1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託事件
○中小商工業の再建に關する陳情(第
百六十四號)
○マッチ産業公團制の實施に關する陳
情(第二百八十九號)
○財團法人理化學研究所に關する措置
に關する法律案(内閣提出)
○板ガラスの配給機構及び取扱いに關
する陳情(第三百四號)
○百貨店法を廢止する法律案(内閣送
付)
○昭和二十年法律第五十四號私的獨占
の禁示及び公正取引の確保に關する
法律の適用除外等に關する法律案
(内閣送付)
○石綿輸入促進に關する請願(第二百
六十五號)
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昭和二十二年十月十日(金曜日)
午前十時三十二分開會
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本日の會議に付した事件
○財團法人理化學研究所に關する措置
に關する法律案
○昭和二十二年法律第五十四號私的獨
占の禁止及び公正取引の確保に關す
る法律の適用除外例等に關する法律
案
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/0
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001・一松政二
○委員長(一松政二君) それでは前囘に引續きまして、財團法人理化學研究所に關する措置に關する法律案を上程いたします。今日は審議の都合上先ず委員の間で意見を取交しまして、そうしてこれを今後いかに國家目的に副うように運用すべきか、又運用するにはどうしたらいいかということをお互いに話合いをするために速記を止めまして、そうして暫くの間懇談會の形で行くことにしたらいかがかと存じますが御異議はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/1
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002・一松政二
○委員長(一松政二君) それじや異議ないということでありまするから、速記はこの程度で止めまして懇談會に移ります。
午前十時三十五分懇談會に移る
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午前十一時三十分懇談會を終る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/2
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003・一松政二
○委員長(一松政二君) それでは懇談會を終ります。
先程の懇談會でいろいろ討議されました結果、小委員を設けまして、そうしてこの法案に對して附帶決議案を附したいという御意見でございまして、さように取計らつたらいかがかと存じます。先ずお諮かりいたしますが、小委員を設けることに御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/3
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004・一松政二
○委員長(一松政二君) 異議ないということでありまするから、それでは小委員を設けて文案を拵えまして、そうして文案ができましたらこの委員會の承認を求めることに取運びたいと思いますが、その小委員の人數及び人選についていかがいたしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/4
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005・廣瀬與兵衞
○廣瀬與兵衞君 人數及び人選は委員長指名にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/5
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006・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 贊成。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/6
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007・一松政二
○委員長(一松政二君) 人數及び委員の指名につきましては委員長に一任という動議が提出されましたのでありますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/7
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008・一松政二
○委員長(一松政二君) 御異議ないと認めます。それでは人數及び委員の人選につきましては委員長において適當に取計らいまして後刻御報告を申上げることにいたします。
それでは本日は財團法人理化學研究所に關する措置に關する法律案については、直接商工大臣より説明を聽く個所がありますので、大臣の都合がつきまする限り更に午後一時から再開することにいたしまして、今日の午前はこれを以て休憩といたします。
午前十一時三十五分休憩
