1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月二十三日(水曜日)
午前十一時九分開議
出席委員
委員長代理理事 神田 博君
理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君
理事 村上 勇君 理事 有田 喜一君
理事 川上 貫一君
阿左美廣治君 今村長太郎君
岩川 與助君 門脇勝太郎君
高木吉之助君 多武良哲三君
中村 幸八君 福田 一君
加藤 鐐造君 坂本 泰良君
高橋清治郎君 田代 文久君
圖司 安正君
出席国務大臣
通商産業大臣 稻垣平太郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 宮幡 靖君
資源庁長官 進藤武左ヱ門君
委員外出席者
專 門 員 谷崎 明君
專 門 員 大石 主計君
專 門 員 越田 清七君
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十一月二十二日
委員福田篤安君辞任につき、その補欠として龍
野喜一君が議長の指名で委員に指名された。
十一月二十一日
産業設備営団法及び交易営団法廃止する等の法
律案(内閣提出第七号)(参議院送付)
帝国石油株式会社法の一部を改正する法案(内
閣提出第八号)(参議院送付)
帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案(内
閣提出第九号)(参議院送付)
帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一〇号)(参議院送付)
日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一三号)(参議院送付)
同月十九日
電気事業再編成に関する請願外一件(赤松勇君
紹介)(第九六五号)
蹴上発電所復元に関する請願(高木吉之助君外
三名紹介)(第九八二号)
助産婦等に業務用必需品配給の請願(吉田省三
君紹介)(第九九五号)
ネオガスロンの増産及び普及に関する請願(庄
司一郎君紹介)(第一〇一七号)
松尾鉱石山の鉱毒対策国庫補助の請願(山本猛
夫君紹介)(第一〇三一号)
自動車の輸出促進に関する請願(春日正一君外
一名紹介)(第一〇五二号)
電源開発等に関する請願(石野久男君紹介)(
第一〇六九号)
自動車産業に対する月賦販売資金融通の請願(
春日正一君外一名紹介)(第一〇七四号)
同(田中織之進君外一名紹介)(第一〇七五
号)
同(三宅則義君紹介)(第一二二一号)
舞鶴市に競輪場設置に関する請願(大石ヨシエ君紹
介)(第一〇八九号)
廣畑製鉄所再開促進の請願(河本敏夫君紹介)
(第一一九八号)
の審査を本委員会に付託された。
商工会議所法制化の陳情書
(第二三一号)
中小企業に関する陳情書
(第二六一号)
物資の割当に対する手数料の徴収関する陳情書
(第二七九号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の
法律案(内閣提出第七号)(参議院送付)
帝国石油株式会者社法の一部を改正する法律案
(内閣提出第八号)(参議院送付)
帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案(内
閣提出第九号)(参議院送付)
帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一〇号)(参議院送付)
日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一三号)(参議院送付)
日英通商協定大概に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/0
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001・神田博
○神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。
前会に引続き私が委員長の職務を行います。ただいまより一昨二十一日本付託となりました内閣提出、参議院送付の産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案、帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案、帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案、帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法案、日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、以上五法律案を一括議題として、討論に付しましす。討論は通告の順序によつてお許しいたします。小金義照君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/1
