1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年四月二十日(水曜日)
午前十一時十三分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君
理事 田中織之進君
石原 登君 岡野 清豪君
小山 長規君 北澤 直吉君
佐久間 徹君 前尾繁三郎君
河田 賢治君 内藤 友明君
河口 陽一君
出席政府委員
大藏政務次官 田口政五郎君
委員外の出席者
專 門 員 黒田 久太君
專 門 員 椎木 文也君
四月二十日
委員武藤運十郎君辞仕につき、その補欠として
川島金次君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十九日
揮発油税法案(内閣提出第五七号)
同月二十日
酒税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
五九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
参考人招致に関する件
國立病院特別会計法案(内閣提出第三八号)揮
発油税法案(内閣提出第五七号)酒税法等の一
部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/0
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001・川野芳滿
○川野委員長 ただいまより会議を開きます。
昨十九日本委員会に付託に相なりました揮発油税法案、及び本日付託になりました酒税法等の一部を改正する法律案を一括議題として、まず政府の説明を求めます。田口政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/1
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002・田口政五郎
○田口政府委員 ただいま議題となりました酒税法等の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
政府は、本年度予算の編成にあたりましては、経済再建のための財政需要の増大に対應して、極力租税收入を確保するため、さしあたりおおむね現行の税制をそのまま踏襲することとしたのであります。すなわち、税制全般にわたる改正及び國民租税負担の合理化につきましては、追つて根本的に再檢討することといたしまして、今回は酒税、取引高税等につきまして当面必要と認められる若干の改正を行うことといたしました。なお、新たに揮発油税を創設して、歳入増加の一助とした次第であります。
次に各税に関する改正の大要について申し上げます。まず所得税につきましては、さきに昭和二十四年の所得税の申告及び納付について、さしあたりその第一期を六月といたしたのでありますが、今回第二期十月、第三期翌年一月の三期とし、それぞれ年税額の三分の一ずつを納付することといたしたのであります。
次に法人税でありますが、法人の増資拂込みによる資金調達を容易ならしめることが、経済再建の急務である現在特に緊要である実情にかんがみまして、法人が額面超過金を積み立てた場合におきましては、当分の間その全額を益金に算入しないこととし、これに対する課税を行わないことといたしました。なお法人が法令または法令に基く命令により、その所有する土地その他の固定資産を買收もしくは收用され、または他に讓渡せしめられた場合について、現在株式について認められている課税上の特例に準じ、超過所得に対する法人税を課税しないことといたしました。
次に酒税でありますが、酒類は御承知の通り現在配給酒と特別價格酒とにわかれ、特別價格酒に対しましては高い税率を適用しているのでありますが、今回その配給の方法を変更し、家庭用の配給はこれを廃止して、労務者及び農村等に対し最小限度の配給を行うにとどめて、極力その数量を圧縮し、残りは全部自由販賣することといたしました。しかしてその價格は、配給酒は現在の配給價格程度、自由販賣酒は、原則として現在の特別價格酒と配給酒の價格の中間程度となるように、税率を定めることといたしたのであります。しかしなら消費の性質に應じて負担の公平を期はるため、清酒に特級酒を、合成清酒に一級酒を設け、清酒特級酒については一級酒等とともにその價格を、ある程度高位に定めることとし、一升びん詰の小賣價格を清酒特級酒千百五十円程度、清酒一級酒九百二十円程度に定めました。その反面しようちゆう等のいわば大衆的な酒類につきましては、その消費の性質及び密造対策の見地等から、できる限り低い價格とすることとし、しようちゆうは現行特價酒七百八十七円、配給酒三百六十五円であるのを四百五十円程度になるようにいたしました。なお、最近における酒類密造の激増にかんがみ、密造酒類の所持犯、密造未遂について処罰規定を設ける等、罰則の整備強化を行うことといたしました。
