1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年六月二十二日(火曜日)
午後一時三十分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 前田 郁君 理事 佐伯 宗義君
理事 高瀬 傳君
大澤嘉平治君 尾崎 末吉君
松本 一郎君 井谷 正吉君
川島 金次君 重井 鹿治君
島上善五郎君 館 俊三君
原 彪君 矢野 政男君
飯田 義茂君 堀江 實藏君
出席國務大臣
運 輸 大 臣 岡田 勢一君
出席政府委員
運輸政務次官 木下 榮君
運輸事務官 岡田 修一君
委員外の出席者
專門調査員 岩村 勝君
專門調査員 堤 正威君
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本日の会議に付した事件
國有鉄道運賃法案(内閣提出)(第七七号)
港則法案(内閣提出)(第一一三号)
木船保險組合の解散に関する法律案(内閣提
出)(第一一七号)
水先法の一部を改正する法律案(内閣提出)(
第一一八号)
港域法案(内閣提出)(第一二三号)
船員職業安定法(内閣提出)(第一四七号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/0
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001・川野芳滿
○川野委員長 会議を開きます。
去る六月十五日本委員会に付託されました船員職業安定法案を議題として、政府より提案理由の説明を聽取いたします。岡田運輸大臣。
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002・岡田勢一
○岡田國務大臣 船員職業安定法案提出の理由を簡單に御説明いたします。
現在船員の職業紹介に関する法律としては、大正十一年に制定された船員職業紹介法がありますが、終戰後のわが國海運再建のためにも、かつ新憲法の精神に副うためにも、同法改正の必要を生じましたので、一昨年末より同法改正の準備に着手し、運輸省に船主及び船員の團体の代表者を初めとし、関係各方面の学識経驗者からなる船員職業安定法令審議会を設け、これに新法案の立案に関し諮問いたしました。同審議会は数次にわたりまして開催され、愼重審議を続けるとともに、その間運輸省といたしましても、横浜、神戸、門司において公聽会を開催し、廣く各方面の意見を徴しました。同審議会は、本年一月三十日ようやく成案を帰るに至り、政府に答申いたしましたので今回この答弁案を骨子としまして、船員職業安定法案として提案する運びとなつたのであります。
新法案の概略について説明いたしますと、本法案の骨子をなす精神は、新憲法第二十二條の趣旨に基きまして、個人の基本権を尊重し、労働者の保護をはかることによつて、船員の職業安定をはかるとともに、労働の民主化を促進しようとすることにあるのであります。すなわち新法案においては、新憲法の趣旨に副いまして、職業選択の自由、均等待遇等の諸原則を新たに現定するとともに、一九二〇年の、海員に対する職業紹介所設置に関する條約の内容を、現在のわが國の状況より見て、可及的にこれを國内法として取入れ、また陸上一般労働者を対象にした職業安定法と同調して、職業行政の理想を実現せんとしているのであります。また現行の船員職業紹介法と比較しますと、同法が單に船員の職業紹介についてのみ規定していたのに反し、新法案においては、新たに職業指導、普通船員職業補導、船員労務供給事業、船員の募集に関する諸制度を規定して、船員の職業安定をはかるとともに、労働の民主化のため、船員労働の中間搾取が行われないよう、種々の規定を設けているのであります。
以上でございますので、愼重御審議くださいまして、御賛成あらんことをお願いいたします。
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003・川野芳滿
○川野委員長 それでは船員職業安定法案に対する質疑は、後刻にすることにいたしまして、國有鉄道運賃法案を議題として、質疑を続行いたします。大澤嘉平治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/3
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004・大澤嘉平治
○大澤委員 國有鉄道の運賃の値上げの問題は、先日來の質疑應答によりまして、焦点は大体倍率の問題であるということに結論がまいつておるようであります。私は本問題の根本的解決は、最初の出発当時にまた逆もどりするようでありまするが、鉄道事業経営の根本方針にありと考えるのであります。そこで赤字のための値上げである、またそういう意味の今度の三倍半の値上げであるということになるならば、結局半年経てばまた値上げしなければならぬということは、今から予測できるのでありまして、この点に対しまして、深く考慮を拂わなければならぬと考えるのであります。北村現藏相は、運輸大臣の当時、運賃の値上げの説明をいたしたのでありまするが、鉄道事業は慈善事業でもなければ、あるいは社会事業でもないということを申しておつたのであります。もちろんそういう見地から考えるならば、損をしては経営はできない。從つて独立採算制をとらなければならぬという建前から、値上げをするのであるということを申されたことを記憶しておりまするが、岡田現運輸大臣は、國鉄事業に対して北村前運輸大臣と同じ見解をもつておるか。この点に対してお伺いいたしたいと思うのであります。もちろん社会事業でも慈善事業でもないという見解をとられるというのならば、その点に関して大いに考え方を違えなければならぬと考えるのであります。もし北村前運輸相と同じ見解でおられるならば、慈善事業でもなく、社会事業でもない、あるいは單なる企業であるというような見解をもつならば、鉄道事業の経営は、あえて國家がこれほど赤字を出して経営していく必要もない、かようにも考えられるのであります。むしろ現在の非能率的な國鉄の経営方式か一切放棄して、民間事業として、民間の優秀なる経驗者、技術者等にこれを分割して経営させたらどうか、かようにも考えられるのであります。これに対して國家は十分監督助長行政をやるということを建前としてはどうか、かように考えるのであります。なお私鉄の企業の現状を見ましても、御承知の通り現在のインフレの惡條件下にありましても、すでに最近の七割五分の値上げだけでも、相当採算がとれるというようにも聞いておりますし、なお私鉄のうちにはすでに相当の配当もしておる——現在三・五倍の値上げをしなくとも配当までもして、経営成績を相当あげておるという会社も見受けられますので、こういう点を考えますときに、國鉄といたしましたならば、戰時中の強制合併、買上げというようなことをやつた私鉄を拂い下げて赤字の補填をしたらどうか、かようにも考えられるのであります。なおこの点につきまして、公益事業であるというような見解でやられるならば、もちろん輿論を十分考えてやらなければならぬと考えられるのでありまして、インフレを高進させるような方法、あるいは國民の心理を惡化せしめる三・五倍というような法外の値上げの問題に対しましては、まつたく國有鉄道としては、また國家の経営する事業としてはとるべき途でない、かようにも考えられるのであります。