1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年五月十八日(水曜日)
午後三時三十八分開議
出席委員
委員長代理理事 神田 博君
理事 今村長太郎君 理事 灘谷雄太郎君
理事 村上 勇君 理事 小金 義照君
理事 今澄 勇君 理事 橋本 金一君
理事 川上 貫一君 理事 永井 要造君
理事 河野 金昇君
阿左美廣治君 岩川 與助君
門脇勝太郎君 高木吉之助君
多武良哲三君 福田 一君
水谷長三郎君 聽濤 克巳君
柳原 三郎君 衞藤 速君
出席政府委員
商工政務次官 有田 二郎君
商工事務官
(纎維局長) 長村 貞一君
商工事務官
(中小企業廳振
興局長) 小笠 公韶君
商工事務官
(石炭廳配炭局
長) 波多野義熊君
商 工 技 官
(石炭廳生産局
長) 田口 良明君
委員外の出席者
衆議院法制局長 入江 俊郎君
專 門 員 越田 清七君
專 門 員 谷崎 明君
專 門 員 大石 主計君
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本日の会議に付した事件
臨時鉄くず資源回收法案(内閣提出第一七二
号)
配炭公團法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二〇〇号)
地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、
通商事務所の設置に関し承認を求めるの件(内
閣提出、承認第三号)
地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、
纎維製品檢査所の支所設置に関し承認を求める
の件(内閣提出、承認第四号)
連合審査会開会に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/0
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001・神田博
○神田委員長代理 これより商工委員会を開きます。
前会に引続き私が委員長の職務を行います。ただいまより臨時鉄くず資源回收法案を議題として審査を進めます。この際小金委員の提出になりました本案に対する修正案について説明を求めます。小金義照君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/1
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002・小金義照
○小金委員 先般お手元まで配付いたしました臨時鉄くず資源回收法案に対する私の修正案の御説明を簡單に申し上げます。すでに質問に際して十分その意を盡しておりますので、簡單にその要点だけを申し上げます。すなわち第三條の中に妙な字があります。「以下同じ。」というのがあるのであります。これは法案整理の手落ちであつたということでありますから、これを削除いたします。それからまた第二條第三項以下に「商工大臣」という文字が数箇所出ております。しかしこれは六月一日以後に施行される法律といたしましては、通商産業大臣とすべきが正当だと思いますので、これを「通商産業大臣」に改めるのであります。「商工省」という文字も同じく「通商産業省」に改める。第六條中「商工省」とあるのを「通商産業省」に改めるのであります。それから第十二條に関連した問題でありまして、第十二條の第二項を「政府は前項第一号に掲げるくず化物件の讓渡又は引渡に関する命令により損失を受けた者に対し、その損失を補償する。」と改めます。これはきわめて大事な問題でありまして、これを一概に命令とか政令により定めることは穏やかでない。せつかく第七條にくず化物件審議会の規定がありますので、このくず化物件審議会の議を経て、そうして通常生ずべき損失を補償させるということをはつきりさしておきました。さらにその補償の金額については、通商産業大臣が大藏大臣と協議して、その金額等を定めるということにするのが正しい。それからくず化物件の審議会の意見も聞くことにする、こういうような意味におきまして、この十二條を相当修正するのであります。これはお手元に配付いたしました資料の第十二條第二項に掲げまする法文の変更であります。從つて第七條第一項中の、くず化物件審議会の審議事項の中にこの項目を入れる、こういうことに相なるのであります。さらに附則になりまして、法律の施行は昭和二十四年五月一日から施行するとありますが、すでにきようは五月十八日で、また法律を遡及する意向は全然ないと言われるので、これもまた当然修正すべき点であります。政府の希望は六月一日となつておりますし、六月一日から施行して、大体三年間有効の臨時法でありますから、同じく第二項を「昭和二十七年六月一日」に改める。大体こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/2
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003・神田博
○神田委員長代理 次に政府原案並びに修正案を一括議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。小金義照君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/3
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004・小金義照
○小金委員 現下の情勢にかんがみまして、製鉄事業は非常に大切なるものである。しかもこのくず鉄がわが國の製鉄原料としていかに重要なものであるかは、説明を要しないところであります。政府は海外から鉄鋼資源を輸入するという方針を立てざるを得ない日本の立場でありまするけれども、國内の鉄鋼石資源を十分に開発して國内資源を生かすとともに、この國内の方々に散在しておりますところの製鉄原料となるべき性質の鉄くずを、たくみにすみやかに回收して、しかも國民に迷惑を及ぼさないようにわが國の製鉄業の原料とする、こういうことを内容とする法律案でありますから、私は民主自由党を代表いたしまして、この臨時鉄くず資源回收法案に賛成するものであります。同時に修正案についても賛成の意を表ずるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/4
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005・神田博
○神田委員長代理 今澄勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/5
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006・今澄勇
