韓会談に関する報告)
一、日程第二 原爆被爆者援護強化
に関する決議案
一、日程第四 労働保険審査官及び
労働保険審査会法の一部を改正す
る法律案
一、日程第五 奄美群島復興特別措
置法の一部を改正する法律案
一、日程第六 放送法第三十七条第
二項の規定に基づき、承認を求め
るの件
一、日程第三 下級裁判所の設立及
び管轄区域に関する法律の一部を
改正する法律案
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/0
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001・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/1
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002・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
この際、おはかりいたします。田中清一君から病気のため十四日間、佐野芳雄君から病気のため二十七日間、山口承彦君から病気のため三十五日間、それぞれ請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/2
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003・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/3
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004・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の報告に関する件(日韓会談に関する報告)、
外務大臣から発言を求められております。発言を許します。大平外務大臣。
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/4
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005・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 私は、この機会に、日韓会談の経緯並びに現状の概要を御報告し、あわせて本交渉をめぐる主たる論点につき政府の見解を明らかにしたいと存じます。
日韓間の諸懸案を解決し、国交を正常化することを目的とする両国間の会談は、昭和二十六年十月の予備会議に始まり、その後十二カ年余の長きにわたり、幾多の曲折を経て、断続的に続けられ、今日の第六次会談に及んでおります。この交渉がこのように長年月を要しつつも、いまなお妥結に至っていないことは、この交渉がそれ自体いかに至難な外交案件であるかを物語るものであります。しかしながら、その間、相互の理解と信頼は漸次深まり、昭和三十六年十月二十日開始された第六次会談におきましては、各案件につき相当の進展を示し、ことに請求権問題は、昭和三十七年末までに大筋の合意を見るに至ったのであります。
昭和三十八年一月以降、討議の中心は漁業問題に移り、両国の専門家を中心として鋭意討議が続けられてきましたが、なお基本的な点につき解決を要する問題がありますので、韓国側の申し入れに応じて、去る三月十日両国農林大臣による会談が開始され、これまで八回にわたる会談を通じて相互の理解は一段と深まるに至っております。一方、過去二年間予備交渉の形で進められてまいりました全面会談を、去る三月十二日、本会談に切りかえて、諸懸案の討議の促進をはかっておる次第であります。
以下、主なる懸案につき、その討議の進展状況及びわが方の基本的態度について御説明申し上げます。
まず、請求権問題について申し上げます。サン・フランシスコ平和条約第四条に基づく韓国の対日請求権につき、韓国側は、過去において、いわゆる対日請求八項目を提示して、日本側がこの請求を認めることを要求し、これに対し日本側は、請求権として支払いを認め得るものは、確たる法的根拠があり、かつ、事実関係も十分に立証されたものに限るとの立場を堅持しつつ、交渉を行なってきたのであります。しかるところ、その後の討議において、法的根拠の有無については日韓閥の見解に大きな隔たりがあるばかりか、事実関係を正確に立証することも時日の経過とともに不可能または極めて困難なことが判明するに至りました。しかしながら、この問題を未解決のままいつまでも放置することは許されませんので、日本政府としては、この困難を克服するためには、何んらかの新たなくふうをこらすよりほかに道のないことを認めるに至ったのであります。この新しいくふうとして考えられました構想の骨子は、将来にわたる両国間の親交関係確立の展望に立って、この際、韓国の民生の安定、経済の発展に貢献するため、同国に対し無償有償の経済協力を行なうこととし、このような経済協力供与の随伴的な効果として、平和条約第四条の請求権問題が同時に解決し、もはや存在しなくなったことを、日韓の間で確認するというものであります。このような基本的考え方を軸として、真剣な折衝が続けられました結果、同年末、両国政府はこの考え方に原則的に同意するに至り、無償経済協力は三億ドルを十年間にわたり日本国の生産物及び日本人の役務により供与し、また長期低利借款は二億ドルを十年間にわたり海外経済協力基金より供与することとなったのであります。
次に、漁業問題に関しましては、過去の会談におきましては、日韓の漁業技術上の格差が著しいため、あくまで李ラインの存続を固執する韓国側の主張と、李ラインは国際法上不法不当でこれを認め得ないとする日本側主張とがまっこうから対立し、話し合いの糸口すら見出し得ない状況でありました。しかしながら、第五次会談以降、双方の理解も次第に進み、討議はようやく軌道に乗り、昨年夏ごろまでに、漁業問題の解決は、国際慣行を尊重したものであること、魚族資源の最大の持続的生産性を確保する見地に立つこと、公平にして実施可能な規制方式をとること、これまでの操業実態を尊重すること等について、原則的な意見の一致を見た次第であります。そして、かかる諸原則を、当該海域の地理的条件、漁業の実態につきいかに具体化するかに関し、両国間の合意を見ることが当面の問題として討議されておる状況であります。日本側としては、これらの原則に基づく具体的な提案として、李ラインの撤廃を前提に漁業交渉の妥結をはかること、漁業専管水域の設置は認めるが、その幅員については国際先例に従い十二海里とすること、漁業専管水域の幅員をはかる基線につきましても国際通念に基づいた合理的なものでなければならないこと、漁業専管水域の外側の公海は原則として自由に操業をなすべきであるが、資源保全のため公平かつ実施可能な規制を行なうことの諸点を主張しております。
また、韓国側は、韓国漁業の立ちおくれを指摘し、特に沿岸漁民の技術水準向上のために日本側が協力することを希望しております。日本側としては、漁業問題が合理的内容をもって妥結することを前提として、通常の民間信用の供与を通じて、この韓国側の要望にこたえるよう検討しております。
また、韓国側は、わが国にある韓国文化財の返還を主張しております。すなわち、国民感情として文化財は大きな意義を持っていること、文化財はその出土の地において保存し研究するのが今日の世界の趨勢であること、朝鮮動乱によって韓国にあった文化財の多くが大きな被害を受けた事情等を強調しております。これに対し、日本側としては、これらの文化財を韓国側に引き渡すべき義務があるとは考えませんが、日韓の間の友好関係の増進を考慮し、文化協力の一環として、ある程度韓国側の要望にこたえたいと考えております。
在日韓国人の法的地位の問題について申し上げます。終戦の日以前に来日し引き続き在留している者と日本で生まれたその子孫である在日韓国人は、平和条約発効の時までは名実ともに日本人として居住していたのでありますが、平和条約発効に伴い自己の意思によらないで日本国籍を喪失し、その結果、それまで日本人として受けていた待遇を失ったのであります。政府としては、このような特殊の事情を考えると同時に、将来国内に、政治的、社会的禍根を生じないよう配慮しつつ、日韓双方の納得できる合理的な解決をはかりたいと考えております。これまでの会談におきまして、永住権を付与する者の範囲、永住権を付与された者に対する退去強制及び処遇の問題、永住目的で韓国に帰還する者の持ち帰り財産の問題等について討議が行なわれ、その結果、問題点は相当煮詰められつつあります。
