1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年十一月十一日(火曜日)委員長の指名
で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
エネルギー・鉱物資源問題小委員
天野 公義君 稻村左近四郎君
小川 平二君 越智 通雄君
近藤 鉄雄君 塩川正十郎君
田中 榮一君 田中 六助君
橋口 隆君 深谷 隆司君
森下 元晴君 板川 正吾君
岡田 哲児君 加藤 清二君
勝澤 芳雄君 渡辺 三郎君
野間 友一君 米原 昶君
松尾 信人君 玉置 一徳君
エネルギー・鉱物資源問題小委員長
塩川正十郎君
流通問題小委員
内田 常雄君 浦野 幸男君
粕谷 茂君 小山 省二君
塩崎 潤君 田中 榮一君
萩原 幸雄君 八田 貞義君
前田治一郎君 武藤 嘉文君
山崎 拓君 加藤 清政君
上坂 昇君 佐野 進君
竹村 幸雄君 中村 重光君
神崎 敏雄君 野間 友一君
近江巳記夫君 宮田 早苗君
流通問題小委員長 武藤 嘉文君
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昭和五十年十一月十二日(水曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 山村新治郎君
理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君
理事 武藤 嘉文君 理事 佐野 進君
理事 中村 重光君
天野 公義君 稻村左近四郎君
浦野 幸男君 小山 省二君
近藤 鉄雄君 塩崎 潤君
田中 榮一君 深谷 隆司君
板川 正吾君 加藤 清政君
勝澤 芳雄君 竹村 幸雄君
渡辺 三郎君 野間 友一君
近江巳記夫君
出席国務大臣
通商産業大臣 河本 敏夫君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 福田 赳夫君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 高橋 俊英君
公正取引委員会
事務局官房審議
官 水口 昭君
公正取引委員会
事務局経済部長 野上 正人君
経済企画庁調整
局長 青木 慎三君
経済企画庁総合
計画局長 小島 英敏君
科学技術庁原子
力局長 生田 豊朗君
環境庁大気保全
局長 橋本 道夫君
通商産業省貿易
局長 岸田 文武君
通商産業省産業
政策局長 和田 敏信君
通商産業省機械
情報産業局長 熊谷 善二君
通商産業省生活
産業局長 野口 一郎君
資源エネルギー
庁長官 増田 実君
資源エネルギー
庁長官官房審議 井上 力君
官
資源エネルギー
庁石油部長 左近友三郎君
中小企業庁長官 齋藤 太一君
中小企業庁指導
部長 児玉 清隆君
委員外の出席者
議 員 板川 正吾君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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本日の会議に付した案件
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律の一部を改正する法律案(多賀谷真稔君外九
名提出、衆法第二号)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第二八号)
石油備蓄法案(内閣提出第八号)
通商産業の基本施策に関する件
中小企業に関する件
資源エネルギーに関する件
経済の計画及び総合調整に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/0
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001・山村新治郎
○山村委員長 これより会議を開きます。
多賀谷真稔君外九名提出、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党四党共同提案に係る私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
提出者より提案理由の説明を聴取いたします。提出者板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/1
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002・板川正吾
○板川議員 日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の共同提出に係る私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
御承知のとおり、さきの第七十五回国会においては、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律について、政府、日本社会党、日本共産党・革新共同及び公明党から、それぞれの一部を改正する法律案が提出され、衆議院においては、慎重な審査の結果、政府提出の改正案について、全会一致をもって修正議決したのでありますが、参議院においては、提案理由の説明が行われただけで審査未了となったのであります。
言うまでもなく、今日、独占禁止法を改正するゆえんは、さきの国会における政府の提案理由説明にも述べられているように、最近の著しい経済環境の変貌に対応して、今後のわが国経済の一層の発展を図るためには、情勢の変化に適応した、国民の理解を得られるルールを確立して、公正かつ自由な競争を促進する必要があるからであります。このような認識は、大筋において各党に共通するところであり、この観点から、政府提出の改正案を、より有効適切な内容のものとするため、五党一致により四点の修正を加えたのであります。
修正の内容を改めて申しますと、
第一は、違反行為に対する排除措置の実施後、当該行為の影響を排除するためにとる具体的措置の内容の届け出及び実施状況の報告に関する規定を削除するとともに、公正取引委員会が違反行為の影響を排除するために必要な措置を命ずることができる旨を明確にし、違法な価格カルテル等に対する排除措置の徹底を図ることであります。
第二は、課徴金の算定における基準率を、製造業については千分の四十に引き上げ、また課徴金の納付を命ずることができない額を二十万円未満に改めるとともに、課徴金を算定する場合の減額措置に関する規定を削除し、違法カルテルの抑止効果を大ならしめることであります。
第三は、価格の同調的値上げに対する報告の徴収等に関する規定を削除することであります。
第四は、独占的状態の排除措置に係る審決前における主務大臣との協議に関する規定を削除し、公正取引委員会の職権行使の独立性を確保することであります。
以上の経過からするならば、政府としては、当然今国会に、五党一致の修正により衆議院を通過したものと同一内容の独占禁止法改正案を提出すべきであったのであり、これこそまさに議会政治の本旨に沿うゆえんであったのであります。それにもかかわらず、今日に至るも、政府として独占禁止法改正案を提出しないとする態度は、まことに遺憾と言わざるを得ません。
私どもは、今日、深刻な経済不況の中で、また、今後の低成長経済下において、公正かつ自由な競争を促進することは、必要不可欠な要請であると考えており、このための独占禁止法の改正は、緊急に実現を図る必要があるとするものであります。
四党共同提出に係る本法律案は、さきの第七十五回国会における政府提出の独占禁止法改正案について、五党一致をもって修正したものと全く同一内容のものであります。さきの国会における衆議院通過の経緯にかんがみ、速やかに全会一致をもって御可決くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/2
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003・山村新治郎
○山村委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/3
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004・山村新治郎
○山村委員長 次に、内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び石油備蓄法案の両案を議題といたします。
順次、政府より提案理由の説明を聴取いたします。河本通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/4
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005・河本敏夫
○河本国務大臣 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
中小企業信用補完制度は、創設以来一貫して発展を遂げ、現在三兆二千億円を上回る保険規模に達しており、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にする上で、大きな役割を果たしているところであります。
政府は、経済活動の停滞に伴う中小企業者の経済的困難に対処するため、これまで数次にわたり中小企業金融対策を強化してまいりましたが、中でも信用補完制度につきましては、昨年の第七十二国会におきまして改正をいただきました中小企業信用保険法に基づく倒産関連中小企業者に対する保険特例、保険限度の引き上げ等の措置の機動的運用等により、中小企業の不況対策に大きく寄与しているところであります。
しかしながら、中小企業の中でも最も零細な小企業者層におきましては、不況の長期化に伴い、担保力、信用力等の限界からその資金調達の円滑を欠くおそれも生じており、その面での信用補完制度の拡充が必要となっております。
本法律案は、このような事態に対処するため、中小企業信用保険法を改正し、小企業者層の資金確保につき一層の円滑化を図ろうとするものであります。具体的には、小企業者向けに設けられている特別小口保険の保険限度額を現行の一企業者百五十万円から二百五十万円に引き上げることといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、石油備蓄法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
わが国は、国民生活と国民経済を支える重要なエネルギー源である石油のほとんど全量を輸入に依存しており、一昨年の石油危機の経験に照らしても明らかなように、石油供給の削減や途絶といった事態が生じた場合、きわめて大きな影響を受けることとなります。
世界の主要先進国は、このような石油の供給不安に対処するため、すでにかなりの水準の石油の備蓄を確保しておりますが、わが国といたしましても、緊急時における石油の安定供給を確保するため石油備蓄の増強を図ることが、国民生活と国民経済の安定を確保する上で不可欠であります。
このため、新たに昭和五十四年度末を目標とする九十日石油備蓄増強計画を発足させることとし、このために大量の資金負担が必要となることから所要の財政、金融上の措置を講ずることとしておりますが、今回の石油備蓄法案は、こうした財政、金融措置とあわせて所要の石油備蓄量を確保するための備蓄水準の計画的な引き上げとその水準の維持に必要な法律上の措置を講じようとするものであります。
次に、この法律の要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、石油備蓄の増強を計画的に実現するための措置として、石油備蓄目標の策定、石油備蓄実施計画の届け出等に関する規定を設けております。すなわち、通商産業大臣は、毎年度、石油審議会の意見を聞いて次年度以降四年間についての石油備蓄目標を定めることとし、これを受けて石油精製業者、石油販売業者または石油輸入業者のうち一定の要件に該当する者は、毎年度、それぞれ次年度以降四年間についての石油備蓄実施計画を作成し、通商産業大臣に提出することとなります。この場合において、通商産業大臣は石油備蓄目標の達成のため特に必要があるときは、届け出のあった石油備蓄実施計画の変更勧告を行うことができることといたしております。
第二に、増強された備蓄水準を維持するための規定であります。すなわち、石油精製業者等は、毎年度通商産業大臣が通知する基準備蓄量以上の石油を常時保有しなければならないものとしております。
この基準備蓄量は、石油精製業者等の前年の石油製品の生産量、販売量、輸入量等を基礎として、その総量が、わが国の前年の石油消費量の七十日分から九十日分に相当する範囲内に入るよう算定されることといたしております。
また、この基準備蓄量以上の石油の保有を担保するために、通商産業大臣は、石油精製業者等が、正当な理由なく基準備蓄量の石油を保有していないと認めるときは、基準備蓄量以上の石油を保有すべきことを勧告し、また一定の要件に該当するときは命令することができることとしております。
以上のほか、本法では基準備蓄量の変更、石油保有量等の帳簿記載、石油需給適正化法に基づく対策実施の告示期間における本法の規定の適用除外等について必要な規定を定めることといたしております。
なお、石油備蓄の確保を進めるに当たっては、安全、環境対策上遺漏のないよう万全の配慮を払う必要があることは言うまでもないことであり、この点に関しては、関係法令の厳格な運用、整備等により万全を期してまいりたいと考えております。
以上が石油備蓄法案の趣旨でございます。何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/5
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006・山村新治郎
○山村委員長 以上で両案についての提案理由の説明は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/6
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007・山村新治郎
○山村委員長 通商産業の基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件、以上について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/7
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008・中村重光
○中村(重)委員 公取委員長にお尋ねをいたしますが、昨日板川委員の質問に対して高橋公取委員長は、通産省設置法で価格や生産調整をやることは間違いだと明確にお答えになったわけです。しかし、御承知のとおり業界は、通産省の行政指導でナフサとかC重油の値上げを実施しているわけです。この扱いをどうするのか、不当カルテルとして排除措置を命ずる御意思があるのかどうか、その点お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/8
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009・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 最近決められた参考価格——参考価格と言われておるようですが、これは、それを文字どおり一つの参考にして事業者同士の話し合いによって価格を決めるようにという趣旨である、こういう、きのうからの説明を承っておりましてもそうであります。でありますから、これは一種の行政指導のようなものであります。しかし、これにつきまして、実は前々から私ども、もしその価格に介入といいますか、行政指導的な介入をするならば、石油業法にぴたりと現在の条件が当てはまるかどうかは別にして、石油業法の十五条に言うところの標準額をお示しになったらどうかということを申しておった。ところが、その標準額はこれから審議して決める、それに先立ってとりあえず、これは急を要するからという意味でございましょう、二品目について参考価格というものを指示された。
そこで、これは官庁がそういうものを示すこと自体——ですから、業者がこれに基づいてカルテル行為を行えば、これは適用除外でも何でもありません、ただの行政指導でありますから、カルテルとして規制いたします。しかし、その参考価格を示したこと自体は、われわれとしては、はなはだ好ましくないとは思いますけれども、官庁が行った行為であって、それを独禁法違反というわけにはまいりません。つまり、官庁に対して独禁法違反を適用するということはできない。しかし、それに基づく事業者の間の、石油業界と業者と需要界との交渉、必ずしもその参考価格どおりにまいるとは私は思っておりませんが、しかしまたそういうふうに伝えられておりますが、その間にカルテル行為があればこれを規制するということは申すことはできますが、いまはそのようにはできません。標準額についても、カルテル行為は何ら合法化されておりませんから、その点は同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/9
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010・中村重光
○中村(重)委員 通産省が行政指導をやった。通産省が行政指導をやったことが、これは役所相手の独禁法違反ということがないことは明らかなんです。しかし、それに基づいて業界が話し合いをして、参考価格というのか誘導価格というのか、その行政指導価格によって引き上げを一斉に行っていることは間違いないわけなんです。それならば、当然これは話をやったということが明確になっておる以上は、独禁法違反としてこれをいわゆる不況カルテルとして排除命令を出す、あるいはその他適当な措置を講ずるということが当然ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/10
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011・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 これは少なくとも、たてまえ論としては通産省がその誘導価格を参考価格として、参考価格を業者それぞれにこういう価格でということを示した。しかし、それを今度は業者が相寄って談合をして、この線でいこうということを相談すれば、そういう証拠が出ればこれは独禁法違反でございます。まあお説のとおりでございますが、そうではなくて、事実上はむずかしい話でございますが、それぞれの業者がそれぞれその参考価格をもととして相手方と交渉をするだからその間、横の連絡はとられているわけではなくて、それをむしろとらせないために縦の指導をやったのだ、こう言われますと、それはちょっとカルテルだとはきめつけられないのです。
それから、カルテルがあったかどうかは、実際問題として談合が行われたかどうかということを突きとめる以外にはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/11
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012・中村重光
○中村(重)委員 いまのあなたの見解というのか考え方からいきますと、私は歯どめが全くないと思う。それは石油の問題だけではなくて、政府の行政指導によって価格の引き上げが行われている。それに対して、あなたは法的根拠によらないところの行政指導によって価格を決めることは間違いであるということを強調しておられる。しかし、それは行政指導であるから縦なんだ、横の話し合いはやっていないのだということならば、これはもう業界にしても各省庁にしても痛くもかゆくもないわけです。横の話はしておりません、縦で通産省から、あるいはその他の省庁から指導されたとおりやったのです、そういうことであれば、これはもう申し上げたように、とめどもなくそういうことが行われてくるじゃないか。あなたは形式論なんだ。ただ声を大にして、法的根拠によることなく行政指導で価格を決めることはよくないことだということであるのにかかわらず、それをやっているならば、毅然たる態度をもってこれに対処していくということが当然ではありませんか。調査をどこまでおやりになったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/12
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013・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 中村さんのおっしゃることは一々ごもっともで、そういうこと、つまりたてまえはともかく、実質的には業者の間で連絡をとるということが十分考えられるわけです。連絡をとらないで、たとえば結果が同じ数字が出た場合ですね。それぞれC重油とナフサについて参考価格が出た。しかし、それがフルに出た場合ももちろんですが、完全にそういう結果が得られなくても、たとえばナフサについて見た場合、業者が非常にたくさんあるのに、その結果の数字を見ると全く同じであるというふうな場合、少なくともこれは第三者が外側から見る限りにおいては、その間に協定ありとみなさざるを得ないのです。ですから私は、そういう危険が十分にあるからそういう行政指導によるやり方は困る。ただし、石油業法に標準額は決めてもいいと書いてありますから、これもやってはいけないと言うことば、それは私の方の出過ぎでございます。法律に権原がある。もちろん、これは一つの指導価格でございますよ。それは統制価格ではありませんから同じことでありますが、しかしこれは法律にある。法律にない方法でやるということは、これはどうもはなはだまずいことである。そういうことで声を大にしているという意味なんです。
しかし、どこまで調べたかということについては、いま交渉がまだ始まった段階でございますね。その間において、私の方に非常に余分な人間がおって、一々会社の行動を監視していればともかく、まだそこまで証拠をつかむというか、端緒を得るに至るまでの段階にはなっていないのです、はっきり申し上げて。しかしながら、そういうことについては常に監視の目を光らすつもりでおります。ですから、余り安心して、指導価格が出たんだからお互いに話し合いして、ナフサの点はフルにはできないにしても、七分通りあるいは五分ぐらいでもとりあえずやるかというふうなことをやって同じ価格を設定したとする。価格を設定するのは事業者なんでございますから、事業者同士がそうやってやれば、これはカルテル行為になります。その間、横の連絡があったかなかったかということは、いまにわかにこれを規制するというところまで端緒がつかみ得ないのがあたりまえでございまして、少したってからでないとできないから、これは私は十分監視するということを申し上げるしかない。
その他の御趣旨は、私はよくわかります。そういう趣旨だから、行政官庁が行政指導で価格を誘導するというのは好ましくないということを声を大にして言っている、こういうことなんであります。カルテルを誘発するおそれがある、こういうことでありまして、実際にカルテルが行われたかどうかは、証拠を把握しなければ私どもは処分できない、どうも残念ながら形式だけではできない、証拠がなければできない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/13
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014・中村重光
○中村(重)委員 これから監視の目を光らせるんだ、こういうことなんだけれども、もう現にこれは行っている、いわゆる実行行為はなされているということです。したがって、あなたの方ではこれから監視の目を光らしていくというのではなくて、もうすでにカルテル行為が行われているのではないかということで調査をしているというのか。独禁法上の調査というのか、これからでなく、もうすでに監視の目を光らしておるんだというふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/14
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015・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 こういう問題は、どういうふうにして監視をどこから始めたかというようなことをあからさまに言ってしまうということは、私どもの仕事としては本当はマイナスなんですよ。言ってみれば、隠密裏にこういうことを運ばなければ、実はここで私が答弁したこと自体が、監視の目を光らせますよということは、そういうことをやってくれるなという警告の意味を込めておりますけれども、しかし、本当に独禁法違反をつかまえようと思ったら黙ってやることが一番いいことでございますので、その辺のところはひとつお任せ願いたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/15
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016・中村重光
○中村(重)委員 そこで高橋委員長、あなたの方が声を大にして、法的根拠によらないところの行政指導による価格の決定であるとか、あるいは生産調整であるとかというのは問題である、これは間違いであるというようなことを言っておられる。この石油価格に関係する問題は、中曽根通産大臣の際も行政指導でやるということに対して、私どももそれは間違いではないかということを指摘してまいりましたし、あなたもそれは間違いであるというようなことを言った。にもかかわらず、今度またやった。非常に緊急性であったとかいうようなことを盛んにきのうも河本通産大臣、増田長官も答弁しておりましたが、これはごまかしなんで、もう石油業界が非常な赤字なんだということは前から通産大臣の口からも増田長官の口からも言っておられた。
