1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年三月十七日(金曜日)
午後二時四十五分開議
出席委員
委員長代理理事 神田 博君
理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君
理事 村上 勇君 理事 今澄 勇君
理事 有田 喜一君 理事 風早八十二君
岩川 與助君 江田斗米吉君
門脇勝太郎君 田中 彰治君
多武良哲三君 中村 幸八君
福田 篤泰君 福田 一君
前田 正男君 加藤 鐐造君
田代 文久君 河野 金昇君
出席政府委員
通商産業政務次
官 宮幡 靖君
特許庁長官 久保敬二郎君
中小企業庁官 小笠 公韶君
委員外の出席者
專 門 員 谷崎 明君
專 門 員 大石 主計君
專 門 員 越田 清七君
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本日の会議に付した事件
不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九七号)
中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出第七十号)
小型自動車競走法案(栗山長次郎君外四十一名
提出、衆法第五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/0
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001・神田博
○神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。前会に引続きまして、私が委員長の職務を行います。まず小型自動車競走法案を議題として審査を進めます。
この際本案の取扱い方について御協議を願うため、暫時速記中止の上御懇談を願うことにいたします。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/1
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002・神田博
○神田委員長代理 それでは速記を始めてください。
小型自動車競走法案に対しまする扱い方につきましては、交渉の経過等委員長一任ということに承知して、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/2
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003・神田博
○神田委員長代理 それではさように取扱うことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/3
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004・神田博
○神田委員長代理 次に不正競争防止法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。前会留保されておりました風早八十二君の質疑を継続いたします。風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/4
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005・風早八十二
○風早委員 ただいま手元にいただきました資料を見ますと、私が昨日特に強くお尋ねしました点については、資料が提出せられておりません。それは米国において禁止されておる不正競争行為の例というのが、判例から引かれておりますけれども、このことを伺つておるわけではない。きのうもたびたびお尋ねしましたように、日本の商社が使つております商標その他のものに対しましては、アメリカの商社がこれを侵した場合、アメリカにおいて違反行為のあつた場合におきまして、日本の商社の権利を保護する規定がアメリカの側においてあるかどうか、その規定をお尋ねしたわけでありまして、これについてはどういうことになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/5
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006・久保敬二郎
○久保政府委員 それは昨日もちよつと申し上げたと存じますが、アメリカにおける取扱いは日本における取扱いとまつたく同様でございます。すなわち、アメリカにおいて日本人が商標権を持つております場合には、アメリカ人が持つておる商標権と、それからアメリカにおいて日本人が持つておる商標権との間には、何らの区別がなしに保護されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/6
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007・風早八十二
○風早委員 その法的な根拠をひとつ出していただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/7
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008・久保敬二郎
○久保政府委員 それはアメリカの商標法の第四十四條にございまして、この條約に参加しておる国は、アメリカ人とまつたく同等の待遇を與えるという規定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/8
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009・風早八十二
○風早委員 そういたしますと、問題がさかのぼりまして、この工業所有権の保護同盟條約、今の條約と言われるのは、このことを意味するのでありますが、この條約というものが日本に対して平等に適用される、今日もこれが生きておるということについては、政府は国際法上の解釈も一定しておらないし、政府としても、それは生きているともいないとも、はつきり言うことができない、こういう御答弁でありましたが、われわれとしてもこれは当然常識から考えましても、戰後においてこれらの国際條約が日本に対等の資格でもつて適用されるということは、考えられない次第であります。しかも政府は今のような非常にあいまいな御答弁でありまして、この條約が日本に対して生きていとるいうことは確言せられていない。そういう場合に、たといアメリカで戰前の状態のもとにおきまして、それらの規定があるとしても、それが今妥当するかどうかということは、はなはだ不確定でありますが、その点について、これが確かであると言われる根拠を出していただきたい。このことはやはり不平等なこういう関係を、新しくまた法律で認めようということにならないとも限らないわけでありますから、特にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/9
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010・宮幡靖
