1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月十二日(水曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十一日
辞任 補欠選任
福本 潤一君 高野 博師君
五月十二日
辞任 補欠選任
浅尾慶一郎君 木俣 佳丈君
久保 亘君 小川 勝也君
筆坂 秀世君 小泉 親司君
日下部禧代子君 照屋 寛徳君
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出席者は左のとおり。
委員長 井上 吉夫君
理 事
鈴木 正孝君
竹山 裕君
山本 一太君
若林 正俊君
齋藤 勁君
柳田 稔君
日笠 勝之君
笠井 亮君
山本 正和君
委 員
市川 一朗君
加納 時男君
亀井 郁夫君
木村 仁君
世耕 弘成君
常田 享詳君
長谷川道郎君
橋本 聖子君
畑 恵君
松村 龍二君
森山 裕君
矢野 哲朗君
吉村剛太郎君
伊藤 基隆君
石田 美栄君
小川 勝也君
木俣 佳丈君
久保 亘君
佐藤 泰介君
千葉 景子君
寺崎 昭久君
前川 忠夫君
荒木 清寛君
高野 博師君
益田 洋介君
緒方 靖夫君
小泉 親司君
宮本 岳志君
照屋 寛徳君
田 英夫君
田村 秀昭君
月原 茂皓君
椎名 素夫君
山崎 力君
島袋 宗康君
衆議院議員
修正案提出者 赤城 徳彦君
修正案提出者 大野 功統君
修正案提出者 中谷 元君
修正案提出者 遠藤 乙彦君
修正案提出者 山中あき子君
修正案提出者 東 祥三君
修正案提出者 達増 拓也君
修正案提出者 西村 眞悟君
国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
外務大臣 高村 正彦君
厚生大臣 宮下 創平君
運輸大臣 川崎 二郎君
自治大臣 野田 毅君
国務大臣
(内閣官房長官) 野中 広務君
国務大臣
(防衛庁長官) 野呂田芳成君
政府委員
内閣官房内閣安
全保障・危機管
理室長
兼内閣総理大臣
官房安全保障・
危機管理室長 伊藤 康成君
内閣法制局長官 大森 政輔君
内閣法制局第一
部長 秋山 收君
内閣法制局第二
部長 宮崎 礼壹君
防衛庁長官官房
長 守屋 武昌君
防衛庁防衛局長 佐藤 謙君
防衛庁運用局長 柳澤 協二君
防衛施設庁長官 大森 敬治君
防衛施設庁総務
部長 山中 昭栄君
防衛施設庁施設
部長 宝槻 吉昭君
外務大臣官房長 浦部 和好君
外務省総合外交
政策局長 加藤 良三君
外務省北米局長 竹内 行夫君
外務省欧亜局長 西村 六善君
外務省経済局長 大島正太郎君
外務省条約局長 東郷 和彦君
厚生省生活衛生
局長 小野 昭雄君
厚生省社会・援
護局長 炭谷 茂君
運輸省運輸政策
局長 羽生 次郎君
運輸省航空局長 岩村 敬君
海上保安庁長官 楠木 行雄君
自治大臣官房総
務審議官 香山 充弘君
事務局側
常任委員会専門
員 櫻川 明巧君
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本日の会議に付した案件
○日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間に
おける後方支援、物品又は役務の相互の提供に
関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間
の協定を改正する協定の締結について承認を求
めるの件(第百四十二回国会内閣提出、第百四
十五回国会衆議院送付)
○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保
するための措置に関する法律案(第百四十二回
国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案(第百四十二
回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付
)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/0
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001・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) ただいまから日米防衛協力のための指針に関する特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、福本潤一君が委員を辞任され、その補欠として高野博師君が選任されました。
また、本日、浅尾慶一郎君、筆坂秀世君及び日下部禧代子君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君、小泉親司君及び照屋寛徳君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/1
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002・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の三案件を一括して議題とし、衆議院における修正部分を中心とした集中審議を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/2
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003・市川一朗
○市川一朗君 自由民主党の市川一朗でございます。
本法案の審議もきょうで三日目になりまして、きのうまではテレビがあったわけでございますが、いよいよNHKのテレビの放送も終わりまして、この法案の大事な問題についての修正を、参議院らしく修正の問題にきょうはポイントを絞りましていろいろ御質疑申し上げるということでございます。私も当選回数が若いものでございますので、大体NHKのテレビが終わりますと登場してくる一人でございますが、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思う次第でございます。
その中で、お聞きしたい点に入ります前に、私、ちょっと昨日の同僚議員と閣僚とのやりとりの中でもう一つただしておきたい点がございますので、一点御質問させていただきたいと思う次第でございます。
昨日、たしか島袋先生の御質問に対しまして、防衛庁長官の御答弁が、周辺事態の発生に際し、基地が集中している沖縄県などが大きな影響を受けるのではないかという趣旨の発言があったように私には聞こえたわけでございます。
その辺、その後での防衛局長の答弁も含めまして、私は私なりに理解はできたわけでございますが、ちょっと防衛庁長官の真意をここで、冒頭で恐縮でございますが、ただしておきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/3
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004・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 昨日の島袋委員の御質問に対する私の答弁は言葉足らずの面があったと思いますが、私の答弁の真意は、沖縄には米軍基地が多く存在するという事実を踏まえ、例えば在日米軍が何らかの軍事的活動を行うに際して、沖縄に所在する米軍基地が使用される状況も考えられるというような趣旨を一般的に述べたものであります。
沖縄に米軍基地が多く存在し、基地問題への取り組みが県民にとり大きな課題であることは私も十分認識しており、周辺事態の対応に関しても沖縄県民の御関心が高いことは十分に考えられることから、私としても、あらゆる機会をとらえて、地元の方々に対してその趣旨や内容についての御説明に努めてまいりたいと考えているところであります。
なお、周辺事態は地理的な概念ではなく、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできないこと、また、周辺事態安全確保法案が、周辺事態に際し、沖縄県など特定の地方公共団体に特に過重な負担を強いるものであるとは考えていないことは、これまでも既に御説明申し上げているところであります。
舌足らずの面があってあるいは誤解を招いたかもしれませんが、私の真意について申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/4
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005・市川一朗
○市川一朗君 沖縄県には米軍の基地が多く存在しているわけでございまして、基地問題の取り組みにつきましては、県民の皆さんにとりましても大変大きな課題になっていることは日本国民すべてが理解している問題でもございます。
この問題は非常に大事な問題でございまして、今の防衛庁長官の御発言である程度私自身は納得できたつもりでございますが、もう一度その辺を確かめる意味も含めまして、あのときは島袋先生も外務大臣にもお聞きしたいという雰囲気もあったように思いますので、改めてこの点に関しましての外務大臣の御見解も承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/5
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006・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 今、防衛庁長官が答えられたのと全く同じような理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/6
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007・市川一朗
○市川一朗君 それでは、予定した質問もたくさんありますので、次の方に移らさせていただきます。
この法案は既に国会に提出されましてからもう一年以上たっておるわけでございまして、それまでの経緯を含めますとやっと参議院まで来たかという感じがするわけですが、それでも参議院段階、きょうで三日目でございまして、これまでの議論にも出てまいっておりますように、まだまだ参議院としてしっかりただしておかなきゃならないいろんな問題があるという認識を私自身も持っているわけでございます。しかし一方で、危機管理は大丈夫か、できるだけこういった法整備は急ぐ必要があるのではないかという焦りに似た気持ちもあるわけでございます。
一例でございますが、皆さんも御存じと思いますけれども、本年の二月二日、アメリカ国防総省は一九九九年版の国防報告を発表したわけでございまして、その中では、北朝鮮による軍事的脅威は東アジア環太平洋地域での最も重大な目先の危険であると断言しているわけでございます。そして続けまして、北朝鮮の弾道ミサイル開発は米国さえも射程範囲におさめる可能性を秘めていると危機感を訴えているわけでございます。
御案内のとおり、日本にとりましては既に現実の脅威になっているわけでございまして、昨年の八月にテポドンが発射されているわけでございますから、日本の場合は完全に射程範囲に入っているということはもうわかっているわけでございます。そういった意味を含めまして、この一連のガイドライン関連法案の重要性というものは提出段階よりもなお一層重要になってきているのではないか、増してきているのではないかと思う次第でございます。
そういう意味では早期に成立させなきゃならないという面があるわけですが、しかし新しい日本の防衛の体制を構築するということであるならば、やはりしっかりと国民的合意のもとでつくっていかなきゃいけない、こういう状況の中にあるわけでございます。私どもも災害の問題でいろいろ苦労している経験を持っているわけでございますが、いつ不測の事態が、あした来るかもしれないといったような危機的状況もあるわけでございますので、特に北朝鮮による現実の軍事的脅威のもとにある今の日本として、この問題について現実に具体的にどういう取り組みをしているのかといったようなことにつきまして政府側のしっかりとした見解をただしておきたいと思う次第でございます。
実は、私のところにもいろいろとこの法案に反対すべきであるという手紙がいっぱい参っておりますが、一方で、私どもの選挙区の方からも、そんなもたもたして大丈夫なのか、これは早く法案を成立させる必要があるのではないかという国民の声もあるわけでございます。
そういう意味では、きょうは衆議院段階における修正の問題に絞って議論しろということでございますので、私自身もそういった問題、きょうは修正論議に気持ちを集中できるようにするという意味におきましても、万一きょう何かあった場合、あした何かあった場合にはこういうふうにちゃんとやっているんだ、やるつもりでいるという政府としてのしっかりとした方針、決意をお伺いしておきたいと思う次第でございます。
総理大臣、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/7
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008・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) まさに、備えあれば憂いなしということは、これは常にもう一瞬として忘れることのできない政治の使命と心得ております。
そこで、今御指摘のありました北朝鮮に対する問題でありますが、現在の国際情勢下におきまして我が国に対して当面差し迫った脅威があるとは考えておりませんが、北朝鮮の現在の軍事態勢やミサイルの開発等の状況を踏まえますと、その動向につきましては今後とも引き続き細心の注意を払っていく必要があると考えております。
他方、周辺事態とは我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態でありまして、その発生する地域をあらかじめ特定することのできない旨は累次御答弁申し上げてきておるところでございますが、我が国を取り巻く国際情勢におきましては不透明なまた不確実な要素がいまだ残されておることは事実でありまして、周辺事態が発生する可能性は否定できないと考えております。さすればこそ、こうした法律案につきまして、できる限り早くこれは制定をお願いいたしておるところでございます。
こういう事態に適切かつ迅速に対応し我が国の平和と安定を確保するとの観点から周辺事態安全確保法の御審議をお願いいたしておるものでありまして、政府といたしましては、今後とも我が国の平和と安定の確保のために万全を期してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/8
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009・市川一朗
○市川一朗君 ぜひとも万全を期していただきたいと思う次第でございます。
さて、修正の内容について入りたいと思いますが、まず第一条の修正についてでございます。
周辺事態に関しまして、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」という文言が付加されたわけでございまして、この点はおとといからもいろいろと同僚議員から多角的な角度からのやりとりがあるわけでございますが、御説明では、発議者ないし政府側からも一貫して、例示的に丁寧に説明することによって内容をより明確にしたにすぎないという答弁があったと理解しているわけでございます。
しかし、こういった文言を追加するというのはそれなりに限定的な例示になると一般的に解されるわけでございまして、「等」が入っているからいいじゃないかといいましても、やはりそれは例示というものが追加されることの一つの宿命的な法律上の問題点だと思いますけれども、その際、私自身もちょっと気になりますのは、この例示された要件が何かどこかで聞いたことがあるなという表現でございまして、それで調べてみますと、専門家はすぐわかるわけですが、まさに自衛隊法七十六条の防衛出動の要件がございまして、「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃に際し」という中に括弧書きがありまして、「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」と言っているわけですね。
したがって、外部からの武力攻撃のおそれのある場合には防衛出動を命ずることができるというのは自衛隊法七十六条なわけでございまして、この表現は、「そのまま放置すれば」とか「直接の」とか「至るおそれ」とかいろいろ言葉が加わっておりますので、その分完全に一緒ではないわけでございますし、昨日、私どもの同僚議員の依田委員、彼は本当の専門家でございますが、この表現でいいのではないか、そして納得したような発言もしておられますので、今さら私がそこをとやかく言うのはいかがかなと思うんですが、しかし、依田委員よりは私の方が素人の分国民に近いんじゃないかなと思うのでございますが、どうもやっぱりここのところはちょっと釈然としない部分があるわけです。
何でこんな防衛出動とほとんど同じような例示を入れたのかどうか。これは第一点でいえば、何か防衛出動とどう違うんだというまずそこが本当にわかりにくくなって、いざというときにその辺混同しないんだろうか。特に私は、実施段階でちょっとどうなんだろうという心配があるわけでございますが、しかしそういったようなことは当然修正論議では十分議論した上であの文言をつけられたと思いますので、一体どういう議論の中で最終的にあの結論に至ったのかどうか。
もう何回も御答弁をいただいているテーマではございますが、改めて国民にもわかりやすく御答弁いただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/9
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010・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) まず第一に、自衛隊法七十六条と周辺事態法との書き方が似ているじゃないか、意味も同じじゃないか、こういう御質問でございますけれども、私どもは明らかに区分しております。
もとより、似たような表現を使ったことにつきましては、背景といたしまして、もう少し周辺事態を限定的に解釈していこう、こういう議論があったことは事実でございます。しかしながら、我々は七十六条の自衛権とは明らかに区分すべきである、区分しないとおかしい、こういうことを主張いたしまして、そこはきちっと区分するという話で合意されております。
その区分をどういうふうにしてやるかというのは、自衛隊法七十六条で言いますと「武力攻撃のおそれ」でございますが、この「武力攻撃のおそれ」と言った場合には、国際情勢あるいは相手国の明示された意図、そしてまた三番目に相手国の能力に基づいた軍事展開、こういうことを総合的に客観的に判断いたしまして、もう明らかに敵が攻めてくるぞ、こういうことが「おそれ」というふうに解釈しております。
しかしながら、周辺事態法におきます「そのまま放置すれば」「直接の武力攻撃に至るおそれ」と言う場合には、それぞれの要素について疑わしいところがある、したがってほっておけばそれが黒くなる。昨日も交通信号に例えてわかりやすくという話がありましたけれども、黄信号であるけれどもそのまま放置しておけば赤信号になってしまう、それを何とかして青信号に戻したい、こういうのが周辺事態法でございまして、したがいまして、ここは十分区分されるということでございます。
それから、限定的例示ではないかということは、そういうふうな意図を持った議論も途中経過ではありましたけれども、それは今やないと。ただし、代表的な例としてこういうことを示すことによって、例示的にわかりやすくあるいは丁寧に説明する。したがいまして。定義を変えるものでもありませんし、周辺事態の範囲を大きくするものでも小さくするものでもない、こういうふうに理解していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/10
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011・市川一朗
○市川一朗君 御丁寧な御説明をいただきまして、いずれ、私どもの国会はこういった形で議員同士が議論して大事な法案をつくり上げていくという過程になるかと思いますと、何か一つの歴史的な状況に加わっているような感じもするんですが──何か一言あれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/11
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012・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) 修正を強く要求しておった自由党の立場から申し上げますと、先生、今例を挙げることによって限定されたことになるのではないかという疑念を表明されましたので一言申し上げますが、およそ概念というものの中にある一つを例に挙げたからといって、その概念自身が限定されることには論理上ならないと思います。
例えば、犬という概念がありまして、そこに一つの具体的な例で紀州犬というものを挙げた場合に、一部の犬が犬ではなくなるということにはならないのでございまして、つまりそれを聞く者に具体的なイメージとして、この周辺事態というものが我が国と関係のないことではなくて、関係のない戦争に巻き込まれるとかいうことではなくて、まさに我が国自身の平和と安全に重要な影響を与える事態ということを具体的にイメージする、こういう効果があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/12
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013・市川一朗
○市川一朗君 どうもありがとうございました。
専門家のお立場ではそういうことになろうと思いますが、私、専門家というよりは若干国民的立場でお聞きしておったものでございますから、例示的なものが限定的な意味を持つか持たないかということについては、正確な解釈はそういうことであるということは承っておきたいと思います。
大体、立法者の趣旨というものをお伺いできたように思うわけでございますが、しかし実際にはこの法律ができますと運用していくのは政府側でございまして、当時、衆議院で修正された時点では、朝日新聞社の社説などでも、私が今取り上げましたような角度から、ちょっと準有事に近い法案になったのではないかといったようなことが報道されておりまして、ほかでもそういう報道がございまして、私のところに入ってくる手紙なんかにもそれに触れられたような感じの部分もございます。
あえてそこまで申し上げるつもりはございませんが、私の印象からすると国民の不安を若干あおられているような感じもするわけでございますが、法律の実際の運用に当たります政府として、この点につきましては、これも再三の御答弁はいただいておりますけれども、現時点で、この条文をどういうふうに解釈して運用する考えでいるかということを改めて念を押しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/13
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014・佐藤謙
○政府委員(佐藤謙君) 衆議院におきまして、周辺事態安全確保法案第一条に、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」の文言を追加するとの修正がなされたわけでございますが、その内容につきましては今提案された先生方から御説明があったところでございます。
また、今回の修正により追加された文言と、自衛隊法七十六条の「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」ということにつきましても、これは今御説明ございましたように区別されるものであると考えております。
本法案につきましてこれまで政府側からるる御説明申し上げておりますように、本法案が想定いたします自衛隊の活動それ自体は武力の行使に該当するものでもございませんし、また武力行使と一体化するものでもないという本法案の性格、これは従来から説明しているところと変わるものではない、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/14
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015・市川一朗
○市川一朗君 実際に事態が生じた場合の対応でございますので、慎重の上にも慎重に対応されることを考えておられると思いますが、この表現のやりとりの中でも私感じているんですが、やっぱりこれは、周辺事態でいろんなことがあって、その場合に一番典型的なのは、どこかで有事が生じて、それはひょっとすると日本にも影響してくるかもしれないというところから周辺事態というのは動き出すんだろうと思いますが、最終的には日本の有事につながる可能性があって、その有事につながらないようにするのがこの周辺事態対応であるというふうに私は受けとめている一人でございます。
きょうは御質問しようと思ったんですが、再三やりとりもございますので、御質問ではなく要望の方に切りかえようかと思いますが、有事立法の問題をぎりぎり考えていきますと、こういう法律ができますと、何か周辺事態が起きた場合にアメリカに対する支援体制というのが、それなりにこれで後方地域支援とかいろんな形でできるわけでございますが、これがずんずんエスカレートしていって、あるいは事態がそういう経過も経ないでいざ有事の状況になった時点ではいよいよ日本が大変な事態になるわけですが、私の理解するところでもまた今国会でいろいろやりとりがある中でもほぼ明らかにされておりますので、政府側と私の理解は共通していると思うんですが、有事のときのアメリカへの支援の方法といいますか、そういったものは一切法律がないのが今の日本の状況だと思うんです。
ですから、極端に言えば、周辺事態のときは米軍に支援ができる、この法律ができると後方地域支援等も含めて支援ができますが、一たんそれが不幸にしてエスカレートしていってさあ日本有事となった途端に、アメリカ軍に支援する方策はございませんといったばかみたいな話になってしまうんじゃないかと思うわけでございまして、これは一日も早く本来の有事立法、何か有事立法というとえらい悪いことを考えているような印象をみんな持ち過ぎているんじゃないかなと思うんですが、これは大変なことなんじゃないかなという感じを持っているわけでございまして、これはぜひ早急にその辺を議論すべきであると。
総理大臣の御答弁をお聞きしていますと、とにかくこの法律を早く通してください、通した上でしっかり考えますというふうにも受けとめられるわけでございます。しかし、総理大臣の姿勢には私は一つの評価を置いてこの二日間聞いておりましたので、きょうは御要望と思っておりましたが、もし何か一言総理大臣から御発言をいただければなおありがたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/15
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016・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 有事法制についてどのように対応すべきかということにつきましては、歴史的な経過がございますし、またこうしたいわゆる有事法制というものについて論議をすること自体が何か有事を招くのではないかというような事柄もかつてはなかったと言えない事態だと思っております。
しかし、いずれにいたしましても、いざという場合にどのように法的な根拠を持つべきかということは、これは法治国家としては当然考えておかなければならない問題だというふうに理解いたしております。
時間もありませんから多くを申し上げませんが、今、市川委員が御指摘されましたのは、いわゆる有事法制という中で、自衛隊の行動に係る法制につきましてはしばしば申し上げておりますように、福田内閣時代に三原防衛庁長官に指示をして検討を開始されまして、第一、第二、第三分類につきましての勉強が積み重ねられておるということですが、今御指摘は米軍の行動に係る法制についての問題でありまして、実は日本が有事のときには自衛隊を中心にして対処するわけでありますが、米軍の協力ということが万が一必要となった場合に、しからば米軍に対する法的な措置はどうかという意味での有事法制の問題があるわけであります。この点につきましては、全く正直申し上げれば手つかずということに法的にはなっておるわけでありまして、そうしたことの起こらないために今日まで外交的手段を講じつつ全力を挙げて努力してきた結果でございます。
法制上から申し上げれば、自衛隊に対する法制とともに米軍の行動に係る法制並びに自衛隊及び米軍の行動に直接かかわりありませんが、国民の生命、財産保護のための法制というものがあるべきものではないかという御主張もあることも承知をいたしておりまして、私個人的なことを申し上げれば、こうしたことについてメディアとかあるいは識者とかという方々から、こういう問題について取り組まなければならないのではないかという逆の主張で来られた場合にどう対処すべきかということも、一自民党議員としては考慮いたしてまいってきておるところでございます。
政府といたしましては、段々の経緯の中で、何はともあれ自衛隊の行動に係る法制につきまして検討済みのもの、検討中のものがございますから、こうしたものは国会の御意思もございますし、また国民世論もありますけれども、やはり法治国家としての立場からどのように対処すべきかということについては、十分検討いたしていくべき時期に来ておるのではないかということを私は申し上げさせていただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/16
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017・市川一朗
○市川一朗君 大変しっかりとした御答弁をいただいたと私は思います。
大変難しい問題ではございますが、急がなきゃならない重要な問題につきまして総理大臣としての問題意識、私がここから言うのもなんでございますが、私も総理も終戦のときは小学校二年という同じような立場でございますので、我々の世代がこの問題にはしっかり取り組まなきゃならないという問題意識を持っている一人でもございますので、しっかりサポートしてまいりますことをお誓い申し上げながら、ぜひ頑張っていただきたいと思う次第でございます。
それで、二つ目は、船舶の検査活動です。これも何回も議論がなされておりますし、これからも議論になると思いますが、それはやはり削除をされたままで参議院に回ってきた。今回のあれは三つの措置ということで、その中に船舶検査活動というのは入っていたわけでございまして、私は、今回の船舶検査活動は政府原案では、例えば警告射撃もできないんですね。国連決議を受けてやるのに警告射撃ができない。内閣法制局長官の意見を聞くと、なるほど日本の憲法九条の中ではああいう解釈になるのかなと感心しながら聞いた面もありますが、何か釈然としない部分もあるんです。
それで、この間、北朝鮮とおぼしき不審工作船が来たときは警告射撃はしているわけですね。あれは領海内だからできたので、公海になるとできないという意味合いがあるのかどうかわかりませんが、警告射撃一つできないということを旗印に掲げていって本当に船舶検査ができるのかどうかということで、実は政府原案どおり来てもいろいろ相当ただしておく必要がある、場合によっては参議院での修正もやらなきゃいけないんじゃないかと思うくらい緊張してお迎えしておった一人でございますが、何と全部削られてきたわけでございます。
お聞きしますと、三党間で協議してやりますということですが、時間も余りないわけでございますので何から聞いたらいいか。与党の立場ですから全部ぶち壊しになるような質問をしてもしようがないかなというふうに思うわけでございますが、いずれにしてもこれは三党間で協議するという場合はあくまで周辺事態への対応措置という枠の中で議論をするということに決まっておるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/17
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018・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 実際の法文の書き方についていろいろ議論があって削除されてきたわけでございますけれども、スタート地点が政府原案でございます。その政府原案に基づいて議論してきたわけでございますから、政府原案を大きく逸脱したり、中身を大きく変更したりということは今のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/18
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019・市川一朗
○市川一朗君 そうしますと、私の理解では、周辺事態の対応措置の枠の中で大体考えていくことになるというふうにとりあえず理解しておきたいと思うわけでございます。
それにいたしましても大きな柱の一つである船舶検査活動が削除されたままで通過する。ぎりぎりの法律のあり方としては、欠陥であるかどうかということであれば、それは除いたからといって欠陥であるということにはならないと思いますが、しかし重要な部分が除かれたことは事実なんですね。
それで、衆議院の方からの修正趣旨説明の中には、この修正は措置の充実を図るという見地から、政府原案でなされておったものをなお充実を図るというところから取り組んだというふうにされておって、船舶検査はばっさりと落としているわけですから、やっぱりこれはぜひとも復活する必要があるのではないか。残されたのはその復活の手続だけじゃないかというふうに私は思うわけでございます。
しかし、その場合に、大体政府原案でいいのではないかという議論もあると思いますが、現実には国連決議に基づく船舶検査活動なら必ずしも周辺事態に限らないのではないかという議論もありましたし、それから周辺事態なら国連決議に基づかなくてもよいのではないかという議論もあった。そういった中で、政府原案としては周辺事態でかつ国連の決議があった場合というふうにされて、しかも、先ほども触れましたけれども、いわゆる警告射撃とかそういったようなことには余り触れないというようなことで処理された。
ある意味で非常に一番必要最小限のところでおさまった原案で、日本の国論を考えますとこの辺が限界かなというところで政府原案は出たのではないかと理解しておりますので、基本的には政府原案の復活ということであれば私自身はそれで納得する。これは私自身と偉そうに言ってみても与党の立場ですから当然だろうというふうに思われるかもしれないんですが、一応それぐらい前提をいっぱい置いた上で、大体、警告射撃など何らかの強制措置を伴わないで船舶検査というのは本当に実効性があるのかどうかという疑問に関しては、これは政府側ですか、あるいはもし発議者側からもございましたら発議者側からでも結構でございますが、御質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/19
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020・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) 船舶検査が削除されたという点におきましては、我々衆議院の段階でよりいいものをつくろうというようなことで各党の真剣な議論の上まとまらなかったわけでございますが、四月二十五日に、ここにございますけれども、三党の幹事長の名前によりまして、今国会中にも別途立法措置をとることとし、直ちに三会派でこれについて協議を開始するというようなことでございまして、先ほど御指摘になりました威嚇・警告射撃、また国連決議の有無等については現在検討をいたしている段階でございます。
自民党といたしましては、我が国が船舶検査活動を国際的な理解を得て行うためには、その根拠として国連の安保理決議が要件になることが有益であると考えておりますが、中身につきましては議論をいたしておりますし、警告射撃の措置におきましても、これまでの事例にかんがみまして、警告射撃等の強制力を伴う措置を行わずとも経済制裁の実効性を確保するための船舶活動を有益に行い得るものと解しております。
しかし、その後、日本海の不審船のような事件も起こりましたので、この点も今後検討していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/20
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021・東祥三
○衆議院議員(東祥三君) 船舶検査活動の重要性については、今、中谷議員の方から言われたとおりでありまして、その意味においては三党間その重要性については全く同様の認識を持っております。
ただ、今、市川先生の方からまさに正鵠を得た御発言がございましたが、自由党として申し上げれば、この政府原案を見ていたときに、そもそもこの周辺事態確保法案というのは国連協力法案なのか、それとも日米協力法案なのかと。思想的な側面から見た場合、突然船舶検査活動に関して国連の決議というのがぽんと出てくる。そういう意味においては極めて思想的に混乱しているのではないのか。
また、他方において、国連決議というものが出てくれば、もう既に先生御案内のとおり、これは国連憲章第三十九条からいわゆる七章事項、エンフォースメント、強制措置の条項に入ってくるわけです。平和に対する脅威、平和に対する破壊行為あるいはまた侵略行動を行っている国に対して国際社会が一致団結してどうするのか。そういう意味においては、そのような国に対しての認定を国際社会が行って、そして具体的な制裁措置をどのように行っていくのかということで三十九条、四十条、四十一条。四十一条においてこの船舶検査活動というのは出てくるわけでございます。
そのときに、前回もこの場で御説明させていただいたとおり、国連の決議に基づく行動を行うとするならば、国連の他の加盟国と同じような仕事ができなければそれはおかしいんじゃないのか。一つの共通のルールに基づいて行う以上、先日はベースボールに例えさせていただきました。日米間でもしやるということになったとしても、アメリカにおけるベースボールのルールにおいて例えば盗塁は認められるが、日本の場合は盗塁は認められない。結果としてそのような形でちゃんとした仕事ができるのか。それがそもそもおかしいのではないのか。
そういう意味においては、いわゆるこれは荷役の問題ですから、例えば当該国が制裁決定されている、この国は平和を脅かす国であると国際社会全体が認めた国が航行する船を見つけたときに、それをとまってくださいと。しかし、とまらなかったらどうするんですかと。それに対して、今、先生御指摘のとおり、例えば警告射撃というものを、これはだめだと。であるとするならば、前もって、日本というのはそういうことを一切しないと。そうすると、自分が航行させている船に非常に疑わしきものを持っているとすれば日本のところに行けばいい、日本のところに行けば別に警告射撃されるわけでもなし。
また、警告射撃するという意味はどういうことかといえば、それを無視すれば何らかの形で物理的にとめられる。そういう前提で警告射撃というのをやるわけですから、そういうものを一切何もしませんということであるならば、国連加盟国としてのちゃんとした仕事というのは果たすことができない。格好だけ整えていることになるのではないのか。もしそういうことを前提にしていないとするならば、そもそも政府原案に盛られているのはあくまでも任意の職務質問による活動だけではないのか。
そういう視点から考えまして、ただ単に復活させればいいだとかそういう問題ではなくて、本質的な問題が含まれている。それを踏まえた上で、残念ながら三党間においては合意することができなかったわけですけれども、それを削除せざるを得なくなって、改めてその辺も含めた上でちゃんとしたものを今国会中につくり上げていきたい、このように思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/21
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022・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 公明党・改革クラブの立場から、若干御説明をさせていただければと思います。
当初、この修正論議段階では、自民党、民主党、公明党・改革クラブの三会派は、実は政府原案を維持すべきという立場だったんですが、途中、自由党が大変強い主張をされたことから意見が調わず、削除ということになったわけでございます。
私たちは、基本的にはこの船舶検査には国連決議を維持すべきであるという立場でございます。自由党は、なぜ国連決議を落とすべきかという主張として、日米協力と国連協力は別だ、周辺事態法は日米協力の話であるので国連協力が入るのはおかしい、だから国連決議を落とせという論理になっております。
ところが、これは日米安保条約というものに対して果たして十分理解されているかどうかという疑問が実はあります。そもそも日米安保条約自体、国連憲章を大前提としておりまして、国連ないし国連憲章に対する言及が十カ所あるわけでございます。また、第一条の中にもそういったことが書いてありまして、「締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。」と、まさに国連の任務を遂行するために日米が協力するんだということが大枠に書いてあるわけですね。
さらに、日米合意文書であるガイドライン自体にも国連決議を前提とした船舶検査ということが入っている。それなのに、なぜ周辺事態法という日米安保条約、日米ガイドラインに基づいてつくられる法律の中から国連決議を落とさなければならないか、非常にこれは理解しがたいというのが私たちの論拠でございまして、日米協力の問題と国連協力の問題は密接にかかわり合う、重なり合うという視点から、むしろ国連決議はぜひ残すべきと思っております。
また、実際に過去の例におきましても、十万隻以上のケースすべて、一〇〇%国連決議のもとで行われているという実態的事実もあります。
それからもう一点、警告射撃の点につきましては、これは必ずしも国際的なスタンダードが確立しているとは言いがたいという状況にあるかと思っております。国連のマニュアルがあるわけではありませんし、国際法上やらなきゃいけないというルールもないし、やっちゃいけないというルールもないわけであって、一定の幅の中で各国の法制や政策あるいはさまざまな事情を考慮して独自のやり方で対応できるわけであって、必ずしも確立したルールがあるとは認識いたしておりません。
また、我が国の憲法上から見ても、警告射撃は、特に武力の威嚇に当たってはいけないという点から見ても憲法上疑義があるのであって、法制局も現在検討中でございますので、まだ結論の出ていない問題に踏み込むことは必要なし。そういった手荒なことは日本として率先してやるべきではないだろうというのが私たちの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/22
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023・東祥三
○衆議院議員(東祥三君) ちょっとつけ加えるのを忘れてしまいましたので、市川先生、申しわけありません。
政府原案において明確になっていたのは、あくまでも国連決議を前提とすると。となると、日米協力をやろうと思ったとしても、国連決議が出なければ何もできなくなってしまう。当然、日本の周辺地域を見回せばP5の国が二つあるわけです。当然、周辺事態になった場合、国連安保理でちゃんと決議される、そういう見込みが極めて高ければまた話は別でございますが、現情勢下においてそういう状況になったときに果たして国連決議が出るのか、極めて低い可能性しかない、そうであるとするならば、そういう状況でありながら国連決議を最前提とするならば、もう既にここの部分における法案が死文化していることになるのではないのか。
国連決議が出なかったとしても、例えばそれぞれが、限定された形ですけれども、経済制裁というのは当然とれるのであって、それがまさに国連憲章の基本的に言っているところでございまして、国連決議が出たらそれぞれ各国がやっている部分の活動は停止させるという、それは国連憲章の本分ですから、国連決議が出ない限りにおいてそういう活動もできなくなる。まさに日本の船舶それ自体も基本的に検査活動もすることができなくなる、多くの方々が思っている意図とは別の方向に行ってしまう。
したがって、私たちはそういう主張をさせていただいたということをぜひ御理解しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/23
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024・市川一朗
○市川一朗君 同僚議員に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/24
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025・木村仁
○木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。
本日の私どもの質疑の趣旨は衆議院における修正部分について集中的に質問しようということでございます。恐らく、このような重要な法案についての修正案の発議者になられる皆様でありますから、なお残る非常に重要な数多くの法律の審議についても中心的な役割をお果たしになる方々だろうと思います。したがって、本日質疑を尽くして、できるだけ今後は皆様の御負担にならないように参議院の審議を進めていきたいという委員長初め皆様の御配慮ではないかと思いますので、同僚委員が質疑を残しました部分につきまして私は御質問を申し上げ、もし時間がありましたら第一条の目的の部分につきましても少し言及をさせていただきたいと考えております。
したがいまして、まず第一に応急対応措置実施前の国会承認に関する修正部分について御質問を申し上げます。
先ほど市川委員からも御指摘がありましたように、この修正条文は自衛隊法第七十六条の防衛出動の場合とほぼ同じ形になっております。防衛出動というのは専守防衛のためにはあらゆる武力を使って防衛をしようという出動でございますから、これは自衛隊にとっては最も重要な事柄であろう、こういうことであります。これに対して、周辺事態に対する、結果的に二つになりました応急対応措置というのは、平和な地域における、つまり武力の行使が起こることが予想されない、起こらないと言われる地域における活動でありますから、防衛出動とはかなり重みが違っているのではないか、そういうふうに思います。同時にまた、米国との協議の過程で機敏に実施しなければいけないということも事実だろうと思います。
そういう重みの違いがあるわけでありますから、防衛出動は国会の承認がぜひとも必要だといっても、この周辺事態の場合にはそこまで必要ではないという意見も強いのではなかろうかと思いますけれども、審議過程ではどのような状況であったのか、お教えをいただきたいと思います。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/25
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026・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 審議過程におきます議論でございますが、まず我々自由民主党としては、政府原案どおり国会の承認は不必要と考えておりました。と申しますのも、たびたび議論されたところでございますけれども、第一には武力行使にならない、第二には国民の権利義務に影響しない、こういうことでございました。
ただし、審議の過程で、やはりこれは実力組織が領域外に出ていくという問題につながってくる、それからこの周辺事態法で新たに自衛隊の活動に付与された二分野が出てくる、こういう観点から、国民の皆様に十二分に御理解を賜りたい、こういうことで国会承認ということで合意したわけでございます。
もちろん、その間で国会の承認を付与すべし、国会の承認を必要条件とすべしという議論は多々ございました。国会の承認につきましては、一つは基本計画について承認を求めよという議論もございました。
ただし、その問題とは別に、その問題の背景としてはどの部分を国会の承認の対象にするかということで、周辺事態、基本計画、自衛隊の出動、この三つが対象になるわけでございますが、最もわかりやすいし、これまでの法制に照らしても自衛隊の出動自体に国会の承認を与えるべきだ、これが一番わかりやすいんじゃないか、こういうことで御理解をちょうだいした次第でございます。
さらに、先生御質問の、一体防衛出動とこの周辺事態法の出動との違いはどうかということでございますが、言うまでもございませんけれども、防衛出動は赤信号に対するものでございますから重さは非常に重い。それから、この周辺事態法は先ほど申し上げましたように基本的には国会の承認が必要でないのではないか、こういう議論もございまして、そこにおのずから差を設けた。
つまり、防衛出動では、自衛隊法七十六条で、国会の承認は事前でございますと憲法五十四条の緊急集会、事後でございますと「直ちに」ということでございます。不承認の場合も「直ちに」撤収しなきゃいけないということでございますが、今回は「速やかに」、原則事前でございますが、事後の場合は「速やかに」という表現を使わせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/26
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027・木村仁
○木村仁君 私は国会承認という修正に結論的には賛成でございますから、誤解のないように申し上げておきたいと思います。
