1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月二十八日(月曜日)
午前十時二十三分開議
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議事日程 第十九号
昭和二十四年十一月二十八日
午前十時 開議
第一 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二 警察用電話等の処理に関する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第三 様似漁港築設等に関する請願(委員長報告)
第四 常呂に船入ま漁港築設の請願(委員長報告)
第五 初山別村漁港築造に関する請願(委員長報告)
第六 漁港法制定促進に関する請願(二件)(委員長報告)
第七 島子港に漁港築造の請願(委員長報告)
第八 有明海区に漁業調整事務局設置の請願(委員長報告)
第九 羽幌漁港修築工事促進に関する請願(委員長報告)
第一〇 頓別川口に漁港築造の請願(委員長報告)
第一一 柳井漁港修築に関する請願(委員長報告)
第一二 引揚者の援護強化に関する請願(委員長報告)
第一三 在ソ同胞引揚に関する請願(委員長報告)
第一四 在外同胞引揚促進等に関する請願(委員長報告)
第一五 民主グループの徹底的調査に関する請願(委員長報告)
第一六 在外資産の補償促進に関する請願(二件)(委員長報告)
第一七 住宅金融公庫設立および個人融資に引揚者わく設定の請願(二件)(委員長報告)
第一八 引揚者団体等に公益質屋設営許可等の請願(委員長報告)
第一九 北朝鮮残留同胞の引揚促進に関する請願(委員長報告)
第二〇 福岡県沖の島に漁港築造の陳情(委員長報告)
第二一 愛媛県高山村に避難港設置の陳情(委員長報告)
第二二 海そう工業振興に関する陳情(委員長報告)
第二三 沖泊漁港修築工事施行に関する陳情(委員長報告)
第二四 中共地区の引揚促進に関する陳情(委員長報告)
第二五 中共地区引揚者に対し特別未帰還者給與法適用の陳情(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/0
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001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/1
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002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
この際、日程に追加して、科学技術振興に関する決議案(田中耕太郎君外十三名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/2
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003・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては、田中耕太郎君外十三名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会の審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/3
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004・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。田中耕太郎君。
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〔田中耕太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/4
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005・田中耕太郎
○田中耕太郎君 議題となりました科学技術振興に関する決議案に関しまして、発議者を代表いたしましてその趣旨を御説明申上げます。先ず案文を朗読いたします。
科学技術振興に関する決議
科学及び技術の振興は、国家の文化的任務及び国民生活の向上の見地よりする当然の要請たるのみならず、延いては世界の文化の発達と人類の福祉に貢献し、以て平和愛好諸国民の信頼を得る所以である。
然るにこの点に関する我が国の実情を見るに、先に湯川秀樹博士が中間子論の研究によつて、ノーベル賞を授與せられ、我が斯学界の名声を世界に高揚したことは、国民として慶賀の至りに堪えないところであるが、一般的には、学者の待遇の不十分、研究施設の不備、研究費の不足等のために、未だ甚だ遺憾な状態にある。
かような現状に鑑み、我々は政府が万難を排して科学技術振興に最善の努力を傾注し、とくにそれに必要な予算的措置を講ずることを要望する。
右決議する。
そもそも科学及び技術の振興は、真理の探究と実生活上の利益という二つの方面の意義を持つているものでございます。第一に、科学技術の研究は、真理の探究であるという意味におきまして、戰争を放棄し、軍備を撤廃し、平和的な文化国家の建設に努力いたしまする我が国家の当然且つ第一義的な任務であります。第二に、それは実利的な意味におきまして、生活の合理化による国民の福祉の向上と、社会経済の発達に貢献するところが甚だ大であること、多言を要しないところでございます。第三に、我々は科学及び技術の国際的方面にも思いをいたさなければなりません。科学及び技術は、その本質において国家を超越し、又民族を超越するところのものでございます。従つて我が国におきまする科学及び技術の発達は、同様に真理の探究に力をいたしまする他の諸国民に協力し、世界文化の進運に参與することになります。又その成果は全人類の福祉に貢献し、延いて世界の平和の基礎を築くことにもなるのでございます。この故に、若し今日尚我々に平和を愛好する諸国民の信頼と尊敬とをかち得る可能性が残されておるといたしますならば、それは基本的人権の尊重による民主主義の理想の実現と並んで、科学技術の振興による人類文化の発達のために積極的に協力すること以外に途は存しないのでございます。
御承知のように、ユネスコ憲章は世界の平和と安全のために、教育と並んで科学及び文化の分野における各国民の相互の理解と協力とを促進すべきことを力説いたしております。若し我が国民がユネスコ運動に参加いたしまして、世界恒久平和の実現に努力する真劍な意図を持つておりますとするならば、先ず以て教育、科学及び技術をすべてに優先して振興しなければなりません。若し然らずとするならば、我々はユネスコ参加を希望する資格はないものと言わざるを得ないのであります。
然るに我が国の現状におきまして、科学技術の研究は如何なる状態にあるでありましようか。戰争が契機となつて科学技術の或る部門は相当の発達を遂げたことは事実でございますが、一般的に申しますならば、科学技術は戰争の惨禍及び国民経済の窮乏の最も深刻なる犠牲者でございます。
研究施設はどうなつておるかと申しますと、先進外国に比較して、戰禍による被害を考慮に入れないでも、すでに戰争前から極めて貧弱な状態にあつたのでございます。
更に教授、助教授、講師その他の学者達は今尚依然として実にみじめな待遇に甘んじさせられております。これを講座研究費を以て補うことができればまだしもでございますが、それは例えば東京大学のような古い比較的設備の整つた大学においてさえ、水道や光熱のための費用に支出されてしまつておりまして、教授、助教授の研究費が一文もないという驚くべき現状にあるのであります。又人文科学方面の例をとつて申上げますと、例えば東大法学部の図書購入費は幾らであるかというと、本年度は二十一万円という僅かな金額でございます。我々は日本学術会議な、各大学当局や、その他の学界の諸方面から研究費の不足により研究の直面しております危機について、たびたび悲痛な陳情を受けまして、誠に暗澹たる気持にならされておるのでございます。
