1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年三月十五日(水曜日)
午前十一時二十四分開議
出席委員
委員長代理理事 神田 博君
理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君
理事 村上 勇君 理事 今澄 勇君
理事 風早八十二君
岩川 與助君 江田斗米吉君
門脇勝太郎君 關内 正一君
高木吉之助君 田中 彰治君
中村 幸八君 福田 篤泰君
福田 一君 前田 正男君
高橋清治郎君 田代 文久君
出席国務大臣
通商産業大臣 池田 勇人君
出席政府委員
通商産業政務次
官 宮幡 靖君
通商産業事務官
(資源庁鉱山局
長) 徳永 久次君
委員外の出席者
議 員 栗山長次郎君
專 門 員 谷崎 明君
專 門 員 大石 主計君
專 門 員 越田 清七君
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本日の会議に付した事件
帝国石油株式会社法を廃止する法律案(内閣提
出第二七号)(参議院送付)
小型自動車競走法案(栗山長次郎君外四十一名
提出、衆法第五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/0
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001・神田博
○神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。
前会に引続きまして、私が委員長の職務を行います。
まず小型自動車競走法案を議題として、審査を進めます。質疑を継続いたします。風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/1
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002・風早八十二
○風早委員 前会に引続いて最後に一点だけ質問いたしたいと思いますが、この競走会なるものの構成は、どういう構成になつておるか、これについて発案者の方から御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/2
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003・栗山長次郎
○栗山長次郎君 この競走会の構成につきましては、事業者団体法等をも考慮いたさなければなりませんので、今通産省において、手続に関する省令を定めるのと並行して要項をつくつておりますが、この構想については自動車競走に経験あり、関心を持つておる同好の士をもつて組織するという構想でございますることをお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/3
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004・風早八十二
○風早委員 抽象的には同好の士ということで、すべてが包含されると思いますが、この競走会の運営を実際に牛耳つて行く人たちは、どういうようなものを予想しておられるのですか。もう少しその構成内容について知りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/4
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005・栗山長次郎
○栗山長次郎君 府県によりましては、衆議院に自動車競走法案か提出になつたということを聞き、またそれ以前からも小型自動車の競走について、近畿方面また関東方面で若干実施をいたしました例もありますので、法案の成立いかんにかかわらず、民間の斯業奨励のための一つの施設として行おうということで、よりより集まつておる団体がございますが、ただいまの風早委員の御質問に対しては、その例を申し上げたならばよかろうと存じます。たとえば東京方面では自動車のメーカー、それから販売しておるデイーラーでございますね。それからかつて自動車競走に選手として経験を積んでおる人、また自動車競走について、諸外国の例等をよく調べておられる人々、そういう範疇に属する人々約二百名程度が、東京では法案の成立いかんにかかわらず、競走会の主体となつて将来とも小型自動車の性能向上のために、競走の実施をそのときの法の許す範囲内において、やつて行こうという計画団体と申しますか、準備団体があることを、例証的に申し添えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/5
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006・風早八十二
○風早委員 自動車会社その他販売業者、こういう人たちが入るということがはつきりいたしましたので、その点はそこで打切りたいと思います。
最後にこの法案は今までの自転車競技法と大体内容においてかわらないと思うのでありますが、前会に私が政府委員に対していたしました質疑、すなわち政府が今やつておりますところのいわゆるPP運動——楽しく遊び楽しく支拂う、こういう運動の一環としてこの自転車競技法が出ておる。これによつて政府はその主観的な意図はともかくとして、少くもその結果においては明らかにとばく的な射倖的な精神をますますあおる結果になつておる。しかも千葉市などの例によりましても、実際もうそのために市中の一般のまじめな商店街が、火の消えたようになつてしまつておる。こういうふうな実情も出ております。また川崎の例で周知のように、この競輪が、すり、たかり、収賄、破産、自殺、こういつたあらゆる社会的な犯罪、また社会的な非常に不幸な事実を生み出す大きな契機になつておるといつたような点について、政府当局はどういうふうに考えておるか。またこれに対してどういう措置をとつておるかということを、昨日は伺つたのでありますがこれに対する政府当局の答弁は、はなはだ抽象的でありまして、何らこの法案に即して具体的に説明されておらないのであります。これらのあらゆる弊害に対して、本法案が、従来の自転車競技法に対しまして、どういう点で対策改善のあとを見せておるか。そういう点についても念のために発案者に対して質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/6
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007・栗山長次郎
○栗山長次郎君 射倖心をそそる懸念が多分にある、そのための弊害を生ずるということにつきましては、私ども社会人の一人として、その傾向が濃厚になりますことを風早委員とともに心配するものであります。この問題については、立案にあたりました者も十分考慮をいたし、また手続期間中もさような意見を、しばしば聞いたのでありますか、射倖心をそそることを減ずるということに、直接の関係はございませんけれども、社会常識として人生たれかむだなからぬやというような考え方もあると思いますし、健全なる娯楽に向けて人生内容の潤沢化をはかるという、ややゆとりのある観点からすれば、よつてもつて生ずる弊害をなるたけ縮少することによつて、昨日宮幡政務次官からお話のありましたように、得るところ多くして失うところが比較的少なければ、法として成立するのではないかという思想的結論に達したのでありますが、それに関連して特に申し上げたいことは、小型自動車の競走におきましては、競走の全体を十といたしますと、機械によります率が七ないし八になつて、人による度合は二ないし、三になる。すなわちやおちよう式のことをなすチヤンスは、小型自動車の場合においては他のものよりもはるかに少くなつて来る。しかも観衆といたしましては、機械に興味を持ち、科学技術の振興に関心を持たれるような層が比較的多く集まりすと、将来の実施にあたりまして十分気をつけますれば、品のよいものとなつて行くことが予想される。いま一つは国際的の行事として伸びる可能性を多分に持つものでありますから、これも射倖心をそそることをとめるということには、直接の効果として申し上げ得ないことでありますけれども、日本の活動が、こういうチヤンネルを通じて国際的にまで拡がつて行くというような点、これらは宮幡政務次官が昨日御説明になりましたことにつけ加えて、委員各位の御考慮を願い、結論的には弊害と申しますか、欠点と申しますか、欠点は多少ありましても、得るところが多いという観点に立つて、御審議をお願い申したく存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/7