今御指摘がありましたように、防衛出動の場合とほぼ同じ条文の形をとりながら、しかし緊急集会による参議院の承認という手続がないということがございます。それから、緊急の事態によって国会の承認を得ないで出動した場合の事後の報告は「直ちに」というところを「速やかに」、あるいは撤収の場合も「直ちに」というところが「速やかに」になっている、それだけの差があるんだよ、そういうことでございます。
ただ、ちょっとわかりませんのは、衆議院が解散されているときは緊急集会によって参議院の承認で事を進めようということは、これは防衛出動の場合であろうと周辺事態の出動の場合であろうと事の緊要性というものは同じだと思うのでございますが、なぜこれが外されているのか、それでよろしいのかどうかということをちょっと疑問に思いましたので、もう一度お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/27
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028・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 国会閉会中あるいは国会が解散されている場合の問題でございますけれども、自衛隊法七十六条ではきちっと書いてあるわけでございますが、書いていない。私は、その問題につきましてはすべて政治判断、事が大きければ必ず緊急集会を開いたりあるいは国会を召集してやるべき問題である、その判断はすべて政治の判断である、このように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/28
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029・木村仁
○木村仁君 わかりました。ここに書かれていなくとも緊急集会でやる場合がある、そういうことでございますね。
それから、これはちょっと政府委員の方に教えていただきたいのでございますが、七十六条の防衛出動の際の承認の案件の中身でございますけれども、これはこういう案件について出動するというそのことだけを議案にするのか、それとも期間とかいろんなことが求められるのか、どういう形になっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/29
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030・佐藤謙
○政府委員(佐藤謙君) 今の御質問の件でございますが、国会の承認の対象は防衛出動の可否でございます。実施の可否ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/30
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031・木村仁
○木村仁君 今次の周辺事態に関係する応急対応措置についても同様と、可否だけ問うということで了解したいと思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/31
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032・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) おっしゃるとおりでございます。
ただし、その分野は、新しくこの法律によりまして付与された二分野ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/32
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033・木村仁
○木村仁君 それから、緊急の必要がある場合の認定は当然総理大臣がする、こういうことだと理解をいたしますが、それでよろしいのかどうかということでございます。
新聞報道によりますと、対応措置のために出動する場合、国会にかけておっては時間がかかって仕方がない、したがって多分ほとんどの場合緊急の出動という形で実施されるのではないか、そういう新聞のコメントが見受けられましたけれども、この点についてはどうお考えになるかということをお聞きしておきたいと思います。
ただ、総理大臣が緊急の事態であるという判断をして事後承認という形に持っていった場合に、緊急であるという判断自体がおかしいということで、実質は必要な出動が制約される、承認されないということになると非常に問題だと思います。これは国会の運用の問題でございますから、そのときの良識にまつよりないわけでございますが、そのあたりはどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/33
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034・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) まず、具体的に想定してみますと、安全保障会議があって、それから閣議があってということでございますが、総理大臣がリーダーシップを発揮される場面が極めて多かろうと思います。
総理大臣の判断で実は事前でよかったものが事後になった場合、総理大臣なり内閣の責任が問われるかどうか。これは、私はそういう角度で物を見るのではなくて、むしろそのことが日本の平和と安全にどういう意味を持っているのか、周辺事態法に基づく実施が日本の平和と安全にどのような意味を持っているのか、その観点から御判断いただくべきことであると思っております。
総理大臣が事前にやるべきことを事後と判断したということは、別の観点で、内閣に対する信頼の問題、このように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/34
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035・木村仁
○木村仁君 私も大体そのように理解をして、確認いたしたかったわけでございます。基本的には国会の承認によって自衛隊の出動が決まるということを支持しつつ、しかしそれがそのためにもたもたしたり遅延をするということがないように、そういうふうな思いをお聞きした次第でございます。
次に、基本計画に定める対応措置が終了したときの国会報告でございますが、これについては特に問題がないと思いますので、質問を省略させていただきます。
それから、後方地域支援活動について武器の使用を認めた修正について、二、三お尋ねをいたしておきたいと存じます。
政府原案においては、後方地域支援活動については武器の使用を認める条文がなかったのでございますが、まず防衛庁長官に御教示をいただきたいのでございますが、政府原案で武器の使用を認める措置を設けなかった理由は何か具体的なものがありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/35
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036・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 政府としましては、後方地域支援は後方地域、つまり委員御承知のとおり、我が国の領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲、こういう後方地域において米軍の艦艇等への人員や物品の輸送や補給等を実施するものであります。
この場合、当該職務に従事する者の生命、身体に対し危害を加えられる蓋然性は極めて低い、こういう考え方によりまして政府提出法案においては武器使用について規定しなかったところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/36
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037・木村仁
○木村仁君 しかしながら、衆議院の審議の中においてやはり一定の武器の使用を認めなければならない、こういうことで修正をされているわけでございます。
この点についてある新聞には、防衛庁関係者の話では、この規定が設けられていなくとも自衛隊法九十五条で船舶等の防御のための武器使用は可能なのであるから差し支えないという判断であるという説明がございましたけれども、この点についてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/37
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038・柳澤協二
○政府委員(柳澤協二君) 私ども、政府原案の段階で十一条の武器使用の考え方を整理します際に、確かに今言われましたような自衛隊法九十五条というのは、自衛隊の装備がある限り基本的にはその防護のための規定ということで働く規定でございます。
したがいまして、この周辺事態法に盛り込まれた業務を行うに際しましても、例えば船に乗っている間に万一不測の事態があれば、九十五条で反射的にと申しますか間接的に守られるであろうということを考えまして、むしろ捜索救助活動等については、さはさりながら救助の場面というのは、船から離れて救助対象者と直接接するような場面がございます。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
そういう部分の必要最小限度の生命、身体の保護ということを考えて十一条を仕組ませていただいたんですけれども、大臣が申し上げましたように、後方地域支援のケースでありますと、そういう後方地域であってかつアメリカ軍に対して接近して業務を行うというケースで非常に身体、生命の保護を要する蓋然性が少ないということを申し上げたんです。
しかしながら、修正の御論議の過程を見てみますと、確かにそういう業務であっても、むしろ後方地域支援で、例えば輸送のような業務であるがゆえに積みおろし等の形で船から離れる、あるいは装備品から離れるというケースもあるわけでございまして、先生が引用されたような形で九十五条があるからすべていいんだということにはなりませんし、私どもの考えた当初の政府案の仕組みは申し上げたとおりでありますが、修正の考え方もそういうことで一つ意味のあることであるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/38
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039・木村仁
○木村仁君 ただいま政府委員から御説明のとおりでございまして、九十五条よりは幾らか幅の広い武器の行使ということが認められたということになるわけでございます。
そもそも、戦闘行為が現に行われていない、将来にわたって行われる見込みがない、もし行われる場合には速やかに撤収するんだという原則でこの法律ができているにもかかわらず、そこに九十五条よりも幅の広い武器の使用が認められるということになれば、国民はああやっぱり安全な地域というのはないんだなと。特に、新ガイドラインの周辺事態という言葉は、英語ではシチュエーションズ・イン・エリアズ・サラウンディング・ジャパンと書いてあるんですけれども、比較的日本に近いところでそういうことが起こるのかなと心配になるわけでございます。
その点について、修正案の提案者はどのようなお考えで提案されたのか、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/39
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040・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) 周辺事態の認定において、後方地域支援を行うという場合におきましては、やはり政府が、米軍による戦闘行為が行われている地域とは一線を画した地域で行う、そして米軍の武力行使の一体化の問題が生ずることがないというような前提で認定をされるわけでございます。
しかし、そういった後方地域支援においても、全く隊員の生命が安全かといえば、やはり万が一の事態は想定をしなければなりません。平常に活動するよりもやはり危険度が高い。例えば、米軍の物資を運ぶ場合に武装集団から襲われる可能性は高くなるわけでありますし、洋上補給、洋上輸送を行う場合も偽装漁船等が近づいてきて襲われる確率も高くなってまいります。このような事態に備えて慎重の上にも慎重を期するという意味で、この武器使用に係る規定は必要だと思います。
なお、九十五条、先ほど政府からも御説明がありましたけれども、あくまでも武器防護でございます。
なぜ武器防護かというと、これは限られた国家予算で日本の防衛上必要最小限の装備ということで武器が配置されているわけであります。この武器がなくなれば我が国の国防上に欠陥を生じるということで、武器に限っては大切なものとして武器防護の規定がありますが、これは人権を無視した、やはり自衛官も人間であり、人権もございます。ですから、本来でしたら、武器防護以上に隊員を守るという意味の武器使用の規定を私としてはもっと一般の法律、自衛隊法においても整備するべきだというふうに思っておりますが、それよりも周辺事態においてはその確率が高いという点で、自衛隊員の活動に際する武器防護の規定を盛り込んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/40
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041・木村仁
○木村仁君 理解をいたしました。
ただ、一国の自衛隊、軍隊が領域外において、公海においても活動をしているわけでございます。ただいま御説明ありましたような不測の事態に対応する法制はつくっていただいた。これはその権限が与えられるとともに、その範囲内できちっとしなさいよという枠組みでもありますから、ある制約があるということは当然なことでございます。
しかしながら、日本の比較的近い地域でそういうことをやっているわけでありますから、世界には非常に凶暴な指導者もいるわけで、突如として、けしからぬということで自衛隊に対する攻撃をかけてくるということは、これは全くあり得ないことではない。
これについて質問しても、仮定の質問であるからお答えできないということになるに決まっておりますから、一般的な議論で結構でございます。これは防衛庁長官にお尋ねいたしたいのですけれども、そういう不測の事態、急に本格的な武力の行使で攻撃をされた場合には、いち早くこの第七十六条の防衛出動の措置をとって対応する、専守防衛の限りにおいて十分な防衛出動に対応する武力の行使もやる、そういう意気込みであるかどうか、そういうことをお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/41
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042・柳澤協二
○政府委員(柳澤協二君) まず、制度的な面も含めましてちょっと私の方から申し上げさせていただきます。
まず、周辺事態法で活動します場合は、もう先生十分御承知でありますが、現に戦闘行為が行われておらず、かつ行われないと認められる地域でございますので、そういうケースで行います活動の際の不測の事態というのは、おのずと、基本的に想定されておりますのはいわゆる国家間の戦闘というたぐいのものではないという前提で、スキームとしてはそうなっております。
ただ一方で、いずれにせよ、我が国に対する計画的、組織的な武力攻撃という段階に仮に至りまするならば、先生御指摘のように、政府としてはできるだけ敏速に防衛出動なりの所要の措置をとっていただけるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/42
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043・木村仁
○木村仁君 私がこの武器使用の一連の関係で一つ心配いたしますのは、それは自衛隊の隊員の士気ということでございます。実は、私どもの経験では、バングラデシュで大水害があったときに消防のヘリコプターが二機出動をいたしました。まだ法律がなくてPKOで自衛隊が出ていけなかったし、警察も行けないということでありましたので消防が出しました。各国から来た迷彩色のヘリコプターの中でただ二機、真っ赤に塗ったヘリコプターが活躍したので、大変愛され歓迎されて、そして帰りにアメリカ軍の司令官から感謝状というのをもらってきた。みんな喜んで帰ってきましたけれども、それは消防であるから、軍隊、自衛隊は兄貴分だと思っているから、感謝状をくれるならと喜んでもらってきたが、日本の救助隊がアメリカの司令官の感謝状をもらってくるいわれなんか全くないのであります。
これは消防だからいいのでありますけれども、自衛隊がアメリカと一緒に活動するときに、アメリカは堂々たる軍隊である、日本の自衛隊はただただ警察官並みの権限しか持たない人たちがいるよというのではいかにも国際的におかしいではないかという気が私はいたします。
不審船が来たときにも自衛隊の人々は出動しました。恐らく、総理や防衛庁長官は夜中に安全保障会議を招集し決断をされるときに、ほとんど九九%は国防の問題だ、しかし法律的には漁業法の解釈だよと、こういうことで議論しておられたと思いますけれども、現場に出動した自衛隊員は、自分たちは国を守るんだという意識に燃えてやっていたに違いない。ところが後で聞いてみると、自分たちは漁業法違反の船を追っかけていただけだ、だからガーンと撃ったけれども、二キロも先に撃たなければいけなかった。スクリューをぶっ飛ばしましょうかと考えたら、それは船自身をぶっ飛ばすことになって人が死ぬから権衡上警察比例の原則に反する、そういうことでできなかったという、非常にこれは自衛隊にとっては士気に関係する。いざというときに本当に役に立つのかという思いがいたします。
ですから、私も市川委員とともに有事立法について、やはり自衛隊が自衛隊らしく活動できる環境をおつくりいただきたいことを御要望申し上げまして、せっかく大臣が四人いらっしゃいますのに質問をしなかったのは大変失礼でございますが、きょうは自己抑制をいたしまして専ら衆議院の提案者の方々に質問させていただいたわけでございます。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/43
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044・齋藤勁
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。
最初に、先ほど自民党の市川議員も取り上げられましたけれども、昨日の本委員会で質問されました島袋議員も後ほど述べられるのではないかと思いますが、私の方が質問順で先でございますので幾つか指摘させていただきます。
昨日の本特別委員会で島袋委員が幾つかの事例を例示しながら、いわゆる沖縄がこの法律の成立によって真っ先に周辺事態の影響をもろに受けるんだろう、こういうことが予想されると。島袋委員も、私も、周辺事態に巻き込まれる可能性は沖縄が一番高いんだというふうに認識せざるを得ないと。こういうさまざまなこの間の沖縄の歴史やあるいは多くの識者の方々、評論家の方々のそういった指摘を含めて外務大臣と防衛庁長官にということで質問いたしました。
このことに対しまして、防衛庁長官が答弁されているんですね。防衛庁長官は、確かに地理的条件からいっても基地が多く存在することがあることを考えても、委員が言われることがあり得るのじゃないかというふうに考えられますと。
私は神奈川県在住でございますけれども、私もけさ地元の新聞で見まして、小さくコピーしてまいりましたけれども、「新指針法案 「周辺事態」で防衛庁長官 沖縄に多大な影響か」ということで、我が神奈川は沖縄に次ぐ第二の基地県ということで新聞にも報道されています。そしてまた、沖縄の琉球新報、沖縄タイムスでも、きょうはテレビがございませんからテレビにこうやってもあれなんでしょうけれども、院内テレビがあるからあれでしょうけれども、総理、「防衛庁長官 周辺事態で」ということで「沖縄が最も危険」、「沖縄が最も大きな影響」ということで大変な影響を、昨日のこの特別委員会での防衛庁長官の答弁というのが大変国民にさまざまな不安を与えているわけでございます。
防衛庁長官、このことについて先ほどの答弁ですと舌足らずとか言葉が足らなかったということになっているんですが、そんなことで済まされるんでしょうか。再度答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/44
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045・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私は、島袋議員の御質問に答えまして、確かに、地理的条件からいっても基地が多く存在することがあることを考えても、委員が言われることはあり得るのじゃないか、こういうふうに答弁しているんであって、多大の危険があるとか過重な負担がかかるとかと言った覚えはございません。
先ほども申し上げたとおりでありますが、沖縄には米軍基地が多く存在するという事実を踏まえ、私も常日ごろ基地問題に真摯に取り組んでいるわけでありますから、そういう事実を踏まえまして、例えば在日米軍が何らかの軍事的活動を行うに際しまして、沖縄に存在する米軍基地が使用される状況も考えられるとの趣旨を一般的に述べたものであります。
沖縄県に米軍基地が多く存在し、基地問題の取り組みが県民に大きな課題であることは私も身にしみて認識しているところであり、それだけにまた沖縄県民の関心の高いことは十分考えられることであります。私としてもあらゆる機会をとらえて、地元の方々に対しその趣旨や内容について御理解いただくように努めてまいりたいと考えているところであります。
なおまた、累次申し上げておりますとおり、周辺事態は地理的な概念は意味しない、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできない、また周辺事態安全確保法案が周辺事態に際して沖縄県など特定の地方公共団体に特に過重な負担を強いるような書きぶりにもなっていないし、事実そういうことも考えていない、こういうことで御説明申し上げ、御理解を得たいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/45
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046・齋藤勁
○齋藤勁君 長官、幾ら説明、いろいろ後から述べられましたけれども、後段、私は途中から島袋委員の質問の内容について時間の関係で前段省略をしましたけれども、過重な負担だとか危険だとか、そういうことが沖縄の歴史の中で心配だから、危惧されるからということで島袋委員は質問しているんです。
アメリカはアジア太平洋地域に十万人の兵力を維持しているわけだ、その大半は在日米軍だ、多くは沖縄の基地に駐留をしている、歴史的にも第二次大戦で地上戦を強いられ、朝鮮半島、ベトナム戦争、そして湾岸戦争などの出撃拠点になったのも沖縄の基地であるということで、先ほど私は冒頭申しました、ほとんどの軍事評論家、さまざまな人たちがこの法律の成立によって沖縄が真っ先に周辺事態の影響をもろに受けるだろうということを予測されていますと。沖縄は真っ先に周辺事態の影響をもろに受ける、過重な負担があるという歴史的な経過、危険だということです。
だから、私も周辺事態に、私もというのは島袋委員が、可能性は沖縄が一番高いんじゃないかということについて、あなたは、委員が言われること、島袋委員が言われることがあり得ると言っているじゃないですか。全然違うんですよ、今答弁しているのと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/46
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047・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私が申したのは、委員が言われることがあり得るのじゃないかというふうに考えられますというふうに答弁しましたので、舌足らずな面があって誤解を招いたということを先ほどから申し上げておるわけであります。私の真意はただいま御答弁申し上げたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/47
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048・齋藤勁
○齋藤勁君 舌足らずではない、明確に言っているんですよ、あなたは。同じことを言っているんですよ、新しく。委員が言われることがあり得るのじゃないかと、質問に対して答えている。認めているんですよ。
だから、認めているから、この沖縄タイムス、琉球新報、沖縄の人たちが、報道機関がこうやって大きく報道し、多分この私の地元の神奈川新聞は共同通信の配信だと思いますが、出ているわけですよ。そういう事の認識、答弁しているその事の重大性の認識を全く把握していないんじゃないですか。
総理いかがですか、このような防衛庁長官の答弁に対して。極めて私は問題だと思いますよ。いわゆる認識して発言しているんですよ、認識して。確信しているんですよ。そうでしょう。幾ら沖縄のことを思いますとか何か言ったって、思ってないんじゃないですか、本当に。こういった防衛庁長官でよろしいんですか。総理いかがですか。総理に聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/48
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049・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 何度も申し上げますけれども、地理的条件とか基地が多く存在することがあるから、私は一般的に、在日米軍が何らかの軍事活動を行うに際して沖縄に所在する軍事基地が使用される状況が考えられるという一般論を申し上げたわけでありまして、それを表現するに、委員が言われることがあり得るのじゃないかというふうに申し上げたのは、今、齋藤委員から言われたような、島袋委員が段々と御説明されていることに答えていないという意味で誤解を招いたからおわびを申し上げて、きょう、先ほどの議論でも、ただいまの議論でも訂正をさせてもらっていると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/49
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050・齋藤勁
○齋藤勁君 どう訂正されたんですか、言ってくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/50
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051・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほどから申し上げているとおり、周辺事態というのは地理的な概念ではないし、生起し得る地域をあらかじめ地理的に特定するものではない、また、この法案が周辺事態に対して沖縄など特定の地方公共団体に特に過重な負担を強いるようなことは考えていないというふうに訂正しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/51
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052・齋藤勁
○齋藤勁君 特に後段の訂正した発言はきのうの答弁と違いますよ。委員が言われることがあり得るんだと明確に答弁しているんですよ。毎日そんなことで審議できないじゃないですか、そんなことやったら。きのうときょうと違うんじゃ。
私、何回も言いませんよ。島袋先生、これ後ほどやるかもわからないから。こんなことを毎日毎日特別委員会でやるんですか。きょうは修正部分で、三会派の方いらっしゃるから、そのことを集中的にやろうと思ったから、これだけ用意していますよ。
総理、先ほど私が総理にということを言っているんです。このような、きのうの答弁と今違うんですよ。総理、いかがですか。きのうもいらっしゃった、きょうもこうやって、防衛庁長官言っているんだけれども、きのうときょう違うんです。審議できないですよ、こんなことをやったら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/52
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053・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 島袋委員が沖縄県の実態を申し述べ、歴史的過程についてもその事実を明らかにしながら申され、そして巻き込まれる可能性が一番高いというふうに認識しておりますけれども云々、外務大臣と防衛庁長官にお尋ねし、防衛庁長官としてこれについて答弁をされました。
恐らくこの全体、すべてにわたりまして防衛庁長官として申し述べたとすれば、先ほどみずから訂正されておりますけれども、答弁の中に委員が言われることのあり得ることでないかということすべて全体を含めてそういう結論をつけておるとすれば、今、防衛庁長官、この部分については取り消しをさせていただいて、答弁を新たにいたしておるということでございますので、御理解をいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/53
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054・齋藤勁
○齋藤勁君 委員長、今、総理も明確に言われたんですよ。きのうときょうと違う、訂正しているんです。これは委員会審議のあり方ですよ。委員会審議の一つのあり方。
それから、再三申しましているように、事の、答弁の与えている影響について重大な認識をしていない、そういう答弁をきのうされている、そういう大臣なんですよ、あなたは。だから、ああそんなことを言ったのかなという訂正をしているんでしょう。そういったような審議はできないじゃないですか、そんなことをやっていたら、毎日毎日。委員会審議のあり方、そして大臣の姿勢、私はこれ以上このような姿勢を続けていく限り信頼できないですよ、あなた方に対して。中断せざるを得ませんよ、本当に。しっかり政府内できちんとしてくださいよ、きのうときょう違うんだから、答弁が。──防衛庁長官、いいですよ、もう総理がそういうふうに言っているんだから。統一見解、もう一回整理してくださいよ。沖縄県民に対して大変ですよ、日本全国民に対して。委員長、私、長官に言ってないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/54
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055・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 繰り返しになりまして大変恐縮ではありますが、私は、沖縄には米軍基地が多く存在するという事実、例えば在日米軍が何らかの軍事的活動を行うに対して沖縄に所在する米軍基地が使用される状況も考えられるとのそういう趣旨に立って、それを受けて、委員が言われるようなことがあり得るのじゃないかというふうに答えたのは、これは正確でなく舌足らずであった、だから心からおわびを申し上げまして、きょう市川委員の質問に対しても訂正を申し上げたと。
議会で、舌足らずの質問をして訂正するということは議会にあってもあり得ることじゃないかと思いますので、(発言する者多し)私はきょうは誠心誠意この訂正を申し上げておわびをしたいということを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/55
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056・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/56
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057・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 速記を起こして。
ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
やりとりが食い違ったままで、何遍やっても同じことのやりとりだという感じをお持ちだから申し入れがあったと思うので、このくだりについてはここのくだりがこういうことだということはしっかり理事会で協議をして、後刻、午後の部にでも入ったときにはっきりもう一遍やりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/57
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058・齋藤勁
○齋藤勁君 政府としてのきのう、きょうの質疑の内容を全部整理していただいて、沖縄県民、日本国民に対してきちんとした見解を明らかにしていただきたいと思います。いいですね。
大変な反響、波紋を投げかけているんですよ。そのことを指して舌足らずだったと。そしてまた、長官が今の答弁の中で、質問が舌足らずであったと、そういう発言をされていましたけれども、それは言い間違いですよね、それは私はあれしますけれども。いずれにしましても、そのことを含めて、総理、統一見解をきちんと明らかにしていくということ、そしてその統一見解に対してはきちんと、とりわけ沖縄県民に対して明確に謝罪をするということを含めてやってください。
そのことを理事会で協議することを私は求めますけれども、委員長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/58
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059・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) いずれにしても理事会で協議します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/59
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060・齋藤勁
○齋藤勁君 船舶検査の問題について入らせていただきます。
いわゆる三会派、自自公修正案では船舶検査の項がすべて削除されています。これは、今週始まりましたこの特別委員会でも、先ほども同僚の委員からもるる指摘をされていますが、我が会派として、この修正部分の集中ということですので、それぞれ三会派の衆議院の方々には再度の質問になるかもわかりませんが、改めてこのことについては御答弁をしていただきたいというふうに思います。
いわゆる三会派修正案、船舶検査の項がすべて原案から削除されました。船舶検査はそれではしなくてもいいんですか、あるいは、そうでないならなぜ削除されたんですかという素朴な質問をさせていただきたいというふうに私は思います。総理、そして修正をされました自民党の大野先生、それぞれ御答弁いただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/60
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061・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政府といたしましては原案を提出いたした立場でございますが、九十時間を超える衆議院の特別委員会における審査の結果、三会派におきまして本問題につきまして大変熱心にぎりぎりまで御協議をされました。最終的には、協議が調わず、今国会中に別途立法措置をとるとの前提で削除されることになったものと理解しております。
その法案のあり方につきましては、修正をされました三会派におきまして、先ほどもここでそれぞれのお立場からの御答弁をお聞きいたしておりましたが、政府といたしましては、ぜひ一日も早く話し合いをおまとめいただきまして、立法措置が講ぜられるものと期待をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/61
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062・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 船舶検査の必要性につきましては三会派とも十分認識をいたしております。その文言、どのように表現するかにつきまして最後のぎりぎりまで調整いたしましたが、それができませんでした。
簡単に申し上げますと、国際連合安保理の決議という文言を入れるかどうか、こういう問題でございます。一方において、国際連合安保理の決議並びに旗国の承認という表現にするのか、それとも確立された国際法規並びに国際慣行という表現にするのか、そういう議論をいたしましたけれども、調整がつきませんで、削除させていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/62
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063・齋藤勁
○齋藤勁君 船舶検査の項が削除をされて本院の方に来ているわけですけれども、野呂田防衛庁長官、この原案から削除されたということについて、防衛庁長官としての認識を再度伺わさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/63
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064・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 今お話しのとおり、三会派間でぎりぎりまでの努力をしていただきまして最終的に協議が調わず、この国会中にも別途立法措置をとるとの前提で削除されることになったと理解しております。私どもとしては、早期に三会派間での協議が調いまして、新たなる立法措置が講じられることを強く期待しております。
また、船舶検査活動が抜けたことは、私どもとしては残念ではございますけれども、ほかの二つの活動が残っておりますので、本法案の重要性が損なわれたとは考えておらないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/64
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065・齋藤勁
○齋藤勁君 非常に淡々と答弁されていますが、重要性が損なわれているんじゃないかというふうに私は思いますね。
さて、そこら辺のやりとりは別にしまして、船舶検査に関する法案を新たに提出する準備をされているということですね。けさの新聞の中には、自由民主党と自由党はほぼ合意をした、国連決議を含めるということで、あとは公明党と、こういう報道、一紙だけでございましたけれども。
それはまた別にしまして、これ、いつ提出をしていつ成立をさせるおつもりなのか。衆議院の特別委員会の委員長である山崎委員長は、衆議院段階で船舶検査を削除したということは反省している、ぜひ参議院で再修正して復活させるべきだと、こういうことを述べられているわけですね。
これは、三会派のいわゆる協議が継続されているのではないかと思いますが、総理は自民党総裁であり、そして総理である。では、このことについて、今、一緒の言い方にして質疑をさせていただいているんですが、防衛庁長官そして総理、それぞれ、いつ提出、いつ成立させるんだということについての私どもに対する説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/65
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066・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 今、いつ提出していつ成立させるか、政府に対する御質問でございますけれども、我々は船舶検査を削除した際に三会派で協議をして、そして今国会中にも別途立法措置をするということでございます。
したがいまして、三会派でまず大筋を決定しなきゃいけない。大筋と申しますのは、これは、内閣提出法案にするのか、議員立法にするのか、それから表現ぶりをどうするのか、こういう問題がございます。したがいまして、今現在申し上げられますことは、今からそういう大筋を決めていくということでございます。
新聞報道には既にそういう御指摘のようなことが載っておりますけれども、そういう事実はまだございません。今から協議を進めていく、こういうことでございますので、終着点は合意しておりますけれども、まだまだ、いつ提出するのか、これが言えないことは残念でございますけれども、申し上げる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/66
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067・齋藤勁
○齋藤勁君 それは同じですか、自民党総裁としても、長官としても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/67
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068・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 今、提案者の方から御説明ございましたが、私どもも、三会派の結論を待って、よく相談をしながら見通しを立ててまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/68
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069・齋藤勁
○齋藤勁君 今からということですから、指摘をさせていただきました、いつ提出していつ成立させるんだという具体的な、明確な時期についての答弁はいただけなかったんですが。
それでは、国連決議ということで先ほども自民党、そして自由党、公明党・改革クラブから自民党の質問に対してるる御説明があったんですが、新法案での船舶検査は国連決議を要件とするか、この新しい法案では船舶検査は国連決議を要件としますかという質問をさせていただき、それに対してそれぞれお答えいただくということですね。防衛庁長官もお答えいただきたい。これは防衛庁長官としてこの国連決議を要件とするのかどうかということについてお答えいただき、そして三会派のそれぞれの今御説明されている議員の方々から要件とするのかどうかということについてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/69
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070・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 国連決議という文言につきましては、ポイントは、たびたび申し上げましたけれども、旗国の承認をとるかどうかということでございますが、国連決議といたしますと、国連決議があった場合には旗国の受忍義務が当然国連憲章二十五条によって生じますので、この場合は大変有益である、自民党はそのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/70
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071・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもは国連決議があることが望ましいということで原案を提出させていただいたわけでありますが、いろいろな三会派間の議論でも、旗国主義の問題とか多国間協議の問題とか、そういうものがありますので、そういう問題を含めて三会派間で整理をいただき、その整理によって私どもはその結果を誠実に受けとめて遺漏なきを期したい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/71
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072・東祥三
○衆議院議員(東祥三君) 当然、経済制裁を実効性あらしめるための船舶検査活動というのは、それを大々的に行うためには国連決議というものが極めて重要性を帯びてくることは先生の御存じのとおりのことだろうと思います。
ただ問題は、その国連決議を前提にするのかどうなのか、そういう問題も当然入ってくると思います。そういうことも含めた上で検討していかなけりゃならない問題だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/72
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073・山中あき子
○衆議院議員(山中あき子君) 公明党・改革クラブといたしましては、三つの要件を考えております。
一つは国連決議を必要とする、もう一つは旗国主義というのも取り入れる、そして周辺事態に限っての活動であるということでございますが、これからこれをもとにいたしまして三会派での協議がどうなっていくかということにかかってくるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/73
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074・齋藤勁
○齋藤勁君 東先生、国連決議を要件とするかなんですね。要件とするかしないかということなので端的に、いや国連決議は要件と。これは法案ですから、今つくっている法案。これは必要とするのか必要としないのかということをそれぞれお聞かせいただいて、大野先生からはお聞かせいただきましたが、ちょっと自由党の方、あいまいだったので、明確でなかったので。法案について私は伺っているので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/74
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075・東祥三
○衆議院議員(東祥三君) もともと私たち自由党は、国連決議に基づく活動であるとするならば、それは積極的、グローバルに行うという視点で常に考えますから、周辺事態安全確保法案から削除すべきという、それに合意した背景には、周辺事態法案に絡めた場合、国連決議を前提にすると日米間でできることすらできなくなってしまう、国連決議を前提にするとするならばそれは別法で取り扱うべきだということを指摘してまいりましたが、今御質問の船舶検査活動というのを本当に実効性あらしめるためには、その国連決議というものが要件にならなければ大々的な活動というのはできなくなることは当たり前のことでございますので、ちょっと御質問の趣旨がよくわからないんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/75
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076・齋藤勁
○齋藤勁君 再度、ありがとうございます。
今検討されているこの船舶検査、さらに具体的にお聞きします。
いわゆる武器使用でございますけれども、武器使用について国際法あるいは国際慣習に基づいて行うべきだというふうに考えられるのかどうかというのがありますね。これは衆議院でも参議院でも議論されていますが、例えば、警告射撃だとか威嚇射撃を可能にすべきだと考えるのかどうかということがあろうと思います、さらに。このことについて自由党の方にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/76
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077・東祥三
○衆議院議員(東祥三君) 何度かここで答弁させていただいておりますけれども、国連決議に基づく船舶検査活動というのは、国連憲章第四十一条ですから、三十九条から第七章に入りますいわゆる強制措置行動でございます。したがって、強制措置でございますので、船舶検査活動を実効性あらしめるための一連の手続というものがおのずと定まってくると思います。
航行している船が当該の地に向かって進んでいる場合、そこに積まれている荷役を検査する、そういう前提で考えますと、当然とまってくださいと。もしとまらない場合、それをとめるという活動が必要になってきます。そうすると、威嚇射撃あるいはまた、普通、自衛艦あるいは軍艦というのはヘリコプターを搭載しておりますから、ヘリコプター等を使うこともできる。それでもとまらない場合、スクリューを撃つ、あるいはまたそれでもとまらない場合はいわゆるショルダーリングということで航行停止をさせるというところまで、やるやらないは別として、当然そういう措置ができるように完備させておくというのが当たり前のことなのではないのかと。日本も国連加盟国の一員でございますので、そういう国連決議に基づく活動をやるとするならば、他の加盟国と同等の仕事をするのが当たり前だ、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/77
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078・齋藤勁