竹島問題に関しましては、日韓会談が妥結し国交正常化が行なわれる際、このような領土紛争が解決の見通しなく日韓の間にわだかまっていることは、両国の友好親善関係の将来にとって悪影響を及ぼすと考えられます。よって、政府は、国交正常化の際には、少なくともこの問題解決のための明確な目途を立てる必要があるという考え方に立って交渉をいたしております。
なお、これまでもしばしば明らかにしているとおり、現在、韓国政府の支配が朝鮮半島の北の部分には及んでおらず、その地域に現実に支配を及ぼしている政権が存在する事実は、日本政府としてもこれを考慮に入れて交渉に臨んでいる次第であります。
以上が、日韓交渉の経緯と現状の概要であります。
私は、両国の国交を正常化することは、いまや日韓双方の国民的要望となっているものと信ずるものでありますが、なお世上本交渉に対する反対論議が存することも事実でありますので、この機会に、そのおもなる論点につき、政府の見解を明らかにしたいと存じます。
日韓会談の目的は、両国の関係を正常化することであり、あわせて各種の懸案を解決し、過去の行きがかりにとらわれない新しい友好関係を築こうとするものであります。しかるに、日韓両国の国交正常化は極東の緊張と不安を激化するやの議論を、耳にすることがありますが、同国の関係を正常でないままに放置することこそ両国民の不幸であり、逆に、両国が相協力して安定と繁栄の道を進むことがアジア全体の平和と安定に寄与するゆえんであることは、自明の理であります。現在、北朝鮮を承認している国は共産圏諸国を主とする十九ヵ国にすぎないのに対し、韓国政府は、国際連合においても合法政府として認められ、世界の主要国をはじめとして七十三カ国によって承認されていることは、御承知のとおりであります。この韓国と地理的、歴史的、文化的に最も密接な関係を有するわが国が友好関係を持つことは、全く当然のことであると申さなければなりません。
次に、韓国との国交正常化は朝鮮の分裂を恒久化し、その統一を阻害するものであるとの議論があります。朝鮮の統一が容易に実現しないのは、抜きがたい国際的勢力の対立を背景として、韓国も北鮮も早期統一を主張する点では一致しながら、その統一方式に関し全く相いれない立場をとっていることがその原因であることは、周知の事実であります。すなわち、韓国は、国連監視下の全一朝鮮自由選挙に基づき全朝鮮単一政府をつくるという、いわゆる国連方式を終始一貫支持しているのに反し、北鮮側は、朝鮮統一問題に国連が介入することに反対の立場を維持しているのであります。北鮮側が国連の権威と権限を認め、国連方式による統一に賛成しさえすれば、朝鮮の統一は実現し得るものであります。したがって、日韓国交正常化が朝鮮の分裂を恒久化するというがごときは、まさに牽強附会もはなはだしいものであると申さねばなりません。(拍手)
次に、日韓会談と米国との関係について一言いたします。
日韓両国が国交を正常化すること自体が、アジアの安定と繁栄に寄与するものである以上、これに重大な関心を持つ米国が、両国の国交正常化を希望することはきわめて自然なことであります。しかしながら、両国間の交渉それ自体は、あくまで両国がそれぞれ独自の立場から行なっているものであり、米国が圧力を加えたり干渉したりしたというようなことは全くございません。
さらに一部には、日韓国交正常化が日米韓三国の反共軍事同盟あるいはNEATOなるものの結成を目標としているとの論があります。御承知のとおり、わが国は、日米安全保障条約により、米国との協力のもとにわが国の安全を確保するとともに、極東の平和に寄与することを外交政策の基本としております。政府は、日米安全保障条約のワクを越えて、極東において軍事的な役割りを引き受けることを意図したことはなく、また、そのようなことがわが国の憲法のたてまえから不可能であることもまた明らかであります。
次に、韓国の経済状態が不安定であるとの理由により、国交正常化を見合わせるべきであるとの論に対して、一言したいと考えます。
韓国の経済が非常な困難を経験していることは、これを率直に認めなければなりません。しかし、この点に関しては、韓国が年々増加する人口を擁するにかかわらず、天然資源に恵まれず、あまつさえ朝鮮動乱によってほとんどすべての生産施設を失ったという事実、さらには朝鮮動乱勃発の経緯にかんがみて、自国防衛のための軍事力維持のために、軍事費に膨大なる財政支出を充当せざるを符ない実情を考えるべきであります。むしろ、このような条件のもとに置かれた韓国経済が、これまで幾多の困難を切り抜けてきた事実にこそ思いをいたすべきであります。韓国政府も、目下自国経済の再建と発展にその政策の最重点を置いているものと承知しております。これにこたえて、米国はもちろん、ドイツ、イタリア、フランス等の西欧諸国が、韓国に対する経済協力に積極的な熱意を示していることを指摘いたしたいと思います。このときにあたって、隣国である日本が、これに対しでき得る限りの協力の手を差し伸べることこそ、日本国民の国際的、道義的責務であると申しても過言ではないと信じます。私は、このような観点から、わが国が韓国に供与する有償無償の経済協力についても、国民各位の十分の御理解が得られるものと確信いたします。
最後に、韓国政権を非民主的な不安定な政権と断じ、これを相手とすべからずとの主張が一部にあります。韓国におきましては、昨年十月十五日に大統領選挙を行ない、民主共和党から立候補した朴正煕氏が当選し、続いて十一月二十六日の国会議員選挙におきましては、民主共和党が全議席百七十五のうち百十議席を獲得し、単独で院内の安全勢力を確保し、軍事政権がその成立の当初公約した民政の移管が実現したのであります。そして、この大統領選挙と国会議員の選挙が、いずれも自由かつ公正に行なわれたことは、国連朝鮮統一復興委員会の報告によって確認されたところであります。私は、このように民主的に選出された韓国政府を相手として、日韓両国の国交正常化のための話し合いを行なうことは、国際的に見ても当然の常識であると信ずるものであります。民主主義体制をとる韓国内部において、現在の日韓交渉に対し批判ないし反対の声があることは承知しており、ここ数日来の学生を中心とした動きについても、その背景や影響につき注意深く観察しておりますが、韓国国民の大多数は、両国の国交正常化それ自体には反対しておらず、むしろ、これを強く希望していることは、最近行なわれた世論調査の結果を見ても明らかであります。
また、日本国民の大多数が両国の国交正常化を支持していることは、過ぐる衆議院議員総選挙の結果が如実に物語っているところであります。のみならず、わが国の主要新聞の論調は、日韓国交正常化自体は両国が当然なすべきことであるとの点において一致し、さらに世論調査の結果も賛成論が圧倒的に多く、反対論は微々たるものであることを示しております。私は、このような日韓国交正常化に対する国民的支持を背景として、国民各位の納得のいく内容をもって懸案が解決されるよう鋭意努力を傾ける所存であります。
ここに、国民各位の一そうの御支持と御協力を願って、報告を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/5
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006・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。森元治郎君。
〔森元治郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/6
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007・森元治郎
○森元治郎君 私は、日本社会党を代表して、日韓会議に関する外務大臣の報告について、政府の所信をただしたいと思います。
ただいまの御報告は、報告ではなくて、内枠を伏せておいて、自分に有利な見解だけを、いたけだかに国民に押しつけようとするだけのものであります。(拍手)われわれは中間報告を要求しておるのであります。なぜ、これをしないのでありますか。外相、農相ら交渉当事者が、「主張に相当な開きがある」というのに、残る会期わずかの今国会で、調印から批准まで強行しようとするのか、理由を明らかにしてもらいたいのであります。