○宮幡政府委員 お尋ねの点でありますが、言葉の言いまわしで非常な誤解も生れるわけでありますが、国際法上の解釈等におきましては、必ずしも一致しておらぬが、政府としましては一応法律が有效のものである、かように考えて提案したものであるということは、申し上げておいたはずであります。さらにただいまの御念の入りました御質問でございますが、御意見の点は私どもも立場をかえて考えれば、まつたく同感の点も少くないのでありますけれども、御承知のように占領下にありますところの国際関係は、司令部におきまして日本にかわつてやる。貿易協定等の字句についても、風早委員も御承知のように、占領下における日本と何々国との通商とりきめとか、協定とかいう文章が使われておる状態でありまして、日本国が、切り離して対等の立場で條約が有效であるかどうかという論議よりも、日本に代位いたしまして司令部が平等の立場に立つことが、現在の日本の国情といたしましては、これらの條約が有效に適用されるものであると考えて、一向さしつかえないものだと政府は思つております。同時に、これに適切なメモだとは申しませんが、これに関連いたしました一つの資料として提供したような事情で、司令部からも強くこの不正競争防止法の改正を要求せられている点は、その根本法規が有效であるということの前提に立つての司令部のメモである、かように解釈いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/10
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011・風早八十二
○風早委員 今、政務次官のお答えでありますが、政府は、一応政府の解釈としてそう言われるのでありますが、実際その解釈をなすべき根拠を私は伺つておるわけであります。アメリカがまた日本の商社に対するアメリカ商社の権利侵害を、日本の商社に対して擁護してくれるという根拠を伺つておるわけでありまして、その根拠は戰前の法規をもつてしては、にわかに承服しがたいと思います。もし今政務次官の言われるような御解釈でありますならば、戰前に行われておりましたいろいろな国際條約は、みな日本にとつて生きておるというように、政府は解釈しておられるのですか。特にこの條約だけについては、生きておると言われるのですか。もしそうであるならば、一般の條約について被占領国たる日本はもはやその適用を受ける資格がない状態にある場合に、特にこの條約だけが生きておるというふうに解釈せられる根拠はどうか。今宮幡政務次官は、その場合にすべてこれは連合軍総司令部にまかされたることだあると言われますが、総司令部はそういつたような点について、われわれにどういう保証を與えてくれておつたか、この点もぜひお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/11
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012・宮幡靖
○宮幡政府委員 個々の場合の保証を與えてあるかないかの実証は、この席でいたす必要もなかろうと思いますが、すべて占領下にあります日本に代位して、国際関係を処理してくれるのは総司令部であろうと思います。従つて日本に代位いたしまして国際的関係を処理しております関係上、條約、法令というものは、現在政府といたしましては有效であると考えるのが、常識的でもあり、事実でもあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/12
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013・風早八十二
○風早委員 常識的であるといつて、そんな道義的な保護にわれわれが安心して身をまかせるわけにはいかないと思う。これは日本の商社全体の運命の問題であります。今までわれわれは実例を知つておる。貿易なんかでいろいろクレームをやります。これは日本において正当な権利を主張しておるわけです。おそらく東南アジア方面——これはポンド地域でありますが、約八十億というものがクレームになつておる。しかしこれはみな却下せられておるというような実情であります。この工業権保護の同盟條約に列挙してありますところのいろいろな不正行為に対しまして、日本がこれに提訴するという場合におきまして、はたしてそれが受入れられるかどうか。またアメリカ本国に対して提訴するなんと言われますが、われわれがアメリカ本国に実際に提訴すべき手段を持つておるか。これは昨日も私は特に指摘いたしましたが、東南アジアにおいて問題がしばしば起り得るわけです。東南アジアにおいて、日本の商品とアメリカの商品とがぶつかるわけであります。あるいにイギリスの商品とぶつかつた場合に、イギリスなりアメリカの本国に対して、実際問題としてわれわれがはたして提訴し得る手段があるか。これに反してアメリカなりイギリスなりは、この法律によつてきわめて容易に、日本政府にその要求をなすことができるわけです。しかもこれに対する制裁規定なるものは、実に嚴格をきわめて、今まで千円以下の罰金であつたものが、二十万円以下並びに三年の禁錮というような嚴罰、体刑が付されておるということを考えましても、これははなはだ片手落ちではなかろうかと考えるのですが、そういう点について、いかなる根拠で、その保護が考えられておるか。ただ道義的な信頼というのでは安心が行かないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/13
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014・宮幡靖
○宮幡政府委員 道義的な信頼とか何とかいう言葉の問題でなく、敗戰し、占領されておるという嚴然たる事実を否定するわけに行かぬのです。占領された日本に連合国最高司令部が代位して行動しておるということも、嚴然たる事実であります。しかも風早委員のおつしやろうとする根拠は——は昔から私はよく知つておりますので、心持はよくわかつておるのです。初めからクレームのことに関連してお話ししたいのだろうということが頭に浮んでおりましたが、先に申し上げては失礼と思つて差控えたわけであります。盲貿易ではなかなかキヤンセルされた理由をわれわれが把握することができませんでした。それがためにスキヤツプの機関に訴えまして、このクレームを却下されたものもありますが、順次取上げられて来る段階にありまして、私どもとしてもこれも占領下においてはやむを得ない事情の進展であると考えまして、ただこのまま放置することはできないというので、せつかく司令部に向いまして、これはおもに通商官がその衝に当りまして、毎日のように繰返しておるわけであります。しかし工業権の問題につきましては、現在まで現われました実例におきまして、貿易に関するクレームのような状況ではなく、まつたく平等の取扱いを受けておるということが、事実としてあげられておるわけであります。この事実に対して御信頼いただく以外に、ただいまではこれ以上の有效適切なお気に召すような御答弁は、ちよつといたしかねる状態にあることを、御了察願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/14
