1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年八月十一日(月曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 正木 清君
理事 高瀬 傳君 理事 前田 郁君
井谷 正吉君 佐々木更三君
重井 鹿治君 島上善五郎君
館 俊三君 成重 光眞君
原 彪君 矢野 政男君
岡村利右衞門君 田村 虎一君
高橋 英吉君 増田甲子七君
飯田 義茂君 木下 榮君
出席政府委員
農林事務官 藤田 巖君
運輸事務官 有田 喜一君
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八月九日
海難審判法案(内閣提出)(第二八號)
の審査を本委員會に付託された。
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本日の會議に付した事件
船員保險法の一部を改正する法律案(内閣提
出)(第一九號)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/0
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001・正木清
○正木委員長 會議を開きます。
これより船員保險法の一部を改正する法律案を議題とし、前會に引續き質疑を行いたいと思いますが、これに關連して、まず水産廳設置に關する漁船移管問題に關して、水産局長より説明を聽取いたすことにいたしまして、本案に對する質疑を終了したいと思います。質疑者はあらかじめお申出おきを願います。水産局長発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/1
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002・藤田巖
○藤田政府委員 現在水産委員會で問題になつております水産廳設置の問題につきまして、農林省といたしまして考えておることを申し上げまして御參考にいたしたいと考えます。
水産廳を設置するという問題は、これは水産業界では多年の懸案でございます。それが終戰に伴いまして、日本の經濟再建ということが唱えられましてから、殊に現在の食糧政策の緊要性からいたしまして、水産業の占める地位というものが著しく重要性を増してきたわけであります。そのことに關連いたしまして、最近特にこの問題がやかましくなつてまいつたのであります。このねらいといたしますところは、從來水産行政は大體農林省の水産局でそのおもなものを行つておるのでありますけれども、それでは現在の水産の重要性と對應した行政機構としては非常に貧弱である。こういうようなことでは水産のせつかくの大きな使命を果すことができない。殊に御承知の通り水産を營みますのにつきましての關連の行政事務というものが、各省に非常にまたがつております。この關係はほかの産業部門よりもはなはだしくなつておると考えます。從つて水産行政を今後強化してまいる、そして強力に水産の總合國策を樹立し、實施してまいる上に、この水産行政機構がきわめて貧弱だということが常に缺陷として取上げられておるのであります。水産廳の問題というのは、つまり一つは農林省の中の一つの部局であるという地位から、これをさらに高い地位に引上げるという問題、それからなおそれを取上げるについて、單に現在の水産局をそのままもつていつたのでは、これは何ら意味がない。從つてせつかくその地位を高めるならば、そして新らしい水産廳というものをつくるならば、その水産廳によつて水産行政機構が整備擴充されて、そして水産の總合國策というものが強力に、簡素に實施、推進されるような機構でなければならないということが一つの問題であろうと思うのであります。從つて現在水産委員會で唱えられておりますところの問題は、從來の水産業の事務のほかに、今問題になつておりますところの漁船の行政事務、それから漁網綱等の水産業用専用資材の行政事務、そのほかにもいろいろの問題もあるのでありますけれども、ともかく少くともこの二つの問題については、これを水産廳設置の際に取上げなければならぬということになつておるわけであります。殊にこの漁船というものが漁業の根幹をなすところの重要不可缺な生産資材で、これは水産業の生産にきわめて重大な關係をもつていると思うのでありますので、これがやかましい問題になつていると考えております。私どもといたしましても、せつかく水産廳が設置いたされまする場合には、われわれの方と運輸省の海運總局の方とでいろいろ話合いを從來もしたのでありますが、この漁船行政の問題については、やはりこの際水産廳設置の趣旨に鑑みまして、一元化の方向に決定をしていただきたい。これはわれわれといたしましても、特に強く希望しておるところでございます。漁船の行政をなぜ水産廳にもつていくか。この理由でありますが、大體私どもとしてはかように考えております。從來漁業の許可、制限、取締り、それから漁船金融の問題、こういうふうな問題は從來農林省でこの事務に當つているのであります。しかしながらこれらの事務と一體をなすところの漁船の造修に關する所管というものは運輸省にございます。もちろん從來とも水産省は海運總局の方とよく連絡いたしまして、仕事を圓滑に進めるようにお互いを努めて來てはおるのでありますけれども、實情を申しますと、やはりこの行政の指導が二元的になつておつております關係上、その間の間隙に乗ぜられまして――われわれはきわめて密接にやろうとしていろいろ努力はしておるのでありますが、どうしてもその間の間隙に乗ぜられまして、行政の徹底敏活を缺くところが出てくるわけであります。もちろん漁業の許可をいたします際には、漁船の建造許可ともにらみ合わしてやつているわけでありまして、殊に終戰直後、漁船が非常に殖えてきております。そういうふうな關係でどうしても完全にはまいつておりません。それが實情でございます。無用な船がやはりできてまいりまして、それが漁業の無許可と操業となつて現われてくるというふうな方面も現實に起つているわけであります。われわれといたしましては、資材が不足している今日、しかも無計畫に船ができてくるということは、水産の立場から考えても、必ずしもこれは喜ぶべき問題でございません。從つて水産物の生産、漁業用資材とも密接な關連をもつて漁船の造修計畫というものを立て、それを實施して、その間に間隙のないようにし、しかもその仕事が業者の著しき不便を伴わないように、簡素に、てきぱきとやれるような機構をわれわれとしては希望しているのであります。從つてそういうふうな意味合からいたしまして、漁船の建造許可というものも、水産廳がせつかくできるのでありますから、この際その他の漁業許可、および漁船資金調整の許可これなど關連いたしまして、一つのところでやつていくというふうな仕組をつくつてまいりたい、かように思つておるわけであります。なおまた漁船の造修用資材の問題についても、從來一般商船と一括をして割當に相なつておるのであります。その間漁業の造船計畫とにらみ合わせましたところの造修用資材の割當配給は、必ずしもはつきりいたしておりません。私どもとしては戰時、漁船の建造が非常に困難であり、しかも計畫造船ということが叫ばれ、運輸について強力に計畫造船の仕事をやつていかなければならぬというふうな場合ならばともかく、現在の状態は相當その當時の状態とは變つておるわけであります。從つてわれわれとしては、少くとも漁船の造修計畫を立てそれに相應するところの造修資材はやはり商船と特定、分離をして決定をする。その漁船の造修計畫に基いて資材の割當配給を考えるということが當然の筋道ではあるまいかというふうに考えております。
なお漁船の檢査の問題でありますが、漁船の檢査についても、現在運輸省において商船と一括をして一般船舶同様行つておるわけであります。漁船は單に船舶の航行安全ということの見地からのみ檢査するだけでは不十分であります。漁業に主眼をおき、しかも將來の漁業の發展ということに主眼をおいて指導的な立場から各種の試驗研究を行い、これをまた檢査の面にも實施をしていかなければならぬと考えるのであります。そういうふうな意味合から漁船は商船とは相當趣きの異なつた實情でありますから、こういう漁船の檢査というものも農林省において――水産廳において、これを主管をする、そうして漁船の實情に即したところの扱いをやつていく、漁船の實情に即したやり方をやつていくということが必要である、さように私どもは考えております。そのほかにもまだ漁船行政を水産廳に一元化をするところの理由もこまごまとしたことはございますけれども、大體おもなあら筋を申し上げますれば、そういうふうな點であります。水産委員會においては現在これがいろいろ取上げられておりまして、近く委員會提案の法律案としてこれを實施しようというふうな御意向のようであります。むしろある意味から申しますと、私どもの考えておりますよりも、さらに徹底したところの考え方をとつておられるのであります。私どもとしては水産委員會の御提案によつて國會で決定をされました場合は、その線に沿うて機構の整備をしなければならぬ。さように考えております。以上簡單に水産廳に漁船行政の移管を必要といたします理由を御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/2
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003・正木清
○正木委員長 これより質疑を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/3
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004・館俊三
○館委員 水産局あるいはまた農林省において、水産廳設置ということに理論的に賛成であるかどうかということを一番先にお聽きしたかつたのでありますが、今局長さんの御説明で、理論的にまた現實的にも贊成であるというお話でありましたので、それは尋ねないことにいたしたいと思います。
その次に局長さんのお話でこれは業者の多年の要望であるということでありましたが、その業者というのは經營者ばかりを含んだ業者であるのじやないかという疑念をもつております。一般漁民その他漁船に乗りこむ船員、そういう人達が一體水産廳の設置ということについて、どれだけの關心をもつておられるかということが考えられるのであります。水産廳の問題に區切つておかしいのでありますけれども、非常に水産の仕事が發展しておつた、戰爭末期の五大會社があつたりした當時には、非常に大きな規模をもつた水産業でありましたので、その當時から水産廳設置ということがやかましく言われておつたのでありますが、そういうことが全然問題にならなくなつた現在において、ただ一つ問題になつておるのは、お話のように食糧行政の面から大きく取上げられるということでありまして、その點が肩代りをして水産廳というものの必要性が叫ばれてきたということではないかと思う。そこで食糧行政という意味における水産廳というものは、現在の農林省がもつと力を入れ、從つて水産局か、あるいは製品か何かを扱う方、そういう部局でうんと力を入れたならば、お考えになつておるところの水産食糧の増産というものの目的は十分に達成し得られるのではないかという一つの疑念をもつております。從つてたくさんの官廳ができるということは、常に委員會なり本會議で問題になつておる。それをさらに問題になるような水産廳をつくるということは、水産行政の徹底化から言えばよろしいのであるが、そういう時局的な官廳機構のことが問題になる時分に、それに相當するだけの價をもつておるかどうかという疑問をもつております。あるいは一漁民だとか、あるいはそれに乗り組む船員だとかいうもの、漁夫ならばその勞働條件の維持を常に考える。あるいはそれに乗り組む船員というものは、船員勞働行政の徹底、あるいはその保護を受けることを希望しておるというようなことが考えられるのでありますけれども、水産廳の設置というものについては、政治意識が低いか、行政機構に對する考え方が徹底していないのか、どういうわけでそういう聲をあげないのかしれませんけれども、とにかく私はそういうふうに考える。水産設置の希望というものは、一般働く者を含めたところの漁業界方面の希望であるとは私には必ずしも考えられないのであります。その點についてまずお聽きしたい。漁夫の勞働保障あるいは漁船に乗り組む海員の勞働行政、そういうものについて水産局として水産廳を考えられる場合に、どうお考えになるかということをお聽きしたい。この二つであります。そういうことから考えて船員法、あるいは船員保險法というものの的確なる推進あるいは一元化というものが、水産廳をこしらえることによつてどういうふうになつていくかということも考えられるのであります。勞働行政はとにかく一元でいかなければならぬということをやかましく言われております。船員の方だけは特殊勞働条件であるゆえに、運輸省の海運總局においてゆく。どこの国でもそうである。また實際において船と切り離すことのできない勞働行政であるがゆえに、これが勞働省から分離しておつても私は決してこれは二元になつておるとは思いません。やはり一元になつておると思います。そういう意味において水産廳ができた場合に船に乗り込んでおる漁夫、あるいは漁船を操つておる人達の勞働行政というものはどういうふうになるというお考えであるか。まずそのことをお聽きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/4
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005・藤田巖
○藤田政府委員 水産廳の設置の問題は、働く漁民を含めた漁界全體の希望とは認められないという御意見でございました。これは見方かもしれませんが、私どもはさように考えておりません。これは現在の勤勞漁民なり、あるいは漁業經營者を廣く含めたところの一般の水産業界の希望であると私は考えております。その希望であるがゆえに、廣く民意を代表されましたところの水産委員會において、われわれよりも強力にこれが取上げられておる。參議院においてしかりであります。私はさように考えております。それから漁夫の勞働條件、勞働保障、それからその勞働行政について水産廳設置の場合にどう考えるかということであります。これは私の意見としては、水産廳を設置いたしました折に、この漁業の船員行政、これをすぐに水産廳に移すというようなことは私は考えておりません。これは先になればあるいは問題になつてくるかもしれぬ。しかしながら現在においては私はそこまで考えておりません。現在は御承知のように、三十トン以上の漁船船員については船員法の適用を受ける。三十トン未滿の漁船乗込員その他の漁業勞働者については、勞働基準法の適用を受ける。實際のことを申しますと、私どもとしては三十トンを境にして――やはり大體同じような行き方でありますけれども、そこに色合いの異なつた行政にわかれておる點は、われわれとしても多少不便を感じておる。業者から考えましても、不便を感じております。しかしながらこれは結局どこへ線を引きましても、やはりこういう問題が起ろうかと考えます。現在では水産局の方と、海運總員局の方と連絡いたしまして、この船員法の中でも漁業の特殊的な事情を考慮していただきまして、われわれの意見というものを相當取入れていただきまして、そうして新しく船員法もつくられてまいつていくという關係でございます。この問題につきましては、私どもはもちろん漁業の勞働者という面から、水産局としては非常に關心はもつておるわけであります。所管の問題につきましては、現在のようなやり方で圓滿に連絡することによつてこれを解決していく。現在漁業の勞働の體系というものがまだ何にも立つておりません現状でありますから、未組織のものも多いわけであります。こういうふうな問題については、現在のところはこれを水産廳に移すということは考えておりません次第であります。それから先ほどおつしやいましたところの勞働行政、これを一元的に行わなければならぬという問題であります。これもそのとき、そのときの條件をよく考えまして、結局われわれとしては漁業の勞働者も十分な保護を受けていくというふうな考え方で、圓滿に連絡をし協調していく。そうして漁業勞働の特殊性というものがそのうちに尊重される限りにおいては、私どもはそれで現在のところ差支えないのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/5
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006・館俊三
○館委員 今水産廳の要望は、經營者及び勞務關係の全漁業形態に含まれる人たちを網羅した意見であるというお話でありましたが、從來漁夫あるいは漁船に乗りこんでおつた船員の勞働條件というものが、いつも水産廳という大きな題目の陰に隠れて問題にならず、單に經營者の立場から水産廳というものが要求されておつたかのごとき印象を受けることは、非常に殘念であります。これは私の見解が局長の見解と違うのかもしれませんが、從來北海道における五萬、六萬の移動漁夫の勞働條件というものは、いつまで經つても水産局あるいは農林省そのものの題目となつたことがなかつた。ようやくにして船員法が改正せられて、獨航船なり、あるいは鮭鱒漁業の人が船員法の適用を受けるようになつたそうであります。その結果から見ても、水産廳の要求というものは、そういう者を含めた。そういう者の意見を徴してものであるとは私は不幸にして認めがたいのであります。
