1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年五月九日(月曜日)
午後一時四十分開会
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委員の異動
五月七日(土曜日)委員鎌田逸郎君辞
任につき、その補欠として町村敬貴君
を議長において選定した。
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本日の会議に付した事件
○過度経済力集中排除法第二十六條の
規定による特株会社整理委員会の職
権等の公正取引委員会への移管に関
する法律案(内閣送付)
○私的独占の禁止及び公正取引の確保
に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣送付)
○本委員会の運営に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/0
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001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) これより第九回の委員会を開会いたします。本日は去る四月二十七日予備審査のために付託されました「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」並びに一昨七日これも予備審査のために付託されました「過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案」を議題といたしたいと思います。そのあとで現在付託されております請願及び陳情の処理方法其の他委員会の運営方法についてお諮りいたしたいと思います。尚前述の二本の法案の外に一昨七日「價格調整公団法の一部を改正する法律案」がこれも予備審査で付託されておりますがこの方は次回に讓りたいと思います。政府の方も見えておりますから先ず集排法を議題に供し政府より説明を聽取することといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/1
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002・青木孝義
○國務大臣(青木孝義君) 只今上程されました『過度経済力集中排法法第二十六條の規定による持株會社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案』について提案の理由を御説明致します。
現行の過度経済力集中排除法第二十六條の規定によりますれば「過度経済力の集中排除に関する持株会社整理委員会の職権及び記録並びにこれがために必要なる職員は、本年六月三十日までに別に法律を制定して、これを公正取引委員会に移すものとする。」旨が定められております。從いまして、この規定により本年六月三十日までに右の移管に関する法律を制定する必要があるわけでありまして、只今議題になつております法案はこの要請に應えようとするものであります。
本法案の内容につきまして若干御説明致しますと、第一條は職権の移管、第二條は記録の引継、第三條は職員の処置について規定し第四條におきまして、これらの施行について必要な事項は政令で定める旨を規定しております。これらの移管の日につきましては、現在なおはつきり見通されない事情もありますので、集中排除の実施状況と見合せて、この法律施行後六ケ月以内に公布される政令でこれを定めることになつております。次に持株会社整理委員会令の規定の中には、過度経済力集中排除法に基く職権に関する規定がありますが、右の移管に伴いましてこれらの規定を改める必要がありますので、附則第二項以下におきまして持株会社整理委員会令の一部を改正する規定を定めることになつております。
以上の説明でお判りのことと思いますが、この法案は、別に新たに權限を附け加えるものはなく、單に既存の法律に基いてすでに定められた權限を一の機関から他の機関に移管するだけのものであります。又この法案によつて集中排除の方針方法等に変更を加えるものでもありません。何とぞ御審議の上速かに御可決あらんことを望みます。
なおこの機会におきまして集中排除法の実施状況につき御説明申します。集中排除の実施は色々な事情により当初の予定されたところより遲れて参つておりますが、昨年九月総司令部から集中排除法の運用に関する四原則が示されて以來、漸次進捗を見つつあります。
御承知のように一昨二月に、三百二十五の会社が経済力集中として指定されましたが、今日までその指定を解除されたものは二百七十八社であります。從つて四十七社が殘存してわけでありますが、四十七社のうち十三社は企業の分割を要しないで持株の開放等軽微な措置ですむものでありまして、企業の分割を要するものは三十四社になるわけであります。三十四社のうち六社についてはすでに再編成についての決定指令が通達され、三社については指令案が通達されておりますので未措置の数は二十五社となるのであります。
この二十五社の大部分は企業の分割について相当色々な問題を持つておる事情もありますから、決定指令が発せられ、この指令に基いて具体的に整備計画の確定する期日を見透すことは困難な状態にありますが、遲くともこれから大体六月以内にはすべての会社についての措置が決定されるものと思われます。政府としての速かに集中排除の実施が完了するよう努力を致しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/2
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003・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 只今の説明で大体趣旨は了解しましたが次に審議を便ならしめるために逐條の説明を求めたら如何と存じますが。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/3
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004・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 御異議ないようでありますから逐條の説明を聽取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/4
