1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年十一月二十六日(金曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長代理
理事 鍛冶 良作君 理事 佐竹 晴記君
岡井藤志郎君 佐藤 昌二君
花村 四郎君 樋貝 詮三君
松木 宏君 井伊 誠一君
池谷 信一君 石井 繁丸君
榊原 千代君 森 三樹二君
中村 俊夫君
出席國務大臣
國 務 大 臣 殖田 俊吉君
出席政府委員
檢 務 長 官 木内 曽益君
法務廳事務官 野木 新一君
法務廳事務官 岡咲 恕一君
法務廳事務官 青木 義人君
委員外の出席者
議 員 安東 義良君
最高裁判所事務
総長 本間 俊一君
最高裁判所事務
官 小川 善吉君
專 門 員 村 教三君
專 門 員 小木 貞一君
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十一月二十五日
司法警察職員等指定應急措置法案(内閣提出第
三一号)
福島刑務所移轉に関する請願(山下春江君紹
介)(第七六号)
住居法の制定並びに戸籍事務関係運営法制定の
請願(林百郎君紹介)(第五五七号)
吉原市に刑務所支所設置の請願(宮幡靖君紹
介)(第五八九号)
司法檢察の淨化に関する請願(山口好一君紹
介)(第六七〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
賣春等処罰法案に関する陳情書
(第四一七号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する
法律案(内閣提出、参議院送付第四号)
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
刑事訴訟法施行法案(内閣提出第一八号)
裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提
出第一九号)
司法警察職員等指定應急措置法案(内閣提出第
三一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/0
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001・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 会議を開きます。
司法警察職員等指定應急措置法案を議題といたします。この際政府より提案理由の説明を願います。
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002・木内曽益
○木内政府委員 ただいま上程に相なりました司法警察職員等指定應急措置法案の提案理由につきまして御説明いたします。
御承知の通り第二回國会において制定せられました刑事訴訟法改正法律の第百九十條におきましては、森林、鉄道純の他特別の事項について、司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定めることとなつているのであります。從いまして從來刑事訴訟法第二百五十一條に基き、司法警察官吏の職務を行うべき者及びその職務の範囲を定めておりました大正十二年勅令第五百二十八号はこれを廃止いたしまして、新たにこれにかわるべき法律を制定する必要が生じたのであります。よつて政府におきましては、勅令第五百二十八号のうち、すでに不要となつたものは削除し、新たに必要となつたものを加え、職務の範囲につきましても適当に修正を加え、これを法律案として整理すべく努力いたして参つたのでありますが、これらの点につきましては各方面と関連するところが多く、現在なおこれを法律案として國会に提出するに至らないのであります。しかして他方改正刑事訴訟法は、昭和二十四年一月一日からこれを施行することと相なつておりますので、これが円滑な運用をはかるためには、この点に関し右の法律にかわるべき應急措置を講ずる必要があるのであります。
從いまして、本法案第一條におきまして、他の法律の特別の定めのない限り右の勅令第五百二十八号の内容をそのままとつて、当分の間これを改正刑事訴訟法の規定による司法警察職員といたすこととしたのであります。しかしてその他改正刑事訴訟法におきましては、現行法の「司法警察官吏」「司法警察官」及び「司法警察吏」に相当するものを「司法警察職員」「司法警察員」及び「司法巡査」と改めましたので、第二條におきまして他の法令中にある右のごとき語を改正刑事訴訟法に適合するように、それぞれ読みかえることといたしたのであります。
以上が本法案の提案理由の御説明でありますが、本法は改正刑事訴訟法の実施を円滑にするためには欠くことのできないものでありますので、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望む次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/2
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003・榊原千代
○榊原(千)委員 ただいまの提案理由だけでは不明瞭な点もございますので、さらにもう少し詳細に御説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/3
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004・野木新一
○野木政府委員 提案理由に少しばかりつけ加えて御説明申し上げたいと思います。
大正十二年勅令第五百二十八号「司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件」これはすでに十数回にわたつて修正せられて今日に至つておるわけでありますが、現在この大正十二年勅令第五百二十八号によりまして、いわゆる特別司法警察官吏、すなわち通常の司法警察官吏でない者で、この勅令によつて司法警察権を付與せられた者といたしましては、この勅令の第一條には、檢事局勤務の書記、雇員は司法警察官または司法警察吏の職務を行うものとしてありますが、この点はすでに檢察廳法によりまして、檢事局の書記というものは全部檢察局の檢察事務官となりまして、これが檢察廳法によりまして搜査もでき、新しい刑事訴訟法におきましても搜査ができる建前になつておりますから、この勅令の第一條は結局実際は死んでしまつております。
次に勅令第二條におきましては「監獄又ハ分監ノ長ハ監獄又ハ分監ニ於ケル犯罪ニ付刑事訴訟法第二百四十八條ニ規定スル司法警察官ノ職務ヲ行フ」とありまして、これは今でも生きておるわけであります。
それから第三條におきまして、一定の職員でその所属長官がその官廳所在地を管轄する地方裁判所の檢事正、今で申しますと地方檢察廳の檢事正と協議してきめるものは、それぞれこの勅令五百二十八号の定めるところによりまして、あるいは司法警察官、あるいは司法警察吏の職務を行うということになつておりまして、この中に十四ほどあげておりますが、この中におきましても、たとえば帝室林野局関係の者のように、すでに事実上なくなつてしまつたものもありますし、また経済監視官のように、これまたなくなつたものもありまして、現在動いているものといたしましては、第三條の第三号にあります。「監獄又ハ分監ノ長タル者及看守タル者ヲ除クノ外監獄職員タル二級又ハ三級ノ法務廳事務官「第四号の」営林局署勤務ノ農林事務官乃農林技官」とか、第五号の鉄道関係の職員、あるいは司法関係の取締りに從事する都道府縣の吏員、大体そういうものがおもなものであります。こういうものにつきましては次の第四條の規定によりまして、その職務の範囲が規定されているわけであります。たとえば先ほど申しました監獄職員たる二級または三級の法務廳事務官、これにつきましては、監獄または分監における犯罪というように、また営林局署勤務の農林事務官、農林技官などにつきましては「國有林野、部分林、公有林野官行造林、其ノ林野ノ産物又ハ其ノ林野若ハ國営獵区ニ於ケル狩獵ニ関スル罪」それからたとえば鉄道関係の警察官吏について申しますと、停車場または列車における現行犯罪、そういうようにそれぞれ一定の職務の範囲が限られているわけであります。この勅令第五條には、警察官吏の駐在しない島嶼であつて、町村制を施行せざる地における犯罪についても、特別司法警察官吏にする規定がありますが、これは地方自治法の改正の結果、事実上死文になつております。
それから第六條の「遠洋区域、近海区域又ハ沿海区域ヲ航行スル総噸数二十噸以上ノ船舶ノ船長ハ其ノ船舶内ニ於テ刑事訴訟法第二百四十八條ニ規定スル司法警察官ノ職務ヲ行フ」というように、船長に司法警察権を與えている規定であります。これは今でも生きております。
第七條の麻藥犯罪について、麻藥統制主事が司法警察官となつております。
大体今度の司法警察職員等指定應急措置法によつて暫定的に司法警察権の付與を認められるものは、ただいま申し上げたようなものでありまして、本格的に司法警察職員として職務を行うべき者の指定等に関する法律案は今準備しておりますが、この案の大体今申し上げたものや、そのほかその後新しく若干つけ加えるべきものを挿入いたして、本格的な案を準備しておるわけでございます。ところがこの本格的な案は、いろいろな事情で一、二の点でなお問題の点がありまして、今度の國会に提案の運びに至りませんので、ごく暫定的に應急措置として大正十二年勅令第五百二十八号をしばらく生かして、それによつて運用して行こう、そういう考え方の法案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/4
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005・榊原千代
○榊原(千)委員 本格的なものは次期國会に上程されるようなお見込みでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/5
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006・野木新一
○野木政府委員 ほとんど大部分はもうでき上つておりまして、ほんの一、二点だけちよつと問題の点が残つておりますが、これも割合簡單にきまると思いますから、おそらく次期國会には早い機会に上程できるのではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/6
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007・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 暫時休憩いたします。
午前十一時三分休憩
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午前十一時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/7
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008・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。
裁判所法の一部を改正する等の法律案を議題として審査を進めます。森委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/8
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009・森三樹二
○森(三)委員 この裁判所法の改正法案につきまして、先般も私が御質問申し上げたのでありますが、満洲國におりましたところの審判官並びに檢察官の地位の問題に関しまして、改正案は三年を経過しなければその資格を得られないとなつておるのでありますが、この前もるる申し上げましたように、それらの人々は引揚げましてから、内地において就職するまでの間におきましても、相当の期間を経過しているのでありまして、内地において最初からその地位にあつて修習しておつたならば、当然二年で済むものが、外地におつたためにそういう不利益を受けておるということは、われわれ司法の職にありまして同じ試驗の苦しみを経過したものといたしましては、どうしても平等にしてやらなければならぬという考えをもつているのであります。また特に私は以前から司法官並びに弁護士修習生等の地位や、あるいは生活の保障についてもできるだけこれを保護してやらなければならないということを、かねてから強硬に主張をしている一人でありまして、内地におつたものと外地におつたものとがそうした不均衡な立場にあるということは、どうしても私はこれを承服することができないのでありまして、当局としてもこれを改正するために多少の手数はかかるでありましようが、しかしその手数のかかることはいとわれないで、でき得る限りあたたかい待遇をしてやるようにとりはからつていただきたいのであります。
なおこの裁判所構成法、明治二十三年二月十日法律第六号によるところの第六十五條の第二項に、朝鮮総督府判事並びに朝鮮総督府の檢事たるものの資格についても規定がありまして、それは第一項の三年余云々という條項にかかつているのでありますが、しかし私は朝鮮がそうであるから満州もそうであるというように、そういう前提に立つて考えたくはないのでありまして、これもでき得る限りにおきましては二年ということにしてやつた方がよいのだと考えますから、前の方にそういう法律があるからといつて、必ずしもあとの方で同じようにする必要はない、かように考えてるのであります。ひとつ当局においても、ぜひともこの改正法の三年はこの際二年に処置せられんことを期待してやまないのであります。ひとつその点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/9
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010・岡咲恕一
○岡咲政府委員 ただいま森委員からお尋ねの点につきまして、政府の考えを明確にお答え申し上げたいと存じます。今御指摘になりました裁判所構成法の六十五條の二項に「司法官試補タル資格ヲ有シ朝鮮総督府判事又ハ朝鮮総督府檢事タル者亦同シ」と規定してありまして、前項の規定を受けているわけですが、第一項には」三年以上帝國大学校科教授若ハ弁護士タル者ハ此ノ章ニ掲ケタル試驗及考試ヲ経スシテ判事又ハ檢事ニ任セラル、コトヲ得」とありまして、從いまして朝鮮総督府判事または朝鮮総督府檢事たる者は、三年間その地位におりますと、裁判所構成法に掲げてありますところの考試を経ませんでも判事もしくは檢事に任ぜられることができるということは相なるわけでありまして、裁判所構成法の六十五條に三年という規定がありますが、これがいわゆる司法修習を経ないで裁判官に任用されるときの基本的な規定と相なつているのでございます。すなわち裁判所法施行令、これは昭和二十二年の政令第二十四号でございますが、その十條におきまして「裁判所構成法による判事たる資格を有する者は、裁判所法第四十一條乃至第四十四條の規定の適用については、その資格を得た時に司法修習生の修習を終えたものとみなす。同法施行の際現に弁護士たる資格を有する者で弁護士の在職年数が同法施行後において三年に達するものについて、その三年に達した時も同樣とする。」というふうに規定いたしておりまして、この三年間の在職というものが、司法修習を経ない司法事務に從事しているところの弁護士あるいは外地の裁判官、檢察官、あるいは満洲國における裁判官、檢察官の内地における判事、檢事あるいは判事補となるための前提の資格として一應定められております関係上、これがただいま御指摘になりましたこの裁判所法の一部を改正する等の法律案の三條の中にございます第二條の二という規定を考え出した基礎になつている思想でございます。朝鮮総督府の半事につきましては、実は司法修習の期間をこの三年のほかにさらに考えなければなりませんので、実際を申しますと、司法科試驗に合格したのち四年半経過しませんと、裁判所構成法による判事または檢事たる資格を得ることができないわけでありますが、この本法の改正におきましては、これを三年に一括して短縮したわけでございまして、その点から申しますと、朝鮮総督府の半事または檢事よりも多少優遇されているという関係に相なるわけでございます。森委員は、こういう外地において司法修習をし、外地において裁判官あるいは檢察官たる地位にあつた者は、内地における修習と同一に取扱つて、なるべく早くそういう者が判事もしくは檢事たる資格を獲得しやすいように処置するのが、政府として温情ある取扱いではないか、そういうふうにひとつ考えへ變えていただきたいという御提案でございますが、弁護士及び弁護士試補の資格の特例に関する法律、これは昭和二十一年法律第十一号でございますが、その第一條の二項によりますると、「弁護士法第三條の試驗に合格し、満洲國の審判官又は檢察官の職に在つた者で前項の寢査委員会の銓衡を経た者についても、また同項と同樣とする。」とあり、弁護士法第三條の試驗に合格するというのは、司法科試驗に合格したる者を意味するのでありまして、司法科試驗に合格した者で、満洲國の審判官もしくは檢察官の職にあつた者は、弁護士法第十三條第二項に規定する審査委員会の選考を経ますと、弁護士法に定める弁護士たる資格を有するわけでございます。この規定が附則の第三項におきまして「第一條第二項の規定により弁護士たる資格を有する者は、その資格を得たときに、司法修習生の修習を終えたものとみなす。」という非常に破格の附則を設けておりまして、弁護士法に定める審査委員会の選考を経て、もしもその選考によつて合格と判定されますならば、そのときにおいて実は司法修習生の修習を終えたものとみなされるわけでございますから、ただちに檢事もしくは判事補に任命され得る資格を得るわけでございます。どうぞこの手続をお進め願うことによつて、満洲國から帰られました司法官は一日も早く判事補もしくは檢事あるいは弁護士におなりになつて、内地において司法のために御奮鬪あらんことを切にお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/10
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011・森三樹二
○森(三)委員 ただいま政府委員より非常に詳細な御答弁があつたのでありますが、私は重ねてひとつ御質問したいと思う。と申しますのは、弁護士及び弁護士試補の資格の特例に関する件、あるいはまた先ほど申し上げました裁判所構成法の六十五條等の関係もありまして、ただいま改正せんとするところの改正法三十三條との関係もあるのでありますが、しかし司法当局といえども、そうした不利益をことさらに外地から引揚げた者にかけるという意味ではないということは、十分ただいまの御説明によつてもわかるのであります。もしそうであるとするならば、私が先ほど申し上げたように、内地で勤務しておつた者と同樣なるとりはからいを私はすべきものであるということを申し上げたのであつて、たとえ他の法令と比較してそこに一年の差があるからといつて、そのためにただいま改正せんとする本條の規定を三年にしなければならないということはないと私は思うのである。さらに私は当局が再考されて、そうしてこれを二年というふうに修正される意思があるかどうか、また私としてはこれを二年にどうしてもしていただきたいという強い希望があるということを、ここで申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/11
