1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月八日(火曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 大上 司君 理事 北津 直吉君
理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君
理事 前尾繁三郎君 理事 早稻田柳右エ門君
理事 内藤 友明君
岡野 清豪君 佐久間 徹君
中野 武雄君 西村 直己君
三宅 則義君 田中織之進君
松尾トシ子君 深澤 義守君
中村 寅太君 中野 四郎君
出席政府委員
大蔵事務官
(日本專売公社
監理官) 冠木 四郎君
委員外の出席者
法 制 局 長 入江 俊郎君
專 門 員 黒田 久太君
專 門 員 椎木 文也君
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本日の会議に付した事件
日本專売公社法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一六号)
旧軍関係債権の処理に関する法律案(内閣提出
第一七号)
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001・川野芳滿
○川野委員長 これより開会いたします。
日本專売公社法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。三宅則義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/1
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002・三宅則義
○三宅(則)委員 私は日本專売公社になりましたにつきまして二、三質問を継続いたしたいと思うのであります。これは第五国会におきまして日本專売公社になつたのでありますが、そのなりましてから今日までの経過報告と申しまするか、状況等につきまして、たとえて申しますると製造高でありますとか、あるいは販売高でありますどか、あるいは人間の数でありますとか、その他について一応の御説明を承れれば承りたいと思うのです。説明を承りましてから、順次十数点についてお伺いいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/2
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003・冠木四郎
○冠木政府委員 御承知の通り、日本專売公社になりましたのは九月一日になりまして、総裁も民間から参られまして、その後非常に順調に経過いたしております。職員の数でございますが、これは定員法で縛られまして、三万八千百十四人ということになつておりまして、以前の專売局時代の予算よりも行政整理で若干減らされまして、ただいま申し上げました三万八千百十四人になつております。役員の数は総裁、副総裁のほか、理事が十人おります。それから監事が二人おります。大体構成はそういうことになつております。
その後の事業の推移について申し上げますと、製造の方も非常に順調に参りまして、二十四年度はタバコの製造本数が六百六十五億本の予定でございましたが、それが公社になりましてから相当能率が上がりまして、七百億近く行くのじやないかというふうに見られております。それから販売の方について申し上げますと、販売の方は、最近におきまして一般経済界の状況を反映いたしまして、高級品の売れ行きはあまりよくなつておりません。従いまして計画の販売金額よりは、今のところ若干下まわつておるというようなことになつております。公社といたしましても、ぜひ千二百億の益金は確保しなければならぬということで努力しておりまして、今後製造数量の増加に伴いまして、大体の予定の益金は確保できるんじやないかというふうに見られております。大体以上の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/3
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004・三宅則義
○三宅(則)委員 專売公社になりまして政府の益金を確保いたしたいということは当然であります。これにつきまして、最初から横道に入るようでありますが、やみタバコでありますとか、その他のタバコも氾濫しておるかに聞いております。これは私どもの想像でありますが、内地のタバコは割合に性質と申しますか、内容といいますか、それが貧弱であるからではないかというようなことも言われておるのであります。その後におきまして相当改良を加えられていることと思いますが、その製造能力あるいは素質等に監理官としての御見解がありますならば承りたい。たとえて申しますとピースとか光とかその他の数量、品種、あるいはどこでどういうものができるとかいうことは、もちろん知つていらしやると思いますが、今日答弁ができなければあとでもけつこうですから、一応議員に明細を知らせていただいて、国民大衆に関係が深いタバコというものに、ひとつ理解を持つて行きたい、かように考えております。あとでまた塩に関しましても質問をいたしますから、あらかじめ御了承を賜わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/4
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005・冠木四郎
○冠木政府委員 確かに今お話のありましたようにやみタバコ、ことに外国のやみタバコが氾濫いたしておりまして、それが專売公社の高級タバコの売れ行きに影響するという面がございますので、その取締りには相当努力いたしておるのでございますが、なかなか思うような成果が上りませんで、今後ますます努力しなければいかぬと思つております。確かに今の專売公社のタバコの品質があまりよくないという点がございまして、それが外国の高級タバコのやみを招来するというような面がございますので、品質の点につきましては公社としても相当努力いたしておりますが、品質の点で一番問題になりますのが葉タバコの品質でございます。これが昔のチェリーとかホープとかいうようなタバコでございますと、相当たくさんの外国の葉を使つて、また昔の最も下級なタバコでありましたゴールデン・バットについても、外国の葉が一割、二割くらい入つていたのですが、現在は外国の葉が全然ございませんで、国内葉だけを使つているというようようなことが、品質の惡い大きな原因になつております。それからタバコの葉は一年あるいは二年くらいストックして使えば、味もよくなりまた火持ちがよくなりますが、現在ではほとんどストックがございませんで、収納したまだ成熟いたさない葉を使わなければいかぬというようなことで、品質が惡くなつております。外国の葉につきましては、輸入の見通しは今のところあまりございませんが、ストックの点につきましては昨年あたりが非常に豊作でございまして、ある程度できて参りましたので、品質もおいおいよくなつて来ることと思います。
