1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年八月二十一日(木曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 喜多楢治郎君
理事 石神 啓吾君 理事 佃 良一君
理事 片岡伊三郎君 理事 福永 一臣君
理事 中村元治郎君
赤松 明勅君 林 大作君
松原喜之次君 山口 靜江君
岡野 繁藏君 櫻内 義雄君
松井 豊吉君 山本 猛夫君
關内 正一君 辻 寛一君
出席國務大臣
商 工 大 臣 水谷長三郎君
出席政府委員
貿易廳長官 永井幸太郎君
貿易廳次長 新井 茂君
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八月十五日
貿易組合法を廃止する法律案(内閣提出)(第
三九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
貿易組合法を廃止する法律案(内閣提出)(第
三九条)
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001・喜多楢治郎
○喜多委員長 これより会議を開きます。
去る十五日本委員会に付託されました内閣提出、貿易組合法を廃止する法律案を議題といたしまして、審査にはいります。まず本案の趣意について、政府の説明を求めます。水谷商工大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/1
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002・水谷長三郎
○水谷国務大臣 ただいま委員長のお言葉通り、貿易組合法を廃止する法律案の提案理由を説明させていただきます。
貿易組合法は昭和十二年八月法律第七十四条として、従来の輸出組合法に代り制定されたものでありますが、その立法の趣旨は、貿易業者の組合結成を促しまして、輸出輸入両部門にわたり組織化を実現し、協同組合的機能よりも、むしろ貿易統制の機能を整備強化しようとしたものであります。終戦後社会機構一般の民主化は、経済機構の民主化を当然要請し、公正かつ自由な競争を促進し、国民経済の民主的で健全なる発達を目的とする私的独占禁止法の制定を見ましたが、かかる状況のもとにおきまして、貿易組合法を旧体のまま放置することは、そのアウトサイダーに対する統制権、これは十八条でございます。統制業務のみを営む無出資組合の設立、これは二十八条でございます。議決権の不平等、これは十六条、三十五条でございます。強制設立、強制加入、これは二十二条、四十五条、四十九条でございます。これらの規定がそれぞれ独占禁止法の趣旨たる私的独占の禁止、不平等なる取引制限、不公正なる競争方法の排除に抵触するものであります。また一方現下の貿易は、連合軍最高司令部の好意によりまして漸次軌道に乗り、近くはバイヤーの来朝を見て、いよいよ貿易再開の明るい希望をもつに至つたのであります。御承知の通りこれらの貿易は、いわゆる民間貿易再開後といえども、総司令部の管理のもとに運行される管理貿易でありまして、この方式のわく内でのみ行われますので、貿易業者の活動も、現在においては貿易組合を残置する必要はなくなりまして、貿易組合は大部分解散いたし、先般までありました九つの組合も、それぞれいずれも閉鎖機関に指定せられまして、目下精算の過程にあります現状でございまして、貿易組合廃止後は、貿易公団の運営とともに、業者の創意と工夫を十分活用いたしまして、貿易振興をはかりたいと考えております。以上の理由によりまして、今回貿易組合法を廃止せんとするものでございまするが、何とぞ御審議の上御可決あらんことを希望いたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/2
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003・喜多楢治郎
○喜多委員長 ただいま政府より本案の趣旨をお伺いいたしましたが、これより本案について質疑を行います、委員の発言は順次これを許します。赤松君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/3
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004・赤松明勅
○赤松(明)委員 私は水谷商工大臣に、本案とは別の緊急質問を試みたいと思います。本日の朝日新聞紙上に、博多沖合を航行中の日本の船舶が、国籍不明の、たしか三機と見ましたが、飛行機から爆撃を受けておる。その一機はその船の上空に来て爆弾を投下したが、百メートルばかりの所で幸いに船体は被害はなかつたという報道であります。ただいま提出法案の説明に当つた水谷商工大臣の言のうちにも、管理貿易である。管理貿易であるけれども、明るい日本経済再建のための民間貿易が、連合国の好意のもとに許された。この日本経済再建の朗報を聴いたその直後において、しかも憲法上自衛の武器ももたない日本の船舶が、指定せられ、許された航路を通行しつつある折りに、かくのごとき不詳事件が起つたということは、これは重大なる問題である。単にその一船舶の問題に止まらず、一日本国の問題に止まらず、おそらく今日の国際情勢下におけるところの、世界に与える大きな問題ではなかろうかと考える。この点において、もちろん管轄の問題とすれば内務大臣の問題になるのか、外務大臣の問題になるか知らないが、今後のいわゆる民間貿易の、しかも四面海によつて囲まれた日本の貿易の途は海上輸送よりほかない。しかも乏しい船舶をもつて輸送するよりほかない。この日本の商権確保の建前上の商工大臣としての御見解を伺いたい。まだ今日発表されたので、われわれとしても十分調査する期間をもつておりませんから、おそらく御調査にはなつていないだろうと思うが、これに対する心構え、こういうものを承りたい。しかもその真相を糾明して、その後に対処する方策を、どういうふうにお考えになつているかということを承りたい。以上商工大臣の御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/4
