1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年八月二十八日(木曜日)
午前十一時五十五分開議
出席委員
委員長 坂東幸太郎君
理事 門司 亮君 理事 矢尾喜三郎君
理事 川橋豊治郎君 理事 酒井 俊雄君
大石ヨシエ君 笠原 貞造君
久保田鶴松君 大澤嘉平治君
佐藤 通吉君 千賀 康治君
坂口 主税君 大村 清一君
中島 守利君 外崎千代吉君
加藤吉太夫君
出席政府委員
内務事務官 久山 秀雄君
委員外の出席者
内務事務官 原 文兵衞君
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本日の會議に付した事件
道路交通取締法案(内閣提出)(第四〇號)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/0
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001・坂東幸太郎
○坂東委員長 これより治安及び地方制度委員會を開會いたします。
日程の順序を変更いたしまして、道路交通取締法について前會に續きまして質疑を行います。どうぞ質疑を願います。
ちよつとお伺いしますが、取締ですから一般に、外國使臣とかそういう方面についても同様な取締をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/1
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002・久山秀雄
○久山政府委員 交通の取締はもちろんすべての通行いたしまする車について適用があり、またそうでなければ交通取締というものの意義がないわけでありまして、從いまして外國の人の車につきましても、この法令の適用はもちろんあるわけであります。ただその處罰というふうな點につきましては、また別個の立場から、日本は現在處罰權をもつておりませんものにつきましては、もちろん日本政府はやるわけにはまいりませんが、法律自體はすべての國人に適用があるということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/2
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003・坂東幸太郎
○坂東委員長 なおちよつと一言伺いますが、違反者の取締方法は一々召喚して調べるという方針ですか。アメリカなどの調べる方針は、その場ですぐ違反を確認さして、それから罰金なら罰金を納付さすというように簡單にやつておるのですが、日本はどういうふうにやりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/3
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004・久山秀雄
○久山政府委員 おそらく非常に輕微な違反については、そこであるいは始末書をとるなり説諭をするという程度で、取締りの目的を達する場合ももちろん多いのではないかと思うのでありますけれども、非常に重大な違反については、ほんとうに刑罰を科するというような違反については、もちろんその場で直ちに刑罰を科することは日本の憲法なり、法律の建前では認められておりませんので、それはやはり一般の犯罪の處置と同じように、やはりそれぞれの手續きを經なければなるまいと考えております。もちろんこういつた交通事故に對する裁判なり起訴なりという處置は、特別に早く處置がつきますように、裁判所の方でも簡易裁判所なり、巡囘裁判所といつたものまでも考えておられるようでありますから、そういう點はその方の施設の擴充、整備によつて補つていくのでありまして、やはりこの際それ自體が直接裁判にあたるような刑の言渡しとかいうことは、現在はできないのであります。ただ交通事故といつたようなものに對しまする取締りの性質上、非常に早く處置をつけるという點については、今申したような裁判機關の擴充と相まつて、そういうような處置にいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/4
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005・大澤嘉平治