だがしかし、さきの石油ショックによる狂乱物価、それに対して当時の山下通産次官が、石油業界というものは諸悪の根源であるということを口にした。だから、世論の袋だたきに遭ったということから、業界もその後やみカルテルをやるということについてちゅうちょしただろうし、また、赤字であるということがわかってはいるけれども、この値上げに積極的に踏み出しをすることができなかったというのが実情だろうと私は思うのですよ。だから、時間的余裕というものが十分あったんだ。だから、その間にあなたが主張しておられるように、法的根拠に基づいて不況カルテルの申請であるとか、あるいは数量カルテルの申請であるとか、まあ数量カルテルから価格カルテルという形に移行してくるのでございましょうが、それぞれ石油業法に基づいての措置というものがなさるべきであった。にもかかわらず、しないでおって、そしてきのうの答弁を見ると、決算報告を見たら非常に危険なんだ、これは石油業界の崩壊は産業全体の崩壊につながる、ひいては国民生活を破壊することになるといったようなことで、あたかも急に問題が発生したかのごときごまかしの答弁をしているということは、私はけしからぬことだと思っているのです。
これは通産省に限らず、その他の省においても行政指導によって価格決定をしているんだから、そういうことが起こらないように、やらないように何らかの基準を決めていく必要があるのではないかというように思うのです。あなたの方でもそうしたことについての検討をしておるやにも伝えられておるわけですが、その点に対しての考え方はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/16
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017・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 行政指導による価格や生産に対する介入は、これは恐らくほとんどが競争制限的なものでございます。新しい基準を設定するとかなんとかという問題は、むしろ必要のないことでありまして、要するにそれがどのような形であれ、競争制限にはっきりとつながるおそれのあるものはいけない、この原則は一本で十分だと私は思うのです。しかし、そのことの徹底をまだ欠いておる。まあいいではないかというふうな安易な考えを持たれる場合が多い、そういうことば確かでございます。これはだからいかに徹底を図るかという点が問題でございますが、私はここであえて申しますが、競争制限的行為につながるものはいけない。具体的に例示しますと、この場合いいのか悪いのかというふうなことはいろいろあるでしょうが、下手にこまかい基準をつくりますと、それからはずれる、漏れていればいいのだ、こういうふうに言われても困るのです。競争制限的という言葉は外国では非常に通常の独禁法の性格をあらわすものとして、たとえばOECDの場合におきましてもレストリクティブ・ビジネス・プラクティスというような言葉で言われておりますが、独禁法の目的というのは、すなわち、そういうものを排除することであるということでありますから、それを官庁みずからがそういう方向に旗振りをなさることは絶対に慎んでもらいたいということでありまして、問題はその趣旨の徹底をいかにして図るかということであろうかと思いまして、その点についてはまだ十分な検討はいたしておりませんが、事あるごとに私はその点は申しているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/17
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018・中村重光
○中村(重)委員 何かいまお答えになったようなことを抑止していくために基準について検討しておるということを伝えられておるわけですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/18
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019・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 伝えられたというのはある新聞のことだと思いますが、それは事実ではございません。そういう作業をしているとか、どういう手段をとるとかということをやっておるわけではありません。それは事実でございますから、私の申すことが正しいとお考えになっていただきたいのですが、新しい基準とかなんとかでなくて、要するに競争制限的な、そういうことにつながる指導は絶対やめてもらいたいというのが基本でございます。しかるに現実にはまだ部分的に起こっておる、また行われている場合もあるということでありまして、独禁法に対する理解が行き届いてないということでありましょうし、一方で事業者自身がそういった過去の統制時代の観念を捨てやらず、そういうところに自分の主務官庁に頼って何とか楽になりたいというふうな感じがある。これをやはり捨て切らなければこんなことばまだ続くのじゃないかと思いますが、次第に私はそれば根絶していき得るものだと考えております。具体的なケースがあればその都度、これはいけない、それから一般的にもいま申し上げた趣旨の徹底を図りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/19
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020・中村重光
○中村(重)委員 それからあなたが、政府が価格介入等をする場合は明確な法的根拠によるべきだ、こう言っておられる法的根拠というものの中身は、先般制定をした標準価格が入っているということになりますか。標準価格でやる場合、独禁法上問題はないというような考え方に立っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/20
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021・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 あの国民生活安定緊急措置法、これによる標準価格は石油業法による標準額よりは私は一歩進んだものだと思います。つまりその規制の度合いにおいて一段違うものであると思いますが、しかし、あの場合にも独禁法の適用除外にするかどうかについて政府案の検討の段階において問題になったのです。それは、適用除外はあの法律の中にうたっておりません。ということは、標準価格を決めてこれを守れ、守るようにということを言うことはそれは結構である、しかし、そのためにカルテルのような行為を適用除外として認める趣旨ではないということでありますから、カルテルをやれば依然として標準価格の場合といえども例外ではないという趣旨でございます。これはカルテルの適用除外を認めたらべたべたになってしまうわけですよ。カルテルが横行するということになりますから、それは適用除外にするわけにはまいりません、こういう趣旨でございました。ですけれども、標準価格を守れということは、これはやや強く要請されても、個別業者の指導でありますから——指導といいますか、個別業者に対して法律で決めた価格を守りなさいと言うことは構わない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/21
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022・中村重光
○中村(重)委員 当時この問題については覚書が交換されたというように私は記憶をしておるわけですが、通産大臣もいまの公取委員長の標準価格に対する見解は同一であると理解をしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/22
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023・河本敏夫
○河本国務大臣 私は、この業界が非常に大きな問題を抱えまして緊急事態である、こういう場合には当然行政指導はできる、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/23
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024・中村重光
○中村(重)委員 緊急事態の場合は独禁法違反ではないとあなたはおっしゃるのだけれども、これは違反でないということではなくて、公取は緊急の場合はやむを得ない場合があるということなんで、その点は両者の間は見解が違う。
それから、私がいま質問したのは、そのことをお尋ねしたのではないわけです。国民生活安定緊急措置法によって標準価格が決まるわけなんだけれども、その緊急措置法を制定するときに公取と通産省との間にたしか覚書が交換されたというように私は記憶をしておるわけです。ただいま高橋委員長が答弁をしたような趣旨が覚書に書いてあったというように私は考えるわけです。したがって、通産省としては、あなたの前任者の時代のことなんでいまの質問にはっきりした答弁ができなかったのは理解はできるわけですけれども、長官のお考え方をお聞きになって、いまの高橋委員長がお答えになったことと標準価格の問題に対しての考え方は同一であるのかどうか、見解は同じであるかということについてお答えをいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/24
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025・和田敏信
○和田政府委員 通産省が行います行政指導は、物価の抑制、物不足の解消等国民の要請にこたえまして、目的及び措置を示して明確な形で指導することといたしております。そのような行政指導に関します——この点先生のお尋ねのところでございますが、民間の協力行為につきましては、それが行政指導の範囲内にとどまる限り、独禁法その他違法性の問題は生じないというふうに通産省としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/25
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026・中村重光
○中村(重)委員 その点も答弁になってないのだが、私は経済企画庁長官にこれから経済問題で質問しなければならないので、改めて質疑をいたします。
そこで、通産大臣にもう一点だけ伺っておくのですが、いわゆる緊急時の場合におけるところの行政指導によって価格を決めることは独禁法違反ではないのだということであった。今度OPECの一割の値上げに対しては標準価格でやろうというので、いま審議会に諮問をして、そうして審議会が検討しておると思うのですが、それはどうなんですか。緊急時でなかったから標準価格で決めることが適当であるということでおやりになった。いま行政指導でおやりになったのは、緊急時であったからということで行政指導でやっている。あなたの方はいわゆる参考価格とおっしゃるのだけれども、やったことをやりかえるのではなくて、今度やるのはOPECの一割値上げに対してまた引き上げをしなければならないという考え方からおやりになっておるという意味のきのうは答弁があったように私は記憶をするのだけれども、その点はどうなんですか。
前回は緊急でやむを得ないと思ってやったのだ、今度は時間的余裕があるから標準価格で決めようと思って石油審議会に諮問をしておる、こういうことなんですか。その点を明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/26
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027・和田敏信
○和田政府委員 昨日大臣が申し上げました趣旨を若干敷衍さしていただきます。
行政指導と独禁法の関係でございますが、行政指導に関しましては、通産省の設置法の任務の規定によりましてこれを実施いたすものでございます。ただし、行政指導を行います際には、その行政指導の持ちます性格からいたしまして、特に価格に関しまして実施をいたす場合には緊急事態でなければ軽々にこれを行うべきではないものと考えております。御承知のように、価格は需給関係に従いまして決められるのが本筋でございまして、政府が介入するというような事態はまさに異常な事態でございます。したがいまして、元来行政指導は適法のものとわれわれは承知いたしておりますが、その行政指導を行いますのは異常、緊急事態の場合でございまして、軽々にこれを行使すべきではないというのが大臣の答弁の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/27
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028・河本敏夫
○河本国務大臣 原則はいま政府委員が答弁したとおりでございますが、御案内と思いますが、ずっと石油の価格は抑えておりまして、昨年の夏に解除したわけですけれども、そのときはすでに不況が深刻化しておりまして、なかなか適正な価格に持っていくことがむずかしかった、こういう事態がずっと続いておったわけです。ただしかし、われわれといたしましても、石油業界とそれから需要業界との間で話し合いがつくということを期待いたしまして、しばらくその推移を見守っておったわけでありますが、九月の中間決算が大体判明いたしまして、それを見ますと、昨年の三月以降もうすでに現実に数千億円の赤字がずっと集積されておる。表面、決算面で出てくる数字はほぼその半分でございますが、残りは資産の処分によってそれを埋めておる。九月の状態ではもう処分すべき資産というものはなくなっておる。しかも不況の実情からなかなか交渉も進まない。こういう事態をほっておきますと、すでに数兆円の負債を抱えた現在の石油業界、金はどんどん要るわけですし、新規の借り入ればできない、しかも値段は上がらない、交渉はスムーズに進まない、こういう事態を放置いたしますと、これはもう経営が成り立たない。崩壊寸前である。
そこで、いろいろ考えました結果、最も逆ざや現象のひどいC重油とナフサにつきましてとりあえず参考価格というものを指示いたしまして、この参考価格を参考にして交渉がしやすいように、こういうことでとりあえずこの二品種に限って参考価格を緊急事態として示したわけでございます。
ただしかし、OPECの値上げは九月に決定いたしまして、その値上げの油が入ってくるのは少しおくれますから十一月の末か十二月の初めごろから入ってくる、こういうことになりますので、この分の処理をどうするかということにつきましては、まだ若干の時間的な余裕等もありますので、そこで石油審議会を開いていただきまして、どう取り扱うかということについていろいろ検討していただいておるわけです。あるいは標準価格の設定、こういうことになるかもわかりませんが、二つに分けまして、緊急事態としての処理とOPECの値上げ、こういう二段階に分けまして処理をしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/28
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029・中村重光
○中村(重)委員 先ほどの和田産業政策局長の答弁ならわからないではないのです。緊急事態の緊急事態、全く異常な場合だという、それ以外に政府が価格に介入すべきではない、私は良心的な答弁だと思う。しかし、あなたの答弁だったら、これは十分余裕があったわけだ。そういう場合こそ公取委員長が言う、いわゆる法的根拠、不況カルテルの申請というものがなさるべきであった。それをやらないで、参考価格——誘導価格なんだけれども、公取委員長が法的根拠によらないで価格介入することは間違いであるといったようなことを言われた。また世論が非常にうるさくなってきたということから、参考価格と言われた。しかし参考価格であろうとも誘導価格であろうとも、中身は同じであると私は思う。そういうことだから、通産省と石油業界とは癒着をしておる、こう言われるのですよ。昨日も板川委員が言われたように、もっと公明正大に、少なくとも国民の批判を受けないように行政運営をおやりになるということでなければならないということを私は申し上げておきたいと思う。改めてこの問題についてはお尋ねをすることにいたします。
それから、公取委員長に優越的地位の乱用について二、三お尋ねをしておきます。
最近、化粧品メーカーや家庭電機製品のメーカーがリベートという制度を乱用しておるという感じがしてならない。たとえばマージンを三〇%ぐらい出さなければならないということを考えておるのに対して、一五%とか二〇%とかあるいは二五%とかマージンを低くして、売上高によって累進的にリベートを決めていくというやり方が行われてきていると私は思う。しかも、小売店との間の話し合いによってやっておるのではなくて、一方的にメーカーがこれを押しつけておるというやり方であるわけですが、その点についての公取委員長としての見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/29
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030・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 前々からリベートというものが商慣習としてあります。いま中村さんのおっしゃったように、本来たとえば小売マージンでも相当高い、普通二五%とか、場合によったら三〇%をやるというふうな場合があるのに、これを非常に削減いたしまして、それでリベート主義による、リベートで調整する。言ってみれば、しりをたたく材料としてリベートの累進制度ですか、売り上げ高等によって著しく差をつけるというふうなことをやる。これはいまおっしゃった優越的地位の乱用になるか、あるいは他の項目になるかもしれませんが、これはある度合いを超えた、つまり正常な商慣習ということでございますが、それを超えてやるという手段は、何らかの意味で不公正な取引方法に触れる場合が多いのじゃないかと私は思います。
中には、再販的行為ですね、再販を実際上維持するためにそれを守った者にはリベートをちゃんとやる、守らないとリベートを大幅にへずる、そういうことによって事実上再販行為を——これはやみ再販なんですよ、そういうことをやらしておる例もあるやに聞いておりますが、これは明らかに不公正な取引方法に触れます。再販の維持ということにも十分関係します。そういうことでありますから、その実態、私の方でもどういうやり方をしておるのか十分究明して、独禁法に触れるものは、恐らくあると思いますが、規制したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/30
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031・中村重光
○中村(重)委員 ともかくひどいやり方ですね。余りリベートで締めつけをやるものだから、他のメーカーの商品を売るということをやる。そうするとその店の隣に来て、外交員を使って店を出させる、そして倒産に追い込むという、実にいやがらせというのか、強圧的なやり方というものは、明らかに不公正取引であると私は考える。ですから、あなたはこれを徹底的に究明をするということでありますから、それこそ監視の目を厳しく、大きい目をみはってやってもらう、そして断固としていまおっしゃったように究明をしてそういう点を排除していくということにしていただきたい。
副総理にお尋ねいたしますが、政府は五十年度の経済見通しを五十年十月九日でしたか改定をしたわけですが、どうも見通しのとおりいってないような感じがしてならないのです。したがって、この第四次不況対策の見直しといったようなことも検討されておるようですが、この点に対してはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/31
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032・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 第四次景気対策を発表いたしましてまだ一月ばかり、こういう段階でございまして、いままだその効果があらわれておらぬというようなお話でございますが、おるかおらないか、それをまだ判定する段階ではないのです。私は、この下半期は六・二の年間実質成長、こういうことを目指しておるわけです。六・二というのは年率の話です。これを上半期に比べた成長率は三・一なんです。微弱だ、微弱だ、こう言われておりますが、上半期にはどのくらいの成長だというと、〇・九%です。〇・九%のこの勢いというものが、今度は三・一%の勢いになっていくわけです。あれだけの財政措置を講じますので、これは私は必ず効果が出てくる、しかし、それは時間がかかりますよ。あれを発表して一月余りだ、こういうような今日の段階で、また目に見えるようなそういう成果は私はいまはないと思いますけれども、必ずこれは実績として上がってくる、そういうようなことで、第五次不況対策、景気対策というのをまだ考えておりません。必ず私は、わが日本経済は着実な上昇過程に転ずる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/32
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033・中村重光
○中村(重)委員 私は、第五次不況対策を当然講じなければならぬ。第五次ということが適当でないとするならば、補強と言うんですか、おやりにならなければ、第四次の場合の二兆円にいたしましても、中小企業関係が四千八百億あるわけです。中小企業関係の四千八百億というのは、四十九年度の年末融資は四千五百億であったのです。わずか三百億積み上げているのにすぎないのです。これはこの深刻な不況の中において不況対策という名に値しないと私は思っている。しかも、先ほど通産大臣から提案理由の説明もあったわけですが、信用保険法の特別小口保険を百五十万から二百五十万に引き上げる、こういうことにもなっているわけですね。それに対して、信用保証協会に対してわずか五億円の予算を計上しているのにすぎない。五億円ということになってまいりますと、一保証協会に対して一千万円ですよ。こういうことで、戦後最高の倒産を記録しておる中で、中小企業をこの深刻な不況の中から脱出させるといったようなことは考えられないことだ。
恐らく私は、通産大臣はこの中小企業対策だけでも、第五次というのか、補強というのか、何かやらなければならぬということをお考えになっているのではないかと思うのですが、通産大臣、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/33
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034・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 中村さんは何か勘違いがあるのではないかと思うのですが、中小企業対策四千八百億円ですか、これは別に不況対策のねらっておる最終需要喚起、その点から見て何も計算しておらないのです。その金額は除外いたしまして、今度とりました財政措置は一兆六千億円になるわけです。大体これは三兆円を超える最終需要の喚起につながってくる、こう見ておるので、その年末対策の方は需要喚起の方には少しもこれは計算しておらぬということを申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/34
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035・中村重光
○中村(重)委員 あなたはそういう答弁をなさるけれども、いままで第四次不況対策の中には二兆円だ、そうして中小企業に対しては五千億というものを年末融資という形で計上したのだということを大きな柱として宣伝していることは間違いないじゃありませんか。これはもう全く関係がないのだということは、私は、答弁としては、いままで政府が宣伝をしたことからして納得いかないというのか、理解できないわけですね。これは改めて信用保険法案の改正案の中で十分審議をしてまいりたいというように思います。
そこで、この景気回復のてことしては三つ、四つ言われているわけですが、いま副総理がお考えになっているものは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/35
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036・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 財政措置を主軸とし、補完するに金融政策、こういうことでございます。財政措置につきましては、これはしばしば御説明しておりますが、補完的な金融措置としては、金融の量的な拡大、これが一つ。それから質的な側面と申しますか、金利の低下、これが一つ。それから、さらに信用補完制度の拡充、これが第三である。こういうような、財政を主軸とし、金融面でこれを補完する。なお、付随的に輸出の増強でありますとか、そういうことにつきましても配慮をしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/36
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037・中村重光
○中村(重)委員 金利も柱としてお挙げになったわけですが、公定歩合の引き下げをやった。ところが、貸出金利というものはなかなか下がらないですね。私は、端的に申し上げると、公定歩合の引き下げをやった、それに関連をして郵便貯金なんかの一%の金利の引き下げをおやりになったわけですね。そうすると低所得者に対する目減りを拡大して、そうして銀行の利益を図った、そういうようなことになっているんですね。銀行資本を中心とする大企業の利益を図るために、弱者というのか、低所得者を犠牲にしたということを申し上げてもよろしいのではないかというように考えるのですね。だから、もうただ企業の負担だけをお考えになったというだけで、国民生活全体のことについては余り重点を置かなかったというように考えてもよろしいのではないかと思うのです。
