1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月三十日(日曜日)
午前十一時七分開議
出席委員
委員長 小野瀬忠兵衞君
理事 小川 平二君 理事 志田 義信君
理事 永井 英修君 理事 高倉 定助君
理事 米原 昶君
井手 光治君 瀬戸山三男君
細田 榮藏君 南 好雄君
森山 欽司君 羽田野次郎君
受田 新吉君 成田 知巳君
出席国務大臣
国 務 大 臣 青木 孝義君
出席政府委員
経済安定政務次
官 西村 久之君
物価政務次官 坂田 英一君
経済安定事務官
(総裁官房長) 平井富三郎君
経済安定事務官
(経済復興計画
審議会事務局
長) 佐々木義武君
経済安定事務官
(建設交通局次
長) 今泉 兼寛君
委員外の出席者
専 門 員 圓地與四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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四月三十日
委員首藤新八君、福永一臣君、江花靜君、藤枝
泉介君、木村公平君、降旗徳弥君、吉武惠市君
及び田中不破三君、辞任につき、その補欠とし
て飛嶋繁君、南好雄、金光義邦君、多田勇君、
本多市郎君、鈴木正文君、林讓治君及び若林義
孝君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員本多市郎君及び鈴木正文君辞任につき、そ
の補欠として井手光治君及び瀬戸山三男君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員若林義孝君、井手光治君及び瀬戸山三男君
辞任につき、その補欠として田中不破三君、本
多市郎君及び鈴木正文君が議長の指名で委員に
選任された。
同日
多田勇君及び金光義邦君が理事に補欠当選した。
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四月三十日
国土総合開発促進に関する決議案(庄司一郎君
外三十七名提出、決議第二八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
理事の互選
連合審査会開会に関する件
国土総合開発法案(内閣提出第一九四号)
請 願
一 輸入原皮払下価格の適正化に関する請願(
天野公義君紹介)(第二七六七号)
二 労務用物資配給に関する請願(柄澤登志子
君外一名紹介)(第二七七六号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/0
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001・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 ただいまより会議を開きます。
この際お諮りいたします。理事多田勇君、理事金光義邦君が昨二十九日委員を辞任されましたので、これより理事の補欠選任をいたしたいと思いますが、先例により委員長に御一任願うのに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/1
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002・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 御異議なしと認めます。それでは多田勇君、金光義邦君の両君が再び委員に選任されましたので、両君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/2
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003・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 なおこの際お諮りいたします。昨日建設委員長より国土総合開発法案の審議につき、本委員会と連合審査会を開会されたき旨の申入れがございましたので、本法案は建設委員会とも重要な関係を有する法案であり、審議の愼重を期する意味合いからいたしましても、連合審査会開会の申入れを受諾いたすことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/3
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004・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。
なお会期も切迫いたしておりますので、連合審査会は、本日午後よりさつそく開会いたすことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/4
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005・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/5
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006・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 引続き内閣提出第一九四号、国十総合開発法案の質疑に入ります。質疑は通告順にこれを許します。永井英修君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/6
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007・永井英修
○永井(英)委員 北海道開発法と国土総合開発法との関係をちよつとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/7
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008・西村久之
○西村(久)政府委員 北海道の開発法と、今回御提案申し上げてあります国土総合開発法とは別個のものであります。重複を避けて、法文に示してあります通り、道を抜いて計画を立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/8