○大澤委員 道路取締令の執行についての警保局長の御意見をお伺いしたい。大體現在の法規では、もし道路上において人を傷害した、あるいは過失致死にしたような場合は、もちろん法廷でこの判決をするということになつておるのでありまするが、今度改正せられる取締令によつても、その點は同じ法令でこの判決をされることになるものと思いまするが、大體交通機關というのは御承知の通りその場限りの、いわゆる現行犯というようなもので、實際のこれに對しての調査が非常にむずかしいことだと思います。これに對して、もちろんやむを得ない。被害者の方が不注意で、道路取締令を無視した結果から事故を發生したような場合に對しての斷定をするのには、かりにその自動車なら自動車に同乗している乗客等の證明というか、證人というか、それに對しての法規は、同乗しておるお客なり、あるいは主人公なりが證明したと同じ扱いになるかどうか、この法規ではわからないでしようか。その點に對しての扱い方を一應警保局長にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/5
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006・久山秀雄
○久山政府委員 自動車事故の場合に、被害者の方に重大な過失があつて事故が起きた、もちろん事故がありました場合には、警察におきまして事故の現場に臨みまして、當時のいきさつについて關係者の證言なり、その他實際の状況につきまして、詳細に檢討をいたすわけでありまして、その結果被害者に完全に過失があつた、交通違反がむしろ被害者側にあつて、いかなる注意をもつていたした場合におきましても、またそれが規定の速度の範圍であり、交通規則を守つて、しかも十分なる注意をもつてやつておりました場合においても、被害者側の重大なる過失で、やむを得ずそういう事故が起きたというふうな結論がはつきりすれば、もちろん本人に對しまして、人をひいたというような意味合の交通違反の處罰はやらない。それは一般の犯罪と同様に、本人の故意でなく、違反しておる點はないということが、種々の状況から判明すれば、それはもちろん處罰しないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/6
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007・大澤嘉平治
○大澤委員 それから先ほどの局長のお話によりますと、日本人のみでなく、日本に國籍を有する外國からきておる自動車とかいうようなものに對しても、同じ日本の法律を考えるとかいうふうに聽えましたが、實際においてそういうことが、アメリカ人とか支那人とかいうものに對して、日本の法律でこれを取締ることはできるものでありますか、その答辯をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/7
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008・久山秀雄
○久山政府委員 實際の取締りということになりますと、日本政府にはこれを處罰する權限はない。外國人に對しては日本側で直接取締りをすることは事實困難でありまして、大體この法規が發布されますと、この法規によつてそういうものの管轄をもつておる連合軍側におきまして、たとえばM・P等がそういつた違反にしても、この法規によつて一緒に取締りをしてくれるのでありまして、現實に日本の警察官が調べるのでなくて、この法規によつてそういう取調べ權限をもつておる向う側が取締りをするというかつこうに實際はなるのであります。法規そのものは別でありますが、ただそれを處罰する權限が日本側にない人については連合軍、つまりその處罰の權限をもつておる取締り官憲が、この法規によつて取締りをしてくれる。こういうふうになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/8
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009・大澤嘉平治
○大澤委員 そうすると、現在東京都などにおきましては、アメリカの自動車が日本の自動車よりも多いというふうにも見受けられる現状でありまして、これに對して日本人だけの取締りであり、しかも罰則も日本人だけを罰するということになつてくると、當然に日本の自動車交通あるいは自動車の發達、ひいては産業の發達ということにも影響するわけであります。こういうものに對して日本の自動車だけを取締るだけの法律ができて、しかも外國の自動車の數が多い現状から見て、それに對して取締れないことは、まつたく日本の將來の交通の發達は當然望めないことになります。もちろん外國の自動車も同じ罰則でやることはでき得ないかもしれませんが、政府當局においても、連合國最高司令官なり、あるいは連合國側に對して、同じ道路を同じ自動車で走つておるのだから、當然お互いの事故も、お互いの立場の危險ということは同じわけでありますから、それに對して法律を制定する以上は、政治的の意味か、あるいは何かの方法によつて相談をしていただいて、少くともアメリカの自動車だろうが、あるいは支那の自動車だろうが、英國の車だろうが、日本の車と同じように、取締りの任にあたるものとか、あるいは事故の發生の場合の處置に對しては、扱つていただくような方法に御盡力を願いたい。そうでないと、日本の自動車だけを嚴重に法律をもつて取締つたところで、交通機關の發達はもちろん阻害されるし、また事故の絶無、いわゆる道路上における治安、公安を保持していくことはでき得ない。それに對して實際問題として、よく懇談されて、連合國の了解を得ていただくように、何とか方策がありましたならば、一應この機會に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/9