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005・水谷長三郎
○水谷国務大臣 ただいま赤松委員の御指摘になりました事実は、同君のお言葉の通りきわめて遺憾な問題でございますが、これに関しましては、先日の閣議におきましても、所管大臣の運輸大臣から御説明がありましたが、今朝の新聞に出ました以上の詳しいことはまだわからぬので、あの新聞に出た程度の御説明しかなつかたのでございます。いずれ所管大臣から、十分調査がありました上におきましては、閣議におきましても報告されまして、いろいろ意見が闘わされるであろうと思いますが、ただいまのところでは閣議の運輸大臣の報告も、新聞記事以上の何ものも出ていないというような状況でございますので、今商工大臣といたしましまして、それに関しまして、さしでかましい意見を発表いたす時期ではないと思います。いずれ、重要な問題でございますから、貿易問題と関連いたしまして、所管大臣の御出席を求められまして、適当な機会に所管大臣から十分御説明していただけば結構ではないかと思いますが、また商工大臣といたしましても、こと貿易に連関するものでございますから、事情がはつきりいたしますならば、適当な機会におきまして当局としての意見を申し述べることがあるかもしれませんが、ただいまのところにおいては、そういう事情でございますので、その点は悪しからず御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/5
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006・赤松明勅
○赤松(明)委員 ただいまの商工大臣の御意見諒とします。ところで、これは単なる商工大臣としてでなく、日本の国政をあずかる国務大臣としての立場において、少くともわれわれが管理せられている今日の実体においては、われわれとしては調査は困難であるかもしれないが、関係方面に対してこの真相の糾明方を移牒するなり、適当な方法をもつて、最も速やかにいかなる国の飛行機が何を目的としてれこを爆撃したものであるか、今後再びかかる不祥事が自衛権をもたないわれわれ国民に対して与えられるという場合は、いわゆる管理する者としての責任をゆるがせにすることはできないと思われる。この点について御努力を願いたいということを要望しまして、質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/6
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007・林大作
○林(大)委員 ただいまの貿易組合法について四点ほどお尋ねいたします。第一点は貿易組合を廃止さるるに当りまして、大体何箇月くらいのうちに廃止が完了するものであるか、できることなら三月か半年以内には全部精算を完了するように御配慮願いたい。往々にしてこういう組合は、廃止が決定いたしましてから二年も三年もぐずぐずとひつかかつておるのが多い。そういうことのないように大体の見透しを承りたい。
第二点、ここに配布されておりますところ貿易組合法は、昭和十二年八月十三日法律第七十四号によるものでありますが、貿易公団設立まで存在し、現在も多分八十一だつたと思いますが、輸出入組合が存在しておるわけでありますが、その八十いくつの組合は、この貿易組合法によつてできておつたものであるかどうか、この点を承りたい。
第三点、この八十前後の輸出入組合は、交易営団その他より引継いだ前のマル公によるところの安い物資を相当量もつておると思う。この物資の処理方法について承りたいのであります。
第四点、貿易組合法が廃止された後に至つては、中小業者と貿易公団との連繋の問題は、いかように取計らわれるものであるか、その点を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/7
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008・新井茂
○新井政府委員 貿易組合法で現在残つておりますものは、九つございますが、これはいずれも目下閉鎖機関処理委員会の管理下に精算を進行いたしております。私どもとしては閉鎖機関処理委員会と十分連絡いたしまして、なるべく早い期間内に、精算を完了するよう促進してまいりたいと考えております。
それから第二点の貿易組合は、戦時中に大部分解散をいたしまして、終戦当時残つておりましたもは六つしかございません。そのほかに終戦後に設立せられるものが三つございまして、最近までその九つがあつたのでございますが、これは閉鎖機関に指定せられます前に、任意に解散の決議をいたしましたその後に閉鎖機関の指定になりまして、これが目下整理委員会の管理のもとに精算をいたしておるのであります。