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002・小金義照
○小金委員 まずただいま一括して議題となりました五つの改正法律案について検討いたしてみますと、そのうち産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案は、四箇条からなつておるのでございまして、すでにその機能を停止しておる営団の停止時期を明確にするということにとどまつております。しかしながらこれもまたわが国の経済界において、あるいは産業方面に関連いたしまして、営団方式を整理するという意味において相当な意味がありますが、これについては別段異存もございませんので、賛成の意を表するものであります。その他の案件について見ますと、ごくわずかな一、二条の規定を改変または削除するというような程度にすぎない、形式上はきわめて簡單な、軽微な法律改正のように見えるのであります、しかしこれらはいずれもきわめて重大な要素を包含しておる重要な案件であると考えられるのであります。これらの改正法律案はいわば非常に大きな氷山の頭がちよつぴり出ておるとでも言うにすぎないのでありまして、その実体は、あるいはその内容は実に大きなものを包含しておるのであります。言葉をかえて申すならば、これらの改正法律案に方向指示器のようなものでありまして、そのさし示しておるところの方向には、重大な示唆が含まれておるのであります。戰前、戰時の誤れる、あるいは行きすぎた産業あるいは経済に関する諸般の政府が、戰後大転換をいたしまして、平和的な、国内的な自立体勢へ、さらに国際経済への参加という方向に一歩を進める具体的な施策であり、また国家的な統制主義のからを破つて、自由、自主への飛躍の第一歩であると見られるのであります。かかる転換期に際しましては、また幾多の困難と摩擦が生ずるのであります。これらの諸般の情勢を考慮に入れまして、以下逐次案件ごとに論旨を進めて参りたいとと思います。
まず帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案について、私は民主自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。由来わが国は地下資源、特に近代の国家及び国民経済の運営上絶対の必需品であるところの石油の資源に、十分に惠まれおらないのでありまして、その大部分はこれを海外から輸入しておるありさまでありますが、北陸、東北、北海道の各地域にはまだまだ相当の埋蔵量があるものと推定せられております。従つてさらに精密な地質調査を行い、その開発を誤らなければ、現在の採油の量は相当程度なお増大することさえ十分可能であると考えられるのであります。帝国石油株式会社は、いわゆる特殊会社法に基く特殊会社でありまして、わが国の大部分の石油鉱区を所有いたしておりまして、その開発の任務遂行を直接担当いたしておる最も重要な機関であります。帝国石油株式会社法は政府の半額出資主義をとつておりまするが、このたびまず政府は従来の半額出資の原則に応じがたい情勢にあること、次に財政收入の確保をはかる必要のあること、この二つを理由として法律の一部を改正して政府の出資義務を解除し、かつ政府所有の株式処分することができるように、本会社の資本金に関する規定を削除するものであります。なお本会社に対する政府の今後の施策は、石油鉱業全般の基礎の上に立つて考慮し、石油鉱業の特殊性に基く保護助長を構ずることとし、この帝国石油株式会社はいずれこれを廃止するのであるということを、明確に表明しておるのであります。そもそもわが国のような資源状況の国における石油鉱業の経営には、いろいろの困難が伴うものでありまして、一概にこれを無計画に野放しにするというようなことは、たとい基本法であるところの鉱業法の規制があるといたしましても、あるいは濫掘の弊を生じ、あるいはまた未使用資源の開発を妨害する等の国民経済上のおもしろからぬ現象が生ずるおそれがありまして、ひいては日本再建のテンポを誤らしめることなきを保しがたいのであります。この帝国石油株式会社法は、戰時体制の一環をなしたものでありまするから、一切の軍備を放擲して平和な自由主義日本を再建せんとする産業政策の見地からすれば、当然廃止の運命をたどるべきものでありましよう。本改正法律案は賛成するべきもでありまするが、上に述べました諸般の事情を総合いたしまして、次に条項を強く政府に要請いたすものであります。
第一 政府の所有株式を処分する際には、みだりに国庫に損得を與えないこと。
第二 証券市場を圧迫しないこと。
第三 日本の石油資源の実績と石油採掘事業の実態とを十分考慮に入れて、資金、技術、資材及び労働力等の獲得について必要な措置を講ずること。
第四 地下資源の調査及びその開発の基礎については、さらに一層科学的な施設を講ずること。
以上四点であります。