このたび湯川秀樹博士が中間子論の研究によつてノーベル賞を授與せられ、我が物理学界の名声を世界に高揚されましたことは、敗戰後何事によらず自信を失つておりますところの国民を奮起させるのに足る最も朗かなニユースであるとして、国民ひとしく心から感謝いたしておるところであります。併しながら湯川博士の業績は、我が国家が過去において科学技術の振興のために当然なすべきことをなして来たという証拠にはならないのであります。否、博士の業績は、あらゆる惡條件、あらゆるハンデキヤツプに拘わらず、それを克服してかような偉大なる足跡を残した博士の名誉を一層輝やかしいものとするばかりでございます。
科学研究費の現状は、本年度につきましては、その総額僅々四億五千万円でございます。日本学術会議は二十五年度予算編成に際しまして、十六億を絶対に必要な額として要求しております。この額は文化国家建設の理念からして、又国家総予算の全額に対する割合からして、決して不当に多いとは申されません。我々はむしろその控え目なことに驚くくらいでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)我々は、政府が平和国家建設の重要な基礎であるところの科学技術の発達を双肩に担つている学界方面からの悲痛なる叫びと正当な要望を默殺するに忍びないで、本決議案を上程するに至つたのでございます。政府はこの際万難を排して科学技術の振興に最善の努力をいたし、特にこれに必要な予算的措置を講ずることを我々は強く要望するものでございます。
以上をもちまして本決議案の説明を終ります。何とぞこれに対して全会一致の御賛同を與えられますことを衷心から切望いたす次第でございます(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/5
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006・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。若木勝藏君。
〔若木勝藏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/6
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007・若木勝藏
○若木勝藏君 私は社会党を代表して本決議案に賛成の意見を述べたいと思います。
湯川博士がノーベル賞を授與せられることになつたということは、我が国が平和的文化国家建設を目指して進みつつある際、又ユネスコを通じて国際的な文化に連なる機運を生じておる際に、国民として例えようのない大きな喜びであります。元来我が国民はその素質において国学的に秀でていることは、幾多の世界的な人物が出ておることでも明らかにせられるところであります。ところが、これらの人々が財力においても又その規模においても、国家的な或いは社会的な強力な支援の下にその研究を進めることができず、英才が徒らに地に埋れて、文化に貢献し産業技術に寄與するという機会に惠まれなかつたことが多かつたと思うのであります。事実、今明年度の教育或いは科学研究の国家予算を検討してみましても、六・三建築費のごときは両年度を通じて六十億でありまして、これが文部省の最低要求百十六億に比すればその半分であります。我々はここに最低限度の教育の五割引という奇妙な教育が実在することを考えさせられるのであります。更に大学の経常的研究費を見ましても極めて少いものでありまして、北海道のごとき国策上から見ても化学工業の振興の極めて必要な所においてすら、大学の講座研究費が切り詰められ、一講座の設備費が僅かに二十万円、その年間の経営費が三十万円程度に過ぎなかつたのに、講座の増設が認められない状態にあるのであります。すでに設けられてある講座についてもその研究費が世に貧困で、而もその大部分は、先程お話ありました通り、水道、光熱費に支出されて、実際の研究費は殆んど出ない状態に置かれているのが全国大学の実情であります。経常的研究費がこういう状況にあるのでありますが、これを補つて研究を維持させる科学研究費はどうであるかと言いますと、これは日本学術会議において多数の研究者が真劍に検討を重ねて絶対必要な額として要望されたところの二十五年度の十六億八千万円が、五億に削減されておるのであります。大蔵大臣が先般の本会議で科学研究費を増額したと声高らかに申されたのでありますが、事実は誠に寒心に堪えないものがあるのであります。かくのごとき教育や科学研究の予算では、科学技術の振興も画餅に等しいものになることは当然のことであります。このことは、今回通産省工業技術庁でいわゆる技術白書を発表し、我が国技術の現状は世界の最高水準を行くアメリカに比し、種目によつては十年乃至三十年の差を持つており、更に国家の科学技術研究費が、我が国は昭和二十三年度において約五十九億で、国民所得の〇・一三%に当つているのに対し、昭和二十二年のアメリカでは十一億六千万ドル、換算いたしまして実に三千九百六十億円余に及んでおりまして、国民所得の〇・五%、このうち政府の出資分は日本では予算額の〇・二八%、アメリカでは、一・五%に当つているということを明らかにしていることに考え合せますと、思い半ばに過ぎるものがあるのであります。
由来、文化国家の立場から考えられますことは、学界において世界に優れた学者が続出されると共に、国民一般の文化水準も又世界の水準を出て、真に世界の平和、人類の福祉に貢献することであります。私はこのときに当つて世に勿体ないと思うのは、薪炭赤字補填に支出されるところの五十四億円であります。政府の施策がよろしきを得まして、せめてこの半分でも文教、科学研究に振り向けられることができたならば、多くの学者、又若き学徒の希望を満たし、国民の文化の向上に大きな役割を果すことができるだろうと思うのであります。(拍手)
政府は、この際国家財政を検討いたしまして、基礎的には小中学校の科学教育の充実、專門的には大学、民間の科学技術研究の振興に適切有効な具体的な措置をとられんことを強く要望いたしまして、本決議案に賛成する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/7
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008・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君。
〔岩間正男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/8
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009・岩間正男
○岩間正男君 本決議案に対しまして日本共産党は全面的に賛成するものであります。(拍手)決議はむし遅きに失していると思うのであります。今は実行の時期であります。その理由は何よりも目前の事実がこれを物語つています。
先ず第一に、研究所の崩壞の事実は最近ますますひどくなつております。これを民間の研究所について見ましても、古河化学研究所、長尾研究所を初めといたしまして、由緒ある研究所がいずれも研究を中止しています。又大原社会問題研究所が経済的行き詰りから法政大学に身売りしたことは、我々の記憶に新たなるところであり、東芝、日電の研究所も目下廃止直前の運命を辿つております。このようにして約九十ケ所に余る民間の研究所は、その研究活動を停止し、そのうち約四十ケ所は完全に機能を喪失しています。これが国際独占資本と結び付き、大資本に奉仕する現吉田内閣治下の科学研究の実態であります。この現象は全国の大学の研究所にも無論共通的に現われています。例えば京都大学を見ますと、化学研究所の排気裝置が全く破滅し、ために実験室が使いものにならず、地質研究室でも殆んど同じようなことが起つているのに、その修理費八万円が捻出できないというような状況になつております。又水道パイプはせいぜい二十年が壽命なのに、五十年経つてもそのままに放置されているのであります。工学部でも多数の工作機械が工場安全法に触れるような状態に陷つています。これらは言うまでもなく予算の絶対不足に原因しております。今全国で最も割のいいと言われる東大理学部におきまして、昭和二十三年度の研究費の総額は僅かに二百七十万円であります。それで百三十件の研究を賄つているのです。ですから平均二万円です。これでどのような研究ができるかということを我々は考えなければならない。
