1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年三月十四日(火曜日)
午前十一時二十五分開議
出席委員
委員長 堀川 恭平君
理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
理事 中川 俊思君 理事 岡 良一君
理事 苅田アサノ君 理事 金子與重郎君
丸山 直友君 堤 ツルヨ君
出席政府委員
厚生事務官
(薬務局長事務
代理) 星野毅子郎君
委員外の出席者
厚 生 技 官
(薬務局麻薬課
長) 里見 卓郎君
農 林 技 官
(農政局特産課
長) 徳安健太郎君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
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三月十三日
医薬分業制度確立に関する請願(小峯柳多君紹
介)(第一三九三号)
同(辻寛一君紹介)(第一三九四号)
同(武藤運十郎君紹介)(第一四五八号)
同(長野長廣君紹介)(第一四五九号)
遺族の援護対策確立に関する請願(逢澤寛君紹
介)(第一四〇八号)
同外一件(永田節君紹介)(第一五二二号)
医療法第十三條の施行延期に関する請願(花村
四郎君外一名紹介)(第一四一六号)
公衆浴場法の一部改正に関する請願(苅田アサ
ノ君外一名紹介)(第一四二二号)
社会保險の危機打開に関する請願(松永佛骨君
紹介)(第一四四七号)
薬事法改正に関する請願(玉置實君紹介)(第
一四六二号)
同外一件(大石ヨシエ君紹介)(第一五一〇
号)
同(川端佳夫君紹介)(第一五二三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法
案(内閣提出第二二号)(参議院送付)
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001・堀川恭平
○堀川委員長 これより会議を開きます。
麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案を議題として、前会に引続きまして質疑を許すことにいたします。苅田アサノ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/1
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002・苅田アサノ
○苅田委員 麻薬課長からいただきました調査のことにつきまして、一、二さらに質問をいたしたいと思います。密輸入者の件なんですが、現在麻薬の密輸入につきましてとつておられる取締りの方法、これをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/2
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003・里見卓郎
○里見説明員 密輸入に対する調査の方法としましては、直接密輸入は、船から入るものに対しましては、海上保安庁にお願いいたしまして、連絡をとつておりますことと、税関の方に連絡をとつて調査をお願いしまして、特に復員船や何か、たくさん入ります場合は、こちらから麻薬取締員が参りまして、共同で荷物の検査等をやつております。そのほかにつきましては、随時海上保安庁の調査によつて密輸を検査していただきます。なお密輸品で市場に流れておるもの等につきましては、検挙したものから元へだんだん辿つて行つて、それが密輸品だということがわかつたものもありまして、実際に密輸の現場においてつかまえるということは、なかなか困難な事情にあります。現在では海上保安庁にそういうものはお願いしておる。それから税関の方に検査をお願いする。それからあとは麻薬取締員が、やみ市場にある品物で密輸品について元をだんだんせんさくして行つて密輸した者を逮捕する。そういうような方針でやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/3
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004・苅田アサノ
○苅田委員 大体いただいておる調査によりますと、密輸入者で現在つかまつておる者が九人というような調査が出ておりますけれども、この数字は実際つかまつた者はこうだけれども、実際の密輸入者はこれよりもさらに多いと思いますが、その状況についておわかりになつていたらお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/4
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005・里見卓郎
○里見説明員 確かにその通りでありまして、実際に昨年検挙した者を調べますと、主として密航によつて少量の麻薬を持つて来た者、例外としまして朝鮮からヒロインを相当量持つて来た者がありますが、大部分は少しずつ麻薬を密航して持つて来ておるわけであります。これも密輸になりますが、実際問題としまして、市場に流れておりますやみの麻薬は、大体密輸品と思われるものが相当量——これは密輸という判定がつきませんが、ヒロイン等から見まして、国内で生産がありませんし、かつ手持ちのないはずのヒロインがなお流れて来ておることを見ますと、密輸品だということが想像つくのであります。これはやはり密輸入によつてやみ市場に流れるのでありますから、相当の密輸入者があることは想像されます。これにつきましては、鋭意せんさくを続行しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/5
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006・苅田アサノ
○苅田委員 大体密輸入の相手国が、昨日の御答弁によつて見ましても、朝鮮とかあるいは中国というような方面から来ておるというようなお話に伺つたのでありますが、そうしますと、やはりここに上つております数字以上に、朝鮮人ないし中国人が密輸入に関係しておるということは、大体想像されると思うのでありますが、そういう点につきましては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/6
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007・里見卓郎
