1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年十月八日(水曜日)
午後二時二十二分開議
出席委員
委員長 喜多楢治郎君
理事 福永 一臣君
佐竹 新市君 林 大作君
松原喜之次君 師岡 榮一君
岡野 繁藏君 坪川 信三君
松井 豊吉君 山本 猛夫君
鈴木 仙八君 關内 正一君
辻 寛一君 星島 二郎君
前田 郁君 小枝 一雄君
出席國務大臣
國 務 大 臣 和田 博雄君
出席政府委員
商工事務官 松田 太郎君
商工事務官 和田 太郎君
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十月二日
昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及
び公正取引の確保に關する法律の適用除外等に
關する法律案(内閣提出)(第六七号)
の審査を本委員會に付託された。
十月二日
引揚者團體直營の全衣料品店許可の請願(中村
元信君紹介)(第七三五号)
石綿輸入促進の請願(細野三千雄君外一名紹
介)(第七四九号)
中古衣類の公定価格制度撤廃の請願(中村元治
郎君紹介)(第七七七号)
の審査を本委員會に付託された。
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本日の會議に付した事件
百貨店法を廃止する法律案(内閣提出)(第六
二号)
昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及
び公正取引の確保に關する法律の適用除外等に
關する法律案(内閣提出)(第六七号)
財團法人理化學研究所に關する措置に關する法
律案(内閣送付)(豫第一六号)
中小企業振興に關する小委員選定の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/0
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001・喜多楢治郎
○喜多委員長 これより會議を開きます。
百貨店法を廃止する法律案、財團法人理化學研究所に關する措置に關する法律案の質疑を継続いたします。質疑を続けます前に、去る十月二日本委員會に付託になりました昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保に關する法律の適用除外等に關する法律案の審議にはいります。まず政府の説明を求めます。和田國務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/1
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002・和田博雄
○和田國務大臣 ただいま議題に供せられました昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保に關する法律の適用除外等に關する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
昭和二十二年法律第五十四号は、御承知のようにこの前の第九十二回議會の協賛を経まして成立し、その後今國會で公正取引委員會の委員に關する規定に、一、二の改正を加えられました法律でございます。この法律の目的は第一條に詳しく規定されておりまするが、要するに事業者の公正な、自由な競争を確保することを中心といたしまして、國民経済の民主的で、健全な発達をはかることを究極の目的といたしまして、そのために障害となりまする、ところのいろいろな不當な協定等を排除しまして、また独占的な企業集中體の発生を防止するといつたような措置を講ずることにあるのでございまして、わが國経済民主化の基本法とも言うべきものであろうかと思います。
言うまでもなく事業者の創意を発揮させてまして、技術の進歩をはかり商品の品質を改善いたし、サービスを向上いたし、経費のむだを省き、価格を低廉にする等、企業経營の合理化をはかりまして、ひいては一般の消費者の利益を確保し、國民経済の民主的な、健全な進歩、発展をはかるためには、独占と、不當なる協定を排除して、不公正な競争を禁止し、常に公正な、自由な競争が行われますることが肝要であります。この原則は今後の経済秩序の根本方針でございまして、從つてこの法律は原則としまして、一切の事業活動に適用さるべきものでありますが、この原則には、やはり若干の例外があろうかと考えるのでございます。
その第一は國家または公共團體の營みます独占的事業でありまして、この法律におきましては私的独占を禁止することを規定しまして、國營公營の独占的事業を直接この法律の問題にするものではございませんことを明らかにいたしました。
第二点は私營事業でありましても、鉄道、電気、ガスその他の事業については、別途考え方をいたさねばならないのでございます。また特許権とか、著作権等につきましても同様でございます。これらについてはその性質の上から言いまして當然独占となるべきものであり、それぞれの法規によつて十分監督いたすべきことはもちろんでございますが、この法律の適用を除外することを規定いたしました。