清涼飲料税につきましては、サイダー、ラムネ等は、昨年七月相当大幅の税率の引上げを行つたのでありますが、その後の課税の状況を見まするに、税率が高過ぎるため生産を阻害しているきらいがありますので、今回第二種サイダーの税率を一石について現行九千五百円を八千円に引下げ、その他の清凉飲料についても同程度の税率の引下げを行うことといたしました。
次に砂糖消費税につきましては、國内で消費される砂糖の大部分が輸入にまつているのでありますが、それが連合國の好意によつて輸入される食糧である等の事情によりまして、輸入砂糖に対しては、非課税とし、これに伴い必要な規定の整備を行うた次第であります。
次に物品税につきましては、乘用小型自動車、自動自轉車等若干の物品を、新規に第一種の物品として課税することとした反面、第一種の物品中照明器具、カバン、トランク、こうり、乳母車類、運動具等について税負担を合理的なものとするため、税率を一段階引下げることとしたのであります。なお緑茶につきましても消費の性質及び課税の実情に顧み、從來の從價課税を從量課税に改め、税負担を若干軽減することとしたのであります。
次に取引高税でありますが、本税の根本的檢討につきましては、さきに申し述べました通りこれを將來に讓り、今回は特に納付方法について大幅な改正を行い、世上最も非難の多かつた印紙納税の制度を廃止するとともに、非課税範囲を拡張し、また一定額以下の零細な取引高についてはこれを非課税といたしました。
まづ、印紙納税の制度は納税者にとつて相当煩雜であり、取引を阻害する場合が多いこと等の理由により、非難が多かつたのでありまして、政府は実施の状況等にもかんがみ、この際印紙納税制度を廃止し、現金による毎月の申告納税の制度に改め、もつて印紙納税に伴う種々の手数及び帳簿の記載関係等を、簡略にすることとしたのであります。税率も軽くかつ計算方法も比較的簡單でありますので、申告納税制度によつて相当の成績を收め得るものと、期待いたしておるのであります。
次に現行非課税範囲との権衡、及び非課税にすることが財政收入に及ぼす影響等を考慮しつつ、非課税制度を若干拡張することとしたのであります。まず、徴税上の手数を省略し、かつ経済力の弱小な零細な営業者に対しては課税しない趣旨から、免税点の制度を設け、一箇月の取引金額が三万円未満の営業者に対しては、取引高税を課さないこととしたのであります。また新たに理容業、簡易旅館業、配給される加工水産物、主要食糧及び蔬菜植物の種苗等の取引等を、非課税とすることとしたのであります。
以上申し述べましたほか、今回改正しようとする主要な点について申しますれば、納税を容易かつ確実ならしめるため、新たに納税準備預金の制度を設け、その利子に対して所得税を免除することといたしました。最近の徴税の実情等から考えまして、租税の納付を容易ならしめることに資するよう、この制度を極力奬勵して参りたいと存じます。なかんずく申告納税の所得税につき、この制度の活用をはかり、もつて円滑なる納税に努めたいと考えている次第であります。
次に揮発油税法について、その大要を申し上げます。さきにも申し述べました通り、政府は新たに揮発油税を創設して、財政需要に應ぜしめることといたしたのであります。すなわち最近における揮発油の需給及び價格の状況等に顧みまして、政府といたしましては、揮発油に相当の租税力があると認め、小賣價格の從價十割の税率により課税することといたしたのであります。
揮発油税の内容につき主たる点を申し上げますと、本税は他の間説税と同樣、製造場または保税地域から揮発油を引取る都度、引取人から徴收することといたしました。その他輸出品に対する免税規定、精製等のため他の製造場へ移出する場合に未納税引取の規定、その他取締り上必要な規定は、おおむね、他の間接税の例にならつておるのであります。
以上各法律案につきその大要を申し上げたのでありますが、今回は原則として現行税制をすえ置くことといたしました結果、昭和二十四年度の租税及び印紙收入の総額は、五千百四十六億円餘に上り、総歳入中租税の占める地位は七三%となり、前年度に比し相当増加しておるのであり、この巨額な租税收入を本年度において確保いたしますためには、もとより多大の努力を必要とすると考えるのでありますが、これを確保することは、経済再建の基礎をなす財政收支の均衝をはかり、インフレを收束するために不可欠の要請でありますから、この際全國民が租税の完納につき、一段の努力をいたされたいのであります。政府といたしましても、すみやかに徴税事務の運営を刷新改善し、できる限り適正な課税を行うことに全力を傾注する所存でありまして、納税者各位の協力と相まつて、租税の徴收効率の向上が実現されることを、期待してやまない次第であります。今ひるがえつて、わが國現在の税制を檢討いたしますと、國民の中央及び地方を通ずる租税負担はすでに相当重く、かつ租税制度そのものについても、現在の経済情勢の推移に充分適應しないきらいがあるのであります。先にも申し上げました通り、今回はさしあたり現行税制を原則として、そのまけ踏襲したのでありますが、近い將來なるべくすみやかな機会に税制全般について根本的檢討を加え、ぜひとも税制の合理化をはかり、國民の負担を適正ならしめたいと考えているのであります。
何とぞ御審議の上すみやかに賛成せられるよう、切望してやまない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/2