その次に一番問題になつておるのは、漁船には漁船としてのいろいろの設備がある。それだから一般商船の建造とは切り離して考えていきたいというお話がありましたが、その漁船に特殊なものがあるという考え方が、單に經營者の立場からのみ考えられておるのではないか。漁船の建造にはもちろん船員法の基準をもつていることのできない條件が伴つておるはずであります。この勞働條件の問題については、勞働行政を一元化してこちらへ預けておいても、その建造が勞働行政に差障りがあるということになつたらどうなさるか、殊に漁船は、この船員法では三十トン以下は含まれないとか、あるいは五トン以上はどうとかいうことになつておりますけれども、船が沈没するとか、危險を冒して活動するのは商船よりも漁船である。むしろ漁船というものの損害率、あるいは沈没、あるいはそれからこうむる悲惨な下級漁夫あるいは下級船員たちの身の處理方、そういうものについて非常に大きな問題が各沿岸に起きておるのではないか。そういう場合に漁船の建造ということについてどうお考えか。船の建造を一元化しなければならぬということを言うのでありますが、漁船の進歩、發達というものは、今の状態に止めておいてはいけないと思う。資材も何もない現状でありますけれども、將來は船の建造をりつぱにして、少くともどの漁船も無線ぐらいはつけるようにならなければいかぬと思う。そういうことから考え、造船の行政から漁船のみを分離するのはどうかと思われる。御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/6
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007・藤田巖
○藤田政府委員 農林省で漁船の檢査をやることにいたしましても、船舶の安全性ということはもちろん重要なことであります。それを私どもとしては決して無視するわけではないのであります。ただ私どもの申したいのは、一般船舶同様、ただ船舶の安全性ということだけの檢査では、漁船としては不十分である。もつと漁獲の能率の増進ということも考えなければならぬ。あるいはそのほか艤装、漁撈の設備、そのほか從業員に對する設備ということについても、漁船は漁船としての特殊性を考慮し――一般商船とは違うのでありますから、特殊性を考慮して、それらの點を考えていかなければならぬ。そういうことによつて初めて漁船の優秀なものができる。そうしてそれが經營者にとつても漁船の乗組員にとつても、よりよいものであるというふうに私どもは考えているのであります。そういう檢査をする場合には、これはやはり漁業の實態と離れることができないわけですから、漁業の實體をよく把握しながら、また將來の發達のことも考えて、一括してやつていかなければならぬというふうな見地から、われわれとしては水産行政をやるところにおいて併せてこれをやつていくことが必要である。單に船だからということで、商船と漁船とを一緒にするということでなくて、やはりそれぞれの特殊性を考えながら、そこでそれに即應した指導をやつていくということが、現在の事態としては必要じやないかと私ども考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/7
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008・館俊三
○館委員 そういう観念的なことは私たちもよくわかるのでありますが、實際上の取扱いにおいて、それでは農林省が運輸省に注文をなさる。あるいは個々の漁業者が造船企業の申請を運輸省になさる。そういうときに漁撈のしやすい漁船の規格ということで申請なさるかどうか。それがやられておらなかつたかどうか。それをやつても運輸省の總局において、資材の關係その他で、こちらの言う通りな漁撈に都合のいい船ができ上らなかつたことがあるかどうかということなんです。私いつも心配することは、漁船をこしらえる場合に値段が高いとか、あるいはまた從つて固定資本が多くなるという經營面からのみ見て、そこらあたりまで行けばいいんだといつて簡略な船をこしらえることを經營者は考えているのじやないか。そういう面に非常な危惧をもつのであります。そういう意味における漁船建造を、今の造船の全企畫から離して行政をしていきたいというようなことがもしあるとするならば、これは勞務者及び船員にとつてははなはだ恐るべきことであり、疑い深い話ですけれども、そういうことが基本的な考えであるならば、漁船というものの將來における完全な發展はいつまでも阻害されるという觀念をもつている。そういうことを私は非常に危惧しておるのでありますが、この點はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/8
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009・藤田巖
○藤田政府委員 水産局に漁船が移りました場合に、經營の面だけ考えて、場合によつては船の建造についても手を抜いて、安く仕事ができるような面からだけ指導するのじやないかというふうなお話でございましたが、全然そういうことは考えておりません。これは實際問題として一例を申し上げますれば、最近船價が非常に高くなつておる。從來二萬圓、三萬圓であつたのがトン當り五万圓にもなり今ではおそらく八、九萬圓にも上つておるだろう。そういうものではとうてい事業經營が成り立たないのでありますけれども、しかしながらやはり船は安ければいいというわけじやない。たとえば安くてもどこかに手を抜かれたり、あるいは雜なものであれば、漁撈をしている折にも、あるいは航海をしておる折にも、ただちにその危險がくるわけであります。從つて事業者としてはやはりどうしてもいいものでないと困るということで、高いとは考えながら、やはりお金を拂つてやつていかなければならぬ、そういうことが現在漁業の經營を非常にむずかしくさせておる一つの原因であると考えております。從つて水産局としては決してそんな經營者の面から考えて、ただ單に經營の採算がよくなるようにと、いうことからこういうことを申しておるのではありません。やはり漁船が立派に建造されるには、船舶の航海安全ということももちろん十分必要である。さらにその上にまた漁業の實態に即した各種の指導を織りこんだ優秀な船をつくるというふうなことを、私どもは考えておるのであります。今御指摘になりましたようなことは、全然さようなことは考えておらないことを御了承願いたいと思います。
それからこの問題については、實は從來とも漁船檢査規定の改正その他の問題の折にも、農林省の意見というものは十分に申し上げてやつておるのであります。しかしながら實情を申し上げますれば、參酌して考えられてはおりますけれども、私どもから申せば、やはりどうしてもほんとうに徹底した指導をやつていき、そうしてぴつたりした船をつくろうとするためには、少くとも農林省においてそういうものについての指導權をやはりもたせていただきたい。そういうことでなければ、何でも話合いによつて進んだいけばそれでいいのではないかという議論も出るわけでありますけれども、やはり行政機構が各所にまたがつておりましたのでは、どうしてもそこは徹底をして敏活にやつていくことができない憾みがございます。水産廳をつくります際は、やはりこの際徹底してそういうふうな問題についても、しやすいように考慮していきたいというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/9
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010・館俊三
○館委員 漁船の建造は單に海運總局の檢査だけで終つておるものですか、それとももう一つ漁業指導の面から、水産局の指導というものはないのですかということを質問しておきたいと思います。そしてもし水産局が漁撈の指導の上に立つて現在の漁船に對する指導をしておられないとすれば、それは私非常なお手落ちであろうと思います。おそらくしておられるだろうと思う。しておられるとすれば、それを十分強化していつたならば、その幣が防げるのではないかと思います。そしてさらにその面を取入れた造船計畫を總局にもち出したら、十分に目的が達せられるのではないかと私は考えるのであります。もう一つ今局長のお話で、漁船の建造が非常にたくさんになつてきた。その結果無許可の船が横行することになるということでありますが、そういうところを見ると、農林省としても漁船の建造の數においては、現在の状態のもとにおいては何も不服はないのではないかというような氣持がいたしますが、この點はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/10
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011・藤田巖
○藤田政府委員 御指摘の通り、現在農林省の水産局においては委託檢査ということを始めております。一般の船舶檢査をするほかに、それだけでは不十分でございます。やはり農林省の立場からさらに優秀な船をつくりたいというふうな事柄から、依頼に應じて檢査をするような制度をやつておるのであります。ただわれわれとしては、一般の檢査は運輸省でやり、さらに漁船に即しての檢査は水産局でやるというふうに、兩方でやりますと、いわば二重檢査のようなかつこうになるのであります。結局手數においても、そのほかの點においても、これを民間から考えました場合には非常に煩雜なものであります。それでできれば一つの檢査で間に合わせるということがいいのではないかと考えております。そういうふうな意味合から、この際一般の船舶安全の見地からの要請と、それから漁業の實態に即した方面からの指導と、兩方含んだところの檢査を一遍でやつてしまう。こういうことにした方が業者の人も非常に簡単で、手數も省けていいのじやないか。それはもちろん役所だけの考え方から言えば、二遍檢査すればそれでこと足りるということでありますが、これはやはり檢査を受ける側からの便宜も考えてやつていくべきでなかろうか。從つて理想としてはやはりこの二つの檢査を一つにしてやることが、行政機構としては望ましいのじやないかと私は考えるのであります。
それから現在漁船については非常にたくさんできておることを認めるかというお話ですが、ある種の漁業についてはたくさんできておること私は認めます。しかしながら一般の漁船についての建造はまだ非常に少いと考える。たとえばある種の漁業、と申しますのは底引網漁業でありますとか、かつを、まぐろ海漁業でありますとかいう特殊の漁業の漁船については、これは非常に資材も少くて濟み、また能率もいいわけでありまして、戰爭後急激に増加をいたしております。しかしながら私どもといたしましては、ただむやみやたらとこれが殖えることは何もいいことではないと思う。やはり漁業許可とにらみ合わせてそれが殖えていく。そしてきつちりと資源の保護とにらみ合わせ、また各種の資材その他漁區の關係とにらみ合わせて漁船の建造を指導していかなければならぬ。從つてむやみと無許可の船ができることについては、ある種の漁業はもはや現在の程度で船の建造を止めなければ、その漁業自體の安全が保持されない。あるいは資源保護のために憂慮されるという問題については、これはむしろ抑えなければならぬ。そういうふうに私どもとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/11
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012・館俊三
○館委員 そこで資源の保護ということから考えてトロール船がいけないとか、あるいはまた小さな船じやいけないとか、いろいろの論が出るでありましようが、造船をしたい個々の業者は、最も能率の上る収益の多いトロール船というものに集中してきて、そういう造船が農林省を通じて運輸省にもち込まれた。その方が經營者の側から見て非常に有利である。そういうことになることは、あなたのおそれるような資源の保護から、また造船計畫が覆され、農林省の基本的な考えから割出さなければならないところのものが覆されることになるのではないかという心配をもつのであります。それからまたそれとともに、そういうものは單に建造計畫、建造要請を海運總局に出すと同時に、農林省からこれはよろしいと言うたものでなければ運輸省はこれを許可しない建前である。だからそういう漁船の無秩序な形式の注文については、農林省は十分、抑えることができるのじやないかと思つております。單に個人の意のままに、磯船が欲しいとか、トロール船が欲しいとか、かつを船が欲しいとかいうことを言わせておるのじやないと私は思うのだが、その行政面はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/12
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013・藤田巖
○藤田政府委員 お話のように現在の運輸省が漁船建造許可をやられましても、勝手にやつておるのではないのでありまして、もちろん私どもの方へも、利用者が申出て、それに從つて私どもの方で研究をいたしまして、この船は大丈夫だから認めてもらうというような建前で進めておることは事實であります。これは運輸省が何も惡いわけでもなく。あるいはまた辯解になりますが、水産局が惡いわけでもないのでありますが、一般の木造船、つまり百トン未滿の木造船のごときに至りますと、終戰當時どんどん船をつくれということで、船をつくらした時代があるのであります。水産が必要だからどんどん漁船をつくつたらいいという關係がございました。そこらの小さな木造船に相なつてまいりましと、なかなかそうはつきりとした方針が下までしみ渡つておりません。從つて小さい木造船に至りますと、これは船をつくつておいて、後から建造許可でももらつてくる。あるいは漁業區間をもらいに出る。こういうことになつておる實情でございます。その結果やはり建造許可も受けずに、漁業許可も受けないような小型の船が相當進んでおる。實はこういう實情になつております。それが特定の船についてはもはやそういうことは許されない。だんだん資材も不足し、漁區の關係もあり、また蓄殖保護の見地もあるわけでありますから、そういうことは許されないというので、最近これは急激に巖重になつてまいつております。そういう實情に相なるのであります。もちろん十分に連絡さへすれば、今でもこと足りるのではないかというお話であろうと思います。私どもといたしましては、農林省の方針を十分尊重して、その通りにやつていただきますならば、さらに百尺竿頭一歩を進めて、いつそれを農林省にまかせていただいて、農林省が責任をもつてこれをやつて、取締りに當る。從つて農林省水産局の許可しない船ができた場合には、われわれとしてはそれが漁業許可の申請をやつてまいります場合には、そういうものは當然許可できないということでつつぱねる。こういうようにはつきりした態勢をとりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/13
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014・館俊三