第三番目は農家や小さい商工業者のような小規模の事業者及び消費者につきましては、やはりその相互扶助を目的としまする協同組合による團體を認めていかなければならないのでございまして、これにつきましても原則としてこの法律から適用を除外することを規定いたしたのでございます。
右三項目につきましては私的独占禁止法の規定上、またその解釈からいたしまして、直接かつ當然にそういうことになることになつております。ただいまから御審議を願いまする適用除外等に関する法律案で取上げていますのは、左の三項目についてでございます。その一つは現下の危機を乗り切りまするのに必要な統制のための行為は、別に取扱わなければならぬことでございます。もつとも現在行われておりまする統制は私的團體、会社による配給統制、価格統制等は、真にやむを得ないもののほかはこれを行わないこととする等、極力私的独占禁止法の趣旨を盛込んだ方式によつて運營されておりまするが、主として技術的な理由からいたしまして、例外的に私的團體に臨時の配給統制の権限を認めることがあります。本法律案の第一條で、第六号に食糧管理法、第七号に臨時物資需給調整法を掲げましたことは、こういう場合を適用除外しようとするためでございます。価格統制につきましては、第一條第八号ポツダム勅令としましての物価統制令がこの例に該當するのでございます。
その二は特定の事業につきまして、特別の法律があります場合に、その事業の性質から言いまして、私的独占禁止法の規定を適用せずに、その事業法の規定を適用する方がよいという場合であります。この法律案の第一條第一号から第五号までに掲げました地方鉄道法をはじめとする法律の規定がこれに該當するのでございます。これらはいずれも料金等に関する協定を認可し、またはこれを命令する規定でございまして、私的独占禁止法の規定に抵触はしますが、地方鉄道等に対する監督方法の一つとしてこれを存続する必要があるのでございます。
その第三は私的独占禁止法と、同法以外の経済民主化法令との関係を調整することを要する場合でございます。他の経済民主化法令で、私的独占禁止法と異る定めをしております場合、また両方の規定が競合しておりまする場合に、他の経済民主化法令が特別の指定会社等につき特別の事項を規定しており、一般法である私的独占禁止法を適用せず、當該経済民主化法令だけを適用するのを適當としますときは、これを適用除外しようとするのであります。この法律案の第一條の第八号ポツダム勅令中のいわゆる制限会社令、特株会社整理委員会令はちようどこれに属するのでございます。
次に私的独占禁止法は今後の経済秩序に関する基本法でございまして、わが國経済にとりまして、一つの新しい総合的な考え方に基く経済秩序を打立てることを宣言したものでございます。もちろんこの法律をまつまでもなく、終戰以来あらゆる方面で経済の民主化が推進されてまいつておりまするが、まだ戰争中の残滓と認められるものもあり、さらに戰前の諸制度の中にもこの法律の豫定しまする経済秩序と矛盾抵触するものが少くないのでございます。從いまして法令上の措置といたしましても、私的独占禁止法と、他の経済法令との調整を必要といたすのでございます。政府におきましてもあらゆる機会に私的独占禁止法に矛盾し、存続を主張する理由のない法令の改廃の手続を進めることといたしまして、本國会にも別途二十件近くの法律につきまして、改廃の法律案を提出いたしまして、または提出のための手続を進めております。また公正取引委員会におきましても、関係方面の協力を得まして、既存の経済法令のすべてにわたりまして、私的独占禁止法の原理に照らして批判を加え、場合によりましては、私的独占に禁止法第四十四條による公正取引委員会の権限として、右の結果に基き國会に意見を提出し、適宜の措置を具申することといたしたいと考えております。しかしながら、検討を要しまする経済法令は數百件に上つておりまして、検討には時日を要し、また問題がそれほど簡單ではございませんので、とりあえず私的独占禁止法の規定に抵触する法令の現定は、本法律案第一條で適用除外しましたもの以外は効力を有しないという旨を規定しまして、一括整理することにいたしたのでございます。この趣旨を規定しましたのが本法案第二條の規定でございます。この第二條の規定は從来の法律にその例を見ない荒つぽい規定であるようでありますが、形式的には私的独占禁止法違反の事件について、公正取引委員会または裁判所が事件を判断するについては、當該事件におきまする事業者の行為がある法令に基く行為であつたにしても、その法令は無効なものとして、もつぱら私的独占禁止法の規定によつて判断するという意味でございまして、また實質的にはこの第二條の規定で効力を失う法令の規定は、統制をしたる事業とする組合に関する規定が多いのでございまして、これらにつきましてはかねてから関係各省で整理と切替を進めている次第でございまして、このために現實に経済界に混乱を与えるようなことはほとんどないと存ずるのでございます。
以上が私的独占禁止法の適用除外等に関しまする法律案につきましての要旨を御説明いたした次第でございます。何とぞ御審議の上御協賛あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/2
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003・喜多楢治郎