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午後一時四十四分開會発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/8
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009・一松政二
○委員長(一松政二君) それでは午前に引續きまして財團法人理化學研究所に關する措置に關する法律案を上程いたします。本法律案につきまして特に商工大臣から直接説明を承りたいという委員の方がありましたので、特に商工大臣のお忙しいところを煩わして只今御出席を願つたのであります。それでは商工大臣に對する御質問をして頂きたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/9
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010・中平常太郎
○中平常太郎君 大臣の御出席を求めまして御質疑を申上げたいのでありますが、この財團法人理化學研究所に關する措置に關する法律案というのは一つの單行法律でありますが、大體財團法人を株式會社にするというのは外にやり方があるのでありますが、特にこの法律案にした理由をお伺いしたい。
もう一つは、日本の現在の化學方面の世界の水準に達していないという立場から考えまして、理化學研究所なるものは今日までの實績から徴しまして、相當機能を發揮しておつたという實績から徴しましても、將來これは國立になすべきものでないか。一つの株式會社にこれを拂い下げのごとき状態で株式會社に變えるということは、營利の目的をもつておるものの方へ傾いて來やしないか。それで公共性を帶びたところの、利害に極めて遠いところの樣々なる天地の現象の研究に對しまして、果して立派な成績を擧げ得るような研究もできるかどうか。ややもすると株式會社にするために營利に陷り、又株主の意見のために社長はそれによつてその方針を誤るということがありはしないか。私などの考えといたしましては、この理化學研究所はもつと擴張して、そうして日本の極めて必要なるところの研究の方面に、十分國家がこれに相當な豫算を組んで、そうして悠々と學者に十分な待遇を與えて各種の研究に當らしむべきものではないか。折角今日まで財團法人であつた理化學研究所が相當效果を擧げておつたにも拘わらず、この際解體しなければならないという機運になつた以上は、國立に採り上げてよいのではないか。何故に株式會社にしてしまつて利益の方面に傾かしめたかという問題について大臣の御説明を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/10
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011・水谷長三郎
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御質問の第一點は、本法案を單獨の法律として提出した理由はいかがということと、いま一つは理化學研究所のような重要な研究施設は、一營利法人としないで國立とする方がよいのではないかというように了承いたしました。
第一の御質問に對する答辯でございますが、本法律の構想は、會社經理應急措置法及び企業再建整備法におきまする特別經理會社の再建整備の方式と大體揆を一にしておると思うのでありまして、本法律の狙いは、理化學研究所につきまして兩法律を準用することにおいても達成せられるのであります。政府としましては昨年兩法律の施行後、會社以外の法人に對しましては直ちに兩法律を準用する命令の制定につき研究を開始したのでございまするが、當初準用の主たる對象として豫定しておりましたところの營團、組合につきましては、その後閉鎖機關令、いわゆる獨占禁示法等の關係からその準用が不可能乃至困難な情勢となつて參りましたので、當該命令の制定は更に延期せざるを得ない實情であるのでございます。他方理化學研究所の再建整備の措置は一日も速かに實施せざるべきものでございまして、且つ最近に至りまして、かかる重要なる措置は命令の形式とせないで、法律として施行すべきであるという意見が有力になつて來ました事情もございまして、ここに單獨法として制定することとしたような次第でございますので、その間の事情はさよう御了承を願いたいと思います。
更に又理化學研究所のような重要な研究施設は、一營利法人としないで、國立とせよという御意見でございますが、これは提案理由におきまして御説明いたしました通り、理化學研究所は大正六年に設立せられましてから爾來三十年間引續いて民間の研究機關としての沿革を有しておりまして、我が國の理化學乃至産業の發展に多大の貢獻をなしまして、世界にもその聲價を知られるに至つたのであります。從つてその特色は飽くまでも民間の綜合研究機關たる點にあるのでございまして、終戰後の内外の情勢によつて、この度改組を餘儀なくせられましたことになつたのでございますが、その改組の方向は、從來の右の特色を活かし、且つ殘すように考慮せられなければならないと考える次第でございます。
理化學研究所を國立とする考え方につきましては、政府といたしましていろいろ檢討したのでございますが、戰後の荒廢した我が國のこの状態におきまして、理化學の振興は、我が國産業の復興のために、極めて重要なことでございまして、そのために綜合的な國立研究機關を設けることも、その必要性は一應頷けるのでございますが、今日の我が國の歴史的且つ經濟的な諸條件を考えますと、なかなかこの理想を今直ちに具體化し實現することは困難があるのでございまして、その事情につきましては、十分御賢察願いたいと存ずる次第でございます。