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015・風早八十二
○風早委員 政府は事実としてと言われますが、その事実を示していただきたい。やはり事実上の問題が大事であります。アメリカの商社が日本の商社の権益を侵した場合におきまして、実際に日本の商社のためにこれを守り得たという事実関係を若干実例をもつて示していただきたい。要するに事実上の関係において平等な関係が設定せられたとなるならば、話は別であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/15
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016・宮幡靖
○宮幡政府委員 実例を示せというお尋ですが、できれば実例を示した方がよろしいのでありますが、アメリカが日本の工業所有権を侵犯したという実例が、ただいま上つておらないのでありまして、これはとにかく平等に扱うものであるということの話合いは完全に進んでおります。特に日本人の商標等のごまかし行為が再現したというようなことが、向うのニユース・ウイークという一月九日付の新聞にも出ておりました、ジヤパン・トリツカリー・アゲンと言うのですか、日本人のごまかし行為再現というので、どうも日本人がマークをごまかしたり、工業権を侵犯したりする行為がある。こういう行為によつて日本の商品が再び国際市場を荒すのではないかという意味の記事が出ておりました。これらから考えましても、むしろ日本の方が国際信用を高め、貿易の振興をはかろうという立場から考えますと、今までありました不完全な不正競走防止法にまさる、少くとも国際的な水準にまでこの不正競争防止法を改正するのが適切であるということは、單に司令部の考え方であるのみならず、日本政府としても考えて、ここに提案したような次第であります。実例につきましては、ただいま申し上げましたように、相手国のアメリカが日本の工業所有権を侵犯した、これを不正に使用したというような事実を、ただいままではとらえておりませんので、この事実の御指摘は困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/16
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017・風早八十二
○風早委員 守られておるというその事実のことを言つておるのでありまして、向うが侵犯して日本の商社の権益が実際に守られたという、そういう実例がなければ話にならない。その実例がまだないということは、これはあり得ないと思うのでありますが、しかしそういう場合は非常に少いだろうと思う。というのは向うは資本が大きいのです。こちらはどうしても中小が大多数でありまして、結局は国際大資本と日本の中小の資本との関係になる。ことに輸出貿易の面におきましては、これがしばしば問題になるわけであります。向うは何とか言つては、日本がダンピングをするとか、商標をごまかすとか、その他等々と、いろいろ難くせをつけて来るわけであります。もちろんそういう不正行為があるならばいけない。しかしそうならざるを得ない非常な不平等な資本の関係がある。この前提に立つて実際問題を考えて行かなければならない。そうした場合、この法律を嚴重に適用して行きますと、日本の方ばかりびしびしと取締られて、向うを取締るというような機会もなければ、機会があつても、それは事実上行えない。今までそういう実例はないのだということになれば、実際の効果としては、日本の商社だけを取締る法律であるということになつて、国際條約でも何でもない。事実上一方的な日本の商社の取締法ということにならないでしようか。そういう点で、この工業権の保護の同盟條約というふうなものは、これは現在では実際は空文なんです。非常に一方的なものです。相互に対等な関係がありまして、両方とも問題があつて、両方の権益をお互いに擁護し合うということができる場合においてのみ、こういうものを妥当とするのでありまして、それ以外の場合において、現在のような不平等な国際関係のもとで、わざわざこれを日本の政府が自発的にやられるという趣旨が、どうものみ込めないわけです。そういつた点についてもう少しはつきりした根拠を示してもらいたい。日本の商社に対して安心の行くような根拠を示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/17
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018・宮幡靖
○宮幡政府委員 アメリカに実例がないから、このことは相互に平等であると言つても、必ず行われないであろう、不平等な待遇を受けるであろうという断定的御意見のようでありますが、それは御意見として承つておきます。現在実例がないから、事実が起つたときには、必ず風早さんのお話の通りになるだろうとは、私は承服しがたい点であります。それから日本の商社だけに取締法的なきついものになるというお話は、これは一つの見方として御意見としては拜聽いたしますが、ただいまニュース・ウイークの実例をお示ししましたように、日本の商標のごまかし行為が再現するであろうというようなことが、アメリカ及びアメリカの関係諸国の中に流れておる実情の中において、日本が不正競争防止法の取締りを強化したという事実が、もし伝わつたといたしまするならば、これは国際信用の上に好影響があり、貿易の振興の上にも好影響こそあれ、これが国際信用を下落したり、国際的な貿易を阻止したりする理由にはならないものと考えまして、その効果に多大の期待をかけてあるいは御意見のように、日本人ばかり片手落ちな取締りになるというようなことがあるかもしれませんが、この点はあなたの御意見として政府は承つておきますが、これはやはり司令部のメモランダムに基き、国際情勢を勘案し、政府の信ずるところから行きますと、この改正が妥当である、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/18
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019・風早八十二
○風早委員 手元に配付されてあります司令部の覚書なるものは、きわめて一方的に問題を提出しておるのではないかとわれわれは解釈しておるわけであります。その中にアメリカの商社が日本の商社の権域を侵した場合のその用意がどこにあるか。これはまつたく一方的に、最初から日本は不正競争をやるものであるというふうにきめてかかつて、これを早く取締れというのであるが、今までの取締法も現にあるのでありまして、それ以上にまた嚴罰をもつて取締れという一方的なメモランダムを、そのままのまなければならない理由は、われわれ国会としては受取りがたいわけであります。政府はそういうようなものを参考として受取られるでありましようが、われわれ国会としては、そういうものは受取りがたい。この点について政府としては、国会に対して、どういう説明をされるつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/19
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020・宮幡靖