それから、設備投資とか個人消費についてはどうお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/37
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038・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 預金の目減りの問題につきましては、私も、考えてみますると本当に暗然とするというような気持ちでございます。しかし、これを直す手は一体あるのかといいますと、これはもうインフレをやめるほかはないのです。物価の上昇率がだんだんとなだらかになって、そうして預金の金利の水準を下回るという状態にならないと、この問題は根本的に解決されない。しかし、そうかといって、この問題に目を覆うことはできない。
そこで、基本的にどういうふうになっているかというと、一年半のあの狂乱の前後におきましては、消費者物価が二六%上がったのです。そうして預金の金利はどうかというと、七、八%の水準である。これはもう大変な目減りがあった。その根本的な治療方法は、この消費者物価を下げるほかはないというので、そういう政策をずっと進めてまいりまして、今日、一時二六%まで上がりましたのが一〇%まで来た。そういう状態の中で今回預金金利の引き下げに踏み切らざるを得なかったのですが、これはやはりいま私どもが当面している政治の中核は何だというと、景気を回復することである。景気問題のかなめはどこにあるかというと、いま企業が非常な沈滞状態。企業は何で悩んでいるかというと、人件費負担、金利負担なんです。人件費負担の方はことしのなだらかな春闘というのでかなり改善はしてまいりましたが、金利負担の問題も改善しなければならぬ。
そこで、いま求められておる政策課題、最大の問題は、この企業の負担を軽減し景気を回復軌道に乗せるというために、どうしてもその金利水準全体を下げなければならぬという問題になってきたわけです。公定歩合も下げましょう、それから預金の金利も下げましょう、そういうことになったので、まだ消費者物価水準が一〇%水準にあるというそのときに、貯金の金利を一%ではあるけれども引き下げるということをしなければならぬことは、これは預金者の立場を考えますと私どもは非常に心苦しいのです。苦しいのですが、日本経済が生きるか死ぬか、こういう境目の手術としてどうもやむを得ないことだ、こういうふうに考え、預金者にはまことに御迷惑な次第でございまするけれども、国民全体としてこの問題に踏ん切りをつけなければならぬ、そういう段階の一環といたしましてそういう犠牲をお願いする、こういうことにいたしたのですが、しかし、いま中村さん御指摘の弱い人の立場、これは考えなければならぬ。そこで例の福祉預金ですね、これなんかはいま一〇%の金利がつくことになっているのですが、これなどは手はつけない、そのままにしておく、こういうふうにして、郵便貯金の金利の引き下げに当たりましても細かい配慮はしているのです。しかし、全体の貯金金利水準とすると、これは引き下げをし、早く健康体に戻す。かたがた物価も、消費者物価についてはなるべく早くこれを預金金利水準以下に持っていくということに努力する、これが正道であり、それ以外に道はない、こういう認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/38
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039・中村重光
○中村(重)委員 まあ福祉貯金の方は、これは言うに値しない、非常に少額であるわけですが、公定歩合の引き下げが行われた。それでそれに伴って預貯金の金利も引き下げなければならない。ところが、銀行の貸し出し金利というものは遅々として引き下げというものが、特に中小企業等においてはこれは全く行われていないとは言いませんけれども、非常におくれてきている。そうすると、それは零細貯金者から見ると銀行の利益を図るために自分たちが犠牲にされたんだというような感情というものはぬぐい去ることができない。単なる感情ではなくて、事実そういうことがあるわけなんだから、それはもっと厳しく貸出金利の引き下げということをおやりになるのでなければ、いまあなたがお答えになった金利の引き下げというものを大きな柱にしたということにはならないということだけは私は申し上げておきたいと思うのです。
それから、この五十年度の経済見通しの改定と、わが国のこれから進めていこうとする経済政策というものは、これは私は関連があると思うのです。ところが、この高度経済成長政策から低成長に移行していくというプロセスがどうも明らかではない。暗中模索といったような感じがしてならないのですが、その点はどうお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/39
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040・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 その辺については政府としては非常に明解な見解を持っているわけです。つまり、いままで十数年間続いてまいりました高度成長という考え方は再びとらない。そこで、これからの経済はどういうふうに誘導していくかというと、いわゆる適正な成長という路線ですね、安定成長路線と言われる、そこへ乗っけていくという考えです。
その要点は、一つは一〇%を超えるような成長はもうやらぬ、そしてこれを資源の問題、また物価の問題、あるいは国際収支の問題、あるいは公害の問題、あるいは国土、立地条件の問題、そういうものとの均衡がとれるような、しかも世界経済の中でわが国の経済が適正な位置を占めるという世界経済との均衡というものに配慮しまして、かなり成長の速度を落とそうと思っておるのです。まあ落とさざるを得ないが、また落とすことが適切である、こういうふうに考えて、その成長の高さというものをどういうふうにするか、その高さのもとにおける成長の成果というものをどのように使うか。つまり、成長政策の内容でございますが、それは成長中心から生活中心へという方向へ大きく転換をしてみたい、こういうふうに考えております。つまり、成長の高さの問題、また成長の成果をどういうふうに配分するかというその内容の問題、この二つの面から根本的な改定を加えてみたい。そこで、その作業をいまやっているのです。
この作業は、こういう激動期でございますのでなかなかむずかしいのでありますが、さらばと言って、これをじんぜん日を延ばすわけにいかぬ。来年度の予算の編成も迫っておるというので、概略なことにはなりまするけれども、年末までには、これから五カ年間くらいのわが国の経済、財政、そういうもののあり方についての展望を立て、それを背景として予算の編成に当たってみたい、こういうふうに考えておるのです。
しかし、その前に、いまは非常に異例な激動期である。この激動期をどういうふうに対処していくかという問題があるのですが、私は、三年間大体経済安定として必要であろう、こういうふうに見ておるのですが、その三年間の調整過程、この作業は私はかなり順調に今日まで来ておると思うのですよ。
とにかく第一年目の課題は、何と言ったってインフレのあの燃え盛る火を消しとめることである。完全にあの火は消しとめた。まだ余じんがくすぶっておる。いま余じんはだんだんと消していかなければならぬが、消し得る見通しである。もう一方、景気活動、成長の方はどうかというと、これは世界経済の影響なんかも受けまして、当初の見通しよりは大変立ちおくれて申しわけないのでありまするけれども、それにしても上半期〇・九%の成長ということになり、下半期はさらにそれが三・一%ふえる展望を持ち得るようなことであり、世界じゅうがみんなマイナス成長であるという中で、わが日本だけはとにかく低いけれどもプラスである、こういうところまで見得るような段階に来ておるので、そういう調整過程の政策を進めておりますが、その政策を進める中でも、さあこれを先ほど申し上げました中長期の展望にどういうふうにはめていくか、そういうことに十分意を使いながらこの調整過程の政策運営をしておる、こういうのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/40
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041・中村重光
○中村(重)委員 いまお答えになりましたように、いわゆる長期計画というものが必要である、もうこれは当然なことなんです。同時に、激動期におけるところの短期的な対策というものをお考えになるということは、それなりに理解はできるわけですが、それとても産業界になってくると、政府が不況克服として企業設備に対して五・四%にやはり期待を持っておられる。それから個人消費に対しては一五・二%というものを期待しているわけですね、見通しとしては。してみると、産業界はもう少しはっきりした目標というものを求めたい。不況克服によって昔のとおりになるのか、あるいはどの程度にこれから進めていったらよろしいのかというような迷いというものがあるのではないか。その点に対して、どうも企業に対してもっと明確な指針を示しておられないということがやはり私は問題だというように考える。
その点に対してのお答えも伺いたいことと、不況対策としての柱として設備投資とか個人消費ということをどうお考えになっているのか、やはり柱としてお考えになっているのかどうかということなんですけれども、これは改定では申し上げたような数字にはなっておりますが、柱としてお考えになっているかどうか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/41
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042・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 結論的に申し上げますと、柱として考えておりませんです。しかし、今回の第四次対策、これをとらなければかくなったであろうという個人消費また設備投資は、この第四次対策による直接の影響として、効果として政府支出が拡大されるというような影響を受けまして若干の促進はされるわけでございまするけれども、柱としては考えておりませんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/42
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043・中村重光
○中村(重)委員 ところが、個人消費というのは従来の不況克服に対して大きな柱になってきたわけですね。だから、今回といえども個人消費の伸びというものは私は不況対策として大きな柱とすべきではないかというように考えるわけですが、あなたがこれを柱として考えていないということについてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/43
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044・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 家庭の財布の方もこれは引き締まりの傾向です。ですから、個人消費がやや沈滞しておるということは申し上げることができるのですが、しかし消費全体として見まするときに、これは堅実の伸びを示しておると思うのです。
いま下半期の経済を展望すると、いま中村さんもおっしゃったように、年率一〇%成長だ。しかし、その中で個人消費がどういう位置を占めるかというと、実に一五%前後の伸びを示すであろう、こういうことになる。政府投資の方も一五、六%の伸びです。そういうふうなのにかかわらず、全体の名目成長が一〇%だというゆえんのものは何かというと、やはり輸出の落ち込みです。それから設備投資の落ち込みだ。これが響いているのです。だけれども、設備投資だ、輸出の伸びが大変な落ち込みを示しておるその中で、日本の経済がとにかく全体とするとプラス成長であるとするゆえんのものは、まさに個人消費、それから政府の財政、これが支えておる、こういう状態なんです。
そこで、個人消費につきましては、これはこういう関係にあると思うのです。
不況期におきましては、個人消費の全体の国民生活におけるシェアが高くなります。たとえば四十年度不況、あのころは五六%のシェア、国民消費需要です。それがだんだんと景気が回復するにつれまして多少下がってくる。二、三年前、三、四年前、そういう段階では五一%ぐらいに下がっておる。なぜ下がるかというと、景気がいい。景気がいいときには設備投資がこれを主導する、あるいは輸出がこれを主導する。そういう輸出や設備投資の需要のシェアが高くなるものですから、国民生活のシェアというものは下がる。しかし、今日は輸出が非常に沈滞しております。また、設備投資も非常な落ち込みだ。そういう状態の中において国民生活需要の占めるシェアはどうなるかというと、これはまたほんと上がりまして、ことしなんか五六%ぐらいになろうとしているのです。
そういう国民消費需要の現実でございますが、さて過去の景気循環のときといま非常に違った様相が出てきておるのは、わが国がいままでのような高度成長政策を支えた条件というものをもうことごとくというくらい失っておる、そういうことかと思うのです。いままでの景気循環であれば、個人消費も刺激しましょう、あるいは設備投資も刺激しましょう、需要確保もみんなそろって刺激したのです。それで景気が盛り上がるというのですが、さて今回の様相を考えてみますと、これから先ば世界が非常に不安定です。ことに資源有限時代だ。その中において一番大事なことは、何と言ったってわれわれ日本人が資源を節約しなければならぬという問題になってくるのですよ。
また、そういう中において、わが国においては社会的公正というか、そういう路線を進めなければならぬ。社会的公正という問題はどういうふうにして解決するかというと、これは何と言ったって財政手段によるほかはない。財政のウエートをだんだんと大きくしていかなければならぬ。そういうことになりますと、各家庭の消費の方を余り刺激する、そういう考え方をとれば、それは財政の方をそういうふうに伸ばすわけにいかぬ、そういうこともあり、またしばらくの間公債財政というものが続くですよ。公債というものは、ただいまも申し上げました考え方のうらはらをなすものでありますが、公債を出して、そして政府が金を使う。その金は一体どうするかというと、国民がこれを貯蓄なりあるいは公債を買ってくれるということである。それはつまり、またこれを裏から言えば国民の消費がそう伸びないのだということにならざるを得ない。
そういうことを考えましても、あるいはいま国の当面する最大の目的は何だ、政治目標は何だというと、景気を回復することである。景気を回復するためにはいろいろ方法があるわけですが、さて個人消費を刺激する方法としては、減税ぐらいしかないでしょう。減税をするためには財源が要るのです。一兆五千億円の財源を使って減税をする。減税をするということになれば、それだけの個人消費を刺激する効果はありましょうが、それは個人が使うだけの話だ。しかし、個人がそうは使いません。貯金をする人もあります。一兆五千億円の金を使って景気刺激を求める、これは幅が非常に狭い。そこで私どもは、財政だ。住宅をつくりましょう、下水道をつくりましょう、道路をつくりましょう、また農業の基盤を整備いたしましょう。そういうふうに、住宅をつくりましょうという政策を中心にして公共事業を行おうというのですが、これは何倍かの効果をもって最終需要を盛り上げる。私どもはそれをかたく見て二倍だ、こういうふうに言っておるわけです。
それから、いま非常に重要な問題は雇用の問題です。減税をして、その家庭に多少の余裕ができたと言っても、これは雇用の問題には貢献いたしません。しかし、住宅を建てます、下水道工事を始めますと言えば、そういう最終需要の喚起を生ずると同時に、雇用の問題に非常に大きく貢献をする、そういうので、今回財政主軸の景気対策をとった、こういうふうに考えている次第でございまして、大体御理解をいただけるのじゃないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/44
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045・中村重光
○中村(重)委員 いまあなたが減税の問題にもお触れになったのだが、私は、個人消費というものは需要を刺激することについて大きな役割りを果たすということは、これはまず間違いはないと思うのです。それから減税もそうなんです。減税というのは非常に即効性があるということです。消費に結びつく。そのことは生産活動を活発にしていくということにつながっていく。
減税の問題と、いまあなたがお答えになったいわゆる赤字国債の問題とは結びついてくるということを、私は否定するものではないのです 赤字国債の問題にいたしましても、この財政のいわゆるバランスのとれた節度ある財政対策ということをお考えになるならば、必ずしも私どもが懸念をしているようなインフレという形に結びつくことにはならないと思うのだけれども、しかしあなたの方では肝心かなめの税制の問題についても、租税特別措置法というものを改定して、そして大企業に対するところの不当な減免の措置を講じていくということ、いわゆる税の不公正ということを是正しないまま赤字国債を発行するということに問題があるのだということを言っているわけです。
だから、この減税の問題というものはきわめて即効性がある。公共投資なんというものは、契約から工事を始めるまで半年とか幾らとかという時間がかかるというようなことで、これはなかなか簡単にはこの景気回復に結びつかない。ましてやいま政府が考えておるところの大型プロジェクト、本四架橋であるとかあるいは新幹線であるとかというものは、全般的な景気回復に結びつくものではないというように私は考えている。ですから、やはり個人消費を喚起するということ、減税政策と一体のものはいわゆる大衆の減税政策ですが、これは十分に検討に値するのではないか、これは必要な対策ではないかというように考えるわけですが、その点はいまの答弁ではまだはっきりしない点があるのでございますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/45
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046・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 減税をするとなると、財源が要るわけですね。同じ財源でいま政治が求めておる最大の課題である景気浮揚をするには何がいいかというと、減税、私はそれは消費購買力を増加するという効果があることは否定しません。しかし、それよりは公共事業をやる。ことに住宅なんか仮にやってごらんなさい。住宅がどんどん建てられますということになれば、それは材木も要ります、セメントも要ります、鉄材も要ります、サッシも要ります。そして家ができてしまえば、テレビや、また電気諸機械が要る。大変な消費効果を発揮するわけなんです。しかも残るものがある。家が残るのです。しかも、さらにそのために人が直ちに雇用の方に使われるということで、それが回り回って国民の消費購買力になっていくのですから、それはこっちの方がはるかにいま当面しておる経済情勢から見ると有効であるということは、私はそう議論はないのじゃないかと思うんです。
そういうようなことで、消費刺激、最終需要刺激という角度からしますと、四つの項目があります。国民の家庭の消費、それから設備投資、また輸出、政府の支出、こういうことがありますが、まあ輸出と言ったってそう景気浮揚を輸出にお願いしますという国際環境じゃなし、設備投資も、設備はいま余っているのですから、金を貸しましょうと言ったって、それは例外的に公害だとかあるいは安全だとか、そういう投資はありましょう、これはそれだけの対策をとりますが、しかし、本当に国民経済を上向きに引っ張っていくという牽引力、これは財政以外にはないというのが私どもの見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/46
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047・中村重光
○中村(重)委員 私は、大型プロジェクトが適当でないと言ったのであって、住宅投資であるとか、あるいは学校であるとか、その他生活関連の、地方自治体に事業を行わしめるといったような公共投資は、これは大いにやるべきであるということなんです。それはもうやらなければいけない。ただ、時間的な関係ということだけで減税は即効性があるではないか、公共事業というものは時間的な関係があってなかなか進まないという、ただ減税を景気回復策としてお考えになるべきであるという点から引き合いに出しただけのことであって、これはもっと地方自治体の財政を確立させて、地方自治体に対して、いまあなたがお答えになったような公共投資を行っていく。特に住宅投資を中心とする公共投資を大いにやらせるべきであるということについては、これはもう賛成なんですね。きょうはもう時間がありませんから、ほかの問題の質問を私はしたいので、改めて御出席をいただいて、もっと掘り下げた具体的な問題についてお尋ねをいたしたいというように考えております。
次に、私は原子力対策についてお尋ねをしたいわけですが、科学技術庁から生田局長お見えですね。この原子力の発電所はいま何基稼働しているのか、それから、もうすでに原子力発電を設置したもの、それから建設中のもの、計画中のものもあわせてひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/47
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048・生田豊朗
○生田政府委員 原子力発電所でございますが、現在営業運転に入っておりますものが九基、合計出力四百四十五万キロワットございます。このうち運転中のものが四基でございまして、五基が停止いたしております。停止いたしておりますものは、いずれも電気事業法に基づきまして定期検査をしているものでございます。
なお、建設中のものでございますけれども、建設中のものが完成いたしますと千六百六十万キロワット、二十三基になるわけでございます。計画中のものがそのほかに三百三十万キロワットございますので、計画中のものが完成いたしました暁には、合計出力千九百九十万キロワットに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/48
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049・中村重光
○中村(重)委員 どうですか、あなた方の原子力発電に対する期待という点からいって、余りにも故障が頻繁に起こる、停止をするといったような基数が非常に多いわけですが、その点は予想しておったことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/49
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050・生田豊朗
○生田政府委員 昨年から本年の初めにかけまして、先生御承知のように、原子力発電所に各種の、私どもは故障と考えておりますが、故障が相次いで起こりまして、それの修理あるいは点検のために稼働率が一時非常に下がったわけでございます。先ほど御説明いたしましたように、点検あるいは修理が逐次完了いたしておりまして、今後、本年末にかけまして相次いでまた運転に入る次第でございますので、一時非常に下がりました稼働率は相当程度まで回復すると、かように考えております。
それで、発生いたしました故障でございますけれども、いずれも現象的には非常に軽微なものでございます。ただ、従来予想していなかったようなものが相次いで起こりましたので、その原因の探求あるいは対策に努めてまいったわけでございますが、大体一段落したと思いますので、今後は順調に運転が続けられる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/50
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051・中村重光
○中村(重)委員 原子力船「むつ」の問題は、私はこの委員会においても先般取り上げてきたわけですが、いろいろ新聞に報道をされているわけですが、「むつ」の修理のための入港としてどこをお考えになっておられるのか。佐世保といったようなことが盛んに書かれているわけですが、それらの点について、時間的な関係もありますので、いままでの経過、それからこれから取り組もうとしていることについての考え方等々についてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/51
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052・生田豊朗
○生田政府委員 昨年「むつ」が太平洋で漂流いたしまして、大湊港に帰港いたしましたのが昨年の十月十五日でございますから、すでにそれから一年余りの時間が経過いたしております。帰港いたしました後、この原子力船の開発計画あるいは今後の定係港の問題につきまして根本的に再検討をするということで、各種の作業を進めてまいったわけでございますが、まず第一に、いわゆる大山委員会でございますが、放射線漏れの原因を探求いたします調査委員会を設けまして、専門家の方に御検討いただきました結果、これはすでに報告書が提出されております。
その報告書によりまして、原子力船開発事業団の体制あるいは機能の整備強化が提案されておりますので、それに基づきまして人事の入れかえあるいは機構の強化その他をすでに完了いたしております。それから、同じくその報告書におきまして、原子力船「むつ」が、これは今後も原子力船として十分使用あるいは利用にたえるものであるということの結論が出されましたので、それに基づきまして、これは後ほど御説明申し上げますけれども、「むつ」の点検、修理を行うべく作業をいたしております。