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009・永井英修
○永井(英)委員 ところが北海道開発法には、「北海道における資源の総合的な開発に関する基本的事項を規定することを目的する。」ということを書いてあります。そうしてこの総合開発法には、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から、国土を総合的に利用し、」云々、こういうふうに書いてあります。そうすると資源の開発ということはむろん経済に関することですが、そのほかの社会、文化等に関する問題は、北海道にはやらないということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/9
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010・平井富三郎
○平井(富)政府委員 北海道開発法におきましては、北海道の総合開発計画を立案するのです。こちらの国土総合開発法案は、もちろんこれは総合的にやる建前から、全国的な総合計画を立案して参るということになりますので、両方の調整が必要になつて来るわけであります。そこで十四條に規定を設けまして、北海道の総合開発計画と、この法律によります総合開発計画との調整は、内閣総理大臣が両方の意見を聞きまして行うというふうにいたしまして、終局的に内閣総理大臣がこの両計画の調整を行うことになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/10
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011・永井英修
○永井(英)委員 そうすると北海道の開発の方は、大きく言えば経済に関する開発ということになりますが、この総合開発法はいわゆる経済、社会、文化というふうになつております。しかも本案には、都道府県と書いてあつて道は抜いてありますが、そういうふうな方面はどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/11
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012・平井富三郎
○平井(富)政府委員 この法律において総合国土開発計画といいますのは、單に経済的な観点からでなく、文化、社会その他の見地から計画を立てるのであります。その点、北海道につきましては特に経済的な観点を主にいたしまして、北海道の経済開発ということをねらいにしておりますが、この際にも、やはり北海道の計画をつくる際には文化、社会その他の観点からの考慮というものは、当然なさるべきであろうと考える次第であります。ただこの計画を立案するにあたりまして、北海道につきましては道が計画を立てて、審議会が意見を添えて開発庁に答申をする、こういう行き方でなくして、北海道開発庁が計画の原案をつくりまして、北海道開発審議会に諮問をするという形でございます。国土総合開発法におきましては、全地域を対象にいたします関係上、ことに各地方の自主性あるいは、それの一体性というようなことを考えまして、都府県がその地域あるいは数府県連合いたしました一地方、特定地域の計画を作案いたしまして、こめ国土総合開発審議会に上つて来る、こういうやり方をとるわけであります。従いましてこの法案で上つて参りまする、国土総合開発審議会にかかりますものは、北海道を除きまして、その他の府県についての総合計画の設定で、その機構、方法を規定したわけであります。ただ北海道の開発計画というものも、全国的な総合国土開発計画の重要な一環になるものでございますので、先ほど申し上げましたように、内閣総理大臣が両者の計画を調整する、こういうふうになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/12
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013・永井英修
○永井(英)委員 ただしかし北海道開発法には、「資源の総合的な開発」という文字だけしか書かれてないわけであります。そうすると結局社会、文化というような方面には、その開発法では関係がないこういうふうに考えられます。そうして方この法律にほ道を拔いてある、こういうことになると、何だかそこに非常な食い違いがありはしないかというふうに感ずるのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/13
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014・平井富三郎
○平井(富)政府委員 この点は、先ほど申し上げましたように、北海道の開発計画は特に資源の開発という点に重点を置きまして、その点を明確にしたものと考えておりますが、その計画を立案するにあたりまして、文化の点は全然考えないで計画を立てるということはあり得ないのでございまして、やはり文化の点等も十分考慮に入れて計画を立てる次第でございます。こちらの法律におきましては、これが全国的な観点にわたります関係上、そういう点をむしろ明確にいたしたものというふうに考えております。ただ両方の計画といいますか、原案が食い違いをするような場合におきましては、内閣総理大臣がこれの調整をはかるというふろにいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/14
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015・羽田野次郎
○羽田野委員 農林省のこれまでやつて参りました開拓計画、あれはこれに包含されるのだと思いますが、この総合開発地区が設定されましたら、その中にこれまでやつて来た開拓計画は包含されるのか。その関係はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/15
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016・今泉兼寛
