1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月二十四日(月曜日)
午前十一時二十五分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 岡野 清豪君 理事 北澤 直吉君
理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君
理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君
理事 川島 金次君 理事 内藤 友明君
大内 一郎君 甲木 保君
佐久間 徹君 田中 啓一君
苫米地英俊君 三宅 則義君
宮腰 喜助君 田中織之進君
田島 ひで君 河田 賢治君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 佐藤 一郎君
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
大蔵事務官
(理財局見返資
金課長) 大島 寛一君
大蔵事務官
(銀行局長) 舟山 正吉君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 足羽 則之君
経済安定事務官
(財政金融局
長) 内田 常雄君
委員外の出席者
專 門 員 椎木 文也君
專 門 員 黒田 久太君
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本日の会議に付した事件
米国対日援助見返資金特別会計からする電気通
信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対
する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金
に関する法律案(内閣提出第六五号)
昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負
担の特例に関する法律案(内閣提出第一二五
号)
租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第一七二号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/0
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001・川野芳滿
○川野委員長 これより会議を開きます。
租税特別措置法等の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。川島金次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/1
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002・川島金次
○川島委員 若干質疑が落ちていましたので、補足的に質問をいたしたいと思います。
外資導入の促進の課税の特例でありますが、おおむね、三百五十万円以下の所得に対しては、半額を控除するということが原則になるわけでありますが、この機会にちよつとお尋ねしておきたいのは、アメリカのマーシャル・プランを実施いたしておりまする西欧諸国における、これと関係のあるような税法はどういうふうになつておるか。日本と同じような特別措置を講じておるものであるか。特別措置があるとすればどの程度のものであるかということについて、当局に調査したものがありますれば、それをお聞かせ願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/2
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003・平田敬一郎
○平田政府委員 今世界の各国におきましても、やはりアメリカからの投資を何とか得たいというような一般的な希望が多いのでございまして、それぞれの国におきまして相当それらの投資を誘引するような税法上の措置も、考えられておるようであります。ただあまりこまかいことはわかりにくいのでございますが、イギリスとフランスの場合は若干調べたのでございますが、それについて御参考までに申し上げておきたいと思います。まずイギリスにおきましては、イギリスに居住します外国人の勤労所得でございますが、この所得につきましては、やはり外国からイギリスに送金されましてイギリスで使う分と申しますか、イギリスに取寄せた分に対してだけ課税するという措置を講じておるようでございます。従いましてアメリカの本国で受取るというような場合においては、そういう本国で受取る分に対しては課税しない、このような措置を講じておるように見受けられます。その他の点につきましては、たとえば学校の教授等につきましても、特別な相互條約のもとに免税措置を講じておるようでございますが、さような方法によりまして、でき得る限りむりのないような課税をしようという配慮はあるようでございます。次はフランでございますが、フランスは相当さらに考えておるようでございます。ただ立法上の措置といたしましては、特に顯著なものはないのでございますが、先般私ども情報として得たところによりますと、やはりサービスの所得及び給與所得あるいは事業所得等につきまして、実際の課税上大体半額程度課税するといつたような、実際的措置を講じておるように聞いておるのであります。ただこの点につきましても、もう少し調べたいと思つたのでございますが、税法上におきましては特に措置も講じていないようでございます。実際上課税の措置におきまして相当軽減いたしまして、アメリカに比較しまして重くならないような措置を講じておるように聞いておるのであります。なおその他小さい例といたしましては、たとえばポルトリコあたりはいろいろ軽減措置を講じてるようでございます。その他そういつたような税が大分あるように聞いておりますけれども、あまり細目のことは今調べたのがございません。大体以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/3
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004・川島金次
○川島委員 そうすると、政府で今調べられた概括的なものによりますと、日本における今回の特別措置は、世界的には税法としてあまり類例のないものだ、こういうふうに理解してさしつかえないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/4
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005・平田敬一郎
○平田政府委員 さつき申しましたように、今回提案しておりまするのは、外国で受取つた部分は所得に算入しないことになつております。これはイギリスの場合と同様かと思います。フランスの場合においても今申しましたように、実際上負担が半分程度になるような措置を講じているように聞いております。実際的には大分近いような措置を講じているように見受けられるのであります。ただ今回の措置の中に特に一定の業種を限定いたしまして、その業種に外資が入つて来た場合に、その外資と一緒に入つて来ますところの勤労所得者の給與所得について、特別措置を講じているわけであります。このような点についてははつきりそのような措置を講じておけば——今のところそういう点は見当らないのでございますが、先般も申し上げたように、日本の所得税は同じ所得といたしますと、アメリカに比べて著しく高くなつております。先般お配りしました表によつてわかりますように、この軽減措置を講じましても、なおかつアメリカの所得税よりもまだ高い負担をするということに相なりますので、これは所得税法の特殊性といたしまして、必要やむを得ない実情でないか、かように考えておるのであります。なお従来ドル所得に対しましては全然課税してなかつたのでありますが、これを今回課税することになつたわけでありまして、二箇年間の経過措置といたしまして、半額控除の方法を講じておりますが、このような制度はこれは私どもは特別の措置でございますので、あまり例を見ないかと思います。大体外国の例と比較しますと、そのような点が問題になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/5
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006・川島金次
○川島委員 これについてはいろいろの話を聞いておるのでありますが、本来なら先般の税法の改正のときに、こういうものか出て来るということならば、自然的な行き方である。税制の決定後にこういうものが出て来た。その間にその筋からというよりは、もつぱらアメリカ関係のバイヤー方面から強い抗議が出て来ている。それがさらにその筋を通して政府に対する抗議的なサゼスチョンのようなものが出て来て、こういうものを急拠やらなければならぬというようなことが言われている。その真僞は別でありますが、そういつた特別の措置を法案に出すに至るまでの実際の経過というものを、速記録に残すということは、考慮の余地があるといたしますならば、速記をとめてでもさしつかえないのでありますが、この法の措置を講ずるに至りました実際の経過というようなことについて、特別な説明を要する点がもしあるといたしますならば、それを一つ率直に説明してもらえれば、たいへんけつこうだと思うのでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/6
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007・平田敬一郎
○平田政府委員 先般も大臣か政務次官からかお話があつたと思いますが、今回の措置はやはりあくまでも日本のために、日本側において自主的にやる措置だと私ども考えております。外資についても日本の経済に一刻も早く自立経済を樹立するという見地と、文化の方面においてもなるべく外国の知識を吸收しまして、発展向上をはかるということが急務でございますので、そのような見地から考えまして、税の負担上どちらかと申しますと障害になつているような事項を、これで排除しようというような点がおもなる点であります。今申し上げましたように、この措置をやりましても、アメリカの場合でございますと、なおかつ日本における負担は、アメリカの本国における負担よりも重いというような事情で、ございまして、やはり外資の導入がことに緊要であり、経済の復興自立が重要である際においては、税制としましてこの程度の措置を行いますことは、わが国としまして必要不可欠の措置ではなかろうか。このような考え方から案をとりまとめて出した次第であります。なお経過の途中において、日本に来ておられます外国人の方々の意見も、もちろん十分聞いたのであります。それに関連して総司令部、関係方面とも打合せはいたしたのであります。しかしこの措置はあくまでも日本側が日本の立場において、自立的に決定すべき措置であるということにおいては、最初から最後までこのような態度をもつて考えていた次第であります。もちろん総司令部として、そのような態度に対して賛成の意を表して来られたのでございます。従つて私どもそういう見地から、考えられる限度において考えるというわけであります。そのような限度において、たとえば外資の導入に関する五箇年間の免税等の措置についても、先般も申し上げましたように、業種等については何でもかんでも入つて来さえすればよいという態度は、若干行き過ぎだと考えますので、日本の産業及び経済の復興に最も緊要な業種を限りまして、指定いたすことにいたしたいと考えておるのでございます。基本的には私今申し上げましたこととかわりないのでございます。それ以上申し上げる必要は別段なかろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/7
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008・川島金次
○川島委員 それで大体わかりました。これを機会にこれとは直接関係はないのですが、お尋ねしたいのです。従来しばしば問題になつております中華民国人の営業である。今日表面的に出ておるものでは、主として中華料理などが多いのです。あれの租税徴收という問題についてはなかなか実際上の実施において困難があり、たまたま徴收についても幾多の支障があつたり、事故があつたりしておるのですが、これらの問題について現在はどういう形になつて来ておるか。また聞くところによると、必ずしも国内のわれわれ日本国民と同じような立場において課税され、徴收を受けていないという事柄は実際上はしばしばわれわれが耳にするところであるのですが、その事柄について最近の実情というものはどのようになつておるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/8
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009・平田敬一郎
○平田政府委員 お話の点は本委員会においてもたびたび問題になつた点であります。私ども行政官庁としては御趣旨に沿いまして、極力適正を期すべく努めて参つたのでございます。法制上の解釈としては、前にも御説明申し上げましたように、円の所属であります限りにおきましては、第三国人といえども全部日本人と同様に、日本の税法に従つて納税する義務を負担しておるのであります。従つてもちろん申告をする義務がございますし、更正決定する政府の権限もございますし、納めなかつた場合においては、日本側において滯納処分を実行するという行政処分に関する限りにおいては、法制上は完全に日本側において自主的にやれるのであります。ただ一点訴訟事件になりますと、これは現在のところやはり軍事裁判というわけになりまして、その段階に参りますと、完全な日本側だけの措置では参らない、こういう点がございます。その一点は私今後の問題として残されておる問題ではないかと考えておるのでございます。そのようなことになつておるのでございますが、実際問題といたしまして、今申し上げましたような趣旨で、極力適正なる課税に政府としても努力いたしております。一番御指摘の方々が多くて、しかも比較的所得の多い人々の住んでおられる地方は、神戸と横浜でございます。神戸と横浜たつきましては、特に国税局あるいは中央の国税庁等におきましても力を入れまして、申告の慫慂並びにその後における更正決定ということに努力いたしております。そのために神戸地方におきましては、相当な紛議を一時巻き起すことを実は覚悟いたしまして、相当勇敢にやつたようなこともあるのでございます。そういう結果も現われまして、相当前と比べますと、納税しの協力の態度も非常によくなつておるようでございます。ただ何と申しましても、最近まで納税状況が非常によくなつた経過的な関係等もありまして、税法通りの納税ということにつきましては、必ずしも十分とは言えなかつたと私どもも考えております。しかし先に申し上げたようた趣旨でやはり納税すべきものであるということにつきましては、大体今日におきましては徹底いたしております。あとは要するに具体的に所得が幾らあるか、それに対して幾ら申告で納税し、もしも納税しなかつた場合におきまして、どういう程度まで行政処分を実行するかということになつておりまして、そういう点から行きますと、前と比べますとよほど改善されつつあります。しかしなお御指摘の通り私は完全たるものとは考えておりません。今後ますます両面からよく話合いまして、一般と同様に税法通り納税してもらうように努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/9