○今澄委員 本案は現下の製鉄関係において、臨時鉄くずの回収をいたすということは、表面まことに妥当なるごとく考えられまするけれども、この原案においてはまことにずさんなものがあり、そのくず鉄の対價もいかなることによつてきまるか、関係各省の間においていまだ相談も整わないというような状態であります。修正案についてはこの原案に盛られておつたまことにずさんなる字句の修正、並びに憲法違反なりやと思わしめるがごとき第十二條第二項、三項等の規定について改正が加えられておりまして、一歩前進した感はあるけれども、根本的なこの法案に流れるところの問題を解決するまでには至つておらないのであります。本法案により、本年度くず化物件四十万トンを買い上げるということでありますが、四十万トン中十六万トンは國有物件でありまして、しかもこれが本法の対象となるということでございますので、さすれば本年度のくず鉄必要量約百八十万トン中わずか二十四万トンの回收にかかるずさんな法律をもつて臨むということは、まことにゆゆしき問題であると考えるのであります。さらに本法によつて対象となるところの二十四万トンのこれらのくず化物件回収のために、予算が百三十万円となつておりますが、かかる僅少なる予算をもつて政府が意図しておるところの定量を確保することは、とてもわれわれは実現ができようとは思えないのであります。さらに特に第十二條の第二項はこういうふうに規定はかえられておりますけれども、この規定をもつてしても、なおこのくず鉄所有者の損失をいかにして補償するかということについては、その人の権利を異常に侵害するおそれが多分にあるのでございまして、この点については予算的な裏づけのないこの法律案によつては、決してそれらの所有者の利益を守ることはできないであろうと思うのであります。さらにもう一つ國有物件の処理がきわめて不明確である。そうして一般的なこれらのくず化物件はフリー・クーポン制ということになつておるが、その窮極のところは結局大産業集中生産による大いなる産業へとこれらのくず鉄が供給されて、一般的な面には非常に迷惑をかけ、かつまた便益をかうむることは非常に少い。この目的とするところは集中生産による一國大資本への奉仕が考えられるという点において、まず私どもは以上の四つの理由をあげてこの法案に反対をいたすのであります。特に申し添えておきたいことは、第二の兵器処理機関として、このくず化物件回收法案をもとにして、いろいろ疑獄その他が現れないようにということを強く警告して、本法案に反対をいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/6
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007・神田博
○神田委員長代理 次は橋本金一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/7
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008・橋本金一
○橋本(金)委員 本法案はわが國重要基礎産業である鉄鋼業の復興と輸出振興の見地から、あるいは内外鉄くずの現状にかんがみまして、國内鉄くずの最大限の利用をはかり、鉄鋼生産計画完遂のための案と承知をいたしまするが、その間いろいろ含みの点もありまして、提案以來いろいろ檢討をいたしました結果、ただいま修正いたされました箇所につきまして、なおまだ十分とは申し上げることはできないのでありまするが、法の性質から見まして、不本意でありますけれども修正案に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/8
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009・神田博
○神田委員長代理 次は川上貫一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/9
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010・川上貫一
○川上委員 私は日本共産党を代表しまして、この案に反対するものであります。これは沈没艦船、車輌、戰災建物、あるいは機械設備等をくず化物として回收する。つまり商工大臣がこれを指定する。こういう法律になつております。これはちよつと見ますと、いかにもくず化物を回收して生産を増大するという形をとつておりますが、その裏側を見ますと、これは國有財産をスクラップするための裏づけ法案であります。このことは、この委員会においてわれわれの質問に対して、政府当局の方が今年のくず鉄回收は二十万トン、場合によつては二十五万トン國有財産からつくるのだと説明をしておられた。このことは明らかにこの法案の裏に、この法案を通して、これでくず鉄の回收を大規模に始めるということと、これに即應して國有財産をくず化物として拂い下げるということが、表裏の関係を持つておる。三月十五日、吉田総理大臣は國有財産の大々的拂下げを行う意味を明らかにした。これは新聞に出ておつた。これがここに現われて來ておるのであります。さらにこれをもう一つ裏づける証拠がある。その証拠は、この法案の説明書を見ると、戰災建物、沈没艦船を回收すると書いておる。これを回收してくず化物として利用者に渡すためには、莫大な費用がかかることは明らかであります。にもかかわらず、さつき今澄委員が述べましたように、予算は置いてない。してみればこれは一般の回收をしよわするつもりはない。しようと思つたら金がない。これは明らかに國有財産をねらつておるという証拠であります。この結果はどういうことになるか。これは國有財産をくず化物としてやるという形で、二束三文にたたき拂いをすることは明らかである。この点はさきに今澄委員も指摘したように、必ず第二の兵器処理が起つて來ることは火を見るよりも明らかである。これが反対の第一であります。
第二の問題は、この裏には集中生産によつて破産倒壊するところの中小企業の施設、その他のものをスクラップにする考えがある。これならば金がいらない。補償金は比較的いらない。法律の條文を見ますと、國有物件はこれを除くとなるほど書いてある。一面においては回收に対する損失はこれを補償すると書いてある。ところがこの補償に要する予算を置いていない。そうすれば予算のいらないようなものを回收する。こういわなくてはならない。それは倒壊破産せるところの民族産業並びに中小企業の施設、これを回收することが一番早い。聞くところによると八幡製鉄所のごときは、でき上つた機械をこわしてスクラップにしておるということを聞いておる。これがこの法案の性格だと思う。これが第二にわれわれが反対しなければならないと思う点であります。
第三に反対しなければならないと思いますのは、回收したものが一体どこに行くか。これはわかりきつたことである。たとえば関西においては、あそこは溶鉱爐でなくて平炉式電氣炉でやつておるのでありますが、ここのところは今大騒ぎしておる。この法案によつてくず鉄はなくなる。われわれの手に入らない。中山製鋼あたりで騒いでおる。これは非常に困難な状態に陥る。どこへこれがどんどん入るか。言わずと知れた八幡製鉄と日本鋼管に入ることはわかりきつておる。そうしてみると、くず化物の回收という目的で、日本全國にあるところのこういうもの、なかんづく國有財産を法律をもつて取上げて、しかも二束三文に拂い下げ、これを独占資本の溶鉱炉にぶち込む。このことが明らかであります。これがわれわれがこれに反対する第三の理由であります。
第四の理由といたしましては、將來予算を置くかもしれない。そうして建造物あるいは沈没艦船をやるかもしれぬ。こういうことになつたら一体どうなるか。これはまるで國民の血税でくず化物をこしらえて、それを安いマル公で独占資本にやることであつて、これはわれわれの絶対に反対しなくてはならないところである。しかもこの日本のくず鉄のマル公たるや、國際價格の半分もしくは三分の一なのだ。政府は法律で取上げてくれて、損が行くところは國民の血税でまかなつてくれて、それをどんどん独占資本につぎ込んでもらつたら喜ぶだろう。この性格こそが吉田内閣の買弁性格の代表的なものである。こういうものには絶対に反対しなくてはならない。
