1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年六月一日(火曜日)
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本日の会議に付した事件
○農藥取締法案(内閣送付)
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午前十三時三十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/0
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001・楠見義男
○委員長(楠見義男君) それでは只今より委員会を開会いたします。
本日は、農藥取締法案につきまして予備審査を始めるわけでありますが、先ず最初に平野政務次官から本案の提案理由を伺うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/1
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002・平野善治郎
○政府委員(平野善治郎君) 農藥取締法案の提案の理由を御説明申上げます。
農藥は肥料及び農機具と共に、農業生活上重要な生産資材であります。農藥の特質とするところは、農作物を害する非害虫を防除し得られるものであること、即ち殺菌殺虫の効果があるものであることと、農作物に藥害がないものであることの二つの條件を具備することが必要であるのでありますが、市販の農藥の中には、これら二つの條件を具備せないものが多数出廻つているばかりでなく、その内容に比し、誇大な表示をして販賣されているものも少くないのであります。これら不正粗悪な農藥によつて、農家の被る損害が少くないばかりでなく、これがため病害虫防除の意欲を減退せしめ、農業生産に悪影響を與えていることが甚だ多いのであります。殊に終戰以來工場の轉換、手持資材の利用等の点から、新たにいろいろな農藥を製造販賣するものが増加し、又以前から製造販賣されていた農藥も、資材事情等から品質が低下しているものも少くないのでありまして、農藥の供給不足と相俟つて、不正粗悪な農藥の出廻りが特に著しいので、今回新たに農藥取締法を制定いたしまして、これら不正粗悪な農藥を取締ると共に、農藥の品質の保持向上を図ることといたしたのであります。農藥取締法の制定は、農家及び農業指導者の多年の要望でありまして、これによつて農家の利益が擁護されると共に、農作物病害虫防除の普及が促進され、農業生産に裨益するところが少くないものと信じている次第であります。
法案の要点を申上げますと、取締の対象となる農藥でありまするが、農作物又は農林産物を害する病害虫の防除に用いられる藥剤でありまして、中には同じ藥剤で、家庭用又は家畜用、或いは工業用等、他の用途に用いられるものがありますが、これら他用途に用いられるものは、当然本法の取締の対象にはならないのでありまして、從つて農物作病害虫防除用として、製造販賣せられる藥剤のみが本法の取締の対象となるのであります。
農藥の登録制度につきましては、企業の自由性を尊重すると共に、取締の必要から農藥そのものの登録制を採用したのであります。即ち農藥は登録を受けたものでなければ販賣できないものとし、登録は申請があれば、原則として登録するのでありますが、登録申請書の記載事項に虚僞のあるもの、又は藥害のあるものについては、登録を拒否できる途を開いているのであります。
農藥の表示制度につきましては、農藥を販賣するには、その品質等を保証する表示をせなければならんこととし、随時檢査を行いまして、若し品質と、その表示が合致せぬ不正な農藥については、販賣の禁止又は停止等の処分を行い、これを嚴重に取締ることといたしておるのであります。この表示の責任者は、製造業者又は輸入業者とし、販賣業者はこの表示のある農藥でなければ、販賣できないことといたしたのであります。
防除業者に対する監督の点でありまするが、現在はございませんが、將來病害虫の防除を営業とする者が出現することが予想されるのでありまして、これらの防除業は、農業生産上極めて影響の多いものでありますので、防除業者は届出制とし、防除業者の行う防除の方法又は使用する藥剤が有害なものであると認められるときは、その防除方法の変更を命じ、又はその農藥の使用を禁止して、農業生産を保護することといたしたのであります。
又農藥審議会の設置の件でありまするが、以上の各処分に不服がある者は、異議の申立ができる途を開き、又公正を期するため、これら処分及び異議の申立に対する当、不当の決定を行う場合には、各方面における学識経驗者を以て組織する農藥審議会の議決を経なければならないものといたしたのであります。