それから所有物資についてこれをどうするかということは、閉鎖機関処理委員会によつて決定いたされることと考えます。ただいままでのところは、まだ最終の決定には至つておらぬようであります。
第四点の貿易組合法廃止後における中小業者と貿易公団の関係につきましては、これは経済民主化の建前からいたしまして、貿易公団といたしましても、なるべく広い範囲において関係業者を実務機関として使いたいということで、目下どういうふうにするか研究をいたしておるような実情でありまして、近く関係方面と折衝の上決定を見ることと思います。貿易庁といたしましては、信用のある業者は、どういう業者でも、これを貿易公団の取引の相手としてやつていくようにいたしたいと考えております。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/8
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009・林大作
○林(大)委員 今貿易庁の長官と次長との説明の間に、多少の食い違いがあるように私には感ぜられるのでありますが、七十八の貿易組合というものを、全部長官の方は貿易組合として扱つておられるようでありますし、次長の方は、九つだけが貿易組合であるかのように説明されておりますが、その点をはつきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/9
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010・永井幸太郎
○永井政府委員 七十八のうちに輸出組合法によつて設立されたものが——私ちよつと役所のことを知らなかつたのですが、組合法に準拠してこしらえたものは九つだそうです。その他のものは組合法に準拠はしておりませんが、すべて解散しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/10
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011・佃良一
○佃委員 待望久しかつた貿易が再開せられまして、私ども心から喜ばしく存じておる次第であります。しかも政府御当局の特別の御努力の結果、クレジツト五億ドルの設定をみましたことも、われわれ国民として衷心感激を覚えておる次第であります。クレジツト問題について考えてみますと、私どもうわさに聞いておるところによると、トルコと、ギリシヤのクレジツトを設定するときに、アメリカの議会……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/11
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012・喜多楢治郎
○喜多委員長 ちよつと速記を止めて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/12
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013・喜多楢治郎
○喜多委員長 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/13
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014・佃良一
○佃委員 しかるに、アメリカが今回わが日本に対しまして、五億ドルになんなんとするこの厖大なるクレジツトの設定をいたしてくれたということは、私、政府当局のほんとうの御努力の賜でありまして、衷心より感激を覚えるとともに、アメリカの御好意に対し、ありがたく感謝を申し上げたいと思うのであります。従つてこのクレジツトの性質が公のものであるか、または私的なものであるか、クレジツトのいわゆる性質、あるいはまたこのクレジツトのわが将来の貿易に及ぼす影響、その他の点につきまして、私どもは十分に知識を得たいと存じまするので、政府御当局の詳細なる御答弁を承りたいと存ずるのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/14
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015・永井幸太郎
○永井政府委員 事務的にわたりますので、私から御説明いたします。これはクレジツトということを言うておられますが、実際は占領下輸出入回転資金、オキユパイド・ジヤパレ・エキスポート・アンド・インポート・レヴオルヴイング・フアンド・クレジツトで、借款というふうに訳すのはいかがかと思います。今申されましたようなトルコ、ギリシヤ等に与えましたクレジツトとは、まつたく性質が違うのであります。御承知の通うアメリカの国会は七月二十六日から閉会しておりまして、来年の正月にならないと議会は開きませんので、トルコとかギリシヤに与えましたような政府のクレジツトというものはできないのであります。それとはまつたく違う。今申し上げましたようは貿易回転資金でありまして、大体のおもなる趣旨は、この資金は日本の輸出入回転資金として連合軍の占領目的の達成、並びに国際連合国と日本との相互利益を助長するために設定する。この資金の運用についてはコントローラー、管理人を連合国司令部が任命する。それはアメリカから追つてくるらしい。