○里見説明員 その通りでありまして、確かに朝鮮からヒロインが入り、中国から入るものと考えられます。特にヒロインで密輸して昨年あがつたものは、すべて朝鮮から参つたものであります。それからそういう品物と比較しまして、やみ市場でつかまえたが、犯人が持つておつたヒロインと比較してみますと、相当品質の違うものがあります。これはどうも中国のものではないかということが想像されまして、それは追及はしておるのですが、的確に中国のどこから運んで、どういうものがどこに上つたということまではわかつておりませんので、品質その他から考えまして、確かに中国のものではないかという想像のもとで、捜査を続行しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/7
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008・苅田アサノ
○苅田委員 そういたしますと、私ども考えられますことは、この取締法が適用されて、さらに麻薬取締官というものが中央の直轄になつて取締りを強化するということになると、その対象に、多数の中国人ないし朝鮮人というものがなることは、当然考えられるわけでありますが、一方特に朝鮮人なんかの内地における生活状態を見ますと、非常に困窮しておりまして、実際内地人と比べましても、非常にひどい生活をしておると思われます。それから中毒患者の数を見ましても、このうちの相当数はやはり朝鮮人ということになつておるわけなんです。こういうふうな取締法を強化される一方、昨年の朝鮮人連盟の解散以後、朝鮮人の生活を向上する面について、政府はどういう施策をやつておられるかということについても聞たいのですが、これはどうも麻薬課長ではおわかりにならないと思うのですが、どなたにお聞きしたらいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/8
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009・星野毅子郎
○星野政府委員 朝鮮人連盟解散以後の国内在住の朝鮮人の生活状況につきまして、その生活内容を十分に注意し、改善方につきまして、政府といたしましてよく留意するようにという御質問でございました。これに対しましては、厚生省も関係を有するわけでありますが、他の省にも関係いたしておるわけであります。ただ御質問の御趣意につきましては、政府といたしましても十分その点は注意いたしまして、解散の目的はほかにございまして解散されたわけでございますが、連盟の解散後の国内在住の朝鮮人の生活に留意し、その幸福なる生活を送らしめるということはやはり大きな問題でございまして、その点につきましてはおのおの関係の省におきまして、十分今後とも注意して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/9
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010・苅田アサノ
○苅田委員 私は希望を述べたわけではなくて、現在どういうふうに行われているかということを質問いたしたわけなんですが、これにつきまして——厚生大臣はおいでにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/10
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011・堀川恭平
○堀川委員長 きようは厚生大臣は呼んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/11
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012・苅田アサノ
○苅田委員 そういうことについてどなたかお答えいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/12
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013・堀川恭平
○堀川委員長 それはこの議題とちよつとかけ離れておるのではないかと思いますか、そういうことでお聞きになるのでしたら、厚生大臣を他日呼びます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/13
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014・苅田アサノ
○苅田委員 そういうふうにただ技術面だけの、法律の條文だけの意見をここで言うだけじやないと思うのです。やはりこういう場合に、厚生大臣なり、あるいは大臣のかわりに次官なりがおいでになつて、そういう意味の質問に対しても、適宜な責任を持つた答弁を願わないと、どうしてもこの審議は遅れて来るように思うのです。私の今お聞きしたことも、取締りを強化されるということから、その反面に、生活に対するどういう指導なりあるいは注意なりを拂われておるかということが、やはり表裏として私どもとしてはお聞きしたいと思うので、その答弁をこの場でお開きしたいと思います。そうでないと、私どもが心配しているのは、この法律が出れば、先ほどから課長との質疑応答の中にもはつきりしていましたように、これは少なからぬ朝鮮人なり中国人が対象になることははつきりしてるわけです。そうなれば私どもは、その反面として、こういう実際に気の毒な人たちに対して、政府としてどういう考慮を拂われてるかということは、直接この法案の審議に関係がないということは言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/14
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015・堀川恭平
○堀川委員長 委員長としては、それはこの法案の審議に関係はないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/15
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016・苅田アサノ
