1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年一月二十七日(火曜日)
午後二時十分会議
出席委員
委員長 竹山祐太郎君
理事 島村 一郎君
片島 港君 河合 義一君
玉井 祐吉君 戸叶 里子君
馬越 晃君 大上 司君
中曽根康弘君 西田 隆男君
岩本 信行君 大瀧亀代司君
冨田 照君 水田三喜男君
受田 新吉君
出席國務大臣
外 務 大 臣 芦田 均君
出席政府委員
外務事務官 島津 久大君
委員外の出席者
専門調査委員 大久保忠文君
昭和二十二年十二月十三日委員大宮伍三郎君が退
職した。
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一月二十六日
賠償廳臨時設置法案(内閣提出)(第三号)
の審査を本会議に附された。
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本日の会議に附した事件
賠償廳臨時設置法案(内閣提出)(第三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/0
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001・竹山祐太郎
○竹山委員長 それでは、これより会議を開きます。
第一國会における委員各位の御精励に感謝し、第二國会におきましても、引続き各位の御援助によつて委員会の目的を達成いたしたいと思います。
本日は本委員会に付託になりました賠償廳臨時設置法案について御審議を願うことにいたしますが、なほ関連をした終戰連絡事務局の関係法案が同時に提案になつたのでありますが、これは関係から言えば、これと同時にまた本委員会で御審議を願うのが順序と考えましたが、非常に政府が審議を急いでいる関係もありますし、また今までの仕事の関係が特に密接な関係でありましたので、外務委員会でこれの審議をすることに委員長の間で話をいたしたことをご了承願いたいと思います。なほ御意見は終戰連絡事務局に関する問題も、外務委員会の方で御発言を願うことを、委員長にも申し傳えてありますから、その点も御了承おきを願いたいと思います。
それでは賠償廳臨時設置法案について外務大臣より説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/1
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002・芦田均
○芦田國務大臣 この際賠償廳設置に関する法律案の提案の理由を説明いたします。
賠償事務の処理は賠償物件を管轄する官廳が大藏、商工、運輸、文部の各省にわかれておる関係がありまして、実施作業は各省の責任においで現に行つております。しかし実施計画の立案及び事務の連絡調整は安本の生産局と、終戰連絡中央事務局賠償部とが協力して今日まで処理してまいつたのであります。しかるに今回終戰連絡事務局の廃止に伴いましで、この際賠償に関する責任大臣を定めると同時に、賠償廳を設置する案を立てた次第。あります。
賠償事務の処理が、前に申し述べましたように、各省にわかれた複雑になつておる点につきましては、かねて連合軍総司令都側からも調整の要望がありまして、政府自体としてもその必要を痛感していろいろ研究を重ねた次第であります。この機会に賠償実施の現段階に対應するように、賠償実施の中枢機関とのて賠償廳を設けで、関係事務については企畫立案まだ事務の総合調整を強力に推進することにいたしたいと考えた次第であります。賠償廳は賠償事務の総合調整をするのに十分な権限と立場をもつ必要があります。從つて内閣総理大臣の管轄のもとにおいて、賠償廳の長官には國務大臣を当てるという案であります。もうとも事務機構はできるだけ簡素にする趣意でありまして、さしあたり國務大臣たる長官のもとに官房及び賠償廳次長、そうしてあとは六つの課を置きまして、所管事務を処理させるという案であります。その一つは、賠償実施の基本的事項の企畫立案に関する事項、第二に、賠償実施に関する作業責任官廳の事務の総合調整、推進及び監査に関する事項、第三にへ賠償物件の引渡しに関する事項、第四にへ賠償に関する調査に関する事項であります。すなわち賠償問題の一元的処理のために國務大臣を長とする中央機関を設けて、政府の國際義務の履行のための企畫立案及び関係各省間の事務の総合調整を完全に行いたいという考えであります。さような意味において、お手もとに配付いたしましたごとき機構をもつ案をつくつたのでありますが、この際総司令部側の意向の一端を附加えてお話申し上げたいと思うのであります。かねてより総司令部の賠償部におきましては、司令部側の機構に対應する一元的な賠償機関を日本政府内に設立することを希望するということでありましたが、今日までその実現を見なかつたのであります。殊に終戰連絡事務局は二月一日から廃止を実行する必要ある旨の指示を受けておるのでありまして、政府としてはでき得る限力迅速に本法律案の御審議を願つて、時期に遅れることなく実施いたとたいという熱望をもつでおる次第であります。右の事情をお含みを願いまして、何とぞ速やかに御審議の上御決定あらんことをお願いいたします。
もし補足的に必要があるようでしたら、政府委員から條文その他についての説明をいたさせますが、委員会の御希望に應じていかようにも取計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/2
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003・竹山祐太郎
○竹山委員長 ではこの際政府委員から補足的な説明に加えて、賠償に関する現在までの経過概要の御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/3
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004・島津久大
