1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月十七日(木曜日)
午後一時三十分開設
出席委員
委員長代理理事 前尾繁三郎君
理事 北澤 直吉君 理事 小山 長規君
理事 島村 一郎君 理事 川島 金次君
理事 林 百郎君
江田斗米吉君 岡野 清豪君
佐久間 徹君 苫米地英俊君
中野 武雄君 西村 直己君
三宅 則義君 宮幡 靖君
田中織之進君 河田 賢治君
深澤 義守君 中野 四郎君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
出席政府委員
大蔵政務次官 水田三喜男君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 佐藤 一郎君
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
委員外の出席者
專 門 員 黒田 久太君
專 門 員 椎木 文也君
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本日の会議に付した事件
所得税法の臨時特例等に関する法律案(内閣提
出第三三号)
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三四号)
織物消費税法等を廃止する法律案(内閣提出第
三五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/0
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001・前尾繁三郎
○前尾委員長代理 ただいまより開会いたします。
一昨十五日本委員会に付託に相なりました所得税法の臨時特例等に関する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、及び織物消費税法等を廃止する法律案の三法案を一括議題として、まず政府の説明を求めます。池田勇人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/1
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002・池田勇人
○池田国務大臣 ただいま議題となりました所得税法の臨時特例等に関する法律案外二法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
政府は、昭和二十五年を期して、さきに公表を見ましたシヤウプ税制使節団の勧告の基本原則を尊重し、さらに、これに適当と認められる調整を加えて現下のわが国財政経済の実情に即応した国税及び地方税を通ずる税制の全面的改正を行い、国民の租税負担の軽減合理化をはかる考えであります。この全面的な税制改正案につきましては、目下愼重に検討中でありますが、今回の補正予算の編成に際しましては、右の税制改正の一環として、国民租税負担の軽減及び適正化に資するため、さしあたり、給与所得に対する所得税の源泉徴收について暫定的に軽減を行い、間接税につきましては、運賃、物価の改訂等の関係を考慮し、昭和二十五年一月を期し織物消費税及び取引高税を廃止し、物品税について適当と認められる改正を行うとともに、清涼飲料税を物品税に統合することといたしました。
まず所得税につきましては、これが根本的改正につき目下検討いたしているのでありますが、なおその内容が確定いたしておりませんので、昭和二十五年一月一日から同年三月三十一日までの支給にかかる給与に対する所得税の源泉徴收につき、暫定的に軽減を行う特例を設けることといたしたのであります。すなわち、とりあえず基礎控除を年二万四千円、扶養控除を所得控除年一万二千円、勤労控除を百分の十とし、また税率は課税所得金額五万円以下の金額百分の二十から始まり、三十万円を超える金額百分の五十五に至る超過累進税率とし、これを基準として負担の軽減をはかることといたしました。これがため給与の金額並びに扶養親族の有無及びその数に応じ、所得税法別表第二源泉徴收額表の月額表甲欄または日額表甲欄に掲げる税額から、それぞれこの法律の別表に定められた一定額を控除した税額により、源泉徴收することといたしたのであります。これによりまして、勤労所得者、特に扶養親族の多い世帶の租税負担は相当軽減されることとなるのでありまして、たとえば扶養親族三人の月收一万円の勤労所得者について見ますると、現行の千百九十五円の負担が三百九十五円だけ軽減されて八百円の負担となり、また扶養親族四人の月收一万五千円の勤労所得者の負担は、現行二千六百九十一円が九百八十円だけ軽減されて千七百十一円の負担となるのであります。
次に、政府は課税の適正化をはかるため、正確な帳簿の記載に基く青色申告書の制度の実施を考慮いたしましてさしあたりその準備的な措置として、今回法人または事業所得等を有する個人が、所得の計算に関して備えつける帳簿について、その記載事項等を定めることとし、右の帳簿を備えつける者は政府に届け出ることとしたのであります。
次に物品税でありますが、本税は、必ずしも適当でない物品を課税の対象としており、またその税率も現在の社会生活の実情に照して妥当を欠くと認められる点もありますので、課税物品相互間の権衡等を考慮し、政府は今回の税制改正の一環として物品税の大幅な改正を行うことといたしました。すなわち、日常生活上必要性の比較的多いと認められる物品、たとえばくつ、はきもの、かさ、メリヤス製品、緑茶、びん、カン詰食料品、歯みがき等及び文房具、身辺用細貨類等の一部、並びに主として事務用に供せられる物品、たとえば計算機、謄写器、タイプライター、事務用品等を課税物品から除外いたしました。また化粧品、サツカリン、嗜好飲料、紅茶、扇子、ラジオ聽取機、ミシン、紙、セロフアン、マツチ等に対する税率及びあまりに高率と誌められる第一種甲類及び乙類の税率を相当程度引下げ、新たに従価一割の税率を設けることといたしました。なお清涼飲料税は今回これを物品税に統合し、税率を相当程度引下げて課税するとともに、他面じゆうたん、窓かざり等の比較的高級と認められる装飾用及び調度用の繊維製品に対して、適度な税率で課税することといたしました。さらに現下の取引の実情に顧みまして、物品税の納期の調整をはかることとし、納期を一箇月延長することとしております。
次に、織物消費税及び取引高税につきましては、その性質並びに歳出の状況等にかんがみまして、今回これを廃止することといたしたのであります。
以上各法律案につきその大要を申し上げたのでありますが、今回の税制改正による減收額は源泉徴收の所得税において約五十六億六千六百万円、物品税において約二十三億八千百万円、織物消費税において約二十五億九千二百万円、取引高税において約九十二億五千六百万円、清涼飲料税において約一億七百万円でありまして、合計約二百億二百万円に逹するのであります。他面、本年度予算の租税及び印紙收入の予算額五千百四十六億六千万円に対し最近における経済誌情勢の推移、徴收の状況等を勘案いたしまして、総額において約二百十三億円程度の自然増收を見込みましたので、右に申し上げました税制改正による減收額と通算いたしますと、本年度の租税及び印紙收入の総額は五千百五十九億円程度と相なるのであります。
