1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年五月六日(金曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 島村 一郎君 理事 塚田十一郎君
理事 宮幡 靖君 理事 田中織之進君
理事 荒木萬壽夫君 理事 風早八十二君
岡野 清豪君 小山 長規君
北澤 直吉君 佐久間 徹君
高間 松吉君 前尾繁三郎君
三宅 則義君 吉田 省三君
川島 金次君 河田 賢治君
出席政府委員
大藏政務次官 中野 武雄君
大藏事務官
(主計局次長) 阪田 泰二君
大藏事務官
(主税局國税第
一課長) 原 純夫君
大 藏 技 官
(主税局税関部
長) 伊藤 八郎君
大藏事務官
(國有財産局
長) 舟山 正吉君
大藏事務官
(理財局長) 伊原 隆君
大藏事務官
(給與局長) 今井 一男君
專賣局長官 原田 富一君
委員外の出席者
大藏事務官 慶徳 庄意君
專 門 員 黒田 久太君
專 門 員 椎木 文也君
四月二十八日
委員坪川信三君辞任につき、その補欠として早
稻田柳右エ門君が議長の指名で委員に選任され
た。
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四月二十八日
日本專賣公社法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三七号)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一四二号)
國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一四三号)
日本專賣公社法施行法案(内閣提出第一四四
号)
國家公務員のための國設宿舎に関する法律案(
内閣提出第一五二号)
同月三十日
関税法の一部を改正する等の法律案(内閣提出
第一五七号)
臨時宅地賃貸價格修正法案(内閣提出第一六〇
号)
國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関す
る法律案(内閣提出第一六一号)
專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコー
ル專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付
の特例に関する法律案(内閣提出第一六二号)
國庫余裕金の繰替使用に関する法律案(内閣提
出第一六六号)
協同組合による金融事業に関する法律案(内閣
提出第一六七号)
しよう脳專賣法案(内閣提出第一六八号)
興業債券の発行限度の特例に関する法律案(内
閣提出第一六九号)
同月二十八日
未復員者給與法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一五一号)(予)
戰爭公務災害補償に関する請願(志賀健次郎君
紹介)(第六二三号)
紅茶に対する物品税軽減の請願(宮幡靖君紹
介)(第六二七号)
引揚者に対する生業資金貸付に関する請願(足
立篤郎君紹介)(第六二八号)
福井縣の罹災法人及び個人業者に対する租税減
免の請願(坪川信三君外三名紹介)(第六三一
号)
同(飛嶋繁君外一名紹介)(第六三二号)
中小企業の金融改善に関する請願(早稻田柳右
エ門君紹介)(第六五九号)
重要農業生産資材に対する取引高税免除に関す
る請願(高橋清治郎君紹介)(第六六二号)
水飴に対する物品税軽減の請願(大上司君紹
介)(第六六六号)
税制改革に関する請願(岡田春夫君紹介)(第
六六七号)
美容師に対する取引高税撤廃の請願(早稻田柳
右エ門君外二名紹介)(第六六八号)
税制改革に関する請願外百件(神山茂夫君紹
介)(第六七〇号)
洗張業者に対する取引高税免除の請願(佐藤榮
作君外一名紹介)(第六七一号)
同月三十日
こんろに対する取引高税免除の請願(木村公平
君紹介)(第七二六号)
絹、人絹織物消費税軽減の請願(阿左美廣治君
外五名紹介)(第七二七号)
生命保險契約者に対する利益配当に関する請願
(春日正一君紹介)(第七四〇号)
新潟市における屎尿汲取組合に対する取引高税
免除の請願(松木弘君外一名紹介)(第七五〇
号)
五月四日
委託製パン加工に対する取引高税撤廃の請願(
土倉宗明君紹介)(第七九四号)
税制改革に関する請願外八件(徳田球一君外一
名紹介)(第七九五号)
府縣に対する國庫支出金等の算定基準適正化に
関する請願(川野芳滿君外四名紹介)(第八一
二号)
税制改革に関する請願(松谷天光光君紹介)(
第八一七号)
山林所得税の軽減に関する請願(前田正男君紹
介)(第八三二号)
大理石に対する物品税軽減に関する請願(武藤
嘉一君紹介)(第八三三号)
医藥品類に対する取引高税免除の請願(若林義
孝君紹介)(第八三四号)
税制改革に関する請願外一件(徳田球一君外一
名紹介)(第八四八号)
中小企業の税金問題に関する請願(風早八十二
君紹介)(第八五二号)
未復員者給與法の一部改正に関する請願(福田
昌子君紹介)(第八六二号)
蓄音機、レコードに対する物品税軽減の請願(
宮幡靖君紹介)(第八九三号)
勤労所得税等軽減の請願(松澤兼人君紹介)(
第八九四号)
大衆課税反対に関する請願(赤松勇君紹介)(
第八九五号)
税制改革に関する請願(聽濤克巳君紹介)(第
八九八号)
所得税の審査決定の通知期間を法制化する請願
(橘直治君紹介)(第九〇〇号)
人造バターに対する物品税撤廃の請願(井上良
二君外一名紹介)(第九八一号)
漆器に対する物品税軽減の請願(菅家喜六君紹
介)(第九九三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会に関する件
たばこ專賣法案(内閣提出第一三二号)
塩專賣法案(内閣提出第一三三号)
復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律
案(内閣提出第一三五号)
日本專賣公社法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三七号)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一四二号)
國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一四三号)
日本專賣公社法施行法案(内閣提出第一四四
号)
國家公務員のための國設宿舎に関する法律案(
内閣提出第一五二号)
関税法の一部を改正する等の法律案(内閣提出
第一五七号)
臨時宅地賃貸價格修正法案(内閣提出第一六〇
号)
國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関す
る法律案(内閣提出第一六一号)
專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコー
ル專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付
の特例に関する法律案(内閣提出第一六二号)
國庫余裕金の繰替使用に関する法律案(内閣提
出第一六六号)
協同組合による金融事業に関する法律案(内閣
提出第一六七号)
しよう脳專賣法案(内閣提出第一六八号)
興業債券の発行限度の特例に関する法律案(内
閣提出第一六九号)
未復員者給與法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一五一号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/0
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001・塚田十一郎
○塚田委員長代理 ただいまより会議を開きます。
去る四月二十八日本委員会に付託に相なりました日本專賣公社法の一部を改正する法律案、日本專賣公社法施行法案、同月三十日同じく付託になりました專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案、及びしよう脳專賣法案の四案を一括議題といたしまして、まず政府の説明を求めます。
〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/1
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002・中野武雄
○中野政府委員 ただいま議題となりました日本專賣公社法の一部を改正する法律案について、提案の理由を説明いたします。
日本專賣公社法は、第三回國会において可決せられ、当初本年四月一日より施行することとなつておりましたが、本國会の開会早々日本專賣公社法の一部を改正する法律案について御審議を願い、とりあえずこれを六月一日から施行することに延期した次第であります。しかるに日本專賣公社の発足及びその業務運営の円滑を期するためには、專賣事業審議会の委員の構成等についても改正するのが適当と思われますので、さらにこの改正法律案を提出することとしたのであります。すなわち專賣事業審議会の構成委員中、專賣事業関係者は葉タバコ耕作者のみとなつておりますが、これでは範囲が狹く、他の專賣事業関係者を軽視することとなつて、公社今後の業務運営上好ましくないので、葉タバコ耕作者以外の專賣事業に関係ある者の中からも任命し得ることとし、これに伴いまして委員数六人を八人に増加することとしたのであります。また專賣事業審議会は公社の発足前に構成して、総裁及び監事の推薦を設立前に行うことが妥当と考えられますので、これらに関する規定に限り、五月十五日から施行することに改めたのであります。
次に公社の役員及び職員の離職後の制限については、現在その規定がないのでありますが、臨時物資需給調整法に基く指定生産資材割当規則による物資の割当事務に関係する役員及び職員については、その事務の性質上より見て、國家公務員の場合との振合いをも考え合せ、これにある程度の制限を加えることが妥当と思われますので、これらの者の離職後の就職の制限に関する規定を設けたのであります。
以上が本法案を提出いたしました理由、並びに本法案の大要であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを、切望する次第であります。
次に日本專賣公社法施行法案について、提案の理由を説明いたします。
日本專賣公社法は、第三回國会において可決されましたが、公社の設立手続、國から公社への職員及び財産の引継ぎその他日本專賣公社法施行に必要な事項は、別に法律または政令で定めることになつておりますので、公社の発足に必要な以上の事項を規定するため、日本專賣公社法施行法の制定を必要とする次第であります。
次に本法案の要点について説明することといたします。まず第一に、公社の設立の時期を法律上明らかにするため、六月一日をもつて設立されるものといたしました。次に、專賣局に勤務する職員、專賣事業に関し國が有する権利、義務、專賣局特別会計に属する資産及び負債並びに係属中の訴訟、訴願は当然公社に引き継がるべき性質のものでありますから、これらの引継ぎに関しそれぞれ規定を設けました。次に資本金についてでありますが、昭和二十四年五月三十一日現在の貸借対照表に掲げる資産の額から、負債の部に掲げる一般会計へ納付すべき益金、減價償却引当金、借入金及び短期負債の額の合計額を差引いた額をもつて、公社の資本金の額とすることといたしました。以上のほか專賣局特別会計の決算事務に関すること、登録税、印紙税及び関税の免除に関すること、商工省のアルコール專賣事業に從事する職員を、公社の共済組合に所属させること等について、規定しているのであります。
以上が本法案を提出いたしました理由並びに本法案の大要であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを、切望する次第であります。
次にしよう脳專賣法案について提案理由を説明いたします。
日本專賣公社法は第三回國会において可決せられ、本年六月一日から施行されることとなつておりますので、日本專賣公社法の実施に伴い、その根拠法である粗製樟脳、樟脳油專賣法の改正を要する次第であります。
現行の粗製樟脳、樟脳油專賣法は、直接政府が專賣品の收納、販賣、取締等の事務を行うことに規定してありますので、公法人である日本專賣公社をして專賣事業を行わせるためには、ほとんど各條にわたり字句を修正する必要がありますことと、なおあわせて從來省令で規定されていた事項のうち、重要なものを法律の中に織り込むとともに、制度の民主化と法文の平易化をはかるため、全文改正を行うこととした次第であります。
次に改正の要点について説明いたします。まず現行法には明記してなかつたのでありますが、しようのう、粗製しようのう、再製しようのう、精製しようのう、しようのう油、しようのう原油及びしようのう精油の定義を第一條に明記して、專賣権の対象を明確にするとともに、第二條で專賣権の内容を規定いたしました。この專賣権は現在通り國に專属するのでありますが、この権能を公社をして行わしめることとし、現行法において政府の行つている事項は、原則としてすべて公社をして行わしめるという建前をとり、しよう脳專賣法の実施機関としての日本專賣公社の法律上の地位を、第三條で明記したのであります。
次に改正した主なる事項は、まず現行法では粗製しようのうまたはしようのう原油を製造しようとする者は、政府の許可を受けなければならないことになつておりますが、この許可制度を廃止して割当制に改め、公社から製造予定数量の割当を受けた者は、これを製造することができることとし、割当の手続、欠格條件及び手続を定めたことであります。
次に價格の決定についてでありますが、粗製しようのう及びしようのう原油の收納價格は公社が決定し得ることとし、賣渡價格については、政府の認可を受けて公社が決定し得ることといたしました。
次に輸入については、現行法では政府の指定した港湾による輸入は自由でありましたが、改正法では國内しようのう事業保護の見地から、粗製しようのう及びしようのう原油については委託制をとり、再製しようのう、精製しようのう及びしようのう精油については許可制をとることといたしたのであります。次に精製及び再製については、現行法ではともに許可制になつておりますが、なるべく民業の自由を尊重する見地から改正法では許可制を廃し、自由にこれを製造し得ることにいたしました。
次に罰則について御説明いたします。現行法では五万円以下、三万円以下、一万円以下、千円以下の罰金の四段階となつていますが、改正法ではしようのう專賣権の擁護のため罰則を強化し、三十万円以下、十万円以下、五万円以下の罰金の三段階に整備いたしました。國税犯則取締法の準用については、現行法では財務局長、税務署長または收税官吏の職務を行う官吏は、政令で定めたのでありますが、改正法ではこれらの職務は、公社の総裁の推薦に基き、大藏大臣が指定する公社の役員または職員が行うことといたしました。そして公社の役員または職員がこれらの職務を行う場合におきましては、大藏大臣がこれを監督し、從つて國家賠償法の適用については、当該職務の遂行を國の公権力の行使として、当該役員または職員を國の公務員とすることとしたのであります。
以上が本法案を提出いたしました理由並びに本法案の大要であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを、切望する次第であります。
次に專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案提出の理由を、御説明申し上げます。
今回この法律を制定しようといたします理由は、これらの各会計における決算上の益金の一般会計への納付につき特例を設け、もつてこれらの企業の円滑な運営をはかるとともに、一般会計、特別会計を通じての総合的財政收支の均衡に資せんとするものであります。
從來これらの会計において決算上生じた利益は、すべて当該利益を生じた年度の一般会計の歳入に納付することになつていたのでありますが、昭和二十四年度以降におきましては、利益のうちから当該年度中において増加した、固定資産及び作業資産の價額に相当する金額を控除して得た金額を、当該年度の一般会計の歳入へ納付させることとし、その残額はそれぞれ各会計の固有資本の増加に、充てることにいたそうとするのであります。さらにこの利益を一般会計に納付する場合に、当該会計において納付に必要な現金に不足があるとき、または運轉資金の増加の必要があるときは、その一部を翌年度以降において納付することができるようにしようとするものであります。
次に昭和二十三年度の決算上生じた利益についてでありますが、現在專賣局特別会計においては、自己資本に比べ固定資産の額が相当超過した形になつておりますので、この際利益の一部をもつて、固定資産の限度で固有資本の増加に充てることができることとし、またアルコール專賣事業特別会計については、作業資産の増加の結果、運轉資金に不足を來しておりますので、利益のうちアルコール販賣價格に見込まれている酒税相当部分以外の部分、すなわち企業利潤部分に相当する二億六千三百二十万円を限り、固有資本の増加に充てることといたしたいのであります。
次に印刷局特別会計においては、昭和二十四年度において運轉資金に充てるため、一般会計から繰入金とすることができるよう措置いたしたのでありますが、なお固定資産のための借入金がありますので、昭和二十四年度に限り利益を全額固有資本の増加に充てることができるようにいたしたいのであります。
以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/2
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003・川野芳滿
○川野委員長 次に同じく四月二十八日本委員会に付託に相なりました國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、國家公務員のための國設宿舍に関する法律案、及び同日予備審査のため同じく付託になりました未復員者給與法の一部を改正する法律案を一括議題といたしまして、政府の説明を求めます。中野政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/3
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004・中野武雄
○中野政府委員 ただいま議題となりましたこのたび本國会へ提出いたしました國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
國家公務員共済組合法は、昨年第二國会において成立し、法律第六十九号をもつて七月一日から施行されておりますが、その後の情勢の変化と実施の実情とに顧みまして、今回その一部につきまして所要の改正を加えようとするものであります。
次にその主要な改正について御説明いたします。まず第一は年金額の増額であります。これは同じく第二國会を通過いたしました恩給法臨時特例の改正によりまして、それまでおおむね終戰直後の低い給與ベースを基準としておりました恩給が、実際の給與ベースを基準とするように増額され、既給者の恩給額もおおむね三千七百円水準まで引上げられることになりましたので、これに伴いまして官吏以外の者に対する同種の給與である共済組合の長期給付につきましても、これに準ずる引上げをいたすことを必要とするものであります。
第二の改正点は、非現業雇用人に対しまして、退職給付等のいわゆる長期給付の制度を適用しようとするものであります。長期給付の制度は、現業雇用人に対してのみ適用されておりまして、非現業雇用人については諸般の事情から、ただいままだ実施をみていなかつたのであります。しかしながら先に御説明いたしました通り、今回年金額につきまして大幅の引上げをいたし、かつその財源を國庫において負担いたす考え方をとることにいたしましたので、これを機会といたしまして、現業雇用人及び官吏に対する不均衡を是正するため、実施しようとするものであります。
第三は、別途計画されておりまする健康保險法の改正に関連する改正であります。最近医療保險の利用率が激増いたしまして、相当程度組合員掛金と國庫交付金の増額を必要とすることが予想されておりまするが、この際濫診濫療を防止するための一方法として、初診料を保險からはずして組合員の自費負担といたすことにいたしました。このことはまた健康保險において同樣の改正を考えておりまするので、保險医の統一的取扱いを可能とするためにも必要とするものであります。なおこのほかに、最近の物價事情に即應いたしまして、哺育手当金、埋葬料の最低保障額の引上げを行うことにいたしております。
第四は、日本國有鉄道及び日本專賣公社の設立等に伴い、組合の設置区分を改めるとともに、組合における苦情処理機関である審査会の設置等についても、実情に即應するように所要の改正を行う必要がありますので、この関係の改正をもあわせて行うものであります。
以上、主要な改正点について御説明申し上げました。最後にこの法律案の実施に要する費用、すなわち既給年金者に対する年金額の引上げ、非現業雇用人に対する長期給付の実施、並びに健康保險法の改正に関連する改正等の措置による、組合所要財源の増加に伴い國庫の負担増加となるべき費用につきましては、すでに本年度予算において承認せられておりまして、昭和二十四年度共済組合國庫交付金は、一般会計及び特別会計を合せまして総額六十四億三千万円が計上せられております。何とぞすみやかに御審議の上、御賛成あらんことを希望いたします。
次に、このたび本國会に提出いたしました未復員者給與法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
未復員者には、前國会において御賛成いただいた未復員者給與法の改正法律により、療養費及び障害一時金が支給されることになつているのでありますが、今回療養費を支給するかわりに、厚生大臣の指定する医療機関により直接療養を行うこともできるようにするとともに、療養等に関して非課税の取扱いをする等のため、さらに同法の一部につき所要の改正を加えんとするものであります。
何とぞすみやかに御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
このたび本國会に提出いたしました國家公務員のための國設宿舍に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
國家公務員の宿舍に関する基礎法規はきわめて古く、明治初年の制定になるものであります。また今日まで宿舍全般を統轄する中央官廳はいずれなりやが明確を欠いておりました結果、宿舍の設置及びその利用状況は各省きわめて区々となつておる次第であります。從いまして、この際宿舍の設置及び利用に関し、各省の統一を保持しますることは、國の事務、事業の円滑な運営を確保する上において緊要なことと存じますので、今回國設宿舍に関する法律案を提出するに至つた次第であります。
次に法律案の内容を簡單に御説明申し上げます。
一、まず宿舍は、國がその事務、事業の円滑な運営に資する目的をもつて、國がみずから設置するものであることを規定し、宿舍運営の根本方針を確立いたしました。
二、次に、宿舍の設置、利用等に関する各省区々の現状を是正し、將來における統一を保持するため、特に内閣総理大臣所轄のもとに宿舍審議会を設置し、宿舍の設置に関する計画、宿舍の維持及び管理に関する基準、無料宿舍を貸與する者の範囲、有料宿舍の一坪当りの使用料の基準、有料宿舍の居住者の選定の基準等、宿舍運営に関する重要事項をあげて、同審議会の審議決定にゆだねることといたしました。
三、宿舍は、公邸、無料宿舍及び有料宿舍の三種とし、公邸は、内閣総理大臣、國務大臣等特定の者のために設置し、無料で貸與するものとし、無料宿舍は、非常勤務に從事する者等、その職務の特殊性にかんがみ、積極的に宿舍を提供する必要のある者のために設置し、無料で貸與するものとし、有料宿舍は、公邸または無料宿舍の貸與を受ける者以外の國家公務員のために、予算の範囲内で設置し、有料で貸與するものであります。なお、有料宿舍の使用料につきましては、一般民間の家賃との権衡をはかることを目途として、宿舍審議会で決定いたすことになつております。
四、宿舍の管理につきましては、宿舍に関する総合調整は、宿舍審議会の決定事項の範囲内で大藏大臣がこれを行うものとし、各省各廳の長は、大藏大臣の定めるところに從つて、宿舍の管理を行うことになつております。
五、この法律は実施のため相当の準備期間を必要といたしますので、公布の日後二箇月を経過した日から施行することといたしました。なお、この法律施行の際、現に國家公務員のために設置されている宿舍は、それぞれの区分に應じて、この法律により設置された公邸、無料宿舍または有料宿舍となることとなつております。
以上がこの法律案の制定の理由及びその大要でありますが、宿舍問題は、國の事務、事業の能率的運営を確保するためには、適切かつ迅速にその解決をはかる必要がありますので、何とぞすみやかに御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/4
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005・川野芳滿