○宮幡政府委員 国会に対しまする説明は、終戰後の新しい憲法に基きまする国会の運営の次第によりまして、また国会に生れました慣例に従いまして、法律案を提案いたしまして、御審議を願つておるわけでありますが、ただ司令部のメモが一方的であるという御意見に対しましては、現在の国情からいたしまして、政府として答弁の限りではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/20
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021・風早八十二
○風早委員 私はここに重大な問題があると思う。政府は、メモランダムというものを、わざわざわれわれの手もとに配付せられ、それがあたかも絶対至上のものであるかのごとくに考えておられる。しかしながらわれわれは、今政務次官が言われたように、新憲法に基いて国会の審議権というものがあると思う。でありますから、もしわれわれがこのメモランダムの趣旨に反した——たとえば私が今いつているような、そういう決議をした場合において、政府はどういう態度をとりますか。少くとも現行法でよろしい、こういう嚴罰をもつて一方的に日本の商社の取締りをやるような法案には反対である、こういう決議をした場合に、政府はどういう態度をとられるか。その場合に国会の審議権とメモランダムとのどつちを一体とられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/21
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022・宮幡靖
○宮幡政府委員 討論でありませんから、議論はいたしたくないのでありますが、風早さんが一人で反対とおつしやつても、私は国会の意思とは思いません。国会の意思というものは、本会議なり、委員会なりにおいて議決された場合において、初めて国会の意思が確定されるものだと思います。従いまして、否決されたら否決されたで、この法案が成立しないだけのことでありまして、可決されれば、この法案が成立し、実行されることになるのでありまして、あなた一人の御意見をもつて国会の意思だとは、政府は断じて思つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/22
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023・風早八十二
○風早委員 そうなれば、メモランダムというものは、單なるメモランダムでありまして、別に資料として十分に読ませていただきますが、しかし何かメモランダムが出たからというようなことは、もはや理由にならないわけですね。この法案そのものの内容からしまして、われわれは卒直に審議をしていいわけですね。その点は今さら申すまでもないことであるが、しかしながら政府は、あたかもメモランダムというものをたてにとつて、いやでもおうでもこれを承認せざるを得ないという形で来ておられるように見受けるから、私は特にその点をお尋ねするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/23
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024・宮幡靖
○宮幡政府委員 念のために申し上げておきますが、国会の審議権は否決も可決も御自由であります。それをメモランダムで拘束する意味で資料として配つたのではございません。政府は、総司令部との折衝におきまして、メモランダムあるいは口頭等において、交渉を続けるということは、終戰後慣例となつておりまして、あえてここに説明を要しないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/24
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025・風早八十二
○風早委員 今のお説ではつきりわかりました。メモランダムというものは、ただ一ぺんの資料であつて、われわれとしてはそういうものに関係なく、本案が実際国民生活、日本の経済にどう関係があるかという点から、卒直に審議し、かつ決議をする権限がある。ところが今までそういう国会議員に対して影響を與えようとするようなところが実際見えるから、私は言つておるわけであります。今の宮幡政府委員の御答弁で安心いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/25
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026・神田博
○神田委員長代理 これで本案に対する質疑は終了いたしました。討論採決は次会に行うことといたします。
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027・神田博
○神田委員長代理 次に中小企業協同組合法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑に入りますが、この際特に委員長からお諮り申し上げたいと思います。特別鉱害臨時復旧措置法案に対する小委員会を、今この常任委員会開会中でありますが、開会したいという申し入れでございますがこれを許すことに御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/27
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028・神田博
○神田委員長代理 それではさようとりはからいます。風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/28
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029・風早八十二
○風早委員 委員長に御相談しますが、もう三人、四人になつてしまつているのですが、これでやつぱりまともに審議するおつもりですか。この点ひとつ皆さんにお諮り下さつて、やはりやるというならば、私はそれに従います。定足数などは問題外としましても、あまりこれではめちやだと思います。今日は特に中小企業の運命に非常に関係する協同組合法の改正問題が、議題になつておるのでありますから、ひとつこれで打切つて、あらためて、多数が御出席の場合やるということを私はここに希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/29
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030・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 お答えします。ただいま神田委員長代理からお諮りしたときに、常任委員会の開会中に小委員会を開くのだからということをおことわりしてあります。従つて小委員はやはり常任委員の方が御出席になるのでありますから、勢い少数になることはやむを得ない。それを御承認になつたのでありますから、このままで継続することにいたします。
〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/30
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031・風早八十二
○風早委員 ちよつと今の議事進行について。今休憩という声もありまし、前の委員長が言われたことはよくわかります。今の委員長の言われたこともわかりますが、実際こうなつてみると、あまりにわずかになつてしまう。並行審議ということはできないわけはないのですが、事実こうなつてみますと、はなはだどうも意味がないように思うのですが、それでもなおおやりになるというならば、さつそくやります。これは委員長におまかせいたしますが、もう一度、今休憩の声もありますから、お諮り願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/31
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032・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 ちよつと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/32
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033・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 速記をとつてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/33
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034・風早八十二
○風早委員 それでは質問に入ります。本改正案は、基本的な修正でもないのでありまして、その修正点だけをとれば、あまり問題はないとわれわれも考えております。しかしながら、問題はやはり本法そのものにあるのでありまして、一体この協同組合法なるものが施行せられまして、まだ日は浅いといえば浅いのでありますが、その間に実際どれだけの役割をこの協同組合法等が果して来たか、この法案によつてどれだけの効果が実際あがつたか、そういう点をやはり私どもはこの際重視したいと思います。今度の改正がほんの部分的な、あまり基本的でない点にとどまつているだけに、なおその点についてひとつ伺つてみたいと思います。というのは、今まで、特に商業部門でありますが、商業部門につきましては、公団が廃止される、統制がいろいろ撤廃される、こういうことに伴いまして、あるいは都市と農村、また生産面と流通面、こういうふうな面の流通の結節点というものが、やはりそこに欠けて来ているわけです。そういう点で、その結節点をどういうふうにつくり出すか、その場合において、協同組合というものが一役果すことになると思うのでありますが、この協同組合というものの役割には、またおのずから限界もあります。われわれが今まで、まだ浅い経験でありますが、本法ができてからこのかたの実績というものは、われわれの見るところでは、あまり効果をあげていないように考えられるのでありますが、そういう大きな観点に立ちまして、そういう流通の結節点として、どれだけの役割を実際果して来たかについて、簡單にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/34
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035・宮幡靖
○宮幡政府委員 お尋ねの点は、非常に高踏的な、中小企業に対する協同組合の効果ということの問題であろうと思いますが、お説のように、まだ発足いたしまして十箇月程度にしかならぬのでありまして、実効をそれぞれ収めるというところまでは参つておらないことは、御指摘の通りだと私も考えております。しかしながら、この中小企業協同組合法なるものの趣旨は、自由経済へ移行しようという段階におきまして、協同組織によりまして、お互い業者が相助け合うという根本趣旨を初めといたしまして、法律の中に盛り込まれております各條を検討いたしまして、現下適切なものである、かように考えております。昨年の暮れの調査によりますと、事業協同組合として設立しましたのは、千八百九十六、企業組合として発足いたしましたものが三百九十四ございます。なおこのほか、市街地信用組合の信用協同組合への移行、あるいは内認可を與えた最近急速に認可手続の進んだ、新たなる信用協同組合の組織等も順次できつつあります。四月一日を目途として発足いたしますものも相当数ありますので、これらの数から考えますと、相当の効果が将来期待できると思うのでありますが、今日までは、法を施行いたしまして、かようにかくかくというように、手柄として御報告するような資料を持つておらないことは遺憾であります。これは、将来法律の運用におきまして、実施面において、十分立法の趣旨を沒却しないような効果をあげるように、各関係省とも連絡をいたしまして、努力して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/35
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036・風早八十二
○風早委員 一方において問屋資本の関係を見ますと、やはりその組織もまた機能も非常に崩壊しつつあるように、見受けるのです。私ども、中小企業庁にも参りまして、実際問屋関係の実態はどうなつておるかということを聞きに行くのでありますが、目下まだ調査中といわれて、いまだわれわれの手元には資料は来ておらないのでありますが、目下まだ調査中といわれて、いまだわれわれの手元には資料は来ておらないのであります。その間におきまして、いろいろ巨大なメーカーというものが、直接に生産の方を支配して行く。これは肥料の場合でも、あるいは石油の場合でも、また最近では米とか繭とかそういう面でも、非常にそういう手が伸びておると思います。これらが現在全体としてどういうふうになつておるかということについては、その後いささか時間もたつておりますので、中小企業庁関係でも、相当お調べが進んでおると思うのでありますが、これは協同組同と密接に関連して、両方が相まつて行かなければ、やつて行かれないような現状であろうと考えるのでありますが、その面からも、ひとつ実態を簡單にお伝え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/36
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037・小笠公韶
