1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年五月二十七日(木曜日)
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本日の会議に付した事件
○地方自治法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○風俗営業取締法案(内閣送付)
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午前十時五十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/0
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001・吉川末次郎
○委員長(吉川末次郎君) これより委員会を開会いたします。
地方自治法の一部を改正する法律案の質疑を継続いたします。政府委員に本案の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/1
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002・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 初めに一頁から五頁までを対象として説明いたします。
第二條第二項の事務はいわゆる地方公共團体の事務でありまして、この事務を具体的にポピュラーのものを例示すると次に揚げる一号から二十一号となるのであります。但し、法令に特別の定があれば、この限りでないのでありまして、法令に特別の制限がなければ條例で自由に規定できるのであります。
先ず第一号は「地方公共の秩序を維持し、住民及び滯在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」であります。これらに関係する法令は警察法、消防組織法、風俗営業取締法、傳染病予防法等であります。
それから第二号に規定してありまするのは、公園、運動場、廣場その他、そういう種類の営造物を主として規定をいたしております。これに関してもいろいろ國立公園法でありますとか、或いは都市計画法でありますとか、道路法、河川法、運河法いろいろ関係の法律がございますが、そういう法律の制限範囲内においてこういうことをやるというわけであります。「堤防等を設置し若しくは管理し、又はこれらを使用する権利を規制する。」ということは、例えば道路の單なる自由利用を超えて、一定の地区を限つて占用するというような場合におきましては、やはりそれについて或る程度の規制を必要といたしますので、そういうような行僞をここに意味しておるのであります。
三号は、やはりいわゆる公営事業と申しますか、公共性の強い、從來市町村都市がやつておりましたような、いわゆる公企業の経営ということを書いております。
それから四号は、主として海上及び陸上運送関係の営造物の設置、管理、こういうものを規定いたしておるのであります。
それから五号は、主として文化、教育関係の営造物の設置、管理を規定いたしております。
それから第六号は、主として衞生、保健、社会事業施設としての営造物について規定をいたしておりまして、できるだけ現行法令等との関係を考えた用語を使用したしとおる次第であります。
それから七号は、そういう営造物でない衞生、「清掃、消毒、美化、騒音防止、風俗又は消潔を汚す行爲の制限その他の保健衞生、風俗のじゆん化に関する事項を処理する」、これらにつきまして特定の條例を判定して、これによつて一定の保健衞生のため、或いは風俗のじゆん化のために自由を制限するというようなことを予想し、その制限に関する事務の処理をここに規定しておるわけであります。
それから八号は、「防犯、防災、罹災者の救護等」、地方團体のそういう方面の活動の機能を規定したものであります。
それから九号の方は、やはり特殊の社会事業の対象になりまする、特殊保護者の保護事業等を列挙したわけであります。
それから第十号は、收益事業と申しますか、一般に地方團体が営利事業を経営できるがどうかということは、從來学者の論の非常にあつたところでありまするのが、大体行政上の取扱いといたしましては、現在営利事業はこれを行うことができる。但し「公共の福祉を増進するために適当と認められる收益事業」であつて、そこに地方公共團体である以上は、公共目的の制約はあるが、とにかく收益事業を行なつても地方團体の本質には反しない、こういうような解釈を從來からいたして來ておりますが、そういう点をここに確認をしたのであります。ここでは森林とか土地経営といつたようなものを規定しておりますが、尚この外に例えば最近は富籤の発行でございますとか、そういつたこともここに該当する一つの收益事業として行なつておる。こういうように見られ得るのであります。
それから十一号は、主として土地に関係のあります市町村なり庁縣の施行する事業を規定しておるのであります。
それから十二号は、まあ商工省令と申しますか、「発明改良又は特産物等の保護奨励その他産業の振興に関する事務」ということを規定いたしております。
