1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年五月十二日(木曜日)
午前十時三十五分開会
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委員氏名
内閣委員
委員長 河井 彌八君
理事 カニエ邦彦君
理事 中川 幸平君
理事 藤森 眞治君
河崎 ナツ君
荒井 八郎君
城 義臣君
栗栖 赳夫君
佐々木鹿藏君
岩本 月洲君
下條 康麿君
新谷寅三郎君
鈴木 直人君
堀 眞琴君
三好 始君
農林委員
委員長 楠見 義男君
理事 羽生 三七君
理事 平沼彌太郎君
理事 石川 準吉君
理事 藤野 繁雄君
大畠農夫雄君
門田 定藏君
北村 一男君
柴田 政次君
高橋 啓君
星 一君
赤澤 與仁君
加賀 操君
徳川 宗敬君
山崎 恒君
板野 勝次君
池田 恒雄君
國井 淳一君
岡村文四郎君
濱田 寅藏君
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本日の会議に付した事件
○農林省設置法案(内閣送付)
○農林省設置法の施行に伴う関係法令
の整理に関する法律案(内閣送付)
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〔河井彌八君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/0
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001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより内閣、農林委員会の連合委員会を開会いたします。農林省設置法案と農林省設置法の施行に関する関係法令の整理に関する法律案、この二案を問題といたします。先ず以て政府より事案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/1
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002・池田宇右衞門
○政府委員(池田宇右衞門君) 農林省設置法案につきまして、その提案理由を御説明いたします。御承知の如く、各省大臣の所掌事務及びその権限等の事項は、從來行政官廳法(昭和二十二年四月法律第六十八号)及びそれに基く各省官制によつて定められていたのであります。
然るに、この法律は、本年五月三十一日限り失効いたすことになつておりまして、これに代りまして、第二國会において成立いたしました國家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)が、本年六月一日から施行されることになつております。この國家行政組織法は國家行政機構の大網を定めたものでありますが、各省共通の事項を規定しておるに止まるものでありますので、農林省の任務、権限、所掌事務の範囲、内部の組織、地方支分部局及び附属機関の名称、所掌事務等を明確ならしめるため、別に法律を制定する必要があるわけであります。農林省設置法案は、この必要に基き制定いたすものであります。
次に、農林省設置法案の内容の概略について御説明申上げます。
第一章総則におきましては、農林省の任務及び権限につきまして規定いたしております。
第二章におきましては、農林省の内部部局として、官房の外農政局、農地局、農業改良局、畜産局及び蚕糸局の五局についてその所掌事務を掲げ、地方支分部局として農地事務局及び作物報告事務所の所掌事務を掲げております。この外農事試驗場等の試驗研究機関その他農林本省の附属機関についてその名称、任務を掲げております。尚、それら附属機関の細目につきましては農林省令で審議会等の諮問機関の細目につきましては政令で定めるようにいたしております。
第三章におきましては、外局として食糧廳、林野廳、水産廳を掲げ、地方支分部局といたしましては食糧事務所、営林局、営林署及び木炭事務所を掲げまして、その所掌事務についてそれぞれ詳細に規定いたしております。
外局の附属機関につきましても、農林本省の場合と同樣に名称任務等について規定いたしておりますが、細部の点につきましては、農林省令又は政令で定めることといたしております。
尚、水産廳につきましては、第二國会で成立いたしました水産廳設置法(昭和二十三年法律第七十八号)がありますので、権限、所掌事務等についてはこの法律の規定によることにといたしております。
第四章は、職員に関する規定でありまして、任免等の人事管理に関する事項につきましては、國家公務員法の規定により、定員については、別に法律の定めるところによる旨を明確にいたしております。
第五章は、公團に関する規定でありまして、農林省の所持する公團については、各公團法の定めるところによる旨を規定しております。
公團の整理統各が実現いたしました場合には、当然その名称、数等につきまして変更を加える予定であります。
附則は、各官制その他関係法令の廃止規定及び現在農林本省の地方支分部局であります資材設整事務所を、本年七月三十一日までに、又同樣農林本省の附属機関であります國営牧野事務を本年六月三十日までに廃止いたすにつきましての必要な経過規定等であります。
以上がその法案を提出いたします理由であります。何とぞ愼重御審議の上速やかに御可決あらんことを切望いたすものであります。
次に農林省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案につきまして提案理由の御説明をいたします。
第一に農林省の外局として置かれる水産廳につきましては、水産廳設置法(昭和二十三年法律第百二十号)があるのでありますが、水産試驗場、水産講習所その他の附属機関につきましては、現に官制があるのみでありますので、國家行政組織法の規定に從つて、本年六月一日以後は法律で規定いたす必要があります。別に提案いたしております農林省設置法案の形式と揃えまして、水産廳設置法を改正いたす必要があります。
第二に國家行政組織法の建前からいたしますと、「委員会」というものは各省の外局として置かれるもので相当廣汎な行政官廳的権限を持つものに限られるわけであります。農林省におきましてはこの「委員会」に該当するものはないのでありまして、從來に「委員会」という名称を使用しているもので法律中に掲げられているものをそれぞれ名称を変更して整理いたす必要があるのであります。
第三に從前存しました諮問機関等で現にその必要のなくなりましたものにつきましての関係官制の廃止規定であります。右がこの法案を提出いたす理由であります。
何とぞ愼重御審議の上速かに御可決あらんことを切望いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/2
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003・河井彌八
○委員長(河井彌八君) この際お諮りをいたします。木下水産委員長からこの委員会に出席して発言をしたいという御要求がありました。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/3
