1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年五月二十三日(月曜日)
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本日の会議に付した事件
○兒童福祉法の一部を改正する法律案
(内閣提出衆議院送付)
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午後零時四十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/0
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001・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。本日は兒童福祉法の一部を改正する法律案を議題としてその審議を進めます。前回に引続き質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/1
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002・山下義信
○山下義信君 質疑を終了して直ちに討論に移られんことの動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/2
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003・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) 山下の委員の動機に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/3
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004・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。賛成、反対を明らかにして御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/4
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005・山下義信
○山下義信君 衆議院から送付されました修正も含めまして、私は本兒童福祉法の一部を改正する法律案に対しまして賛成の意を表するものであります。但し今回政府の提出せられました改正案は必ずしも満足な改正案でないことは、今回愼重審議をいたしました審議の経過におきまして十分表明いたして置きましたのでございますが、我々はその不満足に感じまする点をこの際修正をいたしまして、できるだけ本法の完璧を期したいと考えたのでございますが、諸般の情勢上、今國会におきましてその実現を図りまするのには時間的関係もございまして、十分でございませんので、他日を期したいと考えるのでございます。ただその不満の点をこの際簡單に申上げて置きますというと、政府の改正をいたさんと考えておりまするその点に関連をいたしまして、例えば少年法との調整が改正の重大な点になつておるのでございますが、十八歳以下の虞犯少年を取扱うことになり、十四歳以上の犯罪少年を引受けるというようなことになりますと、この兒童福祉法関係の運営上十分檢討いたさなければならんのでございまして、今回の改正案にはこれらの少年の取扱のただ手続だけが規定してあるのでありまして、対象の範囲がかくのごとく拡大せられましたに即應いたしましての関係機関の強化というものが改正案の中には盛られていないのであります。我々は先ず兒童福祉法の対象兒童の年齢を関連いたしまして引上げる必要がある、且つ又それらの兒童の面におきましていろいろ関係機関の強化を図る必要がある、かように考えまして、その点は是非共他日を期して完全にいたしたいと存ずるのでございます。例えば第二の、政府が改正をいたさんといたしておりまする里親制度に関連しての屆出制でございますが、これらにつきましても尚改正は單なる手続の規定に止まりまして、その里親制度を十分生かして行くという実体的な改正が試みられていないのは誠に遺憾と存ずるのであります。且つ又今回の改正案で、政府がその改正の理由に特筆いたしておりまする地方行政の推進の点でございます。即ち改正案は市町村に兒童福祉審議会を置くという考え方を持つておりまするが、併し御承知のごとく置くことを得となつておるのでありまして、折角の地方行政推進も極めて微温的になつておりますことは遺憾でございます。すでに保護を要すべき母子或は勤労者疾病等によりまして、乳幼兒を保育し難い者のために保育所、それらに対して保護をいたしまする市町村長の義務が但書の改正によりまして強くいたされておる。そういう点が市町村行政の強化に俟つておるものでありますが、そういうことを一面させまするならば、一面兒童福祉審議会を市町村に必置すべきでありまして、これを随意の程度に止めて置きますることは隔靴掻痒の感がありまする点でございます。関連いたしまして、この兒童の福祉に当りまする兒童福祉司というものの名称でありますとか性格、即ちその職務権限でございますとか、或いは兒童委員との関係でありますとか、市町村長との間の関係でありますとか、或いは兒童相談所長との間の関係でありますとか、そういう点が本法におきましては極めて錯綜いたしておりまして、これは言葉に弊がございますけれども、これらの兒童保護の任に当りまするそれぞれの機関の関係が、如何なるものが如何なる人を命令するのか、その上下の関係も、仕事の系統も更にないのでございます。