何とぞ御審議の上すみやかに御賛成くださいますよう、切望してやまない次第であります。
〔前尾委員長代理退席、島村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/2
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003・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいま池田大蔵大臣からこの所得税法の臨時特例等に関する法律案外二法律案の提案理由の説明がありました。この問題はシヤウプ勧告案によりまして、たいへんな厖大な法案であると思いますが、本日は他にも用があると聞いておりますので、大臣に対する質問その他は明日に延期いたしまして、本日はこの程度において散会せられんことを望みます。
但し申し上げたい事柄は、物品税等につきましてはただいま池田大蔵大臣が御説明になりましたように、たいへん妥当でないものもありますからして、はなはだ恐れ入りますが事務当局にお願いしたい。一から九十二、第二種が四つありますが、その一々、でき得べくんば一から九十二までに至りますところの、各種の税金の取上げる高がわかりますれば、まことにけつこうであると思います。なぜならばそれによりまして実際どのくらいの税金が減るか、ふえるか。あるいはどれをかげんしたらよろしいかということがわかるのであります。恐縮でありますが、事務当局を督励されまして、一から九十二までに至りますところの各種別の物品税の納入金額等がわかりましたならば、資料として明日出していただきたいと思います。もし明日できなければ明後日でもけつこうですが、なるべく早い機会にこれを提出して、審議の上に便ならしめられんことを期待してやみません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/3
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004・島村一郎
○島村委員長代理 ただいのま三宅君の資料の要求に対しましては、大蔵当局と話合いまして、できるだけすみやかに御提出願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/4
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005・林百郎
○林(百)委員 大臣がお急ぎですから、簡單に事務的なことだけ……この審議の便宜のために、ちよつとお聞きしたいのですが、われわれとしては吉田内閣の日ごろの公約もありまして、この国会に大体税制の根本的な改正案が出ると思つていたわけですが、ただいま大臣の識別がありましたように、大体三法案が出されたわけであります。そこでこの三法案だけとりあえず出された理由と、それから根本的な税制改革については、大体今どの程度になつておつて、これが来国会なら来国会、あるいはいつごろならいつごろに根本的な財政についての提案ができるか、そういう事務的なことを説明していただきたい。これはわれわれ当委員会としても大臣の出席を求めて、シヤウプ勧告に基く政府のその後の関係方面との交渉、その後の政府の立案等をお聞したかつたのですが、大臣も病気などでお見えにならなかつたのですから、忙しいとは思いますが、大体の見通しだけを当委員会として聞いておいて、なお三法案の審議の参考にもしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/5
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006・池田勇人
○池田国務大臣 シヤウプ使節団の勧告に基きまするわが国の租税制度の改正につきましては、ただいま検討を加えておるのであります。御承知の通りこの租税制度は歳入歳出の予算と重大なる関係がございますので、来年度の歳入歳出の予算を出しますときには、一緒に税法の改正案を出したいと思います。従いまして今回の補正予算の提出にあたりましては、さしあたりこの程度の税制改正で今年度の歳入歳出がまかなえるという考えで、今回はこの三法案にとどめた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/6
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007・林百郎
○林(百)委員 そうすると昭和二十五年度本予算の提出と同時に、税制に対する根本的な改正案をお出しになるということになりますと、大体来年の何月ごろということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/7
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008・池田勇人
○池田国務大臣 今、日にちをはつきり申し上げるわけには行かないのでありますが、予算案並びに税制案は最も重要な法案でございますので、できるだけ早い機会にお出しする考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/8
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009・林百郎
○林(百)委員 そうすると、とりあえずこの三法案だけを国会にお出しになつた経緯、並びに政府の意図はどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/9
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010・池田勇人
○池田国務大臣 ただいま申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/10
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011・島村一郎
○島村委員長代理 三宅則義君の動議をお諮りいたします前に、この際御報告しておきます。
税法三案に関する公聽会開会の件につきましては、本日議長の承認がありましたので、来る十一月二十一日より税法三案についての公聽会を開会することといたします。なお公述人の選定につきましては、昨日の委員会におきまして、委員長並びに理事に御一任願つてありますので、早急に選定いたすことにいたします。
三宅君の御動議は、本日はこの程度において散会を希望しておられます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/11
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012・島村一郎
○島村委員長代理 御異議ないものと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604629X01119491117/12
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