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012・鍛冶良作
○鍛冶委員 ちよつと今の問題ですが、満州で一年半なり二年やつてこつちに來ますね。來たらどうなるのですか、その二年が生きるのですか、それともあらためて三年やらなければならないか。生きるとすればどういう方法で生きることになりますか、その点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/12
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013・岡咲恕一
○岡咲政府委員 森委員の非常に御熱心なる御希望のように拜承いたしたのでございますが、前会法務総裁もお答えいたしましてし、私も同樣の趣旨のことを申し上げたと思いますが、この外地における司法官あるいは弁護士というものを内地の司法官あるいは弁護士にふりかえる諸種の規定との権衡上、政府といたしましてはせつかくの御希望でございますが、なるべく原案通り三年という期間を堅持いたしたいと考えております。それから鍛冶委員のお尋ねでございますが、満洲國におきまして学習法官あるいは高等官試補として修習中であつて、一年半あるいは二年で内地に帰つたという場合には、もしその人が向うにおいて考試を合格せられまして、審判官あるいは檢察官になつておられますならば、ただいま申しました弁護士及び弁護士試補の資格の特例に関する法律で弁護士たる資格を得られますし、從いましてまた司法修習生の修習を終えたものと見なされるわけでございますが、満州において修習中の試補であつて、結局審判官、檢察官になられなかつたといたしますと、その修習期間がたとえ二年でありましても、それでは内地に帰つて弁護士、あるいはそのままの形において内地における修習と同樣にみなすというわけには参らない次第でございます。從いまして新らしく司法修習生として修習をお始めになつて、弁護士あるいは司法官になるという資格の獲得のための準備をなさらなければならない、かように相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/13
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014・鍛冶良作
○鍛冶委員 そうすると、もう二箇月花三箇月で終えるべきはずのものであつても、それが終えなかつたとすれば、ここに來てまた二年新しくやり直しをするのですか、何かそこに方法がないものですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/14
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015・岡咲恕一
○岡咲政府委員 外地における修習中の司法官試補と内地の司法官試補との交渉調節の規定は、実はたびたひこれまで問題にはなりましたが、いまだ立法の形をとつておらない次第でございます。現在ではそこまで考える必要はないであろう、また現在においてもその点まで考慮しないでもまかなえるのではないだろうか、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/15
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016・中村俊夫
○中村(俊)委員 ただいま森委員から第二條二の三年というのを二年にすることについていろいろ質問がありましたが、政府の方でこの三年を非常に堅持されておるようでありますが、先般われわれが條件つきの意見を付して通過せしめました副檢事の任命に関する特例の法律案の一年延期の問題について、彼此対照いたしますと、こういう特例というものは一時も早く廃止してもらわなければ困るのだ、いわゆる檢察官の素質の問題——今日の朝日新聞にも出ております通り、檢察廳内部の粛正という問題が今大きく社会に浮び上つておりますが、そういたしますと今の政府の見解は、こういう副檢事などの任命の資格についてはなるべく應急の措置を講ずるようにしたい。そしてただ第二條の二の満洲國の関係の人々に対してはどうしても三年でなければならない。いわんや刑事訴訟法の新しい施行によつて、檢察官は申すに及ばず、裁判官も多くこれを必要とすることが目行に迫つているときに、私はその考え方が終始一貫していないように思うのでありますが、これに対する御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/16
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017・岡咲恕一
○岡咲政府委員 副檢事の方は、もちろん檢察事務といたしまして相当重要な事務をいたしておりますけれども、むしろ檢事の実質的には補左官たる地位にあるわけでございまして、たとえその資格の点において多少緩和いたしましても、嚴格な選考試驗を経て、適当なものであるならば廣く任用するということは、現在副檢事の任用の点において非常に政府は苦慮いたしております状況から考えまして、一應やむを得ない措置かと考えるのでございます。今御指摘の満洲國の司法官を内地の裁判官に迎えるという規定は、決して暫定的なものではございませんで、いやしくもそういう資格のある方がおられる以上は、この規定によついいわゆる裁判所構成法による判事または檢事たる非常に重要なる資格を得られるわけでございますから、これはただ單に学習法官あるいは高等官試補として在職した者に限つてこれを二年に下げるということにいたしますと、たびたび申しましたように、他との均衡上あまりにこの学習法官というものを重く取扱うという感じになりまして、法制の建前から申しますとやはり均衡を失したことになるのではないだろうかと考える次第であります。弁護士の事務をとつておる事ですら三年在職しなければその資格を獲得しないのであります。学習法官としてただ学校で向うで指導を受けていたという期間が三年間にさえ達すれば、これで内地においてただちに裁判所構成法によるいわゆる判事もしくは檢事たる資格を得られるということになると、どうも権衡を失するのじやないかと率直に考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/17
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018・森三樹二
○森(三)委員 ただいま岡咲さんから権衡論があつたのでありますが、私は岡咲さんの権衡論には反対であります。と申すのは、それは時代がいろいろ変遷しておるのであつて、以前は高等試驗あるいは五十二号の試驗に合格すると修習しないでも弁護士になれた。ところが昭和十一年からそれだ改正になつて、一年半修習するということになつて來たのでありまして、軽んずるか重んずるかということはその時代とともに考えなければならぬ問題であつて、そうした一つの改正の法律案があるからといつて、それに準拠して軽いとか重いとかいうことを言われるということは、それは私は法を取扱う者の概念としてはいけないのではないかと考える次第であります、從つてその点についてもう少しお考えを述べていただきたい。
それから先ほど岡咲さんの御答弁の中に、法務総裁よりも先般そういうような意見を述べたというお話がありましたが、私がこの自分の委員の席からながめておつた空氣におきましては、法務総裁はほとんどこの問題については何らわからないという答弁をしておつたのであります。しかも岡咲さんの意見をいろいろ聞いて答弁をしておつたのでありまして、あなたがただいま法務総裁もそのような答弁をしておつたということは、それはむしろあなたの意思が法務総裁に映つて、その答弁をしておつたことを逆に引用されておるのでありまして、私は法務総裁は、この問題については何らの明確な意見をもたなかつたものだと考えておるのでありますが、その点についてのお答えも願いたい。
それから昨日の法務総裁の田中政務次官家宅捜索に関するところの答弁は、まことにわれわれ法を扱う者にとつては遺憾しごくの答弁をしておるのであつて、すなわち刑事訴訟法上から言いまして、檢事は犯罪の嫌疑がありとして令状を裁判所に要求して、そうしてその判事の令状に基いて執行するのであります。だから田中君本人に何らの嫌疑がないとするならば、家宅捜索の令状というものを要求することができないものだと私は思う。從つて私は法務総裁のこうした一般の法律の考えについて、非常に疑問を持たざるを得ない。從つてまあ今私の質問しておる問題と昨日の問題とは別個の問題でありますが、あらためて私は法務総裁の出席をお願いしまして、この際昨日の家宅捜索に関する問題についても、法務総裁のはつきりしたお答えを願いたいと思う。昨日の法務総裁のお答えによりますと、自分は田中政務資官の犯罪の嫌疑については、いまだ確たる確信があつてやつたものとは思わない、ただ便宜的な意図に基いて家宅捜索をしたのである、というような趣旨の答弁をしておつたのでありますが、そうしたところの單なる便宜的な、嫌疑もないのにいやしくも國会議員たる身分ある者の家宅を三箇所にわたつて捜索をするというようなことは、私はとうてい容易にはできないことだと思う。從つてこれについては、本委員会において、法務総裁のもつと日本の法律に基いた、日本の法律にもとらないところの答弁をお願いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/18
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019・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 ただいまの森委員の御質問中、法務総裁に関する点は適当に後日考慮することとし、その他の部分についてただいま御出席の政府委員から御答弁があるならば、この際簡單に御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/19
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020・岡咲恕一
○岡咲政府委員 ただいま森委員の御指摘になりました点、法律というものは時代の変遷というものを十分考慮に入れて考えなければならぬという御意見は、私も全面的に同感いたしておる次第であります。本法の改正につきましても、実は先ほど申しましたように、学習中の期間をも入れてなおかつ三年にいたしたのは、非常な寛大な讓歩とでも申しますか、外地におられた学習法官というものになるべく内地において活動していただきたいという趣旨で、多少從前の規定よりも寛大に考えて、実は三年にいたした次第でございまして、これをさらに短縮して二年にいたすということは、昨今における事情の変化を考えましても、どうもちよつと行き過ぎではないかと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/20
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021・中村俊夫
○中村(俊)委員 この裁判所法の一部を改正する法律案の中に今般家庭裁判所というものが置かれたのでありますが、家庭裁判所と簡易裁判所と、その地位と申しますか、格と申しますか、それの区別があるならばどの点に区別があるか。あるいは家庭裁判所の判事と簡易裁判所の判事とはどういう違いがあるか。たとえば年限の古い人を家庭裁判所を持つて行くのか、簡易裁判所と同等に扱うのか。それを簡單に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/21
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022・岡咲恕一
○岡咲政府委員 家庭裁判所と簡易裁判所との差違でありますが、階級という言葉を使いますと、これは地方裁判所の階級に属する裁判所と考えております。第三十一條の二にございますように、これは地方裁判所とまつたく同樣な機構でございまして、相当の員数の判事及び判事補でこれを構成するということにいたしております。簡易裁判所は御存じのように、大体三年判事補たる者をもつて簡易裁判所判事に当てられます。それから一般の選考によつて学識経驗ある者も簡易裁判所判事にはなれるのでありまして、家庭裁判所の方が格の上から申しますと、はるかに高い裁判所である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/22
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023・中村俊夫
○中村(俊)委員 もう一点伺いますが、現行の裁判所法の第十九條、これは「高等裁判所は、裁判事務の取扱上さし迫つた必要があるときは、その管轄区域内の地方裁判所の判事にその高等裁判所の判事の職務を行わせることができる。」つまり同一管轄内におきましては、地方裁判所の判事が高等裁判所の職務を差迫つた必要があるときにはやり得る。つまり下から上に判事を持つて來て職務を行わしめるという規定であつて、同法第二十八條は同樣の趣旨ですが、これは横の線になつて、同一の高等裁判所管内の地方裁判所同士の、いわゆる差迫つて必要があつたときは、甲という地方裁判所の判事に乙という地方裁判所の判事の職務を行わしむる、こういう規定でありますが、これ以外に、つまり違つた高等裁判所の管内に、事務の取扱いに関する差迫つたことが起つた場合のことを予想されておられないのであるかということなのです。つまり近來いろいろな大きな犯罪が起りまして、件数がふえて、一つの高等裁判所でも、もう大阪などでは、この間私は報告書を司法委員長の手元へ出しておいたのでありますが、拘束をされておる被告人で、控訴事件で取調べられない者が三百人以上ありまして、いわんや非拘束の事件は、いつ控訴裁判が開かれるかわからぬというぐらいに澁滯を來しておる。これは大阪の例ですが、その事件を急速に処理させる必要がある場合には、廣島の管内から持つて來られるというような規定の必要があるのではなかろうかと考えられるのですが、そういうようなことについて政府は改正をなさるた意思を持つておられるのか。今のところそういうお考えはないのであるかということを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/23
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024・岡咲恕一
○岡咲政府委員 中村委員の御質疑の点はまつたく御指摘通りでございまして、高等裁判所相互間における裁判官の職務代行の規定はございませんし、從いまして現実にそういう必要がある場合はどうするかということが問題になるわけでございまして、政府といたしましては最高裁判所ともよく協議いたしまして、あるいはその立法を必要といたしますならば、立法的措置を講じたいと考えております。立法的措置は講じないでも、しからばそういう場合に何か適当な対應策があるかということになるわけでございます。これは最高裁判所説明員の説明をまつた方が適当かと考えまするが、おそらく最高裁判所におきまして、その事務の繁忙な高等裁判所の裁判官に兼補するという形で、裁判官を多少機動的に使い得るのではなかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/24
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025・森三樹二
○森(三)委員 家庭裁判所の問題ですが、ただいま中村君からも質問がありましたが、家事審判所というものを家庭裁判所にするわけです。家事審判所というものは一つの裁判所に隷属しているように思うのですが、家庭裁判所は独立の裁判所になるだろうと思う。その場合その地位や性格はどういうふうになつているのか。家庭裁判所というものは独立した一つの裁判所となるのでありましようが、そうすると地方裁判所と対立の関係になるのか、地方裁判出所の下になるのか、あるいは独立しているから、何も相互間の関係がないのか、そうした点について、ひとつ御説明を願いたいと思うのであります。私は根本的に申しますと、そう裁判所を濫設—という言葉は当るか当らぬか知ませんが、みだりに一般裁判所のほかに独立の裁判所というものを—たとえば以前行政裁判所というものがあつたにもかかわらず、そういう特別の裁判所を認めないという憲法の規定によつて、それを廃止しておる。少年審判所から変形して家庭裁判所になつたという話もあるのですが、そのように特別の裁判所を多数つくるということは、一体憲法の特別裁判所というものをなるべくつくらないという根本趣旨からいつて、何ら牴触しないものであるかどうかということ、またその裁判所の階級が一体地方裁判所と同格なのか、それともずつと下のものか、そういうようなもののけじめをつけておかないと、所長の任命なんかについて、地方裁判所の所長級の者が所長に任命されるのか、あるいは昔の区裁判所の監督判事級の者がこの家庭裁判所の所長になるのか、今後いろいろ紛淆が起きるのではないかと思う。それからまた法廷その他の設備等についてはどういうような方式をもつてなさるか、そういうようなことも一應ここで承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/25
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026・岡咲恕一
○岡咲政府委員 森委員のお尋ねにお答えいたします。家庭裁判所はもちろん特別裁判所ではございませんで、これは憲法に定めております下級裁判所の一種類でございます。そうしてその階級は、地方裁判所と大体対等の裁判所というふうに考えております。從いまして家庭裁判所長は地方裁判所長と同格の人が任命されるだろうと思いますが、司法行政の関係、それから裁判所の営繕あるいは物的設備、そういう関係につきましては、幸い最高裁判所の説明員が御出席ですから、最高裁判所の説明員の方に御説明を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/26
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027・小川善吉