○川野委員長 次に去る四月二十八日本委員会に付託に相なりました所得税法等の一部を改正する法律案、関税法の一部を改正する法律案、四月三十日付託に相なりました臨時宅地賃貸價格修正法案、國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案、國庫余裕金の繰替使用に関する法律案、協同組合による金融事業に関する法律案、興業債券の発行限度の特例に関する法律案を一括議題として、政府の説明を求めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/5
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006・中野武雄
○中野政府委員 ただいま議題となりました臨時宅地賃貸價格修正法案外一法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
現行の土地の賃貸價格は、昭和十三年に一般的に改定せられたものでありまして、その後の経済事情の推移等にかんがみますときは、各地目についてある程度の不均衡を生じているのでありますが、なかんずく宅地の賃貸價格については、戰災その他の影響により、著しく不均衡となつている現状であります。しかしながら、土地賃貸價格の一般的改定の調査に今ただちに着手することは、税務行政の事情等から見て困難でありますが、他面今回地方税法の一部を改正する法律案により、地租の賦課率は土地の賃貸價格の百分の五百に引上げられることになつております。從つて、比較的変動の少い農地等の賃貸價格についてはさしおくことといたしまして、さしあたり宅地の賃貸價格のみにつき、土地の賃貸價格の一般的改定とは切り離してすみやかに修正を加えることが、租税負担の適正をはかるゆえんであると考えられるのであります。しかして宅地の賃貸價格の修正にあたりましては、つとめて簡易な方法によることとし、現行の賃貸價格の基準はこれを動かすことなく、その各筆相互間の不均衡を、暫定的に是正することにとどめた次第であります。
次に本法案の大要について申し上げます。今回の宅地の賃貸價格の修正は、本年四月一日現在土地台帳に登載されている宅地の賃貸價格で、土地の状況に照らし著しく不均衡となつているものにつき、本年十月一日においてこれを行うことといたしました。宅地の賃貸價格の修正にあたりましては、まず戰災その他の被害を受けていないこと、及びインフレーシヨンによる一般的影響を除き、戰爭に基く経済変動の影響を受けていないこと等により、賃貸價格の修正を要しないと認められる市区町村のうちから、原則として都道府縣に一箇所程度の基準地区を選定することといたしました。しかして基準地区内の宅地の賃貸價格は現行のまま据え置くこととし、これと比較して基準地区以外の区域内の宅地の賃貸價格を修正するのであります。基準地区以外の区域内の宅地につきましては、原則として区域主義をとり、本年四月一日現在において、現行の賃貸價格の定められた昭和十三年以降における経済事情の変動等による影響の程度が、同樣であると認められる区域は、これを一区域といたしました。しかしてその区域内の標準となるべき宅地を選定し、その賃貸價格に対する右の標準となるべき宅地と、土地の状況が類似する基準地区内の宅地の賃貸價格の割合を求め、その割合を右の区域内の宅地の賃貸價格に一律に乘じて、賃貸價格を修正するのであります。なお基準地区内に標準となるべき宅地と状況類似する宅地が、見出しがたい場合におきましては、基準地区内の比較的状況を類似する宅地等に比準する方法によることになつております。しかし戰災その他の影響により、各筆相互間の不均衡がはなはだしい区域につきましては、右の一定の割合を一律に乘じて、修正賃貸價格を算出することが不適当であると認められますので、宅地各筆ごとに賃貸價格を修正いたすこととしたのであります。すなわちこの場合におきましては、その区域内で標準となるべき宅地の賃貸價格につき、さきに申し上げましたと同樣の方法でその賃貸價格を修正し、これに比準して各筆の賃貸價格を修正することにいたしております。
以上宅地の賃貸價格の修正の時期、基準及び方法について説明したのでありますが、宅地の賃貸價格は地租の課税標準である関係上、國民の租税負担に多大の影響を及ぼすものであり、また地方公共團体の歳入にも少からざる関連がありますので、賃貸價格の修正にあたりましては大藏省に基準地区調査会を、財務局に原則として都道府縣ごとの地方宅地賃貸價格調査会を、必要な税務署に宅地賃貸價格調査会を設置いたしまして、それぞれ地方公共團体の職員及び学識経驗のある者のうちから委員を選び、これらの調査会に重要な事項を諮問いたすこととしたのであります。なお、土地の賃貸價格の一般的改定は、昭和二十六年に行うことになつていますが、経済の実勢にかんがみますに、地租の課税標準を土地の賃貸價格に求めることにも再檢討を要する点がありますので、この点につきましては税制の根本的檢討の際、十分に研究いたしたいと考えているのであります。
次に所得税法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。現在所得税法、法人税法、有價証券移轉税法、相続税法、通行税法及び取引高税法に規定されている日歩十銭の加算税の計算につきましては、加算税額の計算の基礎となる税額が百円未満であるときは、これを納付することを要せず、またこれに百円未満の端数があるときは百円單位とすることになつておるのでありますが、所得税法等の施行の状況にかんがみ、加算税の計算を簡易化いたしますことがこの際必要である実情にありますので、今回加算税額の計算の基礎となる税額が千円未満であるときは納付することを要せず、またこれに千円未満の端数があるときは、千円單位とすることといたしました。また現在加算税額が十円未満であるときは、これを納付することを要しないことになつておりますが、右の趣旨に基きまして加算税額が百円未満であるときは、これを納付することを要しないことに改めることといたしました。なお所得税法等に規定されている不足税額の百分の二十五に相当する追徴税の計算方法につきましても、右に述べました加算税の計算方法と同樣、簡易化をはかる見地から改正を行うことといたしております。
何とぞ御審議の上すみやかに賛成せられるよう、切望してやまない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/6
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007・塚田十一郎
○塚田委員 まだ幾つか説明を伺う法案が残つておるようでありますけれども、政務次官も大分声がお疲れのように存ぜられますので、この辺で打切りにしていただいたらどうかと思いますが、皆さんにお諮りを願つて御決定を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/7
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008・川野芳滿
○川野委員長 塚田君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/8
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009・川野芳滿
○川野委員長 御異議がないようでございますので、ただいま提案されております法案中、説明未了の分もございますが、これは午後に讓ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/9
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010・川野芳滿
○川野委員長 なおこの際お諮りいたしますが、去る四月二十八日商工委員会に付託になりました中小企業等協同組合法案、及び中小企業等協同組合法施行法案の二法案につきましては、本委員会にとりましても重要な関係がありますので、商工委員会と連合審査会を開くことを、同委員会に申し込みたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/10
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011・川野芳滿
○川野委員長 御異議がないようでございますのでさようとりはからいます。
なお連合審査会の開会の日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/11
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012・川野芳滿
○川野委員長 午前はこの程度にいたしまして、午後一時より再開いたします。
これにて休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
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午後一時三十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/12
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013・川野芳滿
○川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
午前中に引続いて政府の説明を求めます。中野政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/13
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014・中野武雄
○中野政府委員 ただいま議題となりました関税法の一部を改正する等の法律案について、提案の理由を御説明いたします。
わが國に輸出入されるすべての貨物は、関税法第三十一條の規定により、税関に申告し、檢査を経て、その免許を受けることとなつており、税関はその面において最終的取締り官廳とも言い得るのでございますが、他の法令で、輸出または輸入に関して、それぞれ当該行政官廳の許可、承認等を要する旨を規定している貨物については、その取締りの万全を期するために、税関檢査の際、その許可、承認等を受けたことを証明するか、または証明の上、その認定を受けさせるようにし、もつて行政効果を最も確実にする必要がありますので、この趣旨を関税法に規定しようとして新たに一條項を設けたいのであります。
次に郵便物中、小形包裝物等に対しては、郵便物による密輸出入を防止する見地からも、その輸出入に際して税関の檢査を受けさせる必要がありますので、これを法制化することとし、また收容貨物を税関で処分し得る期間は現在六箇月でありますが、それではあまりにも長期に失し、現状にそぐわないきらいがありますので、これを三箇月に短縮し、もつて港頭上屋の利用の回轉率を高めるとともに、收容貨物の早期活用をはかるためと、これら收容貨物または腐敗のおそれのある收容貨物及び犯則事件の差押え物件も、公益上必要があるときは、その貨物につき統制機関のあるものはまずその統制機関に賣却し、統制機関のない場合は、税関長の適当と認める者に随意契約をもつて賣却し、なお一層の早期処分をはかるために、関税法に所要の改正を加えようとするものであります。
次に現在外國貿易実績の相当量に上つている細島、津久見両港はこれを開港に指定して、その利便に資するとともに、開港の指定が関税法と横須賀港を開港に指定する等の法律(昭和二十二年法律第百九十二号)の二本建になつているのを、この際関税法で一本としてその整理をはかり、かつ外國貿易の消長に伴つて、開港の中にもその價値を失つて來るものも生ずるので、一定の閉鎖條件を定めて自動的に開港の整備を行い、從つて税関支署等の整理をなし得るよう規定したのであります。
次に本邦に入出國する旅客に対し、その旅券の査証を行つて、身分等を確認し、もつて税関檢査の完璧を期するために、新たに規定を設けるとともに、現在税関で行つている外國貿易等に関する税関統計の作成につきこれを法制化して、もつて税関にその作成を義務づけ、税関統計をさらに権威あるものとするために、その規定を設ける必要があるのであります。
次に朝鮮、台湾等は密貿易取締り及び税関統計作成上の見地から、関税法の手続面では現在も外國とみなされているのでありますが、関係方面の意見も一致しましたので、当分の間これを関税法上全面的に外國とみなし、あわせて関税定率法、トン税法上も同樣外國とみなして、これらの地域をわが國関税法規しまつたく外國と同樣の取扱いをしようとするのであります。
次に現行トン税率総トン数一トン七銭は、現在の経済情勢から見てあまりに低きに失するので、これを五円に改め、もつてその適正をはかり、あわせて租税増收の一助とするとともに、その他税関の事務遂行上及び最近におけるわが國貿易事情から見て、関税法に所要の改正を加える必要があると考えられますので、本法律案を提出した次第であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
次に國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案提出の理由を御説明申し上げます。
從來國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関しては、会計法の施行規定である予算決算及び会計令及び政府から物件を賣り拂う場合の代金の延納に関する勅令の定めるところに從つて、実行して参つたのでありますが、これらの規定は、現下の状況から、その内容について変更を加える必要もあり、また國有財産の賣拂代金等の納付については、すでに國有財産法の改正の際、これを整備し、法律中に規定しました関係上、物品の賣拂代金納付の原則についても法律で規定することが望ましいので、今回その整備をはかるため、この單行法律を制定しようとするものであります。すなわち賣拂代金の納付に関しては、從來も当該物品の引渡しのときまでに納付させることになつておりますが、この原則規定を法律に引き上げまするとともに、從來特に制限を設けられていなかつた賣拂代金の延納に関し、第二條に列挙いたしましたごとく、必要やむを得ない範囲においてのみこれを認め、担保の提供を免除する等の場合におきましても一定の條件を付し、必要最小の範囲にとどめることといたした次第であります。なお延納の特約をしようとするときは、從來の通り大藏大臣に協議を要するものとして、さらにその濫に流れることを防止することを考慮いたしております。
以上の理由によりましてこの法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
次に協同組合による金融事業に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
協同組合による金融事業につきましても、その健全な経営を確保し、預金者その他の債権者の利益を保護し、健全な一般の金融秩序を維持いたしますために、所要の規律を設ける必要があると思われるのでありまして、從來この点につきましては、当時立案いたしておりました金融業法におきまして、他のすべての金融規律とともに、所要の規律を設けるという方針で進んで來たのであります。しかるにこの金融業法は、さらに別の観点から再檢討することになりまして、金融業法としては今國会に提出しないことになつたのであります。今般農業、水産業及び消費生活協同組合以外の協同組合の組織法でありまする中小企業等協同組合法案が、今國会に提出されることになつたのでありますが、これは中小企業等の協同組合の民主的な組織化をはかろうとするものでありまして、金融事業の監督に関する規律がまつたくなく、このままでは協同組合による金融事業の健全な経営と一般金融秩序の維持は期し得ないのであります。從つて本法によりまして、協同組合につきましては、銀行等と同じように、金融事業を行うにあたつては、大藏大臣の免許を要することとし、その行う金融事業に関しましては、おおむね銀行法または貯蓄銀行法の例によりました規律を設け、もつて一般金融秩序の中におきまする協同組合による金融の健全な発達をはかろうとするものであります。
以上協同組合による金融事業に関する法律案の提案理由を御説明いたしたのでありますが、すみやかに御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
次に國庫余裕金の繰替使用に関する法律案提案の理由を説明申し上げます。
現行会計法規におきまして、短期資金を一時借入金または融通証券によつて調達するものと定められている特別会計は、総計二十一に上るのでありますが、そのうち右の調達方法にかえ、國庫余裕金を繰替使用することを認められておりますのは、專賣局及び印刷局特別会計外七会計にすぎないのであります。これがため政府收支の年間推移の過程におきまして、相当巨額の國庫余裕金が発生し、その利用の道に苦しむごとき事態を生ずるとともに、一方には短期の資金繰りに苦しみ、融通証券を発行し、または一時借入金を起さねばならぬ特別会計が、多々存在する実情と相なつておるのであります。ゆえに國庫余裕金の繰替使用の制度を、右の二十一特別会計のすべてに拡張いたしますとともに、融通証券または一時借入金の期限前償還のためにも繰替使用を認めることといたしまして、國庫金を合理的かつ効率的に運用し、あわせて融通証券または一時借入金の利子予算を節減することを、可能ならしめたいと存ずるのであります。
以上の理由によりましてこの法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
次にただいま提案されました興業債券の発行限度の特例に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
インフレーシヨン克服のため、本年度予算においては、復興金融金庫は著しくその機能を縮小することになつたのでありまして、これに伴い、産業の必要とする長期資金の供給は著しくきゆうくつとなつて参つたのであります。他面経済の安定復興のため、長期産業資金の円滑な供給を要することは論をまたないところでありまして、このような状況にかんがみ、日本興業銀行の興業債券発行の限度を引上げることといたしたのであります。從來、日本興業銀行は、日本興業銀行法の規定によつて、拂込資本金額の十倍を限り、興業債券を発行することができることとなつておつたのが、昭和十二年以降は別途臨時資金調整法によつて、さらに一定額までの興業債券の発行が認められることになつて、昭和二十年には同法の認めるその限度は百億円まで拡張されたのであります。しかしながら、臨時資金調整法は昨昭和二十三年に廃止されましたので、從來の原則であります拂込資本金額の十倍という限度に復したのであります。爾來、再建整備後の資本金五億円の十倍すなわち五十億円の範囲内で債券を発行し、長期事業資金の需要に應じて來たのでありますが、本年三月末現在における発行残額は約二十三億円となつたので、発行余力も少くなつて参り、かたがた前に申し述べましたように、特に最近の情勢によつて、日本興業銀行の長期産業資金供給能力の拡大が強く要望されることとなつたのであります。これがためには資本金の増加も一方法でありますが、こればかりでなく、発行限度の倍率を引上げることが必要と認められるのであります。このような事情から、現在の日本興業銀行法による興業債券の発行限度である拂込資本金額の十倍を、二十倍にすることといたしたのでありますが、全般的な金融制度については、かねてから再檢討を要請されておりますし、債券発行銀行についての恒久的な制度としては別途考究する必要がありますので、とりあえずの措置といたしまして、暫定的に昭和二十五年三月までの期間を限つて、日本興業銀行の債券発行限度を二十倍とする内容の單行法を制定することとして、この法律案を提案いたした次第であります。
以上申し上げましたように、ただいま提案されました興業債券の発行限度の特例に関する法律案は、最近における長期産業資金の需給状況にかんがみ、その調達を容易ならしめて、経済の安定復興に資するため、まことに緊要なものでありますので、何とぞ御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/14
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015・川野芳滿
○川野委員長 次に國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、國家公務員のための國設宿舎に関する法律案、関税法の一部を改正する法律案、國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案、專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案、及び國庫余裕金の繰替使用に関する法律案の六法律案を一括議題といたしまして、質疑に入ります。田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/15
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016・田中織之進
○田中(織)委員 まず國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案、これについて伺いたいと思います。関係の政府委員は出席しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/16
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017・川野芳滿
○川野委員長 お見えになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/17
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018・田中織之進
○田中(織)委員 これは当然國有財産法の適用を受けないところの、動産に関する拂下げの場合の問題だと思うのですが、動産の拂下げに関する手続の問題がどういうようになつておるか、一應伺つておきたいのです。最近いろいろの統制の縮小あるいは廃止等の関係に伴いまして、たとえば公團所有の動産等の拂下げが、ぼつぼつ始まつておるように聞いておるのであります。國の所有するものといたしましては、各省各廳にわたり、非常に廣汎なものだと思いますが、そういう拂下げ手続がどういうようになされておるかということを、まず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/18
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019・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 國の所有に属する動産の拂下げの手続につきましては、特別に動産のみの手続はできておりませんが、要するに財政法あるいは財政法の施行規定であります。予算、決算及び会計の規定に從つて、各省各廳で実行しておるということになるわけであります。原則としてそれぞれ各省各廳で競爭入札あるいは随意契約という形で、拂い下げることができるようになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/19
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020・田中織之進
○田中(織)委員 各省各廳でそれぞれ競爭入札、あるいは随意契約というような形で行うときに問題があると思うのですが、政府としてこれらの物件の処分について何か統一した監査方針なり、そういうものを持つ必要があるのではないかと思うのです。ことに最近、これは廣島縣の実例でありまするが、油糧公團の廃止を見越しまして、たとえば油糧公團の持つておるドラムカンのようなものを、公團の理事等が内部的な関係においてすでに拂下げを受けるように、いろいろ工作をしておるということが、かなり一般に知られておるのでありますが、たとい公團の者といえども、私はやはり公團の理事者が公團からそうしたものを、特別な関係において拂下げを受けるということは適切でないと思う。競爭入札ということになれば、当然一定の日時を置いて公示する等の方法がとられると思うのであります。現内閣の方針として相当動産等を含めてのいわゆる國有財産を、財政上に寄與するために民間に拂い下げるという方針を掲げられておるのでありまするが、こうしたことに関連いたしまして、ともすればこういうところに、忌まわしい不祥事件が胚胎する点があると私は思うのであります。それらの價格の決定については、少くとも政府として各省各廳に共通する、一つの準則を設定すべきであると思うのですが、その点について政府は用意があるかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/20
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021・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 先ほども、ただいまも公團の物品の賣り拂いにつきまして、お尋ねがありましたわけでありますが、公團につきましては公團の使用しております不動産は、國の所有に属するものであります。動産、たとえば公團で使つております備品類は國の所有ではなくて、公團の所有になつておるわけであります。從いましてお話のような場合につきましては、会計法、財政法等の規定の適用はないわけであります。これは政府といたしまして公團に対しましては、それぞれ所管の監督部局があるわけでありますから、その方が公團に対する監督の方法として、そのような物をやみに流さないように、取締つて行くようなやり方以外にないと思うのであります。お話の全般的に動産の拂下げの場合における準則をはつきりいたして、そういう物の拂下げが適切に行われ、國にその收入がはつきりと入つて來るような筋道を確保することは非常に必要なことで、ことに今回の内閣の方針といたしまして、いろいろ國の不用財産の拂い下げというようなことを意図しております場合には、特にこのことが必要であると思われますので、お話のような点はなおそれぞれ関係の部局の方で拂下げの方針を立てさせて、歳入の増加をはかる計画を立てておりますので、その際十分考慮いたして、何とか具体化するような方策をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/21
