1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十四年十一月二十四日(木曜
日)
午後一時五十五分開会
—————————————
本日の会議に付した事件
○地方行政調査委員会議設置法案(内
閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/0
-
001・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。
本日の議題は先日に引続きまして、地方行政調査委員会議設置法案の予備審査をいたします。一昨日の委員会で政府当局に要求しておきました、この法律案第二條にあります国家行政組織法第八條第一項の規定に基いて、臨時に総理府の機関として、地方行政調査委員会議を設置するとありますが、その総理府の機関としてというのは、どういう意味であるか、従来政府のいろいろの機関の設置法におきまして、或いは附属機関として、何々を設置するといい、或いは内閣の所轄の下に、臨時に委員会を置くといい、又内閣総理大臣所轄の下に日本学術会議を置くという、又或いは地方自治庁設置法のごときは、総理府の外局として地方自治庁を設置すると、こういうふうにまちまちになつております。これについて政府委員から説明を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/1
-
002・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) お手許に資料として提出をいたしました「地方行政調査委員会議が総理府の機関であるということについて」という刷物に大体の只今お尋ねの趣旨を書いて置きましたのでありますが、これにつきまして概略の御説明を申上げます。
附属機関という言葉の異同ということでありますが、このいずれも国家行政組織法第八條の機関について、この附属機関という言葉が両方共用いられておるのであります。法律上の性格といたしましては、国家行政組織法第八條の機関でありますから、その限りにおいては、特別の差異がないということが言えるのであります。第八條の機関の中には、各省設置法に、大体一覧表で、左の附属機関を置くというようなことで、いろいろ書いてございますが、その中には單なる主務大臣の諮問機関というものもありまするし、或いは調査審議をするための調査機関というものもあります。試験研究機関というようなものもあるわけでありして、これらの機関はいずれも第三條のいわゆる行政を執行するところの行政機関というものではないわけであります。これらの第八條の機関につきまして、一般的に各省設置法におきましては附属機関と呼んでおりまするが、ただ日本学術会議だけは総理府の機関でありますけれども、特に附属機関という言葉を用いませんで、ただ單に機関という言葉を用いておるわけであります。その意味はやはり日本学術会議というものの性格を考えまして、單なる総理府の附属機関というよりも、やはり学問というものを重んずるという見地から、その自主的な性格も尊重いたしまして附属という言葉を特に転したわけであります。その限りでは附属機関というのと表現が違つておりまするし、従つて文字の意味としても多少違つて来るわけであります。地方行政調査委員会議と言いますのも丁度この日本学術会議と同じような考え方で性格といたしましては、国家行政組織法第八條の機関ではありまするが、一般の附属機関と区別いたしまして、單に機関というふうにいたしまして、学術会議と同様な独自的な性格を強く持つものであるということを表わしたわけであります。
それから内閣総理大臣の監督権の範囲でありまするが、これは総理府に置かれる機関であります以上は、当然に総理大臣の監督を受ける機関でありまするが、これは他の国家行政組織法第八條の、各府なり省なりに設置せられます附属機関とその限りにおきましては、特別な違いがないということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/2
-
003・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 尚お尋ねいたしますが、日本学術会議の方は総理府設置法の第十六條に「内閣総理大臣の所轄の下に、日本学術会議を置く。」とこうあるのですからそれと同じものならば、やはりこの会議も内閣総理大臣の所轄の下に地方行政調査委員会議を置くと、こういうふうに書く筈なんでありますが、何故分けて書いたか、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/3
-
004・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) この点も多少その辺のニュアンスがあるわけでありますが、本来附属機関でありますならばかような特別の單行法を設けませんで、総理府設置法の表の中に一欄を設けまして、それで事足るわけであります。総理府設置法の中にこの十五條の第二項にあります「前項に揚げる附属機関の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、他の法律に別段の定がある場合を除くの外、政令で定める。」ということになつておりまして、現行法の建前といたしましては、これは單にこの欄の中に選挙制度調査会とか社会保障制度審議会等と同様の一項を設けまして、後は政令で規定を設ければ現在の一般原則として差支ないことになつておるわけであります。ところが日本学術会議はその点を更に強く、重要なものであるという点を表現をいたしまするために特別の單行法を設けまして、今のような規定を設けておるわけでありますが、この地方行政調査委員会議につきましても同様な趣旨を以ちまして、特に特別の單行法を設くることが適当であろうということで今回提案をいたしたような次第でありまして、その点は他の附属機関よりもやはりこれを重視して考えておるわけであります。ただ今お尋ねのございました、一方におきましては内閣総理大臣の所轄という言葉を使つておりまして、こちらの方にはただ機関としてところ書いてございますが、これはやはり日本学術会議設置法の方は多少国会の御提案になりました関係もございまして、政府提案の法案と字句その他につきましては多少書き方が違つておる点もあるわけであります。国家行政組織法の原則に基きまして政府側で提案をいたしておりまする案に関しましては、書き方としては大体こういうふうに何々の機関としてというような書き方には今後統一をする方針の下に、政府としては立案をいたしておる次第であります。
監督権の範囲の問題といたしましては、附属機関でございまするなら、これは一般の行政組織法第八條の機関と同様に監督を受けるという形になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/4
-
005・西郷吉之助