次に營利會社となるについてでございますが、形式といたしましては、營利法人組織を採ることとなりましたが、飽くまでも研究を主といたしまして、營利を從とするように運營せられることになるのでございます。いはば新しい經營の指導方針がこの會社において實現せられることと信ずるのでございます。
大體御質問に對しまして以上簡單にお答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/11
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012・中平常太郎
○中平常太郎君 只今の大臣の御説明で大體分りましたのでございますが、現在の内閣におきましては、極めて大切なる問題は國が計畫經濟を以てなさねばならんという一つの方針を持つている、この方針を堅持しておる現内閣の立場から申しまして、この一つの理化學研究所というものが、極めて廣い範圍におきまして、國策いわゆる國家の將來に及ぼす影響を持つておりながら、一營利會社にこれを讓るということは、本當に國家が考えるべき、現在の片山内閣の考えるべき處置として適當であるかどうか。私は根本におきましてはできる限り民營に移すことがよいと考えておる一人でございますが、それは物と品による。この理化學研究所の研究題目は實に廣範に亙つておりまして、日本におきましても研究所の内容を檢討しまするというと可成り樣樣な範圍に試驗で行われつつあるのでございます。それが國立とするならば能率が擧がらない、或いは民營としたなれば能率が擧がるというのでは、それは政治の貧弱を現わすものでありまして、私は決して表立つて申上げられる性質のものでないと思う次第でございます。最も效果的にするために國立にする。國の將來を考えてみて極めて偏らざる、最も必要なるものは國立である。日本において國立である研究所は將來非常に廣い大きな使命を持つておるのじやないか。これは一株式會社に委せると、主とし營利に向つてのみ研究が進められるようになつて來る虞れがある状態に置かれる。株式會社にいたしますなれば、將來の監督はどうするか。又これに代るべき國立を拵える意思があるのかないのか。國立の研究所は現在におきましては、商工省關係におきましても機械の試驗所とか、或いは繊維とか、或いは陶磁器とか、或いは工藝とか、或いは燃料の研究とか、或いは地下資源の調査とか、工業試驗所とか、電氣試驗所とかいろいろございます。その他いろいろ國營のものがありませうけれども、これは或る意味からいいましたなれば、統合すべき性質のものであるけれどもが、日本の經濟の現状といたしまして、そう今日統合ができない。各それぞれに使命を果しつつあるのでございまして、これも過渡的の時代といたしましては致し方がないのでございます。一つの專門の部類の屬する研究なればこういう方面もよろしいけれどもが、理化學研究のごとき廣い範圍を持つ、實にどの方面まで行かなければならないか分らないような問題を研究するところの理化學研究所として、利害を離れた大方針の下に損得を離れて、適當な立派な學者を聘して、相當な待遇をして、十分に國策に副うべく、理化學の研究に邁進して貰いたいという國民の希望が私は十分にあると思うのであります。こういうような場合に、この財團法人である理化學研究所が突然と株式會社に變つてしまうということは、我々は大臣のお話を聽きまして一應は了承いたしますけれども、國民が果して了承するかどうか。私は今日まどの理化學研究所は相當な成果を擧げておるが、成る程今日までの理化學研究所の經營振りが利害を一緒に織り込んだようなやり方を以ていたしまして隨分無軌道に……或る意味からいうたならば無軌道で、諸官廳の俸給以上に高給を出したり、或いはボーナスその他についても、實に立派な方法をやつておられるのであろうと思います。だからして何かにつけて優遇もあろうと思いますが、とにかくにも民營として機能を發揮して、財團法人ではあるけれどもが、殆んど民營の商事會社のごとくよくやつておられましたために、能率を發揮したのであるとするなれば、國立にするなれば、これ程の效果が擧げ得ないかどうか。國立にするなれば死んでしまうということは、私はこれは政治の貧困を現わすものであつて、これは言いたくないが、理化學研究所は國立としてあらゆる方面に亙つて研究をしたいと思つておるところの意見が政府にあるならば、將來この樣々な國立の試驗所を合併する御意思があるかどうか。澤山な國立研究所がありますが、そんなようにいつまでもなさつておられるお考えか。或いは或る適當な時分に財源を捻出して、そうして一つの相當纒まつた日本の國立研究所というものをお作りになる意思があるかないか。この點をちよつとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/12
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013・水谷長三郎