○齋藤勁君 私がお尋ねさせていただいたのは、船舶検査新法案の議論を今されているわけですね、三会派で。その中で、この武器使用が国際法や国際慣習に基づいて行うべきだと考えられるのか、あるいは威嚇射撃、警告射撃を可能にすべきだということは、そういう意味ではそういう前提で自由党の立場としては今臨んでいる、こういうことですね。
公明党・改革クラブはいかがですか。それでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/78
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079・山中あき子
○衆議院議員(山中あき子君) 公明・改革といたしましては、先般の領海を侵犯してきた不審船をとめるというのと全く違いまして、これは国連決議に基づいて経済制裁をする、そういうような前提でいきますと、警告射撃というのは今までの例を見ましても十万件のうちに数十件しかございませんので、そういう意味で、基本的には警告射撃というのをしなくても十分国連の経済制裁で実効あらしめるというふうな認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/79
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080・齋藤勁
○齋藤勁君 法制局長官、御出席いただいておりますね。
この威嚇射撃、警告射撃、これは我が国の憲法上可能かどうか。きのう、おとといでしょうか、幾つか議論もございましたけれども、端的にお答えいただきたいと思います。憲法上可能なのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/80
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081・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) お尋ねの件は、昨日もお答えいたしたわけでございますが、やや話し言葉で話したために真意が二様にとられている面がございますので、正確にお答えいたしたいと思います。
お尋ねの船舶検査活動における警告射撃、これはひいては警告射撃が効果を生じない場合のスクリュー等船体への射撃等航行不能措置までつながっていく問題でございまして、このような一連の行為を念頭に置いて検討する必要があるということが一つでございます。
法案の検討過程におきましては、この法案というのは政府が当初提案しました法案の検討過程におきましては、警告射撃等と憲法九条との関係につきまして憲法に明白に抵触しないとの結論に達するに至っていなかったところ、検討過程で法案には警告射撃等を盛り込まないということとなったため、それ以上詰めた議論は行わなかったものでございます。
以上のような経過でございますが、安保理決議に基づく船舶検査活動は、我が国の治安維持を目的として行われる警察活動ではなく、国連憲章第七章の安保理の権限のもとで行われる集団的安全保障措置の一環であり、集団的安全保障措置につきましては、そのうち憲法九条によって禁じられている武力の行使または武力の威嚇に当たる行為については、我が国としてこれを行うことは許されないと従前から考えているところでございます。
したがいまして、集団的安全保障措置の一環である船舶検査活動において警告射撃等を行うことを内容とする法案につきましては、そのような行為を伴う船舶検査活動が制裁対象国及び船舶の旗国との関係で憲法九条が禁止する武力の行使または武力による威嚇に当たらないかどうかについてさらに慎重な検討がなされる必要がある問題である、このように私どもは現在のところ考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/81
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082・齋藤勁
○齋藤勁君 今の長官の御答弁は、十日の私どもの本岡議員が質問した答弁と同じですね。変わっていませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/82
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083・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 趣旨は変わっていません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/83
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084・齋藤勁
○齋藤勁君 変わっていませんね。
ですから、そのときは結論に達していないと、現在のところ、警告射撃、明白に憲法に抵触していないという結論に達していないと。ずっと長い、いろいろあるんですけれども、今度削除をしましたけれども、提案された前のときには、威嚇射撃、警告射撃を行うことはないという前提に立って原案はできていましたということで、憲法論議の中にはいろいろさまざまな、今の御説明の中で明白に憲法に抵触していないという結論に達していないと。おとといもきょうも同じなんですが。
そこで、きのうまた野呂田防衛庁長官の、これは舌足らずだなんて言われちゃうと困っちゃうんですけれども、これは記者会見ですね。「記者会見で、船舶検査活動の法整備に関連して、「警告射撃は武力行使ではないから、やってできないことはない。憲法違反にはならない」と述べ、船舶検査での警告射撃は合憲との見解を示した。」と、「船舶検査 「警告射撃は合憲」 法整備関連で防衛庁長官」と、これはどういうことなんだろうか。
冒頭の、私は沖縄問題にかかわる昨日、きょうのいろいろな答弁のやりとりもございましたけれども、これはちょっとあれじゃないですか、今、記者会見ですね、各紙に載っていますから、全部。
政府見解はどうなっているんですか、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/84
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085・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私の発言はきのうの閣議終了後、この特別委員会が始まる前までの数分間の記者会見でありました。
その際、記者団の方から警告射撃についての質問があったわけでありますが、私はその際、諸外国の例も踏まえた上で、船舶検査活動において警告射撃と武力行使との関係については検討の余地があるのではないかとの見地に立って、武器の使用の一形態として、停船命令に応じない船舶に対して警告射撃を行うこともできるのではないかとの私の考えを述べたものであります。
この点については、今、法制局長官からも御答弁がありましたとおり、政府としては、船舶検査の際に警告射撃等の武器の使用を行うことは、憲法との関係についてはさらに慎重な検討を要する、必要がある問題であるとされており、私も何回もこの点については同様の答弁をしてきたところであります。
実は、そのことをきちっと申し上げる時間的余裕がないまま私は本特別委員会に駆けつけてきた次第であります。そのことが気になりまして、この委員会に入りまして、すぐ出席しておった官房長を呼びまして、早速そのことを記者団に申し上げ、訂正を願った次第でありますが、その訂正が間に合わなかったというのが真相でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/85
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086・齋藤勁
○齋藤勁君 数分間であるとかどうかは、前置きはございますが、これは大変お忙しい閣僚の方々、同僚議員の方々もお忙しい。しかし、大切な記者会見ですよ。記者会見の中で、あなたが、警告射撃は合憲だ、警告射撃は武力行使でないからやってできないことはない、憲法違反にならないとおっしゃったから、各紙が載せたんでしょう。全紙ですよ、ほとんどの紙が。
これはちょっと長官、あれじゃないですか。数分間とかそういうことじゃ済まないんじゃないですか。おとといときょう、大森長官は一緒にいらっしゃるんだから、防衛庁長官。
こういうような私は、小渕総理、どうも信頼して質問を引き続きしていくというような本当に心境にならない、率直に申し上げて。質問続けられませんよ、こんな、長官のこういう姿勢だったら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/86
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087・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 御指摘いただいた私の発言は、ただいま申し上げたように、時間的余裕がないままの発言でありまして、結果的には誤解を与える可能性があったかもしれませんけれども、船舶検査活動における警告射撃や威嚇射撃については、諸外国においてもかかる行為を行えるような仕組みになっているのが通例でありましたことを強調したものであります。
いずれにしましても、私自身がこれまで何回も、船舶検査の際に警告射撃や航行不能化射撃を行うことと憲法との関係については、さらに慎重な検討を行う必要があると考えていることは累次申し上げてきたとおりでありまして、この際にもそのことを言う余裕がないままここへ駆けつけたもので、官房長を差し向けまして、(発言する者多し)そのことを直ちに官房長を差し向けまして訂正させたというのが事の真相であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/87
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088・齋藤勁
○齋藤勁君 今、こうやってずっと述べられているように、私は防衛庁長官のこういう姿勢、態度では、私だけじゃなくて国民が信頼関係を持ってやりとりできないですよ。質問続行できないですよ。総理、きちんとやってくださいよ、長官に対して。質問できないですね、私は。このような内閣の状況だったら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/88
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089・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。
正午休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/89
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090・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) ただいまから日米防衛協力のための指針に関する特別委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、久保亘君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/90
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091・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 休憩前に引き続き、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件外二案を一括して議題とし、衆議院における修正部分を中心とした集中審議を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/91
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092・齋藤勁
○齋藤勁君 昼前はこれ以上質疑が続けられないということで中断しましたけれども、改めて再開に当たりまして整理をさせていただきたいということで、きょうの私自身の質問の冒頭、昨日の特別委員会の島袋委員に対する防衛庁長官の答弁と沖縄県民の皆様に対する反響の大きさ、そしてそのことが舌足らずであったということについてのやりとり、これは午前中の段階で整理をしていただいて改めてお述べいただくわけですが、いずれにしましても、沖縄県民に対する配慮もありますけれども、防衛庁長官としての昨日の答弁ときょうまた修正をされるような、一つのやはり国務大臣、防衛庁長官としての資質の問題について、これは依然として残るということについて私は挙げさせていただきたい。
そして、後段の方でございますけれども、いわゆるこれは重大な憲法問題です。この間、小渕総理は、この小渕政権が続く限り憲法解釈、これについては変わりませんということをたびたび衆参の国会の中でも明らかにしております。
警告射撃、威嚇射撃につきましてはるるやりとりをさせていただきましたけれども、法制局長官の御答弁でもこれは引き続き議論をしていく問題であるということで、船舶検査が盛り込まれているときについては威嚇射撃、警告射撃については前提としていませんということで憲法論議についてはこれは結論が出ておりませんと。これは集団的自衛権、ずっといろいろなやりとりございますけれども、要約して言いますと、これが法制局長官の、所管の省庁の長官としての御答弁だった。これは総理自身もそうであると思うんです。
ところが、昨日の記者会見で野呂田防衛庁長官は、大変閣僚の方々お忙しいだろうというふうに私は思います。しかし、国務大臣として、どんなに多忙であっても、記者がたくさんいらっしゃるわけですから、その記者の方々は真剣にやりとりを聞くわけですから、それをまた国民に知らせるということは、この国会のやりとりと同時にまたマスコミの方々のある意味での責務であるわけです。そういうことに関して、時間がなかった、数分間だったということでは後からいろいろ御訂正されても済まされない問題であるというふうに改めて昼前のやりとりの中で私は整理をさせていただいたつもりでございます。
そこで総理、この資質問題、小渕内閣として野呂田防衛庁長官を指名されました。きょうのやりとり、きょうだけではないわけですけれども、小渕総理大臣としての考え方について御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/92
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093・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 閣僚の発言というものは、みずからも含めまして極めて慎重にして正確を得ないといけないということを常々、みずから反省も込めて考えておるところでございます。特に院においての発言というものは、孔子そのものでございまして、綸言汗のごとしとは申しませんけれども、極めて発言の重きことを認識しつつ丁寧にかつ正確を期して物を申すべきであろうと思います。ただ、政治家といいますか大臣の立場でもそうでありますが、時に記者会見等ございますし、また時々演説会等でも、その発言によりまして国会内でもこのことを取り上げられたというケースは私も承知をしておるところであります。
改めて、小渕内閣といたしましては、私も含めまして各大臣に、心して発言には注意をいたし、いやしくも国民の誤解を浴びることのないように努力をいたしていきたい、このことを申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/93
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094・齋藤勁
○齋藤勁君 いわゆる資質問題に関して私はお尋ねさせていただきまして、総理から閣僚のあるべき姿勢について、立場についてお話がございました。私はそのとおりだというふうに思います。
ただ、このことは私は、私のみならず同僚議員含めて本当に一言一句なるべくなら大切にして、私どもも質問するときに本当にいろいろ配慮してやらなきゃならないということに気をつけてやっているつもりでございますが、事重大な、沖縄県の問題もそうだったしこの憲法問題についてもそうであるし、その場が公の特別委員会でありまた半ば公である記者会見であるということについて、事これはそのことで済ませるのかどうかというのは大変私は大きな問題であるということをここで申さざるを得ない。
もう一つ、憲法問題でございますけれども、憲法問題については、これは先ほどの野呂田防衛庁長官のこれは三分間で短時間で言ったんだからということでは事の反響の大きさ、なぜならば、長官の、あるいは政権政党でございます自民党の池田政調会長自身もこのことを指して御発言されたのかどうかよくわかりませんけれども、非常に反響が、「船舶警告射撃慎重に検討を」ということで、池田政調会長は、「野呂田防衛庁長官が、憲法に違反しないとの見方を示したことに「政府部内で詰め切れていない問題だ。憲法上可能との見方もあれば、いかがかという声もある。今後、法的側面について検討しなければいけない」」と、これも新聞報道でございますけれども、池田政調会長が、防衛庁長官の警告射撃について憲法に違反しないという見方を示したことに対して、今申したことを、慎重な検討が必要だということを「党本部で記者団に語った。」ということが報道されています。
ということは、三分間のわずかの時間でやったということですけれども、あなた方の与党内部で、自民党内部でまた大変なことになっているということでしょう。これは重大な問題ですよ、憲法問題。これはきちんとしていただきたい、明確にしていただきたい、政府部内で。この統一見解を明らかにしていただかないと私は質問を続行できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/94
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095・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 船舶検査行動におきましての警告射撃等の武器使用に対しての憲法問題の関係につきましては、先ほど来法制局長官が答弁申し上げましたように、現下検討中でございまして、その判断はいずれにしてもまだ検討のさなかである、こういうことでございまして、したがいまして、憲法判断に対してのこの内閣としての判断は下されておらないということでございます。
ただ、この船舶検査問題をめぐりましては、修正の過程におきまして三会派いろいろ御議論をされておられるわけでございます。
したがいまして、そうした三会派の本問題についての御検討がいかようにされてこられるかということも政府としては注目をいたしておりますが、政府として、今の時点で、冒頭の政府の案におきましてはこれが挿入されておらないわけでございまして、まだその判断が下されておらないゆえに、議論としてはあったことではありますけれども下されておらないわけでございますので、結論的に言えば、原案にはこれは示されておらないことでございます。
しかし、その後の衆議院における審査の経過の中で、三会派が船舶検査行動をも含めましていろいろ御議論をされておられることでございますので、政府は一方それも見守っていかなければならないというのが現時点であると御了承、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/95
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096・齋藤勁
○齋藤勁君 いいですか。よく私たちは三会派三会派と言いますけれども、去年ですかね、金融問題に対する要するに与党、野党の修正案、いわゆる自民党じゃない、民主党を中心とする野党修正案という、それぞれ与野党違う修正案を出してやりとりするときがあるんですね。今回の場合、違うんですよ。三会派の中心的政党は自由民主党。自由民主党総裁は小渕恵三総理大臣なんですよ。三会派がこっちにあって、政府はここにあって、別なところで何かやりとりしているというようなことじゃないんですよね。だから、三会派が出てこないと総理自身が政府の最高責任者として言えないということについては極めて国民は奇異に感じますよ、これは。
それから、私は自治大臣にきょう御出席をお願いしたのは、自治大臣としてでございますけれども、自由党の幹部として当時連立でいろいろ御協議をされたということ、本当はこのことに関しては、連立協議の中で全部済まされて法案修正なら修正していくというのが私は連立のあり方ではなかったかなという気持ちがあります、多分そうだというふうには思うんですけれども。
いずれにしましても、三会派三会派と言われている小渕総理、それだったら、この統一見解というのは何なんですか。三会派からじゃなきゃ出てこないんですか、統一見解というのは。三会派というのは、自由民主党の総裁がいて、こっちに別に何かある、そういうやりとりにしか聞こえませんよ、これは。だから、政府統一見解を明らかにして、三会派は別にしていただきたい。政府統一見解、このことを私どもは求めているんですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/96
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097・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/97
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098・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/98
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099・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 説明能力が欠けておったらお許しいただきたいと思いますが、政府の原案にはもともとこの警告射撃は入っておらないんです。
したがって、あえて政府として憲法解釈をこの際明らかにする必要はないと考えて今いたしておらないということでありまして、三会派は、政府の案の中の船舶検査行動についてこれを法案から削除された過程で、しかし、これは今後三会派でまとめて案として今国会に提出をするということでございます。また、政府として考えれば、そのことは、削除されない原案として政府としては考えてまいったことですから、しかし、政党政治あるいは議会制民主主義の根本からいって、しかも四十一条の規定で国会が最高の立法機関として存在し、それの中で三会派が案をまとめていくという過程の中で、その憲法解釈論議はあるいは議会の立場でされるかもしれませんけれども、政府の原案としてはこれは入っておりませんので、改めてそこで憲法解釈を明らかにしなければならないということはあり得ない、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/99
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100・齋藤勁
○齋藤勁君 それで、防衛庁長官がきのうの記者会見ときょうは何か説明を変えていますけれども、政府見解と異なることを記者会見で言ったわけです。だから報道が大きく出たわけでしょう。だから池田政調会長がまた大騒ぎしたわけですよ。大騒ぎされているというか、記者会見されているわけです。
警告射撃は合憲だということは、同じ政府の閣僚の中にいらっしゃるというふうな記者会見は、これは全くそうではない、間違いですと。防衛庁長官は、これは三分間で、三分間と私が言うことはないんですけれども、これは小渕内閣としては、この政府としては、防衛庁長官が警告射撃は合憲であると言ったことについては間違いであるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/100
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101・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政府の中にございます法制局、その法制局の長官は私が任命しておるところでございます。その法制局長官の見解は合憲とも合憲でないとも申し上げておりませんで、現在検討をさせていただいておる、こういうのが政府の公式の見解でございますので、合憲だと言われて確定しておるという判断を政府の閣僚はいたすことはあり得ない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/101
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102・齋藤勁
○齋藤勁君 今の総理の答弁をもって、現時点での小渕内閣の政府の統一見解ということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/102
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103・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 重ねてでございますけれども、政府としてはこの憲法解釈はまだ確定をいたしておらないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/103
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104・齋藤勁
○齋藤勁君 そうすると、その野呂田防衛庁長官のきのうの発言というのは大変なまた重大な重みを持ってくるんですよ、大きな影響力を。
そういう法制局長官、小渕総理が指名した法制局長官がということで、今、小渕総理自身がこれは政府の見解ですということですから、それを逸脱していることを野呂田長官自身が言っているわけですね。このことについて、(「取り消したんだろう」「訂正した」と呼ぶ者あり)要は、だから訂正したんでしょう。
でも、また戻りますと、軽々しく前言を手のひらを返したようにというのは嫌な気持ちかもわからないけれども、毎日毎日これを真剣に議論しているわけですよ。そういう中で、果たしてそういうことで済まされるんですかということを、いや、資質の問題をあえて私はお尋ねしたい。これはしようがないということになっちゃうんですか、こういう人だからということで、小渕総理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/104
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105・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 記者会見のときの経過についてはるる御本人から申し述べられておるところでございまして、そういった記者会見によって、十分に意を尽くし得なかったか、あるいはまた今申し上げているように政府の見解を十分理解されないままにお話しされておったとすれば、これは大変申しわけないことでございまして、改めて防衛庁長官から、記者会見の内容につきましては政府の現下判断をいたしておる問題に即して防衛庁長官としては対処するということであれば、私としてはさらに本務を遂行していただくということで尽きると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/105
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106・齋藤勁
○齋藤勁君 防衛庁長官、今、総理の御答弁ですけれども、いかがですか、憲法問題について、再度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/106
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107・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私としては、衆議院においても、多分参議院においても申し上げていると思いますが、この件については、政府としては船舶検査の際に警告射撃等の武器の使用を行うことと憲法との関係についてはさらに慎重な検討を行う必要がある問題であると、こういうふうに何回かお答えしているわけであります。
記者会見で私の見解を述べた後、このことを注意しなかったことに気づきまして、至急官房長を派遣したけれども間に合わなかったと、こういう次第であることを申し上げて、ぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/107
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108・齋藤勁
○齋藤勁君 昨日の記者会見で、警告射撃は武力行使ではないからやってできないことはない、憲法違反にはならないと、こういうふうに記者会見で言われたことについては、これは誤りであったということですね。さらに、政府として、小渕総理自身が今、合憲との見解を示したわけではないんだということについて答弁があった。
私は、沖縄発言問題を含めまして反響の起きた問題について、あるいはきのうときょうのやりとりについて、防衛庁長官の問題については引き続き、資質の問題についてもありますが、後の質問の関係もありますから、別な課題に行きます。
私は総理にもう一回お聞きしたいんですが、三会派三会派とおっしゃるので、今、政府部内でも憲法論議をしておりますが、三会派がもし今までの政府と違った見解を出してきたら、それはどうされるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/108
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109・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政府の立場では、三会派がこれからお取りまとめいただく船舶検査行動に対する結論について、私が予見を持って、こうあれば是とし、こうあれば非とするというようなことを私の立場で今申し上げることはできないことをお許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/109
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110・齋藤勁
○齋藤勁君 小渕内閣として憲法解釈は変えないということを公の場で言われているわけですね。そのことを小渕総理としてみずからお話しになっているわけでございますから、今まで政府原案にある姿勢、この間、きょうも御答弁されている姿勢が変わらないものだというふうに私は受けとめさせていただきたいというふうに思います。
もう一つ、周辺事態の定義なんですが、自由党の先生、周辺事態の定義について改めてお尋ねさせていただきますけれども、自由党としてのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/110
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111・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) 周辺事態の定義についてもう一度尋ねていただいたんですが、どうお答えしたらいいのか。
我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であると、原案はこうでございました。それで、我々の修正協議の中で放置すれば我が国に武力攻撃がある事態等という例示を加えたわけでございます。これによってこの周辺事態というものが我が国の平和と安全に重要な影響を与える、つまり我々自身の問題であるということを明確にし得たと我々は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/111
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112・齋藤勁
○齋藤勁君 今回、衆議院のいわゆる特別委員会の終盤に修正がされた中で幾つか、船舶検査の問題、威嚇射撃、武力行使の問題があるんですが、そうするとこの周辺事態の定義はそのまま放置すれば日本の平和と安全が直接侵されるおそれがある事態、これは自衛権の行使につながる事態と定義しているという理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/112
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113・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) 例示としての文章を自衛権という側面から見ますならば、このまま放置すれば我が国は自衛権の発動をせざるを得ない事態に至ると。したがって、先ほど大野先生も言われた、黄色信号から赤信号に行くんだということを言いますならば、放置すれば赤信号で、我々は自衛権を発動せざるを得ない。したがって、この定義自体に自衛権発動以前の行動であるという行動の位置づけもなされておる、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/113
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114・齋藤勁
○齋藤勁君 例えば、こういうことはどうでしょうか。東南アジアということで指していいと思うんですけれども、具体的な国名じゃなくて東南アジアのある国に内乱があった、そうするとアメリカが軍事介入をしてきた、こういう場合に、日本の平和と安全が侵されるおそれがあるということで、周辺事態になり得るのかどうかということについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/114
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115・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) この周辺事態の定義で、我々、また政府も一貫して地理的概念ではないと言っておるのは、我々のこの一世紀の歴史の中における知恵がこの答弁に詰まっているんだと私は思います。
つまり、どういうことかといいますと、アチソン国務長官が明確にラインを引いてアメリカの防衛圏を示した、それとどういう因果関係があるのかまだ歴史的には解明されていませんが、その直後に朝鮮戦争が始まっておるわけです。
我々日本国の姿勢としては、あいまいであると言われるのは、それは確かでしょう、地理的概念ではないんですから。その具体的に起こった事態を内閣及び内閣総理大臣が、我が国に対する周辺事態だとそのとき決断するわけですから。起こる前に決めるわけにはいかない、したがって、あいまいである。これは大きな知恵だと思います。大きな抑止力であって、安全装置だと私は思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/115
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116・齋藤勁
○齋藤勁君 私も、日本政府の課題というのは、この防衛指針関連法が仮に通ったとして、これを適用しないで済む安全保障環境というのをアジア太平洋の地帯につくっていくということが当然私は大前提だというふうに思います。
私は、仮にということで、自由党のお考えですと、例えば東南アジアのある国に内乱があった、米国が軍事介入したということは周辺事態になり得るんだろうかどうかということをお尋ねさせていただいたので、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/116
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117・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) この法案ができるまでの日米安保共同宣言からガイドラインまでを読みますと、従来の戦争というものを超えた、アナザー・ザン・ウオーというか、戦争であるようで戦争でない、しかし戦争でないようで戦争であるという事態をも想定しております。
つまり、ゲリラコマンド攻撃、これは国家が主体となって攻撃しておるのか非国家組織の攻撃なのかわからないけれども、したがって十九世紀的な立場からすれば戦争ではないかもしれないけれども、実態は戦争であるという事態を想定したガイドラインの文章になっておると思います。
したがって、今、東南アジアのいずれかの国ということを言われましたけれども、それが周辺事態になるかどうかは、第二次世界大戦までの戦争というのは必ず国家が主体なんだと、そういう明確なものではない、それこそ冷戦後の日米安保共同宣言に盛られたその危惧の念がどういう形で発現するかわかりません、ゲリラコマンドですから。
我々の国でも、送電線の鉄塔が倒れて、新幹線の犬くぎが抜かれて、これがどこの組織、どこのプロが抜いたのかもわからない今の国内情勢なんですから、これがいかなる因果関係を経て、風が吹けばおけ屋がもうかると言いますけれども、いかなる複雑な連鎖を経て我が国の周辺事態に至るのかは、今、事前にその事態が生起していないのに、ここが含まれるのか含まれないのか、それが周辺事態に当たるのかということは私は言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/117
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118・齋藤勁
○齋藤勁君 周辺事態ですね、自由民主党の方々は、修正した後も内容は修正前と変わりませんと。そのときに自由党の藤井幹事長が、やはりこれも記者会見されたんでしょうけれども、自衛権に基づく措置と考えると。だから、自由党にお聞きしているのは、この修正の三会派、いろいろお考えがあるのは当然です、それぞれ政党が違うんだから。ここが非常にあいまいであるということをずっと引きずっているんです。ですから、私はお尋ねさせていただいているわけです。
だんだん質問時間がなくなってきました。大野先生、いかがですか、今の点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/118
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119・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) その点につきましては、明らかに自衛隊法七十六条の防衛出動と周辺事態法に基づく自衛隊の出動とを区分いたしております。
ただし、赤と黄信号を見間違わないようにお願いを申し上げたい。ということは、赤と黄の境目のところで、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある、極めて近いところまで言い込んでおりますから、それはあくまでも黄である、こういう認識でございますので、あくまでも武力行使につながらない、そういうことで明確に区分させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/119
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120・齋藤勁
○齋藤勁君 ここは引き続き質問させていただきたいんですが、ここの周辺事態の定義では、いわゆる自由民主党、自由党の協議の中では、日米安保条約の効果的運用を確保するためと追記をしています。日米安保条約が前文で、日本の集団的自衛権を有しているということを考えていけば、これは周辺事態を集団的自衛権の行使とみなすという考え方であり、私はこれまでの政府の憲法解釈を変更するのではないかということで、どうも自由民主党と自由党の考え方は違う。連立の中で食い違いがあるということについて、幾つか連立政権がありましたけれども、今の連立政権の中で、考え方が違う政党と連立を組んでいることについて御説明していただきたいなというのが率直にあるんです。
総理、聞いていておわかりですか。自由党と自由民主党の周辺事態の定義についての違い。これから協議をされていくんでしょうけれども。
私から今度は伊藤議員にかわりますので、最後に、再度しつこいようで恐縮ですけれども、武力行使、威嚇射撃の問題での小渕内閣・政府としての見解について先ほど御説明がございました。問題は三会派ですね。三会派が合憲だという意思統一というか協議が調ったと。ということは、今度は今の政府としても、そうだ、そうなるということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/120
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121・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 憲法問題については、本件のみならず、集団的自衛権の問題もございまして、その点については、申し上げておりますように、今内閣として前内閣以降の見解をそのまま踏襲しておるということでございます。
今個別的に、船舶検査活動に対しましての威嚇射撃問題について問われておるわけでございますが、重ねてですが、先ほど法制局長官が答弁申し上げたように、政府としては、この件については検討中だと、こういうことでございます。
三会派においてどのようなことをおまとめいただけるかについては、これも重ねてですが、政府としてあらかじめ予見をもってこうあってほしいというようなことを、私も自民党総裁ではありますけれども、自民党だけでその修正を行ったわけではございませんので、これからの修正論議を十分踏まえて、政府として願うことは、一日も早くこの問題についても今国会でその結論を得て、国会でこれが御了承いただけるようになることを期待しておるということに尽きると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/121
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122・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) 先ほど三会派の定義が違うとおっしゃられた。定義は同じなんです。
それから、憲法解釈が違うところが一緒になるのはとおっしゃったけれども、方向は同じなんです。我々は集団的自衛権のところまで踏み出しているわけです。その方向は同じです。しかし、連立の合意は従来の憲法解釈の範囲でやるということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/122
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123・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 我々連立政党は小渕内閣を支えております。小渕内閣の憲法解釈と違うような、全く食い違うような三党協議の結論が出るようなことはあり得ない、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/123
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124・齋藤勁
○齋藤勁君 私の持ち時間は終わりますので伊藤議員にバトンタッチをいたしますが、この間のやりとりで、しきりに三会派、三会派と言われている。これは、総理自身もおっしゃっているように、政府原案があって国会に提出をしてきた、しかし衆議院でこの三会派を中心に修正がされたというくだりでずっと今日参議院で一貫して答弁されていると思うんです。しかし、私は、三会派というのは、今、総理自身もおっしゃったように、自民党総裁であるわけですから、やはり国民というのはこのことについて三会派、三会派と総理自身が言われることを非常に奇異に感じるということが一つあります。
それから、やはり三会派と言われると、三会派がまとまらなければと、そこら辺も含めて自民党総裁としてのリーダーシップとよく総理は言われるけれども、どこにリーダーシップが出てくるのかなというのがどうしても払拭できません、率直に申し上げまして。
そういうような私自身の今のやりとりの感想を申し上げさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/124
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125・伊藤基隆
○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤基隆でございます。
私は、周辺事態法案の修正の部分で、まず、第一条に極めて重要な意味合いがあるんじゃないかというふうに着目をしております。それは、第一条、原案は、「この法律は、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定め、もって我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。」というまさに単純明快な記述でございました。修正案は、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」、これが入っております。
例示という説明をされておりますけれども、私は、今日までの日米安全保障協議の経過、それで確認された経過を見ますと、やはりそこからこれは出てきた認識だろうというふうに思っております。自衛隊法にも同様の似通った記述がありますけれども、私は日米安全保障協議の中から認識として出てきたんじゃないかというふうに受け取りました。
さらに、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与し、」、これが明確な目的になっておるわけであります。その認識においてこれから順次質問していきたいというふうに思うわけです。
私はまず総理大臣にお聞きしたいんですけれども、日米防衛協力のための指針、いわゆる新ガイドラインと周辺事態安全確保法案の関係について、これを一つ一つの事例、当然にして公表されている文書というものに基づいて確認をしていきたいというふうに思います。
まず、周辺事態における地理的概念についてでございます。
政府は、周辺事態の定義は、周辺事態は地理的概念ではないという答弁をなさっております。一方で、周辺事態の生起する地域の範囲ということの答弁で、周辺事態が我が国の安全と平和に重要な影響を与える事態である以上、現実の問題としてこのような事態が生起する地域はおのずから限界があるという答弁があります。これは明らかに周辺事態が地理的概念であるということを認めて、認識した上での答弁というふうに解されると私は思っています。
日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間取りまとめ、そこに「「日米防衛協力のための指針」の見直しの背景」という記述がございますが、「一九九六年四月に橋本総理大臣とクリントン大統領により発表された「日米安全保障共同宣言」は、日米安全保障関係が、共通の安全保障上の目標を達成するとともに、二十一世紀に向けてアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認した。この同盟関係によって醸成された安定的で繁栄した情勢は、この地域のすべての者の利益となる。」、こういうものがあります。
同じく、一九九七年九月二十三日に日米安全保障協議委員会が指針の見直しの終了の共同発表を行いました。「日米同盟関係は、日本の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、また、アジア太平洋地域における平和と安定を維持するために引き続き重要な役割を果たしている。」、「このような努力が成果を挙げることは、この地域のすべての者の利益となる。」としています。
政府の説明によれば、日米共同宣言は米軍のプレゼンスがアジア太平洋の安定につながっているという認識を述べたもので、それに協力するということではないということでございます。もっとも、アメリカ側は日米共同宣言によって日本側がアジア太平洋地域における日米協力を引き受けたと受け取っているようでございますけれども。
すなわち、中間取りまとめによれば、この同盟関係によって醸成された情勢がこの地域のすべての者の利益となるとしていることや、九月二十三日の共同発表が、このような努力が成果を上げることはこの地域のすべての者の利益となるとしていることが私は大変重要だというふうに思っています。これは新ガイドラインで一番重要なところだというふうに思っています。すなわち、アジア太平洋地域により積極的な目標を持って日米同盟の役割を規定しているのであります。
周辺事態の周辺とはアジア太平洋地域であるというふうに考えるのが自然と思いますが、総理大臣の認識はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/125
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126・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 重ねてでありますが、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態でありまして、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することができないことはしばしば申し上げておるとおりであり、この周辺事態ということをもってこのガイドライン法案の大きな柱であることは御案内のとおりでございます。