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010・川島金次
○川島委員 次に伺いたいのでありますが、この問題はどなたかからこの委員会で聞かれたのではないかと思うのですが、私としては聞きはぐつておりますので、重複しておりますれば恐縮なんですが、この特別措置を講ずることによつて、たとえば本年度の税收入の上にどれくらいの影響がある、この措置がなかつた場合には、この方面の收入はどのくらいあるかという問題についての、何か数字的な資料を持合せでありますれば、この機会に示してもらいたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/10
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011・平田敬一郎
○平田政府委員 先般も御質問がありまして、大体のことをお答えしておいたのでございますが、私は係に命じまして、何かよるべき資料でひとつ見積りできないかということを、やかましく言つておるのでございますが、何しろこの方面に対する従来の課税の統計が実はないのでございまして、はつきりした数字を申し上げることができないのは、非常に残念に思うのでございます。大体の見積りといたしましては、むしろさしあたりといたしましては、増收になると思うのであります。と申しますのは、従来ドル所得に対しまして、つまり非円通貨の所得に対しまして課税いたしておりません。今回はそれに対しまして五割を控除して課税しようというわけであります。その他の措置の部分は、社債の二分の一免税にしろ、あるいは今後五箇年間新しく外資と一緒に入つて来る技術者なり、管理者等の減免にいたしましても、どちらかと申しますと今後に現われて来る現象で、今までのものはそれほど多くございません。むしろさしあたりといたしましては、今まで日本に来ておられる外国人の方々で、これは一定のライセンスを得て取引をしておりますが、非円通貨で取引しておられる。その取引も相当あると思います。これに対しまして、とにかく二分の一を控除いたしまして課税することにいたしまして、さしあたり本年度、来年度で、ある程度増收になるのではないかと考えておるわけでございます。何しろこれらにつきましては、今申し上げましたように、今までは的確な税收がございませんので、数字を具体的に申し上げることができませんのは非常に遺憾と思うのでありますが、大体の傾向はそういうことでございます。ただしかしその総額を全体の予算——所得税二千五百億でございますが、これを計算する際に要素に取入れてそれを見なければ、正しい数字が出ないというような事柄ではなかろうと考えておるわけでございますので、その点で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/11
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012・川島金次
○川島委員 もう一つついでにお尋ねします。これもどなたか聞いたかと思いますが、国内における外国人の非円通貨の取引であります。私どもしろうとでよくわからぬが、そういつた所得に対する捕捉は完全にできるものかどうか、またどういう形でそれは捕捉して行くものかということについて、参考までにお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/12
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013・平田敬一郎
○平田政府委員 非円通貨の所得につきましては、そういう取引のできるものは一定のライセンスを得まして、登録されておるようであります。従いましてそういうところから資料等をもらいますれば、はつきりわかります。それと主として非円通貨の所得のある人々は、どつちかと申しますと非常に遵法精神が強い方々が多いのじやないかと見ております。税法ができます際におきましては、いろいろ問題がございますが、できてしまつて後におきましては、割合に合法的に所得である限りにおきましては、正しく申告して納税が得られるものと考えております。その点、たとえばフランス等は先ほど申しましたように、実行上いろいろな措置を講じておるらしいのでありますが、実行上いろいろな措置を講ずるのは正しくない。やはり私どもは税法で軽減するものは軽減する。そのかわり税法に従つて納税してもらうということで行きますれば、割合に納まりよくなるんじやないか。そういう方々の納税道徳というか、そういうものは非常に高いと見ておりますので、大体そういう方向で行きますれば、相当なものが納税になるのではないか。かように考えております。またいろいろなこの問題に関する経過等から考えましても、私は案外通りました後におきましては、予期通り、税法通りの申告をしていただけるものと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/13
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014・河田賢治
○河田委員 この前ここでお出しになりました資料では、そういう外国人が六十四万というふうになつておりますが、今度この法律で課税されるようなものは大体どのくらいになりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/14
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015・平田敬一郎
○平田政府委員 ただいまのお話は、日本におられる外国人の総数だと思います。この総数の大部分は、この措置には関係ないので、この措置と関係ありますのは、この中のごく少数だと考えております。すなわちこの中には在日朝鮮人、それから中華国人、台湾の方方もみな入るのでありますが、これらの方々はいずれも従来から円の取引をしておられまして、円の所得で課税されておる方々であります。新しく問題になりますのは、この中にあります主としてアメリカ人、イギリス人等の方方が大部分だと考えます。この数字はこの表にもございますように、きわめて少数でございます。しかもそれらの方々の所得は、従来から課税されておりますが、これは経過的には特別軽減をいたしておりませんが、今まで非円通貨の所得がある人、それから今後二箇年間だけは、合法的に入国許可を得て日本に来られた人、そういう人だけ二分の一という控除を受けることになるのであります。何人かということは、具体的にはなかなか申し上げにくいのでございますが、適用を受けますのは、ごく少数だということで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/15
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016・河田賢治
○河田委員 先ほど川島委員から外国における外国人の特別な租税措置があるかどうかというお尋ねがあつて、それにお答えがあつたのでありますが、今度は逆に最近パキスタン、インド方面にも日本人が若干招聘されて行つたようでございます。こういう場合に向うでは、これには向うの税法の関係もありましようし、経済的な関係もあると思いまするか、こういう日本よりもはるか後進国に日本の技術者が行つた場合に、やはりこういう措置が税法においてとられておりましようか。この辺をちよつとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/16
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017・平田敬一郎
○平田政府委員 今お話になりましたような非常な後進国におきましては、どちらかと申しますと、直接税は比較的少い所が多い。あるいはないか、ありましてもノミナルな所得税というようなことが多うございまして、従いましてそういう国々におきましては、税金という問題がそれほど大きな問題ではない場合が、比較的多いのじやないかと思います。私ども聞きました範囲内におきましては、日本の技術者等が行きまして、特に税法上優遇されているという措置を講ぜられているように、まだ聞き及んでいないのでありますが、おそらく所得税、直接税等は大した額でなくて、実際上問題にならないような場合が多いのじやないかと考えられるのであります。なお将来の方向といたしましては、いろいろ課税の問題も国際的に各国との間にそれぞれ協定の方法をきめまして、総合條件的に問題を解決して行くという方向は、一つの将来の方向ではないかと思いますが、指摘されましたような国におきまして、特別の措置を講じているということはまだ聞き及んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/17
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018・三宅則義
○三宅(則)委員 私は過日来数次にわたつて質問したのですが、二、三残つておりますから、幸い局長がお見えでありますのでお尋ねしたいと思います。租税特別措置法の第一條の法人税をおやめになりまして、附則の方の三というところに「法人の昭和二十五年三月三十一日以前に」云々と書いてありますが、第一條からお拔きになつたのは、有価証券移転税かなくなつたからなくしたのでありましようか。どういうような御都合でありましようか。伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/18
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019・平田敬一郎
○平田政府委員 今お話の通りでございまして、有価証券移転税を廃しましたので、これが必要なくなつたのであります。それからその他の法人税につきましても、大体超過所得税に関係じて法人税の特例を設けていたのでございますが、超過所得税が廃止になりましたので、これも必要がなくなつたのであります。そういう改正が大部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/19
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020・三宅則義
○三宅(則)委員 しつこく質問いたしますが、もう一点だけお尋ねいたします。大体こういうような特例を設けられたことはけつこうでありますが、先ほど川島委員もお聞きになつたのでありますけれども、私は二世、いわゆる外国人である二世等が、日本におきまして多少あるいは関連をいたしまして営業する者があると聞いております。こういう者の名前を使つて、もしくはこれに関連をもちまして営業いたしました者に対しましては、適当にわが国の現行税法を適用せられたいと思つておりますが、多少これについての手心かありましようか。それともそんなことがないように徹底的にやられましようか。これははなはだ愚問かもしれませんか、一応政府の所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/20
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021・平田敬一郎
○平田政府委員 先般三宅さんもお答えいたしましたように、特に外国人ということで軽減するということには、この法律としていたしておりません。日本に住所があるかないかどいうことによりまして、軽減するかいなかの境目にいたしております。従いましてアメリカに住所があつて、日本に現実に来て居所があるところの日本人たる第二世の方、国籍は日本人であるという方々の場合におきましても、この條文に適合しますれば、それぞれこの措置を受けるわけでございます。そういう人が外資を持つて来た場合あるいは外資と一緒に技術者なり管理者等として日本に来られた場合、これはやはり外国人と同様にこの法律の適用を受けることになるのであります。従いましてそういうような意味合いにおきまして、今お話のような場合にも、この措置の適用を受ける方々がおありになるだろうと思います。たた今最後に御指摘の、單に名義を用いているというのは、たびたび申し上げておりますように当然所得税、富裕税等は実態において課せらるべきでありますから、そういうようなことはもちろん認めません。所得も現実に何人か所得しているかということによつて、その人に課税すべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/21
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022・三宅則義
○三宅(則)委員 第八條に富裕税のことが書いてありますが、これは御承知の通りまだ外国にありますものについては、はつきりわからぬものもあるのです。それに対しまする調査が延期せられておるが、他日富裕税に関するところの研究がされるのでありましようか。この八條の点たけもう一ぺん御説明を願いたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/22
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023・平田敬一郎
○平田政府委員 この特別措置法にありまする富裕税の規定は、在外財産に関するものでありまして、在外財産は現在のところまだ規則がはつきりいたしておりませんので、在外財産を持つておるという理由で、その人に富裕税をかけるのはむりだろう、こういう意味で富裕税を課税しない。このようなことにいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/23