○館委員 無許可の船ができるということは、理窟の上からいえばできる道理がないのであります。農林省にも相談しなければならぬ。海運總局にも相談しなければならぬ。兩方に相談があつた場合に、双方に打合せをしなけれぱならぬという網をおくならば、無許可の船ができる道理がない。しかも農林省の調査によつて無許可の船ができるということは、その無許可の船なるものは、いわゆるやみの建造物資によるものではない。やみの取締りをするために水産廳をこしらえてみたところで、これはどうすることもできない問題であつて、さいわいにして運輸省も言うし、あるいは農林省も認めておるように、漁船の建造ということが非常によくいつておるという現實は、水産廳ができなくても、船はできると私は見ておる。ただ資源の保持上、それが感心すべからざる配船状態になつておるということについては、取締當局は何をしておるかと、私は素人考えで言いたくなるのであります。さらにお聽きしたいことは、造船資材の割當はなかなか面倒であるという話である。漁業の立場から十分に資材を確保してやつていきたいという立場でありますが、資材の獲得が十分であればこそ、漁船が農林省の認めるごとく、運輸省の認めるごとく、とにかく配分状態はよくなくても、船の數は非常に多くなつておると考えられる。資材が非常に窮窟であれば、造船はそんなにたくさんできる道理はないのであります。これについては農林省の方ばかりを言つておるのではないので、運輸省に聽いてみますと、造船計畫を一元化して、資材を十分に確保する。商船と漁船を全部一まとめにして資材を確係しよう。しかもそれを時宜に應じて、漁船の方をふくらまし、あるいは商船の方をふくらますようにするのだという返事があつた。そこで私が聽いたことは、それに要するに、その時期時期によつて漁船が多くなるときにはさいわいであるけれども、情勢によつて漁船が少くなるときには、非常に漁業の立場から困るのではないか。それが資材確保の面においてきわめて不安な状態であるから、農林省をして漁船建造の資材を確保させるという意味において水産廳というものを要求しておるのだ。こういうふうに解釋していいかということを聽いたところが、運輸當局いわく、そうではない。とにかく一連の資材を確保して、あらかじめこれに對して漁船なんぼ、あるいは商船なんぼというふうにパーセンテージをちやんときめておるのだという話であつた。そういうことになれば、そのきめ方において不服があればともかく、そうでない以上は、そういう不服は起きないものだと思う。きめ方については、運輸當局と農林局の間に十分なる折衡が行われなければならないと私は考える。どうもそこらあたりにセクシヨナリズムという――私は通例使うこういう言葉を使いたくないのですけれども、そういうことが多分にあるのではないか。少くとも仕事が忙しいので、折衡がなおざりになるのではないか。そこでそういうことができるのではないか。私は折衡面における能率強化が必要ではないかというふうに考える。役所をいくつこしらえても、その役所が單獨にすべてを網羅して一元化することは不可能である。どの役所をこしらえても必ず關係廳が出てくる。その場合にまたぞろ折衡の能率強化ということが――セクト的であるとは言わないが、それをはずしてもその能率強化ができない以上は、現状からあまり遠くないものができるのではないか。そういうことについて質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/14
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015・藤田巖
○藤田政府委員 現在漁船が割當のいかんにかかわらずともかくたくさんできておることは、その方に資材がやはりまわつておるわけではないかというお話でありますが、これはまさしくその通りであります。しかしながら私から端的に申しますれば、終戰後、艦政本部の資材がたくさんあつた艦政本部の資材はともかくその當時海運總局に全部はいつたわけです。そうしてその後に船をつくります場合に、實際問題としてやはり漁船の建造の方が先に進んできた。一般貨物船なり商船の方の建造はいろいろの事情で遅れてきた。從つてその艦本の資材は相當漁船の方面へ出まわつてきた。それによつて漁船ができてきたのだというふうに私は考えております。しかしながらそれらの資材ももう現在においては相當少くなつてきておる。でありますから、われわれとしては、むしろこれはやはり將來の問題として考えて、少くとも國が物動に資材を組む場合、やはり一般船舶量いくらというふうなきめ方ではなくて、これはもちろんそのときに貨物船に重點を置くならば、貨物船にたくさんまわすこともよろしいでしよう。漁船に重點を置くならば、漁船にたくさんまわすこともいいでありましよう。ともかくも物動計畫によつてやはり一應の割當をして、その割當によつて建造計畫を立てる。もちろん物動資材だけではとうていできない現状でありますから、手持資材その他もにらみあつて漁船の建造計畫を立てていく。こういうふうにしていくことがやはりいいのであり、そのときどきの情勢で流れに從つて船をつくつていくということではやはりどちらも困る。そういう意味においてわれわれは船を無制限につくることは好ましくないので、きちんとわれわれの計畫通りの船をつくつていきたい。こういうことであります。從來物動資材がどれだけ漁船に當てられておるか。一般の手持資材はなるほど渡つております。その手持資材というものは相當コストの高いものである。それが漁船にまわされておる。ところが一般の物動資材はどれだけ漁船の方にまわされておるかという問題になるのであります。これについては大きな特殊な船は別でありますが、一般の漁船については物動資材はほとんどまわつておらない。こういうことが現情である。つまり一般の手持資材で漁船はつくられておる。こういうことが現状であろうと考えております。從つて私どもといたしましては、この際何も機構をいじくりまわすことが本意ではないのであります。しかしながら行政機構というものはそのときどきの政策の重點によつて改變されていくべきであろう。從つて海運行政というものに非常に強いウエイトを置く場合にには、漁船の問題についてもその中に包含されていくこともやむを得なかつたと考えるのであります。現在水産業というものが非常に重要であつて、これをどうしても伸ばしていかなければならぬということに重點を置かれるとすれば、その水産業の發展にやりやすいように行政機構もおのずから改變をしていく。そのときどきの政策によつて行政機構を改變していく、そうして重點的に仕事がやりやすいように仕組んでいくということがやはり必要じやないだろうか。これはもちろん私どもの立場からだけそう考えるのであります。そういうふうな意味合いで、もちろんどこで線を切りましても、お話の通り關連のところがあるわけでありますから困るわけでありますが、そのときの重點の置き方によつて、行政機構が簡潔に強力にやり得るように直していくことを考えるのがほんとうではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/15
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016・館俊三
○館委員 行政機構の基本的考えをそのときどきの情勢のどれにもつていくかという話でありますが、そういうことになつてくると、運輸省の考えておる基本的なものの置き方と農林省の考えておる基本的な置き方に多少の相違があるということを私は考えるのであります。そういうことから運輸省の話ばかりじやいけない、はなはだお忙しいところを申譯けないが、農林省のお話も聽きたいというので今日御出席をお願いした次第でありますが、もう少し根本的に、水産廳が必要であるという根本原因が、主食として大きく盛り上つてきたということにあるならば、單に水産廳をこしらえただけで、水産が全面的に主食としての活用を受けることができるかどうか。それは水産廳そのものの問題でもあり、一面から言うと配給機構なり、經濟機構の問題が伴つてこなければ、ほんとうに主食としての水産物が今日の使命を果すことができないのだ、そういうことをお考えになつたかどうかということであります。配給機構なりあるいは經濟の機構なりを建直さないでおいて、水産廳だけで主食の問題を解決するようにお考えになるのはどうかと私は考える。それを十分に考慮に入れていただきたいと考えるのであります。
それからもう一つ、漁業行政を一貫するという建前をとるといたしまして、造船の機構が一貫できないというように考えられてくるのであるが、結局は造船というものの行政を一貫するかあるいは水産廳行政というか、そういうものを一貫するかということに問題のわかれ目があると思います。この造船の一貫ということに對しては、相當重大な國策として考えられておるところが多い。八月十五日に外國貿易が再開される。なんぼ商船があつても足りないとか、あるいはまた外國から船を借りなければならないとか、大きな國策に影響を及ぼすようなことが、八月十五日を期して大きくクローズ・アツプされてくるんじやないかと考える。それだから漁船の幅がいよいよもつて狭められるということは、日本の現状から非常に困ることなんですから、それも十分考慮しなくてはなりませんが、その邊の主食を取上げた水産廳というものがクローズ・アツプされておる場合に、主食の面が水産廳設置によつて解決されるとは思わない。結局水産廳と食糧關係の問題、あるいはまた經濟機構の問題、配給機構の問題というものが相伴つてこなければ、主食としての水産物というものは、大きく國民の輿望に訴えることができなくなる。漁業經營者が水産廳を求めることは、單に自分の經營自體が問題でないということは明らかになりましたが、そうなるならば、いよいよもつて主食の問題というものが大きく出てこなければならない。せつかく役所をたくさんこしらえて官吏は殖えたけれども、いやしくも水産廳のほんとうの目的とするところは、漁業指導とか、造船とかいうところにあるのではなくして、水産物を全部の國民に食わせるという建前を達成しなければ、水産廳設立の根本意識というものは喪失してしまうのである。それをよく認識していただきたい、勞働省という重要なるものをこしらえる場合においても、官吏が多いとすぐ官吏が鎗玉に上るのであります。そうして官吏が鎗玉に上る場合に官吏それ自身がいかにも罪惡者のごとくに言われるのである。政府に政治力がなくて官廳がどんどんできておるのであつて、官吏そのものの罪惡ではないのである。その中にあてはめられてしかたなくそういう仕事をする。しかもその仕事は國民のためでない仕事をしておるのではない。みんな國民のために仕事をしておる。この官廳がなければ困る。その官吏が惡口を言われるということは非常に情ない。いつも機構が殖えるたびに官吏個個がやられるという印象は、私も驛の助役をしておつた立場から實に憤慨にたえない。そういうわけで行政機構が簡單にできない際において、はたして水産廳というものが必要であるかどうかということと、それからもう一つは造船計畫というものと水産廳に一元化するということがどうマツチしていくか。二つとも大きな國策とするならば、農林省と運輸省で、どちらを主にした國策とするかという打合せをなさつたかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/16
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017・藤田巖
○藤田政府委員 もちろん水産廳ができましたとて、それだけで今お話のございました水産物の増産なり、それを完全に配給するというふうなことがすぐその日からできるということではないのでありまして、ただ問題として取上げられておりますのは、現在水産物が主食代替としてきわめて必要な――つまり主食としての地位にまで考えられてきておる水産物の増産をはからなければなりません。また配給機構を整備しなければならないというふうな場合に、水産業というものを全面的に強力に推進するところの行政機構というものが非常に貧弱である。たとえば資材の面においても、漁船その他の面においても、あるいは資金の面においても非常に貧弱であるというふうなことが隘路になつておるわけであります。從つて水産廳というものを設置して、内外ともにその大きな使命を果すために必要な體裁を整えて、強力にこれを實施していくやり方でなければ、現在の貧弱な水産局では何もできないということが水産廳設置のねらいであろうと考えるのであります。水産廳をつくることによつて、ある資材については、先ほど申し上げましたように、漁業網のようなどうしてもなくてはならぬような資材については、水産廳でこれをやるようにする。それからまたそのほかの資金の問題についても、強力に資金計畫の水産のわくをたくさんとるようにして努力していく。機構の問題と政策の問題というものはこれは別でありますが、機構整備をして強力にそれぞれの政策を實行していくことによつて、水産業の發展を期したいということが水産廳設置の理由であります。
それから全體の造船計畫との關係についての御質問がございましたが、もちろん漁船の建造計畫も全部の造船計畫の一部でありまして、全體の計畫の一環としてこれを行うことは當然であります。從つて大きな建造計畫はむしろ安定本部というようなところではつきりと建造計畫を立てられて、その折に水産廳なり海運總局がいろいろと意見を申出てそれを決定してもらう、その決定したところの計畫に從つて、たとえば漁船はこういうふうに建造していくというような計畫ができました場合に、實施の計畫はその範圍内において水産廳が責任をもつてやつていくというような考え方にいくべきだと私は思つております。ですからほかのものと決して遊離する、またそれと全然別個にどんどん漁船をつくつていくというふうな意味ではございません。一定の國家計畫の一部として大きなところは、あるいは場合によれば運輸省できめていただく、あるいは場合によつては安定本部できめていただく、そういうような仕組になるわけであります。實施を敏速徹底してやつていくということが主眼であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/17
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018・館俊三
○館委員 結局私の受けた印象は、水産廳はできても造船の企畫その他については決して自主性をもち得ない。それはよくわかります。それは主張していいと思う。運輸省であつても、改良あるいは建造については運輸省は一本でおりますが、一本でおるというのは建前であつて、ほんとうは安定本部に自主性は移つてしまつて、運輸省自體ではどうすることもできない。農林省がたとえば建造計畫をもつておつても、結局は全部の大略的な造船計畫をもつておる運輸省も、それよりもさらに全般的な經濟機構を考えておるところの安本から全然自主性を奪いとることはできない。そうすると水産廳ができたところで、かえつて水産廳へ造船計畫が移つただけで、運輸省にも相談しなければならない。それから安本にも制約を受けるということであれば、今までと何も變つたところがないではないかと考える。それともう一つは、今までは運輸省が造船計畫を一本にして造船所へものを注文しておつた。その注文するときには農林省の意見も容れ、あらゆる意見を容れて、さらに安本の造船計畫も加味して造船業者に發注した形であつたのに、今度はその發注が農林省からいき、運輸省からもいくということになつてきた時分に、造船能力が戰後非常に阻害されておる、資材の面も非常に支えておる場合に、その二重の注文の仕方がかえつて混雜を來しはせぬかということが非常に心配になつてくるのであります。もう一つは、農林省は資材が必要な方面に確保されなければ水産行政は、徹底しないと言われるが、その資材の最も不足な徹底すべき面は、造船の資材ではなくて、漁網とか油とかいういわゆる漁具、船を除いての一般漁具についての多岐にわたつておる資材が、非常に不自由を感じておるということであれば、船がたくさんできておる今日においては、船の資材が不自由を感ずるというのではなくて、船に載せる漁具とか油とか、いろいろ多岐にわたつておる資材が困難であるために、資材困難ということが主張されておるのであつて、船の建造そのものについての資材は二の次ではないか。そういうことを考えますが、どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/18
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019・藤田巖
○藤田政府委員 現在とはちつとも變らぬではないかというお話でございますが、これはやはり考え方が根本的に變つてまいるのでありますから、實際の動きというものはまた變つてくると私は考えております。現在通りでいかない點がある。いろいろ御説明もできないような微妙な問題について、やはりどうしてもいかないような問題があるわけであります。それがともかく水産廳に任される。しかし水産廳はこれを勝手にやるのではなしに、相談すべきものは運輸省にも安本にも相談してやつていくということであつても、少くとも水産廳が指導的な立場において責任をもつて處理していくという立場がとれることになれば、これは實際問題として非常に變つたことになると感じております。それから從來は造船所へ資材を一括發注しておつたが、今度は漁船と一般船舶とが別々に海運總局の方と水産廳の方から出ていくので、造船能力の方との調整の問題についてどうも混雜をしやしないかというお話でございますが、さようなことはないと思つております。實際問題といたしましては、われわれとしては漁業關係の物動資材がいくらできるか。その船をどういうふうにどういう造船所へ注文をしていくかというふうなことについては、もちろんそれはそのほかの船舶の建造計畫とも關連のあることでありますから、これは海運總局の方へも御相談を進めていかなければならぬと考えます。しかしながらやはり漁船の立場から漁船の資材というものをはつきりし、漁船の建造計畫というものをはつきり水産局の方で立てて、造船所の具體的な問題について相談していくというやり方は、やはり現在のやり方とは根本的に考え方が違い、その立場が違つてくるわけであります。もちろん造船所の能力とマツチしないような、つまりたくさんな注文が一つの造船所に固まるということは現實問題としてありません。これは漁船はできるだけ早くつくりたいという希望をもつているわけでありますから、漁業者としてもいろいろそういうことは考えての末、連絡してくるのであります。われわれのところに來ます前に、造船所と漁業者の間の相當具體的な話合いが進んでくるわけでありますので、さようなことは萬ないものと考えてなります。なおこの點は十分御相談をして進まなければならぬと思つております。