○島津政府委員 賠償問題の現在の状況をごく簡単に御説明申し上げますと、現在の賠償の実施はすべてポツダム宣言に基きまして、連合軍総司令部の指示によりまして実施を行つているのであります。今日まで司令部から指示を受けました主なる事項は、約九百ほどの賠償予定工場の指定を受けまして、その管理保全を日本政府が命ぜられておるのであります。それに対應いたしまして、政府部内で所管をわけましで、軍工廠関係は大藏省、民間工場は商工省、造船施設は運輸省、研究所関係は文部省、こういうように各省でその施設の保安管理に任じておるのであります。
次に昨年の夏になりまして、賠償がいよいよ実施の段階にはいりまして、賠償撤去の準備指令が発せられ、十月になりまして、具体的に軍工廠の一部の撤去の正式の指令に接しております。先ほど申し述べましたような管理保全の責任をもつている官職が、大体におきまして実施の作業の責任官廳ということで、実施の作業を担当しておるのであります。この簡単工廠と民間工場というように所管がわかれており、調整を要する事項が多々あるのであります。なおまた司令部から指示を受領いたしましても、その解釈またそれに基きます具体的な実施計画というものはやはり分担ではできません。今日までのところは終戰連絡中央事務局の賠償部、経済安定本部の生産局というものが一体となりまして計画をつくつておつた次第であります。その間でき得る限り終戰連絡事務局の賠償部で連絡調整に任じておつたのでありますけれども、ただいま大臣より御説明申し上げましたように、司令部の方ではこの賠償の実施ということを迅速かつ有効に取運んでほしいという希望から、機構もでき得るだけ強力な中枢機関をつくつてほしいという要望がかねてからあつたのでございます。いろいろ政府部内でも検討を重ねておつたのでありますけれども、いろいろ所管事項が錯綜しておりまして、簡單に全部を一元化することはなかなか困難なのであります。ところが終戰連絡事務局の解体が行はれるという機会に、現状において與うる限り調整を加えるという趣旨から、ただいま提案になりましたような機構が考えられた次第でございます。從いまして、賠償作業の責任官職は従来通りそのままということでありますが、その中枢機関にその事務を遂行するのに十分な立場と権限を與えることにいたした次第であります。また賠償実施も十月に実施着手するようにという指令が発せられまして、現在軍工廠十七工廠のうちの機械が積出しを開始せられているのであります。今月になりましてから、中國船が二船、オランダ船が一般すでに賠償物資を運び出しているような状況でございます。ただこの実施の見透しは、御承知の通り賠償問題全体がなかなかきまつてまいりませんので、困難でありますけれども、大体今日のところは十七工廠の機械約二万台が運び出される段階にきているのでありまして、これは軍工廠の機械全体の約一割という見当になつております。そのほか民間工場の各種の部門の工場が撤去されることになろうと考えますが、これに関しましては、まだ正式の指令は何ら受領しておらないのでありまして、最初の指令に基きまして、その管理保全に遺憾なきを期しているような状況でございます。簡単でございますが、現状を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/4
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005・竹山祐太郎
○竹山委員長 質疑に入るにあたりまして、外務大臣から、賠償全体に対して日本が誠意をもつてやらなければならぬのでありますが、今後の見透しについて政府の御所見を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/5
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006・芦田均
○芦田國務大臣 賠償問題につきましては、当初ポツダム宣言の定むるところによつて、連合國極東委員会において、主として賠償に関する草案を討議されたことは御承知の通りであります。そしていわゆるポーレー案と称する第一次の報告書が発表せられまして、その案を基礎として極東委員会においては活発なる討論が行われたようであります。討論の結果がどういう決定に達したかということは、これを確実に知る方法がありませんが、新聞の情報によれば、連合國は賠償問題についてまだ最終的の決定に達していないというように報ぜられていると同時に、当初考えられたポーレー報告書なるものの線がへその後の連合國の調査の結果かなり修正を加えられたことは、ほぼ間違いないと思われるのであります。しかし賠償を連合各國の間にいかなる比率によつて分配するかという問題もまだ結着をみず、また日本國の経済を自立自給の域に残すには、およそ一九三〇年ないし一九三四年の工業水準にまで制限することが可能であるかどうかといふ点についても、必ずしも決定に達していないと報道さねるのであります。いずれにしましても現在極東委員会においては、賠償の問題をめぐつて今なお種々の意見交換が行われておりますが、その最終的の決定は來るべき講和会議においで平和條約の規定せらるるときを待つて、はじめて確定するものと考えて間違いはないと思ひます。日本の現在の立場においては、一に連合國の決定するところを承諾して、それを忠実に行う以外に途はないのであります。日本國の民主化の実現が着々と行われ、日本に対する連合國の空氣が戰争終結当時より年所を経るに從つて緩和されてきつつあるという事態に照らし合わせて、連合國側において決定せらるべき賠償の最終決定は、将來の日本國の経済的自立を著しく損傷するがごとき程度のものでないというとは、われわれ國民が期持して誤りないのではないかかように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/6
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007・竹山祐太郎
○竹山委員長 それではこれより質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/7
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008・島村一郎
○島村委員 終戰連絡事務局の廃止に伴い、こういう役所をつくるまでの政府のお考えは諒としますが、この際できることならば賠償廳の機構の概要およびこれが経費に充てる予算について、どういうものをもつて充当するかというようなことをお聽ききしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/8