以上簡單でありまするが、提案の理由を御説明申上げた次第であります。何とぞ愼重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/2
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003・楠見義男
○委員長(楠見義男君) それでは法案の審議に入るに先立ちまして、この法案の制定に関連し、又実施に関連して考慮せられまするいろいろの事務的の事項、その他の状況等について、皆さんの御了解を予め得まして、政府委員ではありませんが、説明員として農林省の資材課長、或いは技官の方から説明を伺うことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/3
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004・村田豐三
○説明員(村田豐三君) 農藥の一般事情につきまして概略の御説明をさして頂きたいと思います。お手許にお配りしてございます印刷ずりになつております農藥取締法参考資料という印刷物がございます。これを御覽頂きたいと存じます。その資料の第一表でございますが、一ページになります。農藥需給状況及び二十三年度生産計画という資料がございます。先ず農藥の最近の需給状況の概要でございますが、御承知の通り、戰爭の苛烈化に伴いまして、農藥の生産も非常に窮屈になつて参りました。数字的に御参考までに申上げて見ますと、昭和十八年には一般の需要に対します供給の割合は七五%と落ちて参りました。十九年には更に五五%に減じて参りました。更に終戰の年の二十年におきましては二五%という非常なる激減を見て参つたのであります。それが終戰の翌年の二十一年からやや向上を見て参りまして、二十一年におきましては六〇%という数字を示すの至りました。これは特に二十一年の年度当初におきまして、農業用藥材の緊急増産を実施いたしたのでございます。この緊急増産の効果が、二十一年度におきましては六〇%という比率で現われて参かつたかと存ずるのであります。更に二十二年度におきましては、大体まだ正確な集計はできておりませんけれども、需要量のほぼ七〇%を充足したものであると考えております。これは農藥の全体の需給の数字的な御報告でございますが、更にこれを農藥の種類別に見て参りますと、種類別にはやや不均衡があるのでございます。御承知の通り農藥には殺虫剤と殺菌剤と、その他の補助剤がございます。全般的に申上げれば、殺虫剤の方は非常にまで窮屈でございます。殺菌剤の方はほぼ需要を今日においては満たし得る段階にまで到達いたしております。この第一ページの表の砒素剤から鉱油乳剤までがいわゆる殺虫剤でございます。平年需要量の上の欄と、二十三年度の生産計画とを対象して御覽頂きますならば、殺虫剤の方が相当窮屈であるということがお分りになるかと存じます。それから、この表の一ページの終の銅剤というのがございます。銅剤、水銀剤、硫黄剤、これがいわゆる殺菌剤でございます。殺菌剤は、この平年需要量に対しまする二十三年度の生産計画を御覽頂きますならば、大体において需要を満たし得るということが御了解頂けるかと存じます。それから補助剤は、いわゆる展着剤でございますが、次の欄に挙げておる通りでございます。その次に御説明申上げて置きたいと思いますのは、其の他という欄に、ホルマリンとクロールピクリンがございます。この二つは何れも特別にできたものが全部農藥に使用されるものではございません。そのために、この表はわざわざ其の他の欄に入れてあるのでございますが、ホルマリンは殺菌剤でございます。それからクロールピクリンは御承知の通り殺虫剤でございます。大体この数字を総括的に申上げますれば、平年需要量一万九千トン、約二万トンという数字が出て参つております。それに対しまして本年度の生産計画は殺虫剤、殺菌剤、補助剤、その他併せまして一万五千トン余に相成つておるのであります。大体これが農藥の需給事情の概況でございますが、更にこの資料につきまして概略を申上げますと、最近におきまする農藥の輸出入の状況でございます。御承知の通り一九四五年以後になりますと、特に終戰の翌年からは多少の輸入を見ておりますけれども、輸出は殆んど皆無でございます。
次に第三に、農藥の配給状況という表がございます。御承知の通り農業藥剤につきましては、昨年の九月に農業資材配給規則という省令を制定いたしまして、これは臨時物資需給調整法に基きました政令でございます、これによりましていわゆるクーポン制度による配給を実施いたして参つております。この説明にもございますように、配給規則によつて実施いたしておりますものは、砒酸鉛以下クロールピクリンまで十一品目でございます。從つてクーポン制度を実施いたしておりますものは、例えば最初の表にございますような水銀剤だとか、或いは硫黄剤とか、そういつた比較的供給の潤沢なものにつきましては、切符制度は実施いたして参つておらないのであります。尚次の四ページにもございますように、指定配給物資としてクーポン制度を実施いたしておりますものは、以上申しました十一品目でございますが、更に指定生産資材として、同じく切符制度を実施いたしておりますものが、農業用石鹸とホルマリンでございます。これが大体の現在配給いたしております品目でございますが、それによります都道府縣別の配給割当状況につきましては、次の表を御覽願いたいと存じます。