お互い協力し合うとか、お互いに通知し合うとか、或いは調査を委囑することができるとか、協力を求めるとか、求めることができるとか、いうような極めて曖昧な関係に置かれてありますることは、本法の不備とするところでございます。即ち例えて申しますと、兒童福祉司は縣廳の吏員でございます。兒童委員は御承知のごとく民生委員、法によります名譽職でございます。然るに本法におきましては、有給の県廳の吏員が、兒童委員をいわゆる命令することのできるような、極めて官僚的な匂いが強くなつております而して今回市町村長が兒童行政に相当強く関係するようになりまして、市町村長の立場というものも極めて不適当なる改正がなされておるのでございまして、私共はこういう兒童に関係いたしますそれぞれの機関の配列系統、職務の関係というものを、極めて明白にいたします必要があると考えておるのでございまして、その点は不満に堪えないところでございます。更にこの兒童福祉法が、多年の要望であります虞犯少年を取扱うように相成つて、不良少年の善導に乘り出して、その仕事を受持つように相成つておる。而して兒童福祉審議会には、兒童に関しまする藝能でありますとか、或いは文化財の推薦権、そういうようなものに対しての勸告権を與える、兒童福祉審議会を持つようにいたして置きながら、一面におきましては、兒童の厚生施設に対しまするところの奬励というものが、全然閑却されておるのであるというような点が、今回の改正案の不備であるところであります。且つ又市町村にいろいろ保護の義務を義務付け、地方行政との関係を強化いたすと言いながら、それらの市町村の負担をいたしまする費用に対する國庫の補助というようなものが、一向顧みられていない、強化されていない点などは、今回の改正案におきまして、不満足と我々が考えるところでございます。その他、細部に亘りましては、我々の意見もございまして、今回のごとき大修正は本法が制定せらまして、初めての大修正でございました。法律の大修正というのは、そうしばしばあるべきものではないのであります。かかる機会に我々は折角政府の希望いたしておりまするその考え方に全面的に賛成でありますが、故にそれらの点の完璧を期したいと考えるのでございますが、以上のような諸般の事情によりまして、今回実現を見ることができなかつたのでございますが、これは他日我々におきまして、右の点につきましては、更に審議をいたしまして、その機会を得たいと考えるのでございます。尚且つ兒童問題は、先般未亡人並びに遺族の援護に関しまする決議案、又続いて不良青少年の不良化防止に関する決議案等々によりまして、母子並びにこれら少年に対しまする問題は、多々ますます重大に相成ると考えるのでございます。この際本改正案を実施いたしまするに際しましては、政府におきますところのこれらの対策は、十分力強いものを持つて臨まなければ、法律を改正いたしましただけでは、その目的は達し難いと思うのであります。これらに対する政府の抱負、計画というものが、どの位できておるかということを、総理大臣又主務大臣以下関係当局に質疑應答をいたしたのでございますが、その結果必ずしも満足すべき力強い思想と覚悟があるということを認め難いのは、本員の遺憾とするところでありまして、今後ますます兒童行行の局に当る人の奮起を願わざるを得ないのでございます。以上本法案に対しまする本員の所見を申し添えまして、他日の完璧を期し、行政当局の努力を要望いたしまして、原案に賛成の意を表するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/5
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006・中平常太郎
○中平常太郎君 私もこの兒童福祉法の一部を改正する法律案に、山下委員が只今種々の不備な点を指摘されまして、そうして時間的関係もあるので、一應これに賛成するという意見に賛成するのであります。この兒童福祉法というものは、福祉ということが主となつておりますので、そうして中の取扱いの状況の悪化の防止、その他に対してもできておりまするが、予防的の指導をして、明るい方面に導こうというところに、政府の本当に明るい親心が現われていないように思われるのです。それは兒童厚生施設というものは、如何なる方面におきましても、どこえ行きましても、兒童の厚生施設というものは、主として取上げられておりますが、日本におきましては兒童の厚生施設として、兒童遊園というようなものは、ほんのここ数年この方、漸く目醒めて來たような問題でありまして、今日まで甚だしく閑却されて來ておつた問題であります。それ故に政府といたしましても、厚生施設に対しては補助をしないような法律ができております。どうしてそういうような大事な問題を抜いておるかというと、費用の問題のみならず、大体考え方がそういう積極性も持つていなかつたことが原因すると思うのであります。日々夜々にこの兒童の問題が非常に緊迫し、又重要視されておる今日の場合といたしましては、一年を待つことはできないからして、これは急速にそういう方面の規則を制定しなければならんのでございますが、時間の問題もありましたりして、本日はこれで第五國会も終りを告げんといたしております。そういう場合に、又そういう不備な点もありまするけれども、來るべき國会におきまして、完璧を期するという意味におきまして、この本日の只今政府から出しておられる法律案、並びに衆議院からの修正案に対して賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/6