その前に、果たしてわが国におきまして原子力船がどういう価値を持つものであるか、原子力船の開発が今後とも必要であるかどうか、これをもう一度原点に立ち返りまして根本的に見直すべきであるという観点に立ちまして、原子力委員会に原子力船懇談会という新しい機構を臨時に設けまして、これも各界の専門家の方にお集まりをいただきまして、七回御審議いただいたわけでございます。その結果、世界の大勢あるいはわが国の各種の情勢から考えまして、今後とも原子力船の開発は必要であるということが第一、そのためには原子力船「むつ」を今後とも開発を続行いたしまして、将来来るべき原子力船時代に備えるべきであるという御結論をいただきましたので、それに基づきまして原子力船第一船、すなわち「むつ」でございますが、その開発計画の再検討をいたしておる次第でございます。
そこで、「むつ」それ自身でございますけれども、以上のような前提に立ちまして、「むつ」の総点検とそれから改修をいかにしてやるべきかということにつきまして、非常に具体的な作業を原子力船事業団がしばらく以前から始めまして、一応原子力船事業団の作業といたしましては完了いたしております。
これは、まず改修につきましては、昨年の問題の放射線漏れを起こしました原因でございます一次遮蔽でございますが、これの修理をすることにつきまして幾つかの案をつくりまして、この修理を行う計画を策定したわけでございます。それと同時に、昨年の放射線漏れの原因はもうすでに明らかでございまして、その一次遮蔽の問題でございますけれども、あれだけの問題を起こしました船でございますので、この際ほかの点につきましても、つまり原子力船としての全般につきまして総点検を行うべきであるというように考えまして、設計からハードウエアに至りますまですべてにつきまして総点検を行いまして、この際原子力船としての安全性を完全に確認いたしたいということで、総点検計画も同時につくったわけでございます。
原子力船事業団のこの二つの計画、すなわち改修計画と総点検計画につきましては、いずれも計画の作成は先ほど申し上げましたようにもうすでに始めたわけでございますが、一応の計画といたしましてその完了が昭和五十三年度末ということでございますので、今後約三年余りの時間をかけまして、総点検と改修を周到に進めてまいりたいということでございます。
ただ、原子力船事業団の計画がそのようにできましても、それをさらに念を入れまして政府といたしまして十分に確認する必要がある、かように考えまして、科学技術庁と運輸省と共同でむつ総点検・改修技術検討委員会という委員会を設けまして、これも各界の専門家の方を中心にいたしまして、両省庁の職員もそれに加わりまして、この事業団が作成いたしました総点検、改修計画を政府の立場でまた初めから終わりまで十分に審査するという立場で現在審査中でございます。すでに二回この技術検討委員会が開かれておりまして、今月の下旬に第三回を開く予定でございます。この第三回の結果いかんでございますが、私ども計画といたしましては、一応今月の下旬にこの第三回目の技術検討委員会を開きました段階で、この事業団作成の両計画につきましての政府の審査は完了する、かように考えております。
そこで、この技術検討委員会ば今後とも存続いたしまして、今後この両計画を実施に移します段階におきましても、十分この政府の立場からそれを監督いたしまして審査するということを続けるわけでございますけれども、とりあえず計画の段階としては、この政府の審査が今月の下旬に終わることに相なりますと、修理、点検を行うことにつきましての政府といたしましての確信がそこで出てまいるということになるわけでございますので、以上、長々と御説明申し上げましたけれども、この三種類の作業がそこで完了するわけでございます。すなわち、私ども事務当局といたしまして、一応原子力船「むつ」の今後の持っていき方につきまして事務的な準備が今月の下旬に完了する、かように考えております。
先生御質問の、しからば後をどうするかということでございますが、昨年の青森におきますいわゆる四者協定でございますが、その四者協定によります約束もございますし、政府として当然それを履行する義務がございます。その事務的な作業が完了いたしました後なるべく早い機会に、この四者協定の履行のためにまず「むつ」の修理の開始に取りかかりたい、かように考えておりますが、それをどこで行うか、それから、そのための地元との交渉、折衝をどのような形でどういう時期に行うか、その点につきましては、ただいま申し上げましたような事務的、技術的な検討のほかに、各種のいろいろ政治的な御判断も必要かと思いますので、事務的な準備をただいま御説明申し上げましたような段取りで整えました上で、政府の首脳部の御判断を仰ぎたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/52
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053・中村重光
○中村(重)委員 端的にあとは答えてください。
その四者協定によって陸奥湾から出航しなければならぬタイムリミットというものはいつなのか。それで、その総点検をするために入港しなければならない日にちはおのずからそういうことで出てくるわけですから、その港に対していつごろ要請をするつもりなのか。それから、その候補地としてどこをお考えになっておられるのか。それからもう一点は、総点検とおっしゃったのだけれども、この放射線漏れを、遮蔽の材質であるとかあるいは非常に厚みが薄かったとかということで、つくりかえをしなければならないというようなことのように伺っているわけだから、それはそのとおりなのかどうか、そこらあたりを端的にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/53
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054・生田豊朗
○生田政府委員 まず第一の青森での四者協定の内容でございますけれども、「むつ」が大湊港に再入港いたしましてから二年半を目途として母港の移転を行うということでございます。先ほど申し上げましたように、大湊に再入港いたしましたのは昨年の十月十五日でございますので、それから二年半ということになりますと昭和五十二年の四月十五日がちょうど二年半、それを目途としてその前後にということが四者協定の内容でございます。
それから第二点でございますけれども、その移転先としてどこを考えているかという御質問でございますが、私どもはこれを二段階に分けておりまして、青森での四者協定の内容は、ただいま申し上げましたように母港の移転ということでございますが、その後、先ほど申し上げました各種の作業をいたしました結果、原子力船の新しい母港をどういう形でどこに建設するかと申しますのは、今後の原子力船の第二船以降、つまり実用船としての原子力船が、どのような大きさの船がどういう時期にどういう形で実用化されてくるかということの見通しをもう少し固めませんと、その母港の決定が技術的にかなり困難でございますので、これをしばらく先に延ばしまして、とりあえずその間に、先ほど御説明申し上げましたようなスケジュールで「むつ」の点検、修理を先に行いたい、これが約三年余り要するわけでございますので、この修理、点検を進めながら、恒久的な母港の建設計画につきましてはその間に検討いたしたいということで、二段構えで考えている次第でございます。
修理港といたしましては、具体的にまだどこという地点を私ども決めておりません。ただ、「むつ」という船は、現在運輸省の船舶安全法の規定に基づきまして海上公試を実施している段階でございます。まだ完全な船として完成したものではございませんけれども、あの船体が完成いたしましたのは昭和四十四年でございます。大湊港に回航されましたのが四十五年でございまして、それ以後一度もドック入りいたしておりませんので、運輸省の専門家の見解といたしましても、この際やはりドックに入れまして、十分船体も点検する必要があるということでございます。したがいまして、それをあわせ考えまして、しかるべき場所、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/54
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055・中村重光
○中村(重)委員 佐世保の辻市長が、修理のために佐世保に入港することを歓迎する、こう言っているわけだ。あなた方の方では、技術的に検討しなければどこにするかはまだはっきりしない、こう言っているわけだ。技術的な点から見て、佐世保の入港ということは、問題がなければよろしいとお考えになっておるのかどうか。それから、佐世保港では漁業者は言うまでもなく、市民層がこれに反対をしているわけですが、それに対して、反対を押し切ってでも、佐世保が適当であるとすれば入港するという考え方を持っているのかどうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/55
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056・生田豊朗
○生田政府委員 佐世保の問題でございますけれども、これまでも三木総理あるいは佐々木大臣が国会答弁において数回表明されております御見解でございますが、従来、この修理港といたしましても、あるいは母港といたしましても、全国各地からいろいろお話はございます。しかし、その所在地の自治体の首長から、個人的な見解ということではございましても受け入れてもよろしいというような御意見が表明されましたのは、現在までのところ佐世保だけでございます。長崎の県議会におきましても、先般原子力の平和利用の促進についての決議が採択されております。かようなことでございまして、総理あるいは佐々木大臣が従来から申されておりますように、そういう佐世保市長の御意向あるいは県議会の決議というものが出されましたことは、大変私どもとしてはありがたいというように考えております。
ただ、それではいかに今後進めるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、事務的な段取りが済みました後、各種の条件を踏まえまして、政府首脳部の総合的な御判断を仰ぎたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/56
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057・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、事務的にはすでに完了したということをお答えになったのだが、そうした事務的、技術的に検討してもう完了しておるとすると、佐世保の港は修理、点検のために入港する港として適当であるという考え方の上に立っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/57
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058・生田豊朗
○生田政府委員 現在までのところ、事務的な準備が今月の下旬に完了すると申し上げましたのは、佐世保あるいはほかの地点というような具体的な港につきましての検討では必ずしもございません。この港がどこであるかということにかかわりませず、必要な修理、点検計画の作成、審査、あるいは修理、点検を行うための条件というものが事務的に整うわけでございますので、少なくとも現在の段階におきまして、佐世保でなければならない、あるいは佐世保にすべきであるということは、事務的にはまだ結論は出しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/58
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059・中村重光
○中村(重)委員 だから、あなた方の方ではそれは結論は出してないのだろうけれども、佐世保の市長と接触したかどうか知らないが、漁業者団体であるとかあるいは市民団体等との接触はあるわけだから、それに対して、反対をしないで受け入れをしてもらうようにというようなことを言っていることは事実なのだから、だとすると、佐世保は港として適当であるというふうにお考えになっているのかどうか。それから、反対があることも事実だから、その反対に対してはどう対処しようとお考えになっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/59
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060・生田豊朗
○生田政府委員 技術的に申しまして、先ほどのドックがあること、それからその他の条件、原子炉の修理その他につきましても、必要な施設あるいは専門家の確保その他につきまして、佐世保という場所がそういう条件に適合した場所の一つであるということは申し上げられるかと思います。
ただ、辻市長の御発言あるいはその他のことがございまして、地元からいろいろ御意見が参っております。それから、地元の反対の御意見の方とも私どもお会いしたこともございますし、あるいは漁業者の方ともお目にかかっております。お目にかかりまして、私どもは、先ほど申し上げましたような段取りで政府が作業を進めていること、それから、特に一番御懸念の中心でございます安全性につきましては、もしも御説明できる機会があれば私どもとしては十分安全性について御納得のいくような説明を申し上げたいし、そういう機会があれば必ず納得していただけると思うということを申し上げておりますので、私どもはそういう反対を押し切ってあえて強行しようという気は毛頭ございません。なるべくそういう機会を得まして、十分安全性を中心にいたしました御説明を積み重ねてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/60
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061・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、反対を押し切って強行するという意思はないと明確なお答えがあったわけだから、それはそれを信頼をいたします。
それから、炉を積んだまま総点検のために入港するのでしょうが、入港したらば、いわゆる炉も点検をする、あるいは悪い点があれば修理をするということなのか。それから、遮蔽は先ほどお尋ねしたようにこれをつくり変えなければならないというように私は思っているのだけれども、それをつくり変えることになるのかどうか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/61
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062・生田豊朗
○生田政府委員 「むつ」の修理をいたします場合には、もちろん原子炉を積んだまま修理港に入港することに相なるわけでございます。
先生の御質問は、炉心にございます燃料棒の問題だろうかと考える次第でございますけれども、燃料棒を原子炉の中に格納したままで修理をするのか、それを抜くのかということにつきまして、これも専門家で検討いたしまして、現在のところ、燃料棒をそのまま原子炉の中に格納いたしましたままで修理が可能であるということであります。
それから遮蔽につきましては、これは先ほども御説明申し上げましたように、昨年の放射線漏れの原因がその一次遮蔽にありますので、これは相当大幅な改修が必要でございます。細かくなりますので省略させていただきますが、その遮蔽の改修の方法につきまして三つほどの案を考えまして、現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/62
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063・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、タイムリミットとして正式要請をしなければならない時期はいつごろまでということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/63
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064・生田豊朗
○生田政府委員 青森での四者協定との関連、それから先ほど来御説明申し上げております点検、修理の所要期間というものを考えました場合に、その正式要請をいたしますデッドラインがいつかということは必ずしも明らかではございません。つまり、非常に近い時期にデッドラインがあるということではございません。ただ、私どもといたしましてはこの「むつ」の点検、修理になるべく早く取りかかりたいというふうに考えておりますので、そのデッドラインがいつであるかということを別にいたしまして、でき得ればなるべく早い時期に政府の首脳部の御判断をお願いしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/64
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065・中村重光
○中村(重)委員 なるたけ早い時期というのは、事務当局としての希望する時期はいつごろですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/65
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066・生田豊朗
○生田政府委員 その辺は各種の政治情勢その他の御判断によるかと思いますが、一応事務的なベースだけで申し上げますと、今月の下旬にこれまで進めてまいりました各種の作業が一応完了するわけでございますので、そこで一応事務的な準備は完了したということを御報告申し上げまして、なるべく早く御決断をお願いしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/66
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067・中村重光
○中村(重)委員 最後に申し上げておきますが、長崎県は水産県であるということ、それから被爆県であるということ、それから、いま反対があったらばそれを押し切って入港するということはないということであったわけですが、これはただいま私が申し上げたようなこと、それから佐世保が人口密集地帯であるということ、それらの点から、原子力船の入港というものは不適当である。もうこれは説得これ努めるといったようなことでいろいろな策を弄して強引なやり方をするということだけはおやりにならないように、その点だけははっきり申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/67
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068・山村新治郎
○山村委員長 野間友一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/68
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069・野間友一
○野間委員 環境庁、来ていますね。それでは先に聞きます。
新しい形の公害として、いわゆる超低周波の騒音公害というものが最近目立っております。そこで、先に聞きたいのは、超低周波による公害と思われるような事例は全国でどのくらいあるのか。そしてまた、どういう症状を訴えておるのか、あるいはいつごろからこういうものはあるのか、まずその点から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/69
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070・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 御質問の、全国にどれくらいあるかということでございますが、私どもが初めて全国の苦情調査の中で低周波の問題を意識をして聞いて得た件数は、四十九年度分からでございまして、全体で百十件という数字を私どもは得ております。
どういう訴えがあるのかということでございますが、これはすべてのケースについて私どもが得たわけではございませんが、和歌山等で実際に起こっているケース、あるいはそのほかの地域で起こった一部のケースを聞きますと、一番具体的な問題は、戸や障子が地面の振動もないのに、あるいは音も聞えないのにがたがたするということが一つと、それからもう一つは、体の調子の方でございますが、どう言いますか、非常に不快感があるということでございまして、これは耳に圧力を感じたり、あるいは頭が痛いと言ったり、胸が少し押さえられるような圧迫感を感じたり、腹部に不快感を感じたりするというようなことが苦情の中にあるというぐあいに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/70
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071・野間友一
○野間委員 それからその超低周波は、その周波数、それから主訴、被害の関係で言いますと主な訴えですが、音圧、デシベル、その関係もあろうかと思いますけれども、環境庁としていまの超低周波騒音公害、ヘルツないしはデシベルですね、周波数と音圧、これについてどのように認識しておるのか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/71
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072・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 超低周波についてどのように認識しておるかという御質問でございますが、私どもは、大体二十ヘルツ以下の周波数のところのものでございまして、そして音圧としては一体どれくらいのところで影響があるというぐあいに考えておるかということでございますが、WHOがいま世界じゅうの学者から集めて、騒音についての健康に対する影響の判断資料というのを製作中でございますが、その中にごく一部に、耳に聞こえない音、これが現在われわれの申しております超低周波でございますが、そういう音による健康影響の問題を若干扱って出しているところがございます。
その資料によりますと、いままで非常にデータが乏しいということが一つと、それから従来のデータは、多くの場所では耳に聞こえる音も一緒に伴っているので、少しはっきりしないところがあるという限定はございますが、超低周波というのは二十ヘルツ以下、特に十六ヘルツあたりなんだそうでありますが、そういうところで百二十デシベル音圧レベル以下ではこれは問題はない、百三十デシベルぐらいのところで不快感や何かという問題があるが、重大な障害というものはないというぐあいに言われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/72
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073・野間友一
○野間委員 和歌山の住友金属の周辺のいわゆる被害者、これは四百人以上を数えておるわけですね。不快感を通り越して、目まいとか、あるいは立ちくらみ、倒れるとか、鼻血を出すとか、いろいろな症状があるわけですが、ここでは大体何デシベルくらいで被害を受けておるのか、どのように把握しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/73
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074・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 いま御指摘のあった住友金属の問題の経緯は存じておりますが、何デシベルかという測定の資料が私の手元にはいままだございませんので、どのくらいのデシベルあたりのところでそういう苦情が出ているかということを現在お答えできませんので、資料を得ましたならば先生にお話しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/74
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075・野間友一
○野間委員 同じ市内で鷹匠町というのがありますけれども、ここではメリヤスの工場からと思われるものの被害もあります。これについてば知っておると思いますけれども、ここでは大体周波数と音圧、そういうのはどのように認識しておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/75
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076・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 いま御指摘のもう一つの鷹匠町の問題でございますが、私どもが県から伺いましたデータ、またそのデータは東大の西脇教授もはかられたデータであるというぐあいに承知をしておりますが、十六ヘルツのところで五十三から五十六というのが被害を訴えておられる方の家における音圧レベルであるというぐあいに私は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/76
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077・野間友一