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024・宮腰喜助
○宮腰委員 関連した問題でちよつと伺いますが、よく盛り場へ行きますと、二世の名義で営業をやつている方が多いので、ときどき聞いてみると、第二世であると非常に税金が安いのだということを言つておられる方が大分おられる。それからまたごく最近進駐軍の放出物資があるようですが、あれなどはあのままにしておくと、日本の小売り業者の方々が非常に困るのではないか。現に二、三の業者があめが売れない、キヤンデーが売れないで困ついる、何か取締つてくれないかという意見があるのです。あれについてあのままにしておけば、相当脱税があるのではないかと考えるのですが、その点はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/24
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025・平田敬一郎
○平田政府委員 最初の問題は先ほど申し上げたように、單に名義だけということでありましたら、これはあくまでもその実質の所得者にかかるものでございますが、よく調べまして十分善処いたしたいと考えます。なお特に当然課税すべき営業所得がある場合に、第三世の方々に対して特に所得に手心して甘くすることは変なことだと思います。あくまでも日本の一般の方々と同様に、税法に従つてかけるものはかけて納めてもらうということにすべきだと思います。
第三の点でございますが、これは御指摘の通り最近放出が多いようでございまして、お話のような点も見受けられるわけでありますが、これは日本の物資需給関係等を考慮しまして、日本国内にそういうものを放出がいいだろうというので、日本政府の意見もよく聞きまして放出されているようでございますが、このようなものは確かに同業者の方々から言いますと、好ましくないことかもしれません。しかし消費者の方から行きますと、望しいという考え方もございますので、その辺の事情をよく考えて、適切に適宜に放出をしてもらうようにすべきものではないかと考えます。それよりも実際はルートのはつきりしないものか流れているのが、相当あるのではないかと思います。これはもちろん関係方面におきましても、相当取締つておられると思うのでございますが、そのような方面につきましても、もちろん私どもといたしましては極力少いように願うことはお話の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/25
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026・川野芳滿
○川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑は打切りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/26
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027・川野芳滿
○川野委員長 御異議がないようですから、租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対する質疑を終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/27
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028・川野芳滿
○川野委員長 次に米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。田島ひで君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/28
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029・田島ひで
○田島(ひ)委員 石原次長はお見えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/29
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030・川野芳滿
○川野委員長 経済安定本部の財政金融局長内田常雄君がお見えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/30
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031・田島ひで
○田島(ひ)委員 わざわざおいでいただきましたのは、たしか予算委員会の今年度の審議のときだつたと思いますが、共産党の砂間委員の質問に対して、東海道本線の浜松、米原間の電化につきまして、私速記録を詳しく調べているわけでございませんが、そのときにあなたから、見返り資金の四十億が国有鉄道に融資されますので、それを電化の方に用いたいということを申されていることを聞いておりますが、そのようにはつきり言明なされておりますかどうか。この点をちよつとお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/31
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032・内田常雄
○内田(常)政府委員 私自身は今のお尋ねのような御説明を申し上げたことはございませんですが、東海道米原を経て京都まで電化したいということは、経済安定本部といたしましても、あるいは運輸省、鉄道当局といたしましても、これは二年ほど前から非常に熱望しておりまして、先に東京寄りの方ができて参つておるが、西寄りの方がまだできて参つておらない。それで今後の計画として二十五年度の見返り資金からの繰入れ四十億なり、あるいは国有鉄道自体の損益勘定から上る償却費、それらを建設勘定の方にまわすこと等によりまして、二十五年度以降京都まで電化をするようにしたい、こういうことを私ども念願しております。現実にことしの四十億が米原までの電化の計画に対してどの程度貢献しているか、ちよつと私自身資料を持ちませんし、運輸省当局からでもこの点は確かめていただいた方かよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/32
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033・川野芳滿
○川野委員長 ちよつと田島委員に申し上げておきますが、財政金融局の次長西原君は今渡米中でございますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/33
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034・田島ひで
○田島(ひ)委員 私は石原金融局長とお願いしましたがそうではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/34
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035・川野芳滿
○川野委員長 石原さんは主計局の次長でございますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/35
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036・田島ひで
○田島(ひ)委員 それではおいでいただいても話がぴんと来ないわけなんですけれども、実は私も予算委員会の議事録を見ておりませんけれども、それにはつきり石原次長がそういうふうに言明なさつておるということを、地元の人がわざわざやつて来て申しました。ところが国有鉄道の立花施設局長ですかが名古屋へおいでになつたときには、その問題について、それは石原次長が多分自由党の参議院選挙の人気とりに言われたんだろうということを、名鉄電機工事部の労働組合の書記長に申されたそうであります。こういうことを、石原さんがおいでにならなければしかたがありませんけれども、責任ある政府の方々がこういうような無責任なことを、あつちとこつちと別なことを申されるということは非常な問題になるのでありまして、たしかこれは御承知だと思いますが、中日新聞にも出ておりました。この点をはつきり、どういう政府としての方針で申されたのかお伺いしたいと思います。これは地元の者がわざわざやつて参りまして、あるいはもうすでに御承知かもしれませんが、私はお伺いいしたいと思いますが、かんじんの石原さんがおいでにならなければ、これははつきりしたお答えは伺えませんけれども、政府としても国鉄と安本当局との責任ある方々の御意見か違うということは、相当問題たと思いまするから、その点の御説明だけでも伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/36
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037・内田常雄
○内田(常)政府委員 私が局長でありまして、実は西原次長が申したことは私が言つたのと同じことでありますが、私が言つたのはただいま私が申し上げたように浜松、米原間、あるいは京都までの電化ということは、私ども二年ほど前から非常にやりたいと思つているのでありまして、ことしは御承知のように鉄道自体から、相当償却等によつて建設資金が出て参ります。それに見返り資金四十億を入れますから、たしか二百億近い建設勘定が国鉄にあるはずであります。その中でどこまで米原、京都までの電化が進むかという問題であります。その年度割の計画については、今私はここでちよつとつまびらかにいたしませんが、そういう希望は西原君が言われたと同じことを私どもも持つているわけであります。ことしの四十億ででき上るかどうかははつきりいたしませんが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/37
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038・田島ひで
○田島(ひ)委員 そういたしますと、見返り資金でははつきりいたしませんけれども、やはりそういう電化の希望をお持ちになつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/38
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039・内田常雄
○内田(常)政府委員 持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/39
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040・田島ひで
○田島(ひ)委員 その点は国鉄当局といたしましても同じ御意見でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/40
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041・内田常雄
○内田(常)政府委員 同じでございます。現に昨年度浜松まで延ばしております。これを京都まで持つて行きたいということは常に今まで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/41
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042・田島ひで
○田島(ひ)委員 それは御希望だけでして実現の可能性はありますか、どうですか。その点は政府としては御希望ですけれども、可能性がないということはございませんか。その点はどうなんでしよう。御希望だけでははつきりしませんけれども、可能性がありますかどうか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/42
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043・内田常雄
○内田(常)政府委員 何べんも申しますように、希望であると同時に、それを実現するための計画として持つておりますが、二十五年度中にどの程度それが進むか、今私ここへ資料を持ちませんのでちよつと申し上げにくいのですが、鉄道の電化問題につきましてはいろいろな議論があるようであります。正直に申しますと、関係方面でも電力自身の供給力があるかどうか。しかしそれらの困難をも克服してやりたいという希望と計画を持つておりますが、現実に二十五年度にどの程度まで進むか、今私はここで申しにくい、かように御了解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/43
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044・川野芳滿
○川野委員長 実施面に関することは運輸省関係になつておりますので、機会を見まして運輸省関係方面から御答弁させることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/44
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045・川島金次
○川島委員 見返資金課長が見えておりますから、この機会にちよつと一言お伺いしたいのですが、先般特殊金融機関の増資に関する法律をわれわれはここで審議して、しかも決了いたしたのでありますが、その増資の引当てとして見返り資金の一部を使用するという計画であつたわけであります。その見返り資金の使用計画が、実際においてはまだ実施に移されていないといいう話も聞いているのですが、その増資関係と見返り資金の関係は、実際面においてはどういう形で今の状態になつておりますか。それを御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/45
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046・大島寛一