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007・姫井伊介
○姫井伊介君 私も兒童福祉法、それに対する衆議院の修正、併せて賛成をいたしますが、今山下、中平両委員のお話しに少し加えさして頂きたいと思います。それはやはり兒童福祉の目的を全うせしめるがための念願に外ならないのでありますが、先ず兒童福祉審議会であります。これは市町村は置くことができるとありますが、先程の山下委員の言われたように、これは將來必ず置くことにしなければならない、又兒童相談所につきましても、市には必ず置かなければならない。殊に市には兒童福祉司が置かれるのであります。その他兒童相談所は必要があるならば、町村にまでも普及せしめるようにしなければならないことは、これは当然兒童福祉の行くべき途だと思うのであります。尚兒童厚生施設におきまして、中平委員も御指摘されましたが、かねて多少の問題になつておりました既設保育所であります。これは申すまでもなく市町村の委託関係がありまするので、一般の保育所のうちに包含せしめることは困難のように存じます。從いまして名称は保育所でありますけれども、これはやはり兒童厚生施設のうちに入れるべきものだと私は考えております。そうするならば曾て廣く普及し、相当の効果を挙げましたこの既設保育所というものは、その兒童厚生施設の面におきまして、助長発達せしめるの要があるので、こういう点におきましてもはつきりさせなければならないと思います。要するに今日の場合、この原案並びに修正案に対しまして私共は賛意を表しまするが、これからの運営に当りましては、將來今私共の申しましたようなことが実際に行われ得るように、行政当局におきましてはその含みを以て、運営上着々とその方針に進んで行つて頂きたい。ただ法律の正面におるものだけを護るというのではなくして、本質的にその実績を挙げるために、今申しましたような目標に向つてぐんぐん押し進んで行くような適当な運営を図つて頂きたいということを強く希望いたしまして、賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/7
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008・竹中七郎
○竹中七郎君 私も本法に対しましては賛成の意を表するものであります。我々が地方へ調査に参りまして、いろいろ政府に述べました点も含まれまして、この度改正になつたように考えるのであります。或る程度日本の現在の財政状態、各市町村の状態を見まして、これが財政上におきまして余裕ができましたらば完璧を期して頂く。こういう含みにおきまして漸進的に兒童の福祉が完璧を期するよう望みまして、本案に対しまして賛成をするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/8
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009・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) 外にございませんか。外に御発言がなければ、討論を終結したものと認めて差支えございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/9
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010・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) では討論はこれを以て終結いたしまして、直ちに採決に入れることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/10
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011・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。それではこれより兒童福祉法の一部を改正する法律案についての採決をいたします。本案は衆議院修正通り、これを可決することに賛成の方の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/11
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012・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) 総員起立と認めます。全会一致を以ちまして、兒童福祉の一部を改正する法律案は、衆議院の修正通り可決すべきものと決定いたしました。つきましては参議院規則第百四條によりまする諸般の手続は、委員長に御一任下さることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/12