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008・風早八十二
○風早委員 今お答えになりましたのは、またくただ発案者の主観的な気持だけでありまして、そういうふうなことは十分気をつける、また一般的にそういうことはなかろうといつたような予測や、主観的な気持だけであつて、何ら規定に即して答えがないわけであります。つまり規定の中にはそういつたあらゆる弊害に対する対策が何ら盛られておらないということを明らかにされたものだと思うのであります。またそれがあたりまえで、この規定によつてこういうふうなことができるわけはない。今やおちようレースのことを言われましたが、やおちようレースというものの可能性は、自転車の場合よりもずつと減ぜられるというような御説でありますが、現に自転車の場合においても、川崎の騒擾においても——昨日の政務次官の答弁によれば、あれは絶対にやおちようレースのためではないということがはつきりしておる、こういうようなお話でありました。つまりやおちようレースとは関係がない。こういうものをやる以上は、それがやおちようレースであろうとなかろうと、必ずこういつたものが出て来るのが、今までの一年半の競輪による経験であるわけであります。そういう点からわれわれが判断してみましても、今度小型自動車になつたからといつて、それがにわかに改まるということは全然考えられない。つまり一方におきまして失業者や何かをどんどん出しておる。またサラリーマンもほとんどその給料ではどうにもならないというので、一攫千金を夢みてさいふの底をはたいて、とにかくこれで一か八かというような気持を持つのは、今の実際の社会情勢として、吉田内閣の勤労者並びに中小企業者に対する対策として、これは当然出て来る現実なのです。そういう現実をますます利用して、こういつたような射倖心をあおらせる。射倖心をあおらせなければこういつた競輪、あるいは今度の自動車競走といつたようなことは、事実成り立たないような仕組みになつておる。そこに問題があるのではないかとわれわれは考えるのでありますが、こういう根本的な点について、一体発案者はどの程度まで考慮しておられるか。この点について発案者に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/8
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009・栗山長次郎
○栗山長次郎君 本法案に今風早さんは、われわれとともに憂えておりますような点についての條文がないかのごときお話がございましたが、射倖心をそそらないような案文は書き得ないこと、ただいま風早さんみずからおつしやつた通りであります。弊害等を防止するためには、二十一條に主管省がこれに関して措置をなし得る規定を設けておりますので、主管省の運営上の綿密なる注意によつては、よほど弊害は除き得るものと思いますし、それが顯著になつた場合には、停止をなし得ることにも法案では用意をいたしている次第でございます。またお話中に出ました失業者に対する点というような観点から、これは予想であつて、そう必ずなるとも考えられぬのでありますが、立案者はそうなることを念願して立案しております点は、国及び都道府県の財政收入になりますので、都道府県等においては、これをひもつきとしてそちらにまわすということは、予算措置上むずかしいかもしれませんが、あんばいによつてはなし得ると考えますのは、この競技によつて都道府県の收入となりますものを失業者の救済等に向けることは、その府県の理事者もしくは議会の意図によつてなし得ることであろうと考えます。財源がありさえすれば、その財源をそのときに必要な方面に使うという観点から、あんばいをなし得るものであると考え、またこれを希望いたしております。そうしまして、一方においては若干の欠陷が出て来る。しかし他方においては、得られた財源が有意義なところに使われるという点で、埋合せをしても、なお余りあるものであるという構想を抱いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/9
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010・風早八十二
○風早委員 最初に私が前会において問題にいたしました第一條の、この目的でありますが、実際これを見てわれわれはますますこの法案なるものは、非常に欺瞞に満ちているということを、つくづく感ずる次第であります。一方においては自動車工業の振興に寄與する、他方においては地方財政の改善をはかる。地方財政に、これによつて何ほどかの收入を得させる。それはたしかに收入を得させないことはないでしよう。絶対額から言えば、ある程度の收入を得させるかもしれないが、それは今日税金すら拂えないという国民が、結局この收入を得させるわけでありまして、痛める腹は同じであります。そういつたような国民の実情を見ますと、税金すら拂えない。税金が拂えないために、今日大騒ぎが起つておる。そういつた実情のもとで、結局税金とは名前をかえて、こういつた形で財政收入を確保しようというその考え方自身が、はなはだ間違つている。これは地方財政の改善をはかるという美名のもとに、他の意図が伏在しているのではないかと、われわれをして疑わしめる。自動車工業の振興と言われますけれども、はたしてこれをやつたからといつて、小型自動車をどんどん国民が買つて、それでもつてわが国内でその販路が拡張できるか、そういうことは大体常識で考えてもわかる話だと思います。自転車一台だつて今日は七千円も八千円もしているのでありまして、そういうものがもう買える人はだんだん減つている。ましてや小型自動車といつたものを、しかも競走というようなことをあてにして買うということは、一般の国民の健全な今日の生活状況から言つては、当然そういうことはあり得ないことであります。結局問題は、こういつたような競走そのものにある。競走をやらして射倖心をあおり、その射倖心をさらに利用して、その收益を確保する。その收益が、すでに法文に規定してありますように、非常にわずかな割合でしか実際地方財政にはころがり込まないのでありまして、その他の費用というものは一体どこに行くか、私どもはその使途について、はなはだ疑わざるを得ないわけであります。またその財政上において特に寄與すると言われますけれども、こういつた賭博射倖心をあおつて、それによつて財政の收入を得るというやり方は、これは国際的に見ましても、私どもはただちにモナコを思い出す。こういう法案がますます日本のモナコ化というものに寄與しなければ、私は幸いだと思う。そういう意味におきまして、この法案の第一條というものは、もう少しこれは正直にその意図するところを現わして、われわれのところへ見させていただきたい。なおそれらの対策を全然規定に盛ることができないということは、これすなわち対策はあり得ないということを意味しているわけです。こういつたような事業をやることそのことが、すなわちそれらの弊害を当然に生むものである。これに対しては一般の道義心、こういうものにまつ以外には何もないのだ。そういうむりな注文になつている。しかし道義心といいましても、事実実情は、どうでもこうでも一攫千金を夢見ざるを得ないような、そういうさんたんたる民情にあるのでありまして、その際に特にこれをやられるというその意図を、われわれははなはだ疑わざるを得ない。これに対して、特にこれは自由党のそうそうたる大幹部諸君のみならず、社会党までもこれに対して共同提案をしておられることについては、われわれははなはだこれは怪訝にたえないわけであります。これはもう少しくこれらの社会的、経済的、ひいては国際的な観点からも、根本的にこれらの問題について、考えあつて、そうして練り直して来ていただきたい。私どもの要望を率直に述べれば、こういうふうな提案は即刻撤回していただきたい。これは百害あつて一利なしと言いたいわけであります。その点でお答えがなくてもいいのですが、もしさらに再考せられる意思があるならば、お答えを願えます。なければもうこれでけつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/10