値上げの根本は、結局一般國民に間接税の意味で赤字を負担させるということになるのであります。この点は結局その利用者のみが負担するというような問題と二つにわかれるのでありますが、独立採算制という見地から、赤字の解消をなすという点だけから考えるならば、國策的立場から値上げを決定しなければならないと考えるのであります。なお國民に納得せしめるところの経営の合理化については、申し上げるまでもなく人件費ももちろんありますが、物件費の非常な高騰によることは明らかであるのでありまして、現在の國鉄の人員の過剰の問題も十分含まれておるということも考えられるのであります。実際問題といたしまして、この点を解決しなければならぬという問題になるとすれば、すなわち労働法規の改正をしなければならないと考えられるのであります。從いまして労働基準法、労働組合法、あるいは労調法等の改正と並行してこの問題を解決しなければ、根本的の解決はできないと考えられるのであります。この点に対しまして運輸大臣がこれを実行する心構えがあるかどうかということを、お尋ねしておきたいと思うのであります。
なお政府は國鉄復興五箇年計画というものを立てられて、貨客運賃をそれぞれ三倍半の値上げをする、なお給與の点は三千七百円ベース、物價水準は現行の七〇%増としておるのでありまして、結局昭和二十七年度においては二十二億円の黒字が出るということを発表しておるのでありますが、はたしてこの数字に現運輸大臣は確信をもつてこの計画を発表されたかどうかということもお伺いしたいのであります。この基準、條件は半年足らずして、すなわち先ほどの三千七百円ベースというものは改訂しなければならないということも、今から考えられる問題であるのでありまして、この点に対して、五箇年計画を立てるのに、すでに三千七百円ベースで五箇年計画を立てたということも、まつたく考え方が違うのではないか、かように考えるのであります。なお勤労能率の向上、石炭の消費節減、あるいは幹線の電化、車輛の使用効率の改善、作業の機械化をあげているようでありますが、この点に対しての具体的の説明を伺いたいと思うのであります。なお先ほど來各委員の質問に対して十分運輸大臣は答弁されておつたようでありまするから、私の質問に対しては、すでに答弁が済んでおるということを言われるかと思うのでありまするが、私は運輸交通委員の方には最近送つたのでありまして、この運賃問題に対しては途中から伺つておるので、いろいろ聽き漏らした点もありますから、重複した点もあるかと思いますが、この点お許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/4
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005・岡田勢一
○岡田國務大臣 大澤さんにお答えいたします。まず第一の御質問は、國鉄経営の基本方針はどうか。これに対しまして北村大藏大臣の意見は、國鉄は慈善事業でも社会事業でもないということを申したが、意見は変らないかというお話でありますが、その点に関しましては、北村大藏大臣と同一意見でございまして、これは純然たる経済的企業であると考えております。根本方針といたしましては、國鉄の経営原價に適合いたしますような運賃制をとりますこと、すなわち独立採算制を確促いたしますことが根本原則であると考えておるのでございます。そういたしまして、問題はその経営のコストをいかに低下するか、企業の合理化、能率化によりましてどの程度までこの経営原價を低下し、一般國民の負担を軽くさすかという点にあるのでございまして、私らもその方向に向つて努力すべく、またもう一つには大澤さんがお触れになりました國鉄の復興五箇年計画も、そういう線と、ほかに一般日本の経済を再建復興いたしますための大きな一環といたしまして、國鉄が寄與することを目途といたしまして計画をいたした次第でございます。それから今日の情勢から考えまして、半年後にあるいは再び値上げをするようなことが起りはしないか。同時にまたあとからの御発言がありました現在三千七百円ベースを行おうとしておるが、これまた半年足らずで改訂の必要に迫られはしないかという御意見でございますが、三千七百円ベースが永く持続できますかどうかという問題は、將來のインフレいかんにかかる問題でございまして、將來において、ただいま政府が改訂をしようとしております物價水準が維持できなくなりまして、なおまた別に重大な理由が発生いたしまして、ただいまの勤労大衆の生活が脅かされるというような事態がまいりました場合には、三千七百円ベースを維持できない時期が來ると存じますが、ただいま政府が考えております実質賃金の拡充、その他生活物資の配給の強化、勤労所得税の大幅の軽減などを今の見込み通りに実行できますものといたしましたならば、まず三千七百円水準は維持できるという信念の上に立つて、今回予算を編成いたしました次第でございます。つきましては、万一三千七百円ベース及びただいまの物價水準が改訂されなければならぬ時期がまいりました場合においては、國鉄の運賃をどう考えるかということについては、これはただいまの運賃の決定は、独立採算制という、先ほど申し上げました國鉄経営の基本原則を無視いたさないとともに、また今日の困難な日本の経済の難局を切り拔けますための一般物價政策などからの理由を取入れまして——影響を考慮いたしまして、両々相まつた考慮の上に立ちまして新運賃倍数を決定いたした次第でございますので、そういう時期がまいりましても、ただいまの経済産業の実態からも考慮いたしまして、上げるか上げないかということはそのときに適当に決定されるべき問題でございまして、今から私らは予想はいたしておらぬわけでございます。
次に國鉄を一部民営にすべきでないかとの御意見のようであります。私鉄が先般中間値上げをいたしまして、七割五分の暫定値上げをいたさせましたが、この七割五分の値上げで採算がとれておつて、配当をするという会社もできそうであるというお見込みでございましようが、私は私鉄はこの七割五分の中間値上げによりまして、さように黒字が出ることになつておるという報告をまだ聽いておりませず、從つてそういう確信をもつておらぬわけであります。私鉄は御承知の通り人件費が非常に膨脹いたしまして、最近におきましては、総收入の八〇%、多いところでは九十一、二%まで人件費の支拂いを要することになつておりまして、國鉄の運賃値上げを待ちますと、会社が重大な危機に瀕することに相なりましたので、それを待たないで中間値上げをさした次第でございます。もちろん國会において國鉄運賃が決定されまして以後の私鉄に対する運賃の値上げに対しましては、これは私鉄の会社の個々の資産内容、損益の実際、その地方の交通状況、採算の状態等をよく個々に檢討を加えまして、私鉄と國鉄とが並行いたしておりますような所は、それをも参酌いたしまして、画一的の私鉄の運賃値上げというものはやらない方針にしておるのであります。