○小川説明員 ただいま岡咲政府委員からるる御説明がありましたので、大体は御了承願えたことかと思いますが、家庭裁判所は現在の家事審判所、これは從來の地方裁判所の支部として設けられておつたものであります。その部分の家事審判所の関係、それから別の少年の方で設けられておりました少年審判所とを包括いたしまして、そうして新しく家庭裁判所というものができることに相なつたわけであります。審級の関係からいいますと、家庭裁判所は一番下になるわけでありますが、しかしそのすぐ上は高等裁判所へつながることになりまして、地方裁判所との間には審級の関係では何らの連絡もないことになつているわけであります。そうして監督の系統から申しましても、やはり同じ経路をたどりまして、家庭裁判所から高等裁判所へ、そうして最高裁判所へというふうに監督が行われるわけであります。從つて地方裁判所がその下級に簡易裁判所を持つておりますのと違いまして、家庭裁判所は下級の裁判所を持たないことになるわけであります。かような家事審判所が扱つておりました事務と、少年審判所が扱つておりました少年審判の事務と合せて家庭裁判所へ持つて來ることになりました思想と申しますか、根本的な考え方は、從來家庭に関する紛議については、これを從來の裁判所におけるごとくに、原告が勝つか負けるかという一本勝負で行かないで、家庭的なきわめて温和な雰囲氣の中で事件の処理をしたいという一つの考え方のもとに、家事審判所が発足した次第であります。さらに少年の審判でありますが、これはすでに犯罪を犯した者もありましようし、また氣の毒なその生活環境のために犯罪を犯すおそれのある少年、そういうものもすべてこの審判の対象になるわけでありますが、そういう人たちの保護について処分をいたします場合には、これまた從來のような、被告人として扱うというような刑事手続き的な扱い方がいけないことはもちろんであります。從つて少年審判所ではかなりやわらかい、あたたかみのある取扱い方をして参つたのであります。こういつた扱い方というものは、いわば一つの家庭的な雰囲氣の中で扱いたい、そういう理念がまた少年審判の中にはあつたわけであります。その少年審判の処置と家庭に関する事件の審判に関する処置とは、やはり家庭的なきわめて親和的な雰囲氣の中で扱わなければならない。こういう点においてきわめて共通的なものを持つておると認められまして、これを家庭裁判所として、あわせて一つの裁判所にして持つて行くのが適当ではないか、こういうふうな考え方のもとに構想せられた次第でございます。從つて森委員のおつしやいます、各種の裁判所をおちこちにつくるということの必ずしも好ましくない、あるいはまた憲法の趣旨にも反しはしないかという御議論、ごもつともでございますが、その点はこれを必ずしも憲法がいつております下級裁判所の中に入らない裁判所だというふうにも考えないのでございまして、やはり下級裁判所の一種類として、最高裁判所、高等裁判所という系列の中に入つて來る裁判所として考えておるわけでございます。さような意味合いにおいて、ひとつ家庭裁判所に構想について御了解願いたいと思います。なぜ予算的な措置につきましては、種々政府の方へお願いいたしましてやつておる次第でございますが、目下のところではまだ予算に対する査定もございませんで、明確な御返答を申し上げることのできないのをはなはだ遺憾とする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/27
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028・森三樹二
○森(三)委員 ただいまの説明に関連して私はどうしてもお聞きしたい。午後に延ばされては困る。憲法の七十六條の二項の「特別裁判所は、これを設置することができない。」という規定には牴触しないというような御説明でありますが、とにかく一般の裁判所という概念のほかに、そうした家庭審判所ができる。そうするとまたそのほかに社会裁判所とか、あるいは経済裁判所とかいうようなものが私は多数出て來るような氣がしてしようがない。しかも今の御説明では、地方裁判所と同格のものだと言われますと、地方裁判所があるところには大体一つづつできると予想される。その数もあなたからもつとあとから御説明願いたいと思いますが、そうすると國家の非常に経費の多端な折柄、またたくさんの建物をつくつたり、裁判官を補充したりして莫大な費用になるのではないかということもおそれます。それからあなたのただいまの最高裁判所の御説明によりますと、家庭のような雰囲氣でもつて事を処理したいということがあつたが、それは私は少年審判所とか、家事審判所とか、かえつてその方が名前がやわらかいと思う。裁判所というと、やはり訴訟手続きをもつて嚴粛に判決の言渡しをしなければ、裁判というものは終局しないようにわれわれは思う。ところが今の家事審判所は、やはり調停のような形で大体やつておるように思うのですが、今度できる家庭裁判所というものはやはり調停專門にやるのですか。それとも裁判で原告、被告にわかれて、そうして離婚爭議などをやつて判決でもつて事を処するというのですか。あるいは判決によらずして調停によるというような場合もあるでしようが、お互いに原告、被告にわかれてやるならば、私は一般裁判所の管轄にまかしてかまわないと思う。憲法に牴触しないとあなたはおつしやるが、私はかえつて將來に惡弊を残す大きな端緒になると思う。だからたとえば少年にしても家庭の紛爭にしても、審判所というような——審判所も裁判所もものを処理するということから行けば同じようなものですが、普通の社会に與える名称としては、裁判所に行くということと家事審判所に行くということとは、よほど從來の概念からいつて、與える影響というものは異なると思う。だからこれについて私数はどれくらいできるかしりませんが、國家の費用というものもお考えになつていただきたい。また將來いろいろな裁判所がたくさんできるような氣がしてしようがないのですが、それらについてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/28
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029・岡咲恕一
○岡咲政府委員 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の中に、家庭裁判所の設置される数、その所在地が示されておりませんが、大体地方裁判所の所在地に設置されるわけであります。從つて地方裁判所と同数であります。
それから家庭裁判所における裁判の問題ですが、これは小川最高裁判所説明員から御説明がございましたように、現在の家事審判所と少年法に定める少年に対する保護事件、それから少年法に定める刑事事件、それを神轄する裁判所でございまして、実質的には現在の家事審判所と、それから少年法に定めるところの少年審判所の事件が一緒になるだけでございます。從つて通常の裁判所におけるような訴訟手続はあまりございませんで、大体家庭事件については審判と調停、それから少年事件については保護処分、それから少年に関言のある成人に対する刑事事件、その方はいわゆる刑事訴訟手続になるわけでありますが、刑事訴訟手続における面は割合に少くなるわけでございます。そういう関係上通常裁判所の中で取扱うよりも、事件の性質から申しましても、また裁判官の閲瀝、経驗から申しましても、老練な刑事あるいは判事補を充てることが必要でございますので、むしろこの際独立の裁判所として構想した方が適当だと考えまして、家庭裁判所というものを設置することになつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/29
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030・森三樹二
○森(三)委員 ただいまの御説明によりますと、なるべく判決等によらずに処置するというのですが、今の家事審判所もそうだと思うのです。ところがその地方裁判所と同じ地位において、その下はないけれども、上は高等裁判所、最高裁判所につながるという御説明でしよう。そうするとそこには調停が不成立になればそのままですが、家庭裁判所ができて調停で事が終れば上告審等もできないでしよう。それでは上につながらないじやないですか。家庭裁判所に係属するものが訴え得なくて、結局調停だけであつて、上の方に審級がつながつてないことになるわけじやないでしようか。その点私は大きな疑問がある。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/30
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031・岡咲恕一
○岡咲政府委員 調停の点については御指摘の通りでございますけれども、家庭裁判所における非常に大きな権能は審判でございまして、審判におきましては不服であれば抗告、さらに憲法問題であれば最高裁判所に抗告できるということになるわけでございますから、審級の関係に相なるわけでございます。のみならず成人に対する刑事事件がございますのデ、これは通常の形式における刑事裁判でございますから、これはもちろん高等裁判所あるいは最高裁判所に控訴、上告ができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/31
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032・森三樹二
○森(三)委員 そうすると裁判所というからには、そこに申立に対して権威ある裁判官の一定の意思決定がなければならぬ。そうすると裁判所という名称の取扱い方について非常に紛淆を生ずるのではないかと思う。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/32
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033・岡咲恕一
○岡咲政府委員 家事事件につきましては、現在地方裁判所の支部でこれをいたしておるのでございまして、やはり審判手続をい平しておるわけでございますが、それを家庭裁判所の中に吸收いたすわけでございまして、決してこの裁判に紛淆を現実に來しておりませんし、將來にも紛淆を來すおそれはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/33
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034・森三樹二
○森(三)委員 それからあなたのさつきの御説では、判決ではなくと抗告だと言われました。そうすると判決ということはないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/34
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035・岡咲恕一
○岡咲政府委員 審判です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/35
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036・森三樹二
○森(三)委員 それなら審判所という從來の関係で事は満足するように思うのですが、新たにこういうふうな家庭裁判所という、憲法に疑いまで起きる独立した裁判所を設置する必要はごうもないと私は考える。それから職員の点について、まだ相当増員でもなさるお考えでもあるのですか、その点を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/36
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037・岡咲恕一
○岡咲政府委員 家事審判所関係は現在地方裁判所の支部として動いておりますので、この点は森委員もあまり御疑問がないと思います。ただ問題は、少年審判所というものは現在は裁判所でばございませんで、法務廳の所管に属しております一種の行政的な措置をいたしておる審判所でございますが、これは現在通り法務廳管下において、少年審判所として行くということも一つの考え方でございますけれども、私から御答弁申し上げますのは少し僣越かと思いますが、関係方面といろいろ少年法の改正について論議研究いたしておりました当時から、関係方面では審判官というものが少年事件を取扱うのは好ましくない。これはむしろ正規の裁判をなし得る、資格経驗のある裁判官が少年事件については保護処分をいたすべきであるという強い御要望がありまして、それに從いまして、前國会におきまして少年法が制定いたされたわけでございまして、その線に沿いまして家庭裁判所を設置いたすことになつたわけでございます。これは政府といたしましても好ましい改正と考えておりますし、憲法に牴触する点はごうまつもないと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/37
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038・森三樹二
○森(三)委員 まだお尋ねしたいことが多々ありますが、今法務廳総裁がお見えになつたので、昨日の田中政務次官の家宅捜索についての法務廳総裁の本会議における答弁において、はなはだ不明確なものがあつたのでお尋ねしたい。國会議員の住居である家宅を捜索することについて、あなたはいま嫌疑というようなものはない、ただ單なる必要に基いてやつたと言うのですが、日本の刑事訴訟法の明文から言うならば、嫌疑という必要があるから、すなわち檢事は所管の判事に令状を要求して、その令状に基いて家宅の捜索を執行したのであつて、あなたの言われる必要ということは、日本の刑事訴訟法上、それが嫌疑があるから捜索を行つたものである、かように解釈をするものでありますか、この点あらためてお尋をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/38
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039・殖田俊吉
○殖田國務大臣 私は実は法律上のことを正確に存じませんものですから、報告を聽取して、聞きました通りに申したのでありますから、あるいは言葉が不正確であつたのではないかとあとで考えました。しかしながら私のあとで聞いたことでございますが、とにかく政務次官の宅に何らか事件に関して証拠物件になるものがあると思つた、それでそれを捜索する必要があつた。なぜ私が議員の宅を、しかも政務次官の宅をそう急速に捜索する必要があつたのか——私はあらかじめそれを聞いておつたのではございません。必要があつてそれで捜索をしたのである、こういうことでありまして、私の答弁がはなはだ不正確であつたのではないかと思いまして、恐縮に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/39
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040・森三樹二
○森(三)委員 ただいまの法務総裁のお答えでは、そういう必要があつたかどうか、あとから聞いたのだということを言つておられるのですが、從來の慣例からいつても、勅任官級の者の家宅捜索とか、あるいは逮捕せんとする場合には、内閣に禀請までなしたものだと考えている。從つてわれわれの身分は、國会開会中は逮捕することについて、國会の承諾を必要とすることが規定されているのであつて、いやしくも自分の身柄を保護する家宅を捜索されるということは、身柄の逮捕とほとんど同じような影響を良えるものだと私は考えている。從いまして田中政務次官の家宅を捜索することについて、法務総裁に関係檢察当局が一應打合せなり、あるいは報告なり、許可なりを必要としないで行われるのであるか。またあなたはそうした相談も何もなくて、法務廳の総裁が全然関知をしないでそういう事柄を処理していいとお考えになつているか。その点をまず御明確に願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/40
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041・殖田俊吉
○殖田國務大臣 私はあとで承知したのでありますが、あの程度のことは総裁の許可を得なくともできることである、こう聞きましたのであります。お説のごとく、いやしくも議員の居宅を捜索するということは、身分に関係がないからいいというのは、私は少し行き過ぎておるような氣がいたしまして、十分何とか調和の方法はないものかと、今しきりに相談をいたしておるような次第であります。実は休日の日に、目立たないように捜索をしたのである。であるからそんなに影響するところは大きくないつもりだつた。こういうことでありますけれども、なかなかそうでなかつたようでありますから、実はこれは恐縮に思つておるのであります。これは何らか適当なる方法がなければいけないのじやないか。制度としてはないかもしれませんけれども、ただいま私は苦慮いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/41
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042・森三樹二
○森(三)委員 憲法に規定するところは國務大臣の逮捕に関しては総理大臣の許諾を必要とするということも書いてある。また議員の逮捕については先ほども申した通りである。いやしくもその議員が居住する家宅を捜索することについて、法務総裁はあとで聞かれたといえばそれまでの話でありますが、今でも非常に恐縮しているとおつしやる。その言葉はまことに誠意あるものと思うのでありますが、しかしながらわれわれが家宅捜索をされ、あるいはそうしたことが新聞に掲載されるということは、あなたが恐縮するぐらいでは済まないのです。実際においてわれわれ政治家にとつては、ああしたことはまつたく致命的な問題です。自分が絞首台において首を絞められたと同じである。いやしくもあなたが法務総裁として下級の檢事を指揮監督される立場において、恐縮だけでは済まないのです。私はそんなことをあなたに個人的には申したくないが、國会という立場においては、あなたはその責任を重大に痛感されなければならぬと私は思うのです。これがいやしくも野党の議員であろうと、與党の議員であろうと、われわれは國会議員自身の身分を憲法において保障されてある以上は、絶対にあなたが責任を重大にお考えにならなければならないと思うのであります。單に恐縮くらいでは済まぬと私は思うのでありますが、その点についていかなるお考えを持つておられるか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/42
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043・殖田俊吉
○殖田國務大臣 從前は勅任官以上の人を処置いたしますときには、必ず司法大臣の認可を得たものだそうであります。ところが最近に至りましては、檢察の独立性を強調しますために、もう司法大臣、つまり法務総裁の許可を必要としないというふうに聞きましたのであります。憲法にいわゆる平等の原則で、身分によつて取扱いを別にしてはいかぬということのために、やめたそうであります。但し今お話のごとく、たとえ身分を拘束するのでなしに、あるいは召喚をするということでなくても、家宅を侵害するということは重大なことであります。だから私が実は苦慮していると申し方げました通り、これに対して何らかの制度を立てなければいけないのではないか、こういうことを痛感しておるのであります。ただそれをここに具体的に申し上げるほどの、私にはまだ準備ができておりませんので、はなはだ遺憾でありますが、將來私のとります処置についてごらんを願いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/43
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044・森三樹二