それから十三号は、やはり文化的な機能で、史跡、名勝その他の記念物の保護、管理を規定しております。
十四号は、一般的な機能として地方團体の調査機能を規定しておるわけであります。
十五号は、市町村内の住民その他市町村に居所等を持つております者の、身分上の事務を処理することを規定しておるのであります。
それから十六号は、度量衡とかそういう計量器関係、それから各種の檢査機能を規定しております。
二七号は、主として市街地建築物法という法律が現在ございますが、それに規定をせられておりまするような行爲を規定いたしておるのであります。ただここで「法律の定めるところにより、」ということを、特に頭にかぶしておりまする点が、今までの各号の規定と形式が違つておるのであります。行するに十七号は市町村独自ではやれない法律を先ず作つて貰つて、その法律に基いてこの事務を処理する、こういうことを意味しておるのであります。と申しますのは、これらの制限禁止の機能というのは、そういう重大なる影響を一般に及ぼしますから、そこでやはり國法に基準をおいて、その基準に從わなければやれない。即ち國法が設けられなければ、この仕事は地方團体だけで取上げられない、こういう意味で「法律の定めるところにより、」という字句を挿入いたしております。
十八号はいわゆる土地の使用、收用関係のことを規定しておりますが、これも十七号と同樣に、非常に大きな財産権の変動を與える行爲でありますので、必ず國法の根拠を要するということで頭にかぶせておるのであります。
それから第十九号でありますが、これは地方團体が、例えば農業協同組合とか、商工協同組合というような、公共活動をいたしまする團体の活動について、綜合調整の機能を有するということを規定したのであります。
それから二十号は地方税、使用料、手数料というような住民等から一定の財産、金銭等を賦課徴收をする行爲を規定しておりますので、これ亦重大な問題でありますので、必ず國法の定めるところに從つて行わなければならないということを規定しておるのであります。
それから二十一号は財産の設置、管理ということを規定しておる次第であります。
勿論この二十一項目以外の行爲でも、尚市町村が一般的にやつておる行爲も相当あろうと思いますが、それらは勿論処理できるのでありまして、以上の二十一項目は比較的ポピュラーな問題をここに掲記いたしたのであります。
それから次の項は、先程申上げたように地方團体の処理いたしまする事務に対應いたしまして、國が処理する事務の典型的なるものを、八項目にわたつて規定をいたしておるのであります。大体ここに規定をしてありますものは、國家性の濃厚な事務のみでありますが、「次に掲げるような」と申しておりますので、これのみには限定されませんが、このような種類の國の事務を、地方團体は処理することはできない、こういう意味であります。
その第一に規定いたしてありまする「司法に関する事務」と申しまするのは、第二号と関連をいたしておりまして、要するに裁判所並びに裁判所に附置せられましたような司法関係機関が、処理いたしまする事務、そういう意味でありますが、第二号の刑罰に関する事務というのが、第一号から除かれますから、從つて民事関係の事務がこの主体になるわけであります。
第二号の「刑罰及び國の懲戒に関する事務」と申しますのは、刑の執行並びに「國の懲戒」と申しますのは、例えば海員に対しまして懲戒の法律がございますが、そういうようなもの、或いは少年審判法によります要保護少年に対する保護処分、という事務が第二号に入るのであります。
それから三号は國の運輸、即ち省営の汽車、 電車、自動車等に関する事務、それから通信、電信、電話に関する事務であります。
「郵便に関する事務」は、郵便法によつて國が独占しておる事務であります。
それから第五号の「國立の教育及び研究施設に関する事務」、これは文部省の直轄学校、國立の図書館、博物館といつたようなもの、或いは各種の研究施設に関するもの。
第六号は、國立の病院及び診療所に関する事務であります。
第七号は「國の航行、氣象及び水路施設に関する事務」。
それから第八号は「國立の博物館及び図書館に関する事務」、これは第五号に國立の博物館及び図書館に関する事務を含むと申しましたが、或る部分は第五号から除かれるのでありまして、第八号に特に重要問題として書き上げてあるわけであります。
この二つのカテゴリーの事務を並べまして、その中間に地方團体もやる、或いは國もやる種類の行政事務が相当あると思いますが、それらはそれぞれの法律或いはこれに基く政令等によつて、その処理の主体が或いは國となり或いは地方團体となるわけであります。
それからその次の「地方公共團体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。」と申しますのは、当然と言えば当然のことでありますが、地方團体の一つの法人として國法には從わなければならんという意味であります。ただ地方團体に対して、特別に地方團体自体の組織とか行爲を制限するという場合には、必ずこれは法令によらなければなりませんが、地方團体が定められた、與えられた事務を処理するに当つては、一般の私法人或いは私人と対等の立場に立つて、國法に從つた処理をしなければならない、こういう意味を申すのであります。