なお数量その他につきましての詳しいことは、書面にでもいたしましてお渡しをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/5
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006・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの御説明で政府の苦慮せられていることもわかるのでありますが、ごく簡單な質問に移りまして、現在日本專売公社の資本金と申しますか、財産といいますか、その内容等がもしわかりますれば、これと関連をして御説明を賜わりたいと思うのであります。それらについての構想を承りまして、この改正案にも多少構想をめぐらさなければならぬと思いますが、おわかりでありましたらお示しを賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/6
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007・冠木四郎
○冠木政府委員 公社の資本金でございますが、この金額が三十九億九千九百二十万四千九十二円ということになつております。非常に端数がついておりますが、ほとんど四十億近い数字になつております。その財産の内容を申し上げますと、これは五月末の專売局が公社にかわる際の財産でございますが、固定資産が三十九億八千七百万円、それから作業資産、これは葉タバコとか、タバコの製品とかあるいは塩とかそういうようなものでございますが、これが百七十億九千八百万円、それから流動資産が百四十九億五千二百万円、合計いたしまして三百六十億三千九百万円ということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/7
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008・三宅則義
○三宅(則)委員 今の御説明によりますと、資本は四十億というお話でありましたか。そういたしますとあとは借入金になつておりますか。どうなんですか。そこのところを承りたいと思います。資本は四十億でありますけれども、固定資産並びに流動資産は三百六十億円、こういうふうにおつしやつたのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/8
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009・冠木四郎
○冠木政府委員 ただいま申し上げましたのが五月末の現計でございまして、資本は四十億で、そのほかの見合いとなります借入金が百億円ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/9
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010・三宅則義
○三宅(則)委員 借入金ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/10
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011・冠木四郎
○冠木政府委員 これは一時借入れであります。
それから事業益金といたしまして、二十五年の益金といたしまして一般会計に納付しなければいけない債務ということになりますが、それが二百八億二千万円ほどございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/11
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012・三宅則義
○三宅(則)委員 それでわかつたわけですが、ただいまの構想を承りますと、固定資産は百七十億……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/12
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013・冠木四郎
○冠木政府委員 固定資産は三十九億です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/13
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014・三宅則義
○三宅(則)委員 百七十億は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/14
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015・冠木四郎
○冠木政府委員 葉タバコとか、そういつたタバコの製品です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/15
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016・三宅則義
○三宅(則)委員 これで会計制度を、市中のいわゆる事業資産と同様に研究いたして行きたい、こういう構想であつたのでありますが、今まで官庁というものは、御承知の通り予算に縛られて困つておるわけでありますが、今度公社になりました以上は、やはり一つの営業会社というような筋書きに考えを持ちまして、これからの経営をやつて行きたい。もちろん予算も大体ありまするが、必ずしも予算に縛られない、こういう構想で行きたいという意味でありますか。それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/16
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017・冠木四郎
