1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年十月二十一日(火曜日)
午後二時三十七分開議
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議事日程 第四十七号
昭和二十二年十月二十一日(火曜日)
午後一時開議
第一 裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
第二 薪炭需給調節特別会計法を改正する法律案(内閣提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/0
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001・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) 諸般の報告をいたさせます。
〔参事朗読〕
昨二十日委員会に付託された議案は次の通りであります。
(内閣提出)農業災害補償法案
農林委員会に付託
(内閣提出)昭和十九年法律第四号経済関係罰則の整備に関する法律の一部を改正する法律案
司法委員会に付託
〔朗読を省略した報告〕
一、昨二十日次の法律の公布を奏上し、その旨参議院に通知した。
政府職員に対する一時手当の支給に関する法律
一、去る十八日本院は第一回國会の会期を十月二十一日から十一月二十九日まで四十日間延長することを議決した旨参議院及び内閣に通知した。
一、昨二十日松平参議院議長から松岡議長宛、國会の会期を十一月二十九日まで四十日間延長することを議決した旨の通知書を受領した。
一、去る十八日松岡議長は、片山総理大臣申出の、次の者を政府委員に任命することを承認した。
農林事務官(林野局林政部長) 安孫子藤吉
一、昨二十日片山総理大臣から松岡議長宛、次の通り発令があつた旨の通知を受領した。
農林事務官 安孫子藤吉
第一回國会政府委員を命ずる
一、去る十八日常任委員理事補欠選挙の結果次の通り当選した。
農林委員会
理事 森 幸太郎君(大石倫治君去る十八日理事辞任につきその補欠)
一、昨二十日常任委員会理事補欠選挙の結果次の通り当選した。
農林委員会
理事 大島 義晴君(清澤俊英君昨二十日理事辞任につきその補欠)
一、昨二十日内閣から提出した議案は次の通りである。
農業災害保償法案
昭和十九年法律第四号経済関係罰則の整備に関する法律の一部を改正する法律案
一、去る十八日参議院に送付した議案は次の通りである。
農業協同組合法案
農業協同組合法の制定に伴う農業團体の整理等に関する法律案
一、昨二十日参議院において、本院から送付した次の内閣提出案を可決した旨の通知書を受領した。
政府職員に対する一時手当ての支給に関する法律案
一、去る十八日提出した緊急質問は、次の通りである。
住宅問題に関する緊急質問(田口助太郎君提出)
教育問題に関する緊急質問(米田吉盛君提出)
一、去る十八日議員から提出した質問主意書は次の通りである。
輸出綿織物專業小工場の機能発揮に関する質問主意書(竹山祐太朗君提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/1
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002・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/2
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003・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) 本日内閣総理大臣より、中央労働委員会の委員に、明年三月三十一日まで、衆議院議員荒畑勝三君、島上善五郎君及び参議院議員原虎一君を充てるため、議決を得たいとの申出がありました。右申入れの通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/3
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004・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。
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第一 裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律案(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/4
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005・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) 日程第一、裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員長松永義雄君。