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009・島津久大
○島津政府委員 賠償廳の機構の内容について御説明いたします。賠償廳に國務大臣を長官とする長をおきます。その下に次長一名、次長の下に六課をおきまして、それぞれの事項を管掌させるわけであります。課の内容を簡単に申し上げます。第一は総務課であります。それは廳内の統合調整をいたします。企画、構成その他の事務を取扱います。次は調査課であります。調査課のもつとも大きな仕事は賠償施設の評價に関する事務であります。先ほど申し上げましたように、九百余りの工場の評價を命ぜられておるのでありまして、これは実務は作業官廳でありますけれども、評價に関するいろいろな計画、基準その他を司令部と打合せながら決定してまいるのでありまして、相当大きな仕事であります。そのほか賠償問題各般の調査を行うのが調査課であります。次は実施課であります。これは賠償施設の撤去作業、賠償施設の解体と梱包段階、その二段階の事務を担当いたします。これも各省で実施いたしまするところの実施の総合的な計画をつくるのであります。関係官廳の事務の総合調整あるいは技術の指導の面、そういうことを取扱うのが実施課の仕事であります。次は輸送課であります。賠償に関する輸送の総各計画を立てる課であります。それで賠償の実施の段階は、解体、梱包という段階までは、先ほど申し上げましたような、それぞれの所管官廳で扱つております。梱包ができまして輸送の段階にはいりますと、輸送は一切運輸省一省の責任で引受けるということになつているのであります。しかしながら輸送に関しましても、解体、梱包の段階との関連あるいは所管各省との間の総合調整というような面もいろいろございますし、輸送計画につきましても、司令部といろいろな具体的な打合せを必要とするのでございます。これまた相当な仕事があるのであります。次は管理課であります。管理課は賠償予定設備の維持管理に関する事項、これを一切取扱うごとになつております。これまた維持管理の方法、資材その他につきまして、種々総合的な計画を立てますとれは管理課の所管事務に属しております。次は監査課であります。これは賠償関係の経費の監査を主とする課であります。監査を主たる仕事とする課でございます。なお監査のほかに賠償関の経費につきましては、経費の面から賠償実施のわくがいろいろと考究を要する面があるのであります。その面から関係各省と作業官廳との経費の使いようにつきましても、総合調整をする仕事がございます。機構は大体以上のようなものでございまして、そのほかに官房に祕書課とい方ものをおくことに義つております。部のない六課の執務機構ということに御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/9
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010・芦田均
○芦田國務大臣 予算及び人員の問題についで簡単に説明いたします。今度賠償廳を新しく設置しますけれども、昨今行政整理の方針を定めて着々各省の人員整理等をも始めておる際でありますから、新しく設けられる賠償廳には、新規採用を極力避ける、そしてもつぱら各省の定員内から配置轄換によつて賠償廳の構成員をつくることに方針を定めております。從つて先ほど政府委員から説明した総務課、調査課の二課は主として從来の終戰連絡事務局の賠償部及び安定本部の賠償部より人員を補充します。実施課については商工省、輸送課については運輸省の人員を充当する計画であります、また管理課及び監査課については、ほとんど全部大藏省の職員の配置轉換を行つて、これに充てる計画でありますから、新規に要求すべき人件費はほとんど言うに足りない数字にすぎないのでありますが、追加予算として一両日のうちに國会に提出するために、ただいまその予算を編成中でありますが、なほ関係方面との折衝が終了しておりませんために、この席において明確な数字を申し上げることは差控えざるを得ないような立場にありますが、その経費はきわめて軽少であるということだけは、ただいまからはつきり申し上げられると思います。以上簡單に予算及び人員、機構の問題について説明いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/10
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011・中曽根康弘
○中曽根委員 一、二お尋ねいたじたいと思います。先ほどボーレー大使の案によりますと、大体工場を撤去するだけのようになつておりますが、ストライキ・ミツシヨンでしたか、あの中には一部生産物賠償を含むような構想が述べられておつたと思います。この賠償廳設置法案によりますと、大体物件を中心にして構成されておるようでありますが、生産物賠償の見透しはどうでありますか。外務大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/11
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012・芦田均
○芦田國務大臣 ポツダム宣言の中に、現物賠償及び必要な場合における生産賠償という文字ははいつておるのです。経つて極東委員会において賠償問題の議論が行われる場合には、必然的にこの二つの賠償対象としての論が行われることは当然の行き道であつたと思います。しかしすでに中曽根君も御承知の通り、アメリカ國内の輿論の大勢は、現物賠償に主力を注ぐべきであつて、生産賠償は反対だという意向が非常に強かつたのであります。その後連合各國の間においてこの問題がどういうふうに扱われたかということは、まだ何ら的確な事情を承知する情報を手に入れておりませんが、日本政府の希望としては、賠償の対識はもつばら現物に止めてもらつて、あくまで生産賠償は避けたいという希望をもつておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/12