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010・久山秀雄
○久山政府委員 お話の點はまつたく御同感でございまして、交通取締りは、すべての交通者がこの規則を守るということでなければ意味がないのでありまして、その點につきましては連合國の方も非常に注意をしておられまして、どちらかと申しますと、向うの方がこういつた規則を守り、規則に從つて交通をするという觀念は、非常に發達しておるのではないかと考えるのでありまして、現に向うの車の運轉臺のすぐ前には、市街地においてはいくらという速度の制限までちやんと書いてあるほどであります。從いましてこの法律の制定につきましてもG・H・Qの方とも十分連絡をしておりますし、取締りについては向うもずいぶん誠意をもたれて、向こう側の取締りはこの法律に準じてやつてくれることになつておりますが、今お話のような點を體しまして、この法律の實施については、向う側の好意ある協力を得ることについて、さらに一層連絡を密にいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/10
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011・佐藤通吉
○佐藤(通)委員 前會の委員會にも私は二、三私見を述べてお答えを求めたのでありましたか、本日も二、三私見を申し上げまして、今度新たに制定されんとする交通取締法案に對する政府の意圖をはつきりしておきたいと思います。
第一に將來における交通取締りは、日本人だけを對象にするものではないということを一應考えておかなければならぬと思います。そうすると商法における手形法、小切手法がいわゆる世界法の形式をとつておりますように、交通取締法もやはり法規の世界法化、國際化——こういう名前をつけることが妥當かどうかわかりませんが、こういうような傾向によつて立案されることが要望されるのであります。將來日本が占領の覇絆から脱して、國際場裡にひとり歩きをするような状態になつたとすれば、おそらく世界人が日本に到來するでありましよう。その場合に、世界におけるいろいろな國々の取締法規と相符合せず、しかも日本に最も多く來ることを豫想される米國の取締法規と、日本の取締法規が抵觸するような場合がもしなしとせぬか、おそらく日本に參りまして非常に交通上の支障を感ずるだけでなく、日常生活に大きな不便を味わうこともまれではなかろうと思うのであります。その意味において、今度制定されんとする交通取締法案について、私が今申しますような法規の國際化、世界法化というような精神がくみ入れられておるかどうかということが一つ。
それからこの前の私の質問にも多少關連をもつておりますが、條文のいろいろな點に命令に委任しておるところが非常に多いのであります。交通ということはわれわれの日常生活に密接な繋がりをもつておりますが、最も根本的な事項について法律でこれを定めるということ、その他政令に委任するということは、立法技術の上においては妥當かもしれませんが、日常生活に最も繋がりをもつ交通の面について、これは便利だから、これは不便だからということで、ことごとく政令で勝手に随時随所に施行されるようなことでは、われわれの知らぬ間に交通法規が改正されたというようなことで、日常生活に非常な不便と不安を感ずるようなことが起りはせぬかと思います。命令に委任されておる條項に對して、今後修正される意向が政府にあるかどうか。
次は自動車の取締りに對しまして、私の知る範圍では、運轉免許は内務省の系統の方で仕事をし、自動車の車體檢査は運輸省でやつておるように記憶しておりますが、こういうようなことは取締りの一元化という立場から言うならば、せめてこれを内務省系統の方で仕事をまとめてやつていただきたいということを私は希望する。また運輸省に車體檢査を今日任さなければならないという強い理由はないのではないかと思う。これに對して運輸省に車體檢査だけを任したことについて、何か有力な根據があればその點を伺いたいと思います。これが第三點であります。
この前もこの點はお話したのでありますが、道路の管理についてもやはり取締りの二元化であります。警察と道路管理者との間に二つの取締機關があつて、お互いに事務の折衝をしなければ道路管理がうまくいかないというような不便もあることを考えますならば、この際これなども交通警察という大きな立場から、すなわち内務省系統なら内務省系統の方に、これを一元的にその取締の權限を移していくことが必要ではなかろうかと思う。この際新たに交通取締法案を制定されますと、從來のようなそうした行きがかりを捨てて、もつと高いところから取締るということに目をつけて、法規などを制定されることを希望したいと思うのであります。