○森(三)委員 ただいま法務総裁が御答弁なさろうとしたときに、政府委員が横合いから何か告げ口をされたようであるが、それは私の想像では憲法上、法の前には國民は平等であるというようなことを何か告げ口をしたと思うのであります。あるいはそんなことは告げ口しないかもしれんが、このように推察をした。もちろんわれわれは法の前には平等であるが、しかしながら國会議員は國会議員として新憲法でも保障してある。しかも憲法の第七十五條に「國務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。」というように、おのおの國家の重要なる機関に対しては憲法自身が保障してある。從つてわれわれは、生活をするとか、旅行をするとか、あるいは選挙権の問題だとか、そういう問題は法の前に平等であるけれども、いやしくも國家の機関として動いておる以上は——しかも現在は國会の開会中である。そして田中君は法務政務次官という大臣の次の地位にある人なのである。從つて憲法自体もやはり國家の機関に対してはそれぞれの、つまり個人の権利を尊重してここに規定をしてあるのであつて、私は法務総裁の御答弁は当らないものだと思う。法務総裁自身も、從來は勅任官の起訴や逮捕などについては、やはり内閣の同意を必要としておつたということを言つておるのであるが、事柄がこれほど重大な問題について、法務総裁はまだ十分な御研給が足りないというのか、あるいはまた御認識が足りないというのか、もの事柄が起きてから数日間もたつておる。日曜にこつそりと、世間にわからないように家宅捜索をしようと思つたというお話でありましたが、いやしくも公人の家宅捜査をすることについて、わからないようにしようなんということは、おそらくできることではない。第一新聞の発表されたところによると、吉田総裁のGHQの見解が云々というようなことが漏れたという。その漏れたのはかぎの穴から漏れたとか漏れないとかいうことさえもいわれておるのであつて、公の國家の訴追機関が、しかも國会議員の家宅を捜索するということは、日曜にこつそりやつたのであるからわからぬだろうと言うこと自体が、私は檢察当局の認識も足らないし、また法務総裁のただいまの御答弁自体も、事柄の重大さを認識していないこと、あまりにもはなはだしいものがあると思うが、この点についての御見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/44
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045・殖田俊吉
○殖田國務大臣 私は法律につきましてあまり精通しておりませんのでありますが、私今の問題は、森委員と同じように考えましてこれを追究したのでありますが、家宅捜索をする場合は、被疑者の邸宅でなくても、第三者の家宅をも捜索し得る。でありますから、家宅捜索というものはそんなに重大なものではないというふうに実は聞かされたのであります。しかしどう考えましても、お話の通り家宅というものはほとんど人格と離るべからざる関係もあると思います。そのために重大な影響を及ぼすということは、これはなかなかたいへんなことと思つております。でありますから何とかこれは制度を立てるなり、方法を講じなければいかぬのではないか。法務総裁の権限を主張するわけではありませんけれども、法務総裁に——少くとも檢事総長なりに報告をいたしまして、檢事総長から法務総裁に何か禀請するというようなことでもなければいかないのではないかと私は考えておりますが、私は訴訟法等につきまして精通しておりませんために、まだ私の見解を述べまして研究を急がせておるだけでありまして、具体的なことをお答えができませんことははなはだ残念であります。さよう御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/45
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046・森三樹二
○森(三)委員 法務総裁は、自分は手続法等について十分知らいなというようなことを言つておられるが、一國の法務総裁が知らない存ぜぬでは通らないですよ。そういう人が法務総裁のいすに安閑としておるということは、私はふしぎに思う。いやしくも法治國において、その最高の人権を擁設しなければならないところの立場にある人が、自分は手続法は知らないから、法律は知らないからといつて、そうして自己の責任を回避するような態度というものは、われわれ許しがたいものがあると思う。しかもあなたのさつきのお話では、その執行に当つたところの話を聞いてみると、被疑者自体でなくとも、第三者の犯罪によつて第三者の家宅を調べるということがあるのだから、被疑事実がなくても調べることもできるし、またさしつかえないものだというような御趣旨の御答弁があつたのであるが、私は田中君が國会議員という重職にあるということを前提としと先ほどから申し上げている。しかもそれならば私は具体的に申し上げると、極端にいうならば、あなたが行つた犯罪のために私の家宅の捜索をどんどんやられてたまりますか。私が行つた犯罪について私のうちを家宅捜索するというならば、これは話はわかる。またそういう趣旨でなければ私のうちの家宅捜索は私は絶対にできないものだと思う。かりにあなたがやつた犯罪について、私のうちをどんどん家宅捜索されてはたまつたものじやないんです。それならばその趣旨をはつきりと、田中政務次官は何ら個人として犯罪の嫌疑は絶対にないのであるが、しかしながら同氏の家宅に置いてあるものが第三者の犯罪の証拠物として絶対に必要だから、これを家宅捜索を行うのだという趣旨の但書でもついたものならばいいのでありますが、從來そういう先例はありません。すなわち田中君自身がみずから犯罪を行つたという根拠がなくしては、田中君の家宅捜索は私は絶対に行えないものだと思うのでありますが、その点について御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/46
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047・殖田俊吉
○殖田國務大臣 今お叱りをこうむりましたが、正直に申しまして、私はその法律論は正確にここでお答えができません。但し私の承知しておりますところでは、法律に照しまして間違いのない処置をとつた。これは私は信じております。お話のごとくその影響するところは大きい。あるいは國会議員であるというような点につきまして、なるほど相当行政の取扱い上考慮する点はあるかと思いますが、法律的には正しい処置をしたものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/47
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048・森三樹二
○森(三)委員 それでは私は本論についてお尋ねをするのでありますが、すなわち昨日のあなたの御答弁は、必要性があつたから家宅捜索をしたということを述べられておる。われわれの解釈するところのその必要性なるものは、もちろん必要なくして家宅捜索を行うわけでもありませんでしようが、その必要性なるものは、田中君本人の犯罪の嫌疑があるがゆえに、田中君の家宅を捜索したものである、これが從來の法律並びにわが日本國の刑事訴訟法の命ずるところである、かように私は考えておる。しかるにあなたは、田中君自身の刑事被疑事件については、いまだそうしたところの嫌疑というものはないという御答弁をきのうされておつたのであるが、私はその点をあなたから明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/48
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049・殖田俊吉
○殖田國務大臣 田中君個人の問題よりも、石炭國管問題につきまして捜査をいたしております。それに関連しまして出て來た必要からであつたと承知しております。おそらくこれは疑惑があるとか—私の使いました言葉もはなはだ不正確で申訳なかつたのでありますが、大きく申しますれば、あるいはそういう資料を持つておる、証拠物件を持つておると考えられること自体が、多少の関係があるということになるのであろうかと思うのでありますが、私ははなはだ言葉が不正確で申訳ないのでありますが、今のところ田中君を被疑者として捜査するというほどの必要は、それも程度問題でありましようが、直接田中君を問題として捜査したというわけでもないというふうに聞いておるのであります。私ははなはだ申訳ないのですが、專門家がここにおりませんために、その間の御説明がまだよくできません。はなはだ申訳ありません。この点につきましてはもつとよく私は取調べまして、お答えをさせていただけばけつこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/49
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050・森三樹二
○森(三)委員 それでは法務総裁もよく取調べて御答弁になるとおつしやつていますから、私は最後の質問をして、自分の質問を留信いたしておきまして、一應本日は終りを告げたいと思うのであります。法務総裁のただいまの御答弁をわかりやすくもう一度確認するならば、田中君本人に犯罪の嫌疑がなくとも、田中君の家宅を捜索することができるというような御趣旨の御説明であるのでありますが、そのように承つておいてさしつかえないですか。その点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/50
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051・殖田俊吉
○殖田國務大臣 私はさように考えておりますけれども、いま一應詳しく取調べてお答えいたしますと申し上げたのでありますからその点ももう少し念を入れまして、聞きましてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/51
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052・森三樹二
○森(三)委員 それでは私の法務総裁に対する質問は一應留保いたしておきまして、本日はこの程度にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/52
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053・中村俊夫
○中村(俊)委員 私は今の点について、一言だけ法務総裁にお尋ねいたしたいと思います。私の法務総裁にお尋ねし、また希望いたすことは、法務総裁が法律についてお詳しくないということと、それから政党政派に何ら御関係のないということが、私は非常にけつこうなことであると思う。この際私は御質問申し上げて結論をお願いしたいのは、近來檢察ファショの声が高いのです。そこでこの問題は田中君に嫌疑があるかないかということが問題になつているのですが、私は一種の檢察ファショの現われだと考えております。一例を申し上げます。先般栗栖國務大臣が涜職の嫌疑で強制処分を受けました。これは私の見解によれば明らかに憲法違反でございます。と申しますのは憲法第七十五條に、「國務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。」という現定があるのでございます。訴追ということは、御承知の通り起訴をするということでございますが、当時檢察廳の考え方は、第十四條の國民は平等だという立場によつて、強制処分は訴追でないのだからいいという見解を発表されたように思うのでございます。ところが憲法は、決して刑事訴訟法の規定を書いているものではありません。憲法は國の進むべき大綱を示すものでありますから、憲法の條章は、その精神が最も必要なものでなければならぬと、私は考えております。從つてここで追訴という言葉が使われておりますけれども、これを刑事訴訟法上の起訴と同じものと解釈することは問題ないと思うのでありますが、起訴する場合においては、その在任中は内閣総理大臣の同意を得なければならぬと私は考えている。これは國務の遂行の方が重大なのだ。かりに國務大臣に犯罪の嫌疑があつても、國務の遂行に支障を來すために七十五條で保護されているものだと私は考えている。從つて犯罪の嫌疑が濃厚であつて起訴しなければならぬ場合においては、内閣総理大臣の同意がいるのだから、捜査途上にある強制処分は断じてなし得ないと、私は確信を持つておつたのです。この私の見解を裏づけるもう一つの理由は、皇室典範の第二十一條に「攝政は、その在任中、訴追されない。」という規定があるのでございます。今の時代でございますから、攝政と國務大臣と何らそこに区別はあるべきでありません。攝政は陛下にかわつて國事を担当するものであり、國務大臣は國政を担当するものであります。その國事を担当する攝政の在任中は、これは同意も何もなく、訴追は断じて許さない。その訴追を許さないという皇室典範の二十一條の規定を、刑事訴訟法の解釈と同じく、訴追だけが許されないので、強制処分のみはできるのかという問題になるのでありまして、この考えから言いましても、あの國務大臣を強制処分をしたことは明らかに憲法違反であり、檢察ファショの大きな現われであると確信いたしておりました。ところが当時栗栖氏は民主党でありましたので、民主党からああいう嫌疑者を出したために、わが党といたしましてはこの法律上の見解に明らかにしなかつた。しかし幸いにしてこの私の見解は京都大学の佐々木惣一博士並びに大石義雄等の憲法学者などが全面的に支持してくれた。從つて私はこの問題については一種の確信を持つているのですが、かくのごとく一種の檢察フアシヨというものが行われつつあつた。ところがこのたびの田中君の問題です。御承知の通りあれは家宅搜索である。これは刑事訴訟法の應急措置法によりましても、これは判事の搜査令状を持たなければやれないという規定になつております。しかもその措置法の第七條の二項でありますが、「檢察官又は司法警察官は、裁判官の令状がなければ、押收、搜索又は檢証をすることができない。但し、現行犯人を逮捕する場合及び勾引状又は勾留状を執行する場合は、この限りでない。」但書があつて、現行犯人の場合はよいけれども、その他の場合には裁判官の令状がなければならぬということになつている。この法律の趣旨からいつても、嫌疑があつて初めてそこに搬査令状という強制的な処置がとり得るのだと私ら法律家として信じております。ことに今政界、官界、実業界を問わず、疑獄がうず巻いておりまして、天下の視聽を集めている。現内閣は法務総裁も御承知の通り、まず綱紀粛歪ということを第一に掲げております。そのときにその内閣のもとで皮肉にも、こともあろうに田中法務政務次官の家宅搬索をするということは、これはよほど愼重な感度でやるべきだ、愼重であらなければならぬと私は考えているのです。私はきのう法務総裁が、突発的なことであつて、十分なる調査もなくお答えになつたことを責めようとは思いませんけれども、嫌疑がなくと家宅搜索がなし得るか、私は疑問を持つている。何か嫌疑になるような証拠があつたから家宅搜索をしたのであつて、田中法務政務次官に嫌疑があつたとは思わないときのうお答えになつたように、私は直接聞いて知つておりますが、それならば田中君に嫌疑がない場合には、任意に書類を提出させるという方法をとらなければならぬ。第二の檢察フアツシがここに出て來たのだ。私はこれを非常におそれているのでありまして、從いまして今も條文を読みましたように、これは新しい刑事訴訟法ではありません、古いのでありますけれども、現行の刑事訴訟法にも、家宅搜索につきましては秘密を守らなければならぬというようなことは特に書かれてあるわけです。だから家宅搜索をやるということは、今も言いましたようにこういう強制力を用いるというときには、必ず嫌疑がなければやつてはならぬことだと私は確信している。從つてこの問題につきましては、第二の檢察フアシヨがここにあるのだ、しかも皮肉にも、最も檢察の中心である法務廳の法務政務次官の家宅をああいう強制的な方法によつて、しかも田中君に嫌疑がないとしてああいう強制力をとられたということは、これは檢察フアシヨである。この点はきのう一應田中君に嫌疑がないということを維持するために、あるいは法務総裁がそう言われたのかもしれませんけれども、それなら檢察フアシヨです。もしも檢察フアシヨでないというならば、田中君に嫌疑があつたからああいう強制力を用いたということは当然なことだと思われる。この点はいずれにしても法務総裁としては、もしも田中君に嫌疑がないということを確信をもつておつしやるならば、あなたはいわゆる政党政派に御関係のない立場におられ、しかもむしろ法律にしろうとであられた方がよい立場におられる方として、私は多大の期待をもつて、断固としてこの檢察フアシヨを押えていただかなければならぬと思う。もしも檢察フアシヨでないのだということであるならば、はつきり田中君に嫌疑があつたから強制力を用いて家宅搜索をしたのだとおつしやつていただくのが、正しい立場におられる法務総裁の言じやないかと思うのでありますが、これに対するあなたのお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/53
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054・殖田俊吉
○殖田國務大臣 私はただいまの御議論まことにごもつともであると思います。たとえ法規がありましても、もしさような法律の精神を超えて、いわば法律を濫用するというようなことがありましたら、それはゆゆしきことと思います。でありますからその辺もよくひとつ研究をいたしまして、適当に善処するようにいたしたいと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/54
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055・木内曽益
○木内政府委員 ただいま中村委員の御質問のうち、私からも一言お答えをいたしたいと思うのであります。先ほど來、私の聞き違いでありますならば訂正いたしたいと思いますが、今御質問の点を私が承りましたところでは、家宅搜索を受ける本人に被疑事件がなければ家宅搜索はできないというような御趣旨でお話になつたように思われるのでありますが、その通りでありますならば、私はその見解には反対であります。と申しますのは、他人の被疑事実につきましても、あるいはその事件に直接の被疑者ではないけれども一應の関係があるとか、あるいはその関係の証拠品が他の者の家に置いてあるとかいうような疑いのある場合におきましては、直接の被疑者でなくとも、第三者の家宅をも搜索し得ることは、私は法律上まことに明瞭である、かように考えている次第であります。從つて田中政務次官に被疑事実ありやなしは別問題といたしましても、なおかつ搜索官が被疑者でない第三者の家に、他の被疑事実についての関係証拠品ありという疑いを持ちました場合におきまして、令状を請求いたしまして家宅搜索をすることはできる、かように考えている次第であります。なお田中氏の問題につきましても、むろん今後のことは私は言明できないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/55
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056・中村俊夫
