1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年五月七日(土曜日)
午後一時五十一分開会
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本日の会議に付した事件
○工業標準化法案(内閣提出)
○中小企業等協同組合法案(内閣送付
)
○中小企業等協同組合法施行法案(内
閣送付)
○臨時鉄くず資源回收法案(内閣送
付)
○鑛山保安法案(内閣送付)
○協同組合による金融事業に関する法
律案に関する件
○通商産業省設置法案に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/0
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001・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 只今から商工委員会を開きます。本日は政府提出の当委員会に付託になつております議案を一括と申しますか、順次議題にいたしまして、先ず提案理由の説明を政府側から全体に亘つてお聽きして、然る後これの質疑に移つて行きたいと、こう考えますので、政務次官から一つ順序によつて工業標準化法案の提案理由を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/1
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002・小林英三
○政府委員(小林英三君) この際、当商工委員会に付託されております工業標準化法案の提案の理由を御説明申上げたいと存じます。
終戰後の経済統制が、專らその重点を数量的増産に置いた爲に、粗製濫造の結果品質劣悪なる製品が街に溢れ、一般消費者並に使用者は、非常な迷惑を受けているのである。又輸出振興についても戰前の如く、「メイド・イン・ジヤパン」が「安かろう悪かろう」の代名詞であつた如き事態を繰返すようでは、今後の國際市場において優秀なる外國製品とは到底競爭が出來ないのである。
昨年の暮連合軍総司令部より「経済九原則」が示されたが、その第八項に、「すべての重要國産原材料と工業製品の生産を増大する」ということがある。ここに言われる「生産の増大」とは、従來の如き單なる「量的増産」であつてはならず、その外に「質的増産」が加味されなければならない。
又最近爲替レートが一弗三六〇円一本に決定せられたので、大部分の企業は、その合理化を行はなければ企業自体として成り立つて行かなくなる。
何れにしても、かかる情勢に対して吾國経済の再建が達成し得るか否かは、吾國産業合理化の成否にかかつているというも過言ではないのである。
工業標準化が、鉱工業品の品質の改善、生産能率の増強その他生産の合理化、取引の單純公正化及び使用又は消費の合理化を図るための最も效果的なる技術的手段であることは、今更言を俟たないのである。工業標準化は、近代工業の発展とは不可分な関係にあり、その強力且つ組織的なる実施が産業経済全般、就中生産水準の増大に及ぼす影響力が大なることは、現在のアメリカ、イギリス等の例を見ても明らかなるところであつて、その重要性は、前述の如き現情勢下にある日本の工業界にとつて、この上なく増大していると考えるのである。
本法案は、我が國における工業標準化の発展に確固たる基礎を與えるものであつて、先づ第一点として、「工業標準化」及び「工業標準」の概念を明確化している。第二点として、工業標準化の基準としての公正で適正且つ合理的な工業標準の制定と、その統一的整備を促進することを目的としている。これが爲には、從來その審議手続等が立法化されていなかつたので、とかく公正を欠く可能性を持つていた工業標準の制定が、民主的且つ合理的に行はれるように規定している。第三点として、規格該当品に対し、企業体が自発的に表示を附する制度と、表示の許可に伴う工場の審査制度の実施を図つている。これによつて、各企業体に於ける工業標準の実施を確保し、且つ、この工業標準に基く科学的な品質管理が促進され、もつて生産の設備、技術あるいは工程等が改善合理化され、優良な品質の製品が確実、且つ、高い歩留りを以て生産され、更にこのような製品が、生産者の責任ある品質保証の下に、公正に取引されることにより、眞面目で優秀なる生産者と、その製品の使用者との利益が増進されることになる。
右の三点の狙いによつて、鉱工業の発達改善と輸出の振興に大いなる効果を齋し得ると考えるので、本法案を今國会に提出した所以である。
何卒御審議の上一日も早く通過を見るようにお願いしたいと思うのであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/2