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011・栗山長次郎
○栗山長次郎君 風早委員の御意見、御質疑は、きわめて多岐にわたつているように存じますがが、法案の目的とするところにまつこうからつつ込まれましたので、その点だけは提案理由の際に御説明申しておきましたが、重ねて強調させていただきたく存じます。自動車の性能は競争によつて高まつていることは、国際的にも事実であります。また国内的に小型自動車のごときものは、販売いたしましても購買力がないという観点は、私どもある程度までは感を同じゆういたしますが、立案のねらいといたしますところは、日本は輸出貿易を盛んにしなければならぬ。しからばいかなるものを輸出をするかという具体的の考慮になりました場合に、小型自動車は、戰前における外国への輸出状況等も数字によつて明らかになし得るところでありますが、相当の数量が出ている。敗戰後製作を極度に制限せられましたために、そのゆとりもまつたくなくなつておるのでありますが、徐々にその制限ははずされておつて、やがては自由に製作するこになり得ると予想されます。そういう場合に大型のものを海外に輸出することは、資材の乏しい日本としてははなはだむずかしいことでありますが、小型自動車のごとく資材は比較的少くて、しかもそこに労働力を多分に加え得るまた技術を加え得るものを輸出の対象物とすることは、国策上よろしいと私どもは信ずるものであります。そうして輸出をいたします場合に、外国の車と日本の車との性能をだれもが端的に比較いたしますのは、その速度であります。速度を出す車は即機体の構成もよろしいし、エンジンもよろしいということが何人にも結論的な印象として上げ得る点でありまして、国内の販売ということは第二次的第三的に、もしくは私どもはそれが遊覽用にでも供せられるならば、国内にはなるたけ使つてもらいたくない考えを持つておりす。海外に輸出するためには、性能を向上せしめると同時に、海外の人々に日本の製品をよく知つてもらう、そうして戰前以上にこれを売上げて、日本の貿易帳じりを改善しようというこは信念的に考えておるところであります。それから地方財政の収入の点、どこへ金が行くのかわからないというような御意見があつたようでございますけれども、売上金の百分の七十五は車券を買つた方に配当金として返りますことが、明示されております。あと二十五残りますもののうちの百分の十七は、これを施行いたします地方自治体の扱う金といたまして、このうち実際の経費として類推せられます経費は約百分の七であります。百分の十、約一割はネツトとして地方自治団体の施行者の収入になる——これは想定計算でありますが、目途を持つておる次第でありまして、国庫に直接入ります金が百分の三でございます。従いまして車券の売上げによつて扱われます金がいずこにどうなるかわからぬという御意見は少しごむりのように私は存じます。かような目的に関しては信念的なものを持つておりますので、当委員会における皆様多数の御意向がそうであれば、提出者として再考いたさなければならぬ問題であることは当然でございますけれども、委員会多数の御意向を待たずして提出いたしました法案については、私は四十二名の提案者にかわりまして、法案をどうするという考え方は持つておらないことを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/11
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012・神田博
○神田委員長代理 次は高橋君より、一応質疑を打切つたのでありますが、補充的な質問をしたいという申出がありますので、これを許します。高橋清治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/12
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013・高橋清治郎
○高橋(清)委員 ただ一点、きのうも質問いたしました通り、小型自動車の競走によつて、そこにけが人あるいは犠牲者が出ると思います。それに対してどのような対策をお講じになつておるか、具体的な例を言うならば生命を失つた際においては、どのくらいの額の弔慰金をやるかというところまで、お答えくださるならば幸いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/13
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014・栗山長次郎
○栗山長次郎君 昨日高橋委員からたいへん御親切な御注意がございまして、私どもも昨日から本日にかけて係官の諸君とともにさらに検討したのでございますが、昨日の御質問中にございました海外における事故の例を資料があるならば申せということでございましたが、幸い若干の資料がございますので、その点について補足して申し添させていただきたく存じます。主として私どもは今の場合文献や新聞によつて海外の事例を知るのでございますが、文献中最も事故の多かつたとされておりますものは、一九四九年に行われましたアメリカのミゼツト・カー・レースでございますが、この場合死傷者が二名あります。軽傷者が若干名あります。なぜそういうことが起つたかという原因を彼らみずから報ずるところによりますと、車体と馬力と言いますか、エンジンの力、こういうものについての規格をまつたく破つておつた、アウト・オブ・バランスであつた。そのうちの一車が顛覆すれば他の車がこれに乗り上げるということでそれが起つた。本法案の実施にあたりましては、かようなアウト・オブ・バランスの車は使わぬことにいたしておりまして、英国ではそういう点を懸念いたしましたためか、国際基準を確立いたしておりまして、その国際基準に合つた発動機と車体との均衡を保つたものをもつて競走を行わせるということになつておつて、英国における事故の例は手にし得る限りの文献資料を調べて見ましたけれども、ほとんど新聞等に報道されるものは最近ではございません。さようなことを昨日の御質問に対して補足させていたばきます。
それからただいまの御質疑の、万一の場合にどれだけのことをなし得るであろうかということでございますが、事故は軽微あると申しましても、やはり事故であるから、いつ発生せぬとも限りませんので、これが運営にあたりましては、事故保険制度をもあわせて立てたいと構想いたしておりす。その実態について申しますならば、売上金の千分の五くらいのもの、これは競走会が取得する分の中から事故保険の資金として積み立てまして、これによつて万一の場合の事故に対する保険とする。具体的に自動車の場合どのくらいの金額を想定し得るかということについては、予想にすぎませんけれども、三十万円ないし五十万円の弔慰金は出し得るものと想定計算ではいたしております。またそのくらいの数は出すべきであるとも考えておりますし、事故の程度に従いまして、それを基準してしかるべき措置をなさねばなりませんし、なし得るように今準備を、係官の方において進めておることをお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/14
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015・神田博
○神田委員長代理 他に御質疑はありませんか。——別に御質疑もないようでありますから本案に対する質疑は終了いたします。
この際お諮りいたします。本案に対する質疑応答を聞いておりますと、多数委員の諸君におれましては、本案を一部修正をしたいというような御意向のように拜聽いたしております。この際委員長におきまして試案を作成し、適当な機会に御協議したい。こういうようなとりはからいをいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ど者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/15
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016・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。それではさようにすることに決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/16