○大島政府委員 お答えいたします。先般国会におきまして成立しました銀行等の優先株式の発行に関連いたします法律に基きまして、見返り資金によりまして興業銀行その他銀行等の優先株を引受けまして、それを基礎にいたしまして、多額の債券を発行することができるようになりました。それによりまして、刻下緊要なる長期資金の供給に、いわば飛躍的な新しい制度をつくるということは、法律案の審議におきまして政府当局から御説明した通りであります。その実施状況につきましての御質問でございますが、一両日中に興業銀行につきましては、成規の手続を経まして実施できる見込みがはつきり立つて参りました。その他の金融機関につきましては、ただいま具体的に進行中でございまして、これもまた興業銀行に引続きまして、逐次すみやかに実現して行くことを期待しておる状態でございます。大体国会におきまして政府側から御説明した通りでありまして、第一・四半期中におきまして実施を完了する予定をもつて、着々進行中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/46
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047・川島金次
○川島委員 先般の本委員会でこの特殊金融機関に対する増資問題の法律、それに対する債券の発行等が法律できまつたのですか、その当時の政府の説明によりますと、もうすでに確実な計画と見通しがあつての上で、この法案が提出されたと言明をしておる。ところが実際は法律は通つてしまつたが、その実施についてはなかなか思うように今日は行つておらない。ということは、しかも第一・四半期のうちで何とかなるだろうという今の御説明でありまするが、まことに心細い話である。そういう不確実のような形にあることを前提として、政府はかりそめにも責任ある法案を国会に提出して、国民の協力を求めるというような政治的なやり方というものに対しては、ちよつと私ども奇怪に考える者の一人であります。
あわせて伺いますが、これは経済安定本部にお伺いするということは、あるいは的違いかもしれませんが、しかもかりにこの特殊金融機関の増資問題が、見返り資金の引当てによつて行われるということが、第一・四半期において幸いにして可能であるとしても、問題になります債券の発行、その債券の消化の方法は、大部分預金部の蓄積資金を活用する。こういう説明もあるわけであります。ところが最近巷間伝えられるところによりますれば、預金部のこれらに対する債券の引当てということが、非常に困難な事情で経過しておるというような話も聞いておりますけれども、ますますもつてさようなことでありますと、何のために急いでわれわれがこの法律をつくつてやつたのか、まことに意味のわからぬことになるわけであります。そこで御承知であればお尋ねしたいのでありますが、預金部の資金の問題はどういうことになつておりますか。はたして政府が当初期待いたしました通りに進む可能性があるのかどうか。あるいは困難な事情があるとすれば、どこにそういう支障が出ておるかというようなことについて、この機会に聞かしておいてもらいたい、こういうふうに思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/47
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048・内田常雄
○内田(常)政府委員 正直に申しまして、川島さんの御質問の全貌をお答えすることは非常にむずかしい問題でありますが、見返り資金から金融機関の増資株を引受けます問題は、最近関係方面と私自身が、ほかの問題等とあわせていろいろ当つているところから考えましても、これは法律をわざわざ出しましたような趣旨が十分通るような見込みでありまして、御懸念はまずあるまいと思います。最近二十五年度の見返り資金、私企業投資の予算四百億の内訳の具体的計画につきましても、いろいろ向うと当つておりますが、ありていに申しますと、四百億私企業に対する投資の予算がありましても、すでに二十四年から見返り資金で始めておりますたとえば船舶でありますとか、電源の開発であるとか、そういう方面に対しまするこれらの継続事業が相当ある。船舶も昨年起工いたしました新しい船舶が三十七万余トンある。また昨年、戰時標準船の改裝をしかかつておりますものが、これまた二十七、八隻あるのでありますが、いずれも家にたとえて申しますと、むね上げができた程度でありまして、むね上げ以後、二十五年度以後見返り資金を相当巨額に使わなければならない。電気についても同じであります。そうしますと、あと四百億の予算のうちで、新しい日本経済復興に必要とする方面に直接に供給する資金がごくわずかしかない。それを関係方面でも、何とか少い見返り資金を延ばして、使わせるような方法をとる以外にはないのではないかということで、従つてあの当時大蔵委員会等で、大蔵省から御説明があつたと思いますが、一応見返り資金から金融機関の引受け資金五十二億円、これを興銀、勧銀、北拓、農林中金等の増資に割当てて、これらをして数百億の債券を発行させる。この五十二億円を場合によつてはさらにもう少しふやして銀行の投資を多くして、よけい債券を出させて、私企業にまわす以外にはないのじやないかというように考えております。しからばこれらの金融機関が増資をいたして債券を出す場合に、その債券が頭金部の引受けでなくして、はたして順調に消化できるかどうかということになりますと、私自身の考えでは、預金部で引受けない場合は困難だろうと思います。経済安定本部がつくつております総合資金計画におきましても、二十五年度には株式の増資が悪いかわりに、一般の事業会社は社債を相当発行できる。社債を大体五百億くらい発行することを見込んでおる。その金融機関の債券発行を五百億と見ても、両方合わせて千億になる。今この事業債なり金融債を一般の個人が買うかというと、なかなか現実には買わない。結局市中銀行、金融機関が買うことになる。この千億の社債、金融債というものを民間がはたして消化できるかというと、ほかの金融の面が詰まつておりますから、社債、金融債はある程度できると思いますが、やはりどうしても預金部か相当引受けないとむずかしい面がある。そこでお尋ねの預金部の問題になるのでありますが、預金部の問題は、今日預金部が来年利用し得る資金は約千二百億円くらいあると思いますが、これらを全部使い切るように金融債なり、あるいは事業債なり、あるいは中小企業なり、農業方面に、預金部が直接貸し出してもよろしいというところまでは行つておりません。しかし私どもは、この千二百億の金のうちで、地方公共団体に対しましてたかだか四百億やそこらだけの地方債の引受けをする、あとはそのまま寝かしてしまうというようなことは、きわめてぐあいの悪いものでありますから、結局われわれが考えているところに持つて行く努力はいたしましよう。しかしこれは方法論の問題になりますが、正直に申しますと、何もかも一挙に解決しようと思つてもむりでありますから、まず銀行の見返り資金による融資、二十倍までの債券発行というところを今日まで可能ならしめて来ているが、あとはそれをさらに延長して所期の効果を改めるように、だんだん努力を重ねて手を打つて行く以外にないと思つております。その辺は今はつきり申し上げられない点もありますから、この程度で……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/48
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049・大島寛一
○大島政府委員 私のお答えに対しましての重ねての御質問でもございますし、言葉の足りない点もあるいはあつたかと思いますので、若干補足させていただきたいと思います。銀行等の優先株の引受けにつきまして、確たる見通しがなくてやつたのではないかというような御質問でございましたが、当時からはつきりした見通しを持つて御審議を願つたわけでございます。私が先ほど第一・四半期中に逐次と申しましたのは、その方針に基いて実行される見込みの問題だけを申し上げたわけでございます。先ほども申しましたように、興業銀行につきましては、おそらく本日午後正式の手続を経まして拂込みを実行する。それに基きましてさつそく長期の金融債券が発行できるというようになつて行くわけでございます。具体的な面だけを申し上げましたので、あるいはそういう御心配が出たのかもしれません。若干補足させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/49
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050・内藤友明
○内藤(友)委員 ちよつと関連してお尋ねいたしたいのでありますが、農林中金の分はいつごろになるのでございますか。それからもう一つ局長にお尋ねしたいのでありますが、農林関係の利率が七分五厘ということになつております。これは住宅の建設資金と同じように五分五厘、もしくはそれ以下にならないものかどうか。さつそく七分五厘の金を出していただきましても、利用が非常に少いのではないかと思いますので、農業の特質から考えて、五分五厘もしくはそれ以下に願いたいと思いますが、そうなりますかどうかお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/50
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051・内田常雄
○内田(常)政府委員 農林中金の出資の増加を見返り資金でいつできるか。これは今大島君の方から大蔵省の段取りをお話していただく方がいいと思います。農業等に対する見返り資金の金利ですか、これは農業ばかりではないのでありまして、たとえば船舶などにつきましてもやはり七分五厘、日本の海運の状況とあわせ考えます場合に、やはり船舶とか農業とかいうものはもつと安い方がいいと思つております。そういう努力をするつもりでありますが、御承知の通り農中については、昨年経済安定本部が見返り資産が出す計画を立てまして、いろいろやりましたが、現実には農業にはキュアリングの部分を除きましては出なかつた。そこで二十五年度におきましては、二十四年度の不履行の分の履行というか、二十五年度の新しいものというか、何とか金を出させることを今盛んにやつておりますので、金利の問題は一緒にならないように、これまたいろいろ作戰の方法と言いますか、そういうことを考え合せながらやつて参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/51
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052・内藤友明
○内藤(友)委員 実はそれは御配慮はまことにありがたいのですが、作戰の妙を得て、さつそくそういう金が出ましても、七分五厘では借り手がないのであります。結局はあなた方が向うにいろいろおつしやつても、借り手がないとまた向うから何だというふうなことになるのでありまして、その作戰たるやすらつと流れて行くような、うまい作戰をしていただきたいと思うのであります。これはお願いであります。
それから中金の方の優先出資は来週くらいに行きましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/52
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053・大島寛一
○大島政府委員 お答えいたします。農林中金の増資を見返り資金で優先株を引受けますのは、いつごろ実現できるだろうかという見込みでございますが、ただいまのところといたしましては、農林中金当局の希望も聞きまして、大体六月早々になろうかと思つておるわけでございます。むろん善は急げでございまして、一刻も早く実現できますように、諸般の準備並びに手続を鋭意進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/53
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054・河田賢治
○河田委員 援助物資につきまして先般大臣に伺つたのですか、あまり漠然としているのです。たとえば今相当ゴムとかその他化学薬品などいろいろ滯貨があるわけですが、現在援助物資については、こちらの滯貨なんかと見合わして不必要なもの、あるいは競合するようなものについては、援助物資として向うからもらわぬというふうな計画によつて、おやりになつておるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/54
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055・内田常雄
○内田(常)政府委員 御承知のようにコマーシャル・ファンドの輸入が昨年の十一月からこちらに渡されて、日本側の手によつて計画されておる。そこでこのコマーシャル・ファンドによる輸入計画と、見返り資金による先方からの恩惠による輸入とが両方うまく行くように——これは正直に申して自分の金でやる輸入はわれわれの手で計画を立てて、見返り資金による恩惠輸入は先方の手によつて計画が立てられる。そうして両方で計画を立てたものを突き合わしてうまく一本に行くような計画を今やつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/55
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056・河田賢治
○河田委員 そうすると向うからそういう計画をするのはいいのですが、今日まで向うから援助物資として指定された品物で、全然日本で売れぬというものはありませんか。全部売れますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/56
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057・内田常雄
○内田(常)政府委員 いろいろな機会に批判されておりますように、お尋ねのように売れないで余剩になつておるものも、ある程度あるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/57
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058・田島ひで
○田島(ひ)委員 関連して——その輸入滯貨が相当あります中で、援助物資による滯貨と言いますか、そういうものはどの程度あるか。数がおわかりになりましたら……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/58
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059・内田常雄
○内田(常)政府委員 わかつておるはずと存じます。これは通産省の方の関係でありますがある程度わかつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/59
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060・川島金次