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003・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 引続き中小企業等協同法案これの提案の理由の御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/3
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004・小林英三
○政府委員(小林英三君) 只今議題に供せられました中小企業等協同組合法案について簡單にその提案の理由を御説明申し上げます。
わが國経済の再建上中小企業の維持、育成が不可欠の要諦であることは、改めて申し上げるまでもないことでありますが、このためには、まづもつて中小企業の組織化を図り、その水準の向上と競爭力の強化をねらつていくことが是非とも必要でありまして、このことを前提としてその上に諸般の中小企業振興策が講ぜられることが最も適当であると考えるのであります。この趣旨から致しまして、中小企業に関する協同組合制度の確立は、焦眉の急を要する問題であります。而して、この制度に関して特に考慮しなければならぬことは、その組織力を十分力あるものとするためにその組織の基盤の安定と擴充とを図ること及びその組織が中小企業自身の意思によつて中小企業のために奉仕しうるがごとく運営されるようにその民主化を図ることであると思うのであります。以上の觀点からみました場合、既存の各種の協同組合制度ではなお不十分の点が少くないのでありまして、その組織力の強化と民主化を図る新立法がかねてから要望されていたのでありますが、漸く成案を得ましたので、本國会に提出して各位の御審議を煩わすことになつたものであります。
本法案の詳細につきましては、御審議に際して逐次御説明申し上げることと致しますが、ここでは本法案の特色と致します数点について申し上げまして提案の理由を御了解願いたいと存ずるのであります。
第一は、本法案では、協同組合の組織者の範囲を広くし、且つ次の組織のし方に融通性を持たせていることであります。本法案では、事業の種類により事業協同組合、保險協同組合、信用協同組合の三協同組合の外新らしい経営体としての企業組合を認めているのでありますが、これらの組合を通じてその組織者を広く中小規模の事業者全般に及ぼしておりますのみならず、信用、保險、企業の三組合につきましては事業者でない勤労者その他の者をも組合に加入させる道を拓いているのであります。この点におきまして、本法案は、農業、水産業、消費生活の三協同組合法を除いて、協同組合に関する包括的な組織法たる体制をとつておるのでありまして、このことによつて、從來官廳の所管により分割されがちであつた業種的な隔てを取り除いて異業種間の組織交流をも企図し、更に勤労者その他の者を加えることによつて、その組織の基盤の拡充を図つているのであります。この方針に伴い、既存の商工協同組合、林産組合、蚕糸協同組合、塩業組合及び市街地信用組合に関する諸法律は改廃せられ、本法案一本に纒められることになるわけでありまして、このために必要となる過渡的な経過措置につきましては、別途本法の施行法案を提案いたし御審議を煩わすことに取り運んでいる次第であります。
第二に、本法案では中小規模の事業者、勤労者、その他の者の協同組織であることをはつきりさせているのであります。これまでは、戰爭中の統制的な組合の時代からの情勢もあつて、協同組合に大規模の事業者が加入し、協同組合という機構の中に隱れて他の事業者の事業活動を支配し、排除するという傾きがないでもなかつたのでありますが、協同組合はこれを飽くまで中小規模の事業者、勤労者、その他の者自身の組合にしなければならないのでありまして、本法案は、その目的においても、組合員の資格についても、また独占禁止法との関係におきましても、この点をはつきりさせているのであります。他方、從來は協同組合と独占禁止法、事業者団体法との関係が必ずしも明確でなかつたために、折角各種の協同組合制度があつても協同組合が安定した活動を行い得ない憾があつたのでありますが、誰がみても小規模の事業者の相互扶助組織であると認められるものについては、法律上も明確な線を引きまして、安心して活動ができるというように致したのであります。
第三に、本法案では、組合運営の民主化を図ろうとしているのであります。今後の経済情勢から考えましても、協同組合の活動に自主性をもたせることが何より大切なことであります。そこで本法案では組合の設立に準則主義を採用して設立について官廳の認可がいらないことにしますと共に、從來各種の組合法にみられます広くて強い官廳の監督権限をなくして組合の内部的な事項について官廳が余り干渉することになる虞をなくす等、協同組合をできるだけ官廳から切り離してその自主性を確立しようとしているのであります。又組合内部の運営についても、從來ややもすれば外部からする組合の支配、一部の組合員による独裁ということが行われがちでありましたので、これを防止するため、役員の総会決議による選任の方式を選挙方式に改め、出資の口数を制限し、員外理事を廃止し、役員の兼職を制限する等の規定を設けまして、眞に組合員の意思によつて運営される組合のできることを期待しているのであります。