それから次に、物件費の節約、人員の整理等をやらなければ、経営原價が下つていかないという御意見でございまして、その点はまことに同感でございます。この國鉄経費の節約につきましては、今回の新倍率の決定並びに予算の編成に際しまして、できるだけこれらの経費の節減に努力をいたしまして、國民の運賃負担を可及的低位に止めたいという考え方から、いろいろと努力をいたしまして、まず予算編成にあたりまして、所要人員のうち約六万人を最初に節約したことになつておるのであります。また物件費についても、大体今回の新物價改訂水準は重要物資面におきまして、約七割の値上げの見込みでございますが、國鉄の使います物件費につきましては、個々に檢討を加えまして、あるものは二割上げ、あるものは三割上げで止め得られるというような計算を立てまして、平均いたしますと、約五割上げで予算を組んでおるわけでございまして、この点も実際に即しまして、事前にできるだけ節約をいたしておるのであります。ついては、一部に旅客運賃の倍率修正の御意見が國会の内部においてあるやに承つたのでございまして、その財源としてこれら人件費の節約、物件費の節約等ができないかという御意見もあるのでありますが、こういうような環境にありまするとともに、また他の一面といたしましては、日本のこのインフレの克服、物價並びに國民生活の安定を策しまする根本は、生産の飛崩的増強がなければできない。こういう原則に立ちまして、生産の増強を策するには、ただいまの夥しい全國の滯貨を一掃いたしまして、輸送力を強化することによつてこれが促進せられる。こういう見地から、さきに政府は本年度石炭三千六百万トン産出を予定いたしまして、これに伴います鉄道その他運輸事業の増送計画をいたしましたわけであります。本年度におきまして一億三千トンの國鉄輸送を強く要請されておりまして、それを私らは完遂する予定にいたしておりまするが、これを昨年度から比較いたしますると、約二割弱の輸送増強になるのであります。ただいまのこの生産増強に対する國鉄の重大な立場から考えまして、経費の節約、人員の節約もさることではありますが、それよりもまず日本の困難な経済の現状を救いますため、インフレを克服いたしますために、第一に輸送の増強に重点を置かなければならぬ関係もございます。そういうことで、両々相まちまして、ただいまの予算面に盛られております國有鉄道特別会計面における物件費及び人件費からする整理節約は、ただいまの状態におきましては、きわめて困難である。それよりも積極的に増送をやらなければならぬものであると私らは信じております。
次に、國鉄の五箇年計画、これは先にも申し上げましたように、日本経済の復興の大なる一環といたしまして、一應計画をいたした次第でございますが、その中に、昭和二十七年になりますと、二十二億の黒字が出ることになつているが、これに対して確信があるかというお話でございます。これはもちろん今後の経済情勢にも左右される問題になつてくると思いますが、まず私らが希望いたしておりますように、日本の経済、生産などが振興いたしましたならば、これは十分にできると信じているのでございます。
なお國鉄の機械化、合理化等の具体的説明をせよというお話でありますが、大体大づかみに御説明申し上げますと、日本の國有鉄道は支那事変発生以來、その科学的、機械化的の進歩が遅れておるのでありまして、從前の日本の鉄道の優秀なる成績、確実なる運轉、運営というようなことも、よほど阻害せられてまいつておるのであります。これを機械化する。ことに願わくば全線短年限の間に電化をいたしまして、石炭その他の消耗品、人員等の節約をし、輸送の合理的促進をはかるということが、第一の目標として取上げられなければならない。その他操車場の施設、あるいは修繕工場、あるいは驛々における貨物の荷役、港湾の海陸運輸の連絡等におきましても、これを機械化いたして、人員の手数を省くとともに、輸送力、輸送能率を高めるということが大きな方針でありまして、それを國鉄五箇年計画の中に繰入れその線に沿つて今後の合理化、能率化をやつていく。それによつて劈頭に申し上げましたように、國鉄を健全経営に向わしめ、一般國民、利用者に対する負担を輕減していきたいというのが大きな目標でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/5
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006・大澤嘉平治
○大澤委員 現在のインフレ高進をある程度まで抑圧していくには輸送力の増強が必要であるということを、運輸大臣が主張せられておりましたが、この点はもちろんであります。しかし現在の輸送状況の、滯貨等の問題で輸送がきわめて澁滯しておるということは、結局山間部とか、あるいは鉄道の通らない所に滯貨が多いのであります。薪炭とか木材というものも、鉄道の驛の近くはそれほど滯貨しておらない。鉄道の通らない所に相当滯貨がある。かように考えられまするので、今後の貨物自動車に対する運輸省としての考え方、運賃の問題、あるいは貨物自動車に対する運輸行政の面、こういう点をいかに考えておられるか、それをちよつと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/6
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007・岡田勢一
○岡田國務大臣 大澤さんの御指摘の通り、武在主要幹線よりも、山間部のローカル線の方に滯貨が多いということはその通りでございます。殊に木材、薪炭、亞炭等につきましては輸送が澁滯しておりまして、当局といたしましても、まことに遺憾なことであると考えております。これらの滯貨を減少いたしますために、さしあたりトラツク事業の強化をはからなければいかぬという御意見は、たいへんごもつともでございまして、本年度におきましても、できる限りトラツクの車輌を殖やしまして、必要な資材を供給いたし、本年度は自動車輸送によりまして約二億四千万トンを運ぶという計画を立て、これが達成に大いに努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/7
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008・大澤嘉平治
○大澤委員 ただいまの運輸大臣の御意見では、貨物自動車に対する輸送力の増強という面は十分考えているというお話でございますが、先般乘合自動車に対しては、私設鉄道と同じように、申請もないのに運輸省から指令をもつて、七割五分の値上げをさしたという事実があるのであります。しかし貨物自動車に対しての値上げは、今まで指令もなければ何の話もないが、貨物自動車の経営に対して運輸省といたしましては何か考えているのか。これに対して強力に指導、助長をはかつていくということが見受けられないわけであります。貨物自動車の経営の状況を見ましても、まつたく赤字々々で、賃金等の値上問題は、從業員の方から非常に騒がれておるにもかかわらず、貨物自動車の運賃の値上げができないために、非常に経営が困難であるという点は事実だと思います。これに対していつごろ値上げの許可をするか、それともこれに対して貨物自動車の経営のできるような方策を考えておられるか、もう一度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/8
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009・岡田勢一
