1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月二十四日(木曜日)
午前十時十九分開議
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議事日程 第十七号
昭和二十四年十一月二十四日
午前十時開議
第一 常任委員長の選挙
第二 住宅営団法を廃止する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第三 国立学校設置法の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第四 国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第五 郡山電報局独立に関する請願(委員長報告)
第六 郡山電気通信管理所建物新築に関する請願(委員長報告)
第七 郡山、福島両市間の電話即時通話制度実施に関する請願(委員長報告)
第八 郡山電話局独立に関する請願(委員長報告)
第九 佐賀県犬井道に電話新設の請願(委員長報告)
第一〇 郡山、猪苗代両局間直通電話回線設置に関する請願(委員長報告)
第一一 白河局の電話交換方式変更に関する請願(委員長報告)
第一二 福島県須賀川局、岩瀬郡西部町村間直通電話架設に関する請願(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/0
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001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、常任委員長の選挙。これより欠員中の外務委員長の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/2
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003・左藤義詮
○左藤義詮君 本員は、外務委員長の選挙は成規の手続を省略し、議長において指名せられんことの動議を提出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/3
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004・小川久義
○小川久義君 只今の佐藤君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/4
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005・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 左藤義詮君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/5
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006・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。つきましては、議長は外務委員長に野田俊作君を指名いたします。(拍手)
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〔小川友三君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/6
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007・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 小川友三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/7
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008・小川友三
○小川友三君 本員は、早期供出米報奬金制度、米国薬業視察団の勧告案に対する対策、ヒロポン問題並びに外債償還対策、中小企業貿易に関する緊急質問の動議を提出いたします。(「聞えない」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/8
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009・島村軍次
○島村軍次君 只今の小川君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/9
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010・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 小川君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/10
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011・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。小川友三君。
〔小川友三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/11
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012・小川友三
○小川友三君 過般米国の薬剤師協会から、日本の薬業の視察に或いは医業の視察に参られたのであります。薬業視察団におかれましては、マツカーサー司令部を通じまして、厚生当局に対し医薬分業の大方針を示されたのでありますが、厚生大臣におかれましては如何なる御政策をお立てになりましたか。先ずこれについてお伺いをいたしたいのであります。総理大臣は、十一月の二十一日の衆議院におけるところの外務委員会におきまして、日本の講和問題に対して、米国以外の対日感情は依然惡いということを発表せられておるのであります。米国が日本を一番よく理解する国であるということは極めて同慶に堪えない次第でありまするが、他の国々が依然として感情が惡いということは、日本の平和国家、文化国家としての態勢が整つていないというところに原因をするのであろうと信ずるのでありまして、この際、世界の各国が医薬分業の国であるにも拘わらず、依然として我が国が旧態依然たる医薬兼営を一人の医師によつて経営せられておるというような状態は、打開をしなければならないと思うのであります。観光日本の建設においても、日本の国に外人が参りましても、外国の人が、日本が医薬分業の国でなく、依然として医者が調剤をやつておるというような、こういうていたらくにおいては、米国以外の国々の日本に対する感情をよくするということはでき得ないと思うのであります。又吉田総理大臣は終戰後の大宰相であるのでありますからして、特に諸外国の信用を高めるために、この際、総理大臣は諸外国を歴訪いたしまして、八千二百万の同胞の運命を打開するために盡力せられるところのお考えがあるかどうか。これに対してお伺いをするのであります。曾て我が国は大隈大宰相あつて、日本の外交勢力を、外交力をいやが上にも打ち立てまして、日本に大隈ありと知られたのであります。ところが終戰後の日本におきまして、外交官出身の吉田総理大臣が大宰相として国民の幸福を図りながら、未だに諸外国人が日本に吉田大宰相ありを知らないのでありますからして、この際、吉田内閣におきましては、吉田総理の外交政策の発展のために、我が国会においても吉田総理大臣の外交費を、巨額の外交費を計上し、吉田外交の推進のために協力せられ、又大蔵大臣は、吉田総理大臣の或いは外務大臣の外交政策に対するところの予算を計上する熱意がおありと存じまするが、それに対しまして大蔵大臣の所見をお伺い申上ぐる次第であります。
早期供出米報奬金問題でありまするが、早期供出米報奬金は、九月の三十一日までに供出すれば、一石マル公以外に一千円の報奬金を出しておるが、北海道、東北、新潟県以外で、この一石一千円以上の報奬金を貰つておる県は少いのであります。森農林大臣が生れた滋賀県においても殆んど九月末までに報奬金を貰つており農家は一軒もない。吉田総理大臣の生れた高知県においても報奬金を貰つておる農民は殆んどないという、この不ていたらくは、関東、東海道、関西或いは中国、四国或いは九州の農民を差別待遇をして、これら暖かい地方の農民に対しましては安くこれを買上げ、農民の生活を苦しめておる状態でありますので、森農林大臣は農業出身の大臣ですから、この点についても訂正を加え、特に一毛作地帯であるところの東北、北海道、新潟方面の農民に対しましては、統制方面において改正を加えるのが当然であると存じますので、この点について農林大臣と大蔵大臣の御所見をお伺いする次第であります。
ヒロポン問題につきましてお伺いを申上げます。厚生大臣は、厚生次官の名においてヒロポン並びにこれら各制剤の製造業者に対しまして、製造をしないように、製造を手控えするように言つておりますが、勤労大衆並びに資本家はこれがために非常に苦しんでおる。又医薬上から見ましても、薬学上から見ましても、ヒロポンは覚醒剤として医薬品中の優秀な医薬品であります。この薬品がなければ病気の治療上非常な不便を来たすのでありますからして、厚生大臣におかれましては適正なるところの方針によつてヒロポンの販売を許し、又医療政策上これが増産を図るのが至当であると思うのであります。特にこの問題につきまして、一部惡用をするところの少年或いは一部の人々のために、これが惡用せられておるということは、刑法上においてもゆるがせにできない点は認めるのでありまして、このヒロポンの惡用によるところの犯罪の数がどのくらいに亘り、どういうふうな方面に亘つておるかという点につきましては、特に法務総裁の御所見をお伺いする次第であります。
又外債償還問題につきましては、政府が外債の償還をするということを、すでに第五回の国会の休会中に総理大臣の名において発表せられております。四千四百万ドルを償還する、即ち百五十八億四千万円に相当する金を償還すると言つておりますが、さて臨時国会が始まりましても、政府はこの外債償還に対しまして何らの対策なく、又この利息を拂うところの対策も出ていないという状態は、吉田総理大臣が米国以外の諸国は対日感情が依然惡いと言うのは、政府自体が約束をしておることを、たとえ半分でも八割でも実行しようとする意思表示が、この国会においてないからだと私は考えますので、この点誠に遺憾に堪えない次第でありまして、特に外債、戰争前の外債を持つておらるる国はフランスであります。フランスが第一位であり、第二位がイギリスであります。ポンド不足或いはドル不足に苦しむ大英帝国の感情をやわらげるために、或いはフランスの感情をやわらげるために、我々国民は最低限度の生活に甘んじますから、どうか大蔵大臣の政策面において、本国会或いは通常国会にでも外債の利息だけでも拂うような政策を樹立して貫いたいのであります。