次に、こうした研究施設の荒廃と共に挙げなければならないのは教官の研究費の不足であります。先ず学部の場合、教授の研究費として計上されたものは、昭和二十一年七百円、同二十二年四千円、二十三年六千円、二十四年は一万円、こういうことになつております。併しこれは教授の場合で、助教授、講師、助手、研究員などの場合にはもつともつとひどくなつているのであります。
次に研究者の生活実態はどうかと申しますと、全くその生活は苦しいところに突き落されております。本年六月、東京工大職員組合の調査によりますと、組合員の九六%までが俸給だけでは生活できない。俸給は手取り平均七千八百二十九円であつて、これは実態生計費一万八百二十二円の六〇%から七〇%を賄つているに過ぎないのであります。以上の事実は明らかに科学行政の貧困をまざまざと物語つているのであります。今日までのところ、科学研究費の国家予算において占める位置は、日本では余りに低いと言わなければなりません。我が国のそれは、戰時中、昭和十九年の〇・〇九五%が最高であつたが、これか戰争のためであつて、本年度は四億五千万円、これは総予算の七千四百億に比べまして僅かに〇・〇六%という低いパーセンテージを示している。これを例えばアメリカに比較して見ますると、アメリカでは大統領直属の科学研究委員会の決定によりまして、大学、民間を通じて、一九五七年までに国家予算の一%に当る科学振興費を支出し、特に基礎研究費を現在の四倍に増加しようとしております。その額は一九四十年に三億四千五百万ドル、一九四七年に六億二千五百万ドル、来年度は七億ドルを決定しております。これは無論国家予算だけでありますが、その外に陸海軍の莫大な研究費、州政府並びに民間の支出が多額に上つているのであります。イギリスではバロー委員会が科学者、技術者の倍加計画を立てて、目下その方途を進めております。又最近原子力の爆発で世界を震撼させたソ連では、一九四六年九億ドル、一九四七年十二億ドルを支出しております。オビ、エニセイ河の流れの方向を全く変えて、厖大な今までの不毛の砂漠を沃野に一変させるというような、全く人類が夢想も及ばなかつた大事業が、こうした厖大な研究予算の裏付けによつて、実に邦貨にして約四千億という研究予算の裏付けによつて、達成されているということを我々は考えて見なければならないと思うのであります。科学研究費こそは教育文化費と並んで文化国家のバロメーターであるということを考える。敗戰日本の生きる道は外にない筈である。国土は狹隘で、物資が非常に貧困な上に、人口の増加率が極めて高い日本の現状におきましては、工業並びに農漁業の生産性を高め、人民生活を平和に豊かにするためには、絶対に科学技術、科学教育の振興より外に道はないのであります。利根川の治水一つを考えて見ても、あらゆる高度な科学技術の総合なしには、今や全くその目的を達成することはできないという情勢になつております。
国家はこのようにしまして、その財政支出の中に、こうした生産に密接な関係を在する研究費をこそ積極的に支出することを考えなければならない。湯川博士のノーベル賞受賞こそは、これらの大きな契機をなすものであると考えます。私はそのもたらした意味はいろいろあると思いますが、その最も大きな一つは、国民が今更ながらしみじみとその足許を見つめて、この世界に誇るべき科学者の業績の蔭に、如何に日本的な犠牲が含まれていたか、又その忍苦の生活が横たわつていたかということを発見したことである。そうして、この犠牲を再びさせないために、又この日本の混沌の中へ差し込んで来たところのこの一條の光を真に民族のホープとして推進させるためにも、万遺憾なき研究の体制と基盤を確立することが我々の任務であると思います。政治が今こそ真に要望されているのであります。我々はこの要望に応えなければならない。よく今までの内閣は財源がないということを言つておりますけれども、財源はないのではない。財源は我々の政治的決意の中にあるのであるということをはつきり申上げて置きたいと思うのであります。
こういうような意味におきまして、日本共産党は、これらの民族的な課題を果すために、他の党派の諸君とも全面的に提携して、科学教育、科学技術を確立するために挺身することを誓うものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/9
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010・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 松野喜内君。
〔松野喜内君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/10
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011・松野喜内
○松野喜内君 私は民主自由党を代表いたしまして本決議案に賛成の意を表したいと思います。
予算面から見ましても、或いは実際の研究に関する費用の実情等を対照いたしますというと、私共は痛感せずにおれませんが、例を東京大学に取つて見ましようか。理学部物理学教室におけるところの総予算というものが約二百万円、而もその教授以下の研究費というものは皆無になつておる。不足額百八十万円ということを言われておりますが、工学部方面を見ましても、計測工学教室におけるところの総予算が百万円というような今計上を見ておりますが、その研究費又極めて乏しいものであり、どうしてもその不足額約八十万円は要望せねばならぬというような声がある次第であります。又医学部病理学研究室方面の予算等の関係を見ましても、実に同様なことが考えられるのでありまして、若干の予算がありましても、それは材料費の方に殆んど費されて、いわゆる教授以下の研究費というものは皆無と言つていい状態なのであります。誠に悲惨な状態である。又文科系の方を見ましても、文学部における図書購入その他におきましても、極めて研究費が乏しい状態で、一研究室当り一万七千円といつたような微小なる状態なのであります。今日の研究費、補助費のこの予算面の二十四年度分を見ましても、我々は強く一つ国民の輿論において、政府の或いは国会の考えねばならぬ点だと思う次第であります。
こうした予算が如何なるふうに国家に、国民に、社会に効果をもたらすかの一点を考えてみたいと思います。その実例として、東北大学の沼地教授のあの高速軸流ポンプの研究のごとき、実にその精度も高く効果の多いことを我々は挙げずにはおれません。これによつて、年五万台の高速度ポンプの製作費に、今までの計算で行けば二十五億円かかるところがその半額に節約される。即ち今日この研究者によつて国民の得るところは十二億五千万円、これを一個の研究者によつてもたらされた。こういう実情であります。又東京大学における山下教授の電気による統計機のあの研究費のごときは、文部省から出たものは僅かに三十五万円に過ぎないのでありまするが、アメリカ式の統計機に優るこの優秀なる研究によりまして、来年の国勢調査に節約し得ること、我が国家にとつては約三億円の経費節約を確かにし得ると言われております。又ペニシリンの研究のごとき、実に我が国の誇りとするペニシリンの研究のごときは、研究費はこれまでの総額四百万円と言われておりますが、これが昭和二十一年度におけるところの生産高に比べまして、実に驚くなかれ現在では二千倍からの生産高を出しつつある状態でありまして、世界第二位の昇進したのであります。我が国の研究家が、かくのごとく昇進せしめたところのペニシリンの研究に対して大なる効果をもたらして来た。