それから第六ページに参りまして、農藥製造工場及び販賣業者数という表がございます。これは現在こちらで指定しております製造工場の数、大体八十四工場になつておりますが、それとその他一般の工場八四十一を加えまして、現在農藥製造工場が二百二十五に及んであります。その下の欄の卸賣業者の数及び小賣業者の数は、先程申上げました農業資材配給規則によりまして、販賣業者の登録制度を採用いたして参つておりますので、その登録を受けました業者の数に相成つております。卸賣業者、農業会が七十六、商業者が六百、計六百七十六の登録卸賣業者の数に相成つております。小賣業者につきましては、農業会系統が九千九百八十五、商業者が六千九百四十二、併せて一万六千九百二十七という数字に相成つております。
その次の表の農藥の價格表でございますが、これは説明を省略させて頂きまして、御覽置き願いたいと存じます。更にその次の頁にあります不良農藥に関する調査でございます。これは市販農藥につきまして、農林省の農藥檢査所で分析いたしました結果を羅列いたしておりまして、如何に不良の農藥が多いかということの御参考になるかと存じまして、ここに掲載いたした次第でございます。御覽置き願いたいと存じます。大体本資料に基きまして、御説明申上げることは、その程度かと存じます。
それからもう一つの資料に農藥取締法に関する参考資料というガリ版で印刷したものがございます。これにつきまして簡單な御説明申上げたいと存じます。
先ず第一は取締機構の概要でございますが、現在農藥の所管は農林省農政局の資材課で担当いたしております。資材課の構成及びその扱つております事務の内容がその欄に掲げてございます。今後もこういう機構でやつて参る所存でございます。それからこの法案にも出て参りますけれども、農藥檢査所の機構でございます。すでに農藥檢査所は昨年來発足を見て参つておりますけれども、その檢査所の構成並びに檢査所で取扱いまする事項の内容をここに掲げた次第であります。現在農藥檢査所は全國に一ケ所でございして、東京の西ケ原に設置いたしております。職員の数は所長以下二級技官が二名、二級事務官一名、三級技官四名、臨時職員一名、雇人十名、傭人三名計二十一名で現在仕事をいたして参つております。本年度の予算におきましては、これを更に拡充いたしまして、お手許にございます表にございます通りでありまして、予算も昨年二十二年度の経費は百万円足らずのものでございましたが、本年度の要求額は約三百六十五万円に達しております。
それから同じくこの法案にございますけれども、今後この法案の運用につきましては、農藥審議会という議決機関を設けまして、この議決を経て各種の決定をいたして参ることになるのでありますが、この審議会の構成につきましては、法案の第十六條に規定いたしております。審議会は十五人から二十人までの委員をもつて組織するという構想に相成つております。委員は学識経驗のある方の中から、農林大臣がこれを命じて行くということになつております。審議会の仕事の主な内容は、先ず農藥の登録の決定でございます。これは法案の第二條に規定いたしております登録に関する審議をここでいたしております。同じくその登録を一定の場合には拒否する権限が、與えられておりますが、これは第二條の第三項でございます。それの議決をいたします。更に第四條に、異議の申立てに対まる決定を審議会が議決することに相成つております。それから第十二條に、防除業者に対する監督の規定として、第十二條の第一項、同じく第三項に審議会の権限を規定いたしておる規定がございます。更に第十四條に、不良農藥の販賣を禁止したり、停止したり、或いは登録の取消をいたしたりします場合の決定を、同じくこの審議会の議決に俟つことにいたしております。大体審議会の権限といたしましては、以上申上げた程度でございます。
尚本法の運用上、中央に一ケ所の檢査所、或いは農林省の資材課だけの組織では不十分であろうかと存じます。これにつきましては、結局末端の都道府縣の援助に俟つ以外にはないのでありまして、目下のところ大体兼任の嘱託檢査官吏として各都道府縣に一名ずつ、但し北海道は特に範囲が廣うございますので、二名ということにいたしまして、これらの嘱託員に取締の事務をして頂くという構想にいたして参つております。大体取締機構の概要につきましては、以上御説明申上げた通りであります。
農藥取締に関しまする経費の予算でございますが、次の表に掲げてありますように、農藥檢査所の経費、これが先程申上げました約三百六十五万円に相成ります。それと農薬審議会に関しまする各種の経費、これが約十五万円、合せて約三百八十万円の予算を計上いたしておるのでございます。