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017・神田博
○神田委員長代理 次に帝国石油株式会社法を廃止する法律案を議題として審査を進めます。質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/17
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018・今澄勇
○今澄委員 本法の詳細な点については、先般来の質疑応答で十二分にわかりました。それで私は大きな問題と、特に大臣の御言明を得たい点について、二、三点簡單に質疑をいたします。
まず第一点は、いわゆる石油の価格の問題でありますが、これについては、この価格が調整公団によつてプールされるか、あるいは段階的にこれを切り落すかということは重大な問題でありまして、政務次官からは価格調整公団のプールによつて、これはプール計算で行きたいという御答弁がございましたが、通産大臣におかれては、そういうことは十分間違いなくやり得るということを、御言明願えるかどうか、御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/18
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019・池田勇人
○池田國務大臣 他の政府委員から申し上げましたように、何分にも産業復興のために石油の必要なことは申すまでもないことでございます。しかもまた、わが国は消費量の一割程度しか産出していない状況でありますので、この石油の増産に資しますために、関税政策を使つて行き、そうしてまた輸入したものは国内産のものとプールいたしまして、国内産業の保護、配給の円滑を期して行きたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/19
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020・今澄勇
○今澄委員 私の質問の要旨は、いわゆる帝国石油会社を廃止して後において、石油については価格調整公団のプールによるプール価格制をとられるかどうかという質問でありますから、この点について、プール価格で行くとか、プール価格を約束するとかという御言明が願いたいと思います。
第二点は、公団が永久に存続するわけではないので、公団が廃止されれば、今度はプール的な措置はとれないから、公団廃止の後においては、それらの価格政策というものは、どういうふうな方針でお行きになるか。この点について、ひとつ簡單でけつこうですから、明快な御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/20
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021・池田勇人
○池田國務大臣 プールいたします。それから公団がいつまでもあるわけはないのでございまして、公団がなくなりました場合におきましては、関税政策と国内生産増強に対しましてのいろいろな措置がございますが、そういうものをあわせ使いまして、公団なきあとも価格その他につきまして支障のないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/21
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022・今澄勇
○今澄委員 今の大臣の御答弁で、調整公団において価格はプールされることがはつきりいたしました。第一点はこれで了解いたします。
第二点の、関税政策によつてやられるという大臣の御言明で、いろいろこれらの関税方面は、関係方面との関係上困難のあるところを関税措置をとるという御言明については、これも私は了解いたします。そこでそれらの関税は今入つておるところの精製石油については大体二〇%であるが、石油については一〇%しかかかつていない。それで今二五%程度これらの関税をとるべきであるという意見が一般に言われておりますが、政府においてはそれらのものに、もしさしつかえなければどの程度の関税をかけられるお見込であるか、それからそういつた国内輿論にこたえて、二五%程度関税をかけ得るような御意思がございますかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/22
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023・池田勇人
○池田國務大臣 関税定率法の改正につきましては、ただいま日本政府の案を練つておるであります。これは占領治下においてはもちろんそうでありますが、それでなくてもやはり外国との関係は将来を考えられますので、国内産業の保護という立場から、定率法の率を今せつかく検討中であるのであります。原油の一〇%をどうするか、あるいはこれを従量税にした場合には、定率法をどういうふうにするかという問題につきましては、今はつきり申し上げるところまで行つておりません。御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/23
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024・今澄勇
○今澄委員 本法の具体的な問題についての大臣からの御言明は、その程度でとどめまして、総括的な石油に関する外資導入その他の問題について、二三点御質問をいたします。第一点は、これらの石油に外資が相当入つておりますが、私どもはただためにして外資導入の非難その他をするものではございません。私はこの際、まじめにこれらの外資導入について、大臣の見解を承りたいのであります。まず今の日本では、これらの石油に対する外資以外にも、銀行、保険会社等の外国系のものが、無届で設立されておるものは非常に多いのです。占領行政下といえども、被占領国たるわが国の公正な経済秩序を撹乱していいという理論は成立たないのであつて、外資導入の全般にからまり、あるいはそれら外国の保険会社、銀行等の設立に関して、大蔵大臣兼通産大臣であられる池田さんは、大体政府としてはどのような御見解を持たれ、わが国の経済の秩序維持について、どういうお考えでおられるか、この機会に御質問をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/24
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025・池田勇人
○池田國務大臣 銀行、保険会社につきまして、届出主義ではやつておりません。免許主義にいたしておりまして、国内銀行と同様に監督のできるようにいたしておるのであります。私といたしましては、根本的には、外資導入につきましては自由の立場で行きたいと思いますが、何分にも経済再建の途上でございますから、全部を自由というわけには行きません。事柄によりましては、許可、認可の制度をとつて行く場合もあるのであります。ことに保険会社につきましては、よほど信用が十分でなければなりませんので、多分法案が出ると思いますが、保険業務を開始いたしまして、少くとも三年間たつている会社でないと、日本で営業ができないというような制限を置きまして、外資導入は必要ではありますけれども、日本の経済秩序を乱さないように、よくするようなものを助成して行くという考えで進んでおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/25
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026・今澄勇
○今澄委員 私どもは、今の大臣の言明通り、国内におけるそれらの産業あるいは金融機関等と、国外からのそういつたものに対しては、十分わが国産業の建前から、御言明のごとき措置に出られ、そういう運営をされることをこの際念を押しておきます。
