1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年四月十四日(水曜日)
午後四時二分開議
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議事日程 第三十号
昭和二十三年四月十四日
午後二時開議
第一 自由討議(前会の続)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/0
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001・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/1
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002・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際お諮りいたします。平野成子君より二十五日間、岡元義人君より十日間病氣のため、それぞれ請暇の申出がございました。いずれも許可をいたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/2
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003・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
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004・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) この際日程に追加して、海上保安廳法案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/4
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005・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長下條康麿君。
〔下條康麿君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/5
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006・下條康麿
○下條康麿君 只今議題となりました海上保安廳法案の審議につきまして、委員会の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この法案の審議は決算委員会に付託せられたのでありますが、議案の性質上、治安及び地方制度委員会並びに運輸及び交通委員会との連合委員会を開いて愼重審査をしたのであります。
この法律案は戰後の新情勢に鑑みまて、港、湾、海峡その他日本國の沿岸水域におきまして、船舶の安全に関する法令の励行、海難救助、海上における犯罪の予防及び鎮圧並びに水路、航路標識に関する事務等のために、運輸大臣の管理するところの外局として海上保安廳を設けんとするものであります。現今、我が國の実状におきまして、実は海上の保安、航路の安全等につきましては、誠に遺憾の点が多いのでありまして、殊に海軍のない今日におきまして、特にこの感が深いのでありまして、海上保安廳を設けまして、この方面の統一と強化に当らんとするわけであります。海上保安廳には長官官房の外に、保安局、水路局及び燈台局の三局を設けることに相成つておりす。
この法律案の特質としてはいろいろ制限がつけてあるということであります。即ち海上保安廳の職員の総数は万人を超えてはならない、船舶は港内艇を除きまして百二十五隻を超えてはならない、又全総トン数も五万マンを超えてはならない、又船舶一隻ごとに千五百トンを超えてはならない、速力十五ノット以上を出してはならない、こういうことが書いてあるのが、極めて特色のある法律案と見られるゆえんであります。
この法案の審議につきましてはいろいろ議論がありましたが、先ず海上保安廳と國家地方警察及び自治体警察との権限の限界の問題について、相当議論がありました。質問が行われだのであります。結局政府の説明によりますと、陸上の警察制度は現在國家地方警察と自治体警察とに分れておりまするが、海上の警察制度は海上保安廳による國家警察一本で行く考えであるということであります。併しながら勿論この場合におきましても、陸上警察の延長として、海上にもその権限を行使することができるという了解がついておる。又陸上と海上との間には警察の運用上共助関係が定められておるという答弁であつたのであります。第二の問題は第二十一條に関することでありまするが、國家機関としての港長、ハーバ一・スターを任命するの理由につきまして、いろいろ論議が行われたのでありまするが、港湾を取締るところの港長を國家機関とすることは、海上の警察制度を國家警察とすることと合せまして、一元的に取扱わんとする考えであるという答弁であつたのであります。次に第二十五條に、海上保安廳又はその職員の軍隊化をするものではないというような規定がありますることにつきましては、これは新憲法の下にすでに戰争放棄を語つておりまする関係上、必要でない規定であるという考もありまするが、これは誤解を避けるために念のために規定したものであるとの答えでありました。
かくて質疑を終りまして討論に入りましたところ、先ず法案第二十一條第二項に「港則法」とあることを「港則に関する法令」と修正する意見が出たのであります。これはこの法案にあります港則法というものはまだできておりません。で現在ない、存在しない法律の名前が謳つてありまするので、これは不適当であるから、この点は「港則に関する法令」と改めることにいたしたのでありまするが、この意見に対しては異議なく、可決せられたのであります。
次に法案第二十一條全部を削除するの意見が出たのであります。これは港別に関する法令に規定する事務は、むしろ自治体の機関に行わしめた方が適当であるということ等の関係におきまして、提案されたのでありまするが、これは少数で否決せられたのであります。