それから第一條の問題でありますが、これは修正される意向があるかどうか、私はこの第一條を檢討いたしまして、どうもぴんと來ないと思う。これは私案でありますが、第一條を道路における傷害を除去し危險を防止し、併せて交通の圓滑と安全をはかるということが、この法律の目的であるというふうに、もし修正ができるならば、政府側でそういうふうな案についての考え方についての御檢討をも望んでおきたいということを、私は一言附け加えておきたい。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/11
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012・久山秀雄
○久山政府委員 交通取締法規の國際化と申しますか、將來殊に自動車の發達の状況を考え、また將來日本の國際的な立場を考えまして、どういう取締法規をつくることが、そういう立場からは一番いいかということも、もちろんこの法律の立案にあたりましては、考慮をいたしたのであります。先般も御質問がありましたように、アメリカは右側通行という立場をとつておるのであります。しかしヨーロッパにおいては左側通行という方針を立てておる。それぞれ右側左側違つた立場を立てて、それに伴ういろいろの施設が行われておるという現状で、現在の日本及び將來の日本の交通を考える場合に、何といつてもアメリカの影響というか、アメリカとの關係が一番多いという點から、あるいは右側の方針をとることが、交通法規の國際的な觀點から言えば、少くとも現在及び近い將來における日本の交通法規としては、その方がいいということは、一應言えると思うので、現に連合軍司令部からもそういう觀點から、殊にアメリカから來る兵隊その他の人が、日本の交通事情が右と左と違う觀點から神經衰弱になる、事故もいろいろ出て來るというので、右側を通行するように日本の法規を変え、從つてそれに伴ういろいろの施設も変更してはどうかという相當強いサジエスシヨンがあつたわけですけれども、これも非常な經費と資材がかかるので、日本の現状からすれば、今ただちに左から右へ切替えることは、そういう資材とか費用の點において難點があるということで了解を願つたいきさつもありますので、主としてそういう面からここ當分は、どうしても從來もやつておつたような交通の原則を遵守していかないと、實際上右に切替えても、これに伴う施設の整備ができかねるという理由から、實は左側通行という從來の建前をそのまま維持したようなわけであります。その他、そういう右と左ということを除けば、大體現實における交通の取締方式、やり方はおのずと世界各國共通であろうと思うのでありまして、常識と申しますか、いろいろの便宜の經験から、こういう場合にはこういうふうに通行を統制取締をするということは、各國とも大體同じ方式でやつておると思うのでありまして、その右と左という點だけが、お話のような觀點から最も大きな問題であろうと思うのでありますが、それはただいま申したような理由から、現状のままいくよりほかにしかたがないということに相なつておる次第であります。
それからこの法律の中で、命令をもつて細部の規定をいたすようになつておりますが、この點は實は最初法律をつくる場合に、できるだけこの法律の中に織りこんでみようというので、いろいろやつてみたのでありますが、どうもあまりにも技術的な細部の問題のみであるので、どうもこれを一々法律の中に織りこむよりも、かえつて命令で規定した方が實際的であろうというので、途中でまたそれをやめて、命令で規定するというふうに書きかえたようないきさつもありまして、御趣旨の點はよく私どももわかりますけれども、現在のところでは、やはりこういう細部の技術的な問題、しかもこれをどういうふうに規定するかということも、大體常識と申しますか、從來やつておる經験に基いて一定のやり方がきまつておりますので、これは命令にお任せを願つても、別に問題はなかろうと考えて、こういう法規にしたのであります。なお具體的に詳細に各條ごとにどういう事項を命令で豫定しておるかということを印刷して、できれば今日午後にでも、あるいは遅くとも明日午前中にはお手もとに差上げたいと思いますので、その事項をごらんくださいますと、大體命令にお任せいただいても心配のないような事項だけを規定するつもりでおりますので、その點はひとつ御了解いただきたいと考えます。