第四は、本法案では、協同組合の事業の種類により、それぞれの具体的実情に応じて事業が活発に、或いは確実に行われるように配意していることであります。先ず、事業協同組合にありましては、從來認められていた事業の外に組合員の福利厚生事業、団体協約の締結等の事項を加え組合員の経済的地位の向上を期しております。一方、信用事業はその機能を確実に果すということに特に意を用いる必要があると認められますので、預金の受入と資金の貸付を併せ行うのは、それだけの仕事を運営する信用協同組合に限ることとし、一般の事業協同組合が信用事業を兼営することによつて資金操作上の危險を招くというがごときことのないように配慮致しているのであります。又保險協同組合を新たに設けまして、中小規模の事業者、勤労者、その他の者みずからの力による相互保險の途を拓いたのでありまして、予てから要望されておりました点を制度化しようとするものであります。
以上を以ちまして本法案の要点についての御説明を終りますが、要するに経済九原則の実施により異常な困難に直面せんとしております中小企業が今後よつて以て立つ手段は、基本的にはその組織化と相互扶助の力による競爭力の培養、増強以外にはないのでありまして、私共といたしましても、この協同組合の組織を前提として各種の施策を推し進めて参りたいと考えているのであります。本法案の制度は中小企業界の齊しく渇望しているところであり、中小企業界挙げてその速かな実施を望んでいると確心しているのでありまして、何とぞ愼重御審議の上一日も速かに御協賛を賜らんことをお願いいたす次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/4
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005・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 次に中小企業等協同組合法施行法案の提案理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/5
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006・小林英三
○政府委員(小林英三君) 引続きまして中小企業等協同組合法施行法案につきまして簡單にその提案の理由を御説明申上げたいと存じます。
本案は中小企業等協同組合法案を施行する場合の経過規定についての法案であります。即ち、中小企業等協同組合法案は、先程御説明申上げましたごとく、農業、水産業、消費生活の三協同組合を除く他の協同組合を包括する組織法の体制をとつておりますので、その施行に伴い、既存の各種組合の中小企業等協同組合への移り變りをできるだけスムトスにできるようにし、移り変りによつて財産の不必要な分散や不自然な課税などということのないように措置を講ずることが必要でありまして、本法案の狙いも正にこの点にあるのであります。
第一に、本法案では、協同組合に関する制度は、農業、水産業、消費生活の三協同組合制度を除いて他はすべて中小企業等協同組合に纏める意味で、商工協同組合法、林業会法、市街地信用組合法を廃止し、蚕糸業法中蚕糸協同組合に関する規定を削除することにいたしております。尚旧塩專賣法に基く塩業組合も、旧塩專賣法が別途提出される新塩專賣法によつて廃止され、組合に関する規定は削除されることになつておりますので、中小企業等協同組合に纏めることになるわけであります。
第二に、既存のこれらの組合で單位組合的なものは、新法施行後八ケ月以内に所要の手続を経て新らしい組合に組織變更することができるようにして、移り変りをスムースにするように考えております。そしてこれらの旧組合で、新法施行後八ケ月を経過したときに現に存するものは、單位組合的なもの、連合会的なものすべて、その時に解散することになります。
既存の各種の組合で連合会的なものについては、新法の協同組合連合会についての規定は新法施行後八ケ月を経過した時から施行ということにして、新法に基く連合会への移行は認めないことにしてありますが、その財産については、既存の連合会的な組合の組合員である單位組合が新らしい組合となり、それらを会員とする新らしい協同組合連合会ができた場合には、財産分割の協議をしその承継をすることができるようにして、財産の不必要な分散を避けるようにいたしております。
第三に、旧組合から新組合への移り変りの際の財産の移轉に對する法人税、有價証券移轉税及び地方税法による不動産取得税等の適用につきましては、旧農業会から新農業協同組合への移り変りの時の取扱と同樣とし、法律の改正ということのために起る不自然な課税ということのないように配慮しております。