次に本法案に基きまして、省令及び政令に、命令事項として予想いたしております事項の内容を申上げたいと存じます。先ず法案の第二條の第四項に、農林大臣が申請を受けます農藥につきまして、その見本を檢査させるということになつておりますが、その檢査の手数料であります。この手数料につきましては、大体省令で、手数料の額は一品目につきまして一千円、納付の方法につきましては、登録申請の時に收入印紙を以て納入せしめるということを省令で規定いたしたいと存じております。
次に農藥審議会に関する事項でございますが、これは第十六條であります。十六條の四項に「この法律に規定するものの外、農藥審議会に対し必要な事項は、省令でこれを定める。」という規定がございます。大体省令といたしまして、予想いたしております事項は、審議会の開催の時期だとか、これは大体必要の都度開く必要があろうかと存じておりますが、それから機構に関する規定、それから定員数、例えば委員総数の二分の一以上が定数でなくてはならないという規定、並びに、議決の定足数でございますが、例えば出席者の三分の二以上の同意が必要であるといつたような事項、並びに審議会は、必要があれば関係者の出頭、或いは資料の提出を要求とありますが、むしろ要請であろうと存じますが、提出を要請することができるといつた一定の事項、並びに委員の任期でございます。任期は大体四年程度が相当ではなかろうかと存じております。それから以上はそれぞれ省令でございますが、政令事項といたしましては、法案の第十五條第三項に「農業檢査所の職員について必要な事項は、政令でこれを定める。」ということになつておりまして、檢査所の定員に関する事項を政令で規定いたして参りたいと存じております。大体以上が取締機構及び経費の概要でございます。
次の農藥の檢査、或いはこれを試驗します方法についてでございます。農業の檢査の方法にはいろいろなやり方があろうかと思いますが、ここに一例を揚げました通り、その方法には、先ず化学分折法がありまして、その分折法には、一成分についても、蒸溜法だとか、或いは滴定法だとか、沈澱法だとか、種々の方法がありますが、これらにつきましての概要をここに例を示して御説明申上げております。化学分析の方法と、更に第二には、生物檢定の方法でありますが、これには室内檢定、即ち常に数種の病菌及び害虫を培養、或いは飼育しておきまして、農藥の殺菌力或いは殺虫力を檢定する方法でございます。それと圃場檢定でございます。それは現に都内に檢定圃場を持つておりまして、常に数種の農作物を栽培いたして置きまして、供試農藥につきましての殺菌力、殺虫力を檢定いたして参る方法でございます。甚だ簡單でございますけれども、概括的な説明を終りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/4
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005・楠見義男
○委員長(楠見義男君) それでは先程申上げましたように、本案についての質疑は明後日から始めたいと思いますが、それまでに、只今説明員から説明されました事項について、何か御質問等がございますれば、この際やつて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/5
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006・寺尾博
○寺尾博君 今説明を伺いましたことに関係したことでお伺いいたしたいと思いますが、檢査所は、この法律における非常に大事な要素になつておると思いますが、経費の上から見まして、これに現われたところを見ましても、又先程の説明にしましても、檢査の実驗的の施設に関するものが、どの程度になつておるかということが現われておらんように思うのであります。そうしてそれらの実驗的施設は、今日の場合新たに設けることは相当困難があるので、恐らく西ケ原農事試驗場の施設を流用することになつておるだらうと思います。一方この農藥に関しては、農藥の効果及び藥害等に関する化学的及び生物学的の実驗の外に、又從來農事試驗場で、農藥に関する化学的研究をやつておるような農藥の改良進歩、或いは新らしい農藥の発見という方の事業も農事試驗場の事業として必要である。これらの法律が出るとなれば、そちらの方の研究の方もできるだけ強化しなければならん。この農藥が今後農業生産上の非常に重要な手段になることは申すまでもないということに考えまして、そこでこの檢査所の方の施設が、恐らく農事試驗場の設備を流用したりすることになるだらうが、この流用も今日の場合当然のことであるけれども、研究の取締に関係した檢査所の方を相当強化して行くようなことが希望されるのでありまして、そういう見地からの御説明をもう少し補足して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/6