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004・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないものと認めます。
それから次に農林省の文書課長が見えておりまして、便宜上この法案の内容について説明を求めたいと思います。文書課長は政府委員ではありませんが、発言を許して差支ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/4
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005・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
それでは文書課長から内容について概略の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/5
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006・細田茂三郎
○説明員(細田茂三郎君) それでは農林省設置法につきまして簡單に概略を御説明申上げます。便宜この條章に從いまして簡單に申上げて見たいと思います。
第一での総則におきましては、主なる規定といたしましては第三條において農林省の任務を掲げておるのでありますが、これは現在の農林省が農林省官制に基いて行なつております任務をそのまま、外の省と通じまする準則に從いまして或る程度やや具体的に書いたものでございます。それから第四條に規定しておりまするのは農林省の権限でございまして、これも大体現在の農林省官制によりまして、農林大臣が持つておりまするところの権限を現状よりも詳細に規定をいたしたに止まるものでございまして、一つも新らしい事項が入つておりません。
第二では本省を規定いたしておるのでありますが、そのうち第一節に相当いたしますところでは本省のうちの外局を除きました内部部局に関する規定をいたしております。第五條におきまして内部部局の構成を大臣官房の外に農政局、農地局、農業改良局、畜産局、蚕糸局のこの五局を置くということを規定いたしております。この点は現状と大分違つておりまして、現在は官房の外に内局といたしまして八局あります。その点につきましてはお手許に差上げておりますところの農林省関係官制及び分科規定、農林省法新旧対照表という別のちよつと部厚い印刷物がございますので、それをお開き頂きますと一番初めに農林省機構新旧対照表というものが掲げてありますが、これを御覧頂きますと分るのでございますが、現行は先程申しましたように大臣官房の外に、この上の欄の現在機構というところに書いてありますように、総務局、農政局、開拓局、農業改良局、統計調査局、畜産局、蚕糸局、食品局、この八局が設けられております。そうしてその内部部局の部といたしましては、農業局の中に農業協同組合、農地部の二部があります。開拓局には、庶務部、指導部、開拓計画部、建設部の四部が置かれております。それから農業改良局につきましては、経済研究部、技術研究部、普及部の三部が置かれております。それから畜産局には、競馬部が置かれております。
こういうふうな構成になつておるのでありますが、この今回の農林省設置法案に盛られました機構といたしましては、この下の欄に新機構として書いておりまするように変つておるのでございますが、先ず第一点は、現在の総務局を廃止いたしまして、これを大臣官房に統合をいたしたのであります。併しながら、御承知のように総務局と申しますけれども、この総務局の所掌いたしておりまする現在の事務のうちには、御承知のように資材でありますとか、資金でありますとか、輸出入の関係でありますとか、そういつたことに関しまして農林省としての全局に亙りまするところの総合調整ということをやつておるのでありまして、資金なり資材なり等につきまして、統制経済というものが続けられます以上は、その事務を廃止するというわけには参りませんのでありまして、そういつたような個々の事務が新らしいの機構におきましては全部大臣官房に吸収をされるということになりまして、從來大臣官房が扱つておりました人事でありますとか、会計でありますとか、或いは法令関係でありますとか、そういつたような個々の官房事務の他に、そういうような事務が入つて参るのであります。そこで非常に複雑な機構に実はなりますわけで、そういう意味で官房廳を新らしく置きたいということになつたわけであります。
それから現在農地に関しまする行政が農政局の農地部と、開拓局の四部とにそれぞれ分割をいたしておるものでございますが、御承知のように農地改革につきましては一段落、或る意味では一段落をしたわけでありまするが、今後既耕地のみならず未墾地につきましても一貫的に農地行政を進めて参りたいという考えからいたしまして、農政局にありまするところの農地部と開拓局を統合いたしまして、新らしく農地局という一局を設けたい、そうして農地局で從來所掌しておりまする事務の中で、農地部を除きますその他のものを以て農政局とする、こういうのが新機構の案でございます。そこでいきさつから申上げますると、農政局には現在農業協同組合部というものが実はあるわけなのでありますが、この農業協同組合の下には御承知の通り農業協同組合課といいます課と、最近農村工業課と改めました課とがあるのでありまするが、これが今度の行政整理の関係で認められないということになつたわけであります。それから農地局につきましては、今も御説明申上げましたように、現状から行きますと、五部に分れて分掌いたしております事務が一局になるわけでありますので、農林省の当初の希望といたしましては、せめて三部程度の部局が欲しいうということを強く希望いたしましたのでありまするが、諸般の事情からいたしましてそれが認められませんので、一應内閣案といたしましては、農地局に次長を一人置くということで部制を認められないという結果になつております。それから農業改良局と統計調査局につきましては、これはそれぞれ御承知のごとく、非常にまあ関係方面等の意向を反映して設けられました部局でありまするが、統計調査局が結局におきまして、農業改良局の一部に格下げになるという結果になつたわけであります。そこでそれともう一つ、まあ内部部局の部を成るベく減らして行きたいという趣旨からいたしまして、農業改良局の現在の経済研究部を技術研究部を一つにいたしまして、研究部ということにいたしました関係上、その二つの部が農業改良局の三部とこういうことにまあ縮小をせられましたわけであります。それから畜産局につきましては、これは大体現状通りであります。蚕糸局につきましても大体現状通りでございます。その次に食品局でありまするが、これは御承知のように、現在主要食糧以外の食料品並びに油脂につきましての行政を総括いたしておるのでございますが、今度の行政整理で局を減らすという考え方もありまして、次の外局の食糧管理局を統合いたしまして食糧廳の一部局とすると、こういうことで食品局というものを廃止したわけでございます。
