1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十三年五月十九日(水曜日)
午前十時四十九分開議
—————————————
委員の異動
五月六日(木曜日)小委員伊東隆治君
辞任につき、その補欠として門屋盛一
君を議院運営委員長において選定し
た。
—————————————
本日の会議に付した事件
○政治資金規正法案(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/0
-
001・藤井新一
○委員長(藤井新一君) 只今より政党及び選挙に関する小委員会を開きます。この前の委員会においては、この法案を通じての議論の中心となるべき箇條を摘出して本日の議題とすることを申し合せたのであります。ついては川上法制部長よりそのことの御報告を願います。お配りいたしました政治資金規正法案研究事項という刷物について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/1
-
002・川上和吉
○参事(川上和吉君) これは只今委員長のお話のように、前回の委員会におきまして、今日まで問題になりました点を拾いました項目を挙げたのでありまするが、全部盡していないかとも思います。尚又この席上で問題になりました以外に、事務的に若干氣付きました点もいろいろ挙げまして御参考に供したらどうかというようなことで、必ずしも網羅されておりませんし、又余分のものも入つておるかと存じますが、御参考に御覧を願いたいと思うのでうります。
先ず第一はこの案の題名の点でございます。これも前回に問題になりました事項でありまするが、その御参考といたしまして二つの参考案をここに挙げておるのであります。政治資金規正公開法というやり方をやります分と、政治及び選挙資金規正公開法という、まだ他にも考えられると思いますが、御参考にさような案をそこにお示しをしておるわけであります。
それから第二番目は政党、協会その他の團体の定義の点でありまして、これは第三條に関係をいたしますが、政党の点が原案通りでよろしいか、それから協会その他の團体の定義が原案通りでよろしいか、この点はしばしば問題になつた点でございます。ただ尚この際にお考えを必要とするかと存じますのは、そこにちよつと註釈のように書きましたのでありますが、仮に政党の定義の原案を修正するようなことになるといたしまして、又その修正の方法が藤井委員長或いは竹下委員その他からお話がありましたように、原案の政党という定義は非常に廣い定義になつておる。政治團体と同じ定義になつておるのであります。從つてこれを現在の一般の通念によるところの、政党というところの定義に局限をして、修正をするというようなことにいたすという場合に、單に第三條の修正だけをいたすか、或いはその修正をします場合、そこに挙げてございます第九條、第十二條及び第十七條の規定について如何に考えるか。これはこの三ヶ條文につきまして、政党と協会その他の團体との取扱いがこの法案において区分してあるのであります。そこで政党を以上申しましたように局限した定義にしまする場合に、その局限した定義の政党の範囲において九條、十二條、十七條を区分をしてやつて行くか或いは理論上から政党の定義を局限するといたしましても、九條、十二條、十七條はこの原案の趣旨通りに政党その他の政治團体と、それからその他の團体とを区別したような書方に、九條と第三條を局限しまする場合に、九條については政党の意味をもう少し廣い範囲に適用して行くというような書方にするかどうか、という点を合せて御檢討請願う必要があるのじやないかと思います。さような御注意までにこの註釈を附けておいたのであります。
それから第三番目は寄附という用語の定義につきまして、これは第五條の関係でありますが、この点も意見が出ておつたようであります。ただ実際問題といたしまして、今御説明の域を少し逸脱をするのでありますが、寄附の定義につきましては、この字句を書いて行きます場合には、非常にむずかしい関係がございまするので、これはむしろ何らかそこに解釈を統一するというようなことでおやりになつたら如何かと思いますが、この定義につきましても問題がありましたので、そこに書き上げて置いたわけであります。
それから第四番目は第八條の但し書の点でありまして、これも前々回の委員会におきまして、この第八條但し書原案の解釈が非常に読みにくいような関係にありますので、これをどうするかという問題であります。それからその次、第五番目、第六番目に挙げましたのは、実は必ずしも委員会の席上問題になつた点ではございませんが、事務的に検討いたしまして若干の問題がございまするので、この際御検討を願つたらどうかという意味合におきまして書き上げたのであります。第五番目に書いてございますのは第十三條のところで、選挙に関する收支を政党その他の團体が報告するのでありますが、その報告する相手方の選挙管理委員会を、原案の規定によりますると当該選挙そのものを管理する管理委員会じやなしに、政党、協会その他の團体が設立のときに届出るところの選挙管理委員会ということになつておりまする関係上、選挙そのものを管理する管理委員会と違つて來るのであります。これを具体的に申しますと、仮に参議院の全国選挙の場合を考えますると、全國的の政党については一般的な報告は全國選挙管理委員会なのであります。ところが参議院の全國議員の選挙は、御承知のように参議院の全國選挙委員の管理委員会に報告いたすのであります。その報告の相手先は原案によりますと、参議院の全國選挙の報告につきましても、やはり全國選挙管理委員会に報告いたすことになつておりますが、これは選挙そのものを管理するところの参議院の全國選挙管理委員会に報告するのが筋ではなかろうかという点が一例であります。その他の選挙につきましても同様なことに相成るのでありますが、これは原案通りでよろしいか、或いはその点が選挙の問題でありますので若干お考えを煩す必要があるのではないか、これはあとで御説明いたしますが、この両方のことは理屈は立ち得ると思いますが、一應この際、御檢討を願う價値があるのではないかという点で申上げるあります。