○今泉政府委員 この特定地域の総合開発計画ができまして、そこにある一定地区が指定されることになろうと思うのでございますが、その際の国が負担する経費の割合は特別の法律で定めて、それに対して従来国が負担しておつた部分を、特に割合をふやしてよけいつけてやるとか、あるいは地方財政法に定める補助金をよけいこれにつける、こういうことを十條の六項に規定しておるわけでありますが、この法律のきめ方を今後どういうふうに持つて行くかという点につきまして、これから実は検討したいと思つておりますが、いずれにせよ普通のこととは違つた、何か国が特別の助成方法を加えて行く。この点だけは今でも方針としてはそのように考えておりますが、一体どのくらいの割合で増加して行くかということは、今後大いに検討いたしまして、新たにまた法律という形において御審議願う、こういうことになろうと思います。従つて今の開拓計画その他の関係も、計画をさらに促進するというような場合、あるいは経費のつけ方につき増額されるということも考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/16
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017・羽田野次郎
○羽田野委員 開拓計画はもう大体において打切るというふうな傾向になつておるわけでしようか。そうしてまたこの際総合開発計画に基いてまたやるというようなことになりますか、そこのところを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/17
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018・今泉兼寛
○今泉政府委員 もちろん特定地域に指定する場合に、特定地域に指定されたら一体何を目標として促進するのかということがきめられると思います。その際に、その促進の内容において早くそれを促進しなくちやならぬという目的で設定されれば、今私が申し上げたようなことになろうと思いますし、また逆に非常に災害防除関係、治山治水等の関係から見てそういつた開拓計画はもう打切るべきだというような結論にもしなれば、逆にそういつたものは今後特定地域になつたために、逆にそういつたものがこれで中止になるということになろうと思いますので、その間特定地域をどういつた目的で設定して、その内容をどういうように規定するかということが、必ずしも一律にさつき申し上げました通り、何でもかんでも既定計画を推進するりだということにならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/18
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019・羽田野次郎
○羽田野委員 そうしますと大体においてその地区によつて開拓をもつと推進する、つまり食糧の増産に重きを置く、それからまた一つの條件によつてはほかに重点を置くどいつたように、その特殊性に從つて計画を樹立するのだということがわかつたわけでございますが、私の申したいことは、開拓政策が失敗したと申しますか、あるいは日本の基本的な政策が転換したからであると思うのですけれども、開拓政策が失敗したその轍を再び踏むようなことがあつたら、国家にとつてきわめて損失で、あると思う。御承知の通り、全国的に開拓政策の犠牲になつたものが多数ありまして、また計画をうんとしておいて、そうしてそれがまつたく計画倒れになつておる。そういうことは国家にとつて非常に重大な損失であります。そういうことはどういうふうにお考えになられておられますか。長い見通しのもとにやるということは説明の中にも書いてあるようでありますが、長い見通しといることは一体だれがどこでやるのか、安定本部で五箇年計画というものをやつても、またそんなものは発表が中止されたということがあるものですから、そういう点は慎重にお考えになつておられるかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/19
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020・今泉兼寛
○今泉政府委員 実は開拓計画は、もちろん主管は農林省になつておりますので、農林省といたしまして開拓計画を毎年きめまして、それに所要の経費というものは、地方自体がやるものもございますが、大部分は公共事業費という予算に入つて参ります。從つてその公共事業費の予算の査定は安定本部がやつておりますので、私どもは農林省からそいつた計画を聞きまして、それにつきまして十分検討を加えた上、昭和二十五年度であれば二十五年度にどのくらいの規模においてやり、どういつた地区においてやるのが適当であるかということは相談にあずかりまして、安定本部としても妥当と認める地区に予算をつける、こういうことになつておりますので、從つて原案は農林省がつけますが、それに対して査定を加え、適当な範囲でこれを調整するということは安定本部の職務になつております。全国個々の地区にとつてみますれば、從来必ずしも妥当でなかつたような計画がございますけれども、しかし現在国の政策とたしましては、やはり基本的な開拓計画は続けて行くのだ、こういうとで、開墾あるいは干拓ということは、二十五年度においても、それから明年度においても、ある程度やつぱり推進して行く、こういう建前でやつておりますが、一番当初、終戰後計画されたような百五十万町歩を全国でやるのだというような、ああいつた厖大な計画は非常に計画自体がまずい。それからいろいろな障害を来すということで、大分その点は修正せられまして、今日においてはもう最小限度に必要な開墾計画を考えて、今後地道にこれを推進して行く、こういうことに相なつている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/20
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021・羽田野次郎
○羽田野委員 繰返して申しますけれども、開拓政策というものが一貫していないで、非常な犠牲を国家も払い、また国民個人も払つております。その総合開発計画樹立にあたりましても、再びそういうことがないように私が念願する気持が強いものですから、重ねて御質問申し上げるわけであります。従つてこの審議会ですが、それに非常に権威を持たせて、そうしてそれが調査、研究、審議した結論については、これを尊重して権威を持たせなければならぬと思うのですが、それはどういうところに基いて権威を持たせ得られますか。法的な根拠があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/21
