1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十三年六月十九日(土曜日)
午前十一時十五分開議
出席委員
委員長 堀川 恭平君
理事 石神 啓吾君 理事 笹口 晃君
關内 正一君 多田 勇君
冨永格五郎君 前田 郁君
松井 豊吉君 山本 猛夫君
林 大作君 松原喜之次君
師岡 榮一君 山口 靜江君
岡野 繁藏君 櫻内 義雄君
唐木田藤五郎君 小枝 一雄君
出席國務大臣
國 務 大 臣 苫米地義三君
出席政府委員
大藏事務官 福田 赳夫君
—————————————
本日の会議に付した事件
公聽会開会に関する件
連合審査会開会に関する件
事業者團体法案(内閣提出)(第一一六号)
貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出)(第七五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/0
-
001・堀川恭平
○堀川委員長 ただいまより会議を開きます。
先日本委員会に付託になりました事業者団体法案及び貿易金特別会計法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。本日は時間の都合もございますので、いづれも提案理由の説明だけにいたします。
まず事業者團体法案について政府当局の提案理由の説明を求めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/1
-
002・苫米地義三
○苫米地國務大臣 ただいま上程せられました事業者團体法案につきまして、その提案の理由を説明いたします。
わが國の経済、特に戰時中の統制経済におきましては、いわゆる産業團体、すなわち本法案におきまする事業者團体は、業界組織化の中核的な存在といたしまして、統制の遂行に所要の寄與をなしてまいつたのであります。しかるに、敗戰後は、戰時統制方式の全面的撤廃とともに、臨時物資需給調整法、各種公團法の登場等によりまして、新しい統制方式が樹立せられたのであります。すなわち統制の責任と機能とを、政府または政府機関に一元化いたしまして、民間の事業者團体によります直接または間接の統制業務への参與は、原則として、これを認めないこととなりました。もつとも、この統制方式の切換えにあたつて過渡的措置としましては、臨時物資需給調整法附則による指定を受けた事業者團体に限り、統制業務の補助が認められてまいつたことは、御承知の通りであります。
かくて從來の事業者團体は、多少とも統制に参與いたした限りにおいて、一應清算の措置が購ぜられることとなりました。すなわち、閉鎖機関令によります各種統制團体の閉鎖機関への指定がそれであり、また、私的独占禁止法の規定に基きまして統制團体について解散計画の提出を命じました昭和二十二年政令第二百三十八号がそれであります。これまでの事業者團体の大部分は、この二つの措置のいずれかによりまして早晩消減をいたすべき状況におかれているわけであります。
かかる事情のもとにおきまして、從來の統制的な事業者團体に代るべき新しい事業者團体のあり方というものが、明示される必要が当然に起つてまいりました。民主的な経済体制のもとにおきまして、事業者団体の活動の範囲というものを、法律を以て明示いたし、その將來の活動方向を周知させますことはまさに刻下の要請に副うゆえんでありまして、本法案の登場を促しました理由も、主としてここにあるのであります。
次に、今後のわが國の経済体制の基本的な原則は、昨年公布施行されました、いわゆる私的独占禁止法の宣明いたすところでありますが、この基本原則とは、取引一般における自由にして公正なる競爭の保全擁護ということにほかなりません。しかるに、事業者團体の大部分は、同業者の相結束するところの團体でありまして、本來競爭関係にあるものの結合体が主たるものと申せるものであります。競爭者が結合いたせば、その結分体は、ある場合には、生産制限價格統一ないし販路分割のためにカルテルと化し、相互の競爭を不当に制限するような効果を、意識的にまた無意識的に追究いたす危險性が内容されてくるのであります。もとより、事業者団体の本來の目的は、技術の政善、能率の向上等を具現いたすことによりまして、事業者関する共通の利益を増進するところにおかれるのでありましようが、その反面、ただいま申し上げました競爭の拘束という好ましからざる事態の発生を常に戒心いたさねばならないのであります。
從いまして、私的独占禁止法の法益といたしておる競爭の自由と公正とを保全するためには、事業者團体がカルテル化し、同業者間の競爭を減少させる危險性につきまして、あらかじめこれを防止することが当を得たものであります。すなわち、その手段といたしましては、一切の事業者團体につきまして、届出制を設けまして、その存否を明かにいたしますとともに、正当な活動の範囲を定めまして、競爭を拘束する危險性のある時定の行為を禁圧することがあげられるのであります。以上が本法案を提出するに至つた趣旨でありこの趣旨達成のために正当な活動範囲を定め、かつ届出制を実施しようというのが本法の目的であります。