○冠木政府委員 公社になりまして、一般民間の事業のようなタバコの製造販売、あるいはまた塩の製造販売というような仕事をやつておりますので、その会計制度につきましても、できるだけ民間の会計経理制度によりたいという考えでございます。ただ公社の專売事業と申しますものは、結局国の財政収入のために存在するものでございまして、全額また政府出資であるというようなことがございますので、予算の点等につきましてはやはり国会の承認を得まして、それから余裕の点なんかは、国の会計制度よりは多少楽になりますが、ある程度の制限は必要であるということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/17
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018・三宅則義
○三宅(則)委員 この会計年度は四月一日に始まつて翌年の三月三十一日に終ることになつておりますが、ここに「固定資産、たな卸資産、当座資産、繰延費用及び無形資産に区分する」こういうように書いてございます。現在御説明くださいましたところによりまして概略はわかつたのでございますが、「前項の資産について、その内訳項目、評価の基準、減価償却すべき資産の範囲及び減価償却の方法は、総裁が大蔵大臣の承認を経て定める。」こうなつておりますが、これらに対するいかなる御構想がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/18
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019・冠木四郎
○冠木政府委員 こういうような基準や償却の方法等につきましては、現在は印刷庁特別会計法を適用いたしまして、それに基いてやつております。今後もこれらの点につきましてはあまりかわる点はないかと思います。大体現在の通りになるのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/19
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020・三宅則義
○三宅(則)委員 先ほどのお話によりますと、大綱だけで実際やりつつある事柄が何か書類になつておりましようか。なつておりましたらお示し願いたいと思います。ただこういう項目でやるというような漠としたお考えでありましようか。ちよつと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/20
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021・冠木四郎
○冠木政府委員 この点につきましてはあとで詳しく書きまして、お届けしようと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/21
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022・三宅則義
○三宅(則)委員 それではあまりつつ込んだ質問をいたしましても、管理者としても御答弁がむずかしかろうと思いますから、どうぞあとで御当局と相談の上で、よく親切にわかりやすく答弁を承れればけつこうです。決してここで問い詰めるというわけではございません。私の構想から申しますると、專売公社はきわめて日本の代表的公社であるということを確信いたしております。その従業員といいまするか、労働組合といいまするか、そういうもの等が今日は大分改良されておると思いまするが、全面的に指示いたして、わが国の官業に邁進いたさなければならないと思います。それらに対しまする監督の方法、あるいは給料の点等につきましての御構想がありましたならば、ひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/22
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023・冠木四郎
○冠木政府委員 公社の労働組合につきましては、労働組合法それからまた公社独自の公共企業体労働関係法等によつて規律されております。これにつきまして、別に政府または公社といたしまして指導するとかいうようなことは、労働組合の性質から申しまして、あまりやつておりません。給與の点について申し上げますと、現在は公社になりましても專売局自体の予算によつておりますから、やはり一般公務員と同じように六千三百円ベースによつて縛られております。大体現在組合の方からは給與の増額の要求もございまして、現在調停委員会で審議中でございます。
〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/23
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024・三宅則義
○三宅(則)委員 それと関連いたしまして、この説明書に書いてあります第三の点、「日本專売公社の予算につきまして、その執行につき、企業予算としての性格上ある程度の彈力性を」持たせることにいたしてあるとありますが、その彈力性についての御構想を承りたいと思います。
なお五番目の方の「專売公社の決算におきまして、その年度において、固定資産、無形資産及びたな卸資産の額の合計額が増加しましたときは、その額は、積立金として留保する」ということになつておる、こういうことになつておりまするが、この二つについてひとつ御説明を賜わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/24
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025・冠木四郎
○冠木政府委員 まず彈力性の点につきましては、予算の流用の点でございますが、これが今までは国の財政法、会計法等が適用になりまして、非常にきゆうくつになつておりましたが、今度は予算の流用は原則としては公社が自由にできる。但し予算で指定いたします経費につきましては、大蔵大臣の承認を要するということにいたしまして、大蔵大臣の承認を要するというのは例外的なことにいたしまして、ごく制限したいというように考えております。それからなお予備費の使用、予算の繰越しの手続等につきましても、今まででありますと大蔵大臣の承認というようなことになつておりましたのを、公社が自由にいたしまして、ただそれを大蔵大臣に報告すればいいというふうに、非常に彈力性を認めておるわけであります。