それから車輛檢査と申しますか、車輛の免許のことを現在は警察でやつておるのでありますが、今囘この法案をつくりまするのと竝行いたしまして、運輸省の方で道路運送法案という法律をつくつて、同じく本國會に提出をいたしておるのでありますが、これは主として事業の發達と申しまするか、輸送の強力なる發展をはかる重要な見地からできておる法律であるのでありまして、その際いろいろ協議をいたしたのでありますが、車體の大きさとか、それに對しまする構造とかいつたような點につきましては、交通取締の上からも關係があることはもちろんでありますけれども、將來の日本の道路輸送ということを考えまして、むしろこれは運輸省の所管いたしまする事業の助長という面から、一定の構造、装備を考えていく。それに對しまするいろいろの資材の割當とういうふうな觀點からも、かえつて運輸省において所管いたしまする方が自動車の發達といいまするか、そういう輸送の強化という面からは、より便宜が多いのではないかというふうに考えるのであります。もちろんこれはただいま申しましたように、交通取締という面からも關係があることでありますので、具體的な細部の命令を出します場合は、もちろん内務省と相談しまして、兩方の省令で出すことに打合わせはしておりますが、警察の取締りよりも、むしろ一應所管の役所で輸送事業の助長という面から、この車輛そのものの構造装備について管理するというふうにした方がよかろうというふうな結論に到達したのであります。もちろんこれにつきましては、關係方面におきましても、やはりそういつたような意見が非常に強くありまして、そういつた關係もございました經緯から、二つにわかれたようでありますが、一應車體の構造装備、檢査というものは、運輸省の所管に入れるというふうになつておつたのであります。もちろん現實の交通取締の面から、警察といたしましても、あるいはライトの設備が惡いとか、ハンドルが完全でないというふうなものを檢査いたしまして、そういう状態において交通をいたしておりまする場合には、もちろんこれは違反として取締りをいたすのでありますけれども、一應本體の装備、構造自體は、運輸省の所管に入れたという状況になつておるのであります。
それから道路管理者と交通取締の見地からいたしまして、この法律によりますれば、警察署長でありますが、そういうものとダブつて一つの事業について關係をもつということについて、いろいろお話があつたのでありまするが、これもこの前お話を申し上げましたように、道路の管理維持補修という面と、交通の取締りという面は、役所が違い考え方が違つておりまする關係上、現在の法律といたしましては、こういうやり方をする以外に方法はないと考えておるのでありまして、これもお話のような趣旨からいたしますれば、道路なり交通に關しまする一切の問題を規定する法律をつくり、その法律を執行いたしまする一つの役所ができますれば、そういう問題は解決いたすかと思うのでありますが、現状においては管理者の權限、職務範圍と交通取締を管轄する警察官憲の關與する面とが二つになることは、どうしてもやむを得ないのではないかと考えているのであります。ただ實際上の取扱いといたしましては、二重の面からの管轄があることによつて不便のないように、事實上の事務の連絡によつて、一般の人には二重に御迷惑はかけないように扱うことに準備をいたしておるのでありますが、大體そういうような状況なので、これを一本にするということは、現在のところでは困難であろうというように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/12
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013・佐藤通吉
○佐藤(通)委員 第一條はこのままでお通しになるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/13
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014・久山秀雄
○久山政府委員 これは別にどうしてもこういうことでなければならぬというわけではないのでありまして、お話のように、あるいは障害を除去し危險を防止し、その他交通の安全をはかることを目的とするとかえた方がよりわかりやすいし、適當であるというのでございますれば、そういうふうにかえることについては、私どもの方で強く原案を支持するという意向はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/14
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015・千賀康治