そこで、この周辺事態は、御指摘のアジア太平洋といった観点ではなく、あくまで我が国の平和及び安全に重要な影響を及ぼすか否かに着目したものであります。したがいまして、新たな日米防衛協力のための指針が周辺事態に際する協力と直接関連しない部分においてアジア太平洋との文言を用いているといたしましても、そのことと周辺事態との間で何らの論理的な関係があるわけではないというのが考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/126
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127・伊藤基隆
○伊藤基隆君 質問通告をしていないので大変失礼かと思いますけれども、大野衆議院議員にお尋ねしますが、三党の修正協議の中で周辺事態の認識について議論があったかどうか。
この議論が始まる前において、自由党の小沢党首が周辺事態に地理的概念が入っているのは当然だという認識をいろんなところで発表されたように私は受け取っておりますけれども、それはやはり当時として極めて常識的な的確な判断だったと私も見ておりましたけれども、その点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/127
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128・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 周辺事態についてはいろいろな考え方があるのは当然であろうという小沢党首の話は私も承っておりますが、それを地図の問題として考えるのかどうか、それは私は伺っておりません。
新しいガイドラインを読みますと、周辺事態というのは確かに英語ではシチュエーション・イン・エリアズ・サラウンディング・ジャパンと、こういうふうに書いてございますけれども、ガイドラインの中ではこれは地理的概念ではない、こういうふうに明確に書いてございますので、それは党首も十分御存じのはずであるし、私どもはそういう観点から余り議論しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/128
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129・伊藤基隆
○伊藤基隆君 私は、それぞれの立場での認識、発表、答弁を読んだ上で一つ一つ確かめていくわけであります。
再び総理大臣にお伺いします。
日米防衛協力のための指針の三項の二、「安全保障面での種々の協力」では、「安全保障面での地域的な及び地球的規模の諸活動を促進するための日米協力は、より安定した国際的な安全保障環境の構築に寄与する。」としております。
共同発表九七年九月二十三日において、「防衛協力小委員会は、冷戦後の情勢の変化にかんがみ、指針の下での成果を基礎として、以下の分野について検討を行ってきた。」。すなわち、一つは「平素から行う協力」、二つは「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」、三つが「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合」、すなわち周辺事態の協力、「これらの検討は、平素からの及び緊急事態における日米両国の役割並びに協力及び調整の在り方について、一般的な大枠及び方向性を示すことを目的としたものである。見直しは、特定の地域における事態を議論して行ったものではない。」としております。
さて、指針に「地球的規模の諸活動を促進するための日米協力」とあることからすれば、周辺事態の地理的範囲は地球規模に拡大する可能性があると考えるが、その点について総理の認識はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/129
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130・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 伊藤委員御指摘の「地球的規模の諸活動を促進するための日米協力」、このことは日米防衛協力のための指針の中の平素からの協力の部分で記述されておりまして、周辺事態における協力の部分において述べられているものではなく、周辺事態に対応して行う日米両国の取り組みとは実は無関係でございます。
平素からの協力ということにつきましては、例えばPKOの地球規模での我が国の活動その他につきまして、もしそういうことで協力関係があればこれは協力していかなきゃならぬ、こういうことを申し述べたものと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/130
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131・伊藤基隆
○伊藤基隆君 引き続き外務大臣にお尋ねします。
新ガイドラインの五項、周辺事態の協力の項で、「周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態である。周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである。」、政府答弁でずっと言っているんです。また、ガイドラインに明確に書いてあります。しかし、そのガイドライン前文のパラグラフにこれと矛盾するんではないかという記述があるのであります。すなわち第二パラグラフにおいて、「冷戦の終結にもかかわらず、アジア太平洋地域には潜在的な不安定性と不確実性が依然として存在しており、この地域における平和と安定の維持は、日本の安全のために一層重要になっている。」。さらに、第三のパラグラフで、「「日米安全保障共同宣言」は、日米安全保障関係が、共通の安全保障上の目標を達成するとともに、二十一世紀に向けてアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認した。」、その上で「七八年の指針の見直しを開始することで意見が一致した。」というふうにあります。
前文においてそういう記述があって、その上でしかし地域と。矛盾があるんじゃないか。そういう周辺事態認識が日米においてアジア太平洋地域を想定しているというふうに理解するのはごく自然な成り行きではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/131
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132・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) これは先ほど小渕総理が明確に答えられたところでありますが、私にもお尋ねがありましたので、繰り返しになりまして申しわけございませんが、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であり、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできません。このような意味で、周辺事態は地理的概念ではありません。
このように、周辺事態は、御指摘のアジア太平洋といった観点ではなく、あくまで我が国の平和及び安全に重要な影響を及ぼすか否かに着目したものであります。したがって、新たな日米防衛協力のための指針が周辺事態に際する協力と直接関連しない部分においてアジア太平洋との文言を用いるとしても、そのことは周辺事態との間で何らの論理的関係があるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/132
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133・伊藤基隆
○伊藤基隆君 質問されている方は同じことを何回もなぜ聞くんだというふうに思っておいででしょうが、私は一つ一つ確認する必要があるだろうと、将来の問題ですから。将来に何らかのことが生起した場合に、ここにおける審議は重要な意味を持ってくるというふうに認識してやっているわけであります。ぜひ、お考えのとおりのことを答弁されればそれで結構なんでございます。
さて、防衛庁長官にお尋ねいたします。
日米安全保障共同宣言、一九九六年四月十七日によれば、その前文の部分で「両首脳は、日米両国の将来の安全と繁栄がアジア太平洋地域の将来と密接に結びついていることで意見が一致した。」、「両国政府は、過去一年余、変わりつつあるアジア太平洋地域の政治及び安全保障情勢並びに両国間の安全保障面の関係の様々な側面について集中的な検討を行ってきた。」と述べまして、「日米間の安全保障面の関係に基づく二国間協力」の項で、一、「両国政府は、国際情勢、とりわけアジア太平洋地域についての情報及び意見の交換を一層強化する。」、その上で、二、「総理大臣と大統領は、日本と米国との間に既に構築されている緊密な協力関係を増進するため、一九七八年の「日米防衛協力のための指針」の見直しを開始することで意見が一致した。」、こういう認識で新ガイドラインは成り立っているわけです。
一方、日米安全保障共同宣言、一九九六年四月十七日は、「地球的規模での協力」をこのとき既に出しておるわけですが、「総理大臣と大統領は、日米安保条約が日米同盟関係の中核であり、地球的規模の問題についての日米協力の基盤たる相互信頼関係の土台となっていることを認識した。」となっております。これを受けまして、日米防衛協力のための指針、すなわち新ガイドライン三項、「平素から行う協力」の二項の「安全保障面での種々の協力」の項で、「安全保障面での地域的な及び地球的規模の諸活動を促進するための日米協力は、より安定した国際的な安全保障環境の構築に寄与する。」とあります。
日米共同宣言、新ガイドラインに地球的規模、アジア太平洋地域という明確な地域及び地理的認識が出されておりまして、そのために国民の関心はここに集中しております。周辺事態法の審議に当たっては地理的概念の確立が求められる、そういうことだと思うんです。それが今後の日本の安全保障にとって最も重要であって、特に周辺事態法第一条に日米安保条約の効果的運用に寄与するとあるならば、なおさら地理的概念というのは重要と言わなければなりません。
この点について、地理的概念を示すものではないというのではなくて、地理的概念を持つことが重要なのではないかという点について、防衛庁長官の考え方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/133
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134・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 私がお答えする方が適切であるかと思いまして、お答えさせていただきます。
平成八年四月の日米安保共同宣言におきましては、「アジア太平洋地域」の表現が使用されておりますが、これは日米安保条約の目的の達成のため米軍が我が国に駐留しているということがアジア太平洋地域における米国の存在を支える重要な柱の一つとなっており、米国のこの地域におけるコミットメントを明確にするものとして、アジア太平洋地域諸国に安心感を与え、結果としてこの地域の安定要因として作用しているとの認識を述べたものであり、政府はこれまでもこのような認識を累次の機会に示しているところでございます。
周辺事態とは、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態でありまして、ある事態が周辺事態に該当するか否かにつきましては、その事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するわけであります。したがって、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできないわけでございます。
他方、周辺事態が我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態である以上、現実の問題としてこのような事態が生起する地域はおのずと現実的には限界がある、こういうことでございます。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
以上の点はこれまでも繰り返し御説明して明らかにしているとおりでございまして、何とぞ御理解をよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/134
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135・伊藤基隆
○伊藤基隆君 御理解は、私は、全部質問して答弁いただいて、後々議事録を詳細に検討して、再び質問という機会があればそのときにどうなるかということになると思います。
さて、防衛庁長官にお伺いします。
周辺事態が地理的概念ではないという認識がずっと示されておりますが、そういうことは周辺事態と判断するとき地理的な認識は持たないということなのか。もっと言えば、新ガイドライン三項「平素から行う協力」の「安全保障面での種々の協力」の二項にあります「地域的な及び地球的規模の諸活動」の文言からすれば、いかなる地域において発生した事態についても、周辺事態法第一条に言う「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」として対応して日米安保条約の効果的な運用に寄与するということなのかどうか。防衛庁長官に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/135
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136・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 地球的規模の諸活動に関する日米協力に関する記述は、この記述の後に述べられているように、国際的な軍備管理・軍縮において協力することや、あるいは国連平和維持活動や人道的な国際救援活動、あるいは大規模災害の発生後の緊急援助活動といった活動を日米いずれかの政府または両国政府が行うに際して、両国政府が協力することがより安定した国際的な安全保障環境の構築に資するものを述べているものであります。
お尋ねの周辺事態というのは、先ほど来答弁がありますように、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であり、その事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断する。したがって、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできない。そのような意味で周辺事態は地理的概念ではないということをしばしば御答弁申し上げてきたとおりであります。
他方、周辺事態が我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態である以上、ただいまも外務大臣から御答弁がありましたとおり、現実の問題としてはこのような事態が生起する地域にはおのずから限界がある。これまでもしばしば申し上げてきたところでありますが、例えば地球の裏側とか中東とかインド洋で生起するようなことは現実の問題としては想定されないと申し上げているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/136
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137・伊藤基隆
○伊藤基隆君 答弁される方もやるせないような気持ちになっているかもしれませんけれども、私の方もそういう気持ちでありますが、質問していることはすなわち批判をしていることだというふうにお受けとめいただきたい。周辺事態について地理的概念が入らないということは、まさに虚構の上に成り立っていることだというふうに私は思っています。
質問についてはほぼ全文に近いものを通告してあります。というのは、突然聞いて、突然の質問にあらぬことを口走ったというようなことで安全保障問題は議論できないからであります。明確に質問の内容を伝えて、皆さんも事務当局が検討したものを答えられているわけで、それらが最終的に相互に矛盾する部分ができたら大問題でありますから、そういうふうに聞いているわけでありますので、ぜひお間違いのないように御答弁いただきたいわけです、日本の防衛の問題ですから。
私は、防衛関係には大変縁遠い存在として、財政、金融一本で、また郵政事業を民営化攻撃から守ることに全力を挙げてきましたから、郵政事業防衛の方は熱心なんですけれども、今回この質問をやれということを受けまして一生懸命勉強しました。それで、財政、金融に対する、例えば民間の銀行の問題を追及するというか問題解明するときと同じ手法をとっているわけで、しばらく、退屈かもしれませんけれども、おつき合いいただきたいと思います。
さて、防衛庁長官にお尋ねいたします。
周辺事態法第六条三項、「防衛庁長官は、前項の実施要項において、当該後方地域支援を実施する区域を指定するものとする。」となっております。これは七条、後方地域捜索救助活動においても同様の規定でございます。
すなわち、周辺事態発生に際して、基本計画を策定し、国会の承認を得る。その基本計画に基づく実施要項を実行する場合、まず第一に行うことは区域の指定であり、このことによって実施要項は効果を発揮するのであります。当然にして基本計画の策定のための基本認識あるいは前提条件であります。これは周辺事態発生の状況を受けているのであって、まさに区域、すなわち地域の一部が確定されなければ事案対応の開始が行われません。
したがって、周辺事態は地理的な認識の上に成り立つ状況判断であると考えますが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/137
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138・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 何度も同じ答弁をして申しわけございませんが、周辺事態が地理的な概念ではないと申し上げておりますゆえんのものは、ある事態が周辺事態に該当するか否かについては、その事態の規模とか態様等を総合的に勘案して判断するため、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできないという意味で申し上げているわけであります。
したがって、政府がある事態を周辺事態であると判断し、かかる事態に対する対応措置として閣議決定により基本計画を策定し、また実施要項において防衛庁長官が内閣総理大臣の承認を得た上で実際に活動を実施する区域を指定することは、周辺事態が地理的な概念ではないということとは矛盾しないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/138
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139・伊藤基隆
○伊藤基隆君 これから少し防衛庁長官にお尋ねします。これは今の御答弁との関連でお尋ねするわけでありますから。
すなわち、今後生起する地域をあらかじめ想定することはできないというふうな御答弁でございます。何回も答弁されております。そうすると、生起した後は地域は認定できますね。生起した後でも生起する前でも、その状況認識は周辺事態ですね。この辺、いかがですか。
生起する前の認識として周辺事態を想定しているわけですね、地域は規定できなくても。だけれども、起こってしまっても周辺事態ですね。起こったときは、その地域における実施要項の地区を指定するということになっています。すなわち、周辺事態は地理的概念になっているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/139
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140・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 周辺事態は、私どもはもう何度となく地理的概念ではないということを申し上げておるわけであります。そして、周辺事態として認定されれば、法律の手続に従って基本計画をつくるわけですが、その際に実施計画というものが定まってくる。だから、そういう実施区域というものを定めることが、逆に言えば、周辺事態は地理的概念であるということにはならないということを先ほど答弁した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/140
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141・伊藤基隆
○伊藤基隆君 周辺事態が地理的概念ではないと言い通すという強力な姿勢で臨まれているのがよくわかりますが、周辺事態は地理的概念なんだということを言えばそこから生起するさまざまな問題があるのを私もよくわかっておりますけれども、しかしインド洋、中東は入らない、地球の裏側が入らない、周辺事態がアジア太平洋地域の外に出ていくことはないぐらいの答弁では、国民の不安感が払拭されないというふうに私は思っております。
今の答弁は、生起してしまった周辺事態は、地域を指定するわけでありますから、それは地理的概念の中にあるわけです。起こってしまったらそうなんです。地域なんです。そのときに、じゃ、インド洋で起こったことと日本近海で起こったことを同じに扱うかという問題に、へ理屈みたいに聞こえているかもしれないけれども、つながっていくんですよね。ここはこの辺にしておきます。
大野衆議院議員にお尋ねいたします。
周辺事態安全確保法第一条の規定に、特に修正された部分で、日米安保条約の枠内としての意味があるということの答弁が五月十日の本委員会で大野先生自身からありました。
日米安保条約の枠内という意味は、日米安保条約の中の「両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、」「よつて、次のとおり協定する。」とあります。それら、ほかにもありますけれども、極東条項及びこれにかかわる過去の政府答弁が周辺事態と認定する上での前提条件となるということを意味しての御答弁であったのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/141
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142・大野功統
○衆議院議員(大野功統君) 周辺事態につきまして、地域、日米安保条約の枠内であることを明記せよ、こういうような御要望が修正協議の中で民主党さんからもございました。その他の政党からもございました。その意味するところはあるいは地理的な限定を念頭に置いてのお考えかもしれません。そのところは私わかりません。
しかしながら、結論といたしましては、この枠内ということは、あくまでも日米安保条約の枠内。つまり、日米安保条約で何を言っているかといいますと、極東の平和と安全、それからもう一つは日本の安全でございます。今回の周辺事態法は、日本の安全ということを言うわけでありますから、そういう意味で日本の安全というところに焦点を絞っての枠内である。
安保条約の枠内と安保条約の目的の枠内との違いはどうか、こういう議論が出たわけでございます。これは政府答弁ではほとんど同じだと。しからば、なぜそういうことを法律に書かなかったのかということになるわけでございますけれども、それはそういう法案、法文が例としてこれまでない、むしろ今書いてありますような日米安保条約の効果的な運用に寄与しという書き方の方が、これはACSAでもたしか書いてあったと思いますが、こういう方が適当であろうと、こういうことでございました。
あくまでも極東条項との関連は、たびたび申し上げておりますが地理的概念でございませんから、これは議論すること、考慮すること自体不適当である、こういうことで理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/142
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143・伊藤基隆
○伊藤基隆君 総理大臣に全部通告するなんて言ったのにしていない部分がありまして、というのは御自身のことでございますから。
先般、日米首脳会談が開かれて、クリントン大統領と小渕総理が並んで写真に写っていまして、大変落ちついた姿で写っていて、私としては大変うれしい気持ちで拝見しました。
さて、その首脳会談において、安保問題について、日米は共通の価値、目標に向けた同盟国で、日米安保は不可欠であって、アジア太平洋地域の平和のためにさらに強化したいとの発言がありました。これは周辺事態の地理的概念に当たらないのかどうか、そのことについてお尋ねします。突然の質問で申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/143
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144・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 日米首脳会談におきまして、今の文言はたしか記者会見でクリントン大統領から御発言あったものと承知をしておりますが、クリントン大統領としては一般的に日米安保条約にかかわる問題としてアジア太平洋の安定に資するということを申し上げたと理解いたしております。事いわゆる一般的な意味で日本とアメリカとの安全保障条約上の問題として広く益するものであるということを申し上げたわけでありまして、具体的にどの問題についてということであったというふうには理解いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/144
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145・伊藤基隆
○伊藤基隆君 この件に関連して外務大臣の見解もお聞きしておきますが、これも通告していないことで申しわけございませんが、ただいまの総理大臣の答弁にありました日米首脳会談での総理の発言、新聞では総理がそのように発言されたというふうに報道されておりました。すなわち、日米安保はアジア太平洋地域の平和のためにさらに強化したいという意味の発言であります。
その日米首脳会談での総理の発言とか日米防衛協力のための指針、いわゆる新ガイドラインに言うところのアジア太平洋地域というのは地理的概念なのか、また、地理的概念であるとすれば、インドネシア、朝鮮半島、台湾はそのアジア太平洋地域という地理的概念に含まれる場所なのか、このことをお尋ねしたい。すなわち、安保条約上のアジア太平洋地域というのは地理的概念かどうかという趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/145
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146・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 突然の御質問でありますが、安保条約そのものにはアジア太平洋という言葉はないわけでありまして、いわゆる条約地域と言われるものは極東でありまして、その極東については三十五年の政府統一見解があるわけでございます。
アジア太平洋というのはもう少し広い概念だと思いますが、アジア太平洋というのが地理的概念かどうかというのは、それは地理的概念という言葉の定義にもよると思いますが、明確に地理学上定義された地域ではないと思いますが、ある意味で何となくこのくらいかなということをみんなが、明確な一線を画しているわけでないにしても、周辺事態が地理的概念でないというのとはそれはちょっと違うだろう、こういうふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/146
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147・伊藤基隆
○伊藤基隆君 段々この質問を続けていくんですが、総理大臣にちょっと私のこの時点での感想を申し上げますと、私どもは、アメリカの周辺事態に際しての米軍の作戦行動があって、それに対して日本の自衛隊が後方支援するということで議論しているのではありません。日本の周辺事態に対して米軍が作戦行動をして、それに対する日本の自衛隊の後方支援のことを議論している。しかし、そのことが、世の中、いろんな手紙、ファクスが来たりする内容は、世界的規模のアメリカの作戦行動に日本が巻き込まれていくのじゃないかという懸念であります。
それは、周辺事態に対する地理的概念ではないんだと。地理的概念というふうに規定したときに、アジア太平洋地域、アジアというのはボスポラス海峡までいくのかどうか知りませんが、アジア太平洋地域の諸国に対して大変な影響を与えていくということがあるからかもしれない。あるいは直接どこそこというふうな地域が想定されて確定できないのかもしれない。しかし、そういうことがありながらも、ある程度安心感を与えられる、具体的な地理的概念を言わないまでも、ある程度安心感を与え得る表現、地域の限定ということはできるのじゃないか。
「地球的規模の」というのは世界平和のためのまくら言葉だという見方もあるのかもしれないけれども、その上で「アジア太平洋地域」という地域的記述があるから、今、外務大臣が言ったとおり、確たる地域、規定ではないけれども、大体において認識できる地域というアジア太平洋地域、私もそのとおりだと思っていますが、そういう記述があるから大丈夫なのかなという感じが多くのところから出てくるんじゃないか、何か工夫ができないか、そういうふうに私は思っています。これは御答弁いただかなくても結構でございます。
さて、外務大臣にお尋ねしますが、いわゆる中間取りまとめの中で「安全保障面での種々の協力」として、「日米両国政府は、この地域における安全保障対話・防衛交流及び国際的な軍備管理・軍縮の推進のため各々努力し、また、必要に応じて協力する。」となっております。しかし、これが、新ガイドライン三項の二、「安全保障面での種々の協力」の項では、「安全保障面での地域的な及び地球的規模の諸活動を促進するための日米協力は、より安定した国際的な安全保障環境の構築に寄与する。」となっております。すなわち、日米協力のテーマが、文言どおり解釈して、地球的規模の諸活動に拡大されたというふうに見なければなりません。
中間報告が結果的に新ガイドラインになる間にはそれほど時間がたっているわけではありませんけれども、かなり多くの部分で変更がございます。ですから、そのことについてこれからも触れていきますけれども、突然挿入された「安全保障面での地域的な及び地球的規模の諸活動を促進するための日米協力」とは一体いかなる事態を想定しているのか、外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/147
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148・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 新たな日米防衛協力のための指針に言う「平素」とは、日本に対する武力攻撃が発生しておらず、また周辺事態でもない状況であります。そして新指針では、「平素から行う協力」の一環として地球的規模の諸活動を促進するための日米協力が言及されているわけでありますが、これらの協力の具体例としては、国際的な軍備管理・軍縮において協力することや、国際連合平和維持活動または人道的な国際救援活動における相互支援のために密接に協力することが挙げられております。また、そのような活動に際して、輸送、衛生、情報交換、教育訓練等の分野における日米協力の要領を準備することや、大規模災害の発生を受け、日米いずれかの政府または両国政府が関係政府または国際機関の要請に応じて緊急援助活動を行う場合の協力についても言及されているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/148
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149・伊藤基隆
○伊藤基隆君 次の質問で、私は外務大臣に安全保障面での地球的規模の諸活動を促進するための日本の対米協力内容となる自衛隊の具体的な行動とは何かを明らかにすべきだというふうにお尋ねする予定でございましたが、そのことについて今答えられたということですね。
私は、明らかに安保条約に根拠を置いた日米協力の枠を超えるものではないか、恐らく日米同盟関係をもとに説明をしなければ説明がつかないんではないか、さらには、そういう地球規模における協力が日本の自衛隊に行い得るという法的根拠の説明がない、このことについて御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/149
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150・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 御指摘の活動は、新たな日米防衛協力のための指針におきまして、「平素から行う協力」の一環として言及されているものでございます。
これらの活動は必ずしも日米安保条約に直接の規定を有するものではありませんが、日米両国政府が、日米安保体制を基礎とした日米相互の信頼関係に基づいて、おのおのの政策を基礎としつつ、我が国の防衛及びより安定した国際的な安全保障環境構築のために行うものでございます。我が国が同盟国である米国と平素からさまざまな分野において密接な協力を維持していくことは当然のことであり、このような協力は日米両国の国際社会に対する責務であるとも考えます。
指針におきます「安全保障面での地域的な及び地球的規模の諸活動を促進するための日米協力は、より安定した国際的な安全保障環境の構築に寄与する。」との記述は、かかる認識を示したものでございます。こういう活動が、我が国の憲法上の制約の範囲内において、その時々に適用のある国内法令に従って行われるべきものであることは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/150
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151・伊藤基隆
○伊藤基隆君 この件は後ほどまた質問いたします。
さて、外務大臣に引き続きお尋ねいたしますが、新ガイドライン第一項「指針の目的」ですが、ここで共同発表、見直しの終了という前文を受けて性格づけが明記されております。
これに類するといいますか、これに関係する旧ガイドライン一項「侵略を未然に防止するための態勢」の二に、「日米両国は、日本に対する武力攻撃がなされた場合に共同対処行動を円滑に実施し得るよう、作戦、情報、後方支援等の分野における自衛隊と米軍との間の協力態勢の整備に努める。」とあります。
旧ガイドラインの本文の項目だけを追いますと、一が「侵略を未然に防止するための態勢」、二に「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」、三に「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」とあります。すなわち、あくまでも旧ガイドラインは有事対応でございました。
新指針は、中間取りまとめの段階から「平素から」を盛んに挿入してきました。新指針の全文を読んで印象に残ったのはこの「平素から」の用語が頻繁に使われておりまして、中間取りまとめで七回、新指針で十五回であります。
中間取りまとめの「平素から行う協力」は、「基本的な防衛態勢」、すなわち「日米両国は、日米安全保障体制を堅持する。日本は、「防衛計画の大綱」に則り、自衛のために必要な範囲内で防衛力を保持する。米国は、そのコミットメントを達成するため、核抑止力を保持するとともに、アジア太平洋地域における前方展開兵力を維持し、かつ、来援しうるその他の兵力を保持する。」となっております。
新ガイドライン三項「平素から行う協力」の項に以下の文章が挿入されました。
すなわち、「また、各々所要の防衛態勢の維持に努める。」、さらに「日米両国政府は、各々の政策を基礎としつつ、日本の防衛及びより安定した国際的な安全保障環境の構築のため、平素から密接な協力を維持する。」、さらに「日米両国政府は、平素から様々な分野での協力を充実する。この協力には、日米物品役務相互提供協定及び日米相互防衛援助協定並びにこれらの関連取決めに基づく相互支援活動が含まれる。」とあります。
そこで、まず第一に質問したいのは、「平素から行う協力」の意図について、日本側はどう思っているか、アメリカはどう思っているか知りませんけれども、平素からの協力の意図についてぜひお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/151
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152・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 新たな日米防衛協力のための指針に言う「平素から行う協力」は、日本に対する武力攻撃が発生しておらず、また周辺事態でもない状況において、日米双方がおのおのの判断に従っておのおのの国内法令に基づいて実施するものでございます。
このような「平素から行う協力」は、平素においても日米間の防衛協力を進めることが日米安保体制の信頼性の向上並びに日本の防衛及びより安定した国際的な安全保障環境の構築に資するものであるとの観点から新指針に明記されたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/152
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153・伊藤基隆
○伊藤基隆君 今の新指針の内容及び外務大臣の答弁を受けて総理大臣にお尋ねいたしますが、これらは冷戦後において北大西洋条約機構とともに日米安保の新たな役割の展開にほかならないのではないか。今、ヨーロッパにおけるコソボ地域の問題でユーゴスラビアに対するNATO軍の空爆が行われております。あれは地球の裏側の、裏じゃないかもしれないけれども、地球の半分の安全保障に寄与するためのNATO、もう一方は日米安保条約があると。
すなわち、地球規模の諸活動のために平素からの日米協力、物品役務提供、防衛援助のための相互支援活動の取り決めとは国際的な有事を想定しての日本国の法整備とシステムの形成を目指すものではないかというふうに思われますが、そのことについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/153
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154・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) まず第一の、御指摘のとおり、日米防衛協力のための指針におきまして、「平素から行う協力」として、日米物品役務相互提供協定や日米相互防衛援助協定に基づく相互支援活動や安全保障面での地域的な及び地球規模の諸活動を促進するための日米協力につき触れておるところでございます。
このような「平素から行う協力」は、平素におきましても日米間の防衛協力を進めることが日米安保体制の信頼性の向上並びに日本の防衛及びより安定した国際的な安全保障環境の構築に資するものであるとの観点から新指針にも明記されておるところでございます。
このような意味におきまして、日米間の「平素から行う協力」は重要な意義を有するものでございますが、我が国が同盟国たる米国と平素から緊密に協力するのは当然のことでございまして、このような協力は新指針の作成以前から行われておるところであります。新指針における御指摘の記述、冷戦後における日米安保の新たなる展開であるという御指摘は私は当たらないものと考えております。
そこで、御指摘の地球的規模の諸活動を促進するための日米協力につきましては、先ほど外務大臣からも御答弁ありましたが、軍備管理・軍縮の促進、国際連合平和維持活動また人道的な国際救援活動への参加、大規模災害の発生時といった場合を念頭に置いたものでございます。
また、現行の日米物品役務相互提供協定及び日米相互防衛援助協定のもとでは、従来より日米間で円滑な相互支援活動が行われておりまして、このような活動につきましても平素から行う日米協力の具体例として新指針に記述されたものでございます。
したがいまして、このように新たな指針の平素からの協力は、御指摘のようないわゆる有事法制、こういうものを念頭に置いたものでないことを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/154
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155・伊藤基隆
○伊藤基隆君 外務大臣にお尋ねいたします。
ちょっと視点を変えますが、安保条約は東西冷戦を前提とした対ソ軍事同盟であるというふうに思います。その冷戦は既に終結いたしました。日ロ両国は現在、関係の改善を図ろうとしているところであります。日米安保条約についても改めて論議すべき時期ではないかというふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/155
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156・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 冷戦の終結によりまして大規模な戦争の可能性は大幅に低下したわけでありますが、多くの地域で民族、宗教をめぐる紛争、対立が表面化し、また核兵器を含む大量破壊兵器拡散の危険が懸念されている状況にあるわけであります。とりわけ我が国を取り巻くアジア太平洋地域においては、依然として核兵器を含む多大な軍事力が存在することに加えて、世界で最も防衛費の伸びが著しく、依然として不安定性及び不確実性を含んだものと言わざるを得ないわけであります。
このような状況のもとで、我が国が、みずからの自衛力のみでは我が国の安全が脅かされるようなあらゆる事態に対処できない以上、自由と民主主義という基本的価値を共有し、最も信頼できるパートナーである米国との安保条約を堅持し、その抑止力のもとで我が国の安全を確保することが必要であるわけであります。
さらに、アジア太平洋地域の平和と安定を維持するためには安定要因としての米軍の存在を確保していくことが極めて重要でありますが、日米安保体制がそのための柱の一つとなっていることも忘れてはならないわけでございます。
また、日米安保体制は日米両国の広範な協力関係の政治的な基盤ともなっておりますが、このことがこの地域の平和と繁栄に大きく役立っている点も見過ごせないわけであります。
いずれにいたしましても、日米安保体制は全く防御的な性格のものであり、特定の脅威を前提としたり特定の国に向けられたものではなく、冷戦終結後もこのような性格が変わるものではありません。
私、ロシアのイワノフ外相と何度も長時間にわたってお会いしていますが、日米安保条約はけしからぬじゃないかと言われたことは、幸いなことにまだ一回もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/156
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157・伊藤基隆
○伊藤基隆君 外務大臣に引き続きお伺いしますが、一九九六年の日米首脳協議で発表された安保共同宣言、何回も触れております。これが、極東の範囲を超えてアジア太平洋の平和と安全のために日米安保条約が必要であると再確認する中身でありました。日本の安全に関係のある極東の平和と安全を守るという目的を変えたわけです。これは、条約の改定によらないで解釈の変更で行った再定義というふうに言われても仕方のない内容であったというふうに私は考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/157
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158・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 日米安全保障共同宣言におきましては「アジア太平洋地域」との表現が使用されておりますが、これは日米安保条約の目的達成のため、米軍が我が国に駐留していることがこの地域における米軍の存在を支える重要な柱の一つとなっており、米国のコミットメントを明確にするものとしてアジア太平洋諸国に安心感を与える、結果として、この地域の安定要因として作用しているとの認識を述べたものであります。政府は、これまでにもこのような認識を累次の機会に示してきたところでございます。
したがいまして、日米安保共同宣言におけるアジア太平洋地域についての言及は、日米安保条約に言う極東の範囲について述べたものではなく、安保条約の対象地域を変更するといったことではないわけであります。この宣言が条約の改定によらないで解釈の変更で行った再定義と言うべき宣言であったということではありません。
委員も先ほど再確認という言葉を使っていただきましたが、まさに再確認でありまして、再定義ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/158
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159・伊藤基隆
○伊藤基隆君 今の外務大臣の答弁からいきますと、日米安全保障条約のもとにおける米軍の行動の地域的な認識、アジア太平洋地域はそういうものなんだというふうに解釈されますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/159
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160・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 日米安保条約は、我が国の安全と極東の平和と安全を守るためにあるわけでありますが、この米軍の行動範囲は、昭和三十五年の政府統一見解で極東の周辺ということにされているわけであります。極東の周辺というのは必ずしもアジア太平洋と一致するものではないと。
では、極東の周辺というのはどういうものかというわけでありますが、これはずっと政府答弁で、今、我が国周辺、これは地理的概念でないと言っているのと同様に、政府は一貫して、あらかじめ地域を特定できるという意味での地理的概念ではないと。極東の周辺についてもそういうことを一貫して言ってきているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/160
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161・伊藤基隆
○伊藤基隆君 総理大臣にお尋ねいたします。
私はずっとやりとりを、総理もお聞きになっているわけでありますが、新ガイドライン関連法案の基本は安保条約であるということについては政府も言っておるわけですし、だれしもそう思っているわけであります。そうなると、日米協力の範囲は極東の中における日本周辺でなければならない。このまま進んでいきますと、日米安保の目的と範囲を超えて、在日米軍の行動の範囲そのものが日本が支援する周辺事態になるのではないか。
これは先ほども感想で述べましたけれども、周辺事態が地理的概念ではないという政府の答弁の真の意味がここにあるのではないかというふうに疑わざるを得ません。在日米軍基地が米国の世界戦略の一環として使われ、それに日本が協力するということになるおそれがありはしないか。これについて総理の認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/161
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162・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 申すまでもありませんが、日米安保条約の目的は、我が国及び極東の平和と安全の維持であることは申すまでもございません。そこで、今般の周辺事態安全確保法案は、我が国の平和と安全の確保に資することを目的といたしておりまして、我が国の安全に着目したものであることも、これまたしばしば申し上げているとおりであります。したがって、同法案が日米安保条約の目的の枠内であることは明らかでありまして、日米安保を超えた在日米軍の行動範囲そのものが周辺事態になるといったことは全くありません。御指摘は当たらないものと考えております。
また、周辺事態における日米協力は、あくまでも日米安保条約の目的の枠内において行われるものでありまして、周辺事態において我が国からの協力の対象となる米軍は、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍であることから、我が国が行う協力が米国の世界戦略の一環であるという御指摘もまた当たらないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/162
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163・伊藤基隆
○伊藤基隆君 今の質問に対する答弁で、実は私の満足する内容ではないのでありますけれども、しかし総理が今そういうことを現時点ではっきり言ったということは重く受けとめておきます。