もう一点は精油に直接関係がありますが、かつて日本軽金属の清水、蒲原新潟の諸工場に対するカナダ資本の進出、あるいはレイノルズ系の資本導入等が問題になりましたが、それと同様に、今石油がいわゆる戰争必需物資であるという関係上、これらの石油に関する外資導入については、十分政府としては愼重に考えられなければならないのではないかと私は思います。いわゆる外国側の情報、宣伝、海外市場の紹介、これが純然たる営利上の採算であるかどうか、営利上の採算でないとするならば、それは何か一定国の目的のために使われるものかというようなことが考えられなくてはならない。外資であるから、相当の高利潤を保証せられるか、さなくば、何かなければそこに動かないということを考えなければならないと思います。特に従来ガリオア資金によつてまかなわれて来た原油の輸入を、今後は自力で輸入し、精油するということになるならば、われわれの平和的な日本国が使う必要量以上の量を、むりをして輸入するということには、何か理由がなければならぬが、これは一体どういうわけか。それがもし軽工業のように、日本で加工して、海外へ再輸出をして利潤をあげるということになるならば、これは戰争必需物資としては、政府が思うように簡單には行かない。いわゆる平和時における必要量といつても、それは日本国における一般の国民生活程度に応じた相対的のものであるが、今日の石油生産量では、とうていそれを自給できないことはわかつておる。いやしくも日本の国内における石油の平常所要量から見て相当莫大なものを入れて、関係国、特にわが国に対してはあまり好意を持つておらぬ諸国に刺激を與えるということは、あまり策の策たるものではないと考える。この点に関する通産大臣の御見解はどうか。
それから、もう一点は、一例をあげますが、昭和石油が、調印を見た日英通商協定による石油輸入七百八十万バーレルの買付の問題、日本石油がカルテツクスとのいわゆる石油供給契約をいたして土地及び石油の一部を先方に譲渡いたしております。同社に対しては、その利益の折半契約というようなこともやつておりますので、これはもし戰争ということを考えれば、石油が戰争資材であるということで非常に重要な問題であると考えるが、これらに対する政府の見解はどうか。ただもうかりさえすれば何でもやるのか。これは民間にまかせるということであるか。もうかりさえすれば民間に、そういう国家的な問題をも打忘れて、全部おまかせになるつもりかどうかという点について、私は通産大臣並びに局長からそれぞれ根本的なお見通し、それから導入外資と戰争関連産業との現在の振合いなどを明瞭に、この際ここにさしつかえがなければ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/26
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027・池田勇人
○池田國務大臣 ガリオア資金から一般民間貿易資金にかわりつつあるのでありますから、決してわが国に必要以上な石油の輸入はいたしたくないし、またいたしていないのであります。それから外資が昭和石油あるいは日石の方に来た、戰争と何か関連があのではないか、また戰争の場合を考慮してそういうことをやつておるのではないかという御質問でございますが、われわれは御承知の通り戰争を放棄いたしたのであります。われわれの頭に戰争という観念はないのでございます。一に日本の産業復興という建前から外資の点を考えて行つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/27
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028・宮幡靖
○宮幡政府委員 もう大臣のお答えで十分要領を得ておると思いますが、現在外国会社とは、今澄委員も御承知の通り、契約に基くものでありまして、おおむねその根本精神は委託販売というような、たとえば国内に配給基地というか、原油基地というか、さようなものを持つということ、これに関連いたしてまして原油を輸入して精製して、それを売りもどしたものを国内に販売するという、かつて外国会社のサービス、ステーシヨンができておつた、その元の状態に返るという程度のものでありまして、それを越えました、いわゆる戰争の目的を包蔵いたしますような契約は、ただいまできておりません。ただいま御指摘の、不動産を讓り渡したじやないかという問題は、これも今澄委員御承知の通りでございますが、鶴見の油槽所と原油二万バーレルとも交換いたしたという、この事実以外にはないのでございます。この契約の根本は、原油を持つて来まして、それを再開を許された精油工場で精製いたしまして、それをまた外国の販売会社に売りもどす。その際利益折半をカルテツクスと契約いたしております。それから民間貿易のポンドで輸入いたします方は、ただいまのポンド地域の貿易事情から行きまして、一回だけの輸入がありましたが、それ以後においては輸入がございせん。ただいまのところガリオア供給で、大臣の申しました通り、国内需要を超過しての輸入等は実現しない状況になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/28
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029・今澄勇
○今澄委員 私は今の御答弁で、政府はこれらの問題について、根本的な対策並びに大きな国家的な問題についての信念において欠けるところがあると思いますが、それはこの際一応やめておきます。結論として、それでは一体一年間のわが国の石油の精製量と、これは一割程度にしかならぬとおつしやるのでございますが、現在政府が計画しておる日本のいわゆる復興の計画、これも長期五箇年計画は放棄されましたが、現在の政府が計画しておる計画の中では、大体石油は一箇年間にどの程度所要要量がいるものであろうか。これについて輸入の計画はどういうふうにされているか。さらにおさしつかえがなければ、占領軍当局の買上げ、または要求量、これは本国からいろいろ持つて来ていると思いますが、それはどのくらいであつて、わが国のいわゆる国内需要の比率と比べてどの程度であるか。おさしつかえがなければ概略の点を御説明願えればよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/29
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030・徳永久次
○徳永政府委員 数字にわたりすので、私からお答え申し上げます。ただいまの石油の月々の配給量は十六、七万程度のものでございまいまして、これでは国内の各需要方面から不十分であるということで、もう少しふやすことを要求されているような事情でございます。各部門からのいろいろな需要をとつてみますと、ある程度きゆうくつな状況を織り込んだ需要といたしまして、年間二百六十万キロくらいほしいというのが各部門からとりました需要の新字になつておるわけでございます。月々の配給量はただいま申し上げましたように十六、七万ということでございまして、これでは二百万そこそこということにしかなりませんので、その間にギヤツプが相当あるわけでございます。これは逐次国内の事情を関係方面にも十分説明いたしまして、その配給の増加方を今後も引続き懇請いたしたいというように考えておるわけであります。
なお、お尋ねがございました原油の輸入をどの程度予定いたしておるかということでございますが、昨年の七月に太平洋岸の精製工場の再開を許可されまして、七社九工場の復旧を着々と進行いたしておりますが、それにあてがうものといたしまして予定されておりました原油の量は、平年度に直しましてただいまのところ百七十五万キロでございます。本年度はその初めの年でございますので、一月から動くのもございますし、四月から動くのもあります。あるいは七月ごろから動くのもあるということでございまして、これよりはるかに下まわるということでございます。これを平年度に直したといたしまして、百七十五万キロというのが、今の計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/30
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031・今澄勇