尚市町村は、それを包括しております「府縣の條例に違反してその事務を処理してはならない。」これも自治法の第十四條の第三項に「都道府縣は、市町村の行政事務に関し、法令に特別の定があるものを除く外、條例で必要な規定を設けることができる。」こうなつておりまして、府縣が市町村の行爲を統制するために、必要な條例の規定を設け得るのであります。それでその府縣の條例には、市町村はこれ亦從わなければならないわけであります。
それらの國の法令或いは都道府縣の條例に違反して行なつた、地方團体の行爲はこれを無効とするということを規定いたしまして、地方團体の行爲の適法性、明かに適法でなければならんということを一面現わしますと共に、違反をした行爲に対しては、裁判においてこれを無効とするという処置が執れ得るようにいたしておるのであります。地方團体の各種の行爲で違法の処分がございまするならば、それは裁判所法及び民事訴訟法の規定によりまして、裁判所に出訴できるわけであります。裁判所はその判決において、法に違反した地方團体の行爲はこれを無効とするという判決を行うことが、この法律を根拠にしてできるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/2
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003・吉川末次郎
○委員長(吉川末次郎君) 只今までの政府委員から説明がありました部分につきまして、御質問がありましたらお述べを願いたいと思います。即ち第一頁の最初から第五頁の終りから二行目まで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/3
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004・岡本愛祐
○岡本愛祐君 詳細な御説明を承りました。そこで第一に質問いたしたいことは、初めの方に例示してあります地方公共團体でやる事務、その中には公共團体の固有事務は勿論含んで例示してありますが、國家の委任事務も含んでおるのですかどうですか。含んでおるとすれば、どういうのが國家の委任事務でありますか。それを先ず伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/4
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005・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) ここに規定をしておりますものは、公共事務、委任事務、行政事務、いずれも含んでおりまして、今お尋ねのどれが委任事務かと申しますと、これは結局國の法律が、それを果して國の事務として取上げておつて、それを市町村に委任しておるかどうかということを判断をいたしまして、そうして委任事務というふうに見るよりいたし方ないと思うのでありまして、個々の法令に從つてその解釈を決めることになると存じますが、現在の建前におきましては、例えば道路の維持の費用、維持ということは、これは府縣道については府縣、或いは市町村道については市町村ということになつておるわけであります。これは委任事務の一例と申すことができると思うのでありますが、ただこの場合でも、現在の法律では、管理権は知事なり市町村長がこれを管理するということで、その点は機関委任になつておりますが、その経費負担の面におきましては、市町村なり府縣の委任事務である。こういうことが言えると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/5
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006・岡本愛祐
○岡本愛祐君 この中に委任事務が含んでおるといたしますると、御説明によつて、この例示以内に止まるものではない、これは比較的ポピュラーなものを挙げたに過ぎない、これ以外に町村で処理すべきものは沢山あるというふうに承わり、又それは当然であろうと思いますが、警察関係におきまして、警察法で自治体警察がやる事務の中の、「公共の秩序の維持」、「生命及び財産の保護」、「犯罪の予防及び鎭圧」、この三つは、この例示の中に第一に、「地方公共の秩序を維持」とありますから、これは「公共の秩序の維持」に当ります。ただ「地方」と冠してありますから、警察法の「公共の秩序の維持」というのよりか、狹いような感じを受けますが、これが非常に御苦心のあるところだろうと私も内心思うのですが、まあそれはともかく……。
それから第八号に「防犯」ということがありますから、それは「犯罪の予防」に当るのだろうと思います。併し警察法の第二條の二項の四号に挙げてあります「犯罪の捜査及び被疑者の逮捕」ということは、この例示の中に、改正案で挙げてないのであります。これは何故挙げられなかつたのか、それを必ず伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/6