また、伝えられるように、総理が、来たるべき自民党総裁三選への挙党態勢づくりの兵に供されるとすれば、国を誤るものであります。総理の所信を伺います。
ここ二、三日来、韓国における日韓会談即時中止の抗議デモ、全野党国会議員の総辞職決議など、極度に動揺している政治情勢を、政府はいかに認識しておられますか。外務大臣は、「交渉のやり方に反対なだけで、デモをやれるのは民主体制だからである」と、事もなげに言われておりますが、このような事態の把握は危険千万であります。彼らの声を聞けば、屈辱外交反対であり、日本の経済侵略、帝国主義再来への警告であり、金議長の本国召喚、朴政権の恐怖政治打倒であります。しかも彼らは、韓国政治を左右する実力のある学生、民主主義政治家たちであることに、注目しなければなりません。このことは、すなわち、ただいまの報告で朴政権はりっぱな民主的政府であるとしているのは大きな見そこないであって、これは依然として国民から遊離した独裁政権であり、しかも、きわめて不安定なものであることを露呈したものであります。政府は何とこれを弁明するつもりでありますか。以上のような認識不足と韓国の情勢では、交渉事は進めてはいけません。直ちに会談は中止すべきであります。総理大臣からお伺いをいたします。
そもそも日韓交渉に臨む態度が根本的に間違っております。それは、アメリカの誤った極東反共政策、国家を善玉悪玉に分けようとするその考えに追随していることにあります。どこに池田総理の言う大国の矜持や自主性がありましょう。日韓会談の経緯を見ますと、韓国が最も期待しているのはお金と経済協力のように見えます。一方、池田内閣は、韓国を防共のとりでとすること、新しい市場の開拓と安い労働力がねらいのように見られます。こんなことでは、万一まとまっても将来に禍根を残すことと思います。客観情勢は会談の続行に非であります。それとも総理は、われわれの反対を国民の一部のものとして、政治家たるものは反対は覚悟の上であるというような、安価な悲壮感で進められては、危険であり、国を誤るものであると思いますが、総理のお考えを伺います。
次に、政府は、韓国人は北をきらいであろうと見ているのではないか。しかし、北も南もともに朝鮮民族であります。独立したのは一つの朝鮮であります。国交の正常化というならば、これとやる以外にはないのであります。いつ統一できるかわからないものを放置するのは不自然であると言いますが、池田内閣がなくなっても朝鮮はそこにあります。国交関係はそんな安手なものは通用いたしません。ことに、朝鮮は日本植民地から独立したものである点、ドイツの場合と違うのであります。日本が当面なすべきことは、相互の敵視をあおるようなことをやめて、南北鮮融和提携ムードを作ることにあります。そうしてまず、両鮮みずからの手によって水入らずの話し合いの機会を持つことを期待することが先決であります。外的条件としては中共の国連加盟促進もあります。国連の正しい支援も必要でしょう。いずれにせよ、北東アジアの永久平和と繁栄は、統一朝鮮政府のもとで初めて可能であると信じます。国連監視下の全鮮自由選挙を北鮮が受諾することが統一を可能にする条件であると言いますが、それはあまりにお粗末過ぎます。会談が成立したら、近隣情勢にどんなような影響を与えると思うか、その展望も総理から伺いたいと思います。
なお、これに関連して、朝鮮に駐留するいわゆる国連軍、国連の旗を持ったアメリカ軍の存在についてお伺いいたします。私は、北との休戦後十一年を経過したのでありますから、国連軍というアメリカ軍は撤退すべきではないか。少なくとも真剣に考慮する時期に達していると思います。もちろん、そこにはむずかしい問題はたくさんありますが、その作業に取り組むことが大きな国際政治であると思います。総理の御所見を伺います。
防衛庁長官に一点だけお尋ねをいたします。国交正常化すれば、駐在武官の交換、あるいは軍艦の儀礼的訪問往来、ときには共同演習、訓練など軍事面の協力が行なわれるのが普通であります。しかし、日本の場合、平和憲法のもとで、これは、やれないことと私たちは承知しておりまするが、この点に関する長官の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
ただいまの外相報告に国民を惑わす議論があるので、これを正しておきたいと思います。何かというと、国連の決議によって韓国は朝鮮の唯一の合法政府であるという点を押しつけております。しかし、一九四八年のこの決議は勧告であります。拘束力はありません。当時日本はまだ国連に加盟しておりません。そうして決議は、早い話が、韓国内にできた合法政府でありますが、これを全鮮の正統政府とみなした。みなしたというだけの話でありまして、北鮮政府の存在を否定することにはならないのであります。国際政治は大きく流動しておりますから、古証文ばかりひねくるのは、大して政治のプラスにはなりません。
第二には、韓国は北鮮と比べて多数の国から承認されておるから、いい国だと言いたいのでしょうが、これは美人投票ではないのであります。承認するかしないかは、承認国の存念次第であります。数は意味がありません。この点については外相から御見解を伺います。
次に、会談そのものについてお尋ねをいたします。きのう正午、朴大統領は、李ラインを死守せよというデモの学生に対し、「諸君の要求を反映して最後まで主張の貫徹をはかるよう出先代表団に訓令した」と言い、国会では、与野党一致して、李ラインを認めない場合には会談中止をしろというようなことを報じております。いまや日韓会談の成否は、李ラインの一点にしぼられてまいりました。総理は公約どおり、公海に排他的国家主権を行使し、公海自由の原則を無視する不当不法な李ラインは、絶対に認めないと再確認すべきであります。政府は李ラインの撤廃を前提に交渉していると、しばしば言いますが、われわれには、政府の望む漁業協定がまとまれば必要がなく、自動的に解消されるのだ。逆に言えば、韓国のねらいどおり、李ライン一ぱいに共同規制水域を設けることによってなくなるのだ。ラインとしてはなくなるのだが、面としては残るというような、すっきりしない印象を受けるのであります。あるいはすでに双方の間で、李ライン撤廃の黙契ができているのか、あるいは刺激をおそれて公表を避けているのか。李ラインは譲歩しないというものに、撤廃を前提として会談を進めるというのは、ナンセンスではありませんか。会談決裂は決定的となったと思うが、総理の御所見を伺いたい。
また、この李ラインというものは二つの性格があるのです。漁業規制という面と国防上の理由という、二つの面が海洋主権宣言の経過にあるのであります。ところが、一つの漁業規制だけはいいのだ、国防ラインは自分は知らないというようなことを外務大臣は言っておりまするが、これは非常に危険であります。あくまでもわれわれは、李ラインにかわる国防ラインなどは認められない。政府はこの点異論がないと思いますが、大平外相から御答弁をいただきます。
次は、日韓関係の基本関係でありまするが、基本関係をあと回しにして交渉しているというのは、これは驚くほかありません。総理は、「韓国の現に支配する地域」の問題に関して、よく北緯三十八度線の北とか南とか言いますが、そんなものは法的には存在しないのです。「現に支配する地域」とはどこを言うのでしょうか。支配権の北限は三十八度線ですか。それとも、朝鮮休戦協定によって南北対峙しておりまするいわゆる休戦ラインを言うのか、あるいはそのほかにあるのか、総理から伺います。
漁業について伺います。交渉の現段階の要点を伺います。ことに、済州島と本土の間を国内河川や内海と同じような内水面として、漁携を禁じ、船舶の自由航行を禁止するという態度を向こうがとっておりまするが、きわめて不当であります。赤城農相は、赤城私案なるものをもってたな上げをしていこうという態度でありまするが、はなはだこれは見当違いでありまして、あくまでがんばらなければなりません。私案の内容を伺いたいことと、このような韓国の態度に譲るならば、この方面の日本の漁業は大打撃をこうむるでしょう。零細漁業も壊滅のおそれがあります。いまの交渉の段階で、どのくらい日本側が不利であるか、数字をもって示してもらいたい。なお、大型漁船に比べて、零細漁業者への心づかいが足りないように見受けますが、政府当局の意見を伺います。赤城農林大臣の御説明をいただきます。