○喜多委員長 引続き百貨店を廃止する法律案、財團法人理化學研究所に関する措置に関する法律案の質疑に入ります。林田大作君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/3
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004・林大作
○林(大)委員 理化学研究所を新会社とする案につきましては、なおよく事實について取調べる必要があると思いますので、公聴会もしくは證人の皆さんの御意向によりますが、どちらかの方法によつて本委員会において實際の當事者からよく話を聴いてそれを参考として決定すべきではないか。こういうふうに私は考えるのであります。
それから次に百貨店法の廃止でございます。これは私どもの考えではいわゆる百貨店の法律の組合に関する部分というものは廃止すべきものであると思いまするが、百貨店自體が経済的に大きな力を発揮いたしまして、これが中小商業者を圧迫していくというようなことがないようにしなければならないのであります。そのためには単にこれを廃止してしまうというだけでは、どうも中小商業者が保護されないのではないかという心配があるのであります。もちろんこの独占禁止法によりまして、ある程度の保護はされると思いまするが、それではどうも足りないように思うのであつて、その点が十分保護されていくであろうかということを、ひとつ詳しく政府委員の方から承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/4
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005・和田太郎
○和田政府委員 ただいま百貨店法を全部廃止いたしました場合に、いわゆる独占禁止法の適用だけで、中小商業者と百貨店との問題を調整できるかという御質問でございますが、本件に関しましては、大臣からも申し上げました通り。ただいまのところでは、資金の面におきましてはいわゆる臨時資金調整法がございますし、また建物を新しく建てます場合には、臨時建築物等取締規則があるのでございます。しかも資金の貸出の順位といたしましては、商業に対するものは相當あるとの順位になつておるような関係もございますし、また建物の建築の問題は、形式的には戰災復興院でやつておられますが、事業場あるいは工場、商店等に関する問題になりますと、實質的には商工省の方でこれを審査いたしまして、はたして適當かどうか、適當でないと認めますものはその意見を付し、また適當であると認めますものはそれに必要な資材のわく等を、商工省から復興院にまわして處理をしていくという関係になつておりますので、この二つの規則が適當に運用せられますならば、資金の面あるいは建築の面で、相當百貨店の不當なる進出を抑えることもできようかと考えるのでございます。独占禁止法の適用につきましては、これはもちろん公正取引委員会で運用されることに相なるのでございますけれども、實際問題といたしましては、その内容が商工省の所管しております事業に直接関係の深いものにつきましては、私どもの方といたしましても、十分公正取引委員会の方と連絡をいたしまして、御心配のような点のないように調整をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/5
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006・林大作
○林(大)委員 ただいまのお話では、資金の面とそれから建築の面だけで縛れるというようなお話でございますが、實際においては資金の面におきましても、この前資料をお願いしておきましたように、自分たちの資金を使わずに、つまりデパートという大きな看板でもつて、他人からの委託荷をどんどん引受けていくことによつて、いくらでもその面は潜れるでありましようし、この前お願いしておいたのに対する資料がここに出ておりますが、この資料は私ちよつと見ましても、どうもはなはだうそつぱちのように思うのであります。こんなことではなく、實はデパートに対して物を納めるということが一つの権利になつて、戦前においても一商品について納める権利が何萬円というもので、その納入権というものが売買されておつたような事情があるのであります。從つて買つてくださらなくても、売れ次第精算していただいて結構ですというので、委託荷をどんどん出すというのが實情であります。この數字はデパートの方からおとりになつたように思うのでありますが、私少くとも半分くらいのものが委託荷によつて賄われておるということを、経験上からも自信をもつて言えるのであります。そこでもし資金の面で縛られていくと、この委託荷の制度を、いろいろな形でもつて伸ばしていくことによつて、その面は自分自身で大いに解決していく途があるでありましようし、それから建築法の制度ということをおつしやいますが、デパートでも自分自身の建築ばかりではなくて、人のものを借りておるのがかなりたくさんあります。建築法だけで縛りましても、デパートの経済力が増していくに從つて、部屋を借りるとか、建物を借りるというような面で、どんどん建築法規を潜つていけるのではないかと考えるのであります。
