1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十三年一月二十七日(火曜日)
午後二時五十二分開議
出席委員
委員長 岡田 勢一君
理事 重井 鹿治君 理事 白井 佐吉君
片島 港君 成田 知巳君
野上 健次君 矢尾喜三郎君
小島 徹三君 田島 房邦君
長谷川俊一君 長谷川政友君
多田 勇君 中野 寅吉君
林 讓治君 河口 陽一君
出席政府委員
逓信政務次官 椎熊 三郎君
逓信事務官 山戸 利生君
委員外の出席者
專門調査員 吉田 弘苗君
—————————————
一月二十四日
郵便為替法案(内閣送付)(予第一号)
郵便振替貯金法案(内閣送付)(予第二号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した事件
郵便為替法案(内閣送付)(予第一号)
郵便振替貯金法案(内閣送付)(予第二号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204810X00119480127/0
-
001・岡田勢一
○岡田委員長 これより会議を開きます。
第二回國会初の委員会開会に際しまして、一言御挨拶を申し上げます。前國会におきましては、その最終委員会の席上でも御報告いたしました通り、本委員会は全会期を通じ二十八回の委員会、六回の委員打合会、八回の理事会を開催し、法律案三件を可決し、請願三十五件の採択、二件の不採択を議決して本会議に送りましたほか、逓信事業全般に対する檢討、重要通信施設の視察、緊急事件に関する質問、調査等、多角的な活動に行いまして、負荷の職責はほばこれを完遂したと申してもあえて過言ではないと存ずるのでありますが、この成果を收めることのできましたことは、ひとえに委員各位の熱誠なる御協力の賜でありまして、委会長といたしましては、邦家のために御同慶にたえないと同時に、私に対して與えられました直接間接の御助力に対し惑謝にたえない次第でございます。またこれと同時に、逓信大臣初め逓信省各政府委員の各位、國会事務局、專門調査員の方々の御援助、御労苦に対しましても、この機会に重ねて厚くお礼を申し上げたいと存じます。第一回國会における本委員会の活動状況につきましては、その概要をとりまとめて册子としてお手もとに配付いてしておきましたから、参考としてごらんいただくようお願い申し上げます。
いよいよ本日より、委員会は第二回國会期間の活動にはいるのでありますが、國家の前途いよいよ多事多難、國会の責務もますます重きを加えるとともに、本期間におきましは、本委員会に対する提出重要法案も相当多数を予想せられるのでありまして、委員会といたしましては、前会期中に得た幾多貴重な経驗と、逓信事業に対する深められた認識とを基礎として、さらに清新溌剌たる氣分をもつて、その任務を達成いたしたいと念願いたすものであります。何とぞ委員並びに関係者各位におかれても、倍旧の御援助、御協力を寄せられんことをお願い申し上げて御挨拶といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204810X00119480127/1
-
002・岡田勢一
○岡田委員長 去る二十四日、予備審査のため本委員会に付託されました郵便為替法案及び郵便振替貯金法案を一括議題といたします。まず政府当局の提案理由の説明を求めます。椎熊政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204810X00119480127/2
-
003・椎熊三郎
○椎熊政府委員 ただいま議題となりました郵便振替貯金法案の提案理由を御説明申し上げます。
振替貯金制度は郵便貯金の一態樣として、明治三十八年に制定されました郵便貯金法中に規定されていたのでありますが、その郵便貯金法は、先般の第一回國会で新郵便貯金法に改められ、郵便振替貯金に関する部分のみは、旧郵便貯金法の規定によることとなつていたのでありまして、その際近く郵便振替貯金法を提案いたしたい旨を申し上げておきましたが、これがその法案なのでございます。
御承知のごとく郵便振替貯金の制度は、送金及び債権債務の決済の手段として提供され、かつ利用されているのでありまして、貯蓄手段としての郵便貯金とはまつたくその本質を異にするものでございます。從いまして明治三十八年法律第二十三号郵便貯金法には、單に「振替計算のためにする預金については、貯金総額を制限しない」旨を規定されているのみで、振替貯金制度の目的、内容、利用條件等、すべて郵便貯金とは別個に命令で規定されていたのでございます。
しかるに先般日本國憲法が公布施行されましたので、郵便振替貯金におきましても、新郵便貯金法と同様に、新憲法に即して利用者の権利義務に重大な影響を及ぼす事項等につきましては、すべてこれを法律で規定することといたしまして、ここに郵便振替貯金の利用関係の準拠法規を確立するため、本案を提案する次第なのでございます。
今法案の内容について申し上げますると、大体において業務の内容、利用條件、利用者の権利義務等につきましては、從來の制度を踏襲いたしておりますが、以下の諸点において若干の改正を加えたのであります。まず事業の民主的な運営を期する立場から、法律の目的、國営の理由並びに事業運営の指針を明らかにいたしますとともに、事業管理の責任者としての逓信大臣の職責を明定し、さらに從來事業の公共性に基く特例として廣く認められてまいりました取扱いの遅延にまる損害賠償の免責範囲を、事業の特質から生ずる必要の最小限度に止め、不可抗力その他眞にやむを得ない事由による場合を除いては、一般民法の規定によつて損害賠償の責に任ずることといたしまして、必要なる規定を設けました。また利用上の料金をすべて法定いたしておりますが、これは將來料金改定の必要を生じました場合におきましても、國会の議決を得て料金額を決定せんとするものでございます。