その次に帝国燃料興業株式会社を廃止する法律案について、民主自由党を代表いたしまして賛成いたします。帝国燃料興業株式会社は、いわゆる特殊会社法による強力な監督と助成とを政府から受けるところの半官半民の特殊会社でありまして、直接人造石油製造事業を営み、これと並行して人造石油製造事業に投資あるいは融資を行うものであつたのでありまして、豊富ならざるわが国の液体燃料の増産を使命として来たものであります。戰争を経ましてポツダム宣言を受諾し諸般の情勢はここに一転いたしまして、この特殊会社は解散することになりましたから、本法はしかるべくすみやかに廃止せられるのが当然のことであります。ただ液体燃料には平和的な国家におきましても、産業上、交通上はたまた国民経済上もその重要性を減少するものではないのであります。そこで本会社法がねらつておつたような液体燃料製造事業は打切られたといたしましても、石油資源の開発を促進するとか、また電源の開発をすみやかに行うとか、あるいはまたアルコールを燃料とする諸般の施策をすみやかに遺憾なくこの際特に考慮していただきたいのであります。
その次に帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案について、これまた民主自由党を代表いたしまして賛成をいたすものであります。本会社もまた特殊会社法に基く特殊会社でありまして、政府の強力な監督と助成のもとに、重要鉱物の増産と鉱業及び精錬業の発達整備をはかる半官半民のいわゆる国策会社の一つであります。再建整備計画が認可されまして、帝国鉱業開発株式会社は解散されることになつた、そうなれば本会社法も当然廃止せられる運命にあるのでありますが、当面さしあたつて財政收入の確保をはかるために、政府所有株式を至急処分する必要があつて、また政府の出資金をこの際解除しておくというようなことから、本改正法律案が提出せられるのは当然のことと思われるのであります。しかしながらこの場合におきましても、まず第一に株式の至急処分ということを、特にうたつておるのでありますが、この至急処分によつて証券界を圧迫するとか、ないしはわが国鉱業界に異変を起こすようなことがないよう万全の考慮を拂つてもらいたい。その次に本会社法を改正して、あるいは本法を廃止しても、わが国の鉱物資源の開発の重要性は最も減少するものではないのであります。これらの事情からまず第一に、金、それから銀、銅、鉛、亜鉛、硫黄その他の鉱物の関する地質調査、炭鉱開発等におきまして資金、技術、資材、労力等について、これまた具体的な善処を希望するものであります。
その次に日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案について、これまた民主自由党を代表いたしまして、賛成の意を表するものであります。
わが国の産業経済は、特に、日華事変以来国家権力による統制主義に著しく片寄つてきたのでありますが、敗戰後日本再建に際しまして逐次国際経済に参加し、従つて国家統制主義の理念を脱却して、産業経済界の自主性をとりもどしつつある現段階におきましては、日本製鉄株式会社の二分割案も、また本改正法律案の実施も、当然の施策と言わなければならぬのであります。本改正法律案はわずかに第五条の規定を削除するというきわめて枝葉部分の改正のように見えるのでありますけれども、明治二十九年以来の歴史を有する北九州の官営の製鉄所の実質をこのたび真に実質的な民営に移行変換するものであるのみならず、基礎産業中の最も基礎的な製鉄事業に関する再編成ないしは大転換が実現せられる最も重要なキーポイントをなすものと言わなければならぬものであります。言わば前段に述べたように、氷山の一部が頭を出しておるのにすぎないものであります。由来製鉄業という基礎産業は、企業自体が非常に大規模でありまして、大きな設備と資本を必要とするものであるのみならず、また実に厖大な関連産業を有するものであります。また従業員の数なども莫大なものに上るのであります。従つて製鉄事業の運営ないしはその成績のいかんは、わが国産業経済の全般に対して、重大な影響を持つものであることを、私は広く国民全部に認識せしめなければならぬものと考えるものであります。私は本案をつぶさに検討いたしました結果、次の強い要請事項をつけまして、本案に賛成するものであります。
要請事項
第一 現在証券市場が沈滯しておる折柄、大量の政府持株の放出は、証券市場を圧迫して、さらに株価を引下げる結果となり、政府所有の持株の処分の目的を十分に達し得ないおそれがある。従つて持株の放出に際しては、市場の情勢を愼重に勘案した上、適当な時期と数量を選ぶこと。
第二 日本製鉄株式会社に対する監督権限には、何ら変更を加えるものではないから、今後においても日本製鉄株式会社のに対して国民経済、資源関係等の見地から、適当な政府指示監督なすこと。
第三 日本の鉄鉱業はなお国家の保護育成を必要とする段階にあるが、その基礎産業たる役割の重要性にかんがみ、技術の向上、合理化の促進、自立態勢の確立等につき、政府及びわが鉄鉱業界が一段の努力をなすこと。
第四 海外の原料あるいは材料の確保については特段の措置を急速に講じて、その現実をはかられたいこと。
第五 鉄道補償金の削減ないし廃止に際しては、物価並びに関連産業への影響、特に輸出に対する影響について愼重に考慮を拂うこと。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/2
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003・神田博