○苅田委員 そうなりますと、一々この問題はこ法案に関係があるとかないとかいうことになると、私どもが自由に法案に対して、方々から十分納得の行よくうに審議することが不可能になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/16
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017・堀川恭平
○堀川委員長 それなら昨日からでも、大臣にこういう点を聞きたいからという御申出があれば、大臣を呼んだでしよう。そう急に、今すぐ呼んで来いと言われても困ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/17
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018・青柳一郎
○青柳委員 関連して——私どもこの新しい法の改正によつて取締りが強化されることはけつこうと思いますが、これは朝鮮人、台湾人だけでなく、日本人にも適用されると思うのですが、それでよろしいでしようか。あるいはその間に差別を設けられる必要があるか。その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/18
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019・星野毅子郎
○星野政府委員 この法案の取締りの趣旨にありますように、私ども取締りを行うわけでございます。その間に日本人であると、中国人であると、あるいは朝鮮人であると差別をいたしておりません。今後も差別をいたさない方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/19
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020・堀川恭平
○堀川委員長 苅田さん、そうすると大臣が来られなかつたらあなたは質問をおやめになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/20
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021・苅田アサノ
○苅田委員 まだほかの質問もありますから質問をいたしますが、大臣なり次官なりがおいでにならなければ午後からでもけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/21
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022・堀川恭平
○堀川委員長 きようは午前中で済ませたいと思つておりますが、どうも苅田さんの御意思がよくわからないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/22
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023・苅田アサノ
○苅田委員 私は納得の行くような御答弁さえしていただけばいいわけですが、ただ私もいろいろ質問しているうちに、いろいろな方面の質問が出て来ますから、それに対してもこれこれの人をお願いしたいといつてもできない場合があるわけです。当然この質問は次官なり厚生大臣なりがおられれば、責任ある御答弁がいただけると思うのです。だからこれはそちらの方で大臣なり次官をそろえておいでにならないという責任があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/23
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024・堀川恭平
○堀川委員長 今も青柳さんから言われましたように、特に朝鮮人や、中国人日当に取締法ができておるのではないということですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/24
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025・苅田アサノ
○苅田委員 特にと言つておりますが、相当多数の人々が対象になるように思われます。もちろん日本人もあがつておりますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/25
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026・堤ツルヨ
○堤委員 苅田先生のおつしやつておるのは、大体厚生委員会において、政務次官とか厚生大臣が責任を持つて出て来ないというところをついておられるのです。わが社会党としても一ぺん言わせてもらいたいと思います。他の委員会では、全部次官だとか大臣というものは責任を持つて出て来ておる。ところが厚生行政というものに対しては、林副総理が掛持ちをして、一回来られただけで、あとは大体ばかにして出て来たことがない。そこのところを私たちはいつも不服に思つておる。その点では委員長にも責任があると思います。これは政党の泥試合になつてまずいけれども、厚生行政というものは今後日本の政治の中心になる。少くとも社会保障制度というものが確立されれば、厚生委員会は一番大切なポストである。それが今、財政がないからこの山積しておる厚生施設、いわゆる厚生行政というものがないがしろにされて、ちつとも重きを置かれない。大体與党の委員の出方にいたしましても、三百八十七人が四百六十余人に比例するだけの数を持つておりながら——きようは一番御出席のよい方ですけれども、野党はたくさん出ておりますが、與党の出席は悪い。大体現在の民主自由党内閣は、厚生行政を無視しておる。そうしてゼスチュアだけは党大会などでやつておるけれども、実際は何ら力を入れておられない。これはこの間の未亡人大会の代表の怨嗟の声を聞いてもわかることです。ですから苅田先生のおつきになつておるのは、委員会としてはわれわれに十分審議権が與えられて、国民の代表として、十分質疑応答をしなければなりませんから、政府も十分御答弁のできる者をそろえてほしい。それに対して委員長が責任を持つてほしいということでありますが、私も同感です。こういう点について與党初め政府は猛省していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/26
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027・苅田アサノ