○小笠政府委員 ただいまのお話の、流通面と生産面の結節点、特にその面から見た問屋機能の問題のお話がございましたが、問屋機能の弱化ということが、従来言われております。この問屋機能の復活と申しますか、強化というものが、中小企業の問題と関連して考えなければならぬことは、お話の通りだと実は考えておるわけであります。ただ問題は、問屋制度の復活につきましては、業種、業態の関係を十分に考えまして、同時に問屋制度の弊害をできるだけためて行くというふうな方向に持つて行かなければならぬと考えております。この問屋制度がだういうふうな実態にあるか、またさらに大きなメーカーの販売面への進出がどういうふうな形になつているか、その実態についてのお尋ねがあつたわけでありますが、実は中小企業庁といたしましては、先般来問屋の問題を中心にいたしまして、実態調査を進めておるわけであります。まだその結論を得ていないのですが、そう遠くないうちに結論が得られる運びになつております。大きなメーカーの販売面への直接の進出という面につきましては、まだはつきりした実態をつかんでおりませんが、できるだけそういう面をも考えつつ、相対的に、流通面の復活と申しまするか、適正化をはかるように、実は考えておるわけであります。お尋ねのような点に対する具体的な資料というものは、まだつかめていないことは、まことに遺憾に考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/37
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038・風早八十二
○風早委員 私は今、これは中小企業庁のお考えと非常に近い考えになるかもしれませんが、この問屋資本の役割といつたものは、今これを全然つぶしてしまうわけには行かないと思うのです。政府は問屋資本に対していろいろな援助を與えるということを、この間も池田通産大臣も言つておられましたが、それらを全面的に復興して行くという意味ならば、これはむろん反対ですが、やはりどうも問屋でなければやれないような役割がまだ残つておると思うのです。そういう点で、いろいろむずかしい問題があると思うのです。つまりどうしても残さなければならないというのは、なぜかということがやはり問題になると思う。私はよくわからないので、卒直にお尋ねしたいのです。つまり問屋というものと協同組合というものとどういう関係で、実際お互いに関連するか、これを一、二の特徴的な実例をもつて話していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/38
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039・小笠公韶
○小笠政府委員 具体的な例として最近の事情をつかんでおりませんので、少し古いかと思いますが、戰前におきまして日本からおもちやというふうなものが、江東地帶その他で相当たくさん輸出されたことは御承知の通りであります。この家内工業的な生産品というものが、いわゆる問屋を通じて集荷される。あるいはおもちやの部品が生産されて問屋のところに集荷されて、そこで一つの商品にして出されて行くというふうな機能があり、またこれからぽつぽつ盛んになるつりざおを考えてみましても、つりのさおとテグス、うき、はり、それぞれメーカーが違う、それを各方面から問屋の手に集めて、一つのつりざおとして、商品の価値が出て来るという作業形態があるわけであります。そういうふうな形態のものにつきまして、問屋制度というものがあつた方がいいということは言えると思うのです。しからばこの問屋と協同組合との関係はどうなるかというお尋ねだと思いまするが、最近の新しい協同組合法におきましては御承知の通りに、前の商工協同組合のように、きびしい限定がないものですから、何人ででもつくれる、好いた者でつくれるというふうな形になつております。従いまして、問屋を中心として下請のそういう連中が一つの組合をつくつて行くということも、形として可能であります。また問屋は別にいたしまして、その下請の小さな部品メーカーだけが組合をつくつて、問屋との交渉というか結束に当るという形も可能であります。そういうふうな形が今度の協同組合においては自由につくれるので、縦にあるいは横につくることによつて、一つの経営單位というものがはつきりして来るというふうな効果を持つであろうと考えておるわけであります。具体的なこまかな例は、今即刻にちよつと思い出せないのでありますが、今申し上げましたような業種部門が相当たくさんあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/39
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040・風早八十二
○風早委員 今のはやはり問屋が、協同組合の一つの構成部になるというような場合について言われたわけですが、これはもう少しよく問屋の実態を、各業種別に資料を出していただきまして、その上でわれわれも考えてみたいと思います。
次に、問屋に対して、政府がいろいろな援助を與えるというような政策を一部漏らしておられますが、協同組合に対して援助される場合においては、その問屋を通じてやられるというわけですか。一般のメーカーに対する援助を、中小の場合にはやはり問屋を通じてやるというのが、政府の御趣旨であるように考えるわけですが、協同組合に対しては、問屋との関係ではどういうふうになり、またその優先順位といつたようなものは、どういうふうになるか、またその順位だけでなしに、実態的にどういうふうに、実際にこれに保護、援助を與えて行くか、そういう点をひとつよく説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/40
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041・小笠公韶
○小笠政府委員 協同組合の結成の問題と、問屋との関係は、必ずしも一般論としては同じものではないというふうに、実は考えているわけです。協同組合というものが相互扶助機関として立つて行く。それに対して政府はこれの円満な運営を指導する、あるいは企業の経営規模を引上げるための施設をやつて行くというような、いろいろの手を打つて行くわけであります。問屋の問題につきましては、風早さんもお話の通り、業態々々によつて違つて来ると思います。従つて問屋と協同組合というものは、必ずしも相互関係を持つものでもなし、またあるいは択一的にいずれかをとるというような、はつきりした関係はない。一般論として協同組合制度によつて、経営の規模を引上げて行く場合が多いと考えておるのであります。極力これが指導育成をはかつて行きたいというふうに、実は考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/41
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042・風早八十二
○風早委員 たとえば公団が廃止せられる。今まで資材の配給なり割当なり、そういうようなものにつきまして、やはりそれでもつて大なり小なり統制が行われたわけでありますが、そういうものははずれるということになりますと、その間隙に対して協同組合というものが、やはり主として役割を演ずるのかどうか、そういう場合に政府はどういう援助を與えるか、今までたとえば商工中央金庫なんかも実際において中小金融というものも、ろくにやつていないというのが定評だつたのですが、われわれそういう場合に今度の問題として、政府はどの程度まで実際腰を入れてやられるつもりであるか。それから協同組合の育成については、どういうふうな影響になつて来るのか、その点少し数字的にも具体的に、ひとつ話してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/42