○神田委員長代理 次は加藤鐐造君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/3
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004・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私は日本社会党を代表して、ただいま採決されんとする五法案に対して、意見を申し述べたいと存じます。
まず第一に帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案並びに参議要設備営団法及び交易営団法を廃止する等法律案に対しましては、これは申までもなく臨時体制遂行のために設けられた法案でありまして、すでに解散団体の指定を受け、その機能も停止しておりまする際でありまするから、この法律の廃止には賛成をいたします。ただこの際強く政府に対しまして要望しておきたいことは、これらの法案の機能はすでに停止されておりますけれども、その持つておりました資産というものは、まだ完全に清算されておらないのであります。もしこれが赤字を生じまするならば、国民の負担となるべきこれらの会社の整理につきましては、政府があらゆる努力を傾けて、その赤字を生じないように十分な監督のもとにこの整理を急速に完了しなければならないものであると思います。まだこれが整理が未完了であるということは、はなはだ遺憾であるのであります。しかも過日来の質問による政府の答弁を聞きますると、相当の赤字が出るであろうというようなことを予想されるのでありますが、私は今後これらの整理につきましては、政府が十分な努力を傾けて赤字が生じないように、国民の負担とならないように整理して、できるだけすみやかにあらゆる注意を傾けて清算を完了していただきたいということを、十分に警告を付して廃止には賛成するものであります。
それから日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、帝国砿業開発株式会社法の一部を改正する法律案、帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案に対しましては、一括いたしまして意見を述べたいと思いまするが、結論を申しますと、この三法案に対してましては反対であります。
その理由を簡單に申し上げますると、日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案は、従来の政府出資をやめて、そうして独立の一私企業の経営に移すというお考えでありまするが、私は製鉄事業のようないわゆる日本の産業再建の、また日本ができるだけすみやかに、いわゆる近代的な産業国家として、自立できるような態勢を整えて行きまする上においては、製鉄事業のようないわゆる基本資材を生産する企業は、最も力を注がなければならないものであると思うのであります。従来日本の製鉄事業が長きにわたつて国の強力なる保後と指導をもつて維持して来たのでありますが、ことに戰争以来中心基礎産業として石炭とともに、最も国の援助を仰いで来た企業であるのであります。しかも長きにわたる戰争とその終戰以来の日本の産業の遅々として回復しない状態のもとにおいて、製鉄産業もまたその復興が進まなかつたのであります。ことに他の工業生産に比較いたしましても、その生産復興の状態が非常に遅れておる現実から考えまするときに、これを今ただちに一私企業に移して、しかも政府の考えによりますると、これによつて政府の負担が免れてりつぱにこの製鉄企業は独立してやつて行かれる、こういう考えは非常な誤算がありはしないかと思うのであります。
わが、日本社会党といたしましては、こうした日本の産業復興のために最も重要なる地位を占めておりまする製鉄企業のごときは、この際全体的な国営に移して強力なるところの政府の力、国の力をそこに注いで急速なる生産復興をはかるべきではないかと考ええておるのであります。従つてこの際製鉄企業を一私企業に移して、その生産の復興と将来の発展が期し得られるという政府の考えが、根本的に間違いであることを指摘すると同時に、この法律に対しましては断固として反対せざるを得ないのであります。
それから帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案も、大体同様の趣旨で反対をいたすものでありまするが、終戰以来日本の基礎産業の中で、最も遅れておつたのは鉱物資源の開発であつたと思のであります。従来の政府の鉱物資源開発に対する態度を見て参りましても、いろいろやむを得ない事情があつたと申しながら、石炭にのみを重点を置いて、いわゆる近代的な産業形態を確立する上において必要なるところの、他の鉱物資源の開発に対する指導育成ということが、ほとんど見られなかつたのであります。従つて現状におきましては、この鉱物資源の増進ということが、いまだ遅々として進まない現状にあるのであります。従つてこの帝国鉱業開発株式会社の持つておる使命というものが、非常に重大であるのでありますが、それをこの際政府のいわゆる援助という形を一切やめてしまうというようなことは、やはり日本製鉄株式会社法の場合と同様に、将来のいわゆる鉱物資源の開発の上に、重大な支障を来すのではないかというふうに考えて、反対をいたすものでございます。
