1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月二十八日(月曜
日)
午後一時二十七分開会
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本日の会議に付した事件
○農業災害補償法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○食糧需給に関する件
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001・楠見義男
○委員長(楠見義男君) それでは只今から農林委員会を開会いたします。本日は、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題にいたします。この法案につきましては、先般事務的な説明を一応伺いましたが、正式に法律案が国会に提案されましたので、改めて農林大臣から提案理由の説明を伺いまして、引続いて質疑をお願いすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/1
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002・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 農業災害補償法は、昭和二十二年十二月、第二国会において成立をみたのであります。爾来数回に亘る改正を経て今日に至つておるのでありますが、今回その後の社会経済事情に順応して、農村経済施策の一環として、この制度の円滑な運営を期するため、この法律案を提案する次第であります。
以下この法律案の主要な内容について御説明いたします。
第一は、蚕繭共済に係る共済掛金の一部を国庫において負担する点であります。
現行法におきましては、蚕繭共済に係る共済掛金の一部を全国三百余の製糸業者及び蚕種製造業者が各人の繭又は種繭の取引数量に応じて分担し、この負担金を製糸業者等から生糸又は普通蚕種を譲り受ける者に転嫁することができるように、政府においてその販売価格の統制額を定めるのでありますが、御承知のように、今年五月に蚕糸に関する価格、割当その他の諸統制を撤廃いたしましたので、かかる措置は不可能と相成つたのであります。
ここにおいて、この法律案では、右の事情に対処するため、現行の製糸業者等の負担を廃止すると共に、農業災害に対する国家的補償と養蚕業の重要性に鑑みまして、国家財政の将来をも勘案いたし、取敢ず昭和二十四年度及び昭和二十五年度において、蚕繭共済に係る共済掛金のうち、従来の製糸業者等の負担金と同額を一般会計において負担することといたしたのであります。
第二は、牛馬の死亡廃用共済に係る共済掛金の一部を国庫において負担する点であります。
牛馬の死亡廃用共済につきましては、従来農家の任意加入制によつていたのでありますが、夙に全頭加入に関する措置について地方の強い要望もあり、牛馬が主要且つ高価な農業生産手段でありますので、牛馬の死亡等に対する補償制度の重要性に鑑みまして、第五国会におきましては、この点を改正いたし、現行法では、農業共済組合の議決によつて、農業を営む組合員は、百円から二百円までの最低の共済掛金負担で、その所有又は管理する牛馬を死亡廃用共済に付すべきものといたしておるのであります。
然るところ、牛馬の全頭加入の実現は、農家に加入義務を課するばかりでなく、これに併せら、真に農家が加入し易い方途を講ずる必要がありますので、政府におきましては、全頭加入による危險度の低下を勘案いたし、加入義務の議決をした農業共済組合に適用する共済掛金標準率の引下げを行つたのでありますが、更にこの法律案におきましては、国家的補償と畜産振興の見地から、競馬益金の一部を見合財源として、これ又国家財政の将来をも考慮いたし、取敢ず、昭和二十四年度及び昭和二十五年度において、牛馬の死亡廃用共済の共済掛金の一部を一般会計において負担することといたしたのであります。
以上がこの法律案の大要でありまして、これに伴う予算上の措置につきましても、昭和二十四年度補正予算案及び昭和二十五年度本予算案におきまして、それぞれ所要額を計上いたすこととなつておりますので、何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/2
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003・楠見義男
○委員長(楠見義男君) 先般も申上げましたように、食糧の需給関係を中心にした問題につきましては、別途にゆつくり農林大臣との質疑をいたしたいと思つておりますが、本日は補正に関する知事会議、或いはこの法案自体についての衆議院の採決等もありまして、余り時間もございませんから、この米の問題に関連して農林大臣に対する御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/3
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004・板野勝次
○板野勝次君 ちよつと委員長にお尋ねしますが、今朝私の方では補正問題について農林大臣に緊急質問をしたいといつて出しておる筈でありますが、補正問題についてはちよつと質問はできんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/4
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005・楠見義男
○委員長(楠見義男君) そのことは私は聞いておりませんけれどもですね、もし簡單であつたら一つやつて頂きたい。長くかかるようだつたら……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/5
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006・板野勝次
○板野勝次君 いやそう長くはかかりませんが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/6