さて、質問で通告しましたのが十七、十八、十九、二十、二十一とこれから続くわけであります。二十二まであるんですが、ちょっと時間がなくなってきましたので、二十三番目の総理に対する質問をここでやっておきたいと思います。あとはまた後に機会がありましたらお願いしたいと思っています。
中間取りまとめの四項の二、「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」に、新指針、新ガイドラインでは新たに次の文章が前文として付加されました。
すなわち、「日本に対する武力攻撃に際しての共同対処行動等は、引き続き日米防衛協力の中核的要素である。」、その次が大事なんですが、「日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合には、日米両国政府は、事態の拡大を抑制するための措置をとるとともに、」であります。この項の意味するものは、主眼はやはり日本有事を強調しているわけでありますが、しかし中間取りまとめにあった「事態の拡大を抑制するための措置を講ずる。」という文言が、日本有事の場合の基本的な考え方ともいうべき意味で付されています。すなわち、「日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合には、日米両国政府は、事態の拡大を抑制するための措置をとる」、これは大変重大な意味を持っているというふうに私は思います。
具体的にどのような措置をとることを想定しているのか。ガイドライン前文をさらっと読んでいくと、それほど関心を示す内容ではありませんけれども、ここだけ抜き出すと、「事態の拡大を抑制するための措置をとる」ということは、大変重大な意味を持っているのじゃないかと思いますので、この時点で総理の御見解をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/163
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164・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 一般論といたしまして、我が国に対する武力攻撃が差し迫っている場合の対処につきましては、新たな日米防衛協力のための指針において次のとおりとされておるところでございます。
すなわち、日米両国政府は、情報交換及び政策協議を強化し、情勢の変化に応じ情報収集行為及び警戒監視を強化するとともに、日本に対する武力攻撃に発展し得る行為に対応するためのあらゆる準備を行うということであります。さらに、事態の拡大を抑制するためにということでありますが、これにつきましては、外交上のものを含むあらゆる努力を払ってまいるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/164
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165・伊藤基隆
○伊藤基隆君 防衛庁長官に、今の総理の答弁に関連して、突然で恐縮ですが質問します。
外交対処等も含めというふうに答えられたかと思いますが、等が問題でありまして、これは周辺事態を想起することが想定された場合に、その拠点に対しての先制攻撃を含むということですか、含まないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/165
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166・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) ちょっと質問の趣旨がよく酌み取れないわけでありますが、先制攻撃の意図というのは相手方がという意味でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/166
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167・伊藤基隆
○伊藤基隆君 日米両国政府が事態の拡大を抑制するための措置をとるということからすれば、日米両国であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/167
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168・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 今、総理大臣から御答弁がありましたように、まず政府がやるべきことは、事態の拡大を抑制するための外交上のあらゆる努力を払うということが一番大事だと思います。
それから、私どもは、防衛庁も外務省も、それから米軍から得る情報もお互いに交換して政策協議を強化していくことが大事だと思います。
また、自衛隊は一段と情報収集行為や警戒監視を強化する必要があると思います。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
なおまた、日本に対する武力攻撃に発展し得る行為に対応するための準備を怠りなくやるということだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/168
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169・伊藤基隆
○伊藤基隆君 終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/169
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170・荒木清寛
○荒木清寛君 公明党は、日米安全保障条約を日本の外交安保の基軸として尊重する立場であります。この条約をより信頼性、実効性の高いものにするという観点で、日米の新しいガイドラインあるいはそれに基づく法整備も必要である、そういう立場をとっております。
しかし、日米防衛協力といいましても、当然すべてが憲法の枠内で行われなければいけない、そして、私たちの日本国憲法というのは武力行使ということについては極めて抑制的であるべしという立場でありますから、そういう歯どめは厳格に解していかなければいけない、そう考えているわけであります。
そこで、総理に、きのうも議論がありましたが、改めてこの集団的自衛権についての内閣の解釈をお伺いしたいんです。
今の内閣の解釈は、主権国家としては当然集団的自衛権は持っているが、憲法上は行使できないという一貫した解釈でございます。きのう総理も御答弁がありましたように、国会においてこの問題が連日議論されているということはそのとおりでございますが、内閣の見解として将来にわたって維持していく、このことを改めて確認していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/170
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171・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 集団的自衛権の問題につきましては、政府は一貫して、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどめるべきものであり、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することをその内容とする集団的自衛権の行使はこれを超えるものとして憲法上許されないという立場に立っていることであり、この見解を変更する考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/171
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172・荒木清寛
○荒木清寛君 私があえてお聞きしましたのは、きのう現内閣といたしましてはというふうな話もありましたので、ちょっと心配になりましてお聞きをしたわけです。
それにしましても、先ほど濃密な議論がありましたが、野呂田防衛庁長官の警告射撃につきましてのきのうの発言は、私は大きな問題があると思います。
といいますのは、これは実力組織である自衛隊の責任者として憲法の尊重、擁護ということをどう考えているかという、まさにそういう規範意識にかかわる問題である、そのように私は思いますので、あえてもう一回聞いてまいります。
そこで、先ほどの答弁を聞いておりましてもひとつはっきりしなかったのは、きのうの記者会見の御発言で、警告や威嚇の射撃は、武力の行使には、武力の行使に当たらないのでやってできないことはないし、憲法違反ということにはならないということ、これは現実に発言をされたわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/172
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173・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私がきのう発言した詳細な表現について今手元にありませんけれども、私の発言の趣旨は、諸外国の例も踏まえた上で、船舶検査活動において警告射撃と武力の行使との関係については検討の余地があるとの見地に立って発言したものであります。
先ほども御答弁がありましたとおり、まだこの点についての憲法上の解釈の結論は出ておりません。また、警告の形態によってもいろいろな解釈ができるのじゃないかということを私自身は考えておりましたので、武器の使用の一形態として、停船命令に応じない船舶に対して警告射撃を行うこともあり得るのではないかという私の考え方を述べたものであります。
しかし、そこで、本委員会が始まりますので慌てて席を立ってきたんですが、これはやはり大事なことを忘れていたということに気づきました。それは、政府としては船舶検査の際に警告射撃等の武器の使用を行うことと憲法の関係についてはさらに慎重な検討を行う必要がある、そういう問題があるということを私もこれまで何回も御答弁申し上げてきたのでありますが、その肝心なところを慌てて席を立って忘れたので、先ほども御説明申し上げたとおり、官房長を早速この場から記者会見の場所に差し向けたんですが間に合わなかったという経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/173
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174・荒木清寛
○荒木清寛君 私の質問には答えておられません。憲法違反ということにはならないとおっしゃった。私はニュースでその御発言を見ました。そのことはお認めにならないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/174
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175・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私の考え方として、そういうことは述べたと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/175
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176・荒木清寛
○荒木清寛君 そこで、私が問題としますのは、この御発言は先ほど取り消しをされたわけです。しかし、防衛庁長官としては、この法制局の見解、憲法違反かどうかということはさらに慎重な検討が必要である、こういうことはもう重々認識しておられた、そのことを承知であえてなぜ憲法違反にはならないと言ったのか、その意図を私はお伺いしたいんです。そこが私は長官としての憲法に対する規範意識にかかわってくるのではないか。もしも防衛や安保問題に対する憲法解釈というのは内閣においては防衛庁長官の専権事項である、そんなふうに考えて発言したのであればとんでもない話であります。
だから、この内閣法制局の見解は重々承知の上で、それをなぜあえて憲法違反にはならないという先走った発言をしたのか、その意図を私はわかるように説明していただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/176
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177・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 格別の意図があって発言したわけじゃございませんが、先般の不審船の問題も警察権に基づいて警告射撃をやらせていただきましたし、世界じゅうの諸国でも警告射撃が行われておりますし、また憲法上の解釈についてもまだ右か左か結論が出ていないし、警告射撃の形態によってはいろいろな解釈ができるということも考えて、つい私個人の考え方を申し上げたものでありますが、私が閣僚として責任ある立場で言いますと、この問題についてはさらに憲法との関係で慎重な検討を行う必要があるということを累次申し上げており、きのうの記者会見ではそのことをつけ加えることが時間的な問題でできなかった、そこで官房長を派遣してすぐ取り消しするように手配したというのが経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/177
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178・荒木清寛
○荒木清寛君 長官は憲法違反ということにはならないと明確に言っているんですから、その後でどんなに五分、十分と話をつけ加えたって、今おっしゃったようなニュアンスにはならないわけです。
私は、せっかくお越しですから法制局長官にお伺いしますが、もろもろのこういう混乱は、法制局がいまだに慎重な検討を要するとか、もうこの検討は一たん中断をしましたとか、そういうことであるからこういうことになったんだと思うんです。
もちろん政府案にはこの警告射撃ということはもう載っていない、だから検討を要しないといえばそうかもしれませんが、いずれこの国会で大きな議論になることはもうわかり切ったことであります。しかも、今回この船舶検査については三会派の合意の上で今国会中にも立法措置をする、場合によっては内閣提案ということもあるわけです、議員提案とは限らないわけですから、もう会期も一カ月余りという中で、一日も早くこの件についての、警告射撃、威嚇射撃が憲法上どうなのかという結論を出していただきたい。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/178
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179・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 船舶検査における警告射撃の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、政府案の検討過程におきましては警告射撃を入れることについて憲法に明白に抵触しないという結論に達するには至っていなかったということ、それから、最終的には政府案に警告射撃をセットしないということになりましたから、その段階でそれ以上の結論を出す必要がなかったということでございます。
今後、三党協議を経て策定される法案の中に、そういう警告に応じない場合のスクリュー等船体への射撃をも伴う警告射撃というものが仮に盛り込まれるということになりましたら、そういうことの憲法上の可否についてはこちらとして早急に意見を申し上げなければならないわけでございますので、まずその前提たる三党間の協議がどうなるのかということを私どもは非常に注目しているというのが現在の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/179
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180・荒木清寛
○荒木清寛君 次に、総理にお尋ねをいたします。
四月二十六日の衆議院の委員会におきまして、このアジア太平洋地域の平和をより堅固にするために周辺諸国間等との対話を軸とする外交の展開、そういうお話をるるされまして、私は基本的に賛成でございます。しっかりやっていただきたいと思います。
ところで、日米安保共同宣言の中の「地域における協力」という項目の中で、ASEAN地域フォーラムや、将来的には北東アジアに関する安全保障対話のような、多数国間の地域的安全保障についての対話及び協力の仕組みをさらに発展させるため、両国政府がこの作業を継続するという一項がございます。
これは、ヨーロッパに存在するような多国間の安保対話という枠組みをこの地域においてもつくろうということでありまして、もうぜひやらなければいけないと思うんです。しかし、対話と抑止ということでいきますと、抑止の方のこの新ガイドラインあるいは今回の関連法案、取り決めはどんどん進んでいるわけでありますが、対話という方は遅々として進んでいないんではないかという印象を受けるわけであります。
特に、ここの共同宣言にうたわれた北東アジアに関する安全保障対話ということについて、どのような取り組みをされてきたのか、また将来構想として総理はどうやっていかれるのか、確たる決意をここでお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/180
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181・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘のアジア太平洋地域の平和と安定の確保のためには、地域の安定要因でございます米国の存在との関与を確保しつつ、域内各国間の予防外交、信頼醸成の推進のため、二国間そしてまた多国間の安全保障対話や協力を推進してまいることが極めて重要であることは荒木委員と全く同様の考えであります。
ただ、かかる観点から、政府といたしまして、この地域の全域的な多国間の安全保障対話と協力の場でありますASEAN地域フォーラム、いわゆるARFでございますが、この進展に努めるとともに、北東アジア地域におきましても、北東アジア協力対話等の非政府レベルの会合を通じて対話協力の促進に努めているところでございます。
ARFに関しましては、今後は予防外交にいかに取り組んでいくかが一つの焦点であると考えております。来る七月末にはシンガポールで閣僚会議開催が予定されておりますが、この場におきましても、ARFにおける予防外交への取り組みにつき、具体的な進展を見るべく我が国として積極的にリーダーシップを発揮していく考えでございます。
特に、御指摘のございました北東アジアの安全保障に関する枠組みに関してでありますが、北東アジア協力対話の推進以外にも、日米ロによる北太平洋三極フォーラム等、種々の非政府レベル会合の開催にリーダーシップを発揮してまいったところであります。
さらに、私といたしまして、日本、米国、中国、ロシア、韓国、北朝鮮が参画した形での話し合いの場を将来的に設定していくことが同地域全体の平和と安定のために有益である旨かねて主張いたしてきたところでありまして、このような話し合いの実現は、他の関係国等の意向もあり必ずしも容易ではありませんが、我が国としては今後ともその実現に向け不断の努力を傾注していきたいと考えております。
御指摘、また御批判をいただきましたが、いわゆる抑止という点についてと対話という問題とについて、対話の面でおくれておるのではないかという御指摘でございますが、我が国としては積極的にさらに努力をしてまいりたいと思います。最後に申し上げました六カ国における話し合いの場、これは私はぜひつくり上げていきたいと念じておりまして、先刻来これらの関係諸国の最高責任者にもこの旨を申し上げておりますし、また、今般日米首脳会談におきましても私から米国大統領にも申し上げておるところでございます。
御答弁申し上げましたように、この中にはなかなか直接的にお話のできない国もございますので、残念ではありますけれども、やはりこの地区の全体の将来にわたる安定を期するためには、この北東アジアを取り巻くこうした国々との話し合いの場というものの設定がぜひとも必要であると考え、今後とも努力をいたしてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/181
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182・荒木清寛
○荒木清寛君 次に、修正案につきましてお尋ねいたします。
まず、公明党・改革クラブに、この本法案修正に臨んだ基本的な態度、そして、すべての主張が受け入れられたわけではないと思いますが、最終的には合意に達したという、その経緯につきまして基本的なことを説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/182
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183・山中あき子
○衆議院議員(山中あき子君) まず、基本的なスタンスでございますけれども、公明・改革といたしましては、まず一番最初に挙げることとしては、日米のこの安全保障条約というのは、やはりアジア太平洋も含めて抑止という意味で非常に大事であるということ。二番目には、憲法をきちんと遵守するという姿勢を持つということ。そして三番目は、国民にわかりやすいようになるべく修正をしたい。そして同時に、国民にわかるということは、近隣諸国の人たちにも説明ができる、アカウンタビリティーのあるような形にできるだけしたい、こういうふうなニュアンスでございました。
もちろん私どもの主張の全部が受け入れられたわけではございませんけれども、基本的なところを一、二挙げますと、例えば国会の承認に関しては、これは最初は基本計画をということで私どももやってきたわけですが、現実には自衛隊の出動の可否を問うということになりました。しかし同時に、例えば地方自治体とか、もしくは民間の方たちに協力を得る、その点につきましてはきちんとマニュアルをつくって、そして早い時期にわかりやすい形で提示をするということも約束をしていただきました。
それと同時に、シビリアンコントロールというのが、最初にチェックをするか、後にチェックをするか、両方にチェックをするか、いろいろなやり方があります。国会の承認が基本計画すべてということになりませんでしたけれども、基本計画は事前に報告があるわけですから、それについて私どもは、基本計画の概要はもう既にわかっている、そうすると国会での議論ができるだろう。しかし、終わってしまった後、これで終わりということでは、次に対して、また新しいことをやっていくということからすれば、もっときちんとした形でいいものにしていく。そういう意味では、すべての活動が終了した後に国会にきちんと事後に報告をする、そしてそれに関しては国会で議論をし、あるいは専門家集団によって検証をし、もしくは独立した調査会のようなものできちんと検証した上でアカウンタビリティーを持たせる、しかも国民にとってわかりやすくする。そういったことで終了後の報告というようなことも取り入れたという点が挙げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/183
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184・荒木清寛
○荒木清寛君 次に、この第一条に「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」が加わりました。これは、この「重要な影響を与える事態」の意味するところを例示的に丁寧に説明するものということでございまして、先ほどの、国民にとってわかりやすいという意味での修正だというふうに評価をいたします。
これは先ほど来の議論で、決して周辺事態の定義を変えるものではないという話であります。そこで、加わりました文言の「武力攻撃に至るおそれのある事態等」の「等」にはどういうケースが想定されるのか。といいますのは、例示としてこの一つしか考えられないということでありましたら限定をしたことになってしまうわけでありまして、もちろん例示である以上はまだ二つも三つも典型的な想定はできると思うんです。さらに国民にとってわかりやすくする意味で、この「等」に含まれるそのほかの具体例についてもちょっとお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/184
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185・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 周辺事態概念が非常にわかりにくいということもありまして、私たちもわかりやすくということで修正をいろいろ加えたわけであります。
その一つ、これは法案自体の修正でありませんが、統一見解として周辺事態の概念を明確化してほしいということで、六つの類型を出してもらいました。ただ、これは周辺事態が発生する原因に即しての類型化ということでございます。
他方、今御質問の法案自体に加わった「放置すれば」云々の部分につきましては、丁寧に例示をしたものでございますが、これは今の六つの類型とは異なりまして、影響のあり方に即しての分類だと考えております。ここで放置すれば我が国に対する武力攻撃に発展する事態ということになっておりますので、そのほかの例、これは私見でございますが申し上げますと、例えば武力攻撃ではないけれども我が国の治安を乱すような状況、例えば難民が多数押し寄せて、それによって社会の治安が乱されるような影響のあり方もありますし、あるいは海上交通が途絶する形で我が国の平和と安全を脅かすようなこともあり得るのではないか、これは私見ではございますが、そういった視点からの分類も可能だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/185
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186・荒木清寛
○荒木清寛君 それで次に、同じく第一条には「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与し、」という文言を追加修正しておりますが、そのことによりましてどのような点が明確になるのかお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/186
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187・山中あき子
○衆議院議員(山中あき子君) 私どもは、先ほどから御議論ありましたように、周辺事態というのは一体どういうものかというのがよくわからないということもありますし、これが独立した法案としては日米安保条約とどういうようなかかわりがあるかということがよくわからないと、やはりわからないことというのは非常に不安になります。ですから、安保の枠内ということをきちんと明記するようにということを要望してまいりました。
その結果、先ほどからお話がありましたように、その法案の文言としては、枠内というのは検索をした結果まだ見つかっていないという現状があって、それにかわる文言としては範囲ということが、これは四月二十日の衆議院での議論の中で出てまいりました。しかし、安保の範囲内というのも明らかではないので、ACSAにも使われている同じ言葉をかけることによって、先ほどから御議論ありますように、英語をそのまま訳しますと、周辺、日本の周辺事態に、周辺の地域における事態の事態に着目しているということであれば、周辺ということが何かということはわからないのですけれども、安保のその目的の中であるという、あるいは安保を効果的にするということであれば、当然はっきりした線はかけなくても、周辺というのは多分少し幅があるんだろうと思いますが、そういう意味で、大体の地理的な想定というのが、世界のどこでも行くんじゃないということをもう少しはっきりした形にできたのではないかと。
そういう意味におきまして、周辺の本当に近隣の諸国の方たちに対しても、はっきりしたことは言えなくても、先ほどの総理大臣のお話にありましたように、この抑止を使わなくて済むような平和な地域の確立のためにどういうことを日本ができるか、それが逆の意味では今問われているというふうに思いますけれども、その言葉がないよりは何となく雰囲気としてはもう少しわかってきたのではないかということで、一〇〇%ではございませんけれども、そういう効果がないよりはあったというふうに評価しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/187
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188・荒木清寛
○荒木清寛君 その御努力を評価したいと思います。
それでは次に、船舶検査についてはばさっと削除されまして、この点はまことに残念です。自民党の修正者の説明ですと、これは国連決議を要するかどうか文言上の問題という話もございました。自由党のお話を午前中も聞いておりまして、国連決議ということを基盤にすると、安保理の拒否権によって決議が出ない場合にどう船舶検査を行うんだ、そういう御指摘もありまして、その点は私も一理あるなというふうに思ったわけです。
この点は、公明党・改革クラブとしてはどういう御見解なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/188
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189・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 自由党の主張で傾聴すべき点は、まさに拒否権が使われて国連決議が出なかった場合どうするかと。これは非常に重要なポイントでございますので、実は修正協議の理事者の間ではこの点も議論しまして、私たち、特に自民、民主、公明・改革の理事者の間では、国連決議または旗国同意原則に基づきと、こういう形で実は提案をしたわけでございますが、これにつきましても、この場合には二国間の場合、多国間の場合、あらゆるケースがカバーされ得る規定になりますけれども、これでもなおかつ国連決議を落とせという強い自由党の主張がございまして、結果的には削除ということになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/189
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190・荒木清寛
○荒木清寛君 それでは、自由党にお聞きしますが、今話のあったような国連決議の場合プラス旗国の同意という形で修正をして、削除をしないということはできなかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/190
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191・西村眞悟
○衆議院議員(西村眞悟君) 原案のままでしたら、国連決議、安保理決議が出て、我々日本の担当海域が決まった途端に、我々の担当海域さえ通過すれば安全に速やかに経済封鎖破りができるという体制にならざるを得ない。十万件にわたる船舶検査の成功は何で成功しておるのかといえば、言うことを聞かなければ警告射撃を含む実力行使があるということを前提にした体制だから十万件が成功しているわけです。我々がそこで船長の同意が要る、船長が同意しなければ何もしませんというふうな国内法をつくって、船舶検査を国連の名のもとでやれば、我が海域は経済封鎖破りの海域にならざるを得ない、こういう問題意識からです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/191
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192・荒木清寛
○荒木清寛君 今のようなことですと、自民党の大野代議士がおっしゃったように、単にそういう文言上の問題というよりももっと深刻な対立ではないかという感じもするわけでございます。
最後に、先ほど山中委員から話がありましたが、第十条の国会への結果報告、これは基本計画が変更になった場合にもきちんと報告することになっているわけでありまして、そういう意味ではそれで十分カバーできるんではないかとも思うんですけれども、あえて結果報告を加えられた理由を、時間が来ましたのでごく簡潔にお願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/192
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193・山中あき子
○衆議院議員(山中あき子君) 対応措置というのと計画というのと両方あるわけですから、計画を事前に報告して、そして途中の経過も含めて最終的に対応した、事前に報告されている基本計画とそれから出動の可否を、これは承認した活動とその途中の経過、それもすべて含んで現実にどういう対応措置をしてきたのか、どういう活動をしたのかということがすべて網羅的に報告されるということでこの事後のチェックというのを入れたと。これが機能すればその次に向かっていろいろな改善ができていくわけですし、現実にどういうことができ、どういうことができないかということも明らかになってくると。そういう意味でこれは非常に大事なシビリアンコントロールのチェック機能を果たすというふうに私どもは認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/193
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194・小泉親司
○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。
日米ガイドライン関連法案について質問をいたします。
まず初めに、防衛庁長官の沖縄に関する問題の発言について、私はただしていきたいというふうに思います。
先ほど防衛庁長官は訂正すると言っておられましたけれども、この問題というのは大変重大な問題で、実は私の部屋にも沖縄からファクスが届きまして、こんな防衛庁長官の発言を許せるかという沖縄県民の声が上がっております。私は、これは軽々しい訂正で済む問題ではないというふうに思います。言葉足らずというのは一体どういう趣旨が言葉足らずなのか。
この発言を見ますと、防衛庁長官は島袋宗康議員の質問に答えて、確かに地理的条件からいっても基地が多く存在することがあることを考えても、委員が言われることがあり得るのじゃないかというふうに考えられますと言っておるわけで、何が言葉足らずなのか。
この間、沖縄から私のところに送られてきたファクスの新聞でも言っておりますのは、まさに政府の本音が出たなという意見がやはり多く寄せられているというふうに思います。私は、この点では言葉足らずなどということで済ますなどというのは大変無責任な発言だというふうに思いますが、まず防衛庁長官にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/194
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195・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) まず、きのうの島袋委員の御質問に対する私の答弁に足りない点がありまして、沖縄県民の方々を初め国民の皆様にも誤解を与え御心配や御迷惑をおかけしたこと、また本委員会の進行に混乱を来したことについて、関係者の方に心からおわびを申し上げたいと思います。
きのうの私の発言は、沖縄には米軍基地が多く存在するという事実を踏まえまして、例えば在日米軍が何らかの軍事的活動を行うに対して、沖縄に所在する米軍基地が使用される状況も考えられるという趣旨を述べたものであります。沖縄県に米軍基地が多く存在し、基地問題への取り組みが県民の大きな課題であることは私も十分認識しておるところであり、周辺事態の対応についても沖縄県民の御関心が高いことは十分私も知っているつもりであります。私としても、あらゆる機会をとらえて地元の方々にその趣旨や内容について御説明に努めてまいりたいと考えているところであります。
しかし、私はそういうことで申し上げましたが、この法律は周辺事態に際して沖縄県など特定の公共団体に特に過重な負担を強いるようなものではないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/195
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196・小泉親司
○小泉親司君 あなたは、過重な負担を強いるとは考えていないとか、実際にあなた自身が沖縄は周辺事態の対象になるという発言をされているわけですから、その点ではこんな過重な負担云々かんぬんというのは新聞の見出しの話なんですよ。あなたはこのことを言っているんですよ。あなた自身の言っていることというのは、地理的な条件からいっても基地が多く存在することがあることを考えても、委員が言われることがあり得るのじゃないかと言っているんです。その問題についてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/196
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197・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 改めて申し上げさせていただきますと、周辺事態は地理的概念ではないので、特定の場所が含まれるとか含まれないとかということについては差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/197
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198・小泉親司
○小泉親司君 私は、この訂正だけではやはりごまかし以外の何物でもないというふうに思います。
これは、私は政府の本音が出たという沖縄の声がまさに正直に物語っていると思いますが、総理はいかが考えておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/198
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199・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘の防衛庁長官の答弁の真意につきましてはただいま防衛庁長官から述べたとおりでありますが、沖縄県民の方々初め国民の方々に誤解を与え、御心配をおかけした点について、私からもおわびを申し上げたいと思います。
御承知のように、沖縄はさきの大戦におき唯一の地上戦を経験したこと、戦後長期にわたり米国の施政権下に置かれたこと、また現在でも全国の約七割の米軍施設・区域が集中していること等に思いをいたし、私としても沖縄県民の方々の抱えている問題を可能な限り速やかに解決していくことがこの内閣の最重要課題の一つと認識をいたしております。
そこで、今、防衛庁長官からその真意が十分伝えられておらないということでございましたが、一点、私、周辺事態が沖縄県と一緒のものであるということはあり得ないのであって、沖縄県そのものは日本国の最重要な地域でございまして、そういった意味から考えれば、沖縄県における問題というのは即日本の問題であり、周辺事態というのは日本の周辺地域の問題であることを申し上げておるわけでございます。
ちょっとその辺の言葉の行き来が、十分真意を伝えられておらないとすれば、今申し上げたようにまことに申しわけないことでございまして、防衛庁長官が昨日御答弁申し上げたことについての真意を再三御本人から申し上げておりますけれども、ぜひお酌み取りをいただきたい、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/199
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200・小泉親司
○小泉親司君 私、今の発言を聞いていますと、だんだん何かこの事実関係がぼやかされてきて、質問は、私も周辺事態に巻き込まれる可能性は沖縄が一番高いというふうに認識しておりますけれども、いかようにお考えですかというのが島袋宗康議員の質問で、それに対して、確かに地理的条件からいっても基地が多く存在することがあることを考えても、委員が言われることがあり得るのじゃないかというふうに考えられますと言っているわけですから、それは周辺事態に巻き込まれるということを明確に認めているわけです。
この点では、やはり私は訂正では大変済まない、政府の法案の本音が出ているということを強く指摘して、次の質問に移りたいというふうに思います。
修正の質問もありますが、私は、法案の最も重要な問題であります憲法問題について、まず初めに質問させていただきます。
総理は、ガイドライン法案について、日米安保条約の枠内である、憲法の枠内である、こういうことを繰り返してこられました。しかし、これまでの審議で明らかになったことは、これが本当なのか、この疑問が大きく高まっていることが最も大きな特徴だというように思います。
一九六〇年の現行安保条約の審議の中でも、日米安保条約と憲法の問題が非常に大きな問題になりました。その際の政府の答弁というのは、日本が実際に武力攻撃を受けた場合、あるいは不当な侵略を受けた事実がない場合には日本の自衛隊の力は使わない、これは岸首相の答弁であります。ですから、当時の林法制局長官の答弁も何と言っているかというと、日本の自衛隊は日本の憲法及び日本の自衛隊法に基づいて行動するわけでございます。日本に直接間接の侵略があった場合に行動するわけでございます。いずれにいたしましても、日本の自衛隊は日本が直接間接に侵略された場合にしか動き得ないわけでございます。それ以外に、米軍がよそに出ていくことを応援するということは、いわゆる米軍の一環として米軍に協力してこれを応援するということは、日本の憲法あるいは自衛隊法からできないことだ、かように考えておりますというふうに答弁しておられます。
総理、日米安保条約の枠内、憲法の枠内というのであれば、日本への武力攻撃があった場合ではない周辺事態で自衛隊が米軍を応援すること、本法案にあるような米軍の武器弾薬の輸送、補給、整備は憲法上できないということになるんじゃないですか。総理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/200
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201・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 当時の林法制局長官の答弁に準じて御質問がございましたので、現法制局長官としてもどう考えるか、まずお聞き取りをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/201
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202・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) ただいま引用になりました当時の林法制局長官の発言、これはその原文の詳細を確認はしておりませんけれども、その発言内容自体は全くそのとおりでございまして、現在も全然意見が変わっていないということでございます。
それは、要するに自衛隊が実力を行使する活動、言葉をかえますと、武力を行使して我が国を防衛するというのが自衛隊に課せられた主たる任務である、これは自衛隊法上そのとおりに書かれているわけでございまして、そういう実力を行使しての活動というものは我が国が直接または間接に侵略を受けたときに限るんだ、自衛隊法はその他に治安を維持することを目的として書かれておりますが、そういう発言と、今回の周辺事態法案におきまして後方地域支援活動を自衛隊が行うということとの間には、何ら矛盾はないわけでございます。今までるる御説明いたしましたとおり、後方地域支援と申しますのは、要するに安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対する補給、輸送、医療、通信等の支援措置であり、そのこと自体がまさか武力の行使に当たるということをお考えではないだろうと思います。
そこで、問題は、米軍の武力行使と一体化をなすような行動であるかどうかということでございます。その点につきましては、いわゆる後方地域において行われることを十二分に担保する建前となっている。したがいまして、そのような法案の枠組みにおきます後方地域支援活動と申しますのは、米軍の武力行使と一体化することはおよそ想定されないということでございます。今回の法案における自衛隊の活動と申しますのは、何度も申しますが、武力行使を行うということではさらさらございませんので、林元長官の発言と何ら矛盾するところはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/202
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203・小泉親司
○小泉親司君 林答弁は、日本が武力攻撃を受けていないときに、周辺事態というのは日本が武力攻撃を受けていない事態なんでしょう。そのときに自衛隊が米軍を応援することはできないと言っているんですよ。あなた、実力行使の話じゃないんですよ。
実際に私たちは、日米安保条約は憲法に明確に反する条約であって、その廃棄を主張しています。しかし、私が提起している問題というのは、日米安保条約を容認しているあなた方の論理からも私は説明がつかない問題だというふうに思います。日米安保条約は、日本が武力攻撃を受けた場合に限定して日米共同作戦計画、つまり自衛隊が米軍と行動する。それ以外には基地提供しか許されていないんですよ。つまり、自衛隊の行動は、日本が武力攻撃を受けたという事実がない限り米軍に対して応援できない、こういうことを言っているんです、憲法上の問題というのは。
総理、あなたは日米安保条約の枠内、憲法の枠内とこれまで言ってきたわけですから、それであればこういう立場に立つべきなんじゃないですか。総理に聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/203
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204・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 我が国としていかなることができ、いかなることができないかということを自衛隊の活動との関係で考えます場合には、やはり憲法九条があくまで基準になるということでございます。憲法九条は、御承知のとおり、原則として、「戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、このように規定しているわけでございます。ただ、主権国家としての固有の自衛権の行使を否定しているものではないということも同時に忘れてはならぬわけでございます。
そこで、問題は、今回御審議いただいている法案におきまして、我が国が米軍に対して行おうとする後方地域支援というものが憲法九条が禁止している戦争、武力による威嚇または武力の行使に当たるかどうかという観点から議論する必要があり、またそれで十分でございまして、禁止されている代表的な行為である武力の行使には当たらないということはるる御説明申し上げているわけでございますから、何ら問題がないということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/204
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205・小泉親司
○小泉親司君 後方地域支援だから問題がないとか、武力行使と一体ではないから憲法上の問題はないと言っておりますけれども、私はそういう点では済まない問題だというふうに思います。ここの答弁でも、実際に憲法九条の、先ほど言いました戦争放棄、武力の威嚇、行使、こういうことが許されないというこの立場からこういう答弁が打ち出されたものであって、私は一体化でないからということでは説明できないというふうに思います。
これまで小渕総理は、自衛隊の後方地域支援について、それ自体は武力行使に該当せず、また米軍の武力行使との一体化の問題が生ずることも想定されず、憲法との関係は生ずることがありませんと繰り返し述べておりますけれども、今回の法案にある自衛隊が米軍の武器や弾薬を輸送する、日本の基地から戦闘作戦行動に出撃する米軍に燃料を補給して整備もやる、このような軍事支援行動を行う、こういった対米軍事的な支援が国際的には兵たんと呼ばれる武力行使そのものの軍事行動だというのは一昨日の我が党の筆坂議員の質問でも我々追及した点です。
私も予算委員会で宮澤大蔵大臣や後藤田元官房長官の発言を取り上げて、輸送や通信などのロジスティックはだめだ、戦争行為になるということを指摘してまいりました。元防衛庁事務次官の西廣氏も何と言っているかというと、後方活動とか衛生とか輸送、通信、これもだめだと。ある意味では輸送とか通信というのは前線で戦う歩兵よりも重要なくらいで、医療だって戦争行為の外側とみなされないんだというふうに発言もしておるわけであります。
さらに、衆議院のガイドライン特別委員会の公聴会では、自民党が推薦した佐久間元自衛隊統合幕僚会議議長は、後方地域の限定が非常に難しい、現代の様相においては前線と後方という分け方は非常に難しくて、しかもそれは時とともに流動的になっているということはよく承知していると発言しているわけです。つまり、後方地域だからといって決して憲法上の問題が出てこないというわけにはいかないということを発言しておられるというふうに思います。