○西郷吉之助君 鈴木連絡部長に第八條の点をお尋ねしたいのですが、この前鈴木部長がおられないでちよつと聽いたがはつきりしなかつたのですが、第八條の第二項に「前項の規定により出頭を命ぜられた参考人は、内閣総理大臣が大蔵大臣と協議して定める額の旅費及び日当を受ける」この点は旅費並びに日当を受ける参考人を喚んだのは会議なんですね。会議が必要で喚んだ以上は、その文句が、内閣総理大臣と大蔵大臣が協議して決めるというのはおかしいのですが、この会議は非常に重要な会議だ、そういうような性質から言つてもこの文句は、議長が内閣総理大臣と協議して決める額、これを渡すのだというのが適当ではないですか。会議が招集した参考人に対して旅費及び日当を授けるのに議長はどこかにほつといて、内閣総理大臣が大蔵大臣と協議して決めるというと、どうも会議が非常に重要な、而も内閣に隷属したものでないという趣旨の目的とは反するのではないか、そういうふうに思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/5
-
006・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) この点はこの委員会議が総理府に置かれまする機関でありまするので、総理府の府内の各種のいろいろな附属機関或いは本来の部局等いろいろと総理大臣の下にあるわけでありますが、そういうもののこういうような場合におきまする旅費、日当等の定額の一般的な基準というものはやはり予算と関連をいたしまするために、大蔵大臣と内閣総理大臣が協議して決めるという、いわば行政の、何と言いますか、管理事務的の問題につきましては、総理大臣の監督の下にある機関でありまするから、そこで総理大臣がその全体の各種の附属機関なり、本機関なりを統轄いたしまする立場として大蔵大臣と活議をして決める、こういうふうにいたしておる次第でありまして、内閣総理大臣がその具体的の基準を決めますの当りましては、この地方行政調査委員会議に対しまする問題に対しましては、勿論会議の議長と当然に協議をいたしまして、その希望を実現するようなふうに大蔵大臣と協議するというようになると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/6
-
007・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今の御説明で政府側の意向は分りますがね。分るけれども、大体直ぐ何でもそういうようなものを大蔵大臣というようなことはしないで、議長と内閣総理大臣が協議する、勿論その内閣総理府ではそういうことを大蔵大臣において決めた、そういうあれがあるでしようから、総理大臣に議長からそういうふうなあれを受けた場合は、その規定に基いて支給すればいいので、何も一々実際がそうしもしないのに内閣総理大臣が大蔵大臣と協議して決めるというふうなことをここに持出さんでも、もうもともと決めてある規定があるのだから、議長が会議の関係で呼んだ、そういうふうなものに対する支給額は議長が総理大臣に支給方を報告すればそれでこと足りるでしよう、実際は。だから大体こういうふうな文句でいきなり総理大臣が大蔵大臣と協議して決める、議長は何かかけ離れたようなふうに取れるのです。そういうふうに書くと。やはり総理府の一機関ではあつても隸属的なものでなく、独立的なむしろ性格を持つた重要なものですから、そういうふうにした方が会議の議長の重味もつくし、飛び離れたことにならん。そういうふうに思うけれどもこの点はその以上又御答弁を伺わんでもいいのですが、そう思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/7
-
008・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) この点は予算に関する限度におきましては、予算の要求をいたしまするときに具体的に大蔵大臣の査定を受けるわけでありまするが、それと同時にこういう特別職の給與に関しまする問題につきましては、一般の給與につきましても、こういうような旅費等の給與につきましても、やはりそれぞれ各主務大臣から大蔵大臣に協議をする建前になつておりますので、そういうふうに規定いたしたわけでありまするが、併しこれは飽くまでも一般原則でございまして、会議の原則が決まりまするならば、個々の参考人の出頭等につきましての旅費、日当の支給ということは勿論これは議長が当然やり得ることになると思いまして、そういう一般基準についてここは申しておるわけであります。個個の参考人の出頭について、そういうふうに一々大蔵大臣と協議するというようなことのために制限を受まるというようなことはない、このようになつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/8
-
009・西郷吉之助
○西郷吉之助君 前委員会においてちよつと質問して御答弁を伺わなかつたのだけれども、ここで重ねてもう一度大臣に飼いたいのですが、その前に伺つて置きますが、予算の点ですが、大蔵省から要求事項の極く一部しか受けてないようですが、この間申上げましたようにシャウプ勧告に基いて重要な地方政行の事務を担当するこの会議が、こういうふうな法案も出て非常に重要なことをするのだけれども、裏付けたる予算の点になると、運用する上からも、予算と人員内容が揃わなければ仕事はできない。然るにこの大蔵省の方の査定というのは二級、三級の事務官に至つては五分の一以下に切つておるのですね。僅か十人以下のような事務局でこんな大きな仕事が一年や一年半にできるわけはない。而もその裏付けたる予算も極めて少い、そういうようなことでは有名無実にこの会議がなつてしなうのですね。ですからこの点はもう少し事務当局も大蔵省と大いに折衝されて、こういうふうなものを設けるからには運営上十分の結果が出るように予算をもつと取られる必要があるし、大蔵省としてもこういうような勧告に基いて新たに設置する以上は、無駄な金を使うわけじやないのだから、必要な経費は出すべきだと思いますが、こういうふうな極めて削減された予算じや、これは実際には仕事をする上からもできない、こういうふうな僅かな人員では。私はそう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/9
-