○野間委員 これは学問的にもまだ新しい分野で、これから早急に研究しなければならぬというのも当然の話でありますけれども、このようにして人間の五感というか、耳にとらえることができない。しかしながら、この中で大きな被害を受けて、鼻血が出たり、突然倒れたりというケースもずいぶん出て悩まされておる。鷹匠町でも、私もずっと調査に参りましたけれども、大体被害者が五十数名から七十名というものを数えております。住友金属では先ほど申し上げましたように四百人以上の被害者がおるわけですね。住友ではいろいろと手当てを考えたようであります。この現象はもう三十八年ごろから始まっておるわけですね。鷹匠町では四十二年ごろからこういう症状が起こっておる、これは先ほど局長言うたけれども、四十九年度に百十件、そういうのを全国で聞いておるということですが、いままでどのような対策を立ててきたのか、これについてまず伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/77
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078・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 従来の対策はどうかという御質問でございますが、残念ながら、従来は騒音規制法というものの中で、耳に聞こえる音という範囲内でのこの規制対策を講じておったというのが実態でございます。そういうことで、耳に聞こえない音に至るまで、公害行政の中では、少なくとも国のレベルでは、この問題に対して特別に意識的に対策というのは立てておりませんでした。
そこで、先ほど御指摘のあった和歌山のケースにつきまして、これはいつから環境庁が触れ出したかは私はいまちょっと詳細には存じませんが、この和歌山のケースに絡んで、国としてもこの問題について事情を聞いてデータを得たという問題と、もう一つは、環境庁といたしまして、この振動の規制を法制化すべきではないかということで、中央公害対策審議会で四十八年以来この審議をいただき、基本的な方向としては答申は得たわけでございますが、その先の技術的な議論の場合に、振動の問題を扱うときにはいま申し上げた低周波の問題というのをぜひ見逃してはならないということで、四十九年の振動に関する苦情の調査からこれをつかまえ始めたというところでございます。
そういうことで、五十年度におきましては、いま言った統計も一つございますし、また、いま先生の御指摘のあった和歌山の二つのケースもございます。そのほかに私どもも一、二、自治体として独自に測定をされたもの、あるいは学者の方がおやりになったものということを存じておるものがございますので、そういうケースについての資料を集め、聞くべき人の意見を聞き、その準備をするということをいたしておりますとともに、この問題に私も非常に関心を持ちまして、仙台の国際学会のインターノイズというのがございまして、そのときに低周波の問題が出るということで、私自身も出席をいたしまして、そのときに低周波の問題は私自身も聞いております。そういうこととWHOの資料と全部合わせまして、ことしは来年度やる調査のまず前段階としての努力をいたしておるというのが正直な実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/78
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079・野間友一
○野間委員 もうすでに数年前からこういう被害がある。しかも、学問的にはともかくとして、これはやはり国としても、疫学的に、実際にそのような超低周波が出ておる片一方では被害がある。ところが、先ほどの局長の答弁でもこれに対する対応が非常に不十分である、まだあちこちでそういう被害の実態の訴えを聞くという程度のことで、しかもこれは直接環境庁がやっていないわけですね。先ほどの和歌山県の事例についても、和歌山県を経由してということしかないわけですね。これから具体的にこのような被害対策についてどうするのか、あるいはこの超低周波とその被害との関係についての究明、これについてどのようにしておるのか、どのようにしようとしておるのか、これを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/79
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080・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 まず第一段階の問題は、先ほどお答えしましたような事例の詳細な検討と文献収集ということでございますが、もう少し具体的に問題をしぼりますと、超低周波というものをどういうぐあいに測定するのかということでございます。この測定方法は、やっと、ごくごく近年にその超低周波を測定するためのピックアップというものがあらわれてまいりまして、それ以前のものはほとんどそういうものではなく、二十ヘルツ以下はほとんど入らないというようなものでございましたが、そのような測定方法をきっちり固めるということと、それから、その音が聞こえないものですし、あるいは地面が振動しないわけでございますから、一体どちらからそのような超低周波の音が来ておるのかという方向探知と申しますか、そのような問題がございまして、方向探知の問題につきましては、インターノイズの会合で西脇教授も報告しておられますし、和歌山でもそれを試されたものであろうかと思いますが、そういうものと、もう一つは、御指摘の疫学という問題がございましたが、いろいろ苦情があるということと、もう一つは、やはり医学的にその評価をするということがきわめて科学的に必要なことでございます。
確かにそういう苦情が、特に住友の周りの問題というのは相当大きなスケールであるというぐあいにわれわれ存じておりますが、疫学調査の基礎となるには、社会的な面接調査ということだけでは、社会調査としての意味はありますが、医学的な価値となりますと、これは一つの手がかりというのにすぎませんので、やはり具体的にいまいろいろ問題のございました、吐き気がする、頭が痛い、胸が締めつけられるような感じがする、おなかのぐあいが悪い、耳が圧力を感ずるというような、どういうぐあいにそういう問題を医学的にこの影響として一体扱えるようになるのかということにつきましてのやはり専門家の検討と研究をしていかなければならない、そういうことを私ども基本的に考えておりまして、今年は、いま申し上げましたようなケースと、それからそういう文献、情報収集ということになりますが、来年度はこれを具体的なフィールドの調査に移していきたいということを考えております。
予算要求もいたしておりますが、また一方におきまして、来年度はその医学的な問題というものがどの辺まで一体入れるものかという考えを持っておりますので、御指摘のようにまだいままで手がついておらなかったという御批判はあろうかと思いますが、世界的にもこの問題はその情報が非常に乏しい、しかもWHOの意見でも百二十デシベル以下は何もない、百三十デシベルのところでも余り大きな問題がない、こう言っているものに対して、日本で経験しているものは余りにも低いレベルの音であることも事実であります。その辺を一体どういうぐあいに解明するのかということの具体的な努力を積極的にしていきたい、こういうぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/80
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081・野間友一
○野間委員 公害というものは事ほどそんなものですね。結局学問的な解明というのは後になるわけですね。これはイタイイタイ病にしたって水俣にしたってそうなんで、すべての公害というのはそういうものなんですね。だから、現に超低周波が出て、被害も実はある。これに対する対応が、まだ資料の収集から分析と、やっと五十一年度に予算要求しておるというのがいまの実態だろうと思うのです。しかし、それにもかかわらず被害は毎日毎日生じておるわけですね、しかも新たに発生しておる。これはいろいろな原因が考えられます。たとえばコンプレッサーであるとか、山梨のごときは橋の下の空気の振動とか、いろいろな問題もありますし、あるいはセントラルヒーティング、新幹線からも出るとかいうような話もあります。これは新たなものだということでぼつぼつやって済む問題じゃないので、早急に、被害が大きくなる前に未然に防いでいく、それには具体的な対処の療法とかあるいはその因果関係はもちろんですけれども、そういうものを、原因の究明からいろいろ多方面にわたってこれを早期にやらなければならぬ、こう思うわけです。
一体、環境庁、これに対する対策として五十一年度は具体的に幾らの予算要求をしておりますか、あるいはそれによって何をやりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/81
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082・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 五十一年度の予算要求は、八百万何がしの予算でございます。そこの中では、一つは、測定をいたし、また被害調査ということをいたし、また伝播の実態解明ということで、工場とか、航空機とか、新幹線とか、道路、橋、近隣というような幾つかのカテゴリーに分けまして、全国で六つばかりの地区でこの調査をいたしたいということでございます。
それから、この被害の問題でございますが、やはり医学的にはっきりしないと——完全にはっきりするまで私たち待とうということではございませんが、もう少し医学的に整理をされなければ、やはりこれまた訴えだけで取り上げるということもむずかしいということも事実でございます。そういうことで、科学的に完全に完了するまでというようなことではございませんが、世界的にもほとんどない、日本でもほとんど初めてである、しかも世界的に言われているレベルよりも非常に低いという問題、これはまだ初めての問題にぶつかっておりますので、いま少し科学的な、低周波とその訴えられていることの被害との関係をもう少し手がかりをはっきりつかむということが、行政の対策をはっきり決めていく場合の基本なのではないか。
もう一つは、対策を和歌山等でもいたしております、住金もいたしておりますが、果たしてどれが、どういうぐあいに有効であったかという問題も一方にございます。
そういうことでございますので、ぜひとも先生の御批判をよく頭に置きまして今後の対策を積極的に進めていきたい、こういうぐあいに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/82
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083・野間友一
○野間委員 和歌山では、住友金属、これは東京、大阪、兵庫、広島、いろいろありますけれども、少なくとも和歌山で具体的に私の知っておる範囲では、先ほどから申し上げておる住友金属、この周辺、それから鷹匠町、この二つありますけれども、ここでは現に大きな被害者があり、大体西脇先生のいろいろな調査の結果でも、超低周波がそうではなかろうかという推測までされておるわけですね。しかもこれは、和歌山では汐見先生というお医者さんがおられますけれども、この方がマウスを使って実験をされた。この超低周波の強いところでは、鼻血を出し、死ぬとか、そういう実験もずいぶんされておるわけですね。これは国がこれをいままで放置しておったということについての責任は重大であると同時に、いま早期にこれはやらなければならぬ。
とにもかくにも、いま具体的に私、和歌山の例を挙げましたけれども、こういうところは、それでは五十一年度の予算で、いま言われたような調査の対象になっておるのかどうが。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/83
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084・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 五十一年度の、これは予算要求のことでございますから、予算が通ってからの議論になりますが、和歌山の問題等は一番いままでいろいろの努力がされ、データもかなりあるということでございますので、できるだけこの調査の対象の中に入れて、予算が実現いたしましたならばこれに取り組んでやっていきたい、こういうぐあいに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/84
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085・野間友一
○野間委員 これは一つメリヤス業者のコンプレッサーというような説もあるわけですけれども、そうだとすれば、コンプレッサーを使っておるところはずいぶんあるわけで、もう深刻な問題になると思うのですね。そこで、メリヤス業者といいますと、不況の中でえらい打撃を受け、もしこの一方ではコンプレッサーがもとでということになりますと、このコンプレッサーのものが超低周波との関係でどうなるのかということで、これは通産大臣に聞きたいわけですけれども、新たな超低周波の問題というのは、先ほどからお聞きのとおりなんで、しかも大体コンプレッサーから出ておるというようなことが言われておるわけですね。したがって、コンプレッサーそのものと超低周波との関係はどうなるのか、これは出ないように手だてができぬのかどうかということは、これは通産所管としても当然考えなければならぬというふうに思うのですね。これは環境庁だけに任せてしかるべきだということではないわけで、この点について通産省はどのように考えておられるのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/85
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086・児玉清隆
○児玉政府委員 お答え申し上げます。
メリヤスの、特に地場の産業でございますので、地域住民との摩擦の問題は、早期に解決しなくてはいけませんし、いろいろな方法を実態に即して手当てを考えていかなくてはいかぬというふうに思っております。ただ、先ほど先生御指摘のように、これは新しい公害の種類でございまして、その規制をどうするかという問題がまだ環境庁の方でも現在いろいろ検討中でございますので、その前に手当てのできます範囲は非常に限定されたものになろうかと思います。
私、現地を十分知っておりませんけれども、特にメリヤス産業地帯というのは住工混在の地区が多うございますので、いろいろ地域団体の方の県とか市町村におきましても、昨今は住工混在を排除するための郊外移転等も考えておるようでございますけれども、しかし一挙にそういう抜本的な解決ができるとも限りませんので、環境庁の実態調査、そういったものと、それからそれに対する処方せんというものがある程度めどがつきますと、私どもの方でも中小企業行政の中で的確な助成なりあるいは指導というものをやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/86
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087・野間友一
○野間委員 中小企業者も被害者なんです。その発生源がコンプレッサーであるとすれば、このコンプレッサーそのものの機能が問題になるので、そういうものについては通産省が当然行政指導をしなければならない、解明しなければならない、環境庁に任せておいてそれでいいというものじゃない、こういう指摘なんです。したがって、通産大臣、環境庁だけに任すのではなくて、実際にこういうような症状がずいぶんある、しかも新しいものだということの中で、通産省も環境庁と協力をして、これらについての解明をする必要があるのじゃないか、こう思いますけれども、この点については通産大臣に所見をお聞きして、次の問題に移りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/87
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088・河本敏夫
○河本国務大臣 対策につきましては、環境庁と十分相談をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/88
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089・野間友一
○野間委員 これは早急に環境庁、通産省両方協力して適切な手を打たれたいということを申し上げて、石油の問題に入っていきます。環境庁、もう結構です。
先ほどからの論議もありましたけれども、参考価格あるいは標準価格の問題ですね。参考価格は行政指導、あるいは標準価格は業法の十五条ということが一応法律上の根拠として言われておりますけれども、これは公取委員長の答弁にもありましたが、参考価格によって、カルテルが結ばれる可能性と申しますか、むしろこれをとりでにして業界がすべてカルテルに走るということは私は必至であろうと思います。それはそれとして、その点についての問題と同時に、標準価格ですけれども、これは通産省は十五条によってできるというように考えておるのかどうか、まずその点からお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/89
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090・増田実
○増田政府委員 石油業法の十五条に、石油製品の販売価格の標準額を定めることができる旨規定しておりますが、これは価格の高騰の場合と下落の場合と両方入っております。価格の下落の場合について申し上げますと、石油製品の価格が不当に下落することによって石油企業の存立が困難となり、石油の安定的かつ低廉な供給の確保が期しがたくなるような事態において、通商産業大臣が標準額を定め、これを公表することにより、かかる事態を回避することを期待したい、こういうことになっております。
それで、現在の石油製品価格は大幅なコスト割れとなっておりますし、現状のまま推移すれば、十月以降の原油価格の引き上げによりこれがさらに拡大が必至となっておる、こういうことになっておりますが、先ほど御説明いたしました第十五条の趣旨から見れば、まさに石油企業の存立基盤を崩壊させるような事態が起こっているということで、同条による標準額を設定することができると私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/90
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091・野間友一
○野間委員 原油の輸入価格が十月から一〇%アップというようなことがなぜこの十五条に該当するのか、これは不可解きわまりないと思います。私は、十五条には該当しないと思う。
時間がございませんのできょうはその論議は避けますけれども、ただ、政治姿勢として一言触れておきますと、いままで政府は、口を開きますと、自由経済の原則でいくのだ、価格に対して介入はしないということを主張し続けてきたわけです。私は、行政指導そのものをすべて否定するものではない。これは、横暴なことをやる場合には当然規制しなければならぬということについて、行政庁の責任も私はあると思うわけです。ただ、いままでの経過からしても、たとえば四十八年の石油ショックのときの便乗先取り値上げ、これは目に余るものがありました。石油元売り会社全体で一カ月にわれわれの計算でも約三百億円近いぬれ手にアワ、こういうものをやった。ところが、このときでも、私たちが追及しても価格には介入しませんというようなことで、これをせずに、後ほど生活安定法、あの標準価格の点から若干の手だてはいたしましたが、しかしながら、基本としては常に一貫してこういう立場をとってきた。
また、現在も鉄について言いましてもそうでありますけれども、この八月から六千八百円、さらにこれが三千円の上積みというようなことがいま現にやられ、またやられようとしている。これについては政府は全く介入しない。予算委員会のときでも論議になりましたけれども、これが果たして競争価格であるかどうか。公取の委員長はこれはそうではないということをはっきり言いました。今度の値上げについても、高炉メーカーがこぞって同じような価格の値上げに踏み切る。これについても、政府は全くこれに対しては介入しない。ここで私は一つの矛盾があると思う。
〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕
石油の場合には、これは上げるのに介入してやる。ところが、鉄の場合には、無理やり強引に独占価格を上げる、これについては介入しない。一体これはどういうことになっておるのか、この点についてひとつ答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/91
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092・増田実
○増田政府委員 石油の問題について御答弁申し上げますが、先ほど先生から、一昨年の石油危機以後の石油の価格が非常に上がりましたときに、通産省がこの価格を抑えることにつきましてほとんど何もやっておらなかったという内容の御発言がありましたが、これにつきましては、四十八年の十二月に全部元売り価格の凍結をやりまして、しかもその後の大幅値上げにつきましては、三月に八千九百四十六円という抑え込みをやったわけです。それで、それまでの利益分につきましてもこれを全部吐き出させるという措置をやったわけでございまして、非常に強力なむしろ価格指導というものをやったわけでございます。これも、先ほど公取委員長からいろいろお話がありましたが、通産省の設置法に基づく行政指導ということでやったわけでございます。
それから今般の問題につきましては、石油企業が、これも何回もこの委員会でお話しいたしておりますように非常な赤字累積になっており、このままでは基礎エネルギーである石油を安定供給することができなくなるような事態になっておるということで、現在石油審議会の場で、十五条の発動が適当かどうかということ、また、価格のあり方をどうするかということの御検討を願っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/92
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093・野間友一
○野間委員 私は、何もやらなかったと言ったのは、業法に基づいて、あれだけ不当な高騰を意識的にやったわけですが、このときにはこれを使えなかった、今回はこれを使う、これはどうだということを指摘しているわけです。しかも鉄はやらないじゃないか。これはいまの話でも、石油会社が赤字だ、経営が危機に瀕しておる、こういう話です。放置しておったら安定供給ができないと言われるわけですね。そうだとすれば、この値上げをして、これがユーザーやあるいは国民に物すごく重い負担をかけることになるわけですから、赤字の実態について、本当にどういうわけで上げるのかということについて、国民に疑惑を残さないようにしなければならぬ、これは当然だろうと思うのです。この点についてどのように考えておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/93
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094・増田実
○増田政府委員 今度もし標準価格を決め、あるいは値上げについてのある種の指導をするということにつきましては、国民一般が負担されるわけでございますから、十分な説明ができるようにいたします。
それから、現在石油審議会の場におきましてこれらに関します実態の説明を行っておるところでございますが、この問題につきましては、できるだけ内容を広く一般にお知らせして、そして石油価格がいかなる状況になっているか、また、石油企業がいかなる状況になっているか、このためにこの価格の引き上げがやむを得ないということについて、十分理解を得られるように私ども努力する所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/94
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095・野間友一
○野間委員 それでは関連して、総合エネルギー調査会の石油部会に資料として出したメモがありますね、これによると、「石油産業の実態と性格づけ」の項で、「コストに占める原油代は、約八割で、合理化の余地は少い。」こういう記述があります。これは原油の上昇分をそのままストレートに石油製品価格に転嫁するための説明として書かれておるわけでありますけれども、そうすると、八割も占めるのだから上げるのはやむを得ないというような説明には確かに便宜であります。しかし、先ほど申し上げたように、千載一遇のチャンスと称して、諸悪の根源とまで言われた石油会社、これらがいままで数々の悪行を重ねてきた。これに対して国民は決して甘くはないと思うのですね。先ほど石油審議会云々というお話がありましたけれども、これは余すところなく明らかにしなければならない。これは当然政府の責務でもあろうかと思うのですね、政府が主導して値上げをしてやろうというわけですから。
そこで問題は、いまたとえば八割が原油代だ、こういうふうにこのメモの中では書かれておりますけれども、石油危機の前からこのコストに占める原油代がどういう推移をたどってきたのか、あるいはその間、合理化の努力がどのようにされてきたのか、これについての実態の把握ですね、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。これは明らかにする必要があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/95
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096・増田実
