1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年三月十八日(木曜日)
午後二時三十八分開議
出席委員
委員長 松永 義雄君
理事 荊木 一久君 理事 鍛冶 良作君
池谷 信一君 山中日露史君
打出 信行君 中村 俊夫君
中村 又一君 八並 達雄君
山下 春江君 岡井藤志郎君
佐瀬 昌三君 花村 四郎君
明禮輝三郎君 山口 好一君
酒井 俊雄君
出席國務大臣
國 務 大 臣 鈴木 義男君
出席政府委員
法務廳事務官 國宗 榮君
委員外の出席者
專門調査員 村 教三君
三月十六日
軽犯罪法案(内閣提出)(第一三号)
恩赦に関する請願(庄司一郎君紹介)(第一八
五号)
の審査を本委員会に付託された。
三月十三日
東京高等裁判所長野支部設置に関する陳情書
(第七二号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
軽犯罪法案(内閣提出)(第一三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204390X00219480318/0
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001・松永義雄
○松永委員長 会議を開きます。
軽犯罪法案を議題といたします。
政府の説明を願います。鈴木法務総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204390X00219480318/1
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002・鈴木義男
○鈴木國務大臣 ただいま上程になりました軽犯罪法案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は、警察犯処罰令に代るべき法律を制定する必要があるため、提案するに至つたものであります。警察犯処罰令は、明治四十一年現行刑法の実施と同時に制定施行され、違警罪即決例と相まつて、警察権行使の裏づけに使用されるとともに、國民生活に深い関係をもつてまいつたのであります。昨年五月新憲法の実施とともに、違警罪即決例は、新事態に適合しないものとしてまつたく廃止され、警察署長の即決処分に附されていたような事件は、あげて、新設の簡易裁判所において取り扱われることになつたのでありますが、警察犯処罰令の方は、準備の都合もあり、ただちにこれが改廃をする運びに至らなかつたのでありまして、「日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」により、一まず、昨年末まで、法律と同一の効力を有するものとされ、その後同法の一部を改正する法律によつて、さらに、法律に改められたものとされるとともに、本年五月二日までに必要な改廃の措置をとらなければならないものと定められたのであります。それでこれに照應する措置として、この法律案が準備されたわけであります。
立案にあたりましては、各方面の意見をも徴し、警察犯処罰令の規定を檢討整備するとともに、若干の新規定をも收めることにしたのでありますが、その方針と致しましては、この法律には、日常生活における卑近な道徳律に違反する軽い罪を拾うことを主眼とし、特殊の行政目的遂行のための取締規定的のものについては、それぞれの行政法規に必要最小限度の罰則を定めるべきで、ここにこれを取り入れることは、好ましくないという考え方をとつたのであります。
警察犯処罰令と比較して異つたところを、大づかみに申し上げますと、まず第一点として犯罪の種類を整備したことであります。警察犯処罰令には、合計五十八個の罰号がありましたが、この法律案では、それが三十四個になりました。その中には、新設のもの五個、その他新設同様のものも二、三あります。すなわち、新設のものとしては、第一條第二号の危險な年具を携帶する罪、同條第三号の邸宅等に侵入用の器具を携帶する罪、同條第十七号の古物の賣買等に関する帳簿に不実の記載をさせる罪、同條第二十三号の浴場等をひそかにのぞき見る罪、及び同條第二十九号の他人の身体に危害を加えることを共謀した罪がこれであります。新設同様のものとしては、第一條第五号の公共の娯樂場や乘物等の中で、入場者や乘客に迷惑をかける罪、同條第十三号の公共の場所で多数の人に迷惑をかけ、又は公共の乘物等を待つている人等の列を乱す罪、同條第十四号の樂器等の音を異常に大きくして近隣に迷惑をかける罪等がこれであります。これらの罪は、いずれも新らしい事態に應じ必要とされるに至つたものであります。また警察犯罪令から受けついだその他の罪に関する規定も、用語を平易にし、かつ最近の事態に適合するように手を加えてあります。なお、警察犯処罰令に規定されていた罪で、この法律案にもられなかつたものは、入札妨害罪等のように、すでに刑法の一部改正により刑法の中に取り入れられているもの、流言浮説の罪のように新憲法の趣旨に副わないきらいのあるもの、道路交通関係や、食品衞生関係の罪等のように、道路交通取締法、食品衞生法等最近の新立法に取り入れられたもの、賣淫罪などのように、他に特別の法律が立案されつつあるもの、その他、他の法令の改正に讓るを相当とするもの、社会教育の普及や個人の自覚にまつを相当とするもの、実益に乏しきもの等であります。
第二点といたしましては、罪の種類により刑に差別を設けることをやめるとともに、すべての罪について、情状により拘留と科料との併科を認める反面、廣く刑の免除ができるものとしたことであります。何分、軽い犯罪で、刑の種類も拘留、科料だけでありますから、その間、刑の差別をつける実益も乏しく、警察署長の即決処分がなくなつた今日では、かえつて、刑の裁量の範囲を廣くし、具体的安当性は、裁判所の量刑に一任した方がよいと考えられたからであります。また、刑の免除を全部の罪について認めたのは、拘留、科料には刑の執行猶予の制度が定められていないことにも照應するものであります、なお立案の途中、拘留、科料の刑だけでは軽過ぎるから、ある程度の額の罰金刑をも科することができるようにしたらどうかという意見も出ましたが、拘留、科料という刑は、現行刑罰体系の中に現存するものであり、從來まさにこの種の罪こそ、これらの刑に相当するものであると考えられてきたところでありますし、違警罪即決例が廃止された今日でも、拘留、科料の刑と罰金の刑とでは、法律効果上、なお若干の差異もありますのみならず、罰金を加えようとの意見は、結局、科料の額が現在の経済状態に適應しなくなつたことに端を発するものと考えられますので、この刑種の点は、他日刑法の全面的改正の際、あらためて根本的な研究をすることとし、当面の措置といたしましては、別途、罰金の額とともに科料の額を引き上げることを、至急考えてみたいと思つている次第であります。
最後に、法律の名称でありますが、警察犯処罰令に附着した特殊のにおいを洗い去り、新らしい感じを出したい考えで、種々の名称が話題にのぼりましたが、結局、簡明で國民に親しみ易いものとして、軽犯罪法となつたのであります。
以上で簡單ながら、提案理由の御説明を終えることにいたしますが、何とぞ愼重御審議の上、速やかに御可決あらんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204390X00219480318/2
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003・松永義雄
○松永委員長 本日は説明のみにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204390X00219480318/3
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