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022・平井富三郎
○平井(富)政府委員 今日の国土総合開発法は、ただいま御指摘になりましたような、国土計画自体が長期にわたつた性格を持つておりますので、それの経済効果というような点、あるいは投資の限度というような点も総合的に勘案いたしまして、現在の国情に照して、ただちに実施し得るような計画を目標にして策定するわけであります。そういう観点からいたしまして、この計画を作成するにあたりましても、あるいは都道府県が勘案いたします計画が基礎にはなりますが、関係の各省なり、あるいは学識経験者のお集まりを願つた審議会において、そういういろいろな観点から検討して参りまして、この結果きまります計画につきましては、それ自体計画の妥当性、合理性を持つているわけであります。そういう意味から、この計画が十分権威を持つて各省の施策に反映して参る。かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/22
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023・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 受田委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/23
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024・受田新吉
○受田委員 国土総合開発に関しまして、これを一貫せる立法措置をとられようとする政府の意図に対して、お伺いしたい数点をお答えいただきたいと思います。
この国土総合開発法の第一條の目的は、一応筋が通つておるのでありますが、第一條の目的の中に、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地といろ立場からも、これを考えようという意図から文化性を含んでおられるのでありますが、今この国土総合開発の大きな構想が、第一條の目的を達するために、どういうふうに具体的に意図しておられるか、第二條にその大きな項目はあげてあるのでありますが、この項目の具体策について、政府の考えておられる要点だけ具体的なことについてただしたいのでありますか、あまり詳細なことでなくて、第二條に書いてある五項にわたる具体策をお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/24
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025・平井富三郎
○平井(富)政府委員 この法律におきましては、單に経済的な観点からでなく、社会あるいは文化等に関します総合的見地に立つての計画を進めて参るというふうに考えておる次第であります。從来安定本部、建設省、農林省その他関係の各省において、具体的な計画は相当されておるわけでありますが、それらが一つのまとまつた計画になつておらないという点が現状であろうかと思うのであります。従いまして今回この法案で企図いたしましたように、まず都府県につきまして総合的な開発計画を立案し、これを総合調整して参ると同時に、国としての計画もそこに盛り込んで参りまして、国と地方とのそれぞれの計画がここで調整されて参るというふうになるわけでございます。従いましてこの一々の項目につきましては、計画自体は今後都府県の計画があがつて参りまして、それが調整されるわけであります。ただ具体的な問題といたしましては、たとえば本年度の公共事業費予算におけるようなあるいは災害復旧の問題、あるいは災害の予防の関係から治山治水というような点、あるいは都市計画に対する補助、あるいは観光等に対するいろいろな施策が盛られてあるわけであります。これらをさらに総合的に一つのものにまとめ上げて参りたいということから、今後の問題として一つの総合計画が設定されるもりと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/25
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026・受田新吉
○受田委員 今あげられた数点について、一例を観光国策について考えてみたいのでありますが、現に観光関係の機関として国立公園があり、また運輸省所管の諸事業があり、あるいは文部省所管の史跡名勝、天然記念物等があり、あるいは貿易関係の方面では通産省所管の事項がある。こういうふうに一例を観光にとりましても、各般の事項が各省にわかれておるのであります。これについて観光審議会なるものをつくつて、これらの調整をはかろうとする意図があるようでありますが、こういう観光審議会というものとこれとはどういうふうに関係づけて行こうとしておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/26
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027・平井富三郎
○平井(富)政府委員 今具体的に一例としてあげられました観光に関する場合ですが、観光は観光の目的から審議会においていろいろな事項を審議いたしますことは、これはまた観光の面から見て必要性があると考えております。ただこの国土総合開発計画は、国土の開発保全というのがその趣旨になる計画でございまして、この計画を遂行するにあたりまして、観光という観点からもこの国土の開発、資源の開発という点を考えて参るということでございまして、観光審議会において得ました結論は、この国十総合開発審議会に十分反映され、他の観点からいたしまする主張と観光審議会の主張とが、ここで調整されて参る、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/27
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028・受田新吉