次に、この法案の内容につきまして、少しく御説明いたします。先ず、この法案におきまして事業者團体とは、何を意味するかを第二條において定義いたしました。すなわち、それは、二以上の事業者によつて事実上構成されている会社、社團法人、財團法人、人格なき社團、財團のほか、組合または契約による單なる結合体等凡そ一切の法的結合態を通じまして、事業者としての共通の利益の増進をこの目的として含むものを指すのであります。すなわち、いわゆる同業者の結成いたします某々工業会、協会等の團体のみならず、異種の專業者の地域的結合体としての商工会議所等もまた本法案の対象のうちに含まれるわけであります。さらに、事業者の利益を代表する者、たとえばいくつかの会社の役員または職員の会同のような結合体も、おのおのが代表する当該專業者間の共通の利益の増進を目途といたす限り、本法案の事業者團体に加えております。かくの如く本法案におきましては、事業者團体の範囲を、通常の観念に比しまして、きわめて廣いものとして、規定いたした次第であります。
第三條におきましては、事業者團体の成立、解散並びに定款変更等の場合につきまして、公正取引委員会に対する届出義務を規定いたし、その存立の状況を終始明白ならしめるようにいたしたのであります。
第四條は事業者團体の正当な活動範囲を、積極的な明かならしめた規定でありまして、すなわち、事業者團体は、本條の第一号から第九号に掲げました活動に限り、これを遂行することができるのであります。もつとも、この各号に列挙てたしました事項は、嚴密な意味において形式的に狹義に解されるものではなく、活動の実体が各号の趣旨に則するものをも含むものとして廣義に解されるべきものであり、從つてその解釈は、相当の彈力性に富むものといたしております。第五條におきましては、逆に事業者團体について禁止されるべき行為を、第一項の第一号から第十九号にわたりまして相当具体的に列挙いたし、事業者團体の正当な活動範囲を消費的に明からしめるごとく規定いたしました。そして、第十九号におきまして、第四條の許容活動の範囲を越える活動を禁止いたしますとともに第二項におきまして一切の脱法行為をも併せて禁止いたしまして、競爭保全の措置の万全を期した次第であります。
なお事業者団体が自然科学研究用の施設を所有または経営いたしますことは、第一項第十号の規定により原則として禁止されているのでありますが、会員の加入、脱税が自由で、研究の成果等を会員が公平に利用できるような團体に対しては、公正取引委員会が、審査の上その所有又は研究を認可すること、又過度経済力集中排除法の決定指令に依つて事業者團体が研究施設を所有又は経営する場合には、公正取引委員会の認可を不要とすることと定めて、科学研究の向上にも遺憾のないことを期しているのであります。
次に、この法律案の適用を除外されるべきものにつきまして、御説明いたします。独占禁止法におきましても適用除外という問題があり昭和二十二年法律第一三八号がそれを規定いたしたのでありますが、統制の必要と自由競爭との調整点をどこに見出すか、すなわち適用除外をいかなる範囲とするかということは重要な問題となるのであります。本法案におきましても、本法の施行によりただちに経済界に甚大なる混乱を惹起することのないよう意を用いたのでありまして、適用除外の範囲が本当廣範囲となつておるのであります。すなわち、まだ第六條は、事業者團体ではありなが、本法案の各規定の適用を受けないものを規定いたしております。大部分は協同組合的な性格を有する團体でありまして、協同組合というものは元來小規模の事業者の相互扶助を目的とするものでありますがゆえに、本法の適用から除外したのでありますが、協同組合以外にも臨時物資需給調整法附則の規定に基いて指定されている團体、閉鎖機関に指定された團体、取引所ないし手形交換所等を除外いたしております。第七條は、事業者団体の行為であつて、第一号から第八号までに揚げました法令の規定またはその法令に基く命令の規定によつて行う正当な行為には、第五條の禁止行為の適用なきことを規定いたしたのであります。
次に、第八條ないし第十一條におきまして田、この法律案第五條の規定の違反状態の排除措置の内容並びに手続に関して、規定を設けました。すなわち、それらの規定によりまして事業者團体が禁止行為に從事いたしました場合には、私的独占禁止法所定の手続に準じまして、公正取引委員会による調査、勧告、審判手続、審決が行われ、かつその審決に対しては、東京高等裁判所に対する訴訟の途が開かれておるのであります。換言すれば、事業者團体が禁止行為に從事しているか否かの認定並びに禁止行為の排除に関する措置は、愼重な手続を経て、公正妥当に行われるべきことが要求されている次第であります。
罰則に関しましてはおおむね独占禁止法の量刑に準じまた本法案による罪は、公正取引委員会の告発を待つて論ずることといたしたのであります。
以上本法律案の目的並びに概要につきまして、御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことを御願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/2
-
003・堀川恭平
○堀川委員長 次に、貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案について政府当局の提案理由の説明を求めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/3
-
004・福田赳夫
○福田政府委員 貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案提出の理由を御説明申し上げます。