さらに反対の理由がある。それは何か。それは日本のこのくず鉄をよその國に持つて行く危険がある。五月三日のUP電の傳えるところによると、くず鉄調査團のアメリカの商務長官への報告、これは新聞にも載つておるのでありますが、これを見ると日本には七百万トンのくず鉄の輸出能力がある。このものを輸出して日本は機械を購入すべきだという方針が、米商務長官に出たという新聞記事があつた。これとこの法案とが関係があるということを私は申し上げるのではありませんが、吉田総理大臣という人はこういうことを何ぼでもやりかねない人だ。タバコ企業でも賣り飛ばそうという度胸のある人だ。これがくず鉄を回收して、しかも國際價格の三分の一ないし二分の一のマル公のくず鉄、これをよそに賣り飛ばさないとだれが保証することができるか。いかさまアメリカにおいては、今日ではくず鉄の値段は下つておる。しかし、これは別問題であります。下りつつある。このことは認めますけれども、値段の上から見たら、日本のくず鉄はマル公で非常に安い。これをどんどん向うへ出す。賣り拂う。こういうことをやらぬ政府であるという信用はわれわれにはできない。まことにやりそうだ。これがおはこなんだ。こういう危険を包藏しておるのであります。ことにこの危險については、関西の業者並びに中京の業者は、以前からこれを心配しておる。これは浮説さえ流れておる。非常にたくさんのくず鉄の回收、買いだめが今行われておる。これはみな外國に出るのだそうなという風評は、中京並びに関西に行つてお調べになれば、これはみんな聞いておる。これがほんとうだと私は言うのではありませんが、こういう根拠が今の政府にある。かような危険を含んでおるこのものを何でここに出して來るか。しかも説明によると、回收するところの量はたつた四十万トンだという。幾らいるかというと百八十万トンいるといつておる。わずかに四十万トンのことでこの法律まで出して來ておる。これは繰返しますが、この計画のもとに國有財産ノスクラップ化、民族産業を含む倒壊するところの中小企業のスクラップ化、これをやつておいて、くず鉄までも独占資本に持つて行く現吉田内閣は、独占資本のためにくず拾いになつた。かような法案に対して党は断固として反対せざるを得ない。これが私の反対する理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/10
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011・神田博
○神田委員長代理 次は永井要造君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/11
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012・永井要造
○永井(要)委員 民主党を代表いたしまして、臨時鉄くず資源回收法案の原案並びに修正案等に賛成いたします。ただ一点私が希望を申し述べて御参考に供したいと存じますのは、單一價格によつてくず鉄資源を処理するということは、はなはだ妥当を欠くものと考えますので、ぜひ價格において三段階くらいにこれをおとりきめ願つて、そうしてこの回收を円滑にやつていただきたいということを希望として申し述べて、原案並びに修正案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/12
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013・神田博
○神田委員長代理 次は河野金昇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/13
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014・河野金昇
○河野(金)委員 現下の情勢にかんがみ、わが國の基礎産業の資材を確保する意味におきまして、修正案を含む原案に賛成をするものであります。しかし先ほど共産党の川上君が言いましたように、吉田内閣の性格は、相当われわれも監視しなければならないものがあるのであります。この法安によつてくず鉄を所有している者の一方的な犠牲において、特殊な者に利益を與えるというようなことがあつては断じてならないいと思います。本法案には賛成いたしまするが、これの運営に対しては十分の注意をされると同時に、われわれもそれを監視したいと思います。こういう氣持のもとに、本院案に対しては
原案並びに修正案に賛成をたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/14
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015・神田博
○神田委員長代理 これにて討論は終局いたしました。引続き採決を行います。政府原案は修正案の通り修正議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/15
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016・神田博
○神田委員長代理 起立多数。よつて政府原案は修正案の通り修正議決いたしました。
次に本案の委員長報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/16
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017・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決します。
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018・神田博
○神田委員長代理 次に配炭公團法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。この際入江法制局長より発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/18
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019・入江俊郎
○入江法制局長 配炭公團法の一部を改正する法律案につきまして、本日午前、経済科学部の石炭担当事官から、この改正の條項について國会側に対して参考意見の提示がありまして、私を通じて当委員会に詳しく傳えるようにということでありましたから、これを申し上げまして、御審議の参考に供したいと思います。
この配炭公團法の一部を改正する法律案の別表の中の第四号に、「発熱量四、〇〇〇カロリー以下の石炭」ということになつておりますが、これに対して当委員会として修正をして、常磐炭及び宇部炭については、そのカロリーの数を下げた修正をしたらどうか、というような御意見があるのでありますが、その修正案について経済科学部の石炭担当官は、強い反対をしておるのであります。その理由を簡單に申し上げますと、公團の経済は現在相当困難な面も伴つておる。もしこの際熱量の点を減らしまして、そして公團で扱う石炭の量をふやすということは、それだけ公團の経営が困難になるおそれがあるので、四千カロリー以下の石炭は、一應公團の扱いの中から削るということがどうしてもこの際必要である。それがまた九原則のもとにおける日本経済の要請から見ても、絶対的なものであるように考える。これについてるるお話がございましたが、要点はそういう点であります。しかしこれは國会としては自由の判断をもつて、いずれとも、おきめになるであろうけれども、もしもこれをただいまの修正案のように修正をすることになると、それだけ公團の経営は困難になり、経済再興の点から見てもおもしろくないので、もしそういう改正をこの際することになると、結局この配炭公團については、九月以降はこれを解散してしまうというようなことに自分たちは考えておる、そのことをよく傳えておいてもらいたいということでございましたから、それだけを申し上げまして、御審議の御参考に供したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/19