○増田政府委員 石油製品における原油代が幾らになっておるかということにつきましては、最近は八割でございまして、原油代が、CIFで、関税込みで計算いたしますと二万二千円前後になっておるわけでございますから、八割という数字になっております。それで、いま先生のお尋ねの、かってどれくらいであったかということにつきましては、いま手元に詳細な資料はありませんが、大体六割前後であった、こういうふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/96
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097・野間友一
○野間委員 いや、あなたの方で当然、この値上げを指導するとしたら、いろいろな推移、あなたの方でメモで言っておるわけですから、どのように変わってきたのか、その中でどのように合理化に努力してきたのか、これを納得いくように説明してしかるべきであると思うわけです。いま手元にないということですけれども、これは改めて資料として、その推移について当委員会に出してくれますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/97
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098・増田実
○増田政府委員 原油価格が製品価格のどういう地位を占めるかということにつきまして、過去からの経緯につきまして資料を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/98
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099・野間友一
○野間委員 資料を見てからその点についてはさらに詰めていきたいと思いますけれども、結局、いままでの報道等、あるいは政府の答弁等を聞いていましても、もう安定供給一本やりだと思うのですね。これは逆ざやで赤字だ、しかも原油の値段は上がる、このまま放置しておいたら石油会社はとんでもないことになるのだ、安定的に国民にサービス、供給をすることができなくなるのだ、そう言われますと、国民はそうかなと、いわば一つの恫喝みたいなふうにしかわれわれは受けとめることができない。ですから、あれだけ狂乱物価の中でいろいろなことをやったわけですから、そういういろいろな具体的な推移、実態はこうなんだということを余すところなく明らかにするのが私はいまの政府のとるべき最も適切な態度であろう、こう思うわけです。これはいままでなされていない。これは非常に遺憾です。
しかも、審議会の問題がいまありました。審議会は慎重に検討ということのようですけれども、この審議会の構成についても国民は非常に疑惑を持っておるわけです。ここに委員会の名簿を持っておりますけれども、この委員会のメンバーを見まして、だれも国民の立場に立ってこれをやっておるというふうには受けとめることができない。国民はそう批判しております。これは、ある新聞の中でも、二十名の委員のうちで石油業界と直接かかわり合いのない人はせいぜい三、四人、経済学者も入っておりませんし、また一般的な消費者も入っていない、これでは通産省と業界との御用機関と言われても仕方がないと、そのように書いております。また、国民もそのように見ておるわけですけれども、これは一体どういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/99
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100・増田実
○増田政府委員 石油審議会につきましては、これは石油業法の十八条に、「委員は、学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。」ということによりまして任命をいたしておるわけでございます。名簿をお持ちだと思いますが、いま先生から学者がいないという御指摘がありましたが、私どもは、たとえば稲葉秀三先生、土屋清先生その他委員になっておりますが、この方々は学識経験者、石油についても相当造詣深いし、また、経済一般について造詣の深い学者ということだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/100
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101・野間友一
○野間委員 いま指摘された人たちが石油とは関係があるというふうには私も理解しないです。それだけなんです。これが純粋な学者であるかどうか、それは学識経験者には違いないと思いますけれども、この名簿の肩書きを見ましても、いわゆるアカデミックな学者というものはこの中には入ってないわけですね。さらに、先ほど申し上げた一般の消費者は全然入ってないですね。あの業法に言う学識経験者の中にはこれは当然入れるべきなんです。いままでの中でもずいぶん入っております。なぜこれを抜かしておるのか、これは国民の立場に立ったものと言えるかどうか。国民が疑惑を持つのはあたりまえだと思うのです。なぜこれは入れてないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/101
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102・増田実
○増田政府委員 この審議会の委員につきましては、私ども石油関係の学識経験者ということで選んだわけでございまして、確かに先生のおっしゃられるように消費者代表という方は入っておりません。消費者代表の中で非常に学識経験者の方がおられるということで適当な方があれば、これは現在の審議会委員は一応定員いっぱいになっておりますが、この方々を入れかえるということ、あるいは専門委員の形で追加するということを現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/102
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103・野間友一
○野間委員 その姿勢そのものがどうも疑惑を持たれるような、このいまの委員の構成を見たってそう疑われても仕方がない、こう言わざるを得ないと思うのです。
さらに、若干角度を変えて御質問申し上げますけれども、この同じメモの中に、「石油産業の産業組織上の特質」として、その第一番に、「石油産業は」云々で「価格交渉力が弱い」こういう指摘があります。これは通産省の認識がこうだというふうに思うわけですけれども、ところが、この価格交渉力が弱いということを前提にして、一方の需要家に対しては、たとえば電力業界に対して通産大臣から値上げに応ずるように要請したり、こういうことをやられておるということを私は報道から聞いております。ところが、強い供給者というか石油会社がありまして、そこの需要家との関係では、石油の値段を上げて、実需者というか需要家にこれについての協力を求めるという手だてはあるようでありますけれども、もとのところに対する手当て、これは私はないと思うのです。
もとのところといいますと、端的に言えばたとえばOPECの関係ですね。私は産油国の原油の価格の引き上げについてはここでは省略しますけれども、もっともな理由が、説得力があるというふうに思うわけです。問題はメジャーの関係だろうと思うのです。メジャーの関係については私は何度もこの委員会の中でいろいろ質問をしたわけでありますけれども、このメジャーに対して、原油が上がった、これはしようがない、この値段を上げてやろうというようなことだけで糊塗するのはいけないと思うのです。なぜ上に対して、たとえばメジャーに対して何らかの規制をする手だてを講じないのか、こういうことを私は申し上げたい。これは前から私はいつでも言っているわけですけれども、なぜこれらの手だてをしないのか、これをひとつお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/103
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104・河本敏夫
○河本国務大臣 石油は日本の国民経済全体に非常に大きな影響がありますので、去る九月にOPECの一割値上げということが決まったわけでありますが、決まる前にも、特に総理大臣の施政方針演説におきましても、石油値上げの世界経済全体に及ぼす重要性について論及をしていただきまして、そしてこれを自粛するように呼びかけてもらう、同時に、それを十分OPEC諸国に説明する、その他考えられるあらゆる手段を講じまして値上げを自粛してもらう、こういう手を打ったわけでありますが、不幸にいたしまして先般の値上げ決定になったわけであります。
しかし、値上げ決定ということになりましても、支払い方法であるとか、品種ごとの細かい価格は決まっておりませんので、なお交渉の余地があるわけでございます。そういうことから、各OPEC諸国、またメジャー等に対しましてもできるだけ有利に粘り強く交渉するようにという指示並びに指導をいたしております。その結果、一〇%の値上げということになっておりますが、私どもといたしましては、実質七%ないし八%ぐらいな値上げに何とか落ちつけたい、こういうことでいま努力をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/104
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105・野間友一
○野間委員 OPECに対して私はまた異なった見解を持っておりまして、IEAの問題についても長官とここで論議をしたわけですけれども、IEAに参加して産油国に敵対するというふうに私は理解しているわけですね。そういう立場からしますと、IEAに参加してやること自体が安定供給という点からすればほど遠い、私はこういうふうに考える。しかも値上げの理由についてOPECのいろいろなものを調べてみましても、工業製品の輸入価格が一年間に約三〇%も上がっていること、これに対する対抗措置ということも言われておりまして、目減りの補てんですね。これはそれなりに理由があると私は思うのです。
問題は、やはりメジャーの問題だろうと思うのです。このアップば基準額の一〇%というふうに言われております。これによってメジャーの取り分がさらにふえるわけですね。これはアブダビ方式で若干の検討もしたわけですけれども、バレル当たり二十四セント、現在よりも二セントほどの増となる。ですから、メジャーにしてみますと、原油産油国がその値段を上げることによって、メジャーそのものが結局それによってさらにもうけをふやしていくということになるわけですね。これはきのうも若干ヒヤリングをいたしましたが、これはその公示価格も上がるんだという話もございましたけれども、どっちにしてもメジャーの取り分がいまよりも多くなるのはあたりまえだと思うのです。これは計算したらそうなります。こういうところを強力に交渉して、黙っておっても値が上がる、もうけがふえるというようなことを手をこまねいていては困る、こういう点から質問をしているわけです。
それでは、具体的にメジャーとの間で詰めた交渉をされておるのかどうか、再度聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/105
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106・河本敏夫
○河本国務大臣 まず最初に、OPECの値上げが万やむを得ないというふうな意味のお話がございましたが、日本政府が今回の値上げについて非常に真剣にその自粛または延期を求めましたのは、世界経済の回復にこの値上げ問題が非常に大きな影響がある、こういうことを心配したからでございます。
御案内と思いますが、石油価格が一昨年の秋に暴騰いたしまして四倍ないし五倍に上がったわけでありますが、その結果、昨年消費国側がOPECに払った石油代金は千百億ドルに達しておりまして、OPEC諸国の国際収支の黒字は六百億ドルになっておるわけであります。ことしは不況のあおりを受けて大分石油代金も減りましたけれども、それでも約一千億ドルと想定されておりまして、OPEC諸国の黒字は五百億ドルになっておる。この二年間にOPEC諸国に千百億ドルという国際収支の黒字があったということが、いま世界経済全体の大きな混乱の一つの原因になっておる、こういうふうに理解をいたしておりますので、私どもは、この急激な石油価格の値上げということに対して非常に重大な関心を持っておったわけでございます。
そこで、世界経済が回復するまで、あるいは回復の見通しがつくまで、あるいはまた、産油国・消費国会議、今回国際経済協力会議というふうに名前が変わりましたけれども、これが近く開かれることになっておりますので、その見通しがつくまで値上げを待たれたらどうか、こういう呼びかけをしたわけでございますが、不幸にいたしまして今回の決定になったわけでございまして、私どもはこの点を大変遺憾に思っております。
しかし、決定した以上は新しい情勢に基づきまして新規の交渉をしなければなりませんので、先ほど来申し上げておりますように、各石油企業に対しまして、OPEC諸国あるいはまたメジャー、こういう購入先に対してできるだけ有利に交渉するようにということを指示いたしまして、実質七、八%の値上げにとどめたいということで、いまやらしておるところでございます。
そういうことでございますから、各国ごとに、あるいはまたメジャーごとに、また各社ごとに、細かい交渉の経過をいま報告するのは交渉上必ずしも有利になるとは考えられませんので、その点はもうしばらく推移を待った上で必要とあらば御報告をする、こういうことにさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/106
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107・野間友一
○野間委員 その交渉の経過の具体的なものがないと、これ以上この点については詰めることができませんけれども、OPECについては、やはり言い分を聞いたらわれわれもなるほどなと思う面がずいぶんあるわけですね。しかも、これは単に原油を安くしろということだけではなくて、やはり政治、外交上の非常に大きな観点からこれをとらえていかなければならぬということで、端的にそれだけをとらえて下げろと言うことは無理があるかもわかりませんけれども、少なくともメジャーに対しましては、先ほど言われましたけれども、具体的にこのような産油国の原油価格を上げることによってさらにそのもうけをふやす、それによって国民に全部ツケを回すということだけは避けなければならぬし、最大そういう努力をしなければならぬ。われわれは独禁法の独自の改正案の中でも、そのメジャー規制、多国籍企業の規制という点から、これを規制することを入れたものを出したことは御承知のとおりでありますけれども、そういうふうに考えるわけです。
それからついでに、同じそのメモの中でいま問題になっております民族系の共同化、集約化、この問題について若干お聞きしたいと思います。
そのメモの「あるべき石油企業の姿」ということの中で、「経済の安全保障の観点から「選択の自由」を有する民族系企業の育成が必要である。」こう述べております。対策としてはいま言いました共同化あるいは集約化の推進を言っております。ところが、他方ではメジャーの役割りを大変評価しておる。メジャーと民族系の結びつき、これを見ましても、たとえばひもつき原油、技術の導入とか、民族系もメジャーからずいぶん買っておる。ここにも「石油資料」と称する資料がありますけれども、そのひもつき融資もずいぶんこの中にも出ておるわけです。
私が思うのは、この民族系の共同化あるいは協業化という形で再編成をやることが、一体どういう意味を持つのかということなんです。現在、民族系は約十八社あります。これが合併して全部一つになりますと、これは算術計算ではありますけれども、精製の四七・八%、約半分、それから販売の四六%のシェアをおさめることになるわけですね。ここで石油業界も大変大きな寡占体制がつくり上げられる。そうすると、値上げを強力に行うというようなことにもなるかもわからないわけですけれども、メジャーとの関係で、たとえば金とか、ひもつきの問題をそのまま放置しておいて共同化、再編成をやりますと、これは巨大企業になりまして、単に大きな値上げについての力を持つということだけに終始するのじゃなかろうか、こう私は危惧をするわけですけれども、これらについてはどのように考えておられますか。あるいは具体的に、再編成の進捗の状況、あるいは通産省の方針、それについても伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/107
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108・河本敏夫
○河本国務大臣 現在メジャー経由で日本へ入っております油は相当な量になっております。民族系企業も相当メジャー経由で入れておるわけです。しかし、これからはOPEC諸国の発言の強化に伴いまして、DD原油あるいはGG原油、あるいはまた自主開発原油、こういうものがだんだんふえておりますから、メジャーのシェアというものは順次減っていくであろうというふうに考えております。
それから、再編成の問題でありますが、御案内のように、現在日本の石油業界は群小の企業が乱立しておりまして、三十数社になっておるわけです。体力が非常に弱い。でありますから、いまさっきお話しの、メジャーと有利な交渉をしろとか、あるいはまたOPECと有利な交渉をしろとか言いましても、対外的には一人前に交渉するだけの力というものが非常に弱いわけです。同時にまた、国内において需要家と交渉する場合の力もやはり弱い。そういうことから、今般も通産省が一部の品種に参考価格を設けたり、あるいはまた今後のあり方について石油審議会にいろいろ考えていただく、こういうことをせざるを得ない状態になっておるわけです。
だから、当面はこれで切り抜けられましても、後またむずかしい事態が起こると、自力でこれを切り抜けることができないということになりますと、これは国民経済全体から考えましてもマイナスである、こういう観点に立ちまして、石油業界全体の体質の強化というものを図るということが、私は何よりも急務じゃなかろうかという考え方に立っておるわけでございます。そういう考え方に立ちまして、現在総合エネルギー調査会の石油部会で、しからばこれをどう具体化するかということについて、いろいろ検討していただいておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/108
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109・野間友一
○野間委員 通産省の再編成に対する具体的な構想、いつごろというそのめど、これはどういうふうにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/109
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110・河本敏夫
○河本国務大臣 これはいま石油部会で検討していただいておる最中でございまして、まだ結論が出ておりませんので、どういうふうにこれを進めていくか、まためどをいつごろに置くかというふうなことはこれからのことでございまして、現時点ではまだ決まっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/110
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111・野間友一
○野間委員 これは先ほどから指摘しておりますように、単にいままでの仕組みをそのまま継続して再編成、企業が大きくなるということだけでは、むしろ害がずいぶん出てくると思うのです。ですから、そういう害がないように石油業界をどう考えるのかということを十分考えなければだめだと思う。いま辛うじて、鉄の場合には寡占価格ということで強引に値上げをしておる。石油の場合には、鉄に比べればいわば競争価格というのですか、そういうものがある程度働いているというふうに認識しておりますけれども、これが巨大なものになると、鉄と同じように独占価格で勝手気ままなことをしていくということも十分考えられると思うのです。これは私が言うまでもないことだろうと思います。
われわれはエネルギー公社ということで、原子力から、石油から、ガスから、電気、これを公社制度にする必要がある。メモの中では、国有化を考えていないというふうにいまの段階では言っておられますけれども、少なくともエネルギーについていろいろな問題を抱えております。原子力の問題も先ほど質問がありました。公社制度という構想を私たちは持っておりますけれども、こういう道をやはり進むべきであると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/111
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112・河本敏夫
○河本国務大臣 公社制度は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/112
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113・野間友一
○野間委員 時間が参りましたので終わりますけれども、そういう方向でやらなければ、エネルギーは一元的にとらえなければいろいろの問題が起きてくると思うのです。再編成の問題についても、私どもはさらにいまの政府の出方を見ながら質問を詰めていきたいと思うし、また、メジャーに対する交渉も、先ほど通産大臣が具体的にはいま公表をはばかると言われましたけれども、さらにこれも聞きながら監視していきたい、こういうことを最後につけ加えまして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/113
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114・塩川正十郎
○塩川委員長代理 近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/114
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115・近江巳記夫
○近江委員 最近の通産省の行政指導というものは、各方面で非常にいろいろな批判を浴びておるわけであります。小松次官が、今後の景気対策との関連に触れまして、一連の行政介入は本来好ましくはないが、不況の実態から見てやむを得ない、あるいは現在の景気対策の補完策の検討と同時に、行政介入は問題があっても続けていく、こういうふうにおっしゃっておるわけですが、これに対しまして、公取委員会や学識経験者の間におきましては、価格つり上げのための行政介入は行き過ぎである、こうした非常に強い批判があるわけであります。通産大臣として、あなたはどのように思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/115
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116・河本敏夫
○河本国務大臣 これは昨日来議論になっておりますように、通産省の行います行政指導の根拠は設置法の第三条と第三十六条を主たる根拠にしておるわけでございまして、日本の産業の健全なる発展を図るためには、設置法に基づきますところの行政指導というものが必要である、私はこういうふうに考えております。ただしかし、価格に介入するということはできるだけ避けなければならぬ、需給関係に基づきまして業者間で価格が決まるということがあくまでも望ましいわけでございます。
しかし、国民経済上放置できないような事態もあるわけです。そういう場合には、緊急事態でございますから、一時的に通産省が行政指導によりまして価格を適正な水準に持っていく、こういうことはやらなければならぬ。しかし、これはあくまで緊急事態でございますので、できるだけ短期間に終わらせるように、あるいはできるだけ避けるということは当然なことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/116
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117・近江巳記夫
○近江委員 大臣は、行政介入もやむを得ない、このようにおっしゃっておられるわけでございますが、石油価格を見ましても、価格介入はできる限り避けたい、このようにおっしゃりながら、二段階の値上げを指導しておられる。第一段階としては、C重油が千八百円、ナフサが二千六百円、このように決定しておられるわけであります。こうした問題につきましては、あなたはやむを得ないのだということで押しておられるわけでありますが、国民としては、それではその石油業界が経理でも公開して、それだけの納得を得るだけの態度で来ているか。いわゆるベールに包まれたままなんですよ。そういう中で通産省が介入して値上げをやっていこうとしておられるわけであります。
この石油の問題一つを見ましても、第二段階におきましては石油業法の標準価格によって値上げを予定しておるということを聞いておるわけですが、これはいつごろ、どの範囲の油種についてどの程度の上げ幅を想定されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/117
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118・増田実
○増田政府委員 現在石油審議会で御審議いただいておるわけでございまして、まだ結論は何も出ておりませんが、ただ時期といたしましては十一月末には何かしらの結論を出したい、こういうふうに思っております。ただ、これは審議会の委員で検討されておりますから余り期限を限るわけにもいきませんが、私どもとしてはそういう希望を持っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/118
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119・近江巳記夫