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〔松永義雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/5
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006・松永義雄
○松永義雄君 ただいま議題と相なりました裁判官及び裁判所職員の分限に関する法律案について、司法委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
まず、政府原案の要旨について簡單に御説明申し上げます。裁判官の身分に関し、日本國憲法の規定するところにより、新たに裁判官の分限及び懲戒等に関する特別の立法をいたさねばなりませんし、また裁判官以外の裁判所職員の分限及び懲戒等についても、裁判所法の規定するところにより、裁判所の自律権の程度に即廳して規定を設ける必要から、この法律案が提出せられたものでありまして、その内容の主要な点は、第一に、日本國憲法には、裁判官罷免の事由として心身の故障をあげておりますので、本案では、その故障の程度について、回復の困難な故障としております。なお、從來裁判官は終身官であつたため、依願免官という制度はなかつたのでありますが、新制度により終身官ではなくなりましたので、本人が願い出た場合に免官のできる旨を規定いたしております。
第二に、從來の判事懲戒法によれば、裁判官の懲戒は免職、停職、轉所、減俸及び譴責の五種でありましたが、免官及び停職は、日本國憲法第七十八條の規定に抵触いたしまするし、轉所もまた同樣の結果となる疑いがあるばかりでなく、裁判官の地位に鑑み、罰目として不適当であり、また同じく減俸も、七十九條第六項及び第八十條第二項に抵触するとの理由から、これらはいずれも廃止することとなり、裁判官の懲戒は戒告及び過料の二種とし、過料の額は、裁判官の報酬に照らし、最高一万円となつております。
第三に、裁判官に関する心身の故障のために職務をとることができるかどうかの裁判及び懲戒の裁判については、この種裁判が裁判所の内部規律に関するものでありますので、組織、管轄及び手続についての重要事項のみを規定し、その他は原則的に最高裁判所の定める規則に委ね、なるべく裁判所の自律に任せております。
最後に、裁判官以外の職員については、その特殊性に鑑み、かつ裁判所の自律権を尊重する建前から、懲戒委員会は一般官吏の例によることなく、最高裁判所の定めるところによつてこれを設け、その議決に基いて、懲戒及び心身の衰弱による免官は、一級の職員については最高裁判所の申出により内閣が、二級以下については、最高裁判所以下の各裁判所においてこれを行うほか、減俸についてもまた各級別に從つて、最高裁判所以下の裁判所においてこれを行うことになつております。なお、執行吏は官吏ではなく、純粹に裁判所の職員でありますから、その懲戒については最高裁判所の定めるところによることといたしまして、從來の執達吏懲戒令は廃止することになつております。以上が政府原案の要旨でございます。
本案については、委員会は本月二日説明を聽き、次いで十一日質疑に入り、政府委員との間に大要次のような質疑応答が交されました。
第一に、本案の内容が主として免官及び懲戒の規定であるにもかかわらず、名称が分限という漠然とした廣い概念で表わされている理由についての質疑に対し、政府より、從來の判事懲戒法中、免官に属する分が彈劾法に移り、残余の部分は本案に規定されているので、罷免という字句を使うと彈劾法との関係に疑問を生ずることとなり、またその他の職員について、本來ならば官吏懲戒令あるいは官吏分限令によるべきものを、その性質上特例として本案に規定するものであつて、これらの身分、進退、懲戒等すべてを表わす言葉として分限が適当であると考えた旨の答弁がありました。
第二に、第一條に規定されるのは、憲法第七十八條に基く心身の故障により執務不能との裁判による免官に限るべきものと考えられるのに、いかなる理由からここに本人の願出による場合をも規定したのであるかとの質疑に対し、從來裁判官は終身官であつたため、依願免官の制度はなく、実際上は本人の願出による場合でも、医師の診断書等を無理に徴していたが、新憲法で終身官ではなくなつたので、依願免官を認めても憲法上違反しないということを從來の解釈上の疑いからはつきりさせるため規定したものであるとの答弁でありました。
次に第二條の過料について、一万円以下の過料によつて、実質的には、在任中の俸給が減額されることとなり、憲法第七十九條及び第八十條の、報酬を減額することができないという規定に抵触するのではないかとの質疑に対し、過料は秩序罰であつて、俸給から差し引かず、別途一般財産から支拂えばよいのであるから、報酬の減額とはならない旨の答弁でありました。以上、質疑の要点について簡單に御説明申し上げました。