大体以上の通りでありますが、最初にも申上げました通り、本法案は中小企業等協同組合法案と表裏一体をなすものでありますので、兩者を一体と考えられまして愼重御審議の上兩法案共に一日も速かに御協賛賜らんことをお願いいたす次第であります。
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007・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 次に臨時鉄くず資源回收法案、これの提案理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/7
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008・小林英三
○政府委員(小林英三君) 御説明申上げます。
我が國の重要基礎産業である鉄鋼業を恢復しその自立性を確立することは、他の諸産業の復興と輸出振興の見地からして、極めて緊急を要することと考えられるのであります。
幸いにして終戰後は戰災くず並びに兵器、艦艇等の解体鉄くずの豊富な供給と、連合軍司令部の好意による鉄鉱石、石炭の輸入により、鉄鋼の増産は着々進行致しまして、昨年度は普通鋼鋼材百二十万トンの生産計画を完遂致したのであります。本年度に於いては更に目標を五割方引上げ輸出向六十万トンを含む百八十万トン計画を樹立したのでありますが、本計画の成否は、一に所要鉄くず百八十万トンの確保如何にかかつてゐると申して過言でないのであります。
これに対しまして、本年度國内鉄くずの供給源としましては、鋼材生産に伴い新たに發生する鉄くず八十万トンの外に、市中くず六十万トンと、戰災建物、燒損機械、沈没艦船等鉄くずとして利用することが最も適当と思はれるいわゆるくず化物件四十万トンを予定してゐるのであります。そのうち、くず化物件につきましては現志のまま放置しますれば到底所期のくず化は困難であり、從つて鉄鋼生産の目標完遂は不可能となるのであります。
ひるがへつて世界の鉄くず事情をみますに、各國ともに相当逼迫をしてをり、斯樣な情勢の下におきましては戰前の如き鉄くずの輸入は当分の間見込なきものと考えられます。元來鉄くずは、鉄鋼の生産に伴い常に一定比率で循環しているものでありますが、今次の大戰により海陸戰場に消耗された相当量は、循環しえないものでありますから世界的鉄くず飢饉は当然と考えられるのであります。このような鉄くず事情に対処するため、鉄鋼の生産は鉄くずを極度に節約する方式を採るべきでありまして、本年度より鉄くずの配合率を可及的に減らし除々に鉄くず依存から脱却して、鉄鋼工場等から鉄鋼の生産に伴つて発生する循環くずのみで賄う体制を整えるべく努力している次第でありますが、他面積極的に國内鉄くずの回收を強化する必要を痛感する次第であります。占領軍当局におかれましても鉄鋼復産のため國内鉄くずの最大限利用をはかるべき意嚮をもたられてゐるのでありまして、くず化物件の処理促進はその趣旨にそうものでありますと同時に、國内清掃の目的もこれにより併せ達成されるものと考える次第であります。
以上申述べました如く、本年度鉄鋼生産計画完遂のためには、鉄くずの供給確保を目的とするくず化物件の処理促進が絶対に必要となるのであります。これが本法案を提案する所以でありまして、御審議をお願いする次第であります。
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009・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) もう一つ鉱山保安法案の提案の理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/9
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010・小林英三
○政府委員(小林英三君) 只今議題となりました「鉱山保安法案」につきまして、その提案理由を御説明いたします。
御承知の如く、鉱業の保安に関する法制の歴史は、極めて古うございまして、保安が生産の基礎となる鉱業の特殊事情に即応いたしまして、明治二十三年の鉱業條例以來、施設の保安、鉱夫の保護、鉱害の防止等に関し、これを法的に規制し、商工省において綜合的、且つ、一元的に監督して參つたのであります。
終戰以來、主として戰時中の濫掘による鉱業施設等の荒廃のため、鉱山の保安状況は悪化し、鉱業生産の確保、向上のためには、保安條件の整備が焦眉の急とされているのでありますが、これを規制する現行法規には若干の不備もあり、監督機関も十分とはいえないので政府といたしましては、鉱業保安法令の整備と監督機関の充実並びに労働関係法規との調整について鋭意檢討を進めて來たのでありますが、漸くその成案を得ましたので、ここに鉱業法、労働基準法とは別個の單行法として鉱山保安法案を本國会に提出して御審議を仰ぐ次第であります。
この法案は、第一條に明文を設けました如く、鉱業生産の特殊性に鑑み、鉱山労働者の保護を図るとともに鉱物資源の合理的開発を図るという二つの目的を併せもつものであります。