010・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) この予算の関係でありまするが、この点は政府といたしましても、立案の過程におきまして地方行政調査委員会議につきましての構想を変更したような関係もございまして、当初地方自治庁でこの事務を担当するというような形になつておりましたので、或る程度の人員に合理的な運用ができるというようなところから、委員の要求を伏せていたのでありますが、独立の事務局を設けるというようなことに構想が転換をいたしましたのに関連をいたしまして、新らしく更に要求を増加いたしたわけでありまするが、その間すでに補正予算、一般予算等も関係方面に原案を提出するというような形になりまして、更に関係方面等ともこの問題につきましては直接に数回に亘りまして連絡をいたしたのであります。そういうふうな関係がありましたが、今日一応の内定をいたしておりまするところでは、先般来申上げたと思いますが、本年度は取敢ず六人ということになるのでありますが、来年度は二十人ということで本年度概算三百万、来年度は概算約八百万という一応の予算が内定をいたしておるのであります。勿論これは御指摘がありましたように甚だしく十分な活動をするに足る経費であるとは申しがたいのでありますが、国費多端な際でございますので、一つこの程度で最大限の能率を発揮して行けるように努力いたしたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/10
-
011・西郷吉之助
○西郷吉之助君 大蔵省に総理府から出された人員は査定人員と大分違うのですが、そのときの予算というものは、大体結果としてはここでは今御説明の二十五年八百万円というのでしたが、大体原案はどのくらいの総額で予算を出されたのかということと、それと更に專門調査員なんかの方々も一回千円の手当ですね、月額四千円。これは補正予算だからいいけれども、二十五年度の方も非常勤で、こういう手当で実際に運営できるかという問題が非常に疑問なんです。この間も申上げましたが、僅かに五人の委員、そうして專門員が全部非常勤である。而も事務局の事務官などもこういうふうに削限されて、そうして一年か一年半にこういう大きな仕事をするということは殆んど不可能に思われるが、それでもこの法案を通して欲しいというならば、これだけの仕事をされるには、こういうふうに大蔵省が予算でも人員でも削つてしまつて仕事ができなかつたら、政府全体の責任になると思うのですが、大体二十五年度の総理府から大蔵省に出された人員に伴う予算の総額というものは幾らのを出したのですか、これを伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/11
-
012・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) これは事務局職員を四十二人常任にするという建前にいたしまして、二千九百四十四万六千円という当初の要求をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/12
-
013・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今の約三千万円の要求に対して、人員の削減と共に八百万円、年八百万円ですよ、これで行くわけがないと思うのです。どうも池田大蔵大臣はこの前の議会で問題になつた通り、地方財政の非常に窮乏な折から、国家財政の方との勘案というふうな理由で、法律に基く規定としてある配付税を半減以下にした人なんですが、又今度もこういうふうに設けられるのは、やはり地方行政の非常な重要なものとして設置して置きながら、予算の方は三分の一以下に削減した。如何に仕事の性質がよくても、こういうふうな物価の高い経済情勢のときに、予算が伴わなくて仕事ができるわけはない。そういうふうな点、どうも今の内閣がシャウ勧告に基いてやるのだというような大見得をきつておるのですが、こういうようなものを設けて置きながら、予算も人員も削減してそれで何をやらんとするのか、実際にはできないと思う。そういう点を大臣にもお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/13
-
014・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それは大臣が来られてからその点を問い質して見ましよう。
先程質問したことについて鈴木政府委員にお尋ねしますが、私の聽いておりますのは、この機関としてとあるのと、附属機関としてとあるのとは大変な違いであると思う。法律上の性格には格別の差異はないと書面で書いて出されましたが、非常に法律上の性格に差異が出て来るのだと思う。それは機関も附属機関も同じく国家行政組織法第八條に基いて設置せられたものであるということについては同じですが、附属機関と機関とは法律上の性格が非常に違つて来る。そこで現に附属機関でない機関たる日本学術会議は内閣総理大臣の所轄の下に置くというほど、それ程重く書いてある。若し今度置かれる地方行政調査委員会議がいわれるごとく大仕事をし、府県の配置分合までも考えて行こう、立案計画をしようという大きな仕事をするのであれば、それは非常な法律上の性格が格別なものでなければならん。それで日本学術会議と並べるのでなければならぬ。日本学術会議と並べるつもりで置きながら、内閣総理大臣の所轄の下に、こう書かないで、機関としてとこう書かれたことが私は不思議でたまらない。先程いろいろ御説明があつたのですけれども、今度は総理府の設置法の十六條の二で「総理府の機関として、臨時に地方行政調査委員会議を置く」こういうふうに書いて来られたのであつて、十六條の方に日本学術会議があるのですからそこに並べて書いて、而も法律上は同じ性格のものであるといいながら、内閣総理大臣の所轄の下にと書いたのと、機関としてと書いたのと、そこに書き分けてあることが法律上の差異が何かあるように見えるのですが、その点を伺つて置きたいと思います。この問題はこの委員会議の性質を決める上において非常に重大な問題ですが、これは法律総裁にも来て貰つてはつきりして置きたいと思います。国家行政組織法の第三條にいう外局ではない、つまり考え方によつては地方自治庁よりか重いものであるとも考えられる。どうもそういうような点、これは地方自治庁より総理府の附属機関である方が軽いものと言えると思うのですが、若し日本学術会議と同一のものであるとするならば、地方自治庁よりもむしろ重い会議であると、こういうふうに取れる。そうして来ると、今西郷君のおつしやつたようにあんな僅かな予算で何ができるか、あんな人員で何ができるかという重大な結論が生み出されて来る。
大臣がおいでになつて早速ですが、今第一に地方行政調査委員会議の性格について問題になつておるのですが、これが第二條で、臨時に総理府の機関としておくことになつておるのです。その機関としておくというのはどういう意味であるかということを今まで議論して来て、それは日本学術会議と同じ性質のものであるというようになつておる。そうすると、日本学術会議は内閣総理大臣の所轄の下にとある。こちらは総理府の機関としてと書き分けてある。何故書き分けたかということが問題です。どういうふうに法律の性格上違うのかということが問題です。同一であると言うのですが、同一ならば何故内閣総理大臣の所轄の下にと書かないかという問題です。こういうことについて大臣が考えられておられる法案を提出なさつた。地方行政調査委員会議の法律上の性格です。これを先ず御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/14