又更にこの僅かなる研究費に対して効果をもたらしたと申しましたが、尚、今回の湯川博士の研究の結果にあの授賞をされた。而も実にこの経過、これまでにおいて如何に苦心されたか、どういつた意味における苦労があつたか、その苦労と鬪いつつやられたことに対して国民は深甚の感謝を改めてせねばならぬ。近くはアメリカのプリンストンの方の研究所に招かれて行かれましたところの、同じく理論物理学の方面の世界的学者朝永博士の状況を見ても、我々国民の力によつて送り得るのではなくして、アメリカの招聘船客として漸く行き得る状態を見ても、我我国民は感謝せずにおれません。お茶の水女子大学の理学部方面の研究を見ましても、キユリー夫人にも比すべき日本の女流学者の研究に見ましても、女理学士保井この、あの人の研究発表を見ても、黒田ちか理学士の研究を見ても、実に国民は感謝せねばならぬ。而もこの方々の電子の研究を見ても、この大学において電子顯微鏡の研究室を設けて呉れという切実な要望がありましたので、各大学にさような電子顯微鏡の研究室をそれぞれ設けるに至りましたが、それぞれその設置に二百万円以上を要する状態であります。こういう研究を進めるために、生活に苦しみながら真劍に国民のために考えている科学者、技術研究者、これらに対して、ここにそういつた設備を作る研究費をば国家が考えなければいけないのではないかということを、我々は痛感せざるを得ない。
私共はこういう意味合からして政府にも要望し、我が国民、国会においても、殊にこの点について努力をせねばならぬことを考え、今日二十四年度においても、大蔵省も心配されまして、総額五億円を計上云々と言われておりますが、日本学術会議等の要望額は少くともどうか十六億円を計上して欲しいという強い要望なんです。この不足額に比して、我らはこの大蔵省の努力はさることながら、この開きのある、差がある状態を見ましても、我々国会において声を大にして国民と共にこの方面に努力し、この決議文の趣旨実現に全面的に、国民、国会、政府もろとも邁進せねば、文化国家の建設、国家繁栄にならぬ、国民の幸福にならぬと信ずるものでありますから、私はこれには賛成の意を表した次第であります。
以上を以て民主自由党の代表演説を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/11
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012・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終結したものと認めます。これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/12
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013・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。
只今の決議に対し文部大臣より発言を求められました。高瀬文部大臣。
〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/13
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014・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 只今の御決議に対しまして政府の所見を申述べたいと思います。
科学技術の振興が、我が国再建の基本的な條件でありますと同時に、平和的な文化国家建設の理想でなければならぬということは、政府といたしましても十分に認識しているところでありますが、国家財政の窮乏によりましてこれに必要な予算の計上が甚だ困難な状況にありますことは誠に遺憾な次第であります。つきましては、只今の御決議の趣旨を十分に尊重し、御期待に副うよう今後最善の努力をいたす覚悟であります。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/14
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015・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。尚、本案については少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員会理事飯田精太郎君。
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(飯田精太郎君登壇、拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/15
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016・飯田精太郎
○飯田精太郎君 只今上程になりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。
この法律案は、日本国有鉄道法第四章会計を全面的に改正しようとするものである。日本国有鉄道は本年六月一日を以て発足したが、その会計に関する諸規定は準備期間が十分でなかつたため、日本国有鉄道法第三十六條の規定で、暫定的に従来通り国の会計を規律する諸法令によることとしたのであります。その後、政府は、日本国有鉄道が能率的な運営により公共の福祉を増進するため、特にその会計面において自主性を與え、企業性を発揮するよう、会計の規定の改正を調査研究し、今回ここに改正法律案を提出することになつたのであります。
改正法律案は、現行法第三十六條から第五十一條までを改正し、別に第十二條第二項第三号中に字句を補足し、附則三項を設けています。
この改正法律案の要点としては、先ず日本国有鉄道に対して、財政法、会計法等、従前の国有鉄道事業の会計に関する諸法令の適用を排除したこと。予算の実施面において、予備費の使用、予算の繰越使用等につき広く自主性を認めたこと。経営上生じた利益金は先ず繰越損失の補填に充て得ること。経営上生じた損失につき必要ある場合は政府より交付金交付の途あること。現金の取扱には例外的に市中銀行をも利用し得ること。鉄道債券を発行し、民間からも資金調達の途を開いたこと。尚、資金の調達としては、政府から借入、国庫余裕金の一時使用の途あること。契約は一般競争入札の方式によらしむるを原則としたことなど、能率的運営を図つておるが、予算決算については、日本国有鉄道が全額政府出資によつて設立された公法上の法人であるので、その取扱は手続において一部簡捷化された程度で、国の予算決算の例により大蔵大臣に送付され、国会の議決を経ることになつております。
以上が今回の改正法律案の要点でありますが、この法律案が十月二十九日運輸委員会に予備審査として付託されてから、委員会は熱心に審議を続けて参つたのであります。その詳細は速記録を御覽願うこととし、以上主なる質疑応答を申上げます。
質疑においては、日本国有鉄道の会計及び財務に関し、企業の高能率に役立つような公共企業体の会計を規律する法律を速かに制定することは、現行法が第三国会において可決される際に、本院においても具体的事項を示し政府に要求したことでもあるので、本案審議についても各委員よりこの点の検討が重ねられ、内村委員、飯田委員、板谷委員、丹羽委員、前之園委員よりこもごも第三国会における本院の要求事項が十分満たされていない感があること、殊に本改正案は官業の非能率を排除しようというにあると思うが、それが如何に本案に具現せられておるかという点、及び日本国有鉄道がその会計について運輸大臣及び大蔵大臣より二重の監督を受けているように見えるが、これは日本国有鉄道の効果的運営を図るゆえんでないと指摘したのに対し、政府委員の答弁としては、本改正法律案においては、第三国会における国会の要求事項を十分尊重し、先ず財政法、会計法等一連の規定の適用を排除した点、又予算の実施面において、経費の流用、経費の翌年度繰越使用、予備費の使用、四半期ごとの支拂計画については、現制度よりこれを緩和した点、利益金を繰越損失の補填に充てる途を開いた点、現金の取扱について市中銀行又は郵便局をも利用できる点、その他鉄道債券を発行して資金吸收の途を図つた点など、企業会計としての実を挙ぐるよう努めたが、日本国有鉄道の資産が国の出資であり、且つ厖大な組織をなし、国家経済上重要な意義を有しているので、予算決算については、政府予算とほぼ同様な手続において国会の議決を経ねばならぬことは現状として止むを得ないということでありました。又内村委員より、給與準則に基く一事業年度の支出が当該年度の予算における給與の額を超えてはならないという制限は、経済変動期における賃金ベースの変動に対し適切でないこと、及び日本国有鉄道の職員が地方公共団体の議員を兼ねられないという現行法の規定や、これに関連し、地方公共団体の議員が監理委員になれないという現行法の規定は、日本国有鉄道の高能率を発揮させるゆえんでないから、この際改むべきであるとの意見があつたが、政府委員よりは、予算の拘束力、国家公務員の性質を基本とした答弁があり、更に丹羽委員、飯田委員より、公開入札契約の例外の場合を嚴格に取扱う要のあることにつき、丹羽委員、前之園委員より、財産処分の制限に財産の貸付を除外したことの不当なる点につき、それぞれ質疑応答がありました。