以上申上げましたような結果といたしまして、五條に書きましたように、本省の内部部局といたしましては、大臣官房の外に五局、そうして部といたしましては、第五條の二項に書いておりまするように、農業改良局に統計調査部、研究部及び普及部を、畜産局に競馬部を置くということに相成りましたわけでございます。それから特別な職といたしましては、第六條に書いておりまするように、先程申上げました官房長と、農地局の次長一名の規定をいたしております。それから第七條以下は大臣官房初め五局のそれぞれの所掌をいたしますところの事務を具体的に規定をいたしております。
次に二十二頁の第二節附属機関に参りまして、農業省の内部部局の附属機関といたしておるのでございますが、第十三條に掲げてありまするのはその全部でございますが、ここに挙げましたのは、農事試驗場を初めといたしまして、現在すでにありまするところの各種の試驗場、研究所、それからそれに準じまするところの檢査所、檢疫所、それから茶原種農場、或いは種畜牧場、こういつたものを規定をいたしております。これは以下の條文において詳しくそれぞれ規定をいたしておりますが、一々御説明を申上げる程のこともないように思います。現状と同じでございます。ただ種畜牧場につきましては、相当の整理をいたすということになつております。
それから四十四頁の第三十四條でごごいます。それが今御説明をいたしました以外の附属機関でございまして、いわゆる大臣の諮問機関といたしまして、各種の審議会或いは調査会、審査会というような名目のものでございます。これもここにずつと掲げておりまするが、すべて現在存しますうちどうしても今後も持続をして置きたいというもののみを嚴選をいたしまして掲げましたわけでございます。
次に四十七頁の第三節地方支分部局でございますが、本省の地方支分部局は第三十五條に規定したしておりまするように農地事務局と作物報告事務所の二つでございます。第三十六條以下に農地事務局の所掌事務とか、或いはその名称位置というようなものを規定いたしておりまするが、これは御承知の現状の農地事務局をそのまま規定をいたしましたわけでございますので、変更はございません。ただ第三十八條で農地事務局に局長、官房の外に農地部、開拓部、土地改良部の三部を置くという規定をいたしておりまするが、これが若干現状の部局よりも数が少くなつておる、変つておりまする点は、その程度でございます。
次に第二款といたしまして作物報告事務所を規定いたしておりますのでありますが、これは現在の作物報告事務所の所掌をいたしておりまする事務をそのまま規定いたしておるわけでございます。これは尚念のために若干申上げて置きますると、作物報告事務所はいわゆる統計調査局の下部機構といたしまして、御承知のような耕地面積、それから農作物の作況というようなものの調査は初めといたしまして、その他農家経済、或いは家計費調査とかいろいろそういつたような農村におきまする統計的経済調査をやつておるわけでございまするが、申上げるまでもなく他省の統計調査事務とは若干目的を異にいたしておりまして、御承知の作物の事前割当の基礎でありまするとか、或いは食糧の供出割当の基礎数字でありまするとか、或いは米價決定の際の諸資料でありますとか、そういうふうな現実の行政上非常に重要な必要を持つておりまするところの資料がすべてこの機関を通じて作られて行くという、そういう任務と仕組みになつておるわけでございます。
次に第三章に掲げておりまするのが農林省の外局でございます。農林省の外局といたしましては、第四十三條に規定をいたしまするように食糧廳と林野廳と水産廳、この三つでございます。第一節において食糧廳のことを詳細に規定をいたしております。勿論食糧廳の権限、所掌事務というものは、現在の外局でありまするところの食糧管理局が所掌をいたしておりまする事務と、先程申上げましたように食品局が現在所掌をいたしておりまする事務を附け加えまして、そうして食糧廳という主食のみならず、食糧全般におきまする問題をここで取扱うということに改めましたわけでございます。食糧廳の部局といたしましては、第四十六條に規定をいたしておりまするように総務部、食糧部、食品部の三部を設置することになつておりますのでありますが、これは先程ちよつと御覽を願いました分厚い方の資料で比較を御覽願いますと分りますように、食糧管理局は現在総務部、経理部、業務部の三部から成つております。それに食品局で從つて参りまするわけで、当初農林省といたしましてはこの食糧管理局の現在の三部に加えまして食品局を食品部といたしまして四部を希望いたしましたけれども、整理という観点からいたしまして食糧廳においては一部を縮小すると、こういう方針に相成りましたので、現在の食糧管理局の総務部、経理部というものを総合合体いたしまして、新らしい機構においては総務部と名付けると、こういうことに決定を見ましたわけでございます。そこで総務部の事務は現在の経理部をも合せてやるということが変りましただけでありまして、それ以外の事部につきましては以上申上げた通りでございます。
それから五十五頁の第三款に食糧廳の附属機関の規定をいたしております。これは食糧研究所と食糧管理講習所でございまして、食糧研究所は、現状通りのやつておりますことを規定いたしておるのでございますが、食糧管理講習所は從來こういうふうなれつきとした規定がなかつたのでございますけれども、御承知のこういうふうな重要な仕事に從つておりまする職員の資質を高めて行くという観点から、こういうものを置きたいということになりましたわけでございます。
それから第四款の方地支分部局は、食糧廳の支分部局といたしまして食糧事務所の規定をいたしております。食糧事務所は御説明するまでもなく、十分御承知を願つておりまする仕事をいたしておるのでありまして、ここで申上げる必要もないと思います。
次は五十九頁に参りまして林野廳でございますが、第二節において林野廳の規定をいたしております。ここでは第五十九條で林政部、指導部、業務部という三部を置くことにいたしまして、以下その事務の内容を規定いたしておりますが、現在の林野局と部制と若干異なつております。と申しますことは、現在は國有林野と民有林野というのが機構上において嚴格に区別をされておるのでありますが、今度の案におきましては成るべくその点につきまして、そういうふうな國有林偏重ということのないようにしたいという趣旨と、もう一つは農業の分野におきまして、農業改良局がやつておりまするような、ああいつたような試驗、研究の整理、統合、その有機的な運用によりまして、それを行政の面に活かして行きたいというような思想、これがやはり今度新らしく設けました指導部の中にそういつた思想をとり入れて、山林の面におきましてもややそういう活動がしたいという氣持と、この二つからいたしまして編成替えをいたしましただけでありまして、所掌事務といたしましては現状と大差がないのでございます。それから第三款に林野廳の附属機関として、林業試驗場の規定をいたしております。それから第六十四條で各種の審査会、審議会というものを規定したしておりまするが、これはいずれも現状をそのまま規定をいたしたわけでございます。それから第四款におきまして林野廳の地方支分部局といたしまして営林局、営林署、木炭事務所、この三つを規定いたしておりますが、これはいずれも現在の機関でございまして、現状と変更はございません。