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013・中曽根康弘
○中曽根委員 次に、これは小さいことですが「賠償物件の引渡」という言葉がありますが、引渡しというのはどこを限界にして行われるかということをお聽きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/13
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014・島津久大
○島津政府委員 日本政府の責任は賠償物資の船積みまでということに決定しておるのであります。賠償物資を輸送しまして船に積みこみまして、すべて手続が終えました上に引渡しの書面をつくる。その書面をつくる形式を引渡しと申しておるのであります。引渡しとは現実に作業をするのではなくして、形式上賠償物資と受取國に船の上で引渡すという形式であります。これで日本政府の作業の責任はおしまいになります。船に積んでから先は全部受取國の費用と、責任負担ということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/14
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015・中曽根康弘
○中曽根委員 そうしますと、この海上運賃などは皆向うの負担になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/15
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016・島津久大
○島津政府委員 全部受取國の負担になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/16
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017・中曽根康弘
○中曽根委員 その次に、ただいまの部課の機能の中で工場評價をするという言葉がありますが、満洲でソ連が撒きたいろいろな工場施設なども評價の対象になつておるかどうかお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/17
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018・島津久大
○島津政府委員 ただいま申し上げすした評價は、國内の施設の評價だけぶ現在の作業の対象になつておりまして、在外資産——ただいま御質問の満洲の施設もくるめました在外資産につきましては評價はやつておりません。ここに申します評價は、司令部から指令をもらいまして、それに基いて現存作業をしでおる範囲内のことであります。しかし存外資産につきまして、將來はまた評價の問題が出てくると存じますが、目下のところは園内施設の評價と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/18
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019・中曽根康弘
○中曽根委員 最後に賠償廳の構成でありますが、第一條にあげてあるいろいろな機能をやるためには、相当強力な人材がいないと各省を統合してこれを強力に推進することはむずかしいと思うのでありますが、國務大臣が長官になるとして、次長あるいは課長にはどの程度の等級の人をもつて充てるのかお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/19
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020・島津久大
○島津政府委員 次長は一級官、課長につきましては目下考えておりますことは、今日まで一年余りにわたりまして、司令部の担当の部面と密接に連絡をいたしまして、事務に習熟しております課長を大体そのまま充てる考えでおります。いろいろ技術的な部面もございますので、この課の中にはできる限り技術面に明るい課員を採用いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/20
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021・中曽根康弘
○中曽根委員 第三條の問題で、今まで必要な部局を政令できめたいということに対して、参議院の方でこれと違う決定をしたことがございますが、この法案は設置を急ぐ必要があるのと、もう一つは部課が非常に小さい、そういう関係から政令によつたのであろうとわれわれも了承する次第でありますが、この点については事情を具して参議院の方としかるべく了解を求めることを委員長にお願いいたします。以上で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/21
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022・冨田照
○冨田委員 この第二條に「長官は、國務大臣を以てこれに充てる。」こうありますが、この國務大臣は必ずしも外務大臣に限らなくて、別の國務大臣を充てる場合もございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/22
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023・芦田均
○芦田國務大臣 この場合國務大臣と書いてあります意味は、それぞれの省の長官でない國務大臣という意味でありまして、各省大臣は賠償責任の大臣にはならない予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/23
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024・冨田照