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020・神田博
○神田委員長代理 入江法制局長のただいまの発言につきまして、御意見あるいは御質疑等ございましたら、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/20
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021・聽濤克巳
○聽濤委員 これについては、もうすでにわれわれの方の委員会として、全会一致で意見は統一されておるのでありますから、この際それについて採決をされんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/21
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022・神田博
○神田委員長代理 他に御発言はございませんか。——御発言なしと認めます。
次に私、神田博ほか委員全員をもつて提出せられました、本案に対する修正案及び政府原案を一括議題として対論に付します。対論は通告順によつてこれを許します。小金義照君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/22
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023・小金義照
○小金委員 私は民主自由党を代表いたしまして、原案並びに修正案に賛成の意を表するものであります。
御案内の通り、石炭は鉄とともに最も基本的なものでありまして、この石炭の採掘並びにこの配給いかんによつて、わが國の産業に重大な影響を及ぼすものであります。配炭公團という公團形式の配炭法がいいか悪いか、これについてはいろいろ議論がありますが、まず公團方式を順次改善して、終局においては配炭公團というようなものをなくして、生産から消費への最も合理的な道筋をたどらしめるということは、まことにけつこうなことであります。ただ昭和二十四年度におきましては、四千三百万トンの石炭の掘採を、われわれはどうしても遂行しなければならぬ立場におるのであります。こういう際でありますから、どうしても石炭の生産意欲を落とすようなことしてはいかぬ。掘つた石炭をいかに処分するか、いかにこれを巧みに賣りさばいて行くかということは、生産に直接につながりを持つものであります。そこでこの配炭公團法をこういうふうに改正いたしまして、いわばつなぎのような形でありますが、これによつて石炭の配給を円滑にして行くということがねらいであります。この改正法律案につきしまして、ただいま神田委員長代理の提案せられました改正案によつて、この公團取扱いからはずされる炭は、発熱量四千カロリー以下の石炭になつております。ただし常磐炭及び本土炭については発熱量三千七百カロリー以下、宇部炭については三千五百カロリー以下のものとする、こういうこととなつておりまして、一應発熱量によつて宇部炭は三千五百カロリー、常磐炭及び本土炭は三千七百カロリー、その他の石炭は四千カロリ一以上のものが公團の取扱いになりまして、そして公團に織り込んでその資金化をはかることができるようになつております。しかしながら石炭の政策としては、大炭鉱のみが利益を得るようなことは嚴に戒めなければならないと同時に、中小炭鉱の立行くように万金の策を講ずることを私は強く警告するものであります。中小炭鉱は、御承知の通りいろいろ設備が劣つているような点もありまするし、また石炭の質においても優れたものばかりではないのであります。特に常磐及び宇部地方においては、石炭の本質上劣つている点があると認められると思うのであります。ことに発熱量を標準とした場合には、そういう劣つた点がはつきり出て來るのであります。これは前に私が申し上げましたように、すべての標準を発熱量ばかりに置くということは酷である。これには灰分だとか、揮発分だとか、そういう点をいろいろ考慮しなくちやならぬ。一概にメリットと言つて、メリット即発熱量であるということ一本で行くことは、わが國の実情においては大いに考慮する余地があるのであります。幸いにこの修正案が通りますると、二百数十万トンの炭がただちに公團の取扱いからはずされるのが、百二十万トン余りはずされるという程度になるので、その点はいささか緩和されておりまするが、発熱量がたといここに掲げた標準以下の石炭でありましても、石炭はやはり石炭としてりつぱな用途があります。家庭用炭とか、ふろたき用炭とか、その他の雑用炭とか、きわめて重要なものであります。たといこの標準からはずれた炭鉱といえども、むげに押しつぶしてもいいという理由は立たぬのであります。しかもこの法律によりますると、七月一日から施行されますので、そののちにおきましては、これははずれてしまう。そこで私はこの法案並びに修正案を一括してこれに賛成いたすものでありまするが、次の二つの條件を私は付するものであります。
すなわち第一点は中心炭鉱、特にこの標準からはずれた炭を出す炭鉱につきましても、この席において商工大臣あるいは政府当局が言明されましたように、資金及び資材について特別の措置を講ずること、同じく大臣あるいは政府当局から言明されたところでありまするが、配炭公團の一部を解消いたしますると、これによつて五、六千人の失業者が出るのであります。これらの人たは、おおむねかつては石炭の賣りさばき人としてエキスパートであつたのであります。從つて石炭の小賣商として過去の経驗を十分生かして國民に奉仕できるよう、特別の措置を構ぜられんことを希望いたします。この二つの條件を付しまして、私は本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/23
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024・神田博
○神田委員長代理 次は今澄勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/24
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025・今澄勇
○今澄委員 私は日本社会党を代表いたしまして、配炭公團法の一部を改正する法律案の原案には反対、修正案については賛成の意を表する次第でございます。