十一月二十五日質疑を終了、次いで討論に入り、内村委員より、この改正法律案では日本国有鉄道の運営を円滑ならしむるに不十分であるとし、一部修正の案が提出されました。その修正個所は次の四点であります。
その一は、第十二條の改正で、監理委員会の委員に労働代表を加えることであり、その二は、日本国有鉄道の職員の地方公共団体の議員の兼職禁止を解除しようとするもので、その三は、予算における大蔵大臣の関與を閣議に移そうとするもので、その四は給與準則は当該年度の予算の給與の額として定められた額を越えてはならないという第四十四條の後段を削ろうとするものであります。
次いで丹羽委員より、この法律案には不満足な点もあるが、日本国有鉄道の能率的運営に一歩を進めるものと認めるので、重要財産の処分には貸付の場合も含むよう近い機会に改正することを希望して、この法案に賛成意見の開陳がありました。更に飯田委員より、この法律案には官業の非能率を排除することを期待していたが、その根本的な措置については相当の時間を必要とすると思われるので、左記事項を政府に要求してこの法案に賛成する旨、意見の開陳がありました。
要求事項
この法律改正案は、日本国有鉄道が独立採算制による公共企業体として、その責任において高能率は経営をなし、且つ経済界の変動に応じ自主性を発揮し得るには不十分と認むるので、政府は更にこの点研究の上その実現につき努力すること。
次いで採決に入り、先ず内村委員の提出にかかる修正案は採決の結果否決せられ、次に本法律案を採決したところ、多数を以て右政府に対する要求事項を付し本法律案を可決すべきものと決定いたしました。
以上簡單でありますが、これを以て報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/16
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017・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は十五分間に制限いたします。内村清次君。
〔内村清次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/17
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018・内村清次
○内村清次君 私は只今問題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対の意見を申述べたいのであります。
反対理由の第一点は、大蔵大臣の権限についてであります。この改正法案におきましては、公共企業体としての経理の重要なる部分の大半の権限が大蔵大臣に握られておるのであります。国有鉄道は申すまでもなく独立採算制を決前としておる公共企業体でありまして、従つてその公共性を活かしつつ、又独立企業としての妙味を発揮するという公共企業体の実を挙げることがその目的でなければなりません。故に公共性の責任は運輸大臣に、企業体としての責任は国鉄総裁に、哉に国が負うべき責任は内閣が直接その責に当るべきが正しい立法の建前でなくてはなりません。然るに今回の改正案を検討いたして見ますると、内閣と運輸大臣の間に大蔵大臣が強い権限を持つておるのであります。例えば予算、決算、資金計画、予備費、契約など閣議決定を必要とする事項でも、大蔵大臣がその中間において調整を行い得るようになつておるのであります。勿論予算の実施に伴うところの打合せや又は協議事項につきましては、これは運輸大臣と大蔵大臣とが連絡をとる程度のことは必要でありましようが、国有鉄道の独立採算という建前からいたしますると、大蔵大臣に強い権限を持たすべきではなく、公共性と企業性とを共に活かして行くというところにおいて国有鉄道の経営上に大幅の自主性ある権限を持たせることが適当であると思うのであります。かかる点から大蔵省の独裁的傾向が充満しておるこの内容につきまして、賛成のでき得ない第一点であります。
反対理由の第二点は、現行法第十二條の監理委員会の構成についてであります。現行の監理委員会は、その権限において大きな役割を持つものであります。即ち第十條及び第一條によりますると、監理委員会は、鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営をなすために、日本国有鉄道の義務運営の指導、統制をする権限と責任を有すると規定されております。従つて日本国有鉄道の運営を能率的なものにしますには、第一のものは何であるかと申しますると、そのため一番協力を願わなくてはならないものは、一人の大蔵大臣でも、一人の運輸大臣でも、総裁でもないのでありまして、それは実に五十万を超えるところの第一線に働く従業員諸君の協力なくしては、絶対にこの能率の向上はでき得ないのであります。(拍手)然るにこの改正案によるところの監理委員会の構成は、運輸業、工業、商業、金融業を以て構成しております。一番大切なる労働関係に広い知識と経験を有する者を除外しておるのであります。かかる非民主的なる監理委員会の構成におきましては、日本国有鉄道の円滑なる運営は到底不可能と考えまするが故に、この点につきましても反対を表明するものであります。
理由の第三点は、現行法第二十六條の二項におきまして、日本国有鉄道職員が地方公共団体の議会の議員を兼職することを禁止しておる点であります。この事項は憲法におきまして許されておるところの政府的自由を抑圧するものであり、且つ又公共企業体労働関係法、この精神に違反するものであります。現行法第三十四條におきまして、公務員法の適用を受けないと明確に規定してありながら、他の條項におきましては公務員に課する以上の政治的抑圧をなしておるというところにこの立法の矛盾があるのであります。更に地方公共団体の議員兼職につきましては、先に專売公社におきましてはその抑圧を解除しております。許されておるのであります。ただ国鉄の労働者に対してのみ禁止されるということは、法的にも社会的にも甚だしい矛盾であり、片手落であると存じまするが故に、このようなことは明らかに国鉄職員に対する政治的彈圧であると言わねばなりません。
理由の第四点は、改正案第四十四條の給與準則でありまするが、四十四條には、「一事業年度の支出が国会の議決を経た当該年度の予算の中で給與の額として定められた額をこえるものであつてはならない。」と規定されておるのであります。この法律案がそのまま運用されるといたしましたならば、一国会において予算が決められまして、次期国会において再び予算が補正されない限りは、如何なる経済的な変動があろうとも、又国鉄の成績が上つても、職員の給與は釘付けになるということになります。而も二十八條の二項におきまして、「職員の給與は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給與その他の條件を考慮して定めなければならない。」と謳つてあります。そういたしますると、この條項からいたしましたならば、当然物価が異動をして生活に影響を及ぼしたとき、及び公務員のベースが改まるとき、又民間企業の賃金ベースの改訂があつたときには、国鉄予算に関係なく改訂せねばならないということになります。それを四十四條では奪つておることは、本議員の了解し得ないところであります。三十四條に公務員たる性質を規定し、三十二條の嚴しい規定において義務を負わせ、三十三條において勤務時間の延長など、働く公務員に山程の義務を押付けて置きながら、給與の面においてその権利を剥奪するがごときは、正に惡法と言わねばなりません。この法律に一貫して流れているものは、大蔵フアツシヨの下に、あらゆる労働する従業員の自由を束縛し、義務だけを強要し、権利の主張を抑圧する彈圧法と言わねばならないのであります。(拍手)
