1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年三月七日(火曜日)
議事日程 第二十号
午後一時開議
第一 外航配船促進に関する決議案(星島二郎君外五十六名提出)(委員会審査省略要求事件)
第二 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 農産種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第五 農業改良助長法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第六 公職選挙法案(選挙法改正に関する調査特別委員長提出)
第七 公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令の整理等に関する法律案(選挙法改正に関する調査特別委員長提出)
第八 社会保障制度審議会設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第九 日本国憲法第八條の規定による議決案(内閣提出)
第十 持株会社整理委員会令第二十三條第六項の規定に基く、昭和二十三事業年度持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその譲受けたる財産に関する財産目録及び收支計算書
第十一 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、電気試験所熊本支所設置に関し承認を求めるの件
第十二 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、日用品検査所の支所設置に関し承認を求めるの件
第十三 船舶運営会の船員の退職手当に関する交付金を船舶所有者に交付する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第十四 水先法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
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●本日の会議に付した事件
図書館運営委員長辞任の件
常任委員長の補欠選挙
日程第一 外航配船促進に関する決議案(星島二郎君外五十六名提出)
日程第二 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 農業災害補償法第十二條第三項の規定の一部を除外する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 農産種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第五 農業改良助長法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第八 社会保障制度審査会設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第九 日本国憲法第八條の規定による議決案(内閣拠出)
日程第十 持株会社整理委員会令第二十三條第六項の規定に基く、昭和二十三事業年度持株会社整理委員会経費収支計算書並びに譲受財産及び過度経済力集中排除法第七第二項第五の規定に基きその譲受けたる財産に関する財産目録及び收支計算書
日程第十一 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、電気試験所熊本支所設置に関して承認を求めるの件
日程第十二 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、日用品検査所の支所設置に関し承認を求めるの件
日程第十三 船舶運営委員会の船員の手当に関する交付金を船舶所有者に交付する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第十四 水先法の一部を改正する法律(内閣提出、参議院送付)
午後一時四十一分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/0
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001・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/1
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002・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 先般、わが国国会議員一行がニユーヨーク州議会を視察するにあたり、同州議会は共同決議をなし、マツカーサー元帥あて送付せられ、総司令部民生局長ホイツトニー准将より議長に伝達せられました。右共同決議の要旨は次の通りであります。
ニユーヨーク州議会は、日本国国会議員団の視察に対し、衷心より歓迎の意を表するとともに、同議長団に対する援助提供を惜しまざるものなることを表明するものである。
右御報告申し上げます。
なお本件に対し、議長はニユーヨーク州議会の好意に対し深甚の謝意を表する旨、ホイツトニー准将に伝達方を依頼することといたします。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/2
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003・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) お諮りいたします。図書館運営委員長早稻田柳右エ門君から委員長を辞任したいとの申出がありました。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶものあり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/3
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004・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/4
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005・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) つきましては、この際図書館運営委員長の補欠選挙を行います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/5
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006・山本猛夫
○山本猛夫君 常任委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/6
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007・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/7
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008・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長は東井三代次君を図書館運営委員長に指名いたします。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/8
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009・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/9
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010・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
日程第一、外航配船促進に関する決議案を議題といたします。提案者の趣旨説明を許します。有田喜一君。
〔有田喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/10
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011・有田喜一
○有田喜一君 私は、ただいま議題となつております、共産党を除く各党共同提案にかかる外航配船促進に関する法律案の趣旨弁明をいたしたいと存じます。
まず決議案を朗読いたします。
外航配船促進に関する決議
日本船舶による輸出入物資の輸送は、わが国国際收支の改善、延いては自立経済達成のため、はた又民間貿易実施上、不可欠の前提條件である。殊に現下直面せる国内海運市場の危機突破のためにも、邦船の商業的ベースによる外航配船は刻下焦眉の急務である。
よつて政府は、邦船の商業べースによる外航配船促進の意義と重要性とを認識し、これが早急実施のため最大の努力を拂われんことを要求する。
右決議する。
以上の通りであります。