○苅田委員 何度も私申し上げております通り、たびたびこういうことになるわけでありまして、支障を来すわけでありますから、ぜひそのことをお願いいたします。
それでは次に五十三條の点で、昨日もお聞きしましてどうも私納得行かなかつたのでありますけれども、きようは局長がおいでになつておるようでありますから、少しお伺いいたしますが、五十三條の、「麻薬取締官は麻薬に関する違反の捜査にあたり厚生大臣の許可を受けてこの法律の規定に拘らず何人からも麻薬を譲り受けることができる」ということは、昨日の御答弁では、麻薬取締官が買手に化けて、そうして取引した場合に、ほんとうに用金の取引をやつた場合には有償でこれほ薬をもらう。しかしそうでなく、現金の取引がなかつた場合には、その薬をもらつたものは無償で取るのだというようなのが、この法律の趣旨だという説明であつたのであります。そういう場合もあつたのでありますが、それだけに限つて——つまり麻薬を持つておる人たちの入手の経路が非常に不明の場合には無償で取上げるということをやられるかどうか。そういう一般の場合のことも考えられるので、ひとつこの点を質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/27
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028・星野毅子郎
○星野政府委員 ただいまの五十三條の規定は、なるほど捜査は、現在の法律で申しますれば、麻薬取締規則が行われます場合においては、証拠物件といたしまして、あるいは捜査の過程におきまして、麻薬を譲り受ける必要がある場合を予想して、みだりに麻薬の譲り受けをすることなく、許可を得まして譲り受ける。しかし捜査につきまして、さような必要が必ず起つて参るわけでありますので、それを出し得るような権限を與えたわけでございます。しかして有償で譲り受けますが、無償で譲り受けますか。特に不正の原因によりまして、麻薬を処理したものに対しましては、何も有償の必要はないというような御意見でございますが、この有償なりや無償なりやといいますのは、捜査の必要上麻薬を譲り受けます場合に、有償でなければ譲り受けられないというような場合がございます。すなわち麻薬を入手することにつきまして、有償の形をとらなければ入手できないような場合においてのみ、普通有償ということが行われておるのでります。ただいろいろ具体的な事件、具体的な場合がございまして、一概に申し上げられません。容易に無償で入手できるような場合におきましては、有償ということは考えられない。どうしても有償でなければ麻薬が手に入らない。あるいは麻薬の経路をたどつて行けないというような場合においては、有償の場合もあり得るのだということを申し上げて、趣旨といたしましては、特に不正な経路によつて入りましたものは、わざわざ有償で讓り受けるというような考えは持つておりませんので、御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/28
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029・苅田アサノ
○苅田委員 私の質問はそれとは反対なんです。つまり入手の不明な麻薬が発見された場合に、これを無償で没收するということが、この法律からできるかどうかということをお伺いしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/29
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030・星野毅子郎
○星野政府委員 さような場合は無償で没收することができるわけでございます。ただ私の申し上げたいのは、麻薬が人手できる、麻薬の発見でございますが、麻薬の発見ということにつきまして、発見に至るまでの間に、有償ということによつてのみ発見できるという場合があるということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/30
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031・苅田アサノ
○苅田委員 そうしますと、ただ入手の経路の不明な麻薬は、この法律によれば、無償で没收できるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/31
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032・星野毅子郎
○星野政府委員 これは犯罪行為に関連性があるので、一般刑法の規定によつてできるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/32
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033・苅田アサノ
○苅田委員 そうしますと、取締官が没收いたしました麻薬は、どういうようになさるわけですか。取上げた麻薬はどうなるか。その後の処置についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/33
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034・星野毅子郎
○星野政府委員 麻薬取締法の五十五條でございます。五十五條に「厚生大臣は、法令の規定により没收された麻薬について大蔵大臣と協議の上必要な処分をすることができる。」となつておりまして、大体国の保管にしておきまして、必要な医療用方面に、計画に従つてそれを配給いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/34
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035・苅田アサノ
○苅田委員 それでは麻薬取締法のことは、あと厚生大臣なり、あるいは次官なりおいでになりますまで、大体その程度で質問を打切りまして、大麻取締法につきまして、昨日御答弁願えませんでしたことを、農林省の担当の方からお伺いしたいのですが、今日本の大麻の生産状況どいうものがどうなつているかということをお知らせ願いたいと思います。なおこれに対し、大麻によつて日本の農家がどういう收入をあげておるか、またそれの生産価格ないしは買入れ価格というようなものにつきましても、できるだけ詳細な御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/35