それから第五の積立金の問題でございますが、これは固定資産、無形資産、たな卸資産が前年度末と比較いたしまして増加いたしますと、それだけ現金としてはないわけでございまして従来はそのような増加した額につきましても、全部益金として一般会計に納付するということになつておりましたために、公社といたしまして資金に非常に困るというような関係もございまして、今度それを——現在二十四年度のやり方といたしましても、固定資産、無形資産、たな卸資産の増加については、一般会計に納付しないでもいいということになつておりますが、それと同じように、今後納付いたさせないで、積立金として持つて行くということにしようというのであります。積立金という制度は今度初めて規定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/25
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026・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの構想によりますると、資本金に対しまして固定資産、無形資産がふえた場合においては積立金にまわす、こういうのではなくて、もちろん一定額の予算の、いわゆる專売益金というものに対しまする納入を終えた以上は、全部積立金にまわすのでありまするか。それとも全部はまわさないで積立金にまわすというのか。その点をお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/26
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027・冠木四郎
○冠木政府委員 これは決算いたしまして、たとえば今年の例で申し上げますと、今年の專売益金は千二百億ということになつておりますが、その千二百億円と申しますのは固定資産、無形資産、たな卸資産の増加を差引いたものが千二百億でございまして、今年の予算といたしましても、事業益金としては千三百億の事業益金となつておるわけであります。それで今度のやり方といたしましても、予算に計上した一般会計納付益金千二百億円を確保して、これを差引いた残額を積立金とするというのではなくして、決算いたしましてその決算いたしました事業益金の中から、こういうような資産の増加額を差引いたものを見るということになります。従いまして千二百億以上になることもありますし、千二百億を割ることもあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/27
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028・三宅則義
○三宅(則)委員 今の構想によりますと、千二百億でとめる場合もあるし、また千二百億、千三百億も納付することもある。これは総裁の自由でありまするか。政府の自由でありまするか。その根拠といいますか、公社の総裁が、もつとあつた場合にはたくさんの益金をまわす、こういうことになりましようか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/28
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029・冠木四郎
○冠木政府委員 それは総裁が自由にできるということにはなりません。決算いたしまして、事業益金として、たとえばことしでありますと、千三百億の事業益金の予定になつておりますが、それが千四百億出たということになりまして、そのうち資産の増加が百億あるということになりますと、機械的に千三百億だけを納付して、百億を積立金にするということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/29
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030・三宅則義
○三宅(則)委員 あまり長くやつておりますといけませんから、もう四、五点であとにまわしますが、塩の点につきましても承りたいと思います。私の構想によりますと、塩は機械製塩、蒸氣製塩、平がま製塩というようにわかれております。実は前国会においても質疑いたしたのでありますが、向うの指令等もありまして十分とは行きませんが、化学の原料になります塩のことでありますから、なるべく多く生産いたしまして、産業の開発に貢献いたしたい、こういう希望をわれわれは持つておるのでありますが、現在政府といたしましてはどのくらいの製造能力があり、またそういう予定がありまするか。もしおわかりでしたら、お示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/30
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031・冠木四郎
○冠木政府委員 わが国の塩の需要量といたしましては、戰前の一番多いときでありますと、大体二百四十万トンほどもございましたが、現在の需要では食料塩が大体百万トン、工業塩が六十万トンくらいのところかと思います。しかし今後塩の需要はもつと多くなるというふうに考えられますので、公社といたしましてもできるだけ輸入塩を減らして、国内塩を多くしようというふうに考えております。現在の能力といたしましては、大体六十二万トンくらいの能力がございます。そのうち本年度の生産見込みといたしましては、大体四十五万トンくらいの見込みをいたしております。今後設備の改良等によりまして、現在六十二万トンくらいの能力を七十万トンくらいにしたいというふうに考えております。今後の方針といたしましては、できるだけ国内塩を多くしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/31
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032・三宅則義
○三宅(則)委員 これも今春の国会で私も質問をいたし、また他の方からも質問があつたわけでありますが、平がま製塩等につきましては、相当の労力費もかかり、また薪炭あるいは石炭等の燃料費もかかるのでありまするから、賠償価格を相当引上げてもらいたい、こういうことを私も質問いたしましたが、全国の塩業者大会等におきましても、そういう決議があつたわけであります。そのとき前の原田專売局長官から物価庁とも相談いたしまして相当の値上げをするのだ、こういう名答弁があつたのでありますが、その後どういうふうに変化しておりましようか。御質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/32
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033・冠木四郎