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007・楠見義男
○委員長(楠見義男君) では簡單にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/7
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008・板野勝次
○板野勝次君 補正問題についてですね、各地から集積された補正の要求額と、それから政府の補正というものとの間に非常な食い違いがあつたと思います。それから政府から今度は補正要求を最初に出されたのと、又最近では二百四十五万石に変更されたという、その数字を先ず最初に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/8
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009・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 米の補正ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/9
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010・板野勝次
○板野勝次君 ええ、お米の補正です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/10
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011・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 補正問題について一応今日までの経過をお聞き願いたいと思いますが、実は今年の生産予想を例年の通り九月二十五日現在でまとめましたものは、すでに発表いたして御承知の通り、六千五百余万石ということの数字が出たのであります。本来ならば、そのまま十二月末の実収高まで統計は取らないのでありまするが、非常に今年は十月の末から、稲熱病が発生するような情勢にありまして、非常な変則的な病虫害の発生があつたのであります。地方からは再々それがために陳情等もありますので、農林省といたしましては、作物報告事務所に対して、粒数検査でなしに、坪刈検査を励行さしたのであります。今までそういう途中で検査をすることはなかつたのでありますが、その結果約一割ぐらい当初の発表よりは少いのではなかろうかというような、大体予想がついたのであります。時期すでに十一月に入りますし、できるだけ早く補正の割当をいたしまして、供出の段階に入らなければなりませんので、取急いでその処置を講じたのであります。その間政府といたしましては、五百万石の補正がよいかどうか、三百石ぐらいまでならばできようか、いろいろ検討を加えたのでありますが、その結論を出してなかつたのであります。ところが十一月の十五日に司令部から指令がありまして、本年の作況は研究の結果六千九百二十万石と推定する。それであるから、本年の補正額は百十四万六百石を超えてはならない。十一月二十五日までに割当てろと、こういう指令が参りまして、こちらは非常に驚きまして、とても六千九百二十万石というようなことは、こちらで予定はできない。殊に百十四万六百石というような数字ではとてもできないというので、直ちに司令部に交渉を始めまして、実収高が分つてから補正を決定して呉れるか、何とかして呉れなければ、とてもこの百十四万六百石では受入れられないというので、十五日以来再々数回に亘つて折衝を試みたのでありますが、断乎として司令部は取上げないのであります。而も今回新聞にも出ておりました通り、どうも日本の政府の発表する数字は、政府的圧力が加わつて来るということが、九月二十五日に調査して、その次には十二月に実収調査をするにも拘らず、今年は十月の末に再調査をしておるということは、すでに政治の圧力が加わつた結果であるように、向うは非常に誤解をいたしまして、とてもそういうようなことを言つて来てきかないので、而も二十五日ということを示された。日は違うけれども取敢えず二十二日に中央調整委員会を開きまして、司令部の考え方を通達をいたしまして協議をいたしましたところ、中央調整委員においても、これではとても調整できない。これでは協議会を開いても困るという意見でありまして、更に司令部に交渉いたしまして、この交渉が、二十五日に知事会議を召集になつておるのでありますが、とても二十五日に知事会議を開いてもまとまりがつかないから、少し延期して貰いたいということを要求いたしましたが、断じて二十五日を延ばすことができないという、向うのきつい考え方でありますので、誠に当惑いたしまして、二十五日の早朝私駈けつけまして、是非今日は知事会議を開けというならば開きます。開きますが、この百十四万六百石では、とても政府として責任を以て供出をさすことは不可能と思う。現にこの問題で当該大臣は不信任案が提出されておるような状況でありますので、(笑声)とても私はこの問題はお引受できないということをお話したのであります。ところが天然資源局は司令部の名において、農林大臣に通達した指令書を向うに発表しても差支ない。そうして百十四万六百石はマツカーサー司令部が指令した数字であるということをはつきり言え。断乎としてこれを知事に割当てべきものであるという、きつい指令を受けまして、もはや私としましてはこれに抗弁することもできず、そのまま知事会議を開きまして、その通り報告したのであります。然るところどう考えて見ましても、到底百十四万円六百石では、事の進捗を図ることができ得ませんので、国会がこの日に予算委員会等がありまして遅れましたが、夜再び司令部へ参りまして、遅くまで交渉を続けたのであります。でどうしても一応司令部としての考え方は、知事に通達いたしたのであるから、この際農林大臣が椅子を投げ出すか出さんかという問題であるが、一つ政府としての面目も立てて貰わなければならんというので、いろいろ交渉いたしまして、漸くそれでは二百四十五万石、これは絶対に譲れない数字であつたけれども、日本政府がそういう事情にあるならば、さように訂正しようということを示されまして、二十六日の十二時半にマツカーサー元帥にその了解を求めて、二十六日の一時頃でありましたか、司令部へ出て来いというので行きまして、これを承認したという、こういうことであります。