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036・徳安健太郎
○徳安説明員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。大麻は、大麻法によりまして栽培の許可ということになつております。大体関係方面の方から五千町歩の許可をもらつてやつておるわけであります。実績を申し上げますと、二十三年が三千六百町歩、二十四年が三千九百五十一町歩、それから二十五年は大体五千町歩できる予定で、一応作付の許可を厚生省、農林省で與えております。これによりまして、価格の問題でありますが、これは御承知のように、従来指定生産資材で統制をいたしておりましたが、その後指定農林物資配給規則という省令を出しまして、それによつて実態に即した再統制を始めたわけであります。けれども、その後の需給関係から見まして、この統制ば廃止いたしまして、昨年の十月から一応配給統制をやめております。それから価格統制につきましては、本年の一月一日から廃止いたしております。これは大体許可面積は、一応一反歩なり二反歩を、取締りの関係もありますので、集団的なところで許可をいたしておりますが、実態は各農家が一畝とか二畝とか、それをまとめて代表者が許可を受けておる。従つて農家の自家消費に充てられるものが相当ある、こういうように考えております。
それから第二の点といたしましては、たとえば栃木県あるいは長野県等におきましては、ことに栃木県におきましては、これを皮を精製いたしまして、精麻にして販売いた立ております。これは主として鼻緒のしんなわなんかに相当使われます。そのほかロープとか、魚網などに使われております。それから長野県におきましては畳の縫い糸等に使つております。これの農家経済に及ぼす影響でございますが、これは実は最近価格統制を撤廃いたしましてから、マル公を非常に下まわつて参りまして、今非常に問題になつております。実は先週の衆議院の経済安定委員会でもこの問題が取上げられまして、一応ただいまの価格を申し上げますと、精麻の二等というものが大体標準品でありますが、当時のマル公で行きますと、十貫目八千四百六十五円、この八千四百六十五円に対しまして、大体現在の産地相場は七千三百円ということになつております。大体これは十貫目の価格でありますので、農家の一反歩の総收入から申しますと、大体一万円から一万二、三千円くらいになると思うのであります。従つて現在値下りしておりますので、これらにつきましては、県販連等に相当滯貨がありますので、滯貨につきましての整理等につきまして、実は先週の経済安定委員会でも問題が起りまして、これにつきましては、私どもの方におきましても研究いたしたい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/36
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037・苅田アサノ
○苅田委員 そうしますと、大体今の御説明でわかりますように、大麻というものは、相当零細な農家が自家用につくつていたところがたくさんあるわけですが、これが今度の統制によりまして、規約の変更によわ非常にめんどうな手続をしなければこれがもらえないというようなことになれば、そういつた零細な反別を持つてやつておる人たちが、今度どうしても落ちて来るというようなことが当然考えられるわけですけれども、こういうものに対して農林省の立場として、そうした百姓の人たちの農家経済を維持する面から、この大麻の生産に対しましては、こういうような対策をお考えになつておるか。その点についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/37
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038・徳安健太郎
○徳安説明員 大麻の取締りの問題でございますが、農林省といたしましては、大麻の取締りにつきましては、この際強化されるということは承つておりませんし、従来通りというふうに了承いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/38
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039・苅田アサノ
○苅田委員 しかし今度は耕作に対しまして、これは厚生省の方に先にお伺いいたしたいのですが、既得権者はそのまま、従来通りこの大麻を製作するということになつて、何らかわりはないのですか。その点お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/39
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040・里見卓郎
○里見説明員 大麻の栽培の許可は、毎年一回ずつ許可を更新いたしておりまして、そのときに許可を願い出た者に対して許可をするというので、既得権者でもまた既得権者でない者でも、さらに許可を願い出れば許可になる。栽培耕地全国の五千町歩の問で許可になるということであります。手続上あるいは取締りにつきましては、従来通り何らかわりはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/40
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041・苅田アサノ
○苅田委員 そうしますと、従来の状態がどういう弊害があつたために、今度こういうふうな新たな改正が條文の上に出たものかどうか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/41
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042・里見卓郎
○里見説明員 大麻につきましては、今度の改正については関係がないわけでありまして、ただ大麻の取締りを麻薬の取締官が行うということにかわつたわけであります。今まで吏員であつた麻薬取締員が官吏になりますので、麻薬取締官が大麻につきましても取締り監督を行うというふうにかわつたのでありまして、そのほかにおいてはかわりはないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/42