○中村(俊)委員 私は今の檢務長官の御答弁に対して、ここで法理上の意見を鬪わそうと思つておりません。法務総裁に私の見解を述べて意見を求めたのは、今檢務長官の言われたようなときにこそ、私は重大だと思うのです。そういうときにただちに強制力を用いて搜査する。そこに檢察フアシヨという疑いがなないかということを心配するのです。かりに今檢務長官が言われるごとく、田中君には疑いはないけれども、田中君の持つておる書類の中に犯罪の証拠があるということならば、なぜ任意出頭の穏やかな方法をおとりにならぬかということを私は先ほどから言つておる。それでも権利があるのだ、違法じやないのだということ一点張りで木内檢務長官は言われますけれども、私は正常の問題を言つている。今疑獄のうず巻が起つている今日において、しかも嚴正公正でやつて行くのだという吉田内閣のときに、皮肉にも田中法務政務次官のところを強制力でやつて行かれた。先ほどの法務総裁の御答弁並びにただいまの木内檢務長官の御答弁によると、現状においては田中君に疑いはない、しかし持つておる書類の中に犯罪の証拠になるものがあるから強制力を用いたと言われる。その強制力を用いたというところに、私は飛躍があるのではないかと思う。それではなぜ任意提出をお求めにならなかつたか、なぜそういう穏かな手段をおとりにならなかつたか。しかしおれたちは権限がある、強制力を用いる理由がある、田中政務次官に証拠湮滅のおそれがある、だからやつたのだとお答えになるのでは、ここに犯罪の嫌疑があるからやつたということになりはしないか。犯罪の嫌疑がある、あるいは証拠湮滅のおそれがあるから強制力を用いたとおつしやつてもさしつかえないと私は申し上げる。しかし今木内氏の言われるごとく嫌疑がないとすれば、いわゆる檢察フアシヨの声が出ている今日、こういう点を避けられて、任意提出の方法をとられなかつたというところに、私は遺憾な点があるのではないかと思う。この点を私は申し上げる。もう一度この点についてお答え願わなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/56
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057・殖田俊吉
○殖田國務大臣 今木内長官は純法律的に申し上げたのでありますが、お説のごとく、もしそのけじめがはつきりいたしませんときには、はなはだ遺憾な結果になるので、今後は十分注意いたしまして、そういうことのないようにいたします。さればと申しまして、いろいろ研究の結果、あるいは田中君にまた被疑事件がなかつたと申し上げられません。そのことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/57
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058・森三樹二
○森(三)委員 木内檢務長官にお尋ねをいたしたいのですが、あなたは條文の眞正面のお話をしておるのであつて、それは刑事訴訟法を読めばわかる。すなわち現在は國会開会中であり、田中君は國会議員として、憲法がその身分について保障をしておるということもあなたは御承知だと思う。すなわち國会議員は犯罪の嫌疑ありといたしましても、院の許諾を得なければ逮捕できない。しかもその自分のからだを晝夜間断なく保護する慰安所である家宅である。家宅というものは人間の身体に次いでこれを保護しなければならぬということも、檢務長官はおわかりだと思う。刑法においても、家宅侵入罪というものは現に存在するのであつて、われわれの住居しておるところの家宅、しかも國会議員は國民の代表として、國家の最高の機関で、國会の重大なる審議を担当し、いろいろ國政に関するところの重要法案もあり、秘密の書類もある、そういう家宅である。普通一般の家宅とは違うのである。すなわち身体も、またその身体を保護する家宅も、これに準じて十分に保護されなければならない。その身分を持つておるところの國会議員の家宅を、しかも開会中において、あなたのような法理一点張りでもつてびしびしとやつて、すなわち第三者の犯罪にからんでもできるじやないかというような、そういう法文の眞正面な解釈で今後も、また田中君に対してもやつたとすれば、私はこれは國会を否認し、またわれわれの身分をあなたはまつたく無視したところの檢察フアシヨの行き方をしたのだと断ぜざるを得ない。從いまして、どうしてもわれわれが國会の開会中に逮捕されたり、あるいは家宅捜索をされる場合には——いやしくも私自身の家宅を捜索される場合には、私自身に犯罪の嫌疑が十分そこに存在するという場合でなければ行うことは妥当でない、かように私は考える。それについてあなたはどんな考えを持つておるか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/58
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059・木内曽益
○木内政府委員 森委員のただいまの御質問の御趣旨は、私もまことにごもつともと思うのであります。先ほど私が中村委員にお答えいたしましたのは、仰せの通り法律上の見解を申し上げたものであります。しかしこれが運用につきましては、仰せのような十分考慮しなければならないことはもちろんでありますし、私どもも重々その点は考えておる次第であります。もちろん今後におきましても、御趣旨のように取扱わなければならないし、また取扱う考えを持つているのであります。しかしながら捜査の段階におきまして必要であるという場合がありましたならば、これはまた檢察権の行使の立場から、適正公平に扱わなければならない、かような考えておるのであります。しかしその取扱いにつきましては、ただいまお話の御趣旨を十分考慮いたして処置すべきものと、私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/59
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060・森三樹二
○森(三)委員 ただいま檢務長官は、私の質問に対して趣旨は同感である。しかしながらその必要性のある場合にはやむを得ないと言つておられるのでありますが、私はその必要性が、すなわち本人に犯罪の嫌疑があるということが、國会開会中の議員の家宅を捜索することについては必要である。私はかように申し述べているのであります。すなわち國会議員たる者の身分と一般人の身分について、憲法はそれほどの差別を規定しているのであつて、現在私は國会の開会中において國会議員の家宅を捜猛したということに重大なる異議を持つ者でありまして、昨日も法務総裁の御答弁によりますと、すなわち犯罪の嫌疑を受けるようなものはいまだないと自分は考えておると言いましたか、聞いておると言いましたか知らぬが、いやしくも國会議員の家宅を捜索する場合には、それが本人の関係する犯罪に関しようと、あるいは第三者に関しようと、そうした場合には、あなたは法務総裁等に相談をせられてやるべきが妥当であるとお考えになるのか、ならぬのか、その点もあわせてお答えを願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/60
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061・木内曽益
○木内政府委員 もちろんかような事件につきましては、法務総裁の意見を承り、また十分報告申し上げるのが、むろん当然のことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/61
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062・森三樹二
○森(三)委員 先ほどの法務総裁の御答弁によりますと、これは事前に捜査当局から打合せであるとか、あるいは相談であるとか、許可であるとかいうような折衡がなかつたように御答弁になつたと私は承つておるのでありますが、ただいまの木内檢務長官の御答弁によりますと、そうした手続をするのが妥当であるというお答えでありましたが、その間に私は齟齬があるように思うのであります。田中君の家宅捜索に関しましては、檢務長官として法務総裁に打合せをされたかどうか。その愼重を期せられたかどうかということについてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/62
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063・木内曽益
○木内政府委員 内規におきまして、請訓規定というのがあるのであります。法務総裁は檢察廳法第十四條によりまして、個々の事件については檢事総長のみを指揮するという規定がありまして、全般的にどの事件についても檢長総長に対して指揮することができることはもちろんでありますけれども、内規の請訓規定というのがありまして、一定の事項に限つては、なるほど全部総裁の決裁を経なければならないことになつておるのでありまするが、それ以外のものは全部現地の檢察廳に事件の処理を一任しておるわけであります。以前にはいろいろ國会議員の場合はどうであるとか、あるいは役人ならば勅任官は稟請すべきだとか、あるいは有位有勳者はどういう手続をしろとかいうようなことになつておつたのでありますが、新憲法が施行されることになりましてゐ法の前に万人は平等であるという建前を徹底する意味において、御承知のように特殊の事件以外のものは全部稟請を要せずして、一線の地方檢察廳檢事正に一任するということになつておるのであります。しかして國会議員の開会中の逮捕という問題でありますと、これは当然國会の承認を経なければならない問題でありますから、法務総裁の許可を得べきものでありまするが、國会議員でありましても、それ以外の点につきましては、すべて一線の檢察廳檢事正にその処理を二任しておるわけであります。從つて檢察廳から、たとえて言うと、本件のような場合の家宅捜査というような場合においては、内部的においては檢察廳から法務総裁に何ら事前に報告しなくてもよろしいということになつておるわけであります。それどこの田中政務次官の場合は、事前というよりも家宅捜査令状の請求後において報告があつたわけであります。從つて総裁もその後に御承知になつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/63
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064・森三樹二
○森(三)委員 檢務長官から法の前に國民は平等であるから、取扱いについては逮捕以外は平等だというようなかいつまんだ御説明があつたのでありますが、しかし憲法七十五條には、國務大臣を訴追する場合には内閣総理大臣の同意を必要とするという規定もあるのでありまして、田中君は政務次官として、大臣の次に國政の枢機に参與しておるところの非常に重要なる地位にある者である。しかも私が前会も申し上げましたように、その身体を保護するところの本人の住宅を家宅捜索するということが、すなわち逮捕前はなんら関係がないからといつて——逮捕の場合には議院の承諾を得なければならない。ところがそのからだを保護する住宅の場合には、憲法に直接の規定がないからといつて、國会開会中でも堂々と三箇所にわたつて家宅捜索をするということについて、法の前に平等であるからといつて、何ら法務総裁、すなわち國会の法律関係の万般の責任をもつて答弁をしなければならぬところの法務総裁に対して打合せも、何ら事前の了解も得ずしてやるということは、はたして私は憲法の精神に合致し、また國会議員の地位を——すなわち憲法に國会は國権の最高機関であるという四十一條の規定もあるのでありますが、その國会を構成するところの議員の居宅を侵す——侵すというか、捜索をするということが、決して法の前に平等であるというような解釈から妥当であるかどうか。私はその点について檢務長官の御意見を司いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/64
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065・木内曽益
○木内政府委員 御趣旨はごもつともでございます。しかしながら根本的に、法の前に万人は平等であるという原則にはかわりはないと思うのであります。しかしながら実際の取扱いにおきまして、御趣旨のことはまことにごもつともでありまして、かような点につきましては今後十分考慮いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/65
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066・森三樹二
○森(三)委員 それでは田中君の場合におきまして、昨日の法務総裁はその必要があつたから家宅捜索をしたのだけれども、田中君本人が犯罪の嫌疑があるかどうかということについては、いまだ自分はわからないのだというような御答弁があつたのでありますが、われわれは國会議員の地位を保障する上においてゐいやしくも本人に犯罪がない限りにおいては、そうみだりに私は家宅を捜索するということは軽々に許しがたいことだと考えておるのでありますが、その点に関して、田中君は犯罪の嫌疑があつてやつたものでなかろうかと、私はかように考えておるのでありますが、その点についてお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/66
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067・木内曽益
○木内政府委員 問題は捜査の内容に関する問題でありまして、その点については現在捜査の段階にある問題でありますから、ちよつと今のところお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/67
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068・殖田俊吉
○殖田國務大臣 ただいまの森議員のお話まことにごもつともでありまして、実は私には責めがあると思います。と申しますのは、私は檢察が最も嚴正公平に行われることを希望いたしましたために、法務総裁というものは檢事総長のみ指揮し得るというごく例外的な規定がありまして、一般には法務総裁は、檢察廳の職務執行に関與しないという建前の方がいいて考えておりまして、そうして下僚にもそういうことを実は明言しておりましたために、かえつて、法務総裁に事前にいろいろ相談をして、法務総裁の態度に間違いあらしめてもいかぬ、こういうふうな考えが下僚にあつたと思います。でありまするから、かえつて法務総裁を煩わさずに、嚴正公平にやつた方がいい、こう思つてやつたものと考えております。私にもその責めがあつたと考えております。むろん執行しました後にはただちに報告はあつたのであります。それは詳しい報告はありませんが、私の了解した程度の報告はございました。ございましたけれども、私に一々相談をするということはもちろんなかつたのであります。また私も相談されたくなかつたのであります。相談をいたしますと、いかにも権限のないところに——ちやんと法務総裁は檢事総長のみを指揮するという明文がありますのに、いかにも政府あるいは與党というような関係に制せられることはならぬと私は考えていましたから、いかなる場合にも嚴正公平に檢察当局が誠意をもつてやればそれで十分だ、こう私は実は考えて、その考えを皆に傳えておりましたために、かえつて今のようなことが起つたのかもしれないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/68
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069・中村俊夫
○中村(俊)委員 法務総裁は非常にまじめな方で、檢務長官から言われたことをすぐに言われますが、なるほど今の何條かには、個々の件については檢事総長のみを指揮するとありますけれども、檢察廳法の第七條によつて、檢事総長は部下の指揮監督をする権限があるのです。だからあなたに直属しておるのですから、個々の問題についても、檢事総長を指揮することそれ自身は、必ず全部の事件をあなたがつかさどることになるのではありませんか。だからタツチするとかタツタしないとかいうことはおつしやらない方がいいと思うのです。檢事総長が指揮しているのですから、その他の現職第一線の檢事は直接あなたの指揮監督を受けないでしようけれども、檢事総長が全部を指揮しておるわけだから、檢事総長をあなたが個々の問題について指揮なさるのだから、直属しておるのですから、そういうことをおつしやらない方が私はいいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/69
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070・殖田俊吉
○殖田國務大臣 私は十分精通しませんために、そういう間違いをしておりますから、今後は十分氣をつけます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/70
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071・鍛冶良作
○鍛冶委員 大事なところですから、もつと確かめておきたいと思います。なるわど先ほどからの御議論でいうと、檢事のやることは、総裁でも必要があればやり得るということになりましよう。これは何人でも平等であるからというので、特に昔からの規定のように大臣——今日の法務総裁の指揮を仰がなくてもいいということになるでしようが、これは法律論でありまして、一面政治論から考えてみますと、檢事一体性の原則というものは十分に残つておると考えます。そうすると今中村君の言われた通り、檢事総長を指揮されるということは、全体の捜査その他に対する指揮権があなたにあるわけです。しかも國会における責任を負うのは法務総裁である。それでこういう重大なことにあたつて、法務総裁の知らぬ間にやつて、國会でこういう問題で起りますと、あなたに責任が出て來る。何にも知らぬ者に責任を負わせるということは、あり得ることでないと思います。この点は総裁もよくおわかりになつたと思います。檢務長官に司いたいのですが、かようなことが起つては、法務総裁としては知らぬことで國会で責任を追究されてはたまつたものではない、こういう重大な政治問題を取上げるには、私は政散的に必ず事前において相談もし、万遺憾なきよう総裁の意見もとつてやるべきものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/71
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072・木内曽益
○木内政府委員 御趣旨はごもつともでございまして、その点は檢察廳の方に十分徹底するようにいたしいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/72
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073・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案及び下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、この二案について審査を続行いたします。この際御質疑がございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/73