○受田委員 そうした場合は調整を勧告するということでとどめるという法案ですね。これ以上の強制力はないわけですね。ところがまず問題が起るのは、これに府県の審議会があり、同時に地方の審議会がある。こういうふうに幾つも念を入れてそれぞれ地方色を発揮しながら、国全体の総合計画の中にとけ込まそうとする趣旨は、幾つもの審議会によつて調整できると思うのでありますが、ここで問題が起るのは、特に地方の審議会の立場だと思うのです。それは各府県の利害を超越して、そこで国土総合開発の立場から一部府県に偏せずやればいいのだが、その場合に各県の連絡調整というところに非常な苦労が起つて来ると思うのであります。この規定で第九條の第四項に、そうした場合における地方開発審議会などで費用の負担をいかにするかというような問題が起るときに、それらは規約で定めなければならぬということになつておりますが、こういう姑息な手段で地方の特殊性が調整でき得られましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/28
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029・平井富三郎
○平井(富)政府委員 この法案の建前は先ほど来申し上げましたように、都府県の自主性といいますか、そういうものをまず基本的な線として、この法案を組み立てておる次第であります。従いまして地方の自主的な計画がもとになりましてそれを調整して行くこういうやり方をとつております。しかしながら、この点は先ほど申し上げましたように、各方面の権威者が愼重に審議いたしました結果を、内閣総理大臣が各省あるいは都府県に勧告をいたすということになるのでございまして、それ自体において非常な権威を持ち得るものというふうに考える次第でございます。この国土計画全般を強力に実施いたしますについては、根本の問題としては、やはり地方の協力ということが一つの重要な要件になるわけであります。国の計画を頭から押しつけてしまうという態度は、かえつておもしろくないのではないかという観点から、この方式をとつておるわけであります。その間の調整は、計画自体の情勢なり、内閣全体としてのこの問題に対する指導力という点から、調整し解決し得るものというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/29
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030・受田新吉
○受田委員 そうした点で調整が可能であれば非常にけつこうなのでありますが、この国土全体の総合開発の立法事項でありますので、一方において地方の特殊性を尊重しつつ、一方では国全体の利害関係を勘案して計画を立てるという、その結果今自由党の諸君からも盛んに質問が出ましたが、北海道のような特殊の事情で、すでに特別立法がされているようなところとの調節、あるいは非常に海岸線の多い地域とか、もしくは非常に山岳地帯が多い地域とか、そういうところへの、総合開発の立場からの経費の入れぐあいが、府県の自主性に傷をつけるおそれがあると思うのであります。この調節をよくとらないと、おれの県にはとかく経費を少くするというふうになつて、地方の経費のぶんどりの上で、中央と地方との調節をとる必要が起ると思うのでありますが、国土総合開発の立場から、この審議会が生れることによつて、経費は一体どのくらい予算に組もうとしておられるのでありますか、これをひとつお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/30
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031・平井富三郎
○平井(富)政府委員 この国土開発法の立案の経過から申しまして、まずこの法律が通りまして、これに基いて作業を行つて行くわけでありまして、予算の問題は今後処理して参りたい。從來において不備あるいは不足という点がございますならば、今後の問題として処理して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/31
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032・受田新吉
○受田委員 北海道の総合開発の関連として、政府が最近何か地方ブロツク別の州制度をつくろうというような意図を持つているやに伺うのでありますが、こうした総合開発の立場から、地方的な関係その他を調節する意味において、州制度というようなもの、府県の廃合とかいうようなものを、これは関連でありますが、いかに考えておられるのか。これは安本長官にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/32
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033・青木孝義
○青木国務大臣 ただいまのところでは、そういうふうなことを政府としては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/33
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034・永井英修
○永井(英)委員 第六條に委員の数が三十名とあつて、そのうち十五名は内閣総理大臣が任命するようになつておりますが、あとの十五名はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/34
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035・平井富三郎
○平井(富)政府委員 第六條におきまして、委員は「三十人以内」とありまして、その委員は二項におきまして、「竹学識経験を有する者及び関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。」かように相なつております。
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036・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 それでは引続き本委員会に付託されました請願の審査に入ります。
本日の請願日程は、輸入原皮払下価格の適正化に関する請願、労務用物資配給に関する請願の二件でありますが、このうち労務用物資配給に関する請願は、すでに本委員会において採択いたしました一六三六号の請願と同趣旨のものでありますので、紹介議員の紹介説明を省略いたします。