-
015・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 只今の附属機関として或いは機関としてという言葉の違いが非常に多いのではないか、又一方学術会議につきましては内閣総理大臣の所轄の下にとこう書いてあつて、この地方行政調査委員会議設置法についてはそういう言葉を使つていない。これらの点はどういう考え方であるかというようなお尋ねでございますが、内閣総理大臣の所轄の下にとか或いは内閣総理大臣の管理の下にとか或いは内閣総理大臣の監査の下にとかということで、従来所轄とか管理とか監督ということで、その機関に対するそれぞれの主務大臣の上下、監督の関係の強弱の度合いを現わすような立法例になつておつたと思いますが、国家行政組織法が改正になりましてからは段段とそういう原則を改めまして、従来の立法例として残つておりますものは、依然としてそういう姿のものが残つておるわけでありますが、目下政府が立案をいたしまして国会に提案をいたします法律案につきましては、そういう所轄、管理、監督という言葉を用いませんで、何々府、何々省、何々委員会、附属機関或いは機関とかいうような言葉で、それぞれの言葉自体におきまして、各省大臣或いは法務総裁等、それぞれ主務の大臣との関係を規定をするという建て方をとつておるのであります。国家行政組織法自体におきまして、府なり省なり委員会なり或いは附属機関というようなもののそれぞれの性格が、一応原則的に規定をしてありまして、そういうようなものがどういう地位においてそれぞれの行政組織を構成しておるか、又それを所管する主務大臣との関係がどういう形になつておるかということがそれぞれ規格付けられておりますので、特別に主務大臣との関係を現わしますために所轄とか管理とか監督という言葉を使わないような形にいたしておるのであります。その新らしい立法の方針に従いまして、この地方行政調査委員会議設置法案も、特に内閣総理大臣の所轄の下にというような言葉を入れなかつた次第であります。学術会議において特に内閣総理大臣の所轄の下にと書いてありますのは、従来のそういうような形の立法例を踏襲せられたものと思うのであります。これは国会の御提案になりました関係もございまして、その間立法上のといいますか規定上の仕方が多少違つておるという点はあるのでございますが、考え方といたしましては先刻来申上げましたように、学術会議と同じような考え方としての機関として、地方行政調査委員会議を考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/15
-
016・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) そうすると結局総理府設置法の第十六條には「内閣総理大臣の所轄の下に、日本学術会議を置く」とこうあつて、今度次の第十六條の二に「総理府の機関として、臨時に地方行政調査委員会議を置く」とこう書いても、それは同じことを表わしておるのでありますか。内閣総理大臣の所轄の下にというのと同様なのでありますか、こういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/16
-
017・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) そういう考え方で、政府としては立案をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/17
-
018・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) そこで問題になるのは警察法第四條「内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会及び疑察官の定員三万人を超えない国家地方警察隊を置く」とあるのでありますが、そこが又非常に問題を起して来るのであります。これはこの地方自治庁の方にお聞きするのは無理でありましようから、それは法曹体のはつきりした答弁を求めて置きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/18
-
019・西郷吉之助
○西郷吉之助君 国務大臣もお見えになりましたから御意見を伺いたいのですが、この間から大臣が御出席になりませんときに、三回に亘りまして、この委員会においてこの法律案につきまして、いろいろ重要な点について真劍な質疑を交して参りましたが、その点は一つ大臣に伺いたいのですが、第三條の終りの方に「その結果を内閣及び内閣を経由して国会に勧告する」というのがあります。更に第四條に内閣は「会議の勧告を尊重しなければならない。」こういうのがありまして、その「国会に勧告する」と「内閣及び内閣を経由して国会に勧告する」勧告の意味合いにおきまして、いろいろ質疑応答を交したのですが、最後に法務府の專門家に来て貰つて、勧告の意味についていろいろ聽いたのですが、どうも非常に……その明確な答弁でもありませんでしたが、段々その内容というものが分りましたが、そうするとその勧告というのはいろいろのそう簡單な意味ではなく非常に重要な意味を含んでおるのですね、その解釈によりまして。従つて第四條におきましては「会議の勧告を尊重しなければならない」ということになつておりますが、法務府の解釈によりましては、勧告というふうにこの法案に規定してある以上、この勧告の内容を全部内閣が採用しないで、或る所は勧告に従い、或る所は勧告を拒否した、尊重しなかつたという結果になりますと、その度合に軽重はあるけれども、やはりそれは法律違反になる。二回も確めましたけれども法律違反になるという。そうなつて来ると第四條の「会議の勧告を尊重しなければならない」というこの文字が、非常に重大な責任を負わなくちやならないということになる。そういう意味合から内閣を経由して国会に勧告するということになつておりますと、なかなかこれは重要な法案でありまして、私はその点につきまして第三條の方のそういう点は内閣に勧告するというふうに止めて置いて、国会に勧告するという文句はむしろ削除した方がいいのではないか。更に第四條の「会議の勧告を尊重しなければならない」というような文句を置いたために、下手をすると法律違反の問題が出て来るというような字句があるのですが、そういう点をどういうふうにお考えになるかという点について、特に大臣にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/19
-