御承知の通り、わが国は四面環海にして、しかも資源乏しき四つの小さな島に、八千万に余る厖大なる人口を擁しているのでありまして、わが国の経済は、いわゆる海を越えた再生産、すなわち貿易に依存しなければ、国内における生産も雇用も縮小し、その経済循環はきわめて小規模となり、平和的にして文化的なる国民生活は、とうていこれを維持することができないのであります。ところが、この貿易の先駆となるものは言うまでもなく海上輸送であり、したがつて、わが国海運の隆替いかんは、実にわが国の死活を決する重要問題であります。(拍手)もし、わが貿易が外国の商船隊にのみ依存するならば、單に運賃の支払い増加を見るばかりでなく、原材料の買付にいたしましても、製品の販売についても、常に外国の産業政策ないしは海運政策に左右されまして、とうてい所期の効果を收め得ないことは火を見るよりも明らかであります。
古来、貿易は国旗に従うと言われておりますごとく、貿易の発展伸張には、自国商船隊の先駆的活動が必至の要件であります。また国内資源乏しきわが国は、原材料を海外に求むるよりほかに道なく、従来とも、わが貿易は輸入超過をたどつて来たのでありますが、ことに戰後は、朝鮮、台湾、樺太等の喪失により、一層この傾向を顕著ならしめておるのでございます。この貿易のアンバランスは、移民の送金、海外投資による收入等が期待できない今日、必然的に海上運賃にまつの外はないのであります。
戰前のわが海運は、七つの海に雄飛し、保有船腹量六百万総トンを越え、実に世界第三位を占め、その質的に優秀なる事は世界に冠たるものがあつたのでありまして、貿易の発展に寄與いたしましたことはもとより、いわゆる第三国間貿易輸送にも従来して、国際收支の改善の上にも、まことに重要なる使命を果して来たのであります。
平和時代でありました一九三〇年ないし三四年におけるわが国の輸入超過額は、年平均七千六十四万円であつたのでありますが、その間における海運收支は、年平均一億百七十数万円の受取超過となつており、優に海運の收入によりこの輸入超過をカバーし得たのであります。しかるに、今日のわが海運は、その本来の使命たる貿易の先駆、国際收支の改善という面では、何らの寄與も貢献も果し得ない実情にあるのでありまして、たとえば一九四八年度の、わが国の貿易收支は、輸入九億ドル、輸出五億ドルで、年四億ドルの輸入超過でありますが、これらの輸入超過は、大部分アメリカ国民の負担によつてまかなわれているのであります。
しかして、その間において海上運賃の占むる割合は、輸出平均五%、輸入平均約二四%となつており、なかんずく輸入基礎物資中に占むる海上運賃の割合は、鉄鉱石、石炭において五〇%、石油六〇%、塩七〇%の高率に上つているのであります。ところが、これら貿易貨物の積載は、その大部分外国船に依存し、戰後の貿易外收支は厖大なる赤字となつているのであります。今かりに、一九四八年度輸出入貿易において、すべてを日本船舶で輸送するとするならば、輸入面において運賃二億一千六百万ドルが節約され、さらに輸出面においては二千五百万ドルの輸出増加となり、入超四億ドルは一億五千九百万ドルに圧縮可能となるのであります。かくのごとく、わが海運の外航配船は、国際收支改善の上に実に重大なる役割をになつているのであります。
しからば、わが国海運の現状はどうかというと、今次大戰で壊滅的打撃を受け、現在では、新造船を含めても、保有船腹量はわずかに百六十万総トンで、戰前の二割五分にすぎないのであります。しかも、その中の七〇%は、国際規格に合わない粗悪な戰時標準船でありまして、あとは船齢二十年以上の老朽船が大部分であります。そこで、外航適格船の拡充整備ということが重大な課題として、目下新造船計画と、改A改装計画が着々実施されつつあるのですが、かんじんのコマーシヤル・ベースに基く外航配船の道が開かれていないため、せつかくつくつた新造船も、活発なる運行ができないという不安が一方にあり、他方には国内的に最近の不景気のため、内航は船舶過剰に陥り、現在、船舶運営会所属船のみでも、約六十三万重量トンの指示待船があり、海運市場にはなはだしき悪影響を與えているのであります。
去る三日、連合国最高司令部の覚書により、多年の懸案であつた民営還元が来る四月一日より実施の運びとなり、我が海運の運行体制は、本来の姿に一歩前進いたしたかの感を與えましたが、その内容をつぶさに検討いたしますと、今回の措置は、單にその勘定が船舶運営会より船主のアカウントに移されただけでありまして、外航配船は依然として置かれているのみならず、内航面においても、今回の措置では、補助金が、船舶建造費に対する金利も償却費も含まない最低額のものであつて、しかも半年先には、さらにこれが減額されることになつているので、船主の停船を希望するものもほとんど皆無になるおそれもあり、かくて内航面における船腹過剰に、一層の拍車をかけようとしているのであります。
海運界の混乱は、さらには造船、港湾の方面にも至大なる影響を及ぼし、これら関連産業に働く労働者の生活をもさらに脅かさんとしているのであります。かくして、外航配船に対する諸制約の撤廃と内航の船腹過剰をどう解決するかということが今日海運界の最も重要なる課題であり、なかんずく外航に関する諸制約の撤廃は、日本経済の安定と自立のため最も喫緊の要務であるのであります。
しかるに、現在日本船舶は、百総トン以上の鋼船はすべて総司令部の監督の下にあり、就航区域、船型、速力等諸種の制限を受けておりますが、外航配船については、被占領国としての国際法上の地位から、一層嚴重な制約を受けているのでありまして、今回の民営還元の措置によりましても、このことは何ら緩和されていないのであります。
現在、総司令部の好意によりまして、ペルシヤ方面からの石油輸送、フイリピン方面よりの鉄鉱石輸送、シヤム、ビルマ米輸送等のため、わが国の貨物船約三十万デツド・ウエート、油槽船二十万デツド・ウエートが外航しておりますが、これらは、スカジヤツプという連合国海軍の日本船舶管理機関の責任と保証のもとに配船せられているのでありまして、商業的べースによる自由な運行、すなわち積荷の獲得についての荷主との自由な契約、外国港における燃料の補給、給水の手配、海外代理店の設置等も全然許されず、まつたく総司令部の手によつて、相手国と折衝して一隻々々の配船を決定し、配船の日取り、運賃その他の運送條件もことごとく総司令部の意思決定にゆだねられ、総司令部の航行証明書の発給を得て、その指定する日取りに基いて初めて航海を実施し得るということになつているのであります。
こういうふうに、現在の外航配給は商業的ベースを欠き、まつたくその自主性が認められておらず、その手続に多大の日時を要する実情でありまして、きわめて不経済な結果を招来し、とうてい私企業として耐え行くことができない実情にあるのであります。もちろん、占領下に置かれているわが国が、ある程度の海運の自由が制約されることは、あるいはやむを得ないかもしれません。しかし、すでに民間貿易は一歩前進し、多年の要望であつた輸出CIF、輸入FOB契約も許可の運びとなつた今日、貿易と唇歯輔車の関係にあり、むしろ貿易に先行すべきわが国の外航配船が、依然としてかかる強き制約を受けていては、貿易の進展に支障を来すのみならず、このままこれを放任せんか、たとい講和後わが海運の自由航行が容認されても、外国船に既成事実をつくられてしまつて、ふたをあけけた時には、もう手も足も出ないということにならないとも限らないのであります。
わが国の商船隊は、かつては海軍力の強化に貢献し、あるいはまた、いわゆるソーシャル・ダンピングという非難を受けたこともあつたのでありますが、すでに新憲法のもと、戰争は一切これを放棄し、新船員法により、国際的標準以上に船員労働の保護をはかつている今日、かかる危険性は絶無となつているのでありまして、このような非難は、まつたく今日当らないのであります。世界民主主義的な見地に基いても、はたまた国際公正競争という立場からいたしましても、わが国海運の制約は一日も早く緩和されるべきものであります。ことにわが国の存立が許されている以上、その生存上絶対欠くべからざる商業的べースに基く外航配船は当然認められてしかるべきであり、かつまた西ドイツにおいては、この制限がほとんど撤廃されているという事実にかんがみましても、形式はともかくとして、一日も早くこの外航配船は容認さるべきものと考えるのであります。よつてわれわれは、ここに政府が、日本船舶の商業ベースによる外航配船促進のために、すみやかに次のごとき七つの條件が充足されるよう最大の努力を拂われんことを要求する次第であります。
その第一は、わが国船舶の航行区域については、いわゆる日本水域以外に出る場合には一航海ごとに連合軍の承認が必要となつておりますが、少くともこれを包括的承認の段階にまで緩和されたいことであります。
その第二は、CTSが現在行つている運賃その他の運送條件の決定をでき得る限り緩和されたいのでありまして、現在CTSの行つている運送契約等の事前承認を事後報告で足りるよう措置していただきたいのであります。
第三には、外国港における食糧入手、燃料、罐水の補給等を自由に行い得るように措置されたいのであります。現在日本船舶が、海外に配船される場合には、往航と復航に必要な全部の食糧、燃料等を積み込まなければならぬことになつておりますが、これは輸送力の面から言いましても不経済きわまるばかりでなく、外地においてそれが比較的安価に入手せられる場合におきましても、その利益を享受することができないのであります。また船舶は、御承知のとおりしけその他の海難に遭遇することも予期せねばならないのでありますが、かかる場合、必然的に食糧、燃料等の不足を来すことも考えられるのであります。これを考えましても、臨機に外国においても、所要物資の補給をなし得るように措置することが絶対に必要なのであります。