今次配炭公團法の改正要点は、配炭公團の解散時期を一應來年の四月二日まで延ばして、卸賣店、小賣店を設けて、末端配給の能率化を期して、配炭公團の機能を簡素化し、そして需給の緩和した品種については、配炭公團の取扱いからはずしまして、これをクーポン制にかえるということが、本法案の大体の要点になつておりますが、私は本法案の本質が低能率、低品位の石炭を自由市場に放逐して、石炭等産業の主体制の確立を促進せしめるということが、政府のねらいでありまするが、このねらいははたしてどういつたところから出て來たものであるかということも考てみなければならぬと思うのであります。すなわち集中生産方式遂行のためには、配炭公團の存在がようやくここに大きな障害となつて來たというところが、私たちの指摘したいところであります。われわれは公團法の改正は——全公團というものは、企業の中の公企業として、國家存立の必要上その経済性を離れても、公企業が国民経済全般のために持つところの優位なる地位を認めて、公團というものがつくられたものであるということは御了承の通りであります。この全公團を連ねる一般公企業というものの檢討の上に、この配炭公團が爼上に上り、しかして恒久的なる対策の一環として、大きくこの問題が取上げられておらないという点に、私は今次政府の提出せる本法案が便宜主義のものであり、しかしてまことにそのときどきの事情によつてかわりつつある。根本的な意義が少いということを断ぜざるを得ないのでございます。この法律案は四千カロリー以下の石炭をまずはずしておるのでありまするが、われわれは四千カロリーというカロリーによつて、これらの炭をはずしたというその根拠は、わが國における石炭の特質と、これまで取扱われておつた公團の規格を、参考にしておらない措置であるということを指摘したことは、質疑應答においても明らかであります。日本の石炭の持つ粘結性、あるいはそれらの揮発分、あるいはその他の要素というものを込めて、ここにメリットというものが、総合メリットとして計算されなければならないことは、論をまたないところでありまして、ただ單にこれがまた熱量のみによつて四千カロリー以下を切るというがごとき措置は、まことにわが國炭鉱の実情と、その日本の特色をも無視したやり方であると言わなければならぬのであります。その意味において、この四千カロリーというところが一應わが國のそれらの傳統と特色を認めて、三千五百と三千七百に改正されたということは、この二点については私どもはここにまつたくわれわれの主張に近づいて來たという意味において、賛成の意を表する次第でございます。しかしながら法案を連ねる全体の目的は、どうしてもわが國における集中生産遂行のために、配炭公團が國家的な事業として持つているところの販賣機能、並びにその他の公企業としての特質を踏みにじつて、一部すでに全國の市場に臨んで、相当の力を持つておるところの大手筋の制覇力を弛めるという大きなねらいがこの法案にあることを、私どもはまことに遺憾とする資第であります。今日は四千カロリー以下ではずす。明日は五千カロリー以下ではずす。しかしてだんだんとこれら日本の石炭事情を掌中に收めるがごとき態勢が確立したあかつきには、配炭公團を遂に抹殺するというようなやり方には、根本的に私どもは反対の態度を表明しなければならぬのでございます。われわれはわが國における石炭の生産が、戰後の日本経済再建の上の原動力であることを認めるとともに、それはメリット主義に加うるにコスト主義、すなわちいかなる下級炭も、いかなる低品位炭もこれを掘り出す元値は同じである。そこで私どもはこれらのコスト主義に加うるに、ある程度のメリットをもつてしたところの、石炭の價格決定という統制方式において、三千六百万トンの要望をこれらの石炭業者は先途をして來たのである。今日ここにそれらの方式を、わが國経済の進展とともに純メリット主義に切りかえ、さらに小炭鉄筋がここに賣炭設備、市場における石炭の販賣機構の確立しないうちに、一部の力ある者が、この石炭の需要が旺盛であるところの、すなわち生産に比べて需要の大きい今日の時代において、それらの市場を一手に收めんとするところの野望は明らかであります。この際かくのごとき方法によつて、漸次配炭公團の機構を縮小することは、必要なる民族國家の大きな産業のために、販賣機構がこれらの独占資本の手に漸次移行すると言うても、私は過言ではないと存ずるのであります。ここに、この法案の本質において、私どもが指摘しなければならないところの反対理由が存しておるのでございます。
第二点として、私は本公團の廃止によつて出て來る失業者六千人、並びにこれらの家族その他のものについての生活保障という点については、何らの対策なく、ただ單に政府は優先的にこれらの人たのその長い間の特質を生かして、就職のあつせんをするというような手ぬるい話でございまするが、私どもはこの際この公團の職員の就職については、集團的な、そして情あるところの方法によつて、長いこれらの人人の功績に報ゆるということが絶対必要であるけれども、質疑應答の中においては、それらの言質は何ら私どもは得ることができかつた。われわれは、本質的に本公團法に反対するとともに、部分的なこのような公團職員に関する措置についても、反対をいたさなければならないのであります。新機構への切りかえが七月一日ということでありまするが、基本論において私が述べましたように、これは七月一日をもつてやるということは、まことに配炭計画の齟齬を來すであろうということをおそれるのであります。早くも九月一日でなければならないのでありまするが、その九月一日すらも取上げられない。このことはまことに一部のものは販賣機構を有し、一部のものはそれらの販賣機構にその実権をゆだねざるを得ない状態にあるということで、この点においてもわれわれは絶対反対であります。四千二百万トンの本年度の計画遂行のその方式が、一部は統制、一部は自由市場への放逐というこの二本建てをもつてして、はたして完遂されるやいなや、しかしてまたそれらの炭價の問題がわき起つて参ります。それらの炭價の問題あるいは自由市場にフリー・クーポン制で放された石炭の問題等々から、かくのごとき計画をもつてしたのでは、四千二百万トンの遂行はなかなか困難であろうということ、しかも私どもはこの際卸賣業者がまつたく文字通りのトンネルになることを指摘し、かつあせてわれわれは最終販賣價格というものについても、あるいは石炭の最終までの計画配炭による産業の編成という面から見ても、現措置をもつてしては、断じてこの四千二百万トンの完遂は困難であり、かつ日本の経済全体に與える影響も決して芳ばしきものではないと存ずる次第でございます。
以上私は基本的な問題と個々の問題について、反対意見の根拠を申し述べた次第でございます。われわれは、ややともすれば今度の改正案は、自由経済復帰を目的とし、企業の自立態勢を企図しておるにもかかわらず、その施策は一部特定産業についてはすでに十六億の融資をいたし、さらに特定産業には三百二十五億の保障金を用意しておるというこの現実から見るならば、この配炭公團一部改正の裏面には、大きくわが國の石炭企業をして一部集中生産にこれをゆだね、しかして弱小中小企業石炭業者が崩壊して、その生活を守り得ず、ついに失業者として打出されることを放任しようとする大きなる本質について、私はこの際一言しておきます。そもそも石炭の生産にあたつて、コスト主義とメリット主義をとつたということは、先ほども申しましたように政府の方針である。このたびこれがころいつた改正に向うということも政府の方針である。しかして政府の方針によつて政府の方針通り働いたこれらの配炭公團員、並びに全國の中小炭鉱の経営者、労働者は、政府の方針によりその職場を奪われ、政府の方針によつて失業者となるのであるけれども、これに対して政府は何らの擁護、何らの保護、何らの補導をも計画しておらないという質疑應答の結果によつて、私は本法律案の意味するところはまことに重大なものである。われわれはわが國における公企業の一環として、本公團が盡した過去の功績と、今後においても計画配炭によるわが國産業への寄與等を思い浮べるならば、以上申し上げましたような諸点において、本法案には重大なる誤りがあるということを指摘いたしまして、この配炭公團法の一部を改正する法律案の原案については、反対の意思を表する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/25
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026・神田博
○神田委員長代理 橋本金一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/26