それからいわゆる資材が不足というのは、漁網等の生産資材であつて、漁船の資材は不自由ではないというお話ではございましたが、もちろんいくらでも金を出せば買える、こういう状態を不自由か、不自由でないかのどちらに見るかという問題でございます。現在は手持資材ならば金さえ出せばなんとか工面がつくということでありますが、それは先ほど申し上げましたように、トン當り八萬圓も十萬圓もかかる船をつくらせますことは、やはり漁業經營の面から、またとれました魚を正規に出させまする關係から、なかなかうまくはいきません。でありますから、われわれとしては現在まではお話のように艦本の手持資材がございましたので、そういうふうな點については、ほかの輸送船よりも漁船の方が有利であつたかと思います。これを將來の問題として考えますときに、必ずしもさように考えておりません、でありますから、建前としては、重要な漁業に不可缺な生産資材でありますところの、一番重要な漁船の資材についても、やはり水産廳で考えていかなければならぬというふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/19
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020・館俊三
○館委員 大體質問はし盡したのでありますけれども、先ほど漁船の融資のことについてお話があり、手持資材のことについてのお話があつたのですが、漁船保險組合といつたものがあるそうです。それが融資の面について、あるいは漁船をこしらえる面についてどういう活動をしておられるかということをこの機會にお聽きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/20
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021・藤田巖
○藤田政府委員 おそらく漁船保險組合の問題であろうかと考えます。これは漁船ができました場合に、それに對して保險をつけるのであります。つまり船が事故を起しました場合、再びこれを建造します場合の用意に備えるのであります。あるいは金融の裏づけとしてこの漁船保險組合というものを活動さしていく。現在漁業者が金を借りようとします場合に、どうしてもやはと保險にはいつており、そして事故が起りましても保險金がされるということがありませんと、金融業者は金を貸すことを躊躇いたします。從つてこれは漁船金融の裏づけとして漁船保險制度というものを現在やつておるわけであります。
なお一般の水産資金については、これは私どもの方で毎期、たとえば漁船の資金わくというものを各四半期ごとに立てております。そしてそのうち復興金融金庫から漁船建造資金がどれくらい出るかという問題については、私どもの方が世話をしております。結局造船所の方の資金は運輸省が世話をする、それから漁業者の方の漁船の建造資金は農林省の方で世話をする、こういうようなことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/21
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022・館俊三
○館委員 造船の方の資金についての話は、運輸當局のお話と少し違つたふうに私は理解しておつた。この造船の方の資金も農林省でやつておるのだというような印象を受けておつたのです。あなたの今のお話ですと、造船の資金は運輸省がこれをやるのだ。いずれまた運輸省にも聽いてみたいと思つておりますけれども、そういうふうに考えられるのであります。なお漁船については保險組合があるのに、勞働者については――いずれにしましても、私の受けた印象は漁船に乗組んでおる船員と、漁船に乗組んでおる漁撈者の保護というものが農林省では考えられておらなかつた。これは從來勞働全般についてその通りでありましたけれども、農林省としても、その邊將來において大いに考えていただきたい。お話のごとくなれば、勞働方面に關しては勞働省において、漁船の勞働も船員の方も見ていく。これはこのままに殘しておくということであれば、それもいいかと思いますけれども、しかし直接に水産局が水産行政をやられる場合に、勞働行政をかけ離しての水産行政というものはあり得べきものでないという認識はこの際はつきりもつていただきたいと思う。これは今まで非常に忘れられておつた問題である。土地の漁業經營者、中小經營者もすべて封建的なつながりを漁民にもつておるのであります。漁民は自分の意見を言うべくして言えないで今日まで來ておる。今日においてもなおかつ漁場の民主化ということが徹底的にできない。水産廳ができる場合に、この漁場經營の民主化、というよりも社會化ということについて十分なる注意を拂つていただかなければ、水産の能率はあがらないと私は思う。とにかく民主化というと、個人の恣意的な自由營業が民主化であるというふうな考えをこのごろの資本家階級は十分持つておる、私的獨占が禁止になると、やたらに大事な統制方法までが改定される傾向が多分に出てくるような氣持がする。公團組織という基本的な精神と、私的獨占禁止法の精神とが符合しないような感がする。漁場を經營する場合においても、ただ經營の民主化でなくて――今まで統制されておつた漁業のみを勝手に放すことでなくて、今まで經營しておつた經營面の社會化ということを、農村當局は十分考えていつてもらわぬと、勞働行政はお留守になつてしまう。これはあとの話にしておきます。質問を終ります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/22
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023・藤田巖
○藤田政府委員 まことにごもつともな御意見であると思つております。漁夫あるいは漁業勞働者の立場から、水産廳においてもいろいろものを考えていくことは非常に必要な問題であろうと思うております。私どもさようにやつてまいりたいと思つております。なお漁業の民主化の問題についても、私どもはやはり勤勞漁民の立場から、その生産意欲を高揚して、漁業生産の増大をはかつていくというようなことが必要であろうと考えております。この問題につきましても、現在漁業權制度の改正に關連いたしましても、私どもの方でも十分考究をいたしておる點でございます。なお御意見のところは十分これを尊重いたして考えていきたい、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/23
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024・正木清
○正木委員長 この際お諮りいたします。あと質疑者が二人ありますので暫時休憩いたしたいと思いますが、いかがでしようか…。
それでは午後一時半から再開することにして暫時休憩いたします。
午後零時十二分休憩
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午後二時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/24
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025・正木清
○正木委員長 再開いたします。
午前に引續き質疑を續行いたします。原彪君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/25
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026・原彪
○原(彪)委員 先ほどの水産局長の御説明の中に解しかねる點がございまするので、御質問申し上げたいと存じます。水産行政の一元化ということから、造船事業を水産廳の方に移すというようなお話でありまして、その中の第一の理由として、漁船の金融の問題を取上げられておりまするが、私の少くとも知つている範圍におきましては、今まで水産局が漁船建造に對して金融をしているということをあまり聞いておりません。また造船會社に對して金融をしたという例も聞いておりません、どういう方法によりまして金融をされたか。いかなる機關によつて金融をされたかということを承りたいと存じます。單に資金調整の許可を得るとか何とかというめんどうを見るということならば、これは取上げられるべき大きな問題ではないと存じます。現在の造船の金融の行き方というものは、少くとも魚でもうけた金で船をつくる。金がたまつてから船をつくるという行き方が多いようでありまして、百トン、五十トン以上の船ならいざ知らず、五十トン以下の漁船の大部分というものは、もうけた金で船をつくるという行き方をとつておるようであります。ただ造船會社側としましては、船を建造して漁業家に渡すまでの金が非常に逼迫いたしておりまして、從來も農林中央金庫とか、いろいろ手を打つたのでありまするが、なかなか金融の出所がなくて、地方の金融機關を利用して高い金利でやつていかなければならぬという苦しい場面が多かつたようであります。この點について、はたして金融面において、どういうお考えがあるか承りたいと存じます。
その次は、先ほど館委員からお話がありましたが、船員を無許可でもつて放任しておくことはいけないというようなお話であります。おそらく無許可で漁船をやつておるものはほとんどないと思います。航海安全法の限界以外の二十トン以下の船ならばいざ知らず、檢査を受ける船におきましては、許可なしに運航しているものはないと思うのであります。はたして許可というのはどういう許可であるか。漁船としての運航の許可であるか。漁船としての運航の許可であるか。あるいは漁業家としての企業の許可であるか、お聽きいたしたいと存じます。二十トン以下の船でありますると、現在は地方行政廳にこれが取締りを一任されておるような形でありまして、これは遠洋漁業などできない小さい船でありまするので、地方行政廳としてもあまり巖格な統制の行き方をとつていないようであります。おつしやられるところの無許可でやつておるということはどういうことか。もう少し詳しくお聽きしたいと思うのであります。私の考えでは、無許可でやつているということをあまり耳にしないのであります。それからおあげになつておられまする水産廳で一元的にやられる一つの理由として、造船の造修用のいろいろな資材を計畫的に、これを一元的にやりたいというようなお話でありまするが、魚に使うところの魚網のごときものなら別でありまするが、御承知のように造船の造修用の資材というものは多岐にわたつておりまして、機關、主機、補機、艤装金物あるいはタツク、ホールド、船釘、直接漁業ばかりに關係のあるものではなく、その原材料の鐵などというような面もありまするので、必ずしも資材の面において水産廳がこれを一元に出した方がスムースにいくという理由にはならぬと思うのであります。この點につきましてはたして水産廳にするならば、どういう機構で、そのような資材を先ほどおつしやられた簡素化して流すというようなことをおやりになるか承りたいと存じます。現在においては資材の面においては、鋼材の不足から資材不足でありまして、また各製造工場のごときはその能率が落ちている關係上、なかなか造船所に對する配給が迅速を缺くというのが否めない事實でありまして、どこがおやりになつてもそう簡單にいくものではないと私は思うのであります。
もう一つお伺いしたいことは、少くとも機關をつける船は必ずしも漁船ばかりではないのでありまして、運搬船も貨物船も含まれることは當然であります。現在の輸送力逼迫の折柄、これを貨物船によつて補うという行き方からすれば、造船所側としましては必ずしも漁船建造ばかりやつているのではないのでございまして、かような場合において貨物船あるいは商船等を運輸省でやつて、漁船だけを水産廳でやるということになれば、これはまた二元的になつて屋上屋を重ねるようになるのじやないかと私は思うのであります。
それから先ほど水産局長がおつしやられました戰爭中計畫造船をやつておつて、これが終戰後になつて漁船に變つたから、漁業と密接な關係があるので、水産廳の方がいいというお話でありまするが、戰爭中計畫造船をやりましたけれたども、計畫造船をやつた船大工というものは、ことごとく計畫造船をやる前には、漁船をやつておつたものであります。でありまするから、戰爭中計畫造船をやつたがために、今度は漁船をやる場合に能率が落ちるということは理由にならぬと思うのであります。今日漁船の製造能力が割合に落ちておるという原因は、船大工というものはほとんど生活のために建築の方にまわる者が非常に多いためであります。それがおもなる原因で、勞務不足によることが大いなる原因だと思います。これは漁業家としても、船を注文して早くできないがために御不満はあると思うのでありますが、實情をお調べになれば漁業家としても納得がいくのではないかと思うのであります。ただいま申し上げました三點につきまして、水産局長の御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/26
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027・藤田巖
○藤田政府委員 從來漁船建造の資金については、これは農林省水産局において世話をしておりました。水産關係の資金わくの中に漁船建造資金というものを入れまして、從來斡旋をしておつたわけであります。特に今年になりましてから一般の金融が非常にきゆうくつになりまして、復興金庫などでそれぞれのわくをきめるというふうなことになりましてからは、この漁船建造資金が性質上長期資金でありまして、一般の地方銀行などではなかなか見てもらえませんので、これを復興金庫の漁船建造資金の中に入れてもらうことを交渉いたしまして、第一四半期におきましては三億圓、實際支出されましたものは三億六、七千萬圓だと思いますが、現實に農林省においてはそれを世話をしております。その資金を一應與えられた三億のわく内で、どの船を見るかということは、資金調整の際にこれを檢討するのであります。その際に漁業の許可なりそのほかいろいろの條件を見合いまして、最も適當と思うものをその三億の資金わくの中において農林省が推薦をして、そうしてこれを通しておるというふうな實情になつております。從來とも漁船建造資金は水産局で見ておることに間違いはございません。ただ造船所に對する資金は見ておりません。午前中に申しましたように、造船所に對する分は、これは運輸省の方からごらんになつておるというわけであります。それから大體船をつくるのには、魚でもうけた金で船をつくるのだというお話でございましたが、最近船價が非常に高くなつておりまして、また長期に拂わなければならぬ關係で、とても魚を賣りました金でできるものでございません。これは先ほど申し上げましたように、特別の扱いとして特殊な、殊に減失徴用漁船の代船のごときは復金でやつております。これ以外は勸銀でありますとか、興銀でありますとか、そういうふうに比較的水産方面に關係の深い、取引の多い銀行で見てもらつておるという實情になつております。いつも資金の問題が最近非常にやかましい問題になり、資材、資金は絶えず水産でも面倒な問題であります。私どもも當にこの點について大藏當局に折衡をしております次第であります。
それから漁船が無許可でできるという、この無許可というのは、この前の議會でも愛媛縣の馬越議員から質問がございましたのでありますが、その内容は結局たとえば機船底引網漁業の許可を受けないで、實際問題としては機船底引網の漁船ができていく。そのできていきます場合に、あるいはそれが全然建造許可なくできていきます場合、あるいはそれが漁獲物運搬船なりとしてできてきた、あるいはその他の船としてできていく場合、いろいろあるわけでありますが、とにかく機船底引網漁船の製造許可はないわけであります。そういう船ができていくということが議會で問題になつたことがある。そのほか、いわゆる以東の、内地の底引網漁船、こういう漁船については漁業の許可の方と漁船の建造許可とが必ずしもしつくりしておりません。その都度現地問題としていろいろ私ども許可の申請の際に惱まされておる次第であります。それから資材の問題については、これは私どもといたしましても漁船用の資材というものを特定分離をいたしまして、造船所へ資材が配給されます場合に、一般商船の分はこれこれ、漁船用のものはこれこれ。そういうふうなはつきりとしたことで資材が配給される。こういうようなことを私どもとしては強く要望するわけであります。現在は造船所へ參ります場合に、漁船中及び一般船舶用としての區別はございません。ただ一本でこれが配給されております状態であります。しかしながら今後いろいろ資材の状況を考えます場合に、われわれとしても漁船の建造計畫というものとにらみ合わせての資材の配給、そういうことをもちろん考えていかなければならぬ。もちろん資材が十分でございませんので、物動資材で足りぬところはこれはあるわけです。ともかくにもはつきりしておくということが、われわれ造船の指導をいたします場合に、きわめて必要であろうと思うのであります。