○冨田委員 ただいまのお話によりますと、賠償廳の長官が各省大臣でないということになると、連絡調整事務局法案の第二條には、外務大臣または賠償廳の長官がこれを指揮監督する。こういうことになりますと、指揮命令系統は二つにわかれて非常に混線してくるような感じがいたしますが、連絡調整事務局と今度の賠償廳との関係はどのようになるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/24
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025・芦田均
○芦田國務大臣 それはちよつと一目でおわかりになりにくいかと思いますけれども、第二條の二項に「地方事務局においては」ということが書いてございます。調整連絡事務局の中央事務局でなく、地方にある事務局においては、終戰連絡の調整事務のほかに、特殊財産の問題と賠償の問題とを管轄することになつております。その関係上、この特殊財産のものは終連の廃止と同時に外務省に参りますから、そこで外務大臣がその特殊財産の問題に関する限り地方事務局を指揮監督する、こういうことになります。
それから賠償問題に関する限りは、地方事務局に関して賠償廳の長官が指揮監督することができる。こういう意味でありますから、その権限は非常に狭いのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/25
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026・竹山祐太郎
○竹山委員長 一應今のような質問も出るようですから、そちらの法文の概要を御説明を願つたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/26
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027・芦田均
○芦田國務大臣 それでは連絡調整事務局臨時設置法案のごとく大筋を説明いたしたいと思いますが、從來の終戰連絡事務局を廃止する結果として、その管轄に属しておつた賠償事務は、今回の賠償廳設置によつてその方に移る。それから特殊財産——敵から徴発した、あるいは掠奪した物件等の特殊財産の問題は、便宜上外務省に移る。そうしてその残りの機構を連絡調整事務局と称する内閣総理廳の外局としてもつていく、こういうことになるのであります。その連絡事務局の主たる仕事は連合國官憲との連絡に関する事務、それからそれに関連して各廳事務の総合調整に関する事務、これだけを連絡調整事務局の主たる事業として行う、こういうことでありまして、御承知の通りに占領軍の上陸当時は、占領軍官憲と帝國政府及び地方行政官廳との連絡に不案内であり、また人的構成においても必ずしも円滑に行われ得ないという関係上、連合軍の指令に基いて終戰連絡事務局を設けて、もつぱら占領軍、連合國官憲との連絡事務に当つておつたというのでありましたが、だんだん事態の変化とともに、連合國官憲は直接政府の各省とその所管事務についての連絡をとることになりまして、その間の打合せも次第に深くかつ円滑に運用されるような情勢になつたのでありますから、年所を経るに從つて、いわゆる終戰連絡事務局の事業の事務の内容が本質的の事務からもつぱら連絡事務、総合調整事務に傾くということになつてまいりました。從つて連合軍がその軍政府と帝國政府との間の打合せを行うにあたつては、各省各般の事務にわたつておる関係上、これをむしろ総理廳の外局として一元的に総合調整することが便利である。またそれが筋が通るという意味において、從來の終戰連絡事務局を廃止して、総理廳内に連絡調整事務局を設けたわけであります。從つて名前は変りますが、ごく一口で申しますれば、従来の終戦連絡事務局の一部分の仕事を外務省に残して、その他の一部分を賠償廳に移して、残る仕事を総理廳にもつていく。その新しぎ調整事務局の仕事は、從來の終戰連絡事務局の人員と機構をほぼそのままに移して、多少規模は縮小いたしますが、大体の人的構成、は從來の姿のままで総理廳にもつていく。こういうことに新しく、案を立てたわけであります。從つて今回の終連の廃止、あるいは連絡調整事務局の設置はきわめて臨時的のものでありまして、來るべき講和会議において、日本政府が正式の國交を回復することができるならば、外交事務はあげて一元的に外務省がこれを管轄するのでありますから、その時期に至るまでの臨時の占領軍官憲と日本政府との間の連絡は、連絡調整事務局において行うという趣意にほかならぬわけであります。少し簡單過ぎて、十分説明が行き届かなかつたかもしれませんが、なおお尋ねに應じてお答えいたします。、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/27
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028・竹山祐太郎
○竹山委員長 念のために伺つておきますが、追加予算を出さなくても法律だけで実施にはいれることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/28
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029・芦田均
○芦田國務大臣 いや追加予算は明後日ごろに、多分國会に提出し得る運びになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/29
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030・玉井祐吉
○玉井委員 これは賠償の方がまだ完全に決定しておりませんので、おそらくはつきりしたことはおわかりになるまいと思いますけれども、引渡し終了は大体いつごろまでという御見当でおられるか。もしおわかりでしたら、引渡し終了は大体何年くらいのお見透しか。もう一うはそれの梱包その他に要する経費の点、これは全部数量がわかりませんので、おそらく最後までおわかりにならないのはごもつともですが、最近まで積み出されたものの経費はどのくらいになつているか、その点おわかりでしたら一つお聽きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/30
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031・島津久大