○千賀委員 交通の取締りにつきまして、これは昨年のことで、必ずしも現内閣の政令を批判するということにはあたりませんけれども、ここに御出席の政府委員諸君は、當時から責任の衝におられた諸君であると思いますので、官僚諸公が政令を取扱う一つの傳統的な動きに對しまして批判をするという點については、やはり今お答えを願つても有意義だと思いますからお伺いをいたしますが、昨年の十二月頃左側通行が右側にかえられて、實に執拗に日本の各警察を通じて民衆を指導せられたのでございます。これについては、ずいぶん悲喜劇もあり、ずいぶん不自然な點もたくさんに出ておつたのでありますが、われわれはこれは連合國の後ろの力がかくさせるのかと思つて默してこれに從つていこうという決心を定めて、地方におる一人の指導者として、民衆を指導しにかかつたのでありますが、また突如としてこれを左側にかえられたということにつきましては、政府のやろうとすることを押しつけようという立場にあつた者の迷惑も大したものでありますが、また民衆諸君が、日本の政府に對して軽蔑の念を深める實によい端緒になつたとさえ思われるのであります。爾來警察の言うことなどはほごにした方がいいんだという強い觀念を植えつけた。この點につきましては、まことにおもしろくない現象であると思うのでありますけれども、何ゆえにああした自信のない政策を官僚諸君はとられるのか。當時は自由黨の内閣でありましたが、いずれこれは閣僚が進んでああいうことは考えまいと思います。これは、閣僚のもとにおられて、すべての機構の中樞的な働きをしておられる官僚諸君が、何か感ずるところあつて、かような指導をせられたと思いますけれども、實にあわれな政策であつたのであります。このよつて來るところを、ここで簡單で結構ですから伺いますことは、將來われわれがもろもろの政令を推進し、あるいは國政に確固たる信頼を國民に植えつける非常なよい參考になると思うのでございますから、この際あの當時の状況を御發表願いたい。
それと、これもやはり交通取締に關係いたしておりますが、前々囘の當委員會におきまして、大石ヨシエ女史が、品川の交通取締におきまして問題の起つたことを、私はここで取扱つたのでございます。そのときに、警視總監が私の調査によればこうであつたといつて、この席におきまする大石ヨシエ女史の陳述と、非常に大きな開きのある發表をせられましたので、私はこれに異議を唱えまして、それは調査ではあるまい、あなたの下僚からの聽書であろう、聽きとつたことではこうだというのであれば一應認めるけれども、調査ということについては、斷じて認めないということを言いまして、取消しせられたのであります。この委員會におきまして、委員として發表せられた關係者の言葉と、部下から當局が聽取せられた筋合いと、非常に大きな開きができておりますことは、このままにこれを看過いたしますことは、どうもおもしろくないと思うのでございます。われわれは巡査を處罰する目的で、かようなことを言つておるのではない。要は交通の完全なる取締り、民衆のための、民主主義の交通取締を目標として言つておるのだということで、一應けりはつけた形になつておりますけれども、また昨今新聞紙上におきましては、この問題と併せて別な同種類の問題が取扱われておりますので、私といたしましては、やはりここで言葉の食い違いは清算しなければいけないと思います。その後當局の方では、この問題を調査なされて、どういう結果が出ておるか。當局の調査とこの委員會の委員の發言と、この開きをどういう形にして埋合わせをつけておいでになるおつもりであるか。この點を伺いたいのでございます。もう一つ、私は當時特に言葉を添えまして、われわれは民衆として取締りを受けることは喜んで受けるのだ、われわれが代議士であるために、特に特權を認めてくださいというようなことは、毛頭考えておらぬ。まつたく日本の民衆が警察當局から取締られる、指導を受けると同じ立場で、同じ態度で指導を受けることは、まことに喜んで受ける、これはわれわれの望むところである。こう申しておいたのでありますけれども、考えようによつては、代議士がこの議場に出席をしてまいりまするその途中は、すでに公務に從事しておるのでございます。私はかつて岡崎市の助役が市役所に出仕する途中において傷害を受けて、これが公務傷害になるかならぬかということにつきまして、大いに私の身邊にこの問題に對して觸れたことがあるのでありますが、とうとう私の主張通りに、これは公務であるという判決になつたことがあるのであります。かようなわけで、代議士が當所に出てくる道は公務でありまして、公務であるということがはつきりしますと、われわれは民衆以上の取扱いは受けたいとは考えませんけれども、公務についておる公職者の立場からいいますれば、なるべく、日本の官憲も、あらゆる方が、われわれの任務の執行に對して援助を與えていただく、よりよき立場において任務が執行できるように、いろいろ御配慮を受けるということは、これはわれわれが希望するのでなしに、われわれを代表として出しておる國民全體が、これは希望しておるのだと思います。その觀點からしてみれば、この公務ある人に對して、大きな言葉の食い違い、陳述の食い違いができまして、そこに何らか考えさせられるものがあるということになりますと、處罰は私は要求しませんけれども、とにかく上司に對して、さほど大きな食い違いの事實を偽つて上申をしておるという人たちの態度に對しましては、これはやはり相當にお考えにならなければならないことと思います。聞くところによれば、その人が現在におきましても、なお傲然として同じ立場で同じ位置におつて、ことさらに大石女史などの顔を睥睨して挑戰的な立場におるというようなこともうわさに聞くのでありますが。もしそういうことが事實だとすれば、これは少し行き過ぎじやないか。かようにも思うのであります。私は前囘の委員會におきまして、この點について質問を通告いたしておきましたから、警保局長もおそらくこの點について何かの御囘答の御用意があると思いますので、簡單で結構でありますから、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/15