それから計畫造船を戰時中やつておりましのが、その後戰爭が濟みましてから、戰後の國情の變化に伴いまして、あげて漁船の造修工事――鋼船及び木造船工場、造船所の八割はすべて轉換をして現在漁船を扱つておられることと考える。從來漁船のごときものを扱つておられなかつたところでも、戰後漁船を大いにつくられるところもあるかと考えております。ただ私どもとしては、何も計畫造船をやつておつて、商船ばかりつくつておつたようなところでは、漁船としての能率が落ちるとか惡いとか、そういうことを申し上げたのではないのでありまして、結局水産施策を總合的に實施していく上に、漁業の生産手段として最も大きい部分を占めておりますところの漁船の建造の問題についても、これと不可分の關係にあるところの他の漁業許可なり、造船の許可と一緒にやりまして、それを間然するところなく敏速的確にやつていくということがよいのではあるまいかということを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/27
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028・原彪
○原(彪)委員 ただいま資金の面において造船所に對しては金融を見てない、漁業家に對しては約三億六千萬圓の融資を復興金庫よりしておる、こういうお話でありますが、うわさに聞くところによりますれば、大口の金しか融資しない、小口の金は融資しないということを私は聽いております。全國造船所を見ますると、大きな造船會社は數においては少くて、小さい造船所が非常に多く、小さい造船會社は、まとまつた、たとえば百萬圓以上の金よりは、普通の場合は三十トンないし五十トンの船をつくるのが多いのでありますから、從つて百萬圓以下の金を要する場合が多いのでありまして、小さい漁船會社がこれを利用する部面が非常に少いと思います。おそらく私の考えでは巨額の金、大口しか貸してないように思われますが、この點お伺いしたいと思います。小さい三十萬なりあるいは五十萬なりの金をたびたび融資するということがあり得るかどうかということもお伺いしたいと思います。それから漁船の無許可の問題でありますが、ただいま御答辯では何だかはつきりつかめないような氣がするのですが、はたして今まで漁船の建造許可をお出しになつておるかどうか、もう一遍お聽きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/28
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029・藤田巖
○藤田政府委員 金融の問題について私先ほど申し上げましたのは、資金調整にかかつてくる問題、それを申し上げたのであります。だが百萬圓未滿のものは資金調整にかからずに處理されておる。從つてそういうふうなものについては地方で適宜處理されておると考えております。それからそれ以上、つまり資金調整にかかつてきます問題、これについてはお話の通り大きな金が多い、そういうふうな關係から、どうしても地方銀行ではだめでありまして、特殊銀行に固まつてきておるという實情に相なつております。しかしながら大きな需要者と申しましても、大きな會社の意味ではございません。御承知の通りかつお、まぐろの百三十五トン型を一艘つくるのにも、最近はおそらく金としては一千萬圓見當要るのだろうと私どもとしては考える。そういうふうな金はとうてい自分らの力で、自己資金だけで扱えるものではないのであります。つまり水産の方面ではそういう人たちの――殊に減失徴傭漁船と申しまして戰爭中に徴傭され、減失しました船の代船資力もございませんような人達が多いのであります。こういう人たちの資金についてはやはり農林省で、復金の方でめんどうを見る以外に方法がないわけであります。そういうふうなものを主として扱つていきたいと思う次第であります。
それから無許可の問題でありますが、大體機船底引網の漁業の許可をいたします場合には、あらかじめ企業認可と申しまして、船をつくる前に、大體機船底引網漁業を著手していいかという意味の企業認可をするわけであります。それが常道であります。しかしながら實際問題といたしましては、別に船ができておる。こういう船がもうすでにあつて、漁業の許可さえおりればすぐにでも魚がとれる。これを許せ。こういう意味合いの申請が非常にたくさんきておる。現實問題としては漁業の許可なくして底引網の漁業というものは現實できてきております。このできておる原因は無許可のものもございましようし、あるいは漁獲物運搬船であるとか、そういうふうな建造許可をもらつて、かつお、まぐろとか、そういうふうな許可によつて實際問題として底引網の船ができてくる。かような状態になつておるのであります。許可を與えなければ、いきおいそれが無許可の操業をするということで、現在無許可操業をやつておるものも相當ある。これに對する統制で地方では惱んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/29
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030・原彪
○原(彪)委員 ただいまでの御答辯によつては、私は遺憾ながら造船事業を水産局へもつていくということについて、態度を決しかねるのであります。先ほども館委員から十分意を盡しておつしやられたように、水産廳獨立の問題といたしましては、今日の食糧事情から、特に蛋白質の給源としての魚というものが取上げられる。こういう意味において水産廳の獨立はまことに結構であります。しかしその方に主眼をおくことは結構ですが、造船の許可あるいは監督の面について、これが一元的になされなければならぬという理由については、まだ納得のいかん點がございます。なお私の方も十分檢討いたしたいと存じます。これをもつて質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/30
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031・重井鹿治
○重井委員 今日の水産局の水産廳設置に關する説明によりますと、食糧問題を中心にした水産廳設置のように考えるのであります。私どもは水産廳設置はもつと大きな目で見なければならないと思うのであります。なるほど水産物を食糧に供することは、食糧問題解決の最も早いかぎではありますが、それと同時に日本は四つの島になり、この中に八千萬の人口がおる。その八千萬の人口が將來外に伸びていくということは、近き將來には望みがないのであります。從つてわれわれとしては食糧の問題と産業の問題のみを考えますと、水産物というものは大きな日本の産業にクローズ・アツプされてくると思うのであります。それはノールウエーの如く、あの山地で國内産というものはほとんどありませんが、あの國は水産によつて立國されておると言われております。この四つの島に押しこめられたところの日本としましては、水産物に生きることに大きな目をつけなければならぬ。また元來日本民族の性質といたしましても水産業に適しておるということが言われております。こういうことを考えてまいりますときに、今度の水産廳の問題は現實の食糧の問題の解決と同時に、將來の日本の伸び行くための水産廳の設置である。こういうような大きな考え方からこの問題が出てきたのではないかと私は考えておるのでございます。そういう意味において、この問題が水産委員會におきまして、あるいは運輸交通の委員會におきまして、いろいろ論議されておりまするが、その場合われわれが考えなければならないことは、一般になわばり爭いというような感を與える場合が多いのであります。その點につきましてはわれわれ委員も相當考えて、大きな目でこの問題の解決に當らなければならないと思います。從つて行政面というものが水産廳の設置によりましてかなり擴大するこになりますと、それはまた今日機構改革によつてその人員が増加することについていろいろ問題があると思うのであります。こういう立場から私どもはこの問題を考えてみたいと思うのであります。そういう意味におきましては、私は水産廳設置に對する根本的な問題がまだのみこめないのであります。これが具體的になつた場合にどうなるかということであります。現在水産局で扱つている行政面と、今度水産廳になります場合の行政機構において、その扱う限度というものをあらかじめお示し願えれば結構と思うのであります。そしてなおこの水産廳になりました場合に、おそらく運輸省關係ばかりでなくして、商工省にも漁網その他について相當關係があると思いますが、商工省あたりの關係におきましてはどういうような考え方を今まで水産局に示されておるか。このことがわかればお知らせ願いたいと思うのであります。
なお漁船の造修が運輸省にある場合に、水産局としてどんな點がはつきりと水産廳になつた場合に不便なのであるか。もちろん根本的に行政は一元化されるということが正しいのでありますけれども、そのはつきりした不便な點というものをお教え願いたいと思うのであります。
なお漁船の造修というものが水産廳の手に移つた場合に、船舶安全法その他のいろいろな船舶關係に對する法律との關係というものがわかつておりますれば、その點をお知らせ願いたいと思うのであります。
それから今日漁民ということが申されますが、漁民の中にもいろいろあると思います。すなわち網元とか、あるいは漁業資本家、また網元、漁業資本家と言われます人たちに使われておるところの實際の漁民、勞働者の數と、それから内海作業に從事しておるところの、小さい舟によつてつりをしておるようないわゆる手工業的な漁民、この人たちの數、こういうものがわかりますればお知らせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/31
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032・藤田巖
○藤田政府委員 水産局と、それから水産廳ができましたときの扱います行政事務の範圍の問題であります。これは現在水産委員會で取上げられております水産廳の内容は、現在の水産局の事務のほかに、漁船に關する事務と、それから漁網綱と漁業用専用資材の生産に關する事務、この二つが新しく追加されるわけであります。その範圍において從來の水産局のやつておりました仕事よりも内容が廣くなるわけであります。從つて一つは漁船について運輸省に關係し、一つは漁網綱について商工省に關係するわけであります。商工省の考え方については、これはまだはつきりした公の意見というものは承つてはおりませんが、私繊維局長のところにまいりまして、話をいたしました場合には、これは商工大臣の政治的な御決定にまつよりしかたがなかろう。ただ事務當局の考えとしては、從來ともこの種の問題は農林省からいろいろ出されておつたのであるけれども、漁網工場という問題、その生産を水産廳に任せた場合に、こまかく申しますとより絲工場の問題をどうするか、ひいては紡績工場の問題をどうするか、こういう問題か、これはいつでも起る問題でありますが、關連的に起つてくることです。それからまた行政一元化の見地からするならば、將來の漁網の輸出というような貿易の面からもやはり考えておかなければならぬのであろう。また繊維行政の一元化という見地からすれば、これはたとえば農林省でやつておる生絲の關係こういうような問題も、これは逆に商工省の方に移すというような問題が起つてくるであろうと思われる。こういうような意見を自分としては商工大臣に申し上げておいたということであります。この點についてまだ商工省からははつきりした態度は聽いておりませんが、これはむしろ政治的に解決するよりしかたがあるまい。事務的にはなかなか解決は困難であろうというようなことを商工省として言つておられます。
それから漁船が運輸省にある場合にどういう點が不便かということでありますが、これは結局現在と同じだということであります。現在われわれの理想的に考えておりますところと、現状との開きがあるわけであります。もちろん現在運輸省と水産局との間には緊密に連絡をいたしております。そうしていろいろ私どもの希望通り運輸省において行つてもらつております。こういうことから言えば、何も水産局でなくとも運輸省でやつてもらえば、今のままでいいのではないかという議論が出てくるではないかと思います。しかしながら水産廳というものをつくる場合は、これは事務の連絡がうまくいつておるという現實の問題で解決するのではなく、やはり將來の機構というものも考え、それからまた水産委員會でも考えておられますが、將來水産省をつくる前提としての考え方から考えて、どうせこの際水産業の總合的な統制機構を強化していくのであれば、もう一歩進めて、大乗的な見地から、水産業の行政のやりやすいように、この際漁船についてお任せを願いたいということが、私どものいつわらざる氣持であります。
それから漁船造修が水産局に移つたときに、船舶安全法、その他の船舶關係法の改廢の問題でございます。これは當然起つてこようかと思います。しかしながら法律上の規定その他を急速に改廢することはちよつとなかろうと考えます。なお深く研究しなければならぬと思います。大體主務大臣と書いてございますが、この主管の移りました内容に應じまして、おのずから讀みかえをされる問題になると思うのであります。從つて實體的規定については、格別これを改廢する必要はない。少くとも法律上の條項についてはないと思います。ただ省令勅令の部分については、これはあるだろうと考えます。
それからいわゆる漁業者と漁業從業者との數の問題でございます。これは今詳細な資料がございませんので、はつきりはいたしておりません。御承知の通り漁業者といい、漁業從業者といい、紙一重の部分が零細のものについてはかなりあるのであります。なかなか判然とは區別しがたい。從つて判然と區別し得るように考えて推定をいたしますれば、大體漁業關係者三百萬と稱するのでありますが、これを一應百五十萬と考えれば、おそらく百萬内外のものは漁業者、それから漁業從業者はその殘餘のものということになるのではなかろうかと思います。私は今數字をもつておりませんので、正確には申せませんが、大體そんな見當になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/32
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033・重井鹿治
○重井委員 それから漁船が最近かなりつくられておるということを承つております。ところがその漁船が監督が行届かないために、いろいろな物資の運搬のやみ船に相當動いておるということを聞き及んでおりますが、そういうことに對する監督行政はどの邊まで行届いておりましようか。
なお漁船が増加しておるのに、一般家庭には魚がまわつてこないのが現在の實情でありますが、配給機構の不完全もあるでありましようけれども、私どもはかなり現在の漁業者それ自體反省を求めなければならぬと思うのであります。この點につきまして、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/33
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034・藤田巖
○藤田政府委員 やみ船の問題は、これはひとり漁船のみならず、その他一般の小さな船共通の問題ではなかろうかと考えます、正確な數はなかなかわかりません。結局北海道その他の主産地方面へ、船をもつて水産物をとりに行くというような船も相當たくさんあるわけであります。御承知の通り、陸上の取締りすら人手も少く、なかなか困難であります。ましていわんや海上のことであります。農林省としては、實は取締船は戰前は十艘以上もつておつたのでありますが、現在は二艘くらいで、動けるものはほとんどないと言つていいのであります。なかなか沖外の問題、その他やみ船の取締問題については、實情としてはまことに困つた問題でありまして、港では取締りをしておりますけれども、沖外まで徹底して行う陣容が今できておりません、實情としては、こういうものが統制を亂していることはまことに遺憾なことであります。
それから配給機構の問題でございますが、現在魚の配給機構は、六月下旬から新しい機構でやつております。その當時はちようど漁期でございましたので、大きな消費地には重點的に施策をいたしました關係上、東京方面には六月、七月は相當出まわりがよかつたのであります。大體私どもの標準は、一人一日當り十匁程度でありますのが、十五匁以上にも配給が達していたように考えます。これはしかし全般でございませんで、大きな都市だけに限られておつたのであります。それからその後漁期が夏枯れの時期にはいりましたのと。現在氷不足その他の問題がございますので、必ずしも出荷は良好でございません。それから第一漁業者としては、やはり魚の値段問題、あるいは漁業用の資材の問題こういうものが非常に漁業者にとつては不利益な關係になつておりますので、そういう關係からして統制にはなかなかはいりにくい状態にあるわけであります。私どもといたしましては、近く魚價の適正な改訂をいたし、また資材その他につきましても、できるだけ割當をたくさんとることを關係官廳とも話合いをいたしまして、こういうふうな面から資材の裏づけ、その他によりまして正規の魚のまわつてきますように努ゆて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/34