日本社会党は、以上に述べました要旨を修正案といたしまして、委員会にも正式に了解を求めてその手続をとり、それぞれ関係方面と折衝中であつたのでありまするが、その諾否も待たずに衆議院の委員会におきまして審議を打切つて、改正原案を押通したことは、国会運営上誠に遺憾とするところであります。更に参議院におきましても、第三国会におきまして日本国有鉄道法が可決される際に、本院は院議を以て次のことを政府に要望しておつたのであります。即ち第一に、運輸大臣の監督は日本国有鉄道の自主性と高能率を尊重して行うこと、第二に、予算としての拘束はその大綱に止めて、その他は機動的に、効果的に運用されること等、四條件を附しまして、院議によつて政府に要望したものであります。併しながら政府はこの度の改正案の中に、その趣旨を全幅的に取入れてはおりません。かくのごとく衆参両院におきましても、国会を軽視するがごとき政府與党の非民主的な態度によつて押切られるところの非民主的な法案に対しまして、社会党は断乎として反対を表明するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/18
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019・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/19
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020・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/20
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021・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、警察用電話等の処理に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。電気通信委員長大島定吉君。
〔大島定吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/21
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022・大島定吉
○大島定吉君 只今議題となりました警察用電話等の処理に関する法律案につきまして、電気通信委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます
先ず、提案理由を申上げますと、警察機構の全面的改革に伴い、国及び地方自治体の警察事務用電気通信施設を急速に整備強化すると共に、その電気通信施設及び資金資材を経済的に且つ最も有効に使用するために、地方公共団体の所有する警察用有線電話設備を電気通信省が讓り受け、且つ将来の警察用有線電話の建設及び保守を電気通信省が行うことに政府の方針を決定いたしまして、昨年八月一日から仮実施を行なつて参つたのでありますが、今回これに必要な法的措置を講じようとするものであります。
次に、法案の内容でありまするが、地方公共団体から国への移管の対象となりますものは、この法律施行の際、地方公共団体が所有する電話設備であつて、公衆電気通信系に併合して使用できるもののうち、屋内交換設備を除いたものと、その保守建設に充てるための機器及び素材ということになつております。又置取価格及びその支拂方法につきましては、電気通信省に、大臣を委員長とし、買收する側と買收される側とを代表する者を以て組織する評価審議会を設けて、評価の公正を期し、この審議会で決定しました代価は、昭和二十五年度から毎年その五分の一以上を電気通信省から所有者に支拂うと共に、支拂未済分に対しては年五分の利子を附することになつております。更に設備の移管に際しましては、警察通信を中止しないことを保証し、将来におきましても、電気通信省が一方的に專用の取消や停止をしないことを規定すると共に、專用者側においても專用料金の支拂については必要な措置をとるべき旨を規定しておるのであります。
以上が本法案の大要でありますが、電気通信委員会におきましては、委員はいずれも御熱心な御質疑をいたされ、又地方行政委員会と二回に亘つて連合審査を行いまして、愼重な審査をいたした次第であります。今その質疑応答の大要を申しますと、先ず一委員から、警察制度の改革に伴つて警察電話の整備強化は極めて必要なことであるが、新制度になつて警察電話の秘密保持に欠くる点ができて来たことを痛感するが、これに対して政府はどういう方策をとつておるかとの質問がありました。これに対しましては、地方の公安委員会から秘密保持上心配であるとの情報は聞いておるが、具体的な事実は明らかになつていない。電気通信省でも最近においてはこの点について関心を深めて来ておるので、近頃は問題がなくなつておる。秘密保持のことは移管のことは別の面から考えて方策を講じておる。又先般問題になつた平事件その他における警察電話の秘密漏洩の問題は、電気通信省が詳細に專門的な見地から調査したが、警察電話は電気通信省が交換には携わらないから、この面からの漏洩はないのであるが、あらゆる面から調査したが確かな証拠が挙らないので、取扱者から洩れたかどうかということは断言できない。将来の問題としては人員配置その他のことが考えられるが、結局は各員一人々々が通信の秘密保持の重要性を自覚することが最も大切なことであるとの答弁がありました。又次に買取価格はどれぐらいの予定であるかとの質問に対しましては、それは評価審議会で決めるべき問題で、今その予定というものはない、いずれにせよ公正妥当な価格で買取りたいと思つておるとの答弁がありました。更に、一般に警察電話は施設及び保守が惡いようであるから、これを讓受けることは、電気通信事業の独立採算の建前から好ましくないのではないか、又警察用市外電話の專用料金は甚だ安くて引合わないのではないかとの質問に対しましては、電気通信事業は国家の経営する公共事業であるから、單なる採質問題で治安の維持に対して協力しないというわけには行かない。又警察電話の市外線專用料金は普通の專用料金に比べると約十分の一になつておるので、来年度からこれを或る程度引上げることに関係事務当事者間で話を進めておるとの答弁がありました。その他各委員から詳細に亘つて熱心なる質疑がありましたが、詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。
かくいたしまして質疑を終り、討論に入りましたところ、民主党の小林委員から、警察用電話には老朽施設が多いから買取価格においては十分にこの点を考慮し、又市外線專用料金は非常に安いから適正料金に引上げるべきであるとの意見が述べられ、又本法案は警察用有線電話に関する法律案であるのに、第八條及び第九條には無線を含むと解釈される用語があるから、誤解の起らぬように、第八條及び第九條中「電気通信設備」とあるのを「有線電気通信設備」と改めたいとの修正意見が述べられました。更に無所属懇談会の千葉委員から、このような設備を引受けることによつて、他の業務に影響を及ぼし、又は従業員の労働強化にならぬように注意すべきであるとの意見を述べられると共に、小林委員の修正意見に賛成がありました。