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016・久山秀雄
○久山政府委員 最初のお話につきましては、これはちよつと速記を止めていただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/16
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017・坂東幸太郎
○坂東委員長 ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/17
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018・坂東幸太郎
○坂東委員長 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/18
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019・久山秀雄
○久山政府委員 交通の取締りにつきまして、いろいろ問題が起るのでありますが、私も先日やはりそういうことにつきまして、一つの新しい考え方をもち、深く感銘いたしたのでありますが、なかなか第一線で取締りをいたしておりまする交通警察官の交通取締のやり方がむづかしいのでありまして、私の場合を申しますると、たしかに嚴密な意味におきましては、交通違反ではあつたのであります。しかし違反は違反といたしまして、おのずとそのときの事情なり、その人の身分なリ、現在の急いでおる状況とか、そういういろいろのすべてのものを總合判斷いたしまして、これに對して適切な處置をするというそのことが、なかなかうまく決定をいたしておりませんので、違反があれば、いかなる時期、いかなる人に對しても、これを徹底的に追求して、その人の迷惑も、一切の公務的な關係も考慮せずに、ただ違反の面からだけ、これをあくまでも取締りの觀點から、執拗に取締りを續けるということが、私の場合の問題であつたのでありますが、おそらくお話の場合においても、そういつたことがあつたのでなかろうかと思うのでありまして、大石さんの問題につきましても、所轄の署長さんから直接に報告にまいりまして、私どもが當時その事情を聞いたのでありますが、たしかにこれは行き過ぎでありまして、もしそれが形式的の意味合いにおいて、交通の違反であるといたしましても、おのずとただいま申したような意味合いにおいて、それを處置する態度なりしかたというものがあるのでありまして、そこに取締りにあたる者の困難もあると同時に、そこに妙味があるわけでありますが、そういうことがいろいろの場合になかなかうまく決定をいたしておらぬということが出てまいりましたことは、はなはだ殘念であります。しかしこれはまた一面考えてみますると、あまりむずかしい判斷を求めましても、なかなかうまくまいりませんので、まず非常にみだれておりまする現在の交通というものを、一應法規に從つてやらせる。まず第一段階においては、ある程度徹底的にいき過ぎるくらいに、交通規則というものの嚴格な施行をやらせる。そうして大體そういうふうに順應してまいるという時期におきまして、さらに今度はより適切に具體的に治安を處理する。こういうふうに漸次警察官の方の訓練におきましても、そういつたようなことによつて、だんだん向上を期していく、初めから嚴格にはやるが、そこをひとつ事件に應じて適當にやるというようなことにいたしましても、なかなかそれがうまく適切にこなしきれないというふうな場合が多々あるのでありまして、それがいろいろ具體的に現われまして御迷惑をおかけいたすということになつたのでありまして、その點は非常に恐縮をいたしておるのであります。今千賀さんのお話のように、この警察の報告等におきまして、自分の方の都合だけから、事實でないような報告をするというようなことは、これはやはり往々あるのでありまして、私ども常に戒めておりますことは、事實は事實として報告をする。そうしてそれに對する處置というものは、おのずとそれぞれの責任者があつて、それが考えるのであつて、第一線の警察官、署長というものは、現實ありのままを正直に報告をするということが、事態を處置する上に最も必要であつて、最初から事態をゆがめてよいように報告をしてくるということから、不必要に問題を複雜にするということにつきましては、私ども絶えず注意をいたしておるのでありまして、惡かつたことは率直に惡かつたといえば、それに對する處置責任はおのずとわれわれのところで考える。