次に、竹島の問題でありまするが、これくらい明々白々なものはないのであります。わが領土であることは、はっきりしている。昭和二十七年にアメリカのほうでは、これを爆撃演習場として使わしてくれという、そこで合意ができました。行政協定によって合意ができて、これを使って、そして二十八年にアメリカはもう使わないからと言って返してきた。当時は、安保条約、平和条約が、できたてのほやほやのときであります。条約が定めた日米合同委員会で話をとりきめているのでありますから、日本のものであることは明白であります。韓国の言うように、第三国に聞きましょうとか、国際司法裁判所に日本のように持ち出すなんという必要は全然ないんです。なぜ政府は声を大にしてこれを主張しないのか、こんなときにとそアメリカをして韓国を説かしめないのか、大平大臣に伺います。
請求権問題、これもたくさんの問題が残ります。われわれは反対でありますが、ことに個人の請求権が残るのであります。自分の請求権がもらえないとなった韓国人、これは騒ぎ出します。自国政府を恨みます、続いて日本政府に対してもそのはね返りがやってまいります。もちろん日本のわれわれ同胞も、同様な憤激をもって騒ぎが起こることと思います。これは両方の国の関係を非常に悪くする。禍根を残します。在日朝鮮人の法的地位にしても、南北鮮差別は大きな政治問題として尾を引きます。北鮮の自由往来について、外相は「静かに話せばわかる」と言っておられまするが、一体どうすればいいのか、具体的に明らかにしてやってほしいと思います。
以上のように、会談は穴だらけであります。したがって国交の正常化にあたっては、諸懸案は一括同時解決だというかねがね政府の言う基本方針は吹っ飛んでいってしまっております。その責任をいかに感じられておりまするか、総理から御答弁を願います。
これを要するに、日韓会談を見ますと、民族間の友好関係の樹立の土台になるお互いの理解、信頼感といった大事な国民感情が解け合うまでにいっていないことを痛感します。韓国の国家復興の援助は、国家的道義的責務だと政府は言いますが、援助は生きなければなりませんけれども、このようなアメリカの指導のもとに臨戦体制の強化をはかられているようなありさまでは、二千億というようなわれわれの対韓援助は絶対に無意味であります。われわれの予想どおり、この会談というものは極東の緊張と不安の醸成に役立っております。その上、悪いことに、南北朝鮮の分裂を決定的にする様相を呈しておりまして、平和と繁栄には寄与しておりません。朝鮮民族である韓国人との関係をこれ以上悪化させないためにも、日韓会談は即時中止をして、出直すべきものであると信じます。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/7
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008・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 日韓国交正常化の問題は、たびたび申しておりますごとく、地理的に、歴史的に、文化的に、最も密接な関係のある両国が正常化していないことは不自然でございます。われわれは、これは両国繁栄のために、またアジアの平和のために、ぜひ成立さしたいと努力しておるのであります。決してあせってはおりません。できるだけ早い機会に成立させたいが、長き将来に向かって両国民が納得し得るような状態でいくべく努力しておるのであります。こういう重要な外交問題を、国内政治の問題とからませ、ことに一身上の問題としてどうこうというととは、そういうことを言う人が国をいかにお考えになっておるかと疑わしいのであります。われわれは一池田内閣のためにやっておるのではございません。日本民族のために、韓国民族のためにやっていることを、はっきり申し上げておきます。また、会談の進行にあたりまして、いろいろ向こうに反対運動があるやに聞いております。こうした大問題であるときには、こういう反対が起こることは、私はその例が身近にもあることを承知しております。それだからといって、前向きの正しい仕事をやめるというふうなことは、私はとらないのでございます。韓国政府は、すでに御承知のごとく、国連の七十数カ国から認められた合法的な政府であるのであります。こうして、われわれはサンフランシスコ条約によりましてその後これが独立を承認しておるのでございまするから、この国と交渉することは、国際法上当然のことと思うのであります。
また、国連軍の撤退の問題につきましてのお話でございますが、御承知のとおり、国連軍は国連の決議によって行っておるのであります。その決議のときにソ連がはずれたというので、その後、撤退の問題につきまして提訴しかかったことがございますが、既成事実は、やはり国連の決議として認められておることをはっきり申し上げておきます。
李ライン問題につきましては、私が両院で答えておるとおりを言っております。われわれは初めから李ラインを認めておるのではございません。また、国交正常化した場合に、いままで向こうの言っているような李ラインがあって正常化できるものではないということは、理の当然でございます。
なお、南鮮の問題につきまして、三十八度線かあるいは一九五三年七月の休戦協定による線か、これは両方ともいわゆる権威がある線でございます。しかし、われわれは、三十八度線と、そして休戦協定による、三十八度線よりも東部は北のほう、西部は南のほうに少し寄っておりますが、そのいずれを認めるということでなしに、われわれは南鮮というのは韓国政府が実際に支配しておる地域と、こういう考えで進んでおるのであります。
私はたびたび申し上げますごとく、この日本の重大外交問題でございますから、誠意をもって、全力をあげて早期に解決するよう努力を重ねておるのであります。
以下の問題につきましては外務大臣よりお答え申し上げます。(拍手)
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/8
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009・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 私の報告が不十分であるという御指摘でございましたが、今日交渉中の段階でございますので、精一ぱいのところでございます。
それから、日韓会談の性格につきましていろいろな見解、御批判がございましたが、私どもは、いま総理からお示しがありましたように、損とか得とかということより以前に、国交を正常化するというきわめてハンブルな仕事をやっておるわけでございます。
それから承認の七十三ヵ国を引用いたしましたのは、これは事実として申し上げたわけでございまして、森さんが御指摘のように、私どもは、よく引用する一九四八年の国連の決議におきましても、韓国政府が全鮮を支配しておるということは言っておりません。朝鮮人民の大部分が住まいしておる朝鮮の部分に合法的な政府ができた。それは大韓民国政府であるということを言うておる。そういう事実をわれわれは認めておるということを、事実として申し上げたわけでございます。
それから、個人の請求権の問題でございまするが、私ども、経済協力を前向きにやることによりまして、一切の請求権を片づけようといたしておるわけでございますが、森さんの御指摘のように、個人の請求権がそれで直ちに消滅するかということにつきましては、確かに理論的な問題は私は残ると思います。したがって、協定ができて、そのままの状態に置きますると、あるいはわが国の裁判所に請求が出てくるというケースもあり、そして裁判所がどうそれに答えるかということになろうかと思いまするが、私どもといたしましては、一切の請求権問題を解決いたしたいと存じておりますので、この妥結にあたりましては、そういうもんちゃくが将来起こらないように、国内的な手続も考慮してまいらなければならぬと考えております。
それから、朝鮮自由往来の問題でございまするが、これは、たびたび申し上げておりますように、日本にどういう外国人を入国せしめるかということは、これは日本の国が判断し、きめてよろしいことでございますが、それは、日本の国益から考えまして有害でないという保証がなければならぬのでございます。北鮮自由往来の問題につきましては、非常に大規模の往来実現の運動がございまして、先般もこの本会議におきまして申し上げたように、事案の性質とこの運動の規模から、いかにもこれは、やや政治的な色彩を持っておるのじゃなかろうか。この政治的な色彩を帯びるようなところに私どもむしろ危惧の念を持つのでございまして、そういうことがないように、静かにお話し合いの上、日本の国益に支障がないということであれば、私ども検討に値する問題であろうと思っておるわけでございます。