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043・苅田アサノ
○苅田委員 これについては、農林省の方にお聞きしたいと思うのですが、現在マル公を割つて、低い実際の生産価格でもつて出しておる。これをどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/43
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044・徳安健太郎
○徳安説明員 この問題は、統制をはずしたから下落したという考え方もとられるのでありますが、われわれといたしましては、やはり全体の物価の動きから参りまして、下つて来たのではないかと考えられます。従つてこれにつきましては、やはり協同組合等におきまして、これを共同集荷いたしまして、そうして価格の維持をはかるということに努力いたしたい。現在特に栃木県あたりでやられております問題は、やはりしんなわ業者の方からたたかれるということがありますので、その点につきましては、県の販連あるいは県とよく相談をいたしまして、融資のことを考えまして、価格を維持するようにいたしたい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/44
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045・苅田アサノ
○苅田委員 これは大体今七千三百円ぐらいで取引されておるという話ですが、実際の生産価格はどれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/45
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046・徳安健太郎
○徳安説明員 ただいま価格を申し上げましたのは、これは集荷団体の販売価格でございますから、従つてこれを生産者価格に面しますれば、二割程度低くなると思います。これは実は生産費の問題になりますので、非常にむずかしい問題でございますが、生産者の方の要求といたしましては、やはり少くとも十貫目当力一万円程度の価格を要求いたしております。これはマル公のあつた当時であります。ただその当時におきましては、麻類が従来のパリティー計算から行きますと、パリティーの基礎になる年次が非常に安かつたというので、苧麻とか亜麻等よりも、価格が非常に安かつたというようなことに相なつておりますが、しかしこれは麻類全体の需給関係がありますので、その点とにらみ合せなければなりません。生産者の方では反当十貫目当り一万円程度を生産費としてあげておるようでございます。われわれはそこまでは行かなくてもいいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/46
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047・大石武一
○大石(武)委員 徳安課長にお尋ねいたしたいと思います。麻は国内においては相当の需要があると思うのでありますが、わずか四千何百町歩かの栽培面積において、その生産された麻が大量にストックされておるというお話でありますが、その原因はどこにあるか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/47
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048・徳安健太郎
○徳安説明員 私の御説明の中に、大量という言葉を使つたのは実は誤りでございまして、昨年生産されました麻の三分の二は大体販売されております。今残つておりますのは三分の一でございます。数量の多いところで大体八万貫程度だと考えております。これは大体全般的な物価の下落と、それから昨年あたりから非常にマニラ麻とか、外国のラミー、苧麻、そういうものが補給金の関係で入つて来た。それからロープとか亜麻なんかにつきましては、むしろラミーとか綿の方に移りまして大麻の需要がなかつた。従つて大麻の方は、鼻緒のしんなわが、げたの売行きが悪いということでストックがあるということになつておりますが、これにつきましては、やはり新しい用途につきましての検討を進めまして、販路を見つけてやらなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/48
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049・金子與重郎
○金子委員 大麻の五千町歩の栽培面積が、将来これ以上増せる見込みがあるかどうかということが一つ。その次に問題になりますのは、現在の段階において五千町歩の許可をとつておりますが、今課長のお話にありましたように、五千町歩に満ちていない。しかし麻の需要は、農村が不景気になればなるほど現金收入がなくなりますから、自給自足の範囲が増して来る。そういうことになると、景気のいいときは麻なんかはつくつても合わぬ、産地でつくつたものを買えば農家は間に合う。ところが今度は、たとい一円の税金でも出したくないということになりますれば、農村が従来のようにあぜに二さく三さくつくるということになる。そうすると、一年中麻に対する現金支出をしなくてもいい。そこで問題は今後の許可の問題になつて来るのですが、許可の方法が、先ほど麻薬課長は一畝なり三畝なりというお話でありましたが、一体自家用にするのに二畝も二畝もつくる者はないので、ごくわずかなものですから、部落ないしは町村のような代表者において責任を負える人があるならば、たとい一戸の家で三坪でも四坪のものでも、集計した形で許可をするかどうか。この問題が麻薬取締りと農村の関係に一番大きく響いて来ると思いますから、その点の見解をはつきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/49
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050・徳安健太郎