その中には、補正追加額は約百二十万石と考えるということが附記されてあるのであります。当然私はこれじやなかなか困難だろうと思いますが、今更これを増額して呉れということも言い得ませんし、取敢ずそれじやこれを知事にお伝えいたして、極力この実現に努力いたしましよう。こういうので帰りまして、知事代理、中央調整委員代理の人もこちらに参りまして、その経過をその日報告いたしました。今日中央調整委員会を開きまして、午前中参りまして、この間の事情を申上げ、いろいろ地方的には問題もあろうけれども、是非この数字をもつて御承認願えるように努力して頂きたいということをお頼みしまして、午後知事会を招集いたしておりますので、これを各府県知事に割当てましたのを頼む、かようなことを考えておるのであります。委員会等におきましても、一晩努力して百何十万石殖えたんだから、もう一晩努力してもう百万石殖やしたらどうかと、こういうようなお話もありますけれども、私が今日までの折衝の経過から申しましても、どうしてもこれ以上は増額はできない。昨年度よりは十五万石多いのでありますから、これ以上私としてはとても増額の見込がないのでありまして、是非知事会においても、今日までの経過を了承して頂いて、供出に協力をして頂くようお願いするより途はないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/11
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012・板野勝次
○板野勝次君 それで司令部の方からは六千九百二十万石と、政府が九月二十五日現在で六千五百余万石との、これだけの大きな食違いができておるのは、大体どういうところからですね。こういうふうな食違いができておるんだというふうに、政府はお思いになつておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/12
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013・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 六千九百二十万石という数は私共の関知せざるところであり、天然資源局としていろいろ調査しておるようでありますが、天然資源局の調査によれば六千九百二十万石と想像すると、向うのこれは調査の分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/13
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014・板野勝次
○板野勝次君 それですから、こういう食違いがどうしてできておるんだろうかということを聽いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/14
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015・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) それは分らん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/15
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016・板野勝次
○板野勝次君 それでは六千五百余万石と抑えられたのには確かな根拠があつたのかどうか。大体これぐらいだろうという大見当で一体やつておられるのかどうか。政府は食確法で農民を抑えつけておる以上は、農業計画においても、相当な確信を持つておやりになつておるに違いないので、六千五百余万石の収穫予想というものが果して的確なものであるかどうか。これはどこから突かれても差支ないものであつたかどうかという点で、これでは確信を持つておられなかつたように思うのですが、出たらめに数字をこう集計されたようにしか思えないのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/16
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017・羽生三七
○羽生三七君 関連して今の点で一緒にお答え願いたい。先程の農林大臣のお話の中に、再調査とかなんとかいうことをお話になつたが、むしろ政治的圧力が現れたのは、私共は今の板野君の考と同じように、最初の収穫予想がむしろ政治的に過ぎて、こういう結果になつたのではないかと、こういう感じがするのですが、どうですか。その辺農林大臣……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/17
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018・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) それは見方によると存じますが、私の方は改良局の作報事務所の組織によりまして、例年やつておりまする粒数検査によつて調査をまとめましたのが、六千五百余万石という数字になりましたので、決してそこに政治的も何もありません。ただ作報事務所が各府県の集計をまとめましたのが、こうなりましたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/18
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019・板野勝次
○板野勝次君 それについては、ただ作報が集めただけで、政府はこれに対して、つまり科学的な根拠があるかないか。どういう方法で、やつた方法が適確であるかないかというふうな再検討はせられず、ただ鵜呑みにしてこういう数字を発表しておられるわけですか。そういうふうに了承していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/19