この法案において特に政府の考慮致しました事項の第一点は、鉱業の保安に関する鉱業権者及び保安技術職員その他の鉱山労働者の責任を明確にするということであります。現行法令におきましては、責任関係者が明確でなかつた点もありますが、この法案は鉱業権者及び鉱山に働く労働者がそれぞれ鉱業の保安に関し法的責任をもつことを明確に定めようといたしております。
第二点は、鉱業の保安が特殊の技術的事項であるに鑑み、鉱山の現場機構を整備強化しようとしていることであります。即ち、保安管理者、保安監督員等の保安技術職員等の制度を整備し、且つ、その資質の向上を図ります外、各鉱山に保安委員会の設置、実情に即する保安規程の作成を義務づけ、現場保安業務の最も円滑な運営を期しているのであります。
第三点は、鉱業の保安に関する監督機関の整備と、その極めて民主的な運営を図つていることであります。即ち、この法案施行のため中央に鉱山保安局を設け、地方に鉱山保安監督部、炭鉱保安監督部を置いてそれぞれ商工局、石炭局に附置し、これらに鉱務監督官を配して保安監督の強化を図ろうといたしておるのでありますが、これとともに、その民主的な運営を確保いたしますため中央、地方にそれぞれ労資、学識経驗者より成る保安協議会を設け、重要事項について審議することといたしておるのであります。尚この法案に基き監督機関が操業に影響を及ぼすような命令等を発します際には、最も民主的な公開による聽聞を行い、事前に直接関係者の意見を聽く制度を創設しているのであります。
今日農業の保安状況は必ずしも万全とは申せないのでありまして、この法案の施行により、万難を排して災害の絶滅を期し、鉱物資源の増産のための基礎條件を確保したいと思うのであります。
何卒愼重御審議の方、可決せられんことを希望いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/10
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011・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 以上五つの法案は只今この商工委員会に政府提出の法案として付託されておるものであります。その他に議員提出の法案で自転車競技法の一部を改正する法律案というのが出ておりますが、本日はこれは議題にいたしておりません。そこで一番最初に提案理由の説明を聽きました工業標準化法案、これが参議院先議になつております。尚この他に当委員会に関係の深い法案としまして、内閣委員会で審議しております通商産業省設置法案、並びに大藏委員会に付託されております協同組合による金融事業に関する法律案というのがございますので、併せて後程これらの法案の説明をお聽きしたい、こう考えております。ここでお諮りいたしますが、今提案理由をお聽きしましたが、尚各法案について担当の政府委員の方から、これらの法案の重点と申しますか、端的に申すならば、これを提案なさるに至つた関係方面との関係等にも、一つお話を聽くことができれば、非常に結構ではないかと思つておるのですが、どういう進行の仕方をいたしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/11
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012・栗山良夫
○栗山良夫君 これは澤山いろいろな問題がありますけれども、政府の方の所管の手も同一ではないと思うのでありますが、今委員長が御発言になつたことも含めて、やはり急ぐ法案から順序を立てて、十分に愼重審議のできるような方法を、お採り願つた方が、私は都合がいいと思いますが、ここで、ただ漠然といろいろなことを聽きまして、大体この法案が今こんなに澤山一緒に提案されたので、ちよつと面くらつておるので、もう少し消化しやすいようにお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/12
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013・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 委員長の方では、大体本日この全部の概観的な何と言いますか、調査をしまして、そうして明後日月曜日からどれかを主題にして進んで行きたいと考えまして、この会の終つた後で理事会で協議したい、こう考えておるのですが、今栗山委員の御發言のごとく、この中の一つづつを今日この委員会で直ちに採上げても結構なんですが、どういう方法で進んで参りましよう、いずれ來週に一つ一つを消化して行きたいと考えてはおつたのでありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/13