その点では、現大蔵大臣や元官房長官、防衛庁の元事務次官、それから自衛隊の統合幕僚会議議長、これだけ専門的な人々が今回の法案に盛り込まれている自衛隊の支援は戦争行為なんだ、後方支援の問題でも前方と後方を分けるのは困難だと言っておられるわけで、前方も後方もないというのは国際社会の常識だというふうに私は思います。
私はこの点について総理に本会議で質問をいたしましたが、総理は先ほどの答弁をしただけで、この点での具体的な答弁はありませんでした。総理はこの自衛隊の元司令官の発言、前方と後方を分けることはできない、こういう発言をどう受けとめているんですか。政府の説明は、後方地域支援は後方地域だから問題ないと。これでは私は何の根拠にもならない、説明もつかない問題だというふうに思いますが、総理、その点ではどのような見解をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/205
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206・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 兵たん活動については国際法上確定的な定義はなく、御質問が具体的にいかなる行為を念頭に置いているか必ずしも明らかでありませんが、我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態において、事態の拡大抑制、収拾のために国連憲章及び日米安保条約に従って行動する米軍に対し我が国が後方地域支援を行うことは国際法上何らの問題がないと考えております。
さらに、周辺事態安全確保法案における後方地域支援は、それ自体武力の行使に該当せず、また米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることのないことも累次申し上げております。周辺事態において違法な武力行使を行っている国が後方地域支援を行っている我が国の自衛隊に武力を行使すれば、それは違法な武力の行使の拡大にすぎないと考えております。
そこで、何人かのお名前も挙げてお話がありましたが、一つは佐久間元統幕議長の発言の真意については、私はその全文を承知いたしておりませんので、後ほど政府委員から答弁いたさせます。また、この法的な根拠につきましては、改めて法制局長官から答弁することをお許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/206
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207・小泉親司
○小泉親司君 もう要らないですよ。だって、総理が答弁されているでしょう。(「補足説明」と呼ぶ者あり)そんなの要らないですよ。
それでは、総理は後方地域支援だから問題はない、いわゆる武力行使に該当するものではない、こういう武力行使との一体化を生じさせるものも想定していない、こう言っておられるので、私は後方地域支援というのが本当に武力行使にならないのか、武力行使との一体化の問題が生じないのか、そういう点について少しお聞きをしたいと思います。
例えば、日米ガイドラインの正文である英文にはリアエリアサポートということが明記されていると思います。アメリカのキャンベル国防次官補代理も記者会見でこの言葉を何遍も話しておりますが、このリアエリアサポートと防衛庁長官がよく言われるものは米側も了解したものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/207
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208・佐藤謙
○政府委員(佐藤謙君) 今回の日米防衛協力のための指針、ガイドラインにおきまして後方地域支援、こういう概念を用いておりますけれども、これにつきましては日米協議をし意見を交換して、そのように記載しているところでございます。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/208
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209・小泉親司
○小泉親司君 いや、リアエリアサポートという言葉は米側も了解した言葉なんですかという質問をしているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/209
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210・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 日米のガイドラインの作成に当たりましての協議におきまして当然日米間で了解をしたと、同じ理解に達している言葉でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/210
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211・小泉親司
○小泉親司君 そこで、私は、リアエリアというのがどういうふうになっているか、アメリカの統合参謀本部の資料を検討してみました。これには、リアエリアオペレーション、つまり後方地域作戦に関する陸海空三軍の教本、九六年五月二十八日のものであります。この教本は、米軍の後方地域での陸海空三軍の軍事行動の内容を定めたものであります。私はこの資料はインターネットでとりましたから、秘密でも何でもありません。
ここに何と書いてあるかというと、後方地域には一以上の同盟国、つまり日本なども入るそういう部隊や施設が含まれているんだということが一つ。もう一つは、後方地域における部隊の第一義的任務は継戦能力、つまり戦争遂行能力を維持することなんだというのが後方地域の第一義的任務だということが書いてあります。もう一つは、後方地域といっても大変高性能の監視システムだとか精密で長射程のミサイルなどの発達によって、特に近代化された敵部隊に対して次第に脆弱となる、攻撃を受けやすくなるということがこの教本の中には書かれております。
野呂田防衛庁長官は、この後方地域支援の問題について、後方地域だから前線と一体となることはないんだ、安全なんだということをこの間繰り返してまいりましたけれども、アメリカも了解している米軍のリアエリアというそういった後方地域、この概念というのは切り離されたものじゃなくて前線と一体で、継戦能力を持った、戦争遂行能力を持った、まさに武力行使そのものの行為だというふうに思いますが、防衛庁長官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/211
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212・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 今あなたの持っておられるものを私は読んだことはありませんが、そこで言う後方地域と私どもがこの法律で決めた後方地域とはやはり違うと思うのであります。
先ほど外務省等から、ガイドラインの詰めの段階で後方地域という言葉については話し合いの上決まったということでありますが、我が方の後方地域というのは、そこでも話し合われたとおり、「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲」であるということを定めてやっておる後方地域でありまして、そこに書かれている後方地域とはおのずから違うと思うのであります。
先ほどから委員がおっしゃっておりますが、この法案に基づき自衛隊が実施する行為それ自体は武力の行使に該当しないと。そもそもそういうことを言っている私どもの根拠は、憲法九条が規定する武力の行使というのは我が国の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦争行為をいうものでありまして、この法案の後方地域支援活動はそのような戦闘行為を行うわけではないのであります。だから、武力行使に当たらないものであるということを申し上げてきたわけであります。
また、先ほど来話しておりますように、我が国が米国側と話し合ってつくったこの後方地域というものは、今申し上げたとおりの法理でありますから、米軍の武力との一体化の問題が生ずることがない、こういうふうに先ほどから申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/212
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213・小泉親司
○小泉親司君 私、あなた方の相手方の米軍の資料を提示して言っているんですよ。リアエリアというのは実際に前線と一体の戦争遂行能力を、継戦能力を持つものだということを明確に言っている。さらに、後方地域といえども、実際には長射程のミサイルであるとか監視システムだとか、そういうふうな近代的な武器の発達によって実際に脆弱だ、攻撃を大変受けやすいんだということをこの文書は明確に言っているんですよ。
あなた、こういうものも検討しないで、このリアエリア、つまり後方地域支援というのは安全なんだ、憲法上戦闘に巻き込まれることはないんだということをおっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/213
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214・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 小泉先生、先ほどからリアエリアというので米国の文献を引用してお話しでございますが、現在問題になっております日米の防衛協力に関しますガイドラインの関連法案のという関係で申しますと、まさしく日米間におきましては共同して作成をいたしましたこの指針の中で後方地域支援についての文章があるわけでございます。そこにおきます定義というものがここで直接関連性のあるものであると思いますが、そこにおきましてははっきりと、
この後方地域支援は、米軍が施設の使用及び種々の活動を効果的に行うことを可能とすることを主眼とするものである。そのような性質から、後方地域支援は、主として日本の領域において行われるが、戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の公海及びその上空において行われることもあると考えられる。
と、こう明確に書かれているわけでございますので、日米間におきましてはこのような了解のもとででき上がっているわけでございまして、今度の提出をいたしております法案におきましてもそれに基づいた定義を法律上置いていると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/214
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215・小泉親司
○小泉親司君 実際、米軍と共同作戦をやるとあなたはおっしゃいましたけれども、米軍の方は、後方地域とは前方と全く一体となった、つまり戦争遂行能力を維持する重要な作戦なんだということを言い、それで米軍自身の文書は、ここでは大変攻撃には脆弱になる、実際に戦争に、戦闘に巻き込まれる危険があるんだということを指摘している。そういったことを何ら検討していないということは私は明らかだというふうに思います。
この点では、政府は、後方地域支援を最大の憲法上の根拠に挙げて米軍の武力行使と一体化しないというふうに繰り返しておりますが、やはり私は、米軍のこの後方地域の教本の点でも、後方地域というのは米軍の武力行使、つまり戦争遂行能力を維持するためのもので、まさに武力行使そのものの行為だということがこの文章自体でも明白だというふうに思います。
その点では、政府は、これまで答弁では後方地域支援がなぜ兵たんと違うのか、そういう根拠も示さない、これは私は大変重大な憲法上の問題だということを指摘しまして、ちょっと時間がありませんので次の質問に入ります。
次の点については、修正の問題について少しお尋ねをいたします。特に周辺事態の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。
この間の審議の中でも、今回の法案が周辺事態法案と言うにもかかわらず、法案の目的にある我が国周辺地域とはいかなる地域なのか、周辺事態とはどのような事態なのか全く不明確であるということが重要な問題であるというふうに思います。今回、周辺事態法案の「目的」という法案の主要な部分に修正が行われた。一つは、これを放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態、もう一つは、日米安保条約の効果的な運用に寄与するということであります。
そこで、修正者の趣旨説明では、「その内容をより明確にするもの」というふうにしておりますけれども、この周辺事態の定義がどのように明確になったのか、総理と修正者、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/215
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216・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政府としては、修正を国会でお受けした立場でございますが、我々が理解しているところは、法案第一条における「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」との修正案は、その文言からして、周辺事態の定義のうち重要な影響を与える事態の意味するところを例示的に丁寧に説明するものと解しております。
いずれにせよ、周辺事態の定義は、「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」であり、この修正案により周辺事態の定義自体が変わるわけでなく、またその実質的内容は変更されるわけでもないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/216
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217・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) ただいま総理からも御答弁があったところでございますが、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」、このように修正いたしましたのは、我が国の平和と安全に重要な影響があるということを具体的、例示的、丁寧に示したものでございまして、既にこれまでの答弁の中で政府から六つの具体例が示されております。
これらの具体例については、その周辺事態が生起する原因に着目して説明したものでございますが、修正の協議の中で、特に我が国の平和と安全に重要な影響がある、全く無関係なことではなくて我が国の平和と安全が脅かされているんだというそこの点に着目いたしまして、より例示的に丁寧に説明したものでございまして、いずれにしましても、これは例示でございますので、周辺事態の定義自体が膨らんだり縮んだりするものではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/217
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218・小泉親司
○小泉親司君 まず、我が国の周辺地域がどこなのか、そういう法案のいわば骨格部分といいますか主要な部分が明確になったのかという点であります。
修正では、法案に日米安保条約の目的に寄与する活動を行っている米軍ということが明記されておりますが、この点について、政府はこれまで原案の審議の中で法案が日米安保条約の枠内であるというふうに繰り返してまいりました。今回の修正でどのような点がこの点では変わったのか、この点をお聞きしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/218
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219・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) 今回の修正で、日米安保条約の効果的な運用に寄与する、こういう文言を加えておりますが、これは本法案が我が国及び極東の平和と安全の維持を目的とする日米安保条約の効果的な運用に資する、こういうことを意味しておりまして、そういう意味で日米安保条約の目的の枠内であるということを明確にしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/219
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220・小泉親司
○小泉親司君 公明党の冬柴幹事長は、公明新聞のインタビューで、今回の法案に日米安保条約の効果的な運用に寄与するということが明記されたという点について、周辺事態は、「今回、法案に、日米安保条約の効果的な運用に寄与することを目的に加えたことで、「周辺事態は地理的概念ではない」という当初の説明は事実上、撤回されたと受け止めています。」というふうに話しているんです。この点についてはいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/220
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221・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 日米安保条約の効果的な運用に寄与するためという文言が入った修正は、若干経緯も含めて申し上げますと、民主党とそれから公明・改革の共同の実は修正要求でございました。
問題意識は二つありまして、一つは、特に周辺事態の定義が、定義だけでは日本の平和と安全に重要な影響を与える事態ということで、理論的にはグローバルたり得る。要するに、政府は地球の反対へ行かないとかインド洋に行かないとか、実態的には、そういうことを言っているんですけれども、あり得ないと言っているんですけれども、理論的には定義だけから見れば、解釈の仕方によっては地球上どこでも米軍の支援のために行けるように解釈できる余地もあるわけです。
したがって、それに対して理論的な歯どめをする必要があるという思いがありまして、そこで日米安保条約の枠内という趣旨と同じ、同義の言葉をそこに挿入をしてもらったわけでございまして、それによりまして、日本及び極東の国際の平和と安全という安保条約の基本目的の範囲の中で自衛隊が活動する、そういった意味で理論的な歯どめが加わった、そういうふうに理解をしております。ただ、厳密な意味で、地理的にどこからどこまでということは、これは非常に言うのは難しいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/221
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222・小泉親司
○小泉親司君 私、遠藤さん今答弁をされましたけれども、遠藤さん公明新聞でもやっておられるんです。あなたが言っておるのは、「この法案が日米安保条約の枠内である旨を法文上明記させることで、自衛隊の出動範囲が安保条約と同じ範囲(極東地域)に限定され、」、こう言っておられる。政府はそれでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/222
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223・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、ある事態が周辺事態に該当するか否かは、その事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断します。したがって、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできません。他方、周辺事態が我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態である以上、現実の問題としてこのような事態が生起する地域はおのずと限界があるわけでございます。
これは、我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態でありますから、我が国の平和と安全に着目してできた概念でありまして、極東の平和と安全ということに関した概念である極東との関係を一概に論ずることはできないというのが政府の立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/223
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224・小泉親司
○小泉親司君 おかしいじゃないですか。政府と修正者が違うと。この法案どうやって執行するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/224
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225・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) ただいまの御指摘の点でございますが、議論の経過でそれぞれ各党、各議員のいろいろな思い、また議論はあったところでございますが、今回のこの修文の意味するところ、これにつきましては、日米安保条約が我が国及び極東の平和と安全を維持することを目的としております。そして、この法案が我が国の平和と安全の維持を目的としておりますので、そのような意味で日米安保条約の目的の範囲内である、目的の枠内である、こういう趣旨でございます。
したがいまして、地理的な範囲とか極東の範囲との関係でどうだということについては余り重きを置かれておりませんで、地理的にどうかと問われましたならば、ただいま外務大臣からも申し上げましたように、周辺事態はあくまで地理的な概念ではなくて、我が国の平和と安全にどのように重要な影響があるか、ここに着目して判断されるものである、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/225
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226・小泉親司
○小泉親司君 私、この問題で大変重大なのは、修正者の間でも意見が食い違っているわけです。だって、冬柴幹事長は、周辺事態は地理的概念ではないという政府の当初の説明は事実上撤回されたと受けとめられていると言っておるわけです。今、赤城議員のお話だと、地理的概念じゃないんだと、こう言っておられる。政府も、地理的概念じゃないし極東地域などという自衛隊の範囲の問題ではないと大臣は答弁されておられるわけです。これでは一体どういうふうに受け取ったらいいのか。
特に、私、問題を正確にするために言っておるんですが、例えば遠藤議員の言っておられる本会議での質問は、この地理的概念の問題というのは、政府が明確にその地理的概念を示さないというのは、「率直に言って、一体何のことを言っているのか、理解しがたい概念と言わざるを得ません。」と。さらに、「そもそも、地理的用語である周辺という言葉を使っているのに、地理的概念ではないと否定することは、矛盾も甚だしく、まことに不適切な言語の使用と言わざるを得ません。このような不適切な言語の使用法が、無用な誤解と混乱を招いているのではないでしょうか。」と言っておられる。
ところが、今、修正者と政府との間、修正者の中の間、一層無用な誤解と混乱が起きているんじゃないんですか。政府と修正者の見解を明確にしてください。おかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/226
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227・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 今の本会議で遠藤衆議院議員がおっしゃったことは、恐らく修正の前の時点ではないかと、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/227
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228・小泉親司
○小泉親司君 そんなこと当たり前ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/228
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229・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) そうでしょう。ですから、修正するに当たってみんながいろいろ議論した上でその修正がなされてくるわけでありますし、私は残念ながら公明新聞をとっておりませんのでその記事を見ておりませんけれども、私は衆議院あるいは参議院のこの委員会で提案者が言ったことを基本に理解するというのはこれは当然のことなんだろうと思いますが、少なくとも衆議院の審議の段階で各提案者がおっしゃったことは、周辺事態の定義を変えるものではない、広げるものでも狭めるものでもないと、こういうことを言っておられますので、私はそうだと受けとめておりますし、この文言「等」が入ったからといって、あるいはもう一つの米軍の対応についての言葉が入ったからといって変わるものではない、こういうふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/229
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230・小泉親司
○小泉親司君 私が言ったのは、外務大臣、よく聞いていていただきたいんですが、遠藤議員の本会議での質問は確かに修正前の発言であります。これはいかに遠藤議員がこの問題を重視しているかということを紹介しただけの話であります。遠藤議員と冬柴幹事長のこの公明新聞での発言は修正の後なんです。そうでしょう。四月二十八日と、私もとっておりませんからコピーでございますが、五月八日の公明新聞、この二つに明確に言っているじゃないですか、これは。だから、政府は地理的概念を、総理は地理的概念を撤回されたんですか。どうですか、総理。この法案の大変重要な問題なんですから、総理、答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/230
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231・竹山裕
○理事(竹山裕君) 衆議院の遠藤乙彦議員から早々と……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/231
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232・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 大変公明新聞を愛読していただいて、ありがとうございます。
この周辺事態概念、これは非常にわかりにくいということがもちろん私の当初の問題意識でございました。それで、いろいろなかなかこの定義それ自体をいじることは非常に難しいという私も思いがありましたものですから、次善の策として統一見解を求め、六つの類型を求め、あるいはまた日米安保条約の効果的運用に資するという文言を挿入するという形で私もその理解が進みまして、なかなか地理的概念とはこれは言いにくい、しかしながらこういったことを次善の策として付加することによって一応わかりやすくなったかなということではないかと思っております。
やっぱりこういった周辺事態は、極東における国際の平和と安全の維持といった観点ではなくて、あくまで我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼすか否かということに着目したものであるということで私も今や理解をいたしておりまして、したがって、周辺事態と極東との間の地理的な関係を一概に論ずることはできない、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/232
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233・小泉親司
○小泉親司君 私は、それは極めて不誠実で極めて重大な問題だというふうに思います。五月八日といったら、四、五日前にあなたはこの新聞で言っておられるんですよ、あなた自身が。それが政府と全く違うということは明確だし、さらに修正者との間でも違うというのは明確じゃないですか。
今度の周辺事態法案については、地理的な範囲が極めて不明確であるという点は私たちも同じように思います。何でかといったら、この周辺事態のまさに主要な部分である我が国周辺地域とは一体どこなのか、周辺事態とはどういうものなのか、この点について何らこの法案では明確でないということは私たち指摘したところでありますけれども、あなた方の修正はそれを明確にしたんだと言っておきながら、実際にはさっき言ったように、地理的な概念については、あなたは自衛隊の出動範囲が安保条約と同じ範囲、極東地域に限定されると言っておられるわけですから、これを撤回されるんですか、あなたは。おかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/233
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234・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 新聞の記事は、相当長いインタビューを後ほど短縮したこともありまして、若干その辺に誤解を招く表現があるかもしれません。
政府もこの周辺事態概念については、地理的概念ではないけれども地理的要素がないわけではない、こういったことも言っておりまして、これを別の表現で言いかえたものというふうに御理解いただけばよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/234
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235・小泉親司
○小泉親司君 大変苦しい答弁だと私は思います。あなたの発言が全く明確にならないし、修正者の修正も全く明確にならない。この点では修正は、幾ら修正しても法案の主要な部分が変わるものではない。この周辺事態法が、私たちが指摘するように本当に戦争法案であるということがますます明確であるというふうに思います。
そこで、時間がないので、私、もう一点、周辺事態の問題についてお尋ねをいたします。
この周辺事態とは、今度は事態とは何かという問題で、政府は周辺事態の六類型というものを出しました。政府統一見解といたしまして、例えば、「我が国周辺の地域において武力紛争の発生が差し迫っている場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合」、「我が国周辺の地域において武力紛争が発生している場合であって、我が国」云々かんぬん。「ある国において「内乱」、「内戦」等の事態が発生し、それが純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大している場合であって、」云々かんぬん。これはいろいろ言っておりますけれども、事態とは一体どういうものなのか、私はさっぱりわからない。
そこで、この六類型について政府にお尋ねしますが、この六類型というのはアメリカ側も了解したことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/235
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236・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 我が国の法律を審議する中で、我が国の政府が、例えばこういうことがありますよということを国会にお示ししたものであって、その前にこの六類型をアメリカ側に示してどうのこうのということはありませんが、アメリカ側もこの審議を注目はしているでしょうから、知っているかもしれませんし、了解などというものではない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/236
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237・小泉親司
○小泉親司君 六類型の前に四つのケースがございましたが、外務大臣、この点も米側との了解はないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/237
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238・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 米側とはあらゆるレベルでいつも話し合っていますから、そういうことが具体的に何らかの機会に話し合われたかどうかは知りませんが、正規のルートで了解とかそういうような話ではないと。我が国の法案を審議するに当たって、四つの類型、その時点で二つの典型的な類型と、あと二つそれにつけ加えて国会に日本政府の責任においてお示ししたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/238
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239・小泉親司
○小泉親司君 私、外務大臣、少し北米局長とよく相談をされたっていいと思いますが、竹内北米局長はこの前の衆議院ガイドライン特別委員会で、四つの類型についてアメリカと正式に合意したことはない、これは外務大臣と同じでございます、周辺事態については、その意味するところについて、米側と実態的な定義についての見解の一致があるわけでございますが、そういう考え方に基づきまして、お求めに応じて四つの類型を例示した、こう言っておられるわけです。
ということは、アメリカ側と日本側で実態的な定義、つまり四類型みたいな何だかわけのわからないような定義とは別に、実態的な定義ということは実際の定義でありますから、それが存在すると。この実態的定義というのはどういうものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/239
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240・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 周辺事態につきましては、まさしくガイドラインを作成します際に、米側と長時間にわたっていろんな協議をし意見交換を行い、情報交換等して作業をしたわけでございます。したがいまして、このガイドラインができ上がりましたときには、日米間において、周辺事態というものがいかなる意味であるかということについて、まさに実態的に理解の一致があったということがございます。それをベースにいたしまして、我々といたしましては、周辺事態安全確保法案の中におきます規定というものを作成し、政府部内でいろいろ審議をして提出を申し上げているというところでございます。
もちろん、先ほど来大臣から御説明申し上げましたとおり、日米間におきましては毎日のようにいろんな情報交換、意見交換、協議を行っておりますので、国会における審議につきまして、米国、特にここにあります大使館から、国会でどういう審議が行われているのかということを我々に質問してくることもございますし、それをやるまでもなく、彼らが毎日フォローしているところでございます。
そういう経過におきまして、いろいろ国会で御質問がございますのに対しまして、政府として主体的に答弁を作成し、見解を示してきたということで、米側との間でもそれについて何ら問題になっていないというのが事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/240
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241・小泉親司
○小泉親司君 あなた方は、周辺事態については、地理的な概念はなく事態の性質に着目したものだと説明してきた。地理的な概念を示さないのは私は重大な問題であるというふうに思いますが、今度の四類型、六類型の問題では、その大もとであります米側と実態的な定義があるということがはっきりしているんですよ。それを国会に何で出さないんですか。わけのわからない六類型を出して、実態的な定義をなぜ説明しないんですか。
私、この点では、周辺事態という本当に骨格部分である内容について、アメリカとは実態的にありながら、それを国会に示さないというのは、何だか六類型みたいなわけのわからないような文章で出すというのは、私は重大な問題だと思いますが、外務大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/241
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242・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 我が国周辺における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が周辺事態である、そういう定義について、ガイドラインの作成のときから日米間で話し合ってきて、そういうことで一致をしているということでございます。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/242
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243・小泉親司
○小泉親司君 周辺事態について、周辺事態がどういうものかという日米の実態的な定義があるということなんでしょう。それは存在を認めるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/243
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244・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 先ほど来申し上げておるところでございますが、日米間におきます協議の結果というものは、まさに防衛協力のための指針に書かれているわけでございます。その中で、今、大臣が正確に申し上げましたけれども、「周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態である。周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである。」、こういう定義がされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/244
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245・小泉親司
○小泉親司君 それが実態的定義と言うのですか。おかしいじゃないですか。それは実態的定義じゃなくて概念的定義ですよ。実態的というのは概念や理念じゃないんです。実際にどういうふうなもの、例えば朝鮮半島は含むのか、台湾は含むのか、実態的な定義というのはそういうことでしょう。実際、そんないいかげんな答弁じゃ──実態的な定義とあなたがおっしゃっているんだから、あなたの発言を言っているんですから。その点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/245
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246・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 私、質問の御趣旨が必ずしも正確にわかっていないかもしれませんですけれども、日米間におきます定義は、今申しましたようにはっきりと書かれているわけでございます。そこの含みます意味につきましては、もちろんいろんな議論を積み重ねた上でああいう定義をしたわけでございます。私が申しましたのは、そういう中身について、実態的な意味についてと申しますか、アメリカと日本との間で理解に相違はないというのが事実であるということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/246
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247・小泉親司
○小泉親司君 ですから、実態的な定義というのは何なんですか。もっと説明しなさいよ、実態的な定義なんですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/247
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248・東郷和彦
○政府委員(東郷和彦君) ほかならぬ先生の御質問でございますが、同僚の竹内が申し上げましたことは、長い間の日米間の協議において、この周辺事態が何であるかということについて実態的に意見の一致があるということを申したわけでありまして、今、先生がおっしゃられましたように、何かここで御説明していないような別の言葉でもって定義したというようなことでは全く違った趣旨を御説明したということでございまして、さよう御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/248
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249・小泉親司
○小泉親司君 私、時間ですからあれですが、最後に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/249
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250・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 小泉君、時間が来ましたので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/250
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251・小泉親司
○小泉親司君 最後です。
実際にあなたがたの、竹内さんの答弁は、そういう考え方に基づいて六類型が出たんだ、つまり大もとがあるんだということを言っているわけです。その点で私、周辺事態のこういう実態的な定義も示さないで六類型とかわけのわからないこと、それから、先ほど修正議論でも言いましたけれども、周辺事態では地理的概念も示さない、つまりその意味では周辺事態がやはり無制限、無限定だということを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/251
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252・照屋寛徳
○照屋寛徳君 私は、小渕総理がガイドライン関連法の衆議院通過を手土産に日米首脳会議に出発した四月二十九日にサイパンとテニアンへ鎮魂と慰霊の旅に出かけました。玉砕の島サイパンで私は兄二人を失いました。そして、アメリカ軍の捕虜収容所で生まれた私にとって十五年ぶりの慰霊の旅でございました。一回目はサイパンの戦場をさまよった姉と二人、そして今回は沖縄戦で防衛隊に召集され戦死した父親を持つ連れ合いと二人でございました。
私は、サイパンのバンザイ・クリフのがけに立って、また沖縄塔の前で参拝することで、改めて戦争の悲惨さと平和のとうとさを胸に刻んだのであります。
私は、戦後五十四年間、基地の島沖縄で生きてまいりました。我が国の安全保障の犠牲と負担をひたすら強いられた一人のウチナーンチュとして、ガイドライン関連法には断固反対であります。
私は、ガイドライン関連法の向こうに第二の沖縄戦を見る思いがいたします。沖縄戦は日本の歴史の中で唯一の地上戦でありました。沖縄戦では前方も後方もありませんでした。沖縄の人たちが皇軍とも呼び、友軍とも呼んでおった日本軍は、住民の命を守らなかったばかりか、住民を壕から追い出して、少ない食料を奪い、あまつさえ、方言を使っておった、こういう理由でもってスパイ容疑を仕立て上げてたくさんの県民を虐殺した。これは歴史的な真実であります、事実であります。
私は米軍の捕虜収容所で生まれましたけれども、私と同じ一九四五年、昭和二十年に沖縄で生まれた同級生の中にはお墓の中で生まれたというのがたくさんおるんです。なぜ墓の中で生まれなければならないのか。通常は死んでから人間は墓に入るんです。ところが、自然のガマやあるいは壕を追われて墓に逃げ込んで、そこで新しい命を産むしかなかった。これが私は沖縄戦の実相であろうと思います。
そして、疑うことができないもう一つは、沖縄戦は国体護持のための捨て石作戦であった、これはもうだれもが認めておるところであります。
今、ガイドライン関連法に基づく新たな日米軍事同盟の強化によって、沖縄が安全保障の捨て石にされようとしております。あの二十万余のとうとい命を奪った悲惨な沖縄戦と、それに続く二十七年間のアメリカの軍事支配を私は生きてまいりました。そして、ことしはくしくも沖縄が日本に復帰してから二十七年目であります。私は確かに五十四年前の夏の沖縄戦に責任を負う立場にはありません。だが、もしガイドライン関連法が成立をし、沖縄が再び戦場化した場合に、あるいは沖縄県民に被害が及んだ場合に、私は政治家としての責任を問われるであろう、間違いないだろうと思います。だからこそ私は、戦争につながる、しかも憲法違反のガイドラインには反対であるということを重ねて申し上げた上で、具体的な質問に入りたいと思います。
最初に、野呂田防衛庁長官にお聞きをいたします。
きょうの齋藤委員とのやりとりを聞いておりました。私は残念ながらきのうの島袋委員とのやりとりを直接聞くことはできませんでした。私は、野呂田長官は大変正直な人だな、きのうは正直に語っておるなと、こういうふうに思いました。きょうのやりとりの中で、舌足らずで県民に申しわけないとか、あるいは何かしら県民に謝るような趣旨のお話がありましたが、私は謝る必要はないと思います。謝ってもらいたいというふうにも思っておりません。長官がきのう言ったまさにこの周辺事態法を初めとするガイドライン関連法が成立をした場合に、膨大な米軍基地を抱えている沖縄県民が最も被害を受ける、深刻な事態を招来する、これは当たり前じゃないですか。
長官が舌足らずだったからごめんなさいと言ったからといって、沖縄県民が安心をしたり喜ぶなんて思ったら私は大間違いだろうと思います。むしろ、舌足らずではなくして、私に言わせれば、よくもまあ舌の根も乾かないうちに県民を混乱に陥れるような、だますような発言をしているなとしか私はきょうは思っておりません。
改めて、周辺事態法が成立した場合の基地の島沖縄の県民生活に与える影響、県民の暮らしと権利に与える影響について、長官の率直な所信をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/252
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253・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私がきのう申し上げたのは、ありていに申し上げますと、島袋委員の最後の方の言葉がよく聞こえませんで、真意をつかむことができなかったという点もあったと思います。
ただ、そのとき私の気持ちとしては、沖縄には米軍基地が多く存在するという事実を踏まえまして、例えば在日米軍が何らかの軍事的活動を行うに際して、沖縄に所在する米軍基地が使用される状況も考えられるという一般的な趣旨を申し述べさせていただいたものであります。
沖縄県に米軍基地が多く存在し、基地問題への取り組みが県民に大きな課題になっていることは、私も基地問題を担当している一人として十分認識しております。周辺事態への対応についても沖縄県民の関心が大変高いこともよく認識しております。ですから、あらゆる機会をとらえて地元の方々にその趣旨や内容についての説明に努めてまいりたいと考えているところであります。
この法案が、周辺事態に対して沖縄県など特定の地方公共団体に大きな負担を強いるようなものであるとは考えておらないところでありまして、今後もそういう態度で対処してまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/253
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254・照屋寛徳
○照屋寛徳君 防衛庁長官、きのうの長官の発言はまさに私はガイドライン関連法の本質をついた発言だと思います。だから、沖縄県民はもちろん怒っております。しかし、それがこの法案のねらいだろうということがよくあなたの発言でわかった。
さて長官、端的にお答えください。