020・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) 西郷さんの御質問の御趣旨はよく拜聽いたしましたが、お説のごとくこの勧告は現在の法律語になつておりますが、アドヴァイスと違つて非常に重要な意味の勧告であろうと思います。この勧告という字句を用いましたのはシャウプ勧告の飜訳にもちやんと勧告とありまして、そういうものから引用いたしまして勧告という字句を取上げたのですが、取上げますこちらの意思といたしましても、相当これは重要な言葉として薦言あればという語が使つてあつたか存じませんが、まあ建議というような意味のものではないか。それとも少し違うようですけれども、強いて言えばそういつたような意味ではないかとこう私は考えております次第であります。ついてはこれは若し内閣が採択しない、或いは或る場合にはその一部分だけを採択して、後を変えて国会へ法案を提出した場合において、第四條において尊重しなければならないというその條項に当と嵌めて、これは法律違反になるではないかと、こういうような疑義のお話でありますが、ここでちよつと表面から考えて法律的に解釈しますると、或いは法律違反になるような解釈になると思いますが、それは誰がそういう裁定を與えましたか、私休みまして承知いたしておりませんが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/20
-
021・西郷吉之助
○西郷吉之助君 大臣はちよつと勘違いしておられますが、法務府を喚びまして、法務府の見解を質しましたが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/21
-
022・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) 法務府を……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/22
-
023・西郷吉之助
○西郷吉之助君 そういう見解がありますので、そういうような法律違反になるというようなことを言つておりますので、それでそういうふうな非常に重大なことでありますから、尊重しなければならないというような勧告の意味があるならば、それでもよろしいのでありましようかという大臣の意見をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/23
-
024・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) それが法律違反になるという法務府の裁定ならば、それは国家の法令の意見がそこで解釈できるのですから、それは法律違反になると断定いたしまして……この地方行政調査委員会議の議決というものは非常に重大な地方行政であります。まあ延いてはこれが国家行政機構の問題にも関係することでありまして、非常な重大な問題と思いますので、やはり第四條はこのまま、尊重しなければならないという條項を残して置くことが私は至当ではないかと、こう考えるのであります。又そういう疑義があつて、そこに設置法その他の問題について煩わしいことがありますれば、最後の決定は国会でいたされることでありまして、国会の権限において然るべきように御訂正相成ることであると私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/24
-
025・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今先程私が大臣に伺いましたもう一つの点は、第三條に国会に勧告するという問題の勧告という言葉が使つてあるのですが、そういう意味合ならば、これは内閣に勧告するというに止めて、国会に勧告するという点は削除したらどうかと思いますが、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/25
-
026・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) それは十分考慮してこの法文を作つたわけでありますが、行政組織の法の表から国会へ提出いたしまする法案というものは、議院であるか或いは内閣である以外のものが提案をいたすことが、只今のところ国会法では私はできないのではないかとこう考えております。そこで内閣を経由して国会へ勧告でありますか、勧告するというふうに……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/26
-
027・西郷吉之助
○西郷吉之助君 その国会に勧告するという文字を削除してはどうですか、内閣に勧告するだけで発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/27
-
028・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) 内閣に勧告するだけでは少し力が薄いようです。それで内閣を経由してという文字を使つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/28
-
029・西郷吉之助
○西郷吉之助君 この点はあまり大臣に法律的なことを細かく追求しても非常に御迷惑と思いますけれども、経由という文字もこの点も大分法務庁にも確めましたが、法務庁の見解はどうも我々にはぴんと来ませんでした。今の大臣のお考えですが、国会の方の直接勧告しないで何故に内閣を経由してと、この経由という文字はどういう意味だということを随分聞いたんですが、これははつきり聞けなかつたのですが、ですからこれは内閣に勧告するというのはいいのです、政府ですから。それを更に経由してと、大臣もその点はよくお分りにならんと思いますが、経由してとどこがどう違うかというのです。国会に直接勧告するのと、内閣を経由して勧告するのと実際にはどう違うのでしようか。聞いてもその意味がはつきりしない。法務当局にもいろいろ伺つたのですが、国会に勧告するというのを割合に簡單に考えて書かれたように思うのです。段々入念に勧告の意味を伺うとどうもはつきりしなかつた。ですからそういうような国会に勧告するということは今までにない。こういうようなものは非常に重大な結果になりますので、内閣に勧告するは結構だが、国会に勧告するというようなことは、むしろ失礼ではあるけれども、うつかりして、シャウプ勧告に勧告という字があるからそのままリコメンドを訳して勧告と、国会に勧告するとこのまま法案に書かれたのではないかという感じが深い。そういう結果で、而も結果は重大ですから、国会に勧告するという字をこの際削除したらどうか。内閣に勧告するのは結構だが、そういうふうに考えるのですが、そういう勧告という字句に関してもいろいろな問題があつたのですが、その点を私はちよつと伺うのですが、第一に国会に勧告するということを削除するということについて、大臣はそのまま国会に勧告するというのは存置した方がよいというお考えなのかどうか、もう一度伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/29
-