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020・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 農林省といたしましては、調査機関は作物報告事務所より持つていないのでありまして、この作物報告事務所の数字、それが正確なるものとして、それを取上げる外ないのであります。知事の報告なり、或いは食糧事務所の報告というものは、これは参考調査でありまして、知事の方は年々莫大な減収を言うて参りますし、食糧事務所も中途半端な報告がありますので、必ずしも、これは参考資料として考えますけれども、正確なものといたして農林省として考えるのは、自分の組織として持つてあります作物報告事務所の成績を、責任のある正確なものとして見るより途がないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/20
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021・板野勝次
○板野勝次君 そうすると、政府はその後只今の減収が予想されたので、四百万石乃至三百万石は減額補正をしたいと考えたというふうな考え方について、ちつとも科学的な根拠で、全体としての減収予想がどのようにして集計されて来たと、そうして例えば四百万石なら四百万石、三百万石なら三百万石というふうにされるのなら分るのですけれども、四百万石乃至三百万石くらいだろうというふうなあやふやなものだから、司令部から指令されて来る。実際に減額補正しなければならないのは、これだけの数だという適確な交渉ができにくいというような面があるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/21
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022・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 併し一筆一筆に当つた調査でありませんので、作物報告事務所が、その後各地の病害発生等の関係から坪刈を実施したのであります。その結果、約一割くらいな減收の成績がまとまつたのでありますが、政府といたしましては四百万石がよかろうか、或いは三百万石がよかろうかという科学的な考え方でこれを決定したわけでありませんし、又四百万石とも、三百万石ともこれを決定したわけではないのであります。もともと私共司令部に対しまして、百十四万六百石という数字の基礎的数量を示せということも、要求を再々したのでありますけれども、司令部としてはその内容は示さない。しかし百十四万六百石が適当だと思うと、こういうことだけでありまして、政府といたしましては四百万石が科学的にいいか、或いは三百万石がいいかというそこまでの検討を加えたわけではありませんので、これだけは是非負けた貰いたいというようなことを考えたわけでもないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/22
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023・板野勝次
○板野勝次君 それではまあ大臣の答弁によつて、四百万石、三百万石というのは、而も非科学的な大見当であつた(笑声)ということは了承できるのですが、各府県から集まつて来た減額補正の要求が九百万石……(「千百万石だよ。」と呼ぶ者あり)その数字は幾らだつたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/23
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024・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 知事の言つて来たのは、減収が千二百余万石で、増収もいくらか……増収の面と減額の面と両方報告して来たのでありますが、初めは一千万石、一千百万石と漸次増加して来たというようなことになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/24
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025・板野勝次
○板野勝次君 そうすると、折衝の結果二百四十五万石になつたというならば、減額補正の要求全体と非常な開きがあると思うのです。そうすると、それを今度は下部に持つて来ると、補正問題についてやはり天降り的な補正というものが行われて来る、そうすると農民はこれは出せないということになつて来る。勢い強権発動ということになつて来て、農民は困るというような状態が起きないでしようか。これは先日読売新聞を見ましても、沢山の知事が当初の減額ではとてもやつて行けないということを言つておる。そうすると、百十四万六百石が二百四十五万石になつたといたしましても、府県の補正要求とは大部開きがあるので、非常な開きのあつた場合には、飽くまでもそれを固執されて、無理やりな割当でも押して行かれるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/25
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026・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) これは年々であります。昨年のごときも、たしか知事の要求は八百万石でしたが、知事会議を開いていろいろやつて見ますと結局二百三十万石に落着いて、それから十八万石ばかり超過供出もありましたし、毎年大きな数字が出て来るのです。そうすると、この千三百万石の要求がありましても、そのまま受取れるという根拠も知事の方にもないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/26