それから第三節は水産廳でありまするが、これは御承知の水産廳設置法というのが別に定められておりまするので、それに從うということを規定しております。それから七十五條で農林省所管の公團の規定をいたしております。これは現状でありまして、この五公團をどういうふうに整理、統合するかという問題は、別に本國会におきまして御審議を願うことになつておりますので、そちらに讓つておるわけでございます。以上が農林省設置法案の現定をいたしました内容の、大体あらましでございます。
それからもう一つの方の農林省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の方につきましては、これは主として水産廳関係の問題でございますが、この第一條は、從來漁網綱の所管は御承知の通り商工省にあつたのでありますが、今度商工大臣と農林大臣の話合によりまして、漁網綱の生産を農林省の所管に移して頂くということに話合が纏まりましたので、そこで農林省に漁網綱の生産所管が移るようにという趣旨の規定であります。第二條の「水産廳に次長一人を置く。」というのは、現在もございますが、これは水産廳の設置法に伴います施行令で規定をいたしておりますが、今度の組織法によりましてこういうものはすべて法律の規定を要することに相成りましたので、政令を法律の規定に改めたというに過ぎないのであります。それから水産廳の附属機関を次の第七條の二に挙げてありますように水産研究所、日光養魚場、水産講習所というように改めておりますが、その次に規定をいたしております水産研究所、これがやはり先程農業改良局なり或いは林野廳の際に申上げましたような水産の試驗、研究というものを、直接行政の役に役立たしめたい、そうして変更をしたいというので詳細に規定をいたしたわけであります。
その他は特に御説明を申上げることもございませんが、第二條においては、これは「中央農地委員会」を「中央農地委員会議」に改めるという規定でありますが、これは内容が変るわけではございませんので、御承知のように行政組織法によりまして、委員会というものは外局たる行政機関であるというような規定になりましたので(「中央農地委員会」を「中央農地委員会議」とただ名称を改めるということに相成つたわけであります。三條以下におきましては大体今度の設置法に伴いましてどうしても整理をしなければならない分の整理をいたしたのでありまして、くどくど申上げる必要もないと思います。甚だ簡單でありますが、以上で大体の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/6
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007・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより御質疑を願います。先ず農林大臣が御出席でありますから、農林大臣に対する主要なる事項について御質疑なり、御意見の御発表を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/7
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008・楠見義男
○楠見義男君 農林委員会といたしまして結論に達しました意見をこの際内閣委員の方々の御参考に申上げて置きたいと思います。実は農林省の設置法につきましてはかねて私共農林委員会といたしましても極めて重大な関心を持つておりまして、從つてこの問題につきましてはかねて檢討を続けておつたのでありますが、昨日の委員会におきましてこの問題について農林当局からの説明も聽取し、又委員会といたしましても大体の方向を定めまして、この連合委員会における審議をできるだけ時間的にも省略できるようにとの趣旨を以ちまして、その結果取纏めた意見を申上げて見たいと思うのであります。尚私から代表して申上げますが、申し洩れをしておることがございますれば、後程又他の農林委員の方からも御説明があることと存じます。
大体農林委員会として達した結論は、機構の問題と定員の問題があります。定員法はまだこの委員会でも内閣委員会におかれても御審議に相成つておらんようでありますから、抽象的のことに亘りますので、これは後程申上げたいと思います。最初に機構の問題につきまして、私共は大体三つの点においてこの法律案を修正いたしたい、こういうような結論に達したのであります。いずれ又詳細に書き物にいたしまして内閣委員会のお手許に差上げたいと存じておりますが、本日は口頭を以てその概略の結論を御報告いたします。
最初の問題は農政局に協同組合部を從來通り設置するということであります。その理由を簡單に申上げます。御承知のように農地改革によりまして、農村の民主化といいますか、或いは経営の改善と申しますか、生産の維持拡充と申しますか、今後の農業経営の改善の基盤が先ず農地改革によつて荒削りながら基礎付けができたのでありますが、その基礎の上に立つて、今申しますように今後の新らしい農業なり、農村を築いて参ります上においては、協同組合の活動ということが非常に重要になつて参るのであります。從つてそういう意味からいたしまして、関係方面からの希望もあり、又内地の從來の官も亦民の方におきましても、強い希望といたしまして協同組合部がに農政局に設置され、その下に協同組合の本來の仕事、そうして又協同組合と密接不可分であり、將來の農村建設のために特に必要な農村工業の仕事がこの農業協同組合部において所掌されることになつたのであります。特に最近の農村の実情を考えて見ますと、私共これは言葉は適当でないかも分りませんが、農村は今日においてこの恐慌態勢を打開し又防衞するにあらざれば経済自立も勿論のこと、農村自体は正に崩壊しつつある現状からいたしまして、どうしてもこの協同組合を中心とした防衞態勢の確立をやつて行かなければならん、こういうことを確信いたしておる際に、その專門の部がなくなり、そうして非常に忙しい農政局長が他の所掌事務と同樣のウエイトを持ち、或いは又その片手間にやられるようなことになりますれば、協同組合運動又延いて農村の防衞というものは非常に危い、状況に陷ることを深く憂うるのでありまして、この意味から從來同樣に協同組合部を農政局に設置いたしたい。そのためにこの設置法案を修正いたしたい、こういう結論に達したのであります。