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013・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。尚本案を可とせられました方の御署名を本院規則第七十二條によつてお願いいたします。
多数意見者署名
谷口弥三郎 山下 義信
姫井 伊介 井上なつゑ
穗積眞六郎 竹中 七郎
中山 壽彦 中平常太郎発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/13
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014・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) 御署名洩れはございませんか。……ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/14
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015・淺岡信夫
○政府委員(淺岡信夫君) 只今本法案に対しまして、全会一致を以て御採擇を頂きましたことを、誠に厚生省当局といたしまして、厚くお礼を申上げるのでございまするが、その賛成に当りまして、山下委員から非常に少年法との関連の問題にいたしましても、或いは里親、或いは更に幾多のこの法律を施行する上におきましての微に入り、細に入りましたところの御注意、御勧告、重ねて中平委員から朗らかに光明を求めて行くような、この兒童の在り方に対してそういう方向に導いて、或いは姫井委員から更にこの問題に対してのその深いところまで、重々示唆をして頂きましたことにつきましては、誠に当局といたしまして感謝に堪えません。その各委員から言われました最も至難な点を、その心を心といたしまして、十分この施策に生かし、法律はただ一片の條文に過ぎないのでありますが、その法律を生かして使おうというところに生きた行政というものがあると思うのでございます。こうした面につきましては、兒童局長その他十分にこの今日の速記録を読んで頂きまして、行政当局としてこの法律の施行に遺憾なきを期したいということを一應申上げます。
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016・井上なつゑ
○井上なつゑ君 兒童福祉法とは違いますのでございますが、この機会を拜借させて頂いて、ちよつと厚生政務次官に一言申上げたいことがございます。それは外でもございません。午前中に本会議に上程されました文部省設置法案の反対演説のときに、岩間議員から東京大学病院の看護婦のストライキの話が出ましたのでございます。これはたまたま文部省の所管の病院の看護婦でございましたけれども、私は結局この看護婦の教育とか、看護事業の基準というようなことは全部厚生省の所管になつておると存じますので、第二國会で新らしい保健婦、助産婦、看護婦法案が通過いたしまして、そうして法となつて公布されましてそれを実施しておられますが、なかなか現状の社会状態と申しましようか、あらゆる病院の再設備、それから内容の充実、改善というような面からいたしまして、この法の実施、運営はなかなかむずかしいことは私共承知いたしておりますのでございますけれども、この頃頻々として看護婦の自殺事件だとか、看護婦のストライキ事件ということが起りますことを誠に遺憾に存じますのでございます。大学病院の看護婦のハンガー・ストライキの……就職ができなかつたことは、これは自分達は大学で就職を認められたものである。その就職を輿論に訴えようというような間違つた考えを持つものであるかどうか、私は存じませんのでありますが、少くとも今日の看護婦としましたら、こうした兒童福祉法が出て参りまして、子供と取扱います看護婦というものは氣を遺うことは間違ないのであります。なかなか困難なことに遭遇するのでございます。困難なことに遭遇しておりまして、よくその困難を乘り越えて行けるだけの本当の勇氣と自信と、本当の何と申しましようか、それだけの知識と技術がなければ看護婦の仕事はできないのでございますので、非常にこれはむずかしい重大な仕事だと存じますのであります。殊にこの頃やかましく申されておりますこれから出て参ります定員法の中でも、定員法が出ますれば、凡そ未亡人達、婦人の人達の仕事は、これは先に首切になるのじやないかといつて騒いでおられます中にも、看護婦は併しこれは首切りしない。人が少いから又増員されるのじやないかというくらい世間の注目を集めておりますが、それだけ大事な仕事にも拘わらず、ああしたことが起りますことは、現在のこうした日本の再建上非常に残念に存じますことでございますので、厚生行政、殊に看護婦法案を独立さして改正されました厚生省におきましては、当然看護婦の教育、指導精神と申しましようか、そういうことをはつきりして頂いて、その外の運営の面にも厚生次官を初めといたしまして、皆さんもつと一段と力を入れて頂いて、看護婦の拡充を図つて頂きたいということを御希望申上げまして、お願いを終るような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/16
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017・淺岡信夫