030・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) 西郷さんの質疑に対して、非常に御尤な点がありますが、この字句を入れましたことについての経過であります。それをお話するにはちよつと速記を止めて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/30
-
031・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。
午後二時四十四分速記中止
—————・—————
午後三時六分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/31
-
032・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/32
-
033・西郷吉之助
○西郷吉之助君 第九條では專門調査員というのは法文では非常勤とすることができるというようになつておりますが、予算の関係もあるだろうと思いますが、全部建前としては非常勤になつておりますが、事務当局の方の予算も人員も大蔵省の査定のために、予算に至つては二十五年度は三分の一以下に減らしておる。人員も非常に削減されておりますが、この重要な專門調査員の建前が非常勤になつておりますが、そういうようなことでは五人の委員というものは仕事もできません。專門調査員は少くとも法律の通り十五人のうち半分ぐらいは常勤であつて、非常勤の建前は広く專門調査員を採るという建前からそうやつたのであつて、常勤としたらいい人が採れない、そういうふうな建前もあるようですけれども、少くとも半分は常勤としてやらなければ、こういう重要な仕事がやり得ないと思うのですが、その点も今後全部が非常勤でなく、一部は常勤とする必要があるのじやないかと思いますので、その点を伺います。
それから又如何にもこの予算が三千万円ぐらいのところが八百万円に査定されておるのですが、仕事の性質から申しましても、今後とも一つ国務大臣において努力願いまして、予算をもう少し増して貰わなければ、やはり仕事の性質が重要でありましても、予算の裏付けがなければ仕事ができないのですから、その点も予算の上において大蔵省と大臣において一つ大いに増額されるように希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/33
-
034・木村小左衞門
○国務大臣(木村小左衞門君) 專門員が非常勤となつておるがこれだけの重要な大きい仕事がやれるか、今年度は十五人、来年度は二十人くらいということになつておるがどうであるかという御質問でありましたが、これも誠に御尤もと思います。本来会議そのものに性格から申しますと、常勤の專属の專門員があつて然るべきと思いますけけども、これを常勤といたしますと定員法に牴触いたしますので、先ず第一番に定員法からこれを変えて行かないと、常勤として公務員の中に加えることはできないのでありまして、ただに一方又お説のごとき予算の制約は無論ございますが、それよりもこれを非常勤とした主な理由は、定員法の改正は最近政府が非常に苦労いたしまして、行政整理をいたしましたばかりの現状であつたところへ、又定が法においてこれを二十人も増すということは、甚だ我々行政上むずかしいとこう考えまして、止むを得ず非常勤といたしました次第でございます。
それから予算の関係は、これも大変お言葉に追従しておる許りですが、無論御尤もでありまして、これだけの予算ではなかなか困難のことと思いますが、今日までのところの大蔵省との折衝では、こういう予算を計上せざるを得ないところの国家財政の現状から考えました成り行きになつておりまして、かくのごときものを提案いたしておる次第でございますけれども、お言葉のごとく私といたしましては出来得る限り御意思を尊重いたしまして、予算を豊富にとりまするように努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/34
-
035・岡田喜久治
○岡田喜久治君 速記は要りません。中止を願つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/35
-
036・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/36
-
037・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/37
-
038・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) 岡田君の御意見誠に傾聽すべき筋の通つた御意見でありますが、五名といたしましたことは、先ず第一義としましてシャウプ勧告案を忠実に率直に受入れまして、五名というのを基本において考えた数であります。お説にもありましたように極めてエキスパートによつてこの重大な審議がなされなければならんのでありまして、各地方の代表と申しましても、その代表は各現職の団体の長から選ぶとか、或いはその団体の分子がこれに委員となつて出るとかいうようなことよりも、もつと拡げてその団体を推進をする人が三人とこういうことになつております。この委員会議の性質から見まして、恐らく私共が今日まで見ておりますところによりますと、各団体とも只今のような団体長であるとか、町村長会議長ですとか或いは府県会議長であるとか、自治会の会長であるとかいうような代表者が自治委員会においては出ておりますけれども、そういう方を避けて、それらの団体からもつと学者でありエキスパートを推薦しようではないかというような傾向に今なつておるようでありまして、これは尤もな筋の通つた御意見でありますが、三人を五人なり八人なりを出すといたしますと、非常に人選する地方公共団体が困るじやないか。そうなつて来るというと、勢い団体中のいわゆる職員と申しましようか、会員からでもこれを出さなければならんようなことになつて来るというと、甚だ穿つた言葉で失礼な申上げ方でありますが、いわゆる玉石混淆の委員会のようなことになるというような恐れが多分にありはせんか。こういうことを考えまして、又政府が推薦いたしまする二名につきましても、なかなかこの重要な会議の性質からいいましても、只今止むを得なければ公務員の中からでも選ばなければならんことになりはせんかと申上げましたが、併しそれも成るべくならば現職ではありまするが、一般公務員であつても成るべき学者であるとか、或いは行政事務に毎日常勤に携わつておらないような人の中から選ばなければ、この趣旨を徹底することに相成らんと考えます。そういう方面を虱潰しに余程選択推敲しましてもなかなかこういう人物が得られません。これ又四人なり五人に殖やすということになつて来るとこれは容易ならん至難なことであると考えられます。強いてどこまでも固執するわけではありませんが、先ずシャウプ勧告案にあるごとく、この委が会議の構成委員には五人くらいでよかろうじやないか、又長い間の会議でもありません。