又法案第二十五峰の削除の意見が出ましたが、これは先程申しました戰爭放棄に伴つて、かような規定は要らないというような見解であつたのでありまするが、これも少数で否決になつたのであります。
かような次第で、決算委員会におきましては、法案第二十一條第二項の「港則法」を「港則に関する法令」と修正しただけで、その他は原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。この段御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/6
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007・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 討論の通告がございます。兼岩傳一君。
〔兼岩傳一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/7
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008・兼岩傳一
○兼岩傳一君 東京都知事、愛知縣知事、大阪市長、名古屋市長、静岡縣知事、宮城縣知事、秋田縣知事、鳥取縣知事、廣島縣知事、石川縣知事、高知縣知事、富山縣知事、新潟縣知事、岡山縣知事、福岡縣知事で構成されております全國地方港湾管理者協議会の請願に基き、又全國五十大開港場の第一線で働いております幾万の職員技術者の團体及び幾十万の港湾利用者の要望に應え、無所属懇談会を代表して本案に反対の意見を申述べたいのであります。反対と申しますが、私は我が國の海上の安全を確保するための海上保安廳法案四十三ヶ條のうち四十コケ條まで賛成するものであります。たつた一ヶ條、本法案の二十一條に対してだけ反對するものであります。何故二十一條に対してだけ反対し、且つその削除を主張するか、以下簡單にその二つの根拠を申し述べて見ましよう。
第一の根拠は、この二十一條が画一的な國家機関の強化ということになつております。これに対する反対であります。御承知のように地方公共團体は道路を拵えたり、河川を修築したり、堤防を作つたりいたします。そうしてそれを維持管理いたしております。尚その上にその取締をやつております。つまり地方公共團体がみずからの手で築造し、維持管理し、且つ取締をしておるというその関係で道路や河川の取扱が非常に円滑に行つておるのであります。ところがこの法案の二十一條によりますと、港湾だけは特別扱いになつております。即ちこの二十一條によりますと、港湾だけは成る程地方公共團体が作つたり、維持管理はするけれども、その取締だけは切り離して、これを港長という國家警察機関でやつて行こうということになつております。御承知のように現在日本には五十六の開港場がございまして、そのうち京浜、閏月、大阪、神戸、長崎、函館というこの六つの港を除きます残りの五十の港は、現在現に地方公共團体が経営し、維持管理し、且つ取締つておるのであります。現在取締つておるのであります。ところがこの法律が通過いたしますと、それを機会にして、その五十の港が取上げられ、五十六の港全部が國家機関の手に取締が移るのであります。勿論維持管理は地方公共團体に残るのであります。ただ取締だけが、この法律が出るのを契機として國家機関の手に移るのであります。これは賢明なる同僚議員各位の御了解のごとく、凡そ官廳機構の民主化、或いは地方公共團体を強化育成するというような、ポツダム宣言で規定されておりまず日本の最近の二ケ年の基本的な傾向に、全く逆行する所の規定であると考えざるを得ないのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)而も政府の意向によりますと、そればかりではありません。特に政府の意向を質して見ますと、政府の指定する開港場では、船舶の出入りから、船の碇泊場所の指定から、碇泊場所の変更に至るまで、そりような港湾の管理運営に密接不可分なものまでも、この二十一條によつてこれを取上げて、國家機関の手に移そうとすをのでありまして、私共は先日の知事会議の席上で、政府の出先機関を整理するということを約束された芦田内閣が、このような出先機関の強化、出先の國家機関の強化の法案を出されたということは、全く私の理解に苦しむところであります。(拍手)即ち本條の削除を主張する第一の私の理由はここにあるのであります。
第二の理由は、この二十一條は非常に不完全である。かくのごとき不完全なものを、ここにおいて可決するということはどうであろうかという点であります。一体國家機関である港長というものは何をするのか、二十一條の二項を見ますと、港長は港則法に規定する事務を取扱う、こう規定しております。港則法とは何か、これを政府に質して見ますと、目下政府で研究中に属するものであると言つております。即ち我々は未だ港則法を審議いたしておりません。政府も亦目下研究中であります。從つて國民大衆の関知しないところであります。我々國民の代表者は、その任務が未だ明確にされていない、そういう港長ということに賛成するということはできない。私がこの点を決算委員会で指摘しましたところ、委員会においては、港則法という文句を、只今の下條委員長の報告のありましたように、港則に関する法令と修正して、そうして多数を以て可決されました。併し諸君、私の主張は字句の問題ではないのであります。我々国民の代表が、国民に対して明確な責任をとる意味において、任務のはつきりしていない港長というものを設置するということに賛成し得ないということは、これは字句の問題ではないのであります。(拍手)政府は遠からず、恐らく來月にでも、或いは今月の末にでも、港則法を國会に提示するために用意しておると言つております。我々はその法案が上程された時に港長の任務を十分に審議すればいいのであつて、從つてその日まで二十一條を留保するということは、あながち國民に落して怠慢の誇りを受けるものではないと思います。否むしろ留保することの方が國会議員としての正しい態度であろうと私は考えております、多数の力を以て私の修正意見を認められないということは、諸君多数の権利であります。併し権利には同時に義務が添うもの、即ち多数を以で可決せられたことに対しては、責任をとらなければならないということは当然と思います。以上賢明なる同僚議員各位の愼重なる考慮をお願いする次第であり、特に今月の末なり、來月匆々、港則法という、この港長に関する具体的瀞内容が出て來るものに対する審議の前提として、私は問題の在り個所をはつきり皆さんに申上げることによつて、皆さんの御考慮を仰ごうという意味で、この席を拝借した次第であります。以上であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/8