なお今政府委員の御指摘の二つの点のほかに、商品の種類とか、宣傳の方法とか、もしくは総合的なサービスの方法とか、いろいろな商品と組合せた形においての広告の形であるとか、いろいろな面で實際においては中小商業者よりも、はるかに商売をやりやすいことは火を見るよりも明らかな事實でありますから、それをこのままに、ただ独禁法で縛れるのだというので、野放しにこれを廃止してしまうことは、いかにも不公平であり、中小商業者を圧迫することは明らかであります。そこで何か今申し上げるような問題を、安心のいけるような方法で、公平な立場で、デパートと中小商業者が一緒に競争のできるようなところまで、デパートのハンデイキヤツプを引下げなければいけないと思うのであります。その見地から私どもがもう少し安心のいけるような法の根拠並びにやり方というようなものについて、もう少し突つ込んで承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/6
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007・和田太郎
○和田政府委員 この前御希望によりまして差上げました資料の數字につきましては、私どもとしては一應百貨店の報告を信用したいと考えるのでございます。終戦後戦前に比べて委託販売の量がある程度殖えておるようでございますけれども、私の考えとしては、今日のように品物が割合に少く、購買力の方が多いような場合におきましては、必ずしも百貨店に販売の委託をする者が殖えるというようには考えておらないのでございます。大體一般的な考え方としましては、物が相當豊富で、売行が悪いような場合に、委託販売が相當発達をいたしますし、物が少いような場合には、右から左に売れますので、何も百貨店に販売を委託しなくても品物が捌けるというような事情からいたしまして、今後當分の間、委託販売がそう殖えるという工合には私は考えておらないのでございます。
なお百貨店と中小商業との調整の問題につきましては、先般も申し上げました通り、要するに商業の存在意義というものは、あくまでも消費者大衆の利便にあるのでございます。從いまして百貨店のやり方が著しく不當な競争になるとか、不當に中小商業者を能力的な差によつて圧迫するというようなことはいけないと考えるのでございますが、その点につきましては独占禁止法の今後の運用にまつことといたしまして、百貨店そのものの活動を積極的に抑える消極的な商権擁護的なことをいたしますよりも、消費者の利便という点から考えまして、今後両者の調整の問題は、むしろ中小商業者をいかにすればもつと合理的な運營ができるか、あるいは相互の協力によりまして大規模商業と同じような利便、あるいは特徴を発揮することができるかというような方面の助成に力を注ぎまして、それの結果によりまして、百貨店と中小商業者が公正な競争をやつていくというような方向に、われわれとして今後努力したいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/7
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008・林大作
○林(大)委員 今のお話ですと、話は逆であつて、戦前よりも戦後の方が委託販売が殖えておるのですね。それではあなたの論法は逆であつて、むしろ委託品というものは、あなたの論法ならば、今は一つもなくなるのがあたりまえだろうと思います。それなら、かりに一歩を譲つてそれが事實としても、日本は今後物資が殖えてくる傾向にある以上、その場合にはどうして防ぐべきかということを、今より考えておかなければならぬと思います。
それから、今のお話は第一点だけでございますが、そのほかに申し上げた實際上の力の違いというものに対しては、何としても私は私的独占禁止法だけではやつてはいけないのではないか。なおかつ中小商業者を積極的に保護するとおつしやいますが、それはいわゆる口頭禅であつて、決して保護はうまくできないと思うのであります。もしもそれを保護するとおつしやるなら、その保護は法律の方を先にもつてきて、それからこういうふうにやりますから、ひとつこれを廃止したいというふうな、今日を逃れて後はベストを尽くしますというだけでは、どうも無責任であると思います。その程度の御説明では私どもとしてどうも納得がいかないので、殊に商品の種類であるとか、広告の面であるとか、総合的サービスの点であるとか、いろいろな点で均衡がとれないことは、私のみならずほとんど一般日本人がだれでも考えることだろうと思います。その点で國民全部が納得して、しかも何十萬と數えます中小商業者が納得していくような法律をここでつくらなければ、私どもとしても相すまないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/8
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009・和田太郎
○和田政府委員 委託販売の數字につきましては、確かに實際の報告の數字はそうなつておりますが、私としては一般的な傾向として今後あまり殖えないのではなかろうかという、私個人の見透しを申し上げた次第でございます。品物につきましても、委託販売になりますものは、生鮮食料品その他いろいろな特殊な事情のあるものが委託販売に相なつているように考えておるのでございます。
