1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年六月一日(火曜日)
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本日の会議に付した事件
○消防法案(衆議院提出)
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午前十時三十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X02119480601/0
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001・吉川末次郎
○委員長(吉川末次郎君) これより委員会を開会いたします。衆議院治安及び地方制度委員会の提出にかかる、衆議院より回付の消防法案を議題に供します。衆議院治安及び地方制度委員会の提案者の御説明を願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X02119480601/1
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002・川橋豊治郎
○衆議院議員(川橋豊治郎君) 只今委員長から御提案になりました消防法案の要旨並びに内容につきまして、概要御説明申上げます。
本法案の姉妹法律である消防組織法は、すでに施行されておるのでありまして、その一環をなすこの消防法が欠けておることは、消防の完璧を期する上から誠に遺憾の次第であります。殊に最近の火災の頻発の実情から考えましても、本法制定の一日も早からんことを切望されておる次第であります。本法案は、前回の國会の法案を骨子といたしたものでありまして、消防組織法が消防制度の組織を規定したのに対しまして、消防の運営方面を規定したものでありまして、その狙いとするところは、火災、その他災宿の予防を本旨とするのでありますと同時に、從來我が國では、消防が警察の支配下にあつたものを、全然切離して独立させ、その運営上仕事が両者に跨る場合には、互いに協力する建前を取つたのであります。本法案は、第一章においては火災の予防、警戒、鎭圧、災宿救済に関し規定して、安寧秩序を維持し、以て社会の福祉増進を目的としておるのであります。第二章火災の予防、第三章危險物、第四章消火の設備、第五章火災の警戒、第六章消火の活動、第七章火災の調査、第八章雜則、最後の第九章罰則、更に危險物に対しては、別表として添付いたしておるのであります。本法制定の上は、從來の欠陷を補い、消防の全機能を発揮し得ると同時に、消防員の活動上、一新時代を画するものと信ずるものであります。以上提案の要旨を申上げます。以下その内容につきまして、更に簡單に御説明申上げます。
消防法案の内容については、本法案は、本文九章四十六條及び附則二條を加え、四十八ケ條と別表からなつております。
第一章、総則におきましては「この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎭圧し、國民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害に因る被害を軽減し、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。」と本法の目的及び範囲を規定しておりますが、これは消防組織法と同一用語で統一一致せしめたのであります。尚お又、第一章第二條においては、本法に使用した用語の定義でありまして、即ち「消防対象物、」「関係者、」「関係のある場所」、「舟車」、「危險物」及び「消防隊」等の用語について定義し、特に危險物については別表として品名を列挙したのであります。
第二章、火災の予防は、第三條から第九條に亘つておりまして、消防長又は消防署長が火災予防上危險であると認めた場合には、物件及びその行爲に対し、必要な措置をとり、又は命令することができる旨を規定しておるのでありますが、又この命令を受けた者が不服の場合には、提訴することを規定したのであります。
第三章は危險物でありますが、この危險物の貯藏数量、貯藏場所、設備並びに取扱者の資格に関しては、第十條から第十六條に亘つて規定いたしました。
第四章、消火の設備等といたしましては、第十七條から第二十一條に亘つて、公衆用建築物の消火、設備並びに消火の用に供する、機械器具並びに設備の規格、水利施設の維持管理等に関して規定し、消火設備の遺漏なきことを期したのであります。
第五章、火災の警戒としては、第二十二條と第二十三條を設けまして、氣象台の通報に應じて、市町村長は警戒警報を発令し、必要の場合は期間を定め、たき火又は喫煙を制限することができる旨を規定したのであります。
第六章は消火の活動でありますが、第二十四條中には、火災発見者の通報義務、又第二十五條には火災発生の場合の人命救助の義務、又第二十六條と第二十七條には、消防自動車の出動と歸路の場合の規定並びに火災場現に出動する消防隊の公路外通過等を規定いたしまして、その目的を敏速に達成せしむると同時に交通の危險物から自他共に防止せんとするのであります。尚又第二十八條におきましては、特に火災現場の消防警戒区域の設定者を上席消防員と定めまして、警察吏員は、これに援助を與える義務があるということを規定して、その職務の分限と協力関係を明らかにしたのであります。第二十九條では、消火又は延燒防止、若しくは人命救助のために必要がある場合は、消防対象物のある土地の收用、使用並びに隣接対象物の收用、使用等を規定し、併せて、これらに対する損害補償規定をも設けて、消防が緊急等時宜の措置を取り得ることとしたのであります。第三十條は、火災現場に対する緊急給水を必要とする水道の制水弁、その他水路の水門、樋門の開閉ができる旨を規定しました。これら水利関係者と事前に協定して、消火の際の給水状態に遺憾なからしめんことを期したのであります。