中小企業問題に移りますが、中小企業の貿易は日本貿易の八〇%以上を占めておるのであります。この中小企業の貿易問題につきまして、政府は最低価格を撤廃することには成功しましたが、常々中小企業者が金融難で非常に苦しんでおられるということの実態を、特に大蔵大臣は把握していらつしやると思うのであります。中小企業の貿易が不振であればこそ日本が本年度の五億ドルの貿易目標を遥かに下廻つておるというその状態を、何とか是正をしなければならぬと思いますので、特に終戰後稀に見るところの大蔵大臣におかれましては、この中小企業の金融に対しまして格段の政策を樹立し、金融方面におけるところの大政策或いは大経綸を発揮いたしまして、中小企業貿易に対しまして特に大蔵大臣の御所見をお伺いする次第であります。
又福島県の只見川の発電所問題については、特に建設大臣が最も蘊蓄を傾倒せられ、或いは通商産業大臣が蘊蓄を傾倒されまして、この大発電所を建設し、日本の産業の振興を図り、八千二百万の同胞の幸福のために、この絶対多数を有するところの政権において、この民自党内閣は国民の支持が多ければ多い程その責任は重大であり、又忠実を盡す力を持つておられるのでありますから、特に只見川発電所を中心とするあらゆるところの各地の発電所に対しまして、建設大臣並びに通産大臣の御所見をお伺い申上げる次第であります。(「終り、もういいじやないか」と呼ぶ者あり)各大臣の御所見をお伺い申上げます。(笑声)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/12
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013・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点は、来年度においては外交問題について相当の経費が要るのじやないかという御質問であつたと承わります。我々もそういうことを予想いたしまして、必要なる予算を組むべく用意をいたしているのであります。
第二の農業災害に対しての予算についての御質問でございまするが、農業災害につきましての予算上の措置は、御承知の通り農業保險その他につきまして必要程度を予算に計上いたしておりますし、又来年度におきましても計上する用意で準備をいたしております。
第三の外債償還につきましては、只今占領治下でございまして、相手方と交渉に入るわけには参りませんが、講和條約が締結せられましたら、イタリーの例もありますごとく、適当な措置を講ずる準備の下に、来年度の予算におきましては適当なる額を予算面に計上する予定の下に検討を加えております。
中小商工業者の輸出奬励に対しましては、本臨時国会にも輸出金融補償制度というのを設けまして、五億円をこれが準備とし、又来年度におきましても五億円を計上する予定をしております。尚、国内金融的に商工中金或いは興銀を通じまして、中小商工業者に対しまして特別の枠を設けて金融の円滑を図るべくやつて参つております。今後もこの方面に力を入れたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣森幸太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/13
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014・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 小川さんにお答えいたします。早場米奬励金についての御質問でありましたが、実は百万石を予定いたしまして、季節別にこれを各府県に割当てまして供出をして貰つたのでありますが、本年は收穫調製の時期が少々天候関係でズレまして、一週間ばかり遅れたのでありましたが、大体予定通りの早場米の供出は終了いたしました。この検査を相当嚴重にいたしましたことは、昨年度は極端な供出がありまして、東京まで持つて来るまでに腐敗してしまうというような米がありしまたので、本年はできるだけそういうふうなもののないように検査を嚴格にいたしまして、そうして三等級に繰上げてこれを供出して貰つたようなことであります。早場米の奬励金は、これは過去の実際から申しますと、この端境期が食糧がなくて越えられない、少しでも早く出して貰いたいという気持で奬励金を出したのでありますが、今御承知の通りの食糧事情が非常によくなつて参りまして、むしろ早場米の供出が單作地帶の一つの救護策というようなことも考えられておるような立場になつておるのであります。政府はできるだけこの意味におきまして、早場米に供出を督励いたしたような次第であります。(拍手)
〔国務大臣稻垣平太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/14
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015・稻垣平太郎
○国務大臣(稻垣平太郎君) 只見川の問題についてのお話でありますが、只見川の電力を開発することは、これは日本の産業界にとつても、又電力需給の常時化という意味から申しましても、必要であることはもとよりであります。これについては先般松井議員の質問のときにもお答えいたしたのでありますが、この只見川の電力をいわゆTVA方式によつて開発すべきものと我々は考えておるのでありますが、ただ、これが開発の費用は、單に発電設備だけで只今におきましては一千億以上の費用がかかると存ずるのであります。これに又送電についても同額の費用がかかるのでありまして、現在の経済情勢でなかなかこれが実行は困難であろうと私は考えておるのであります。ただ最近これに非常に興味を持たれる面がありまして、いわゆる外資を導入といいますが、この方面に入れるということについて、これが調査に来ておられるところの向きもありまするので、でき得べくんば外資の導入によりまして、或いは借入或いは共同出資というような形におきまして、これが開発を一日も早く速かにいたしたい、かように考えております。
〔国務大臣殖田俊吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/15
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016・殖田俊吉
○国務大臣(殖田俊吉君) ヒロポンの問題につきましてお答えをいたしますが、これは実は厚生省の問題でありまして、私は少し場違いでございますが、ついでにお答えを申上げます。ヒロポンが有用な薬剤であることは小川さんのおつしやる通りであります。然るに終戰後本来の医療目的を離れまして、青少年の間に濫用されておる傾向が甚だ強いのでありまして、これが社会問題になりました。そこで政府におきましては、これは注意を要すると考えましたので、この種医薬品の製造に対しまして製造の自粛を要望いたしました。つまり正当な使用以上にこれが濫用されるような数量は製造しては困るということを頼んだのであります。同時に販売業者及び薬局等に対しましては、この種の医薬品が劇薬であること、及び医療目的以外に濫用されておる傾向があるから、そのようなことのないようにということを、都道府県知事を通じまして指示をいたしますと共に、一般に対しましてもこの濫用のないようにということを知らしめておるのであります。別段これを犯罪として只今取締つておるわけではありません。それから又これを然らば特別に取締る法規を出すかというような問題があるのでありまするが、只今のところそこまで考えておりません。ただ研究はいたしております。只今では一般医薬に対する法律を適用いたしまして、その法律を逸脱する場合は無論それは違法の問題として処理いたします。但しヒロポンだけを特に直ちに特別の問題として立法するということは今研究中でありまして、まだ結論に達しておりません。(拍手)
〔政府委員矢野酉雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/16
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017・矢野酉雄
○政府委員(矢野酉雄君) お答えいたします。医薬分業の問題は理論的の結論は達せられておるやに見えますが、過般のアメリカの使節団の勧告に従つて、厚生当局としては如何にこれをその理論に副うて実現するか、時期その他の方法等について折角研究中であります。それからヒロポンの問題は只今法務総裁から答弁されたのと同じでありまするが、これについては、やはり厚生当局といたしましては、過般事務次官の通牒を以て各府県知事に製造並びに販売についてのいろいろの要請をして置きました。製造については只今の法務総裁の御答弁そのものであります。武田製薬のごときは、すでにみずから自粛して製造を禁止しておる向きもあることを私は存じております。販売については、御承知のごとく劇薬でありまするから、劇薬販売についての取締は嚴重に厚生省といたしては取締つておる次第であります。むしろ小川議員のごとく販売に当つておられる方々によくそれらの精神をお汲み頂いて、むしろ自粛をして頂くように懇請して止まないのであります。以上答弁といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/17
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018・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 内閣総理大臣は只今病気のため答弁は他日に留保されました。
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〔中平常太郎君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/18
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019・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 中平常太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/19
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020・中平常太郎
○中平常太郎君 本員はこの際、煙草民営問題につきまして緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/20
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021・島村軍次
○島村軍次君 只今の中平君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/21
