1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年五月七日(土曜日)
午後二時四十九分開議
出席委員
委員長 原 彪君
理事 伊藤 郷一君 理事 佐藤 重遠君
理事 圓谷 光衞君 理事 水谷 昇君
理事 松本 七郎君 理事 稻葉 修君
理事 今野 武雄君 理事 長野 長廣君
淺香 忠雄君 岡延右エ門君
甲木 保君 千賀 康治君
高木 章君 田中 啓一君
庄司 一郎君 若林 義孝君
受田 新吉君 森戸 辰男君
小林 運美君 渡部 義通君
船田 享二君
出席國務大臣
文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
出席政府委員
文部政務次官 柏原 義則君
文部事務官
(学校教育局長)日高第四郎君
文部事務官
(教科書局長) 稻田 清助君
文部事務官
(調査局長) 辻田 力君
委員外の出席者
文 部 次 官 伊藤日出登君
專 門 員 武藤 智雄君
專 門 員 横田重左衞門君
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五月七日
委員中山マサ君辞任につき、その補欠として庄
司一郎君が議長の指名で委員に選任された。
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四月二十七日
國立学校設置法案(内閣提出第一三〇号)
同月三十日
社会教育法案(内閣提出第一五八号)(予)
同月二十七日
習字教育振興に関する請願(高木吉之助君紹
介)(第五三八号)
新制中学校建設費助成に関する請願(守島伍郎
君紹介)(第五三九号)
六・三制完全実施のため予算確保に関する請願
(橋本登美三郎君外二名紹介)(第五八八号)
同月二十八日
新制中学校建設費助成に関する請願(淺利三朗
君外五名紹介)(第六四一号)
同(橋本登美三郎君外二名紹介)(第六四二
号)
中尊寺の学生團体見学禁止解除の請願(淺利三
郎君外五名紹介)(第六六〇号)
六・三制完全実施のため予算確保に関する請願
(松永佛骨君紹介)(第七〇四号)
同月三十日
新制中学校建設費助成に関する請願(木村公平
君外二名紹介)(第七三五号)
同(岡田春夫君紹介)(第七五九号)
同(今野武雄君外二名紹介)(第七六〇号)
廣瀬村の樺太無縁故引揚兒童教育施設費國庫補
助の請願(庄司一郎君紹介)(第七六一号)
宮城縣立農学寮を農業高等学校に昇格の請願(
庄司一郎君外三名紹介)(第七六二号)
五月四日
新制高等学校卒業程度の檢定制定に関する請願
(三浦寅之助君外一名紹介)(第八〇〇号)
新制中学校建設費助成に関する請願(柄澤登志
子君外一名紹介)(第八〇九号)
観光関係出版物に用紙割当の請願(岡田五郎君
紹介)(第八一六号)
新制中学校建設費助成に関する請願(河口陽一
君紹介)(第八二四号)
同(中島守利君紹介)(第八二五号)
國宝保存法改正に関する請願(圓谷光衞君紹
介)(第八四一号)
新制中学校建設費助成に関する請願(渡部義通
君外二名紹介)(第八四九号)
同(木村榮君紹介)(第九〇五号)
教育予算削減並びに学校寄附反対の請願(神山
茂夫君紹介)(第九〇六号)
六・三制完全実施のため予算確保に関する請願
(塚原俊郎君紹介)(第九〇七号)
國宝の保存に関する請願(前田正男君紹介)(
第九〇八号)
習字教育振興に関する請願(福井勇君紹介)(
第九〇九号)
同(前田正男君紹介)(第九一〇号)
新制中学校建設費助成に関する請願外一件(高
倉定助君紹介)(第九一一号)
新制中学校建設費助成に関する請願(福田昌子
君紹介)(第九六二号)
同(大石武一君外一名紹介)(第九六三号)
同(前田郁君紹介)(第九六四号)
同(足鹿覺君紹介)(第九六五号)
福岡県の國宝及び重要美術品保存に関する請願
(福田昌子君紹介)(第九六六号)
同月六日
名古屋市に愛知学芸大学本部設置の請願(辻寛
一君外三名紹介)(第一〇〇二号)
六・三制完全実施のため全額國庫負担並びに教
育予算増額の請願(水谷昇君紹介)(第一〇三
二号)
朝鮮人学校教育費國庫負担の請願(春日正一君
外三名紹介)(第一〇三五号)
大学校案反対に関する請願(春日正一君外一名
紹介)(第一〇三六号)
大学校案反対並びに大学予算確保に関する請願
(渡部義通君外二名紹介)(第一〇三七号)
六・三制完全実施のため予算確保に関する請願
(菅家喜六君紹介)(第一〇七〇号)
新制中学校建設費助成に関する請願(佐々木更
三君紹介)(第一〇八九号)
カレンダーを出版部類に編入の請願(角田幸吉
君外一名紹介)(第一一一七号)
六・三制完全実施のため予算確保に関する請願
(笹山茂太郎君紹介)(第一一二四号)
朝鮮人教育問題等に関する請願(今野武雄君外
一名紹介)(第一一三六号)
宮城学芸大学設立の請願(庄司一郎君紹介)(
第一一三七号)
大学設置法案に関する請願(庄司一郎君紹介)
(第一一三八号)
著作権法の一部改正に関する請願(淺香忠雄君
紹介)(第一一四三号)
文部省における教育関係諸法案の審議公開に関
する請願(渡部義通君外一名紹介)(第一一六
六号)
教育関係諸法案に関する公聽会開催の請願(今
野武雄君外一名紹介)(第一一六七号)
國立学校授業措置の請願(渡部義通君外一名紹
介)(第一一七〇号)
國立学校の困窮制に対し授業料減免制確立の請
願(今野武雄君外一名紹介)(第一一七一号)
私立学校経営費國庫補助及び貸付金復活の請願
(渡部義通君外一名紹介)(第一一七二号)
舞鶴座存続に関する請願(大石ヨシエ君紹介)
(第一一八〇号)
名古屋工業大学の名称に関する請願(辻寛一君
紹介)(第一一八二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
文部省著作教科書の出版権等に関する法律案(
内閣提出第一一九号)
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一六号)
國立学校設置法案(内閣提出第一三〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/0
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001・原彪
○原委員長 これより会議を開きます。
議事に入る前に一言御了解を得ておきたいことがございます。過日の常任委員長会議におきまして、從來の付託議案の修正あるいは議員発議の議案にいたしましても、議員諸君が関係方面と直接折衝されるのが慣例でございましたが、議員提出法律案あるいは議案の修正の場合には、直接その筋と折衝されることなく、一應渉外課及び法制局を必ず通じて、その筋と折衝されるようにということでございます。その点特に御了承願いたいと存じます。—ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/1
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002・原彪
○原委員長 それでは速記を始めてください。
これから日程に入ります。日程第一、文部省著作教科書の出版権等に関する法律案を議題といたします。政府より提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/2
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003・高瀬荘太郎
○高瀬國務大臣 文部省著作教科書の出版権等に関する法律案について御説明申し上げます。
文部省が著作の名義を有する教科書につきましては、多年数箇の出版会社に、独占的にその飜刻発行を許可して参りましたが、社会情勢の変化に伴い、今後は自由競争の方法によつて出版権を設定することにいたしたいと考えまして、ここにその方法等につきまして必要な規定を整備し、この法律案を提出するに至つたのであります。
次に、この法律案の内容につきまして大要を御説明いたします。第一に、文部省著作教科書の出版権を取得しようとする者に対しまして、まずその資格についての審査を行うことであります。すなわち教育上支障を生じないことを期しますために、出版権を取得しようとする者が、良質の教科書を、学校において必要とする時期までに製造供給するだけの事業能力及び信用状態を有するかどうかを審査することを目的といたすもので、そのために文部大臣の諮問機関として教科書出版資格審査会を設けることにいたしました。
第二に出版権設定の方式についてであります。すなわち教科書出版の資格審査に合格した者の競争入札によりまして、出版権設定契約を結ぶことにいたしました。そして入札は、教科書一部当りの製造原價について行うこととし、文部大臣の予定した製造原價以内で最も低額の入札をした者に出版権を設定することといたしました。
第三に、出版料についての規定であります。すなわち、出版権者に発行の指示がありましたときは、すみやかにその部数に應じて、一定基準により算定した額の出版料を國庫に納付する義務を課しますとともに、災害その他の事由に基く減免の規定を設けました。
第四に、出版権の消滅についての規定であります。すなわち出版権の設定後におきまして、出版権者が教科書を発行するものとして不適当と認められる特別の事由の生じました場合には、文部大臣は出版権を消滅させることができることであります。
第五に、出版権の譲渡につきましては、文部大臣の認可を必要といたしました。
以上本法案の提出理由及びその内容につきましての大要を申し上げましたが、要するに文部省著作教科書の著作権及び出版権に関しまして適正な管理をいたしまするとともに、教科書の発行に支障を生ぜしめないことを期しておる次第でございますので、何とぞその趣旨をお認めくださいまして、本法案に御賛成くださることをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/3
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004・原彪
○原委員長 なお本法案につきまして、敷衍して稻田政府委員より説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/4
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005・稻田清助
○稻田政府委員 この法案の内容に関しまして概畧御説明申し上げたいと存じます。
この法案は、著作権法、財政法、固有財産法及び会計法の特別規定という性質を帯びておるものでございまして、第一條に規定いたしておりますことは、文部省が著作の名義を有する教科書の著作権の管理、及びその管理権に基いての出版権の設定に関します文部大臣の権限の規定であります。
第二條、第三條に掲げておりますのは、ただいま提案理由にも説明がありましたように、教科書のごとき特殊な出版物を自由競争によりまして出版権を設定する場合に、教育上支障を来すことなからしめる目的をもちまして、出版権を設定しようとする者、すなわち一般競争入札に加入せんとする者の資格に関して、愼重なる審査を行う趣旨の規定でございます。しかもその審査を適正公平ならしめる意味におきまして、文部大臣の諮問機関として出版資格審査委員会なるものを設ける規定を置いた次第でございます。