次いで委員会は、十三日討議の際、各党委員より、それぞれ党を代表して原案賛成の発言があり、次いで採決の結果、本案は全会一致原案の通り可決いたした次第でございます。以上、御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/6
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007・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/7
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008・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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第二 薪炭需給調節特別会計法を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/8
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009・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) 日程第二、薪炭需給調節特別会計法を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長野溝勝君。
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〔野溝勝君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/9
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010・野溝勝
○野溝勝君 ただいまより、内閣の提出になりました、農林委員会付託にかかわる薪炭需給調節特別会計法改正に関する法律案の、審議の経過及び結果の御報告を簡單に申し上げたいと思います。
本法律案提出の理由は、薪炭需要の最盛期を迎えまして、政府買入資金の不足を緩和し、もつて薪炭の需給の円滑をはかるため、薪炭需給調節特別会計法を改正し、短期証券を発行し得るの途を開き、併せて会計運営に遺憾なきを期せんとしたものであります。
次に、本改正法律案の要旨を説明いたします。從來政府は薪炭需給調節をするため、その買入れ、賣渡しまたは貯藏に関する一切の歳入歳出について特別会計を設置し、これを運用し來つたのでありますが、同会計の借入限度は五億円でありまして、これでは足りないのでございます。この足りない部分を一時借入金をもつて賄つてきたのであります。しかるに、本年七月以降、薪炭公定價格を約二倍程度引上げたことと、また最近の輸送事情の急激な惡化のため、山元滯貨が増加いたしまして、生産者の資金手当が梗塞するにつれ、横流れの傾向が著しく殖えたのであります。これらを早急に解決するために、生産地で現物を確保する必要があるのであります。以上の理由をもつて、右の借入金または一時借入金の方法によるほか、一年内に償還する証券を発行し、政府資金の操作限度を一挙に三十億円に引上げんとするものであります。
そもそも農林委員会は、冬季を控え、一般家庭燃料の問題の重要性に鑑みるところありまして、かねて林業対策小委員会を設置し、その対策を考究し來つたのであります。しかしながら、その実情は、各種の惡條件が山積し、加うるに、過般の水害は第三・四半期以降の燃料事情を急激に惡化させ、まことにゆゆしき事態に直面するに至つておるのであります。ここにおいて本委員会は、改正法律案の審議と併行し、これが局面打開について熱心なる質疑討論を行つたのであります。以下、質疑應答を整理し、おもなるものを御紹介いたします。
質疑の第一点といたしまして、まず政府はこの際燃料緊急対策を明示せられたい。これに対する政府側の答弁は、燃料問題は食糧問題に匹敵する重大問題と考え、関係各廳と協力し、具体策樹立に努力しているが、まず輸送面については、山元滯貨を急速に搬出するよう非常手段を考究中である。次に資金面に関しては、本改正法により三十億円の資金を確保し、もつて現物確保の完璧を期したい。薪炭による不足分は、タドン、ガス、電力に加え、総合燃料対策要綱によりこの難局を切り抜けたい。
質疑の第二として、短期証券発行限度を三十億円とした理由いかん。これに対する政府の答弁は、二十二年度の最高買入時期であつた八月を押え、三十億円ときめたものであつて、この金額を限度とし、毎月変化していくものである。
質疑の第三として、政府はこの冬の薪炭需給には万全を期すると言明しているが、目下東京都を初め都市における燃料事情は惡化の一途をたどり、市民の不安は高潮に達している、そのおもなる原因として輸送の不円滑が指摘されているが、薪炭の鉄道輸送の現況と今後の見通しについて示されたい。右に対する答弁は、昨年度に比べ成績は良好であつて、本年度における木炭輸送要請量に対して、可能量は八〇%、薪は七〇%、平均査定率六六%に対し高率である。しかし、燃料問題の解決に対し、輸送方面の最大の努力を拂う。