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022・田中織之進
○田中(織)委員 次に第二條に延納の場合、必要やむを得ない場合の規定があるのでありまするが、この場合農耕地、ことに開拓をしました耕地の拂下げ等は、國有財産の不動産関係になりますから、一應この法律の適用外だと思いますけれども、國有林の立木の拂下げ等の関係は、この関係の法律の適用になるのかと思うのです。そうした場合に現在の農村の経済状態等の関係から、当然その場合においてもあるいは協同組合、あるいは町村の関係で、第二條の必要やむを得ない場合の延納の範囲に属し得ると思うのですが、そういうふうに解釈してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/22
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023・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 お話のような場合でありますと、拂下げの相手方が個人であります場合には、この第二條の規定の適用になることはいささか困難かと思います。相が公共團体、あるいは公團その他公益事業を営むもののような場合におきましては、当然二條の二号によつてこの規定を適用することができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/23
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024・田中織之進
○田中(織)委員 その場合には今の延納という廣い意味に入ると思うのです。たとえば延納中の利子の減免の取扱い、あるいは一つの延納の方法としての年賦償還というような方法もとられることと思うのですが、さように了解してよろしいでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/24
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025・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 年賦延納というようなお話でございましたが、この法律に書いてございますように、動産につきましては少し年限を短くして、一年以内で分割拂いということになつております。一年以上の年賦は、この法律の規定ではできないことに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/25
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026・塚田十一郎
○塚田委員 これはあるいは國有財産関係の政府委員でないとわからないかと思うのですが、國有財産になつております不動産、ことに建物を市町村なんかが借りて使つておることがあるのであります。その市町村はさらにそれを引揚者なんかの住宅に使わしておりまして、その住居者が中で使つておるうちに、火を出して燒いてしまつたような場合に、何でも市町村に損害賠償の責任があるということであります。そのことは別といたしまして、それでそういう場合に備えて建物に市町村は保險をかけろ、こういうことに最近の取扱いがなつているらしいのであります。そこで使用料を取つて、さらにまた別に保險をかけさせて、その保險料を市町村に拂わせるという、この取扱いの関係はどういうぐあいになつているのか。普通の常識から言うと、使用料を取る場合にはそういうものも当然含めてきめられておるはずだと思うが、國の使用料にはそういうものが含まつておらないのかどうか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/26
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027・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 國有財産の方の関係は、國有財産局長からお答え申し上げた方がよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/27
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028・川島金次
○川島委員 今田中君からお話がありましたように、一括上程されても、出席している政府委員もおれば、おらない政府委員もあるということになつて、非常に審議が円滑に行かないと思うので、上程された法案の順序に從つて、政府委員がおればそれだけをやつて、一つずつ片づけて行くようにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/28
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029・川野芳滿
○川野委員長 それでは御要望もございますので、ただいま六件を一括上程いたしておりましたが、これを取消しまして、関税法の一部改正等の法律案を議題といたします。御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/29
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030・田中織之進
○田中(織)委員 この中で一番最後のトン税の点で、從來の一トン七銭を五円に改めるというのですが、從來のトン税の税額はどういうようになつておるか。今すぐおわかりでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/30
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031・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 ただいまお尋ねのトン税は、終戰以後ほとんどないのであります。と申しますのは、御承知のように純然たる第三國の船にはただいまかけておりませんのと、朝鮮、台湾あたりに行きまするものは、今度の法律案が通りまして初めて外國扱いになりますので、今後相当の收入を見ることができる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/31
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032・三宅則義
○三宅(則)委員 それではちよつと伺います。台湾や朝鮮が外國になつておるわけでありますが、しからば貿易に対しまするトン税というものはどのくらい入つておるかわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/32
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033・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 本法律案が御協賛になりまして実施になりましたあかつきには、大体予算として一千万円ぐらいを見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/33
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034・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの御説明でありますが、今政府の予定されておりますところの、貿易港その他についての御感想を承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/34
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035・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 ただいまおつしやつた点は、今度の法案によつて二つふやしまする開港場のことかと思いまするが、津久見、細島両港の最近の実績は非常に見るべきものがありまして、去年の実績において津久見は七千九百万円くらい、細島は七千五百万円くらいの輸出入がございまして、開港として十分なる價値があるものとわれわれは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/35
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036・小山長規
○小山委員 開港場のことについてちよつと伺いたいのであります。この開港場の指定は、所要の條件を満たしております場合は自動的になるのでございますか。それとも申請あるいは行政廳の方の行政処分によつてなるのでございますか。つまり一定の條件を満たせば自動的に開港場に指定されるのか。それ以外の方法によつてされるのか。閉鎖の方は自動的になるようでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/36
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037・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 閉鎖の方の案を立てたのでありますが、一方資格を得る方は、たとえば一年間の入出船が二十五隻、貿易額が二千五百万円を越えるものは、一應資格を得るようなかつこうになりますが、これはやはり議会に法案として出しまして、皆樣方の御協賛を仰ぐような考えになつております。と申しますのは、一時的な現象でもつてその資格を得ましても、開港場にいたしますには相当の経費、人員等を要しますので、なお永続性その他をも考慮しまして指定をいたしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/37
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038・田中織之進
○田中(織)委員 その点に関連して……。これはこの前の大藏委員会で、請願で政府委員にお伺いしたことが、今度の改正法律案の中に出て來ておるのでありますが、この開港を取消す場合の條件として、一年を通じて輸出入額が皆無であるというような場合、それから一年を通じて價額が二千五百万円、あるいは船が二十五隻に達しない場合というようなことを規定されておりますが、これはこの法律施行後の一年間の実績によつてやられるものでありますか。それとも二年なり三年なりの実情を見た上でこの規定が適用になるのか。この点先般私が伺いました和歌山の下津港あるいは田辺港開港取消しの問題とも、きわめて深い関係をもつて参りますので、この條件に満たない場合には、今の小山君の質問にも関連するのでありますが、そういう大藏当局の一方的な考え方ではなしに、一旦開港に指定されたものが、こういう欠格條項に基いて整理されるということは、將來を見越した港湾施設、倉庫業等の関係から相当影響のある問題でありますので、最後的な決定をするまでには、そういう関係方面の諮問機関を設けて意見を徴することが、運用上適切ではないかと思うのでありますが、そういう点について御用意があれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/38
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039・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 第一のお尋ねの点でありますが、われわれの考えといたしましては、この法律案が通過施行された日から、かりに一年間に船の入出港が一隻もなく、また貿易の実額が皆無な場合には、自動的にその資格を失うようにいたしたいと考えておるのであります。但し第二項によつて、二年間、一年を通じて二十五隻もしくは二千五百万円に達したときは、依然として資格があるわけであります。またそうお願いいたしませんと、私たちの持つておる人員及び経費の関係上、開港でありますれば、やはり最小限度二人ないし三人の人員をそこに配置しておく必要がありまして、経費節約の折柄全体の税関の行政をまかない得ない状態になりますので、やむを得ず今回は時代に沿うように、かようにお願いいたしたいと存じておる次第であります。從いまして、この案によりまして、各地方とも非常に御努力なされまして、その間に貿易の実績なり入出港を誘致していただけば、依然として資格があるわけであります。また一面この法案によりまして、從來ともとつておつたのでありまするが、統計を法律に規定してがつちりとつくりまして、それを随時発表もいたしまするし、統計の作成に法的根拠を與えて、両々相まつて万全を期したいと存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/39
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040・前尾繁三郎
○前尾委員 最近の密貿易の状況と、定率法の十二條の改正に関連して、現在どういうような貿易が行われておるか、その状況を簡單に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/40
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041・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 ただいま前尾委員からのお尋ねの点を、かいつまんでお答え申し上げます。密貿易の傾向は漸次盛んになつておりまして、一昨年の十一月以來昨年十二月までの、一年間の密貿易をつかまえた金額をマル公で申し上げますると、約一億五千万円の額に上つております。そのうち、密輸出をつかまえましたのが約一億三百万円、密輸入をつかまえましたのが四千七百万円という額に上つております。そうして大体相手國は朝鮮、台湾、沖繩でありまして、密輸出のおもなものは、機械の部分品、家具及びアルミニユーム製品、医療品、藥品等でありまして、いずれも統制物資であります。密輸入されるおもなるものは、昔は砂糖でありましたが、最近はいろいろかわりまして、一番おもなものは生ゴムということに相なつております。ただ從來は朝鮮、台湾等は、ただいま御指摘になりました関税定率法等の関係においては、まだ外國とみなされておりませんので、これはほとんど密輸入と申しましても、密輸出と申しましても、無免許の罰則だけでありましたのが、今後は朝鮮、台湾等も当分の間外國とみなしますると、無免許輸入もありまするが、関税逋脱も加わりまして、罰則等もそれに相應する罰則を適用されることに相なりますので、かたがた好結果を得られるものと考えております。台湾、朝鮮等からの正規の輸入につきましては、ただいま資料を手持ちいたしておりませんので、後日御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/41
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042・風早八十二
○風早委員 先ほど一千万円と言われたのは関税の増收見込み額ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/42
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043・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 トン税の收入額を大体一千万円と見積つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/43
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044・風早八十二
○風早委員 大体この改正によつて見込まれておる増收及びその増收の基礎について、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/44
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045・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 噸税法の改正による増收の計算の基礎は、從來の一トンについて七銭を五円に改めました。それから大体この対象になりまする船舶は、わが國の船舶及びわが方がチヤーターしている船舶、それと從來噸税法の対象になりませんでした朝鮮、台湾の船舶等でありまするので、それらの隻数及び入港の回数等を計算いたしまして、大体一千万円ということを見込んでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/45
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046・風早八十二
○風早委員 そういたしますと、七銭を五円に上げることによつて、直接増收が行われるというのは十分わかるのでありますが、貿易の伸張という点についてはどういう見込みを持つておられるのでありますか。関税法の改訂に関連させて政府の大体の見込みを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/46
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047・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 関税の方の見積りを申し上げますると、昭和二十三年中には一億五千万円の関税收入があつたのでありまするが、そのおもなるものは油類と藥品類の関税であります。御承知のように食糧品の大部分は免税いたしておりまするので、貿易額は去年一年間において、輸出入を合計して約千二百億に達しておるのでありまするが、関税收入としては一億五千万円にとどまつております。今度の会計年度におきましては、予算におきまして約三億の関税收入を見込んでおるのでありまするが、ただいま御指摘の貨物の増大につれまして、現在のような安い関税率でありまするけれども、数量の増加及びヴアラエテイの変化等を見まして三億を見込んでおりますが、大体の收入といたしましては、油類の課税と藥品類その他貿易廳の輸出入計画に從つて、諸外國から輸入の予定である原材料、その他副材料等を見まして、三億円と見込んでおるのでありまして、数量も相当増加する見込みであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/47
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048・風早八十二
○風早委員 援助関係の輸入物資及び一般輸入物資全般に対する関税は、一律に定率法によつてやつているわけですか。これは聞くまでもないと思いますが、今食糧の問題が上つておらないので、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/48
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049・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 原則としまして日本に輸入される物資は、全部が関税定率法のいわゆる輸入税の対象になるわけでありますが、大体におきまして、最もその大宗を占めておりますいわゆる食料品、工業原料品は全部免税に相なつております。その他御承知のように綿花、羊毛等のような日本に必要な原材料は、輸入税はただいま法律でもつて無税に相なつておりますので、大体その他のいわゆる消費物資中、免税規定以外のものが課税の対象物になつておるのでありまして、援助物資であるからという意味において免税にいたしておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/49
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050・風早八十二
○風早委員 もう一つ伺いますが、今のと関連した事項です。むろん援助物資いかんがその差別の基準になるわけではないというお話でありますが、そういたしますと、その免税の基準というものを、あらためて全般的にひとつ明らかにしていただきたいと思います。ことに食糧なんかにつきましては、これは多少政府の見解と私どもの見解とは違うかもしれませんが、日本の農業生産というものをそのために非常に押えておる。不当に日本の食料品、農産物の價格を押えておるというような結果にもなつておるのでありまして、かたがたこれに対して免税を行つておるということも、その理由がはつきりわからないのであります。いずれにいたしましてもこの免税と非免税との基準を、一般的にはつきりとお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/50
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051・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 大体において税法の組織は、わが國に生産のない物資であつて、わが國の工業産業に必要なものは課税いたさぬ。わが國に少くとも産業があり、それを助長育成する必要があるものについて、あるいは完全雇用等の見地から見まして必要なものには、できるだけ温和な、諸外國に摩擦を起さないような関税をかけるというのが、私ども大体の根本方針だろうかと思つております。大体組織もさように相なつておるのであります。ただ食糧につきましては、御承知のように関税は両方面の作用がありますので、いろいろの御議論を從來拜聽いたしておるのでありまするが、目下のわが國の情勢にかんがみまして、なおかついろいろな関係方面等の関係もありまして、本年中はこれを免税するのがよろしいという考え方をもちまして、あの食糧の免税は御承知のように当分の間というような字も使いませんで、一年限り議会の承認を得て延期しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/51
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052・風早八十二
○風早委員 それについてまだ少しいろいろ伺いたいのでありますが、時間もございませんから次に移ります。いろいろ密貿易の問題が今も出ておりましたが、大体最近の海上保安廳というものと、どういうふうな関連で税関の方ではこの密貿易に対する防止をやつておいでになるか。この点について、若干その活動状況を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/52
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053・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 密貿易の取締りの権限官廳としましては、御承知のように関税法に明確な規定がありまして、各地の税関長がこれに当つておるのであります。ただいま御指摘の海上保安廳との関係は、関税法に明確に規定がありまして、税関官署のない港あるいは税関吏が実在していない場所においては、これは海上保安廳がその任に当つていただくのでありまして、先ほど申し上げましたような場所においては、税関からその出動を要請した場合において、海上保安廳は活動するように相なつておるのであります。これは関税法の百三條あたりに規定してあります。また海上保安廳が犯人を檢挙しました場合においては、これを遅滯なく税関に引渡すように規定上相なつております。昨年の実績を先ほど申し上げましたが、全実績中地方、國家警察を通じて警察が檢挙してくだすつた数が、大体五割ないし四割であります。税関が檢挙した数が大体四割くらいでありまして、残り約一〇%を海上保安廳が檢挙して、われわれに引継いでくださつたことに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/53
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054・風早八十二