これは暫定的な設置の考えでありまするから、少くとも一年半か長くて二年くらいの間設置期間でありまするから、その間に休む人があるかも知れません。勢い定数を欠くようなことがあるかも知せませんが、併しそういうことがありましても、この五人の人が一々詳細に地方の実態なり行政の組織を分類して喋べるというのではなくして、それには專門調査員という名前が飜訳上面白くないではないかという御意見でありましたが、これは別の解釈といたしまして、專門調査員がありますので、この專門調査員が主にそういう分類したところの材料の提供に努めて頂いて、又その下に連絡員というのが約三十名ありますので多少欠席者がありましても、この委員会の審議には他の委員会と違つてそういう組織の下に連絡員がありまして、その上に專門調査員が二十名あります。つまり三十名の連絡員がありまして、その上に二十名の專門調査員がありまして、その上に五人の会議委員があるということでありますれば、先ず大したる支障はなかろうではないか。お説誠に筋の立つた御意見でありまして、理想的に申上げますれば私共この御意見に承服いたしますけれども、なかなか人選ということについては容易ならぬむずかしい問題がそこに残つておりますので、これを強いて数多くして人選するということになりますと、非常な乱選ということになりまして却つてこの設立の趣旨に悖るようなことがあつては相成らぬと考えまして、この原案はこれでよかろうと考えまして維持いたしたいという考えを持つておるのでございます。又この專門調査員という飜訳の仕方につきましてはこれまで私は考えていませんでしたが、只今の御発言によりまして考慮すべきことではあるかと思いますが、これを立案いたしました行政部長がおられますから、これについて御説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/38
-
039・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 今岡田委員からお話がありました顧問というような点をどうしたかというお話でございますが、これは岡田委員の仰せになりましたように、專門調査員と同じカテゴリーの中に含みまして、法律の案といたしましては表現をいたした次第でありまして、專門調査員の中にそのような人も含めた。従つて大体二種類の人が勧告案によりますと選任されるというような形になつて来ると思うのであります。二十人の中でございますから、それぞれいろいろな專門的な経験を持つた方或いは相談に與る部面もいろいろあるかと思いますが、そういうような人をその中で推薦をするということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/39
-
040・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 一体この地方行政調査委員会議はシャウプ博士の考え方では、余程権限の強い、本当に国会に勧告のできるくらいの組織にしようという勧告じやないかと思います。ところが今度できて来た法律案を見るとそうでなくて、非常な微弱な今までの地方財政委員会、元あつたあのくらいのもののように見えるのです。そこに我々が勧告ということが非常に奇異に感ずる原因があるわけであります。それだから総理府の機関としてなんという言葉が出て来ると余程小さく感ずる。それじやいかんじやないかという感じになるのです。ここにそのシャプ博士の勧告の真意と、この法律案の企図しておるところの喰違つて来たのじやないか。こういうふうに思うのですが、その点について木村国務大臣からもう一度伺つて見たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/40
-
041・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) お尋ねの件はそういうふうな見方をいたされるような点があろうかと思います。シャウプ勧告のものはあれを読んで見ましただけでも、非常にこの委員会というものは重要な権能を持つておるものでありまして、この会議の権能を持つて国会へでも直属して、国会の最高機関でこの勧告案を審議して決定するということまで詰込んで、つまり人事院の性格のようなものに考えておられておつたかのように読めまするけれども、これを法文化しまする意味において、その辺に当局といたしましても非常に苦心を拂いました点がありまして、この日本の行政の実情から申しまして、先程申上げまするようにそういう国会に対する権能と申しまするか、その道と申しましようか、そういうことが内閣、或いは議院提出にあらざる限りはできないという国会法の方も考えられましたしするというと、従つて内閣を経由して、これを提出しなければならんというようなことになつておりまするところが、その最も重点であるところの先程の委員長の御質疑のようなふうに解釈せられる元であると考えております。我々としましてはこの際地方行政が自主独立いたしまして財政の裏付けを確立して、従来のごときものでない、本当の独立の立場になるということが日本再建の上から最も重要な観点でないかと固く信じております。できますことならば非常な強いものにいたして地方の自主独立を確保いたしたいと考えておりまするが、或いはまだいろいろ行政組織法とかその他定員法とかいろいろな法律の規定に制的せられまして、先ずそこへ持つて行く道程としてこれくらいな立法よりできなかつたということに強いて申しますれば、お答えをいたすより外はないと、こう考えておりまするが、これも非常に苦心をいたしました政府委員から、尚私の足らざるところを、行政部長から補給いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/41
-
042・岡田喜久治
○岡田喜久治君 よく当局の意図のあるところもだんだん分りました。非常に今のお答えによつて、いろいろな按排をつけての考慮の程は察しまして大変よく分りました。なかんずく団体代表の方の推薦ということになつておりますから、必ずしも団体の部内のもののみを出すということじやなくて、むしろ部外の更に権威ある者を選択しようという方針であれば極めて結構であつて、その意図をはつきりお願いしたいのです。同時に、併し又單に各団体代表者から推薦しろということになつておるのですから、その人選、推薦については、政府と然るべく連絡がなければならん。恐らくこれだけの法案が発布されたことによつて、各団体がお話のような趣意をよく体して、果して推薦が法案の目的に達するような人が生まれるかどうか疑問と思いますから、餘程そこはお考えになつて、然るべき用意の下に、お話のように、一つ適格者を選定すべき用意がなければならん。これは申すまでもないが、強く私は期待して置きたい。