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005・清島省三
○説明員(清島省三君) 條を追つて御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/5
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006・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつと速記を止めて。
午後一時五十四分速記中止
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午後二時九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/6
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007・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。それでは次に「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供し公正取引委員会委員長より提案理由の説明を聽取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/7
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008・中山喜久松
○政府委員(中山喜久松君) 只今上程せられました私的独占禁止法改正法案につきまして、その提案の理由を説明致します。
私的独占禁止法が制定公布を見ましてから約二ケ年経過いたし、公正取引委員会は專ら本法の施行運用に当つて参つたのでありますが、この間におきまして本法中若干の諸規定で日本経済の実態に不適当なもののあることが認められたのであります。殊に日本経済の再建自立のために不可欠の外資導入並びに再建整備法にもとづく証券消化等の問題に関聯いたしまして、特に現行法第六條の外國事業者との間の國際契約に関する認可制と、行現法第十條の会社の株式保有を原則的に禁止する規定とが問題となつたのであります。從いまして、本法の法益とする公正且つ自由な競爭を阻害いたしません限り、これらの規定を緩和いたしまして、外資導入、証券消化等の障害を除去する必要が生じたのであります。尚この他今次改正の機会に本法施行一ケ年半の経驗に鑑みまして、第四章の予防規定並びに第八章の手続規定中不適当なもの、又は條文の字句表現その他について檢討を加えましたところ、これらの諸規定を適当に調整することが必要となつたのであります。
本改正法案の主なる要点を申上げますと次の三點に要約されるのであります。即ち先づ第一に独禁法の法益を阻害いたしません限り、現行法第十條及び第十三條の如く、会社の大小、業種の如何を問わず、会社の持株を原則的に禁じたり、一定数以上の役員兼任を機械的に禁止したりするような会社法的な規定を出來るだけ削除しようとしたことであります。
第二に現行法中には第六條又は第十條以下の第四章規定のごとく國際契約、会社の株式取得、個人の株式取得、会社合併、営業讓受等につきまして、嚴重な認可申請を要する事項が極めて多いのであります。併しながらこのような認可制は敏速を要する経済界の実情にそわない点もありますので、これらをできるだけ削除いたしまして、特に必要なものについてのみ有效且つ適切な事後届出制に改めようとしたのであります。
第三に本法の條文中随処に用いられている「競爭」という字句の定義につきましては、現行法では單に第二條第二項「潜在的競爭を含む」とあるのみで、その意味は必らずしも明瞭ではなく、殊に第四章中の役員兼任、株式取得に関する制限規定の適用につきましては、判断に苦しむ向きが少くなかつたのであります。また私的独占禁止法の規定が外國会社、外國事業者等に適用があるか否かにつきましても、日本の法域内にある限り内外無差別の原則によるべきことは当然でありますが、一部において若干の疑義が生じて居つたのであります。從いまして、これらの競爭の定義をできるだけ明瞭にすると共に、外國会社についても本法の法域内にある限り適用がある旨を明らかにする必要があるのであります。以上がこの改正法案を提出するに至つた理由ならびに主旨であります。
次にこの改正法案の内容につきまして少しく御説明いたします。
先づ第一に第二條第二項を改正いたしまして、ある程度詳細な競爭の定義をあらたに設けました、勿論法文の上での定義でありますので、抽象的な表現となりますのは、止むをえないのでありますが、現行法より見れば判断の基準が相当明らかにされておるのであります。即ち本法で申します競爭は先づ二以上の事業者が共に國内で生産販賣等何らかの事業活動を営んでおり、而も一時的偶発的ではなく普通の状態で起る現実の競爭であること、又は現在このような現実の競爭がなくても、施設方法等に簡單な変更を加えれば、同一の顧客を爭いうるというような場合の競爭であることが明記されております。また本法でいう競爭には賣手間の競爭のみならず買手間の競爭をも含めていることも規定してあります。但し第四章の予防規定におきましては、買手間の競爭制限のみを取上げて問題と致さないこととなつております。從いまして買手独占や買入價格協定は第三條第四條違反として禁止される場合もありますが、單に原材料などの購入の面でのみ競爭關係があつても、販賣の面で競爭がなければ、株式保有や役員兼任は必らずしも禁止されないのであります。
第六條におきましては、先づ國際契約、貿易協定の認可制を事後届出制に改めることといたしました。また第一項第二号が削除されて、科学技術に関する知識情報の交換を制限するような契約でも、第四條各号に該当するような契約でなければ、差支ないこととなりました。從來の嚴重な認可制が届出制に改められたことによりまして、外資導入、國際契約等に対する制約は実際には相当緩和せられることとなつたのであります。第九條におきましては第十條の大幅な緩和に伴いまして既存の会社が持株会社となりうる場合が生じて参りますので、持株会社の設立のみにならず、その機能をも禁止するように改めました。第十條におきましては、会社の株式保有を原則的に禁止する從來の規定を廢止して、特に競爭制限の危險のある場合に限りこれを禁止することと致し原則的には広く一般会社の株式保有を認めることと相成つたのであります。