第四には、民間貿易の復活と商業的ベースによる外航配船を実あらしむるためには、日本海運業者の外地支店と、出張所の設置が必要であることは、いまさら言うまでもないことであります。もし、その早急実施が困難であるならば、最小限、外国商社に対して代理店を委嘱し得るようにせられたいのであります。
第五には、かりに前に述べましたような條件が満たされたといたしましても、その裏づけとしての外貨基金が存在しない限りは、その実効をあげることはできませんので、外国為替管理委員会管理の海運特別勘定設定等による外貨支拂いの便を、ぜひ購ぜられたいのであります。
第六には、戰前は、わが国貿易輸送量の七五%までが、わが国船舶によつて運ばれていたのでありますが、現在は、わずかに二五%にすぎない実情であります。この積取り割合を、でき得る限り邦船に増大していただきたいことであります。
最後には、わが国船舶に対して、通商航海條約に準じて、最低限これが成立しているとほぼ同一の待遇が與えられたいことを懇請し、連合国の理解と援助とを要請すべきであると存ずるのであります。
以上のごとき條件による、コマーシヤル・ベースに基く外航配船促進は、單にわが海運界の危機突破のためばかりでなく、民間貿易実施の上においても、さらには関連産業に働く労働省の生活のためにも、かつまた国際収支の改善、さらには日本経済自立のためにも、刻下喫緊の要務でありまして、政府はその実現のため最大の努力を傾倒されんことを、ここに強く要求いたしまするとともに、われわれも極力その実現に協力せねばならぬことを強調する次第であります。(拍手)
ここに満堂の諸君がこの決議案に心から御賛成あらんことをひとえに念願いたしまして、私の趣旨弁明を終る次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/11
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012・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) これより討論に入ります。林百郎君。
〔林百郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/12
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013・林百郎
○林百郎君 わが党は、本決議案に対し反対をするものであります。
日本経済再建のかぎである海運産業の平和的復活は日本の国民全体の希望でありますが、これは全面講和の実施による平和産業の無制限拡大と自主的貿易によつてのみ初めて国家の利益のために達成されるのであります。しかるに吉田内閣は、————————。陰でなしくずしの隷属化、軍事化的事実を積み上げているのであります。かかる政策のもとにおいて、かかる事実のもとにおいて、海運業の平和的発展ということはまつたく不可能であるのみならず、かかる事実をそのままにしておいては、いかなる方策を講じようと、そのことは、わが国海運業にとつては、かえつて不利益をもたらすものであると考えるのであります。
戰後四年間、各種企業と同様に、あらゆる海運産業の部分は、吉田自由党内閣の買弁的な海運政策によつて、ますます破局に追い詰められつつあるのであります。外航禁止と荷動きの減退による七十万トンに及ぶ繋船、海の露天商とまで言われている機帆船の危機、極端な造船の集中生産による中小造船所並びに関連産業の壊滅、国鉄独立採算制の維持のために九万五千の人員整理もなお足らずとしてとられた海運国鉄用石炭の陸送移転による中小港湾の決定的な打撃等により、十数万に及ぶ海運労働者は、首切りと低賃金と労働強化で、死活の関頭に立たされているのであります。
わが党は、いち早くこの重大問題に対しまして、昨年末、日本船舶の外国貿易直接参加促進に関する決議案を提出したのであります。しかるに、今回自由党の星島氏等から提出されたところの外航配船促進に関する決議案は、外見はわが党の決議案と同様でありますけれども、中身は実は、衣のそでからよろいが見えるというたぐいのものであります。わが党の提出した決議案は、その冒頭にうたつてあるがごとく、日本経済再建のための海運業の平和的復活のコースであるのであります。
吉田自由党内閣のもとにおいて最近とられている軍事的な、植民地的な色彩のある政策、この一貫した政策のもとにおいて、海運政策のみがその例外であるとは絶対に言えないのであります。すなわち日本産業協会が発表しておるように、国際独占資本のカルテル組織によつて、日本の貿易は思う存分振りまわされておるのであります。また海上の運賃にいたしましたところで、外国の運賃協定によりまつたく圧迫され、悲惨な状態に立ち至つておるのであります。海運、造船業においてもまたしかりであります。米英海運の過剰船腹に影響されまして、五次船、六次船計画も、まつたくたな上げにせざるを得ないような実情なのであります。
日本の海運復活に対して、十二月八日付の日本タイムズは、次のような報道をしておるのであります。すなわい、アメリカの上院議員マグナソン氏は、日本の新船建造計画に二千万ドル、修理改装に千六百万ドルを支出する提案には、アメリカ上院の自分としては反対である。米国は日独両国に與えるに十分なだけの古船を持つておるのだ、ということを述べておるのであります。従つて、このような困難なる現実のもとにおいて、政府はよほど毅然たる自主的態度をとつてのみ初めて外航配船が海運業の平和的な復活となり得るのであります。
しかるに、政府のやろうとしておるところの外航配船は、実はこれは海運総局の発表でありますけれども、現在でも、日本船輸送物資中の四割は、直接軍需物資であるか、またはタンカー建造その他に見られる軍需品輸送計画と一連のつながりを持つものであります。かかるもとにおける海運業の復活ということは、まつたく外航配船によつて、軍需品の輸送と、恐慌の押しつけ輸入の下請を強行することにならざるを得ないのであります。すなわち、このことは、わが党がすでに提唱しておるように、平和産業の無制限拡大並びに平和的な商船隊の復活とは、およそ正反対のものであつて、むしろ戰争の準備を予想しておるのではないかと思わざるを得ないのであります。
以上のごとく、この決議案の意図しておるところは、第一に、軍事的な方向への道を切り開き、軍需品輸送のための危險が多分にあるということ、第二には、自主性を持たない外航配船は、外国海運資本の下請化を通じて日本の産業、日本の造船、海運業をまつたく他国に隷属化してしまうということ、第三には、海運業、造船業の直面しておる危機の真の回復策であるところの、国際的な平和勢力との提携のもとにおける自主的貿易、平和工業のための平和商船隊の復活から、まつたく目をそらしておるのみならず、むしろこれを破壊する方向へ行く政策に協力しようとしておるのであります。
以上の理由によりまして、わが日本共産党といたしましては、かかる現実のもとにおけるこの決議案に対しては絶対反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/13
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014・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの林君の御発言中、單独講和云々ということを申されましたが、これは事実と相違しておるようであります。お取消しになつたらいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/14
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015・林百郎
○林百郎君 その通りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/15
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016・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) お取消しになつたものと認めます。
前田郁君。
〔前田郁君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/16
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017・前田郁
○前田郁君 ただいま有田君より主旨説明のありました外航配船促進に関する決議案に対し、私は自由党を代表いたしまして賛意を表明いたすものであります。かつ私は、昨春結成せられました海運議員連盟二百一名の一員といたしまして、本決議案が上程されましたことは、まことに喜びにたえない次第であります。
外航配船の必要なるゆえんは、有田君の御説明において明らかな通りでありまして、いまさら私がつけ加える必要はございません。外航配船による貿易外収入の獲得は、戰前戰後を通じ、わが国海運に課せられた重要なる使命の一つでありまして、輸出不振にあえぐ現状において、その意義は一層切実なるものがあります。
由来わが国は、四面環海の島国でありまして、この狭隘なる国土に八千万の国民をかかえながら生きて行く道は、実に海以外にはないのであります。戰前、商品貿易の入超じりをカバーした海運収入を、今こそ思い起さねばなりません。先ほど有田君からも御説明のありましたごとく、わが国は目下連合国の占領下にありますために、外航配船については種々の制約を受けておるのは、やむを得ないことであります。むしろ占領下でありながらも、なお関係諸国と折衝の上、若干の外航配船を許容せられておることは、連合国総司令部に対しまして感謝いたさねばならぬことと存ずる次第であります。