あなたは防衛の最高責任者として、もちろん周辺事態と有事、戦争は違いますけれども、あの五十四年前の沖縄戦で、沖縄は小さな島々から構成される島嶼県でありますが、日本軍が駐屯している島はことごとく直接的な攻撃を受けた、しかしながら日本軍が駐屯をしていない島は全く戦禍に見舞われることはなかった。この事実は知っていますか、長官に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/254
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255・佐藤謙
○政府委員(佐藤謙君) 事実関係でございます。まず私の方から御説明させていただきますが、沖縄戦におきまして、今先生が言われたようなそういう実態だったと私は記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/255
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256・照屋寛徳
○照屋寛徳君 長官、この事実は防衛の最高責任者としてきちんと認識すべきでしょう。我が国の平和と安全のために、そのためにガイドライン関連法をつくろうというのだから、そういう大事なことを長官が知らない、とんでもない話であります。
さて、四月二十三日と二十四日の両日、地元沖縄タイムスが実施をしたガイドライン関連法についての緊急電話意識調査が行われました。反対が五五%、賛成が二六%であります。そして、「反対」、「どちらかといえば反対」と答えた人たちの理由が、「日本が紛争に巻き込まれる恐れがある」、これが四二%であります。「今以上に米国に協力する必要はない」二六%、「憲法に反する」、これが二二%であります。
このアンケートの結果について、総理並びに防衛庁長官、どのような所感を持っておらますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/256
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257・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) お話の沖縄タイムス、それから共同通信の調査結果というものがありますが、共同通信の調査結果は、「反対」もしくは「どちらかといえば反対」が合わせて二三%であるのに比べまして、沖縄タイムスの調査結果は五五%になっていることは私どもも承知しているところであります。
両者の調査結果に隔たりが生じている理由につきましては、民間事業者による調査ということもあり、私から確定的なことを申し上げる立場にはありませんが、さきの大戦において大きな被害を受けたという沖縄の方々の心の痛みが防衛問題に関する認識にも影響を及ぼしているというものだと考えられます。
いずれにしましても、この法案は我が国の平和及び安全にとって重要なものでありますから、その趣旨、目的についてよく理解をいただきますよう、今後とも機会をとらえて御説明に努めさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/257
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258・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今、防衛庁長官が御答弁申し上げましたが、特に沖縄タイムス、また琉球新報の結果は聞いておりませんが、沖縄県におけるメディアというものの取り上げられました数字というものは、沖縄県における考え方の一つの証左としての数字と謙虚に受けとめさせていただきたいと思いますが、我々といたしましても、今般の法案がこの日本において二度と再び大きな戦火を交えない、そのための抑止の効果としてこうしたものを持つことが必要であるという前提で法律案を出させていただいておりまして、ぜひ沖縄県の状況につきましても、私自身も、先生御案内のとおり、長らくこれに取り組んでまいった立場で承知をいたしております。
冒頭、サイパンあるいはテニアンの話がございました。私も、本件についても現地に参りまして慰霊碑を建立する等の仕事をいたしまして、あのバンザイ・クリフでもんぺをはいた婦人ががけから飛びおりた記録がフィルムで今日なお歴史的事実の大きな悲劇として載せられていること、実態を承知いたしております。
そういう意味で、ぜひ沖縄県の皆さんにおかれましても、本法案の趣旨を十分御理解願えるようにと思って努力をしてまいりましたが、重ねて先ほどのタイムスの数字でないような数字が出るように理解を懸命に求めていきたい、こう考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/258
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259・照屋寛徳
○照屋寛徳君 先ほども申し上げましたように、我が国の歴史の中で唯一地上戦が展開されたのは、これは沖縄戦だけであります。
防衛庁長官、総理にお伺いいたしますが、沖縄戦の実相、沖縄戦の特徴についていかなる認識を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/259
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260・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 私も、まだ沖縄が日本に返還になる前から沖縄の行政指導のために沖縄へ渡ったこともありまして、既に二十回近く沖縄に伺っているわけでございますが、過ぐる大戦において沖縄は国内唯一の地上戦を経験した、そして多数の県民のとうとい命が犠牲となった、筆舌に尽くしがたい苦難を経験された、こういう苦難に報いるためにも、私どもはこのことを心に刻み沖縄問題に取り組んでまいらなきゃいかぬという決意をその都度強くしているところであります。
今、私の仕事としては、このSACO最終報告に基づく基地や施設の整理、統合、縮小の問題でございますので、そういう問題について真剣に取り組んで沖縄の苦痛を少しでも和らげてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/260
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261・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 過ぐる大戦におきまして、沖縄は国内唯一の地上戦を経験し、多数の県民のとうとい命が犠牲となり、筆舌に尽くしがたい苦難を経験されました。このことを私自身も政治家としての思考の、行動の原点として心に刻み沖縄問題にこれまでも取り組んできたところであり、かつまたこれからも全力を挙げていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/261
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262・照屋寛徳
○照屋寛徳君 私は防衛庁長官の答弁を聞いて本当に情けなくなりました。我が国の防衛の最高責任者が沖縄戦の実相がどういうものだったのかということを、何ら具体的な事実に即して科学的に分析し、認識を持っておらない。
沖縄戦の実相の中で一番大きなものは、軍民混在の戦場であったということですよ。それともう一つは、正規の軍人軍属を上回る民間人の犠牲があったということじゃありませんか。軍人より住民が多く死んだんです。傷ついたんですよ。こういうことを忘れて新ガイドライン関連法をつくろうなんというのはとんでもない話であります。
さて、防衛庁長官、沖縄戦はいつ始まって、いつ終わったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/262
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263・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 沖縄本島における戦闘につきましては、防衛庁の防衛研修所、現在は防衛研究所と言っておりますが、そこで記された戦史叢書というものがございまして、これに根拠を得て申し上げますと、昭和二十年四月一日に米軍が上陸を開始し、三カ月近くの戦闘が続いた後、同年六月二十二日に同島を守備していた第三二軍の組織的な抵抗が終了し、翌二十三日には同軍牛島司令官等も自決したものと承知しております。
なお、沖縄県は、第三二軍牛島司令官等が自決した六月二十三日を沖縄県慰霊の日と条例で定めており、また沖縄県史においては同日をもって沖縄戦の終結としているところであります。
さっき、実相についての御質問でございましたが、官民混合で犠牲になった、そういうことについて数字も挙げないでという御指摘がございましたが、これは私どもとしては、そういうお問いであるとすれば改めて申し上げなければいけないところであります。
防衛庁として沖縄戦における戦死者数につき公式にお答えする立場にあるのかどうかは問題ですが、まず厚生省の保有している留守名簿等の資料によりますと、沖縄戦における軍人軍属の死亡者数は、本土出身者約六万三千人、沖縄出身者二万八千人、計九万一千人と承知しております。また、沖縄県の資料によれば、軍人軍属以外の一般住民の死亡者については約九万四千人と推測しているものと承知しております。米軍の戦死者数も、戦史叢書において米軍の公刊戦史を引用し、一万二千人とされております。以上を合計しますと、沖縄戦における戦死者は約二十万人となります。
さらに、戦史叢書は、沖縄戦における日本側の損害は明確な資料が得られないとしつつ、守備軍約九万名、民間人約十万名が死亡したと書かれておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/263
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264・照屋寛徳
○照屋寛徳君 防衛庁長官、今、長官は答弁の中で、沖縄県の資料によると沖縄関係の戦死者は九万四千人と言いましたけれども、それは間違いですよ。県の援護課がまとめたので十二万二千二百二十八人というのがある。
厚生大臣お見えでございますので、援護法との関係になると思いますが、どういう戦死者の数字をつかんでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/264
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265・宮下創平
○国務大臣(宮下創平君) 厚生省の保有している留守名簿等による資料によりますと、沖縄戦におきます軍人軍属の死亡者数は、今、防衛庁長官の言われたとおり、本土出身者が約六万三千人、沖縄出身者が約二万八千人、計九万一千人であると承知いたしております。
なお、沖縄県の資料によりまして、軍人軍属以外の一般住民の死亡者については、防衛庁長官が今九万四千人とお答えになりましたが、私どもとしてもこれは推測する以外にないわけでありまして、沖縄県としては、戦後の生存者数、つまり二十一年一月の生存者数と昭和十九年度の人口の差をもとに算出したものがございまして、これが約九万四千人ということでございますので、委員の今おっしゃられた十二万二千人とは大分かけ離れておるように存じます。
それから、米軍の戦死者数につきましては、今、防衛庁長官のお答えしたとおりでございまして、約一万二千人ということでございまして、私どもとしては本土出身、沖縄出身の合計者数が、軍人で九万一千人、それから一般の住民がそれを上回る九万四千人、合計約二十万人、十九万七千人でございますが、そう承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/265
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266・照屋寛徳
○照屋寛徳君 それについては議論があるところですのでこれ以上やりませんが、防衛庁長官、結論だけで結構ですから、沖縄戦はいつ始まっていつ終わったかとか、あるいは沖縄戦でどれだけの人が戦死をしたのか、これについての政府の統一見解というのはありますか。あるかないかだけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/266
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267・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) あいまいに答弁しても問題でありますから、私は、今申し上げたのが各省とも相談しながら出した日にちと人数でありますが、そのことについて統一見解があるのかどうかはよく調査をしてまた報告したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/267
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268・照屋寛徳
○照屋寛徳君 それでは、必ず報告をしてください。
運輸大臣もお見えでございますので、外務大臣、運輸大臣にお聞きをしたいと思います。
予算委員会でも聞きました。アメリカ海兵隊の実弾演習が本土の五カ所の自衛隊の訓練場で行われることになりました。一九九七年の北富士演習場での訓練の際に、全日空機をチャーターして武器弾薬を輸送したことが明らかになりました。昨年二月の日出生台の演習場の際には民間船舶をチャーターして百五十五ミリりゅう弾砲を運んだことが明らかになりました。しかも、それについて外務省は、地位協定五条を適用するんだ、こういう説明でございました。
改めて、全日空機、民間船舶による武器弾薬輸送の実態と、なぜその行為に地位協定五条が適用されるのか、外務大臣、運輸大臣、防衛庁長官にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/268
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269・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 日米地位協定第五条は、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」と規定しているわけでございます。
防衛施設庁によりますと、御指摘の民間の航空機及び船舶につきましては、米軍からの具体的な要請に基づき、防衛施設庁を通じ間接的にチャーターされたものであって、同庁と業者との間の契約において、米軍の指揮官が同航空機及び船舶に乗り込み、その運航を管理する旨、明らかにされており、実際にもそのように運航されたものであると承知をしております。
したがいまして、当該航空機及び船舶は、米国の管理のもとに公の目的で運航されているものであり、日米地位協定第五条の適用のある航空機及び船舶に該当するものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/269
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270・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) この航空機及び船舶は、在日米軍からの調達の依頼を受けまして防衛施設庁が借り上げたものであります。
防衛施設庁と日本通運との間の輸送役務契約において、米海兵隊の指揮官が当該航空機及び船舶に乗り込み、その運航を管理する旨、明らかにされております。また、実際にもそのように運航されているのをきちっと確認しております。
この航空機及び船舶は、地位協定五条に言う「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」に該当するということはただいま外務大臣から御説明があったところでございまして、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/270
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271・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) まず、地位協定の解釈の問題でございますので、この解釈は外務大臣が申し上げたとおりであり、運輸大臣としてお答えする立場にはございません。
なお、五条の適用ということになれば、航空機の運航にかかわる航空法第六章の規定のほとんどの適用が除外されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/271
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272・照屋寛徳
○照屋寛徳君 運輸大臣、この地位協定五条が適用されることになる当該航空機はシカゴ条約の保護を受けるんでしょうか。国際民間航空条約の保護を受けるんでしょうか。すなわち、地位協定五条が適用されるということになりますと、もう国の航空機、こういうふうにみなされるのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/272
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273・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 御指摘のように、シカゴ条約の対象にはならないというように考えております。
ただ、航空事業者の安全の確保という問題につきましては、基本的にシカゴ条約の対象となる航空機は、過誤等による領空侵犯を考慮して、当該航空機に対する武器使用等の禁止、要撃手続の遵守という条約上の保護を受けるということになります。一方で、シカゴ条約の対象とならない航空機については、そもそも他国の領空を通過する際には当該国から個別に許可を取得する必要があり、当該許可に従って航行する限り武器使用や要撃といった問題は生じず、保護を必要とする状況に置かれることは想定されない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/273
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274・照屋寛徳
○照屋寛徳君 私は、武器弾薬を輸送した民間の飛行機に地位協定五条を適用するのは、シカゴ条約第四条で言う民間航空の乱用行為に当たるというふうに考えておりますが、この問題についてはまた議論をするつもりでおります。
さて、周辺事態法案九条の地方自治体の協力の関係で自治大臣、厚生大臣にお伺いをいたします。
実は一九八九年の三月、このころは沖縄ではもう大変な水不足で、赤ちゃんにミルクをつくってあげるのも大変だというふうなころでございました。そろそろ隔日二十四時間断水が始まろうとするときに、在沖米海兵隊、これまた海兵隊であります、海兵隊が県の企業局に基地内の給水確保、優先して基地内の水を確保してくれ、こういう申し入れをしたということであります。
私は、周辺事態法が成立をいたしますと、いわゆる自治体の協力、給水支援との関係で軍事と国民の生活、県民の生活どちらが優先するかというふうな事態が恐らく現実に起こるんじゃないかと思いますが、自治大臣、厚生大臣に、この給水支援との関係でそういうふうな事態に遭遇したときに、地方自治の本旨に照らしてどういうふうな自治体の選択があり得るというふうに考えておられるのか、御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/274
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275・野田毅
○国務大臣(野田毅君) 給水につきましては、この周辺事態安全確保法案の、御指摘のとおり第九条の第二項に基づく協力依頼でございます。そういう点で、第一項のいわゆる自治体の長の持っている権限の行使の求めということではない、つまり国以外の者に対する一般的な協力の依頼である、こういう立場に立つわけでございます。したがって、協力依頼を受けた自治体という今の水道の話でありますが、この水道事業はまさに地方団体が公営企業として営んでいる事業でございます。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
そこで、給水するか否かというのは公権力の行使というような世界のものではない、したがってこの給水の依頼あるいは協力の求めというのは法律上何ら義務が生ずるというものではなくて、住民生活を犠牲にしてまで協力に応じるような義務は生じないものだと考えております。そういう点で、自治体としては事態の緊要性と住民の利用等を十分に考慮して、みずからの判断において対応を決定していただければ結構であると思います。
ただ、協力を依頼する側、依頼する主体は関係行政機関の長が依頼をするわけでございます。そういう点で、自治体に具体的に依頼をするときに、そういった渇水状況にある、そういった諸般の状況を十分踏まえた上でそういうような依頼をするなりしないなりということが決められるものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/275
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276・宮下創平
○国務大臣(宮下創平君) お答えいたします。
給水事業とそれから医療も同じでございますけれども、自治大臣の今述べられたとおり、九条の二項に基づく依頼ということになります。そこで、今、委員のおっしゃられますように、給水に関するこの事業は、何よりも重要なことは、既に給水を受けておられます地域住民の生活に必要な給水の確保に欠けることがないよう配慮するということが極めて重要でございまして、したがって、それに基づく適切な対応が行われるように基本計画等で定める必要があろうかというように存じております。
協力の依頼を受けました地方自治体につきましては、法的な協力義務はないことは自治大臣が今言われたとおりでございまして、水道法という法律がございますが、その給水に関する規定を守りながら、住民の水利用と同時に事態の緊急性等を十分考慮しながら地方自治体のみずからの判断で適切な対応が決定さるべきものだと考えております。
なお、水道法十五条というのがございまして、これは、「水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込を受けたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。」と書いてございますが、このことは、正当な理由になるかならないかという問題でありますが、給水に係る協力依頼を受けた地方自治体は、その給水を行うことによりまして、既に給水義務が発生している一般の需要者、地域住民の需要者でございますが、への給水に著しい支障を来すおそれがある場合には正当な理由があるものとして拒否できると解されております。水道法上そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/276
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277・照屋寛徳
○照屋寛徳君 修正案についてもたくさん質問を準備しておりましたが、時間が少なくなりましたので何点かお伺いいたします。
修正案を提案した特に自民党の方にお伺いいたしますが、周辺事態法の目的の中に、日米安保条約の効果的な運用に寄与し云々というふうに書いてあります。新しい法律をつくるときには、御承知のように立法事実というか、立法意思みたいなものが明確でなければならないと思います。新規立法によって解決しなければならない日米安保条約の効果的な運用を阻害してきた要因と具体的事実、これはどういうふうに考えておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/277
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278・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) ただいま御指摘の修正部分でございますが、日米安保条約の効果的な運用に寄与しと申しますのは、本法案が我が国及び極東の平和と安全の維持を目的とする日米安保条約の効果的な運用に資するということを明確にするために設けたものでございます。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
これを設けることによりまして、日米の安保共同宣言、そして新ガイドライン、そうした一連の流れにおいて、冷戦構造が終結し、そして新しい事態が起こってそれに対応する、そういうためにこの法案ができたわけでございますから、これがなかった状態において何か日米安保条約の効果的な運用に欠けるということではなくて、むしろこの法案が成立することによって、より日本の平和と安全が前進をし、あわせて日米安保条約の信頼性の向上に資する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/278
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279・照屋寛徳
○照屋寛徳君 赤城さんに聞きますけれども、そうすると、日米安保条約は、周辺事態に際して自衛隊がアメリカの後方地域支援活動を行うということは現行の日米安保では全く想定していないのではないか。想定していないことをどうして効果あらしめるのか。おかしいじゃないの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/279
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280・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) この法律は、これまでも再三議論になっていますように、憲法の枠内で日本の平和と安全をいかに確保するか、こういうことから、武力の行使や武力と一体となることを行わない、そうした一定の要件の中でこの法案を策定したものでございますから、日米安保条約で一定の条約上の義務なり文言が書かれておりますけれども、その日米安保条約に書かれたことしかできないということではありませんで、憲法の枠内で我が国の平和と安全をいかに確保するか、そのことを主体的に考え法案化したものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/280
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281・照屋寛徳
○照屋寛徳君 わざわざ修正して、日米安保条約の効果的な運用に寄与すると書いてあるじゃないですか、法文に。ところが、現行の日米安保条約は、私も二十七年弁護士やっておりますから何度も何度も読みました。その現行の日米安保条約には、自衛隊がアメリカの後方地域支援活動を行う、こういうことは一切書いてないでしょう。しかも想定もしていないでしょう。答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/281
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282・赤城徳彦
○衆議院議員(赤城徳彦君) 重ねてのお答えになりますが、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、この文言を加えた趣旨は、我が国及び極東の平和と安全の維持を目的とする日米安保条約と、我が国の平和と安全の確保を目的とするこの法案、この法案が日米安保条約のそのような意味で枠内である、目的に寄与する、そのことを明確にした、それが改正の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/282
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283・照屋寛徳
○照屋寛徳君 もう全然答弁になっておりません。
最後に、昨日、総理は梶山前官房長官とお会いになったようでありますが、梶山さんが文芸春秋に書いた「祖国防衛論」というのはお読みになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/283
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284・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 私、訪米するに当たりまして梶山先生から、まだこれは書籍として発売をされる以前でありましたが、原稿としてちょうだいをし、拝読をさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/284
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285・照屋寛徳
○照屋寛徳君 防衛庁長官はどうですか。この論文をお読みになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/285
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286・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 熟読玩味したわけじゃありませんが、いただきましたので一応は目を通しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/286
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287・照屋寛徳
○照屋寛徳君 この論文では、防衛庁長官、「周辺事態が発生すれば、米軍の基地があり、これを支援する日本は、直接的な攻撃対象になりうる」と、こう書いてあるんです。その米軍基地が七五%沖縄に集中しているんです。そうすると、ますます沖縄がこの周辺事態法、関連法で攻撃の対象にされる、県民がさまざまな犠牲や負担を強いられる、こういうことは明らかである。
重ねて反対であることを申し添えて、質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/287
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288・田村秀昭
○田村秀昭君 本日は修正案の集中審議でございますので、三会派の皆さんに御質問をさせていただきたいと思います。
その前に、私の個人的見解でございますが、今、沖縄の問題が非常に問題になっておりますが、沖縄に米軍基地が七五%ある。私の見解では今沖縄は一番安全なところじゃないかと思っております。なぜかというと、世界最強の軍隊があるところに攻撃する国は全くない、それは米国に対する戦争を決意しない限りそういうことは起こらないのでありまして、私は一番安全なところは沖縄ではないだろうかというふうに思っております。
それから、三会派の修正合意ということについて、一つは、各党はそれぞれ政策意見が違うわけでありまして、違った意見を持つのは当たり前の話であります。もし意見が一緒であれば同じ党になるわけでありますから。自分たちの党の主張をどれだけ主張してそれが受け入れられ合意されるかということを国民の目の前に説明することがその党の存在理由になると私は思っておりますので、遠藤乙彦先生が若干違ったことをおっしゃってもそれは構わない、それは遠藤先生の所属する党が存在する理由でありますから。ただ、最終的に合意されたことについては、合意をされたということですから、それは意見が違っても合意するということはありますから、それは結構なことだと思います。
それで、遠藤先生に名指しでちょっとお尋ねしますが、遠藤先生は先ほどの同僚議員の質問に、確立された国際法規及び条約その他の国際約束に準ずるということについては確立されたものはないとおっしゃいました。それはいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/288
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289・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 確立された国際法規がないと言ったのは、私は船舶検査のやり方について申し上げまして、確立された明確なグローバルスタンダードは存在していないと理解している、そういうふうに申し上げたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/289
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290・田村秀昭
○田村秀昭君 私は修正案に賛同している党でありますので、時間が非常に短いので簡単にお答えしていただければ結構です。
それで、それはないというのは間違いであります。確立されている国際基準というのは、必ずそういう船舶検査をするときには相手の商船よりも高い武器を持って、それに反抗することができないという裏づけがあるということが国際法規なんです。国際基準なんです。
ですから、それを否定して船舶検査というのはできないと私は思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/290
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291・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) この船舶検査のやり方については国際法上のルールが明確ではないと思っておりますし、また国連のマニュアル等も作成をされていないと理解されております。
私自身の理解といたしましては、船舶検査の際に警告射撃をやってはいけないというルールもないし、またやらなければいけないというルールもない、そういうふうに私は理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/291
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292・田村秀昭
○田村秀昭君 今、遠藤先生がおっしゃったことは、どこの国でも同じマニュアルでやっているということでは、そういう意味では正しいです。しかし、内容的に言って、基本的なところは全部一緒だということなんですよ。そこのところを理解されてないと、それは違った詭弁に使われてしまうということを申し上げている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/292
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293・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 私は、各国がそれぞれマニュアルを持っているということは否定しておりません。ただ、国連等の権威ある国際機関共通のものとしてつくったスタンダードはないというふうに申し上げているわけでありまして、正確なところは、恐らく一定の範囲の中でそれぞれの国の法制、政策、あるいはさまざまな事情に基づいて独自の流儀でそういったマニュアルをつくっている、そのように理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/293
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294・田村秀昭
○田村秀昭君 私の申し上げているのは、先ほど遠藤先生がおっしゃいました十万件の中で十一件の船舶検査、非常に少ない数字を挙げられました、十一件とか十七件とか。それは、それぞれのやり方は違うけれども、きちっとした基準があるからそういうふうになっているので、今の日本のやろうとしているやり方では全部すいすい通っていってしまうということを申し上げているんです。だから、ほかの国でやっているのは少ないけれども、うちも同じようなやり方をするならば、同じような基準できちっとやるならばそれはそういうことになりますけれども、そうじゃなかった場合には日本の指定された海域はそこを素通り、そこを全部通りますよということを申し上げているんです。
だから、そこのところを、国民に間違った理解をさせないようにしてほしいと私は思っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/294
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295・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) 国連決議のもとの船舶検査は、今、先生おっしゃったように、十万件以上の中で十数件が警告射撃をやった。一万分の一という数字でございます。
これをどう解釈するかなんですが、私としては、警告射撃がなくても経済制裁の実効性を確保することが十分行われている、このように解釈していいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/295
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296・田村秀昭
○田村秀昭君 ちょっと私の申し上げていることが理解されていないようでございますので次に移ります。船舶検査です。
現在、実弾を除く信号弾及び照明弾を使用するとか、接近、追尾、伴走及び進路前方における待機を行うというのが今の法律案に書いてある。これは今度削除されましたからこれもないんですが、また今度、遠藤先生は法案をおつくりになりますね。こういうことを書かないようにしてほしい。これを書くと、みんな全世界がこれを読むわけです。こんなことをやるんだったらそこを通ろうということになる。これは普通マル秘のROEに書かれる。ですから、防衛庁は次の三会派の法律をつくるときにはこういう細かいことを書かないで、これは作戦規定に入れるということが非常に重要だ。自分の手のうちを全部さらけ出すわけですから。さらけ出して、日本は威嚇射撃もやらないし警告射撃もやらない、ただ空砲を撃つだけだ、それじゃそこを通ろうということになってしまうわけです。
だから、それをやるかどうかは、やらなくても結構だから、やるかもわからないということでマル秘でやっていかないとだめなんです。こんなことを条文に書いてある国なんてどこにもありません。そういう非常識なことが防衛問題に限って起こっているということなんです。これはずっと戦後の防衛問題だけ非常識なんです。あとはグローバルスタンダードとみんな言っているんです。
どうして全部をグローバルスタンダードにしないのかと私は申し上げているので、そこのところを、これから法案をおつくりになる三会派の先生方に非常に重要なポイントを申し上げているので、いいかげんなことを私は申し上げているのじゃないのだから、ぜひお願いしたいと思います。これは遠藤先生だけじゃなくて全会派の方にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/296
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297・遠藤乙彦
○衆議院議員(遠藤乙彦君) そういった船舶検査の手順を明示するかどうか、これ自体もその国の政策といいますか一つの文化であると言ってもいいかと思っております。
ここにちょっと混乱があるかと思うんですが、この前の不審船みたいに領海で法令違反を起こしていて、それを公海上で継続追跡して必要な措置をとる場合と、現在の船舶検査のように経済制裁の目的のために一般の公海を通航している商船を検査するのと全然違ったケースでありまして、そういったいわば通常の一般船舶の検査の場合にはそんな手荒なことはする必要がないし、また職務執行法に準じた形のこういったやり方もあるわけでありまして、そういったことを明示しておくことは決して問題を起こすことではないと私は考えております。
また、憲法上もいろいろ問題がある警告射撃の問題につきましては、結論が出ないうちに踏み込むべきではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/297
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298・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) 今回の船舶検査活動は、日米防衛協力のガイドラインの中で必要に応じて対応を措置しているところでありまして、別法をつくるといっても、基本的には、現在の政府案の中で議論された内容を大きく変えるということについては、この国会中にも法律の成案を図るという点につきましては、なかなか時間の面で厳しいと思います。
本格的な検査活動を行うといたしましたら、やはり憲法の問題、集団的安全保障、集団的自衛権の問題をまともに深く議論して、国民や他党の皆さんが理解した上で送らなければ、解釈等あいまいなままでございますので、それにはやはり憲法、集団的安全保障の議論が必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/298
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299・東祥三
○衆議院議員(東祥三君) 自由党の立場から申し上げますが、国連憲章に基づく強制行動というのは憲法に違反しないという立場ですから、当然船舶検査の場合には、威嚇射撃は無論、抵抗、逃走の場合などには船体を射撃することも許されると私たちは思っております。船舶検査は削除されてしまいましたけれども、船舶検査の場合の武器使用は、まさに田村先生おっしゃられるとおり、正面から認めるべきであると私たちは思います。捜索救難と後方支援の場合についても正面から必要な武器使用を認めるべきだと、このように思っています。
問題は、現場を知らない人たちが自衛隊の行動を縛らなくてはならないという強迫観念に駆られているのではないのか。不必要に厳しい制約をつくる傾向があることだと思っています。それがまた自衛隊員の命をおろそかにすることになっているのではないのか。私たちはこれは間違っているのではないのかと思います。
先ほど例に出ましたように北朝鮮の不審船を取り逃がしましたが、これは私見でございますが、もし乗り込んでいたら海上自衛隊員の何人かは爆弾か銃弾で必ず殺されていたのではないのか、このように思います。例えば、自衛隊員が周辺事態である朝鮮有事の際に相手にするのは世界屈指の特殊兵だと思います。それなのに正当防衛の権限しか与えられていない。正当防衛なら一般市民と同じだと思います。交番のお巡りさんの銃等使用基準よりもはるかに厳しい。それだけでなく、現場を知らない方々は、威嚇射撃さえも憲法違反の疑義があると、このように堂々と言っております。それでは、さきの不審船に対して投下した爆雷はどうして合憲なんでしょうか。ある意味でこの辺についての意見を整理されたものを出す必要があるのではないのか。
政治が責任をとらないことからこういうことになるのではないのかと私たちは思います。政治が責任をとるということがシビリアンコントロールの原点だと思います。自衛隊に自分の国の安全を守るために必要な任務を与えたら、それを実現するために十分な権限と装備を与えるのは当然です。それで自衛隊が暴走するというのなら、初めから自衛隊など出すべきではない。出しておいて武器を使わせないというのは、ある意味で自衛官に死ねということと同じです。自衛隊員の命が軽んじられては文民政府への信頼が崩れると思います。そうするとシビリアンコントロールは崩れます。
かつて南方で百万単位の兵隊を見殺しにした戦前の軍上層部と何ら変わることはない無責任さじゃないかと。乱暴な言い方をして恐縮ですが、そういうことも言えるのではないのか。きちんとした命令を出して、自衛隊が権限を逸脱しそうになったら、直ちに統幕議長を解任すればいいと思います。それがシビリアンコントロールです。かつてトルーマン大統領は、マッカーサー司令官を朝鮮戦争の真っ最中に解任したということがある。まさにあれだと思います。
以上です。ちょっと長くなりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/299
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300・田村秀昭
○田村秀昭君 さすが自由党の御答弁はすばらしいと思います。
時間がありませんので、遠藤先生にもう一点だけ。
遠藤先生の言っておられる船舶検査というのは、経済制裁の実効性を高めるための国連の安保理決議があったときの話をされているんですね。私の言っているのは、今回のガイドライン法では国連と関係ないんです。日本の安全と平和が侵されようとするときに、米軍と韓国と日本の艦船が船舶の旗国との関係で可能な船舶検査のことを言っているわけです。だから、そこのところが大分違うんですよ。
そういう点を申し上げて、きょうは修正案の先生方、大変御苦労さまでございました。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/300
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301・山崎力
○山崎力君 御苦労さまでございます。
きょうは、修正部分の集中を主にやりたいということでございます。各会派の方々、代表してでも結構でございますが、あえて指定する以外のときはどなたか適当な方がお答え願えればと思います。
その前に、一つ二つ外務省の方に、この船舶検査、いわゆる一般的な船舶検査のことでお伺いしておいて、これはまた各会派の衆議院の方がつけ加えることがあればつけ加えていただく、そしてまた各会派の方にお聞きしたことについて、外務省ないし防衛庁の方でつけ加えたいことがあればつけ加えていただくという形で御答弁願えればと思います。
まず最初に、国連決議の問題でございますが、我々、国連決議と言う場合もあれば、国連安保理決議と言う場合も二通りあるんですが、これは違っているのか同じなのかという点をまずはっきりさせていただきたいと思います。
そして、その場合、旗国の同意を得ることなく、国連安保理決議があれば政府案においては船舶検査が可能であるという言い方をされていましたが、その対象船舶が国連の非加盟国を旗国とする場合、あるいは無国籍、国籍が判明しない場合、そういった場合は国連安保理決議の効力はどうなるのかということからお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/301
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302・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 我々が普通に国連決議と言った場合には安保理決議のことでございます。参加国に拘束力を持たせる決議、安保理決議でございます。
国連に加盟していない国はどうか、無国籍船はどうかということでありますが、今日の国際社会における国際連合の普遍性及び国際連合が国際の平和と安全のために果たす役割にかんがみれば、国連非加盟国であったとしても国際の平和と安定の維持、回復を目的とする国連安保理決議の趣旨を尊重することが求められていると考えております。したがって、国連非加盟国がかかる国連安保理決議を尊重しないということは想定しがたいことでございます。
船舶検査の実施を求める国連安保理決議につきましても、国連非加盟国は同決議の趣旨を尊重するものと思われます。したがって、自国を旗国とする船舶の検査に異議を唱えることは現実の問題としては想定されないと考えます。そういった場合に、当該船舶に対して検査を行うことは可能であります。
無国籍の船舶については、公海上において排他的な管轄権を有する旗国は存在せず、我が国が当該船舶に対して船舶検査活動を行っても旗国主義との関係で国際法上問題は生じないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/302
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303・山崎力
○山崎力君 その問題でもう一つ二つお聞かせ願いたいんですが、そうしますと、旗国主義ということを考えると、対象船舶が日本国籍の場合、これは国連決議がなくても公海上で旗国である我が国が船舶検査をすることは可能でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/303
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304・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 我が国の国籍を有する船舶については、公海上においても我が国が排他的な管轄権を有するわけでありますから、船舶検査の実施を求める国連安保理決議が存在しない場合に船舶検査活動を行ったとしても国際法上の問題は生じないわけであります。
ただ、当初の周辺事態安全確保法案で想定されていた経済制裁の実効性を確保する措置の一環として、自衛隊の部隊等により実施される船舶検査活動につきましては、かかる活動実施の根拠を定めた国内法が整備されていない状況では実施することはできない、これは当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/304
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305・山崎力