その担保といたしまして一億三千七百万ドルというのは、日本にあります金その他の貴金属の全部ではございませんので、これは担保に出してもに何らほかから文句が出ぬというもので、あれ以上まだあるのでありますが、それらについてはいろいろな条件がついておりますので、載せるわけにはいかぬのでありますが、その一億三千七百万ドルと、去年アメリカから積んでくれました綿を製品にしまして輸出をして残つた金の利益があります。それもついでですから申し上げますが、大体今まで契約しております四億ヤードの綿布を外国に輸出いたしますと、まず一億ドル以上の利益が出る。それを司令部ではまず一割と見まして内輪に見まして八千万ドル、これまで買いました八十九万一千俵の綿を製品として、幾分か日本に残して、あと輸出しました利益が八千万ドルと言つております。私どもは一億ドル以上になると思いますけれども、向こうは非常に内輪に見ております。そうすると合計しまして二億ドルあまりになります。それを頭金にしまして、アメリカに借金するのであります。それを三割と見ておりますから、理論上の最高借り入れられる金額は六億六千六百万ドルになります。今後今年内に三十五億万俵の綿を積んでくれます。それを製品にして約八割を輸出いたしましたならば、来年の今ごろまでには、貿易庁の計算によりますと、五千五、六百万ドルの利益が出るのであります。それをまず内輪に見まして、二億四千万ドルほどになります。そうすると頭引きを三割としますから、二億四千万ドルに達しますれば八億ドルになるわけであります。来年の年末くらいにでもなりますれば、二億七、八千万円の利益があがりますから、理論的の最高金額は九億ドルくらいまで買えることになつております。それによつて買います物は、綿花、羊毛、ゴム、鋼材、重油、石炭、いくらでもいいわけでございますが、それの第一著手として、綿の契約を今ワシントンでやつておりますが、そういう加工原料が続々とそれによつてできる。そういうことで、クレジツトと申しますか、貿易回転資金の性質は今申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/15
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016・林大作
○林(大)委員 水谷商工大臣の御意見を拝聴したいと思います。第一点は輸出入特別会計を増額されるようでありますが、大体いくらぐらいにされる予定であるか承りたいのであります。
その次に、今日の新聞によりますと、物価庁に輸出物品価格審査委員会というものを設けられまして、そうして輸出物価の適正化をはかるということが出ておりますが、過去の日本の経験によりましても、明らかなるごとく、これはもしも伝えられるごとく輸出物品の価格を国内の公定価格よりも高い物を認めていこうというための特別の委員会であるならば、これが動機になつていわゆる輸出を中心とするインフレが生ずる。この輸出インフレをいかにして止められるつもりであるか。それからまた、この輸出物品の価格審査に藉口していろいろな物資がそつちの方へ流れていくことは明らかであつて、そのために物資並びに物価の統制が相当乱されると思いますが、この点をいかにして食い止められる予定であるか。それを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/16
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017・水谷長三郎
○水谷国務大臣 私の足りないところは、長官または次長よりお答えいたします。輸出入の特別会計をいかほどにするかという第一の点でございますが、これは今関係方面と折衝中でございまして、ただいまここで具体的にいくらということは御答弁いたしかねると思います。さよう御了承願いたいと思います。
それから輸出価格の問題ですが、これは緊急経済対策の場合におきましても、一応問題になつたのでありますが、ことさらに輸出奨励というような意味の価格をつくりますと、それはあちらの方にも悪い影響を与えまして、輸出奨励金というようなことにもとられますので、この際ここで委員会をつくりまして、国内の公定価格を標準といたしまして、その上に輸出価格として適当な値段をきめるのが妥当ではないかというような心構えのもとで、今度の委員会をつくつたような次第であります。御指摘の通りに、この輸出価格をつくるにあたりまして、いろいろの弊害が起るかもしれませんが、その点に関しましては、できるだけの対策をいたしまして、できるだけ立派なる品物が適正なる値段をもつて輸出されるようにしたい。このように考えております。その他具体的なこまかい点に関しましては、政府委員より答弁することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/17
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018・永井幸太郎
○永井政府委員 ただいまの輸出品物価査定の方は、大体一つのねらいは、公定価格のわからぬものもあります。これをすぐ売らなければならぬ、契約しなければならぬといつたような場合に、向うの国際的な相場とにらみ合わせまして、速やかにその輸出品に対する公定価格をきめるというのが一つの目的であります。次の問題は、同じような品物を二つのメーカーがもつてきました場合に同じようなものであるが、先方は、向こうのバイヤーがこの品物はいいから高く買うといつた場合に、同じ値ではいい物を拵えても奨励になりませんので、そういつた場合に、その物に対する特別な高い値段を査定する、それによつて優良品の製造を奨励する、そういつた目的を含んでおります。輸出品に対する価格を迅速に決定するというために、そういう査定方法をこしらえたのであります。それから、輸出が出て行きますれば、むろんインフレになるということになりますが、一方クレジツトの設定によりまして、輸入品も殖えますから、それによつて相殺することができると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/18