かくて討論を終りまして、先ず修正案につきまして採決いたしましたところ、全会一致修正案に賛成でありました。次いでその他の原案について採決いたしましたところ、これ又全会一致を以て結成がありました。よつて本法案は修正議決することに相成つた次第であります。以上簡單でありまするが御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/22
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023・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 本法案に対し討論の通告がございます。板野勝次君。
〔板野勝次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/23
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024・板野勝次
○板野勝次君 警察用電話等の処理に関する法律案は、提案理由の冒頭に説明されておる警察制度の全面的改正がその前提となつておるのでありますが、警察制度の問題につきましては、一昨年の九月マツカーサー元帥の書簡にも、戰前十ケ年間における日本軍閥の最も強大な武器は、中央政府が都道府県庁をも含めて行使した思想警察及び憲兵隊に対する絶対的な権力である。これらの手段を通じて軍は言論集会の自由、更に思想の自由までも彈圧し、非道の政治によつて個人の尊嚴を堕落せしめるに至つたのである。日本はかくて全く警察国家であると指摘いたしまて、これが防止策として、中央集権的に統制された国家警察網が再び型を変えて出現することを防止するために、国家地方警家と自治体警察との間に何らの指揮命令等の関係を設けるべきでないと指摘されました。この根本目的に基いて、曾ての警察国家、日本の旧警察制度は解体されまして、不十分ながらも地方分権による新警察制度に一応改革された筈でありました。ところが事実は逆なコースを辿りつつあるのでありまして、吉田内閣の政治的なコースは明らかに反動化して来ておるのであります。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)而もその政策の破綻を隠して行くために、民族の産業を破壞し、農業も破壞いたしまして、堪え難いまでに惡化して参りました国内の情勢をこれを国民の前から蔽うてしまう、こういうために、吉田内閣の自主性を失つた産業破壞政策に対してこの日本の国を守つて行こうとする勤労大衆の憂国的な、愛国的な、政治的な行動さえも警察力によつて彈圧して来ておる。而もこの彈圧だけではまだ足りないといたしまして、この上に警察力の強化により、ますます彈圧を拡張しようとするところの惡質な企てをして来ておるのでありまして、(「それは問題外だ」と呼ぶ者あり)これは国の内外の世論に徴して見ましても明らかな事実であります。即ち八月十四日附のワシントン・ポスト紙に掲載された「右翼による終戰後四年の日本支配」と題したヘツセル・テイルトマン氏の署名記事の中にも、吉田の率いる超保守的民自党は現在次の三つの目的を最も優先的に取扱つておる。即ち一、日本の運命の決定権を完全に回復すること。二、占領終結以前に労働運動を破壞すること。三、警察力を中央集権化し、特高を復活すること。一言にして言えば日本は急速に元の型に戻りつつあり、再び警察国家になりつつあると警告しておるのであります。これは一例に過ぎないのでありますが、このような非難はすでに内外に起つて来ておるのであります。遂に吉田内閣のその露骨な警察制度強化の企ては不承々々に表面から引込めなければならない、こういうふうになつたものでありますが、吉田内閣は警察制度拡充強化の一環として、すでに二十三年六月、警察用電気通信施設の整備強化として閣議で決定し、逓信省に仮移管される措置がとられており、本法案は地方自治体所有の警察電話の買收対象、買收価格の審議、專用料金等の規定をその内容として、民主的に僞裝されておるのでありますが、提案理由によつても明らかなごとく、本法案が警察機構拡充のための隠蔽策として、(「違う々々」と呼ぶ者あり)電通省下部機構の犠牲によつて行われようというところに根本問題がふるのであります。即ち延十数万キロに上る警察電話路線の保守建設に要する人員、資材の供給は容易なものでないことは申すまでもないのでありますが、警察用施設の整備は連合軍設備に次ぎ優先されておりまして、一般公衆電話線を犠牲にしてこの緊急整備を図ろうとするものでありますが、(「違う違う」と呼ぶ者あり)警察電話優先復旧の実例は、衆議院電通委員の国勢調査派遣報告によつて見ましても明らかであります。即ち熊本におけるデラ台風被害復旧工事費の九〇%が警察電話に取られております。宇都宮においては施設の八八%を警察電話が占めておるのであります。このようなことは全国的に見られておる問題でありまして、六、七月両月に行われたこの調査に、三班とも、この移管が独立採算制の下に資材、人員の大幅削減を強制している、通信事業に大きな負担であるから善処するようにとさへ言及しておるのであります。然るにも拘わらず、警察電話の復旧強化を民間電話を犠牲にして行い、真に平和を守り、我が国の自主独立と国民生活の安定と向上のための政治運動を、憲法を蹂躪し、基本的人権さへも無視いたしまして、飽くまでも圧迫せんとするために役立てている警察制度運営の現状に鑑み、且つ内外の民主的世論の反撃のために達成できなかつた国家警察再建の野望を、飽くまでもその一環として巧みに押し進めんとするがごときこの法案に対しましては、日本共産党は断乎として心ある多数の国民と共に反対するものであります。(「違う違う」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/24
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025・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/25
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026・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/26
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027・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第三より第十一までの請願及び日程第二十より第二十三までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議ない」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/27
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028・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告の求めます。水産委員長木下辰雄君。
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〔木下辰雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/28
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029・木下辰雄
○木下辰雄君 只今議題となりました請願九件、陳情四件に関しまして、水産委員会における審議の経過並びにその結果を御報告いたします。
そのうち漁港の件に関して先ず御報告いたします。漁港は北海道の様似、常呂、初山別、羽幌、頓別、熊本県の島子、山口県の柳井、福岡県の沖の島、愛姫県の高山、島根県の仲泊、以上七ケ所の築設或いは修築の請願と、三ケ所の築設の陳情であります。委員会におきましては紹介議員より詳細なる説明を聽取し、又政府当局と質問応答を重ねまして、愼重審議いたしたのであります。右のうち様似漁港は第三国会に、羽幌漁港は第二及び第五国会においてすでに採択いたしておりまするし、その他常呂外七件共いずれも重要適切なる案件と存じまして、委員会におきましてはこれを採択し、議院の会議に付し、内閣送付することと決定いたした次第であります。