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035・重井鹿治
○重井委員 これまでのこうした専門委員會におきましては、たとえば水産委員會あるいは運輸委員會という場合に、過去の委員會においてはほとんどその業者の立場にある人がその委員にはいられまして、その委員會を守ろうとされる場合が多かつたのであります。今度の水産委員會、運輸交通委員會の二つの委員會は、お互い協議するところまで發展しておるのでありますが、私どもはあくまで公正なる立場から、この問題の解決に當らなければならないと考えます。それに關しまして、この水産廳を設け、一元的な行政にするということはよくわかるのでありますが、はつきりこの問題の中心をのみこむことができないのであります。運輸省の方からは、本日參考資料といたしまして、水産廳設置に伴い漁船造修行政務事移管に對する反對理由というものをいただいておるのでありますが、できますれば、水産局の方からも、設置に關してなるたけ私どもが納得のいくような、こうした資料をいただきますれば、たいへん結構だと思います。なお申し上げたいのでありますが、他の委員會のことを申し上げては相濟まないと思いますけれども、現在の水産委員會に席をおかれておる方の中には、漁業會、水産會に關係ある漁業者の人が相當おられるということを私ども聞いておりますので、その點に對しまして當局におかれましては、そうした業者に利用されるということはないと思いますが、あくまで公正な立場からこの問題に善處あらんことを切にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/35
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036・正木清
○正木委員長 井谷正吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/36
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037・井谷正吉
○井谷委員 私は先ほどからのお話でどうもまだ納得のいかない點がありますので、多少重複するかもしれませんがお伺いいたしたい。その前に水産廳が今度設けられるということは、概念的でありますけれども、これはよいことだと思つておるのであります。しかし今お話に相なりました水産廳の仕事を一元化するために、商工省のものやあるいは運輸省關係のものがここに集まつてくるということも、そうあらねばならないこともあるでありましよう、たとえば漁網のごときは私は、漁具と解釋しておるのであります。これはどうしても水産廳のお仕事であると思つておるのであります。しかし漁船が漁具であるか、船舶であるかということについては、私十分腹にはいらなかつたのでありますが、ここにお配りを願いました船舶安全法施行規則の第三條に、「本令ニ於テ漁船と稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル船舶ヲ謂フ」としてここに相當はつきりした定義が下されているわけであります。それで私の漁船が漁具であるか、あるいは船舶であるかという點ははつきり了解を得たわけであります。それでまずお伺い申し上げたいのは、私の聽き違いかもしれませんが、先ほど漁船はとにかく十分あるような意味にとれたのでありまするが、この點はいかがであろうかということと、次に運輸省で從前通り漁船の方をやつていくということについては、今日の資材の逼迫が隘路になつているのであるから、水産廳一本やりで、水産廳は水産廳の必要なだけの資材をとつてやつていく、こういうふうに解したのでございますが、そうするならば水産廳の方で、それを十分こなしていき、必要を充たしていくだけの御自信があるのかどうかということをお問いしたいのであります。と申しますのは、先般海運局の方のお話を聽いたところによれば、多くの船舶をやつているから、それで漁船の方にもその中から差繰つてまわすことによつて、船ができていつているというようなお話のように承つておるのであります。そうすると、このない、資材が兩方にわけられるということになれば、やはり水産廳の方の割當がはたして御希望通り、御計畫通りに行くだろうかどうかということを一應不安に思うわけであります。
なお造船所の關係でありますが、これも從來運輸省との關係が深くありまして、新しく水産廳からそこにお仕事の連絡をとられるという場合に、ここに非常に重複ができていて、かえつてこれは仕事ができなくなるのじやないかということも憂うる一つなのであります。
なお先ほど館委員の質問にあつたのでありますが、時間の關係上非常に切り上げられていたようでありますから、あらためて私からお問いしたいのであります。今の漁夫の問題であります。先般海運組合の問題のときに承つたと思つておるのでありますが、海上勞働者は陸上とは違うのであつて、海上は萬國的に特殊な組合法によつておるという御説明であつたように思う。今ここで官廳分課規程というものを見ておつたのでありますが、この中の農林省漁船課について「第二十六條、漁船課に於ては左に掲ぐる事項に關する事務を掌る。一、漁船及漁船發動機二、漁船乗組員其の他漁業從業者」この二の漁船乗組員その他從業者ということについて考えてみると、先般私が承りました海運組合法ですが、あの時の御説明と連絡して考えてみるのに先ほど御説明の漁夫の問題を水産廳で非常に簡單にお考えになつておるようでありますが、この點についてもう少し詳しい根據のある御説明をいただきたいと思うのであります。
それからなお總合したところ、お話の水産廳ができても、將來運輸省と密接な連絡をとつてやるということでありますが、そうすると今と大した變りがないようにわれわれはざつくばらんに考えられるのであります。しかも農林省と運輸省は連絡を密接にするために、係員は兼官としてこの邊の支障のないように從來やつておるということがここの書かれておるのでありますが、そうするならば、この制度をもつと緊密にして進んでいけば、それでいいじやないかということも考えられるのであります。ただ水産廳の内容についてもわれわれはまだそうしたものを知つておりませんし、どうも散發的の御説明のように思われてぴんとこないのでありますが、この點をもう少し承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/37
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038・藤田巖
○藤田政府委員 漁船は十分現在あるかというお話であります。これは私午前にも御説明いたしましたように、ある種の漁船については現在相當復興しております。從つてたとえば以西の底引網漁船でありますとか、あるいはかつを、まぐろの漁船というふうなものについては、私どもの感じとしては現在私どもの計畫をしておりますところの船が全部できますれば、一應現状においては飽和點に達するのじやないか、漁區の關係、資材の關係では飽和點に達するのではないか。現實の漁船はまだできておりません。しかし一應許可を與え、建造の計畫をして、今やつております船が完成いたしますれば、底引網、かつを、まぐろについては一應の飽和點と考えておるのであります。それ以外の漁船についてはまだまだ復興はいたしておりません。小型の船についてはまだまだ復興はいたしておりません。將來そういうふうな方面の漁船の建造計畫を進めてまいりたいと思つております。ちやうど一昨年の十二月二十四日の閣議で三十三萬七千トンの建造計畫を立てたのであります。その三十三萬七千トンの建造計畫のうちで、建造計畫を大體具體的に立てまして、許可を一應受けておりますところの隻數、具體的計畫を立てております隻數は、大體二十五萬トンばかりあり、建造當初の計畫に比べますると、大體七五%であります。竣工をいたしております船は十四萬トンでありまして、大體四四%。從つて私どもの建造計畫からいたしますれば、まだまだ船はつくらなければならぬ。しかしながらある種の漁船、相當大型の船については相當飽和點に達しておる。こういうようなことが言えるわけであります。
それから資材の問題でありますが、かりに水産廳ができて、漁船用の資材を水産廳が責任をもつてとる場合、はたしてその必要量をとるだけの自信があるかどうか。こういうふうなお話でございまして、現在非常に資材が窮屈でございまして、運輸省自體がいろいろ努力をされましても、おそらく現在必要量はなかなかとれない状態であろうかと私どもも考えております。現在のところでは、第一・四半期の一般船舶用が四千トンでございます。その中には水産關係のもの、漁船用は入つおりませんので、そのほかに壓延いたしまして窓薄板にいたしましたものの分といたしまして、一萬トンある、その中から漁船用のものは見る。こういうふうなことにきまつておるわけであります。それはもちろん全體の資材がきゆうくつでありますので、水産廳ができましても必要なものがみなとれるとは限りませんけれども、私どもといたしましては、漁船用に少いなら少いなりに、少くとも漁船用にいくらならいくらの資材が特定される。そうしてそれはきちんと造船所まで漁船用として資材が行く。こういうような仕組をはつきりつけていただくということは、これは漁船の造船計畫を立てて、それを現實に實施していく上においてはやはり必要ではないかと考えております。現在までは、たびたびお答えをいたしましたように、從來の艦政本部の資材なり、その他造船關係の手持の資材がございましたので、漁船の方は相當有利に現實問題としてはできておりますけれども、將來の問題をいろいろ考えて、やはり機構の問題をはつきり考えます場合は、事情がいろいろ變化をするとも豫想せられるのであります。やはり漁船用の資材というものは特定分離さしていただくことが、水産の立場から計畫を立てるためには必要ではないかと私は思つております。そして特定分離を一應いたしました上に、さらにそれぞれの部門についてのまた必要がございますれば、お互いに融通し合うというふうな態勢が、よいのではないか、一應は特定分離をさしていただくことが、計畫を立てる上には便利であるというふうなことを私どもとしては考えておるわけであります。
それから漁夫の問題でありますが、これは從來すでに船員法、勞働基準法によつて、漁船乗組員その他の漁業從業者というものは、それぞれの法律によつて規制をされておる。そうしてこれは現在のそれぞれの法制によつて、われわれといたしましては、漁船の特殊性に應じたところの例外的な事項というものを、それぞれの法令中に挿入していただくように話をして、そうしていろいろ認めていただいておるわけであります。もちろん理想としては、漁業は漁業だけで、漁業從業者に通じたところの一つの勞働立法も考えられるのでありますが、實際問題といたしまして、まだそこまで考えるだけの諸準備が整つておりません。從いましてこれは將來の問題として十分に考えまして、われわれとしてはだんだんと漁業勞働者の組織もつくつていく。そうして漁業勞働者の待遇改善その他の問題について、われわれとしても運輸省なり、今度新しくできる勞働省にでも御相談をしまして、そうして實情に即して極力これを解決していきたい。そういうふうに現在は考えているわけであります。
それから現在通り連絡さえ密にしてやればよいじやないかというお話でありました。われわれから申せばそれは機構の問題でございませんので、やはりそのときの人の實際の連絡の問題であります。でありますから、われわれとしては、この際はやはり機構自體としてはつきりしたものにする。そうして簡單なものにして、手續その他についても簡單にいけるように重點的にやつていきたいということがその主たるねらいであります。それはなかなかそういろいろデリケートなことまで申し上げるわけにはまいりませんけれども、どういたしましても連絡を密にしてやるという程度では、やはり徹底を缺き迅速を缺く場合も起り得るわけであります。そこの點についてはやはり水産の重要性、水産行政をやりやすくする意味から言えば、この際進んで、いつそそこまでいつているならば任していただければ、それこそはつきりとやれる。そうして水産局においてイニシアテイーヴをとつてどんどんやつていく。しかしながらまた一般の船舶行政業の見地から連絡すべきものについては、もちろん連絡していく。こういう建前に還ることがやはり將來とも仕事が進む上に、どういうふうな事態になりましても、よいのではないかというふうに思つているわけであります。これはよく出る議論でありまして、連絡さえ密にすれば今のままでもよいじやないかという話でありますが、やはりここは機構としてこの際はつきりとしていただきたい。そういうふうなことでなければ、現在の水産局のままを水産廳につくるというようなことでは、私どもとしては大して意味はなかろうと思う。それならばやはり外局としての水産廳はつくらずに、やはり水産局のままで水産廳になつたつもりで大いにやればよいじやないかというようなことになつてくるわけであります。機構の上においてやはり一歩を進めるという考え方によつていきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/38
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039・井谷正吉
○井谷委員 ただいまの御答辯の中で造船所のものが落ちておつたように思いますが、資材は十分おとりになつたとして、仕事をさす場合に運輸省の方の仕事と、そこに重複する心配はないかということと、今の漁夫の問題ですが、これは今の船員法にも關係があるわけですけれども、その方はお考えになつておる程度で、まだお話合いはできていないのでありますか。その點いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/39
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040・藤田巖
○藤田政府委員 船員法の問題は私の所管外の問題であつて觸れておりません。現在のままで、ただ漁業の特殊性から、いろいろと特殊な規定の挿入方、あるいは漁船についての例外的措置をとつてもらいたいということを要求をいたしておるというわけであります。それさえ話がまとまりますれば、現状においては支障なかろうと思つております。それからもう一つの造船所というのはどういうことでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/40
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041・井谷正吉
○井谷委員 水産廳の方からかりに御注文になりますですね。そうすると、造船所が一本になつて運輸省のものをやつていくということになつておる場合、もうすでにその造船所は請負つていて、そのために水産廳の方からのが遲れやしないか。今までであれば運輸省でやり繰りして按分していただいていたのが、今度できなくなれば、そこにかえつて支障ができやしないかというお問いなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/41
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042・藤田巖
○藤田政府委員 その點は午前中にも申しましたが、大體漁業者が造船所をきめます場合にも、おのずから造船所との間にそういうふうな仕事の繁閑と申しますか、つまり計畫というものは十分打合わせをしまして、そうしてやつておる實情でありまして、一つの造船所でたくさんの船が重なつてきて非常に困るというふうなことは、萬あるまいかと考えております。しかしながらそれについて具體的な問題といたしましては、造船所その他についてはよく實際問題として運輸省の方とも御相談をして、そういうふうに特に造船能率の方と齟齬を來さないようにして計畫を進めていくということは必要であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/42
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043・井谷正吉
○井谷委員 質問は終りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/43
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044・正木清
○正木委員長 前田郁君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/44