中小商業者に対する保護助長の問題につきまして、口頭禅ではないかというお話でございます。戦前におきましても、中小商業の問題はもつぱら商業組合を通してでございますが、その共同設備等に対しましても、補助金を支出いたしますとか、いろいろな方法でこの助長をはかつてまいつたのでございますが、戦争中これら商業組合等が、一應統制組合のような形に変りました結果、その方面の助長も一時中止のかつこうになつておつたのでございます。今般協同組合法に相なりまして、今後は経済事業を中心とした商業あるいは工業の組合として助長していきたいということに相なりました結果、先般も申し上げました通り、その共同設備等に対しましては相當の金額を今回の追加豫算に計上していただくように、目下努力しておるのでございます。まだ追加豫算が最後的な決定をみておりませんので、ここで確定的なことは申し上げられませんが、相當な金額が計上されることに相なるのではないかと考えておるのでございます。その他金融の面におきましても、ただいまの商工中金では不適當と思いますので、これに代りまして、できますれば、もつと強力な中小商工業に対する特殊な金融機関をつくりたいと思いまして、これもいろいろ案を練つておる次第でございます。
なお大企業におけるいろいろな有利な條件を中小商業者が採用していくためには、あるいは今後商業協同組合の結成を促進いたしますとか、あるいはいわゆるチエーン・ストア式のもの、あるいはヴオランタリー・チエーンのような組織を採用していくというようなこと、あるいはできますれば、ものによりましては専門店的なものに変つていくというような方法を勧奨いたしたいと思いまして、その面におきましても、いろいろただいま案を練つておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/9
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010・林大作
○林(大)委員 今のお話はもつともなんですが、しかし日本全體の中小商業者の大勢から言いまして、中小工業の方は輸出と結びつけて大いに伸ばし得る余地があるのでありますが、中小商業の方は、これはむしろ整理しなければならない状態にあると私は思うのであります。特に主要物資の配給秩序が確立いたしてまいるに從つて、中小商業の方はどうしても整理しなければならない状態になると私は思うのであります。そういう實際的の事實と數字とを前にしておいて、これを銀行をつくつて助長するとおつしやつても、それはちよつと受取れないのであります。そこでその面から申しましても、これはおそらく中小商業者自體も、日本の現状としては、自分たちがそれで救われるのだということは考えていないのじやないかとも思うのであります。そういう現状にありながら、あえてほかの方法でこれを救つていくのだから、デパートの方も多いに自由にやらしていくという考え方は、これは全體を見ない御議論であつて、承服できないのであります。いつまでもこれを議論いたしましても、私どもとしてはきりがないと思いますから、あとこの委員会として懇談なら懇談を後日にいたしまして、これを處置していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/10
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011・佐竹新市
○佐竹(新)委員 私もただいまいろいろ質問したいと思いますが、林委員と同様に百貨店の方と理化学研究所の方の問題も、両方とも委員長におかれましては、殊に百貨店の問題は中小商業者に影響するところが甚大であると考えますので、然るべき時期に公聴会と開いていただけば、われわれ委員の参考になることが多いと思います。それから理化学研究所の問題に対しましては、この設立趣意書の中にも言つておりますが、「この法律案の要旨は、財團法人理化學研究所の事業を承継する株式会社を新たに創立し、事業の内容の継続に必要な資金及び負債をこれに移す点に存するのでありますが」と書いてありますように、われわれがただこの趣意書だけ見たのでは納得しかねる点もありますし、殊に経理内容の点におきまして、資本金四千二百億円、現物出資五百萬円、現金出資三千七百萬円、借入返済金二千七百五十萬円が超過しておるのでありまして、これらの経理の面に対しても、十分われわれが審議します上に、當事者を呼んでそして十分検討した上でなければこれを決定できないと思います。これまた林委員の言われるように公聴会を開いて、十分審議していただきたいということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/11
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012・喜多楢治郎
○喜多委員長 これはこの委員会で懇談会を開いて、公聴会を開く方法等をよく相談いたしましよう。松原喜之次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/12
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013・松原喜之次