○岡田國務大臣 バスは先般七割五分上げたというのは大澤さんの仰せの通りであります。なぜ貨物自動車の方を上げなかつたかというお話でありますが、今回の物價改政にあたりましては、貨物運賃が直接物價に大きな影響を及ぼすことを考慮いたしまして、物價改訂を算定いたしておるわけであります。旅客運賃につきましても、もちろん物價に無関係であるということではありませんが、一應それは間接的に相なります。貨物運賃を一部においても上げるということは、新物價の水準改訂実施以前でありますと、理由が立たぬことに相なりますし、また弥縫的な状態になりますので、貨物運賃につきましては、國鉄の貨物運賃が決定いたすまでという心組で、保留をいたしたのであります。しかし大澤さんの言われますように、全國におけるトラツク業者などのただいまの経営困難なことは、運輸省といたしましてもよくわかつておるのであります。しかしいつごろから貨物運賃を上げるつもりがあるかというお尋ね、これはただいまの國鉄の旅客、貨物運賃値上法案の進行状況から見まして、もしここ数日中に御決定をお願いできたといたしましても、その後の切符、運賃表等の作成につきまして、もし修正が行われました場合には、旅客におきましては約二十日余りを作業に要することに相なります。それからまた貨物におきましても、一週間余りは要さなければ、実施をする段階にならぬという技術的の面があります。そういうことも考慮いたしまして、ただいま縮小されております一般の生産増強、赤字生産、金融の行詰りというようなことを急速に救済いたさなければ、経済界はまことに重大な事態に赴いていくのではないかという心配も起るわけでございます。そこで政府といたしましては、鉄道運賃を一應切り離しまして、予定をしております水準から、鉄道運賃のために値上げをその中から省きまして、そうしてこれを第一段の價格補正といたしまして物價の改訂を行いたいという方針を立てまして、関係方面とも折衡中でございます。その折衝ができ上りました場合には、今言われましたところのトラツク運賃、それから海上の汽船、機帆船運賃、それからトラツク以外のあらゆる小運送運賃、はしけ賃、港湾及び駅における積みおろし賃というようなものを適当に同時に値上げの実施をいたしたいと考えまして、関係方面との折衝がつきましたならば、早ければ明日くらいは発表の時期に至るのではないかと、かように考えております。その際にトラツク運賃の値上げを実施するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/9
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010・大澤嘉平治
○大澤委員 先般運輸省の物資配給の係の方にお伺いしたのですが、乘合自動車に対しては賃物自動車の約倍以上の配給をしておる。ガソリンにいたしましても、タイヤ等にいたしましても、乘合自動車の方に対しては重要であるという意味から、物資の配給を貨物自動車の倍以上配給しておる。しかるに貨物自動車はガソリン、あるいはタイヤ等の配給がバスの半分以下であるというような事実を伺つてまいつたのであります。運輸大臣の御意見から考えますならば、この点は非常に矛盾があるのではないか、かように考えられますので、この点に対していかに考えられるか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/10
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011・木下榮
○木下政府委員 ただいま御質問の、トラックよりもバスの方がいろいろな資料を倍配給を受けておる。それは何かのお間違いではないかと考えます。大体において走行キロによつて実際の運行によつて、計算して配給しておるようでありますから、かりにトラツクを五十台持つておつても、ほんとうに走るのは何キロということがよくわかつておりませんが、バスの方ですと、車が少くても定期に走つておりますから、はつきりとキロ数がわかつております。ちよつと考えるとそういうようなことになつておるかもしれませんが、非常に公平にいつておることと思つております。それから從來戰爭中は非常にトラツクに重点を置きまして、ほとんどバスの二倍も配給し、またバスに対しましては戰爭中非常に路線なんかが規正されていたのであります。これも第一に復興しなければならぬ。終戰後にはそういうような方針になりまして、バスが多少戰爭中よりも復興し、逆にトラツクの方は幾分減つておるのではないか。そういうようなわけで、ちよつと見るとバスの方が非常に多くの恩典をこうむつておるように見受けられますけれども、実際のところは、すこぶる公平にいつておると信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/11
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012・大澤嘉平治
○大澤委員 政務次官のお話では、そういうことはない、適正であるということを申されておりますが、先般私が本省の係官に伺つたのでは、数字的に申し上げるならば、これは栃木縣でありますが、トラツクが一台当り平均二百七十六リツター、バスは一台当り六百六十リツターを配給されておる。こういう事実があるのでありまして、その走行キロ数云々とかいうことは、業者の方から木省に対してどういう調査の報告をしておるか、その点はよくわかりませんが、いずれにいたしましても、一台当りの点は、こういう数字的の計算がわかつてまいつたのであります。これに対してこれが違つておるというお話ならば、訂正さしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/12
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013・木下榮
○木下政府委員 御質問では一台当りということを言われますけれども、実際においていわゆる所有車輛と実働車輛には非常に違いがあるのであります。バスの方は定期に欠かさずに運轉しなければならぬ。トラツクの方は仕事のあるときには多く働き、仕事のない時には休む。こういうふうになつておりますから、單に車輛数による割当を見ますと、そういうことになるかもしれませんが、実際の走行キロ、ほんとうの実働するところの正体によつて配給しておりますから、決してその間にはそういう不公平のことはありません。これは私断言できると思います。なお詳しいことは、その配給の内規等でも取寄せてお目にかけてもよろしいと思いますが、よくそういうふうにお考えになりまして、そういつた質問をたびたび私も受けるのでありますけれども、そういうことは断じてないのでありますから、さよう御承知を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/13
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014・大澤嘉平治
○大澤委員 結局政務次官は内容をお目にかけるからというお話でありますが、もちろん系官に内容を見せてもらえばはつきりわかるわけでありますけれども、これはタイヤにいたしましても、昭和二十二年の四月から昭和二十二年の十二月までの平均ですが、バスは一台当り平均二百二、トラツクは一本二であります。こういう点もよく係官の方のやつておる点を御調査願つて、もしこれに対してこういうのでは違うということがあるならば、今後訂正をさせるように願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/14