それから帝国石油株式会社法の一部を改正する法案も、同様の趣旨でございますが、特に日本の石油資源の非常に貧弱であることは申すまでもないのでありまして、この石油資源の開発ということは、最も力を注がなければならない問題でありまするが、従来石油資源の開発につきましては、日本の資源の調査の中で、最も遅れておつたものであると思うのであります。従つて今後石油資源の調査を至急に十分にいたしまして、そうしてその開発をはかるということは、これまた非常に重要な問題でありまするが、今この帝石会社を独立会社にするということは、地下資源の開発を十分にするという上から考えましても、またできるだけ石油資源の開発をするという点か、考えましても、非常な支障を来すものであると思うのであります。そういう点からこの法案に対しましても、反対をせざるを得ないのであります。
以上はなはだ簡單でございまするが、日本社会党の態度を明確にいたしまして、意見を申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/4
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005・神田博
○神田委員長代理 次は有田喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/5
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006・有田喜一
○有田(喜)委員 私は民主野党派を代表いたしまして。ただいま上記の廃止二法律案並びに改正三法律案に対しまして、賛成の意を表しますとともに、以下若干強き希望をこの際申し上げたいと思います。
まず石油の問題に対しましては、政府は国内石油資源開発に一段と努力を払われ、助成政策の強化をはかられたきこと。なお石油鉱業に対する根本的国策を確立され、同時に外国よりの輸入に対しては、原油輸入に重点を置かれるとともに、わが国船舶の利用に対して格段の努力を払われ、なおわが国の精油工業の整備改善に一段と努力を払われたいのであります。なお石油の配給に関しましては、一層これが適正を期せられ、なかんずく船舶ことに機帆船燃料油の増配給について、一層の努力を払われましては、この面より来るところの中小企業ため機帆船企業の萎靡沈滯なからしめるように、努力せられたいのであります。
次に鉄鉱の問題につきましては、政府は鉄鉱石及び粘結炭の輸入は、可及的東亜地域その他近まわりよりの輸入に配慮せられ、またわが国船舶の活用につきましても、一段と努力を払われ、なお製鉄技術の向上と技術改善による合理化を一層促進され、金融の措置につきましても、万全を期せられたいのであります。また急激なる補給金の削減はこれを避けられて、民営による企業の合理化によつてカバーされる限度に、漸進的に補給金の削減をはかられ、鉄鋼価格の値上げは極力避けていただきたいのであります。なお共通する問題でありますが、株式の処分に当られましては、国庫に損害を及ぼさないように措置されることもとよりのこと、証券市場の情勢ともにらみ合わされまして、他の必要産業の増資に支障なからしめるように、特段の注意を払われたいのであります。なお一般重要鉱物に対しては、政府はこれらの開発につき根本的政策を確立されまして、鉱物資源の開発助成に遺憾なきを期していただきたいものであります。技術面による試験的措置並びに技術面による合理化に格段の努力を払われ、特に同その他の有効需要の喚起に内外を通じて格段の努力を払われまして、最近起らんとするところの中小鉱山の閉鎖を招来するがごときことなきよう、労働不安あるいは社会不安を生ぜしめないように、格段の注意を払われたいのであります。
以上簡單でありまするが、ここに嚴重なる注意を喚起し、強き要望を披瀝いたしまして、私の賛成討論といたしたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/6
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007・神田博
○神田委員長代理 次は川上貫一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/7
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008・川上貫一
○川上委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする五つの法案のうちで、日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、帝国石油株式会社法の一部改正及び帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案に反対の意見を簡單に述べたいと思います。