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045・前田郁
○前田(郁)委員 まず第一にお伺いしたいと思いますのは、この水産廳の法案の中には、漁船という文句が明白に使つてあるのでしようか。それを前にちよつとお聽きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/45
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046・藤田巖
○藤田政府委員 それは水産委員會の方で立案されております水産廳設置に關する法律案の内容の中には、漁船に關する事項、これは水産廳の方において仕事をする、こういうふうに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/46
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047・前田郁
○前田(郁)委員 運輸省のただいま主管しておるところの漁船につきまして、これを今般水産廳の方にもつていこうという話でございまして、これに對して運輸當局から今日までいろいろとこれに對する反對の理由をお聽きしたわけであります。なおきようは、私か中途からまいりましたために、詳しく聽きませんけれども、大體農林當局の方の意向も漏れ聞いておるところでございますが、漁船の問題は今日においては現行法として運輸省の官制におきまして運輸省自體がこれを主管するということになつておるわけであります。そうして運輸省の官制というものは勅令ではありますが、新憲法のもとでは法律と同等の効力を有するものであると考えておるような次第であります。そこでこの重大なことを移管すという問題でありまして、殊にただいま承れば水産廳の法案の中にも漁船という文字がはいつておるわけでありまして、漁船を移管するということになりますれば、これはもちろん運輸省の官制を改正するということになるわけであります。それで私どもはこの水産廳の法案というものは運輸交通委員會においても相當重大な問題として審議すべき問題ではないかと考えます。それで委員長にお願いしたいのは、あるいは特別委員會というものをつくるなり、あるいはまた水産委員の方との共同委員會をつくりまして、そうして十分に檢討した上に決すべき問題であると思うのであります。單に農林當局だけの意見、また運輸省の御希望だけでもつて決するということは、この委員會としては非常に早計ではないか。十分に特別委員會なりあるいは共同の委員會を設けて、國家という高い見地から考えて、この問題は解決すべきものではないかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/47
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048・正木清
○正木委員長 前田君の發言に對して委員長よりお答えいたします。衆議院規則第六十條によりますれば「委員會は、審査又は調査のため必要があるときは、他の委員會と協議して、連合審査會を開くことができる。」かように規定されております。從つて私どもの承知いたしておるところでは、今囘の水産委員會における小委員會で審議されております水産廳法案の中の一つ、漁船に關することについては、ただいま前田君の御發言の趣旨の通りに思うのでありまして、委員長は適當な機會に水産委員長に對して連絡をとりまして、水産委員會としての方針が決定した場合には、連合審査會を開くよう取計らいたいと思います。さよう御了承願います。館俊三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/48
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049・館俊三
○館委員 ちよつとけさの質問のむし返しのようですけれども、諸情勢について、ほかから聽いたことによつて、説明を追加させていただきたいと思います。概念的にけさからずつと聽いたところでは、水産廳の御説明は、とにかく水産が食糧として大きくクローズアツプされたという點、あるいは重井君がそれをさらに擴大して、日本の産業の大きな立脚點からもこれを考えるべきものである、單に現實に困つておる食糧自身のために水産廳が便乗したという印象を與えるのはよろしくない。水産廳を考えるならば、もつと大きなスケールにおいて考えなければならないというところを一本つつこまれておるようですが、いずれにしてもとにかく自然發生的に、水産が大事であるから水産廳をこしらえなければならぬという觀念論、その觀念論が横行しておるのでありまして、それが具體的な問題にまで研究されることが非常に足りないと思う。だんだん聽けば聽くほどあなたがたの所論はきわめて薄弱である。しかもこの問題が單に運輸省のみに關係したことでなく、商工省の方にも關係をもつておるということになりますと、これはなかなか容易な問題でなく、十分に檢討を加え、しかる後一定の方針がきまつたら、そこで初めて大きな政治的な動き、あるいは決斷というものができるのでありますけれども、現實の段階においては、まだ決斷をどうするという段階にまで研究が積まれておらない。まだ確信がいつておらないという印象を多分に私は受ける。非常にあぶなつかしいという印象を多分に受けるのであります。そうしてまた非難をするわけではありませんが、大體水産局というものは、從來地方あるいは中央の水産業界の人たちの意見のみを聽いておつて、それのみが水産局なり水産廳の水産行政というものの主體をなしておつたきらいが非常に多いと思う。今重井君からもそれらしいことがありましたが、水産委員會にしましても、水産の業者がここに委員になつておるということも一つの考慮の中に入れなければなるまいかと私は思う。參議院の水産委員會はあるいは贊成であるかどうか、おそらくそういう人たちが集まつておられるならば贊成しておられるだろうと思います。參議院の運輸交通委員會では、正確には聞いておりませんから、水産廳の設置に反對しておられるかどうか知らぬが、とにかく運輸行政の上から見て、造船の一元化をやるということには絶對に反對だと言つておるということを聞いております。また水産委員の人たちも、造船あるいは漁船、そういうものの今までの行政のあり方について深い考慮を拂うことがなくして、そういう小委員會がもたれたきらいがあるのではないかということを考えます。そこが非常に違う感じがいたしますので、委員會といたしましても、また贊成なさつておる政府當局としても、その間を十分まだまだ檢討し、確固ある方針をきめられる必要があるのじやないか。しかる後、その功罪をはつきりさせて、それでこそ初めて政治的な決斷を要する段階にも到著する。お話を承つておりますと、商工省の繊維局では事務的には非常に困難である。これは政治的に解決すべき問題だと言われたのであります。その政治的に解決するところの基本的な觀念がまだ整つておらぬと私は見る。こういうことに對しては御贊成をし兼ねるのであります。勞働者の立場についても、仄聞するところによれば、海員組合は水産廳の設立に反對であるという意見を私は聞いております。農林省のお話では、働く者も經營する者も、ともに一つになつて水産廳の必要性、あるいは水産行政の一元化を望んでおるということを言われるのでありますが、私は必ずしもそうは思つておりません。もしそうであるならば、もう少し地方の農漁村の、農業もやり、漁業もやり――さらにまたさつきの勞働者と經營者の數がわけにくいと言われたようなそういう形のところは十分にあります。そういう階級の小企業者の意見も入れられたところの漁村の民主化について、今どういうことが要求せられておるかということろに、大きな水産行政の問題があるのであります。そういうところを十分剔抉すべき必要がある、そういうことから考えていつて、どうしても水産廳の考え方をもつと深く、もつと幅を廣くして國政全體とどういう振合いをとるのか、また行政機構の上においてどういう摩擦が起き、どういう整理が要るのか。そういうことについての私の受取り方が、きわめて頭が惡いのかも知れませんけれども、非常に薄弱である。もう少し練り直される必要があるのじやないかと私は思います。少し考えた方がじみちな道を離れて、先走りをし過ぎておるという感じを受けるのであります。今のところまだまだ造船を運輸當局から離すというところの御説明は納得し兼ねるのであります。そういうことを申し上げておきたいと思います。いろいろの機構が改變されるけれども、機構によつて物が動くのではなく、そこにはさまつた人の問題であります。いかに機構をりつぱにこしらえても人がうまくなければどうすることもできない。水産行政機構においてそれだけの熱意がありましたならば、今の機構においてでもうんと熱意をあげられ、また運輸省が非難されるところがありましたならば、それについても十分なる連絡と熱意をもつておやりになつたならば、私は十分この造船の問題は解決がつくものと思います。また局長は勞務行政については今までの通りにしておくということでありますけれども、海員組合が反對するということは、たとえば海上勞働の問題を陸上の勞働者に一緒にするということは、特殊事情があるから一緒にできないということで二元的になつておるのでありますが、この農林省に属する漁船に乗組むところの船員、あるいは漁船に乗組む漁夫の問題も農林行政と非常にマツチするのであります。そういうところも十分考えて、ただ單に運輸省海運總局の船員法その他にのみ預け放にしておいて能足れりという農林省の話ではいけないと私は思う。造船の面でも結局私は勞働關係に附随してくる。そういうことにおいて、ここに大きな水産廳の機構が要るという立論にもなりますが、それと同時にまた現在の物資が足りない。機構が惡くて物資が潤澤にまわらないのでなくして、物資がないのでまわらないという半面を十分お考えを願いたい。今井仁さんが言われたように物資がないのを機構いじりをして、それで完全にできるかどうかということであります。もちろん艦政本部の資材が殘つておつたら品物ができたということもわかるのであります。それがなくなつた今日においては、いろいろの資材その他にもますます缺乏してくる。そういうときに、機構によつてそれが獲得できたりするようなものでは私はないと思います。殊に經營者の水産局に要求する實意というものは、値の面にあるのじやなくて、かえつて商工省の管理しておるそういう物資の面において非常に矛盾を感じておるのじやないかという感じがいたします。また造船の方にいたしましても、トロール船が多くなつたり、いろいろ關係がありましよう。それはその局に當る人たちの割振りのやり方がまずかつた。あるいは終戰のどさくさで農林行政がしつかり立たないうちに、どしどし船がなくなつたから、こしらえようという、そういう考えから、基本的なものを定めないうちにでてきたのじやないか。またやみ船にしても、在來のトロール船というものの監督、新しい船の建造その他のことについてはちやんとうまくやつておつても、それらの船の監督、あるいは登録というようなことですが、そういうものについて非常に缺陷があるのではないかということが考えられまして、機構が貧弱であるからということでなく、現在その機構をすみからすみまでりつぱに履行するだけの熱意が足りないために、いろいろのことが起るのじやないかという氣持がずいぶんいたすのであります。實際の内情へはいらないから、私の立場は非常に暴論であるかも知れませんけれども、しみじみそういう印象を今のお話から受けざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/49
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050・藤田巖
○藤田政府委員 いろいろと御意見を承りましたが、ちよつとこの際申し上げて御了解を得ておきたいと思います。水産廰の設置は、いわば一つの水産業界の經營者側の意見、あるいは水産委員會がそういうふうな水産業者を代表しておられる方が多いから、そういう意見がでておるというお話がありましたが、その點はさような皮相的な、あるいは一つの偏つた意見で、水産廰の設置の問題が取り上げられておるのではないかということを私ははつきり申し上げておきたい。これは水産委員會の名誉のためにも私は申し上げておきたい、委員の方々はさような自己の立場からこの問題を論じられてはおらない。これは他の委員會も同様であるように、すべての委員會というものは、やはり衆議院議員としての公正なる立場から國策を論じられておるように感じます。殊に水産廰の問題は、何も最近唱えられた問題ではないのであります。從來から唱えられており、しかも衆議院においては水産國策實施の建議案として、本會議において滿場一致でこの問題が取上げられておるのであります。しかもそのときの問題は水産省をつくれという問題であります。現在でも水産省をつくれという意見が非常に多いのであります。しかしながらわれわれはむしろその意見に對しては、この際水産省を一擧につくることは、非常に無理である。從つてこれは日本の漸進的な進み方として、水産廰というものでいくべきであるということで、考えておるのでありまして、私どもの考え方が非常に、何と申しますか、積極性のない、あまりに現實にこだわつていることは、私自身が水産業員會、殊に參議院の委員會なんかでは、その點を非常にやられておるのであります。私のただいま申し上げました意見以上に、水産委員會の意見は強く、しかもそれは本會議で取上げられ、殊に今度の水産廰設置の法案は、私の聞くところによれば、すでに各黨においてこれを決定されておるというふうにも伺うのであります。從つてその意味から申して、決して一部の水産業者の代表者が、その利益擁護のためにしておるのではない。すでに各黨において賛成しておられるというふうに、私は了解をいたしておるのであります。從つてこの點については、水産委員會の委員の方々の名譽のために、御了解をいただきたい。さように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/50
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051・館俊三
○館委員 今委員會の構成その他について言いましたが。私はそういうふうに考えて申しましたので、もちろんどの委員會においても國政全部にタツチし、檢討した上でやつておることは事實であります。われわれといたしましても、そういう業者のみが集まつておられるということについて、一考を煩わさなければならないというふうに考えて話題にしたのであります。これはもちろん水産委員會に聽かれたら、失言取消の問題も出てくると考えます。そういうことでないということは、私はよく承知しております。けれども、そういう觀点を從來はもつておつたので、申し上げたのであります。水産委員の方々のこの問題の處理についての熱心さは、十分わかつております。私も水産委員會に出ておりますので、十分わかつております。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/51
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052・重井鹿治
○重井委員 私も水産廰設置に關しましては賛成であります。また行政の、一元化に對しましても賛成であります。しかしただいままでの御説明によりましては、私はちよつと納得がいかないということが納得いくような具體的な御説明をだんだん聽いてみますれば、そこまでいくと思うのであります。從つて先ほど前田委員からお話がありましたように、兩方の合同委員會なり、またむしろ水産委員會におきまして、船舶局の方から説明に來てもらつて、そうしてまた運輸省の立場を説明するというように具體的に発展していきますと、必ず妥協點に達すると思います。あくまで私どもは先ほど申し上げましたように、現實の食糧問題解決策としての、水産物の増産という點における水産廰の設置、竝びに將來日本民族の伸びるという面における水産、産業としての水産廰の設置が必要である。こういうふうに考えておりのでありますから、その點は水産局におかれましても、あるいは私どもが強い言葉を用いたかもしれませんけれども、これまたあくまで國家的な見地から、水産廰をほんとうのものに仕上げようという熱意であつたと、御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/52
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053・原彪