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007・井上菅次
○説明員(井上菅次君) 今の御意見でありまするが、時節柄なかなか設備を十分にすることは困難な事情にあるのでありますが、一應新らしい施設といたしまして、昨二十二年度の予算でこれが檢査所の設置の経費を要求し、成立したのであります。昨年度におきましては、これの單具機械購入費といたしまして約四十一万円計上いたしまして、昨年五月に西ケ原農事試驗場の中の元の飼育室を改造いたしまして発足いたしたのであります。その後法案の方が遅れまして、できなかつた関係上、それの準備といたしまして、これが整備に極力力を盡して参つたのであります。本二十三年度におきましては、尚これの設備として、その後の物價の値上り等からいたしまして、既定の予算では不十分だと認めまして、更にこれが拡充費といたしまして、臨時的な器具機械購入費として百十二万円要求しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/7
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008・寺尾博
○寺尾博君 今の御説明では、器具機械の費用の金額をお話しされただけで、一向私の伺おうとするところは余りに触れておるところが少いと思います。実驗だの、分析だのいろいろあると思うのですが、それがどんなふうに行われるのか、今の御説明では一向分らないので、もう少し説明を詳しく願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/8
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009・井上菅次
○説明員(井上菅次君) 今のは器具機械を主として御説明申上げました。それは主といたしまして化学分析に関しまする低温器とか、乾燥器とか、こういう化学分析用の設備でありまして、それ以外に生物檢定用といたしまして、先程課長からも説明いたしましたように、現在東京都内に土地を借りまして、実驗圃場といたしまして、これの経費及びこれに要しまする種苗或いは肥料費、こういうものを計上いたしまして、それの準備をしておるわけであります。それから研究につきましては、御承知と思いまするが、西ケ原試驗場内で農藥部というものが、これは前からありますが、農藥部という部に、昨年だつたと思いますが、昇格いたしまして、これを拡充して研究をやつておる、こういうことになつておるのであります。それから実驗用の、生物檢定用の昆虫飼育室でありますが、昨年度の予算に通りまして、これの設備も今進めておる次第であります。大体その程度で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/9
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010・寺尾博
○寺尾博君 この檢査所と農事試驗場の農藥部乃至は病理部、昆虫部というものは、多少兼任とかいうようなことで、人の点についてはそういう連絡、或いは実驗施設等については、農事試驗場のそういう病理部、昆虫部、農藥部に関したものも共通に使うというようなことがあるのですか、ないのですか。そういう点を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/10
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011・井上菅次
○説明員(井上菅次君) この農藥檢査所と試驗場との関係でありますが、これは御意見のように密接な関係で行かなければならん事柄でありまして、試驗場の病理部、害虫部、それから農藥部の主任の方及び庶務の方合計四名、農藥檢査所の嘱託ということに昨年発令しております次第であります。それで実行上いろいろ連絡を密にしてやつて行く。それから現在まだ法案が成立しておりませんので実際の発足をいたしておりません。ただこの発足によりまして、直ちに活動できるような準備を進めておる次第でありまして、いろいろ器具、機械の点におきましても、実際やつて見ました場合に不足するというものもできて來るかと思います。で將來におきまして、実際の実行上におきましては、それらの御協力を仰がなければならんというふうに考えて、現在のところはまだ準備態勢で進んでおる、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/11
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012・寺尾博