質疑の第四として、山元では金融難のため原木の手当が不可能である。資金を前渡する意図はなきや。これに対し政府の答弁は、前渡金は出さぬのが建前であるが、事業会計上特別なものは認めているので、研究したい。また將來は政府で一定量を買い上げ、完璧を期したい。
質疑の第五として、山元から駅頭までの搬出に補助金を出す用意ありや否や。これに対し、小運送費は生産者價格の中に織りこんである。しかし、生産地が漸次先山から後山に移り、買上代行機関までの輸送費がかさみ、滯貨の原因となつているので、問題の重要性に鑑み、一般会計から出せぬときは、関係方面とも協議して、特別会計より支出し得るよう善処したい。
質疑の第六として、中間搾取機構是正の必要なきや。またその具体的数字を示されたい。これに対する政府側の答弁は、生産者價格と消費者價格との開きは、中間所要経費に充当されるものであつて、搾取とはなつていない。價格差のほとんどが輸送費である。
質疑の第七として、現行加配米は一俵につき一合七勺の増配をされておるが、さらに増配の意思なきや。政府側の答弁は、五合線確保を交渉中である。
質疑の第八として、自動車の代用燃料の生産について、いかなる方針をとるや。政府の答弁は、家庭燃料優先確保のため、ある程度の制限を行う考えである。以上、質疑のおもなるものについて御報告申し上げました。
次に、質疑の内容にも見られるごとく、本改正法律案は、政府の総合家庭燃料対策の一環として立案せられたものであり、その資金面の窮況を打開し、生産者の負担において貯藏せられている山元ストツクを一掃し、もつて生産意欲を高揚せしめると同時に、配給面に乘せるべき現物を國家の手中に掌握せしめる点において、機宜に適するものと認められるのであります。すなわち、十月十八日開会の農林委員会は、附帶決議を附して、満場一致をもつてこれを可決いたしました。
なお、家庭燃料の手当に緊急を要するので、林業対策小委員会の答申にかかわる緊急要請書を政府に提示し、善処方を要望することになりましたが、決議案文に若干の修正を加える必要を認めるに至りましたので、十月二十一日開会の農林委員会において再審議の結果、左のごとく可決いたしました。以下、緊急要請書並びに附帶決議を朗読いたします。
緊急要請書
一、政府は燃料対策本部を設け、少くも家庭必需量の最低限度確保を目標に、電気、ガス、練炭、亞炭、薪炭等との総合的計画を立て、緊急果断に措置を推進すること
一、生産地に滯貨している木炭十四万五千余噸、薪百九十四万五千余層積石を主要消費地へ結びつける山元搬出、小運搬、トラツク、鉄道、船舶等総合的輸送調整を行い、優先措置を強力に断行すること
一、水害地帶の山元滯貨搬出に対しては、特別補助を考慮すること
一、長期滯貨による包裝腐朽のものが多いので、至急改裝資材特配の方途を講ずること
一、價格は正味建とし包裝荷造は別途に計算すること
一、薪炭滯貨を一括買取り、現物を確保し、横流しを防止するため直ちに金融的措置を講ずること
一、原木は薪炭増産計画の裏付けとして割当制を確立し、資金は木炭買上代金一部前渡の方途を講ずること
一、薪炭増送に從事する夜間勤務者に対しては、食糧特別加配の措置を講ずること
附帶決議
一、政府は本会計法の運用にあたつて生産者に対し、薪炭買入代金の即時支拂を必ず行うこととし、以て薪炭生産者の生産意欲を阻害せざるよう努めること
二、政府は可及的速かに本会計法を改正する等の措置を講じ、製炭資金の前渡、築窯費の補助等生産増強に関する費用を機宜に即して助成するの方途を開くこと
三、配給機構の全面的改正を行い、農業会及び森林組合、林産組合をして指定取扱を爲さしめる等配給面の円滑を期すべし
四、薪炭價格は全国プール計算を廃し、各地方の実情に即し、速かに改正すべし
五、木炭價格に就ては、中間における不当なる利益又は不必要なる経費を省くことに最善の努力をなすこと
以上をもつて、薪炭需給調節特別会計法を改正する法律案に関する審議経過の概要を報告いたしましたが、御賛成あらんことを切にお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/10
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011・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/11
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012・田中萬逸
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後三時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100105254X04819471021/12
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