第七章、火災の調査は第三十一條から第三十五條に亘つておりまして、この章を通じて消防と警察の協力関係を規定したりであります。第三十一條では、防火又は失火の疑があると認定せられた場合は、消防は所轄警察署に通報すると共に、証拠を蒐集し、これを保全し、若し國家消防廳から、放失火犯捜査の協力の勧周があつた場合は、これに從わなければならない旨を規定したのであります、第三十二條及び第三十三條並びに第三十四條を通じて、消防職員による火災の損害調査規定でありまして、又第三十五條は、放失火の疑ある場合の調査の主ため責任者を消防長又は消防署長と定めまして、犯罪の檢挙等は警察官又は警察吏員の責任といたしまして、この目的を達成するためには、互いに協力しなければならない旨の協力規定を設けたのであります。
第八章は雜則でありまして、火災に関する規定を水災その他の災害に準用する旨の規定とし特別区の存する区域に対する法律中の市町村、市町村長又は市町村條例を、それぞれ都、都知事又は都條例と読み替える規定であります。
第九章は、第三十八條から第四十六條まで、それぞれ本特別法違反者に対する罰則となつております。最後に罰則二十六條と別表を別えたのであります。
以上簡單でありますが、本法の全文に亘りまして、その要旨を御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X02119480601/2
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003・吉川末次郎
○委員長(吉川末次郎君) それでは引続きまして、本法案に関する消防長官の立場から言われることがありましたら、この際、して置いて頂きたいと思います。それでは今日はちよつといろいろの手違いで、出席者も非常に少いようでありますので、只今の提案理由の説明書及びその他の資料等につきまして、提案者側の方からお出しを願うものがありましたら、この次までに御提出を願うことにいたしまして、質問等は次回から開始することにいたしたいと思つております。よろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X02119480601/3
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004・吉川末次郎
○委員長(吉川末次郎君) そうですか、それでは消防長官から何か意見の開陳がありましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X02119480601/4
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005・新井茂司
○政府委員(新井茂司君) 消防関係におきまして、先に消防組織法が制定施行されましたが、この実体を成す消防法の制定実施がまだできておりませんことは、我々消防関係者として現在極めて不便且つ不徹底を感じておつたところであります。私共は消防法の一日も旨く制定せられ、且つこれの実施を待望しておるところであります。これは尚又地方における消防関係者の一様に望んでおるところであろうと私は考えるのであります。今回本國会におきまして、消防法案の御審議をさなれるに当りましては、我々としてはこの法案の速かに成立することを希望して止みません。尚内容につきましては、衆議院の方面から私共は予め種々なる御相談を受けまして、私共の意のあるところも中に入れて貰つておるのであります。又中には多少問題となるべき点もないとは考えないのでありまするが、これらのことは私共といたしましては、先ず消防法の成立を速かに見ることが第一要件でありまして、内容の改善ということは、逐次実施の成績によつて行なおうという方法も一つの方法であるというふうに考えておる次第でありまして、要するにこの消防法の実施を速かに見るようにして頂いて、そうして消防の発展強化を図りたいと、かように考えておりますので、一言申上げて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X02119480601/5
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006・吉川末次郎
○委員長(吉川末次郎君) 尚先般我々の委員会で飜訳いたしまして、御配布申上げましたアメリカの消防行政に関する活版刷りの册子、尚以前消防組織法を審議しまする場合に、「英米の消防制度」と題する内務省警保局消防課で作りました資料、それから消防團令及び進駐軍よりの日本の消防組織に関する文書等の資料を受取つておりますが、尚それ以外の資料等につきまして提出を求められるものがありましたら、お申出でを願いたいと存じます。別にございませんか……。あなた方の方にこれ以外に貰うような資料はありませんか、若し参考になるようなものがありましたら、衆議院側の方からも、消防廳側の方からも、一つこの次までにお出しを願いたいと思います。本日はこれで散会いたします。
午前十時五十二分散会
出席者は左の通り。
委員長 吉川末次郎君
理事
中井 光次君
鈴木 直人君
委員
羽生 三七君
大隅 憲二君
黒川 武雄君
奧 主一郎君
岡本 愛祐君
小野 哲君
阿竹齋次郎君
衆議院議員
川橋豊治郎君
政府委員
國家消防廳長官 新井 茂司君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214398X02119480601/6
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