それから第二の点は農地局に部を置く、概ね三部設置いたしたい、こういうのであります。これは只今農林省の文書課長から御説明があつた通り、現在農地に関するものは五部十六課の事務があり、この新らしい農地局に統合されることになるのであります。勿論参議院といたしましては行政組織法を設置する際に内局における部、或いは部長制度というようなものについては、原則としてはこれを認めないようにしたい、こういう意向であることは私共も十分承知いたしておるのであります。併しこの農林省設置法の第一條に規定してありますように、この設置法はその所掌事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを以て目的といたしているのであります。從つて現在の五部十六課に相当する事務量が一つの局に統合されて、そうして眞にこの法律の第一條に狙つているような能率的に遂行するに足る組織として、これを施行し得るや否やということになりますと、誠にその点においては危惧の念なきを得ないのであります。これは顧みて他を申すようでありますが、ここに水産委員長もお見得になつておりますが、外局である林野廳、或いは食糧廳、水産廳、こういうようなところはそれぞれ部制が設けられておるのであります。今日は御承知のように内局と外局との分化と申しますか、内局と外局を分ける基準というものが昔のように、例えば特別会計であるとか或いはその外の理由というようなものが昔ははつきりしておりましたが、最近はそういう点ははつきりいたしておりません。ただ仕事の便宜のために外局と内局が設けられておるというような感が深いのであります。從つて今申しますように、外局における水産廳は長官の下に次長があり、そして又その下に三部がある。こういうものとの比較而も仕事の分量から申しますと、現在の外局の仕事の分量と新らしい農地局の仕事の分量から申しますと、殆んど問題にならん程の多量の事務分量を農地局は擁しておるのであります。一般の農地のいわゆる農政の根本である農地政行、そうして又増産に必要な土地改良の仕事、又新らしい農地の造成に関する仕事、こういうように非常に尨大な仕事を現在十六課で取扱つておるのであります。原案によりますと、部制を設けない代りに次長を設けるという案になつておりますが、実は次長というのは総括的の仕事として殆んど長官と局長と重複するような役目でありまして、從つてこの第一條に書いてあるような能率的に事務を運営して行くという建前からいたしますと、むしろ原案の次長制度を廃めて、部制で少くとも三部程度のものを設くることが眞に能率的にやつて行けるゆえんではないか、こういうような結論に達しましてので、この農地局に対しましては、三部を設けたい、こういうことであります。
それからもう一つは今の出先機関の問題に関連しての点でありますが、農林委員会といたしまして達しました結論は、すべての方の完全な意見の一致を見まして、資材調整事務所を残しておきたい、こういうことであります。この問題につきましては、詳しく申上げるまでもなく、この内閣の委員会におかれましても、先般証人喚問をいたされまして、いろいろ事情を御聽取になつたと思いますので、詳しいことは省略いたします。ただこの際に申上げて置きたいことは、一部の仕事は府縣廳に行き、特に移管の困難な仕事は農林省に存置して、これを食糧事務所において取扱わせるということでありました。全体的に見まして仕事自体は必要なものは残るのであります。而もその一部が食糧事務所に行くということになりますと、これは後程も申上げますが、現在食糧の管理行政だけで精一杯だと考えておるのです。從つてそこにこの資材調整の非常に困難な、又複雜な仕事が入り込むということは、それ自体において食糧管理行政にも重大な影響を持つものだと考えております。それから本來この仕事を存置するということは、今申しましたように公聽会でお聽き取りになつたことと思いまするが、苟くも資材の需給調整という問題は申上げるまでもなく國家的のの観点に立つて、少い物を如何に公平に分配するかということであり、これは地方的の問題として取扱うことには、そのこと自体が非常に不適当であるばかりでなく、ややもいたしますと、地方のボス勢力によつてこれが曲げられるということを非常に恐れるのであります。こういうことを申上げていいかどうか分りませんが、純然たる民間世論として聽取しました資材調整事務所の存廃問題については、殆んど大多数の人々がこれについての存置を要望しており、特に中小の企業者、又零細な農民、從來は殆んど問題にされなかつたような人々が、非常にこの存置を要望しておるのであります。このことは私が今申上げました点と照し合してお考え頂きますと、如何にこれが地方廳の組織としては不適当であるかということの一つの証拠にもなろうかと思うのであります。随分たどたどしい文書で、又折釘流で資材調整事務所を礼讃し、出先機関は非常に惡いものでと思つておつたが、調整事務所ができて本当にこれでこそ國家の機関であるというような文章が出て來ておるのでありますが、これらも今申しましたことの一つの証左であろうと思います。從つて結論といたしましては、資材調整事務所は是非存置いたしたいということであります。
外に細かいことでありますが、尚檢討を要することといたしまして、設置法の第二十條におきまして「農事改良実驗所」というものがありまして、これはそれぞれ地方的に特殊な品種改良でありますとか、その他一般の農事の改良に関する実驗及び調査についての特別の機関が設けられておるのであります。これは從來の機構をそのまま踏襲しておるのでありますが、地方的にそういうような特殊な改良、実驗、試驗をやる場合に、神奈川と徳島と長崎縣だけが從來もないのであります。この三つの縣については同樣にこれを存置して、一般の地方的の特定の品種についての改良を助長して行くということの必要性があるのではないか、というように意見もございましたことをこの際附け加えて置きます。
それからもう一つは、三十七條でありますが、農地事務局の管轄区域につきまして、この四十八ページで御覽願いますように、北海道所掌事務というものがどこにもないのであります。これは從來地方自治体たる北海道廳に國から全額補助の形式を以て仕事を委託しておるような恰好になつておるのでありますが、これは新らしい地方自治法、そういう從來の形式のものが認められるのかどうかという点については、多少の疑問を持つておるのでありますが、そういうようなことをはつきりいたしたいという意見のありましたことも、この際併せて附け加えて置きます。即ち機構の問題につきましては、繰返して申しますように、第一に農政局に協同組合部を存置すること、それから農地局においてこの設置法における次長制を止めて三部制を設けるということ、それから資材調整事務所を存置すること、この三点が結論でございます。
それから先程申しました定員の問題でありますが、いずれ又定員につきましては詳細に御審議をせられることと存じますが、私共は全般的に行政整理をやられるということについての異存はないのでありまするが、ただその行政整理は機械的であつてはならない、肝腎な仕事がそのために駄目になり、その結果被害は一般の農民又一般の國民大衆が受けるというようなことを非常に恐れるのであります。その点から定員法の問題について檢討いたしました結果、達しました結論は、食糧事務所の整理は止めて貰いたい。傳え聞きまするところによりますと、食糧管理行政の部面においては、本省の食糧管理局、今回の案で行きますと食糧廳は、三割の節約になる、それから食糧事務所は二割の整理をする。こういうことでありますが、特に私共問題にいたしておりますのは食糧事務所であります。御承知のように食糧事務所は供出関係において、或いは又その供出の基礎になるいろいろの割当事務において、更に供出せられた場合の代金の支拂において最も適正であり、又迅速であり、完璧でなければならんわけでありまして、これが運営がうまく行きませんと、結局迷惑するのは一般の農民であるわけであります。