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027・橋本金一
○橋本(金)委員 配炭公團法の一部を改正する法律の修正案に対しまして、民主党を代表いたし賛成いたします。本法案はすでに三月一ばいをもちまして、有効期間は解消することに相なつておつたのでございまするが、当時すでに審議を重ねられたのであります。しかるに当時においては、当時においてもまだ具体的の方策というものは持ち合せがなかつたのであります。かような観点と、いろいろな複雑なる事情のために六月末までと延長をいたされたのでありまするが、さらにこれが明年の三月まで延長せられる中にありまして、その一部を改正する法律でありまするが、この一部がかえつて各方面に大きな問題を起し、また影響を與えておるのであります。ことにそれがために犠牲に相なりまするものは中小炭鉱業者であり、さらに多くの労働者に課せられておるのであります。ひいては需要者に及ぼす影響もまた甚大なものがあるのであります。ことに年産四百万トンに余りますところの低品位炭等におきましても、その要素において、あるいはまた用途による利用價値というものが、それぞれ相違しておることは申すまでもありません。しかるにこれに対して何ら考慮を拂わずいたしまして、一律に四千カロリー以下を除外せよということは、まつたく暴挙と言わざるを得ないのであります。しかもそれによつて犠牲を拂いました多くの者に対する改正後における処置等を当局にただしましても、遺憾ながら責任あるところの方策は立つておらないのであります。かようにして改正によりまして、多くの業者が價格または資金の圧迫を受け、あるいは各業種にわたる需要者に対する販賣機構の整えることなく、また容易ならざるかような事実があるにもかかわらず、当局はそれを認めておつて、七月一日より実施せよといたしておるのであります。まことにこの暴挙に対しては、それぞれ意見もあるのでございまするが、しかしまたいろいろの事情もありまして、期限問題は別といたしましても、私どもはどこまでも低品位炭においてなお考慮の余地ありと考えまして、その後再検討の結果、先ほど御説明のありましたように、常磐炭あるいは宇部炭等を対象といたしまして、等級の整理は一應いたされたのであります。しかしかように修正はありましても、この修正必ずしも最善とは申すことはできません。要は当局が審議過程における各方面の意見と、現実を見きわめまして、実施にあたり遺憾なきことを期していただきたい。これを要望いたしまして、修正案に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/27
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028・神田博
○神田委員長代理 聽濤克巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/28
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029・聽濤克巳
○聽濤委員 私は日本共産党を代表しまして、修正部分については賛成をいたしますが、原案の全体に対しまして反対をいたします。大体この配炭公團の一部改正案というのは、そういう名前で出されておりまするが、根本的には公團を全面的に廃止するということを目的としておる。そうしてその他の販賣機構をつくるとか、あるいは四千カロリー以下の統制を除外するとかいうことは、そこに至る経過措置として行われて來ておるわけであります。本法の目的は公團を全部廃止しようとしておる。ところで共産党は公團そのものを設置するときから、私たちは反対して参りました。これは官僚統制によつて腐敗の巣窟になることを指摘して反対しておりました。だから公團を廃止するということそのものについては、われわれは別に反対すべき事由はないのであります。しかしながらこのたびの法案のねらいは、公團を廃止することによつて、何をねらつておるか。第一にはわが國の産業の発展のために必要な計画的配炭そのものを、全部放棄してしまおうとしておる。さらにもう一つはこの廃止のための方法たるや、独占的な大資本炭鉱の立場を擁護し、利益を擁護し、中炭鉱を犠牲にしてやる。こういう方法によつてやられることに対して、反対せざるを得ないのであります。今日の公團がすでに世間においても不正の巣窟のように言われておることも、われわれまつたく同感であります。しかしながらこれをただ廃止して、結局いわゆる弱肉強食の自由経済の状態に陥れる計画配炭そのものを廃止することは、われわれ決して同意することができないのであります。現に政府はこの廃止の理由としまして、需給関係の緩和ということをあげておるのであります。しかしながらそれならば政府みずから発表しておるところはどうかと申しますれば、本年度は四千二百万トンの計画を持つておる。ところがこれに対して需要量は四千五百万トンと説明しておる。つまり本年度の生産計画が一〇〇%實行されましても、需要量に足りない。まして実際の生産量は三千五百万トンにしか達していない。これは民主自由党や吉田内閣の自由経済理論をもつてしても、廃止根拠にはならないのであります。しかしながら政府が今日これを強行しようとしておるのは、實はほかの面を見ておるわけであります。現に政府はこういうことを言つておる。現在日本において上級炭は不足しておる。しかしながら下級炭はだぶついて來ておるのだということを言つておるのであります。これは確かにその通りである。現われておる現象は確かにその通りである。しかしながら一体このだぶつきは何に原因して起つて來ておるか。これは私が言うまでもなく、政府の集中生産方式によりまして、あらゆる産業にわたつて中小鉱業や、相当大規模な鉱業まで破滅の状態がどんどん現われつつある。言いかえますれば石炭はほしくても買えない状態もある。あるいは事実石炭は使わなくてもよいような状態さえも起つて來つつあるのであります。結局ここで計画配炭を放棄するということは、政府は一方四千二百万トン増産ということを言つておりますけれども、事実これを遂行する意思のないことを表明しております。今日石炭を奪われれば、日本の全産業が破滅することは明らかでありますから、今日まで政府の実際の腹は産業自体を実際につぶすような政策を強行し、石炭をいらなくしながら、計画生産を放棄する。從つて計画的配炭を放棄する。これは言いかえるならば、政府の集中生産の政策を裏から促進しようとするところの、破壊的な政策であると言わなければならないのであります。これが第一の反対理由であります。