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022・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 中平君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/22
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023・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。中平常太郎君。
〔中平常太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/23
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024・中平常太郎
○中平常太郎君 政府は先に吉田首相の発意によりまして臨時專売制度の協議会を設置されましたが、その節吉田首相は、新聞によつて伝えられたところによりますというと、民営はよろしいと、民営にしなくちやならんが、それで、この協議会は民営をどういうふうにしてよろしいかということを、その方法を研究するという意味で協議会が作られたということでございました。その後十一月の一日の新聞によりますというと、その協議会は当初の目的を変更して、賛否両論を中間採択して、そうして大蔵大臣に答申したということでございます。同時にその新聞の記事によりますというと、吉田首相は必ずしも明年度からそうしなくともよかろうという意思の表示があつたように新聞で伝えております。ただ早急にやるということが聊か延ばされたというようなだけでありまして、あれ程お急ぎになつておられました首相といたしましては、いつ又急に足下から鳥が立つように言い出されるかも知れないのでありまして、緊急に質問したい動機がそこに出発いたしておるのであります。
さて、首相の言明せられました理由といたしましては、民営にすれば安くて良い煙草が国民に提供ができるということと、もう一つは外資の導入に期待すること、この二つが主たる要点のようでございまして、時間もありませんから他の問題には余り触れないことにいたします。終戰後今日までの煙草は確かに品質も惡く値段も高い。だから民営にすれば良くなり安くもなると言われますると、現在の公社でやるところの組織、機構が惡い。民営にしないといけないということに受取られます。これがおかしい。外国の安い煙草さえ輸入できれば、官営であろうと民営であろうと、安くもなり、うまくもなるのであります。民営にせねば安くもうまくもならないというような考え方は、国民を誤解せしめる一つの言辞ではないかと私は思うのであります。これまでの質の低下は戰争のためでありまして、まあ、その証拠には、戰前には相当よかつた。当時の戰爆で仙台初め、東京、大阪、岡山、広島、福岡或いは熊本、鹿兒島、高松或いは徳島、各地の十二三ケ所の大きな製造工場が皆燒けてしまつた。香料なども加工する機械も燒けた。而も葉煙草は二ケ年貯蔵しなければよい煙草ができないに拘わらず、その二ケ年分の貯蔵の葉煙草も燒けてしまつた。その上、又戰争で外国の煙草が一切入らない。それで止むを得ずその年々の青葉を使用したのでございます。もうよい筈がありません。これを言わずに、何か官営が品が惡いと言わんばかりに民営に移す原因とするなどは、凡そ、その戰乱という特殊事情を棚上げして、民営とうまい煙草を食つ付けんとする一流の政治的ジエスチユアではあるまいかと思うのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)又生産面では中国、四国等へは国策として米国種栽培を奬励して、よい品種の黄色種が段々できて参りました。又現在では戰災工場も次第に回復いたしまして、本年の秋の取入れからは二ケ年貯蔵する方の葉煙草も漸次緩和して行きつつある状態でございます。本年度は目標が六百五十億本でございましたが、来年度は八百億の生産目標で、戰前を遥かに上廻つておるのでありまして、能率が上らないとも言えまいと思うのであります。それを公社として一年もまだ経過しないうちに早くもこれを民営にするなどということは、全く朝変暮改の無定見の考え方ではあるまいかと思うのであります。民営となりますと、利益本位になり、外資並びに葉煙草の輸入ということになつて参りますので、勢い我が国の煙草の耕作者は約六十万戸ありますが、家族共に三百万人の生活は、約その三分の一は父祖伝来の農業形態を破壞されて、一大脅威にさらされることに相成るであろうと思うのであります。すでに先日吉田首相の一言によりまして、華煙草耕作地は至るところ非常に人心が動搖いたしております。今後「いも」でも作らしめるお考えかどうか。ポンド地域から大分今後莫大な食糧が輸入される見込でもありますし、農家の将来は非常に悲惨なることを我々は考えざるを得ぬのであります。先日衆議院の議員会館で煙草の会議がありまして、参衆両院の方から二百人ぐらい集まりましたが、煙草の会でありましたが、全会一致で民営反対、時期尚早ということに申合せができたんでありまして、輿論というものはかくのごとくものでございます。首相は一人政治をやつておられる人であるそうでありますが、どうおやりになるか知らんが、その輿論はそんなものでございます。煙草価格は平均いたしまして原価の六十割、ピースのごときは原価の百割、五円四十八銭のものを六十円に売つておる、平均原価としては工費を加えましても一六%を出ない。売価の一六%であります。煙草の値段は普通企業のように原価や採算から来たのでなくして、全く財政上の都合でありますから、原価の切下げということによる値下の余地が極めて少い。明年度は増産が百五十億本も予定におつておるので、蔵相が先日お話におりました通り、一割五、六分の、約ピースの十円ぐらいの値下げはなさるということを言明なさつておりまして、大変結構だと思つておりますが、それ以上の値下げこういうことは、消費税を下げない限りは、なかなか今日多額の値下げはできにくいのでありまして、米国などの煙草の税收は酒の税金の六〇%でありますが、日本は酒の税金の大体二倍、又税の総收入から言いますと、米国あたりは煙草の税は三%であります。日本は二五%取つている。一粉会計約七千億の一割七分を負担しているところの重要な財源でございます。日本の煙草は元民営でありましたが、課税が段々高くなりまして、高くなるに連れて脱税がひどくなり、それで明治三十七年にこれが官営となつたのでありますが、その当時と違いまして、今日とその当時とは非常に比較にならない程高い課税をやつているのでありますが、民営にいたしまして、果して脱税、而も大きな不正問題が起きないと誰が保証できましようか。五割、十割の課税ならいざ知らず、九五%まで取立てねばならぬような事業となれば、官であろうと民であろうと、何業であろうとも、当然その受益者がみずから最善の努力を拂つて、みずから経営すべきであるまいかと思うのであります。シヤウプ勧告の中にこういうことがある。地方庁に対する補助は、金額補助するようなものは、国みずからが経営すべきであるということが書いてあります。この言明から推論いたしましても、煙草のごとき全額益金を徴收しなければならないような事業は、当然現在のように公社として政府みずからやるべきであると思うのでありますが、この点をお伺いしたい。この大きな利権を少数の会社に與えまして、自営権のある主体性を会社に讓り、弱い立場になつて、一千二百億円貰いさえすれば、後は自然増收が出たら消費税は取れるが、かかる場合コスト安になる部分は会社の利益に概ね落ち込む虞れが多分にある。つまり何程でも会社になつたら抜け穴ができるということであります。例えば今日では大がかりの闇製造はできないが、民営にでもなりますというと、葉煙草に誘惑の手が伸びる。脱税心を唆る上に、工場という現実の威力を持てば鬼に金棒であります。公然と多量に生産される虞れがある。五割、十割の消費税なら、それ程脱税も妙味もないが、五円、十円のものが五十円、六十円に売れる今日では、到底脱税は防ぎ得ないと思うのであります。防ぎ得られるというならば、それは耳を掩うて鈴を盗むに等しいものと言うべきであります。この問題について所見をお伺いしたい。
政府は先に財閥解体を断行したのでありますが、煙草が民営になりますというと、一ケ年の総收入が約一千六百億円あります。これを仮に五つの会社に経営せしめるということになりますと、一会社が大略三百二十億円程度の金を扱うことになるのであります。一ケ月三十億円の大金が会社の操作圏内に入るのであるが、この金利にいたしましても莫大なものでございますが、財閥を倒して置いて、又このような大きな財閥を作るとなると、今後財閥的な行動を再現すると思うが、この点についてはお考えはどうであるか。
政府はこれによつて外資導入を考えておられますが、煙草のごとき有利なものには外資導入もできましようが、併し外資の導入は、元来日本の復興のための生産方面に向けらるべきでありまして、現在困難を極めている食糧或いは輸出再生産物資などのための輸入ならば結構でありますが、現在のような困難のうちに、日本国民にうまい煙草を安く吸わそうという考えで、贅沢な消費増加を外資まで導入して奬励することが果してようかどうか、又これが許される問題であるかどうかということをお伺いする。世評は随分穿つたことを言つております。国鉄拂下問題といい、煙草民営問題といい、昔の財閥の身代りが段々できて来て、民営の美名の下に一部の資本家に利権が移されることについては、世間では今後政党の腐敗がどんなふうな様相を呈するか、勤労階級の犠牲と奴隷化によつてボスのうん釀がどんなふうに大きくなるか、政党というものは他からは容易に潰されるものではないが、みずからの罪惡によつては面白い程自壞作用をするものであるということは、歴史が認めて知らして呉れているわけであります。実にそういうような利権のものが移されるということは、非難ごうごうたるものがあるのでありまして、これは考うべきことと存じます。
右五点程につきまして、どうか大蔵大臣の明快な御答弁を願います。又総理大臣に主にお伺いしたいのでありますけれども、おいでになつておりませんから、この点も十分お考えの上で御答弁を願います。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/24
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025・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 煙草民営についての御質問でございますが、結論から申しますると、この問題は目下折角臨時專売制度調査会で審議をいたしているのでありますが、御質問でございまするから、一応私の考えを申述べてお答えといたします。