第四條は、この出版権設定契約のやり方でありますが、規定いたしておりますごとく、出版権の設定は、ただいま申しました審査に合格した者の競争によつて行うことといたされております。しかしながら時が迫りまして競争に付するのいとまがないときは、第二條の審査に合格した者との随意契約によることを許す規定にいたしております。
第五條から第十條に至ります間の規定は、一般のかくのごとき入札競争の場合に設けられております普通の規定と大差ない規定でございます。すなわち競争に加わらんとする者に対しまして保証金をとり、契約を結ばない場合にはその保証金を國庫に帰属せしめる。あるいはまた入札の順序方法等を、規定いたし、開札から落札に至るまでの規定、さらにまたもし開札いたしました場合に予定價格以内における落札者のない場合に再度の入札を行うことができる規定というようなものを、順序によりまして規定いたしたわけでございます。
第十一條の規定は、かくのごとき手続を経て出版権の設定をいたしました場合におきましては、出版業者は教科書の発行に関する臨時措置法の適用を受けなければならない。すなわち同法の規定によりまして、文部大臣が都道府縣教育委員会を通じて集めました教科書の需要数を基礎として発行部数を指示いたしました場合に、その指示を引受けなければならない趣旨の規定でございます。
かくのごとく出版権を設定いたしまして文部省著作教科書を発行させました場合に、その後社会情勢の変化によりまして、物價の変動その他やむを得ない事由によつて、入札の際の製造原價を改訂しなければならぬ必要が生じました場合におきましては、第十二條の規定によりまして、文部大臣と出版権者と協議してこれを改定し得る規定を設けたのであります。
第十三條は、出版権の設定を受けました者は、出版部数に應じまして一定率の出版料、つまり一般の出版物につきますいわゆる印税に相当する性質のものでございますが、それを國庫に納付しなければならないという趣旨の規定を設けております。
第十四條におきましては、災害その他出版権者の責に帰すべからざる事由によりまして製造供給ができなくなつた場合に、ただいま申し上げました出版料納付の義務を減免することができる。あるいはまた出版部數が非常に少い、しかも義務教育上の見地から見て特に定價を低廉ならしめる必要があります場合に、出版料を減免することができるという趣旨の規定を設けてあるのであります。
次に規定いたしております第十五條は、出版権者において特定の事由がありました場合に、文部大臣の側から出版権を消滅させることができる場合を列挙いたしております。その第一といたしまして、出版権者の事業能力、信用状態が、当初出版権設定の当事からかわりまして、支障なく教科書を製造供給するのに不適当と認められた場合には出版権を消滅させる。また第十一條、第十三條に規定いたしております教科書の発行に関する臨時措置法の適用を受けた義務を怠り、あるいはまた出版料納付の義務を怠つた場合の出版権設定の取消し、それから第三に掲げておりますのは、臨時措置法第十四條、十五條の規定によりまして、やはり臨時措置法によりまする義務違反のありました場合、文部大臣が発行の指示を取消したときに、またこの出版権を取消すことができるという趣旨の規定でございます。
次に第十六條に規定いたしておりますことは出版権の設定を取消した場合に、教科書につきましては紙その他の資材が指定生産資材でありまするし、またその発行供給が一定の時期に間に合せなければならないというような経済的の理由及び時期的の理由から考えまして、出版権の消滅いたした者に対しまして、それらの教科書の原料品、あるいは紙型その他の版型を、新たに出版権を設定した者に対して讓渡せしめるように、協議を文部大臣から命令することができる趣旨の規定を設けたのであります。さらにこの協議のととのわなかつた場合に関しまする諸種の規定を引続いて設定いたしております。
次に出版権の讓渡に関する規定でありますが、出版権者において種々の理由から出版権を他に讓渡したいという場合におきましては、文部大臣の認可を得て讓渡することができる趣旨の規定を設けたわけであります。またこの、出版権は、國有財産でありますので、その管理の必要から質入れすることがでまない趣旨の規定を設けたわけであります。
以上が大体この出版権設定に至りまする手続でございますが、他に教科書ばかりでなく、第十八條におきましては政令の定めるところにより、文部省が著作の名義を有する教育上用いられる図書学習指導要領、その他こうした種類のものにまでこれを準用することができる道を開いておるわけであります。
第十九條におきましては、先ほど申し上げましたように、他の一般法との関係を規定いたしております。
さらに附則といたしまして、現に幾つかの出版社と教科書の発行に関しまして、出版権設定契約を締結いたしております。それは本法施行の日から、この法律の規定によつて設定された出版権とみなす。さらにまた昭和二十三年十月一日から昭和二十五年三月三十一日までの間に出版権設定契約の消滅いたしまする教科書につきましては、突然この自由競争による方法をもつて新たに出版権設定契約を結んだ場合に、その時期が明年度教科書使用の時期に間に合わなくなるおそれのある場合を考慮いたしまして、そうした特定の教科書につきましては随意契約によることができる。しかしながらこの場合におきましても十分教科用図書委員会の審議を経まして、その結果によつてきまりました種類のものについて、ただいま申し上げました随意契約によることができるというように、経過規定を設けた次第でございます。
以上大体御説明申しあげた次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/5
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006・原彪
○原委員長 質疑は後刻にお願いすることにいたしまして、日程第二、学校教育法の一部を改正、する法律案を議題とし、政府の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/6
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007・高瀬荘太郎
○高瀬國務大臣 ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びこの法律案の骨子とするところを御説明申し上げます。
まず提案の理由でありますが、医学または歯学の学部を置く大学におきましては、單に練達した技術者を養成するにとどまらず、社会人としてもりつぱな医師または歯科医を養成しなければなりません。そこでその教育の改善と向上をはかりますために、これらの学校の入学資格の程度を特に高め、その目的を達成する必要があるのであります。
次に新学制の最後の段階たる新制大学につきまして、学校教育法では修業年限四年となつておりますが、この際國の現状としましては、入学志望者の側における父兄の経済的負担力の点、あるいは短期間に実務者を養成しなければならない社会的必要性等を考慮いたしますと、短かい期間に完成する、いわゆる短期大学を必要とするように考えるのであります。從つて当分の間、修業年限二年または三年の短期大学の制度を認めることにより、一面すみやかに新学制の完成をはかるとともに、他面社会の要望に沿いたいと考えるのでございます。
次にこの法律案の骨子とするところを御説明いたします。
まず第一は、学校教育法の規定によれば、新制大学の入学資格は、新制高等学校卒業程度をもつて原則とするのでありますが、医学または歯学の学部を置く大学に入学しようとする者の入学資格については、特例を認めて、より高い程度、すなわち他の学部において二年以上在学して、所定の課程を履修した者と定めようとするのであります。
次に新制大学の修業年限は、学校教育法に規定するごとく、四年をもつて原則としますが、これを二年または三年課程に短縮した短期大学をも認めることにしようとするのであります。なお、この短期大学の取扱い方につきましては、大学院を置くことを認めないこととし、その他はすべて四年制大学に関する規定を準用するものであります。
最後に、短期大学を卒業した者のうち、さらに四年制の大学へ進学する希望を有する者については、一定の基準に從い、四年制大学の相当学年に編入する道を開こうとするものであります。
なお、短期大学の実施につきましては、諸般の準備を必要といたしますので、昭和二十五年度より開設することといたしたいと存ずるのであります。
以上が本法律案の提案理由とその骨子とするところであります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/7
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008・原彪
○原委員長 なお稻田政府委員より内容についての説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/8
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009・稻田清助
○稻田政府委員 本案の内容につきまして簡單に御説明申し上げます。
最初の規定は、医学または歯学の学部への入学資格に関する規定であります。御承知のごとく学校教育法第五十六條には、大学の入学資格が規定されておりまして、高等学校を卒業した者、もしくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者が、大学の入学資格になつておるわけでありますが、医学または歯学の学部に関する限り、これに対しまする例外規定をここに設けておるのでありまして高等学校を卒業いたしました上に、医学または歯学以外の学部において二年以上在学して、監督廳の定める課程を履修することをもつて入学資格といたした次第でございます。
次はいわゆる短期大学に関しまする規定でございます。学校教育法第五十五條には、大学の修業年限に関しまする一般規定が設けられております。すなわち大学の修業年限は四年とするという趣旨の規定があるのでありますが、これに対する例外といたしまして、当分の間、文部大臣の認可を受けて、大学の修業年限は二年または三年とすることができる旨を規定いたしたのであります。しかして前項の大学は短期大学と称する。さらに次の項におきましては、学校教育法第六十二條に「大学には、大学院を置くことができる。」という趣旨の規定があるのでありますが、これを排除いたしております。
それから次に第百十條といたしまして、いわゆる短期大学を卒業した者が普通の大学学部に入学する場合、編入に関しまする資格の規定を設けておるわけであります。