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015・木下榮
○木下政府委員 これは今申しました通り、バスを六十台持つておりまして、実際は十台しか動かぬ。それからトラツクを六十台持つておつて、実際は二十台動かす。あとの九十台はタイヤがないとか、あるいは修繕しておるということが多いのですが、バスの方は定期に走つておりますから、どうしても所有車輛と実働車輛との差が少いのであります。たがら一つのバス会社が五十台持つておる。一つのトラツク会社が同じく五十輛持つておつても、実働に至つては非常な差があるのであります。そういうことをよく調査して、走行キロに対して配給の計画を立てております。事実そういうふうに非常に差があるという場合には、両方の組合が各地にあるのですから、これが駄つておるわけもないだろうと考えております。われわれはこういう質問をしばしば聽くのでありますが、調べてみると、やはりその根拠があるのであります。しかし栃木県の分はあまりにひどいようでありますから、なおよく調べまして、もし間違つておるところがあれば、すぐ訂正するようにいたしたい。よく実情を調べまして、その上に処置したいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/15
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016・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 先般來商工省の石炭廳にお願いをしてあつた資料が、そのまま延び延びになつておりまして、一向できてまいりませんので、運輸大臣と安本長官に対しまして、最後的に御質問申し上げたい問題をしばらく保留をいたしまして、本日二、三のことについてお伺いいたしたいと思うのであります。先般岡田運輸大臣から、労働問題、並びに紛爭等の解決のために、紛爭処理機関というものを設けて、これによつて善処していきたいという、頼もしい御答弁をいただいたのでありますが、その紛爭処理機関というものの内容について、お差支えのない程度の御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/16
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017・岡田勢一
○岡田國務大臣 紛爭処理機関はまだできてないのでありまして、政府の関係当局においててだいま研給に着手しておるところでございますが、大体の方向としては、從來ややともすると爭議にはいらなくともよろしいような事態があるのが、感情がもつれましたり、あるいはまたいろいろの関係で爭議にはいらなければならぬ。あるいはまた中労委、地方労委等の斡旋を経すとも、簡單に解決できるというようなものが、労働委員会にもちこまれたりいたしまして、複雜な手数をかけなければならぬようになるというようなことを排除いたしますために、当事者同志から、いわゆる使用者、被使用者双方から代表を出しまして、ここに一つの委員会のようなものを構成いたしまして、そこで討議をして、できる限りそこで解決をするというような考えでございまして、必要とあればそれへ労働委員会のような調停機関が参加してやつてもらうという構想であるというふうに聞いておるのでございます。私たちは根本の考え方といたしまして、ただいまの困難な経済状態を一層混乱せしめないために、労働爭議を少くしていつてもらいたいという見地から、この粉爭処置機関というものを早くつくつてもらうことを希望しておるものでございますが、労働省の当局、あるいは私の方のその事務を管掌いたしております職員当局でありませんと、実のところまだ私は詳しい献立を聞いておりませんので、必要がございましたならば、職員局長でも呼んで御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/17
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018・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと、これは端的にいつて独立した一つの粉爭処理機関——委員会なり、何なり、さつき伺つたような構想によつて、一つの独立した機関をおつくりになりたい、こういうことでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/18
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019・岡田勢一
○岡田國務大臣 独立と申しますと、少し違うかもわかりませんが、やはりそれには使用者と被使用者の代表が参加するものだと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/19
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020・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 さらに伺いたいのは、運輸省内の粉爭処理機関と、他の各省に設けられる粉爭処理機関というものとは、おのおのその省の性格によつて、相当違つたものができなければいかぬ、こういうふうに私どもは考えられるのでありますが、さつき伺つたところによりますと、労働省の考え方によつて各省に——ひとり運輸省のみならず、そうした機関を設けられるような印象を、ただいまの御答弁から受けたのであります。各省の性格によつて、おのおの——全然違つたものではありますまいが、いくらかずつ異なつたところの機関をつくりたいというお考えであるのか。それとも各省並に同じものをおつくりになりたいという希望であるのか、どちらであるか、大体のことを聽きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/20
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021・岡田勢一
○岡田國務大臣 その点は主管省といたしまして、労働省で基本的の構想を練つておるのでございますが、私の聞いておるところによりますと、やはり尾崎さんの言われますように、各省によつて勤務状態なり、また事情が変りますので、私らの考え方から申しますと、各省ごとに——根本理念においては変りございませんが、施行面において多少形態の変つたものができるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/21