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003・川野芳滿
○川野委員長 議案の審査に入ります前にちよつとお諮りいたします。それはただいま本委員会に付託されておりまする國立病院特別会計法の審議に関する問題でありまするが、法制委員会との連合審査会は大体本日をもつて終了することとし、なお本案に関しては種々問題がありますので、廣く一般の人々の意見を聽取した上で、審議を進めたいと存じます。それにつきましては、参考人を招致し、一般の意見を聽取いたしたいと存じますが、この点について御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/3
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004・川野芳滿
○川野委員長 御異議はないようでございますから、さよう決定いたします。まなお参考人の招致の日時及び人選その他手続等に関しましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/4
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005・川野芳滿
○川野委員長 それでは御異議がないようでございますから、さようとりはからうことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/5
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006・塚田十一郎
○塚田委員 この際皆さんにお諮り願いたい件があるのでありますが、それは現下の金融問題につきましては、私どもは非常に今頭を痛めておるのであります。それで先日日銀総裁においでを願つて、いろいろ日銀当局の意見を伺つたのでありますが、私どもは今日の金融状態が非常に逼迫しておる一つの大きな原因をなしておるものに、政府支拂いの遅延があるということを常々考えております。この問題につきましては、私どもも今いろいろ党といたしまして調べておるのでありますが、一應形式的には遅延はない。つまり政府のどこにも責仕がないという形になつて、問題の解決点がなかなか見出しにくいのでありますので、この際委員会といたしましてこれを取上げていただきまして、現実にこの遅延があるのに形式的には遅延がないという形になつておる原因がどこにあるかということを、委員会の権威をもつてひとつお取調べ願いたい、こういうように考えるのであります。その方法といたしまして、やはり委員会に政府側の支拂いの衝に当る人たち、それから民間の政府にいろいろ物品を納入いたしましたり、また政府工事を請負つております人たちの適当な人々を、委員会に招致していただきまして、そういう人たちの双方の実情を聞き、そうしてこの問題の解決点を何とかして見出したい、こういうように考えるのであります。本問題について委委員各位にお諮り願つて、どうか実現するように御努力願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/6
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007・田中織之進
○田中(織)委員 ただいまの塚田委員の提案に賛成でございます。その意味で至急この委員会の中に小委員会を持つて、実情を積極的にしかも迅速に調査して、問題の所在を明らかにすることを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/7
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008・川野芳滿
○川野委員長 ただいまの塚田君の動議のごとく、本委員会におきまして、政府支拂いの遅延に関する調査を進めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/8
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009・川野芳滿
○川野委員長 御異議ないようでございますので、さよう決定いたします。
なお調査の方法、小委員会の設置、期間等につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、この点いかがでございます。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/9
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010・川野芳滿
○川野委員長 御異議がないようでございますので、それではさようおまかせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/10
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011・田中織之進