特に農業会が解体せられましてから以降、新らしい集荷制度というものが関係方面から指示されまして、それに基いて直接農民に対して代金を支拂つて行くこの事務は、すべて食糧事務所の末端まで各町村におるせいぜい一人乃至二人の食糧事務所の職員が、この事務に当つておるのであります。現在でもその事務が非常に輻輳しているために、その協力機関としての農民、或いは又協同組合の方から相当の協力を求められておる、事実その協力をいたしておるようなことであります。農業側又協同組合側から申しますれば、この協力ということについては非常に負担を感じておるような次第で、本來これは國家がやるべきことであるから、むしろ現在の職員を殖やして貰いたい、そうしなければ結局農民が非常に迷惑を蒙るということをかねて訴えておるのが現状であります。にも拘わらずこの際食糧事務所の職員を二割切る、大体全國で六千人以上の人間が整理されることになりますが、こうなりますと、現在農村で、一ケ村に例えば一人おるという所は、二ケ村を一人が受持つということになる。そこに現われるところのものは結局代金の支拂事務の遅延、或いは檢査事務の粗漏、檢査事務の粗漏だけ申しましても三等のものを二等にするというだけで、この全体の行政整理を吹飛ばしてしまうような國家的の損失も、財政的には起るのであります。その外又新らしく今年三月に指令をされました配給制度の完璧強化に関する司令部からの指令、これを実行して行く上におきましても、食糧管理行政はますます強化を要求されこそすれ、それを等閑に付し得ない実情であります。而も繰返して申しますように、それを整理された人間で無理にやつて行くということになれば、結局被害者は農民であり又消費者であるということで、これは到底私共の堪え得ないところと存ずるのであります。從つて、特に画一的でないように食糧事務所は或いはお考えになつたかも分らんのでありますが、いずれにいたしましても、私共は食糧事務所の定員を整理するということは絶対に反対である、こういう結論に達したのであります。先程申上げましたように、いずれ詳細は書物にいたしまして内閣委員長のお手許に差上げたいと思いますが、差当り皆さんにこの機会に申上げたいのは以上の点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/8
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009・木下辰雄
○委員外議員(木下辰雄君) この委員会におきまして農林省設置法案を御審議になります関係上、私共に非常に関係のあります水産廳問題のことについて、極く簡單に水産委員会におきまする決定事項並びにその間の経緯を申上げまして、内閣委員会諸公の御参考に供し、並びに農林大臣に御意見をお聞きしたいと思います。
水産廳は第二國会におきまして協賛されましてでき上つたのであります。その際農林大臣は委員会においても本会議においても、この水産廳設置は水産省設置の前提であるということを申されました。近いうちに水産省に昇格するのであるということを再々言明されました。とき恰も現内閣におきましては人員の整理をされておる。こういう場合に出会しまして誠に水産委員会としては申しにくいことでありますけれども、この問題は長い間の懸案でありまして、曾て衆議院におきまして決議案並びに建議案として、この水産省設置が満場一致を以て議決されたことが数回あるのであります。その他斯界並びに國民一般の世論もそこにあるとかように思うのであります。森農林大臣の御盡力によりまして水産廳は段々拡大強化いたしまして、魚類の生産管理ということも水産廳に任されたということは甚だ喜ぶべきことであり、感謝に堪えない次第でありますが、尚漁船行政その他未解決の問題が沢山ある。こういうものを総合強化して水産行政を充実するということが水産委員会の骨子でありまして、水産委員会設置の理由も亦一つはそこにあつたのであります。それで過般水産委員会の会におきましては、水産省設置を決定いたしまして、若し水産省設置ができなかつたならば、内閣の直属として少くとも國務大臣を長官にする制度にして貰いたいというような方に大体決定をいたしまして、今関係方面に折衝中であります。併し今この農林省設置法案を議するに当りまして、私の方では、これを修正するとか或いは変えるとかいうようなことは申し上げませんが、近き將來において実現することを要望すると同時に、これに対して農林大臣の何分の御意見をこの本委員会においてもお承りいたしたいと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/9
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010・森幸太郎
○國務大臣(森幸太郎君) 本日から当委員会において、各省設置法案、特に農林省の設置法案について御審議を下さることになつたわけでありますが、その当初に專門的の農林委員会がこの問題を取上げて研究せられました結果、又水産委員会が研究されました結果を御報告になりまして、殊に重大なる御意見の御発表があつたわけでありまするが、この機会に、当委員会が今後この法案を御審議下さる御便宜のために、政府といたしましてどういう法案を出したか、どうしてこういう案を出したかという内容について、聊か私の今日までとつて参りましたことを申上げて御審議の御参考にして頂きたいと思うのであります。
御承知のように、政府は行政機構の徹底的整理簡素化を考えまして、着々手を打つて参つたのでありまするが、農林省に対しましてはどういうふうにこれを処理するべきか非常に苦心をいたしまして、当初省内における関係者の意見等を纏めましたところ、農地部において三部制を設けたらよかろう、こういう意見であつたのであります。内閣の行政整理廳の考え方といたしましては、この原案に現われておりまする以上に、相当今日の原案とは当初開きがあつたのでございまするが、たまたまNRSの方面から今回の行政整理に関して非常な関心を持たれまして、私を呼ばれて、どういう方針で進んでおるか聞かれました。NRSとしては、今日日本の食糧増産が大事であることは言うまでもないのであつて、先ずこの天然資源局から眺めれば競馬というものは日本の食糧増産に何らの貢献をなしておらないのである、それであるから畜産局を廃止してしまえ、そうして統計局というものは、漸く日本の本当の農業の姿が現われるようになつて來たのであるから、これは從來通り存置した方がよかろう、尚開拓局を農地局に合併する場合においては、三部くらいのものを作つたらよかろうという向うの一つの意見が出されまして、絶対にこれをやれというのではないが、かように天然資源局としては考えると、これを参考に一つ行政整理を具体化せいと、こういういわゆる注意であつたのであります。