それから附則といたしまして、前の医学または歯学に関しまする改正規定は、ただちに公布の日から施行するのでありますが、短期大学に関しまする規定は準備の関係もありまして、明年度から実施する。しかもまた改正の準備がありますので、昭和二十五年三月一日から施行するという趣旨の規定を設けた次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/9
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010・原彪
○原委員長 質疑はあとまわしといたしまして、日程を追加いたしまして國立学校設置法を議題といたします。政府の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/10
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011・高瀬荘太郎
○高瀬國務大臣 ただいま議題となりました國立学校設置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
この法律は、國家行政組織法に基き、國立の新制大学及び高等学校並びに盲教育、聾教育の研究を行い、あわせて盲学校、ろう学校の教員養成を目的とする國立の各種学校の設置を定めるものであります。
新制國立大学につきましては、旧制の大学、大学予科、高等学校、專門学校及び教員養成諸学校等二百六十七の官立学校を、一部の学校を除いて六十七の大学に編成し、これに今後一年間を限り、農林大臣の所轄に属する東京水産大学を加えて、六十八の新制國立大学を設置するものであります。これらの学校については、大学設置委員会においても、本年三月の総会において昭和二十四年度から開設することを適当と認定したのであります。
新制國立大学の編成につきましては、実施上の基本方針を定め、それによつて計画に当つたのでありますが、旧制学校の新制國立大学への転換の具体的計画については、文部省はできる事だけ地方及び学校の意見を尊重して計画を定めることといたしまして、しばしばそれらの関係者と協議して計画を進めたのであります。大部分の学校については協議がととのい、基本方針に沿つて編成することができたのでありますが、二、三の学校については未解決のまま現在に至りましたことは、はなはだ遺憾でありまして、それらの学校はやむなく当分の間、旧制の学校として存続することをこの法律に規定したのであります。
次に國立の、電波高等学校について申し上げます。無線通信士の一般教養の向上が、各方面から要望せられ、無線通信に関する專門教育のほかに、普通教育にも相当重点を置いて、無線通信士の教育に当らなければならなくなりましたので、無線電信講習所を昭和二十三年八月逓信省から文部省に移管し、全國に三箇所ありました無線電信講習所を、昭和二十四年度から國立の電波高等学校に組織を変更することとなつたのであります。
國立盲教育学校及びろう教育学校につきましては、昭和二十三年度から盲、ろう学校義務制が実施事せられ、これに伴つて、さらに多数の教員を必要とするようになりましたが、從來の東京盲学校及び東京聾唖学校師範部の機構では、教典養成の制度上においても、収容力においても、また研究施設においても、はなはだ不十分でありますので、本年度はとりあえず両校師範部を拡充し、本教育学校を設置して、この教育の研究を一層深めるとともに、資質において優秀な教員を養成しようとするものであります。
次に本法案の内容について要点を申し上げます。
まず第一に、新制國立大学については、各大学の名称、位置及び学部について規定し、あわせてそれぞれの國立大学に包括される旧制の学校を掲げました。
第二に、名國立大学に附置される研究所の名称、位置及びその目的について規定いたしました。
第三に、各國立大学の学部に附置される研究施設を掲げました。
第四に、三つの電波高等学校については、その名称、位置について規定し、國立盲教育学校及びろう教育学校については、その名称、位置及び目的について規定にいたします。
第五に、各國立学校に置かれる職員の定員を、各学校ごとに規定いたしました。
以上本法案の提案理由及び内容の骨子について御説明申し上げましたが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに可決下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/11
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012・原彪
○原委員長 なおこの概要につきまして、日高政府員より説明を聽取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/12
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013・日高第四郎
○日高政府委員 國立学校設置法案の概畧を御説明申し上げます。
この法律は國家行政組織法に基きまして、六十八の新制國立大学、三つの國立の電波高等学校及び國立の各種学校と、國立盲学校及びろう学校の設置を定めるものでございます。國家行政組織法第八條の第一項によりますと、國の行政機関には、内部部局の外、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会または協議会及び試験所、研究所、文教施設、医療、施設その他の機関を置くことができることを規定されているのであります。また今回この法案と同時に提出されまする文部省設置法の中にも、國立の学校については國立学校設置法の定めるところによるということを規定してございまして、從來官立学校の設置組織及び定員は、特例として官制をもつて定められておりましたのを、法律をもつて規定することとなつたのでございます。
新学制は昭和三十二年度から、小学校及び中学校を、昭和二十三年度から高等学校を実施いたしましたが、新制大学は昭和二十三年度から発足いたしまして、公私立十二大学を除いて新制高等学校の最初の卒業者の出る昭和二十四年度から実施することを方針として進めて参つたのでございます。新制大学に切りかえる旧制の大学、大学予科、專門学校及び教員養成諸学校でありますが、新制國立大学に切りかえる学校は、これらの学校のうち官立学校を対象といたしまして、別に地元の希望があり、かつ新制國立大学の編成上適当と認めたものは、公立の專門学校もその一部分として合併したのでございます。
新制國立大学の編成につきましては、十一項にわたる基本方針を定めまして、この基本方針に基いて昨年八月現在で二百六十七ございました全國の官立の大学、大学予科、高等学校、專門学校及び教員養成諸学校を六十九の新制國立大学に統合する計画を立てまして、これによつて経費の膨張を防ぐとともに、大学の基礎を確立することにいたしたのでございます。
この基本方針によつて統合の計画を立てました國立六十九大学設置の可否につきましては、公立の学校二十四、私立百三十三、他省所管のものとともに昨年八月大学設置委員会に諮問したのでございます。大学設置委員会は、学校教育法によつて定められた文部大臣の諮問機関でございまして、四十五名委員をもつて組織し、大学の設置認可に関する事項及び博士その他の学位に関する事項を定めるについては、文部大臣はこの委員会に諮問しなければならないことになつております。大学設置委員会は昨年八月以來、鋭意新制校の審査に当り、学校も実情も実地について漏れなく視察いたしまして、本年二月と三月に総会を開き、國立大学については六十九大学のうち、新制をとり下げました学校だけを除いて、六十八大学中六十七大学と、他省所管の大学は農林省関係の東京水産大学、運輸省関係の商船大学で、合計六十九の大学を昭和二十四年度から大学開設を適当と認めて答申いたされました。その後商船大学につきましては実現不可能の、事情が起りまして、この法律では合計六十八の國立大学の設置を認めてあるわけでございます。
新制國立大学への転換の具体的計画については、文部省はできるだけ地方及び学校の意見を尊重して定めることにいたしまして、文部省はこの方針に從つて、しばしば地元または学校当局と協議して統合の計画を定めたのでございます。幸い大部分の学校とは協議が整いましたが、秋田鉱山專門学校、上田繊維専門学校の二つの学校に関係する問題が未解決のまま残つておりますことは、まことに残念なことと存じております。この二件につきましては、目下文部大臣は大学設置委員会に特に諮問中でございます。
次に、新制國立大学の学部編成等について特に考慮いたしました点は、第一は、学芸学部及び教育学部は、教員養成の必要から最も重点を置いて計画したということでございます。
第二に、学部各科の編成は、現存の組織を基礎といたしておりますが、全國的も考慮して計画いたしました。
第三に地元の希望があり、國立大学編成上適当と認めたものについては、公立專門学校を國立大学の一部として合併いたしました。
第四に学科目については、まず新制大学の特色である一般教養科目の制定をできるだけ十分に考慮したということでございます。
電波高等学校は、仙台電波高等学校、詫間電波高等学校、熊本電波高等学校の三つでございまして、それぞれ旧仙台無線電波講習所、旧大阪無線電信講習所、旧態本無線電信講習所が転換するものであります。本科は新制中学校卒業者を入学資格とし、修業年限は三年で、高等普通教育並びに無線通信に関する專門教育を施して、二級通信士の実力ある者を養成したいのであります。本科のほかに別科、專攻科をも置いてございます。
國立の各種学校は、國立盲教育学校を東京都に、國立のろう教育学校を千葉縣に設置するものでありまして、前のものは東京盲学校が転換し、後者は東京聾唖学校が転換したものであります。本科は修業年限一年で、新制大学卒業者を入学させるのを建前としておりますが、当分の間師範学校本科、旧制高等学校高等科、專門学校または大学の卒業者等を入学させるものであります。本科のほかに理療科と音樂科を置いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/13
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014・原彪
○原委員長 政府の提案理由の説明はこの程度にいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/14
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015・原彪
○原委員長 次に文部省著作教科書の出版権等に関する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案、右二案を一括して議題に供し質疑に入ります。
質疑は通告順にこれを許します。質疑者は委員長まであらかじめ御通告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/15
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016・小林運美