しかしながら、御承知の通りわが国は、今後加工品輸出貿易を盛んにいたさねばならぬのでありましす。しかるに、最近に至り、貿易の面におきましては、連合国の好意により、漸次民間貿易体制が確立せられつつあることは、まことに喜びにたえない次第であります。
由来、貿易と海運は実に車の両輪であると言われておるのでありまして、わが国貿易振興の上からも、自由なる外航配船は各方面より強く要望されるところであります。聞くところによりますと、西ドイツにおいては、事実上航路制限はほとんど撤廃されているとのことであります。ついては政府におかれましては、よろしく関係方面にわが国の実情を訴え、外航配船の一日も早く実現するよう努力せられんことを願うものであります。
外航配船促進の一連的措置といたしまして、外航適格船の拡充、外航不適格であつたところの戰時標準船の整備等が最も急務であると考えるのであります。かつて世界の水準に達したわが造船業も、戰禍の中よりようやく立ち上り、昔日の姿をとりもどしつつあるのであります。ゆえに、外航配船の実現によりまして貿易、海運並びに造船等一連のわが国重要産業の隆昌の予想せらるることは申すまでもありません。
しかしながら、私の考えておりまする外航進出は、戰前帝国主義の海軍力にバツクせられた、侵略手段としての外航進出ではなく、平和の使徒として世界文化興隆に役立つべき、平和的外航進出であるのであります。以上を考えますならば、外航配船の実現ということは、わが国民八千万のひとしく熱望してやまざるところでありまして、本決議案は、超党派的に、本院各位の御賛成を得るものと信じて疑わないのであります。
政府におきましては、以上の趣旨を体し、占領下における日本船舶の商業的ベースによる外航配船促進につき、具体的に折衝せられんことを重ねて本壇上より要望いたしまして、私の賛成演説を終る次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/17
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018・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 松澤兼人君。
〔松澤兼人君登壇)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/18
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019・松澤兼人
○松澤兼人君 ただいま議題となつておりま害す外航配船促進に関する決議案につきまして、日本社会党を代表いたしまして賛成の演説を申し上げたいのであります。(拍手)
今日、講和会議が前途非常に困難な状態にあるのでありまして、現在の状態の中におきまして、外航配船がはたして急速に実現できるか、どうかという問題は、別個の問題といたしまして、われわれは、日本の海運界が戰前持つておりましたところの勢力と力とを今日考えて見ますときに、貿易が今日はなはだ不振の状態になつておるのでありまして、これをわが国の自船をもつて貿易に従事することになるならば、戰前と同様に、見えざる輸出として運賃収入を多くあげることが可能となつて来るのでおりまして、もちろん私どもは、全面講和の望ましい点においては賛成でありますけれども、少くとも今日わが国の産業の自主化を促椎出する上におきまして、ぜひとも政府において強力なる手を打つて、一日も早く外航配船が成就できるように御努力願いたいのであります。
最近の新聞の報ずるところによりますと、わが国の全商船は、来る四月一日より民間に返還されることになつているのであります。これらの民間返還に問題は、業界多年の問題でありまして、四月一日からこれが実現できるということは、まことにけつこうなことであるのであります。しかしながら、今日業界におきましては、この全商船隊の民間返還の問題につきましては非常な衝撃を受けているのでありまして、外航配船の問題と同時に、この全商船の民間返還の問題については、政府はここに万全の策を立てられまして、この業界に與えた大きな衝撃を一日も早く緩和し、真に民間自主の商船隊が、外航配船の方式によりまして、コマーシヤル・ベースに従つて外国に進出できる日が一日も早からんことを、われわれは念願しておるのであります。
以上の趣旨から、私どもは、今日上程になつておりますところの外航配船促進に関する決議案に対しまして満腔の賛意を表する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/19
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020・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 山手滿男君。
〔山手滿男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/20
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021・山手滿男
○山手滿男君 私は、国民協同党及び新政治協議会を代表いたしまして、ただいま議題になつております本決議案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
わが国の対外輸出入物資のできるだけ多くを日本の船舶で輸送するという態勢を、さらに強力にすみやかに実現することが、今日の困難な日本の経済を救う道であり、さらにこれなくては、国民経済の健全なる自立は望み得ないのであります。現内閣におきまして、この外航進出の問題は、現在の最も重要なる政策の一つといたしまして、昨年来、第五次新船の建造、二A型の改装等に努力されまして、今後においても、外航配船の促進に対しては、政府は種々努力を拂われることは疑いないと思うのであります。しかしながら、努力するということは、実際的な効果を収め、その目的を達成するということとは、必ずしも合致しないのであります。
今日の日本をめぐる海運の客観情勢は、不幸幾多の惡條件が山積しておりまして、このままでは、いかなる協力が拂われましようとも、その成果を収めることは不可能と思われるほどなのであります。私をして言わしむれば、ただいまの段階は、外に向つて外航進出促進の努力を拂うことはもちろん必要でありますけれども、日本海運の内部的の幾多の惡條件を克服いたしまして、国際競争に対抗し得る強力健至な態勢をつくることが先決要件ではないかと考えるのであります。この要件をはずしまして、政府がいかなる努力を拂い、またいかに世論の喚起をはかりましても、むだであると考えられるのであります。私が本案に賛成してこの壇上に立ち、政府の勇断を促さんとするゆえんは、実は、この外航配船を最大限に可能ならしむる日本船舶の強力なる基本的條件を整備確立する施策をすみやかに実行してもらいたいと思うからであります。
本決議を達成するために政府の実行を促さんとする具体的施策につきまして、簡單に一、二説明を申し上げますと、第一は、日本船舶の運行費が国際的水準をはるかに上まわつておるということであります。その原因は、造船価格が非常に高いということであり、かつまた造船資金の金利が非常に高いということであります。第五次新船の建造費について見ますと、日本のスチーム・タービン貨物船が、一重量トン四万円という建造費でありますが、これは英国のそれに比較いたしまして約二割高であります。しかも、今後鉄鋼補助金の撤廃により、鋼材の高騰を来すことは必至でありまして、船価償却費はますます増加することでありましよう。
さらにまた大きな圧力になつておりますものは、建造資金の金利高であります、英国並びに米国の造船資金の利息は、平均年三分でまかなわれておるのであります。日本のそれを見ますと、エード資金が七分五厘、銀行融資が一割、平均いたしまして八分七厘くらいになるのでありまして、この金利が運航費計算面に占める率は、今次新造船におきまして、実に二割八分と害われておるのであります。これでは日本の船舶は、金利の負担面だけをとつて見ましても、すでに外国船に対抗できないのではないかとわれわれは考えるのであります。今度国鉄、健気通信に貸與せられましたところの見返り資金の金利は五分に決定されたとわれわれは聞いておるのでありますが、電気事業は直接には国際競争につながつておらないのであります。政府は、まず国際競争に直接つながつておるところの造船資金に対しまして格別の努力をお拂い願いたいと、われわれは考えるのであります。(拍手)
次に、本月三日に総司令部民間運輸局長指令によりまして、日本商船隊の新体制が明らかにされております。この点につきましては、先ほど提案者からもいろいろお話がありまして、これによれば、船会社は自分の責任と採算によつて船を動かすのでありますから、自由運航は望むところであつて、われわれも非常に喜ぶのでありますが、しかし、必ずしもこういうふうな体制ができたからというて楽観はできない実情にあるのであります。すなわち、国内沿岸航路に競航しておりまする船舶は七十万トン程度の余剰を来しておりますし、国鉄とり競争にも船賃は勝てないのであります。また船会社の本格的積荷奪い合い競争が出現することは必然でありまして、中小船主は一段、と苦境追い込まれ、その整理統合あるいは倒産は存外早い機会に来るのではないかとさえ憂えられておるのであります。
外航につきましては、日本の船会社は、外国に出先機関をちつとも持つておりません。積荷獲得のためには、いろいろな手が打たれなければならないのでありまするが、何らその手がかりも持たず、外国の諸港に出入りいたしますにつきましても、非常に複雑な手続が必要であります。今後、めくら運航に対する悲哀は十二分に味わされることであろうとわれわれは考えます。米国よりのガリオアあるいはイロアの物資の運送につきましても、日本船積取りがきわめて現在少いのでありまして、この日本船積取量の増大等につきましても、格別の政府の努力が拂われなければならないのではないかと、われわれは考えるのであります。