○川島委員 内田さんにお尋ねすることはちよつと門違いですが、局長の耳にも入れて、研究してもらいたいと思う事柄なんです。実はほかでもありませんが、本郷に本郷信用組合があるのです。この信用組合が一部幹部の專断的な不良貸付と、経営の無責任等からいたしまして、経営が困難となつて、先般三月の中旬でしたか、大蔵省当局が内命を発して、優良な貯金者を全面的に救済するという趣旨で、興産信用組合という組合に、常業の一部を讓渡、委託みたいな形にして——その勧告に沿つて目下本郷信用組合というものを、興産信用組合という一つの機関が代行しておるようなわけであります。しかもそれがために預金の拂出し、あるいは新規貸付はもちろん停止しておるような有様でありまするが、そのために——本郷の近在に在住しておりまする中小企業者等の頭金が大分あるのですが、たまたまその中小企業の多くの人たちの預金の大部分は、税金引当てに預金されて来ており、しかも納税期はすでに来ておる。しかるに一部組合の理事者の失態からいたしまして、かくのごとき優良な健全な預金者にとつては、まことに忍ぶことのできないような事態に当面して来ている。それで今申し上げましたように、徴税期が来ておつても預金の拂下げができませんから、税金も納めることができない、しかもただいま申し上げましたように、多くの預金者の中でも大部分のものは中小企業者で、しかも税金引当てのための預金である。こういうことで組合関係取引の中小企業の人たちが非常な困憊を来しており、目下紛争を続けておるような事態であります。こういう事態が起きましたときに、銀行法その他組合法から行けば、それはその機関の單なる失態であつて、政府にはもちろん責任はないといえばそれまでであろうと思います。しかしながらこういう金融の逼迫しておるとき、しかも営業者等におきましても非常に困難と鬪いながら、その中での余剩を血をもつて積み上げて来ておる。そういう預金が、必要な時期において拂下げが停止されてしまつたという事態に対しましては、私は法律上の理論は別として、政府が何らかの一定の措置を講じて、これら真にまじめな預金者を救出するという手配が非常に必要ではないか、こういうふうに考えられるのであります。従来安本としての財政金融の立場から、大蔵省との間において、こういう問題が起つた場合においてどんな処置をとつて来たか。またこの現実の問題に対しては、どんな処置をとつて救済すべきであるかという点について、御所見がありましたらこの機会にお尋ねしておきたい。そこでこういう事態が現に本郷に起つておるということもお含みを願つて、急速に大蔵省とも御連絡を願い、まじめなる中小企業家の救済ができまするような処置が、できるだけ早く講ぜられんことを私は強く望むのであります。これについて御見解がありましたならば、表明しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/60
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061・内田常雄
○内田(常)政府委員 金融機関の管理面のことは、御承知のように安定本部では、安定本部の仕事としてはタッいたしておりません。そこで安定本部の仕事としては直接の対策がないのでありますが、ただこの金融に関して私どもは個人的にいろいろな現象を聞いたり、関心を持つたりいたしております。今の本郷の信用組合のお話は、本日初めて伺う話でありますが、こういうことは先般来農業協同組合等におきましても、いろいろむずかしい問題が起つておる。大蔵省の金融機関に対する態度、ことに今の農業協同組合の今後のあり方、あるいは新しい中小企業協同組合法による企業協同組合の設立の認可等につきましては、非常に愼重な態度をとつておる。むしろ愼重過ぎるような態度をとつておるようであります。たとえば私の聞きましたところでも、今度の新しい東京における信用協同組合は、都内一円のものを一つつくるわけであります。これはまた非常に大き過ぎて、同じ組合員でありながら、上野に住んでおる人は品川の人の信用状況を知らないというような、組合の運営ができないというようなこともあるようでありますが、ことほどさように新しいものに対しては愼重な態度をとつて、ぜひとも預金者に迷惑をかけたり、その結果金融制度が混乱するようなことかないように考えておる証拠だろうと思います。私自身の個人的な考えはいろいろありますが、これは政府の考えではありませんから、私は政府を代表して発言するわけではありませんが、たとえば先般来農業協同組合等におきましていろいろ問題が生じておる。しかるに農民は新しい営農資金の関係で、農業手形をどうしても利用しなければならぬ。その場合に機能を停止した農業協同組合は、その手形関係の扱いが表面建前からはできないはずなのを、日本銀行政策委員会等で具体的な金融上の措置として、春を控えての営農上必要な農業手形に関しては、これらの機能を停止した農業協同組合がある場合においても、農民に迷惑のかからぬような実施上の措置を講じておるという報告を受けております。今のお話の信用協同組合におきましても、納税引当金等の問題に関しましては、何か日本銀行などの具体的の現場的な措置で、今の農業手形にも類するようなことでも行われれば、非常にけつこうなことであるし、何かこういうような余地も、これらあたりからヒントが得られるのではないかというような気もいたします。私見であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/61
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062・川野芳滿
○川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑を打切りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/62
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063・川野芳滿
○川野委員長 御異議ないようですから米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案に対する質疑を打切りといたします。
午前はこの程度にいたしまして、午後二時から再開することにいたします。
午後零時三十三分休憩
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午後二時三十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/63
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064・川野芳滿
○川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案を議題といたします。本案に関しましては午前中すでに質疑を打切りましたが、出島君の質疑に対する政府の答弁が保留されておりますので、この際政府の答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/64
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065・足羽則之
○足羽政府委員 見返り資金から国有鉄道に四十億、交付金として予算に計上されておるのでありますが、これは予算総則の十二條に、この金につきましては、運輸大臣と大蔵大臣とが協議して承認した目的に使用することができる、こういうふうに定められております。従つて予算的には、協議してどういう使用目的に使用するかということの内容に従つて、使用することができるわけでございます。しかし現実の問題といたしましては、東海道線の電化につきまして、現在のところ主として電源その他の関係から、まだ十分に関係方面の了解が得られておりませんので、今年度これによつてその工事を実施し得るかどうかという点につきましては、まだはつきり申し上げられない、こういうふうに考えております。なおわれわれといたしましては、そういう電化ということに対しての希望は捨てておらぬわけでありますが、大体現状につきましては、ただいま御説明を申し上げた程度だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/65
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066・川野芳滿
○川野委員長 これより本案を議題として、討論採決に入りたいと存じますが、本案に関しましては北澤直吉君より修正案が提出されておりますので、この際修正案の趣旨の説明を求めます。提出者北澤直吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/66
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067・北澤直吉
○北澤委員 ただいま議題となつておりまする米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案に対しまして、修正案を提出いたします。まず修正案を朗読いたします。
米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律の一部を次のように修正する。
附則を次のように改める。
この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する。
以上であります。この理由は申し上げるまでもないのでありますが、原案によりますと、昭和二十五年四月一日から施行するとなつておりますが、すでにその時期を経過しておりますので、このように公布の日から施行し、その適用を二十五年の四月からする、こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/67
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068・川野芳滿
○川野委員長 修正案の趣旨説明は終りました。
これより本案及び修正案を一括議題として、討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮腰喜助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/68
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069・宮腰喜助
○宮腰委員 米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案に対しまして、民主党としては希望條件を付しまして賛意を表するものであります。
終戰後米国がわが国に対する経済援助のほかに、今回のように対日援助をなされたことに対しては、心から感謝の意を表するものであります。しかしこのせつかくの援助資金の運営にあたつて、適切な処置を講じなければ、日本経済再建のためには役に立たない部面もたくさん生じて来るのでありまして、ことに鉄道に関する限りにおいては、交付という字句を使つております。しかしこの交付という字句も、われわれの考え方からいえば、これはこの資金それ自体が借りておるものか、もらつておるものか不明な点もあります。またその点はさておいても、この事業に関しまして、たとえば国有林野、こういう問題に関しても非常に狹く考えおる。従つてわれわれの民間の林野に対しても特別な金融措置を講じて、戰争当時の濫伐の状態を防止するために急速なる植林をやらなければならないにもかかわらず、国有林野だけに限つてこういうものをするということは、非常におもしろくない点があるのでありまして、この点今後この運営にあたりまして、ぜひとも民間の林野あるいは民間の鉄道、民間の電気通信事業方面にもこの見返り資金を貸し與えて、日本再建のために利用されることの希望條件を付しまして、本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/69
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070・川野芳滿
○川野委員長 北澤直吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/70
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071・北澤直吉
○北澤委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつておるこの法律案につきまして賛成の意を表します。
元来対日援助見返資金というものは、日本の経済の安定、貿易の促進、その他日本経済の再達のためにこれを使うということになつておるのでありまして、過般参衆同院を通過しました昭和二十五年度の予算によりますと、国有林野事業特別会計には見返資金から三十億円、電気通信事業特別会計には百二十億円、日本国有鉄道へは四十億円という金を、繰入れもしくは交付することになつておるのであります。今回の法律案は、この予算できめました資金の繰入れまたは交付を立法化するわけでありますので、私は時宜に適する法律と思うのであります。この法律案の審議の過程におきまして、見返り資金から繰入れもしくは交付しました資金につきまして、政府がこれら事業に対しまして将来どういう関係を持つかという点につきまして、いろいろ議論があつたのでありますが、過般衆議院の大蔵委員長から司令部の経済科学局の財政課長に照会しました結果、この資金は完全にひもの付いていない金である、従つてこの資金を国有鉄道等のものに交付もしくは繰入れましても、将来政府は何らこの事業の経営に干渉するものではない、これは完全な無償の交付であるという点が明らかにされましたので、私どもはこういう司令部側の回答を基礎としまして、この回答の基礎の條件の上に、この案に賛成する次第であります。
ただこの際希望を申し述べるのでありまするが、従来どうも見返り資金の使用につきまして、なかなか思う通りに円滑に見返り資金が出て来ないというのか実情でありますが、将来はこの見返り資金というものが円滑に出まして、そうして日本の経済を安定に持つて行く過程において起りますいろいろな摩擦を、なるべく少くするという点に御利用を願いたいことと、それから見返り資金の金を各方面に投資する場合におきまして、その利率が高い。原則として七分五厘、ある場合には五分五厘でありますが、利息が高い。これはどうしても日本の経済再建、特に国際経済競争に日本が今後入つて行きます場合においては、どうしてもこういう利息というものは、なるべく安くしてもらうということが必要でありますので、私がこの際希望を申し上げたいのは、見返り資金の放出の速度をなるべく早めて、これを円滑にするということと、見返り文金の利率をなるべく引下げるという、この二点の希望を申し上げまして、本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/71