それから第六番目に挙げましたのは、これも第十三條のことでありますが、これは極めて事務的な点でございますが、第十三條に関しまする報告書の様式についての規定が欠けておるのでございます。これは他の規定とやや釣合が取れませんので、形を合す意味合におきまして、或いはお考えを願う價値があるのではないかという意味合におきまして挙げたのであります。
次に第七に書いてありますのは、第三十二條の関係につきまして、公職に在る者の選挙に関する寄附の報告に関する事項、その次の第八は、公職の候補者の選挙前一ケ年間にした寄附の報告、第三十五條の問題です。
それから第九は、第三十七條の本人の名義以外の名義を用いた寄附の制限、いわゆる匿名の寄附の問題、この三つの寄附の報告乃至禁止の問題につきましては、前の委員会でも度々いろいろの御論議があつたのであります。この点については、これを原案通り認めるか、或いは何らか金額その他の制限を置くか、或いはその他別個のものをやるか、いずれにしてもこの点は懸案になつておりまするので、ここに挙げて置いたわけであります。
それから最後に、第十といたしまして、政党の財産報告等に関する規定の追加の問題であります。この点は前委員会後に懇談的に問題が出たようでありまするので、ここに挙げたのでありますが、これもあとでもう少し詳しく申上げなければならんと思いますが、この政党のふだんの收支、或いは選挙についての收入支出については、全部報告及び公開されることになつておるのであります。ところが一番スタートにおいて政党組織の、最初或いはこの法律が施行せられます場合に、政党がどういう財産状況にあるかということについては、何らこの法案においては関知していないのであります。事後の收入支出を非常にやかまして言つて、当初の資産状態についてははつきりしないということになりますると、少しそこに欠けるところがあるのじやないかという意味合におきまして、そういつた收支以外に財産の現状の報告についての問題を考えたらどうか、この点もそこまで考える必要はないので、この原案でよろしいという御議論もあるだろうと思いまするし、徹底して考えますれば、かような点も問題になり得ると思うのであります。さような意味合におきまして、一から十まで冒頭に申しましたような意味において問題を拾い上げたのであります。落ちております点につきましては御諒恕をお願いしたいと思いますが、一應極めて簡單に整理いたしました筋だけを申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/2
-
003・藤井新一
○委員長(藤井新一君) 只今川上法制部長より議題になるべき研究事項を示唆されましたが、この委員会は如何にこれを取扱うかということですが、先ずこの一から研究を始めて行きますか、又はこの課題と議案とを相折衷して研究して行きますか、如何いたしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/3
-
004・黒川武雄
○黒川武雄君 大体先だつて來の質疑應答が、この今日の一から十までに大体纏まりておるようでありますから、これを順次やつて頂きたいと思います。これに從つてやつて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/4
-
005・藤井新一
○委員長(藤井新一君) 黒川委員から、川上法制部長の研究事項の第一から研究をして頂きたい、こういう提案がございましたが如何でしようか。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/5
-
006・藤井新一
○委員長(藤井新一君) そうすると題名から一つ研究して参りましよう。この題名については三浦法制部長からちよつと御説明を願えれば結構と思いますが、簡單に御説明頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/6
-
007・三浦義男
○衆議院参事(三浦義男君) この題名の問題に関しましては、衆議院の委員会においてもいろいろ意見がありましたのでありまして、その時に一應採上げられました題名を御参考までに申上げますと、政治團体等費用公開法、政治資金公開法、政治的寄附行爲及び選挙費用不正取締法、不正選挙行爲等取締法、政治團体等不正防止法、政治資金粛正法、政治粛正法、或いは政治腐敗防止法、それから更にその後いろいろ研究せられました結果、政治資金規正法、政治活動規正法、政治資金公開法、政治團体等費用公開法、こういう程度のものから選んだらばどうだろうというようなことなつて参りましたわけであります。この題名の問題につきましては、最終的な衆議院の委員会の決定といたしましては、政治團体等費用公開法というようなことに一應の決定を見まして、そういうことで関係方面とも折衝するということになりましたわけでありまするが、いろいろ話合の結果、結論的に申上げますると、政治資金規正法、英語で申しますと、ロー・ツー・レギユレイト・ポリテイカル・コントリビユーシヨン・アンド・イクスペンデイチユアという題名を採ることが、この法案の趣旨に最も副うておるじやないか、こういうようなことになりまして、政治資金規正法、こういうことになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/7
-
008・門屋盛一