今回改正しようといたします点は、まづ第一は、貿易資金の不足を補足するための借入金または融通証券の発行限度額の引き上げであります。現行の法定限度額は、百億円と相なつているのでありますが、その限度額の余裕額は、現在二十四億円にすぎない状況であります。しかして、この年度中において輸出物資の買入等に要する資金の支出額は、約六百十四億余万円と相なるのに対しまして、輸入物資の賣拂代金等資金の受入額は、約五百四十二億余万円と相なる状況でありますので、前述の余裕額を計算に入れましても、この年度中現金支拂上約四十八億余万円の資金不足となる計算でありますので、多少の余裕を見込み、今回現行法定限度額百億円を百五十億円に引き上げまして、貿易資金の運用を円滑にいたそうとするものであります。
第二は、貿易公團に対する交付金及び同公團からの剩余金の会計所属に関するものであります。從來貿易公團の人件費及び事務費は、これを一般会計からの交付金として交付し、また同公團の剩余金は、これを一般会計に受け入れることと相なつておつたのでありますが、その性質に顧みまして、貿易資金特別会計の所属とするのが適当と認められますので、これに関する所要の改正を行い、貿易に関する経理を明確にいたそうとするものであります。
第三は、貿易資金の運用の範囲の拡張に関するものであります。從來の輸出は國営の方法によつており、制限附民間貿易の場合といえども貿易廳が輸出業者からその輸出物資を買い上げ、貿易廳が外國のバイヤーと契約をしてこれを賣却する建前をとつていたのでありますが、今回民間貿易の取引を円滑にするため、輸出業者が直接バイヤーと契約し、これを履行することを得ることといたしますとともに、その代金の請求については、輸出業者が為替手形の振出人となり、日本側機関を通じ在日外國銀行にその手形の買取を依頼することに手続の改正が行われますに伴いまして、この民間業者の輸出に基く請求権につきましては、政府においてこれを買取集中することが必要と存ぜられますので、今回この請求権につきましても貿易資金を運用し得る途を開こうとするものであります。
以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上速やかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/4
-
005・堀川恭平
○堀川委員長 それでは今日は以上でこれらの法律案の審議を打切ります。次回は公報をもつてお知らせいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/5
-
006・笹口晃
○笹口委員 議事進行について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/6
-
007・堀川恭平
○堀川委員長 笹口君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/7
-
008・笹口晃
○笹口委員 事業者團体法務については、公聽会の開会並びに、鉱工業委員会との連合審査会の開会、貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案については、財政及び金融委員会との通合審査会開会に関する動議を提出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/8
-
009・堀川恭平
○堀川委員長 ただいまの笹口委員の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/9
-
010・堀川恭平
○堀川委員長 それではさよう決定いたします。次に、お諮りいたします。公聽会を開きますには、衆議院規則第七十七條によりましてまず、予め議長の承認を得なければなりません。ただいまちようど議院運営委員会が開かれておりますので、これから早速承認要求書を提出いたしたいと存じますが、さよう御了承願います。
午前はこれで一旦休憩にいたしまして、議長の承認を得ましたならば、あらためて午後公聽会開会についての決議並びに公聽会の案件や日時その他手続等について、協議いたしたいと存じますが、御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/10
-
011・堀川恭平
○堀川委員長 それでは休憩にいたします。午後の再会時刻はマイクでお知らせいたしますが、大体一時と予定いたしておきます。
午前十一時五十五分休憩
—————・—————
午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/11
-
012・堀川恭平
○堀川委員長 先刻議長より公聽会開会の承認を得ました。つきましては公聽会の案件を、事業者團体法の制定によつて受ける各事業者の影響についてといたしまして、來る二十六日午前十時より開きたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/12
-
013・堀川恭平
○堀川委員長 それではさよう決定いたします。公聽会開会についての一切の諸手続は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/13
-
014・堀川恭平
○堀川委員長 ではさよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204449X00919480619/14
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。