私は今の制度には慊らない者の一人であります。理想といたしましては民営を支持するものであります。併し何分にも千二百億円の收入を確保し、又数十万戸の農家の従来の経営方法から考えますると、直ちに民営に移すこと法が如何なものかと考えております。従いまして今少しく検討して適当な措置を講じたいと思うのであります。お話によりますると、直ちに民営にした場合のことを議論されているようであります。即ち民営にすると葉煙草耕作者が非常に困る、外国から葉煙草が来て内地の耕作者は困る、こういうお話でございまするが、これを民営にする方法如何によつてそういう難点は逃れ得るのであります。御承知の通りに我が国の草煙草は従来外国にも出しておつたのであります。我が国の葉煙草を外国に出し、外国から又葉煙草を入れて、そうしてうまい煙草を吸うのが一つの理想であると考えるのであります。又專売制度をやめましても、葉煙草の專売制度を残すこともできるのであります。いろいろな方法が考えられますので、折角検討いたしているのであります。これを民営に移したら財閥を又作るのではないか、これは杞憂であると思うのであります。又外資を煙草に入れることがよくないではないかという問題でありますが、私はそれが日本の消費財に充てられようが充てられまいが、必要な外資ならば経済的に見て入れるが至当であると思います。これが煙草の能率向上に外資を入れて製造機械を作り上げる、こういうことが必要なことであると考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/25
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026・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 内閣総理大臣は先刻申上げました通り答弁を留保されております。
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〔羽仁五郎君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/26
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027・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 羽仁五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/27
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028・羽仁五郎
○羽仁五郎君 本員は基本的人権についての緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/28
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029・島村軍次
○島村軍次君 只今の羽仁君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/29
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030・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 羽仁君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/30
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031・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。羽仁五郎君
〔羽仁五郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/31
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032・羽仁五郎
○羽仁五郎君 御承知のように本月十二日に、オーストラリアの外務大臣エヴアツト氏が公式の声明を以て、日本の吉田首相は明らかに日本が曾て侵略国として国際連合諸国民に言い難き苦痛を與えたことを忘れていると指摘をいたしました。我々は日本からの脅威の恐怖のない将来の保障を要求すると声明いたしております。日本全国民の待望する講和会議を前にして、日本に対して重大な発言権を持つておりますオーストラリアの外務大臣のこの公式声明に対して、それを誤解とするならば、日本の吉田首相兼外相は、公式声明を以てその誤解を解く必要をお認めにならないのかどうか。本日この議場において、私は日本国民の代表として、日本国民の大多数は決して日本の過去の侵略主義の罪惡を忘れてはいない、従つて将来において日本は、二度と広び決して、国内においても、国際においても、人民の基本的人権を侵害し残酷の脅威を與えることなき保障を確立しようとしているものであることを、公式に声明しなければならないと考えるものであります。(拍手)
基本的人権の尊重に誠意を欠くことは暴政の第一歩であり、戰争の第一歩であると、アメリカの大統領トルーマンが本年十月二十四日国連本部の定礎式において声明しております。そうして、この国連本部のコーナー・ストーンの下には、国際連合憲章と共に、一九四八年十二月十日国連の採択いたしました世界人権宣言が納められておるのであります。基本的人権の尊重、ここに日本の国内の民主化の第一歩があり、日本が国際平和に対し、又講和会議を前にして、みずから姿勢を正さねばならない最高の條件があることを我我は自覚しておりますが、政府はこのことをどの程度まで自覚しておられるのか。基本的人権は尊重する、併しそこには公共の福祉の制限があると政府は絶えず言つておられますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)曾て日本の旧憲法が、人権を尊重するが、それは法律の範囲内においてであると言つていたことと、現在の政府、法務、検察、警察当局の態度は、果して本質的に改革されておるのでありましようか。基本的人権と公共の福祉とは、同じレベルのものではない。基本的人権は最高のレベルのものであつて、公共の福祉はそれより下つたレベルのものであることは、本院において、憲法の專門家でもある淺井人事院総裁が私の質問に対して明言したところのものであるのみならず、公理であります。さればこそトルーマンも、基本的人権の尊重に実質的に誠意を欠くことは暴政の初めであり、侵略戰争の第一歩であると声明しているのであつて、その際、彼は決して公共の福祉による制限というような二次的の問題を以て第一義の問題を曖昧にしてはいないのであります。公共の福祉の制限はホルムス判事が明らかにしていたように、必ず明白且つ限前の危險の事実についてのみ法律によつて許されるのに止まるのであつて、一般に第一義的に許されることではないのであります。従つて政府当局の主観的裁量によつて行われるようなことは断じて許されないわけであります。先頃地方において、警防団が盗賊を捕えようとして一人の女性を殺してしまつたような事実があり、又最近東京都の教育委員長が事務局員を殴打した。然る後に、びんたは愛の拳であるとか、或いは日本の軍隊は、びんたによつて強くなつたのだとかいうようなことを言つておる。その外、公共の福祉であるとか、或いはいろいろな口実を、名義を以て、基本的人権を踏みにじる風が、特に権力を持つている者の間に絶えないことは、何人も遺憾とするところであります。現政府当局が、依然として基本的人権の尊重が第一義であることを曖昧にし、基本的人権は尊重するが、公共の福祉によつて制限されるというようなことを以て、事実上において、ややもすれば基本的人権の尊重の誠意に欠けているのではないかという疑惑を、国内においても国際的にも増大するならば、この一点を以てしても、現政府は日本民主化の時局担当においても、国際平和、対日講和の問題の担当者としても、その資格のないものであると言わなければなりません。(拍手)
首相並びに法務総裁は、共に、曾て人権蹂躪の悲惨をみずから体験しておられるのであります。又本院議員の間にも、曾て無法なる当局の人権蹂躪の言い難い苦痛を受けた事実があります。一朝にして天下の名士の人権が踏みにじられるのではありません。日本国民の誰であれ、一人でも人権蹂躪が行われるならば、やがて日本国民のすべての、何人の人権も蹂躪され得るに至るのであります。(「よく聞いて置け」と呼ぶ者あり)国家のためとか公共の福祉とかいうことが基本的人権の蹂躪に利用されることの如何に恐るべきものであるかということを、法務総裁も自覚しておられると思う。基本的人権が尊重されて、然る後に初めて公共の福祉ということも可能なのであります。基本的人権が踏みにじられるならば、公共の福祉は成立たないのであります。基本的人権の蹂躪こそ最大の公共の秩序の破壤であります。法務総裁並びに樋貝国務相は、人権尊重に関し当局の全員の認識を一新し、国内並びに国際の疑惑を一掃するために、現在人権蹂躪の疑惑の存する事実について、形式的ではなく、取扱上の注意などに止まらず、良心的に深く堀り下げて嚴正な調査を行い、今後人権蹂躪は言うまでもなく、これに類する残酷を根絶する決意を表明せられる意思はおありにならないのか。法務府人権擁護局発行の月報「人権」本年一月一日第四号にも記されているように、昨年度において法務府は、警視庁並びに検察当局に向つて、帝銀事件被疑者平澤貞通君に対する逮捕、留置、取調、その新聞発表等につき、人権擁護上遺憾とする点を指摘して、注意を喚起するために勧告書を送つておられる。又法務府人権擁護局は、東京高等検察庁検事長に向つて、昨年八月茨城県の或る製作所労働組合に対し、警察当局が逮捕状の執行に当り、違法に警察力を行使し、多数組合員に暴行し、傷害を負わした事件につき調査の結果、検察当局がこの真相の究明について手を盡されるのが相当であること、及び本件を通じ如何にせばかかる残酷を避け得たかということを検討し、将来の執務の資に供せられたいという意見を書を発しておられる。かくのごとき人権擁護局の尊敬すべき努力に対して、検察当局はどの程度に反省したのか、そうしてかくのごとき事実がその後減少しているということを、法務総裁又樋貝国務相は、国会を通じ、国内及び国際の信頼の回復のために、事実に基して明らかにする必要があるとはお考えにならないか。平澤貞通君に対する人権尊重の不完全は、最近に至つても世論の指摘するところとなつているではありませんか。「何人も有罪と決定されるまでは、無罪と推定される権利を有する」と、世界人権宣言にもかくのごとく明記されております。(「その通り」と呼ぶ者あり)マツカーサー司令官の推薦した世界人権宣言の趣旨の徹底、ポツダム宣言、又日本労働組合に関する極東十六原則の趣旨と共に、政府はこれらの徹底に如何なる努力と実績とを示されているのか。三鷹事件について法務総裁は先日、本議場において、人権蹂躪とみなすべきものはないように言われたが、形式的にではなく実質的に、現在の検察当局、又警察の態度に問題がないとなさるのでありましようか。曾て帝人事件に当つて三土忠造君等に対する検事の怒号的取調が問題となりましたが、現在警察、又検察当局において、被疑者の人格を尊重しない怒号的取調が行われていないでありましようか。