○松原(喜)委員 先の林君の質問に関連してでありますが、政府は要するに商業協同組合を助長し、あるいは資金に対して特別な金融機関をつくるということをもつて中小商業者の保証の方法とするだけであつて、從来この百貨店法によつて、その沿革上中小商業者を保護するために加えておりましたところの、種々なる百貨店に対する制度を全部撤廃してしまう、すなわち百貨店と中小商業者とはハンデキヤツプをつけないで、同一の立場において競争せしめるということがあくまでも政府としての立場であつて、その点ではどうしても譲れないというふうに考えておられるのであるか、あるいはその沿革上百貨店に対いては相當のハンデキヤツプを從来つけておつたのであるから、將来もその点については考慮する余地があるというふうに考えておられるのであるかという点につきまして、最後の御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/13
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014・和田太郎
○和田政府委員 大體今日のところいわゆる財閥その他の大企業を解體いたしまして、ある程度地ならしをいたしました産業の中におきましては、あまり人為的な制限を設けませんで、その中で公正な自由取引をさしていくということが、今日の大體の考え方であろうと思うのでございます。百貨店、小売業者との問題につきましても、あまり百貨店そのものに手かせ、足かせをかけますよりも、むしろそういうものの取締は、一般的に制定せられました独占禁止法の運用の適正を期することにいたしまして、逆に小売業者の面でその経營方法の合理化をはからせるというようなことで、百貨店とできるだけ公正な競争ができるよう、そちらに今後努力をしていきたい、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/14
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015・松原喜之次
○松原(喜)委員 この問題につきましては、日本の國内の社会情勢というものを、相當にしつかりと見極めて善處しなければ、事は重大になると思うのであります。すなわち今日中小工業者とともに中小商業者も非常な不安な位置にあるのでありまして、その一部分はもちろんやみ流通秩序の中にその余命を保つておるという實情でありますが、今後政府の施策によつて、このやみ経済部面が、流通秩序の確保によりだんだんとせばめられていく、從つて中小商業者は非常に困難な立場に立つにいたるであろうということは、政府の施策が浸透すればするほどそういうふうな関係になつてくることは、火を見るより明らかであります。しかるに中小商業者の人口は特別な経済事情によつて相當厖大になつている。しかもその人口の大部分は、あるいは戦災者であり、あるいは海外からの引揚者である。その中小商業者が今申したような政府の施策によつて、困難な位置に追いこまれるというようなことになりますれば、それが大きな社会問題として、あるいは政治問題として押し寄せられることは、今後の日本の社会不安を招くことになります。これに対する施策は遠からずして必ずや政府が解決をつけなければならない破目に立ち至ることは明らかであります。從つてこの百貨店法におきましても、大資本である百貨店に対する制肘を、今こういう時期を目前に控えながら、わざわざその制限を撤廃するというがごときやり方は、政府として賢明はる策ではない、こういうふうに私は考えるのであります。これは議論におちいるようでありますが、ただ中小商業者の將来の立場を考えて、単に商業協同組合だけで、あるいは特別な金融機関だけで解決し得るかどうかという問題についての御感想を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/15
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016・和田太郎
○和田政府委員 流通秩序の確立がだんだんに徹底をしてまいりました場合に、今日の商業者の中で、いわゆるやみの面に踊つておりますものは、相當な圧迫を受けるというお話でございますが、それはまさにお話の通りであろうと思うのでございます。しかし商業の存在理由というものあくまでそれ自體に存在の理由があるのでなく、消費者の便益をはかり得るというところに商業の存在理由がありといたしますれば、あるいは特にただいまのように、いろいろな物資が重点的、計画的に配給を實施されるとか、あるいは公定価格によりまして、値段の不當なる騰貴を抑えるというような政策がとられております以上は、これらの政策に反しますような商業行為というものが、制限を受けることは當然なのでありまして、そういう商業の面はだんだんになくなることが、まじめな商業者がはじめて世間からその存在理由を十分に認識せられるに至る理由であろうと考えるのでございます。今日商業の問題につきましては、百貨店の問題ももちろん重大な問題でございまするが、流通秩序の確立に伴います小売店の登録制度を、どの程度の幅で商業者の存立を認めるかというような本質的な問題もございますし、あるいは生活協同組合の今後の発展等も、中小商業者に非常な影響を与えると思うのでございますが、要するに商業としてのその存在理由の認められます範囲内におきまして、公正なる取引をやることによりまして、消費者の利便をはかつていくという面から、いろいろな制限を受けるようなことに相なりますのは、まことにやむを得ないと考えるのであります。そのように存在を認められました範囲におきましては與う限りそれらの小売業者の健全な発展に萬全の努力をしたい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/16