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009・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終りました。討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/9
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010・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。
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011・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) この際日程に追加して石炭廳設置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/11
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012・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。尚本案については少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長下條康麿君。
〔下條康麿君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/12
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013・下條康麿
○下條康麿君 只今議題となりました石炭廳設置法案につきまして、委員会の経過並びに結果を御報告申上げます。
この法案の審議は決算委員会に付託せられましたが、その内容から申しまして必要がありますので、鉱工業委員会と連合委員会を開いて、審議に当つたのであります。この法案は極めて簡単な法案でありまして、すでに臨時石炭鉱業管理法が今月一日から施行せられておりますので、同法の施行に関する事務は、現在中央機構といたしまして、石炭廳の内部に國管準備室というものがありまして、そこでやつていましたが、いよいよこの法律の施行の機会にこれを管理局と改めまして、從來の管理局を配炭局と名称を変えるのであります。
第二は、石炭及び亞炭の開発に関して、その事務を取扱うために、すでに本年二月から石炭廳の中に臨時に開発本部というものがありますが、それを独立させて開発局としようというのであります
以上がこの法律案の骨子でありますが、第一回国会におきまして、労働省置法案の際に、行政機構の部局以上の改廃はすべて法律によることになつた関係上、この機会に石炭廳官制を全部法律を以て規定しようということであります。
簡単でありますから質疑も余りなかつたのでありまするが、亞炭局というものが亞炭廳の中にありまするが、石炭と亞炭とは大体同じようなもので、特に亞炭局を設ける必要がないのではないかという意見がありましたのに対しまして、政府から、石炭と亞炭とはその企業の規模も亦経営者も違つておりまして、相当事情に異なるところがあるから、独立の部局を設ける必要があるという答弁でありました。尚地方の石炭局には民間の経験者を多く採用する予定であるそうであるが、その実情はどうであるかという質問に対しまして、政府からは、石炭局長は労資双方の推薦によつて、近く発令する予定である。又課長級には実際生産事務に從事しておる人を多く採用する予定でありまして、現に各炭鉱に推薦を依頼しておるというような答弁であつたのであります。
案が極めて簡單でありますので、討論に入りましても別段意見もなく、多数を以て原案を可決した次第であります。この段御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/13
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014・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は十分間に制限いたします。小川友三君。
〔小川友三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/14
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015・小川友三
○小川友三君 石炭廳設置法案につきまして、全面的に反対する者ではありませんが、第一條と六條に欠陷がございますので、この点につきまして、本案の含む大精神は、文化國家日本の産業再興と福利民福を図るのが目的でありまして、この点において政府に対しまして敬意を拂う者であります。