それから、竹島問題でございますが、私どもといたしましては、森さん御指摘のように、歴史的な考証と国際法上の解釈等を踏まえた上で、韓国側に主張すべきことは主張いたしておるわけでございまするが、ただいまのところ、両者の見解は平行線をたどっておるわけでございまするが、しかし、このような領土の紛争という問題を放置しておくことは許されませんので、何とか解決のめどをうけなければならぬ。せっかく苦心をいたしておるところでございます。これも、一番最後に御質問がありました一括解決の方針によりまして、この問題につきましてもケリをつけなければならぬと考えておるわけでございます。(拍手)
〔国務大臣福田篤泰君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/9
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010・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) お答えいたします。
韓国とわが国との軍事的協力は全く考えておりません。したがいまして、自衛隊と韓国軍が共同で演習いたしまして、あるいは訓練するということもないわけでございます。
防衛駐在官につきましては、現在欧米並びにアジアのおもな国八カ国に一名ずつ外務省の公務員の資格で派遣いたしておりますが、これは、軍事的協力の意味は全くございません。本年はインドを予定いたしておりますが、将来は、韓国に話し合い妥結によっては、必要であるかどうかということは検討される可能性があろうと思っております。(拍手)
〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/10
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011・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 漁業問題の交渉に当たっておる態度につきまして申し上げたいと思います。日本と韓国との水域は非常に近いので、こういうところにおきまして紛争があったり、あるいは魚族の資源が減るというようなことは、これは避くべきことだと思います。そういう意味におきまして、たとえば、中共と日本とにおきましても、民間的な漁業協定もできておりますし、あるいはソ連のような共産国国家との間にも漁業の協定ができております。あるいは日本、アメリカ、カナダ、あるいは鯨等においては、国際的な条約もできております。こういうことでございますので、私は、日本と韓国との間は、特に漁業の問題が妥当な話し合いになりますれば、これは解決していきたい、こういう前提のもとに漁業関係の話し合いを進めておるわけでございますが、そこで、その話し合いを進める段階におきまして、済州島と朝鮮本土との間に内水を設けるということはけしからんじゃないか、こういう御質問でございます。もちろん、両国で主張し合ったことにつきまして、両国の主張それぞれのものはあります。しかし、私のほうといたしましては、内水を済州島と韓国本土との間に設けるということは、これは反対でございます。反対でございますので、私のほうといたしましては、そういうものを認めない、こういう態度で進んでおります。
それから、俗に言われておりますところの赤城私案というようなものの内容はどんなものであるかという、こういうお尋ねでございますが、いろいろ赤城私案というふうなものが言われておりますけれども、私どもは、外務大臣の報告にもありましたように、魚族資源の最大の持続的生産性を保っていこうというわけで、専管水域を設け、その専管水域の外側に共同規制区域を設けて、そうして公平妥当な魚類の生産分配をしよう、こういう態度で進んでおりますので、その線の引き方等におきましても、国際条約、国際慣行、こういうものに従った線の引き方をするということ以外に、特に赤城私案というようなものを持っておりません。交渉の途中でございますので、いろいろその国際慣例に沿うた線の引き方につきまして、どの島とどの島の間をとるというようなことでの議論がございますけれども、特にその国際慣例に沿わないもののような私案というようなものはございませんで、交渉の途中におきまして、いろいろ出た意見があるいは赤城私案というふうに言われておると思いますが、特別のものではございません。
それから、漁業の交渉におきまして、いろいろ、零細漁民といいますか、沿岸漁業のほうに重きを置いていないんじゃないかということでありますが、共同規制の立場が、何といたしましても大型のほうの標準をとりますものですから、その隻数等につきまして、いろいろ議論で相離れておる面が相当ございます。だからといって、零細沿岸漁業を全然無視しておるということではございませんで、これは当然私どもは、たびたび申し上げておりますように、実績というものを尊重してきめるべきものであると、こういう立場で主張しておりますので、当然、沿岸漁業、零細漁業等につきましても、わがほうの実績がそこなわれないような立場において交渉を進めておる次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/11
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012・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 外務大臣から答弁の補足があります。大平外務大臣。
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/12
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013・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 統一問題でございますが、これは私の報告でお読み取りをいただきたいと思うのでございますが、私どもの基本的な考え方は、南北の統一問題は、第一義的には朝鮮民族の問題でございまして、私どもといたしましても、朝鮮の統一ということを心からこいねがっておる態度をとっております。で、この統一ができないのは、統一方式につきまして南北の見解が違っておるというところに起因しておるわけでございまして、この統一阻害の原因をわがほうの日韓交渉に転嫁されることは、非常に迷惑だと私は考えておるわけでございます。そういう趣旨のことは御報告で申し上げたつもりでございます。
それから竹島問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、森さんが御指摘されたようなこと、その他歴史的な考証も十分加え、国際法上の解釈もふまえた上で、韓国側に主張すべきは主張いたしておりますということを、先ほど御答弁申し上げたわけでございます。その場合に、竹島に関連してこれをアメリカ側の協力を求めるつもりがあるかどうかということでございますが、ただいまのところ、私どもといたしましては、この関係は日韓の間でひとつ話し合いの上で合意に達すべく努力いたしたいと存じておるところでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/13
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014・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/14
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015・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第二、原爆被爆者援護強化に関する決議案(藤野繁雄君外十二名発議)(委員会審査省略要求事件)、
本案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/15
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016・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。
まず、発議者の趣旨説明を求めます。藤野繁雄君。
