1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年二月二十五日(土曜日)
午前十一時六分開議
出席委員
委員長 中島 守利君
理事 大泉 寛三君 理事 菅家 喜六君
理事 野村專太郎君 理事 久保田鶴松君
理事 大石ヨシエ君
生田 和平君 河原伊三郎君
淵上房太郎君 龍野喜一郎君
門司 亮君 床次 徳二君
池田 峯雄君 井出一太郎君
委員外の出席者
專 門 員 有松 昇君
專 門 員 長橋 茂男君
二月二十四日
委員高田富之君辞任につき、その補欠として池
田峯雄君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
地方税法の一部を改正する法律案起草に関する
件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/0
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001・中島守利
○中島委員長 これより会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案起草の件を議題といたします。
昨日の委員会においてすでに討論を省略することに決しましたのでありますが、この際御意見があれば拜聴いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/1
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002・井出一太郎
○井出委員 地方税法の一部改正案が、一般的心税制改革に先立ちまして、ここに採決を見んとしておりますることは同慶にたえません。
私はこのうち入場税の問題でありますが、美術の展覧会などと同じ意味において、純音楽的な演奏会というようなものは、当然百分の四十という安いレートが適用されてしかるべきだ、こう考えるのでございます。やはり文化国家を呼号いたしまする以上は、美術、音楽などは当然並行すべきものでございまするし、また幾百万の音楽愛好家が、やはりさように熱望してやまないものがあろうと思います。本日政府当局がおられますれば、次の一般的税制改革において、これがどのように取上げておられるか、それを伺いたいのでありますが、お見えにならないので、あるいは委員長のお見通しを伺えれば、非常に仕合せだと思いまするが、一言希望を申し上げて賛成をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/2
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003・中島守利
○中島委員長 ただいま井出君の御意見に対して、私の知つておる範囲をお答え申し上げたいと思います。政府案では演劇その他音楽会のようなものに対する特例がないのであります。私は少くとも井出君の御議論には共鳴しておるものであります。目下参議院の方ではその点に対して今回の改正案に対して修正を試みようと考えておるようなことを仄聞しております。しかしこれは本委員会において演劇その他に属するものを、七割に引下げようという問題と同一でありまして、あるいは了解を得られないかもしれません。ただいまの問題は演劇その他と同じように、次の国会に提出せられまする地方税法の改正案に対して十分研究いたして、輿論の帰趨におこたえいたしたいと考えております。どうぞさよう御承知を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/3
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004・池田峯雄
○池田(峯)委員 私は入場税の税率低減の件で簡單に意見を述べてみたいと思う。それは入場税というものが、実は日本の文化を圧迫する大きな役割りを果している。特に進歩的な演劇などに対して、この入場税が弾圧の武器として使用されているというような幾多の事実をわれわれは見受けることができるのであります。特に前進座などの演劇に対しましては、入場税をたてにとりまして興行を押えつけるような役割りを果しているのであります。従いましてこの入場税の問題につきましては、私としては今回の地方税法の一部を改正する法律案の中からは除外いたしまして、全体としての地方財政というものを規定する地方税法一般の中で、この入場税の問題を取上げて、今度の法律案からは入場税の軽減の問題は除外していただきたい、こういう意見をわれわれは持つているものでありますが、われわれの基本的な態度といたしましては、入場税は撤廃すべきものであるという意見を持つていることを明らかにいたしまして、私の意見を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/4
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005・門司亮
○門司委員 当局がおいでになれば、当局に聞きたいのですけれども、委員長にちよつとお伺いしておきたいと思いますことは、これらの問題が根本的に批判されますのは、次に来る地方税法の大きな改正の際に行われると考えております。その際にまたもちろん批判すべきであると思います。現在の立場でこれをこういうふうに直してしまいまして、この次の大きな地方税の改正の場合に、支障があるとはいえないだろうか、あるいはすでにこの部分は改正しておるのであるというようなことで、この問題が取上げられないという危險性がありはしないかと、われわれは考えるのでありますが、この点についての委員長の御意見は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/5
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006・中島守利
○中島委員長 門司君のお尋ねにお答えいたしますが、今回の地方税法の一部を改正する法律案は、大体政府案として国会に提出されるものでございます。ただここで委員会として、この法案を提出しなければならない理由は、簡單に申せば、現在の政府の改正案が提出されないために、三月一日より実行するということができないのであります。一日も早くかような減額すべき計画のものは、実行することが適当として、委員会がこれを取扱いましたわけなのでありまして、この問題が将来における地方税法の改正のときに、妨げになるものとは私は少しも考えておりません。今回政府が提出する地方税法の改正案につきましては、十分検討しまして、現在の国民の負担をなるべく軽減するようにはかりたいと思うのでありますから、これは皆様の御意見をまとめまして、そうして強くその実行をはかりたいと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/6
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007・池田峯雄
○池田(峯)委員 ただいまの委員長の意見に対しまして、私もまた若干反対の意見を述べてみたい。というのは地方財政というものがどうあるべきかということが、今度の地方税法の改正によつてきめられるのであります。しかもこれは一般国家会計との関連性において、地方税の税率というものがいかにあるべきか、どういう税金をとらなければならないかということがきまるのであります。従つてそういう場合に地方財政一般の問題として、入場税なら入場税をとるべきか、これをどのくらいの税率にすべきかということが、全体の立場から論議されなければならないのでありまして、私はさような観点で、入場税の税率をいかにするということを、まだ地方税全体が明らかでない今日きめるということは、同感できないという意見を持つておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/7
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008・中島守利
○中島委員長 池田さんのお説には同感であります。私の門司君にお答えした言葉が足らなかつたかもしれませんが、もちろん地方財政を確立するという目的のもとに、地方税の軽減をはかりたいと考えます。そういうわけでありますから、あなたの御意見とは少しもかわつたところはないと申し上げてはばからないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/8
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009・大石ヨシエ
○大石(ヨ)委員 委員長にちよつと御所見を伺いたいのでございますが、営利を目的としない音楽会その他演劇は税をかけないのですか。私は婦人会の会長をしておりますが、盛んに興業師が婦人会の名前を借りまして、裏からうまく仕事をして行くようでありますが、それはだれが取締るのですか。警察が取締るのですか。その点ちよつとお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/9
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010・中島守利
○中島委員長 大体入場税に関することは、地方公共団体の仕事でありまして、これまでは都道府県と市町村と半分半分で、入場税をとつておつたのでありますが、二十五年度からは——この法案では三月一日からですが、都道府県が入場税を一本にしてとるわけで、市町村は関係ないわけでありますから、その取締りは都道府県がいたします。ただいまお尋ねの営利を目的としない音楽会その他に対しては、もちろん無税であります。しかし営利を目的としないという名目のもとに会費をとりましたり、いろいろな名義によつて収入のあるようなことがございますれば、それはやはり入場税の対象になるわけでありますので、さよう御承知願いたいと思います。
それではお手元に配付しておきました案について採決いたします。本案を委員会の成案として、これを委員会提出の法律案として、議院に提出するに賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/10
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011・中島守利
○中島委員長 起立総員。よつて本案は、本委員会の成案として、委員会提出の法律案として提出するに決しました。
なおこの際申し上げておきますが、委員会提出の法律案は、衆議院規則第四十二條によつて、委員長をもつて提出者とすることになつておりますので、これに対する提案の理由その他百般のことは、委員長にどうぞおまかせを願いたいと考えておりますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/11
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012・中島守利
○中島委員長 御異議なしと認めます。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704720X00619500225/12
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