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074・中村俊夫
○中村(俊)委員 戸籍手数料の額を定める法律の一部改正につきまして一言お尋ねしておきます。この第二條に五円を十二円に改めるという改正案が出でおるのですが、これにつきましては、他の委員からも十五円にしてはどうかというような議論があつて、修正までしたいということであつたのでありますけれども、われわれはこの法案は早く通した方がいいと思いますので、このたびは原案を支用したいと思うのでありますが、政府としては次の議会に急速に、これを十五円としい御提案なさり意思があるかどうかだけを司いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/74
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075・青木義人
○青木政府委員 お答えいたします。戸籍手数料の額は地方財政にも相当影響がありますので、最近の物價の騰勢、あるいはまた賃金の改訂等の経済事情にかんがみまして、近い將來関係各方面とも再び折衡いたしまして、できるならば來國会にさらに十五円、あるいはまた事情によつてはそれ以上の額に改正する法律案を提案いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/75
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076・中村俊夫
○中村(俊)委員 次に下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について一言お尋ねいたしたい。すでに政府でも御承知の通り、簡易裁判所の設置については多数の請願も出ておりますし、來年度に簡易裁判所の設置について相当計画があることと聞いておりますが、ただこの際特に私の方で委員としてお願いしたいのは、その計画については具体的にどういうような御準備を持つておられるか。それは今ここど詳しくおつしやつていただかなくても、できれば資料を頂戴いたしたい。
もう一つ特に私は政府にお願いしたいのは、岐阜縣関町に簡易裁判所を置いてくれという希望が一部にありますが、現に御承知の通り岐阜縣の御嵩には簡易裁判所が現在設置されておる。しかも一部にはこの簡易裁判所を昇格して支部にしてもらいたいというような希望もあるのです。ところが一部には関町に簡易裁判所をおいてくれということと、あるいは御嵩のこの簡易裁判所の管轄区域を削つて関へもつて來るというようなおそらく技術的な操作があるだろうと思われる。これは單に一岐阜縣の関町の簡易裁判所に限りません。新設される簡易裁判所については、既存の簡易裁判所の管轄を削るというような事態が全國に相当起るだろうと思います。これが政爭の具になるということを私はおそれるのです。從つてそういう問題については愼重にやつていただきたいという希望と、從つて來年度どういう所にどういう簡易裁判所をおくか、それによつてどういう既存の簡易裁判所は管轄を削るか、あるいは支部設置についてどの点を考慮すべきかということの案を、次の機会までに至急に頂載いたしたい。それについてはいろいろと問題が派生すると思いますので、その点を特に私はお尋ね申し上げると同時に、私の希望を申し述べておきたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/76
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077・森三樹二
○森(三)委員 ただいまの中村君の御発言に関連いたしまして、私一言お聞きしたいですが、鳥取縣の岩井町に簡易裁判所を設置するの請願が通過しておるのでありますが、このたびの下級裁判所設置に際しましてそれがどういうふうに取扱われておるか、ちよつとお答え願えればと思います。ぜひ鳥取縣岩井町に簡易裁判所を設置していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/77
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078・岡咲恕一
○岡咲政府委員 中村委員のお尋ねに対してまずお答えいたします。このたびの下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案には簡易裁判所の増設のことについては何ら触れておりませんが、來年度においては最高裁判所におかれましてそういう御意向のようでありますし、私がいろいろ研究調査いたした結果によりましても、相当数の簡易裁判所を増設する必要が現に存在しておると考えておりますので、目下愼重に研究いたしております。いずれ具体的な案ができ上ると思いますので、参考資料を添えて中村委員にお示しいたしたいと考えております。
それから森委員のお尋ねでございますが、岩井町に簡易裁判所を設置してもらいたいという請願は、お述べの通り本院において採択せられまして、私も先般鳥取方面に出張いたしました際に、実は現地について詳細いろいろ事情を承つて來た次第でございます。これも近い機会に、十分研究いたしまして適当に処理いたしたいと考えております。
それから中村委員の御指摘の点でございますが、簡易裁判所を増設することになりますと、既存の簡易裁判所の管轄というものとの関係において相当困難な、あるいは政治的にやや重要ないろいろな問題が起きるという点、特に政府においても注意されたいというお話はまことに有難な拜聽いたしました。政府においてはその点はとくと注意をいたす考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/78
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079・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 お諮りいたしたいと思います。本委員外の安東議員から下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について発言を求めておりますが、この際許可するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/79
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080・安東義良
○安東義良君 ただいま中村議員から御発言があり、また政府委員からも御懇篤なお話がありましたから、最早私が申し上げることは蛇足であるかも知れませんけれども、この簡易裁判所の設置問題については、政爭の激しい地域においてはきわめて政爭の具に供せられる。これははなはだ苦々しいことでありまして、このために私もただいまお話になりました関の簡易裁判所の問題で同じような感じを深くもつのであります。と申しますことは、あの接続地域の御嵩簡易裁判所なるものは本年一月からであります。元は地方裁判所支部であつた。ところがその地方裁判所支部を突如として多治見に移してしまつた。なくなつてしまつた。これを町民は少しも知らなかつた。しかも町民はその裁判所を維持するために明治九年から非常な努力をなし、二十余年前にはりつぱな裁判所を町で建設して寄附したものであります。しかるにそれをやめるというときになつて一片のあいさつもない。全然地方民を無視して、そういう決定をぽこつとやつてしまつた。やつてしまつてから、がまんしろ、こういう態度に出た。これは明らかに非民主的なやり口であり、民嵩町民にとつても氣の毒なことである。同時にかくのごときやり方をすれば、その附近に対する裁判所の威力というものが非常に減殺され、かえつてそのために犯罪が増加するのであろう。犯罪が少いためにそういうものをとりやめるというたところで、事実はなくすることにおいて犯罪は増加するでありましようということを申し上げたい。それで現に最高裁判所では、この問題を反省していただいておると思います。まことにありがたいのですが、そういうことになりつつあるとは思いますけれども、実際問題として、最近そちらの方へ行つてみますと、犯罪ははるかに増加しておる。裁判所をなくしたゆえに増加しておると私は見てよいと思います。そういうようなわけでありますから、單純なる計数主義とか何とかいうものにとらわれないで、やはり歴史的な意義とか多年の慣習をよく考慮せられた上に、愼重にやつていただきたい、そういうことを私は切に思います。これを誤りますと地方人心の遵送精神に非常に惡影響がありますので、特にお願いして、この問題についても同樣に御考慮願いたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/80
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081・殖田俊吉
○殖田國務大臣 今の安東議員のお話、まことにごもつともであります。ただいまでは最高裁判所が裁判所の支部の廃止など自由にやれるのだそうでありまして、実は政府として直接これに干渉することはできませんので、何とか適当に協調するような道を考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/81
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082・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 それではこの兩法案に対する質疑もないようでありますから、これで質疑を終局し、討論に移りたいと思いますが、別に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/82
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083・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 異議なしと認めます。ではこれより討論に移ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/83
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084・鍛冶良作
○鍛冶委員 私は民主自由党を代表して、兩案とも原案通り賛成いたします。但し戸籍手数料に関しては、先ほど中村委員の言われた希望を付言いたしまして、これに賛成する者であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/84
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085・中村俊夫
○中村(俊)委員 民主党を代表いたしまして兩案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/85
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086・森三樹二
○森(三)委員 社会党を代表しまして、ただいま鍛冶君が述べられた趣旨に沿つて賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/86
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087・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 討論は終局いたしました。
これより二法案について一括採決いたします。兩法案を原案の通り決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/87
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088・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 起立総員、よつて兩案法は全会一致原案の通り可決せられました。なお各案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議でございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/88
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089・佐藤昌二
○佐藤委員長代理 異議なしと認めます。よつてさようにとりはからいます。
これをもつて暫時休憩いたします。
午後一時ご十分休憩
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午後三時五十分開議
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/89
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090・鍛冶良作
○鍛冶委員長代理 休憩前に引続いて会議を開きます。
刑事訴訟法施行法案(内閣提出第一八号)及び裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一九号)をい括して議題にして審議を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/90
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091・中村俊夫
○中村(俊)委員 刑事訴訟法施行法の第二條について一点だけお伺いいたしたいと思うのでありますが、第二條には「新法施行前に第一審における第一回の公判期日が開かれた事件については、新法施行後も、なお旧法及び應急措置法による。」とあるのでありますか、この「第一回の公判期日が開かれた事件」という文句はどういうふうに解していいのかについてお司いするのですが、たとえば第一回の公判期日が開かれた事件という意味は、審理が開始されたという意味なのですか。それとも審理が開始されなくても、一應公判廷が開かれたという事件については、すべて旧法並びに應急措置法を適用になるのか。この点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/91
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092・野木新一
○野木政府委員 ただいまの御質問の点でございますが「第一審における第一回の公判期日が開かれた事件」と申しますのは、もちろん單に期日の指定があつただけでは足りませんので、現実に公判期日が開かれたことを要するわけであります。「公判期日が開かれた」ということは、私どもの解釈といたしましては、当該公判期日において、裁判官も檢察官も列席し、被告人も出て來て、要するにその事件について公判廷が開かれるという段階になりますれば、そこで公判期日が開かれたという趣旨に解しております。從いまして必ずしも事件の内容に入つてまで、弁論がなされたとかいうところまで行かなくてもよいのじやないか、そう思つております。というのは、この趣旨といたしましては第一回の公判期日を指定し、現実の日になりまして公判廷が開かれた。そうなりますともう裁判官は記録もすつかり読んでおりますし、大体そこで区切りをつけるのがりくつにもかなうのじやないか、そういうように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/92
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093・中村俊夫
○中村(俊)委員 大体御趣旨はわかりましたが、ちよつと極端な例をあげてなお一点お尋ねいたします。なるほど裁判官も檢察官も弁護人も立ち会つて公判廷が開かれたが、被告が出廷しない場合はよくあります。あるいは保釈中に逃走したという場合、あるいは不拘束のまま起訴されたりしたので、被告人が当日出廷しないというような場合もあり得るのですが、そういうようなときにおいても、今の御趣旨から言うと、一應形式的にも公判廷が刑事訴訟手続上聞かれたということになれば、この第二條によつて旧法及び應急措置法が適用されると了解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/93
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094・野木新一
○野木政府委員 きわめて形式的に申しますと、要するに第一回の公判期日が開かれれば、公判調書がつくられることになるのでありますから、そういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/94
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095・中村俊夫
○中村(俊)委員 それでは念のためさらに司いますが、同時に提案になつております裁判所法の一部を改正する等の法律案の附則の第十一條に「第一條中裁判所法第十六條、第二十四條及び第三十三條を改正する規定は、この法律施行前に第一審の第一回の公判が開かれた刑事事件の訴訟については適用しない。」とある。この「第一回の公判が開かれた刑事事件」という意味は、ただいま刑事訴訟法の施行法で御説明になりました場合と同じように解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/95
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096・岡咲恕一
○岡咲政府委員 中村委員の御意見の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/96
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097・中村俊夫