○風早委員 これでおしまいにしますが、最近外國郵便物の税関檢査を特に実施する。その何か具体的の必要ということで注目すべき事実のようなものとしては、どういうふうなものがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/54
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055・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 ただいまの関税法規には、外國小包郵便物の中に有税品が入つておつたときだけ税関に呈示して、その檢査を求めることに相なつておりまして、その他のものは全然税関の手続から除外されることになつております。しかし最近いろいろ外國と貿易を始めるにあたりまして、日本から見本等を輸出し、また向うから見本等を入れる必要があるのでありますが、たとえばただいま御指摘になりました具体的な例を申しますと、関係方面及び貿易廳の許可がいる品物であるにかかわらず、これを許可なしで輸出の取扱いをしまして、奥地の、たとえば長野縣あたりの郵便局に頼んでそのまま横浜まで來てしまつて、横浜等でただいま便宜檢査をいたしておるのであります。そこで初めて輸出の許可がいるということになりますと、またわざわざ横浜まで持つて來たのがむだになるわけでありますので、これは事実上は郵便局と連絡して、われわれが便宜上見てあげて來たのでありますが、何しろ役所の仕事は便宜でやつていたのではいけないのでありまして、なるべく法律に明記いたしまして、前もつて檢査をしてあげて、その際許可なり承認なりがいるものであるならば、それをそのときとつて、そして手続をした方がよいというのが具体的な例であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/55
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056・小山長規
○小山委員 これは別の方面のことでありますが、関係方面ではその管理下にある横浜、神戸の埠頭の一部を、日本側に開放するという意向を表明したことを聞いておるのでありますが、この問題はその後どういうふうに処理されておりますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/56
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057・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 昨年の八月十三日付をもつて司令部から覚書が発せられまして、横浜港の南棧橋と横浜市が持つているところの高島埠頭を横浜としては開放する。神戸といたしましては中突堤と申しましてこれは國が持つておるもの、それから兵庫突堤を返すから、日本側がこれを外國貿易の根拠として使えというのでありまして、しからばこれをいかにして日本側では運営するか。運営の具体的計画を出せというのでありまして、九月一日を期してこれを出せ。そうすれば十月一日からこれを実施して、開放するという指令が出されたのであります。いろいろ関係各方面とその運営の面につきまして打合せしたのでありまするが、なかなか円満な解決ができませんで、時日の経過にやむを得ず不満足ながら実施回答案を提出したのであります。ところがその案が不幸にしてなおいまだ関係方面にいれられずして、荏苒今日に及んでおるかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/57
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058・小山長規
○小山委員 そうしますと、昨年八月の提案が今日まで実現しないというのはどういう具体的な理由がありましたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/58
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059・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 事関係方面のことでありまするので、これは非常に臆測になりまするが、われわれが関係各省において議論して、ほとんど時日がありませんので、妥協的な非常に不満足な案——われわれ自身すら不満足な案と思つておりまするので、その案がきわめて不完全にして不満足な案であるがために、関係方面のいれるところとならずして今日まで実現を見ないのではなかろうか、かように思つておるのであります。と申しまするというと、現実に南埠頭あたりをいかようにして管理運営するかというやり方が、たとえば上屋は税関がこれを管理、運営し、そのバース——繋船埠頭のあたりはどういう役所がこれを管理するというような、きわめて日本政府としてあまりすつきりしない案であるために、受け入れられぬのではないだろうか。その点についてわれわれ関係者としても非常に遺憾に考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/59
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060・小山長規
○小山委員 もう一つのそれを使う相手方というのはどちらでございますか。それから日本の税関において、從來の取扱いというのはどういうふうになつておつたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/60
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061・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 相手方と申しますと主として海運局であるのでありまして、これは御承知のように戰時中に一時税関と海運局とが合併されました際に、税関としてはあらゆる行政機構を海運局に持つて行くと同時に、施設全般をあげてまた移管したわけでありまして、戰前は税関の所有に帰し、税関の管理、運営のもとに行政をやつておつたのであります。今後続々外國船が入りまして、最近横浜等にも二世及び一世の方が母國訪問に來られますが、その点につきましてはただいま非常に不便を感じておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/61
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062・河田賢治
○河田委員 ごく簡單なことでありますが、引揚者が帰つて來ますとき、大したものはみな持つていないのでございますから、大体身まわり品でありますが、携行物品として持つて帰るのであります。こういうものについて税関はやはりどの程度にタツチしておられるか、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/62
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063・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 引揚者の取扱いは、函館と舞鶴によつてやや趣が違うようでありまして、関係軍方面の指導のもとに、非常に綿密、愼重にやつております。これは何もお持ち帰りになるものについて、別に関税をかけるとか、量が超過しているというようなことはあまり懸念しないのでありますが、別な方面から非常に関心を持たれておるようでありまして、舞鶴方面等においては、入浴中に脱衣等を消毒するとともに、いろいろ詳細な檢査を行うというふうなことも実施されておるようでありまして、税関は物の超過、物をたくさん持つていることについて、特に心配をしてやつているのではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/63
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064・河田賢治
○河田委員 もう一つ今の問題について伺いますが、これは私たちも綿密には調べておりません。引揚援護局でやるのか、あるいは税関でやるのか、そういう点がわかりませんが、身まわり品を持つて帰ります。たとえば絵画とか二、三の書籍ぐらいを持つて來ると、こういうものが沒收されるということを聞いておるのでありますが、これは税関の方とは関係がないのですか。援護局の方でやるのですか、そういうことを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/64
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065・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 風俗とか、それから最近の指令としまして、どこの國に対しても謀叛を企てる種類の図書はいかぬというふうになつております。そういう種類の本でない限り、税関にしろ援護局にしろ、沒收とか取上げるというふうなことは全然ないと私ども考えておりますが、もともと事が風俗の問題あるいは公安に関係のある問題になりますと、それが問題となつたとすれば、税関がこれを取上げてそれぞれ関係方面に連絡することに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/65
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066・河田賢治
○河田委員 最近政府の方では行政整理の問題が出まして、定員法も國会へ出ることになつておりまするが、貿易関係から見ますと、相当税関の方は、今後におきましては輸出入の船舶も多くなり、貿易上の取引も多くなるというふうに先ほどから伺つておるのでありますが、やはり税関方面においても行政整理は一般的に二割とか、三割とかいうふうにおやりになるものか。また海上保安廳、あるいは一部警察関係その他でありますが、密貿易の取締りというような問題との関連について御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/66
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067・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 これは幸いに衆議院、参議院の皆樣方の御同情ある御理解によりまして、ただいまおつしやいましたような貿易の増大に伴つて、今年度——ほかはあまり増員はないのでありますが、われわれに対しては四百八十六名の増員が認められて、予算は成立したわけであります。しかし一方定員法との関係がありまして、一面において現業と申しまして、先ほど密貿易その他の取締りをやつておる人間につきまして約一割、非現業の面について約三割、行政整理的な意味において定員を減らすというので、定員法等において多少の減を見込まれておるようなふうに、ただいまわれわれお聞きしておるのでありますが、そういう面におきましては予算面から、ただいまの情勢においては、多少減るという見込みはありますが、減りましても幾分ふえるという状況にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/67
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068・小山長規
○小山委員 さつきの埠頭施設のことでございますけれども、法律上の建前は海運局が使うのか、それとも税関が使うことになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/68
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069・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 使うと申しますと、申し上げるまでもなく、船会社が船を岸壁につけまして、それから旅客が降りて來まして荷物の檢査なり、また荷物をおろしました以上は、税関長の指図によりまして上屋の中にどういうぐあいに——同じ種類の貨物は同じ所に積んで、荷主ごとにきちんとわかるように整理して、いつでも税関の檢査を経て一日も早くそこから引取つて、國内に物を入れてやるようにする。これは全部税関長の指図のもとにやるわけでありまして、使う面は、実際の管理運営としましては税関がやるものであると、私どもは考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/69
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070・小山長規
○小山委員 法律上もそうなつておるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/70
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071・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/71
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072・小山長規
○小山委員 そういたしますと、法律上明確な問題であるのに、今に至つてまだ解決しないというのは、何かその間に問題があるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/72
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073・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 御指摘の点は、非常に古いことを申し上げて恐縮でございますが、日本開國当時から横浜、神戸、長崎、函館、新潟の五港は、りつぱにこれは條約によつて一定の区域を限つて、そこに外國の貨物を揚げ、外國に積み出す荷物をそこに運び込んで手続をするところでありまして、これを税関構内という名で昔から呼んで、法律上においてもはつきりしておるのでありまするが、いかんせん日本においては一旦行政を移管した際に、財産上の処分及び管理権をあるほかの役所に移しますると、その役所が返さぬ限りにおいては、絶対に返つて來ないというのが現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/73
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074・小山長規
○小山委員 その間のそういうような情勢で、どういうふうになつておるのか知りませんけれども、せつかく神戸なり横浜の埠頭を返してやろうというような連合軍の好意ある問題が、所管爭いで解決しないというのは、まことに國家のために不幸なことであり、外國貿易進展のためにも非常な阻害になると思うのでありまするが、その辺の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/74
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075・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 まことにその点ごもつともでありまするが、われわれといたしましては誠意を披瀝しまして、いろいろ交渉申し上げておりまするが、いかんせん妥結に至らずして今日に及んでおる点は、自分たちの微力のいたすところであつて、実に申訳ないと思つておるのであります。できるだけ今後なお努力はしたいと思うのでありまするが、なかなか意にまかせない点が相当あるのを遺憾に思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/75
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076・三宅則義
○三宅(則)委員 私は二つだけ質問いたします。先ほども申しましたが、この法律は正式に提出されたものと思います。これは印刷をして各議員にまわしていただきたいと思いましたが、間に合わなかつたことであろうかと思います。この点をひとつ伺いたい。
もう一つは、外國に対しまする輸出、あるいは入出國いたしまする者が國籍別におわかりになりますれば、お示しいただきたい。
次に第二の問題は、外國船と日本船と両方あると思いますが、そのおのおののトン数とか、あるいはその隻数などがわかりましたならば、この際参考にお知らせ願いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/76
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077・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 印刷の点は、これは印刷が一時に殺到しましたので、印刷が間に合いませんので、これをもつて御了承願いたいと思います。
それから査証の問題につきまして、入出國、これはほんとうに始めまするのは本法律案が通過してからやるわけでありますが、実は二月にメモランダムが出ておりまして、メモランダムによりまして査証を税関がやることになつておりますので、ただいまやつておりますが、大体の数を記憶しておりますのは、ほとんど毎航海ごとに羽田にはこの仕事を始めてから四、五人の人が來られます。それから大量に参りましたのが、この間ゴードン何とか号というので約三百名くらい、そのあと百五十名が來られまして、大体横浜において本船をおりられたのが七、八百名だろうと思つております。またこれは一箇月くらいたちましたならば、正確に統計をとつて御発表申し上げようと思つておる次第であります。数字は一箇月経過いたしましてからつくろうと思いますが、大体そのくらいであります。
それから最後にお話のありました船のことは私まだ覚えておりませんので、表につくつて御参考に後ほど差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/77
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078・北澤直吉
○北澤委員 一点だけお尋ねしたいのですが、御承知のように今日日本で最も大事なことは、日本の経済の自立なのであります。日本の経済の自立のために必要なことは、日本の外國貿易を大幅に拡張することであります。日本の貿易の將來を考えます場合には、いわゆる加工貿易、外國から原料を入れて日本でそれを製造して外國に出す加工貿易が、日本の貿易の中で最も大きな部分を占めるのではないかと思うのでありますが、それらを考えまして私は日本におきましても、いわゆる自由港の制度をとつた方が、日本の將來の外國貿易に非常によいと思うのでありますが、そういう点に対して、政府の方で何かお考えを持つておられますかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/78
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079・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 ただいまたいへんけつこうな御意見を承りましたが、自由港の制度を終戰後各方面において翹望されているのであります。これはわが國にはすでに実は名前が違つておりまするが、ある制度でありまして、保税工場制度というのが一番これに合う制度であります。なお先ほどもお話の出ました税関構内とか、保税地域は、これは外國の貨物を入れまして簡單にその包装を直したり、ベールを直したり、ケースを直したりして、再び外國に出す分には何ら関税もとられないし、自由にその地帶においてはなし得るところに税関構内とか、保税地域というものの特色があるのであります。またおつしやつたように加工する点につきましては、ある一定の工場を保税工場にいたしますると、それに入れる限りにおいてはあらゆる関税をとりませんで、それによつて加工製造いたしまして、無税のまままた再び外國に出て行く制度があるのでありまして、ごく簡便にできいるので、ただ名任が保税と言うために、ちよつとぎこちなくお考えのようでありまするが、ある意味におきましては自由工場制度なのであります。よく世間で自由港自由港と言いますが、廣い地域を自由奔放に開きまして、そこには何ら関税のかからないものをそこの中で消費できるかのようにお考えかと思いまするが、いわゆる加工して再び輸出する点につきましては、保税工場制都が非常に簡便に運用され、從來戰前にはこれによつて相当日本の輸出が伸張されておつたのでありまして、最近にもぼつぼつその計画があることを御報告申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/79
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080・北澤直吉
○北澤委員 御承知のように大連附近の関東州が自由港制度をとつていたために、非常にあそこで工業が起つた。あの土地の繁栄のためにも貿易が非常に貢献したように思いますが、別段日本内地におきましては、大連のようなああいう制度をとらなくても、日本の貿易進展のためにはさしつかえない。こういうお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/80
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081・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 御承知の大連の制度は、あれは関東州一円が自由港であつたのでありまして、そのためにほとんど外國商品のダンピング市場になつたような感があるのであります。日本内地全体をそういうふうにしますことは、結局関税制度がないことになると同樣でありまして、これによりますると日本の全体の工業が、輸出工業のみならず國内の消費工業が、日本では成り立たないではないか。從いまして輸出するものに関する限り、消費を関税なしで消費し得るという制度が、いわゆる保税工場でありまして、私はそれが最も日本の國情に合うものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/81
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082・北澤直吉
○北澤委員 もちろん私も日本全体を自由港にしろと言うのではありませんが、たとえば三浦半島とかああいう一局部に限つて自由港にしてやつた方が、その地域におけるいろいろな工業の発展のために幸福じやないか、こういう意味なのでございますから、そういう考えがあるかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/82
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083・伊藤八郎
○伊藤(八)政府委員 三浦半島全体というような考えは、私どもはたとえば外國産品を自由に消費し得る大連的な制度を、かりに三浦半島に許すというような考えは成り立たないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/83
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084・宮幡靖
○宮幡委員 海運局関係の政府委員がお見えになつておれば、関税法の一部を改正する等の法律案について、海運局の意見をただしたい思いますが、見えなければ保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/84
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085・川野芳滿
○川野委員長 他に御質疑はございませんか。——他に質疑がないようでありましたならば、関税法の一部改正法律案について質疑を打切りたいと存じますが、いかがでありますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/85
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086・川野芳滿
○川野委員長 それではさよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/86
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087・川野芳滿
○川野委員長 次は國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、及び國家公務員のための國設宿舍に関する法律案を一括議題といたしまして、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/87
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088・田中織之進