○徳安説明員 ただいま御質問の面積の問題でございますが、これは私から御説明申し上げましたように、五千町歩の一応許可のわくをもらつておりますが、実際はそこまで行かない。従つて二十五年度の作付も五千町歩で一応おろしておりますが、これがどうなるかはつきりわかりません。われわれの予想では五千町歩以上は越すと思つております。実際今度五千町歩以上になるという見込みがつけば、関係方面と折衝したい。こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/50
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051・里見卓郎
○里見説明員 第二の点につきまして御説明申し上げますが、私ども考えますのに、やはり栽培する人数は十人とか二十人でよろしいのでありますが、一畝くらいを一つの單位としてやりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/51
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052・金子與重郎
○金子委員 その問題は、あなたは実際の百姓の状態を知らぬからそういうことが勇敢に言われるのですが、それは非常に困ることなんです。大体日本の農業が共同耕作を基礎にしてやつておれば別として、この麻は屋敷わきの風の当らぬところに農家がまくと、一年中纎維に対する現金支出をしなくてもいい。そういう関係でつくられでおるのであるから、大麻の専門家に聞きましても、日本で大麻の葉から麻薬をとつた例もなければ、そういうこと自体すら知らなかつた。それを寝ておる子を覚ますようになつて、実害はないと思いますが、取締上一つの部落なり町村の責任者の名において、この部落においてこれ以上つくつておらないということと、責任者の名がはつきりしておつたら、それで許可したらどうか。これは私の意見になりますが、ちよつとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/52
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053・星野毅子郎
○星野政府委員 金子委員の御意見でございますが、確かに麻薬取締りの監督から、あまりに分散し、あるいは小さな所では困るというようなことも言えると思います。私もかつて麻の栽培地におきまして、県庁で麻薬関係の仕事をやつておつたこともございます。今後御意見等は十分尊重いたしまして、栽培者の便宜も考慮いたしまして、なお取締りの観点からも、できるだけ努力をいたしまして、取締りの行われるように研究して参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/53
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054・堀川恭平
○堀川委員長 それではちよつと苅田委員に申し上げますが、朝鮮人の生活の問題は、また生活保護法の改正の件もあると思いますので、そのときに大臣からお開きになつたらどうかと思います。大臣の方にもそう伝えておきます。
この際お諮りいたしまするが、質疑を打切つて討論終局の後表決に付したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/54
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055・堀川恭平
○堀川委員長 異議があるようでありますから採決いたします。本案の質疑を打切り、討論終局の後表決に付することに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/55
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056・堀川恭平
○堀川委員長 起立多数。よつてこの法案の質疑を打切り、これより討論に入ります。討論の通告がありますからこれを許すことにいたします。大石武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/56
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057・大石武一
○大石(武)委員 私は麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正しようというこの法案に対して、自由党を代表して賛成いたすものであります。
この法案の成立いたしますことによつて、この麻薬の取締力行政が一貫した方向に向ううとができますので、そこにその理由を見出すのであります。もちろんこれだけの改正によつて、麻薬取締法が万全を期せられるとは考えられません。だだわが国においては、現在いかに麻薬というものが取締りの目をかすめまして、われわれ国民の生活を破壊し、国の方針をも乱す傾向にあるかということを考えます場合には、われわれはどうしても薬取締り、ことにモルヒネ関係の麻薬というものは、徹底的に完全に取締らなければならぬと思うのであります。この意味におきまして、これら取締り行政の一貫した基礎をなすものと思いますので、ここに賛意を表しまして、今後ともますますこの取締り強化して、日本の国から麻薬中毒あるいは麻薬による犯罪というものを一掃したいと念願するものであります。
ただ一言つけ加えておきたいことは、国の方針あるいは国民の生活を破壊するおそれのある麻薬に関しては、当然これを嚴重にしなければならぬのであります。昨日からのいろいろ質疑にもありますように、大麻、カンナビス・サテイバ・エルというものは、わが国においてはこれだけしか麻薬をつくつておらない。そういう犯罪事実は一つもないということが明らかにされております。しかしてこのカンナビスよりは、われわれの生活に必要な麻をとることができまして、このようなわが国の経済不況の時代におきましては、各農家がわずかでも自分の需要に必要な麻をとるということは、われわれの生活に非常に必要であります。従つてこれをむやみに制限しないように、たとえば先ほどの農林省の課長さんのお話によりましても、ストックがある、むしろ生産が過剰であるようなお話でありましたが、これは今までの取締りの方針が過ぎた結果、こういうことになつたかもしれないと思われる節もあるのでありまして、必ずしも現在ストックがあるからと言つて、麻の生産がそうわが国において必要でないということは断言できないと思うのであります。この意味におきまして、害のないカンナビスの取締りというものは、そう嚴重に過ぎて、つまり角をためて牛を殺すことがないように、しかるべく法を生かして、わが国の国民生活をゆたかにして行こうという方向に行かれることを希望する次第であります。これをもつて討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/57