○近江委員 十一月下旬といいますと、あと二週間ぐらいしかないわけです。当然こうした資料は、業界からいろいろ上がってきたものを通産省がいろいろと見て、たたき台というものはその審議会にも出しておられると思うのです。そうなってきますと、逆の面で言うと、通産省の意思というものが審議会に大きくまた反映していくのじゃないか。審議会というのは通説隠れみのだということを言われておりますが、しかし、そのたたき台というのは通産省から出てくるわけであります。そうなってきますと、審議会待ちということではなくして、やはり通産省としては、先ほど大臣が行政介入やむを得ないということをおっしゃっているこの姿勢から推しましても、油種につきまして大体どのくらいの価格であるということは当然想定しておられるのじゃないかと思うのですが、大体どの程度を思っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/119
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120・増田実
○増田政府委員 現在審議会におきまして各種の資料を出しましてコスト分析しておるところでございますので、大体どれくらいの値上げになるかということについては、まだそれを申し上げる段階には至っておりません。ただ、OPECの値上げにつきまして、七、八%の分はキロリットル当たりにいたしまして大体千六、七百円となるわけでございますが、しかし、御存じのように従来相当大幅な逆ざやが残っておるわけでございます。今回の標準額といいますのは石油製品価格のあるべき価格ということで計算いたしておりますので、従来の逆ざやを含めましてどれくらいの価格訂正が必要かということを、現在コストその他を調べまして検討中、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/120
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121・近江巳記夫
○近江委員 OPECの値上げによりまして七、八%としてキロ当たり千六百円か千七百円。逆ざやというのは、通産省としてはどのくらいが逆ざやだと見ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/121
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122・増田実
○増田政府委員 本年の八月の価格で計算いたしまして、いまのOPECの値上げ分を含めませんで私どもの方の一応の計算としては千五百円前後、こういうふうに計算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/122
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123・近江巳記夫
○近江委員 そうしますと、エネルギー庁長官の御答弁からいきますと、逆ざやプラスOPECの引き上げ分、こういたしますとプラスして三千百円から三千二百円というものが出てくるわけですね。大体そのようにお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/123
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124・増田実
○増田政府委員 概算でございますので、一応八月の価格を基準にいたしますと、目の子としては大体いま先生のおっしゃられたような価格だと私は思っておりますが、ただ、八月以降若干の価格訂正が行われておりますから、いま申し上げた全部が今後の標準額で訂正される金額にはならないわけでございまして、八月以降重油につきましても若干訂正がありましたし、またそれ以外の中間留分も若干上がっております。そういうことで、これらの分は引かなければならないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/124
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125・近江巳記夫
○近江委員 若干の調整はあるけれども、ほぼ妥当な数値である——妥当というのは、通産省が考えておられるそうしたニュアンスでいま受け取ったわけでありますが、こういうことはこれまた末端製品等にも非常に大きな波及をなすわけでございますし、こういう行政介入、しかも価格引き上げに通産省が積極的な役割りを果たしていくということにつきましては、国民だけではなく、公正取引委員会初め学者からも非常に強い批判が出ておるわけでございます。こういう態度についてはひとつ反省をしてもらって、国民に対して石油業界が経理公開等もするとか、やはりそういう積極的な姿勢がないといけないと思うのです。この点は業界に対して指導されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/125
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126・増田実
○増田政府委員 いまの点にお答えする前に、先ほど先生からの御質問で私の方の価格のめどというものを申し上げたわけですが、これは繰り返しになりますが、現在いろいろのコストをはじいておりますので、むしろ審議会において学識経験者がこれらについて意見を出されて、どれくらいの逆ざやになり、またOPECの値上げがどのくらいはね返るか、また現在の価格とどれくらいの差があるかということを御審議いただくわけでございます。
それから、ただいまの御質問についてお答えいたしますと、価格の値上げにつきましては、需要業界あるいは一般消費者に対しても非常な負担を負っていただくわけでございまして、この負担を負っていただくに当たりましては、需要業界、消費者が、この値上げのやむを得ない理由を十分納得され理解されて、そして石油業界というものの基盤をこのまま崩壊させてはならないという協力の気持ちでこの値上げを認める、こういうことでやっていきたいと思いますので、いま先生から御指摘がありましたように、この問題につきましてはできるだけ国民広くに値上げをせざるを得ない説明を私どももいたしますし、また、石油業界からも需要家側に対して十分説明させるようにいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/126
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127・近江巳記夫
○近江委員 特にこれから寒さに向かうわけでございますが、灯油の問題につきましては国民の重大な関心が向いておるわけであります。こうした需要期に入ってきておるわけでございますが、在庫あるいは価格の動向、見通し等について簡潔にお伺いしたいと思います。
問題はいわゆる価格の問題でございますが、みんな非常に不安を持っておるわけです。このOPECの引き上げ、いままでの逆ざや、いろいろなことを加味して、通産省としては、国民生活を守る上においてこれ以上は断じて上げさせない——あなた方は行政介入をやっておるわけですから、何のそういう決意もなく臨むということは許しがたいことであります。このままでいけばじりじり上がるわけですよ。これ以上はどういう点から見ても承知できないという線があるわけなんです。どのくらいと見ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/127
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128・増田実
○増田政府委員 先生から御指摘がありましたように、灯油は国民生活に直結いたすわけでございますし、また北海道、東北の方々にとりましてはこれは生活必需品でございますので、これの値上がりをできるだけ防がなければならない、できるだけ圧縮しなければならないということにつきましては、私どももそういう基本姿勢でございます。
ただ、この灯油につきましては、やはり一定の供給を確保する必要がございます。ですから、この価格が人為的に余りにも不自然であればこの供給の確保ができないという点がございますので、その点も考慮しなければなりませんし、また、この価格が低いということになりますと、供給増産いたさせましても、ほかの品種への横流れということが行われるわけでございます。
そういうことで、基本的には初めに申し上げましたように国民生活に直結する品種であるということで、できるだけ上げ幅を圧縮するということの構えでこの問題を取り扱っていきたいと思いますが、後で申し上げましたように横流れの問題、供給量の確保の問題、それらを全部勘案して総合的に決めていかなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/128
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129・近江巳記夫
○近江委員 抽象論の答弁であったと私ば思うわけですが、増田さんとしてそういういろいろな事情を勘案して、これ以上上げようという業界の動きは行政介入をやっていく上におきましても断じて許さないという線ば当然あろうかと思うのですが、それはどのぐらいと見ておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/129
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130・増田実
○増田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、この価格の問題につきましては石油審議会で現在討議されておりますので、私がここで、幾らの価格が正しいとか、あるいは計算してこうなるということを申し上げるのは不適当だと思います。
ただ、灯油の問題につきましては、先ほど申し上げましたような基本姿勢でこれを取り扱っていきたい、行政府としてはそういうふうに考えております。しかしながら、現実に十月一日からOPECの一〇%の値上げ、これが実際には七、八%に全体ではとどまるというふうに思っておりますが、しかし、いずれにしましても原料価格が上がった以上は、やはりこの価格の値上がりについて応分の負担を需要者、国民全体がなさなければならないということだと思います。ですから、その意味では先ほどのような基本姿勢でこれを取り扱いますが、一切上がらないということは申し上げられないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/130
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131・近江巳記夫
○近江委員 通産省の姿勢は、次官の発言、また通産大臣の発言、増田長官の発言も全く一致しておる。行政介入はやむを得ない、しかし価格を業界の立場に立って上げていく、引っぱり上げていくというこの姿勢だけは変えてもらわないと困るわけですね。やはり常に国民の立場に立って物事を考えてもらわないと困ると思うのです。そういう点からいきますと、行政介入自体は大臣もおっしゃいましたけれども決して好ましいことではないし、この辺の問題につきまして、これはもう重大な問題でありますから、最高首脳がやはりその点は詰めて、通産省が現在とっておる態度というものにつきましてひとつ大いに反省をしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/131
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132・河本敏夫
○河本国務大臣 行政指導というのは健全な国民経済の運営ということをあくまで目標にしておるわけでございますから、その趣旨から逸脱をしないように十分配慮してやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/132
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133・増田実
○増田政府委員 本来、価格は需給によりまして、いわゆる市場メカニズムで決まるべきものである。これが原則だと思いますが、今回の価格について各種の措置をせざるを得ないということにつきましては、この委員会でるる説明したとおりでございます。
それから、先生のお言葉を返すようでございますが、通産省として業界の立場に立って価格を決める、こういう姿勢は決してありません。ですから、私としてはもちろんそういうふうに思われることにつきましては説明の至らないものとして反省いたしますが、ただ、現在やっております標準価格制度につきましては、国民経済全体の立場あるいは国民生活の安定の立場で、標準価格の設定について審議会にお諮りし、鋭意その達成に努力いたしたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/133
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134・近江巳記夫
○近江委員 次に、輸出入の問題についてお伺いしたいと思うのですが、今年政府の見通しでは六百八十億ドル、ところが百億ドルぐらい輸出にしても落ち込むだろう。これは世界的なそうしたインフレ、不況の同時進行という厳しい条件があるし、むずかしいことはよくわかるわけでございますが、最近世界的に見ましても、ブロック化の問題であるとか、輸入制限の動き等も見られるわけであります。
そこで、特にわが国の繊維問題というのは、いまや非常に深刻な問題を提起いたしておるわけでございますが、この間、繊維問題懇話会が「当面の繊維対策についての提言」というものをまとめておるわけです。この中で特に輸入抑制措置を打ち出しておるわけですが、この提言につきまして通産大臣はどういうお考えをお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/134
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135・河本敏夫
○河本国務大臣 懇話会の提言は、大きく分けまして私は二つあると思うのです。一つは、繊維産業自体の体質を強化するという方向、それに対して努力をしなければならぬということ、それから、最近は近隣諸国から輸入がふえてきておるわけでございますが、それに対する対策、その考え方、この二つに分かれておるわけでございますが、業界全体の体質の強化につきましては、新しく構造改善がスタートしておるわけでございまして、その方向に従ってやっていかなければならぬと考えております。
また、輸入問題につきましては、これは近隣諸国との貿易全体を考えていかなければならぬと思うのです。といいますのは、日本から韓国、中国に対してはいま大幅な出超になっております。そういうことをまず考慮しなければならぬと思います。幸いに現在は繊維品全体の輸入は私はほぼ平静化しておると思うのです。一時のようなああいうふうな狂乱状態ではない。大体平静化しておると思います。ただ、二、三の品種に関しまして急激にふえておるものも見られます。そういうものに対しましては、できるだけ両国間にトラブルを起こさないように話し合いで解決をしていく、そういう方向で処理をしたいと考えておるわけでございます。したがいまして、輸入制限とか輸入禁止とか、そういう措置はできるだけ避けたい。やはり日本の場合は貿易自由という原則があくまで必要でございますから、その貿易立国であるというたてまえを十分考慮しながら両国間の話し合いによって問題を解決していきたい、こういう方向で努力をするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/135
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136・近江巳記夫
○近江委員 両国間の話し合いと言いますが、繊維におきましても、たとえば大島つむぎの問題であるとか、いろいろな伝統産業等に指定されておるようなものまで、これは大変な打撃を受けておるわけです。二国間交渉といっても話し合いといっても、なかなか実際に実を挙げておらないというのが現状じゃないかと私は思うのです。そうすると、通産大臣の基本方針としては、輸入制限というようなことはやらない、そしていわゆる二国間でやっていくということをおっしゃっているわけですが、この二国間の話し合いというものが先ほど申し上げたようになかなか実を結ばないというようなことであるなら、これはどうするのですか。二国間交渉というものはそれだけ中身があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/136
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137・岸田文武
○岸田政府委員 貿易におきましては、やはり輸出する側と輸入する側がおのおの相手の立場に立って物を考え、その理解のもとに円滑に行われるということが一番理想の状態であろうと思っておるわけでございます。特定の商品について問題が起こりましたときには、民間レベル、政府レベルを通じまして意見交換の機会をなるべく多くすることによって、そういった環境をつくるために極力努力をするということを第一に考えていきたいと思っておるわけでございます。ただ、双方の立場がいろいろ食い違う場合もございます。繊維などにつきましてそのような問題が起こりました場合には、やはり日本側も業界とよく話し合いをして、政府間の努力と並びまして民間の協力も得て、問題を円満に解決していくということに努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/137
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138・近江巳記夫
○近江委員 それで、実際に深刻な打撃を受けておる業界、これはほとんど中小零細ですよ。その人たちがなるほどと言えるような結果をやはり出してくるならいいわけですよ。政府がやっておる交渉というものは、そうした結果が出てこないわけです。今後その努力のあり方につきまして、いままでと同じような方向でやるのですか。どういう点を反省しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/138
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139・岸田文武
○岸田政府委員 私ども承知しております範囲では、韓国との関係におきましては従来からかなりの回数を積み上げまして話し合いを実施しております。私ども見ております限りでは、そのような話し合いはある程度実を上げつつあるというふうに理解をいたしておるところでございます。今後ともこのような話し合いを継続していきたいというふうに思いまして、先方ともいろいろ接触を続けておるところでございます。
〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕
中国との関係におきましては、たてまえ上なかなか向こうの方は自主調整ということを受け入れにくいという考え方を持っておるようでございますが、しかし、やはり先方の輸出に際しまして日本側の事情をよくわきまえて輸出をしていただくということが大切である、この辺の基本的な考え方につきましては、今後折あるごとに先方にお話をしまして、何とか円満にいきたい、こういうような努力を今後とも続けるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/139
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140・近江巳記夫
○近江委員 小松次官が、中国からの絹製品にいわゆる輸入課徴金を取ればどうかというようなことも言ったということをちょっと聞いておるわけですが、これが事実ということになってきますと、これは二国間の話し合いということとの関係はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/140
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141・野口一郎
○野口政府委員 現在、絹糸あるいは絹織物等、中国、韓国、近隣諸国からの輸入が増大をし、それによって国内の関連業界が相当程度の影響を受けておるということは事実としてあるわけでございます。
この問題はいろいろ原因があるわけでございますけれども、やはりその原料でありますところの生糸の値段が国際価格に比して割り高である、こういうことがその大きな原因の一つだというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、絹製品関係の輸入の問題は、結局原料、糸の段階までさかのぼって解決をしなければ根本的な解決にならないというふうな認識を持っているわけでございます。そういうことで、ことしの六月に生糸一元輸入延長の際に、これはあくまでも暫定の措置である、政府としてできるだけ早く生糸、絹織物関係を含めてどういうふうに輸入があるべきか抜本的に考えろ、こういうことでございまして、現在農林省と鋭意案を詰めている段階でございます。
ただいま先生の御質問の趣旨は、私、つまびらかにその事実を知らないわけでございますけれども、その際にどういう案があるか、これはいろいろな考え方ができるわけでございまして、その案の一つとして生糸に課徴金をかけるのはどうであろうかということもあるわけでございますが、まだ成案を得るに至っていないわけでございます。現在、これは来年の話でございますけれども、できるだけ早く基本的なラインを固めるべく農林省と話し合いをしている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/141
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142・近江巳記夫
○近江委員 こうした問題は、政治的に見ましてもきわめて重大な問題であろうかと思うのですが、こうした通産次官の発言、示唆という問題につきまして通産大臣はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/142
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143・河本敏夫
○河本国務大臣 私もその事実は知らないのですが、要するに、いま局長が答弁をいたしましたように、すべての問題は生糸の一元輸入、そういうことからわが国の生糸の価格が非常に高いということに原因があるわけでございまして、それを解決するためにいま農林省といろいろ話し合いをしておるというのが現段階でございます。対策として幾つかの方法が考えられるのです。しかし、どの方法が一番いいのか、また幾つかの方法をあわせ行った方がいいのか、そういう結論はまだ全然出ておりませんので、これからの課題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/143
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144・近江巳記夫
○近江委員 こうした問題は非常にむずかしい問題であります。通産省としてはいろいろな形でアドバルーンを揚げ、反応を見、いろいろと今後の結論を考えていく、こういう方法をとられておるのじゃないかとは思うわけでございますが、国際的にもこれは非常に大きな影響も与えるわけでありますし、通産省としてはひとつ誤りのないようにやっていただきたい、このように思うわけであります。
それから、自動車の問題についてお伺いしたいと思うのですが、五十年の排ガス規制ですね。軽自動車につきましては、技術的な面から見ましても延期もしなければならぬじゃないかというようなことも伝えられておるわけでございますが、これは公害規制という点から見ましてもきわめて重大な問題でありますし、こういうことはもう早くからわかっておる問題でもあるわけであります。この問題については通産省としてはどのように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/144
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145・熊谷善二
○熊谷(善)政府委員 軽乗用車につきましては、明年の四月から五十年規制が実施ということで現在まいっておるわけでございます。
とりわけ問題になっておりますのは二サイクルのエンジンを載せました軽乗用車でございますが、これにつきましては、御指摘のとおり、とりわけ炭化水素につきまして規制値に達することが技術的になかなかむずかしいという現状でございます。いま関係会社におきましては、規制値達成を目ざしてなお現在努力中でございます。ただ、現在まだめどは出ておりません。
この間にございまして、各企業の側では、社によりましてはいわゆる四サイクルのエンジンヘの切りかえというところも一部出てはおりますが、二サイクルエンジンそれ自体が四サイクルエンジンに対しまして非常に軽量、小型、さらには経済的でもある、いろいろないい面がございます。また、加えまして公害の面におきましても、たとえば窒素酸化物はいわゆる四サイクルエンジンよりははるかにいい成績が出ているわけでございます。そういった特性を持っておりますので、二サイクルエンジンそれ自体につきましては今後なお開発を進める分野があると私どもは考えております。
現在このまままいりまして、明年四月の実施までにこの規制値達成ができない場合に企業にどのような影響を与えるか、その辺は、なお私どもあわせて現在慎重に検討いたしておりまして、この規制値実施の今後の取り扱いにつきまして政府部内でいま慎重に検討をいたしておる現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/145
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146・近江巳記夫