○小林(運)委員 ただいま委員長からお話がありましたが、國立学校設置法の御説明もありましたし、國立学校教育法の改正の問題と國立学校設置法等には相当関連もあると思いますので、できるならただいま御説明になりました三つは、学校教育法と國立学校設置法と一括してやつていただいて、著作権の方だけお先に願つたらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/16
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017・原彪
○原委員長 ただいまの小林君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議訓なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/17
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018・原彪
○原委員長 それではさようとりはからいます。それでは文部省著作教科書の出版権等に関する法律案を議題に供します。質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/18
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019・今野武雄
○今野委員 文部大臣にお伺いしたいのでありますが、文部省においては、昨年教育の民主化のために検定教科書を促進する御方針をとられたように、われわれ考えておるわけでありますが、この法律を見ますと何か今後も文部省の著作教科書というものがずんずん出るような印象を受けるのであります。今後どういうものが出るのか、あるいは今まで出ているものを、ずつとまだ続けるおつもりなのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/19
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020・高瀬荘太郎
○高瀬國務大臣 文部省といたしましては、教科書は檢定主義によつて出して行くという方針を立てております。ですから、できるだけ文部省自身の著作するものは、しない方針で行つておるわけであります。ただしかし、過渡期といたしまして檢定のものが十分そろわない、いろいろな準備の足らないところもありますので、当分の間檢定でない文部省自体の著作のものも続いて出る、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/20
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021・今野武雄
○今野委員 現在ある教科書または今後つくる予定の教科書について具体的に、もし資料がありましたら、何点ぐらい、およそどんなものがあるかというくらいでけつこうですから、ひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/21
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022・稻田清助
○稻田政府委員 現在発行いたしておりまする教科書全体で五百五十七種でございますが、このうち百七十四種が文部省著作の、教科書でございます。ただいま大臣からお答えになりましたように、大体昨年度で文部省の新編纂は終つたのでありますが、なお社会科、理科、それから歴史及び特殊教育の教科書につきまして、幾つかの單元がまだ編纂中でありますので、それを終了いたしますまでは編纂を継続する予定でございます。なおまた発行いたしておりまする國定教科書につきまして、訂正の必要のある箇所を発見いたしました場合は、多少の改訂は將來といえども行う予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/22
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023・今野武雄
○今野委員 昨年の檢定の、実績を見てみますると、文部省で國定教科書の出でおらないものについては、たとえば歴史などのようなものについては、この檢定を行わないというようなことがあつたように記憶いたします。その点についてお伺いいたします点は二点でありまして、第一に、さきに、「國のあゆみ」という教科書が文部省として出でおつたようでありますが、あれは現在絶版になつておるか。それからまた現在使われておらないかどうか。それからなお今言つたようなことが、たとえば歴史においてあつたことは事実であるかどうか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/23
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024・稻田清助
○稻田政府委員 御質問の「國のあゆみ」は、いわゆる新教育の教科書として発行されたものではないので、ございまして、國民学校の各教科書について
一應全面的に暫定本を昭和二十一年度に作成いたしましたその一種であつたのであります。從いまして、新教育の学習指導要領等に適合しない教科書でありますので、新教育が発足いたしました昭和二十三年以後におきましては、教科書としては使わせないことにいたしたのでありますけれども、せつかく出ているつもりでありますので、中等学校において参考書としてこれを用いることを許して参つた性質のものでございます。御質問にありましたように昨年檢定制度を実施いたしました場合は、文部省著作のものといえども、新教育の日本歴史の教科書はなかつたのでございます。またコース・オブ・スタデイにもなかつたのであります。そういうような関係から、昨年度においては日本史については檢定申請を受付けない取扱いをいたしたのでありますが、昭和二十五年度分といたしましては、中学校の日本史、それから高等学校の世界史、これは受付種目になつておりますし、現にまた出願もある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/24
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025・今野武雄
○今野委員 「國のあゆみ」が教科書として使われなくなつたのは、何ゆえでありましようか。その不適切な理由があつたと思うのでありますが、それはただいまでも絶版にしてあらないのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/25
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026・稻田清助
○稻田政府委員 ただいま申し上げましたように「國のあゆみ」は、國民学校の教科書でございます。旧学制教育内容に適合いたしました教科書でありまして、新しい社会科、理科となりましたような廣範囲の教科の教科書としては不適当だ、そういう意味におきまして、小学校でこれを用いることをやめて、中学校の参考教材として使うことを許した、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/26
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027・今野武雄
○今野委員 なおこの点については、後ほどにお伺いする機会もあるかと存ずるので、後に讓りますが、先日やはりこの委員会において、現在の算数の教科書が非常に不適切である、コース・オブ・スタデイにも合わないものを使わせておる。しかもそれのみでなくして、昨年一年生に教えた教科書が、ほとんどそのまま二年生の教科書になつており、二年生の教科書が三年生の教科書になつておる等々、みんな五年生の教科書が六年生の教科書にこのままかわつておる、こういう事実があるのであります。それに対して政府委員も、それがコース・オブ・スタデイに合わないということをお認めになり、かつ私が九月からでもそういう事態を取除くために何らかの処置をおとりになる考えかと申したところ、それに対して善処なさるというお話でありましたが、この処置は非常に急を要すると考えますので、いかなる処置をその後おとりになつておるか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/27
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028・稻田清助
○稻田政府委員 この四月から数学の学習指導要領が変更になりまして、その点昨年の五月に予見いたしましたために、五月にその内容を発表いたしまして、移りかわりに遺憾のないように通牒もし、あるいは講習、研究会、ラジオ放送等で連絡をとつて参りました点は、先般御質問に対しましてお答え申し上げたような次第でございます。昨年新しい学習指導要領によりまして國定教科書の一部を編纂いたしましたり、また一般に檢定教科書の出ることも予期いたしたのでありますけれども、何分時期が短かかつたために遺憾ながら檢定教科書が現われずに、本学年におきましては、古い教科書を大体一年持上りの形をもつて使い、昨年中に教えなかつた部分を今年教えるというような処置をとらざるを得なかつたのでありますが、実際の教育にあたりましては、昨年内たびたびの研究会、協議会、通牒等で趣旨が明らかになつておりますので、適切にそれを利用していただけることとは存ずるのでありますが、なお今後とも各種の研究会、講習会を通じましてその趣旨の普及徹底に努めて参りたいと思つております。ただいまの御質問は、新しい合格した檢定教科書を今年から使うことはできないかという御質問のやうでありますが、この点この前もお答え申し上げましたように、現在審査中の檢定教科書が檢定確定いたしまして、種々の手続きを経て発行供給に至りますのは、どういたしましても別年度の新学年にぎりぎりに間に合うというような時期に相なりますので、その方法はまあ不可能だろうと思います。私が先般この点につきまして、数学教育に関しまして遺憾のないような措置を今後とも考究すると申しました一つの例といたしましては、また本年度におきましてもこうした研究会、協議会等を、予算もございますし、種々企画して参りたいと思うという点をもつてお答えといたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/28
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029・今野武雄
○今野委員 先日善処されるということで了承しておいたわけでありますが、ただいまのお答えによれば、これは講習会等によるということです。從來も、確かに今政府委員がおつしやつたように、講習会その他通牒、ラジオ放送などをもつていろいろとなされたようでありますが、現に今日まで趣旨が撤廃せず、しかも生徒が学習意欲を失つておるというような事実が現われ、それが兒童の作文などにも現われておるような状態でありまして、こういう状態を放置することは、教育上ゆゆしいことだと思うのであります。願わくはそういうような問題に対して、現在いろいろ新しい方針に從つて研究努力して参つた成果があちらこちらにあり、また檢定が通つたものもあるはずですから、そういうものを、何らかの方法によつて急速にととのえるというような処置がとられないものかどうか、この点重大な問題ですから、重ねてお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/29