○今澄委員 大体の数字がそれで明らかになりましたので、通産大臣にお伺いしますが、同僚議員の質問もあるしお忙しいでしようからこれをもつて打切りますが、極東軍事会議委員のジエサツプ大使のインタービユーを、米国記者の報道として、御承知の通り日本人の大半は再軍備を熱望しているということが、読売新聞に報道せられております。私どもはこのような言動を、いわゆる海外の情報に載せられるということは、現内閣並びに現内閣のわが国における産業政策、それらのものがいろいろ誤解されて、外国に伝えられる大きな要点になる、かように思います。そこで、もとより総理大臣は常に講和会議や軍備に関するいろいろな希望を国会において述べられたことに対して、あまりそういうことはしやべるなというような意向で押えられていることは御承知の通りでありますが、私どもそうした総理大臣の態度、並びに現内閣の産業通商政策に示す、たとえば一例を上げれば石油でありますが、これらにおける態度というものが、このように外国から、日本人の大半が再軍備を要望しているというような意見をもたらしたものであると、かように考えますが、政府は今後これらのわが国の平和憲法に反するような報道を海外にさせる、いわゆる誤解をさせる産業政策であつてはならぬと思いますか、これを是正されますか。それともそれに対しては別途にそれらのものを拂拭するような御用意があるか。あるいはそれに対する何かお考えがあれば、通産大臣にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/31
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032・池田勇人
○池田國務大臣 日本国民の相当部分が再軍備を熱望しておるという記事につきましては、私は見たことはないのでありますが、決してそういうふうなことは私はないと考えておるのであります。今問題の石油につきましても、政府委員より答弁いたしましたように、決して必要以上のものをどうこうというふうなことはないのでございます。もしそのような、再軍備を熱望しているというふうな誤解が伝わることがあつても、非常に好ましくないのでございますから、将来の産業政策を立てます上におきましては、御趣旨の通りに誤解のないような方法でやつて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/32
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033・今澄勇
○今澄委員 よろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/33
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034・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/34
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035・風早八十二
○風早委員 前回に引続きまして、池田大蔵大臣兼通産大臣に御質問をいたします。ただいま社会党の方から、政府の経済政策が再軍備、戰争準備政策ではないかというような趣旨の御質問がありまして、これはわれわれ共産党のおかぶを、いささか奪われたかのごとき感がありますが、そのことはとにかく、これは非常に重大だと思います。社会党も遂に現政府に対して、こういう疑問を提出するという段階に至つておると思うのですが、私はもう少し具体的な点につきまして、大臣に伺つてみたいと思います。
先ほど大臣は、わが国に心要以上の油を入れたくないし、そういうことになつてあるわけじやないという御答弁が、今澄委員の質問に対してあつたのでありますが、今までガリオアで輸入せられておりました石油につきして、われわれはその行方がわからないということをたびたび聞いております。というのは、私ども地方に参りまして機帆船の人たちに会う、またそれらを使つておる業者の人たちに会つてみると、さつぱり機帆船の方へは油がまわつて来ない。その他無灯火農村が全国に多々あるのでありまして、これらのところにもさつぱり石油はまわつて来ない。一体どこに、日本に入つて来た石油が行つておるであろうかという疑問は、今までひとしく多数の国民が持つておつたわけであります。われわれはこの疑問をそのまま政府当局に向つて、質問の形で述べておるわけであります。これに対して政府は、今まで遂に満足なお答えはなかつたわけでありますが、今の今澄君の御質問にも関連しますが、それらの石油の入つて来た総額と消費額と、そして在庫量はとうか。それについて数字的に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/35
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036・池田勇人
○池田國務大臣 石油配給につきましては、毎月配給計画を品種別に公表しております。その行方は、はつきりしておるのであります。数字の問題は政府委員より答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/36
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037・徳永久次
○徳永政府委員 私、はなはだ申訳ございませんが、きようここに資料を持つておりませんので、詳細な数字を申し上げることができませんけれども、ただいま大臣からお話がございましたごとく、毎月、月々に配給計画は決定されておりまして、用途別、品種別に明らかになつております。それはこの席で今ございませんが、何どきでも最近の数字をお届けできるようになつておりますから、それで御了承をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/37
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038・風早八十二
○風早委員 この数字については、後ほどそれでは御提出を願うことにいたします。大体のところ一体どこに使つておるか、わかつておるというお話でありますから、具体的にひとつどういうところにおもに使つておるか。これはわれわれが想像をたくましゆうするわけに行かないので、こういう問題はやはり具体的にどこだということを納得させてもらえば、それでよいわけであります。たとえど今占領軍の飛行機のガソリンに主として使われておるというのであれば、それで話はわかるわけであります。そういうふうな形で、どこに一体使われておるか。実際この国内の経済の面で、どこに使われるかというこは、われわれどうも見出しがたいのでありまして、そういう点で大体においてどこに使われておるか。
さらに在庫量というものが相当あると思います。というのは、方々でタンクが盛んに増築、あるいは新設されておるというふうに、われわれに存じておりますが、それらから申しましても在庫は相当ふえておると考えられるのであります。それらの点について、今は数字的でなくてもよろしいが、大体の御記憶をひとつお話し願いたいと思います。それは大臣でなくてもけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/38
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039・徳永久次
○徳永政府委員 先ほど私から総数を御説明申し上げましたように、月額約十七万キロの配給でございますが、これは国内の産業及び民生用の配給の数字でございまして、それは一切占領軍関係のものは含んでおりまん。その数字は年間にいたしますと、約二百万キロということでございますので、先ほど申しましたごとく、さしあたり国内の各部門から要請されておりまする年間二百六十万キロに比べまして、不十分であるということはわれわれも感じておるわけであります。従いまして各種の産業活動に若干の不平と不足があるというも、当然に想定されこことでございます。しかしただいまのような、援助資金でもらつておるというような事情もありまして、所要量というものが十分ふんだんに入るわけではないのでありますから、その点は御了解いただきたいと思うわけであります。