輸入原皮払下価格の適正化に関する請願について紹介議員の紹介説明を求めます。永井英修君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/36
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037・永井英修
○永井(英)委員 この請願は東京都荒川区三河島町八丁目三百五番地、三河島製革事業協同組合の顧問の瀧澤武司という人からの請願でありまして、紹介議員矢野公義君がおられませんので、私がかわつて請願の趣旨を申し上げます。
請願の事由は、通商産業省は職人原皮の払下げにあたつて、鉱工品貿易公団を通じて需要者たる製革業者に払い下げつつあるが、実情に沿わざる払下価格の不合理に基因して、漸次この滯貨原皮は累増して、現在莫大の数量に達しておる。そしてこの払下価格の強行は、払下代金の支払いに悪影響を及ぼして、滞納額は増加の傾向々余し、また公団が現在やつておる払下原皮の品質の差違を参酌しない均一代金の徴收ということになるので、非常にむりが伴い、物価統制令の趣旨にも違反する疑いがある。これは遵法精神にも反し、はなはだ憂慮にたえないので、別紙要請書を内閣総理大臣、経済安定本部長官、物価庁長官、大蔵大臣、警視総監あてに出してあります。要はこの輸入原皮の払下げについて合理的な払下げをしてもらいたい、こういう趣旨の請願であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/37
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038・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 政府の御意見を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/38
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039・坂田英一
○坂田政府委員 現行輸入原皮の通産省払下価格は、昨年九月、一定期間すなわち昭和二十三年七月から同二十四年六月までにおける各品種ごとの輸入契約価格を加重平均したものでありまして、原皮のごとく一枚心々それぞれ価値差のあるものについては、必ずしも適当とは申されませんが、統制下特に政府貿易のもとにおいては、やむを得ざる措置としてとつたものであります。なお当庁においても、その後原皮全般について種々検討の結果、需給関係が大体一致する見通しがつき、また一般市場価格も安定する方向にありますので、近く原皮について統制額を廃止することにいたしましたから、本請願の趣旨とする難点もおのずから解消し、製革業者としても、希望のものが撰択入手できるかと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/39
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040・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 それではこの際お諮りいたします。本日の請願日程二件は、いずれもその趣旨において至当と認め、政府において適当にその措置を講ずべきであると思われますので、いずれも議院の会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと議決いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/40
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041・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。
それではこれで休憩いたしまして、経済安定委員会、建設委員会連合審査会は午後一時より第一委員室において開会いたします。
午前十一時五十六分休憩
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午前十一時五十六分休憩
午後四時四十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/41
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042・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
国土総合開発法案に対する質疑は大体終了いたしたものと考えられますので、これをもつて本案に対する質疑を終局いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/42
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043・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 御異議なしと認めます。
それではこれより討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。共産党の米原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/43
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044・米原昶