○中村(俊)委員 先般私は裁判所法の一部を改正する等の法律案の中で、最高裁判所判事に秘書官を置く、高等裁判所長官に秘書官を置くという規定につきまして、最高裁判所の説明員にその理由をお尋ねしたのでありますが、今の程度においては私としてはまだ十分に了解し得ない点があります。というのは、この秘書官はもちろんここの規定にもあります通り、機密の事務をつかさどるということになつておるのでありますが、むしろ私は檢事総長、檢事長、檢事正などの方が、いわゆる機密という点からいえば、とてもその比ではなかろう。裁判所長官のつかさどる事務のうちの機密の事項と、檢事総長、檢事長のつかさどる機密の程度とは私は問題にならないと思うのであります。ことに各内閣とも行政整理をやかましく言つて、なかなかこれは行われていないのです。從つて最高裁判所の判事の全部、十四名に一人ずつ秘書官をつけるということと、八高等裁判所長官に秘書官をつけるということの必要は、よほどのことがなければ私はこの際遠慮すべきではないか。國家の財政上から見ても、またその他この人員を減らせるという建前からいつても、これは屋上屋を架す規定ではないか、こう考えておりますので、具体的に最高裁判所判事に秘書官をつける必要はどういうところにあるかということを、ひとつ列挙的と申しますか、われわれの納得の行くように御説明願いたい。高等裁判所長官の秘書官も同樣であります。特に私はこの際私の体驗と申しますか、私の聞き及んでることを申し述べますと、先般も私は説明員にお尋ねしたのでございますが、裁判所法のしかれてから今日まで、すべて裁判所の司法行政事務というものが裁判官会議によつて運営されているとうことは明らかであるし、事実運営されておるのであります。從いましてこれと相並んで、相並ぶというよりもこれあるがゆえにかえつて各裁判所の所長、高等裁判所の長官というものがほとんどロボツト的な存在になつておる。同時に裁判官会議の性格というものが実にきわめて不明瞭になつておる。その責任の帰属するところが明らかになつていない。私は一面において裁判官会議という、いわゆる民主主義的な機関ができたことは非常にけつこうだと思いまするが、一面においてこれあるがゆえに、その責任の帰属を明なかにすることができない。それがために実際上各地方裁判所、高等裁判所においても、その責任の帰属がいずれにありやということについて、多くの疑問を残すべき問題が起つております。從つて裁判官会議が絶大なる権限を持つて、——私の考え方からいえば、裁判官というようないわゆる聖職にある人々が人事に関與することを喜ぶという傾向がこのごろあることは、実に私は嘆かわしいことだと思つておるのです。御承知の通り裁判官というものは、神の立場において至公至平に裁判をすべきであつて、俗中の俗たる人事ということに興味を持つて裁判官会議に臨んで、人事を議することをもつて快とするがごとき傾向のあることは、まことに私は嘆かわしい傾向だと考えておつて、最高裁判所においてかくのごとき傾向があることは、最も矯正されなければならぬと考えておるにもかかわらず、裁判官会議の最も重要なることは人事であつて、その人事については各裁判官が非常な興味をもつてこれに臨んでおるという実情を見て、実に私は嘆わしいと思つたのです。從つて裁判官会議がそれだけの権限を持つことは間違いないと、思いますが、現実においてそのように大きな権限を持ち、裁判所の司法行政事務を運営している以上、これは逆に所長並びに高等裁判所の長官というものはロボツト的存在である。それになぜ秘書官というような屋上屋を架するようなものをつける必要があるか、こう考えておりますので、この点につきまして、私が納得の行くように御説明をお願いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/97
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098・本間俊一
○本間説明員 行政事務を会議休でやることの問題は各方面にあると思いますが、裁判所法が施行されてから、まだ短期日しかたつておりません。從つて從來のような旧憲法下の裁判所の組織をもつて適当とするか、あるいは裁判所法の現在の組織によつた方が裁判所の行政事務運営に適当であるかということは、しばらくかすに時間をもつて御批判を願うほかないと思います。今のような責任の所在というような点について、單独制よりはやや複雜なようでありましようけれども、やはり裁判官会議に列席した人々が責任を負わなければならぬことになる。りくつの上ではそうだろうと思います。從つて必ずしも不明確というわけではございません。
それから裁判官の人事が非常に公正に行われるということは裁判所にとつてごく大事なことでありまして、現在の裁判官会議においてそういうことに関して非常に注意されて、各裁判官がそれに対して多忙の中を御協力くださるということは、私は近い將來において、裁判所の人事に関して非常によい結果が現われて來るのではないか、しばらくかすに時間をもつて御批判願いたい。こう思つております。
さらに秘書官を置く点につきましては、ただいま最高裁判所においては定員十五名の裁判官がありますが、十月末の事件数を見ましても、未済事件が刑事において八百八十何件、民事において九十九件というような厖大な事件を控え、そうしてその問題に一方において沒頭するとともに、他方において司法行政事務を会議体でやらなければならぬ、こういう状態であります。その司法行政事務も過去一年の事例をとつてみますと、百五十五回司法行政に関して会議を開いております。こういうような非常に課せられた負担の重い場面において、書類の整理保存、いずれも機密に関係したようなことを、雇その他にまかしておくわけに行かぬ、やはり裁判官の最も信頼を受ける人であつて、その人事に関しては、裁判官は自分の責任と同じく考えられるような秘書官の補助があつて、初めてこの厖大な行政事務をやれるわけでありまして、どうしてもその事務の分量、判決例の機密、その他の問題を考えてみますと、秘書官を置くことが最も適当であつて、單純な事務官をもつてこれを補うことはできないような状態であります。從つてどうぞこの点については、秘書官が必要だということをひとつ御了承願いたいと思つております。なお高等長官については、これはやはり相当裁判官を統轄しておるところの高等長官といたしましては、從來書記長のような人がありましたが、今度は事務局長はその他の行政事務を大分やられる事務的関係になつている。長官の側において隨時それを補佐するような、昔の書記長格のような人が秘書官になつていてもらわないと、いろいろな点に不便がある。これまたやはり秘書官を置く必要があるのじやないか、こう考えている次第であります。どうぞひとつ事務のそういう点を御理解願つて、御賛同を得たいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/98
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099・中村俊夫
○中村(俊)委員 それではなお一点お尋ねいたしますが、現状において最高裁判所裁判官に付する秘書官、それから高等裁判所長官に付する秘書官は、人事の交流だけでなし得るのか、増員をなされるのかという点について、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/99
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100・本間俊一
○本間説明員 高等裁判所の方においては、大体人事の交流においてできるのじやないかと思います。先ほど御質問の経費膨大というような点はなしに済むと考えております。最高裁判所の判事の秘書官については、非常に優秀な人を得たいと思います。單に三級官、現在おる雇などから採用するというようなことは不可能であります。この点についてアメリカなどにおいては、將來嘱目されるような人がその地位について、司法部内における非常に名譽ある地位と考えられておるような話でありますからして、現在の必要から考えると相当優秀な人、たとえば司法官試補を習修した判事補のうちの、非常に優秀な人がついてもらうことを期待するのでありますからして、これは現在の人をもつて間に合わず、増員の形になると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/100
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101・樋貝詮三
○樋貝委員 法務総裁が見える間、少し事務的なことをお尋ねしたい。今の憲法によると、司法権は最高裁判所と法律で定めたところの裁判所とがこれを有するという建前になつているようですが、今の裁判所法によりますと、第一審から第二審、第三審まで行かないと、最高裁判所に行かない。先ほど最高裁判所の裁判官について秘書官を一人ずつつけるというようなお話があり、これに対して御異論のあるような御議論を聞いたのですけれども、一面むりのないところであり、一面確かにその御議論のようなところもありますが、今日最高裁判所の判官たちが、強盗事件などを一生懸命にやつている件数が非常にあるに違いないけれども、そういう趣旨でもつて憲法が制定されたとは思えない。もし少し國家的な大きな事件に関して、最高裁判所の判官が判断をするということになるのが趣旨だと思いますが、今日においては相当事実は違つている。裁判所法によりましても、第三審でなければ最高裁判所に行かない。相当初めの趣旨とは違つていると思いますが、そういうような規定を御改正になる意思があるかどうか承りたいと思う。今日のように行政事項とか、ことに憲法事項等に関しまして、第一審から具体的の事件に関して関連をもたせなければいけないというようなことでは、憲法問題などは最高裁判所に届かないと思います。これらについては根本的に司法制度を改正しない限りは行かないと思いますが、現在依然としてああいうような規定が存在している。ことに私らの見解をもつてすれば、司法権と財産権と身体権等に関する十九世紀の影響を受けての解釈が、今日成立つべきものと思うのでありますが、いやしくも法を適用することはすべて司法権だ。こういうような考えで、宗教裁判所がない今日においては、宗教裁判さえも最高裁判所に行くという傾向をもつておりますから、その趣旨が混同していると思う。從つて今日における憲法の規定から見て、混濁を來していることははなはだしいものがあると考えているが、その司法法規に関する改正をなさる御意思があるかどうかを承りたい。これは事務的のことであるけれども、裁判所方面として十分にお考えにならなければならぬ事項だと思いますから、その点についてお聽きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/101
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102・本間俊一
○本間説明員 最高裁判所といたしましては、その点について実際の事件の増加に顧みて、事務局としては相当研究をしております。刑事事件については幸い刑事訴訟法の規定が新しく改正されるようになりますと、最高裁判所に來る事件について、憲法違反、判例違反というようなことが非常に少くなると思います。この点については、新刑訴のもとにおいては憲法問題が中心になるというふうに考えております。民訴については今のところは非常に少い。さつき申し上げたように、十月末の現在において九十九件ばかりで、非常に少いのでありますが、しかし將來のことも考えまして、この問題の最高裁判所の扱うべきところの事件数を制限する方法について考究しておりますが、まだその成案を得るに至つておりません。そういうことについては十分調査いたしまして、善処したいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/102
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103・樋貝詮三
○樋貝委員 私の伺いますことは、今日の裁判所法の建前から、いえば、すべての裁判事項は最高裁判所まで行き得るようにしてありますが、一方訴訟法の規定によれば、第三審でなければ最高裁判所え行けないことになつておる。これは両方ともに実際から離れておるのではないかと思います。憲法では、司法権は最高裁判所または法律で定めたところの裁判所に属するということになつておる。司法権というのは十九世紀からの沿革的意味をもつておりまして、民事刑事だけでありまして、ほかの行政事項などに関しましては司法権は及ばないと思います。今までの憲法としては、法律に委任しておることが非常に多いが、今度の憲法においては、直接規定をなしておるものが非常に多い。從つて法律をもつて変更することができないことが非常に多いのですが、この点に関しましては、法律をもつてすればよろしいというような今までの考えではこの憲法が通れないと思いますが、それらについての根本的な見通しはいかになつておるか。その辺から御修正にならないと解決はつかないと思います。言いかえれば、今の裁判所法に少しく違憲な点がありはしないかということでありますが、その点についてもし御研究があるならば聽かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/103
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104・本間俊一
○本間説明員 今の裁判所法が憲法の精神に沿つておるかどうかというような点については、十分研究いたしてみたいと思いますが、樋貝委員からサゼストがあつたような、法律の違憲審査の問題を直接最高裁判所にもつて來ることができる。第一審、第二審を経ないでただちに最高裁判所に持つて來ることができるではないか。こういう議論については、私の方で事務局として調査しております。外國の例にもありますが、ことに最近地方自治体において、十年以下の懲役を科するような條例がずいぶん出ておるのでありまして、そういう問題について、あるいは法務総裁あたりがただちに最高裁判所に訴訟を起すことができるようにしたらどうかというような問題についても、やはり調査研究しておりますが、まだ成案になつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/104
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105・樋貝詮三
○樋貝委員 法務総裁お見えのようですから、午前中の質問に対して少しお尋ねしたいと思います。田中角榮君の問題について、疑惑があるかないかということに対して、午前中非常に議論があつたようですが、私は法律論とすれば、法務総裁及び当局の方がお答えになつたように、あの場合において、第三者側の搜査権があるという御見解は、法律論としては正しいと思いますが、政治論として今日具体的の問題を考えれば、その間に何か意味があるような、少くともそれが表面に現われない以前において、すでに意味があるような御搜査をなさることは避けなければならぬことだと私は存じます。それが日曜に陰微の間にやられたのだからさしつかえないのだというようなお話がありましたけれども、たいてい家宅搜査は、朝つぱら人が起きるか起きんかしらんうちにやられておる樣子であります。勾引でも同じことであります。日曜にやつたからとか、あるいは人のわからぬときにやつたからということは言い訳にならぬと思う。そういうことをおやりになるおらおやりになるで、相当の注意をもつてやるべき問題だと私は考えておる。ことに今までの例としては、第三者の場所を搜査なさることも少いでしようし、今回の場合に特に疑惑をさしはさまれるようなことをなさることは、大いに考えなければいかぬことだと思いますが、法務総裁は御承知がなかつたというようなことでありますけれども、どうも今朝來の御答弁を聞いて、まだ私は釈然たるものがないのでありまして、これについて法務総裁として、明瞭に一言ここでお與え願いたいと私は思います。今朝から承つたことに対して特に御質問申し上げれば、その点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/105
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106・殖田俊吉
○殖田國務大臣 樋貝さんの御質問は私はごもつともだと思います。実はこの問題は私の注意が十分に届きませんために、結果におきまして、はなはだ不本意な結果を生じておりはせんかと考えておりますが、その点につきまして私は重々責任を感じておるのであります。しかしすでにこれはできたことでありまして、また相当な理由もあるのでありまして、單に何も理由なく、いわゆるフアシヨ的の考えをもつて簡單に経率にやつたということではないのであります。やはり相当な理由と相当な注意を拂つて実行したことでありまして、ただそれが他の影響を考え、あるいはまた大きな憲法等の精神に考えまして、穩当を欠くような結果になつておりはせんか、こうも考えておるのでありまして、いかにこれを処置すべきか、今後これをいかに調和していくかむずかしい問題でありまして、さればと申して、法務総裁が檢事総長のみを指揮するという規定がございますけれども、これは檢察のことになりますれば、法務総裁がみずから一定のプランを描いて檢事総長を指揮するわけにはまいりません。他の下級の檢察廳から檢事総長え報告をされて、檢事総長が指揮を求めた場合にのみ指揮をし得るということになつておるのでありまするから、そういう規定のありまする精神もまた非常に重大な精神でありまして、これを簡單に法務総裁が自由に指揮して、あるいは何から何までくちばしをいれるということがあつては、はなはだ相済まざることが生ずるのであります。その辺彼此いろいろと勘案をいたしまして、何とか適当な調和の道はないかと今苦慮いたしておるのであります。要するに私法務総裁といたしましてもつて勉強いたしまして、常に不断の注意を怠らず、法規にそむかざる程度において運用して行くよりほかないと思つております。御心配の点、また今日御議論の点もごもつともの点が多々あるのでありまして、私はそれらの御主張、御意見を十分に尊重いたしまして、私もいろいろ考え、また省内の幹部とも相談いたしまして、將來あやまちのないよう、法の精神にもとらないように、何とかくふうをしてみたいと考えております。ここで明確に具体的にどうするということを申し上げられないのは遺憾でありますけれども、大事な問題でありますから愼重に考慮いたしまして、もし法制等の必要があれば、それはまた法制を立てることもいたさなければならぬと思つております。今日の場合、一昨日の事件に関連いたしまして、種々考えさせられることが多々あるのでありますが、十分考慮いたしまして、皆樣の御意見のあるような線に沿うて進みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/106
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107・樋貝詮三
○樋貝委員 私けさほど法務廳関係の方から伺つたのではなかつたのですが、森君の御意見にもあつたようですが、憲法が身分保障をしている。だから搜査もできないのだということを言われておりましたが、それに対して私も多少異論があります。逮捕と搜査と段階が違う、從つて逮捕について憲法の保障があつたところで、それはただちにもつて搜査の保障にならないと私は考えております。そういうこともなかつたようでありますけれども、しかしそういうふうに考えております。しかしたとえそうい場合でありましても、よほど趣旨はくまなければならぬことは同調いたします。從つて現行の法律がどうなつておろうとも、新憲法の趣旨にのつとつて、できる限り法の実をあげなければならぬと思つております。それについては十分御考慮願いたいと思つております。ことに党人でないところの方を法務総裁に選んだゆえんは、相次ぐ疑獄に対して徹底的にメスを入れる意味だろうと考えております。現実にそのためになられた法務総裁が、相談一つ受けないというようなことであつてはならないと私は思います。十分に御相談になつて、十分に秘密を守つて、これに対して最後のメスを與えられることが適当であろうかと思います。從つてただいま申し上げたことくに、今度の組閣に当りまして、その点がやはり党人を避けたゆえんだと私は考えております。これが御相談なしに單独に輸ばれたというようなことは、はなはだ遺憾のことと思います。檢事総長を指揮するということは、檢事を指揮するということになるかと思いますが、直接または間接に全國の檢事を指揮する場合において、自分が知らなかつたということをお述べになることは、決してそれは言い訳にならないと私は思います。もう少しその点については御勉強になつていただきたいと考えております。あるいは御意見のごとくであるかもしれませんけれども、そういうことを希望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/107