刑訴法第三十九條において、被疑者が弁護人と立会人なくして接見する自由を第一義的に保障しているに拘わらず、検察官が捜査のための必要があるときに限つて、その時と場所とを指定することができるという二次的の規定を、第一主義的に解釈し、弁護届のとき接見を行わしめた後、事実上においては被疑者が弁護人と接見する自由を有名無実ならしめ、刑訴法同條の條文の最後に、この時と場所との指定は、被疑者の防禦権を不当に制限するようなものであつてはならないと、特に明記しておる趣旨を徹底させていない事実が、三鷹事件についてもあるではありませんか。自白の強要が許されない、默秘権を尊重しなければならない、証拠によらなければならないという新らしい憲法又刑訴法を、検事、検察及び警察は心から確信しているかどうか。本年八月十六日読売新聞紙上の座談会において、東京地検次席検事が総司令部法務局のマイアス君から、新刑訴法に対して非難をしているようだが、それは不当であると批判され、默秘権を育てなければならないと指摘されていたではありませんか。自白をしないでもいいのだ、認定で死刑になるというようなことを言つて被疑者に恐怖心を與え、事実上において自白を強要している事実が三鷹事件においてなかつたかどうか。逮捕状が出ないうちに逮捕したと発表した事実がなかつたかどうか。形式的の答弁を求めているのではありません。法務総裁又は樋貝国務相は、真実日本の検察又警察が過去の残酷を脱却して、人権の尊重の方向に向うことを要求し、過去の残酷を如何なる意味においても残存することを許さないという決意を明らかにする意思はないか。人権蹂躪根絶のために絶えず調査し、処置しておられるかどうか。
世界の対日感情は決して至る所好転しているのではないことは、一昨々日衆議院外務委員会において首相が述べられた通りであります。朝連解散問題のごときも、朝日新聞でさえ当局に反省を求めておりましたし、朝鮮人学校閉鎖については、駐日韓国代表がこの件につき、日本政府から朝鮮代表部に、又総司令部シーボルト外交部長に何ら事前の通告もなかつたことを指摘し、朝鮮人学校は朝鮮代表部に引渡さるべきであると要求し、今回のような事件は両国間の関係の将来にとつて遺憾としているのであります。大阪で発行されている国際新聞のごときは、本月三日の紙上に、これらは日韓合併の再版の第一頁を意味するのかと難詰しておりますが、政府は何ら反省しようとしていないのであります。
広島市における警察官の学校配属の事実は、本月十三日毎日新聞を初め世論の批判と疑惑とを受けつつあり、又最近名古屋において刑事が生徒を通じて教師の動靜を探つているというようなことについて、愛知教育会会長が、警察政治の再現は嚴に戒めなければならないとしております。神聖なる教育の場所に警察を介在させることが、日本の教育の民主化にとつても、警察の本分の嚴守にとつても、望ましいことであるか望ましくないことであるか。文教及び警察の行政の最高責任者の答弁を求めます。
最後に私は結論として首相に質問する。政府はこの際、国内又は国際の疑惑を一掃し、基本的人権の尊重を最高原則として声明し、これに背くがごときことは暴政の第一歩、侵略戰争の第一歩として今後根絶すべく、嚴正な調査と処置とを国内国民及び国際世界に向つて誓約すべきであるとは考えられないかどうか。(拍手)
〔国務大臣殖田俊吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/32
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033・殖田俊吉
○国務大臣(殖田俊吉君) (「はつきり答弁しろ」「頬被りでなしにやつて貰いたい」「頬被り答弁は御免だ」と呼ぶ者あり)基本的人権の最も尊重すべきことは私自身よく存じております。併しながら基本的人権と公共の福祉とが調和を得なければなりませんことは、これは国家生活の止むを得ざることであります。而してその両者の調和をいたすのは国会であります。政府ではございません。国会のお決めになりました方針に従いまして、政府は行政をいたすのであります。(拍手)そこで、その人権が、この国会の定めた方針に従つて如何に尊重されておるかということは、只今羽仁さんのお話の通り、私の所管になつておりまする法務府内におきまして人権擁護局というものを特に設けまして、日々人権擁護のために勉強いたしておるのであります。そうして昨年人権擁護法という特別な法律をお作り願いまして、その法律によりまして只今では全国の村々に人権擁護委員を置くことになつたのであります。一万一千名の擁護委員を置きまして、日々人権蹂躪の事実があるかないか、あれはどうしてこれを直すかということに努力をいたす制度を立てておりまして、今その人権擁護委員を折角選定中でございます、すでに数千名はもう任命を終りましたけれども、これは大事な仕事でありまするから、最も立派な人を集めたいと思いまして、只今折角それを努力中でございます。しかいたしまして、この人権擁護のための努力は、すでに本年一月から九月までの間におきまして、約四千七百件の人権擁護事件を取扱つておりました。而してこれは多くは警察、検察等に対しまする勧告でありまするが、その外に告発をいたしまして、起訴いたしましたものも相当あるのでございます。のみならず私は常に検察当局に対しまして、人権を尊重すべきこと、新らしい法律の精神の十分に徹底して行われるように常に注意を怠りません。常に監視をいたしておりました。ただ何分にも大きな組織でありまするし、又従来のやり方もございますし、どういたしましても一度にこれが効果を挙げることは甚だ困難でありまして、折角私はそれを努力いたしておりまして、羽仁さんのお話のごとく、将来人権蹂躪の事実のごとき、全然日本に存在しないことを期待いたしておるのであります。(拍手)
〔国務大臣樋貝詮三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/33
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034・樋貝詮三
○国務大臣(樋貝詮三君) 只今基本的人権と公共の福祉との関係についていろいろお話がありました。私共が考えておりますのは、基本的人権を尊重することは疑いないことでありますけれども、基本的人権は公共の福祉の範囲内において認めるべきものであつて、これを逸脱すれば、只今の法務総裁のお答えのごとく国家的組織の上においてはこれを認めることができない、こういう感じを持つております。(「それが詭弁だ」と呼ぶ者あり)従つて最近起りました警察官が兇賊を逮捕するために止むを得ず発砲したというような事件もありましたけれども、あれは警察官が初めに犯人に追い着きました当時において、その犯人が逆手を取つたために、遂に生命が危險に瀕するというような状態になりましたために、遂に発砲しておどかしたのが一件ありましたのでありますけれども、私共は国の警察に対してはもとよりのこと、又自治体警察につきましても、この基本的人権の尊重ということは絶えず機会あるごとに申しておるような次第であります。ただそれが、只今詭弁なりというようなお話もありましたけれども、公共の福祉に反しない限度において十分にそれを尊重しなければならないということを考えておりますので、それをも附加えて申しておつたような次第であります。今日においてどちらかと申せば、警察官はむしろ基本的人権は尊重いたしますものの、むしろ弱きを嘆ずるというような有様でありましたので、これに対しては明るく民主的であることは望むけれども、併しながら弱いところの警察であつてはならぬということを言つておるようなわけで、従つて今の御趣旨には副つておることと私は考えておる次第であります。尚(「具体的な問題を答えなければ駄目じやないか」「答弁になつておらん」と呼ぶ者あり)朝連の問題及び学校の生徒の保護のために警察官が派遣されておることに対しましては、後程文部大臣からお答え申上げる次第であります。
〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/34
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035・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) お答えいたします。朝鮮人学校に対する措置につきましてお尋ねがありましたが、この措置は御承知のように二種類ありまして、解散を命ぜられました朝連経営の学校に対する措置、第二は朝連の直接経営に属しない朝鮮人学校に対する措置であります。前者につきましては、経営主体が消滅いたします結果といたしまして、当然閉鎖を命ずるという措置を講じたわけであります。又後者につきましては、二週間の期限付で、朝連による教育支配の排除、又学校教育法に基いての内容の整備等を要求したわけであります、ところが大部分はこれらの要求を満たして参りません結果といたしまして、今月初めに大部分のものに対して閉鎖を命じたのであります。義務教育というものは、御承知の通り極めて大切なものでありますから、学校教育法を嚴格に励行する必要があると考えますので、これらの措置は当然のことと考えております。
それから次に、学校への警察官配属の問題についてのお尋ねがありましたが、これにつきましては実情を十分調べたいと思つて調査をいたしておりますが、まだ公式な報告を受けておりません。併し警官配属と申しましても、多分警官が各学校へ毎日出張して勤めておるというような意味ではないと推測をいたしております。少年犯罪を防止いたしますために学校と警察が緊密な連絡をとるということは、これは是非必要なことでありまして、ただ生徒の教育的指導ということは、これは飽くまでも校長並びにその学校の教育職員の任務と責任であります。従つてこの方面まで警察官が立ち入る、関與するというようなことは、飽くまで避けなければならないと思つております。警察にも少年防犯についての專任者もおるのでありますから、今までもやつておりましたように、今日のような時代には、今後は尚一層学校と警察は密接な連絡をとつて防犯に成力する必要があると私は考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/35
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036・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 内閣総理大臣は病気のため答弁を他日に留保されております。
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〔板野勝次君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/36
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037・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 板野勝次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/37