○冠木政府委員 賠償価格の点につきましては、確かに今お話のございましたように、專売局時代でございますか、賠償価格を引上げたいという方針で、関係方面とも折衝して参つたのでございますが、その当時からだんだん石炭が自由に入るようになりまして、値段も安くなつて来るというような変化がございまして、そういう情勢になつて参りましたので、賠償価格の引上げということは関係方面の了解を得ることが困難になつて参りまして、そのままになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/33
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034・三宅則義
○三宅(則)委員 私はこれも前国会と関係があるわけでありますが、蒸氣製塩、機械製塩というものに対しましては、相当採算もとれると存じますが、平がま製塩というものにつきましては、全国に一千数百基あると聞いております。これらは採算がとれぬということでありまして、現に私の選挙区であります愛知県の吉田町などでは休むものができまして、いかに転換するかということについては、相当考慮せられるものがあるようですが、こういうものについても政府としては見るつもりであるか。見ないつもりであるか。私の見るところではあるものは何十年、何百年の経験を持ち、その歴史のあるものについてはある程度考えるべきではないかと思いますが、これについても御構想はありませんか。いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/34
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035・冠木四郎
○冠木政府委員 塩の生産方式のうち、真空式でありますと確かに現在の賠償価格で十分引き合うようであります。蒸氣式になりますとちよつと危くなるのではないかという氣がいたします。平がまですとこれは現在の価格では相当困難であると思います。以前には賠償、価格が製造の方式によつて違つておりまして、平がま等は高くなつておつたのでありますが、現在におきましては、同一商品については同一の価格にすべきであるというような見地から、一本の価格になつております。それで平がまに対する措置といたしまして現在考えておりますのは、できるだけ平がま——蒸氣式も同じでありますが、この二つを真空式に改造する。そのためには銀行からの借入金のあつせんというようなことも努力して、できるだけ真空式に改造するというような方針で進んでおります。賠償価格の点で考えるということにつきましては、相当困難ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/35
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036・三宅則義
○三宅(則)委員 私は本年の五月七日の日に質問いたしました。ここにその速記録がありますが、私の構想といたしましては平がま製塩に対しましては約一万四千四百円の賠償価格、蒸氣式につきましては約一万三千四百円の賠償価格、真空式の製塩に対しましては約一万二千三百円の賠償価格がよかろう、こういうことで発案いたしております。これに対しまして親切な答弁を原田長官はされておりましたが、その後今の説明によりますと、石炭の供給が楽になつたからやめたというような御答弁であります。しかし私はこの全国の平がまに対しまして、ある程度差別をつけてもよいのではないか、こういう構想がありますが、全然今日の政府当局にはこのような構想はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/36
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037・冠木四郎
○冠木政府委員 塩の主産を担当して参ります大蔵省なり公社といたしましては、そういう考えもあるわけでございますが、しかし物価庁なり関係方面なりの意向といたしましては、そういう同一商品について価格をかえという点については相当難色がございまして、そう簡單にはなかなか参らぬのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/37
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038・三宅則義
○三宅(則)委員 私はこの平がま製塩に対しまして、真空式とかあるいは蒸氣式に転換するためには、およそ一万円ほどかかるということを聞いております。しかしてそういうふうな厖大な資金を政府が融通し得られるものであるか、得られないものであるか、そういう点もひとつ伺いたい。なお二、三点で終りにいたしまするから御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/38
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039・冠木四郎
○冠木政府委員 蒸氣式なり、平がま式なりを真空式に改造するという点につきましては、確かに相当の設備資金がかかります。それで現在專売公社ではその改造に相当努めておりまして、最近におきましても三、四件銀行からの借入れがまとまつたというようなものもございまして、かなり順調に進んでおるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/39
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040・三宅則義
○三宅(則)委員 しようのうにつきましては、前は台湾がありまして相当の生産ができたと思いますが、近ごろではどういうことになつておりましようか。需要も相当あると思いまするが、それに対する供給状態はいかがでございましようか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/40
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041・冠木四郎
○冠木政府委員 しようのうの生産につきましては、現在の設備の能力から言いますと相当あるようでございますが、ただ原料でありますくすのきの量があまり多くございませんで、現在は年にしようのうと、それからしようのう油を合せまして三千トンの生産計画を定めておりますが、現在のくすのきの量から言いますと、現在の計画で行つても大体二十五年で原料がなくなるというような状態になつておりますので、生産をこれ以上ふやすということは困難かと思います。原料の点につきましては、くすのきの植林を奨励いたしまして、相当努力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/41