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022・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 その点は一通り伺いました。次に伺いたいと思いますのは、先般も大臣の御答弁の中に、いささかこれに叫れておつたようでありましたが、労働各法規の改廃のことはしばらくおいても、こういうお言葉で先般御答弁を伺つたのであります。わが國の労働組合というものは、欧米に比較をいたしますと、その組合の発達の歴史においても、あるいは教養の点においても、あるいは経驗の点から考えましても、欧米とはそういう点においてよほど落ちておるのにもかかわらず、欧米並の労働諸法規ができ上つた。そこでその内容におけるところのものは充実をしないで、義務の観念や責任の観念や、道義の観念等の事柄が十分でないままに、権利のみを多く主張することに行き過ぎがある。こういう点が今日の一大欠陷であることは、何人も認めておるところであろうと思うのであります。しかし今日の日本の産業の復興をはかるために、どうしてもこの労働力が第一義であることは問違いのないことなのでありますから、こういう観点から考えるならば、組合の内容がもう少し充実をし、及び教養が相当高まつてきて、そこに自主的にものを判断をし、自主的にものを行動することができるというところに行くまでの間、現在の労働法規の一部の改廃をなし、もしくは労働法規の一部の休止をはかるということが、絶対に必要であるように私どもは考えておるのであります。ただこの点に勇敢に政府当局で進んでまいられないその原因を考えてみますと、労働者や労働組合というものの感情をあまり刺激し過ぎるといけない。こういうような弱い考え方から、こういう問題に対して勇敢に努力をいたされておらない。これはひとり私どもだけでなく、國民がそういうふうに受取つておるのであります。余談でありますが、先般新橋の管内の鉄道の方々が数十人参られまして、各党から一人ずつ参つてこれらの人々の、最初は陳情ということでありましたが、しまいには議論にわたつたのでありますけれども、議論を拜聽し、なおかつ私どももこれに対していろいろな意見を述べてみたのでありますが、結論を申しますと、その際に行政整理ということは絶対に必要であるということと、政府整理に伴つて、一面においては優秀なるところの人々に対して、相当思い切つた優遇をなすという二つをどうしてもなさなければ、今日の産業の再建はできない。こういうことについて勇敢な説明をやつてみたのでありましたが、しまいになりますと、そういうことが國家のためでありますならば、私どもといえども、あえて行政整理に反対をするものじやないということと、現在最も困難視されておるところの、いわゆる配置轉換等の問題についても、そういうことであるならば、進んでわれわれもこれに努力する態勢をとるのにやぶさかでないという、こういう愉快な結論を、それらの数十人の方々から伺つたのであります。そこで私が言わんとするところのものは、さつき申しました労働法規の一部の改廃ない李あるいはしばらくの間これを休止するということにつきましても、われわれが今日向つていかなければならぬところの方向というものと、事情とを正しく認識せしめ、強くこれに誠意を示すことによつて、これらの問題が解決をするのではないか、こういう確信を私はもつておるのでありまするが、これらの問題のほかに、こうした諸法規の改廃なり、あるいは一部の休止なりがしばらくできないという事情について、他に理由が何かあるならば、それらのことを伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/22
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023・岡田勢一
○岡田國務大臣 欧州またアメリカの勤労者、労働者と、日本の勤労者、労働者との間には、その性格、心構え等について相当の隔りがあるのを、同一の形式による組合方式をとつておるという御指摘のように存じますが、それは私も十分に認めるのでございます。この労働関係法規を改正するかしないかという問題につきましては、まだ政府といたしましても研究中でございまして、ただいまはつきりした結論が出ておりませんのでございますけれども、尾崎さんの言われました、敗戰國家としてのこの困難な現状を打開いたしまして、民族の復興と國家の再建を達成いたしますには、何といたしましても、よけい働くというより以外に途はないと思いますのでございます。また御指摘のように、われわれ日本人は、昔から数千年の特殊的の習慣、あるいは日本人の特性というものがございまして、アメリカ人やドイツ人のように、與えられました勤務時間中は一心不乱に心身ともに打ちこんで仕事をやるというような習慣の点において、あるいはまた與えられる報酬に対する義務という観念において、遺憾ながら相当に劣つておるということは認めないわけにいかないと存じます。そこでこの問題を、アメリカ、欧州等に比較をして、同じ水準までに労働者の責任、義務の観念を向上さすべきことが必要でございますが、これは実際問題といたしまして、長い間にしみこんでおります國民の特性というような性質のものでありますので、なかなか一朝一夕にはまいらないと存じます。そこで欧米などと変りました建前のもとにおける労働力の提供、奉仕ということが問題になると思うのでございますが、新憲法の建前からいたします基本的人権の尊重という点も無視することはできません。そういう見地から、趣旨といたしまして、私は尾崎さんの御意見には同感でございますが、まずこれは相当にむずかしい問題であり、ただ單に労働者、勤労者等を刺激するということをおそれるということであつてはならぬのでありますけれども、その意味以外におきましても、いろいろと憲法関係、あるいは民主國家建設の過程における考え方等々を参酌いたしましてやらなければならぬ問題であり、將來におきまして必ず取上げられなければならぬ問題であると私も考えておりますが、ただいまのところ、そういう心構えのもとに、私といたしましては、この問題に対して眞劍に研究を続けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/23
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024・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 先般運輸大臣に伺つた御答弁の中に、信賞必罰をもつて臨んでいきたいという御答弁、まことに結構だと思うのであります。この問題に関しましては、これ以上申し上げませず、他日にこれを讓りまして、運輸大臣のいわゆる信賞必罰の行き方をもつて、優秀なる、昔の國鉄以上のものになるように御努力になるように希望を申し上げておきます。
次にお伺い申し上げたいと思いますのは、やはり先般の御答弁の中にあつた経営の合理化に関してであります。機構の分離をする、いわゆる行政と現業を分離していく、こういうことの御答弁を伺つたのでありますが、その機構を現業と分離するやり方は、どういうやり方をなされるのか、その内容をまず承つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/24
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025・岡田勢一