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017・林大作
○林(大)委員 一昨日の読売新聞にも、デパートがもうかつて非常に景気がよいという記事が出ておりますが、あれをごらんになつてもよくわかると思いますが、とにかくデパートは大したものであると思うのであります。それから登録制のお話が出てまいりましたから申し上げたいのでありますが、今まであつた生鮮魚介の登録については知りませんが、繊維の登録につきましては、少くともデパートが小売業者としての登録を受付けておることは事實であり、また新会社を設立するという條件をもつて、デパートが卸売業者としての登録も受けておる。つまり脱法行為によつて卸売と小売と両方やつておるという傾向のあることは事實であります。こういうような面からまず抑えていかなくて、事實その面を見逃しにしながら、百貨店法をその上また廃止していくのだということは、これは松原委員のおつしやるように、まことに恐ろしいことにどうしてもなると思うのであります。そこでどうしても廃止するというならば、適當なる百貨店を取締る別な法律でも用意して、そうしてそういう法律が成り立つ條件でもつてこれを廃止するというようなことに、関係方面ともひとつ交渉をし直していただく余地がないであろうかということを、私はお伺いするのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/17
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018・和田太郎
○和田政府委員 百貨店法のうちの百貨店組合に関する規定だけを廃止いたしまして、それ以外のものを残すとか、あるいは別にそれに代るべき法律をつくるというお考えも、ごもつともと思うのでございまするが、いろいろ関係方面とも折衝をいたし、考えました結果、百貨店を取締りますだけの法律をつくるまでもなく、今日ございます独占禁止法の適正なる運營によつてそれが可能であろう。かように考えました結果、この法律全部を廃止いたしたいと考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/18
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019・喜多楢治郎
○喜多委員長 本日はこの程度で質疑を打切りまして、次会は追つて公報をもつて報告することにいたします。
暫時休憩をいたします。
午後三時十三分休憩
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午後三時三十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/19
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020・喜多楢治郎
○喜多委員長 それでは開議を再開いたします。
この際お諮りをいたします。八月十四日承認を得ました中小企業振興対策に関しまして小委員会を設け、中小商工業の振興方策と併せて、今回水害を受けました中小商業工業者の救済方法の調査研究もいたしたいと思いますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/20
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021・喜多楢治郎
○喜多委員長 それではさよう決定いたしまして、これを中小企業振興に関する小委員会といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/21
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022・喜多楢治郎
○喜多委員長 それではさよう決定いたします。
なお小委員は委員長において指名することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/22
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023・喜多楢治郎
○喜多委員長 それでは委員に
師岡 榮一君 金子益太郎君
山口 靜江君 山本 猛夫君
松井 豊吉君 櫻内 義雄君
松崎 朝治君 關内 正一君
福永 一臣君 唐木田藤五郎君
以上十名にお願いいたすことにいたします。
それでは本日はこれもつて散会いたします。
午後三時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100104449X01219471008/23
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