まず日本製鉄株式会社の一部を改正する法律案でありますが、これは一見いたしましたところ、ほんの一箇条の削除というように見えますけれども、その内容は非常に重要なものであつて、日本の鉄鋼業政策の根本的な改革であると思うのであります。すなわち政府のお考えでは、従来国家的な保護と助成によりまして、今日になつたところの日本の鉄鋼業を、今回突如として民営に移す。政府出費を引上げる。同時に近き将来、日本製鉄株式会社法それ自体をも無条件に廃止するというお考えである。これは表面上の理由はともかくといたしまして、その実態は日本の鉄鋼業に対する国家的保護と助成の放棄なのであります。その結果は必ず当面の日本産業の置かれております今の状態から考えまして、日本鉄鋼業の自主的発展その独立的存在というものを失わせる方法であるということは、これは明らかであります。かような政策をとつて参りまするならば、日本の産業の骨格であるところの鉄鋼業は、これは必ずやだんだんと外国依存の移行方式にまで転落するであろうという危險は、これは言うまでもない。これははやがて日本の独立性を放棄する第一歩だと私は思う。ことに日本の産業の骨格であるとこの鉄鋼業に、政府がかような態度をとられるということは非常に危險である。これがわれわれが反対する第一の理由であります。
次にこの改正案は日鉄の分割、民営、それから外資導入、言いかえますと現内閣の外資導入の受入れ態勢、これをつくる法律なのであります。巷間伝えるところによると、日鉄の広畑は吉田総理大臣の側近者の方によつて外資はゆだねられる工作が行われておると言われておるのでありますが、真偽のほどは別といたしまして、そのような風説が出るということそれ自体が、もう吉田さんならやりそうなことだとみんな思つているからこれは出る。(「共産党だけだ」と呼ぶ者あり)ところが違う。ここに日本の時事新報がある。この時事新報をごらんになつてもちやんと出ている。ディロン・リード社によつて民間投資の対象になるものは、只見川及び熊野川開発と開発後の電力会社経営、日鉄廣畑製鉄所の分離独立後における製鉄会社経営と書いてあるのです。これは何も私だけ言うておるのではない、輿論である。こういうことが必ずできるに違いない。現に石油においてはどうであるか。日本石油はその権利の大部分をカルテックスに讓つてしまつてておる。また東亜燃料は株式の五一%を外資にゆだねておるのです。さらに太平洋沿岸の精油施設は、すべて外資関係の会社によつて再開されようとしておる。さらに加うるに日本の石油の販売権はどうであるか。その九〇%までが外資関係の会社によつて抑えれておるじやありませんか。これが石油産業の実情です。しかるに政府は今度は日本鉄鋼業をまたこの通りにしようとしておる。これは日本鉄鋼業を石油産業同様の運命に隠れ、日本産業の脊髄であるものを外国のための産業に転落させる危險の現われであるとわが党は考える。さきに民主自由党のご賛成の演説を聞いておりますと、本法案は民主自由党日本建設の一つであると言われましたが、私は絶対に反対です。かような政策は民主自由日本を打立てる政権ではなくて、自由を放棄した植民地日本をつくる政策であると思う。
第三の反対の理由は、本法律案は国家財政上の必要という口実のもとに、長い間民間の税金によつて盛り立てて来ましたところのこの産業を、すなわち日鉄やあるいは帝石を内外独占資本にくれてやる政策だと思います。そんなことはない、それは政府株を売却するんだ、と言われるでありましようか、しかしこの売却は必ず二束三文でやられるに違いない。現に井華鉱業株の処分に当りましては、大蔵省はその所有株六十万、持株会社整理委員会の所有株八十万をば、一株八十円で売却した歴史がある。この時分の時価は、たしか二百五十円くらいのものであつたと思う。これがいつものやり口である。ことに今日の証券市場並びに日本経済の情勢を考えまするならば、さらに今日の内閣が独占資本に奉仕することを一生懸命やつておられる、これを考えるならば、今の政府がこれをやらぬはずはない。これが本案反対の第三理由であります。
第四は、本法案改正は、基礎産業の国営という世界的な民主的な情勢に、まつたく逆行しておるのであります。こういう逆行する政策をとつておるのは世界の反動陣営である。たとえばイギリスにおいては、これはめる一部の人がこの方向を主張しておる。フランスにおいてもある一部の人が主張しておるのでありますけれども、これは世界の民主的情勢にはまつたく逆行するものである。
第五番目には、この重大なる改革、すなわち国の鉄鋼産業政策の根本的改革というような時分にあたつて、中国、北鮮、ソ同盟の貿易について、全然これを考慮に入れておられない。これは私の独断ではありません。本委員会における宮幡政務次官の答弁によつて、まつたく明らかだ。考えに入れておりませんという答弁をしておられる。なかんずくこの中国貿易は今まですでに産業資本家をも含めまして、およそ日本の経済について考える人間ならば、万人が万人これを望んでおる。また近い将来には必ずこれは実現するものなんです。きらおうときらうまいと必ず実現します。これは国民の奥義であるばかりでなく、世界の情勢である。これをやらなかつたならば日本は決して繁栄もしないし、復興もない。その現実にによつてこそ日本の前途は初めて明るいのであるが、かような問題を少しも考慮に入れないで、日を世界の一方にだけ向けて、この重大な改革を企てるということは、これは無責任というより無見識である。日本の再建を担当する資格がないと思う。自由党の方方も、こういう政府のふんどしばかりかつぐのでなくて、全世界の情勢を少しごらんになつた方がほんとうだと思う。