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042・三宅則義
○三宅(則)委員 そういたしますと、衛生面あるいは防腐ということにつきまして、しようのうも必要だろうと思いますし、これに対しましても相当に需要があるべきものと確信いたしておりますが、これに対しまする援助の方法とか、植林の方法とかいうものがもしわかりましたならば、先ほど申し上げましたタバコに関しまする件と、次には塩に関しましての各地におきまするところの生産量、もしくはそれが真空式であるか、蒸氣式であるか、平がま式であるか、こういうものの内訳内容並びにしようのうに関しまするこれらの事柄を、書面でけつこうですからガリ版にでもいたしまして、わが大蔵委員に配付せられたいと思つております。
次にもう一つありまするが、簡單ですからお答え願いたい。專売公社に対しまする現金の流通であります。これは日本銀行を通してやるということにも聞いておりますが、もちろん市中銀行を通してもけつこうであると思いますが、その辺の実際上の取引状況をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/42
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043・冠木四郎
○冠木政府委員 專売公社の現金につきましては、現在のところは国庫金の取扱いの例によつておりまして、全部国庫に流入するということになつております。今度の改正案ではその点につきまして、やはり原則としては国庫に流入する。しかし特に必要なる場合には市中銀行なり、郵便局なりを使うことができるというようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/43
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044・三宅則義
○三宅(則)委員 專売公社は、その重要なる財産を譲渡もしくは交換するときには国会の議決を経なければならぬ。これは当然でありまするが、こういうようなことは非常に重大な問題になるわけであります。大体の年次の経営状況については議決は経ないけれども、しかし決算の内容等については当然毎年国会にこれを提出せられて、議決を経るようにせられるのが当然であろうと思いますが、もしその構想がありましたならば承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/44
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045・冠木四郎
○冠木政府委員 公社の予算も国会の議決を経ることになつておりますから、その際に当然事業計画等が国会に出て来るようになると思います。それから決算の点につきましても、この改正案にございますように、国会に出すということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/45
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046・三宅則義
○三宅(則)委員 たいへん長い質問をいたしましたがこれで終ることにいたします。要すると專売公社というような代表的な公社におきましては、その命令系統とこれを受けます立場におります者とがしつくり行つておるかどうか。たとえて言うと民間等においては、社長の言がずつと従業員まで徹底することになつておりますが、この公社につきましてはそういうふうに総裁の言というか、命令というか、構想というものがずつと下々の各末端にまで滲透いたしまして、真に国家の事業を行うのであるという精神に徹底して、そうして業務の改善なりあるいは持分の発展なりに、強力な努力をせられたいと思つておるのであります。はなはだ長い時間をとりまして恐縮でありましたが、民間人におきましてはこれらについて相当関心を持つておると思いますから、特に監督官庁である大蔵省はもちろんのこと、係官におきましても親切に熱心に丁寧に物を運んで、そうして模範的な公社たらんことを私は切に希望いたしまして質問を打切ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/46
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047・小峯柳多
○小峯委員長代理 お諮りいたしますが、日本專売公社法の一部を改正する法律案に関する質疑はなお続けることにいたしまして、この際旧軍関係債権の処理に関する法律案を議題といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/47
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048・小峯柳多
○小峯委員長代理 御異議なければこれから旧軍関係債権の処理に関する法律案を議題といたします。本案に関しましては関係方面の意向もありますので、法制局長の意見を徴したいと存じますが、法制局長に発言を許可するに御異議ありませんか、
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/48
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049・小峯柳多
○小峯委員長代理 御異議なしと認めます。法制局長の発言を許します。入江法制局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/49
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050・入江俊郎
○入江法制局長 ただいま議題となつております旧軍関係債権の処理に関する法律案につきまして、関係方面から若干の意見の提示が国会側に対してありましたので、これをお伝え申したいと思います。