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014・島清
○島清君 どつちでもいいのですが、委員長の考えとしては今日はこれで一応委員会を閉じて、後の理事の打合会を開いて、來週から一つ一つやりたい、こういう考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/14
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015・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) そうではありません。政府委員の方も多數お見えになつておるので、一通り尚もう少し詳しくというか、重点のところをお話を承つて、然る後、理事會で以て、來週からのスケジュールをどういうふうに組んで行くか、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/15
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016・島清
○島清君 そうすると、今栗山委員から言われたように、一つづつ採り上げて、その都度お聽きして行つた方が、消化し易いような氣がするのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/16
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017・栗山良夫
○栗山良夫君 この五つの法案で、大体政府の方が希望される成立の順序はどういう具合になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/17
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018・小林英三
○政府委員(小林英三君) 五つの中で、この工業標準化法案、これは参議院の先議になつております。後は衆議院の先議になつております関係で、若しできますならば、工業標準化法案を御審議願つたらと考えております。それから順次やつて頂いたらと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/18
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019・栗山良夫
○栗山良夫君 私が先程申上げましたのは、月曜日からの委員会で、ただ一つの法案だけしか審議しない、そういうことを固く申上げたのではないので、二つやつても一向構わないわけです。重點をそういう工合に置いて頂きたいということを申上げたのです。それで差当り先議になつておる工業標準化法案ですが、これについてもう少し政府の方の説明をお聽きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/19
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020・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) そういう進行で如何ですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/20
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021・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) それではそういう進行の仕方をすることとしまして、尚ちよつとお諮りをいたしますが、公報にこの委員会の付託ではありませんけれども、通商産業省設置法案、それから協同組合による金融事業に関する法律案というものが、非常に関係が深いのでございますので、これの説明も承つて置く必要があるのじやないかと、こう考えておりますが、如何ですか。
〔「いいですね」と呼ぶ者あり〕
例えばこういう問題が起きておる、鉱山保安法なら鉱山保安法というものを仮に通す、それが通商産業省の設置法案と切離すことができないものなのです。從つてこれらの説明も聽く必要があるし、それから先程の協同組合による金融事業に關する法律案というものとも、切離すことができない、こういうふうに考えますので、一応ここでその説明を先に聽くことに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/21
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022・栗山良夫
○栗山良夫君 その前に、政務次官にちよつとお聽きしたいのですが、法案が会期の終りになつて、どうしてこんなにかたまつて出たのですか。もう少し早く……。相当商工委員会は余裕が今まであつたのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/22