君たちは正直にありのままを報告するということが大事な義務であるというように、絶えず訓練をいたしておるのでありまして、そのときの署長の報告によりましても、たしかにその警察官は非常に行き過ぎた處置をとつておると、私は考えておるのであります。從いまして、警視廳の答辯に對しましても、そういう行過ぎた處置をしておるという建前において、これをこういうふうにしろというまでは私は申しませんが、そういうことを前提として、適當な處置を講ずるということを言つておるのでありまして、その點に關しては、警視廳の首腦部も、よく了承しておるはずでありまして、私直接幹部から聽いたのではありませんが、何か勤務がえをしたということも、實は聞いておるのでありまして、これは警視廳の首腦部におきましても、十分了承しておると、さように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/19
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020・大澤嘉平治
○大澤委員 警保局長の今のお話で伺いますと、地方の各府縣に駐屯しておる連合國の司政官からの命令で、警察署長なり、あるいは地方長官なりの命令で、右側通行をやらしておるというお話でありますが、實際問題といたしまして、各府縣ごとに交通取締がそういうふうに違う場合は、まつたく交通事故の發生は、當然起ることになるのでありまして、かりに本縣においては左側通行である。隣りの縣にいけば、右側通行であるという交通の煩雜が、事故の發生を殖やす結果になるようなわけでありますから、どうしても今度の取締法規も、各府縣の地方長官において、取締規則以外に、別の命令を出す、法令を出すというような制度でありますから、各府縣ごとにまちまちの取締りをしていくという結果にならないとも限らぬと思います。こういうことでは、全國を歩く自動車のことでありますから、事故の發生を法律によつて起すというような結果にならないとも限らないのでありますから、この新しい交通取締法令ができた以上、これ一本で、各府縣ごとに別の法令を出すことのないように、何か特別の法令をつけてもらうということにでもしてもらわなければ、これではまつたく困る結果になるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/20
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021・久山秀雄
○久山政府委員 御心配の點は、この法律で豫定いたしております内務省令によりまして、全體的な府縣に通じます細部の規定をいたしますので、そういうことは起らないのであります。そういう全般的な命令の規定に基きまして、具體的な認定を縣知事がいたすということになりますので、お話のような事態が起る心配はないのであります。ただ先ほどのお話は、まつたく別の問題でありまして、現在のこの法令によりましても、そういうことが起るおそれは絶對にあり得ない、かように法規上も考えられるのでありまして、その點については、御心配のような事態は起らないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/21
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022・佐藤通吉
○佐藤(通)委員 大體質疑も盡きたことと思いますので、この邊で質疑を打切りまして、質疑に對する政府側の囘答を一應考慮に入れて、この案の修正その他について、後ほどこの委員會で相談を願つたら結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/22
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023・坂東幸太郎
○坂東委員長 質疑終了に異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/23
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024・坂東幸太郎
○坂東委員長 それでは質疑はこれをもつて終了いたしました。
次は三十日午前十時より開きます。日程は公報をもつて通知いたします。これをもつて散會いたします。
午後一時五分散會発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104398X01219470828/24
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