○國務大臣(水谷長三郎君) こういう理化學研究所のごときものは、國立にすべきじやないか。片山内閣としては、當然こういうようなことは國立にすべきじやないかという國立國營論の御意見は、これは片山内閣に對する聊か贔負の引倒しのような觀がありまして、少し面映ゆいのでありますが、(笑聲)現内閣といたしましては、何も彼も國營ということを言うたことはございません。六月十一日の緊急經濟對策、更に又片山内閣實現前の四黨政策協定におきましても、基礎産業、重要産業にしても、その所期の目的を達することができないものに對しては國家が直接責任を取れる形體を採るということをいいましたので、こういう研究所のようなものを言つたのでございませんので、それは飽くまでも基礎産業、而も從來の經營形體では所期の目的を達することができないものという工合に限つて、ああいうような政策を立てたような次第でございまして、その點は惡しからず御了承を願いたいと思う次第でございます。
尚又この理化學研究所のごときものは、先に説明いたしましたが、研究を主として營利を從といたしまして、十分に成り立つて行くというようなものを一つの株式會社の形體でやつて行くというのも、我が國としてはこれは一つの新らしい試みでございまして、我我はそういう決意の下にこれをやつたような次第でございます。從つて將來の監督の場合におきましても、研究を主として、事業を從にするということは定款等にもその趣旨をはつきりさして行きたい、このように考えておりますし、商工大臣といたしましても監督官廳として右の方針の下に監督指導をして行くという覺悟でございます。更に又一方種々の國立研究所の存置と併行いたしまして、他方理研のような民間研究機關の活躍を期待するというようなことが相俟つて今後の我が國の産業の振興に大いに裨益するところがあると思うような次第であるのでございまして、そういう趣旨におきましてこの理化學研究所に關しましては、これまで繰返し説明いたしましたようなことでやつて行きたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/13
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014・中平常太郎
○中平常太郎君 將來日本はその中樞機能といたしまして、國立理化學研究所というようなものを、將來お拵えになる御意思はあるかどうかという點について、もう一遍大臣に御答辯願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/14
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015・水谷長三郎
○國務大臣(水谷長三郎君) それは忘れておりまして恐縮いたしましたが、こういう株式會社形體を採つておる、理化學研究所以外に、將來國立のこういうような研究所を作る意思があるかどうかという御質問だと思いますが、これは理化學研究所を株式會社としてやつて見たその成果の如何によりまして考うべきものでございまして、只今の段階におきましては、この理化學研究所を株式會社の形體によつて馬力を掛けてやつて行くということだけしか考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/15
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016・中平常太郎
○中平常太郎君 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/16
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017・一松政二
○委員長(一松政二君) 外に商工大臣に對しましてこの理化學研究所に關する措置に關する法律案について御質疑がなければ、商工大臣も特に時間を繰合せてお見えになつて頂いたのでありまするから、直ちに衆議院の方に行かれることと思うのでありますが、それで皆さん御承知でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/17
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018・一松政二
○委員長(一松政二君) それではさように計らいまして、理化學研究所に關する措置に關する法律案はこの程度にして、一應打切つて置きます。
尚本日の公報に載せてはありませんでしたけれども、皆さんの御都合と御贊成を得まして、昭和二十二年法律第五十四號私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律の適用除外等に關する法律案を緊急上提いたしまして、只今から政府の提案の趣旨の説明を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/18
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019・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 只今議題に供せられました昭和二十二年法律第五十四號私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律の適用除外等に關する法律案の提案の理由を御説明申上げます。
昭和二十二年法律第五十四號と申しますのは、御承知のように、この前の第九十二囘の議會で協贊を得まして、成立いたしまして、その後今國會で公正取引委員會の委員に關する規定に一、二の改正を加えられました法律でございます。この法律の目的は、第一條に詳しく規定されておりまするが、要するに事業者の公正且つ自由な競爭を確保することを中心といたしまして、國民經濟の民主的で健全な發達を圖ることを究極の目的といたしまして、そのために障害となつておりまする、又なりまする諸般の不當な協定等を排除し、又獨占的な企業集中體の發生を防止するといつたような措置を講ずることにあるのでございまして、我が國の經濟民主化の基本法とも言うべきものでございます、