○米原委員 私は日本共産党を代表しまして、本案に反対の意見を述べるものであります。国土総合開発と称しておりますが。国土総合開発は一片の法律で簡單にできるものでないことは明らかであります。実は現在のような国情において、現在のような日本の経済事情において、たとえば第二條の第一項第三号に書かれておりますような、「都市及び農村の規模及び配置の調整に関する事項」というような、きわめて人類社会の、むしろ根本的な長い数千年の歴史にわたるところの都市と農村との対立というものを、單なる一つの国土総合開発法というもので、解決できるはずはないのであります。たとえばソビエト連邦におきまして、シベリアのあの広漠たる地域にアグロゴロドというような新しい農業都市を建設して行く。こういうような形で新しい形の農村をつくつて行く。今までの都市や農村と全然別個の新しいものをつくるという厖大な計画を実行するためには、社会の経済機構を根本的にかえなければ、とうていできないことだと思うのであります。先ほどの質問お聞きしましても、そういう点について何ら政府が成案を持つていないことを、われわれは聞いたのであります。しかもこういうような美字句を掲げまして、この法案はいかにも現在の日本が敗戰後の混乱に置かれておる際に、こういう国土総合開発が必要である、このためにこういう法律が必要であるというように言われてはおりますけれども、実質的には現実ではできないものであつて、むしろ特定地域の、しかも特定階級の利益になる、特定の暦だけに利益を与えるような開発しかできないことでございます。そういうことをむしろこの法律が保障するものであると思う。たとえば只見川の開発につきましても、先ほどもそういう点が指摘されましたが、一方ではああいう計画をやることによつて、三万町歩という田畑の水がなくなるという問題が起つておる。こういうものがはたして総合開発と言えるかどうか。国民の各層の利益をすべて重んじて、それを総合的に計画し開発して行くことは、こういう法律ではできない。実際的にはこの法律のためにかえつて特定な階級の利益に奉仕するようになる。こういう意味においてわれわれはこの法案に反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/44
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045・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 森山欽司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/45
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046・森山欽司
○森山委員 私は民主党を代表いたしまして、今回提案されました国土総合開発法案に対して賛成の意を表します。ただ今川の法案の提案にあたりまして、きわめて短期間の審議期間しか与えられぬということは、国会の審議の自主性の立場から、はなはだ遺憾にたえない次第でありまして、すでに前国会でありましたか、料飲店の法案において、御承知の通りの醜状を呈した後に、またこういうふうな法案の提出の仕方をされるということは、このやり方についてもはなはだ遺憾でありますし、また委員長に対しましても、われわれは遺憾の意を表さなければならないわけであります。間もなく委員長は交代とかのうわさもありまして、われわれはこの御円満なる人格に対して敬意を表しまして、この短かい会期における審議を一応了承することにいたしたいと思うわけであります。
この法案の内容等につきましては、種々今後も問題があり、また現在においての政府の構想等についても、さらに検討を要すべきものがあると思うのでありますが、この法案を一貫するものは、国土の総合開発について計画性を持つて行こうという考え方でありますので、この点につきましては現在の政府が自由党であり、その自由党の性格が、とにかく従来の統制撤廃から自由経済に移行する過渡期において、自由放任の様相を呈し、無計画的であり、かつ場合によつては党略的臭味ふんぷん光るものなきにしもあらずという際に、かかくのごとき計画を持つた法案が提出されましたことは、われわれといたしましてはこれは一つの奇蹟とすら考えるのでありますが、この法案の趣旨は、むしろわが国民民主党の性格において、十分基本的線においては了承し得るのでございまして、この意味においては、この開発法案については、全面的に賛意を表したいと思う次第でございます。
先ほど政府側の御説明によりますと、この総合開発法に基く行政の運用については、その機関として国土総合開発審議会が設けられ、その審議会において従来の国土総合開発審議会と同じように、国会の議員をその構成員とする場合には、従来のごとく与党のみの構成をもつてせず、各党より代表をもつてするというような御言質を得たのでありますが、今後きわめて重要である国土の総合開発について、従来の党略的運営について十分御反省のあつた証左であるとわれわれは考えるのであります。この意味におきましても、かかる政府の御言質を信用いたしまして、本法案に対して賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/46
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047・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/47
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048・受田新吉
○受田委員 日本社会党を代表いたしまして、この法案に対して賛成の討論を試みるものでおります。
先ほど森山委員から述べられたごとく、この法律案の提出時期が、きわめて会期切迫してあと二、三日というところへ押し迫つてこれが出されたという点が、われわれにとつて実に遺憾な点であります。それはわれわれとしても、あらゆる委員会でいろいろな法案の審議の一番最終段階に本会議まで抜け出て、この法案の審議をするということに対して、きわめてこれは非民主的であり、かつ国会の審議権無視の形態をとつたものであると思うのでありますが、この点わが党といたしましては、この法案の審議が一日で片づくということに対して、非常に不満の意を持つております。しかしこの法案はわが党の掲げておる計画経済の基本線に、ある程度合致するものであり、国の総合開発という非常に大きな計画性を持つておるという点において、わが党の主張に非常に近づいているという趣旨のもとに、この法案全体の構想の上に賛意を表するものであります。少くともわが党の政策に近づきつつあるこの法案が出されたということは大きな喜びであります。ところがこの法案の第二條は最もいい言葉をここへ網羅してありますし、適正でありますが、これを実施するための総合的な開発計画が第二條に掲げてあります。しかしこの五項目以外になにかわれわれとして経済的な問題、社会的な問題、文化的な問題で脱落しているものはないかというような感じもしております。いずれ、さらにこの審議会の運用の上において、その結論を得たいと思いますし、これはまた適当な機会にこの法案の不備が修正される機会もあろうと思いますので、この点はこの程度にとどめておきます。