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043・宮幡靖
○宮幡政府委員 残念な申分でありますが、お尋ねの点は、数字的に示せということもありましたが、あまりはつきりせぬのでありまして、答弁の方向がお考えと違うような向きに参るかもしれませんが、あらかじめ御了承願いまして、もし方向が違つておりましたら、重ねてお尋ねをいただきたいと思います。この公団等を廃止し、統制が撤廃せられて来た場合の協同組合のあり方というようなお話がありましたが、私どもの方では協同組合組織というものは、あくまでも組合員の相互扶助の機関でありまして、これが国の統制機関であるというような見方は、毛頭いたしておらないわけであります。御指摘の商工中金の機能が協同組合及び中小金融のためには、非常に冷淡であつた。この点も見方によりまして一面の真理と私どもは考えます。これにかんがみまして、今度商工中金の機構を飛躍的な改革をいたしまして、順次設立して参りますところの協同組合を中心といたします各種の組合に、万遺憾ないところの金融措置を講じて行きたい。しかしこれもやはり政府が補助するとか何とかいう根本観念でなく、その協同組合が自主的に運営する資金の供給に事欠かない、かような面に持つて参りたいと思うのであります。なお問屋の問題につきまして小笠長官との間に、お話があつたのでありますが、私どもの考えといたしましては、統制経済の強化せられるといいますが、嚴重に行われておりました当時は、問屋業というものの存在は許されないものではなかろうか、これは蓋然論でありまして、絶対という言葉は申し上げかねますが、許されないのではないか。初めて自由企業に移りかわりますので、問屋業というものが、これから生れ出るのではないか。この問屋業が極端になりますと、あるいは御意見の中にあるのかもしれませんが、多少の弊害もあろうと思います。先ほど長官の説明しましたように、部分品を集めまして完成製品にするというような操作は、やはり問屋制度の特徴でもあります。問屋制度につきましては、格別政府はこれを取上げまして、ことさらにそれを育成しようとは考えておりませんが、通常の自由主義の経済面におきましては、勢い問屋というものが自然的に必要になつて来るであろう。この場合に一応十数年間にわたつて、その機能を停止したような形にありますものについては、まずもつて仲介的な域にありますので、右にも左にも資金をととのえなければなりませんので、昨年八月の末と思いましたが、御承知のように、初めて問屋業を金融の対象として取上げております。すなわち融資準則のわくをかえまして、今まで甲、乙、丙といつて、問屋業には金融のわくが非常に少くて、しかもたしか丙というような最低の取扱いを受けておりましたが、これを廃しまして、乙類に引上げまして、問屋業も所要の資金が、みずからの受入れ態勢を整えて要求せられましたものには、コマーシヤル・ベースによりまして、資金の供給のできるような手配をいたして参つたわけであります。現段階においてはさようなことで、あるいはお尋ねとは方向が違つた答弁かもしれませんが、もし足らないところは重ねてお尋ねをいただきたい思いとます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/43
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044・風早八十二
○風早委員 私が全体としてお尋ねしたいのは、やはり公団が廃止せられる、統制が撤廃せられる、それで今まで公団が持つておつた役割——もちろん公団にはまたいろいろな弊害が多々あつたのでありますから、とにもかくにも公団が持つておつたその役割を、今度はどういうふうにして、何が果すのか、そういう点がお聞きしたかつたわけです。そういう点で、協同組合だけを考えるわけに行かないので、私は問屋ということも考えてみたわけです。それらと関連して、問屋なり、協同組合なりが、今の公団の役割の代替になるのか。つまり流通と生産、あるいは都市と農村、こういうものの結節点になるものは一体何であるか。こういうものがなければ、がたがたでありまして、今実はそのがたがたの過渡的な状態ではないかと思うのですが、そのために実際円滑に流通されるものも、またされないといつたような面もありはしないかと思いますが、実際滯貨の一部はそういう点からも出ておるのではないか。そういう意味で、今後はどういう機関が、どういう形で果すというように考えておられるのか。一応協同組合、問屋と離れてもいいですが、できるだけそれらに即して、政府は一本どういう考えを持つておられるのか。ただ公団を廃止しつぱなしということはないと思うが、その点をざつくばらんに、専門家がおられましたら、専門家の方からひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/44
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045・宮幡靖
○宮幡政府委員 よくわかりました。公団も廃止され、まつたく自由企業へ完全に移る時期も近く参ろうと思いますので、その場合には、御承知のように、小売業、卸売業、問屋業、こういうものが連結いたしまして、生産者と消費者の間を操作して行く、協同組合も特定の範囲の組合員を限りましては、この機関のあるいは卸に該当する場合もありましようし、小売業に該当する場合もあろうと思いますが、商品の流通につきましては、近く国会の御審議に訴えようと思います商品取引所の復活をいたしまして、品種ごとに取引所を開設いたしまして、おもに先物取引をいたしまして、この流通の基本的なもの、これに対しましては、農林省関係には農産物のものも、これは援助資金からつながりますので、操作面においては非常な困難も起ろうと思いますが、あらゆるものを排除いたしまして、都市と農村といいますか、消費者と生産者、この連結をきわめて円滑にして参りたいと考えております。
また公団が全部廃止されます前提準備といたしまして、一応援助物資の操作につきましては、四月一日から臨時通商業務局というものを発足することは、これは予算もすでに衆議院を通過いたしておりますし、その設置法につきましては、近く御審議を願うことになります臨時通商業務局におきまして、援助物資に対します業務を臨時に行つて参りたい。あるいは公団廃止の過程におきまして必要がありました場合には、援助物資以外のものも、完全なる商、工、農各部門の事業分野の育成のために必要とあるならば、それらもさらに考えてもよかろう。かようなつもりでただいまいたしております。公団の跡始末のようなものは、臨時通商業務局、商品の流通につきましては、商品取引所等を復活して、問屋業、卸業、小売業というものの自然的な復活によりまして、これを果して参りたいと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/45
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046・風早八十二