○門屋盛一君 題名は、やはり変えるということに別段深い意義がなかつたら、これでもいいのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/8
-
009・竹下豐次
○竹下豐次君 この法案を見ますると、政治資金に関する問題と、公開に関する問題と二色あると思いますが、殊に第五章には特に報告書の公開という言葉も使つてあるようなわけであります。規制すると同時に又公開するということにつきまして、特に重く考えられておるというふうに見えるのであります。尚又政治資金の公開の問題につきましては、國民の長い間の輿論としても、是非公開させなければならないというふうに言われておつたのが、今日までこれが実行に入るところまで進んでいなかつた。特に今度深い関心を拂われてこれが公開されることになるという法案が示されておるわけであります。そういう今日までの世論を顧みましても、公開するのだということをはつきり國民に知らしめるということが大変必要なことじやないかと思います。内容を見ましても、先に申しましたように、規正の問題と公開の問題と、両方包含されておるのでありまして、規正という言葉の中には公開ということは包含されてないと思いますので、やはり並べてその文字を使うことが必要じやないかと、かように私は考えます。
それからこの示されました項目書を見ますと、政治資金規正公開法というのと、政治及び選挙資金規正公開法、二つならべてありまするが、その問題もやはり政治資金の活用と見ていいと思いまするので、政治及び選挙資金と二つ書き分ける必要はなくして、両方包含する政治資金という言葉でいいのじやないかと思います。ただ政治資金規正公開法というと、規正というのと公開ということが、二つの違つたことを示す意味で並べてあるのだろうと思つておりますけれども、規正を公開するというふうな言葉に、意味をなさない言葉になりますけれど、そういうような文句にも、文字の解釈としてなし得るようにも思いまするので、規正並びにとかいうような言葉を加えた方が適切じやないかと、かように私は考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/9
-
010・門屋盛一
○門屋盛一君 別にこだわるわけではないのですが、この政治資金を規正するためにこの法案の中に公開のことが盛られておるようにも解釈できるので、これはまあ題名を変えるということもいいでしようが、この法案を出した方の衆議院の方で、こう決つて來ておるのですから、余程重大のことでない以上はまあ最後まで、今ここでどうもただ名前を変えるだけですから、私はまあこのままで審議を進めて行つた方がいいでのじやないかと思うのであります。そしてその時間、大分証人喚問なども追つておりますから、大体それまでにもう少し内容的にこの後に現われておる二、三。四、五、ずつて十までのものの方を、先にお進めになつた方がいいのじやないかと思うのですが、別に反対するわけではないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/10
-
011・竹下豐次
○竹下豐次君 今お話の証人の御意見などを承つて決めるという、それは私結構だろうと思つておりますが、今日のこの相談も又一應証人の御意見も承つた後で、適当に修正する必要があるならば修正するということは、固より許されることであると、かように私はまあ考えておりますので、ただ一應この委員会としてその前に案をできるだけ進めておいたらどうだろうかというような気持ちで私は言つておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/11
-
012・門屋盛一
○門屋盛一君 結構であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/12
-
013・藤井新一
○委員長(藤井新一君) 速記を止めて……。
〔速記車止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/13
-
014・藤井新一
○委員長(藤井新一君) 速記を始めて下さい。只今門屋委員より発言がございまして、第十の政党の財産報告等に関する規定の追加、これをまだ当局者に聽いておりませんから、これを承つて審議したいというのでございます。如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/14
-
015・藤井新一
○委員長(藤井新一君) 速記を止めて……。
午前十一時十七分速記中止
————————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/15
-
016・藤井新一
○委員長(藤井新一君) 速記を始めて……。本日はこの程度で散会いたしましては如何でしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/16
-
017・藤井新一
○委員長(藤井新一君) 次回は二十二日午前十時より委員会を開会いたしますことにして本日はこれを以て閉会いたします。
午前十一時四十五分散会
出席者は左の通り
委員長 藤井 新一君
委員
黒川 武雄君
門屋 盛一君
木内 四郎君
岩間 正男君
佐々木良作君
小委員外委員
櫻内 辰郎君
政府委員
全國選挙管理委
員会事務局長 郡 祐一君
事務局側
参 事
(法政部長) 川上 和吉君
衆議院事務局側
参 事
(法制部長) 三浦 義男君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214041X00419480519/17
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。