○近江委員 通産大臣はこの問題についてはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/146
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147・熊谷善二
○熊谷(善)政府委員 私どもは、環境規制につきましてはできるだけ協力をしてまいる考えでございます。ただ、実際の規制が物理的に不可能であるということが技術的に客観的に評価されました場合には、それに対応した対策を講ずる、実態に合わせた措置を講ずる必要があるのではないかという点を現在いろいろ検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/147
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148・近江巳記夫
○近江委員 実態に合わせた対策というのはどういうことをやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/148
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149・熊谷善二
○熊谷(善)政府委員 本件の処理につきましては、たとえば規制値に達しない場合にはその生産を中止するというようなことば当然考えられるわけでございますが、その場合に当該企業あるいは地域経済等々に大変な影響を与えるという事情が一方においてございます。他方また公害の規制につきましては、常に前進を続ける必要があるというふうにも考えておりますので、そういった地方経済に与える影響あるいは企業に与える影響といったことだけで、これを単純にそのまま延長するといったようなことは慎むべきであるというふうに考えておりまして、その場合にはさらに前進した形で、現在よりは前進した形での何らかの規制の方法を政府としては探求すべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/149
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150・近江巳記夫
○近江委員 現在よりも何らか前進した形での規制を考えておる、具体的にはたとえばどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/150
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151・熊谷善二
○熊谷(善)政府委員 現在の規制は、先生御承知のように、四十八年に決めました規制が明年の三月いっぱいまで続いておるわけであります。たとえば一番問題になっております炭化水素等につきましては、現在の規制は十モードにおきまして十六グラムパーキロメートルでございますが、これをさらに、規制値自身は〇・二五というのが四月からの実施目標ではございますが、直ちにそれにいけない場合に、その間に、現在技術的に客観的に見てどこまで可能かという一歩前進した形での規制値を暫定的に設けて実施するということも一案かと思います。
ただ、私ども、この問題はいろんな面から総合的に判断をする必要があろうというふうに考えております。たとえば環境政策の問題あるいは産業政策の問題あるいはまた地方経済等々に与えます影響、諸般の情勢を判断いたしまして、本件の処理に万全を期したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/151
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152・近江巳記夫
○近江委員 この種の問題は、そうした政府の決定というものが出て、実際に現場に研究をさせ開発を進めていく、こういう段階におきまして、大詰めになってからいつもあなた方はばたばたしたそういう姿勢を出すわけです。とうから決まっておるわけですから、いわゆる政府の方針として決まったということであれば研究開発にうんと力を入れさす、そういう姿勢がないから、こういう間際になってくるとこうした問題が出てくるわけであります。
取っかかりのときからの姿勢、あなた方の決意、指導というものが緩いのですよ。これはすべてに及んできますよ。苛性ソーダ業界などの隔膜転換法の問題だってそうじゃないですか。大体あなた方は余りにも現状を肯定し過ぎるわけです。やはりどうしてもやらなければならないという中に、本当にアイデアも、またそれだけの力も出てくるわけです。これはいろいろな問題に共通しておる問題でありますし、やはりスタートのときからそれだけの強い決意と力を持って指導を進めてもらいたい、このように思うわけです。この問題については十分検討し、国民の納得の得られるような、そういう形を出してもらいたい、この点要望しておきます。
それから、先ほどちょっと苛性ソーダの問題を聞いたわけですが、外資審議会が、ダウ・ケミカル・ジャパンの苛性ソーダ生産認可申請に対しまして、この認可の態度を留保するのは遺憾である、速やかに解決の努力を払うようにというような声明を出したということをちょっと聞いておるのですが、この問題については大臣はどうした御見解をお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/152
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153・河本敏夫
○河本国務大臣 先般ダウ・ケミカルから非常に膨大な計画が出てまいりまして、御案内のようにすでに資本の自由化はしておるわけでございますけれども、しかしわが国の産業に対して致命的な影響がある、こういう資本の進出ということは当然慎重に考えなければなりませんし、またそういうことになっておるわけです。そういう観点からいろいろ考えまして、現在は御案内のように苛性ソーダ業界全体が製法の転換中でございまして、まだ半分も進んでいない。来年の三月にようやくその六割が達成できる、しかも膨大な資金が要る、こういう大混乱期にあるわけですね。そのときにこの非常に大きな競争力を持った膨大な計画というものが実現をいたしますと、致命的な影響を及ぼすことは当然でございます。そういうことから、結論を出すのをもう少し先にしたい、あらゆる角度からもう少し検討してみたい、こういうことで、今回は結論を出さなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/153
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154・近江巳記夫
○近江委員 こうしたことも、国際的な問題でもあるわけでございますし、いろいろ通産省の置かれた立場というものは非常にむずかしい問題であるということは十分私たちも承知しておるわけですが、ただ、そういう状態であるからということで放置していくということであってはならぬと思いますし、わが国のいわゆる産業構造転換等の問題も絡みまして、非常にそこにはいろいろな問題が含まれておるかと思うのです。また慎重な討議をよくやっていただいて、ただいたずらに混乱を招かないようにしていただきたい、このように思います。
それから中小企業の問題でございますが、御承知のように政府は赤字国債を大量に発行しようといたしております。最近、都市銀行と取引しております中小企業等が、いろいろ私たちの耳に入ってきますのは、政府が公債をまた出す、だから、ボーナス時期でもありまして少々貯蓄に回ってきたとしても、その公債の方に相当回るというふうなことで、中小企業に対するそうしたいわゆる枠というものが非常に狭められておる——いまからそういうようなことを布石されているわけですね、そういうことで非常に不安を持っているわけです。
そうしますと、それにかわるものとして、この政府系の三金融機関、ここでの拡大ということは当然のことであります。ところが、第四次不況対策の中に四千八百億の年末融資、昨年は四千五百億、わずかふえただけです。しかもそれを不況対策の中に入れておる。こうなってきますと、さらにそれに対しての積み上げが必要でありましょうし、あるいはまた、民間市中銀行等に対しましても、金融機関に対しても、これはただ用意させるだけじゃなくして、それを実行させなければならない。ただ、政府は毎年民間に対してこれだけのことを要請した。用意はさせるにしたって、実効ベースから見ますと六割ぐらいしかいってないわけですよ。そこには選別はされるし、あるいは歩積み両建てが依然として行われている。こういうような民間の姿勢等に対しまして、通産省としては中小企業を守る、守ると言っておきながら、いつまでもこういうことの繰り返しが行われておる。
今年の年末は、十月の倒産が戦後最高を示しているわけです。このままでいきますと、さらに記録を更新しますよ。あなた方がとった四千八百億、それだけでいいかどうか、あるいは市中金融機関に対しましてどれだけのものを用意させ、またそれを必ず実行させるのかどうか、あるいは歩積み両建て等のそうした弊害についてはどういう厳重な規制をしていくか、こうした問題についてお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/154
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155・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 中小企業向けの年末金融の問題でございますが、御承知のように政府系三機関の今年度の融資枠は、年度当初におきまして約二兆五千億円の融資枠を計上いたしております。昨年度は二兆円でございましたので、年度当初におきましてすでに五千億増額をいたしておったわけでございます。それに今回年末追加といたしまして四千八百億の追加を決定いたしまして、年度当初の分と合わせますと、約三兆円という額になるわけでございます。
一方、中小企業の資金の需要の方でございますけれども、御承知のように不況が続いておりますので、生産水準も昨年よりも七、八%方落ち込んでおりまして、そういう意味合いから前向きの設備資金需要がまだ余り活発でございません。また、いわゆる増産資金も資金需要としては余り強くないということで、主として後ろ向きの赤字金融的な運転資金がその中心になるわけでございますけれども、相当長期間に在庫調整をやっておりますので、在庫の水準は大分減ってまいりまして、そういう意味での在庫調整資金の需要もやや鎮静をいたしてまいっております。こういう情勢から見まして、今回の四千八百億の追加で、ただいまのところの見通しでは、この年末は何とか越せるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
なお、民間の金融機関につきましても、先般年末金融として、中小企業向けに三兆五千二百億の融資目標を決定いたしました。これは昨年の目標三兆一千五百億に比べまして、約一二%増という水準でございます。この目標のとおりに融資が実行されることにつきましては、大蔵省を通じまして各金融機関を督励していただいておるところでございます。
また、歩積み両建てにつきましても、過去数年非常に厳格に取り締まりを大蔵省、公正取引委員会で指導をやっていただいておりまして、大変改善を見ておるように聞いております。もし違反等がありました場合には関係の役員が処分を受ける、こういった厳しい規制も行われておるようでございまして、今後もこういった指導を続けることによりまして歩積み両建てを一層なくすように改善を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/155
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156・近江巳記夫
○近江委員 これは、民間のいわゆる実効ベースというのは、私の聞いているところでは約六〇%ぐらいだと思うのですよ。あなた方、データをとっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/156
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157・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 昨年の四十九年度の目標が三兆一千五百億でございまして、実績は二兆二千三十億でございまして、ちょうど七〇%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/157
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158・近江巳記夫
○近江委員 今年度におきましてもせいぜい六
〇%ぐらいだということを言っておる人もあるわけですね。こういうことでは、これだけの枠を組んだといったってどうしようもないわけです。実際に借り手がなかったのかというと、そうではないのですよ。もう年末は大変だということでわんさと押しかけるわけです。そこで行われるのはいわゆる選別融資であります。それは銀行も企業という立場からすればそういう立場もあるのかもしれないけれども、これだけ倒産、倒産で来ているわけでしょう。もう少し手を差し伸べれば倒産から助かるというところも、あえて選別融資をする。大手も倒産しているのだから、中小企業は弱体である、一層そういう厳しい様相が予想されるわけであります。そういうことに対してこういう実績しかないわけでしょう。本年はさらに落ち込むだろうということを言われているのです。長官としてはどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/158
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159・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 御指摘のように、今年は大量の国債の発行、あるいは地方におきまして地方債の発行が予定をされておりますので、そういう意味におきましては、今後の年末にかけましての金融情勢はなかなか予断を許さないものがあろうかと存じます。そういう中にありまして、私どもとしては、まじめに働く中小企業の方の資金繰りにつきましては万全を期さなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、ただいま申しましたような年末金融の目標、あるいは信用保証面の充実ということを心がけておる次第でございます。確かに民間金融につきましては目標に対する達成率が余り高くございませんけれども、実績自体は年々増額を見ておる状況でございます。今年につきましては昨年以上に達成率が高まるように、大蔵省等を通じましてさらに銀行方面に要請をしてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/159
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160・近江巳記夫
○近江委員 それから、この中小企業、零細企業は、一面、金を借りてもどうしようもない、仕事がない。これはいつも私が申し上げておるわけでありますが、不景気だからやむを得ないじゃないか、それでは中小企業庁なり通産省の存在意義がなくなるわけです。その中で中小企業を保護育成していく大きな使命が皆さんにはあるわけです。できるところから全力を挙げなければいけない。それには、私がいつも指摘しておりますように官公需の発注であります。私が予算委員会でこの問題を取り上げたわけですが、幾ら中小企業庁からデータをもらいたいと言っても出さない。一方的に、発表いたします。どうのこうの。仕方がないから、私は各省庁、公社、公団から全部それを言いまして、まとめるのに一週間以上かかった。初めて公社、公団、各省庁の全貌が出た。
中小企業庁はいわゆる法律に基づいて所管しておられるわけでしょう。そんな各省庁、公社、公団に対してお願いします、お願いしますというような弱い姿勢ではあかぬと思うのですよ。閣議においても、今年度も三二・九ですか、目標を定めておられる。これは努力目標ではないのですよ。各省庁はやらなければいけない。どんどんと力を持って、中小企業庁が各省、各種公団に対しても、中小企業に対して仕事を出すようにと言っていかなければいけない。その点、非常に姿勢が弱い。それはまああなた方の立場というのは、そういうあなた方の立場に立てばわからないでもありませんけれども、国民の立場に立って中小企業庁は発言しなければいけません。それをまず、あなた方の姿勢というものにつきまして指摘しておきます。
それで、二兆六百二十億円になるように五十年度はやる、こう言っているわけですね。私たちは少なくとも五〇%まで早く持ってくるようにしなさいということを言っているわけです。そうしますと、五〇%まで持ってまいりますと、いわゆるこの三二・九%ですか、それから見ましてもざらに約一兆円以上の仕事がふえるわけであります。また、この波及効果等も考えていきますと、仕事がないと苦しんでおります中小企業に対して、政府の決断があれば、それだけの仕事をつくっていくことができるわけであります。特にこういうような不況というかってない事態に突入し、倒産も続出しておるわけであります。いま一番大切なことは、仕事を与えることです。何もいま閣議でこういう数値が決まったからといって、それを上回ったって構わないわけです。さらにその数値を上回る、それだけの努力をやっていかれますか。この問題についてどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/160
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161・河本敏夫
○河本国務大臣 中小企業に官公需の仕事をできるだけ回すということは、これは通産省とか中小企業庁だけの方針ではありませんで、政府全体の最高の方針であります。そこで、ずっと推移を見ますと、一昨年は大体二七%、それから昨年は約三〇%、本年は三三%前後を目標にしておるわけです。昨年の三〇%も、途中で目標を修正いたしまして、一、二%途中で目標を上げまして三〇%を達成した、こういう経過もございます。
そこで、本年も九月現在の実績をいま調査しておりますが、もちろんこの三三%という目標は、これは最低の目標でありますから、これを達成し、それ以上に持っていくように努力しなければなりませんが、幸い今度補正予算、つまり第四次で相当仕事が追加されまして、その仕事の内容が、住宅であるとか、あるいはまた地方の自治体のやる比較的小さな仕事が相当ある、こういうこと等から考えまして、この追加分については相当仕事もふえるのじゃないか、こういうふうにも考えられます。
そこで、いろいろ総合的に考えまして、いま申し上げました数字というものは最低の数字でありますので、できるだけこれを達成するように努力をしたいと思っておりますが、何分にも中央の仕事は大きな仕事が多い、それからまた非常に高度な技術を要する仕事もありまして、一遍に中小企業に仕事をふやしますと、やはりいろいろなトラブル等も発生をいたしますので、スムーズに公共事業全体が進みますことを考えますと、やはり順を追ってふやしていかなければならぬ、こういうこと等もありますので、総合的に判断しなければなりませんが、基本原則といたしましては、政府が全体として官公需向けの仕事を中小企業に回す、こういう方針には変わりありませんので、そういう方向に今後も努力をしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/161
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162・近江巳記夫
○近江委員 大臣は、一度に仕事を出すと中小企業者はトラブルもあるかもしれない、だから順を追ってやっていく。ところが現実に大企業に発注しましても、一次、二次の下請けに回す、二割、三割を最初からはねてやらしていく、こういうことが随所に行われておるわけですよ。中小企業だって力を持っていますよ、そのくらい。五〇%に持ってきたって、一兆円ちょっとを過ぎるくらいでしょう。いまの中小企業はそれだけの力を備えていますよ。一度に出すとできないというようなことは、それは架空のことですよ。それは業種によっては私もないとは言いません。しかし、全体として見れば、そのくらいの仕事を十分こなし得るだけの力を持っているわけです。ですから、要は政府がその姿勢に立って仕事をさらにふやしていく、この姿勢があって初めて、通産省、中小企業庁が、いわゆる中小企業育成に力を入れているということが実証されるわけであります。
それから、先ほど私は、中小企業庁、通産省のその姿勢の弱さを指摘したわけですが、これからは大胆に公表していきますか、これが一点であります。
それから、いわゆる一年の終わりに発表してもろうたって、これはどうしようもないわけです。やはり結果というものを追いつつ、そして足らない各省庁、公社、公団に対して督促をしていく、こういうチェックポイントというものを一年の中で何カ所にも分けてやっていくという姿勢が必要なんです。そんなチェックもせずに、一年の最後になってからまとめて見て、実は足りませんでした、こういう姿勢ではどうしようもない。物事を遂行していくためには、やはり中間時点に、結果を見て分析をして、さらに促進をしていく、こういう積み重ねがあって初めて上回っていくわけです。ですから、公表をする問題と、中間地点においてそれをチェックして、さらに追い上げていく、この二点について、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/162
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163・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 先生ただいま御指摘の、中間地点で一度中間値を集計いたしまして、そこでチェックをして、さらにいろいろ反省すべき点は反省して、その次の期に移る、こういうふうなことをやったらどうかという御意見でございますが、まことにごもっともでございまして、従来は年に一回一年分を集計いたしまして、年間としての結果を見ておったわけでございます。これは契約件数が約七百万件ぐらいに上がりますので、集計が大変に手間がかかるわけでございまして、各省庁の会計担当者を煩わすことになりますので、年間何回もやるということは事務的に非常にめんどうな点がございますが、やはりこういう不況の時期でもございますし、なるべくこの中間結果を見て改正すべき点を改正していく、こういう必要があろうかと存じまして、実は昨年も十二月末で四月−十二月分の中間集計をやって、予算委員会に御報告したわけでございます。
ただいま、ことしの分につきましては、一応四月−九月という上半期でどういうふうに中小企業向けに出たかという中間集計をすることにいたしまして、先月、各省庁の連絡会議を開催いたしまして、その旨を各省庁に依頼をいたしまして、年末までにはその数字がまとまろうかというふうに考えております。
それから、数字の公表の点につきましては、集計結果は御報告するつもりでおりますけれども、各省庁別の数字は一応各省庁の内部の問題でございまして、個別の数字を一般に公にするということは控えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/163
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164・近江巳記夫
○近江委員 長官の立場というものは、大臣でありませんから、非常にむずかしい面もあろうかと思いますが、各省庁、各公社、公団を個別に発表していく、そしてさらに努力をさしていく、こういう姿勢が大事だと思います。これはひとつ検討していただきたい、これを要望しておきます。
一応約束の時間も来ましたので終わりたいと思いますが、この中小企業の問題は、特に齋藤長官、そして河本通産大臣、このお二人の時期に戦後最高の千二百七十九件という倒産をお出しになった。データに出てこない、いわゆる一千万円以下の倒産したところはもう数知れず、こういうことであっては、いかに不況、インフレの進行する中とは言いながら、こういう不名誉なことは、少なくとも中小企業者が依怙依託としておるお二人でありますし、さらにこういう倒産をこれ以上ふやさないように、ひとつ英知を結集して万全の対処をしていただきたい、このことを強く要望いたしまして、最後に大臣の決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/164
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165・河本敏夫
○河本国務大臣 この中小企業に対する対策というのは、日本の産業政策の中におきましても一番重要な、大事な政策だと私は思います。特にいま苦しいときでございますから、しかも年末を控えておる、公債等も多額に発行される、こういうときでございますから、十分な配慮を払っていきたいと思います。そこで、先般来、返済猶予であるとか、あるいはまた担保の見直しであるとか、そういうことについても中央から一連の指示をしたところでございまして、あらゆる角度から万全の策をとってまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/165
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166・近江巳記夫
○近江委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/166
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167・山村新治郎
○山村委員長 次回は、来る十四日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時二十一分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604461X00219751112/167
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