次は請願第三百六十一号、同第五百二十二号の二件は、いずれも漁港法制定促進に関する請願であります。これは第五国会におきましてすでに採択され、今回再び請願されたものであります。又請願第三百七十二号は有明海区に漁業調整事務局設置の請願でありまして、これは有明海が福岡、佐賀、熊本、長崎の四県に囲まれて、その海況の特異性と漁業権の複雑性とに鑑みまして、生産の増強と漁業調整のために、有明海区に漁業調整事務局を設置せられたいという請願であります。委員会におきましては、以上三件はいずれも願意妥当と認めまして、これを採択いたし、議院の会議に付することに決定いたした次第であります。
次に陳情第六十八号は海藻工業の振興に関する陳情でありまして、これは海藻を原料とする加里、沃度は、国内の重要生産品であり、殊に沃度は輸出品としても重要なもので、天惠的資源を以て国際的收支に寄與するところが多大であるから、政府の指導育成の施策によつて、一曾海藻工業の発展を図られたいという陳情であります。委員会におきましては陳情の趣旨妥当と認めまして、これを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定いたした次第であります。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/29
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030・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採託し、日程第六及び第八の請願の外は内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/30
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031・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。(拍手)よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第六及び第八の請願の外は内閣に送付することに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/31
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032・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第十二より第十九までの請願及び日程第二十四及び第二十五の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/32
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033・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長千田正君。
〔千田正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/33
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034・千田正
○千田正君 只今議題になりました第六国会において在外同胞引揚問題に関する特別委員会に付託されましたるところの請願及び陳情につきまして、本委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず請願第百十一号引揚者の援護強化に関する請願は、駅頭における援護の充実を図ると共に、物資の配給、就職の斡旋、更生資金の貸付、引揚者住宅の拡充等、定着援護の施策を強化されたいとの趣旨であります。
請願第二百十一号在ソ同胞引揚促進に関する請願は、在ソ同胞の数に対しては、留守家族を初め国民が抱く一抹の憂慮を拭い去ることができないことは遺憾であるから、速かにこれを明らかにされたいとも趣旨であります。
請願第二百十五号在外同胞引揚促進等に関する請願、これは、留守家族は一日千秋の思いで引揚を待つておるのであるから、万難を排して在外同胞の引揚促進を図ると共に、留守家族に対する援護対策に万全を期せられたいとの趣旨であります。
請願第二百三十五号民主グループの徹底的調査に関する請願は、在ソ抑留同胞をして平和な国際的知識人として再出発させるために、民主グループの真相を徹底的に調査されたいとの趣旨であります。
請願第四百十三号及び第四百七十一号在外資産の補償促進に関する請願は、戰争責任及び戰争犠牲は国民全体が均等に負担すべきものであり、従つて引揚者の在外資産の補償は海外引揚者の更生のために認められたいとの趣旨であります。
請願第四百十四号及び請願第四百七十二号住宅金融公庫設立および個人融資に引揚者わく設定の請願、これは国内の住宅難緩和のため住宅金融公庫の速かなる立法化と共に、最も深刻に住宅難に悩まされておるところの引揚者に対して一定の融資の枠を設定されたいとの趣旨であります。
請願第四百十五号引揚者団体等に公益質屋設営許可等の請願、これは大衆の小口金融に応ずる庶民金融の目的達成のために、低利な資金を融資して、引揚者団体にも公益質屋の経営を許されたいとの趣旨であります。
請願第五百五十八号北朝鮮残留同胞の引揚促進に関する請願は、北朝鮮からの引揚は一応完了したことになつておるが、実際は今尚技術者並びに人民教化所在監者等の残留者が相当数いることが明らかであるから、これらの者が一日も早く帰られるよう取計らわれたいとの趣旨であります。
陳情第四十四号中共地区の引揚促進に関する陳情は、中共地区における引揚はなかなか進捗せず、残留者の安否すら判明しない状況であるから、中共地区の引揚に関しては積極的に処置をとられたいとの趣旨であります。
陳情第四十五号中共地区引揚者に対し特別未帰還者給與法適用の陳情、これは中共地区の引揚者に対し何らの考慮も拂われていないことは誠に不公平であるから、中共地区の引揚者に対しては、ソ連地区引揚者と同様に特別未帰還者給與法を適用されたいとの趣旨であります。
以上の請願十件及び陳情二件は、いずれも委員会において愼重審議の結果、その願意妥当なものと認めまして、議院の議決を要し、内閣に送付すべきものと決定した次第でございます。何とぞ全会一致を以て皆様の御賛同あらんことをお願いいたす次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/34
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035・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/35
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036・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十五分散会
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○本日の会議に付した事件
一、科学技術振興に関する決議案
一、日程第一 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案
一、日程第二 警察用電話等の処理に関する法律案
一、日程第三乃至第十一の請願
一、日程第二十乃至第二十三の陳情
一、日程第十二乃至第十九の請願
一、日程第二十四及び第二十五の陳情発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100615254X02019491128/36
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