○原(彪)委員 漁船は貴い人命を預かる遠洋漁業までやるのであります。船舶安全法によつて巖重な檢査をされるということは御承知の通りでありますが、實際船をつくる方の例としましても、體骨をすえつけてから、船が進水し、公試運轉をするまでは、實に容易ならない努力を要し、綿密な氣の配り方を要することは、御承知の通りだと思います。かかる場合におきまして私は多少疑いの點があるのは、漁業家すなわち船の需要者、漁船所すなわち船の供給者、この間にあつてこれを檢査監督する機關があるのでありますが、もしかりに水産廰にこの監督と許可の權限が移るとするならば、需要者と監督機關というものは、いきおい密接な關係にならざるを得なくなるのでありまして、ほかの漁撈の關係その他から密接な關係にある水産廰が、この巖格にしなければならぬ檢査を受持つということは、どうかと思うようなきらいがあるのであります。特に魚は時期がありまして、その時期をはずすと一年の収獲というものは非常に影響がある。そういう場合にその時期までにはいやでも應でも船をつくれということが、漁業家の聲でありまして、漁業家と水産廰が密接な關係にある場合に、漁業家の聲が水産廰に反映して、むりやりに建造許可を與えるというような心配があるのであります。しかるときに、これを運輸省でやる場合においては運輸省はどちらかといえば供給者の方の關係でありまして、供給者の方の關係においては、かかる密接な關係は起きるわけがないのであります。かような觀點からしますると、どうも運輸省に許可監督してもらつた方がよいような氣がするのであります。この點について水産局長のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/53
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054・藤田巖
○藤田政府委員 お話のような理窟からいたしますれば、そういうことにもなろうかと思いますが、しかしながらそういう意味で考えますれば、供給者にも即せず、需要者にも即せず、中正を得たものが何かやつていかないと、公平が期せられまい。理論を進めていけば私はさように感じます。もちろん漁業者が歸蜀しておるところの水産局で、そういう檢査をし、許可をすれば、やはり漁期というものを考慮して、それに間に合わせるように、無理無理するという御懸念もあろうかと思います。私はそんなふうなことはないだろうと考えますが、一方そういう心配をされるとすれば、私どもとしては、むしろそれでこそ漁期のことをある程度は考えていただかなければならぬのであつて、漁期とかそういう漁業の實情にとんちやくなく、船がただ造船の方面だけ、供給者側だけでつくられるという機構は、漁業者にとつてはちよつと困るというようなことを、これまた言わざるを得ないと思う。もちろんそういうふうに、どちらにつけましても、御懸念の點は起つてこようかと思います。ただわれわれとしては漁業の實情に即したやり方、つまり漁業を扱うところで、漁船のようなものは扱つていくという方が、むしろ漁期の關係も考える。もちろんできれば間に合わせるようにしていただくのが結構でありますが、そのために雜なものをこしらえてはまずいのでありますが、そういうことを十分見ながら、やはり許可の點を十分考えて間に合わせていく。そういう機構が、すなわち水産廰として、水産の増産をねらつている一つの問題だというふうに、私どもは考えるのであります。これは漁網についても同じことが言えようと思います。われわれは製造業者の側でなくて、むしろやはり資材に一番困つておるところの漁業者側に立つて、漁網の生産をあげるということでやつていかないと、漁網の配給生産というものが完全にいかないというふうな見地から私ども述べておるのでありますが、これは多少立場が違いますので、意見が違つてくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/54
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055・原彪
○原(彪)委員 現在の實情としましては、努力、資材もまことに不足な實情でありますけれども、各造船所はそういうものを見込んで大體の納期というものをきめますが、一般的に申しますると、納期を遲延するものが多いのが實情であります。それは水産廰がおやりになつても、運輸省が現在やられても、少くとも現在の實情では同じだと思います。そういう現時局下において、無理をしてやるということを私は非常におそれておるのであります。決して船をつくるものの側が漁期を無視してやるわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/55
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056・有田喜一
○有田政府委員 先ほど來だんだん資材の問題が出ておるのですが、實は先般の委員會で成重委員より、一體船舶用資材のうちで、漁船にどのくらい資材がまわつておるか。こういうお尋ねがございました。私あいにく資料の持合せがなかつたために、後日に御囘答申し上げる。こういう約束をしたのであります。資材の關係が大分問題になつておりますので、成重さんは本日見えておりませんが、一應それに對する御囘答を申し上げたいと思います。
實はわが國今日の資材は、御承知の通り非常に不如意であります。十分な資材の割當がいかないことはもとよりでありますが、昭和二十一年度におきまして、これは普通鋼の鋼材の例をとつてみますと、造船用鋼材の割當が一萬九千九百トンあつたのであります。そのうちで漁船にまわしました鋼材は一萬三千二百五十トン、すなわち全造船用割當重のうちの六八%を、漁船用に割いたのであります。二十二年度になりまして、實は年度計畫としまして、普通鋼々材が年間五萬三千トンの割當を得たのであります。しかしまだ第三・四半期以降の分は未決定でありますが、第一・四半期及び第二・四半期の分のみでいきますと、この年間五萬三千トンのうちで二萬一千トンというのを、造船用鋼材として割當を受けたのであります。そのうちで漁船にまわしました分が、七千トンあまりであります。約三四%というものを漁船にまわしておるのであります。本年度は昨年度に比しまして、漁船に對する割當は少いのでありますが、これは經濟安定本部におきまして、資材の割當をやります際に、實は漁船がもう十分できておるので、漁船に對する割當はなくてもいいだろう、こういうので、大きな査定を受けたのでありますが、これをいろいろと折衡を遂げまして、そうして今申しましたような相當量を漁船に割當てたのであります。年間のものとしまして、五萬三千トンのうちで、漁船建造、鐵道連絡船、小型客船、この三つを合わせまして、年間で一萬トンになつておる。一萬トンの鋼材でありますが、それと、すでに第二・四半期までで七トン餘りを漁船に割當てておるのであります。いかにわれわれが漁船に對する關心を深くしておるかということが、この割當によつて、證左できると思うのであります。先ほど水産局長は、少くてもよいから漁船用のものをはつきりせいということでありますが、とにかく漁船用のものは、内譯にははつきりしておるのであります。ここにおられます船舶局長は、安本との關係で資材關係の割當をきめますと、水産局の當路者に來ていただいて、割當を受けたいということをはつきりと申しておるのであります。のみならず安定本部の側におきましても、水産局の方が一緒に見えられて、いろいろとその間の事情を知つております。漁船に對する資材の割當は、われわれは非常な注意をもつて相當の割當をやつておるのでありますから、この點を御了承願いたいと思います。
なおついででありますから、お答えさしていただきたいと思うのでありますが、先ほど無許可の漁船ができるというお話がございました。われわれといたしましては、水産局の要望に基いて、漁船の許可をやつておるのでありますから、無許可の漁船というものはないはずであります。しかしかような世の中でありますから全然それが皆無であるというこは申しかねますが、水産局の知らざる船は、われわれ船舶當局もこれを知らない。お互いに知らざる間に船ができたということは――これは私はできたとは申せませんが、しかしできておるものがあるかもしれないということは、一部には了承できると思うのであります。しかしこれは決して運輸省が許可權をもつておるから、かようなものがあるということは言えないと考えております。
なお終戰後、漁船の建造計畫というものが立ちまして、今水産局長からお話しましたように、鋼漁船で約二十萬トン、木造船の漁船が約十三萬トン、合計三十三萬トンの計畫が立つたことは事實であります。その中ですでに許可になつたものが二十數萬トン、この二十數萬トンの許可というものは、これは相當今の現實の日本にとりましては大きな許可であるので、各方面の了解を得てこれだけのものができたのであります。今日のわが國の經濟事情から申したならば、漁船に對する許可ということは相當多量であります。私に言わしめますならば、もしこの許可が少いというような水産局のお考えであるならば、この許可を少からしめた一つの原因は、水産局にあるのであります。かように申し上げたいのであります。これ以上私は申し上げることを差控えますが、とにかくわれわれは水産局と緊密なる連絡をとつて、漁船の監督に當つておるのであります。おそらく水産局長もわれわれ海運當局が、いかに漁船の建造に熱をもつておるかということは、御了承願えるかと思います。しかしてこれに對する二重監督の幣というものは、るる先ほどから問題になつておりますが、まつたくその通りであると私は思うのでありまして、この漁船の建造なり、檢査という仕事が水産局に參りますと、業者の方にとつては兩者からの非常な監督を受け、單に手續が困難だというのみならず、あるいは造船所充實のための資金の問題、あるいは造船用職工、從業員の問題、あるいは先ほど來問題になつておる資材の問題、さらに進んでは海員の勞働問題等、いろいろ問題がございまして、困るのはこの事業をやつておる方面に多大に起るのではないかと思うのであります。この問題は水産當局とわれわれが一層緊密な連絡をとれば、事足りると私は考える次第であります。
なお檢査と漁期の問題でありますが、これにつきましても、われわれが資材について漁船に對して考慮を拂つておると同様に、漁期の問題につきましても同様な考慮を拂つておりまして、最近では檢査官の充員の問題も片づけたので、相當御期待に副い得るように思うのであります。しかしそもそも檢査が注文側の要望に副わない點があるのは、檢査の本質上當然であります。この點も御了承願いたいと思います。
なおついででありますが、館委員からこの前の委員會において、戰爭中に漁船がどのくらい喪失したかというお尋ねがありましたので、この機會に御答辯申し上げます。戰爭中に漁船として喪失したものは、これは鋼船と木造と一緒でありますが、約二十八萬總トンの船が沈んでおります。昭和十五年の十二月末には、鋼船の漁船が二十七萬トン、それから木船が八十三萬トン、合計百十トンばかりございました。これは小さいものも全部入れてでございます。それのうちで、戰爭中に二十八萬トンばかりのものが沈みまして、終戰直後には八十萬トンばかりのものが漁船として殘されておつたように、統計はなつております。この機會に御答辯申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/56
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057・正木清
○正木委員長 藤田政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/57
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058・藤田巖
○藤田政府委員 ちよつと速記を止めていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/58
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059・正木清
○正木委員長 それでは速記を止めて…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/59
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060・正木清
○正木委員長 速記を始めて…。ただいま有田政府委員から當委員會に發表になつた數字及び漁船の被害状況竝びに資材の割當等に對しては、當委員會の參考資料として必要と認めますので、それらの數字を基礎とした一切の參考資料を、本委員會に提出するよう要求いたしておきます。
なお本日、農林政府委員から本委員會に對して、詳細に水産廰設置の必要を力説されましたが、そのことに對しましても、當委員會として十分この問題を審査する關係上、重要なる點を項目別に、でき得る限り詳細に、當委員會に書類として提出するよう要求いたしておきます。他に本法案に對する質疑はございませんが…原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/60
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061・原彪
○原(彪)委員 ちよつと速記を止めていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/61
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062・正木清
○正木委員長 それでは速記を止めて…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/62
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063・成重光眞
○成重委員 これは別の問題でありますが、海運總局長官に質問なり、簡單に意見を申してみたいと思います。それは今朝の新聞を見ますと、「政府は終戰後の新事態に即應して海運業の國家管理方式を廢止し民營に還元するため種々準備を進めているが、今囘船舶運營會をCMMC(民間商船委員會)本來の姿に改組することになり商船委員會法(假稱)の立案を急いでいる。昭和二十二年の石炭三千萬トン出炭の基礎とする物質需給計畫に對應して決定した本年度の汽船貨物輸送計畫は一千六十八萬九千トンであるが、これはあらゆる輸送能力の増強を考慮に入れたものであり、これを完遂するには實動率、運航率をともに現在より一割以上向上させ、さらに集荷の面にも積極的努力を必要とするが、現在の非能率的運營會組織ではこれを期待することが出來ない。しかし運營會は本年五月からの新統制方式によつてその性格も單なる運航機關化し、その法的基礎である戰時海運管理令も九月で失効となるので、これを機會に船舶と船員を船主に返して能率的民營に移し、運營會を商船委員會に改組するため商船委員會法の立案となつたものである。
しかし民營還元に當つては第一段階として船舶と船員とを船主返し運航業務をOMMCに殘す案も考えられているが、場合によつてはこの運航業務をも船主に返すことも考えられている、もちろんこの場合でも當分の間輸送計畫や配船計畫は海運總局で立喚實施する模様である」こういうような新聞記事でありますが、私どもはこの場合考えなければならないことは、當然統制されなければならない、また國家管理あるいは國有公營へ移さなければならない産業というものが、この獨占禁止法に便乗いたしまして、個人の獨占の方向へいく危險性があると私は思いますが、この商船委員會というものの内容はわかりませんけれども、こうしたものを立案なさる場合に、少くとも海運組合あるいは運營會の勞働組合というものがあると思うのであります。そういう方と完全に御相談になつて、そうして最も社會化された方法を御考慮願いたいと思うのであります。そういたしませんと、またとんだところにいつて摩擦が起きてくると思う。一方的の、ただ行政的意味からのみの協力ではなくして、實際に海運事業に從事しているところの、組織勞働者をも含めたところの最良の案を決定されるようにしてほしいと思うのであります。なおこれに對しましてはいろいろ意見なり質問もあるのでありますが、きようはすでに時間もありませず、おそらくこうした法案がこちらへ出てまいりますまでに、よくそうしたほんとうに海運業に携わつているところの人々と相議の上で立案されんことを切にお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/63
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064・有田喜一
○有田政府委員 速記を止めて…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/64
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065・正木清
○正木委員長 船員保險法の一部を改正する法律案に對する質疑はこれをもつて終了いたしました。次會は十三日、水曜日午前十時より討論採決を行いたいと思いますから、御準備を願います。
本日はこれにて散會いたします。
午後四時十三分散會発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100103889X01019470811/65
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