いうまでもないことでありまるすが、事業者の創意を発揮させまして、技術の進歩を圖り、商品の品質を改善いたし、サービスを向上し、經費の無默を省き、價格を低廉にするといつたような企業經營の合理化を圖りまして、延いて一般消費者の利益を確保し、國民經濟が民主的で且つ健全な進歩発達をいたすのを圖るためには、獨占であるとか不當な協定等を排除して、不公正な競爭を禁止し、常に公正且つ自由な競爭の行なわれることが肝要でございます。
この原則は今後の經濟秩序の根本方針でありまして、從つて、この法律は原則として一切の事業部門に亙り一切の事業活動に適用されるべきものでありますが、この原則にはやはり若干の例外があると考えるのでございます。
その第一は、國家又は公共團體の營みまする、獨占的事業でありまして、この法律におきましては、私的獨占を禁止することを規定いたしまして、國營、公營の獨占的事業を直接この法律の問題にするものではないことを明らかにいたしました。
その第二は、私營事業でありましても、鐵道とか電氣とかガスとか、その他の事業につきましては、別の考え方をいたさなければならんのであります。又特許權とか著作權といつたようなものにつきましても同樣でございまして、これらにつきましては、その性質上當然に獨占となるものであり、それぞれの法規によつて十分監督をいたすことは勿論でありますが、この法律の適用を除外することを規定いたしました。
その第三は、農家や小さい商工業者のような小規模の事業者及び消費者につきましては、その相互扶助を目的としまする協同組合による團體を認めなければならないのでございまして、これにつきましてはも、原則として適用を除外することを規定いたしました。
右の三項目につきましては、私的獨占禁止法の規定上、又その解釋からして、直接且つ當然にそういうことになることになつております。
只今から御審議を煩します適用除外等に關しまする法律案で取上げていますのは、左の三項目についてであります。
その第一は、現下の危機を乗り切りまするのに必要な統制のための行爲は別に取扱わねばならんということであります。尤も現在行なわれつつありまする統制は、私的の團體、會社による配給統制、価格統制等は、眞に止むを得ないものの外これを行わせないこととする等、極力私的獨占禁止法の趣旨を盛り込んだ方式によつて運營されておりますが、主として技術的な理由からして、例外的に私的團體に臨時の配給統制の權限を認めることがございます。
本法律案第一條で第六號に食糧管理法、第七號に臨時物資需給調整法を掲げましたのは、こういう場合を適用除外しようとするのでございます。價格統制につきましては、第一條第八號のポツダム勅令としての物價統制令がこの例に該當するのであります。
その二は、特定の事業につきまして特別の法律がある場合に、その事業の性質からいつて、私的獨占禁止法の規定を適用することなく、その事業法の規定を適用する方がいいという場合でございます。
本法律案の第一條第一號から第五號までに掲げた地方鐵道法を初めとする法律の規定がこれに該當するのでございます。これらはいずれも料金等に關する協定を認可し、又はこれを命令する規定であり、私的獨占禁止法の規定に牴觸はしますが、地方鐵道等に對する監督方法の一つとしてこれを存續する必要があるのでございます。
その三は、私的獨占禁止法と、同法以外の經濟民主化法令との關係を調整することを要する場合でございます。
他の經濟民主化法令で私的獨占禁止法と異なる定めをしておる場合、又兩者の規定が競合しておる場合に、他の經濟民主化法令が特別の指定會社等について特別の事項を規定しており、一般法である私的獨占禁止法を適用せず、當該經濟民主化法令のみを適用するのを適當としますときは、これを適用除外しようとするのでございます。
本法律案の第一條第八號ポツダム勅令中のいわゆる制限會社令、持株会社整理委員會はこの範嘱に屬するものであります。
尚右の適用除外に關する本法律案第一條の規定は、私的獨占禁止法の實體規定がすでに七月二十日から施行されております關係上、七月二十日に遡つて適用することにいたしたいのであります。次に、私的獨占禁止法は今後の經濟秩序に關する基本法でありまして、我が国經濟にとりまして一つの新しい綜合的な考え方に基く經濟秩序を打立てることを宣言したものであります。
勿論この法律を俟つまでもなく、終戰以來あらゆる面で經濟の民主化が推進されて參つてはおりますが、また戰時中の殘滓と認められるものもありて、更に戰前の諸制度の中にもこの法律の豫定しまする經濟秩序と矛盾し牴觸するものが少くないのであります。從いましては法令上の措置といたしましても、私的獨占禁止法と他の經済法令との調整を必要といたすのでございます。
政府におきましても、あらゆる機會に、私的獨占禁止法に矛盾し、存續を主張すべき理由のない法令の改廢の手續を進めることといたし、今國會にも別途二十件近くの法律につき改廢の法律案を提出し、又は提出のための手續を進めております。又公正取引委員會におきましても、關係各方面の協力を得まして、既存の經濟法令のすべて亙り、私的獨占禁止法の原理に照しまして批判を加え、場合によりましては、私的獨占禁止法第四十四條による公正取引委員會の權限として、右の結果に基き國會に意見を提出し、適宜の措置を具申することといたしたいと考えております。