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058・堀川恭平
○堀川委員長 堤ツルヨ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/58
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059・堤ツルヨ
○堤委員 麻薬並びに大麻の取締法の一部改正に、次の希望條件を付しまして日本社会党は賛成をいたしたいと思います。
麻薬の取締りを徹底するために、麻薬そのものを対象としてその生産流通を取締るよりも、むしろ麻薬中毒患者に対する処置が必要なのでございます。中毒患者を收容してこれを中毒状態から解放することが、むしろ人権の尊重というべきでございまして、一時的な拘束によつて社会人として更生せしむるということは、長い目で見た場合には、この人たち自体ほんとうに救われるのでございます。でございますから、政府はさらにこの法を改正して、中毒患者自体が今日麻薬の取締りを犯しておる実情にかんがみ、犯罪の有無にかかわらず、麻薬中毒患者というもの全体に対して、国の責任においてこれを法的、予算的に救済するような、またこれを是正するような措置をとつていただきたいと思います。
次に大麻の栽培でありますが、これが取締られたために、小貧農においては、旧来の自給的な大麻栽培に禁止的な抑圧を受けておるのでございます。従来大麻の栽培は何ら麻薬として実害をもたらさなかつたのでありますから、むしろこうした事情をしんしやくして、貧農が麻纎維の小規模な自給を行う場合、実情に即した親切な措置を講じて、かつこれを下部に徹底せしむるようにしていただきたいと思います。
さらにもう一つ申し上げておきたいのは、私が前の厚生委員会で質問いたしました、これに準ずるところのヒロポンとかアドルムとかいつたような、今日非常に社会犯罪を助長し、また今日の政治の悪いことによつて、自殺だとか心中だとかいうものが非常に横行いたしておりますが、むしろこれを助ける役目を果しておるような、この覚醒剤だとか、睡眠剤とかいうものに対しては、どうか時宜に応じた手を打つて、政府が販売並びに製造に処置を講じてもらいたいということを希望いたして以上三点、特につけ加えて賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/59
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060・堀川恭平
○堀川委員長 苅田アサノ君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/60
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061・苅田アサノ
○苅田委員 日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題になつております法案の改正につきましては反対の意見を申し述べます。問題は簡單でございまして、この法律によりまして麻薬の取締りを名といたしまして、小型ピストルを持つて、直接中央の采配によつてなる国家警察官が、非常に強化されるという面が出て来たわけであります。こうした中央集権によりましてこれを強化する、現在他の方面で見えております国警の強化と軌を一にいたしまして、こうした面からも国定警察が強化されるという点に対しまして、私どもは反対いたします。
次に取締りを名といたしまして多数の朝鮮人ないし台湾人、中国人という人たちに対しましても、この取締りの対象とされておる実情が明らかなのであります。そういつた状態が明らかに出ておるわけなのでありまして、たとえばそうした犯罪とか、あるいは中毒患者に対する対策に対しましては、法の取締りを強化するという面だけでなくて、もつと根本的に生活を安定するとか、あるいは文化教育に対する十分な施設を講ずるとか、あるいは社会施設に対する政府の対策があつてこそ、初めてこういう取締りは完全に行われるのでありますが、そうしたことを全然抜きにいたしまして、ただ国家警察を動員して、これによつて取締りを強化する、この取締りにあたりましてこうした朝鮮人等に対する彈圧がさらに考えられるというような法案に対しましては、私どもは反対いたしておく次第でございます。
さらに大麻の製造に関する法案の改正に対しましても、今までの人たちが御主張になりましたように、これによりまして従来大麻を生産いたしておりました零細な農家に対しまして、これが大きな打撃になるという点から考えまして、私どもは反対いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/61
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062・堀川恭平
○堀川委員長 以上で討論は終結いたしました。
これより麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/62
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063・堀川恭平
○堀川委員長 起立多数。よつて本法案は原案通り可決いたしました。
なお議長に提出する報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、さよう御了承願えますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/63
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064・堀川恭平
○堀川委員長 ではさよういたします。
本日はこの程度にいたしまして、次会は十七日の午後一時から開くことにいたします。
午後零時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X01319500314/64
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