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023・松田太郎
○説明員(松田太郎君) 誠に法案が今日まとまりまして出まして、恐縮に存じておるのでありますが、いろいろ各法案につきまして、政府部内におきましても関係省との打合せもいろいろございました上に、更に連合軍司令部の方の打合せ等におきまして、比較的時間が掛つたような問題もございまして、そういうような関係で、卒直に申上げまして、今日まで提案申上げるのが非常に遅れたのでございます。その点誠に申譯ないと思います。そういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/23
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024・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) それでは只今議題になつております法案との関連に重点を置いて、通商産業省設置法案というものの御説明を願いましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/24
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025・小林英三
○政府委員(小林英三君) それでは大体この通商産業省設置法につきましての大体の御説明を申上げたいと存じます。
政府は、先般來通商産業省の設置について、鋭意愼重な檢討を進めてきたのでありますが、今回漸くその成案を得るに至りましたので、ここに通商産業省設置法案を國会に提出して、御審議を仰ぐ次第であります。
申すまでもなく、日本経済の自立と安定とは、貿易の振興と生産の増強とにかかつているのでありますが、終戰以來、商工省はこの二つの重大な使命を担当するため、商工本省、石炭廳及び貿易廳を中核とし、更に特許局、中小企業廳並びに工業技術廳を擁しまして、鋭意國力の恢復に努力して参つた次第であります。幸にして、連合國の好意ある対日援助と官民一体の努力とにより、鉱工業生産は順調な上昇を示し、インフレーシヨンも漸次緩漫化致しまして、経済安定のきざしが見え始めましたことは、洵に慶びに堪えない次第であります。しかしながら、國際経済えの参加態勢を確立し、我國経済の自立を達成するためには、更に輸出産業の飛躍的な振興を図り、貿易と生産との連繋をより一層緊密ならしめることが肝要なのでありまして、所謂経済安定九原則の指令も、正にこれを要求しているものであります。ここにおいて政府は、我國経済が本質的に國際通商を基本とする交易経済であること並びに我國が現在置かれている國際情勢に深く思いを致しまして、産業行政の方向を、從來の如き國内経済中心主義から、進んで國際通商中心主義に切り換え、一日も早く我國経済の自立を達成することを決意し、從來の商工省を解体致しまして、ここに全くあらたなる構想の下に通商産業省の設置するに到つた次第であります。
法案の詳細な内容につきましては、審議の途上、逐次御説明申し上げることといたしたいと考えますが、以下その概要を申し述べますならば、通商産業省は、通商関係部局及び輸出品生産原局からなる本省、國内資源に関する行政を掌る資源廳、從來の特許局に相当する特許廳並びに工業技術廳及び中小企業廳から構成されております。なお、通商関研事務の重要性に鑑みまして特に通商監を設け、次官の補佐して通商に関する事務を整理せしめることとなつております。
先づ第一に、本省は大臣官房並びに通商局、通商振興局、通商企業局、通商纖維局、通商雜貨局、通商機械局、通商化学局及び通商鉄鋼局の八局から構成せられております。通商局は、通商に関する政策並びに物資需給計画及び輸出入計画を立案しその推進を図る通商産業省の中核的部局であります。又この局におきましては、輸入物資が生産計画に重要な役割を果すことに鑑みまして、輸入に関する業務を掌ることとなつております。通商振興局は、取商局が主として政策面を担当致しますのに対し、通商金融、輸出品の檢査、輸出品の展示等の赤商振興上の実施面を担当することとなつております。又輸出に関する事務は通商産業省所管の物資につきましては後程御説明致します通り、大々物資別の局で担当致しますが、他省所管の物資に関する輸出事務はこの通商振興局で取まとめて処理することとなつております。次に、通商企業局は、單一爲替レート設備を契機とする國際経済体系との接触に備えますためにも、又急速なる経済安定を目途とする本年度の嚴格なる財政金融政策に対処致しますためにも、國内産業の徹底的な企業合理化を促進することが急務となつて参りました現状におきまして、企業合理化に関する調査、指導及び啓蒙を行うことを主たる任務とするものであります