第二は販賣機構をつくること、あるいは四千カロリー以下を統制除外するというのは、事実公團の廃止の方法を独占的な大炭鉱資本に、非常に有利にこれらの地位を確保してやりながら、配炭公團を廃止するという方向に持つて行こうとしておるのであります。事実大炭鉱資本は何をねらつておるかと言いますれば、今日までは毎年炭價水準が上げられて來ましたが、今日ではもう炭價水準は上げられる見込みがなくなつて來た。すえ置きになつて來た。從つて今までのように公團の價格差操作を通しまして、超過的利潤をあげることが不可能になつて來ておる。現に中小炭鉱では現在の價格でも引合うように努力いたし、また引合うと言つておるにかかわらず、大資本の炭鉱はトンあたり数百円の赤字を今日ずうずうしく主張しておるのも、ねらいはどこにあるかということがはつきり現われておる。あるいはまた大資本炭鉱は今日まで莫大な國家援助を受けて参りました。ところがこれも今後復金の融資の見込がなくなつて來ておる。つまりこの面での利益をあげることも不可能になつて来たのでありまして、今日そういう意味で公團の利用價値が大資本炭鉱になくなつて参りしました。彼らは今日まで國家保護によつて得た資本の充実を土台にしまして、その実力を発揮して、いわゆる自由競争による弱肉強食をやり、市場と生産を独占し、独占價格を設定しようと彼らは考え始めて來ておるのであります。今日の公團廃止はまさにここの大きなねらいを持つておると考えるのであります。すなわち今日販賣機構を新しくつくると言つておりますが、生産の面で実際七、八十パーセントを占めておる大資本炭鉱の十九業者が、結局日本の國内全市場を独占して行くことはきわめて明瞭であります。この面でもこの公團廃止は、独占資本の地位を強化する方向において廃止しようとしておるのであります。またそのほか四千カロリー以下の統制除外、無煙炭煽石などの除外も、事実この結果が全國二百数十に対する中小炭鉱に年間約四百万トン、無煙炭、煽石百万トン近いものに対して壊滅的な打撃を與えることは、各党の委員の一致した意見であろうと思います。それは資金の面でも、あるいは今後中小鉱業がどんどんつぶれて行く中での販賣の困難、それによる投げ賣りやコスト割れの状態が出て來ることも必至であり、またもう一つ見のがせないことは、この公團廃止の前にすでにきわめて不公平な状態が現われておる。つまり大資本炭鉱は公團の全廃される前に政府補給金であるとか、設備資金、運轉資金などの手厚い保護を受け、中小企業は結局この圧力だけでも踏みつぶされることは必至な状態なのであります。こういう方法に加えてもう一つの問題は、今澄君も主張したように、いわゆる独占令による從業員の生活の保障全廃に結局行くのでありますから、一万二千名に達する從業員の生活の保障について、この法案に何ら直接に、ただの一項といえどもこれを設けていない。労働者にとつてはまさにこれは首切り法案である。こういうような犠牲においてこの公團廃止は企図されておる。結局この法案のねらいは事実集中生産を促進し、そうして日本の全石炭業のみならず、会産業に大きな破壊的影響を與える法案であることを指摘しまして、われわれの反対の理由といたします。
最後につけ加えたい点は、この法案の中に見のがせない一点がある。それは結局こういう方法によりまして、事実政府はこういうことを言つております。上級炭の不足は外國からの輸入炭で補うと言明しておる。事実中小炭鉱を壊滅させながら、外國の余剰炭によつて國内市場を開放しようという、こういう買弁的意図が含まれておるということを、われわれは見のがせないのであります。以上の理由によりまして日本共産党は本案に反対をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/29
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030・神田博
○神田委員長代理 次は永井要造君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/30
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031・永井要造
○永井(要)委員 民主党を代表いたしまして配炭公團法の一部を改正する原案に賛成いたします。
政府が提案されましたこの法案には、経済九原則の遂行に、また日本経済再建に最も必要な石炭に対して、四千カロリー以上という一線を引きましたことにつきましては、私は非常にけつこうな案だと考えておるのであります。石炭の優良なることが國家の再建に資することきわめて甚大であることも、皆様御了承の通りでありまして、われわれ石炭使用者の一人といたしましても、本案は非常に適切妥当であり、日本の再建はかくして急速に建直しができるものということを、私は信じて疑わないのであります。さらに低品位炭鉱業者の要望をいれまして、当委員会は愼重審議されまして、そうして常磐炭、本土炭などにおいて三千七百カロリー、宇部炭において三千五百カロリーと修正いたしましたことにつきましても、まことに業者に対する、また低品位炭使用者に対する温情であるということを私どもは痛切に感じまして、この修正案にも双手をあげて賛成するものであります。よつて原案並びに修正案に対し賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/31
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032・神田博
○神田委員長代理 次は河野金昇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/32
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033・河野金昇
○河野(金)委員 私は新政治協議会を代表いたしまして、修正の部分に賛成し、修正の部分を除く他の原案に対しては反対をいたします。
賛成の理由は他の同僚諸君がお述べになりましたから、くどくど言う必要はございません。原案に反対する理由も、すでに社会党なり共産党からそれぞれ述べておられるのでありますけれども、私は本案の審議の過程その他から考えてみまして、前の議会における臨時石炭國家管理法案の審議の過程を思い出さずにはおれないのであります。今の與党の諸君である自由党の方方が野党であつた場合に、多くの炭鉱業者から依頼されて、金銭の授受なんかもあつて、多くの犠牲を出し、並びに今委員長をしておられる神田氏なり政務次官の有田君なりが、からだを張つてまでに反対をされました当時のことを思い出さざるを得ない。当然政権をとられたところの民主自由党の諸君としては、この石炭國家管理法をやがて元にかえして、自由放任、自由済済の方向にもどそうと考えておられることは、当然のことであろうと思うのであります。配炭公團の一部改正に名をかり、数千名の首切りが実現しようとしているにもかかわらず、その失業対策は講ぜられておりません。これもむりもないことであります。行政整理を唱えながらも、本年度の予算にその失業対策費を計上されておらない現内閣としては、配炭公團法の一部改正によつて生ずる数千名の犠牲ぐらいは、大して考えておられないことだろうと思うのでありますけれども、こういう現政府並びに與党の諸君の考え方に対しましては、われわれは反対せざるを得ないのであります。修正の部分には賛成し、原案には反対をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/33
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034・神田博
○神田委員長代理 この際、河野金昇君の発言に一言御注意をいたしたいと思います。自由党がかつて石炭國管に反対して、業者と結託して多数の犠牲者を出しておるというようなことを言われておりますが、いかなる根拠をもつてさようなことを言われて、おるのか。民主自由党になつて犠牲者が出た方はあるかもしれません。それは民主党から來た人が出たのであつて、自由党に関する限りにおきまして、業者の請託によつて出たということは、何かの御記憶違いだろうと思う。はなはだ穏当を欠くと思いますので、御注意しておきます。
これにて討論は終局いたしました。引続き採決を行います。この際念のために採決の方法について申し上げます。これは先例によりまして、まず修正案について採決し、次に修正部分を除く原案について採決をいたします。
それでは採決いたします。修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/34
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035・神田博