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038・板野勝次
○板野勝次君 私はこの際、国際小麦協定に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/38
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039・島村軍次
○島村軍次君 只今の板野君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/39
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040・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 板野君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/40
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041・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。板野勝次君。
〔板野勝次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/41
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042・板野勝次
○板野勝次君 国際小麦協定に関しまして総理兼外相並びに農林大臣に質問いたしたいと思います。
第一の点は、国際小麦協定参加という極めて重要な問題に関して、政府が單独で参加を決定して事を運んで、何故事前に国会において参加の可否を諮り得ないのか。ここに私達は日本の国民と共に深い疑惑を持たざるを得ないのであります。憲法第七十三條によれば、條約を結ぶに当つては、政府は事前に或いは時宜によつては事後に国会の承認を経ることを必要としておるのでありまして、この種の協定についても同様でなければならないのであります。人民の利害得失を真劍に考慮し、人民の生活の安定と向上を期し得るところの能力ある政府でありましたならば、国民の経済生活に重大な影響を及ぼすこのような協定参加については、その内容と利害得失を国民の前に訴え、人民の批伴を仰いで、事前に国会の賛否を問うに違いないのであります。吉田内閣が国会の承認を経るという簡單な民主的手続さえもとり得ないところに、人民の生活を窮乏させる政府であるということを証明しておると思うのであります。阿波丸賠償問題におきましても、吉田内閣は国会の審議を経ないで日本の請求権を放棄する協約を結び、今又国際小麦協定参加を事前に国会の審議を経ないで決定したことは、明らかに国会軽視、憲法無視であります。ここで我が党が人民と共に吉田総理兼外相に聞きたいことは、何故憲法も国会も無視して、国民も無視して、国民に国際小麦協定が如何なるものであるかをさえ知らせずに協定に参加してしまわなければならないのか。而も国会開会中である現在、参加の可否の諮つてはならない特別の理由があるのか。又国会の審議を経ると如何なる点で都合が惡いのか。この疑惑に対して総理兼外相の答弁を伺いたいのであります。例によつて風邪引きで出席がないそうでありますから、外務政務次官の明快なる答弁を求めたいのであります。
第二の点は、国際小麦協定に参加すれば、四ケ年間協定に縛られて、価格下落の見通しの付く現在、不利益であるという点であります。御承知のごとく戰後国際小麦市場を統制しようとする試みは、すでに一昨年と昨年の二回試みられましたが、いずれも流産となつて、三度目にとにかく成立しましたのがこの国際小麦協定であつて、去る八月一日より効力が発生しておりますが、その前途は決して平坦なる大道とは思われないのであります。この協定に参加しますれば、一ブツシエル最低価格第一年度一ドル五十セント、毎年十セントずつ逓減して、二九五三年度には最低一ドル二十セントとなる、この価格に四ケ年間縛られることになりまして、政府としては、「この協定が世界の小麦取引総量の半分について価格が安定せしめられることになり、又世界の小麦市場を左右する米国の小麦は、農産物価格支持制度でその価格が保護せられているから、この協定に定める最低価格よりも更に小麦価格が下落する公算は少いから不利ではない」と答えるかも知れないのでありますが、下落しないとの保証はどこにもないばかりか、現に価格は下落の方向を辿つておるのではありませんか。昨年の小麦協定はアメリカ上院の反対で流産になりましたが、当時より條件が惡くなつたのにも拘わらず今度の協定を先立させたものは、戰後における新らしい世界の農業恐慌の重圧でありまして、アメリカの大穀物業者の意見を代表するノース・ウエスタン・ミラーという雑誌の本年五月号には、「ヨーロツパでは一般にまだマーシヤル援助というように言われておるが、これは純粋に博愛主義的理由で與えられておるものではなく、アメリカの生産を安定させ、その輸出貿易を促進させる目的を持つものだ」と指摘しておりますごとく、小麦協定成立の背景も、国際道義的性格よりも、小麦輸出国側の一種の政治的性格を含むところの販路カルテル的な構想へと移つておる点は十分注目すべきでありまして、こうした情勢の中で、小麦価格下落の公算は果して少いと見るべきでありましようか。現にシカゴ小麦現物の一ブツシエル当り相場は、昨年八月では最高二ドル二十六セント、最低二ドル十一セント八分の五であつたものが、本年八月には最高一ドル九十七セント、最低一ドル八十九セントに下落しており、協定による最高価格一ドル八十セントと殆んど開きがなくなり、この十二月にはシカゴの相場は先物融資価格より一ブツシエル四十セント安の一ドル十五セントとなるものと見られておる状態であります。又一億二千五百万ブツシエル輸出可能量の小麦を持ち、協定より脱退したアルゼンチンは、日本、ドイツ、スイス向け輸出を促進する目的で、トン当り小麦旧価格三百十乃至三百六十ペソであつたものを二百七十ペソに引下げた新価格を発表しており、協定から脱退を余儀なくされたソ連も、東欧諸国向けを除いても尚一億ブツシエル以上の小麦が輸出でき得る状況であり、輸入国として協定に参加しておる英国などは、ソ連やアルゼンチンとも食糧を内容とする貿易協定を結んでおるくらいであります。このような世界の小麦事情から、今や価格の値下りは決定的と見るべきでありのに、下落する公算少いとして協定に参加すれば有利となるという根拠はどこにもないのであります。こういう情勢にあるのに、協定に参加すれば、購入割当義務の数量は四ケ年間是が非でも負わなければならない。而も政府が希望しておる百二十万トンという数量は、国際小麦協定参加の輸入国三十七ケ国のうち英国に次ぎ、インドの上に位する数量と言われております。二番目の輸入国ということになり、四ケ年間協定に縛られ、値下りとなつても協定値段で大量の小麦を買わなければならないという。非常な不利を蒙らなければならないことになるのであります。而もこの不利益の負担は吉田内閣が負うのではなくして直接国民が背負わされるのでありますが、不利益とならない保証がどこにあるのか、又価格が下落して日本にとつて不利となつたら如何なる責任をとるつもりであるか。政府の所信を伺いたいのであります。
質問の第三点は、世界の食糧事情が生産過剩であり、値下りしつつあるときに、政府が小麦協定に積極的に参加を決定したのは、外国依存政策の一つの現われでありまして、外国の小麦の洪水を我が国に引入れ、農地改革、土地改良、災害復旧などの食糧増産施策を犠牲に供して、逆に我が国農業生産力を縮小いたしまして、食糧の外国依存度を積極的に高める政策ではないかという点であります。政府は食糧事情の楽観的な見通しを事ごとに宣伝しまして、極端な低賃金政策をとり、外資導入、独占資本本位の政策を推し進める客観的な雰囲気を作り出すために狂奔いたしておりますが、四ケ年間協定に縛られる小麦協定参加に積極的である政府は、我が国農業の拡大再生産と食糧自給体制確立の施策を全く放置しておるのでありまして、農民に対しては戰時中の作付統制そのままの無理矢理な事前割当を強制しながら、輸入食糧には莫大な輸入補給金を国民の税金で賄つており、飽くまでも生産費を償うことのできない安い米価で供出を強制し、大衆の生活が窮乏化するに連れて、農産物の売れ行きが不振であると見てとりまするや、輸入食糧の増大政策と相待ち、農民に命じて作らした「いも」を無責任極まるやり方に追込もうとして、農民を途方に暮れさせ、農民を犠牲にして食糧を輸入する政治をやり、治山治水や開拓、土地改良等をやれば、食糧の国内自給が可能であるにも拘わらず、故意にこれを放置して農民の増産意欲を失わせるような政策をとり、飢餓供出と重税、極端なる低米価と再生産用資材の高物価政策によつて、農民を收奪し、農業の再生産さえますます困難ならしめ、その上、農地改革逆転の陰謀さえも企てております。これは明らかに我が国農業を犠牲にして、ひたすら外資に奉仕する政策以外の何ものでもありません。政府の小麦協定参加の決定は、小麦の一層の大量輸入を実現し、ポンド地域からの米輸入の増加と重なつて、恐慌に喘いでいる日本農業がいよいよ世界農業恐慌の真只中に無防備のまま投げ込まれることになるのでありますが、吉田内閣の農業政策は、日本農業を守り、農業の拡大再生産を図るための一片の誠意すらなく、これは恰かも鶯の病気に猫の医者を迎えるがごとく、日本農業を締め殺す政策以外の何ものを持ち合せていないのであります。
併しここで最後に聽いて置きたいことは、小麦協定参加によつて四ケ年間協定に縛られ、その責任を負うところの政府は、今後四ケ年間に亘る勘定別食糧輸入計画と国内食糧需給見通しを持つていなければならないと思うのでありますが、これをこの機会に明らかにして貰いたいと思いまするし、尚、現内閣に若し農業の保護助成政策があるというのならば、いつどのようにして行おうとするか。この点を農林大臣によつて明らかにして貰いたいと思うのであります。(拍手、「答弁する必要はないよ」と呼ぶ者あり)
〔国務大臣森幸太郎君登壇、拍手〕
〔「簡單々々」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/42
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043・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 板野さんにお答えいたします。いろいろお述べになりましたが、御意見でありますので、食糧政策に対してはいずれからの見方もありますので、御意見として拝聽いたします。