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072・川野芳滿
○川野委員長 川島金次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/72
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073・川島金次
○川島委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました法案、及び北澤委員から提案になりました修正案に対し、政府に対する強い希望を付しまして、賛意を表するものであります。
元来この見返り資金勘定は、政府の言うところによりますれば、あたかも打出の小づちであるかのように、当初吹聽しておつたのであります。従つてこの見返り資金というものは、日本の経済安定及び復興のために、きわめて機軸的に敏速に活用されて、本来の使命を達成するものであると、しばしば言明をいたして来たものでありますが、その実態に当面いたしますと、必ずしもそういう形になつておらないことを、われわれはきわめて遺憾に感じている次第であります。ことに本年度の見返り資金勘定の中からは、実に五百億というような厖大な債券償還費が出るようであります。その総額においては実に三分の一に達するという巨額を、償還に充てるというような事実は、われわれといたしましても、必ずしも賛意を表しがたいところであります。こういうような状態でありましては、せつかくの見返り資金というものが、直接に困難な日本の経済の安定、復興に役立つことはきわめて困難であると、われわれは確信をいたしておりますのみならず、今回のこの議案によります繰入れ、及び日本国有鉄道に対する交付金の問題でございますが、ことに日本国有鉄道に対する交付金というこの新たなる措置は、われわれ国民といたしましても、非常に将来をおもんぱかりまして、疑念を持つて来たものであります。しかしながら北澤委員からも御説明がありましたように、国有鉄道に対する交付金というものの内容については、司令部の責任ある位置にある人からの言明によりまして、われわれの懸念というものは、全部とは申し上げかねますが、大体において解消をいたしたような次第でありますので、あえて本案に賛成をいたすものでありますけれども、今後政府に向つてわれわれの希望するところは、この見返り資金の運用並びに実施につきましては、自主的な立場において、その運用と実施が直接しかも円満に敏速に、日本の経済の安定と復興をもたらすような機動的な措置が、特段にとらるべきではないかと考えますので、その点について一層の留意をされんことを特に強く希望をいたしまして、本案に賛成をいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/73
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074・川野芳滿
○川野委員長 田島ひで君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/74
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075・田島ひで
○田島(ひ)委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本法案と、ただいま北澤委員から提出されました修正案と、あわせまして反対いたすものでございます。
まず根本といたして、大蔵大臣の答弁によりまして、今日対日援助資金は日本にとつての有効なる債務であるということが明確になつております。第一に、この莫大な日本にとつての債務でありますところの援助資金という性格上、輸入の面で大体どんなものか幾ら入つて来るかということは、今日御承知の通り日本の政府が関與できない、まつたく選択ができないことになつております。従つて輸入物資の中には、米国で過剩な品物で日本にとつてさほど必要でないものが、相当入つて来ておるのではないか。アメリカ国民の血税によつてなされておりますところの援助費の中から送られましたものが、日本において滯貨となつてそれが売れないというような点から見ましても、これはアメリカ国民に対しましても、日本政府の責任上、相当重大な問題ではないかと思います。しかもこの莫大な債務の返済につきまして、大蔵大臣の答弁によりますと、講和会議のときにきめられるというような漠然たる御返答でございまして、何らの方策もないのでございます。
さらにこの米国の対日援助物資によりますところの見返り資金につきましは、日本国民がこの援助物資を買いましたところの代金と、さらに血税の積み立てられたものでございまして、しかもこの見返り資金は、今日援助物資が日本に拂い下げられますと、それが拂い下げられようと、在庫になろうと、入りました現物入手後において、四十五日後には必ずドル貨相当のものを積み立てなければならないことになつております。従つてこの見返り資金は、あくまでも日本人自身のものでなければならないのであります。ところがこの資金の運用には、まつたく日本政府の自主性がないのでありまして、資金の用途はどのように、何の方面に使うかということにつきましても、一一司令部の許可を得てなされておるのであります。こういうような状態のもとに見返り資金が使われますことは、日本の産業、日本の経済の上での隷属化を意味するものでありまして、特に本年度におきましては、この資金の用途が軍事的事業の方面に多く用いられております。こういう党からいいましても、日本の平和産業を圧迫するという点とあわせまして、わが党は今までもたびたび本法案に対して撤回を強く主張して参つたのであります。特に本法案に対しましては、二十四年度におきまして、国鉄、電通事業の建設公債として見返り資金が融資されましたときに、私どもはこの日本の基幹産業としての重要な二つの産業が、この資金のもとに、将来相当左右されるのではないかという危險を感じまして、その点を強く指摘しあるいは警告を発したのでありますが、本年度におきましては、この見返り資金が融通と国有林野事業には自己資本として繰入れられ、国有鉄道には交付金として入つているのであります。先ほどの北澤委員からの御説明によりまして、委員長の司令部に対する要請で、国鉄への交付金の本質が多少はつきりはいたして参りましたが、まだ漠然といたしておりまして、私どもははたして鉄道に対する交付金がもらつたものか、あるいは貸し付けられたものかということについても、明確なものを欠いているのであります。特に電通事業におきましては、最近CCSより政府に示されました厖大な覚書がございまして、その内容においても重大なものがございます。たとえば御通事業に資金の融資が與えられるについては、嚴重なある種の條件がいれられなければならないということを提示しているのでありまして、国有鉄道四十五億の資本に四十億の見返り資金が投ぜられるという点から言いましても、また電気事業が現在民営化の問題が大きく問題になつております折から言いましても、このわが国の二つの重大な産業の根幹が外国資本にゆだねられるところの危險を、私どもは本法案を通じて強く感じとるのであります。政府の方では、この資金がいかにももらつたような形で入つて来ているように申されておりますが、援助資金が債務だといたしますならば、将来これを返還いたしますときには、見返り資金の投資されております企業が、その対象として何らかの形でそれが外資に拘束されるような形になつて危險が現われて来るのを、私どもは感じないわけには行かないのでございます。こういう点から言いましても、吉田現政府の買弁的、隷属的な政策の現われの一つであるということを強く申し上げまして、日本経済の大半を右左するところの見返り貸金の自主性のない運営が、日本経済再建のために、決してこれはてことしての救い主ではなく、むしろ日本の産業を外国に隷属させ、その自立を失わせるものであるということを申し上げまして、本法案には絶対にわが党は反対いたすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/75
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076・川野芳滿
○川野委員長 討論は終局いたしました。これより本案及び修正案を一括議題として採決に入ります。
まず北澤直吉君提出にかかる修正案の採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/76
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077・川野芳滿
○川野委員長 起立多数。よつて本修正案は可決せられました。
次に、本修正案の修正部分を除いた原案に賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/77
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078・川野芳滿
○川野委員長 起立多数。よつて本法は修正議決せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/78
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079・川野芳滿
○川野委員長 次に租税特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に関しましては午前中質疑が打切られておりますので、本案を議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。川島金次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/79
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080・川島金次
○川島委員 私は社会党を代表いたしまして、租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対しまして、遺憾ながら反対の意を表明するものでございます。
元来私どもは日本経済の実態にかんがみまして、外資の導入並びに技術の導入につきましては、その必要性を認めることにおいて人後に落ちるものではないのであります。しかしながら本案によりますと、われわれ国内における日本国民の負担等を考え合せます場合に、この案は遺憾ながら必ずしもわれわれが安当と認めることのできるような形になつておらぬのであります。ことに政府の説明するところによれば、わが国の租税、さらに国民の負担分率は、米英のそれに比較いたしまして必ずしも過重でないと、しばしば政府の責任ある立場の者が繰返して説明をいたしておるところであります。しかるに何ぞはからん今回のこの法案の説明にあたりましては、日本国内における現在の所得税制度においては、米英のそれに比較いたしましてきわめて高率である。従つてこの特別な措置が必要だと言明されているのであります。一方国内の租税制度を説明する場合には、国民負担の分野において米英のそれに比較いたしまして、必ずしも過重でないと説明をいたしておきながら、この法案の説明の中ではそれと相矛盾した、まつたく別な言葉をもつて説明し、この措置の必要なることを力説されているというすこぶる奇怪千万な、矛盾をいたした説明をされているわけであります。その説明がどうあろうとも、本来国内におけるわれわれ国民の経済実情から見まして、政府の今回成立を見ました諾税法の、ことに所得税についての改正措置は、必ずしも今日の国民経済に即応しない。少くとも勤労大衆の最低生活費を維持することのできないような高率な課税であるのであります。このような日本国内の国民は経済の困難に直面しつつも、まことに最低生計費をすら確保できないような高率な租税制度のもとに、われわれは進んで行かなければならないような破局に、当面いたしている実情にありながら、一方において、いかに外資の導入や技術の優秀なものの導入が、日本経済の安定の上に必要であるからといいましても、すでにわれわれ国民自体の租税制度がきわめて苛酷である。苛酷なるにかかわらず、一方にはこのような大幅な特段の措置を講ずることは、国内における国民の租税負担との均衡の上においても、まことに安当でない姿であるという感じを私は強くいたすものであります。もちろん外資の導入あるいは技術の導入等につきまして、別な観点に立つてそれを容易ならしめるということの必要性は、われわれは否定をるものでございませんが、かりにこういう特段の措置をいたすにつきましても、国民の負担の面における租税上の均衡は、少くとも保ち得るような姿でなければ、必ずしも国民全体がすなおにこれを納得するものではないと考えるのであります。そういうことを考えました場合に、この措置が一般の困難なる国内の国民の受ける国民的感情から申し上げましても、必ずしもこの事柄はその点だけでもさらに適切な措置ではない、かように考える次第でございます。従つて政府はこれらの特段の措置が必要であるといたすならば、もう少し国民の一般的な負担、租税制度、そういつたものの関連において、国民が少くとも納得でき、均衡の保たれた形においてこそ、こういう問題が取扱われなければならない、かように私どもは強く感じますので、遺憾ながら本案に対しては、全面的にわが党は反対をいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/80
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081・川野芳滿
○川野委員長 前尾繁三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/81
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082・前尾繁三郎
○前尾委員 私はただいま議題となりました租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。