〔藤野繁雄君肇壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/16
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017・藤野繁雄
○藤野繁雄君 ただいま議題となりました原爆被爆者援護強化に関する決議案につきまして、発議者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。
まず案文を朗読いたします。
原爆被爆者援護強化に関する決議案
広島、長崎に原子爆弾が投下されて十八年余を経たが、今日なお白血病その他被爆に起因する患者の発生をみており、その影響が存続していることは憂慮に耐えないところである。
原爆被爆者に関する制度としては、すでに昭和三十二年に原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が制定せられ、被爆者の健康管理及び医療の措置が進められているところであるが、被爆者の置かれている現状にかんがみ、政府は、すみやかにその援護措置を改善し、もつて生活の安定に役立つよう努めるべきである。
右決議する。
原子爆弾が残した放射能障害は、一生その人々につきまとい、これがため、白血病、貧血症等の発病の不安に常時おののきながら勤労しなければならないことが、被爆者のすべてに通ずる社会的活動におけるマイナスとなっているのであります。さらに被爆者のうちには、あるいは原爆熱線による、みにくいケロイドの痛ましい傷痕のゆえに、悲歎にくれている人々があります。あるいは放射能に起因する白血病、肺臓、肝臓その他の、ガン、白血球減少症、悪性貧血症等にさいなまれて、病床に呻吟している人たちがあります。また、原爆おとめのみならず、外形上何らの傷を持たないおとめの中にも、結婚を敬遠されている若い女性群があるのであります。そして、これらの原爆症による死亡や精神的不安に基づく厭世観による自殺者が相次いでいるという現実を、われわれは忘れてはならないと考えるのであります。
これらの悲しむべき不幸の原因が、当時予測もできなかった悲惨な原子爆弾の被爆に基づくものであることにかんがみ、昭和三十二年四月、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が制定され、主として原爆症を中心とした医療について特別措置がなされたのであります。しかし、近時、わが国の経済力の回復に伴って、戦争犠牲者に対する救済の立法が次々となされております。さらに今国会には、旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案が提案されております。このような戦後処理の措置が次々と講じられつつある情勢にかんがみまして、原爆被爆者に対する措置も、その健康面及び精神面の特殊な状態に適応すべく一そうの拡充がはかられるべきであると考えるのであります。
この趣旨を実現するためには、まず第一に、被爆者に対する健康管理の徹底が期せられるベきであります。そのためには、新たに被爆者ドックを設けて、現在の健康診断のほかに、徹底的な精密検査をも実施し、それに基づいて健康維持上必要な指示指導がなさるべきであります。さらに健康診断の受診に伴い、被爆者には、日本国有鉄道を無料で乗車することができるよう措置することが望ましいのであります。
次に、発病の不安におののき、焦燥にかられている被爆者は、全身倦怠、疲労感を覚え、常人のような勤労に従事することは不可能でありますので、絶えず休養をとり、かつ栄養補給をしながら勤労する以外に道はないのでありますから、これらの被爆者に対しても特別な手当を考慮さるるべきであります。
なお、現在実施されております医療の充実のために、原爆症患者完全収容病棟の建設、原爆放射能医学研究所の拡充、医療内容の充実及び医療手当の増額と支給条件の緩和をはかるほか、特別被爆者の範囲を拡大して、爆心地より三キロから四キロ以内にあった者及び原爆投下の直後の救護整理にあたり、強烈な第二次放射能を受けた者を加うることについても、考慮が払わるべきであります。
次に、被爆者の福祉の向上につきましては、広島平和記念都市建設法及び長崎国際文化都市建設法があるにもかかわらず、いまなお、公園、緑地等に数千戸のバラック住宅が残されておるので、その解消につき、また、原爆孤老のための被爆者老人ホームの建設につき、さらに被爆者福祉センター、被爆者レクリエーション・センターの建設、被爆者相談所の設置等が緊急の措置として必要と考えられます。
その他、被爆者に身寄りの少ない者が多い実情にかんがみ、原爆による死亡者に対する弔慰の道を講ずることも必要かと考えられるのであります。
以上がこの決議案の趣旨でありますが、政府においては、今後も医療の進歩等事態の推移に応じて、決議を待たずとも、逐次検討を加え、一そうの改善をはかる心がまえを切に要望いたしたいと存ずるものであります。
私は、ここまで提案の趣旨を説明してまいりますと、長崎に原爆が投下されました当日、長崎におりまして、九死に一生を符、また、多数の肉親と知己を失い、その惨状をよく承知しておりますから、私は、ことばで言いあらわすことのできない当時の悲惨な状況が、ありありと私の目の前にあらわれてまいりました。
何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/17
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018・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。藤田進君。
〔藤田進君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/18
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019・藤田進
○藤田進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました原爆被爆者援護強化に関する決議案に賛成いたすものであります。
わが党は、原爆投下以後、終戦以来、原爆被爆者に対する援護についていろいろ努力をしてまいりました。この間、いわゆる原爆医療法が制定せられてまいりましたが、これとても満足すべきものでございませんので、特に最近本院における院議として決議をし、政府において善処されるべく、特に、当院議院運営委員会、なかんずく議運委員長はじめ理事会においていろいろ折衝をしていただきました。また、関係社会労働委員会におきましても、委員長ほか皆さんの熱心な御折衝をいただいたのであります。その間紆余曲折をいたしまして、私ども特に提案者同様、原爆被爆地出身者といたしましても、非常に心配をいたしておりました。幸いに、その第一歩を画します本院の意思として、ここに決議が日の目を見ようといたしております点、努力していただきました各会派皆さんに対して、まず深く敬意を表し、お礼を申し上げたいと思います。
かかる事情に徴しましても、政府は、即刻これが提案にございましたような事例を含めた、立法的、予算的措置を講じていただきたいと思うのであります。
顧みますと、昭和二十年八月、広島市及び長崎市に投ぜられました原子爆弾による被害は、今世紀最大の悲惨事でありまして、わが国医学史上かつて経験せざるものであったことは、いまさら申し上げるまでもございません。運命の両市におきまして、この原子爆弾の犠牲に供せられた被害者の数というものは、原爆投下のその日に市民の半分が即死いたしております。あるいはまた、残りの約三割五分というものは、百日を出でないうちに、その後、命を失っているのであります。また、爆心地から四キロ半径以内におりました者はもちろんのこと、爆発から二週間以内に焦土に足を踏み入れたというだけで、ことごとく第二次放射能の影響を受けたのでありますが、その数は実に三十万人と数えられております。十八年余を経た今日もなお、放射能による特異な障害が残され、あるいは障害の苦痛に呻吟し、また、死の恐怖におびえているという、きわめて重大なる状況を呈しております。中には困窮の生活に当面をいたしまして、日々まことに不安な生活を送っているという気の毒な実情にあるのであります。このことは、すでに十八年をけみしておりますために、単に原爆といえば、広島、長崎に限定されるような印象を受けますけれども、私の調査では、日本全土に普遍的にこれら被爆者は在住している事実があるのであります。