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030・稻田清助
○稻田政府委員 現在檢定審査中のものが、大体結果がわかりますのは、どういたしましても七月ごろであろうと思います。それから各学校の注文をとりまとめ、あるいはそのほかの発行準備の手続をいたしまして、発行に着手いたしまするのが、どうしても十一月ぐらいになる、すなわち本年度の時期にはこれは間に合いかねる状態だと思つております。從いまして、御不満でもあろうかと存じますけれども、教科書を新しく本年度中に発行するという以外の方法をもちまして、努力いたすほかないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/30
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031・今野武雄
○今野委員 今度は文部大臣にお伺いいたしたいと存じます。現在問題になつておる件は、ただ單なる一学科の教科書のように見えまするけれども、しかしながら現に文部省がみずからきめた学習指導要領というものがございまして、それに対してまつたく合わないところの、しかも学習意欲を低下させるような、そうして学校教育を混乱させる、そういう教科書が現に出ており、文部省の現在までの努力にもかかわらず、各所にそういう事実が現われておるということに対して、文部大臣といたしましてどういうふうにお考えになりましようか、この点お伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/31
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032・高瀬荘太郎
○高瀬國務大臣 ただいまのお話にありましたような点で、いろいろと教育上思わしくない影響があるということは、私も認めておるわけであります。しかしそれもただいま局長から申し上げたような事情でもつて、これをすぐさま根本的に取除いてしまうということも事実上非常にむずかしい問題であります。ですからできるだけの手を盡しまして、そういうことを排除して行く方法を、文部省としては極力努力して参るというよりほかないかと思つております。今度のような問題も、やはり新しい制度がつくられて、教科書につきましても新しい方針で計画されますような場合には、どうしても起りがちなものでありまして、初め机の上で考えましたことも、なかなか実際やつてみるとその通りには行かぬような点もあつて、そういう結果にもなつたかと思いますから、そういう点は実際に即してできるだけ早くこれを改善して、いいものにするということで全力を盡して行く、こういう方針でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/32
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033・今野武雄
○今野委員 先日私地方に参りまして視察いたしましたところが、中学校の生徒が現在使つておる教科書が、依然として古いコース・オブ・スタデイによるものが使われており、しかもそれがそのままに使われておるというような事実が、実際に見られるわけでございます。たとえば、こまかいことでありますが、数学からは力学的な問題を除くという趣旨が徹底しないで、やはりそのままに使われておるということを、現実に目で見て参つたわけであります。そういうような事実がある。しかも文部省でもこういうことに対して十分な手を打たれていない。そのために今度は、参考書あるいは教科書類似の、粗悪な出版物も中にはまじつておりますが、中には良質なものもある。そういう参考書類というものが、非常にあふれておるように見受けられます。それで私はもしもかりにそういう参考書類の中で、比較的良質なものを幾つか指定して、そういうものでも使うというようなことになれば、かなり救えるのではあるまいかというような気もするのですが、実は教育に熱心な学校では、そういうものをかなり使つておる。もしもそれほどでなくて使わないところがあればそれでもよろしいと思います。強制する必要は毛頭ありませんが、しかしそういうものを若干認めないと、粗悪なものが横行するというような状態になつておるように見受けられますが、この点について実際的な問題として、何らかの御処置は願えませんものでしようか、その点お伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/33
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034・稻田清助
○稻田政府委員 御承知のごとく学校教育法の規定によりますれば、教育上有益な参考書は使用できることに相なつておりますので、各学校とも相当各教科にわたつて参考書を使用しておる状態だと思つております。その中からいいものを選び出し、悪いものを排除する、こういうような点につきましては、文部省の立場におきまして、一つのオーソリティーをもつてそれを行うという点につきましては、なお躊躇される問題だろうと思うのでありますが、私どもといたしましては、從來新教育が実際教育家の間において研究が旺盛になり、参考書の取捨選択等につきましても、相当進んで参るように御援助を申し上げ、御相談にもあずかつておるような次第でございます。今日以後におきましても各教科については、各地にそれぞれ教員の間あるいは專門家をまじえての研究会が起つて参つておりますので、そうした方面の活躍において今お話のような理想が遂げられるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/34
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035・今野武雄
○今野委員 次に用紙の問題についてちよつとお伺いしたいと存じます。本年は教科書が去年と同じものが使われておるために、たいへん用紙や何かが余つておるように思うのでありますが、そういうものはどういうふうに処置なされておるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/35
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036・稻田清助
○稻田政府委員 お言葉ではございますが、決して今日用紙が余つておるような樂な状況ではないのであります。ただ二十二年、二十三年と比較いたしますればいささかなりとも用紙の状況は改善されて参りましたが、大体教科書といたしましては六千万ポンドほど私どもとしては必要だと考えておりますのが、二十四年度分としては四千八百万ポンド程度しか得られないわけであります。ただお話のように再版発行等によつて多少浮くと勘定される面もございますけれども、これはまた一面において学習指導要領の種類もふえ、そのほか教師指導用等についてもいろいろ企画もございますので、そういう方面の需要にようやく間に合うか間に合わないかというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/36
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037・今野武雄
○今野委員 たいへん、長くなつて申訳ございませんが、もう一点お聞きしたい。ただいま用紙の点をお伺いした理由は、算数の教科書は今度はあまりお刷りにならなかつたのじやないかとも考えられるのであります。もしそういうようなものを優良な参考書などにまわすならば、かなり教員もまた生徒も便宜が得られるのではあるまいか、もしそれがおつしやるようなまじめな各地の教員の研究会などにおいてそういうものが利用できたならば、非常に先生も生徒も助かるのではないか、こういうようなことから考えた次第なんでありますが、そういうようなものを特に用紙の面において助成するというようなお考えはございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/37
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038・稻田清助
○稻田政府委員 本年の四月から使います教科書用紙は、およそ昨年度の第二・四半期以降の用紙と本年度の第一・四半期の用紙をもつて充当いたします。本年度の第二・四半期以降は、そうした順で明年度の教科書に充てておりますので、今日その計画の途中におきまして、他に振り向けるというような余裕は発見しにくい状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/38
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039・今野武雄
○今野委員 ほかの点についてちよつとお伺いいたしたいと存じます。この附則によりますと、現在すでに出版を行つている者の出版に関する権利は、この法律の規定によつて設定された出版権とみなすとありますから、考えようによると、大体のものはあらためて印刷をするまでもないということになるように考えられますが、新しく入札が行われる対象というのは、大体どのくらいあるものでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/39
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040・稻田清助
○稻田政府委員 ただいまの御質問でございますが、つまり險定教科書が何種類出て、それがどのくらい地方で採択されるかという数が確定いたしませんと、残りの文部省著作のものがどのくらいの分量になり、どういう種類があるかということが予見できないのでございます。ただ今日まで檢定の出願の絶対にない科目があります。これはおそらくもうこれからは間に合わないと思いますので、そうした種類の科目につきましては、これは文部省著作一本で参ります。ただその分量は今のところまだ未確定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/40
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041・今野武雄
○今野委員 それをもう少し具体的に説明願えませんでしようか。くどいようでありますけれども、現在出版しておるのは、これで見ると、いいということになるわけですね。ですから新しくやる分が、今おつしやつたような理由のも含めて一体どのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/41