小麦の国際協定に加入いたしましたことは、現在小麦を二百五十万トン輸入いたしているのでありまして、日本の食糧事情はここ数年後におきましても外国食糧に依存をせざるを得ない事情がある。(「その通りさ」と呼ぶ者あり)我々は国内食糧の自給度を高めるべくいろいろ努力はいたしておりましても、その増加する人口に対しまして百二十万トンぐらいは外国の食糧をどうしてもこれは輸入しなければならない事情であると思うのでありまして、従つてこの協定によりまして、現在よりも一トン当り一七ドル安くこれが買い得られる。農産物の価格は将来を逆睹できないけれども、この現状から申しましても、四ケ年の間百二十万トンの小麦を輸入することは、決して日本の食糧政策に対して惡影響を及ぼすものではない。かように考えまして、ドイツ、日本がこの協定に加入することを慫慂せられまして、日本はその決意をいたしたのであります。決してこれがために日本の農業政策を根本的に破壊するというようなことは断じてないと、かように確信いたしている次第であります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)
〔政府委員川村松助君登壇、拍手〕、
〔「しつかりやれ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/43
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044・川村松助
○政府委員(川村松助君) 板野議員にお答え申上げます。農林大臣が米穀の政策につきましてお答えいたしましたので、外務省所管についての点をお答え申上げます。
何故国会の承認を得ないで協定に進んだか、こういう第一問についてお答え申上げます。御承知の通り国会にお諮りするまでまだ進行いたしておりません。この問題は十一月の一日の、国際小麦理事会に日本が参加を許されるかどうかを先ず尋ねまして、その三分の二の表決によつて決定しました暁、初めて国会にお諮りしまして、それが決定した上で正式の手続をとらなければならないことになつております。(「研究が足らん)」と呼ぶ者あり)協定に参加すれば四ケ年間の拘束を受けて、その間の価格の下落した場合云々、こういうお尋ねでありますが、協定に参加いたしますれば、一トンで十五ドル安くなるばかりじやなく、今後四ケ年の間は毎年毎年相当額の下落を予想されております。現在の日本到着価格にして九十六ドル、それが八十一ドルになるばかりでも一ケ年の差額が初年度千七百万ドル、六十四億円という差が浮んで来るのであります。況んや今後四年後には五十八ドルという見通しになりまして、それが平均毎年値下げの協定ができる見込でありまするので、その価額が更に厖大な数字となつて参ります。もう一つ、価格の下落を非常に心配しておられるようでありまするけれども、大体現在世界小麦の協定が二千四五百万トンのうち千二百万トンを協定において処理するのでありまするから、大体においての価格が、只今申上げましたように四年後に五十八ドルまで下りましたならば、著しい損害はないのでないか、こういう見通しになつております。以上外務省所管についてお答えいたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/44
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045・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、住宅営団法を廃止する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長石坂豊一君。
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〔石坂豊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/45
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046・石坂豊一
○石坂豊一君 只今議題となりました住宅営団法を廃止する等の法律案につきまして、建設委員会の審議の経過及び結果を報告いたします。
本法律案の提案理由は、住宅営団が昭和二十一年十二月二十三日を以て閉鎖機関に指定せられたのであります。その指定と同時に解散、清算することとなり、本来の機能を停止するに至つたのであります。住宅営団法は直ちにこれを廃止しますると、閉鎖機関住宅営団の清算に種々なる支障を及ぼすこととなりますので、これが廃止の時期は清算結了の見通しの付くのを持つておつたのであります。そういたしまして、清算業務の進捗に伴い、昭和二十五年度末を以て清算結了の見通しが付きましたので、今回本法案が提出された次第であります。
本法案に対して建設委員会は先ず予備審査を行い、政府より提案理由と法案の説明を聽取した後、各委員と政府との間に熱心なる質疑応答を重ねたのでありました。次いで資料の提出を求めて、更に委員会を開いて愼重審議をいたしたのであります。昭和十六年三月六日、営団設立以来の業務の大要、閉鎖機関に指定後、住宅営団が所有性宅を処分いたしました相手方、処分価格と帳簿価格及び時価との関係、住宅営団の最近のバランスシート及びその赤字を生むに至つた理由等を検討したのであります。当局の説明によりますと、住宅営団のバランスシートの赤字は現在一億八千万円に上つております。更に清算結了を二十五年度末といたしますれば、今後の赤字増大は更に一億七千万円の見込であります。これについては将来の問題でありまするが、赤字補填方法についても質疑応答があり、政府に対して十分の措置を講ずるよう要望いたした次第であります。かくのごとく愼重審議の上、質疑を終了し、討論に移り、採決の結果、全員一致原案通り決定したのであります。
尚この際、附加えて置きますが、細川委員より、第一に、営団の住宅処分に当つては居住者の権利を十分尊重すること、第二には、地方公共団体に讓渡する場合に、事業家の利益に帰することのないよう十分なる方法を講ずること、第三には、でき得る限り国において住宅政策の一環として営団住宅を経営すること、以上の諸点を希望せられまして、本案に賛成すると述べられたのであります。委員会は、政府が閉鎖機関住宅営団の指定業務の執行及びその特殊清算に対しては頗る無関心且つ冷淡に見受けらるるを以て、今後執行及びその特殊清算に対しては、反省して十分なる監督をなす必要があることを認めた次第であります。よつてこれをここに特に附言いたして置きます。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/46
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047・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/47
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048・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/48
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049・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第三、国立学校設置法の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。文部委員会理事藤田芳雄君。
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〔藤田芳雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/49
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050・藤田芳雄
○藤田芳雄君 只今議題となりました国立学校設置法の一部を改正する等の法律案につきまして、文部委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず、政府の法案提出の趣旨について申上げますと、この法律は、商船大学を設置いたしますためと、国立学校職員の定員を行政機関職員定員法の規定する定員に合致させる等のため、国立学校設置法及び運輸省設置法の一部を改正いたしますこと、更に教育職員免許法の一部を改正いたしますこと等を目的といたしております。
政府の説明によりますれば、商船大学の設置は、先般国立学校設置法によつて六十九の国立大学が発足いたしました際、現在の高等商船学校及び海務学院を併せて商船大学とし、これに加えることについて、文部、運輸両省の間でほぼ意見の一致を見ておりましたが、尚、種々の事情によりまして保留され、今日に至りましたのが、今般漸くその趣旨を実現いたし得ることとなつたわけであります。次に国立学校職員の定員の一部改正をいたします理由は、国立学校設置法案が先に国会に提出されましたときは、国立大学附属病院の事務職員の定員に関しては、行政整理に際し特別の考慮が拂われる見込で、それによつて立案提出されていましたところ、それが実現に至らず、一般の整理方法によりましたため、都合百二十三人だけが定員法の人数よりも超過した規定となつておりますので、これを是正したわけであります。教育職員免許法の一部改正は、高等学校の教員免許状の種類として商船及び商船実習という独立の免許教科目を新たに加えたためであります。
政府の提案理由の説明に次いで質疑に入り、各委員から種々の質問が行われました。詳細は速記録に讓りまして、二三の要点を申上げますと、商船大学については、将来の経営において文部、運輸両省が摩擦なく協力して行き得るかどうかについて質問があり、同様の問題の起り得る東京水産大学のことも考慮して、委員会は文部大臣と運輸大臣、文部大臣と農林大臣との間に、それぞれ協力に関する覚書を作成させて、委員会席上で発表することといたし、将来の保障を明確にいたしました。大学附属病院の事務職員の定員減少については、多くの委員から、病院の現状に鑑み、定員復活に関する当局の意向を質問いたし、且つその復活の努力を強く要望いたしました。
かくて質疑を終り、討論に入りましたが、左藤委員は、将来我が国の貿易海運の重要性を考慮いたし、関西にも更に一校、商船大学の設置されることを切に要望する旨を加えて賛成の討論があり、岩間委員より反対討論がありましたが、後程少数意見として述べられますから、ここでは省略いたします。かくて討論を終局し、採決に入りまして、法案は多数を以て可決いたしました。右御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/50
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051・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。岩間正男君。
〔岩間正義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/51