○田中(織)委員 まず國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案について三、四点伺いたいと思います。
この改正の第一は共済組合法による年金額の増額でありますが、今回の改正によりまして、大体引上げの率は給與ベースから行きますと、どの程度にマツチするのでありますか。まずそれを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/88
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089・慶徳庄意
○慶徳説明員 お答えいたします。ただいまの年金額の増額につきましては、もつぱら現業の雇用についての増額になるわけでありますが、一口に申し上げますと、從來の年金額の二十四倍の増額ということになるわけであります。なおまた公傷関係について從來の年金をもらつておりました人については、二倍の増額ということになるわけであります。以上二十四倍及び二倍の点について申し上げましたのは、從來のいわゆる年金をもらつておつた人の増額でございまして、これからやめる者については、現在六千三百七円ベースの給與になつておりますが、六千三百七円ベースの本俸を基礎とした年金を支給するということになるわけであります。さらにまた今後ベースの引上げ等がございました場合におきましては、増額されたベースの本俸を基礎として、年金を支給することに相なるわけであります。それからもう一点從來非現業雇用について年金制がなかつたのでありますが、これも今回の改正によりまして、初めて年金制をしくことにいたしたのでありますが、過去の勤続年数を全部通算いたしまして、退職年金等を支給するという建前をとつております。この法律施行前の在職年の分につきましては、本人の掛金の拂込みがありませんので、ちようど國庫の負担金に相当する部分をただちに支給するという考え方をとりまして、大体百分の五十五に相当するものを支給するという建前をとつておるのであります。以上いずれも申し上げましたような内容によつて、増額するという案になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/89
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090・田中織之進
○田中(織)委員 そういたしますと、説明の最後にありました二十四年度の予算にあります共済組合の國庫交付金の一般会計、特別会計合せて六十四億三千万円のうち、年金受給者の年金額の引上げに振り向けられる部分、今御説明になりました非現業雇用に対する長期給付実施に必要なる部分、それと健康保險法の改正に関連する改正の点に振り向けられる内訳はおわかりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/90
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091・慶徳庄意
○慶徳説明員 ただいまの給付の種別ごとのこまかな内訳はまことに申訳ありませんが、ただいま手元に持つて参りませんでしたので、即刻内訳を作成いたしましてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/91
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092・田中織之進
○田中(織)委員 それではできるだけすみやかにその数字をお示し願いたいと思います。
次に健康保險法の改正に関連した改正がここに出されておりますが、最近の医療保險の利用率が増加したということで、初診料を組合員の自費負担にしたということに対して、われわれは納得が行かないのであります。好んで病氣になる人間は私はないと思います。ことに説明にありますように、濫診濫療の弊を防止するというような形で、初診料を自費負担にするということには、われわれは賛成いたしかねるのであります。初診料を保險からはずしたほんとうの理由はどこにあるのか。それを伺いたいと思います。それに関連して当然この関係から保險掛金の引上げが予定されると思いますが、それは大体どの程度になるか。國鉄関係で調べますと、大体百分の十七が本人の掛金になつて來ると思いますが、現在の給與面から見ますと、これは私は非常な過重負担だ。当然われわれの立場から申しますならば、國庫からの交付によつてこうした点を軽減しなければならぬという考えを持つておるのでありますが、そういたしますと、組合掛金の増額ということは、保健給付の内容が充実せられるという積極的利益があることは十分認めますけれども、現在の給料が事実上ストツプされておるような事態のもとにおいて、その点はどの程度の引上げを予定されておるのか。御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/92
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093・慶徳庄意
○慶徳説明員 ただいまの御質問の要旨は、医療の場合に從來ただであつたものが、今回の改正によりまして初診料を新たにとる。それに対する理由がどうであるかというのが一点と、それからもう一点は掛金の増額についてはいかに考えておるかという、二点のように拜承したのでありますが、まず第一点についてお答え申し上げたいと思います。
初診料を新たに徴收することにいたしましたのは、必ずしも濫診、濫療の止防という観点からのみしたのではないのでありまして、むしろ他にきわめて重要な理由が二つあつたのであります。まずその第一点は掛金の増額をあとう限り回避したいというのが第一点でございます。第二点は健康保險の保險医との関係につきまして、社会保險の方面と共済組合との関係につきまして、取扱いの統一を保持する必要があるという、この二点が中心の点であつたのであります。御承知のごとく共済組合は健康保險または厚生年金と同樣に、いわゆる一種の社会保險でありまして、保險ということでやつております関係上、政府の一方的給與とは違うのでありまして、給付を増額するような場合においては、あるいはまた今問題になつておりますところの医療給付が、非常に高まつて行くというような場合におきましては、当然相当の財源を必要とすることになりまして、それはとりもなおさず組合員の掛金の増徴という問題と、不可分の問題が起つて來るわけであります。今回の措置といたしましては、健康保險の例にならいまして、政府の共済組合におきましても、まつたく健康保險と同樣の事情にありまして、一方においてはインフレの高進、医療單價の騰貴というような関係、また一面においては給與ベースが比較的低いため、療養関係の利用率も非常に増加しておるというような、いろいろな問題が一緒になりまして、非常に医療関係の財源を必要とする状態に相なつておるわけであります。この問題をどうして解決するかということが問題でありますが、先ほど申しましたように現在の段階におきまして、掛金の増徴は努めて避けなければならないというような意味合いから、やむを得ず初診料の御負担を願うというようなやり方をとつたのが、まず第一点でございます。
第二点といたしましては、共済組合の診療関係は、健康保險とまつたく同樣の方法によりまして、保險医あるいは保險藥剤師と診療契約を結んでおるわけでありますが、その診療契約の支拂い方法といたしましては、これまた健康保險とまつたく同樣の手続をとりませんと、お医者との関係、あるいはまた利用する組合員の不便というような問題が起つて参りますので、この料者の取扱いの統一をはかる必要があるという観点から、健康保險のやり方とまつたく同樣のやり方を踏襲する必要があるというのが、第二点であつたと思うのであります。從つて初診料の御負担を願うことにいたしましたが、現在健康保險と同じような診療契約におきましては、初診料は四点になつております。從つて甲地方が大体四十四円、乙地方が四十円ということに相なつておるのでありますが、この程度の御負担を願つて、掛金の増徴を避け、かつ保險医との取扱いの統一を保持するというようにもつて行つた方が、よろしくはなかろうかという意味合いで、以上のような改正をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/93
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094・田中織之進
○田中(織)委員 そうすると掛金の増徴はさしあたりやらないということに相なるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/94
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095・慶徳庄意
○慶徳説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/95
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096・田中織之進
○田中(織)委員 國家公務員法の先般の改正によりまして——われわれの立場から申しますれば改惡でございますが、
〔委員長退席、宮幡委員長代理着席〕
憲法で保障された爭議権が完全に剥奪され、團体交渉権もほとんど用をなさないまでに、極端なる剥奪的な制限を受けておる現状、並びにこれらの人たちの生活の確保という面において、財政上の事情から、きわめて抑制されておる状況のもとにおいて、一般の健康保險が、初診料を、たとえば今回の改正によつて保險者の自費負担にしたからというので、國家公務員の共済関係からの医療給付について右へならえでやるということには、われわれ賛成しかねるのであります。むしろ國家公務員の性格、國家公務員か現在置かれているいろいろの地位から考えまして、一般の國民保險と別個の取扱いをして何らさしつかえないものだと考えられますので、この点につきましては、せつかくの詳細な御説明でございますが、賛成しかねるということを申し上げておきます。
それから一括して上程になつております國設宿舍に関する法律案について次に質問したいのですが、よろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/96
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097・宮幡靖
○宮幡委員長代理 どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/97
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098・田中織之進
○田中(織)委員 國家公務員のための宿舍に関する法律案を出されたのでありますが、これはやはり昨年の議会で問題になつた給與ベースの問題、ことに現物給與という点から出て來た法案であるという解釈をいたしておるのでありますが、この國設宿舍に関する法律で、この官舍に関する問題を統一しなければならぬという根拠を、われわれは認めがたいのであります。まずこれを法的に統一しよう、法律の基礎の上に置こうという御意図が、どこから出ておるかという立法の根本のねらいを、まず明らかにしていただきたいと思います。
それから次にこの法律によりますと、結局無料宿舍及び有料宿舍になるのでありますが、現在の國家公務員が、こうした施設によつて官舍をもらつておるわけでありますが、その関係で無料宿舍になるものと、有料宿舍とにわかれるが、この比率がどういうようになつておるか。この二点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/98
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099・慶徳庄意
○慶徳説明員 第一点の立法の根本の趣旨でございますが、大きくわけまして、二点にわけることができるのではないかと思います。第一点は申すまでもなく新憲法の精神に即應いたしまして、ひとり予算についてのみ國会の協賛を得ることなしに、その予算執行の基本的事項につきましても、やはり國権の最高機関たる國会の承認を得て、國民の公僕がこれを運用するという態勢に結びつけて行こうというのが、第一点でございます。
第二点は從來統一立法がありませんでしたので、各廳が非常にばらばらにやつておつたのでありますが、これまた全体の均衡を保持いたしまして、國家の事務上の円滑なる運営に資するということにいたさなければならない、というような観点に立つたわけでありまして、以上二点が統一法律を必要といたしました根本の理由でございます。
それから第二の点の無料宿舍と有料宿舍の比率でございますが、これはまことに申訳ないのでございまするが、從來宿舍関係は各廳にほとんど野放しのような状態になつておりましたので、現在的確な資料がまだ私どもの手元に集まつていないような現状でございます。從いまして無料の宿舍と有料の宿舍との比率というような点につきましては、ただいま具体的にお答え申すことができないような現状でございまして、まことに申訳ないのでありますが、お許しといいますか、申訳ないとお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/99
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100・田中織之進
○田中(織)委員 その点がわからないということになりますと、この法案に対するわれわれの態度を決定する上に、きわめて重大な関係を持つて來るのであります。これは確かに現在の國家公務員に対する給與の面における、いわゆる現物給與というアイデアのもとに、これを統一しようとしている政府の底意が、われわれにはつきりと見えるのでありまして、そうなりますと、現在のいわゆる官舍として、無料宿舍として提供されておるものが、かりに有料宿舍ということになり、ことにその一坪当りの使用料が一般の家賃との均衡において定められるということになりますると、今まで官舍をもらつて、いわゆる住宅関係についての直接の負担をしておらぬということによつて、どうにか六・三ベースでまかなつて來たものが、そこに有料宿舍として、ことに一般の家賃との均衡に基いて設定せられる使用料を負担しなければならない。現物給與としてそれが給與額構成の一部分になるということになりますると、実質的には給與ベースが改訂せられない限りにおいて、一種の賃金値下げ的な、実質賃金の引下げ的な性質を持つのでありまして、その点はきわめて抽象的に、非常の勤務に從事する者その他その職務の特殊性にかんがみて、宿舍を提供する必要のあるものは無料宿舍になるけれども、それ以外のものは有料宿舍ということになりますると、現在官舍を提供されておる者の中にはいわゆる下級の公務員が相当おつたと思いますが、
〔宮幡委員長代理退席、委員長着席〕
重大な関係がありまするので、その点はひとつ明確にしていただきたい。またそれを今ただちにできないとしても、その点について、こういう抽象的な表現でございまするから、りくつのつけ方によれば相当運用の妙も発揮できると思いますので、御考慮を願わなければならないと思うのであります。これには國設宿舍ということになつておりまするが、地方自治体等の関係は、一應自治体の独立の考え方から、別個の取扱いにもなるかと思うのでありますが、その点がどういうことになるかということと、それからこれはもちろん一般会計、特別会計の別はないと考えるのでありますが、そうしますと、たとえば特別会計になつておりまする國会関係の議員宿舍等の関係が、どういう関係におかれているかということについても、お考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/100
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101・慶徳庄意
○慶徳説明員 ただいまの前段の資料の点でございますが、私少し申し方がまずかつたようにも思うのでありますが、無料の宿舍と有料宿舍の比率という御質問でありましたので、直感的に相当むずかしいと思いましたので、率直にお答え申し上げたのでありますが、今だんだんお話を伺いますと、無料の宿舍に入つておる具体的内容を知りたいというところが主眼のように、拜聽いたしたのでございますが、その資料は持ち合せております。御必要とあらば後日お届け申し上げたいと思います。
それから第二番目の地方職員に関する問題でございますが、この法律は、書いてあります通り、國家公務員についてのみ適用がありますので、地方公務員につきましては直接の適用は法律的にはございません。但し地方職員につきましては、それぞれの地方公務員に対する法令におきまして、官吏の例によりあるいは政府職員の例によつて、それぞれの條項を盛つておりまするので、おそらくはその條項の運用によりまして、この宿舍法と大体同じような線に沿うて、運用されるのではなかろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/101
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102・田中織之進
○田中(織)委員 國会議員の宿舍の点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/102
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103・慶徳庄意
○慶徳説明員 この法律の中に含むと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/103
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104・川野芳滿
○川野委員長 今井給與局長もお見えになりましたので、前尾委員の発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/104
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105・前尾繁三郎
○前尾委員 この國設宿舍の第十二條の「無料宿舍は、國家公務員の職務に対する給與の一部として貸與されるものとする。」とありますが、確かに現物給與に違いないのではありますけれども、無料宿舍は特に職務に対する給與と断つてありますので、たとえば税金の問題とか、あるいは給與として見積つて課税すべきかどうかというような問題が起ると思います。こういう規定を設けられました理由、それから第十三條には「予算の範囲内で設置し、」ということが書いてありますが、これは当然のことで、むしろこういう規定がありますと、どういう意味を持つかということで非常な疑問を持つのでありますが、それに対するお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/105
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106・慶徳庄意
○慶徳説明員 第一点の給與の一部とすると書いてある点でありますが、これは現在のところでは、率直に申し上げまして、観念的な規定でございまして、今ただちにこの條項に基きまして、具体的にどうする、こうするということは考えておりません。並びに給與等の問題につきましては、この前に御協賛を願いました六千三百七円ベースの法律の中にうたつてあるわけでございまして、別に定める法律によりまして、給與の一部と考えましたものは給與から控除するということに、別途の法律でなつておるわけでございます。これも今申しました別に定める法律がまだできておりませんので、結局この給與との関係につきましては、今の段階としては観念的な規定であるとというふうに考えておるわけであります。
それから有料宿舍の場合において、予算の範囲内においてということを書いてありますが、これはこの種の法律の通常用語とでも申しましようか、そういう意味でしかないのでありまして、実質的には御質問の意味と同樣かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/106
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107・前尾繁三郎
○前尾委員 この無料宿舍の場合につきましても、有料宿舍の場合につきましても、こういう規定があることは、かえつて逆に何らか別途の意味を持つのではないか。ことに予算の範囲内でという言葉にしても、こういう規定がありますと、結局從來行われておつたように、特別会計などは金に余裕ができれば宿舍をつくつたらいいじやないかということが、問題になるのではないかと思います。
それからなお、從來いわゆる寮と称して予算の範囲内で設置されたものが相当あるのであります。そういうものとの関係においても、むしろこの規定があるために変な感じを持つのじやないかと考えたわけです。もう一應御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/107
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108・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 予算の範囲内でという用語についてのお尋ねでありますが、このような規定の例は先ほども慶徳説明員から申し上げましたように、他の法律にも、財政的にその法律の規定がいろいろ関係して参りますものは、しばしば規定されております。お尋ねのような文面の点は一應ごもつともでありますが、「予算の範囲内で」と書いてあります趣旨は、そういうことのために認められた予算の範囲内でというように読んでおるのでありまして、このほかの使途のために認められた予算でこの宿舍を建てるというようなことは、この法律の解釈としては認められないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/108
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109・風早八十二
○風早委員 今宿舍の方が非常に問題になつておりますから、これについて質問いたします。大体この法案の趣旨が一應は書いてあるのでありますけれども、今前尾委員の御質問にも関連いたしまして、いささかいろいろ疑問が生ずるのであります。つまりこれは國家公務員の職務の遂行に便利のためにやる。一種の能率増進のためにやるというふうな趣旨、これは一應わかるわけであります。もう一つ一種の社会政策的な意味がやはりあるということも、当然考えられるのであります。その点につきまして、現在住宅問題が非常な大問題になつておりまして、一般の市民、特に戰災者、復員者等、こういう人たちが住宅不足で非常に困つておるのです。こういう際に特に國家公務員のみが、同じ資材、資金というものの運営におきまして、優先的にその恩惠にあずかるというようなことは、相当やはり國民の間には問題になる点だと思います。その点について今の「予算の範囲内で」というようなことも、またいろいろな解釈が起つて來るわけでありましようが、お聞きしたいのは一般の市民、戰災者、地方公務員、こういつたような人たちの住宅不足状況、また建設状況、そういうものと特に國家公務員に対して予定せられております住宅数なり、その実際の必要度の比率、こういうものの比較を資料として提供していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/109
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110・今井一男
○今井政府委員 あるいは御説明申し上げたかもしれませんが、この法律の立案の趣旨、一番のねらいどころは、この際國家公務員に特別に宿舍を設けて、能率の増進をはかろうということが動機で、今回の設置法を見たわけではございません。提案理由にも述べましたように、明治の初年に出ました太政官布告が現行法で今行われておるのでありまして、各廳思い思い、それぞれきわめて区々な官舍の設置をしておる。これをひとつ全部総ざらいに上げまして、そしていわば公平な再配分をしたいということ。またその中では古い建物はきわめて家賃が安いが、新しい建物は非常に高い。こういう不公平も排除したいということが一番のねらいどころでございます。本年度の予算におきましては、過日可決していただきまして予算の中に、十一億というものを國家公務員の宿舍として予定いたしておりますが、これによつて建てられるべき宿舍と一般市民との権衡の資料につきましては、後ほど数字でお配りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/110
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111・風早八十二