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027・板野勝次
○板野勝次君 そうしますと、これは大臣の答弁からしましても、食確法というものが実際に末端において、あの法律が示されておる通り措置されていない欠陥というものがあるのじやないか。もう一つには、米価の決定というものが非常に生産費を償わない、農家の日傭賃さえも無視するというような欠陥はないだろうか。そういうふうに農林大臣の方はお考えになつておられるかどうかという点と、それから二百四十五万石減額補正をするが、一体超過供出というものはどの程度おやりになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/27
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028・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 供出制度が完全なものとは考えておりません。どうしてもこれは何とか合理的に研究を進めて、何とか解決して行かなければならんと思つております。超過供出につきましては、司令部としては二百万石ぐらいはなければならんということを示されておるのでありますが、相当私は超過供出はできるのではないかと思うのです。昨年は百五十万石が年度内に入りまして、年度を越えて約三十万石ぐらいあつたと思います。今年もそれぐらいな超過供出はできるのではないかと、かように考えておるわけであります。又その価格の決定等を云々、お話になりましたが、価格の決定も生産費を償う償わんは、これは議論になるわけでありますが、二十一年、二十二年、二十三年ですか、パリテイ指数になりましたものにも、生産費ということは見ることについて困難な状態にありますけれども、大体生産費の方が統計で調査で見ますと、パリテイ指数を取入れて幾らか安いくらいな程度になつておりますので、今年のパリテイ指数によりまして出しましたことは、決して十分とは存じませんけれども、これで生産費の分は全然償わないということは考えられませんので、一部においては到底米価では引合わない生産費を持つものでありましようよけれども、過去の統計から見ましても随分開きがありましようが、大体中心として考えれば、これはパリテイ指数に近いものではないか、かようにも考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/28
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029・板野勝次
○板野勝次君 私の尋ねました言いようが少し夜かつたかも知れませんけれども、いつも知事会議等に沢山の数字が出て来る。そうして政府の決定するのと、非常な開きが出て来る。その根拠としてその供出問題、或いは米価問題というものが関連しておるのではないか。そういうものがあるから、勢いそういう政治的な考慮が払われて、いつも数字が違つて来るのじやなかろうか、どうしてそういう数字が違つて来るようにお思いになるかどうか、という点を併せて聽いておつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/29
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030・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) これは板野さんも御察し下さると思いますが、供出制度をやり出してから、反別が年々減つておるのであります。収穫量も年々減つて参ります。それで反当りの肥料を配給するというと、反別は殖えて来る。(笑声)そこに政治性が幾らかそういう知事なんかの報告に出て来るのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/30
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031・岡村文四郎
○岡村文四郎君 災害補償法の一部の改正についての質問でありますが、実は前から委員をしておられる方は御存じと思いますが、二十二年十二月に災害補償法が提案になりましたときに、私の方の組合は千二百万円ばかりの赤字があるので、これを今打切られると方法がつかんから困るということを申上げましたら、そのときの政府は何らかの方法によつて補うから、この案は是非急速に審議をして、通過をして貰いたいということで成立したのでありますが、実はそのままずつと来ておりますと、すべてのものがよかつたのでありますが、御承知のように農業会が解散をして協同組合になつたので、今の制度では協同組合から共済組合に金を貸すことになつておりまして、今整理に困つておつて、そのときは私が借主で借りてやつておつた関係で盛んに怒られておりますが、そのときに何とかするとは言われたが、その場合の措置が政府の方でもついておらんので、今お聞きすると、その金利は払つて貰つておつたそうでありますが、つまり払つておる金は、元金から何とかして貰うようにいたしたいと思いますが、何か適確な、何か貰わんと怒られておる関係上、何もなくては方法がつかんと思いますが、政府の方ではどう措置して貰えますか、一律に処置されても困難だと思いますから、何年ということをはつきりして置かれますと、その方向に進んで行けばいいと思いますが、その点を答弁して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/31
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032・藤田巖
○説明員(藤田巖君) その問題は随分前からの約束のように私も承知いたしておりますので、約束がありますところは是非果したいと思つております。具体的のやり方、これは余程研究いたしませんければなりませんので、これは関係者と協議いたして、至急解決いたすようにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/32