それからさらに、ストツクがどれほどあるか。最近タンクが盛んにできておるではないかというようなお話でございますが、ストツクにつきましては、最近の状況は、最近半年くらいのものの平均を見まして、約五十万キロでございます。従いまして今の配給量から見ますれば、約二箇月半くらいのものがあるということになつておりまして、正常な配給に必要なストツクの手持量という観念から申しますと、若干余裕があるということが言い得るかと思うのであります。しかし御承知のごとく、これまでのところは、石油は全部製品で輸入いたしておりましたが、今後原油で輸入し、原油を精製して製品にするという、ちようどただいまが切りかえ期に該当しておるわけであります。この切りかえ期になりますと、原油の性質によりましてどういう製品が幾らできるかという点に、非常に不確定、不安定な要素がありまして、品種によりましては、ただいまのストツクが過大であるということも、ごく最近の予想で私ども感じておるものもあるわけでありますが、しかし全体として見ますならば、二月半見当のストツクがあつたことが、むしろ配給を円滑にするために、仕合せであるというぐあいに感じておる事情にあるわけであります。それからタンクが増設されておると申しますのは、これは御承知のごとく、石油につきまして販売は、ある意味におきましてほとんど完全に近い自由競争を促進して行こうというような統制のやり方をとつておりまして、各販売業者に——元売りの業者についてもある程度の割当というものもございますが、それは販売の競争による実績によりまして、そのクォータはかえて行くというような建前をとつておりますし、さらに末端におきましてはすべて自由売込み競争たらしめるという、公正競争の建前でやらすという原則をとつておりますので、従来公団配給によりましてやつておつたときに比べますと、配給業者はおのずからそれぞれの個々の企業体は個々の企業体として、自分の必要なタンク施設というものを持つておらなければ、十分な競争ができないというような事情から、それぞれ販売業者が自分のタンクを整備いたしたいという考えで配給用のタンクを逐次整備しつつあるというにすぎないのでありまして、それ以上の何ものでもないということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/39
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040・風早八十二
○風早委員 大臣はお忙しいそうですから、大臣にお答えを願う質問に集中したいと思います。今の政府委員の方にはガリオアで幾ら入つたか、どれだけ使つたか、またどれだけ残つておるか、これだけを全体としてまた月々にお答えを願えればけつこうだと思います。
大臣に伺いますが、ガリオアが今まで輸入されておりました石油は、これはガリオアで入るといいましても、やはり日本の方で買い取るわけだと思うのでありますが、この点についてその所有権の所在はどこにあるのか、これを一つあらためてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/40
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041・池田勇人
○池田國務大臣 ガリオアで入つて参りますものは、一応日本への貸しということになりまして、日本政府にあると私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/41
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042・風早八十二
○風早委員 ガリオアの輸入によりまして入りました石油の放出によりまして、得られた金額というものは、大体貿易特別会計の黒字になつておるわけだと思うのでありますが、それはどのくらいになつておりますか。これは池田通産大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/42
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043・池田勇人
○池田國務大臣 その金額につきまして、石油についてはどうかという数字は持ち合しておりませんが、御承知の通りにガリオア、イロアで入りましたものにつきましては、対日援助見返り資金として積んでおります。しかして入つて来たCIF価格と、国内の販売価格との差額につきましては輸入補給金を出しまして、そうして合せて対日援助見返り資金の方に積んでおるのであります。予算は二十四年度当初千七百五十億円でございましたが、補正予算でかえまして千五百億円程度だつたと思います。ただいままで今年度で入つて参りましたのは千二百数十億円と記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/43
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044・風早八十二
○風早委員 この問題をめぐりまして元売業者の方でいろいろな要求が出ておることが新聞紙上でも伝わつているのでありますが、政府はこれに対してどういうふうに処置されるつもりであるか、されておるのか、それらの点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/44
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045・池田勇人
○池田國務大臣 御質問の意味がはつきりわかりまんが、私はそれについての新聞記事を実は見たことはないのでございます。もう少しはつきおつしやつていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/45
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046・風早八十二
○風早委員 大体この国内の元売業者でありますが、カルテツクスとか、スタンダードとかシエルとか、そういつた方面から——私もきようその新聞の記事を集めて参りませんでしたが、それらの方面から——これは日経だつたと思いますが、いろいろその用途についてその黒字をどういうふうに使うか。これは結局今までの建前からいえば見返り資金特別会計に繰込まれるものに、実質上なるものだと思いますが、そういうものの用途につきましていろいろ注文が出ておつたと思うのであります。そのことを私は意味しておるわけでありまして、もしもその元売業者からのいろいろな要求がおわかりにならなければ、質問の観点をかえまして積極的に、つまりそれらの特に石油の放出によつて得られた特別会計の黒字分、これが従つてまた何ほどか見返り特別会計に入ると思いますが、そういうものの用途についても、それをどこへ使つたらいいかということについて、何か特別なお考えがあるかどうか、それを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/46
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047・池田勇人
○池田國務大臣 ただいま申し上げましたように、輸入いたしましたものを売りさばいて、その売りさばいた金を入れるのでございます。黒字とか赤字とかいう問題はないと思います。ただ手数料のきめ方につきまして、何か陳情があつたということは、私は新聞以外で聞いておるのでありますが、この問題は物価庁並びに通産省あるいは大蔵省に関係しておりますので、そのいきさつの点は今研究さしておるであります。新聞にどう出ましたか、とにかく取扱い手数料の問題が残つておるということは聞いております。赤字、黒字の問題にそれがすぐなるわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/47
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048・風早八十二
○風早委員 今政府委員のお話にもありましたように、今後切りかわつて原油が入つて来るという場合におきましても、やはり国内のマル公とFOB価格との差額は、相当のものだというこでありますが、その差額というものは大体どういうふうに処分せられるつもりであるか、この点についても大臣にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/48
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049・徳永久次