○風早委員 今お答えがありましたが、必ずしもそういう統一というふうな点だけが、問題になつておるのではなかろうと考えます。それはこの各條項を読めば十分にわかるわけでありまして、一々指摘するまでもないと思う。しかしながら一應統一ということを大きなねらいにされたと言われるのでありますが、その点だけについて見ましても、それは大いに問題があると思う。今まで各省各廳でばらばらに宿舍を支給して來たということにつきましては、やはりそれは不統一ではあつたかもしれないけれども、実績といたしましてそれぞれの省廳の実際の状況から、あるいは勤務條件、給與條件、そういうものと不可分の関係でできておつたと思うのであります。これを統一するということは、もつぱらただ形式的の問題でないのでありまして、その実情を今度は無視して、新しい統一的な基準でもつて実施して行くというようなことが、当然起つて來るし、現にこの各條項の中にそれが出て來ておるのであります。私はその点につきまして、たとえば宿舍の貸與の順位というふうなものを伺つても、これは一應委員会においてきめるというような、形式的なことだけは規定してありますけれども、実際の順位というものがおのずからあると思うのでありますが、そういうふうな順位をまず聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/111
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112・今井一男
○今井政府委員 率直に申しましてこの法律は内容等が実際固まつておりません。ただいま御指摘の件その他は、でき得れば使用料の基準等まで法律にうたつて、そうして御審議願うのが私ども望ましてのでありますけれども、何分にも明治の初年以來七十何年にわたつてばらばらにやつて参りましたものを、この際一挙にそういつたところまで入りますことは、御意見にもございましたように、はなはだむずかしい次第でございますので、一應ここに宿舍審議会というものを設けまして、これでひとつ総ざらいに洗いまして、その上でそういつた使用料の標準でありますとか、また御指摘の使用順序でありますとかいつたものも、その廳その廳の特徴、特質等を考えながら、また行政能率等の面も考えながら考えて行きたい。そう考えておりますので、現在この立案にあたりましたわれわれといたしましては、特にそういつた順序をどうしようというような腹案は持つておりません。一切をあげましてこの審議会の方の決定にまつという態度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/112
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113・風早八十二
○風早委員 どうもはつきりしたお答えを得られないのでありますが、今の貸與順序などにつきまして、高級の官僚、特に警察官であるとか、あるいはまた税務官吏だとか、こういつたような種類の、今回の行政整理においても事実上特例になつて來ている人たちに、非常に優先的な順位が與えられるというような危險が多分にあることは、大体推測するにかたくないのでありまして、こういう点については政府に対して嚴重な警告を発したいと思うのであります。一つ具体的な問題を出してみますと、たとえば第十九條でありますが、第十九條はこれは結局追立ての規定だと思う。今までとにもかくにも貸與を受けていた公務員が一たび退職いたしますと、どんなに遅くも六十日以内に出なければならない。即刻出なければならないと書いてある。そうしますと、これは現在のような住宅難の際におきまして、それこそ非常な問題だと思います。なまじつか貸してくれたのはよいが、首になつたが最後、それでどうにも家がない。これは人事ではないのでありまして、現在行政整理が始まり、首切りが始まつておるわけです。こういう人たちがたちまちその家を追い立てられてしまう。こういう問題が現に起つて來つつあるのでありまして、これに対して政府はどういう考えを持つておられるのか。あるいはまた現在の場合において、特に特例としてそういう点について善処される何か方針があるのでありますか。この点についてもはつきりしたお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/113
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114・今井一男
○今井政府委員 御指摘の点はごもつともにも存じますが、こういつた國の施設によりまして、國の用途に充てられます以上は、やはり何らかの余裕を置きまして、これを明け渡してもらうということは、建前上やむを得ない。かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/114
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115・風早八十二
○風早委員 しかしながら現に非常に多数の首切りが行われ、またその中にすでに家屋の貸與を受けておる人も、相当あると思われるのであります。そういう点について一体調ベがあるのですか、どうですか。実はその実情を伺いたいのです。そうして結局実情はどうあろうと、これに対する救済的な措置規定というものが、どうしても必要であると考えるわけです。この條文をどうしても通されるならば、やはりそれだけの救済規定というものが、今過渡的規定として必要ではないか。それなしにやられることは、これは非常に乱暴な問題で、ひいてはこの法案全体の立法の趣旨もはなはだ疑わしいものになつて來る。統一々々と言われますけれども、そういうところにも統一される結果が現われて來るのであります。この点についてはもう少し救済規定というようなことについて、政府がどう考慮されるか。ただやむを得ない、國家の施設であるから、國家の公務員でなくなつた以上は出てもらうのはしかたがないと言つても、これは生活の問題であつて、一般の労働問題といたしましても、これは大問題であるから、そういう点についての政府の御回答は、はなはだ不満足だと思います。
なおこういう問題についての審議会の構成でありますが、これについてももつとこういう際に労働組合側の参加があり、有力な発信権を持つた職員の立場からの審議がやはり加味されなければ、これはまつたく天くだりでありまして、結局はきわめてえこひいきの強い処置という結果になりはしないかと考えるのであります。この審議会の構成について政府の所見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/115
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116・今井一男
○今井政府委員 この審議会はここにもございますように、主たる仕事といたしましては、使用の順序の基準でありますとか、あるいは各省に一体どういうふうに割当てるかといつた問題が中心でございまして、御指摘の各職員職員の利益をどうするかという問題に、直接結びつく問題でもございませんので、もつぱら計画基準といつた点はこういう構成で、御心配のような点はまず起らないものと信じております。ただそれが各省に割当てられた場合に、これを運用いたしまして、その省においてはどういつた人を優先して入れるかといつた問題は、各省々々におきまして、職員組合の意向等も十分参酌して行われることになると思います。從つて審議会ではごく抽象的な一般的な基準をきめるのであつて、何の太郎兵衞を幾らで入れるかということをきめる審議会ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/116
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117・風早八十二
○風早委員 今お答えの中で、各省で振当てられた場合において、そこの省では職員組合の意向を十分取入れると言われましたが、それについては特別な法的根拠はないのだろうと思いますが、それは実際の方針として現にやられておるかどうか。そしてまたこれからもやられるという方針は、政府の方針だと考えて間違いないわけですか。その点一應確めておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/117
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118・今井一男
○今井政府委員 程度の差はございますが、中には個別的な順位はほとんど全部といつてよいほど、組合にまかせておるようなところもございます。それが現状でございます。その点は今度の宿舎法で何ら制限を加えるという意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/118
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119・川島金次
○川島委員 関連的にちよつとお尋ねしておきたいのですが、先般六千三百円ベースを設定いたしました場合に、公務員のベースの中に占める家賃の率というものはどの程度でありましたか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/119
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120・今井一男
○今井政府委員 若干記憶が薄れておりますが、たしか当時の調べで四%程度であつたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/120
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121・川島金次
○川島委員 四%程度といいますと、平均いたしまして二百四、五十円、それで今度この法律によりますと、田中君からもお話がありましたように、その地域條件等ももちろん勘案されますが、一般民間の家賃を基準として立てておる、こういうことをまずこの法律で定めて、いずれ審議会でその家賃を定めるのでありましようが、その場合とこの公務員の賃金ベース設定の場合における家賃の占める率、こういう事柄についても十分にそれをにらみ合せてやるという意思なのか。それともこういうことは別であつて、單に民間の家賃の基準率だけを標準にして設定しようとするのか、その点は非常に大きな問題があると思いますので、その見通しを持つておりますれば、お示し願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/121
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122・今井一男
○今井政府委員 原則といたしまして各地の家賃の統制價格を基準にしたいと思いますが、その結果太政官布告で発しております建前が、建設費に対しまして償却を加えて行くという関係になつておりますので、一円とか一円五十銭とかいう家賃で済んでおるものも相当ございます。この諸君には若干上るという問題が起るのであります。同時にまたその反対に、建設が終戰後でありますために、非常に高い家賃を拂つておるという人は下る現象が起つて來ます。全体といたしまして、別に國庫の増收をはかろうという建前で組んだものではございませんで、あくまで公定ということをねらいとして立てた原則でございまして、その結果といたしまして、ただいま申し上げました四%程度という数字は、一般民間におきましてのCPSから出した数字でございますので、そういつたところにおのずから落ちるであろう。かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/122
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123・川島金次
○川島委員 今の約四%は民間のCPSから割出したものであると言うけれども、実際は民間の方面においてのみならず、最近府縣あるいは市町村で建設しておりまする住宅、たとえば十二坪半程度の標準住宅を建てました場合に、その家賃は大体私の知つている範囲では六百円ないし千円であります。民間の府縣において建てる公営建物においてすらも、そういう実情になつております。そうすると今後最近に建てた有料國有の住宅、それから今後新たに建てます住宅、そういつた建設費が非常に大きくなる。從つてその償却費を見積つて行くのでありましようから、相当厖大な有料住宅になるおそれがあると思いますが、その点はどういうふうになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/123
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124・今井一男
○今井政府委員 確かに最近建築されました建物につきましては、御指摘の通りだと思います。しかし私ども全國の公務員の現実の家賃を昨年あたり調べてみますと、古くから古い家に住んでいる諸君は、特に大都会でなく中都会以下になりますと、六十円ないし百円というところが多いと思います。その結果先ほど申しました四%という数字も出て参るのでありますが、ここに法律第三條にプリンシプルは書いてございますけれども、具体的な個々の地域的な関係とからみ合せる関係及び古い建物、新らしい建物をプールする関係、それから基準をきめる場合には、こまかに入りますとなかなか多くの問題が出て來るであろうと想像いたしております。ここにも「考慮して定める」と書きまして、一つですぐ割切れるような書き方はしておらないのでありますが、そういう技術的な問題は、審議会の方で具体的な案をこしらえてもらつた上で、それは政令にまとめ上げて実施に移したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/124
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125・川島金次
○川島委員 どうも今の御説明では納得しかねるものがあります。それはいずれあらためてまた質問をしたいと思いますが、なお続いてお聞きしたいのは、先ほど給與局長はこの國設宿舎に関する法律案は國有の宿舎の再配分をねらいとする。そうすると各省ごとにそういつた住宅を持つておるが、省の規模あるいは公務員の数、そういつたものを勘案して、かりにたとえば現状におきましては、言うまでもなく國鉄の所有する宿舎というものが圧倒的に多いと私は思う。そういう人員の数や規模に應じて再配分するという場合に、今の國鉄從業員が居住しております宿舎などが、その再配分の結果縮小されるというような結果にならぬとも限らぬ。そういつた場合にすぐ追い立て問題がただちに起つて來る。これは從業員にとつては不安な問題であると思う。そういう事柄を勘案してこの審議会は行う見込みでありますか。それをひとつ参考のために聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/125
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126・今井一男
○今井政府委員 再配分をやりたい、またやるべきであるということは、この立法の一つの大きなねらいでございますが、御指摘のように人数割にいたすわけにも参りません。また職種の関係も十分考慮する必要がございます。のみならず、地域的にすでに固定されておるのでありますから、そこで余つたからと申しまして、移してよそへ持つて行くというわけにも参りかねる事情も起ると思います。從いまして、理想通りわれわれが新しくつくるというような再配分は、とうていできかねるであろうと思いますので、結局主たるものは、今後新築されるものがどういつたところに見込まれるかということに持つて行かるべきである。むろんこの点は審議会におきまして相当日時を費して、嚴重な筋の通つた調査をされた上で結論が出されるわけでありますが、非常な大変革はむずかしいのではないか。少くとも現在ある人たちにつきまして、右から左へというふうな再配分はむずかしいのではないか。しかしそれにしても負担の公正等は期したい。まあそのくらいのことを現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/126
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127・川島金次
○川島委員 そうすると、これは大事な問題でありますから、こういうふうに私は理解してよろしいかということを、お伺いしておきたいのでありますが、今の各省別に所有しております公務員の宿舍、その宿舍に居住しておりまして、なおかつ現にそれぞれの職務に就職しておる者、この居住権はこの法律の原則としては認めて行く。そうしてみだりに居住権を動かすというような一方的なことはしない。こういうことを精神としてこの立法をされておるかどうか。その点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/127
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128・今井一男
○今井政府委員 再配分の具体的な案の結果いかんによる問題でございまして、今ただちにお答えすることは、立案に当つた者の立場から申しまして申し上げるわけにも行きかねますが、先ほど申しましたように、理想といたしましてはとにかく、鉄道の宿舍等はおおむね一般官廳のある場所と違つた場所にございます関係から、実際に具体的に再配分の行われる分は、今の官舍の中のきわめて小さなパーセントになりはしないだろうか、かような見通しだということ以上には、ただいまどうもお答えするだけの材料を遺憾ながら持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/128
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129・川島金次
○川島委員 どうも家賃の問題が見通しとして明確でない。同時にまた再配分の問題についても、原則としてそういうことが承認されるということも言明できない。非常に不安な状態、しかもずさんな形においてこれは組み立てられておるような法律だと、私どもは認めざるを得ないことになる。從つてこの法律に対しましては、さらに私どもはできればもつと十分な審議をいたしたいと考えるわけであります。あわせてお尋ねしておきますが、先ほど風早君からもお尋ねがありましたように、私はこの住宅のことについて多少関知しておる一人なんですが、國鉄に限らず、その他の各省の所有しておりまする公務員の住宅、それが轉勤もしくは死亡その他の事情によつて明渡しをすることができるのでありますが、現状においては、六十日というこの法律に限られた明渡し期間では、ほとんど私は不可能であるということが現実の問題であろうと思う。そういう事柄について、現実を無視したこの法律の六十日の期限は非常に危險でもあり、公務員にとつては非常な脅威でもある問題になつて來るのですが、何ゆえにこの六十日という問題をこういうふうに限られたのであるか。そうして六十日以上経過しても、なおかつ移轉先は見当らないといつた公務員に対しては、どういう救済の方法をとるか。そういうことがひとつもうたわれておらないというところに大きな疑問がある。現実を無視した法律であると私は思います。そういう点につきまして局長、関係官はどういうふうに考えておられるのか。一應私は参考のために聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/129
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130・今井一男
○今井政府委員 先ほど風早さんもお話の通り、六十日では確かにこれは問題の点かと思いますが、現在各省におきまして、官舍を貸します場合には、大体官舍貸渡し内規とか規則とかいうものを設けてやつておりますが、これがおおむね三十日もしくは六十日になつております現状を押えて六十日とまとめておるので、特にこれを今回制限してきつい規定を今度入れたという意味合いではありません。しかしながら國の施設を國の用途に使います以上は、やはり建前としては日にちを限るということは、これはやむを得ない次第だと思つております。現在各省ともにそういつた規定がございまして、それでとにかく運用されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/130
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131・川島金次
○川島委員 運用はされておらないのです。あなたは御承知になつて、ことさらにそういうことを言われておると思うのですが、実際はそういう実情ではありません。中には前任者と後任者との間柄で、六十日以内でやられる分も多少はあります。しかしながらおおむね六十日程度では移轉先が定まつておらないというのが各省の実情である。そういう場合にこの法律でこうきつく明記をしてしまつて、それが実行できなかつた場合には、政府は前公務員に対してどういう処置をとるか。そういう問題も起つて來る。それに対する明確な裏づけもないし、またそういつた場合に対する明確な救済の方法もない。民間におけるところの立ちのき命令であつても、おそらく調停裁判所へ出て六箇月ないしは一箇年くらい猶予はされるというのが、今の簡易裁判所の判決の例であります。しかるにかかわらず公務員で、しかも職務上必要なるものと認められてその官舍に住まつておるのが、一旦死亡しもしくは轉勤を命ぜられ、ただちに六十日間の嚴重なる法律を適用されるということになることは、私は重大なる問題であり、むしろ基本的な人権の問題にも入つて來るのではないか。居住権の問題であります。そういう事柄について少しこの法律は不備が多いのではないかと思うのですが、その点はどういう感じを持つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/131
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132・今井一男
○今井政府委員 先ほど御指摘のように、私などもこの法律全体が大政官布告に法律の基礎を求めるという点に重点を置きました関係から、全体を通じまして決してそういう満足なものと思つておるわけでもございません。考え方といたしましては、これから具体的な調査をはつきりいたしまして、その上で満足な案ができてから法律案にするという行き方もあるかと思います。しかしながらとにかく新憲法もしかれましてすでに二箇年を経ました今日、明治初年の太政官布告でやつて行くということ自身の不合理、かつまたこういつた仕事はだれの所管でやるべきか、現在のように各省思い思い、予算も先ほど政府側から申し上げましたように、予算外等において支出している面もある今日、これを調整するためにはやはり何らかの考究がいるといつた見地から、この法律案ができた次第でありまして、結局これによつていかなる機関がいかなる責任で事を処理して行くか、調査して行くかといつたことがはつきりいたしました上で、また基本的な、今度こそは本ものの、そのままなその基本が法律にうたわれるような形の法律案が、お目にかけられるようなことになるのではなかろうか、かように存じておる次第でございます。
ただいまの六十日の問題でございますが、これは先ほど申しました通り、現在あります各省の例をそのまま法文に織り込みまして、そうしてその建前上こう織り込んだわけでありまして、私の申した運用されておるという意味は、これは運用されておるという文字のとり方でございますが、全部三十日で動いておるという意味合いで運用されておると申し上げたわけではありません。とにかくその規則によつて実際運営されておるということを、率直に申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/132
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133・川島金次
○川島委員 局長はその運用という文字の中にいろいろのことを考えられているでしようが、この法律は十九條に「いかなる場合においても六十日をこえてはならない。」この明確さ、今までの内規ではこういうさびしいものはないと私は記憶しております。そうして運用されておる。しかし今度はいやしくも法律において「いかなる場合におても六十日をこえてはならない。」こうなつて來ればこれに対して國家はどうする、それから從來の居住者はどうするという重大な問題が起つて來るのです。それでも六十日といつておるが、運用でというその運用の方法がないでしよう。これは「いかなる場合においても」という明確な法律です。それで私は從來の各省がやつておるようないわゆる運用はできない、こう考える。これに対してひとつ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/133
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134・川野芳滿
○川野委員長 ちよつと速記をやめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/134
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135・川野芳滿
○川野委員長 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/135
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136・宮幡靖