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007・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) それは、それぞれ法律の特別法の規定がありまするものは、成るべくその用語に則つて規定はいたしておりまするが、何分にも数が多いので、或る程度、端折つた書き方をいたしておるのでありまして、今の仰せになりました点は、やはり八号の防犯等というようなことに含んでいる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/7
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008・岡本愛祐
○岡本愛祐君 私はどうもその点がはつきりしないと思うのですが、防犯等でこれは片付ける程簡單なことではないのでありまして、「犯罪の捜査及び被疑者の逮捕」というのは、非常に大きな事柄であります。これが市町村でできるかできないかというようなことは、これをはつきり自治法に書いて置かなければならぬことだと私は思う。これも余程御苦心なすつたことだろうと思いますが、ただこの防犯等の中に入つておるのだということは、少しむずかしいのじやなかろうか。防犯というのは「犯罪の予防」なんですから、防犯の中に入れることは、私はむずかしいと解釈いたします。私は「犯罪の捜査及び被疑者の逮捕」ということは、これは市町村つまり地方公共團体の事務でなくて、これはもう純然たる國家事務だ、それはまあ自治体警察に委任といいますか、委任よりも余程弱い、補助的立場で市町村が扱つておるのだと私は思うのでありまして、だからこの中にはこれをお入れにならないのだろうと私は解釈するのであります。先程の御説明にも、市町村で取扱う事務と、それから市町村で取扱わないで國家が取扱う事務と、この三つの外に、その中間に地方團体の方でもやり、又國の方でもやる事務があるということで、その中に入るべきものだと、私は「犯罪の捜査及び被疑者の逮捕」については考えるのですが、その点もう一度伺つて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/8
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009・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 私は今「犯罪の予防」という問題と誤解をいたしまして、八号の防犯等という中に含まれるというふうに申上げたのでありますが、お尋ねの趣旨を誤解しておりましたので……。今の犯罪の捜査、被疑者の逮捕とか、そういう関係のことはどこに入るかという点につきましては、先般も実は申上げたかと存じますが、警察法の規定といたしましては、そういうふうに刑事訴訟の等の規定と字句を照應せしめまして、規定をいたしておりますことと存じますが、地方自治法の方におきましては、地方自治團体が取上げておりまする面におきましては、「地方公共の秩序を維持し、」という非常に包括的な言葉で表わしている。それから又事項の如何によつては、或いは八号の防犯等というところに含めて読む方がいいというものもあろうと存じますが、何分にも明確な概念の限界を附けることは、この第二條の新らしい改正規定の趣旨としては、それを本旨といたしておりませんので、多少その限界が、一号と八号とでは紛らわしいところがございますが、いずれにいたしましても一号なり八号の中に入るのではないかと思うのであります。國家地方警察も、今のお話のありました点は、國家機関として犯罪者の逮捕ということをその区域内においてはやつておるわけでありますが、自治体も同時に自己の区域内においてはやつておるわけでありまして、その自治体のやります面といたしましては、やはり一号、八号の機能の中に含まれる行爲、こういうふうに解釈いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/9
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010・岡本愛祐
○岡本愛祐君 どうも私はまだよく納得が行きませんので、この問題は私は相当重大な問題と思いますから、これは法務総裁か……、どうもこの警察法関係はどこで責任をお取りになるのかよく分りませんが、法律の問題でありますから、法務総裁か或いは官房長官がおいでになつて、私の質問したところを明確に御答弁願いたいと思います。よく研究して御答弁願つておきたいと思います。私の意見はこの前警察法を審議いたしましたときに、この警察事務として第二條第二項で列挙いたしましたところは、市町村の、自治体警察においては、その市町村の固有事務だというふうに政府当局が御説明になりました。それに対して私は根本的に疑問を持つておりまして、それは承服しなかつたのでありますが、その「犯罪の捜査及び被疑者の逮捕」ということは、これは廣い意味における司法の中に実は含められるといつてもいい事項であります。司法はもとより國家事務であります。狭義の司法では含まれないことはよく分つております。裁判所のやることが司法事務であるとすれば、この中には入つていない。これは檢察廳のやることでありまして、併しこれは市町村事務ではないのであつて、これは飽くまで國家事務でなければなりません。「犯罪の捜査及び被疑者の逮捕」ということは、これは司法警察官自身がやるのでありまして、これは檢察廳の命令によつてやるのであるから、國家事務であることは疑いないと私は存じます。そういう点も併せてよく御研究を願いたいと思います。