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019・林大作
○林(大)委員 それではちよつと角度をかえましてお尋ねいたしますが、この輸出入貿易特別会計というものは、たとえば今のリヴオルヴイング・フアンドの中からいただくところの綿を国内に入れます場合には、それを業者に渡す場合に、それを公定価格で一応全部支払わすものであるかどうか、この点を承りたいのであります。
それから次に、先ほどのお話で、全体としてのインフレというものに対しては、できるだけの措置を講じてやろうというお話でありますが、部分的なインフレでございます。たとえば、どうせ輸出をするにあたつても、すつかり全部の原材料が各メーカーに対して揃つているわけではない、そうすると一部分の原材料は、どうしてもこれをやみで買わなければいけないということが、当然生ずるのであります。そうすると、これはやみで買つたのだからというので、そのやみ価格を計算に入れて、この輸出品の価格を審査しなければ、実際上には動かないことに相なるのであります。そうすると、この輸出物品価格審査委員会なるものは、やみを公に認めていく委員会にならざるを得ないのであります。なおかつ物価においてのみならず、物資統制においても、やみを認めていかなければ、運営ができない委員会に相なると思つて、私は心配するのであります。これは前に中華民国にインフレが起りましたときに、国内の物資があげて日華貿易のために吸い取られていつたというようなわれわれの過去の苦い経験から申しましても、また今日において種々の関係から申しましても、国内はこういうふうに押えてあるのだが、売るものは高いのですということを公に認めざるを得ないというような委員会をつくることは——つくらなければなりませんが、その運営のやり方というものは、非常に私はむずかしいと思うのであります。そこで単にここでうまい答弁をしていただいても何もなりませんので、ぜひひとつくあいよいよやつていただきたい。今までのお話では、どうも私は心配でならない。よし、こうやるんだというようなものをもう少し突つこんで承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/19
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020・永井幸太郎
○永井政府委員 御注意はありがとうございました。ただ輸出ができますときに、資材をもつておるか、生産能力がどうか、むりに売り過ぎておるのではないかということを一々審査しまして、売り過ぎないように、あるいはむりにやみ市場で原材料を買いあさらなければ輸出ができぬというものについては承認せぬということができますから、御心配のような大なる不便はないと私は確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/20
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021・林大作
○林(大)委員 第一点の御回答を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/21
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022・永井幸太郎
○永井政府委員 その点はただいまのところは原綿と羊毛とだけで、それはみな政府が所有権を保持しております。売るのではなく紡績へその綿を渡しまして、それに加工賃を払う。そして一部分内地へ売りますものに対してのみ価格をきめまして、消費者からその内地に売れた分だけの金を得ることになつておりますから、輸出用原材料はしまいまで政府の所有でありまして、加工賃だけを払うことになつております。紡績も羊毛会社もみな政府の賃仕事をしておるのであります。今後ゴムその他のものがはいつてまいりますれば、どういう方式にいたしますかと言えば、原料を売りまして製品を買上げることにするか、それはそのときどきの場合によつてきめるものであつて、今のところ綿花と羊毛は政府が所有権を所持しておるが、加工賃は払う。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/22
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023・赤松明勅
○赤松(明)委員 為替レートの関係について聞くところによると、これはどうなつているか知らないから聴くのでありますが、個々の品目について建値が違う。たとえば写真機であるとか、自転車であるとか、あるいは竹製品であるとか、そういつたことが巷間のうわさになつておるようですが、こういつた関係について決定しておる点があれば御答弁願いたい。なおそういつた品目についてというよりは、円対ドルの比率が一本できまるものであるか。それならばその比率はどの程度へ落ちつくものであるか。すでに貿易は再開せられて、各バイヤーによつて取引は決定しておるけれども、それの決済方法がきまつていないというのでは、スムースに貿易の意欲を発揮することができないのではないか。この点について当局の見解を承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/23