○寺尾博君 この農藥檢査所というお役所は、先程のお話ですと、すでにできておるように感じたのですが、これはできておるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/12
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013・村田豐三
○説明員(村田豐三君) できております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/13
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014・寺尾博
○寺尾博君 一應私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/14
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015・村田豐三
○説明員(村田豐三君) この法案で多少新らしい字句を使つておる事項がございますので、それをこの機会にちよつと御説明をさせて頂きたいと存じます。法案の第一條でございます。一條の第二項に、「前項の防除のために利用される天敵は、この法律の適用については、これを農藥とみなす。」という言葉がございます。「天敵」とは何かという御疑念があろうかと存じます。これはいわゆるナチュラル・エネミーをそのまま文字通り飜訳した言葉でございます。從つて意味は人類に直接又は間接に有害な生物を捕食したり、又は寄生などによつて倒す生物というのでありまして、即ちもつと端的に申上げれば人類の味方となる生物を総称するものであろうかと存じます。從つて天敵には細菌や黴の微生物から始まつて、線虫だとか、爬虫類、更に鳥や獸の高等動物に至るまで、その数は非常に多いのであります。俗に言います益虫、益鳥類が大体これに属すると思われるのでありますが、併しながらここで言つております天敵と言いますのは、そういつた益虫、益鳥までの範囲を拡げた解釈にはいたして参つておりません。こういつた人類に直接又は間接に有害な正物を捕食又は寄生などによつて倒す正物のうちでも、人間が管理をいたしまして、管理支配し得る対象物を称えて参りたいと存じます。管理支配するとは、例えば培養してこれを配布する、何か容器に入れて配ることのできるもの、こういつたものを天敵の範疇に解釈いたして参りたいと存じます。例を申上げますと、野鼠チブス菌でありますが、この野鼠チブス菌を混ぜました團子を鼠に與えて、それを鼠が食つて死ぬるというものがありまして、現在では各農事試驗場でこの菌を培養いたして、すでに配布をいたして参つております。それから「ベタリアひよう虫」でありますが、果物の木や庭木に寄生いたしまして害を加えます「イセリア」という貝殻虫を捕食する虫でありますが、この「ベタリアひよう虫」も、現在では靜岡縣の農事試驗場で飼育いたしまして配布をいたして参つております。それから第三には「りんご」の錦虫の寄生蜂でありますが、この「りんご」の大害虫でありまする錦虫に寄生いたしまして、それを倒す蜂であります。アメリカからこれを輸入いたしまして、青森縣の試驗場で飼育繁殖をいたしまして、「りんご」の栽培地へ配布いたしたのであります。尤も現在ではこれを廣く繁殖分布いたしましたので、飼育配布ということはすでに中止いたして参つておりますけれども、強いてこの天敵の例を上げろと言われますならば、只今申上げました野鼠チブス菌、或いは「ベタリアひよう虫」、「リンゴ」の綿虫寄生蜂、こういつたものであろうかと存じます。御参考までにちよつと御説明申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/15
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016・楠見義男
○委員長(楠見義男君) それでは本日はこの程度にいたしまして、明後日十時から委員会を続行いたしたいと思います。本日はこれで散会いたします。
午前十一時十八分散会
出席者は左の通り。
委員長 楠見 義男君
委員
木下 源吾君
門田 定藏君
北村 一男君
柴田 政次君
西山 龜七君
平沼彌太郎君
木檜三四郎君
佐々木鹿藏君
石川 準吉君
岡村文四郎君
河井 彌八君
寺尾 博君
徳川 宗敬君
藤野 繁雄君
山崎 恒君
池田 恒雄君
廣瀬與兵衞君
政府委員
農林政務次官 平野善治郎君
説明員
農林事務官
(農政局資材課
長) 村田 豐三君
農 林 技 官
(農政局資材課
勤務) 井上 菅次君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214988X00419480601/16
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