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042・稻田清助
○稻田政府委員 今日まで文部省と七つほどの会社と契約いたして文部省著作の教科書を発行いたしておりますが、その契約は昭和二十四年度分で切れるわけであります。すなわち二十五年度分につきましては、まつたく無契約になります。ここにあげております二十五年三月三十一日までの間に、出版に関する権利がすべての教科書について消滅してしまうわけでございます。そのうち、國定一本で参ります分につきましては、險定の合否が決定いたしますれば、採択という時期に至らないでも数量がわかりますから、その分は早くこの入札の方法で実行し得ると思います。おそらくその時期は七月か八月ごろだと思つております。ただ、ある教科書が檢定もあり國定もあり、というものにつきましては、実際見本展示会を経て地方の採択の数がまとまつて参りませんと、どのくらい國定教科書を刷るかということはわかりません。この分につきましては、そのわかつた時期に入札したのではあるいは間に合わないかもしれない。その分については從來の発行会社にもう一年やらせて、來年になつて、見本展示会がもう少し早くなつたら全面的に競争入札にし得る段階になるというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/42
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043・今野武雄
○今野委員 そうすると、文部省のお見込みとしては、この法律を実際に施行するのは当分ない。二十五年度分についても、見本展示が遅れるとたいがい間に合わないということになるのではないかと思いますが、そうなればこれが実際に施行されるのはいつごろでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/43
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044・稻田清助
○稻田政府委員 ただいまのお答えにありましたように、檢定の結果がわかりますと、國定一本のものが残るのが七月か八月ぐらいになりますので、七月か八月ぐらいには幾つかの種類の教科書の本年度の入札が行い得ると考えております。それからさらに十月の末か、十一月ぐらいには残りの國定教科書について考えられるとは思いますけれども、これはその時期によつて間に合わないことが考えられますれば随意契約にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/44
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045・今野武雄
○今野委員 これは文部省設置法のこまかいところにも関係するので、お伺いいたしたいのでありますけれども、その檢定がなくて、そうして今後ずつと文部省でおやりになるらしいということを、さつきおつしやつたのでありますけれども、それは一体どんなものでございましようか、具体的にお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/45
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046・稻田清助
○稻田政府委員 あらゆる教科書は、御承知のごとくに教科書発行に関する臨時措置法によりまして、教科書目録に載せまして、その中からその学校で選択してもらいます。從いまして、國定の教科書を採択せられる方がずつと続く限りは、その教科書の発行というものは継続いたすのでございますけれども、文部省設置法の附則にありますように、一万部を下つた場合には発行を停止するという予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/46
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047・今野武雄
○今野委員 私の質問の仕方が悪いのかもしれぬけれども、要点をはずしてお答えになるようでよくわからないのですが、さつきおつしやつた、今まで檢定が出ていないで、從つて今後とも永久に出ないものと考えられる。そういうものがいつまでも残るとおつしやるので、そういうものは一体、どれとどれでありますかということをお聞きしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/47
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048・稻田清助
○稻田政府委員 全科目について、本年度はもう檢定を開始しております。申請が具体的にない科目もあるかもしれませんけれども、申請を拒否するような科目はもうない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/48
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049・今野武雄
○今野委員 そういうことを聞いているのではないのです。先ほども申したのですが、この法案について十分お聞きしたいというのは、実はこれは文部省としてどの程度までこの國定教科書というものをお続けになる考えか、これをはつきり知りたいわけであります。ただいま伺つておりますと、出願がないものがあるというお話だつたので、それは一体何であるかということ、その事実をお聞きしておるのでありまして、予想とかいろんなものをお聞きしておるわけではないのであります。それをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/49
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050・稻田清助
○稻田政府委員 全然出願のない科目は、たとえば特殊教育に関します教科書、これはございません。それからあとは先ほど私が幾つかありそうだ、今はつきりしておるのは学習指導要領式のいわゆる教科書に準ずるもの、これはございません。それ以外は出願しても落ちる見込みのもの、これはおよそ二十種目ばかりあるかと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/50
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051・今野武雄
○今野委員 なおこの法律によりますと、出版料というものが前もつて納められなければならないことになつております。これは相当大きな経済的な負担なのでありますが、結局文部省としては、こういうことによつて今までの七社以外に出ることができるか、あるいはそれ以上どの程度に拡大されるお見込みでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/51
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052・稻田清助
○稻田政府委員 各教科書種目ごとに入札を行いますけれども、もちろん一社でもつて幾つかの種類を引受けるものがありまして、これはやつてみないと、ただいまの御質問について的確なお答えはできにくいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/52
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053・今野武雄
○今野委員 この法律では、たとえば十三條によりますと、何か印税に相当するようなお金が「百分の二から百分の十六・六までの範囲内で」というようなことになつておりますが、これは何によつてこういうふうに違つて來るのでありましようか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/53
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054・稻田清助
○稻田政府委員 これは現在文部省著作教科書について印税をとつておりますそのままの標準を、ここに掲げておるわけでありますが、文部省と物價廳、それから関係方面と協議いたしました結果、スライド制によりまして、各部数に應じて納めます率がきまつておるわけでありまして、それの最高と最低をここに書いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/54
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055・渡部義通
○渡部委員 文部省の答えの中で、文部省の教科書をできるだけ少くして一般に廣く原稿を求めて檢定による教科書をつくると言われました。これは非常にけつこうなことでありますが、檢定は今までどういう方法で行われて來たのか。たとえば檢定委員会の構成がどういうふうになつておるか、また檢定の標準はだれがきめたのかというような点をまずお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/55
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056・稻田清助
○稻田政府委員 檢定委員会は、十六名の檢定調査員と、その檢定調査員が各科目について選びましたおおよそ五百名ばかりの調査員と、それから事務的にこれを助けます幹事と、この三者の構成になつております。大体原稿が出て参りますれば、その原稿を名前を隠しまして番号順に檢定調査員に——これも番号順になつておりますが、機械的に四人の方に見ていただいて、檢定基準によつて採点していただく、その採点したものの合計を幹事が集計いたしまして、関係万両の檢閲にまわす。檢閲に合格いたしますれば、初めて檢定委員会から文部省へ合格ということで、文部省はその裁定通りに合否の処置をすることになつております。しかしてただいまの檢定基準は、教科用図書委員会におきまして專門調査員を設けて作成していただいた性質のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/56
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057・渡部義通
○渡部委員 昨年の檢定問題が起きた当時、その檢定委員会の中に、民主主義科学者協会及び産別、総同盟、こういうふうな民主的な團体が参加しておつたのです。ところが途中にしてこの三つの團体が除外されてしまつたという件が起きた。この問題は当時御存じのように非常に大きな問題となつて、文部省にしばしば諸團体から抗議があつたはずだと思いますが、文部省はなぜ檢定委員会の中からこういう三つの團体を除外されたのか。特に民主主義科学者協会と申しますと、これは大学、高等專門学校の進歩的な教師を中心に、ほとんど大部分の廣汎な学者が参加しておる團体であるのに、こういう團体をなぜ除外されたのか、この点をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/57