次に通商纖維局以下五つの物資別の局が設けられていますが通商纖維局におきましては、輸出品の大宗をなす雜維工業品の生産と輸出並びに國内衣料品の配給に関する事務を掌り、通商雜貨局におきましては、輸出用雜貨化業品と生活用品との生産と輸出に関する事務を、通商機械局におきましては、機械器具、自動車等の生産と輸出に関する事務を、通商化学局におきましては、化学工業品の生産と輸出並びにアルコール專賣に関する事務を、又通商鉄鋼局におきましては、鉄鋼の生産と輸出に関する事務を掌ることとなつております。
以上が本省機構の概觀であります。
次に通商産業省の外局と致しましては、資源廳、工業技術廳、特許廳及び中小企業廳の四條が設置されることとなつております。
先づ第一に、資源廳はその津を津官と致しまして、通商と比較的関係の乏しい資源関係の局を取纒めることとし、長官官房の外石炭管理局、石炭生産局、鉱山局、鉱山保安局及び電力局の五局から構成されております。このうち、石炭管理局におきましては主として從來の石炭廳の管理局、配炭局及び亞炭局の所掌事務を、石炭生産局においては、生産局、開発局及び資材局の所掌事務を掌り、又、鉱山局は從來の鉱山局の、電力局は電力局の所掌事務を掌ることとなつております。又鉱山保安局は、別途今國会提案の上御審議を仰ぐこととなつております鉱山保安法の施行に関する事務を掌り、鉱業に関する保安を確保して鉱山労働者に対する危害を防止し、鉱物資源の合理的な開発を図ることを主たる任務とするものであります。石炭、鉱物、電力等の國内資源の開発と利用とは、從來商工省が最も力を注いで参りましたところでありますし、又我國経済復興のためには今後とも益々強力な行政的措置を必要と致しますので、通商産業省の新機構におきましてはこれを独立の省にも比すべき強力簡素な機構を有する資源廳において所掌せしめることと致しました。次に、工業技術廳は鉱工業の科学技術に関する試驗研究並びにそれ成果の普及を図ることを任務とするものであり、特許廳は特許権その他の工業所有権に関する事務を掌り、又中小企業廳は中小企業の指導及び振興を図ることをその任務とするものでありまして、ほぼ現在の機構を踏襲致しております。
以上が通商産業省の中央機構の概要でありますが、更に地方機構と致しましては、現在の商工局と地方貿易事務局とを合体致しました通商産業局を全國八箇所に設置しまして、本省並びに外局の事務を分掌せしめ、更に全國四箇所の主要炭田地域に石炭局を設置致しまして、石炭鉱業の國家管理に関係する事務を掌さどらしめることと致しました。なお、商工局の出張所は、これを七月三十一日まで存置せしめ、その間経済統制事務の地方廳移讓の準備を推進し、八月一日以後におきましては必要最少限度の地に通商産業局の分室等を設置することと致しました。なお又主要貿易港の所在地には、通商事務所を設置しまして、通商関係事務の迅速な処理を図りたいと考えております。
以上申し述べましたところが本法案の提案理由とその内容の概要でありますが、政府におきましては、この法案の一日でも早い実施によつて、相応の効果のあるべきことを確信し、且日本経済の自立確立のためにも行政機構の面において一日も速かにその態勢を整備する必要があると考えまして各省設置法に先立ち五月二十日の施行を目途としてその準備を進めている次第であります。
なにとぞ政府の意の存することを諒とせられ、大局的見地より御審議御協賛あらんことを切望致します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/25
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026・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 速記を止めて下さい。
午後二時三十八分速記中止
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午後三時四十一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/26
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027・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十二分散会
出席者は左の通り。
委員長 小畑 哲夫君
理事
山田 佐一君
島 清君
栗山 良夫君
委員
廣瀬與兵衞君
小杉 繁安君
境野 清雄君
中川 以良君
細川 嘉六君
駒井 藤平君
政府委員
商工政務次官 小林 英三君
説明員
商工事務官
(商工次官) 松田 太郎君
大藏事務官
(大藏省銀行局
持株金融課長) 池田 好祐君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514461X01319490507/27
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