○島津政府委員 引渡し終了の時期は全然わかつておりません。ただ第一回に指令が出ました十七軍工廠の機械の作業が終りますのが二月末であります。二月末に十七軍工廠の今度指定になりました施設は全部梱包を終ります。ただ船がいつ全部持つてまいりますかは、まだ判然といたしておりません。それから経費の点でありますが、まだ作業の中途でありまして、はつきりした数字を申し上げるところまで整理ができておりません。ただごく概略常識的に申し上げますれば、資材の点から申しますと、賠償の機械一トン当りに対しまして、木材が三石前後要るようであります。一トンのものを解体しまして梱包します。までの経費、これが大体のところ、資材の面は約五千円前後、その他の経費がやはり五千円程度、一トン一万円・大体そういうふうにいくのではないかと思われます。しかしながらまだ梱包以後の輸送がどのくらいかかりますか、その他いろいろ準備にも費用がかかりますし、必要な図面だとか、いろいろな書類、こういう関係のものを全部集計いたしますと、なかなか簡単には結論が出ないのではないかと考えます。そういうような見当と御承知願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/31
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032・竹山祐太郎
○竹山委員長 今の御質問に関連して今年の三十億の管理費と十億の撤去費、あれはごく概算なんですが、一体あれでまだ足らなくなるのですか。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/32
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033・島津久大
○島津政府委員 維持管理の方が四十億になつでおりますが、その中の二十数億が維持管理費、撤去費の方は大体十億という予算になつております。まず今年度内はその十億で十分であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/33
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034・竹山祐太郎
○竹山委員長 他に御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/34
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035・冨田照
○冨田委員 この賠償廳の長官に他の國務大臣が当ることになりますと、この仕事の第一に掲げてありまする賠償実施の基本的な企画立案に関する事項は、いわゆる賠償廳の長官である國務大臣の責任になるわけでありますが、そうすると外務大臣はそのことに対しては責任を負わないでもよろしいことになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/35
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036・芦田均
○芦田國務大臣 直接の責任を負わないのでありますが、しかしやはり内閣の一員としては——賠償問題に関する責任を賠償廳の長官を指揮する内閣総理大臣、その内閣総理大臣のもとにある内閣の閣僚としては、やはり賠償問題に対する責任は政治的には負う、事務的の責任を直接には負わない、こういうことだと了解しでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/36
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037・竹山祐太郎
○竹山委員長 他に御質問ございませんか、ではちよつと休憩をいたします。
午後三時五分休憩
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午後三時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/37
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038・竹山祐太郎
○竹山委員長 それでは再開をいたします。
他に御質疑はございませんか。それでは質疑は一應この程度で打切りたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/38
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039・竹山祐太郎
○竹山委員長 賠償廳臨時設置法案を討論に付したいと存じます。
〔「省略」、「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/39
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040・竹山祐太郎
○竹山委員長 討論省略の御動議がありますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/40
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041・竹山祐太郎
○竹山委員長 それでは討論を省略して、採決に入りたいと存じます。賠償廳臨時設置法案の政府原案に対して採決をいたします。御同意の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/41
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042・竹山祐太郎
○竹山委員長 起立全員、本案は原案の通り可決いたしました。
それでは本日はこれにて散会をいします。
午後三時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204103X00119480127/42
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