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058・稻田清助
○稻田政府委員 檢定委員としてきまつた方々の中から、お話のような方々を除いたというような事実はないのであります。昨年初めて檢定委員会を構成いたしまする場合に、協会の図書委員会の推薦によつて、その考えに從つて各方面の團体なり、あるいはまた教育界その他各界から代表の方にお集まりをいただいて、その方々をもつて準備会的の相談会を開いたわけであります。教科用図書委員会としては、お話のような諸團体を含めて相当多数の團体を推薦して來られたわけでありますが、その後種々研究の結果、最も直接学校教育及び教科書というような面に関係のある方に限局いたしまして、今申し上げた相談会を開いた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/58
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059・渡部義通
○渡部委員 今御答弁になつた趣旨はどうも徹底しませんが、民主主義科学者協会というような、すでに國際的にも認められており、また学術会議においては專門家の学術團体として明確に選挙母体とさえなつておるような團体を除外された理由が、少しもはつきりしていないわけです。そういう理由がはつきりしていませんと、今後檢定によつて教科書を決定される場合に、非常に重大な関係がありますので、その点をもつと明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/59
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060・稻田清助
○稻田政府委員 最初考えました各界、各團体の数が非常に各方面にわたつておつたわけであります。ただその中から教育界から何人、学界から何人、あるいはその他の審議会から何人とだんだん少くして参りまして、それでおちついたところを実際に実施したわけでありまして、それだけの意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/60
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061・渡部義通
○渡部委員 その点私非常に不満でありますが、それは一應別としまして、当時歴史学研究会、民主主義科学者協会の歴史部会、この二つの團体が共同研究をしまして、共同の歴史教科書の編纂委員会をもちまして、ここで科学的な歴史教科書を檢定に出したわけであります。その場合に文部省の方から、まだ歴史教科書ができていないために檢定を中止するというようなことが、そのとつさのときに至つて起きたわけですが、なぜその場合に、このように最も有力な、えり抜きの学者たちによつてつくられた原稿がすでにできているのに、これが檢定の対象にならなかつたか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/61
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062・稻田清助
○稻田政府委員 昨年受付けました檢定の一種目は、二月に官報公示をいたしておりまして、決してとつさに変更いたしましたり、とつさにきめたわけではないのであります。昨年は関係方面から歴史については檢定出願を許されなかつたというような状況で、最初に公示いたしました種目のうちに歴史の科目はなかつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/62
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063・渡部義通
○渡部委員 関係方面から歴史に関する檢定の指示がなかつたという理由はお答え願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/63
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064・稻田清助
○稻田政府委員 当時におきましては日本史のコース・オブ・スタデイもできておりませんし、また新コースによります日本歴史教科書もまだオーケーになつていなかつた、そういうふうな事情であつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/64
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065・渡部義通
○渡部委員 それで先ほどの問題に入るわけですが、そのために二十二年度用は、これは教科書ではないが、「くにのあゆみ」を一般に参考書として使用せしめているということでありましたが、この「くにのあゆみ」なるものがどのようなもので、あるかということについては、これは歴史の学問に少しでも身をゆだねている人ならば、すぐはつきりするように、非常に非科学的なものであつて、教科書としては將來の日本の國民の歴史教育の上から絶対に許さるべきでないということにつきまして、これを絶版にするか、教科書として完全に廃止すべきであるということを歴史学研究会及び民主々義科学者協会の歴史部会において決議として、文部省の方に出されているはずと思う。ところが、文部省としましては、これを依然として参考書として許している。このよう非科学的な、日本の歴史を誤らせるような、あるいは歴史についての兒童の考え方を科学的なものでないようにするようなものを参考書として許されているとするならば、今後各学校におきまして教師がかつてに自分自身の意思によつてどのような教科書を参考書として指導のために用いても、文部省としてはこれに干渉せず、あるいは黙認するという態度をとるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/65
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066・稻田清助
○稻田政府委員 「くにのあゆみ」は、先ほど今野委員にもお答え申し上げましたように、國民学校当時に編纂いたしました暫定教科書でありまして、新教育になりましてからは増刷り再版はいたさなかつたのであります。ただ、その参考書として使用することを禁止あるいは拒否はしなかつたという程度の扱いをいたしたわけであります。一般に参考書でありますが、学校教育法の指示によりまして、参考書は自由に学校職員への選択によつて使用し得る状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/66
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067・渡部義通
○渡部委員 それでは文部省は「くにのあゆみ」というかつての教科書、これが科学的なものであり、教科書として妥当なものであるということを現在も認めておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/67
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068・稻田清助
○稻田政府委員 現在教科書として妥当なものとは考えてないのであります。新教育におきましては、小学校の社会科におきましては、ああいう教科書は使いにくい、使い得ない状態であります。文部省におきましては、先般來新しく日本史の教科書の編纂に從事いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/68
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069・渡部義通
○渡部委員 科学的であるかどうかということをお尋ねしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/69
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070・稻田清助
○稻田政府委員 科学的という点になりますと、いろいろな見解があろうと思いますけれども、私どもは決して非科学的とも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/70
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071・原彪
○原委員長 渡部君、共産党の方のお二人の発言で大分時間を独占されるような形にありますから、簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/71
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072・渡部義通
○渡部委員 そこで、「民主主義」という教科書ですが、この問題はしばしば問題になつているわけですが、たとえばフランス革命の歴史的な諸問題につきましても、これは非常に非歴史的なものであり、非科学的なものであることは、学者はみな認めているのです。それから、最後の、共産党に対する解釈の仕方も事実に反しているということ、何よりもまず事実こそが眞理なのであつて、こういう眞理にも反している。從つて、理解的にはずさんきわまるものであり、單にずさんきわまるのみでなくて、デマゴーグとなつている。かようなものを文部省は教科書として用いることを妥当なりと考えているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/72
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073・稻田清助
○稻田政府委員 「民主主義」につきましては、先般今野委員にもお答え申し上げたのでありますが、民主主義というものについてわが國憲法の立場に立つて編纂いたしました書物でありまして、文部省の教科書として押しつけるというようなお話でございますけれども、これは新教育に関する教科書一般の性質から見て、教科書とし、あるいは文部省著作としたからといつて、決してその内容を学生生徒に押しつける性質のものにはならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/73
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074・渡部義通