あの忌まわしい、のろわれた日から今日まで、いまなお白血病やガンなどによる死亡者が絶えず、放射能による血液疾患に対する完全な治療方法が発見されず、その被害の深刻さは、まことに凄惨なものがあるのであります。これは、人道上からもとうていこのまま放置することができないのでありまして、三十万人余の被爆死亡者と、さらに三十万人余の被爆者及び遺族に対する補償救援の諸政策を確立をいたしますことは、世界ただ一つの被爆国として当然の責務といわなければなりません。
特に、指摘いたしたいことは、昨年の十二月七日、東京地方裁判所の判決は、広島、長崎における原爆投下が、「国際法からみて違法な戦闘行為である」と解し、「戦争災害に対しては当然に結果責任に基づく国家補償の問題が生ずるが、現行の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律、この程度のものでは、とうてい原子爆弾による被害者に対する救済救援にならないことは、明らかである。」と判示いたしまして、「原爆被害者全般に対する救済策を講ずることは、立法府である国会及び行政府である内閣において果さなければならない職責である。」と結んでいるのであります。
人類の歴史始まって以来の大規模かつ強力な破壊力を持ちます原子爆弾の投下によって、今日もなおその影響が存続し、被爆者の置かれている現状を見るならば、心から同情の念を抱かないものはないはずであります。今日、終戦後十八年余を経て、高度の経済成長を遂げたわが国において、原爆被爆者に対する救援対策が、わずかに限られた医療給付に尽きるということは、政治の貧困を言われてもやむを得ないところであります。放射能による特殊性を認められた、いわゆる原爆症の医療目的を達するためには、国の責任による社会保障が不可欠であるばかりでなく、今日、公務、すなわち軍人軍属あるいは戦犯や引き揚げ者に対する社会立法との均衡から見ましても、被爆者の家族及び遺族に対する国家的援護は当然であると言わなければなりません。この際、私は、このような悲惨な原爆被爆者を将来一人もつくらないということを念願いたしますと同時に、すみやかに現行の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の内容を改善するということが一つ、さらに原子爆弾被爆者援護法の制定についても、具体的な施策を講ずべきであると信ずる次第であります。
以上のとおり、私は原爆被爆者に関する決議案に賛成をいたしまして、諸君の御賛成を得たいと思う次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/19
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020・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより本案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/20
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021・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
ただいまの決議に対し、厚生大臣から発言を求められました。小林厚生大臣。
〔国務大臣小林武治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/21
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022・小林武治
○国務大臣(小林武治君) ただいま可決されました決議につきましては、十分にその御趣旨を体して善処すべく、慎重に検討いたしたいと存じます。(拍手)
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/22
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023・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) この際、日程第三をあとに回したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/23
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024・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/24
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025・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第四、労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。社会労働委員長鈴木強者。
〔鈴木強者発壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/25
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026・鈴木強
○鈴木強君 ただいま議題となりました労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案について、社会労働、委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。
本法律案は、労働保険審査会の受理事件の増加傾向にかんがみ、その迅速適正な処理をはからんとするものであります。政府原案の要旨は、第一に、労働保険審査会の委員を三名増加して六名とすること。
〔議長退席、副議長着席〕
第二に、労働者災害補償保険法、失業保険法、炭鉱離職者臨時措置法による再審査請求及び中小企業退職金共済法による審査申し立てに関する受理事件を、委員三名の合議体で分担処理すること。第三に、委員全員の合議体で受理事件以外の会務を処理し、審査会が定める場合には受理事件を処理すること等であります。
本法律案は衆議院において修正せられ、委員全員の合議体で受理事件を処理する場合を具体的に規定されました。
委員会においては、大橋労働大臣及び政府委員に対し、労働保険審査会の受理事件の概況、処理状況、審査会事務室の機構、職務等に関して、熱心な質疑が行なわれ、特に、審査会の独立性を確保するため独立の事務局を設けるべきではないかとの質疑に対し、大橋労働大臣から、「御意見ごもっともと考えます、関係各省と交渉調整の必要がありますが、御意見の方向で努力いたします」旨の答弁がありましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、藤田藤太郎委員から、審査会事務機構の独立強化を要望して本法律案に賛成する旨の発言があり、次いで採決の結果、本法律案は、全会一致をもって、衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
以上報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/26
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027・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成若起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/27
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028・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/28
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029・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 日程第五、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。地方行政委員長竹中恒夫君。