○政府委員(淺岡信夫君) 只今井上委員の、この今日の本会議におきましての岩間議員からいろいろ聞かされました点につきましては、私共もその意かよく盡くされておりませんので、甚だ不審に思つておりましたところが、たまたま只今井上委員から微に入り細に入りましてのいろいろなその問題につきましての様子を伺いまして、初めて知つた次第でございます。で勿論看護婦さんの問題につきましてのその精神的な根本、そういうものを究めて行きますと、誠に尊いものがあると思うのであります。そうした点につきましては厚生省といたしまして、十分その氣持を生かして行くという面に対しまして厚生行政、看護婦行政、そうした面に対しては遺憾なきを期したいと思つております。
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018・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 私はこの機会に優生保護法の一部改正のその後の経過を御報告し、私の考えを少し申したいと思います。優生保護法の一部改正につきましては、皆さんの努力によつて無事参議院を通過いたしまして、衆議院の方に送られました。ところが衆議院におきましては、その中の第十三條の第二号、第三号を修正いたしたのでございます。その修正は第二号、第三号を一緒にして修正いたしました結果、その文句は「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害する虞れのあるもの」という一号にいたしましたため、今後の運用が非常に困難な状況になると存じておるのであります。殊にその中でも妊娠及び分娩が身体的理由によつて母体の健康を害する云々と申します、その身体的理由というのが分らんのであります。若しそれを或いは過労とかいうような方面に持つて行きますというと、精神的なシヨツクとかいうような、精神的の方面の場合にはそれを取除かなければならんことになるので、非常に運用が困難になると思うのであります。又経済的理由によつてという場合には、民生委員と医師の意見を聞くのであるということにいたしておりますが、これは医師の意見のみで、あの文句から申しますといいのであつて、民生委員の意見は左程必要もなくなつたような状況になつております。これは今後の審査会においてさぞ困ることであろうと思つております。殊に本朝のごときは、或る方面から多数の者が、ああいう文句では到底いけんから、あれは一つ止めるようにして下さいというようなことを、中野区の方の連中が申して参りましたけれども、もう僅かの時日であります。もう時日もなく、本日を以て第五國会が終了するのでありますために、今後非常に困るとは思いますけれども、皆様方にもお願いして、先ずあれで案を呑んで頂いて、そうして参議院に廻つて來たということでありますから、本会議において通過させて頂きたいと思います。併し実際におきましては、あの改正ではこちらから申上げるのはどうもいかんかと思いますが、私自身としては非常な改惡をされたものと思つて困つておるような次第でございます。どうぞ厚生委員の方々におかれましては、折角のあれが妙な状況になりましたけれども、先ず時日がありませんから、それを呑んで、今回は全会一致で衆議院修正通りに本会議を通過いたしますように、是非何分お願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/18
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019・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) 優生保護法の改正につきまして、今谷口委員から仰せの通りでありますが、これは直ちに本会議場において衆議院修正に同意を與える議決が行われると思いますが、お含み置き願いまして、御賛成下さいますように……。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/19
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020・塚本重藏
○委員長(塚本重藏君) 外に何か御発言ありますか……第五國会もいよいよ本日を以て終了することになりましたが、厚生委員会におきましては、第五國会開会以來、殆んど連日休みなく法案の審議並びに請願陳情の審議、併せて四つの調査事件に関しまして、皆さんが精魂を盡してその審議を完うせられましたことにつきまして厚い感謝をしておる次第であります。尚、請願の一部、陳情の一部が残されておりますが、これらの案件は引続き今後の調査と研究とに俟つべきものであるといたしまして、このまま次会に送りたいと思うような次第であります。長々有難うございました。本日はこれを以て散会いたします。
午後一時十六分散会
出席者は左の通り。
委員長 塚本 重藏君
理事
谷口弥三郎君
姫井 伊介君
委員
中平常太郎君
山下 義信君
中山 壽彦君
竹中 七郎君
井上なつゑ君
穗積眞六郎君
政府委員
厚生政務次官 淺岡 信夫君
厚生事務官
(兒童局長) 小島 徳雄君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514237X02719490523/20
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