なお先ほど森山委員から言われた点の委員の問題でありますが、国土総合開発審議会の委員が三十名であります。この三十名の委員が実際の運営の上において一党一派に偏しないということは、先ほど言質を得られたそうでありますから、私も安心をしたのであります。同時にこの委員があらゆる角度から、民主的に広く、各般の権威者をこの総合開発計画に持つて来てつくるというところに、十分実際の運営の上に努力をしていただきたいと思うのであります。この点特に国土総合開発審議会の出発にあたつて、委員の構成いかんによつてこの法案が生きるか死するかという重大岐路かと存じますので、とくとこの点は法案の運用の上において注意を当局に喚起しておく次第であります。
以上簡單でありますが、最も根本的な問題について意見を述べまして、賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/48
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049・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 高倉定助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/49
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050・高倉定助
○高倉委員 私は農民協同党を代表いたしまして、本法案に賛成の意を表するものであります。先ほど森山委員、受田委員より賛成の意見が述べられましたのと同意見でありますので、申し上げませんが、ただここで申し上げておきたいことは、さきに北海道開発法が決定されまして、北海道の開発に大きな法的措置が現われたのでありますが、北海道の総合開発とこの国土開発との問題が今後どういうふうになるかということは、審議があまりに短時日でありましたので、詳細に承ることができなかつたのでありますけれども、少くとも北海道の特殊性については、北海道開発法とこの法案との間におきまして、相剋摩擦のないように、十分に今後調整されて進んでいただきたいことを切望するものであります。まだ申し上げたいことはありますが、以上申し上げまして、本法案に賛成する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/50
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051・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 志田義信君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/51
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052・志田義信
○志田委員 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成の意見を申し述べる次第であります。
わが国は、御承知の通りこのたびの敗戰によりまして、領土的にも、また経済の基盤の上におきましても、著しく縮小せられておるのでありまして、その反面海外より同胞の大量な引揚げがあります。さらに人口の自然増加を加えますならば、僅々数年の間に数百万に上る人口の増加を見ておるのでありまして、かように領土を失い、他方に人口の増加という事態に当面して、わが国の経済生活が根本的な條件の変化を来しておることは事実であります。かくのごとき根本的な條件の変化に対処いたしまして、いかにして経済の安定をはかり、あわせて国民の資本の蓄積を行い、さらに進んで国家の発展にいかにすればはかれるであろうかということを考えますならば、もちろん対外的には輸出の振興をはからなければなりませんし、対内的には、外に失つたものを内に求めるために、この際国土の開発促進をはからなければならないことは、論ずるまでもないことでございます。もとより国土の総合開発の事業は、この法案にも示されております通りにいろいろな審議会の構成の適切な運営にまたなければならぬことは当然でありますけれども、それにも増して、私は科学的な調査研究をやはりこの際基礎としていただきたい。ことに政府に要請いたしたいことは、各地方、各地区の持つている特殊性をこの際十分に生かして、総合的な根本的な開発計画に基いて、今後の事業の実施を行われて行かなければ、期待するがごとき経済効果を上げ得ることも困難ではないか、かように考えるのであります。この点から考えましてわれわれは、計画の面といわず、あるいは実施の面といわず、中央と地方ともに行政機構が今日のごとく著しく分割されておりますような状態におきましては、ただちに根本的な開発計画を樹立されることは困難だと思いますので、かかる個別的な見地からする開発事業が実施されておる間は、日本の総合開発を完遂することは、不可能であるといわなければならぬと思つております。かように考えますときに、この際本案の通過によりまして、わが国の国の計画といわず、地方の計画といわず、それらの二つのものを調整するところの大きな任務が随行されるということになりますれば、まことに国家のために喜ばしいことといわなければなりません。ただわれわれは特にこの際政府に要望いたしたいことは、審議会の構成とその運営、あるいは政令に譲るとしておるところの事務機関の運営につきましては、特に誤りなき方法を講ぜられまして、適当な処置を御考究くださいますように要望いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/52
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053・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/53
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054・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
なお本案に関する委員会の報告書の作成その他については、委員長に御一任願いたいと存じます。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704073X02519500430/54
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