いろいろこういうことを考えてみますると、現在の海運界の実情というものは、まだきわめて憂慮すべき状態にあると言うことができるのであります。われわれは、本決議の実施にあたりまして、今まで述べたような点を考慮されまして、商業ベースによつて外航配船が実質的に一日も早く可能になるように、政府においては本日ただいまより格段の努力をされることを切望する次第であります。
これをもつて私の賛成演説を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/21
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022・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/22
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023・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は可決せられました。
この際運輸大臣から発言を求められております。これを許します。大屋運輸大臣。
〔国務大臣大屋晋三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/23
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024・大屋晋三
○国務大臣(大屋晋三君) わが国民経済に占める海運の重要性にかんがみまして現在日本船舶に加えられておりまする諸種の制限の緩和をすみやかに実現いたしますために、従来機会あるごとに関係方面に懇請して参つたのであります。しかるところ。三月三日付総司令部の指令によりまして、四月一日以降、日本船舶は内抗、外航ともに自営になることとなり、外航配船に関しましては、これにより本来の姿への第一歩を踏み出すこととなつたわけであります。しかしなお、日本船舶の外航に出る場合の諸種の制限緩和の点につきましては、いまだに具体的な災現を見ておらないのでありまして、かくては、せつかく外航が民間の自営になりましても、日本船の海外航路における十分な活躍が期し得られないことをおそれるものであります。
幸い、本日、本院におきまして、日本船舶の外航配船促進に関する決議案が可決せられまして政府に対し深い理解と積極的協力を寄せられましたことは、まことに感謝にたえない次第であります。政府におきましては、今後一層この問題の解決に懸命の協力を拂い、外航適格船の整備をはかりますとともに、せつかく民間の自営となりまとた外航配船体制の妙味を極度に発揮できますように、現在あるがごとき各種の制約の緩和をはかり、晋に商業的ベースによる運営をなし得るようにいたし、貿易の振興、国際収支の改善に寄與せしめたい所存でございます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/24
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025・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、農業災害補償法の一部を改正する法律案、日程第三、農業災害補償法第十二條第三の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案、日程第四、農産種苗法の一部を改正する法律案、日程第五、農業改良助長法の一部を改正する法律案、右四案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長小笠原八十美君。
〔小笠原八十美君登壇。〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/25
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026・小笠原八十美
○小笠原八十美君 ただいま議題と相なりました、農林委員会付託にかかる、内閣提出、農業災害補償法の一部を改正する法律案、農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案、並びに内閣提出、参議院送付、農産種苗法の一部を改正する法律案、農業改良助長法の一部を改正する法律案、以上四案につきまして、審議の経過及び結果の大要を御報告申し上げます。
まず最初に農業災害補償法の一部を改正する法律案より御報告いたします。
農業災害補償制度は、昭和二十二年実施以来、すでに二箇年余りを経過いたしましたが、その間頻発した台風の襲来や、暖冬異変というような異常気象に遭遇いたしまして、農作物に非常な災害を與えたのでありますが、本制度の運営によりまして、農家経営の安定と農業再生産の確保に多大の寄與をいたして参つたのであります。しかし、近年におきまする災害の発生状況にかんがみまして、なお改善すべき点が少からずありますので、この際農作物共済の共済事故に虫及び鳥獣の害を加え、蚕繭共済の共済事故に蚕の風水害地震、噴火、虫害及び桑の葉の病虫害を加えて事業の拡充をはかり、同時にまた、従来の都道府県知事の権限に、新たに農業共済組合連合会に対する業務報告微收、会計検査等に関する監督上の権限を加え、共済団体に対する地方公共団体の指導協力態勢を整備したいというのが提案の理由であります。
本法律案につきましては、去る二月二十四日提案理由の説明を開き、次いで二十八日並びに三月一日の両日にわたり質疑を行いましたところ、自由党——足立、淵、原田各委員、社会党——井上、足鹿両委員、共産党——山口委員、国民協同党——吉川委員の各書より災害補償制度の健全なる発展のために共済金に課税しないうに措置すべきではないか、無災害地帯に対しては無事もどしの制度を考慮する必要はないか、共済金の迅速な支拂いを行うために、どのくらいの運用資金を必要とするか、さらに災害の予防に一段と力を入れるようにすべきである等の意見の開陳がなされました。これに対しまして政府委員より、共済金に対する課税により宵生産に及ぼす支障については社会政策上よりも考嘱すべきものと考え、課税の減免に関しては財務当局と交渉中であること、無事もどしについては財政目下のところ実現困難であるが、今般の改正によつて虫害、鳥獣害を加えることにより危險の分散化が行われたので、幾分不公平が少くなつたこと、さらに共済制度の運用資金については約八十億円程度を必要とするが、基金の設定については本年度は予算措置がとられなかつた等の発言がなされたのであります。
本法律案の企図する改正点につきましては、共済制度を一歩々々完成するために、農林委員会各位のかねて主張しているところでありますして、各党とも異議がありませんので、討論を省略して表決に付しましたところ、ゑ全会一致をもつて可決した次第であります。
次に農林害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案について御報告いたします。
農業災害補償法第十二條によりますと、水稻、睦稻、夏の農作物共済の共済掛金の一部は、一旦食糧管理特別会計が農業共済再保險特別会計に繰入れて負担し、さらにこの負担金を食糧の売渡し価格の中に織り込んで消費者に転嫁するような仕組みになつておりますが、賃金、物価政策上、これを消費者負担とせず、一般会計より直接再保險特別会計へ繰入れるようにしたいというのが、本法律案の提案理由であります。
本法律案につきましては、先に御報告いたしました農業災害補償法の一部を改正する法律案と並行して審議を行いましたが、本法律案の内容は、第五国会において成立し、昭和二十三、二十四の両年度に実施せられました、職業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律と同一内容のもので、昭和二十五年度にも延長してこれを適用しようとするものであり、またこれに要する経費二十六億九千二百一万一千円については、二十五年年度一般会計予算に計上せられておりますので、本案の内容については、各委員とも何ら異論もありませんので、討論を省略して表決に付しましたるところ、全会一致をもつて可決いたしました。
次に農産種苗法の一部を改正する法律案につきまして御報告いたします。
種苗のよしあしは、農業生産上重大な関係がありますので、各種種苗の品質の維持向上をはかり、または優秀な新品種種苗の育成を奨励助長することが必要でありますが、この目的を達成するために、一昨年度農産種苗法が制定され、種苗業者の届出制を実施し、かつ特に重要と認める販売種苗については、種類、品種、生産地、採種年月、発芽率等を記載した保証票を添付させ、また種苗検査官をして、種苗業者の営業届出、及び保証票の添付状況の検査、あゑほ発言の検定等を行いまする一方、優良晋品種の登録事業をも行いまして、種苗及び種苗業の改善、並びに優良な新品種の有成に努めて参つたのでありますが、これらの事業をさらに一段と合理的に推進して、農業生産の改善をはかりたいという趣旨で、本法律案を提出せられたのであります。