〔竹中恒夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/29
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030・竹中恒夫
○竹中恒夫君 ただいま議題となりました奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法律案は、奄美群島の特殊性にかんがみ、昭和三十八年度をもって終了する奄美群島復興十カ年計画に引き続き、新たに振興五カ年計画を策定し、その実施によって、復興計画の補完と主要産業の振興をはかろうとするもので、その要旨は、題名を奄美群島振興特別措置法に改めるとともに、目的に主要産業の育成等の措置を講ずることを加え、二、奄美群島信用基金の融資業務に要する資金として国の出資額を追加するときは、今後はそのつどこれを法律上に明定することなく、当然に資本金が増加することとなるように改めるほか、法律の有効期間を延長して昭和四十四年三月三十一日までとすること等であります。
本委員会におきましては、二月四日、早川自治大臣から提案理由の説明を聞いた後、当局との間に、振興計画の完全遂行に必要かつ十分な財政措置を講ずること、基金の出資金の増額、融資条件の緩和、その他、電力料金低減策等について質疑応答を重ね、慎重審査を重ねましたが、その詳細については会議録によって御承知願いたいのであります。
三月二十五日質疑を終局し、同二十六日討論に入りましたところ、日本社会党の修正案が提案され、林委員よりその趣旨説明がありました。
修正案の内容は、信用基金の融資業務に要する資金に対して国の出資額を追加するときは、当然に資本金が増加することとなる旨の改正規定を削除し、そのつど法律上に国の出資額を定めておこうとするものであります。
西田委員は自由民主党を、辻委員は公明会を、それぞれ代表して、修正案に反対、原案に賛成の旨を述べられました。
次いで採決いたしましたところ、修正案は少数をもって否決され、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/30
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031・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/31
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032・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/32
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033・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 日程第六、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長光村甚助君。
〔光村甚助君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/33
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034・光村甚助
○光村甚助君 ただいま議題となりました「放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件」について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本件は、日本放送協会の昭和三十九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、国会の承認を求めんとするものでありまして、その内容を申し上げますと、
まず、収支予算の規模は、収入支出ともに総額七百八十八億八千三百万円でありまして、これを前年度に比べますと、いずれも四十六億六千八百万円の増加となっております。
次に、事業計画につきましては、その重点を、テレビジョン放送局の増設、教育放送の充実、オリンピック放送、FM放送の普及開発等に置いております。
次に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応し、年度中における資金の出入りに関する計画をいたしております。
これらの収支予算等に対し、郵政大臣は、おおむね適当と認める旨の意見を付しております。
逓信委員会におきましては、郵政省並びに日本放送協会当局に対し、難視聴地域の解消方策、放送番組の向上対策、受信料問題、オリンピック内外放送の実施体制、国際放送のあり方、協会運営の根本方針、長期要員計画等、詳細にわたり質疑を行ない、慎重審議をいたしたのであります。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、n本社会党を代表して野上委員より、附帯決議として、
政府並びに日本放送協会は、左に掲げる事項の実施につとむべきである。
一、難視聴地域の解消政策並びに雑音防止対策を積極的に推進すること。
一、オリンピック東京大会の内外放送の実施につき万全を期すること。
一、経営の合理化、能率の向上をはかるとともに従業員の待遇改善に努力すること。
右決議するを付して本案に賛成、次いで、自由民主党を代表して白井委員より、本案に賛成する旨の発言がありました。
討論を終え、採決の結果、全会一致をもって附帯決議を付して原案のとおりに承認すべきものと決定した次第であります。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/34
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035・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/35
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036・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/36
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037・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 日程第三、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長中山福藏君。
〔中山幅藏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/37
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038・中山福藏
○中山福藏君 ただいま議題となりました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案の趣旨は、第一に、簡易裁判所の管轄区域の変更でありまして、土地の状況、交通の利便等にかんがみ、鰍沢簡易裁判所の管轄に属する山梨県西八代郡上九一色村字富士ケ嶺の区域を富士吉田簡易裁判所の管轄とすること。第二に、市町村の廃置分合等に伴い、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表を整理することであります。
委員会は、三月三日提案理由の説明を聴取いたした後、三月二十六日質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/38
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039・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/39
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040・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01319640327/40
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