本法案は大体におきまして、外国在住の個人などが適法に外貨を獲得いたしました公社債の利子の軽減、並びに外資または外国技術の導入を必要とする重要産業に勤務する人の所得税の軽減、並びにまた外資を導入するのに間接的に容易ならしむるような事業に勤務する人の所得税の軽減、並びにもう少し広く文化を振興するようにというような意味合いから、教員、牧師その他の人の給與に対する所得税を軽減するという問題を中心といたしまして、でき上つておるものであります。すなわち何といたしましても、現在外資導入のために必要な措置は、租税上においても設けなくちやならぬという要請にこたえておるものであります。外資導入の必要性についてはすでに今社会党の川島委員もお認めになつた。ところが外資の導入については、何としても促進しなくちやならぬという輿論がありますにもかかわりませず、外資がなかなか容易に入り得ない、あるいは外国技術が容易に入り得ない大きな一つの原因は、租税上の問題であります。アメリカの人から考えますと、アメリカにおりましたならとられるであろうという税金を、日本へ来たばかりにそれ以上の税金をとられるということになつては、喜んで来られるというわけには参りません。また外資につきましても同様でありまして、非常に不利な條件で日本に外資を導入するというようなことは、絶対に望むことのできない事柄であります。従つてわれわれといたしましても、何か障害を除かなくちやならぬということは、すでに川島委員もお認めになつているわけであります。こういうような行き方がよいか悪いかという問題であります。そうでなければ川島委員の言われるのは、まつたく矛盾に満ちておるという結論に達するわけであります。
さて現在日本と諸外国との税金負担の問題であります。終戰直後当時までは、御承知のように、日本のインフレーションもそうきつくはありませんでした。従つて戰前の水準から考えますと、米英の租税負担と日本の負担とをいろいろ比較することができたのであります。しかし最近におきましては、そういう情勢はかわつております。私は現在の租税負担が、今回の税制改正案にもかかわりませず、相当重いものであることは認めておるのであります。アメリカの租税負担と日本の租税負担とでは、日本がはるかにきついということは、最近の情勢においては当然のことだと考えるのであります。なおまたアメリカにおける生活状態と、日本の生活状態というものは非常に違うのであります。ことに金銭に換算しました場合において、そういうことが言えるのであります。ただいま申し上げましたように、現在米英の人にわが国に来てもらいまして、日本人と同様な生活をしろといつてもこれはむりであります。さらにまた割合において日本人と同様な租税負担をしろといつても、それはむりであります。もちろん現在租税負担の割合は両者そう違つておりません。しかしただいま申しましたように、いろいろ実情が違つておるのであります。現実問題として、何としても外資を導入しあるいは外国技術者を招聘するというためには、いかなる方法によるといたしましても、所得税等の軽減をしなければ望み得ない。またその方法にいたしましても、いずれにしましても、大分為替相場その他貨幣の換算率というようなものが違つておるのであります。そういうような方法はそうたくさんあるわけではありません。従つて軽減する方法としてほかによい案がありましたら、私はお示し願えたらけつこうだと思うのであります。しかし現実問題として、一定額まで半額を課税標準にするというような行き方が一番妥当であり、またそれ以外に方法があるとは考えられません。従いまして私は本案に対して別に矛盾も感ずるものではなしに、外資を導入しますためには、何といたしましてもこういう措置をとらざるを得ないのであります。このことは十分説明をいたしますならば、国民は納得すると確信するものでありますし、ただ單にわれわれの租税負担と、外国から来られた人の租税負担が違うのだというだけで、これに反対する理由は、先ほど来社会党の討論をお聞きしましてもないのであります。その点は私は何ら心配するものではないと考えまして本法案に対して賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/82
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083・川野芳滿
○川野委員長 宮腰喜助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/83
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084・宮腰喜助
○宮腰委員 私は民主党を代表いたしまして、本案に反対をするものであります。外資導入等によつて外国から技術者が来るということは、われわれも反対するものではありません。しかしこの税軽減に関する問題にしても、現在までの国税、地方税等の改正から考えまして、国民の輿論としては重いということが言われておるにもかかわらず、今回外国の人だけにこういうものを軽減するということは、非常に国民感情からいつても不合理のような感じがするのであります。これに関しては川島委員よりもいろいろお話があつたのでありますが、日本人ならばこの税の不均衡の状態を、相続税によつて調整されることはできますが、外人の場合にはこういうような調節ができないというような欠点もあります。この軽減に関しては税の軽減でなく、他の特別な待遇方法によつて解決づけられるのじやないか、こういう考えを持つておるのでありますが、この国民の現在の税の高いという世論が起きておる際に、特にこの税の軽減をするということは、どうも国民感情上おもしろしくない。こういう意味合いから他の待遇をもつてこれをやつた方が、かえつて効果的ではないかという考えを持つておるのであります。また外資導入に関しても、日本の会社の議決権が、外資の圧迫のために自由に活動できないのじやないかという心配もあるのでありますが、戰時中のナチスの法律——これは全体主義国家の法律でありますから賛成するものではありませんが、ある一分の真理があります。これは議決権について、在来の株に相当なる幅を持たすという意味合いで、外資のために会社の運営を左右されないというような制限、いわゆる議決権の強化策をはかつた方法もあるのでありますが、今回の外資導入を考える場合に、そういう対策もまだ考えておらないようであります。また外人に対する減税の待遇案が、講和條約締結後にも持続するかどうかということに、非常なる疑問を持つて来るのでありますが、そういう意味合いから考えましていろいろな疑点があり、本案に対しては賛意を表することができないのでありまして、やむを得ず反対するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/84
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085・川野芳滿
○川野委員長 河田賢治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/85
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086・河田賢治
○河田委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいまの法案に反対するものであります。
この法案は大体において外資導入を促進する、いわば側面的な法律でありますが、少くともこの外資導入によりまして、最近特に労働者は非常な労働強化をしいられ、あるいは首切りをしいられ、そうして、またく奴隷的な状態に陷つております。たとえば外国資本の入りました会社では、労働組合をつくる自由すら與えられていないという実情もあるのであります。なるほど技術は遅れている。しからば日本の政府が技術や科学の振興に対して、どれだけの注意を拂つているかといえば、これは御承知の通りでありまして、何らこれに対する積極的な対策を持つておりません。こういうやり方でこの租税法案が出たのでありますが、たとえば今日日本に入つて来ておりますカルテックス石油会社では、総数約二百名の従業員中二十名を外人で占めております。これに対する給與額が八百万から一千万円、一人月平均四十万から五十万ということになつております。これに反しまして百八十名の日本人に対する給與総額がわずかに二百万円、一人月平均一万一千円ということです。またシェルというイギリス系の会社におきましては、全従業員が八百二十名中二十名が外人で、その給與は最高月九十万円から最低二十五万円、平均三十万円といわれるのに比べ、八百人の日本人の平均は月約一万二千円にすぎないというような状態です。従つてこういう外国資本が入り、技術者といえども相当の高給をとり——技術者以外の労働者なんかも入つて来ておりますが、こういう所得からみましても、今日日本の産業の中に、外資導入の美名のもとに隠れて日本からどんどん利益を吸い上げて、しかもこれはアメリカの月平均は五三・六六ドルくらいでありまするが、日本におきましては二百十五ドルという計算になつておる。従つて本国におけるよりも四倍以上の給與をもらつているという形になつおります。このようにしまして今日の政府の、自主性のないやり方は、同様に民間会社におきましても、こうしてどんどんと外国にむちやな利益を吸い上げられて行くという形で、今日外資導入が現われて、結局また日本人全体の国民所得の上にも、大きなマイナスを来しておる次第であります。特にこの税金の問題に関しましては、シャウプ博士とともに来ましたコーエンという教授が本国に帰られてから、ファー・イースト・サービスという雑誌に書いているそうですが、日本にいる外国人がいろいろ税金の問題について何か言われておるらしいが、そういうのはたいてい本国においてもまた日本においても、脱税している連中だということを言われておるのであります。従つてこういう專門家が言うのでありますから、大体間違いないと思います。こういう力に日本政府が屈しまして、今日外国人に対し、特に外資導入の会社の技術者あるいはこれと関連を持ついろいろな自由職業、こういう人々に対しまして非常に特典を與えたところの今度の法律案に対しては、まつたくわれわれは了解に苦しむわけであります。特に今日日本の税金の問題にしましても、いわゆる税金地獄といわれているこの際、何を好んで特に外国人のみにこういう特別の措置をするのか。むしろ日本人の過重な税金をもつと軽減して、納得の行く税金が納められる体系をつくるべきだと思う。最近聞いた話でありますが、現在外国で滯滯している品物がたくさんあります。これは薬でありますが、日本の政府は大分これを買い入れますが、買い入れた後においては、向うではさらにそれより一歩進んだ薬ができておるわけであります。現在日本に送られる滞滯のこれらのものを、日本の資本家は專売特許まで買うという話であります。従つて高い金を出して專売特許料を拂つた後において事業を開始するのですが、そのときは向うの新しい製品がどつと入つて来て、日本では新しいと思つていたものが、実はそのときはもう古いものであつて圧迫されてしまうというのが、外資導入の一つのあり方になつております。こういうふうに外資導入というものは、まつたくインチキきわまるものであつて、現在そういう薬は日本でもできているが、それらは日本の政府あるいは民間会社にも、技術人をどんどん活躍させるような方途を講ずるならば、十分これは太刀打ちできるのであります。そういうこともされずに今日外資導入に汲々として、そうして日本の産業を破壊する悪税に悩まされる、こういうやり方のもとに本法案が出されたということは、今日の日本政府の独立心あるいは自主性というものを、まつたくなくしている一つの証左でありまして、こういう最も大きな点から、私たちは本法案に反対せざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/86
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087・川野芳滿
○川野委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより本案を議題として採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/87
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088・川野芳滿
○川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/88
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089・川野芳滿
○川野委員長 次に午前中川島君の質疑が保留になつておりますので、この際川島君に発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/89
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090・川島金次
○川島委員 まことに恐縮ですが、議案外にわたるものでありますが、若干お許しを願つて、お尋ねをさせてもらいたいと思います。
午前中安本の財政金融局長にもお尋ねをいたしたのでございますが、事柄が大蔵省の銀行局に直接関係がありますので、その事柄について芳干お尋ねをいたしたいと思います。内容といたします事柄はすでに当局も御承知でありましようが、文京区本郷信用組合の問題であります。この本郷信用組合は一部経営者の失態からいたしまして、きわめて経営が困難となりました結果、大蔵省の指令に従いまして、興産信用組合なるものと合併をし、その合併は一億円の融資を前提とする條件で、合併が大蔵省から指示になりまして、その指示に従つて信用組合は役員会を開いて、興産信出組合に一切の引継ぎを完了したという話をわれわれは聞いております。ところがその引継ぎを完了したせつなにおいて、大蔵省が約束をいたしました一億の融資に対しましては、それが手のひらを返すがごとく拒絶された状態になりまして、その結果といたしまして、信用組合に取引をいたしておりましたところの文京区本郷地帶の中小業者などは、きわめて国難な状態にたたき落されたわけであります。しかもこれらの預金者の大半は、粒々辛苦の平素の営業によりまして打ち出しました余裕金を、血の出るような思いをもつて信用組合に預金し、それを蓄積いたしまして、中には現在当面いたしております税金の準備金として積み立てて来た者も、非常に広汎にわたつておるような実情であります。しかるに大蔵省は、当面の人々に対して一億の融資を約束したにかかわらず、それが実行不可能な事態に当面し、そのために預金の受付あるいは新規貸出しの停止をした。これはもう当然の措置と言えますが、問題になりますのは、その結果といたしまして、これらまじめな預金者の零細な金額の拂出しさえも不可能な事態になり、当面更正を受けております税金の納付すら、まつたく絶望のような状態になりまして、関係者は深刻な不安と狼狽をきわめておるという事態であるようであります。
〔委員長退席、小山委員長代理着席〕