本法律案の主要点は、およそ次の三点であります。第一点、優良新品種種苗登録の対象範囲を拡大いたしますとともに、重要な種苗のうち保証票を添付して証明せしむるべきものは特に保証種苗として指定すること、第二点、保証票に記載いたしまする種苗の生産地は、現行法によりますと、その生産地の属する市町村名を記載することになつておりますが。これを簡単にしまして、都道府県名だけを記載すればよいことにすること、第三点、新品種種苗登録の出願及び登録に際しまして、現行法ではいずれも無料となつておりますのを、その出願について二百円、登録については二千円以内の手数料を徴収するようにいたしましたこと、以上の三点であると思います。
本法律案は、去る二月七日、予備審査のため本農林委員会付託と相なり、次いで二月二十日、二十四日、三月二日の三日間にわたり質疑を行いましたると二ろ、自由党——渕、村山、山村、河野、寺島各委員、民主党——小林、大森両委員、社会党——井上委員、農民協同党——小平委員より、いずれも真劔にしてかつ適切な質疑が行われました。その大要を御報告いたしますと、一、品種の改良向上には進歩した近代科学を取入れるべきである、二、種苗の発芽率は地理的並びに自然的傑作に左右せられるが、その誤差をどのくらいに見ているか、三、惡質な種苗業者を嚴重に取締つて、農民に迷惑をかけないようにせよ、四、保証票には種苗生産地の市町村名まで記載する現行制度がかえつてよいのではないか、等であります。これに対しまして、政府委員より、種苗関係技術者を網羅した研究機関をつくり、近代科学の普及をはかり、また海外より優良品種を輸入して業者に配布する等技術の向上練磨に努力している発芽率については五・七%の範囲内の誤差を認めている、悪質な種苗業者に対しては販売の停止等適当な処分をもつて臨むつもりである、さらに保証票に種苗生産地の市町村名まで記載することは、現在は技術的に困難である、等の発言がありました。
本法律案に関しましては、参議院において次の二点につき修正を加えられ、去る一日、本院に送付せられて参つたのであります。すなわち第一点といたしましては新民法による均分相続の例に基きまして、優良新品種または新系統の種苗を育成いたしました者の権利の承継関係を明白にしましたこと、第二点は、登録の取消しの際に当該関係人に対する聴問の機会を與えるように修正いたしましたこと、以上の二点であります。
本改正法律案は、その趣旨、内容とも明瞭であり、かつまた参議院の修正箇所も時宜に適した措置でありまして、各委員とも異論がございませんので、去る二日、討論を省略して表決に付しまとたるところ、これまた全会一致をもつて可決した次第であります。
次に農業改良助長法の一部を改正する法律案につきまして御報告いたします。
農業生産の増大並びに農民生活の改善をはかりますためには、農業に関する科学技術の発達と、その成果の有効適切な普及の裏づけが必要でありますので、その目的達成のために農業改良助長法が第二国会において成立いたしましたのでありますが、その実施後におきまする経験にかんがみまして若干の改正を加え、有効適切な運用を期したいというのが、本法律案提案の理由であります。
本改正案の主要点は、およそ左の三点であると思います。その第一点は、現行法によりますと、試験研究資金は土地・建物等への流用を禁止せられていますが、これを緩和いたしましたこと、第二点は、協同農業普及事業に対しまする補助金の割当基準の変更であります。現行法によりますと、補助金総領の九割までを各都道府県の農業人口、耕地面積の割合に応じて配分することとなつておりますが、この補助金の大部分は改良普及員の設置費でありまして、この改良普及員は市町村を單位に設置するものでありますので、補助金配分基準の一つとして市町村数を考慮いたし、さらに都道府県の特殊事情の比重をも高めまして、補助金割当の適正を期することといたしましたこと。
第三点は、共同農業普及事業の資金を有効に使用するために、当該事業の実施状況が不良の場合には、補助金の割当後においてもその交付を停止し、必要に応じて他に転用することができる規定を設けまとたこと、以上の三点でございます。
本法律案は、二月十六日、予備審査のため内閣より参考送付と相なり、昨六日、参議院より本院に送付せられまして、正式付託となりましたが、二月二十日、二十四日及び三月六日の三日間にわたり質疑を行いましたるところ、自由党——淵、村上、山村、河野、寺島各委員、民主党——小林、大森各委員、社会党——井上委員、農民協同党——小平委員の各委員より、わが国農業技術並びに農業経済の試験研究制度、あるいは農業技術の末端農家への普及浸透方法等につきましてそれぞれ有益な所見が開陳せられ、政府の施策を大いに鞭撻するところがあつたのであります。これらについて一々御報告いたす時間もございませんので、詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。
本法律案の意図しまする改正点自体につきましては、各党とも何ら異議がありませんので、昨六日、質疑終了後、ただちに討論を省略して採決を行い、全員の総意をもつて可決すべきものと議決した次第であります。
以上をもつて報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/26
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027・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) ただいま議題になつておりまする四案を一括して採決いたします。四案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/27
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028・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告の通り可決いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/28
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029・山本猛夫
○山本猛夫君 日程第六及び第七は延期されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/29
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030・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/30
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031・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程第六及び第七は延期するに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/31
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032・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第八、社会保障制度審議会設置法の一部を改正する法律案、日程第九、日本国憲法第八條の規定による議決案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長鈴木明良君。
〔鈴木明良君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/32
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033・鈴木明良
○鈴木明良君 ただいま議題となりました社会保障制度審議会設置法の一部を改正する法律案並びに日本国憲法第八條の規定による議決案について、内閣委員会の審査の経過びに結果の概要を御報告申し上げます。
まず社会保障制度審議会設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
社会保障制度審議会は、米国社会保障制度調査団の勧告に基き、昭和二十三年、同設置法により設置されたのでありますが、その後の運営に撤しまするに、現下の緊迫した社会需要に応じ得べき真に権威ある総合的社会保障制度の体系を確立するためには、ぜひとも事務局を設けて、各省庁の立場に拘束されない、自主的かつ総合的見地から調査、研究、立案に当るべき職員を充実せしめる必要が認められるに至りましたので、右に関し所要の改正を行わんとするのが本案の趣旨であります。すなわち、新たに事務局を設けると同時に、常務委員及び書記を廃して、これらの職務はすべて会長の命を受けて事務局が掌握することとし、附則において、公布の日から施行する旨規定したのであります。
本案は、二月六日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、質疑を行つた後、三月三日、討論採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。次に日本国憲法第八條の規定による議決案について申し上げます。
皇室経済法の規定によりますと、天皇及び皇室経済法第四條第一項に規定する皇族が一年内になされる賜與または護り受けの財産の価額が百二十万円に達した後は、すべて国会の議決を経なければこれをなし得ないことになつております。しかしながら、これらの方々が災害罹災者に対するお見舞あるいは各種の御奨励等のためになされる賜與の価額は、一年間に二百五十万円近くに上ると見込まれるのでありまして、これらは、その都度国会の議決を経ることが事実上困難である場合も多く、またその目的も定まつておりますので、昭和二十五年度におきましても、右の価額の限度を、前年度の議決と同額の二百五十万円と議決しようとするのが、本案の要旨及び目的であります。