○渡部委員 非常に私たちは文部省の答弁が不確かであり、十分納得できない点があるわけですが、これは今後の教育の上に非常に重大な問題でありますので、さらに機会があれば御質問をすることにして、これで私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/74
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075・庄司一郎
○庄司委員 それではごく簡單にお伺いしたい。入札の方法について、一部当りの、より低廉なるものに落札するというような意味のことがございましたが、一部当りの評價は、むろん出版業者、印刷業者を経ますけれども、全体で十万部印刷する、あるいは百万部であるということも同時にお示しになりませんと、一部の單價が出て來ないことは御承知の通りであります。そういう場合の入札の方法、また落札を決定する場合の運営方法、これらをお伺い申し上げます。
第二点は、文部大臣が最低の予定價格をきめるということが今の御説明のようでありました。文部省の中に、そういう予定價格を決定する、そういう見識のある、あるいは体験のある、お偉い方がいらつしやるかもしれませんけれども、それは紙の原價において、あるいはインクにおいて、活字において、あるいは製本において、あるいは日本國内の暖かい南國と保温を必要とする東北。北海道とにおいて、印刷工場における一冊当りの單價の計算が違つて参ります、そんな場合において、より低廉なる一冊を單位とせる落札予定價格の決定ということを、どんなふうになされる御方針であるか、具体的にお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/75
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076・稻田清助
○稻田政府委員 御質問の第一点でありますが、総部数はもとより告示にはつきりいたします。最初に、刷る部数が何万部であるか、その本が何ページであり、紙質がどうで、絵がどうだというようなことを詳細に告示いたしまして、入札を勧告するということにいたしたいと思つております。なお、製造原價の予定を立てる点につきましては、現在文部省におきましても、こういう関係の專門家が参與しておりまして、始終実際の状況について研究はいたしておりますが、用紙につきましてはマル公明定の価格にいたします。そのほか、製版費印刷料、運搬料、というようなものにつきましては、全國各地の実際状況を十分調査して、それに基いた資料によりまして製造原價の算定をいたすことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/76
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077・稻葉修
○稻葉委員 第二條、第三条、第四條につきまして、ちよつと御質問いたしたい。
第二條の、出版権を取得しようとする者は、その資格について文部大臣の審査を受けなければならない。從つて、文部大臣の審査権は非常に重要なものであろうと思います。その審査をなすにあたつては、教科書出版資格審査会の諮問を経て行うということになつておりますが、諮問機関であるという点に議決機関的な権限をお與えになる御意思があるかどうか。それから審査会の審査員を二十人といたしまして「世論経験者及び関係各省各廳の職員の中から、文部大臣が任命する。」という規定がございますが、この学識経驗者とそれから関係各省各廳の職員のうちから選ばれる審査員との比率は、一体どの程度にお考えになつているのか、お尋ねしたいのであります。それから第四條の但書「但し、競争に付するいとまがないときは、第二條の審査に合格した者との随意契約によることができる。」ということになりますと、第六條等の規定から考えまして、常に競争に付するいとまがないものとして、この第四條但書があるいは審査権限の濫用になるおそれがないであろうか。從いまして但書を削除する御意思はございませんかどうですか。あるいはまた少くともそういう急を要する場合には、ある程度審査会の関與を必要とするというようなことにいたされる御意思がありますかどうか。それらの点を一括してお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/77
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078・稻田清助
○稻田政府委員 第一の点でありますが、もとよりこうした法律において設けられる審査会でありますので、諮問機関ではありますけれども、十分その御決定を尊重することは当然であります。それから審査会の構成でありますが、一應ただいまのところ考えておりますのは、関係各省廳の官吏六名、それから紙の関係、出版の関係、印刷の関係その他の業界から七名、それから教科書の発行供給の実際の事業家四名、それ以外に学識経験者として三名以内、これは教育界とかあるいは教科書委員会というような面から参與されるのだろうと思いますが、それで大体二十名の振合いを一應ただいまのところは考えております。それからなお「いとまがないとき」と申しますのは、御承知のごとく教科書は非常に大部数でございまして、製造いたしましてからこれを学校に間違いなく届けまする場合に相当な日数がかかります。しかして学年の点から逆算いたしまして、それだけの日数がどうしてもこうした競争入札をやるいとまがないと考えられまする場合に限つて随意契約をいたすわけでございまして、要するにほかの出版物と違つて、できて賣ればいいというわけではありませんで、一定の時間に間違いなく学校に届くという点が非常に重要な問題でありますので、こうした條項を設けることは必要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/78
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079・稻葉修
○稻葉委員 そうなりますと、第六條以下のこういう低廉な業者に出版権を與えるという趣旨の規定が、あるいは多くの場合に有名無実になるおそれがあるように思います。それならば、少くとも審査権限の濫用にならないように、審査会のある程度の関與、つまり議決を経るとか、あるいは諮問を経るとか、そういつた意味の関與を必要とするように思いますけれども、その点はお答えがなかつたようでありますから、あらためて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/79
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080・稻田清助
○稻田政府委員 言葉が足りませんでしたが、こうした場合は、おそらく非常にまれな場合だろうと思います。普通の場合は、こうした趣旨の法律をつくるのでありますから、自由競争という道に持つて参り、非常に例外のような場合に今申したようなことはいたすのであります。もとよりわれわれといたしましては、その前に審査会を開くのでありますから、十分審査会の了解を得て、審査会においてもそうしたことがやむを得ないのだというお考えがある場合に限つて、これを実施したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/80
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081・稻葉修
○稻葉委員 終りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/81
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082・原彪
○原委員長 ほかに御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/82
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083・圓谷光衞
○圓谷委員 この法案について質問を打切つて討論に入ることを動議として提出いたします。お諮り願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/83
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084・原彪
○原委員長 ただいまの圓谷君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/84
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085・原彪
○原委員長 御異議なしと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/85
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086・水谷昇
○水谷(昇)委員 この際討論を省畧して採決に入りたいと思います。この動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/86
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087・原彪
○原委員長 水谷君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/87
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088・原彪
○原委員長 御異議なしと認めます。それでは文部省著作教科書の出版権等に関する法律案の採決をいたします。本案に賛成の方の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/88
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089・原彪
○原委員長 起立全員。よつて本案は満場一致を、もつて可決と相なりました。(拍手)
本法案について本会議に報告する報告文の内容につきましては、委員長に御一任願えましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/89
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090・原彪
○原委員長 それではさようとりはからいます。
本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/90
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091・原彪
○原委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505115X01319490507/91
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