石炭廳の目的が石炭、亞炭、ガス、コークスの生産と配給、消費に関するものが中心でありますが、この中に泥炭も含まれ、或いは天然ガスも含まれておるのは想像ができ、又石炭廳がそれを取扱うであろうということも想像ができ得るのであります。この泥炭の件でありますが、これは沖積期時代から発生したものでありまして、氷河時代の石炭亞炭を取扱い、泥炭は御承知の通り公定價格のないものであつて、自由販賣をせられておる品物であります。この泥炭を政府当局は亞炭と同様に見ておるような感がありまするが、これは大きな間違いでありまして、泥炭は明確に泥炭として区別し、販賣し、取扱われておるものでありまするから、本法案に対しましては泥炭という條項を明記するのが当然であると本員は主張するものであります。特にいわゆるカロリーの問題でありまするが、優秀なるところの泥炭は粗惡なるところの亞炭よりもカロリーは強大なのであります。この泥炭の日本中におけるところの埋蔵量は恐らく石炭、亞炭に匹敵するのもであろうということは想像ができ得るのでありまするが、まだ政府当局は研究が足らず、努力が足らず、熱意が足りないために、泥炭を等閑に附しておる点があると云い得るのであります。誠に遺憾に存ずる次第であります。第六條に「開発局においては、石炭及び亞炭の開発に関する事務を掌る。」とう明記してありまして、泥炭に対する事務を取扱わないことになつております。こういう半端な條項に対しまして國民の福利増進、産業の再興増進という建前から、本議員は眞つ向から委員会において反対をいたした次第であります。國民の幸福のために戰つておるのであります。鉱山局においては人工石油、いわゆる石炭から採る石油も取扱つておるというお話でありまするが、泥炭においては、これは石炭廳以外に取扱う所はない筈であります。委員会において水谷商工大臣から、泥炭は亞炭に含むようなお話がありました。そうすると政府の重大責任であります。泥炭に公定價格なく、自由販賣を許し、亞炭に公定價格を附け、そうして販賣をしておるが、それでは泥炭の販賣業者は公定價格違反として司法処分を受けなければならないどいう建前になるのじやないかと思いますが、この点につきまして政府当局の御答弁を頂きたいのであります。泥炭と亞炭は、これを動物に替えると、或いは狸と狐、「むじな」の区別が付かないように、研究していない者は思いますが、これは氷河時代にできた亞炭、石炭と、沖積期時代にできたところの泥炭と、明確に科学的な常識のある者には区別でき得るものでありまして、この点につきまして反対を提唱しておる次第であります。簡単でありましたが、御清聽を……(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/15
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016・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/16
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017・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/17
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018・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 日程第一、自由討議、本日の自由討議は前会の続でございます。各発言者は発言時間を遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。
〔駒井藤平君発言者指名の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/18
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019・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 駒井藤平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/19
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020・駒井藤平
○駒井藤平君 緑風会は小杉イ子君を指名いたします。
〔小杉イ子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/20
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021・小杉イ子
○小杉イ子君 私は二十五年前に、各党から優秀人格者を選拔した連立内閣を組織することを主張いたしまた。今その連立内閣に向つて、幸い自由討議方ともなりましたので、政府はどうしたら財政豊かになれるか、その歳入歳出、徴税、減税等に関し、小さいことでも紙上を以て各大臣に質問も、要求もいたしたいと思います。
先ず第一に、安本長官の、歳入の確保のためには脱税防止、インフレ利得、ヤミ利得を徹底的に追及し、徴税の徹底を期したい、と申された項につきまして申上げますと、今度の徴税で、不平も聞きましたが、又当然という声も聞きました。某組合は一人前五千円出して減税して貰つた、その方が余程得だと申しております。これらの賣職吏員、脱税者に対し、長官は如何なる方法で追及なされますか、獄舎狭降のためでもありましようが、先頃までは投獄しても大抵一万円で帰して貰えると申しておりました。この泥棒、強盗同様者は、徳川時代の谷おちのように隔離して、島流しとしては如何かと思うのであります。併し徳川は、治外法権同様地帯にある罪人にも神聖な職業まで與えて生活はさせました。狭い獄舎よりも孤島で増産させ、物を以て罪をおぎなわせ、良心に復したならば、罪と帰國を許すことだと思います。又本島獄舎取締より、孤島獄舎取締の方が容易であります。
次は、酒類密造に対し長官が申さるるよう、本当に徹底的に、鎌倉時代の北條時頼のように追及なさるなら、多額の罰金徴収確実と思います。
次に、政府は非常時徴税物として取つて置きの酒と煙草の値上げをいたしました。私は酒は少し造り、高く売れば、政府も醸造家も困らず、又國民の受ける害も少いと申しました政見発表の値上げと一致いたしました。併し政府の目的は、飲める者は飲め、吸える者は吸えというので、私の目的は、飲める者も飲まぬ方がよい、吸える者も吸わぬがよいと申すので、政府にとつては、この点私は一大不忠子であります。