なおこの帝石の改正案でありますか、これは、わが国のたつた一つの国産石油会社である。これは非常に大事なのです。しかもこの石油会社が今日外油の正道によりてひどい目にあおうとしている。価格の面においても資本の面においても、その他一切の面において外油の圧迫をこうむる。実に国産石油は今日危險な状態に陷る危險がある。こういう場合に、政府はこれをまるで野放しにし、野ざらしにいたしまして、あとは野となれ山となれというような政策を、おとりになるということに、まつたく国産石油の放置であるばかりでなしに、国の産業の独立を放棄してもかまわぬというようなお考えであるように、われわれには考えられるので、絶対反対せざるを得ない。かよう、政策ではなくて、どうしてもこういう産業は、社会党の方からも御主張になつたように、この基本産業を国営化するということが、世界の趨勢であるばかりでなしに、日本再建のほんとうの基礎だと思う。そうしてその上に世界各国との親善互惠、自主的な貿易と相まつて生産を飛躍的に増大し、国内市場を培養するという政策を打立てまして、人民生活の安定を保障する。これをしなければならぬというのがわれわれの考え方でありましで、この三法案について日本共産党は反対なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/8
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009・神田博
○神田委員長代理 これにて討論は終局いたしました。
引続き採決いたします。まず産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案、及び帝国燃料開発株式会社法を廃止する法律案について採決いたします。同案は原案の通り可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/9
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010・神田博
○神田委員長代理 異議なしと認めます。同案は原案の通り可決いたしました。
次に帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案、帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案、日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、以上三案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/10
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011・神田博
○神田委員長代理 起立多数。よつて三案は可決いたしました。
この際、ただいま審査の終りました五法律案の委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/11
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012・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一認をいただいたものと決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/12
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013・神田博
○神田委員長代理 この際、委員の異動についてお知らせいたします。昨二十二日、福田篤泰君が委員を辞任せられまして、新たに龍野喜一郎君が委員になられました。以上御報告いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/13
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014・神田博
○神田委員長代理 ただいま通商産業大臣より、日英通商協定の件について御報告を、申しあげたいとの要望がありますので、これを許します。稻垣通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/14
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015・稻垣平太郎
○稻垣國務大臣 この機会に昨日四時半に調印されました日英の通商協定の大綱について、御報告申し上げたいと存じます。
これはオーストラリヤ連邦、セイロン、インド、ニュジーランド、南アフリカ、その植民地代表、これらとそれから片一方は総司令部の代表によりましてサインされたのでありまして、英国側ではリングマン氏がこれにサインし、司令部の側におきましては、総司令部の貿易担当官がこれにサインしたのであります。