それからその点はそれだけにしておきまして、もう一点伺いますが、この十号に「森林、牧野、土地、」云々「その他公共の福祉を増進するために適当と認められる收益事業を行うこと。」こうあります。この中に富籤発行も含められる、こういう御説明でありました。そこで私のお尋ねするのは、生命保險とかその他の保險事業を、地方公共團体が自治体の固有事務として行い得るかどうかの点であります。つまり十号の中に、そういう保險事業というような相互救済的事業も含められるかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。これは衆議院の修正意見の方に、二百六十三條の二というものをお設けになりまして、普通地方公共團体が自己の所有の財産又は営造物に対して、火災その他の災害による相互救済事業として、保險事業を行い得るが、併しそれは全國的公益法人に委託することによつて、又は他の普通地方公共團体と共同してやることによつてのみ行われるのだ、という規定の修正意見が出ております。それと関連して考えると、單独で縣なら縣、府なら府で固有事務としては行わせないというふうにも取れるのでありますが、その点を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/10
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011・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) この十号の收益事業と申しますのは、要するに営利事業と申しますか経済企業と申しますか、そういうことを意味しているのでありまして、市町村がそういう仕事をやられるが、併しそれには積極的な一つの制約があつて、「公共の福祉を増進するために適当と認められる」ものでなければならんというのが、十号の趣旨でございますが、今仰せになりました府縣その他の相互救済事業が、この中に入るかどうかというお尋ねでございますが、この衆議院の委員会の修正案といたしまして出ております。二百六十三條の二の相互救済事業と申しますのは、地方公共團体が自己の相互救済を行う目的の下に、例えば市町村有の建物、営造物等が、火災によつて消失した場合の、保險的な事業を行うことができるという意味と了解いたしておりまするが、そういうようなものは勿論この十号には含まれるのであります。その範囲を超えて一般の生命保險会社、或いは火災保險会社等がやつておりまする保險事業を、地方公共團体が行い得るかどうかという点は、十号の收益事業という言葉の中には勿論入りまするが、あとは「公共の福祉を増進するために適当と認められる」事業であるかどうかという、認定についての見解の問題になると思いますが、これはそれぞれの地方團体が、如何にみずから行おうとする事業を認定すると考えるかという、地方團体の自主的決定に一應委ねられることになると存じます。若しもその決定の結果行なつております市町村のそういう事業が、法に違反をしている、要するに「公共の福祉を増進するために適当と認められ」ないということでありますならば、それについての裁判上の問題ということになるわけでありますが、今一般的な保險企業を市町村が当然に行い得るかどうかという点につきましては、多少他の一般経済企業に及ぼすところの影響、その他の点を考慮いたさなければならん問題が伏在するように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/11
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012・岡本愛祐
○岡本愛祐君 富籤が十号に含まれておつて、保險事業は大いに考慮を要するというような御答弁でありますが、それは非常におかしいと私は思うのであります。富籤は金儲けのためには適当なものかどうか知りませんが、果してあれで一般の精神的の福祉を増進しているかどうか、私は非常に疑いがあるのであります。併し保險の方は今こういう時勢になつて参りまして、貨幣價値が一年も経てば大変狂つて來るという時代に、この一般の民営の営利事業に任してありますと、高い掛金を今日掛けて置いて、そうして十年後二十年後に十万円とか十五万円とかの保險金を貰う制度になつておりますと、その十年経ち二十年経つてしまつたときには、その十万円十五万円は只今の掛金にも当らないくらいのものになつてしまう。それでこれを一般の公共の福祉に、その掛金を使つてこそ初めてその保險というものは生きるのである。これを國家とか地方公共團体とかそういうものがこういう時勢にやつてこそ、本当の相互救済事業に私はなると思う。保險で掛金に入つて來たものを、その地方の社会事業に廻すということは、最も公共の福祉を増進する所以でありまして、そういうものがこういう十号に入らないというふうにお考えになることは、私は根本的に間違いであると思う。官廳発行ですら入るとなりますと、そういう保險事業は当然入るという解釈になさらなければならん、少くとも我々國会ではそういう解釈を取らざるを得ないということを申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/12