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024・永井幸太郎
○永井政府委員 決済方法がきまつておらないようだとおつしやいますが、決済方法はきまつております。為替レートのことについてお答えいたしたいと思います。これは日本よりも先に個人貿易を始めましたドイツの例から申し上げたいと思います。ドイツでは、品物によりまして一ドルが何マークになるかという、商品別に十数個の階段的な複数の為替レートをきめまして、たとえばペンシルは一ドルを二十マークで計算して銘々勝手に向う人と個人取引をする。それから扇子は一ドルを二十五マークで計算してやるというようなレートを業者に政府から渡しておりまして、それによつてそろばんをはじいて取引をしているのであります。これもなかなか障害が多いようであります。たとえば三十の為替をもらつた人は三十五にもらつた為替の人と比較が非常に不公平だというような苦情が大分ありまして、それでこの貿易を始めます場合、当分そういう階段的レートをきめずにやつていこうじやないか。そうして少し模様を見よう。そうして数箇月しているうちに大体日本の商品の国際的価格がまあまあ動かぬというところがわかる。これならこれは大体何ドルで売れるものだという動かぬような見透しがついた場合に考えようじやないか。なお日本のインフレは御存じの通りどんどん進行しているというので、今どうも階段的の為替レートをきめにくいというような結論になつております。いかにドイツのような複数の為替レートをきめることが日本でむずかしいかと言いますと、たとえば生絲でありますが、生絲は終戦後出ましたころは日本の値段が非常に安くて、そのころは一ドルが五円くらいにあたつております。去年の十月ごろには二十円くらいになつた。今年の四月ごろは四十六円になつた。今度は繭が二千六百掛ということでありますと、ちようど一俵が七万円くらいになる。そうすると百四十円くらいになる。そういうふうに非常に激変している。だから今ドイツのやつているやうな複数制の為替レートをこしらえますと、非常にむずかしいというなことで、ここ数箇月業者と業者とがやりまして、もうこの辺だろうというあまり動かぬような国際的な相場ができます見透しがつくころに再検討しようということになつております。そういうわけで、日本の為替レートがなしに貿易をやつていこうというのでありますから、ちよつと無理な話であります。どううまい方法を考えましても、無理は無理でありますから、完全な解決にはならぬと思いますけれども、そういうふうにやつていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/24
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025・林大作
○林(大)委員 十五日の新聞を見ますと、日本の貿易計画は輸出が約二百数十億ということが出ておりますし、それから商工省の内部の部課長の回覧になつております貿易庁がつくられました計画の数字は、輸出が約六百億輸入が五百億となつております。それから貿易公団が二、三箇月前につくりました数字は、これまた違つております。実際においてはどのくらいのところが正確なる貿易計画の数字であるかお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/25
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026・永井幸太郎
○永井政府委員 その大きな方の数字は、今の日本の工場の能力を、何らの隘路もなしに、全部フル運転して、それが先方の購買力とか、いろいろな制約を受けることを考慮せずに出るものならば、これだけの輸出能力があるのだと解釈しております。それからその標準のとり方によりまして、それの半分出るものと見る人と、あるいはこの品物はどうもこういうふうに計画はしておるけれども、その売先の為替のドルに変換するときポシビリティーが少いようだから、これは出るものにするというような、いろいろの考慮を払つて修正します。それによつて六百億という数字も出るし、二百五十億という数字も出るわけで、こちらの方の数字だけをごらんくださらずに、それに必ず何らかの前提をつけて発表をしておるわけであります。わが国の全工業力がこれだけ十分に働くことができるだけの能力があり、原料があり、それをこしらえたものが無条件で輸出ができるとすればこれだけ、それからこういう世の中ですから、たれも正確な判断ができないのであります。その標準のとり方によつて、できました数字もいろいろとまちまちであります。どうぞ御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/26
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027・喜多楢治郎
○喜多委員長 では本日の質問はこの保度で一応打切り、次会は明後二十三日午前十時より開会いたすことにいたしまして、これをもつて散会することにいたします。
午前十一時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X00619470821/27
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