○宮幡委員 どうも政府の御勉強が足らないのかもしれませんけれども、法案の適切味が明瞭に現われて來ないことは、本委員会の委員の一人としてきわめて遺憾の意を表するものであります。質問は適切な質問が数々出たのでありますが、御答弁の方は適切みを感ずるものが少い。そのおもな理由は、國家公務員に対する義務居住ということの御説明が少しもないからであります。太政官布告以來の乱雜なものを法律化するだけだ、こういう御説明でございますが、國家公務員の業務の性質として、その地に住まなければならぬ、必然的に住まわすべきだという義務居住の観念の御説明が少しもない。義務居住の観念があれば、退去の問題についても、あるいは移轉の問題についても、それぞれ義務居住の精神から割出された解決があるはずであります。この義務居住という観念を、有料か無料かという問題と結びつけて、何か法文に現われない適切な解釈をお持ちになつておるかどうか、この際お伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/136
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137・今井一男
○今井政府委員 公邸及び無料宿舍は義務官舍になるわけでありますが、有料宿舍の方は法律の建前としては任意であります。現状としては宿舍の不足から有料の方にも相当希望者も多くあろうと思います。從つてこれをどういうふうに割当てるかということについては、やはり問題はあろうかと思いますが、法律問題としては、有料の方は任意、無料及び公邸は義務という考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/137
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138・宮幡靖
○宮幡委員 そういたしますと、無料宿舍の方まで義務居住者という一應のわくの中にはまるとすれば、十九條の但書は、義務居住者に対してのみ適用すべきものであつて、有料宿舍の方にはもつと緩和することが、他の法令との抵触関係を考えると、事実のように思われるのでありますが、これをどうしても総括的に十九條に入れなければならないというのには、何かここではつきり言えないような悲しむべき理由でもおありになるのかどうか。もし都合が惡ければ速記をおとめになつて、適切にお答えを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/138
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139・慶徳庄意
○慶徳説明員 ちよつと速記をおとめ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/139
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140・川野芳滿
○川野委員長 速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/140
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141・川野芳滿
○川野委員長 速記を始めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/141
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142・風早八十二
○風早委員 これはますますもつて奇奇怪々であります。大体御事情はわかりましたが、そういうことは日本の國民の良識から言いましてはなはだ合点が行かないのです。これはあなた方が國民の意思なり國会の意思なりを全然度外視して、かつてにそういういろいろな折衝をなさるから、こういうことになると思うのです。私どもはさつき見てすぐこういうことは氣がつく。おそらくだれが見たつて一わたり條文を見ればすぐつつかかることはきまつておる。各條文が全部つつかかるのでありますけれども、十九條に至つて唖然たるものがあつたのであります。こういうことについては、今までもいろいろ先例があることであり、正々堂々の、ちやんと実情に合い、りくつになかつた、しかも憲法に從つた議論でありますれば、これはどこまでももつと熱心に折衝ありたいと思うのです。あなた方に折衝の力がないと言われるならば、はなはだめんどうな話でありますが、またまた大藏委員会が出て行かなければならぬかもわかりませんが、それでもかまわないと思うのです。とにかくだれが見ても、また政府当局も、腹の中ではこれはけしからぬ、これは困るというふうなことを知りながら、それをそつと出されるというふうな態度は、はなはだ遺憾千万でありますから、そういうようなことであるならば、私は少くも大藏委員の一人として、失礼ながら十分な御協力を申し上げたい。それでほかの委員の方々も御同意を得ますれば、こういうふうなことについては、もつと大胆に率直に実情を披瀝しさえすればわかるはずなのでありますから、そうやつていただきたい。ただそういう方面だからといつても、われわれは決して默らない。それでは通そうということには、大藏委員会としてはならぬと思う。その点はひとつ政府も頭を切りかえていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/142
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143・三宅則義
○三宅(則)委員 私はそれに関連したことでありまするが、ただいまの御指摘のほかに、次の二、三点を追加いたしましてお伺いいたしたいと思います。
第四條に、「審議会の委員は左に掲げる者をもつて充てる。」と書いてございますが、これはもちろん官僚の各位ばかでありますが、民間人の家賃とも抵触しないようにということをおうたいになる以上は、やはり民間人からも相当な人を入れまして、そういう人の意見を聞くことはいかがであろうかと思います。その点が一点。
次は第二点、第十條に公邸ということが書いてあります。その他の官舍もあると思いますが、現在各省別にどういうような人数割になつておるか、あるいは坪数割になつておるか、あるいはその数がどれだけあるかということは、確かにわかつておるはずと思いまするから、もしおさしつかえなければ、この点をお示しになつていただきたいと思つております。まずその二点をさしつかえなければお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/143
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144・今井一男
○今井政府委員 第四條の審議会の委員は、先ほど來申し上げました意味合いから、こういうメンバーが法律に明定されて、責任者という形に相なつたのでありますが、責任者という意味合いからこういつた役人ばかりが選ばれた次第でありますけれども、これはいわば執行機関のような意味合いにおきまして選ばれましたので、実際の運用は、その審議会のもとに事務に精通した者が、いろいろと原案その他の調査に当ることに相なつておるのであります。その際には御指摘の点は十分に考慮したい。それは実は私どもの立案の際話に出た点でございます。
それからなお宿舍の坪数の割合は、正確なものは遺憾ながらまとまつておりませんが、ごく大体のものはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/144
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145・三宅則義
○三宅(則)委員 各省別なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/145
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146・今井一男
○今井政府委員 各省別のものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/146
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147・三宅則義
○三宅(則)委員 今の坪数割当等は、おさしつかえなければガリ版にでもしてお示し願えれば、一番仕合せであると思いますが、いかがなものでありましようか。そのことをさらにひとつお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/147
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148・今井一男
○今井政府委員 坪数も全部はそろわぬかもしれませんが、そろつているところもございますので、できる限り刷りましてお届けいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/148
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149・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいま局長のお話にあつたと思いまするが、私はなはだ会計学的になりまして恐縮いたしますが、これらに対しまする取得價格は、昔はもちろんただみたいなものでありましようが、現在の時價に算定いたしますと、どのくらいになるかということも、参考にいたしたいと思いますから、もしおさしつかえなければ、これについても御公表願えれば仕合せだと思います。
次にこういう國有財産に属するようなものは、一体國家会計におきまして、どういうところに書いてあるか、あるいは書いてないか、そういう点もひとつ念のために聞いておきたいと思います。もし將來こういうものをやるということになれば、大藏委員会あたりにはときどき毎年示してもらつて、現在こうなつておる、しかし償却してこういうふうになつておるというふうなことは、親切を以て示されてもけつこうであろうと私は思うのでありまするが、政府当局の御感想はいかがでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/149
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150・今井一男
○今井政府委員 現実のこの宿舎の中には、國で直接建てましたもの、あるいは買入れましたもの以外に、借りておるものも実際はございますので、その関係がありますために、よけい調査が困難ということにも相なりますし、また一部の官廳の中には、当初予算として認めなかつたはずの経費が、その方に使われたような例等もございますので、実情等がはつきりつかめておらない、詳細なところはつかめておらないという、はなはだ遺憾な状態になつておるのでありますが、ごく大体の数字は先ほど申し上げた通り後刻お届けいたしますが、將來はこの法律の根拠によりまして、すべてそういつた目的がはつきりした経費、予算で、しかもその審議会の決議に沿う大藏大臣の管理のもとにおいてでなければ、移動設置等ができない、こういつた形に相なりまするから、今後は御指摘のような点につきましては、御満足の行く資料が差上げられるように相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/150
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151・三宅則義
○三宅(則)委員 あまり長くなりますから、もう一点だけにいたして自分は打切ります。ただいま局長のお話によりますと、これからということを非常におつしやいますが、今法律をお出しになつた以上は、ある程度までこれに確信を持つてひとつやつてもらいたいということを、私は特に希望いたしまするから、この次にいらつしやるときまでに、わかりまするならば、その内容をひとつお示しになつていただければ仕合せであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/151
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152・風早八十二
○風早委員 時間もありませんから共済組合法の方について、一点お聞きしたいと思うのでありますが、しかしその前に何としてもきようの政府委員の御答弁の態度については、はなはだ遺憾であります。ことに今井給與局長の御答弁は、結局この問題の本筋をどこまでもおおい隠して、そうしてあわよくばこれで通してしまおうというような——ここで私どもが発言しなければ、これでこのまま通つてしまうのです。たいへんな迷惑する國家公務員がたくさんできて來ると思います。(「ノー、ノー」)そういう点について非常に遺憾だと考える。今井給與局長は、きようは万才まがいの非常におもしろい態度でもつて答弁されますが、実際いつも給與の問題について職員諸君が出かけた場合は、相当きようとは違つたやり方でやつておられるのは、私どももはるかに目撃しておるのです。できるだけそういうようなやり方でやつていただきたいと思う。今日のようにただごまかして通してしまうというようなことでなしに、ひとつやつていただきたい。これは切にお願いしておきます。なお折衝の問題でありますが、この点については、やはり最も有効で力強いやり方は、國民なりあるいは少くとも國会がじかに折衝するというふうなことが、重要な問題とか難点については、私は最も有効適切であろうと考える。そういう場合に、少くともあらかじめこの委員会なり國会なりにお諮りになつて、その協力を得てやられる——そういう衆知を集めてやられるというような態度、これが常に政府に対して要望したい態度でありまして、ことに今日のこの問題に関連して、あらためて切望したい点であります。
さて、共済組合法につきましては、これもまたいろいろの問題がありますが、大体先ほど田中委員からもいろいろ御質問がありましたので、私はただ一点だけ御質問するにとどめたいと思います。それは第一條の第二号に、「臨時に使用される者、(雇ようの日から二月を超える者を除く。)」とありますが、これは二月以上になつておる者は、臨時雇いでありましても、共済組合法の適用を受ける者と理解してよろしいでありましようか。さらに、同じく第一條の第五号でありますが、「公共事業費をもつて経費の全部又は一部を支弁する事業に係る労務に服する者」とあり、これが共済組合法の適用を除外される一つの條項になつております。この五号と二号とがかち合う場合、すなわち臨時雇いとして、しかも公共事業費の中からその経費の一部が支弁されておるというふうな、そういう事業に携わつておる人があると考えるのでありますが、そういう場合は一体どちらを適用するのか、その点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/152
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153・慶徳庄意
○慶徳説明員 第一條第二号の「雇ようの日から二月を超える者を除く。」というものの解釈は、臨時の使用者でありましても、二月を経過いたしますると、当然組合員になるという考えでございます。從いまして、第五号の公共事業の関係につきましても、二月以上になりました者は、すべて今回の改正によりまして、組合員になるという意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/153
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154・風早八十二
○風早委員 私が今つかんでおります実例は、地方公務員の場合でありますが、いわゆる臨時事務員と称する者が、東京都内にも相当多数あるわけでございます。これらの人たちが、今もう四月からは現に減俸になつてしまい、さらに五月一ぱいで解職になるというような、非常な問題に直面しておるのでございます。こういうような人たちが、やはり共済組合法の規定に從いまして、その勤続年数に應じて、年金なり退職金その他の規定を適用されることができるのかどうか。これは國家公務員法についてだけと、ここでは限られておりますから、國家公務員法についてお答え願えればけつこうでありますが、そういうふうな実例が地方公務員にもあるのでありますから、その点ひとつ念を押しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/154
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155・慶徳庄意
○慶徳説明員 國家公務員につきましては、御質問のように二箇月を越えております者につきましては、この法律の中に定められておる條項に從いまして、それぞれの給付を受けることになります。ただその場合に、現業の雇用につきましては、從來から年金あるいは退職一時金等の制度がございましたので、当然退職年金または退職一時金の支給を受けるということになるわけであります。非現業の雇用につきましては、今回新たにつくることになつております。しかもその規定は十月から適用することになつておりますので、非現業の雇用につきましては、さしあたり今すぐおやめになる方は、いわゆる長期給付の方は遺憾ながらもらうことができないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/155
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156・川野芳滿
○川野委員長 國家公務員のための國設宿舎に関する法律案、及び國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、右二案に対する質疑はこれにて打切りたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/156
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157・川野芳滿
○川野委員長 御異議がないようでございますので、両案に対する質疑はこれにて打切ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/157
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158・川野芳滿
○川野委員長 次は、國の所在に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案、並びに專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案、及び國庫余裕金の繰替使用に関する法律案を一括して議題といたしまして、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/158
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159・田中織之進
○田中(織)委員 國庫の余裕金の繰替使用に関する法律案について、まず伺いますが、大体二十一の特別会計で、從來一般借入金あるいは融通証券でまかなわれて來たところの短期資金は、大体どの程度のものになつて來たか。またこれによつて今後國庫余裕金で繰りかえ使用をしようとするのですか。大体繰りかえ使用の期間というものはどの程度の期間になりますか。その点を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/159
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160・伊原隆
○伊原政府委員 國庫の余裕金の繰替使用の法律ですが、ただいまございます特別会計の中で一時借入金をなし得る会計が、厚生保險、自作農創設維持、その他二十一ございます。それから融通証券を発行し得る特別会計が、今の二十一とダブつておりますけれども、國有鉄道事業その他九特別会計ございますが、そのうちで國庫余裕金の繰りかえ使用を認めてあります特別会計は七つしかございません。その七つは、厚生保險、自作農創設維持の会計、專賣局及び印刷局の会計、開拓者資金融通会計、アルコール專賣事業会計、國営競馬会計、國有鉄道事業会計、この七つしか、一時——何と言いますか、國庫に余裕金がございましても、繰りかえ使用をすることができないことに相なつておりましたので、今回國庫金の総合運用をはかりますために、全特別会計が國庫金を繰りかえ使用できるようにいたしたわけであります。
なお、ただいまございます一時借入金ないし短期証券の額は、これは年度をわたつた直後でございますので、あまりたくさんございません。食糧証券が千九十二億、但しこれはここに言う融通証券ではございませんで、歳入の補填に充てる、いわゆる食糧管理特別会計法第三條第一項の証券でございますので、これは融通証券ではございません。薪炭証券が二十五億九千万円ございますが、このうち七億だけが融通証券になります。一時借入金は、現在では貿易資金がこの間五十億ありまして、その前にもありますから、二百億程度あつたかと思います。その数字を今確かめてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/160
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161・田中織之進
○田中(織)委員 國庫の余裕金というものが、年間を通じてどの程度——これは季節的に違つて來るものだと思うのですが、そういう意味で、大体二十三年度の会計の四半期ごとの、あるいは地区別のそういうものができたら、参考までに資料として御提出いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/161
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162・伊原隆
○伊原政府委員 御存じのように、政府の收支、ことに一般会計におきましては、第一、第二、第三・四半期、特に第三・四半期までは、歳出の方が歳入より先行いたしまして、從いまして金が足りなくなつて、大藏省証券を発行いたしておりますのが、いつもの例でございます。たとえば昭和二十三年度につきましても、去年の年末には四百三十億の大藏省証券を多分出しております。それが一月から二月、三月にかけまして、だんだんと租税收入が多くなつて参りまして、ことしで申しますと二月の上旬には、四百三十億昨年末にありました大藏省証券は、全部返してしまいました。そしてなおかつ資金がたまつて参つたという状況でございます。現在資金は、大藏省証券の残高がなくて、國庫の当座預金が、実質的には五月四日現在で四百三十一億一千万円ございます。從いましてこの際そのうちの相当額、すなわち二百六十一億を、指定預金という制度を使いまして、日本銀行を通じて市中銀行等に環元をいたして、預金をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/162
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163・川野芳滿
○川野委員長 この際御報告申し上げますが、國有財産局長の舟山正吉君もお見えになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/163
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164・田中織之進
○田中(織)委員 五月三日現在で四百三十一億一千万円の國庫の資金があつて、うち二百六十一億を指定預金として市中銀行等に返しておる、こういうことであります。これが、最近問題になつておるいわゆる政府支拂いの遅延問題との関連において、やはり問題になると思うのです。今度全特別会計にこの余裕金を繰りかえ使用を認めようというのが、この法律案の趣旨だと解釈しておるのですが、各特別会計によつて違うと思いますけれども、大体繰りかえ使用の期間は、どの程度という期間が区切れないでしようか。どうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/164
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165・伊原隆
○伊原政府委員 この繰かえ使用というのは、一時借入金または一時の融通証券のかわりに出しますものでありますから、ごく短期に貸すつもりでございます。しかし年度内に返せばよいものでありますから、年度内に返すということでございますけれども、一方たとえば、ただいまのように國庫に余裕がございまして、実質上四百三十一億も金を持つておりますときはよいのでありますが、だんだんに歳入、歳出のずれが出て、歳出の方が超過いたして参ります。そうしますと一般会計で金がなくなりますと、大藏省証券を出さなければならぬ。そういうふうな場合には、片方に特別会計に繰りかえ使用を認めておいて、一方で大藏省証券を出すということはできませんから、返してもらうつもりでございます。ごく短期間のつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/165
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166・田中織之進
○田中(織)委員 その点は、あくまで繰りかえ使用でありますから、できるだけ短期間に返してもらわないと、運用の妙が発揮できないのではないかと思いますので、その点は注意していただきたいと思います。
この繰りかえ使用を認める結果から、大体どの程度の利子予算削減になるかというような点について、見積られたことがございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/166