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108・殖田俊吉
○殖田國務大臣 樋貝さんの御意見はまことにごもつともでありまして、私も檢事総長ともよく相談をいたしまして、お互いにそこにむりがなく、円満に指揮され指揮し得る状態をつくりたいと考えております。はなはだ責任回避に聞えまして申訳ございませんが、実は就任早々でありましたために、その辺の呼吸が十分に届いておりませんで、これはすべて私の不敏のいたすところでありまして、おわびをする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/108
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109・中村俊夫
○中村(俊)委員 午前中に私のお尋ねする点は大体伺つたので、ただ一点だけ幸い法務総裁がおいでになりますから、お願いかたがたお伺いするのですが、午前中の私の法務総裁に対する質問の中で、私は栗栖國務大臣の逮捕の件について一言私の法律的見解を述べたのですが、あの栗栖國務大臣の在任中の逮捕については、院憾ながら法務廳にも異なつた意見があつたということを私は聞いておる。そこで御承知の通り法務廳には意見廳というのがあります。これは有能である長官を初めとして有能なる方々がお集まりになつている。その意見廳の職責は、おそらくこういう重大な問題についてこそ初めて活動をなさらなければならぬものだと考えておるのですが、法務総裁が今述べられたように十分に公平に、そして世の指彈を受けないように今後やりたいという御見解には衷心から賛意を表しますが、その実行の一つの具体的現われとしては、必ず私は意見廳の御活用が必要ではないかと思う。今回の田中角榮君の搜査についても、檢察当局は意見廳に意見を求められて行動なすつたのであるかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/109
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110・殖田俊吉
○殖田國務大臣 檢務長官がよく承知しておりますから、檢務長官より答えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/110
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111・木内曽益
○木内政府委員 事捜査に関する問題でありますから、意見廳から意見は徴しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/111
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112・中村俊夫
○中村(俊)委員 けさほど檢務長官からは、法律に捜査する権限があるから、その権限を行使して檢察廳はやつたのだという御意見がありましたが、私はそういう法律上のことを申し上げておるのではない。この際大きな政治問題であるから、政治的の点について十分愼重にやつてもらいたいということの意見を述べて置いたのですが、檢務長官の御意見は、きのうきよう檢事になつて第一線にいる若い檢事が、おれにはこういう権限があるのだからやるのだというようなことと同じような、ただ法律上の見解だけでやれるのだからやつたのだという御意見のように午前中拜聽した。だいまは捜査だから、別に意見廳の意見を聞かなくてもいい——これはもちろん独自の立場でおやりになる権限はあるのですが、ちようど今問題になつておるのは、いろんな政治問題を中心としての大きな疑獄事件が起つておるのであるから、事いやしくも法律政務次官の家宅を捜査するというような、社会に與える影響がきわめて大きいときには、たとえそこに権限はあつても、その権限行使についてなおほかに適当な方当があろうかなかろうかということを、十分愼重にやつていただかなければならないものではないかということなんです。私のけさほどからの質問申し上げたいことはそういうことなんです。從つてあの田中政務次官の家宅捜索は、いわゆる権利があるからして当然の権利を行使したのだということでは、そこに行き過ぎがあるのではなかろうか。田中君に嫌疑があるのでなくて、持つておる物に嫌疑があれば、任意提出の方法でやられないのか、任意提出をやれば、田中君は少くとも石炭國管に反対した代議士であるからして、証拠湮滅をなるかも知れない。やるならそこに証拠湮滅の嫌疑がはるから捜査令状でやつたのだということでいいのである。そこに犯罪の嫌疑があるから強制的な手段を用いる。田中君に何らの嫌疑がなければ、いかに権限はあつても強制的な方法を用いずに、もつと任意な穏かな方法でやり得たのではないか、こういうことを私は問題といたしたいのだ。從つてなるほど捜査の途上だけれども、その捜査をするについてこの際愼重にという意味においても、なお必要ではないかということで私は伺つた。ところが捜査の途上だから、秘密が漏れるからでしようが、これは意見廳の意見を求めなかつたと言われますが、そういう点について法務総裁としてなお一層愼重の態度をとつていただけば、事が穏便に行つて、田中君に何らの疑惑がないという結論が將來起つた場合において、やはりこの方法をやるべきではなかつたということがあるだろうと思う。大きな政治問題、社会問題を起す問題であるがゆえに、おれは権限があるからよろしい、おれは権限を行使するのだという態度は、十分に御檢討いただかなければならぬ。その点について、幸いにして法務総裁が今後十分に研究の上処理しようということでありますから、この意見廳の御活用ということも特に頭に置いていただきたい。こういうことを一言申し添えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/112
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113・鍛冶良作
○鍛冶委員長代理 私から法務総裁にちよつと伺いますが、新刑事訴訟法審議の際に、画期的の大法典でありますから、これを準備し國民に周知徹底せしめるというときには相当の期日を要するものと考えて、一月一日の施行はむりであろうと考えておつたのであります。しかしいろいろの事情で一月一日から施行するということになつたのですが、準備と申しましても特に私聞きたいのは、檢察陣、裁判所その他の設備等たいへんな準備がいると思いますが、それらの準備ができて、一月一日に何ら支障なくやり得るだけに行つておるのでありましようか。その点をまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/113
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114・殖田俊吉
○殖田國務大臣 実は新刑事訴訟法は昨年一月一日から施行されることになつておるのでありまするが、新刑事訴訟法の制定されましたのが今年七月でありまして、六箇月の期間を置けば施行法もでき、裁判所の規則もでき、警察官の規範もできる。それから人的物的の設備も完了する。こういう予定で明年一月一日というふうになつておるのだそうであります。ところが事実はその後議会の関係も非常にかわつて参つておりますし、政府もかわつておりますし、そういうわけで予算もふえております。それからまたいろいろな施行法は今度の議会に提案をいたしまして、御審議を願つておるのでありますが、そのほかのこれに関連いたします法規類が実は完備しておりません。最高裁判所におかれましても熱心にルールをおつくりになつて、それは大方完成しておられるそうであります。しかしながらこれに基いて制定いたします警察官に関する規則はまだできておりません。延び延びになりましたため、いろいろな手違いを生じておりまして、はなはだ責任回避のようにも見えますけれども、刑事訴訟法を完全に施行しようといたしますれば、実はまだ施行しにくい状態にあるのであります。どうして施行いたしましようか、非常に心配しておるのであります。しかしながらすでに法律がああいうふうにきまつておりまして、関係方面の意向もありますので、どうしても施行しなければならぬという状態に立ち至つております。從つてもし施行になりますれば、いろいろ不十分な点、また手不足、人不足、あるいは物不足というようなことも出て参りましようが、何としてもこれは施行して行こうという決心で今やつております。それで予算との点につきましても、予算編成に当りまして、最初はあの予算を削られたのでありますけれども、これは特別な問題であつて、ぜひとも施行しなければ、ならぬのであるから、ぜひ予算をどこかえむりやりにでも入れてもらいたいというので、大藏省に頼みまして、実は予算の中に織り込んでもらう約束をいたしておるのであります。ところがその予算すらもまだ実は完結しておりません。あるいはわずかあと四日の会期中に予算を提出することができるかできないか、それも危ういのでありますが、できたといたしましても、これを完全に審議いたしまして御議決を願うのもまたどういうことになりまするか、安心がならぬ状態であります。もしまた解散等がありますれば不成立に終ります。そういたしましたときには、何かの緊急の措置でやれるといたしましても、はなはだ心配にたえないのでありまして、私どもは法律は施行しなければならぬが、準備は不十分だということで頭を惱ましておるのでございます。それが現状でございます。ただ法律を施行するということだけは、今まだいささかも決心はかえておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/114
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115・鍛冶良作
○鍛冶委員長代理 今予算のお話がありましたが、予算は確かにとり得るお見通しがついておりまするか。もしまたかりに本議会において予算が成立せなかつた場合でも、緊急の措置としてやり得るだけの見通しがついておりますでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/115
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116・殖田俊吉
○殖田國務大臣 予算はまだ関係方面との完全な了解がなければどうということは申し上げられないのであります。ことに私どもの要求しております刑事訴訟法施行に関する予算そのものについては、まだ関係方面とははつきりと了解をつけておらぬのであります。ただ大藏省が雜件を予算の中に織り込んでありまして、その雜件の中で考えてくれるということになつておりますので、多分大藏省との約束通りに行けるものと考えております。しかしそれは予算が完全に成立したときの話でありまして、今度もし予算が成立しないで、参議院における緊急集会というもので緊急の予算を成立せしめてもらうときに、それが入るかどうか、こういう問題があります。これも私は大藏大臣との関係におきましては、入れてもらうということを約束をしておるのであります。さて緊急集会におきまして御議決になるやいなや、これもまた心配をしております。それと同時に緊急集会ということになりまして、全部の予算はとうていその集会に提出するわけにも参りませんので、いろいろの費目をピックアップいたしまして、その際その財源等のにらみ合いもあつて、要求する予算額が追加予算の場合のごとく、完全な数字が盛せれないこともあろうかと思います。その点も非常に危惧いたしております。ただ危惧ばかりをいたしておりまして、ほんとうのしつかりした見通しがないので残念であります。そういう状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/116
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117・鍛冶良作
○鍛冶委員長代理 法律が全部そろつたといたしましても、もしそういうことで予算が通らなかつたとしたら、これはどういうことになりますか。施行できなくなるのじやありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/117
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118・殖田俊吉
○殖田國務大臣 はなはだ不完全な施行になるだろう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/118
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119・石井繁丸
○石井委員 ただいま法務総裁から予算のことについてお話があつたが、それに関連して少しく御質問をしてみたいと思うのであります。大体新刑事訴訟法の趣旨に基いて、過日來彈劾裁判所におきまして、われわれ彈劾裁判員として裁判をやつたのでありまするが、大体裁判員は弁護士あるいは判事等をした者でありまして、相当経驗がある者でありますが、新刑事訴訟法の形に基いて審議いたしますると、旧刑事訴訟法と違いまして、非常に手間もかかりますし、またいろいろとやつかいな問題も出て参る。そういうふうな問題でありまして、新刑事訴訟法の施行は思つたよりも困難を伴うのではなかろうかと思われるのであります。かような重大な画期的な刑事訴訟法を施行せられるときにおいては、これに対する予算も考慮しなければならぬのに、まだそれに対する措置ができないで、とにかく施行期日がそうきまつているのだからというだけで実施いたしましては、非常な禍根を將來に残すようなことになるのではなかろうかと思われるのでありますが、これらに対する見解を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/119
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120・殖田俊吉
○殖田國務大臣 ごもつともでありまして、そのために非常に苦慮をいたしております。あるいは施行を延期してほしいというような意見もあつたのでございますが、不幸にして、そういう希望をいれるような客観情勢がないものですから、いやでもおうでもやらなければならぬ立場に追に込まれておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/120
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121・石井繁丸
○石井委員 それからこれはいよいよ解散になつたときには、参議院に緊急集会を求めて、そうして予算を通過させる。こういうふうなお考えが政府においては非常に強いようでありまするが、私たちが常識的に考える場合において、大体今の六千三百円の人事委員会の賃金ベースは、これは現在の政府においては予算措置が困難であろうと思うのであります。しかるに官公吏の方においては七千三百円ベースをとなえている。こういうふうな問題が起つているのであります。参議院の緊急集会にその予算が上程されに場合に、おそらく参議院においては、かような問題は参議院の緊急集会において措置するベきものでない。解散後における國会においてやつてもらうのが適当であろう。つまり全官公労や何かのいろいろな攻撃を回避する向きからも、おそらく審議に應じなくなるのではなかろうかと考えられる。大体そういうふうに考えるのが常識でなかろうかと思うのであります。こういうふうな状態が常識的に考えられるときにおいて、予算が組めないでおつて、この刑事訴訟法が実施されたときには、どんな結果になるであろうかという点についての御見解を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/121
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122・殖田俊吉
○殖田國務大臣 その点を実は非常に苦慮をしているのであります。もし予算もできない、そうして一月一日に施行しなければならぬ、そうした場合に、施行が六割と申しますか七割と申しますか、ほとんど施行は名ばかりであつて、施行しないと同じような、つまり実効にない施行に終ることになりますれば、これはゆゆしき大事であります。でありますからその際は私は——これはここで申していいかどうかわかりませんが、もい万一そういうような事態に立ち至りました場合には、それこそ施行の延期を緊急集会で願うほかないのではないかと思います。これができることかできないことか、その際になつてみなければわかりませんが、私はせつぱ詰まつて來れば、そういうことを考えるよりしかたがないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/122
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123・石井繁丸
○石井委員 大体裁判所法の一部を改正し、特に刑事訴訟法の施行をいたすということになりますと、相当額の予算が計上されなければならないのではなかろうかと思うのであります。大体彈劾裁判におきましても、初めはあまり経費はいらないだろうというようなことで、その筋においてもあまり予算を認めなかつたのでありますが、やつと見ますと予想外に経費がいる、そこで新刑事訴訟法の施行について、どのくらい予算を要求しておるか、また大藏省においてどのくらいこれが具体化されて來ておるかを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/123
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124・殖田俊吉
○殖田國務大臣 ただいま私のお答えしました中で一つ欠けておりましたことは、今のような緊急集会において特別な措置を願うといたしましても、これはやはり関係方面の了解を得なければできませんので、関係方面の了解を得てそうしたいと思つております。
予算のことでありますが、はつきりした数字をここで申し上げかねますけれども、約九億であつたと記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/124
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125・石井繁丸
○石井委員 刑事訴訟法の施行に関してだけで九億になるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/125
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126・殖田俊吉
○殖田國務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/126
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127・鍛冶良作
○鍛冶委員長代理 本日はこの程度で散会いたします。
午後五時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100305206X00919481126/127
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