次に小切手の制度を創設いたしまして、必要な規定を設けました。すなわた從來の局待拂の制度は、振替貯金の加入者が、金銭の支拂に代えて局待拂拂出書を交付し、その交付を受けた者が、これを郵便局に呈示して現金の拂渡しを受けるという制度でありまして、その内容、利用方法等は、ほどんど小切手制度と異なるところがないのでありますが、小切手法の適用を受けない別異の制度といたしておりましたために、決済の手段といたしまして、小切手のごとく十分なる機能を発揮し得ない憾みがありますので、この際これを小切手制度に統合せしめて、経済取引の要請にこたえんとするものでございます。その他新法律制定を機会に、なほ細部の点に修正を加えたものがありますが、事業の本質にはあまり影響がないものと認められます。
以上御説明申し上げましたごとく、この法律の制定によりまして、郵便振替貯金の制度は普遍的な、かつ確実な送金及び決済の手段として、その機能を十分に発館することができて、経済社会に多大の便益を供與するものであることを確信いたしております。以上御説明申し上げました点を御了承の上、何とぞ十分御審議くださいまして、速やかに御賛成くださるよう切望する次第でございます。
次に郵便為替法案の提案理由を御説明申し上げます。
現行郵便為替法は、明治三十三年に制定されたものでありますが、その後約五十年間におきまして、大正五年郵便為替証書の有効期間に関する第十六條の規定の改正を見ましたほかは、何らの改正もなく、今日に及んでおります。
しかるに先般日本國憲法が公布施行されまして、國民の権利の尊重及び官業の民主化が強く要請され、併せて法律用語の平易化及び明確化が率先されたのに鑑みまして、先般第一回國会を通過して、昨年十二月一日から施行を見ました郵便貯金法と同じく、郵便為替法につきましても、根本的な再檢討を加えました結果、新憲法の精神に副つて、これを修正する必要が生じてまいりましたので、現行郵便為替法を廃止して、新たに郵便為替法を制定しようとするものでございます。
今その内容について御説明申し上げますが、業務の実体は大体において現行制度にあまり大きな改変を加えておりません。以上改正を加えた諸点を申し述べまするに、まず第一に本法は郵便貯金法の姉妹法とも申すべきものであり、郵便貯金法と同様、事業経営の民主化をはかり、全條文を口語体をもつて平易かつ明確に表現いたしますとともに、事業國管の理由並びに事業運営の指針を明らかにし、また事業の管理者たる逓信大臣の職責を明定いたしました。また利用者との法律関係におきましても、事業の公共性に基く保護規定として認められてまいりました一般私法に対する例外規定を、でき得る限り除くことといたしました。すなわち現行規定におきましては、郵便為替の利用に関しまして、無能力者の行為は能力者の行為とみなし、從つてこれを取消し得ないものとして、民法の規定を排除いてしておるのでありまして、これは事業の性質上、取扱いの簡易及び敏速を期するための事業保護の規定であつたのでありますが、新憲法の精神に副いませんので、國民の権利尊重の立場から、無能力者保護の一般私法規定によることといたしまして、この特例的規定に削除することといたしました。また現行規定におきましては、郵便為替に関する取扱いの延遅によつて利用者が損害を受けた場合、國はすべてその賠償の責任を免かれることとして、民法の債務の履行遅滯の規定を排除しているのでありまして、これもやはり大量の取扱いを処理する事業の特質上認められた保護規定ではありますが、このように否制限に免責を認めることは、新憲法下許されないものと考えますので、その免責の範囲を不可抗力その他事業の運行上眞にやむを得ない遅延の場合に限りまして、その他の場合における解扱いの遅延につきましては、一般私法の規定に從つて利用者の損害を賠償することといたしたのであります。このほかなお郵便為替利用上の料金は、現在すべて命令で規定されておりますが、これを法定いたしまして、將來料金改定の必要を生じた場合におきましても、國会の議決を得て料金額を決定することといたしました。
次に業務の内容、利用者の権利義務に関する規定等の実体的規定を、廣く明確に法定いたしました。すなわち郵便為替の種類別の内容、利用者の各種請求権等、從來はすべて命令で規定されていたのでありますが、事業の実体に属する事項はこれを法律で規定することといたしまして、業務の実質、取扱いの内容が事業主体の恣意によつて決定、変更されるがごときことのないよう保障いたしますことによつて、事業の民主的な運営を期しております。
この法律の制定によりまして、郵便為替の制度は、簡易確実な送金手段としてまずその機能を発揮いたしまして、國民生活に多大の便益を供與するものであることを確信いたしておりますが、以上御説明申上げました点を御了承の上、何とぞ十分御審議されまして、速やかに御賛成くださらんことを切望する次第であります。(拍手)
御質問等がございますれば、係官等も多数見えておりますから、詳細な点については事務的に説明をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204810X00119480127/3
-
004・岡田勢一
○岡田委員長 速記をやめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204810X00119480127/4
-
005・岡田勢一
○岡田委員長 この際委員諸君に御相談申し上げます。逓信大臣が閣議でまだ遅れるような状況でもあります。逓信大臣から逓信行政に関する説明を聽取したいと思いましたが、そういう都合ですから、本日はこの程度にして散会したいと思いますが、いかがでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204810X00119480127/5
-
006・岡田勢一
○岡田委員長 では本日はこの程度で散会いたします。次回の委員会は公報をもつて御通知申し上げます。
午後三時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204810X00119480127/6
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。