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167・伊原隆
○伊原政府委員 これはただいま申し上げますように、國庫の残高は非常にかわつて参りまして、当座預金、つまり國庫の余裕金が出始めるのは、大体今年の例から言いましても、二月の中旬くらいから余裕が出始めます。それまでは大藏省証券の残高を持つておりますから、それをまず返してやるという操作をしなければならぬ。二、三、四、せいぜい五月の初めくらいまで、この余裕金があるわけでありますから、その残高がいかほどになるかということもわかりません。しかしとにかく今の状況では、國庫に片方に余裕金を持ちながら、たとえば貿易会計のごときは、日銀から一時借入金をする。それから他の会計も借入金をする。一時借入金は八厘でありましたが、そういうふうなことがありますので、それらの節約はできると思います。もつともただいまは指定預金をいたしておりまして、これは利子をとつておりますから、指定預金の制度を運用しておれば、その辺は歳入の関係からはあまり差が出ないかと思いますけれども、とにかく一方に金を持ちながら、一方の会計では借入金をしなければならぬというのはおかしいので、総合的に運用しようと思つていたしました次第であります。具体的に金額は幾らくらいになりますか、ちよつと見積りがつきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/167
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168・田中織之進
○田中(織)委員 この余裕金の繰りかえ使用について、もう一点だけ伺つておきたいのですが、政府支拂いの遅延のために、その関係から賃金の遅拂い等が起つておる関係も出ておるのでありますが、特別会計関係の支拂い遅延のために、これは間接的でありますけれども、私の郷里の和歌山縣等におきましても、大体五千万円くらいまだ政府に対する債権を持つておる。そうして給料を遅拂いしておるという会社が現われて來ておるのでありますが、この繰りかえ使用によりまして、そういう方面の支拂い遅滯を防止するという方面にも当然運用せられることと思うのですが、その点は、そのように理解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/168
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169・伊原隆
○伊原政府委員 さようでございます。政府の支拂いの遅延ということは、はなはだ申訳ない次第でございますが、最近におきましては、部分的にいろいろな原因がございますが、予算が通らなかつた結果、その借入金の法律案が通らなかつたために、相当遅延をいたしておりました部分がございましたが、これは予算を通していただいた以後は、非常な速力で支拂いをいたしましたので、相当解消いたしたと思います。たとえば終戰処理費等につきましては、四月中に百二億支拂いをいたしました。それから價格調整費等につきましても、九十一億の支拂いをいたしました。それから特別会計で非常に問題があつたのでありますが、鉄道のごとき、三月末に——これはまあ計数のとり方によつていろいろ違いますが、八十二億程度支拂いの遅延があつたと言われております。そのうちで四月中に八十億の支拂いをいたしております。貿易資金も、四月になりまして法律を通していただいた結果、一時借入金と國庫の繰入れをいたしまして、二百億というような支拂いをいたしました。また食糧管理特別会計、薪炭需給特別会計等につきまして、相当支拂いを進めましたので、予算がないために支拂いができなかつた部分は、相当解消いたしたと思いますけれども、今後におきましても、政府の支拂いの遅延ということはないように、これはことに、ただいま申し上げましたように、國庫金全体から言いますと、四百三十億も余裕があるのでありますから、末端の技術上の問題等で支拂いの遅延するということが絶対にないように、政府の方でも対策を始終考えておるわけでありますが、今後も注意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/169
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170・田中織之進
○田中(織)委員 次に、專賣局並びに印刷局、アルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案について、一点だけ伺つておきたいのですが、大体これは專賣局の特別会計の関係で、二十四年度以降ということになつておるのですが、二十四年度において大体專賣局特別会計利益の中で、固定資産と事業資産の関係で控除される金額は、大体どの程度に見積られておるか。その点と、予算の面における一般会計への繰越しの予定された金額との関係がどうなつておるかということを、おわかりであれば伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/170
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171・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 お尋ねの点でありますが、予算におきましては、一般会計へ專賣から繰入れますものは、千二百億七千九百万と見積つておるわけであります。ところが專賣局におきまするこの法律によりますと、控除いたします前の事業益金は千三百十六億六千九百万と相なつております。この法律によりまして固定資産の増加に充当いたしまする額が三十四億五千三百万、作業資産の増加に充当いたします額が八十一億三千六百万、合せて百十五億九千万であります。この合計額を控除しない前の事業益金から差引きました額が、今年の予算に見積りました一般会計の予算に計上してあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/171
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172・宮幡靖
○宮幡委員 ちよつとこれは伊原局長さんに伺います。もちろん議題となつております法律に対して異論のあるものではありませんが、國庫の余裕金の繰りかえ使用であります。七会計は本法に繰入れの規定をしたわけでありますが、繰りかえ使用ができることの規定をして、他の七会計の特別会計を除く以外のものは、こういう一括したものでやるのですが、これは立法技術から見て私はちよつと疑問に思うのです。將來適当の機会に特別会計の改正等があつた場合には、こういう特別会計を正常のところに繰り込む用意があつておやりになるのかどうか、この点をただしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/172
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173・伊原隆
○伊原政府委員 もつとものお尋ねでありまして、私どもこれをつくりますときに、あとの特別会計をみんな直そうかということも考えたのでありますが、それも何というか立法技術上あまり複雜になりますので、今までできた法律で融通繰りかえ使用のできる七つの特別会計はそのままにいたしまして、今ないものを一括いたしまして実は單行法を置いたわけであります。今後また何か整理の機会がございましたら、お示しの通り直す方が適当であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/173
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174・宮幡靖
○宮幡委員 急いでもう一点伺います。專賣局の特別会計の方の法案でありますが、これは利益金を固有の資本金の増加に充てるということになつておりますが、この場合、從來特別会計の固有資本の増加総額ということについては、一々國会でこれを議決して処理しておつたわけであります。この法案ができました結果さような手続は省略して、ただこの法律の施行によつて、ただちに自動的に固有資本が増加するものか。あるいは増加した額は、從來やつて來た方法によります固有資本の増加に関しまする法律案として別途出して、あわせてこれを議決して参るのか。その点をひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/174
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175・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 今回の法律案が國会の御決議を経ますれば、この法律によりまして自動的に各会計の固有資本の増加がなされ、決算処分を行いました結果、固有資本の増加が行われるということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/175
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176・川島金次
○川島委員 私は物品の賣拂い問題について二、三質問したいと思います。
まず第一は、法文についてお尋ねしますが、第二條に「國債その他確実な担保を提供」とあつて、國債はわかりますが、その他確実なる担保というのは、從來政府にも慣習があるだろうと思いますが、この確実なる担保と認めるのはどういう種類のものでありますか。また今後どういうことでやるのですか。
第二点は、同じく第二條の五号にあります「後拂を一般の慣習とする場合」、この慣習はどういうものをあと拂いにして來たかということをお尋ねしておきたい。
最後に第三点は、先ほど同僚の田中君から、公團等の所有物件について賣拂いが開始されている。その賣拂いについては不動産ではなくて動産であり、しかもそれは國の直接の所有物件ではないかのごとくにお話があつたのでありますが、これは私違うと思います。公團は言うまでもなく政府の全額出資において運用されているものである。しかも公團の現在所有しておりまする諸種の物件は、それぞれ市場價格もあるであろうし、その物件は常に政府がめんどうを見て來ている品物であることは、間違いないことであります。そういうものが拂い出される場合に、國が直接それにタツチしないで、公團の自由裁量で賣拂いを開始されているという事実もある。そういう事柄に対して政府は何ら監督の機関を持たないのか。また原則としてその賣拂い價格や処分等については、公團の責任者の自由な裁量でやらしているのかどうか。そういうことになりますと、たまたまそれらの機関と民間におけるボス的なブローカー、あるいはそういつたものに類似する人たちの一種のやみ行為、あるいはまたボス的な連中の一種の利権的な行為にまで、発展をするおそれが相当にあるのではないか。そういうことに対して当局はどういう基準をもつてそれにまかしているのか。基準なくして放任主義でそういうものの処分をさせているかということについて、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/176
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177・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 最初のお尋ねの点でありますが、「國債その他確実な担保」と申しますと、担保として適切なものは、有價証券そのほかいろいろあると思いますが、そのようなものに範囲をこの際限定するというような考えはございません。ことに具体的な物品の賣拂いの態樣に應じまして、それに適應した確実と認められる担保をとるということに、考えておる次第であります。
それから第五号でありますが、「後拂を一般の慣習とする場合」というのは、現在実はこれに該当するはつきりしたものがございませんが、一般に商慣習によりまして引渡しの時に拂うのではなく、一般におきましても引渡しを行つた一定期日後に、代金を納めさせるというような場合でありますならば、やはりそういうような慣習を尊重してやるのが適切であろうという意味で、その場合に備えましてこのような規定を置いたわけであります。
最後の公團の動産の賣拂いの点でありますが、先ほど申し上げましたのは、政府が関係がないというように申し上げた趣旨ではございませんでしたわけで、公團の動産につきましては、國の所有物件ではない。從つて直接この法律の適用がないということを申し上げたのでございまして、御指摘のように公團の持つております備品等の動産は、これは大体政府から公團に対して出資をしておりますので、その出資の見合いとして所有されておるのが大部分であります。從いまして、直接の所有権は國にはございませんが、國としては重大な利害関係を持つておる物件であるということには、相違はないわけであります。これが御指摘のようにいろいろ不法不適切なやり方で処分されることは、政府といたしましても公團の監督によりまして、これを取締つて行かなければならない問題だと思います。公團の運営につきましては、御承知のように本年度から收支の予算を國会の決定を経て、その予算の範囲内で行わせることになつておりますが、その以外に各所管大臣がその監督権によりまして、事業計画をとり、資金計画をとり、それぞれ詳細な監督をいたしておるわけでありますが、そういうような計画にも載つていない仕事をかつてにいたすというようなことは、これは明瞭にそれぞれ公團の監督に違反した事項でありますから、具体的に問題がございますれば、それぞれ所管の方の官廳にも連絡いたしまして、嚴重にさような不法行為を取締るようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/177
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178・川島金次
○川島委員 今のお話によりますと、まず第一点の國債その他の確実な担保というものの、明暸なお答えがないようであります。從來延納の関係もたくさんあつたから、政府は國債を除いたどういうものをもつて確実な担保として來たかということは、具体的に例があるのではないかと思うのです。それをお答え願いたいと思う。
それからあと拂いを一般の習慣とすることが從來あつたから、その商慣習によつてということですが、このあと拂いを一般の慣習とするという明文を掲げた以上は、大体において予定されたものがあるのではないか。またあるべき性質のものである。それが今のお答えによりますと、きわめてあいまいになつておりますが、私はあるべき筋合いのものであるから、ここに法律に表わしたのではないかと思います。ないものなら、わざわざこういう明文をつくる必要もないということになつてしまうわけです。
一ぺんに申し上げて恐縮ですが、第三番の公團等に関係のある賣拂い物件の問題でありますが、その場合に政府といたしましては、そういう機関が拂下げをいたします場合に公定でやるか、時價でやるのか、あるいは取得をいたしました公定價格を基準として拂下げを認めて行くのか。この問題はいろいろ対外的に非常に重要な関連を持つのであります。その基本的な政府の標準というものがあれば、またあるべきはずだと私は思うのでありますが、その点についてもう少し明確に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/178
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179・川野芳滿
○川野委員長 ちよつと伺いますが、まだ國有財産局に対する御質問がございますか。
〔「あります」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/179
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180・阪田泰二
○阪田(泰)政府委員 最初の担保の点でありますが、從來專賣法による賣渡し代金の延納等の場合に、実例として、とつておきました担保は國債でございます。しかしかように全般的な延納の規定を設けまする場合には、それぞれの賣渡しの態樣に應じまして、國債で担保を提供させるというふうに限定することは、必ずしも適当でないと思われまするから、その他確実な担保ということにいたしましたわけであります。
それからあと拂いの関係でありますが、これも同樣のことでありまして、從來動産につきまして延納を認めておりました例は、塩の專賣、アルコールの專賣等限定された事例に、一般的にはなつておつたわけでありまして、かようなあと拂いを一般の慣習とする場合は、明暸には現在こういうものがあるというものはないわけであります。全般的に賣拂い代金延納の関係を法律的に規定する場合には、そのようなこともはつきり規定しておかなければ、具体的にかようなことが生じた場合に、支障を生ずるであろうというような氣持で、この規定を入れた次第であります。
それから最後の公團の動産の賣拂い基準でありますが、これにつきましては先ほど來申し上げましたように、國の財政法あるいは会計法の規定の適用がございませんので、法律的に公團の動産を処分する場合に、いかなる價格で処分しなければならないかということはきまつておりませんが、公團の理事者、経営者、当局者の責任といたしましては、当然時價で処分をするということに相なるだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/180
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181・風早八十二
○風早委員 國の所有に属する物品の賣拂い代金の納付に関する法律案について、まだ若干質疑があるのでありますけれども、きようは時間があまりに経過いたしておりますから、質疑を明日なり次会に保留して、次の議題に移つていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/181
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182・川野芳滿
○川野委員長 專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案、及び國庫余裕金の繰替使用に関する法律案の二案については質疑を打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/182
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183・川野芳滿
○川野委員長 それでは両案に対しては質疑を打切ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/183
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184・宮幡靖
○宮幡委員 ただいま質疑を打切りました両案につきましては、この際討論を省略し、ただちに採決されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/184
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185・川野芳滿
○川野委員長 宮幡君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/185
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186・川野芳滿
○川野委員長 御異議がないようでありますので、討論を省略して採決に入ります。
專賣局特別会計、印刷局特別会計及びアルコール專賣事業特別会計の利益の一般会計への納付の特例に関する法律案、及び國庫余裕金の繰替使用に関する法律案、右二案に対し、賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/186
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187・川野芳滿
○川野委員長 起立総員。よつて両案は原案通り可決確定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/187
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188・宮幡靖
○宮幡委員 次に先刻質疑が打切られております関税法の一部を改正する等の法律案を議題とせられ、討論採決せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/188
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189・川野芳滿
○川野委員長 宮幡君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/189
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190・川野芳滿
○川野委員長 それではこれより討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/190
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191・宮幡靖
○宮幡委員 ただいま議題となりました関税法の一部を改正する等の法律案につきまして、もとよりわが党は原案に賛成でありますが、ただ附則におきまして、施行の期日が五月一日となつておりますことは、これは実情に即しないと思います。この際附則第一項中「五月一日」とありますのを、「六月一日」に改める修正案を提出いたします。修正案を除きまして、他の部分につきましては、原案に賛成の意を表明するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/191
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192・川野芳滿
○川野委員長 田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/192
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193・田中織之進
○田中(織)委員 修正の点については賛成し、原案についてもただ一点だけ、開港の閉鎖條項が今度新たに法案の中に入つているのでありますが、これによりまして、この改正案の通過後一年間外國船が一隻も入らない、あるいは輸出入が全然ないというようなことは、万あるまいとは思いますけれども、開港に指定されたために、いろいろ港湾倉庫の設備であるとか、非常な意氣込みをもつてそうした輸出入貿易を積極的にやるべく、地方ではそれぞれ準備をしている関係もありまするので、この開港指定という点については、そういう過去において輸出入の実績のなかつた、きわめて不活発な状態にあるようなところに対しましては、大藏当局において、十分よく事前に連絡をとつて、今後一年間に、現状にような貿易船が一隻も入らない、あるいは輸出入の実績が、いわゆる二千五百万円までのものが全然確保できないということであるならば、せつかくの開港指定も取消されるのだということを十分徹底してやつていただきたい。できればそうしたものを自動的に取消すということじやなしに、地元の民間並びにその他の方面の関係者の意見を十分徴して、当局として最後的な断を下すというように、運用上特に留意していただきたいという希望意見を述べまして、これに賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/193
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194・川野芳滿
○川野委員長 討論は終局いたしました。これより採決に入ります。まず宮幡君提出にかかる民主自由党、社会党、民主党各派共同提案の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/194
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195・川野芳滿
○川野委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。
次に本修正案の修正部分を除いた原案に賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/195
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196・川野芳滿
○川野委員長 起立総員。よつて本案は修正可決されました。
なお報告書作成の件につきましては、委員長に御一任を願うことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後五時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100504629X02519490506/196
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