○岡田國務大臣 鉄道等の企業の合理化をいたしますためには、やはり原則といたしまして独立採算制を確保せなければなりません。同時にまた合理化、能率化によりまして、そのコストを低下させまして、一般國民大衆の負担を輕減するという、非常に能率の高い健全な企業の経営にならなければならないのでございまして、その根本方針に副いますために、行政とごつちやに企業を経営してはいけないという考え方が起つてまいります。いろいろと國会あるいは國民の間からも、そのような御意見も今日まで聽きましたわけでありますが、その線に向わしめますために、行政監督面を企業面から分離いたしまして、具体的に申しますならば、たとえば鉄道公團という名になりますか、そういうふうなことになりまして、企業面をはつきり独立をさせまして、そうしてはたして能率的経営、合理的経営ができておるや否や、收支のむだはないかどうか、人員はどうであるか、機械化はどうであるかということが簡單に、だれの目からもわかるように、あるいは会計の内容につきましても、はつきりわかるようにいたしたい、こう考えておりまして、それによつて鉄道と國営自動車の企業、これを分離するという大きな大体の考え方をもつておりますのでございまして、その間これを具体化さしますための詳細なことにつきましては、これからいろいろと組合関係、そう他あらゆる諸條件から勘案をいたしましいて檢討を加えて、成案を得たい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/25
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026・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 行政面の方における行き方はどういう行き方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/26
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027・岡田勢一
○岡田國務大臣 行政の方におきましては、企業を切り離しましたあと、日本の國全体の運輸交通の仕事を監督をいたし、助成発達せしめる、こういう見地からいたしますので、まず今予想できますことは、鉄道あるいはバス、その他の陸運企業、小運送企業、道路運送等を監督するもの、それから別に海運を監督いたしますもの、これらを一つにいたしまして監督行政だけをやる。その中はやはり港湾の管理、修築などをいたします行政、それから水路の調査研究、安全をはかりますための機関、並びに氣象の研究をいたし、氣象の普及利用をいたします機関、それから航海安全のための海陸警備、あるいは密貿易その他の取締警戒をいたします海上保安関係の機構、これらのようなものが企業面から切り離されまして、総合的な運輸交通の行政監督といたしまして残ることになる。しかしこれは先ほど申し上げましたように、ただいまにおける予想でございまして、成案を得ますまで、いろいろな角度から檢討が加えられて、完全なものにつくり上げていくには相当な時間を要する、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/27
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028・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと、端的に伺いまして、本省の機構並びに予算というものは、現在よりも相当大巾に縮小されることになつて、いわゆる簡素化の実をあげる、こういうところにいくような御構想でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/28
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029・岡田勢一
○岡田國務大臣 仰せの通りでありまして、それが一つの大きな目的でございますので、この機構改革を実施いたしますには、できるだけの簡素化縮小をはかりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/29
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030・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 その次に伺いたいと思いますのは、海上輸送の問題でありますが、二十三年度一千四百万トンの想定のもとに計画を立てられておるということを先日の御答弁によつて伺つたのでありますが、そこでこのことに関連して伺いたいと思いますのは、船舶運営会に対して國民が相当以上の疑惑の眼をもつて見ていることは御承知の通りであります。というのは、四十億というような多くの予算の補助をしなければならない。その内容がどういうものかということについての國民の疑惑であることは申すまでもありません。また私どもの耳にいたします問題につきましても、相当の問題があるように思うのであります。たとえば運営会の中における、具体的に申しまするならば、船員等の間における物資のやみ取引の行為であるとか、あるいはもう少し進んで申しますならば、石炭等のみや行為、船が航海をやつてドツクにはいる前に、一ぱい積んでおつた石炭を特定のどこかの場所におろしておいて、これを民間の特殊のものとやみ取引をするとか、そうした多くの事柄を私どもの耳に聞かされておるのでありますが、そういう問題に対しましてどういう監督の方法をとつておられるのか。そうした事実が大臣のお耳にはいつておる点があるのか。それらの点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/30
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031・岡田勢一
○岡田國務大臣 ただいまのは船舶運営会をいつまで持続するかということが第一の御質問のように思います。日本の経済復興は海運を無視してはできませんので、できるならば民営還元を早く七いたいと存じまして、いろいろと準備檢討を加えておるのでありますが、ただいまの諸情勢から考えまして、今急速にこれが行われない状況にあるのでございます。しかし何とかいたしまして、まずその準備行為に早く移りたいものである、こういうふうに考えております。船舶運営会に対する補助は、これは相当な数字に上つておりまして、國費から相当な負担になることになつております。これは御指摘の通りでございますが、戰爭中につくられました粗製、濫造船と、船齡の非常に老いました老齡船などがおおかたでございまして、ただいまの日本の船舶は輸送の能率がまことに低下いたしております。そこに港湾施設等の復旧がまだできていないのでございまして、そういうことから相当に海運コストが上昇いたしておるのでありますが、今回の鉄道物運賃の改訂に際しましても、その水準を無視して船舶だけを上げることは許されませんので、その線の範囲内におきまして運賃の改訂を止めなければなりません関係上、採算コストの約半分ぐらいしか運賃がとれないことに相なつております。大筋は、そういうことでこの四十億というような大きな補助金を要することに相なつております。しかしこの中には関係方面の命令等によりまして繋船をいたしておりますものとか、あるいは特別の事情によつて経費のかかりますものとか、それから経費が約一割余含まれておるのであります。
