1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十三年六月十八日(金曜日)
—————————————
本日の会議に付した事件
○労働者災害補償保險法の一部を改正
する法律案(内閣送付)
○合同審査会の審査の経過及び結果報
告
—————————————
午後二時二十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215289X00919480618/0
-
001・原虎一
○委員長(原虎一君) 只今から労働委員会を開会いたします。先ず労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案について加藤労働大臣より提案理由について御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215289X00919480618/1
-
002・加藤勘十
○國務大臣(加藤勘十君) 只今議題となりました労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案の提出理由について説明いたします。
労働者災害補償保險法は労働基準法の裏付けとして、業務災害を被つた労働者に対して迅速且つ公正な災害補償と福祉施設を行いまして、罹災労働者の基本的人権を擁護すると共に、他面事業主の経済的負担の分散輕減を図り、以て産業を安定せしめる目的の下に昨年四月法律第五十号として制定公布され、同年九月一日より実施されたのであります。爾來今日に至るまで約九ケ月を経過いたしまして、着々所期の成績を收めつつありますが、この労働者の災害補償をより迅速公正に、積極的に行い、而も労資双方の利便を図るために、次の諸点につきましてこの法律の一部を改正する必要があると考えるのであります。
その第一の点は字句についての改正であります。本法にも、労働基準法にも「使用者」という語を用いておりますが、その語義は各條文によつて異つている場合がありますため、とかく疑義を釀しまして、本保險法務処理の上に支障を來しておりますので、本法におきましてはこれを事業主という字句に改めたいと思うのますであります。又、本法において適用を除外するものの一つとして官公署を挙げておりますが、この官公署は非現業的な官公署の謂いでありまして、公署の行う現業的事業には当然本法の適用があるのでありますが、これも「官公署」という語だけでは不明確でありまして、とかく疑義が生じ易かつたので、今回これを明確にするため改正案の様に改めたいと思うのであります。
第二の点は保險給付についてであります。本保險で給付される休業補償費は、療養のため休業する期間の短長に拘わらず一律に、休業の初日から七日間分は給付しないことになつているのでありますが、よく考えて見ますと、休業七日を超えるような長期の休業に対しましては、七日分を差引くことなくその初日から全部の休業に対して休業補償費を給付することがむしろ労資双方に利便を與えるものであり、又本保險の目的にもかなうものでありまして、他面労働者は、かく改められることによつて、今までのように保險給付されない七日分については使用者に基準法上の補償として請求し、七日分を超えた部分については本保險へ保險給付として請求するというような二重の手間を掛ける煩瑣から救われるのであります。療養補償費についても同様のことが言えるのでありまして、労資双方の利便を図り実情に即せしめるため、本案のように改めたいと考えるのであります。
第三点は、本法第十八條に保險給付は保險料を滯納した場合は全部について給付しないことができるという制限規定を置いておりますが、該條文中の滯納という語にはとかく納入告知書の発付があつて、その指定期日までに納めない場合に初めて言われる言葉のように解され易いので、この「滯納」なる語を改めまして、本法の適用を受ける日から、有期事業では十四日、一般事業では三十日を過ぎて保險料を納付しないときは、すべてこの法律に言う滯納であることを明確にいたしたのであります。更に第三者の行爲によつて生じた災害に対し、政府が保險給付する場合における第三者と政府間の法律関係につきましては、本法第二十條の規定しているのでありますが、明確を欠く点がありますので、紛議を釀さないように同條を整備いたしたのであります。その他保險給付の受給権者の範圍及び受給権の本質について規定した関係條文を、労働基準法との調整を図るため改めたことであります。
第四の点は、本保險の公正な運営を図るために設けられました審査機関関係についてであります。審査機関の証拠調は民事訴訟法を準用して行うことになつておりますが、同法のような形式的に嚴格で又難かしい方法を以て証拠調を行いますことは、簡易迅速と実態即應を尊ぶ本保險の趣旨に反するのではないかと考えられますし、又その証拠調の費用に関しましては民事訴訟費用法を準用することとなつているのでありますが、同法も亦、本制度の円滑な運営に副わない点があり、やがては証拠調に関する人々の積極的な協力を得られなくなりまして、遂には労働者の公正な基本的人権の擁護は期せられない虞かありますので、これらの不合理を改めたいと考えるのであります。
以上の諸点が本改正案提出の理由であります。詳細は御質問に應じて御説行申上げます。何卒御審議の上御決定頂きますよう御願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215289X00919480618/2
-
003・原虎一
○委員長(原虎一君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215289X00919480618/3
-
004・原虎一
○委員長(原虎一君) 速記を始めて。職業安定法第十二條第十一項の規定に基き職業安定委員会委員旅費支給額に関し議決を求める件に関しまして、衆参両院の労働委員会の合同審査会の審査の経過及び結果につき、常任委員会合同審査会規程第二十條によりまして、ここに御報告申上げます。第一回の合同審査会は去る六月一日午後衆議院において開催いたしまして、衆議院よりは衆議院労働委員会理事倉石忠雄委員が当該議案に関し衆議院労働委員会における審査の模様を報告し、参議院労働委員会理事栗山良夫委員よりは参議院労働委員会における審査の模様を報告するところがありまして、敵会となつたのであります。第二回の合同審査会は六月十八日午後参議院において開催し、姫井委員より本議案別表の宿泊料において等級の横の差と縦の差とが余りに開き過ぎているが、現下の社會情勢から見て、その差額を出來るだけ縮少する必要がある、政府はこれを改める意思がないかと質問かありましたのに対して、政府委員よりは、各省の旅費額が皆一様にこのようになつているので、現在の基準に則つて作つたものであるとの答弁がありました。別段その他に質問もなく、討論に入りましたが、姫井委員より、從來の旅費額の決め方には改むべきものがあるから、是非近い機会に改正せられることを希望して、本議案に賛成の意見を開陳せられたる後採決に入り、全会一致を以て本議案を可決せられました。右御報告申上げます。本日はこれにて散会いたします。
午後四時零分散会
出席者は左の通り。
委員長 原 虎一君
理事
堀 末治君
小川 久義君
栗山 良夫君
委員
天田 勝正君
千葉 信君
山田 節男君
荒井 八郎君
川村 松助君
紅露 みつ君
深川タマヱ君
川上 嘉市君
姫井 伊介君
松井 道夫君
国務大臣
労 働 大 臣 加藤 勘十君
政府委員
労働事務官
(労働基準局
長) 江口見登留君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215289X00919480618/4
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。