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013・吉川末次郎
○委員長(吉川末次郎君) 先程岡本君から御要求のあつた、第四頁の「司法に関する事務」に関連して自治体警察に関係のこと、これは鈴木法務総裁及び官房長官の御答弁を得たいと言つておられますし、又この保險事業の掛金がどうかという問題も、あなたとしては答えにくい立場も多少あろうと思います。これも一つあなたから誰か適当の人によくお話を願います。法務総裁がよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/13
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014・岡本愛祐
○岡本愛祐君 法務総裁に法律的の解釈を……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/14
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015・吉川末次郎
○委員長(吉川末次郎君) それでは質問はまだ引続いて続行いたしますが、國家公安委員会の齋藤長官が見えておりますから、地方自治法に関する審議はこれで打切ることにいたしまして、風俗営業取締法案を議題に供します。先ず当局の提案理由の説明を願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/15
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016・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 只今議題となりました風俗営業取締法案につきましい御説明を申上げます。
この法律は、いわゆる風俗営業即ち第一條に例示されております料理店、カフエー、キャバレー「まあじやん」屋等の風俗上の取締を必要といたしまする営業につきまして、風俗犯罪の発生を防止することを主たる目的としたもであります。このような営業につきましては、從來各廳府縣令によりまして警察取締法規が設けられておつたのでありますが、昭和二十二年十二月末日限り失効したのでありまして、現在はこれらの営業に関する一般的な取締法規はないのでございます。併しながらこのまま放置いたしますことは、風俗取締上支障がありまするので、これらの営業の取締法規といたしまして、この法律案を提出した次第であります。
法案の主なる点を申上げますと、
第一に、かかる営業は從來のように警察の取締を受けることにいたしまして、この営業の許可は都道府縣公安委員会又は市町村公安委員会が行うという建前を取つたのであります。從いまして又営業者或いは從業員が違反行爲を行いまして、善良の風俗を害する虞れがあるというような場合には、各公安委員会は、これらの営業を禁止、停止処分に付し得るのであります。
第二は、從來の廳府縣令の実質的内容をなしておりました、営業の場所、営業時間、営業所の構造設備等に対する各種の制限は、各地方の実情に應じた内容にするため、都道府縣の條例を以て規定することにしたのであります。
第三に、この種の営業取締法規としては、初めての試みでありますが、從前のように行政官廳の一方的裁量によりまして、営業の禁止、停止処分が行われますることは、ややもすれば営業權を脅やかすような結果に相成りますので、これを避けまするために、そのような場合には必ず公聽会を開きまして、営業者の言い分を十分に聞いた上で、公正な行政処分が行われるような方法を採つたのであります。
この法律は、営業者に大きな関係を有しますと共に、又一般社会の風俗に直接影響するところが大でありまするので、その運用には十分注意を拂わなければならんと考えておるのであります。
以上この法律案提出の理由を申述べた次第でございまするが、何卒よろしく御審議をお願い申上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/16
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017・吉川末次郎
○委員長(吉川末次郎君) 本日はこれで審議を打切ることにいたしまして、次回に審議を続行するようにいたしたいと思いますが、よろしうございますか。……それではさように取計らいまして、本日はこれで散会いたすことにいたします。
午前十時五十四分開会
出席者は左の通り。
委員長 吉川末次郎君
理事
中井 光次君
委員
羽生 三七君
岡田喜久治君
大隅 憲二君
黒川 武雄君
奧 主一郎君
岡本 愛祐君
小野 哲君
阿竹齋次郎君
政府委員
総理廳事務官
(総理廳官房自
治課長) 鈴木 俊一君
國家地方警察本
部長官 斎藤 昇君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X01819480527/17
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