○田中(織)委員 この際政府の方に資料の提出を要求しておきたいと思います。それは本日から税制に関する問題の審議に入りますので、さしあたり資料を三つ要求したいと思います。
一つは、最近滯納の整理が相当強力に行われておるのでありますが、ともすれば金額の比較的少い中小以下のものに対しまして、かなり苛酷な差押えが行われております。聞くところによりますと、相当大口の滯納者かあるということでありますので、この際税額百万円以上の滯納者のリストを早急に本委員会へ御提出願いたい。
二番目は、三月末現在の租税の徴收状況、これは各地方からのものを総計することに、なかなか日時がかかると思いますけれども、大体の数字でけこうでございますから出していただきたい。相当予算額を超過する徴税が強行せられておるということをわれわれ聞くのでありまして、この点も税法の審議にあたつて重大な問題でありますから、必ず税法の審議に間に合いますように提出願いたい。
それから、二番目の問題に関連いたしまして、二十三年度の所得税の更正決定に対する異議申立てが、いかように取扱われておるか。できればその件数等についても、同時に資料を提出していただきたいのであります。
三番目は、租税の確保という面について、特に大藏省の主税局としていかなる施策を行つておるか。これは予算案の中にも約一億円を計上せられておるのでありますが、そうしたものがどういう形で使われるかということは、重大な問題であると思いますので、納税の完納のために主税局において、ことに二十三年度においてはどういう費目について、どういう仕事をやつたかということについての詳細なる資料の提出をお願いしたい。以上三つについて、きわめて迅速にお願いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/11
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012・塚田十一郎
○塚田委員 税法の審議は、おそらく本日は進められないことになるだろうと思いますが、本審議に入ります前に一点だけ委員長に申し上げて、委員長より委員会の総意として、政府に御傳達願いたいと思うのであります。それは常々問題になつているように、法案の提出が非常に遅い。これは何もこの税法だけでないのでありまして、大藏委員会に提出の法案がすべてみな遲いのであります。今日はもう二十日であります。しかも予算はすでに本委を通つて参議院に行つて、今日参議院も上ろうとしているのに、その根本をなす税法がこれから衆議院の当委員会にかけられるという段階になつている。ただいまの政府委員の説明で、今年税法は大した改正がないということであつたようでありますけれども、今年税法の大した改正がないということはこれはへんなんでありまして、当然改正しなければならない状態になつているのを、先ほどの説明にもあつたように、改正を延ばしたということですから、今年は改正があることの方があたりまえで、ないことの方が非常に異例な状態である。この異例な状態であるのを、大して改正がないから遲れてもよいというように考えては、決してならぬのでありまして、今会期におきまして、改正がないということは、むしろ重大問題だとわれわれは考えている。そういう重大な税法がようやく今になつて本委員会にかかり、しかもそういうことが原因になりまして、昨日本会議においていろいろ問題になりましたような懲罰問題まで起きるようなことは、非常に遺憾のきわみであると言わざるを得ない。もちろんその間に、政府当局においてもいろいろお骨折りを願つたことは、内々私どもも承知しておりますけれども、しかし骨を折つたからといつて、この問題はやむを得ないと言うにはあまりに問題が問題が重大だと思う。將來のこともありますので、委員会から委員会の意思として政府側に重大警告を発していただいて、今後こういうことの再びないように御注意願いたい、こう考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/12
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013・川野芳滿
○川野委員長 本委員会に提案の予定になつておりまする法案につきましては、委員長といたしましてもかねて政府に対しまして、至急提案するように希望いたしておつたわけでありますが、いまだに提案のないことはまことに遺憾千万であります。ただいま塚田君の御要望もございましたが、当委員会におきましても、御異議ないことであると存じますので、大藏委員会全員一致の要求として、強く政府に警告を発しておくことといたします。さよう御了承願います。
なお、本日の日程に上つておりまする三法案につきまして、質疑を継続いたしたいと考えておつたわけでありますけれども、政府委員の出席がございませんので、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X01719490420/13
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