○徳永政府委員 ただいまの得質問は、輸入原油のFOB価格ということで、ちよつと御趣旨がわかりませんが、おそらく御質問の御趣旨は、今の国内マル公との関係で、石油の値段がいくらか安くなつたので、こちらに入りました輸入価格というもので、余裕が出て来るようになるのではないだろうかという御質問ではないかと想像するのでありますが、ただいま輸入原油の精製はまだ本格的な操業に至つておりませんが、この一月から一部の工場がそういうことになつて参りまして、その後の輸入の石油価格の変化もございまして、ただいま物価庁で四月から石油価格の改訂を目途にいたしまして、その値段をどう見るべきか、どう決定すべきかということは研究されておるわけであります。従いましてそれによつてきまるわけでございますが、その間に当然のことでございますが、輸入の原油が安くなつたからということで、それによつて精製業者が不当にもうけるというような余地を残すようなマル公は、物価庁においてきめる気づかいはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/49
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050・風早八十二
○風早委員 この国内の元売業者の販売実績というものは、大体どのくらいであるか。これはやはり報道によれば、大体七〇%を占めている。つまり米英系の三社、カルテツクス、スタンダード、ジエルが七〇%を占めているというようなことが一般周知の事実だとされておるのでありますが、大体そういうものであるのか、その点を大臣にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/50
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051・徳永久次
○徳永政府委員 先ほど申しましたごとく、元売業者のクオータは月々その過去におきまする実績等によりまして、修正変化する建前になつておるわけでありますが、概数で申しますと、ただいまお話がございました外社系統が約七割、それから邦人商社の元売業者が約三割というのが、現在の勢力関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/51
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052・風早八十二
○風早委員 先ほど私がお尋ねしました入つて来る原油と、それから国内の原油のマル公との差額の処置についてでありますが、それがこういう元売業者のところへ流れ込むというような事実はあるのですか、ないのですか、その点を最後に伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/52
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053・徳永久次
○徳永政府委員 これも私どもから先ほどお答えしましたように、問題は物価庁の問題であろうと思うのでありますが、私ども若干の関連がございますので、不十分でございますが、荒筋だけを簡單に知つておる限り申し上げたいと思います。
それは元売業者の販売口銭が、今の価格がきまりましたのが昨年の四月でございますが、その後の販売実績と申しますか、成績によりまして若干の修正をしようということになりまして、この価格の再検討が行われておるわけであります。外社及び国内の元売業者から、きめられた今のマル公というものが適当でないということが、盛んに訴えられまして、それに基いてどう処置をしようかということで、ただいま物価庁で盛んに検討が行われておるということでございます。その結果によりまして、元売口銭が値上げになることになりました場合に、その財源をどうするか、元売口銭を上げる、従つて小売の口銭に基き消費者価格を上げるというような方向もとり得るわけでありますし、消費者価格はすえ置きにいたしまして、別な財源で、値上げいたしました口銭分を埋めるというようなことも、方向として考え得るわけでありますが、その方法の一つといたしまして、元ほど御指摘のありました石油の輸入価格が、その後の国際価格の低下によりまして、マル公よりも安く買い得るような状況になりまして、その結果公団に若干の黒字が出るというような事情もございまして、その分を、もしマル公を改訂したとなれば、マル公を改訂した値段で、公団は拂い下げるべきことになりますので、改訂を行います際には、出ないであつたであろう数字だということになりますので、それを引当てに充てるというような方法も考え得るわけであります。かような点につきして、ただいま物価庁で検討が進められておるような事情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/53
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054・風早八十二
○風早委員 これでおしまいです。池田大臣に聞きたかつたけれども、やはり時間の都合もあるので、きようのところは一応帰つてしまいましたので、政府委員の方にお尋ねしたいのですが、先ほど自由競争ということをあなた言われたのですが、今すでにあなたが答えられたように、元売業者にしましても、やはり外社の三社が七割を実際においては独占してしまつておる、こういうようなことが結局事実上起つて来るので、自由競争の結果は必ずこの通りにたちまちなつて行くわけでありますから、そういう点については十分に考慮されておるのですか。つまり国内の大資本も、この場合においてはぐんぐん押されて、やはり結局外国資本に日本の石油事業も独占せられてしまう。これが前会に私が申しました問題に返つて来るわけでありますけれども、そういつたような点については、政府当局としてはどういうお考えであるか。つまり自由競争ということを一体どういうように考えておられるか。その具体的に起つて来る結果に即して御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/54
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055・徳永久次
○徳永政府委員 ただいまの石油の販売につきましては、昨年に当初のクオータがきめらたわけでありますけれども、これは従来の公団統制というものを、民間配給に切りかえられました結果といたしまして、元売業者という段階を設けまして、スタートすることになつたわけでありますが、その際にとられました最初のクオータのベースと申しますのは、私着任する前のことでございます。私の了解しておりますのは、新たに民間企業人を定めることになりました結果といたしまして、公団統制前、すなわち戰前の実績を主たるベースといたしまして、当初のクオータをきめたわけであります。その結果がおおむね外社七割、国内商社三割というような数字になつたわけであります。これは過去におきまして、外社及び日本商社が平等な競争をやつておつた実績から、さようなことになつておるわけであります。しかしながらその後の自由競争によりまして、そのクオーターは逐次変更するという建前で、運営いたしておるわけであります。その後の結果は、ただいま御指摘ありましたような方向とは、逆に動いておりまして、外社の勢力は逐次後退しつつあり、日本商社の販売実績の方が逐次増加いたしまして、クオータは日本商社の分が逐次ふえつつあり、外社の分は逐次減りつつあるというような結果を示しておるのが、実情でございます。考え方といたしましては、相当数の業者が自由競争の建前になつておりますので、われわれは今の仕組のものが、公正競争を害する含みのものではないというように、確信しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/55
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056・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 これにて先般来保留されておました質疑は、全部終りました。本案に対する質疑はこれにて終了いたします。
この際暫時休憩いたします。
午後零時四十九分休憩
————◇—————
〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X01919500315/56
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