然しながら、檢討を要しまする經濟法令は數百件に上るのでありまして、檢討に日時を要し、又問題はそれ程簡單ではありませんので、取敢えず私的獨占禁止法の規定に牴觸する法令の規定は、本法律案第一條で適用除外したもの以外は效力を有しないという旨の規定をいたし、一括整理することといたしたのであります。この趣旨を規定したのが本法律案の第二條の規定でございます。この第二條の規定は、從來の法律にはその例を見ない荒つぽい規定のようでありますが、形式的には、私的獨占禁止法違反の事件について、公正取引委員會、又は裁判所が事件を判斷するについては、當該事件における事業者の者の行爲が、或る法令に基く行爲であつたにしましても、その法令は無效なものとして專ら私的獨占禁止法の規定によつて判斷するという意味であり、又實質的にはこの第二條の規定で效力を失う法令の規定は、統制を主たる事業とする組合に關する規定が多いのでありまして、これらについては、豫てから關係各省で整理と切換えを進めつつある次第でありまして、これがために現實に經濟界に混亂を考えるようなことは殆んどないと存ずるのであります。
以上私的獨占禁止法の適用除外等に關しまする法律案について、その要旨を御説明いたした次第でございます。何率御審議の上御協贊あらんこれをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/19
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020・中平常太郎
○中平常太郎君 今提案理由はあらまし分りましたが、第二條の問題であります。大ざつぱに括つてあられますが、これは民間にどの程度これが十分に納得が行くかということ、商業者といたしましては實に危惧の念に驅られることが多いと思うのでありますが、これが通過いたしますれば、一々裁判に訴えて見なければ分らないようなことでは商賣できない、又會社としましても經理できないと思います。そういう方面は各種の法律で、第二條で括つてあるという場合におきましてはどういうふうな方法で一般民間に十分徹底できるものでしようか。ために商工業の發展に一つの疑惑を持つようなことがありはしないかと思うのでありますが、その點はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/20
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021・黄田多喜夫
○政府委員(黄田多喜夫君) 只今御質問になりました第二條が實施されると、商賣人が不安動搖に驅られることがないかという御質問でございます。大體今政府の方で改廢を豫定しております、對象となつておりますものは約四百でございまして、それは只今提案理由の中にございました通り多くは統制を主とするものでございます。その中の二十何件というものはすでに今議會で廢止又は改正を要求しておりますので、只今説明いたしました通りでございますが、その二十というのが大體大きなものでございまして、後の三百幾つというものは二十に比べまして割に影響力の少いものなのでございます。そういう點を勘案いたしますと、御質問のような商業界に不安動搖を起すということは、これは實際問題としては問題とするに足りないくらいのものではないかというふうに我々といたしましては目度を付けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/21
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022・一松政二
○委員長(一松政二君) 尚委員長からちよつと皆さんにお諮り申上げたいと存じます。實はこの私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律については非常に機微な點がありまして、皆さんの御發言の内容で或いは懇談會に移した方がいいのではないかと考えられますので、只今和田安本長官から提案理由の説明がございましたが、今日は提案理由を聽くに止めて、あとは速記を中止にしまして、皆樣のお考えになつておることを腹藏なく中山委員長或いは政府委員に御質問なさる、こういう形を取つたらいかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/22
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023・一松政二
○委員長(一松政二君) それでは委員會としては本日はこの程度で閉會することにいたしまして、あとは懇談會を以て引續き御説明を求めることにいたします。
午後二時十九分散會
出席者は左の通り。
委員長 一松 政二君
理事
林屋亀次郎君
鎌田 逸郎君
委員
中平常太郎君
大野木秀次郎君
黒川 武雄君
中川 幸平君
深川榮左エ門君
油井賢太郎君
九鬼紋十郎君
小林米三郎君
佐伯卯四郎君
島津 忠彦君
高瀬荘太郎君
波田野林一君
結城 安次君
廣瀬與兵衞君
國務大臣
商 工 大 臣 水谷長三郎君
國 務 大 臣 和田 博雄君
政府委員
總理廳事務官
(公正取引委員
會事務局總務部
長) 黄田多喜夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100114449X01319471010/23
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