○神田委員長代理 起立総員。よつて修正案は満場一致をもつて可決いたしました。
次にただいま決定いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/35
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036・神田博
○神田委員長代理 起立多数。よつて政府原案は修正案のごとく修正議決いたしました。
この際、本案の委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/36
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037・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/37
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038・神田博
○神田委員長代理 次に前会に引続き、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、通商事務所の設置に関し承認を求めるの件を議題として審査を進めます。本件は別に問題もないようでありますから、討論を省略して、ただちに採決いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/38
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039・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。それではただちに採決を行います。
本件は承認を與えるべきものと議決するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/39
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040・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。よつて本件は承認を與うることに決しました。
次に本件の委員会報告書の作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/40
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041・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/41
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042・神田博
○神田委員長代理 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、纎維製品檢査所の支所設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/42
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043・小金義照
○小金委員 討論を省略し、ただちに採決を行われんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/43
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044・神田博
○神田委員長代理 小金君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/44
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045・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。それではただちに採決を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/45
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046・小金義照
○小金委員 本件につきましては、神戸纎維製品檢査所廣島支所及び同岡山支所並びに同久留米支所を除いて承認を與えるべきものと議決せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/46
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047・神田博
○神田委員長代理 小金君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/47
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048・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。よつて本件は、神戸纎維製品檢査所廣島支所、及び神戸纎維製品檢査所岡山支所、並びに神戸纎維製品檢査所久留米支所を除いて承認を與うることに決しました。
次に本件の委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これも先例によりまして、委員長に御一任をいただきたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/48
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049・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/49
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050・神田博
○神田委員長代理 次に連合審査会開会の件についてお諮りいたします。本委員会が実施して参りました國政調査のうち、石炭に関する件につきまして、労働委員会より、同委員会の決議によりまして、連合審査会を開いてほしいとの申出がありました。これについてお諮りいたします。
右連合審査会を開くに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/50
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051・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。それでは連合審査会を開くことに決しました。
なお開会の日時は明十九日午前十時といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/51
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052・神田博
○神田委員長代理 御異議がないようでありますから、明十九日午前十時より労働委員会と連合審査会を開くことにいたします。なお明日午後一時から商工委員会を開会いたします。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504461X01819490518/52
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