○風早委員 そうすると、大体商品取引所が復活せられて、そういうものが、協同組合といわず、また問屋といわず、それらの元締めのような結節の役割を果す、こういうふうに理解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/46
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047・宮幡靖
○宮幡政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/47
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048・風早八十二
○風早委員 そうしますと、もう一点だけ伺います。これは最近新聞紙上で見ただけでありますが、協同組合にもいろいろ相当税金がかかつているでしようが、要するに中小企業者は税金で非常に困る。これは御多分に漏れないところでありまして、いまさらここでそのことを言いたくはないのでありますが、それに対しまして、中小企業者が相集まつて協同組合をつくり、それで結局はサラリーマンになつてしまう。そこで税金が今度は勤労所得税になる。そうなれば、格段に安くなる。こういうふうなことをして、せめても当面の困難を打開して行こうというようなきわめて悲壮な事実があると思うのです。こういつた場合に、税金というものは、その協同組合にどういう形でかかつて来るのか。今まで勤労所得税でなしに申告税で拂つておつた。そういう点が今度は相重なつて、協同組合といつたようなものにぽんとかかつて来るのか。そういう点はひとつ税金の専門家である宮幡政務次官に特にお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/48
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049・宮幡靖
○宮幡政府委員 これは実になごやかなお尋ねで、中小企業協同組合法に基きます組合としまして、ただいまのような関係になりますのは、私の知つております範囲では企業組合だけだと思つております。企業組合は勤労者の寄り集まりというものでありますから、これは課税の方法としましては、勤労所得として課税します。企業組合には当然留保金のない限り、課税にはならないと思います。たまたま税のお話になりましたので、現在通商産業省として——これは現段階におきましては、大蔵省には相当異論があるかと思います。しかし通商産業省、特に中小企業所として、長官とも機会のあるごとに想を練つているのでありますが、中小企業に対します税金には、特段の税率を適用することが至当であろうと、私どもは考えております。これは戰前におきましても、たとえて申しますと、資本金十万円以下の法人に対しましては税率を五%軽減するとか、場合によりましては、半減するとかという措置があつたのであります。それでありますから、当然現段階に対します中小企業を取上げまして、もしこれを巷間伝えておりますような危機だといつて勘案いたしますならば、これに対します措置といたしましては、まず現在でいえば資本金三百万円、年間売上げ千万円未満くらいな程度の企業に対しましては、現在の法人税三五%を二〇%に軽減するというような措置を講ずべきである。また所得の段階につきましても、中小企業に属します二十二万円以下の所得、三十五万円以下の所得、かようなものにつきましては特別の軽減税率を設けまして、中小企業の対策として参りたい。この点をわれわれの方の中小企業の対策といたしまして、ただいま練り上げまして、せつかく政府部内で交渉中でありまして、ぜひとも国会の御支援によりまして、この中小企業保護のための格段の税率を設けたい。かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/49
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050・風早八十二
○風早委員 今度は大蔵委員でなく、通産政務次官たる宮幡政務次官から非常にけつこうなお話を承りまして、はなはだ慶賀にたえない次第であります。この中小企業者がやはりああいう協同組合組織に結集して、とにかく何とかして実際の営業に参加してやつて行く活路として出ておるようなわけでありまして、これに対して税金の面でも、特段のいろいろな考慮をされるということは非常にけつこうだと思います。そこで最後にもう一点だけ、都市の協同組合と、農村のいろいろな生産、特に米にしても繭にしてもそうでありますか、そういつたようなものとの流通を結節するという問題も、もう当面実際問題として出て来ておるのじやないかと思うのです。米にしてもだんだんやみ米とマル公との幅が狭くなり、場合によつてはやみ米の方がマル公を割るといつたような事態も、一部には出て来ておるようなことも聞いておりますので、結局そうなれば米にしても統制をはずすということも起らないとも限らない。政府もそう考えておると思う。やはり農村におきましても協同組合の組織というようなものは、非常に重要になつて来やしないか。そういう点で特に農業協同組合ということについては、何らかの抱負もあられると思いますが、この点をひとつ最後に伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/50
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051・小笠公韶
○小笠政府委員 都市と農村との交流を円滑にするという問題につきましての、組合の関係でありますが、この新しい協同組合におきましては、他の法制による協同組合、農業協同組合、水産業協同組合というふうなものとの連合体を認めておるわけであります。この連合体を認めることは、縦横に組むことによつてその連絡をよくして行こう。こういうようなことに実は法制上仕組まれておるわけであります。これは従来の各種組合が同じ系統のものしか連合会を認めていなかつたというのは、この中小企業協同組合との差異の大きなものの一つだと思います。こういうことによりまして今後各方面との事業上の提携あるいは事業上の連絡をはかつて、そこに物資の交流の円滑化をはかつて行くというふうなことを期待しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/51
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052・風早八十二
○風早委員 これで一応私の質問を終りますが、今の運用の実態調査の資料というようなものも、近いうちに出て来るというお話でありますから、それらを十分に勉強しまして、また質問をあとで補充するということがあり得ると思うので一応保留いたしまして、私の質問はこれで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/52
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053・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X02119500317/53
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