当時行政整理は、内閣において進捗いたしておりまして進行中でありましたが、当初本省で考えました氣持も、この三部部制ということを省会議においても意見が纏つておりましたので、一應その主張はいたしたのであります。併し他省との関係等もありまして閣議においてこれを変更することはでき得なかつたのであります。又最初の案におきましてはこの農地部に開拓部だけ設けてあつたのであります。そうして水産廳というものを水産局に戻す、こういう原案であつたのでありますが、私は水産廳を今日外局として認めておる。更に今木下委員長からもお話がありましたように、日本の水産という仕事の重大性から鑑みてこれをなぜ局にするか。それに対して省にするというような希望さえあるにも拘わらず、内局にすることは不都合ではないか。こういう意見を出しましたけれども、今日本の水産業はマッカーサーラインに抑えられて発展の余地がないからという意味から、これは局でもいいというような意見も一應立つておつたようでありますが、私はこの水産省を設けよという希望を持つておる矢先に、そういうように逆行することは忍び得ないというので、これを外局にされた恰好としたような次第であります。
ところが畜産局を廃止するということは、日本の畜産業は、見方によりましては、軍備の残滓のごとくに考えさせられる部分があるのでありますが、決して日本の畜産業はさようなものではないのでありまして、成程從來は戰爭目的のために軍馬の育成ということが主の目的のように考えられておつたのでありますが、今は大きい家畜にいたしましても、小さい家畜にいたしましても、すべてこの食糧問題といい或いは土地改良の上から申しましても必要でありますから、競馬が食糧増産に何らの貢献をしないから畜産局をやめろということについては大いに考慮しなければならん問題でありますので、畜産局を廃止せよという勧告には應じ得なかつたのであります。併し関係当局との関係もありまして、局の数を減らす、部の数を減らすという方針が一應立つておりましたので、この統計局は改良局の方に総合する。併しこの農業改良局というものの仕事が農業経済を確立するということが一つの仕事となつておるのであります。この農業経済を確立する上におきましては最も基礎となるものは統計であります。この統計を無視して経済的改良を図るということは到底でき得ないのでありまして、それで私はこの改良局と統計局とを一つに総合いたしましても、統計の重大性はますます重加されるのであり、その機構等につきましては更にしつかりしたものを作り上げるという方針の下に、敢てこの局の独立を主張いたさなかつたのであります。ところが先程申しました通り、農地局を置いて、開拓部を一つ原案としてはあつたのででありますが、この開拓部は建設省に持つて行つたらどうか、こういうことが一部の考え方であつたわけであります。成程、國土建設の上からは、あれも持ちこれも総合した方がよかろうとさように一應考えられるのでありまするが、今日尚この開拓部というものを特別に置くということは、そういう機会を早めるというような氣持もいたしたのと、そうして今日の、これは農林委員長であられる楠見さんもよく御承知のことと存じますが、この開拓局を農政局に併合いたしまして、成程大きい局の姿をなすのでありますが、今日までこの開拓局というのが、言葉は惡いかも知れませんが、戰後日本の耕地拡張というので脚光を浴びましてから、行過ぎの面が行政の方にあるのであります。つまり内部においていろいろの部がありまして、この部がおのおの独立の考えを持ちまして相互の連絡がとれておらないのであります。これは経済科学局の方面におきましてもどうも開拓局を行政機構上においてもう少し何とか整理する方法がないのではないだろうかというような意見もつい出されたごとくに、余り大きくなり過ぎたのと部を設けましたために、部というものが自分の部というものにのみ考えまして、相手方の部に対する何らの連絡もとらないというような結果を見ておつたのは事実であります。こういう場合に私はむしろこれを総合的に統一のある行政に持つて行つた方がよい。むしろ開拓部というようなものを一つ拵えて、摩擦を起さすよりもむしろ部を止めてそうして局長を補佐するところの次長を置いて、この統一のある農地政策を行つたらどうか。こういう氣持でこの部を廃止いたしまして、そうして次長を置くということにいたしたのであります。
尚農政局に協同組合部を置けという御意見でありますが、協同組合部を置けということは、関係方面にはさような意見はなかつたのでありますが、御承知の通り、今日の農業政策をやる上においては、協同組合が全部この農業者を以て組織されておるのでありますから、相手方は殆んど農業協同組合であります。でありますから農業協同組合組織以外の者に対して農政を行つて行くという部門は甚だ少いのであります。それで農政局の行う農政行政は、即ち協同組合を相手方としての行政でなければならん。かように考えておりますので、ここに殊更に農業協同組合部というものを設けますことは、この農業行政を統一する上において決してよい結果ではない。むしろこれは農政局全体の方針が、農業協同組合というものを相手方として行くんだと、こういう氣持で行つた方が却つて徹底した農政行政ができるのではないか、かような考えを以ちまして、この協同組合部を置けという相当の御意見もあつたのでありまするが、これを設けなかつたのであります。
尚出先官憲に対しての御意見を拜聽いたしたのでせりますが、資材調整事務所を全部廃止して地方廳に委讓せよという御意見も相当あり、又我が政府の考え方におきましても、統制を殆んど撤廃する上においてもこういうものも要らんのでありますから、是非統制の内容を簡素化してできるだけこういうような出先官憲を廃止したい。こういう原則に立つておりますが、今日御承知の通り、農村に渡す資材のどうしても統制を止めることはできない、今仰せのように少くして希望者が多いという物には、公正な妥当な配給をする以下、統制ということが必要でありますので、これを直ちに全部地方廳に移管することは事実においてできない。できないのみならずこれを希望される上においては、今お話になつたように或いは思わざる勢力の下にこれが支配されやしないかというような心配もあるのであります。併し資材調整事務所の取扱う物資はできるだけ整理いたしまして、これを地方廳に讓つてもいいものは地方廳に委任をして、そうして止むを得ないものだけは資材理整事務として、食糧事務所にこれを併置する。現在の食糧事務所の職員にこれをやらすのでなくして、資材を取扱うところの人間と仕事をこの食糧事務所の中に設ける。こういう考え方で漸次これは整理して行きたいと、かように考えているわけであります。
尚この間連合軍から指令がありました幽霊人口の調査、そうして食糧の配給の強化等についての先方の指令に対しては、これは目下のところ食糧事務所の取扱う仕事でありますが、これは今日でさえ足らないところに更にこういう仕事はさせられないのでありまして、これはこの施設を充実するについては、特別な処置を以て機構を改めて増加して行きたいとかように考えておるわけであります。今回の人員整理につきましては、後程御審議下さることと思いますが、食糧事務所であるとかこの最も重要な情勢をよく承知いたしておりますので、できるだけこの整理をせないようにいたしたい。そうして仕事の第一簡素化であります。殊に今日まで下らん仕事を出先官憲に行わしめているという弊害を認めておりますので、できるだけこの詰らん統計調査というようなものを全面的に作報の方へ移しまして、そうしてこの食糧事務所が本当に食糧の事務に専念するようにいたしたいと考えておるのであります。