去る五日の午前に司令部のリーガル・セクションから私に来てもらいたいというので参りましたところが、担当官のスミスという人がこの法律案について若干の意見を申し述べたのであります。この法案は司令部としては国会に政府が提出することをOKしたけれども、それに対してなお各関係部局で意見のあるときには国会側にそれを申し入れて、国会で自主的に考えてもらうという扱いになつておるから、この法案についてもその趣旨で二、三の意見を申し上げる。これは好意ある勧告であつて決して命令ではないから、国会においてとるべきところは十分とつて、よい法律をつくつてもらいたいということでありました。その要点は三点ございまして、この法律の第一條でございますが、ここに「旧陸軍省、海軍省及び軍需省に係る国の債権」と書いてございまして、この債権の範囲が非常に茫漠としておる。この法律を読んでみるとあらゆる債権がここに入つて来るような氣もするので、非常に明確を欠くから、この債権かどういう債権であるのかというふうな質問がありまして、これにつきましては、これは戰争中の物品の製造等の契約について、終戰による契約の解除のために生じた現金拂い、概算拂い等の返還請求権であるとか、あるいは戰争中または戰後に政府から拂い下げた軍需品の代金請求権であるとか、誤拂いによる返還請求権であるということを申しましたら、そういうことであるならば、そういうことがはつきりするように書くことの方が望ましい。さもないと、非常に広い範囲の債権であるように見えて、主務大臣がいろいろと行政の作用でこれを処理するということになつて、どうもおもしろくない。国会においてこの法律でその範囲を明確にするということが、やはり国会として必要であろうと思うというふうなことを言つておりました。これが第一点であります。
第二点は第一條第二項で「大蔵大臣の定める利息を附さなければならない。」とありまして、これは納付期限等を延期したり、分割納付等をさせる場合に、利息をつけさせる規定でありますが、これを一見すると、個々の人に対して大蔵大臣が自由かつてに利率をきめ、甲の者には五分、乙の者には一割というふうなことをきめられるのかというような質問がありましたので、これはそういう趣旨ではないので、一律に市場金利を勘案して大蔵大臣がきめるという趣旨であるというふうに申しましたところが、そういう趣旨ならばけつこうであるけれども、これでは一見してどうもそう読めない。むしろ大蔵大臣が個々の場合にかつてに利息の率をきめることができるようになつておるので、立法として非常に不適当であるし、またわかりにくいから、そういう趣旨をはつきり書くようにひとつ考えてもらいたいというふうなことがございました。
この一点、二点は趣旨として原案の趣旨と同じことを向うが言うのであつてただこれは法律技術上さらに明確にする方がいいという点でありますから、これはできればさようにするのもけつこうだと思うのでありますが、第三点はやや実質に関係しておりまして、第五條の規定に関連するのであります。この法律で債権の確定をする手続に、まず債務者に対して債務の承認を求めるというふうな手続がきまつておりますが、これの第五條第三項におきまして、相手方が住所または居所が不明の場合には、公告をもつて政府から意思の表示をする。それで、その公告は官報にこれを公告する。そして公告をした日から二週間を経過すると、相手方に到達したものとみなすとなつておりますから、相手方が全然いなくても、官報に公告があると二週間目にその書面が相手方に到達したことになつて、相手方がそれに対して何らの異議を述べないと、それで債権の内容が確定するというふうに、この五條ができておるのであります。これについて担当官の意見は、相手方が全然いない場合に、一方的にかような決定をすることは非常に妥当も欠く。しかももし相手方が不在の場合に、その者の財産が国内にあるという場合には、この七條の規定で、相手方がいなくても滞納処分ができますから、そこで滞納処分をして財産を換価してしまう。後になつて八條の規定等があつて訴訟を起す道はあるけれども、財産を全部処分してしまうというようなことは、相手方の意思をまつたく無視することになるので、さようなことは非常に妥当を欠くから、これについてはよく考えてもらいたい。こういうふうな債務は相手方がいない以上は、相手方が出て来るまでこれをペンディングしておくことが、最も正しいのだと思うということを言つておりました。この第三点は、向うはこれを強く主張しておつたのであります。この第三点は原案によつて行くのがいいか、今の意見で行くのがいいかということは、やや実質にも関係しておりますので、委員会におきまして十分お考え願いたいと思う次第であります。
そのほか、こまかいことを言つておりましたが、大体この三点についてひとつ委員会において考えて、国会で最もいい法律をつくつてもらいたい念願を持つておるということでございましたので、一応御報告申し上げまして御参考にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/50
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051・小峯柳多
○小峯委員長代理 ただいまの入江局長の説明に対して何か御質疑がございますか。——ただいまの入江法制局長の御発言を了承することにいたしまして、本委員会としてもこれを参考として善処いたしたいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/51
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052・中野四郎
○中野(四)委員 この際私は資料を要求したい。すなわち一、戰争中の物品の製造等の契約について、終戰による契約解除のため生じた前金拂い、及び概算拂い金額の返還請求権に基く債権、それから二、戰争中及び戰争後拂い下げた軍需品の代金請求に基く債権、三、以上各号の契約に基く誤拂いによる返還請求権に基く債権、これに対して現在約十六億四千万円程度あるとして、件数が八千八百件あるとしてありますが、この明細なる資料をすみやかに提出していただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/52
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053・小峯柳多
○小峯委員長代理 承知いたしました。旧軍関係債権の関係では政府委員を招集しておりません。それに一時から総理の演説がありますから、ちよつと早いですが、本日はこの程度でやめたいと思います。
次会は明九日午後一時から開会いたすことにいたしまして、本日はこの程度で散会いたします。
午前十一時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X00519491108/53
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