第二の御質問の、運営会内においていかがわしい風説があるというお話でございます。私といたしましては、單なるうわさ程度のことは耳にしたこともございますが、的確にその事実、あるいは証拠を得たことが今日までまだないのでございまして、そういうことの事実をつかみ、あるいは濃厚なる疑いの声を聞くというような場合には、調査してこれを嚴格に取締つてまいりたいと考えております。なおまた詳細な数字等のことにつきましては、海運局長岡田政府委員がまいつておりますから、お答えを申し上げさせてもらつて結構であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/31
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032・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 いま一つだけ伺つておきたいのでありますが、さき申しますように、石炭廳からいただく資料に基いて、運輸大臣並びに安本長官に伺つて結論を出したいことも一つもつておりますけれども、それらのことは後日の保留をいたしておきまして、ここに伺いたいのは、こうした船舶運営会のことにいたしましても、海運のことにいたしましても、あるいは戰災のためにこうむつた鉄道の復旧のことにいたしましても、あるいは機構の合理化なり、行政整理なり、そうした問題が非常に多いように思われますので、どうしてもこの際交通事業の特別調査委員会みたいなものを、本委員会も参画せしめてつくつて、これについて引続き嚴重な調査を行い、かつ將來に対するところの建設的の行き方を見出していく、こういうことについて、今申しました委員会のようなものを組織される御意思があるかどうか。私どもはその必要を強く感じておるのでありますが、その点についての大臣の御所信を伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/32
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033・岡田勢一
○岡田國務大臣 鉄道については、先般当委員会において御説明を申し上げましたように、國有鉄道の再建復興を目途として今回國有鉄道審議会を設立をいたす予定になつております。鉄道、陸運に関しましては、この審議会を活用いたしまして、委員会のある委員の方々からも御質問がありました私鉄の拂下げに関する問題はどうであるとか、外廓團体の再檢討とか、諸般の問題を研究いたすことに予定をいたしております。海運についても、尾崎さんの言われましたような趣旨につきましては、私も希望いたしておりますところでございます。ただ從來からのそうした研究機関もあるのでございますので、この際それとの関連においてどういうふうにするか、もちろんいたずらに繁文じよく礼になることを避けなければなりませんので、これから研究をいたしまして、その種の御要望に從うことがよろしいのではないか、こういうふうに考えております。
それからなお先ほど大澤さんの御質問の中に、私鉄等の拂下げの方針はどうかという御質問がありましたのを、今私思い出しました。たいへん失礼いたしました。私鉄等の拂下げにつきましては、戰時中に買上げました鉄道そのものが主としてローカルの短かいキロの鉄道でもございますし、特殊性格をもつておりますので、必ずしもこれを絶対に拂下げをしないという考えはもつておらぬのであります。ただその地方の一般大衆の世論、あるいはまたその地方の要望、また生産あるいは経済の実態、それから拂い下げましてから、その拂下げを受けました会社が経営を確実にやつていき得るかどうかというような関係をよく調査いたしまして、必要ある場合には、案を作成いたし、また評價の点も研究いたしまして、案が成立を得ました場合には、これは法律によりまして國会の御審議を願うことになつております。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/33
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034・大澤嘉平治
○大澤委員 ちよつと一言だけですが、実は労働基準法を國鉄に適用するならば、現在六十二万いくらの鉄道從業員は八十数万になるというお話をちよつと伺つたのですが、実際そういうふうになるでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/34
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035・岡田勢一
○岡田國務大臣 労働基準法の実施によりまして起りました所要人員の計算は、國鉄におきまして約四万人の数字が出ました。大澤さんのお聞きになつているところは何かの間違いではないかと思います。それに対しまして、今回予算編成にあたりまして一万五千人を新規に補充をいたしまして、二万五千人という数字を節約する、その埋合せは配置轉換等によつてやることに、國鉄はただいまいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/35
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036・川野芳滿
○川野委員長 この際木下政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/36
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037・木下榮
○木下政府委員 先刻のトラツクの運賃のことでございますが、大臣から二十二、三日から実行する予定であるということを申し上げておきましたが、ただいま決定したそうでありまして、明二十三日から倍数二倍半を実施することになつておりますから、御承知願いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/37
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038・川野芳滿
○川野委員長 この際皆さんにお諮りいたしますが、海運関係の政府委員が多数お見えになつておりますので、海運関係の法案をこれから審議いたしたいと思いますが、いかがですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/38
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039・川野芳滿
○川野委員長 それではこれから港則法案、木船保險組合の解散に関する法律案、水先法の一部を改正する法律案、港域法案、船員職業安定法案を一括議題として質疑に入ります。質疑はこれを許します。質疑はありませんか。——質疑がなければ、本日はこの程度にして散会いたしたいと思いますが、いかがですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/39
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040・川野芳滿
○川野委員長 それでは次会を公報をもつて通知申し上げることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100203889X02219480622/40
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