又この委員はなかなか考えて見ますと、いろいろな何というか資格要件を持つておることを必要とする。例えば当面は税の問題が生れておりますから、今日地方財政としては財政若しくは税制に対するところの精達者を選択することは当然である。他面今度は税の配分を決定する、この地方税の配分ということは非常にむずかしい。これは行政実務に対する非常に通曉した経験や体験を持つておられる、或いは又日本の革新政治に対するところの信念も持つていなくちやならん。こういうわけですからただ單に事は税務に関し税制に関してのみ通曉した人を出したら大変なことだと思う。むしろ中心は行政の機関ですから、行政組織の機関に対するところのやはり達識者を出さなければならんと思います。然るに今町村政若しくは市政若しくは県政というふうに三つあるわけでありますが、それらの人からいろいろの違つた各種專門家を又それぞれ選ばなければならないのですから、その間よろしく調整が取れなくちやならないということも考えられる。政府が残る二名を選ぶ、私はいろいろなことを聞いたのですが人数は不足のようであります。大体それだけ多方面の人を要すると私は思う。而も行政方面の沢山な面があります。ただ單なるところの自治行政事務という一言で言い盡せない。教育事務に対する達識経験者を必要である。或いは一般行政に関する達識経験者も必要である。或いは厚生事務、労働事務に対する事務組織に通ずる人等、いろいめ各般の行政事務に対して通曉した而もエキスパートというのですから、私は非常に人選上、恐らく人数においても困難を感じやせんかということを感ずるのです。だから人の少いことはそう憂うることはない、十人二十人ということは別な意味においと問題だろうと思いますが、五人、七人ということは敢て捉われる必要はないと思います。以上のごとく人選の上にはなかなか困難もあると思います。そこは又考えなければならない。法律が決つたらそれは相談役その他において別の意味においてやることも結構です。いずれにしてもその辺の御考量は頂くとして、大体政府の考えとするところはよく分るのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/42
-
043・三木治朗
○三木治朗君 この法案は非常に重要な役割を果すことになるのでありますが、そのためにいわゆる勧告を尊重しなければならんというような文字が入つておるわけであります。私共の心配することは人事の問題にいたしましても、当然人事院が勧告しなければならない。賃金ベースの問題でも、時の政府の都合によつて、それが勧告されないというような、我々から考えるとそういう事実があるわけで、従つてこれは木村国務大臣の意図せられておる、只今のいろいろの構想は、私共大いに結構だと思うのです。併し実際問題として必ずしもその公正妥当にこの法案が運用できるかどうかというところに、多大の疑問を持つのであります。従つて今委員の人数の問題などが論議されておりましたが、私は多くない方がいいと思う。国務大臣のおつしやる通りの人数で法案の通りでいいと思う。これが多くなりますると、やはり構想は公正に適当な人を選ぶ建前ではありますけれども、多くなるとやはり各党から人を選ぶというような、公安委員のごときもので、結果においてはやはり各党から人が出ているというようなことになりまして、シャウプの勧告によれば、市町村の代表、或いは県、市というような工合に選ぶということになると、これは政党色がないわけです。それからこの後二人を選ぶというのも、人数が少なければ結局木村国務大臣の言われるように公正な人を、適材を選ばざるを得ないことになるだろうと思うのであります。従つてこれは政党の勢力関係とか、そういうものに決して煩わされないものができることが望ましいし、従つてこの委員会の勧告は、時の政府の意思に左右されることのないようなものでありたいということを私は強く要望しているわけです。大体木村さんのお話で、そういうことを憂えるが故に、というような意味の御説明があつたので、私はそれでよかろうと思うのでありますが、その点くれぐれも御注意を願いたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/43
-
044・木村小左衞門
○国務大臣(木村小左衞門君) 本案に対しまする非常に適切な御注意を受けましたのでありまするが、私共も同感でありまして、勧告としてあつても、若し政府が勧告を入れない場合には勧告自体が何もならない。又全部受入れなくても、この勧告案の委員会議が作製した勧告の骨拔のようなものが、例えば国会に提出されるようになつても甚だ困る。だが併し只今の機構では人事院の勧告をすら政府が受けるか受けんかということは政府の権能にあつて、やらん場合には泣寐入になつているのではないかというようなお話、非常に私共もそれを心配しておりますが、併しそれはこの案が成立いたしまして、これがいよいよ設置せられるということになりますると、これは私だけの私見でありまするけれども、人事院の勧告とこれとは非常ないわゆる国民生活の実態……国民生活というものは多数の地方民が最も痛切な関係を受けますので、民国生活の実態がこれに共鳴して参りまするというと、それを基盤として選出せられておりまするところの最高機関である国会自体が、政府が勧告を若し入れません場合においては、国会がみずから有機的に発動して、国会の案として提案せられる権能は十分にあつて、これが成立するような場合もないではないというところに私共も多分の望みを嘱しております。この委員会議がどういう案を出したかということはこれを機密にする必要はありませんから、新聞その他において必ず洩れます。洩れるというのは洩らさんものが出たことを洩れるというのでありますけれども、場合によるとこれはこういう案をこの委員会議が作成した、そして政府へ勧告するということを発表いたしても、これは差支ないと思う、民生の安定、地方行政の、地方自治の促進の完璧の意味から言つて差支ないと思う、こう考えております。そういう発表しました場合に、これを国会がどう取扱うかというところに観点があるのです。その辺に私共非常に望みを嘱しておりまするから、御心配のようなことは……これができますると、人事院の勧告のようなこととは少しその趣が違うのではないか、こういうふうに見ております。御参考のために申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/44
-
045・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それでは今日はこれで散会いたします。
午後三時四十七分散会
出席者は左の通り。
委員長 岡本 愛祐君
理事
岡田喜久治君
委員
三木 治朗君
林屋亀次郎君
柏木 庫治君
西郷吉之助君
島村 軍次君
太田 敏兄君
国務大臣
国 務 大 臣 木村小左衞門君
政府委員
地方自治政務次
官 小野 哲君
統理府事務官
(地方自治庁連
絡行政部長) 鈴木 俊一君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614720X00719491124/45
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。