次に、インフレ対策論と重複しますので、理由は申しませんが、蓄妾者から第二住宅税、第三住宅税として重税を徴收しては如何でしようか。
次に、大藏大臣は闇取締は困難と申されましたが、買出人から没収した主食を、以前は兼営團で公定で買い取られ、営團はそれを焼酎を造る者、「あめ」を造る者に闇値で賣ると申して、多数が憤慨しておりました。この取締法は、却つて物價を高くするばかりであります。閣賣りする者は一村で五六軒ぐらいで、その出入突止めは容易であります。容易ならぬは、かれこれの役人達であります。
次に、農林大臣が申された供出完納後の主食買受價格で、店頭に積まれたあの闇値品も買い占められる方法はございませんでしようか。総司令部物價統制局では、闇値商店は婦人達からどしどし投書して呉れたならば、こちらで取締つて上げると申しております。一例を挙げますと、元五銭で配給された「こんにやく」を、その後政府の配給不能力を幸いに、今では十九円に賣つております。一般はこれを公定と思つて買つておると申しますが、これが公定か闇値かをはつきり新聞やラジオで知らされてから、大いに婦人達の協力によるべきだと思います。
次に、昭和二十一年三月、総司令部から農林省に向つて、米を潰して酒を、造ることは止したらどうだ、アメリカでさえ小麦節約をしておるのだからという申入れがあつたとき、政府は、増産督励用として造ると申し、当時の平野農林大臣は、盛にこれを特配しました。その頃の朝日新聞「天声人語」の一部を読みますと、供出量により、一斗を超え平均三升から五升ぐらいで、旧盆にはどつと一度に配給され、十日以内に腐つた。如何な呑助農家も、一日一升は呑みほせず、蚕卵紙を入れた冷藏庫に酒瓶が林立し、一方「どぶろく」密造で「こうじかび」が発生して、掃き立ての稚蚕兒が三日位で死ぬ。農林省はとかく百姓を呑兵衛扱いにする。折角丹精した米を酒に代えて、粗末に持ち込まれることは、むしろ腹が立つ、大体報奨制度が、農民を合理的経済人として扱わない。世界でも勤勉な我が農民に、飲酒の弊風を公然と流行させ、引いては「どぶろく」密造を助長させた罪は大きいとありますが、農林大臣は、やはり前年通りの酒の報奨制度を続けられますか。
次に、大臣は今畜産業休止の所もあると申されましたが、二町程田を作りながら、牛馬の飼育資力なき人達のための賃貸し、月賦賣り、食肉としての牛馬を飼い、又乳兒用牛乳不足の今日、最も人乳に近い乳を、多くは七升程搾取できる山羊飼いと、又町の近くで最も早く多く牧獲を得られ、又それによる自然肥料も、多額に上がる養豚などと併わせて農具賃貸しは如何でしようか。又農業中個々が米、麦をつく、ふむことは最も非能率的で、農村電化も十分望まれん今日、小川を利用した水車設置は如何でしようか。私は人が稻を七束こぐときは十束こぎ、草は人の倍刈りますが、この米を杵でつき、綱にぶら下つて米をふむことは、到底男子の想像もつかん恨めしい程の辛い仕事でありました。水車設置は最も簡單で、精米、精粉料以外に、ここでは養鶏ができ、多大の収益が上ります。又町の近く工大池を掘り、種々の魚類を扶殖させ、景色をよくして……。青少壯年達の一日の収獲的一大慰安の魚釣場として入場料を取ることは如何でしようか。川魚も鯉や鮒は、加工と料理法によつては母乳が増します。官営事業は、民間事業を脅かすと申しますが、官営はただ献立程度で、勿論公平な收益は得ますが、一つとして民間の手を借らずには達成できないのでございます。
次に商工大臣に伺いますが、髪の毛と茶の実で醤油を造つておりますが、髪の毛は、私以外の人は大方捨てておると思います。又茶の実も一部油を搾ると申しても、大部分は捨てておりますが、これによつて醤油を造ることは、麦と大豆を出すことで一挙両得でありますが、このような事業に対して、特別早く融資なさるおつもりはありませんでしようか。
次に厚生大臣に伺いますが、不良劣等兒の両親の八割五分は、酒呑みと性病と聞きますが、私は特に眼球の突出した盲を見ますと、あれは決して自然が作つたものではない。これは性病から生れた後天的の不具で、両親の因果應報だと思うときに、アルコールのため白血球の殺菌作用が失われた時の黴菌の繁殖によるものだと思います。大臣はこの予防の一策として、この傳染径路と、最も博染させ易い第一期、第二期の模型と、第三期の糜爛状態を青年男女に安い入場料でこれを公開なさつては如何かと思います。
それから青少年審判所の少年全部が喫煙者であることを見ましたが、抵抗力なき少年の喫煙は脳の発育を停止いたします。一本吸いこめば二十グラムの血液を無駄にします。その他各臓器に及ぼす害、子供達の捨てた吸い殻が火事の因になつておりますが、児童福祉法が実施の今日、これに対する別個対策をお伺いしたいのであります。
最後に蛔虫のために結核患者同様と見られたものが、セメンで治つたものを多く見ましたがう榮養不足の今日一包百円のセメンも大方為せ物で、そのために固まつて寄生する蛔虫に貴重な血液を吸い取られることは、家庭は勿論のこと、国家の一大損失でありまするので、厚生省は輸入サントニンを持たずに、この際研究に予算を組み、徐去薬を完成して、一般に早く配給されることを切望いたします。まだ総理大臣外四大臣に質問と要求がありますが、時間の都合でこれを以て終りといたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/21
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022・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/22
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023・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を似て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X03219480414/23
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