この問題に対しまして、大蔵省はどのような考え方でこの信用組合と興産信用組合との合併等についての指導をされたか。また善良な零細な預金者を、いかなる形で保護するという見解に立たれて、この問題にタッチされたか。その経過について御説明を願うとともに、今後この信用組合をめぐつての零細な預金者に対して、政府はどのような特別な措置をもつて、これらの預金者を救済するという考え方に立つておられるかという点について、お尋ねしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/90
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091・舟山正吉
○舟山政府委員 本郷信用組合の問題につきまして、川島委員からお尋ねがありましたか、お尋ねの項目につきましては、大分誤伝や誤聞もあるように拜承いたしたのでございます。本郷信用組合につきましては、本年に入りましてからとかくのうわさもございましたので、二月下旬から大蔵省は実地検査を執行いたしました。その結果によりますと、大体この組合は出資金百万円、貯金五千万円、貸出金四千四百万円ぐらいの大きさの組合でございますが、貯金のうち二千万円は、実は純粹の預金ではなくて、組合が苦しまぎれに借入れました高利の借入金を、貯金としてすえ置きしてあるのでございます。それからなおこの組合は、帳簿外に組合長が手形の保証をいたしまして、少からざる額が存在するのでございます。これらの事態にかんがみまして、もしこれを普通の債権債務を見合せて整理をいたしますならば、善良な預金者の利益というものは大半そこなわれるという事態に相なりますので、別途の方法をとらざるを得なかつたのであります。この信用組合につきましては、業務管理とかあるいは業務の一部の包括讓渡とかいうことが、制度上認められておりません。従いまして、やむを得ず本郷信用組合に隣接しております興産信用組合に連絡をとりまして、本郷併用組合の持つております貯金のうち、善良なるものと優良なる貸付、これを事実上興産信用組合の方に移す手配をとつたのでございます。そういたしませんと、先ほども申し上げましたように、高利の借入金とか、あるいは帳簿外の巨額の負債というものか、組合に対する債権に入つて参りまして、かえつて預金者を害することになるのでございます。一億円融資をするというようなお話がございましたが、そういうことも計画したことはございますが、組合がこうなりました原因は、主として理事者の経営の不当ということになりますれば、これが救済的な金融をすることもほとんど不可能でございますので、一億円云々は一応考えてみたいという程度にとどまるのでありまして、具体化しておるのではございません。従つて預金を引継ぎました後に、この一億円融資の問題を取り消したという事実はないのでございます。
なお以上の方法をもちまして、善良なる預金者を保護いたしたいと考えるのでございますが、興産に引継がれましたあとでは、興産の引継ぎました優良なる債権に見合う限りにおいては、興産信用組合が便宜頭金者に貸付をする等の方法をもちまして、預金者の迷惑が少しでも減りますように努力させておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/91
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092・川島金次
○川島委員 大体実情はただいまの説明によつてわかりましたか、一億という融資の計画が途中で御破算になつたのでありますが、今の御説明によりますと、実際の預金というものはわずかに三千万円ということになるようであります。従つてこの三千万円の大部分の預金というものは、あの附近地帶の雲紙な業者の預金がさだめし多かろうと思います。そこでこの問題とは切り離して、信用組合その他の協同組合に対する頭金というものも、信用組合やその組合自体の経営、あるいは資産内容等についての信頼ももとよりありますが、こうした金融機関というものは、現段階のところではやはり政府が直接間接に指導し、あるいは検査をするような機構になつておりますので、そういつた事柄に対します深い信頼のもとに、零細な業者も安んじてこうした機関に預貯金をするという傾向に、今日はあろうかと思うのであります。しかるところ、わずかの経営者の不始末からこのような思わぬ結果となり、善良な堅実な、しかも零細な業者が一層の困難をこうむるという事態に当面いたしておりますので、こうした問題に対しては、信用組合自体の問題と切り離して一般国民のこれらまじめな零細な預貯金者を、何らかの形で一日も早く救済するということは、きわめて望ましい事柄ではなかろうかと思うのであります。ことに最近のように金融が逼迫し、また一方においては零細な業者が大きな租税を負担し、しかも当面においては、それを納付しなければならぬという時期にもなつておりますので、業者はますます狼狽し困難をきわめておるということは、実によく想像されるのであります。そしてこれら零細な預貯金者を救済するという信用組合自体の建直しの問題は、もとより必要でありますが、その建直しを待つておつたのでは、預金者はなかなか救い出せないという形になつて参りますので、建直しとは別途の形においてこれらの零細な預貯金者を救済する、こういつた積極的な施策というものが必要ではないと思うのでありますが、そういう事柄について何らか当面の問題として考えておりますれば、その点を伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/92
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093・舟山正吉
○舟山政府委員 零細かつ義良な預金者が、組合経営者の不当な経営によりまして迷惑をこうむるということは、まことにお気の毒なことでございまして、御同情にたえないところでございます。その組合に対します監督といたしましては、大蔵省も定時検査の励行、その他常時監督、監視の目を離さないのでありますが、一方におきまして特に最近の状況におきましては、信用組合のごときはどしどし認可してくれという要望もございまして、当局におきましては、よほど健全な発達をする見込みのものでないと認可したくはないのでございますが、一方においてそういつた要望も非常に多いのであります。こうして数がふえて参りますと、当局の監督もなかなか骨が折れるのでございますが、預金者の保全について遺憾なきを期しておる次第であります。一たび事件が起りました後において、善良なる預金者に対して金銭的な補償をするということにつきましては、予算の関係その他に相なりますので、現在のところその制度がないので、せめて善後処置を誤らず、損害をできるだけ少く食いとめるように努力いたすよりほかないのでありまして、今後もこういう不始末を未然に防止するととも、現に具体化しております本郷信用組合のごときにつきましては、特にその管理につきまして專門の担当官を置きまして、資産の査定の見直し、あるいは回收等につきまして、組合の職員を督励いたしまして、万遺憾なきを期しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/93
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094・川島金次
○川島委員 まことにしつこいようですが、この問題について非常に困難をいたしております人たちが多数おりますので、もう一つお尋ねしておきたいのですが、なるほど制度としてはこういつた問題に対して、政府は当然に措置するというような仕組みにはなつておらぬことを、われわれは万事承知いたしておるのでありますが、たとえば興産信組合というものは、どういう資産のものでどういう運行をやつておるか、私どもは承知はいたしておりませんが、さだめしこういう行き詰まつた信用組合を肩がわりとして、興産信用組合なるものを大蔵当局が指定されたという点につきましては、その信用組合が、本郷信用組合よりは格段の健全な常業ぶりをやつておるからこそ、こういう指定をされたのであると思うのです。そこで大蔵省がもしこれら零細な預金者を何らかの形において救済してやろう、そして当面を救つてやろうという親心がありますれば、その興産信用組合に対して適当な措置により何らかの形で融資をあつせんし、そうして当面のほんとうに困つておる零細の預金者を救い、一方においては今後極力本郷信用組合の不良貸付の始末、あるいは不良でないものの債権の取立て、そういつたものをどんどんやつて行くような形にいたすことが必要でありますが、当面困つておる問題を当面において救つてあげる、こういう形というものは、別途の方法によればとれないことはないのではないかというふうに、われわれは考えておるのでありますが、そういつたことを当局は特段の方法によりまして、措置をするという方針は今のところないわけでございます。その点どうでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/94
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095・舟山正吉
○舟山政府委員 ある目的のために政府資金をまわすとか、そういうようなことにつきましては、現在いろいろの制約が強く存在しておりまして、思うようにはできないのでございます。たとえば資金をまわすことによつて、善良なる預金者を少しでも救うというようなことにつきましては、でき得る限りの配慮をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/95
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096・川島金次
○川島委員 でき得る限りということはよくわかるのですが、問題は実際問題なのであります。説明によれば全体の額から言つても、五千万円の預金の中で二千万円は信用組合自体の借入金だ。それが預金の形になつておる。従つて残るのは三千万円です。そのうち貸出しが四千四百万円で、これが私は全部不良だとは想像できないのですが、この中に回收の見込みのあるものもあるでしようし、そういつたことを考えてみれば最高フルに考えても三千万円はなくても、当面の困つている人たちの救済はできるのではないか、私はこういうふうに思うのであります。政府の資金をまわすとかいうことは困難でありましようが、銀行局のしかるべきあつせんによつて、しかるべき筋からしかるべき措置によつて興産信用組合なるものに一応の貸付をして、それによつて当面の困つた人たちが救われるというような方法は、当局が熱意をもつて考えられるならばそういう方法もできるのではないか、私はこういうように考えるのでお尋ねをしているわけでありますが、そういう方法を何らかの形で考えてやりませんと、清算をしてから預金者を救うのだということでは、あたりまえのことをあたりまえにやつたということになるのでございます。当面の経営者はいろいろの非違があり、あるいは見通しの誤つたこと、あるいは経営の無能であつたこともあるのですが、何にも知らない善良なまじめな零細業者の預貯金者というものは、そのためにたいへんな困難をしておることだけはぬぐえない事実なんです。そのぬぐえない事実に対して積極的に早急に何らか——全体はできなくとも、この程度ならば興産組合に対する信用増出等によりまして若干は救える、こういう誠意と理解ある同情を当局が示してやることも、私は政治ではなかろうかと思うので、しつこいようですが、その点については局長はどういうふうにお考えになつているか、お尋ねをしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/96
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097・舟山正吉
○舟山政府委員 お尋ねの点は具体的な個別的な対策いかんということに相なるかと思います。これにつきましては先ほども申し上げましたように、專管の係官も派遣しておりますので、その意見をも十分に取入れまして、個別的に解決して行き、できるだけ預金者の利益を尊重して参りたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/97
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098・川島金次
○川島委員 もう一つ聞きますが、現場の調査の結果この預金というものが整理されない、当分の間回收不能だということも大体わかつて来たろうと思いますが、その結果計算してみれば、今の預金者は一体どれくらい損失をしなければならないような形になつておるのか。その点わかつておりましたならば御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/98
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099・舟山正吉
○舟山政府委員 最近貸付金の回收の可能度につきまして再査定をやつておりますので、現在のところちよつと正確な資料はわかりかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/99
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100・川島金次
○川島委員 私一人でやつておりますのでこれで打切りたいと思いますが、どうぞひとつせつかくのまじめな何にも責任のない預金者、しかも零細な人たちが一部の銀行経理の不始末からいたしまして、血をもつて積み上げるような零細な預貯金が、一朝にして大半がどこかに消えてなくなるというような形になることは、私は社会正義の上から言つてもまことに考えなければならない問題だと思う。最近こういつた事態が農業協同組合あるいはその他にも、新聞紙上でわれわれの目に映るところであります。しかしながらこれは企業体にのみまかせるということだけであつてはならぬと私は思う。政府はこういつた問題について、その発生した事態をすみやかに究明し、それに対して最善の指導をすることはもとよりでありますが、一方においてそうした零細な預貯金者にできるだけ損失のないように、しかも損失のないのみならず、当面ほんとうに困つておりまするまじめな零細な預金者をできるだけ救済する、こういう観点に立たれて、当局が最善の助力をされんことを、切に私はこの機会に希望をいたしまして、私のお尋ねを終るものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/100
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101・小山長規
○小山委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704629X05819500424/101
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