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033・赤澤與仁
○赤澤與仁君 三点ばかりお伺いいたしたいと思います。
第一点は、前の国会から申されておりまする事柄でもありますが、この改正をいたしました場合に、敷衍事項といたしまして虫害を加えると、それを次期の通常国会にお出しになるということを言われておるわけでありますが、いよいよ次の国会にこれをお出しになるかどうかをお確め申上げたいと共に、二十五年度の予算にそれに附随いたしました予算的措置が、お考えになつていらつしやるかどうか、これが第一点であります。
第二点は、標準被害率についての問題でございますが、災害補償制度を御実施になりまして相当日も経ちまするし、又本年のいもち病の発生というような事柄から考えましても、又次に虫害を加えようというような、これらの条件から考えまして、標準被害率を変更なさる段階に来ておるのではないかと、かように考えるわけでございますが、これに対しまするお考えを伺いたいと思います。
第三点は、先程の補正の問題に関連いたしますわけでございますが、只今各府県の主任官なり、或いは府県団体の主任者をお呼びになりまして、今度の損害補償の査定を、本省の方で現在おやりになりつつあるように承るわけなんでございますが、その場合におきまする、この損害補償の査定をなさいます本省の御方針を承つて置きたいと思うのであります。と申しますことは、先程農林大臣の御盡力によりまして、二百四十五万石の補正が一応決まろうとしておるというお話でございますが、相当食い違いがありますわけであります。従いまして、この損害評価を査定いたしました額と、この補正量との間に、相当喰い違いがあるわけなんでございますが、これにつきましては、相当正当な資料と根拠に基きましたものがございまするならば、損害評価は食違つても一向差支ないものである、かように考えるのでございます。政府当局といたしまして、いわゆるこのお役所の考え方として、余りに補正量と食い違つた損害額を出すということについてのお考え方から、この方針につきまして、多少疑義を抱いておる者があるわけなんでございますので、この査定の御方針を承つて置きたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/33
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034・藤田巖
○説明員(藤田巖君) お答を申上げます。保險事故といたしまして、虫害を加えまする問題は、これは現在準備をいたしております。来るべき通常国会に提案をいたしたいと考えております。これに関する若干の経費は予算にも取れております。それから標準被害率の改訂の問題でございますが、これは御承知のように、標準被害率は農業災害補償法によりまして、五年に一回改訂する、こうなつております。従つてその時期以外はちよつと変えるということは、これはできないと思います。併しながら、例えば麦等につきましては、現在いろいろ改訂の問題も研究いたしておりますわけであります。私共の考え方といたしましては、できるだけ多数の被害のものが保險の対象になり得るようには配慮いたしてみたいと思つております。それから災害補償の損害評価と補正減額量との関係でありますが、これは御承知のように真実には二つないわけでありまして、科学的な調査というものが本当に完全に行われた場合には、被害というものは如何なる資料でも一致する、これはそうだろうと思います。ただこの減額補正のやり方は、これは個々の農家を対象にいたしております。従つて農家が何筆かの土地を持つております場合に、仮にその一部分の土地について災害がありましても、その農業全体の事前割当を変更する場合、他の災害を蒙らない耕地の分が、仮に多くなつておりますれば、減額補正の問題としてはそうは行かない、こういうこともあるわけであります。ところがこの損害補償の方は一筆毎に調べるわけであります。従つてそこに考え方も違つておりますもので、従つて私共といたしましては、結果においては、損害評価をいたします場合に、補正減額量もこれは勘案いたしまして考えますけれども、根本の建前が違つておりますから、必ずしも一致する必要はない、さように思つております。併しながら若しも非常に開きがあります場合には、どうしてこういう開きが出るかということをよく検討いたしまして、更に不十分の点は資料その他によつて研究いたしました結果、正しい被害額がそうだという認定が付きますれば、さように持つて行きたい、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/34
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035・楠見義男
○委員長(楠見義男君) 速記は実は予算委員会の速記を割愛受けて来ておりまして、丁度向うの方に返さなければなりませんので、誠に恐縮ですが、速記はありませんが、会議録に止めますから、どうぞ御了承願います。速記を止めて。
午後二時五分速記中止
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午後二時三十九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/35
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036・楠見義男
○委員長(楠見義男君) 速記を始めてそれでは本日はこの程度で散会いたします。
午後二時四十分散会
出席者は左の通り。
委員長 楠見 義男君
理事
羽生 三七君
平沼彌太郎君
石川 準吉君
藤野 繁雄君
委員
岡田 宗司君
門田 定藏君
柴田 政次君
星 一君
赤澤 與仁君
加賀 操君
徳川 宗敬君
板野 勝次君
岡村文四郎君
小川 久義君
國務大臣
農 林 大 臣 森 幸太郎君
説明員
農林事務官
(農政局長) 藤田 巖君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614988X00519491128/36
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