本案は、二月二十日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、質疑を行つた後、三月三日、討論省略、採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
以上御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/33
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034・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) まず日程第八につき採決いたします。本案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/34
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035・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
次に日程第九につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/35
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036・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立者多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/36
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037・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十、持株会社整理委員会令第二十三條第六項の規定に基く、昭和二十三事業年度持株会社整理委員会経費收支計算書並びに讓受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその讓受けたる財産に関する財産目録及び收支計算書を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員会理事川端佳夫君。
〔川端佳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/37
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038・川端佳夫
○川端佳夫君 ただいま上程されました持株会整理委員会令第二十三條第六項の規定に基く、昭和二十三事業年度持株会社整理委員会経費收支計算書並びに讓受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその讓受けたる財産に関する財産目録及び收支計算書に関し、決算委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
本件は持株会社整理委員会の経理に関する事項でございまして、同委員会の経費は、持株会社や指定者などから徴收する手数料、あるいは過度経済力集中排除法等に基く事務処理費としての国庫からの交付金等をもつて支弁する建前となつているのであります。昭和二十三事業年度におきます前期分経費は総額八千七百九十八万余円でありまして、これは国庫交付金六百三万余円、持株会社手数料七千八百七十六万余円、持株会社個別経費百五十六万円などで支弁されており、後期分にあつては、経費総額一億千十七万余円で、これもまた国庫交付金二千六百三万余円、持株会社手数料八千百七十五万余円などで支弁されております。次に持株会社及び指定者からの讓受財産は、前期末現在額五十七億八千七百八十三万余円、後期末現在額四十七億千七十一万余円であつて、これに関する收支決算は、收入支出ともに前期分十一億七千九百六十万余円、後期分四十二億五千五百九十五万余円となつているのであります。そうして、過度経済力集中排除法関係の讓受財産につきましては各期とも全然なく、従つて、それの收支もございません。
なお本件につきましては、前後両期分とも、会計検査院においては、検査の結果、これに対し通知すべき意見はない旨、内閣総理大臣あて通知があつたものであります。
決算委員会は、本件の審査に当り、政府当局並びに持株会社整理委員会などの説明を聽取の上検封をいたしたのでありますが、その詳細については速記録をごらんいただくことといたします。
決算委員会においては、去る二日、討論を省略、ただちに採決の結果、多数をもつて本件は異議がないものと議決いたした次第であります。
右をもつて御報告を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/38
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039・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本件は委員会においては異議がないと決したものであります。本件を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/39
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040・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/40
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041・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十一地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、電気試験所熊本支所設置に関し承認を求めるの件、日程第十二、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、日用品検査所の支所設置に関し承認を求めるの件、右両件は同一の委員会に付託された案件でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事村上勇君。
〔村上勇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/41
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042・村上勇
○村上勇君 ただいま議題となりました、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、電気試験所熊本支所設置に関し承認を求めるの件につき、委員会における審議の経過並びに結果について簡單に御報告申し上げます。
本件の目的は、年々増加の傾向にある電気計器の検定箇数に対し、現在設備能力では処理困難となり、特に九州においてはこの傾向がはなはだしく、要検定箇数は一箇年二十五万七千箇と見込まれ、福岡支所の処理能力を著しく超過しておりますので、この際電気計器の分布状態より見て、計器の検定に不便なからしめるため、熊本市に支所を設置せんとするものであります。なお当支所においては、電気計器の検定のみでなく、電気計測器の試験とあわせて、広く電気に関する研究調査及び技術指導をも行つて電気事業の進歩発達に寄與せんとするものであります。
本件は、二月十三日、通商産業委員会に付託せられ、越えて十四日、政府より提案理由の説明を聽取したのであります。さらに三月六日、社会党坂本委員、民主党有田委員、共産党風平委員より、本件について政府との間に熱心なる質疑応答があつつたのでありますが、その内容は会議録に讓ることといたします。次いで自由党首藤委員より賛成討論があり、多数をもつて本件は承認を與うべきものであると決した次第であります。
次に、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、日用品検査所の支所設置に関し承認を求めるの件につきまして、委員会における審議の経過並びに概要を御報告申し上げます。
まず提案の理由を申し上げます。日用品検査所の業務の発足は昭和二十四年三月でありまして、それ以来検査の実績は、月平均三百五十件前後、本年一月までの総検査件数は三千六百五十件に及んでおり、検査の結果、全検査件数の半数は大なり小なり事故があつたという実績であります。また検査を行う指定品目はゴム製品以下二十四種にわたり、雑貨総輸出額の約六〇%を占めており、さらに昭和二十五年度からの追加指定を予定している機械、玩具、竹製品等を加えれば、八〇%を越ゆるものと推定せられます。ことに近時、東京、大阪両地区以外の各地、特に中京地区及び九州一円の雑貨関係輸出品は活発となり、生産工場も、中京地方百九十二工場、九州地方百七工場を算する現状に相なつております。上両地方の所要の検査回数は、今後月平均、中京地区二百件、九州地区六、七十件と推定せられます。従つて、この両地区に対する出張検査を、それぞれ東京、大阪両日用品検査所において実施させておつたのでありますが、人件費、旅費の関係上、ごくまれにしか検査を実施することができない状態でありました。ことに、昨年十二月一日からの新しい輸出手続による輸出につきまして、その情報入手が困難になつたため、ますますこれら両地方に対する輸出検査は困難をきわめる現状であります。よつて昭和二十五年度から、検査所の七十六名の現在定員を百名に増加するとともに、東京日用品検査所の支所を名古屋市に、大阪日用品検査所の支所を福岡市に設置いたしまして、輸出日用品雑貸の検査を一層充実、もつて輸出振興に寄與させんとするのであります。以上がその趣旨であります。