なお会社が自己と競爭関係にある他会社の株式を取得所有することは一切禁止されておりますが、たとえ第二條第二項の競爭の抽象的基準に該当するような不安のある場合でも、これらの不安を除くために、親会社から経済上の利益の供給をうけなければ、子会社の事業活動に重大な支障をきたすというような場合は、両会社間に競爭関係がないという規定が設けられております。更に又從來の金融業以外の会社の株式取得の認可制は、一年二回の定期的な届出報告に改めております。尚総資産五百万円以下の会社はこれらの届出義務もないこととなつております。第十二條におきまする会社の社債取得の百合の二十五の制限並びに第十三條におきまする役員兼任の四分の一又は一人で三つの制度の規定はすべて削除されることとなりました。これらの規定は会社の大小に拘わらずすべて一定の数字で機械的に制限することは実態に即しておらず、不適当であると認められたからであります。從いまして競爭關係にある会社相互間でない限り、役員の兼任は自由となつたのであります。第十五條の会社の合併、第十六條の営業の讓受等に関する規定におきましては、総資産五百万円以下の会社について從來の認可制を届出制に改めております。以上第四章の予防規定が全面的に緩和されますと共に、機械的な制限がすべて削除されました爲に、これらの規定の違反であるか否かが判然としない場合の多いことが予想されるのであります。從いましてこのような場合これらの規定違反に対して排除措置なしに直ちに罰則を適用することは極めて不適当でありますので、特に必要な排除措置又は届出命令の規定を設けることといたしました。
第八章第二節の手続規定につきましては公正取引委員会の一年半にわたる事件処理の実情に鑑み、第五十三條の二として公正取引委員会審判廷における宣誓の規定、第五十三條の三として被審人側が違反を認めた場合の合意審決の規定を新に設けることといたしました。第八十九條以下第十章の罰則につきましては、他の法令の例にならい昭和二十三年四月判定当時の罰金額をそれぞれ十倍に引上げることといたしました。その他の諸規定も若干改正されておりますが、これらはすべて條文整理に基く改正であります。
以上本改正法案の目的及び要旨について御説明いたした次第であります。何とぞ御審議の上速やかに御可決あらんことを御願い致します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/8
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009・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 次に集排法にならいまして逐條説明を聽取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/9
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010・黄田多喜雄
○政府委員(黄田多喜雄君) それでは私から御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/10
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011・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/11
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012・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。この二本の法案につきましては、本日は説明を聽取するに止めまして質疑は次回に讓ることにいたします。尚質疑は先ず総括的な質疑を行い、次に個々の細かい点について質疑することにいたしたいと思いますので御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/12
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013・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) では次に本委員会の運営についてお諮りしたいと思います。速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/13
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014・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。それでは本委員会は明十日より毎日一時半から開会することにし、日程については本委員に一任願うことにいたします。内閣委員会に掛かつております経済安定本部設置法案及び経済調査庁法の一部を改正する法律案につきましては種々問題があるようですが、形式的な連合委員会は開かず適当に内閣委員会に出席を願いまして委員外議員発言の方法によることにして委員長から予め内閣委員長に申入れて置くことにしたいと思います。それから独禁法につきましては商工委員会と関係があるのでありますが商工委員長と連絡いたしました結果、両委員会とも多忙でありますのでこれも委員外議員の発言の形式をとることにいたしたいと思います。次に独禁法については時日の関係もあり公聽会等は開かず、必要ある時に証人を喚問することにいたします。それから現在付託されております請願及び陳情は理事会の方で審議し大体の結論を出しその都度委員会に諮ることにいたします。その他委員会の運営について何か御希望がありましたら後程でも委員長の方に申出て頂きたいと思います。尚明日からの委員会の開会時刻は特に勵行されるようにお願いします。それでは本日はこの程度で散会いたします。
午後二時四十五分散会
出席者は左の通り。
委員長 佐々木良作君
理事
西川 昌夫君
帆足 計君
委員
和田 博雄君
川村 松助君
奥 むめお君
藤井 丙午君
國務大臣
國 務 大 臣 青木 孝義君
政府委員
総理庁事務官
(経済安定本部
財政金融局長) 内田 常雄君
公正取引委員会
委員長 中山喜久松君
総理庁事務官
(公正取引委員
会総務部長) 黄田多喜雄君
説明員
総理庁事務官
(経済安定本部
財政金融局企業
課長) 清島 省三君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514073X00919490509/14
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