○山崎力君 船舶検査をなぜするかということになると、した場合の実効性の問題からすれば、それをかいくぐって封鎖したところに行きたい、こういうことに相なるわけで、それをどう防ぐかということが実際上の問題だろうと思います。そういう点からいけば、あえて無国籍を装うということも十分可能でありますし、今いみじくもおっしゃられましたが、国内法が整備されていないから、国連決議があっても公海上で我が国の船舶は船舶検査することができない、こういう実態があるわけでございます。
例えて言えば、我が国からその対象国である周辺事態の発生するもととなったところへ向かう船舶が、今回この法律ができなければ、船舶検査に関する法ができなければ外国の船に臨検されることになる、こういうことになって非常にやりづらくなるというふうに私自身今の答弁を聞いて感ずるんです。
この点については質問通告していないのでなんですけれども、そういう点、今の外務大臣の答弁を聞いての私の印象というのは間違いないんでしょうか、もしお答えできるならば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/305
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306・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) この法案が通らないと、国連決議があっても我が国の自衛隊によって船舶検査はできないわけであります。
まさに今、議員が臨検という言葉を使われました。臨検ではありませんけれども、船舶検査活動は、ともかくこの法案がないと、あるいは別建ての法案でも構わないんですが、国内法的根拠がなければ、国連決議があっても日本の自衛隊が船舶検査をすることはできない、よその国の軍艦が検査をすることはあり得べし、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/306
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307・山崎力
○山崎力君 日本から出た船をほかの国の軍隊といいますか、そういったものが船舶検査をして、我が国がそれを事実的に阻止できないということになると、これも非常に問題であろうと思うんですが、これは一にかかって国内法が整備されていないからだということがさきに大臣の口から言われました。その辺のところも、やっぱりここでもかなというのが私の偽らざる心境でございます。
続いて、各会派の衆議院の先生方にお伺いしたいんですが、まず、この船舶検査活動というものの目的は何か。恐らく経済制裁であろうと思うんですが、そのほかに何があるかどうか。
それとあわせて、今臨検という言葉を私は使ってしまいましたが、臨検という言葉も古来ございます。その辺の臨検とか船舶検査とかそういうものの種類というものがあるのかないのか。それで、そういうものがあるとすれば、今回この法案で想定されたものというのはどこに相当するのかという点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/307
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308・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) 私の認識によりますと、船舶航行の世界は古くから国際慣習という世界がございますが、新しくは国連海洋法条約というのがございまして、それによりますと、海上警察行動というのがございます。それによりますと、海賊行為とか非常識な行為においては軍艦が取り締まりを行うことができる。また、戦時臨検というのがありまして、交戦中の国においては敵国の船舶が領海に侵入したときに検査をするのも国連海洋法条約に書かれていると思います。
今回言う国連の経済制裁に係る船舶検査におきましては、国連の禁輸を目的とした行動でございまして、国連決議に基づいて船舶の積み荷、目的地を検査、確認し、必要に応じ当該船舶の航路または目的港もしくは目的地の変更を要請するということになっております。
ですから、国連が決議をいたしまして、国連禁輸執行活動というふうに位置づけられておりまして、主に経済制裁を実行するための手段として行われている国際的な活動というふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/308
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309・山崎力
○山崎力君 今そういうふうにおっしゃられたんですが、僕のミスかもしれませんが、国連のいわゆる経済禁輸措置にかかわるということが前の政府案その他にも明示されていなかったような気もしますし、決議によってというふうな表現で、そこまで踏み込んだ中身だったのかな、ほかの決議も、国連の安保理決議もあり得るんじゃないのかなと、こういう気がするんですが、その辺は検討されたんでしょうか。僕の読み違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/309
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310・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) もう一度説明をさせていただきます。
船舶検査活動とは、過去、国連安保理決議のもとで三度の実績を有する国連禁輸執行活動と米国が言うところの海上阻止活動と同等の活動であり、禁輸品の積載の疑いのある船舶に対して、積み荷、目的地を検査し確認する活動並びに必要に応じ当該船舶の航路または目的港もしくは目的地の変更を要請する活動ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/310
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311・山崎力
○山崎力君 それで、国連というふうなものの意味合いが一般にもある程度わかってきたと思うんですが、そうした場合、ここのところで二つの、先ほどから同僚委員の質問等にも答えられていましたけれども、要するにそれだけの国連のあれがあってやるんだよということになれば、国連の活動に日本が協力するといった考え方から出てきたものなのか、それとも日米防衛協力のためにこの船舶検査活動をするのか、位置づけが極めて違ってくると思うわけです。
私の考え方では、もし国連の協力活動という、国連の決めた禁輸措置に協力するんだということになれば、日本周辺にこだわらないといいますか、とらわれない、まさにPKOと同じで、世界各国でそこのところを経済封鎖しようと国連が決めたことに日本が協力する、こういう形になろうと思うんです。
そこのところでいろいろな問題点があろうかと思うんですが、これは両方とも成り立つ考え方でございまして、そこのところはどちらなんだということを詰めていただかないとはっきりした判断ができない、逆に言えばそこのところがこの間の三会派の協議で詰まらなかったのかなとも思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/311
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312・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) 普通の国でしたら、世界各国の活動において参加するかしないかという判断だと思います。ところが、日本の場合は過去全くそのような活動をしてこなかったという点がございます。四、五年前に北朝鮮で核開発の疑惑が起こった際、国連も非常に重大な問題だという認識で非常に緊張した時期に、国連の活動の一環として経済制裁をするのか、また日米間で経済制裁をするのかというところからガイドラインが非常に整備されて、この船舶検査が出てきた問題であります。
当面は我が国周辺地域の安全に資するという見地でございますが、現実には今コソボにおいてあのような国際社会がかかわった紛争処理の活動をしているわけでございますので、この点におきましても、日本の皆さんが、日本がどういうかかわり合い方をしていくかという点については議論をする価値はあると私は思っております。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/312
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313・山崎力
○山崎力君 法の形式論からいけば、まさにそこが一番の問題でして、我々は国連に対して協力するんだ、国連が経済制裁をすることを、安保理ですけれども、国連国連と言って恐縮ですが、決めたんだ、それに日本が協力するんだということであれば一つの考え方。それが日本の周辺であったからやる、別に地球の反対側まで来て協力してくれというケースはそれほど多くないだろう、やっぱり近場のところで協力できる国が経済封鎖に入る、これは、常識的にやれば、日本がその辺で国連に協力できるのは日本の近いところでそういった事態があったからかな、こういうふうに感じるわけです。
今度の周辺事態関連法の中で、ここのところだけ国連安保理決議というものを持ってきて、それで周辺事態でそこだけ国連に協力すると。いかにも私は取ってつけたような感じがするので、私からすれば、やるならやるで国連全体でやる、ただしどこの経済封鎖に協力するかは、これは日本政府の判断でいいのではないかというふうな考え方の方がすっきりすると思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。三会派の考え方はその辺についてまとまっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/313
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314・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) その辺については、まさに集団的安全保障の問題です。国連の決議がありましたら、国連の参加国が実施しているような普通の行動、武器の使用、武力の行使等もやるかどうかという点でございます。
この点については、憲法問題、また国際的安全保障、集団的安全保障という見地で結論を出すべき時期が来ているんじゃないかというふうには思いますが、この法案をつくった時点におきましては、憲法が禁止する武力行使に当たるおそれのあるということで、警告射撃やらヘリの強制乗船においては見送ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/314
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315・山崎力
○山崎力君 ということは、やはり国連が一般国に要望している経済封鎖、禁輸措置の遂行の船舶検査の中身、そこに着目すると、それに協力することは集団的自衛権の行使に当たる、こういうふうに皆さん方は判断された、こういうふうに解してよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/315
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316・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) この法案をつくった時点ではそれに抵触するおそれがあるということでございますので、全くだめだということではなくて、結論を見送ったわけでございます。
しかし、自由党さんが主張しております国際的安全保障というのは、集団的自衛権の世界ではなくて国連活動でございますので、我が国の意思による武力の行使ではなくて、国際社会の正義を守る秩序の活動のための国権を離れた武力行使になるのではないかなという概念でございますので、この点についても議論を深めなければならない問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/316
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317・山崎力
○山崎力君 そういうふうな御答弁ですと、幸か不幸かせっかく今回の法案から削除されたということでございますから、この問題について改めて三会派間で討議されて今国会中にも、私はちょっと無理だろうというふうに思っておりますが、そこのところを詰めてやられないと、結論を、そういった微妙な、近い将来いつかは国連協力、日本がどこまでするかという極めて重要な問題点、しかもPKOの問題も含めてあるわけですから、その辺のところを詰めた上で法案を提出する予定なのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/317
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318・中谷元
○衆議院議員(中谷元君) この国会の会期が現在のところ六月十七日でございます。ガイドライン法案におきましてはこういう国会日程の中で参議院で非常に精力的に行われておるわけでございますので、この参議院の審議を通じまして、それぞれの三党の担当者、また幹部も含めまして精力的に結論を出すように頑張りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/318
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319・山崎力
○山崎力君 と申しますと、結局これもまだペンディングで、一言で言えば懸案の先送りではないかなと思っておるわけです。
こういった中で、非常に急いで、ほかの問題も含めてですけれども、今回のガイドライン関連法案をやりたいという政府の当初のもくろみと大分違ってきている。しかも、単に文章上の問題だけではなくて、表現上の問題だけではなくて、今回の船舶検査に関しては本当にこの法律というものの置き場所といいますか、体系上のどこに位置づけるのかということが、集団的自衛権の行使に当たるか当たらないかというまたぞろの問題と絡めてまだ決まっていない、こういうふうな実態であろうというふうに判断するわけでございます。
これは、かなりやはり詰めるところは詰めていただかないと、一たん決まってしまえば、この国連安保理決議によりというのを入れるにしろ入れないにしろ、少しずつそごが出てくる可能性があると私は思います。はっきりさせた上で、できるんだ、あるいはここまでやれるんだということを私としてはせっかくつくるからにはつくっていただきたいと要望しておきたいと思います。
続いて、ちょっとずれてしまうんですが、これとちょっと絡みもあるものですからお伺いしたいと思うんですが、外務省さんの方になろうかと思います。
国際法上、これはコソボのことも若干頭に入っているんですが、いわゆる無差別爆撃とか攻撃、故意に民間人あるいは施設をねらったということでございますけれども、同じことの意味なんですが、これは今の国際法上許されているのか許されていないのか、そしてそれが相手方からそういうふうなことを受けた報復であるというような場合は許されるのか許されないのか、お答え願いたいと思います。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/319
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320・東郷和彦
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
現下の国際法におきましては、文民保護というのが一つの基調になっております。その観点から、敵対行為に際して戦闘員と文民、軍事目標と民用物をそれぞれ峻別し、軍事行動はその対象を戦闘員と軍事目標に限定すべきであると。したがいまして、今日の国際法におきまして、委員御質問の無差別爆撃、これは文民や民用物を無差別に攻撃するということになるわけでありまして、原則として許されないというふうに考えます。
ただし、この軍事目標の具体的内容が何か、それから無差別爆撃の具体的態様をどういうふうに考えるかと、こういうことに関しては必ずしも十分に明らかになっておりませんので、個々の事案に関しましては個々に判断する必要が生ずるということでございます。
それから第二点でございますけれども、このような無差別爆撃、これが報復という観点でどう考えたらよいかということでございますが、対抗措置、報復、それから復仇等、国際法上幾つかの概念がございます。
概略を整理して申し上げれば、国際違法行為ということがあったときに、これに対して国家は何らかの対抗行動をとり得る、それを全般的に対抗措置と考え、その措置の中には合法的な行動、これを一般に報復といい、違法な行動ではあるけれどもほかの国が違法な行動をとったことによってその違法性が阻却される、そういうような行動を一般に復仇というふうにいうのではないかと思いますが、その復仇の一つの形としまして、敵の交戦法規違反をやめさせその遵守を確保するために他の手段のないとき、やむを得ずみずからも交戦法規違反に訴える、これを戦時復仇というふうに一般的には呼んでおります。今日の国際法上、こういう戦時復仇というものは一般的に禁止されてはいないということでございます。
しかしながら、この復仇というのは厳格な条件のもとで認められるものでございまして、敵国の違法行為をやめさせるため他にとるべき手段がないこと、それから復仇措置は敵の事前の違法行為との均衡を失するほど過度のものではないこと等の条件が満たされる必要があると考えます。
また、個別の条約において、主として人道的な観点から、特定の復仇行為は明示的に禁止されている。例えば、一九四九年のジュネーブ諸条約によれば、この条約で保護される戦争犠牲者は復仇の対象としてはならないということになっておりますので、無差別爆撃が許容される場合でも、これは非常に限定的に考えられるべきだろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/320
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321・山崎力
○山崎力君 そういった中で、私が今回のことでちょっと気になっていたのは、先般来私の中でも出ているんですが、日本の国内法の整備が非常におくれておりまして、例えば国際法上、相手国の兵隊といいますか軍隊が我が国内で、どこの国でもいいんですけれども、今言ったような違法な戦闘行為をした場合、これをどう取り締まるのか。
よく言われておりますけれども、いわゆる民族浄化作戦的なことをやるとかということに対してですが、警察権で対抗するのか、それとも軍隊が何らかの対応をとるのか、この辺が非常にわからないところなんですが、国際法上ではそういう点どのように考えておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/321
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322・東郷和彦
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
ただいま申し上げましたように、現下の国際法におきまして、国家間の武力紛争において戦闘員と文民を峻別する、これが基本的な原則でございまして、そこで私人の違法行為の取り締まりを任務とします文民警察官、これが相手国軍隊の構成員に警察権を行使したり戦争犯罪の取り締まりを行うということを目的としてこうした戦闘行為に参加することは想定され得ないということでございます。
他方におきまして、武力紛争ということに相なれば、紛争当事国の軍隊構成員は、国際法上許容される範囲内で相手方軍隊の構成員を殺傷し、その装備兵器を破壊する等の戦闘行為を遂行するということになるわけでございまして、ただいまの委員の御質問に対しましては、一義的には軍隊の方が対処するということになると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/322
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323・山崎力
○山崎力君 そうしますと、自衛隊の方の仕事になってくるということなんですが、これは防衛庁、今の自衛隊で法律的に対抗できるんでしょうか。いわゆる軍人ではあるけれども、やっていることは違法行為であって、何ら一般人の刑事犯罪行為と違わない、ただ向こうの軍人として日本に来ている。こういった中で、そういった者を警察官が取り締まれないとすれば、今外務省の方からお答えがあったように、軍隊、我々の常識で言えば自衛隊が対応するということなんですが、それは対応できる状況になっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/323
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324・柳澤協二
○政府委員(柳澤協二君) 今の自衛隊法の中の規定で申しますと、防衛出動を命ぜられました場合に、自衛隊は必要に応じ公共の秩序を維持するための行動をすることができるとされておりまして、その際に治安出動時と同等の権限を与えられることになっております。
したがいまして、戦闘行為として対応するのは、これはいわゆる犯罪の取り締まりとはちょっと異なると思いますが、こういうケースで、例えば犯罪の取り締まりという観点でどうするかといえば、そういう治安出動時並みの権限を持って相手の身柄を拘束するといった程度のことは可能であると思います。
しかし、一般的に自衛官は司法警察職員とは異なりますので、いわゆる逮捕状を持っての逮捕といったような権限はございません。その辺はやはり警察機関とよく連携をとらなければならないんだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/324
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325・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 時間です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/325
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326・山崎力
○山崎力君 ということになりますと、戦争の最中に相手国の軍人が刑事犯罪を犯して、殺せばこれは別かもしれませんけれども、傷つけても、あるいは降伏したというか逮捕しても、その者を戦時捕虜としてではなくて刑事犯罪人として警察官を探して引き渡さなきゃいかぬ。その辺のところが、非常にやはりシビアな問題になってきたときに、そういうことが果たしてできるんだろうかなという気もいたしております。
いずれにしろ、もう時間ですのでやめますが、どうもやはり一つ一つこの周辺事態の問題から想定されることを考えていきますと、日本有事には法体系がなっていないということが明らかになってまいりました。その点をこれからも少しずつ詰めながら、よりよい方向に持っていけたらと思います。
以上、終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/326
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327・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) これから島袋宗康君の質疑に入りますが、この際、野呂田防衛庁長官及び小渕内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野呂田防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/327
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328・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 昨日のこの特別委員会におきます島袋委員からの御質問に対する私からの答弁に舌足らずな点があり、沖縄県民の方々を初め国民の方々にも誤解を与え、御心配、御迷惑をおかけしたこと、また本委員会の進行に混乱を来したことについて、関係者の方々にまず心からおわびを申し上げたいと存じます。
ここで改めて私の考え方、真意を御説明し、御理解を賜りたいと思います。
昨日の私の発言は、沖縄には全国の約七割の米軍基地が存在しているという事実を踏まえ、例えば周辺事態に際しての収拾や拡大を抑制するため、在日米軍が何らかの軍事的活動を行う場合に、沖縄に所在する米軍基地が使用される状況もあると考えられるとの趣旨を一般的に申し上げたものであります。
沖縄県には米軍基地が多く存在し、基地問題への取り組みが政府にとっても沖縄県民にとっても大きな課題であることは私も十分認識しており、本法案の内容や周辺事態への対応に関して沖縄県民の御関心が高いことは十分に考えられることから、私としてもあらゆる機会をとらえて沖縄県民の方々に対しその趣旨や内容について御説明し、御理解を得るよう努めてまいりたいと考えているところであります。
なお、周辺事態は、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することができないことは既に申し上げているところであり、また周辺事態安全確保法案は、周辺事態に際して、沖縄県民など特定の地方公共団体に特に過重な負担を強いるようなものではなく、むしろ周辺事態を収拾し、または拡大を抑制することにより、沖縄県民はもちろんのこと我が国の平和と安全を確保することに資するものであると考えております。ぜひこの点を御理解賜りたいと思います。
いずれにせよ、過ぐる大戦におきまして、沖縄は国内の唯一の地上戦を経験し、多数の県民の方々のとうとい命が犠牲となり、筆舌に尽くしがたい苦難を経験されたこと、また戦後において、沖縄県民の方々の負担により我が国が平和と安定を享受することができたことは、私としましても身にしみて認識しているところであり、今後ともこのような認識を十分踏まえて、国の平和と安全の確保という使命に邁進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/328
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329・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 小渕内閣総理大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/329
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330・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘の防衛庁長官の答弁の真意につきましては、ただいま防衛庁長官から述べたとおりでございまして、沖縄県民の方々初め国民の方々にも誤解を与え御心配をおかけした点については、私からも重ねておわびを申し上げたいと思います。
御承知のように、沖縄は、さきの大戦においてただ一つの地上戦を経験したこと、戦後長期にわたり米国の施政権下に置かれたこと、また現在でも全国の約七割の米軍施設・区域が集中していること等に思いをいたし、私として、沖縄県民の方々の抱えている問題を可能な限り速やかに解決していくことがこの内閣の最重要課題の一つと認識をいたしております。
現在、本委員会におきまして御審議をいただいておるいわゆるガイドライン関連法案につきましては、今、防衛庁長官も発言をされましたように、決して沖縄県に過重な負担を強いるようなものでなく、むしろ我が国の平和を脅かす事態の拡大の抑止及びその収拾、解決を通じて、沖縄県も含む我が国の平和と安全を確保することに資するものと考えております。ぜひこの点につき御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/330
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331・島袋宗康
○島袋宗康君 丁重な御発言でありますけれども、昨日の防衛庁長官の率直な御答弁に対して本日の修正発言は、私としては非常に残念に思っております。長官は正確でなく舌足らずな面があったと釈明しておられますけれども、むしろ私は的確な御見解と承っております。また県民のほとんども、長官の発言が政府の本音であるというふうに理解しております。
いま一度御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/331
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332・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) ただいま申し上げたのが私の正しい答弁でありまして、この答弁の趣旨に従って誠心誠意、基地問題の解決、沖縄県民の幸せのために頑張らせていただきたいというのが私の真意であるということを重ねて申し上げまして、ひとつ御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/332
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333・島袋宗康
○島袋宗康君 長官は、朝の釈明等を聞いておりますと、沖縄の米軍基地が使用される状況も考えられることを一般論として述べたというふうなことを強調されております。再三申し上げるように、沖縄では一般論は通用しない、日常的な危険が伴っている。そういうふうなことからいたしますと、本当に私は昨日の長官のこの御発言は本音であろうというふうに思っております。何ら訂正する必要はないというふうに私は考える次第です。
戦後五十四年間も基地の重圧を沖縄にかけておきながら、単なる一般論で処理されることは断じて許せない。いま一度御見解を賜りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/333
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334・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 今、島袋委員からのお話を肝に銘じまして、一心不乱に沖縄問題の解決に頑張ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/334
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335・島袋宗康
○島袋宗康君 総理はこの点についてはどうお考えですか、いま一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/335
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336・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 野呂田防衛庁長官、重ねて御発言をいたしております。そうした考え方にのっとり、今後ともみずからの職責を全ういたしますと同時に、沖縄県のために全力を挙げて努力をいたしたいという趣旨でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思いますし、また、私も内閣総理大臣としてその趣旨が徹底できますように、これからもさらに努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/336
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337・島袋宗康
○島袋宗康君 防衛庁長官は、沖縄県民のこの法案に対する関心の高さを認め、周辺事態の趣旨や内容について地元への説明に努めるというふうなことをおっしゃっております。そういう県民への具体的な説明というふうなことについて、どういうふうな具体的な説明をされるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/337
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338・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 先生の御質問が公共団体や民間に対する協力の問題に絡んでの御質問で、それに対する私の答弁であったと思いますから、地方公共団体等への協力の問題につきましては、衆議院の特別委員会でも一つのカテゴリーが示されておりますし、私どもも、これまで一貫して申し上げているところは、もっと公共団体や民間の皆さんが御理解できるような、必要あればマニュアルをつくってこの法案の趣旨の徹底に努めたいということを御答弁申し上げてきましたので、そういう趣旨でやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/338
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339・島袋宗康
○島袋宗康君 戦後五十四年になりますけれども、過去の二十七年間、沖縄は異民族の支配、そして二十七年間また同様な軍事的、植民地的な支配を受けている。これは私は絶対言い過ぎではないというふうに思っております。陸海空ともにほとんどが米軍の管轄下にあります。そういうふうな状況を我々は強いられてきている。そのためにこそ私たちはせめて海兵隊の撤退、そういうものを訴えて今日に至っておりますけれども、政府はどうもそういう沖縄県民の本当の気持ちをわかっていただけていない。そういったところについて私は非常に残念に思っているわけです。
これは私の見解でありますから、ぜひそのことの重大さを受けとめていただきたい、このように申し上げておきたいと思います。
私は、昨日、尖閣列島の問題を取り上げました。その趣旨は、この問題こそが関係国との外交努力によって解決すべき典型的な問題だと思っているからです。トウ小平主席時代に、現在の状態では尖閣列島は解決できない、後世の時代にゆだねようではないかというふうなことを今でも私は覚えております。そういうふうな非常に尖閣列島の問題については中国も台湾もそして沖縄もぴりぴりしております。
そういうふうな状況の中で、尖閣列島の領有権問題が仮にも紛争地域として発生した場合に、私は大変そのことが心配されるわけです。そして、周辺事態を回避する外交努力が今必要じゃないかというふうに私は思っております。その点について、外務大臣の御見解を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/339
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340・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 尖閣列島をめぐって紛争が起こるような状態を日本国民でよしとする人はだれもいないんだろうと思いますし、現時点でそういうことになるような兆候もないと思っておりますが、さらにそういうことがないように外交努力は当然のことながら続けてまいりたいと思います。
それで、周辺事態というのは、それがさらに進んでまさに我が国有事にならない、提案者の方たちのお話だと黄色信号が赤にならないように、青に戻すようにするための法案だと、それが一つの比喩として大変いい比喩だ、こう思っていますが、そういう周辺事態の中においても、委員がおっしゃるように、周辺事態にならないような外交努力ももちろん平素からやる必要がありますし、現にやっているわけであります。また、周辺事態になってもさらに外交努力というのが一番大切なんだろう、私たちは常にすべてのことが平和的に話し合いで解決されるように、あるいはそういう紛争がないような環境をつくっていくために、最大限の努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/340
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341・島袋宗康
○島袋宗康君 私は、昨日もちょっと質問なり触れましたけれども、一九五四年に発効した国連軍地位協定によって政府は沖縄の嘉手納、普天間、ホワイトビーチの三米軍基地を国連軍が使用することを承認しておると思います。その実態は、実際は不明であります。
また、国連軍の我が国内での基地使用の実態はどうなっているのか。前述の三カ所の基地以外に日本国内のどの基地が国連軍に使用されているのか、明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/341
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342・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 国連軍地位協定のもとにおきまして、現在、我が国におきましては、御指摘のございました嘉手納飛行場、普天間飛行場、それからホワイトビーチの三カ所のほか四カ所ございます。キャンプ座間、それから横須賀の海軍施設、佐世保の海軍施設、横田飛行場の四カ所、合わせまして合計七カ所の米軍の施設・区域というものが国連軍の使用に供せられるということになっております。
現実にどういう状況かと申しますと、キャンプ座間におきましては朝鮮国連軍の後方司令部が設置されておりまして、ここには国連軍後方司令部の要員として四名が常駐しておるところでございます。
それから、それに加えまして国連軍地位協定の締約国でございますイギリス、フランス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン及びタイの各国の大使館におきまして、これは東京の大使館でございますけれども、そこに合計二十三名の連絡将校団が常駐している、こういうのが現状でございます。
さらに、これらの国の国連軍として米軍の施設・区域、先ほど申しました七カ所が認められているわけでございますが、そういう施設の使用の実績について申し上げますと、平成九年から現在までの間におきまして、艦船が合計七隻、さらに航空機が合計二十三機、我が国の施設・区域に寄港しているというのが現実の使用状況であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/342
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343・島袋宗康
○島袋宗康君 もし、朝鮮半島で周辺事態が発生した場合、在沖米軍は発進基地となる可能性が非常に高い。その場合、その米軍の作戦行動は事前協議の対象になるかどうか、御見解を賜りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/343
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344・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 特定の地域について申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、あくまで一般論として申し上げますと、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用に際しては、日米安保条約第六条の実施に関する岸・ハーター交換公文に基づき、事前に我が国政府と協議し、その同意を求めることが米側に義務づけられており、周辺事態が生起しているか否かにかかわらず、このような事前協議の対象となる戦闘作戦行動に該当する場合には事前協議が行われるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/344
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345・島袋宗康
○島袋宗康君 それは、外務大臣、今の国連軍に対しても事前協議の対象になるという意味も含まれますか、国連軍に対しても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/345
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346・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 朝鮮国連軍でもある米軍でも米軍としての性格は失われておりませんから、これは事前協議の対象になりますし、それから米軍で……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/346
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347・島袋宗康
○島袋宗康君 今、日本に国連軍が存在しているわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/347
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348・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 米軍でない朝鮮国連軍は、日本の施設・区域を利用して直接爆撃に飛び立つというようなことは、戦闘作戦行動に出るというようなことはできないわけであります。できるのは米軍だけでありまして、その米軍については事前協議が必要だと、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/348
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349・島袋宗康
○島袋宗康君 昨日の私の質問に対して、在日米軍が朝鮮国連軍として出撃するか否かは米国政府の判断で決めるという趣旨の外務省竹内北米局長の答弁がありました。その際、国連の関与、すなわち安保理決議等は必要がないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/349
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350・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 御指摘のような事態が発生する場合には、その事態をめぐる状況等を踏まえて国連の場においても議論が行われるものと思われます。しかし、国連が具体的にいかなる対応をとるかについては、問題となる事態と関連の決議、休戦協定との関係等を慎重に判断する必要がありまして、現時点で一概に述べることはできないわけでございます。
昨日の政府委員の答弁で、米国の判断の問題である、こう申し上げたのは、在韓米軍及びそれ以外の米軍を朝鮮国連軍に編入することが可能であるかどうかについては米政府の判断により、手続的にはそのようなことが可能であるということを申し上げたので、出撃するということについて米政府の判断でいつでも可能である、そういうことを申し上げたわけではないというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/350
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351・島袋宗康
○島袋宗康君 よくわかりませんけれども、朝鮮国連軍、いわゆる韓国国連軍ですか、その国連軍というのは現在沖縄に、先ほど申し上げたように三カ所あるわけですね。そのいわゆる国連軍というものは、日本に駐留している国連軍と朝鮮におる国連軍とは全然違うという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/351
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352・竹内行夫
○政府委員(竹内行夫君) 先ほど御説明申し上げましたが、現在、日本にあります朝鮮国連軍というのは後方司令部がキャンプ座間にあるわけでございます。それと、連絡将校として、これはここの東京におります大使館の中の武官が連絡将校というのを兼ねているというのが実態でございまして、日本の施設・区域、基地の中にいわゆる実戦部隊が駐留しているということはないわけでございます。
それから、そもそも国連軍地位協定上、日本にあります施設、朝鮮国連軍のための施設と申しますのは、その使用目的が兵たん上の援助を行うためのものということに限られておりまして、すなわち日本におります、現在、実際は非常に少ない要員でございますけれども、法律上も国連軍地位協定上日本におきます施設というのは兵たんの援助のためにのみ使われるということでございますので、先ほど大臣から申し述べましたように、日本から戦闘作戦行動に出かけるというようなことは国連軍地位協定上も規定されていないし想定もされていないということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/352
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353・島袋宗康
○島袋宗康君 その問題については、よくわかりませんけれども、また機会があれば議論していきたいと思います。
時間がありませんので、進みます。
総理は本委員会でもしばしば、沖縄返還に関連して、戦争によって占領された領土が平和裏に米国から日本に返還されたことに感謝の意を表明されておられます。
しかし、米国は、カイロ宣言やポツダム宣言等の国際公約に照らして、第二次大戦の結果占領した地域を自国の領土にすることはできなかったはずであります。事実、サンフランシスコ条約で沖縄の司法、立法、行政に関する施政権は米国が行使することになりましたけれども、領土に対する潜在主権は日本にあるとされたことは周知のとおりであります。
むしろ、国連の信託統治制度になじむはずもない日本の領土の一部である沖縄を二十七カ年間にわたって米軍の統治下に置き、布令布告を乱発してやりたい放題の軍政を行ったこと、復帰後も現在までの二十七カ年間引き続いて広大な基地を占有し続けていること、施政権だけは日本に返還したが基地は復帰の前も後もほとんど変わりなくそのままの状態で支配し続けていること、そのことの方が極めて異常であります。
政府はこのような異常な状態を速やかに解消する努力をすることこそが私は今肝要ではないかというふうに認識しております。つまり、在沖米軍基地の速やかな返還を強く米国に要求すべきであると考えます。SACOの合意のような沖縄県内の移設条件づき基地返還合意はこの異常を根本的に解決するものではないわけであります。総理の御見解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/353
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354・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) もう申し上げるまでもないことでありますが、米軍施設・区域の約七五%が日本の国土面積のわずか〇・六%しかない沖縄県に集中いたしておりまして、沖縄県の方々には長年にわたり大変御負担をお願いいたしてきております。
今日まで沖縄県民が耐えてこられた苦しみと負担の大きさを思うとき、沖縄の痛みを国民全体で分かち合うことが大切であると痛感いたしております。
このような認識で、米軍の施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、沖縄県から伺った御要望も踏まえつつ、日米両国政府が最大限の努力を払った結果として取りまとめましたSACO最終報告の内容を着実に実施することが沖縄県民の方々の御負担を一歩一歩軽減するための最も確実な道であると考えており、これまでも努力してきたところであります。
政府といたしましては、沖縄県及び県民の方々が直面する諸問題を踏まえた上で、沖縄県の御理解と御協力を賜りつつ、稲嶺知事のお考えも十分拝聴し、SACO最終報告の着実な実施に向け最大限努力してまいりたいと思っております。
戦後五十四年、お話にありましたように、二十七年間米軍の施政権下にあり、返還されて以降二十七年間、沖縄県は大変御苦労されておられるわけであります。
沖縄の返還なくしては戦後は終わらないと佐藤総理は申されましたが、返還以降、我々といたしましても全力を尽くしてきたところであります。私自身また沖縄開発庁長官も歴任させていただきました。沖縄県がよりよい姿として発展のできますように、もちろん基地の本当の整理、縮小、統合というものを十分考えながら、その責任を果たしていくよう最善を尽くしていくことをお誓いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/354
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355・島袋宗康
○島袋宗康君 時間ですので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/355
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356・井上吉夫
○委員長(井上吉夫君) 本日の質疑はこの程度といたします。
明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514963X00519990512/356
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