ここに一つ困つたことは、今回の定員法が、本省においてこれだけ、外局における水産廳においてこれだけ、林野廳においてこれだけ、食糧廳においてこれだけというふうに、各外局の廳別に定員が定またのであります。これは楠見委員長も御承知下さると思いますが、これは農林省という全般的の定員法でありまするならば、業務の簡素化、緩急、繁簡の情勢によりまして、相互間の融通が利くのでありまするが、そういうふうに外局を三つはつきりし本省と分離されての定員法ができますために、これは各省とも同じことでありますが、この間の融通性が欠けておることを非常に不便に感じておるのであります。併し御承知の作報事務のごときは、現在の定員に定められましても出血を見ないのであります。でこういうような作報事務所のごときものが、今後食糧事務所と棟を一つにして仕事をするということが、今後考えて行かれるのでありまするから、お互いにこの木炭事務所なり或いは作報事務所なり、それから残つておる食糧、資材の責任者なりが、相互融通性を持ちまして現地においてはお互いに助け合つて、末端の事務の円満なる運行を図つて行くというふうに考えて頂きたいと思うのであります。殊に農地局の外局たる地方農地局は依然としてこれを廃止いたしません。これは一層その事務の簡素化と共に強化を図つて行きたい、かように考えておる局けでありまするから、原案に提出いたしましたこの機構において、決して行政に不都合がない、この確信を私は持つておるわけであります。どうぞ一つ農林委員長におかれましても、更にこの氣持を御檢討を加えられまして、是非原案のように御決議をお願いいたしたいと思うのであります。
尚、水産省設置題問については、木下委員長より強き御希望がありましたが、今日の内容は、先程申しましたマツカーサーラインのめたに縮小されて行く水産廳が、外局としての存在が必要ないのではないかというような意見もあつた矢先でありますが、私はこの水産漁業の日本における重大性をよく痛感いたしておりますので、今後あらゆる機会におきまして、御希望のような点に向つて努力を進めて行きたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/10
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011・楠見義男
○楠見義男君 農林大臣からこの提案せらるるに至りました原案の作成についての経緯を伺つたのでありますが、私はこの機会に農林大臣の認識を改めて頂きたいと思うのであります。それは今申しました部の問題でありますが、例えば農業協同組合の部を設けるということに対する御意見も拜聽したのでありますが、例えば農業協同組合が繊維製品、衣料品の取扱について非常に差別的の待週を受けておる、この一つの極めて些細な事柄を、私共の農林委員会で解決するにも三日も要したような事例があります。最高機関である國会がその打開に三日も要するような状態でありまして、況んやこれが農政局の一つの課で……課もないようでありますが、どこかに入つて、それを局長自身は一般の農政から資材、肥料、農産、それから災害保險、農村工業、こういうようないろいろの、どれ一つの事柄でも相当大きな事項ばかりでありますが、こういう事柄を抱えておつて、そうしてこの協同組合の些細なこういうような一つの事柄でも実行できるかどうかということになりますと、私は從來の経驗からいたしまして、到底解決はできないと思うのであります。國会が三日掛かつてやつて解決できたことは、恐らく農政局の一課長の所では、半年以上掛かつたのが從來の実例であります。從つて私は農政の基本は農業協同組合に置いて行くということについては、何ら不同意でもありませんし全く同感でありますが、特にこの協同組合について今後は税の問題その他いろいろの問題が出て参ろうと思うのでありますが、資材の面においても同樣であります。從つてこれを專門的にやつて行く責任ある部制の下における活動を期待したい、こういうのであります。これはもう少し農林大臣をおやりになるとよくその事情がお分りになると思います。
それから農地局の三部制でありますが、これも大臣自身よくお考え頂きますと分るのでありますが、大臣が仮に局長を拔きにして百幾つの課長と直接にいろいろ総合的にやることをお考えになるとしたならば、仕事ができるかどうかということを、これは單に御想像になるだけでもお分りになることと思うのであります。総合調整の問題は結局、それぞれの部局において荒削りに調整をし、その結果を上の所で調整するということにおいて、初めて総合調整の意味があるのであります。先程開拓部のことについてのお話がありましたが、これはおつしやるように農地に関する部局を一つの局にして、そうしてその中で状に開拓部だけを設けるということになりますると、これは御心配になるようなことがあると思います。又從來の開拓の行過ぎの事例のあつたこともよく承知しておりますが、そういう情勢の下において、農地局の中で特に開拓という部分だけを設けては、そういうような懸念があると思います。協同組合部におきましては、後へ戻りますが、むしろそういうふうな一本筋でやつて貰わなければ、農事はだめになり農村はだめになるから、特に協同組合の部を設けて貰いたいというのでありますが、開拓部はおつしやる通りだと思います。從つて私共の主張いたしますのは、農地局のうちで特に一つの開拓部を設けるということでなくて、農地行政の建設面、管理面、或いは計画面、こういうような面において、それぞれの荒削りをなし得る所を設け、尚現在の十六課の仕事をそういうもので一應荒削りするには、局長が統轄して行く、丁度大臣が各局長を通じて農林省全体の極めて複雜な仕事を統轄して行くように持つて行きたい、こういう趣旨であるのであります。從つて先程農林大臣のおつしやつたことについては私共は同意することができないのでありますが、農林大臣自身におかれましても、尚よく御檢討を頂きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/11
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012・河井彌八
○委員長(河井彌八君) ちよつと農林委員長に申上げますが、衆議院からたびたび農林大臣に催促が來ましたから、今退席されますから……。それでは時間が來ましたから、これで散会いたします。
午前十一時五十九分散会
出席者は左の通り。
内閣委員
委員長 河井 彌八君
理事
カニエ邦彦君
中川 幸平君
委員
河崎 ナツ君
城 義臣君
佐々木鹿藏君
岩本 月洲君
三好 始君
農林委員
委員長 楠見 義男君
理事
石川 準吉君
藤野 繁雄君
委員
大畠農夫雄君
門田 定藏君
北村 一男君
星 一君
赤澤 與仁君
加賀 操君
徳川 宗敬君
山崎 恒君
板野 勝次君
國井 淳一君
岡村文四郎君
委員外議員
水産委員長 木下 辰雄君
國務大臣
農 林 大 臣 森 幸太郎君
政府委員
農林政務次官 池田宇右衞門君
説明員
農林事務官
(大臣官房文書
課長) 細田茂三郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100514882X00119490512/12
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