その大綱は、期間は本年の七月から明年の六月末日に至るものでありまして、その金額は輸出入それぞれ五千五百万ポンドであります。もつとも輸出につきましては前年の輸出超過の九百五十万ポンドを差引きますから、四千五百五十万ポンドということに相なるわけであります。そのほかにこの地域以外のスターリング地域の、先ほど申し上げたものに入つておりませんところの、たとえばビルマでありますとか、パキスタン、そういうような地域を含む貿易予定額は、大体二千七百万ポンドということに相なつております。またその他物資の交換と異なる相互間の貿易外貿易の予定額は六百万ポンドということに相なつておりますので、総計いたしまして、その総額が一億四千三百万スターリング・ポンド大体四億ドルということに相なつております。これは昨年の通商協定と比べますると、大体二倍に当つているわけであります。なお品種につきましては、これは大体推定の予定品種でありまして、これに限られるわけではありませんけれども、大体次のようなものを含んでおります。
日本が向うへ輸出いたしまするものにつきしましては、産業関係製品、たとえば琺瑯鉄器、ガラスあるいはガラス製品、陶磁器、衞生器具といつたようなものであります。それから化学薬品及びその関係製品、医療及び保健器具、その医薬及び保健器具の中には化粧用薬品も入つております。医療器具も入つております。それから向うへ出しまする食糧といたしましては、海産品、農産品、カン詰類が入つております。それから手工業品。それから械械製品といたしましては、電気機械及びそれに対するところのインスツルメント、設備、各種機械、そのインスツルメント、それから繊維機械、運輸機械といつたようなものを含んでおります。皮革及びイミテーション、レザー関係の工業用のもの、それから軽機械と申しますか、器具と申しますか、そういうもの、及び金属では農業用器具及び械械、アルミ製品、大工道具、通信設備、測定器、計量器、金属工具、金属製品、こういつたもの含んでおります。木材及び竹、建築資材、建築材料、木材、木製品、それから金属製の日常用品、なべ、かまの類であります。金属鉱産品、紙及び関係商品、ゴム製品、それから纎維製品といたしましては、綿及び綿製品、苧麻製品、人絹及び人絹製品、生糸、毛糸及び毛糸製品、大体こういつたものが輸出の品目の中に入つております。
輸入品目といたしましては、穀類では大豆、ライ麦、小麦、化学製品及び関係製品ではカゼインであるとか、レネットであります。それからアンモニア、硝酸ソーダ、硫酸アンモニア、天然染料、殺虫剤、ロジウム、コロライドといつたようなものが入つております。油脂及びろう、含油原料、それから機械及びその部品、それから金属鉱といたしまして、その中にはボーキサイトでありますとか、あるいはホワイト・ボーキサイト、イルミナイト、あるいは鉄鉱、マンガン鉱、そういつたものが入つております。非金属鉱物では石綿とかアスファルト、黒鉛、カオリン、マグネサイト、マグネシアクリンカー、雲母、石油、塩といつたようなものが入つております。纎維原料では綿花、毛あるいはシサル麻、そういうものであります。それから植物、動物製品といたしましては、にかわ、ゼラチン材、牛の皮、角、骨粉、ハイドカッティングといつたようなものが入つております。それからゴム及び樹脂、アラビヤゴム、コーパルゴム、そういうような種類であります。皮革としては水牛の皮、雄牛の皮、小牛の皮、なめし皮その他であります。なおゴムといたしましては粗ゴム、カッタパチャ、ラテックス、くずゴム、そういうようなものも入つております。なめし材料、化学材料、カツチ、ガムビア、こういうようなものが入つております。木材、紙、ラワン材、籐、動物の毛でありますとか、ボタン用具、海綿、そういつたようなものが入つております。大体そういうようなものが予定された輸出並びに輸入商品であります。
なお今朝英国の代表リングマン氏が見えまして、こういう協定ができたことは非常にけつこうなことであると言つて、お互い握手いたしたのであります。
なおこれは総額を大体予定したとりきめでありますが、われわれが向うから輸入するところの数量、金額がこれを上まわりました場合におきましては、その上まわつただけの額はよけいに輸出できる。こういうことでありまして、これがわれわれの最低目標で、輸出輸入ともにこれに上まわつてできるということであります。ただわれわれといたしましては、今日せつかく協定ができたのでありますから、これを十分活用いたしまして、なおこの予定以上の輸出入額をあげたい。かように考えておりますような次第であります。大体大要御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/15
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016・神田博
○神田委員長代理 本日はこの程度とし、次会は明二十四日午前十時より理事会、十時半より本委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします
午後零時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604793X01119491123/16
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