本件は、二月二十三日、当委員会に付託せられ、昨六日、政府委員より提案理由を聽取し、ただちに質疑に入りまして、二、三の点につき質疑応答がありました。
次いで、自由党首藤新八君より、クレーム対策として妥当な措置であい、輸出の振興上当然増設せらるべきものであるとの賛成意見の開陳があり、引続き採決いたしましたところ、異議なく承認を與うべきものと決定した次第であります。
右御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/42
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043・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 両件を一括して採決いたします。両件は委員長の報告の通り承認を與えるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/43
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044・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両件は委員長の報告の通り承認を與えるに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/44
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045・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十三、船舶運営会の船員の退職手当に関する交付金を船舶所有者に交付する法律の一部を改正する決律案、日程第十四、水先法の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長稻田直道君。
〔稻田直道君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/45
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046・稻田直道
○稻田直道君 ただいま議題となりました船舶運営会の船員の退職手当に関する交付金を船舶所有者に交付する法律の一部を改正する法律案ついて、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案は、予備審査のため、去る二月十一日、本委員会に付託されまして、二月二十三日、政府より提案理由の説明を聽取し、これを慎重に審議したのであります。
本法案の趣旨並びに内容を簡單に申し上げますと、まず第一点といたしましては、現行法は昭和二十四年四月一日から一箇年の間に船舶運営会を退職し、ただちに船舶所有者に雇用される船員に対する退職手当についての特別措置を規定しているのでありますが、たまたま帰還輸送業務の一部が昭和二十五年度に持ち越されましたので、これに対応いたしまして、これ適用期間を一箇年延長しようとするのであります。
第二点といたしましては、昭和二十五年度に持ち越されました帰還輸送船船員の退職手当は昭和二十五年度予算より支出することになりますので、第一條中の「昭和二十四年度」という字句を削除しようとするのであります。
第三点といたしましては、現行法が制定せられました直後、船舶運営会の船員の給與基準の設定及び船舶運営会の役職員に対する特別手当の支給に関する法律が公布せられ、同会の船員の給與体系が新たに設定され、従来の雑手当の名称が廃止されましたので、別表の基準の表現を改めようとするのであります。すばわち、給與総額から雑手当を控除した額は、俸給を基準として換算いたしますと、俸給月額の百分の百七十に相当する額でありまして、従来の基準額と実質的には何ら変更はないのであります。
次に本案に対する質疑のおもなる点をあげますと、船員が船舶運営会から船舶所有者に雇用がえとなり六箇月を経過したときは、退職手当を本人へ支給されるものと解釈してよいかとの質問に対し、政府委員より、船員が実際に下船し、船主との雇用契約がなくなつた場合に退職手当を支給するものであるとの答弁があり、また在職期間三年以上の船員に対する支給基準を設けてはどうかとの質問に対し、政府委員より、予算総額が四億五千万円の範囲内と限定されているため予算上不可能である旨の答弁がありました。その他の詳細は会議録に讓ることといたします。
次に討論に入り、まず日本社会党を代表して米窪滿亮君より、本法案に対し賛成の意見を述べられました。次いで日本共産党を代表して林百郎君より、本法案は、第一点として、予算総額が四億五千万円に限定されているために、在職期間三年以上の職員に対する支給基準が設けられていない、第二点として、退職手当をただちに船員に支給しない、第三点として、退職手当交付金より生じた利益金を船員に支給しない、第四点として、退職手当を交付しなかつた場合に対する罰則が定められていない、よつて本法案に反対する旨を述べられました。かくて討論を打切り、採決の結果、起立多数をもつて本法案は政府原案通り可決いたした次第であります。
次に議題となりました水先法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案は、去る二月十七日、本委員会に付託せられまして二月二十三日、政府より提案理由の説明を聽取し、これを慎重に審議いたしたのであります。
本法案の趣旨並びに内容を簡單に申し上げますと、まず第一点といたしましては、現行法におきましては、水先人の免許を受け得る要件の一つといたしまして、一定の期間以上その水先区において水先修業生として実務を修習したことを必要とする旨が規定されておりますが、かくては、新たに定められた水先区に水先人を置く場合、または水先人の死亡その他の事故等により水先人が皆無となり、かつ水先修業生もいない水先区に水先人を置こうとする場合には、実際上この要件を満たすことは不可能でありますので、かかる場合には、その水先区において一定の回数以上航海に従事した実歴を有する者を水先修業生にかえまして水先人の免許を與えることができ得るように道を開かうとするものであります。
第二点といたしましては、以前水先人であつた者から水先人の免許の申請があつた場合は、免許の要件を具備しておれば免許を與えられることになつておりますが、かかる者に、ただちに免許を與えることは、第八條第二項の、免許の更新の際に必要があるときは試験を行うことができるという規定との関係上不合理でありますので、この場合にも必要に応じて試験を行うことができ得るようにしようとするのであります。
第三点といたしましては、和歌山県下津港は、最近に至りまして大型船舶の出入が激増いたしましたため、水先人を置く必要に迫られましたので、新たに水先区を定めようとするものであります。
本法案に対する質疑のおもなる点をあげますと、まず第四條第三号に基いて行われる水先人試験は資格試験であるか、あるいは採用試験であるかとの質問に対し、政府委員より資格試験である旨の答弁があり、次に水先法施行規則第一條に「試験の合格の通知を受けた日から三十日以内に免許の申請をしなければならない」と規定されているが、三十日を経過した場合この試験は無効となるのであるかとの質問に対し、政府委員より、一応三十日以内と定めたのは、なるべく早く申請をさせる意味であつて、三十日を経過しても無効となるものではないとの答弁がありました。その他の詳細は会議録に讓ることといたします。
かくて討論を省略いたしまして、ただちに採決に入り、全会一致をもつて政府原案通り可決いたした次第であります。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/46
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047・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) まず日程第十三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委委長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/47
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048・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
次に日程第十四につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/48
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049・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
これにて本日の議事日程は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100705254X02219500307/49
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