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052・岩間正男
○岩間正男君 日本共産党の本法案に対する反対理由を簡單に申し述べます。
国立学校設置法が第五国会に上程されました際に、我々は次の三つの観点から反対したのであります。先ず第一に、財政的裏付けがこれに伴わないこと、第二に、職員の任免、懲戒その他人事管理が非常に民主的でないこと、第三に、組織並びに運営について広汎な委任立法的な措置があること、この三点を挙げて我々は反対したのであります。然るに本法案が実施されまして約半年の日数を経過したのでありますが、我々の反対理由がまさしく的中しておるところの事実を多く挙げざるを得ないのであります。国立学校の教職員に対する人事は、最近非常に官僚化しておる。又生徒の学力は低下し、あまつさえ寄附金の徴收で地方経済は非常に圧迫され、父兄は苦しんでいるのであります。特に人事につきましては、進歩的教授に対しまして、最近何らの正当な理由もなく一方的な辞職勧告が行われておる。そうして学園の官僚独善化は強化されておるのであります。このようにしまして学問の自由と研究の自由は全く奪われようとしておる。従つて改正案は当然こうした不合理な点の改善に力をいたさなければならない筈であるにも拘わらず、便乘的に逆に百二十余名に余るところの職員の首切りを強化しようとしておるのであります。先程の委員長報告によつても明らかなように、本法案は高等商船学校の大学昇格を表面の理由に謳つております。併しその裏には、東北、東京歯科、京都、九州等を初め八大学の附属病院の職員百二十三名の首切りが隠されておるというのがこの法案の実相であります。文部省はその理由として、過般通過を見たところの定員法と本国立学校設置法との定員上の食い違いを整理するところの單なる法文上の技術的訂正に過ぎないということを説明しております。併しこの首切りによつて何が起るか。それは過般の国鉄、全逓等で行われましたところの首切りがまさしくそうであつたように、国民の日常生活に大きな不便をもたらす結果となるのであります。大学の附属病院は、御承知のように国民の日常生活と直接密接な関係があります。最近の経済事情によりますと、又社会事情によりますと、病人は非常に殖えておる。今こうしたとき、職員の数を減らすことによつて、病院の今後の運営は非常に円滑を欠き、勢い事務は官僚化せざるを得ない。こういう実情が発生するのであります。そうして、その結果迷惑を蒙むるのは患者であり、或いは国民大衆の厚生生活であります。こうした事例は最近非常に多い。例えば国立清瀬病院における過般の首切りによりまして非常に深刻な事態が発生しており、患者の療養生活が差支えておるという事情が大きな社会的な関心を集めておるのであります。
ところで、このような整理によつて、それならばどれだけ行政費が節約されるかと言いますと、誠にそれ節約部分を微々たるものでありまして、却つてこのような首切りによつて節約された費用の数倍の損失を国民は蒙むることになるのであります。こういうことは今までの首切りの経験によつて余りにも明らかであります。文部省はむしろこれらの実態をよく把握して、そうして逆にこれは政府に要求すべきである。にも拘わらず、これらの努力を全然放棄して、形式的、天下り的に法文上の修正だけを以て事足れりとするこのやり方は、事歳を認識しない怠慢な官僚行政と言われても仕方がないと思うのであります。商船大学の昇格につきましては、ここで我々は問題にしないとしても、表面の理由の下に、裏にこのような重要な人事を左右するところの性格を持つておるところの法案の制定につきましては、我々日本共産党は絶対に賛成することができないのであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/52
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053・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終結したものと認めます。
これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/53
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054・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/54
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055・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第四、国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。
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〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/55
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056・櫻内辰郎
○櫻内辰郎君 只今議題となりました国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関する法律の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。国の所有に属する物品の売拂代金の延納について、その規定を更に明確にするため規定の整備を行い、又延納の特約をする場合、必要に応じては利息を付さないことに改めると共に、この法律を法令による公団、日本專売公社及び日本国有鉄道にも準用せんとするものであります。さて、本案は十一月十四日より十一月二十一日まで愼重に審議し、討論、採決の結果、多数を以つて原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/56
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057・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/57
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058・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/58
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059・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第五より第十二までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/59
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060・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電気通信委員会理事小林勝馬君。
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〔小林勝馬君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/60
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061・小林勝馬
○小林勝馬君 只今議題となりました請願について、電気通信委員会の審査の経過並びに結果について御報告申上げます。
先ず郡山電報局独立に関する請願及び郡山電話局独立に関する請願の願意としますところは、郡山には電信局と電話局とあつたが、先般の機構改革により電報電話局と一局にされたが、今回電信回線も拡充されることになり、一方電話業務は全国有数の地位を占めているから、これを従前通り電報局、電話局とおのおの独立せしめられたいとの趣旨であります。
次に郡山電気通信管理所建物新築に関する請願の願意としますところは、現在使用中の庁舎は持主から明渡しを迫られているから、取り急ぎ新庁舎の建築に著手せられたいとの趣旨であります。
次に郡山、福島両市間の電話即時通話制度実施に関する請願の願意としますところは、両市は極めて近距離にあるにも拘わらず、その待合せ時間が非常に長く常に不便を感じているから、この間に即時通話制度を実施せられたいとの趣旨であります。
次に佐賀県、犬井道に電話新設の請願の願意としますとことは、犬井道は佐賀市より約一里足らずの近くにあり、近時各種生産に伴う商取引の増加に極めて不便であるから、犬井道局に交換を開始し、佐賀局との直通線を新設せられたいとの趣旨であります。
次に、郡山、猪苗代両局間直通電話回線設置に関する請願、次に、白河局の電話交換方式変更に関する請願、次に、福島県須賀川局、岩瀬郡西部町村間直通電話架設に関する請願等でございますが、願意といたしまするところは大体同様の趣旨でございます。委員会は以上の請願につきまして愼重審議の結果、いずれも願意を妥当なものと認め、これを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第でございます。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/61
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062・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/62
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063・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時六分散会
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○本日の会議に付した事件
一、日程第一 常任委員長の選挙
一、早期供出米報奨金制度等に関する緊急質問
一、煙草民営問題に関する緊急質問
一、基本的人権の擁護問題に関する緊急質問
一、国際小麦協定に関する緊急質問
一、日程第二 住宅営団法を廃止する等の法律案
一、日程第三 国立学校設置法の一部を改正する等の法律案
一、日程第四 国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関する法律の一部を改正する法律案
一、日程第五乃至第十二の請願発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X01819491124/63
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