1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年三月十日(金曜日)
午後三時六分開会
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委員の異動
本日委員來馬琢道君辞任につき、その
補欠として藤井丙午君を議長において
指名した。
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本日の会議に付した事件
○開拓者資金融通特別会計において貸
付金の財源に充てるための一般会計
からする繰入金に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○大蔵省預金部特別会計の昭和二十五
年度における歳入不足補てんのため
の一般会計からする繰入金に関する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。本日は開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を先ず議題といたしまして御質疑を願いますが、御質疑はもうございませんでしようか。御質疑がなければこれは後に廻します。
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002・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) それでは次に大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたまして、御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/2
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003・木内四郎
○木内四郎君 預金部特別会計、一般会計からですね、又今年も金額は少いけれども繰入れなければならないような状態になつておるのですが、それに関連して預金部の収支の状況を一応説明して頂きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/3
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004・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 只今預金部資金課の高橋課長が見えておりますが、政府委員でないのでありますが、説明員てして答弁さすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/4
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005・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは高橋説明員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/5
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006・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 只今の御質問に対して説明さして頂きます。預金部は昭和二十四年度におきましては、三十七億円の赤字繰入を予定しておりまして、それが実際の結果におきましては、その赤字よりも相当改善いたされまして、改善する見込みでありまして、二十四、五億円程度に留まるのではないかと考えております。この来年度の三億余りの赤字につきましても、今年度の赤字に理由とその理由は同じことでありまするが、昔の預金部におきましては、いわゆる低利資金と言われておりました時代におきましては、その預金部の資金のコストが三分、場合によりましては三分以下というのが常態でございました。ところが、戦後におきましては常食なインフレのために、一方において経費の騰貴は非常に大きいのに拘わらず、預金の伸び方はそれに伴いませんで、そこに大きな較差を生じました。それがために資金現在量を以て経費し比較いたしますると、非常に昔と違つてコストが高いということになります。この傾向はただ預金部だけではございませんで、一般市中金融機関におきましても一割に近い金利を取つております現状から推察できますように、そのコストは相当昔と比べて高いのであります。そうして預金部の場合は郵便貯金や簡易保険というような非常に零細な金を取扱つておりますので、単位あたりのコストは大きな金を扱つておる市中金融機関よりも高くなり勝ちであります。併し明年度において予定されておりますところの預金部の資金の平均コストは、概ね六分程度にまで低下する見込であります。本年度の平均は、まだ実際には結果が現われませんけれども、概ね七分強というふうに見ております。尚ついでに申上げますが、市中金融機関の経費率も、経費と言いますか、コストも概ねその程度ではないかと思つております。決算が更に遅れて参りますので最近の事情が分りませんが、半年以上前の市中金融機関の決算の情況から見ますると、七分近いところがでております。最近におきましては資金の増加と共に若干低下しているものと見受けますが、貸出、貸金の償却等を考慮いたしますれば、その経費率というものは依然として六分五厘又は七分という程度ではないかというふうに考えております。でありますから、預金部の資金コストは概ね市中金融機関と余り変らない。これは将来におきましては市中金融機関よりも更にコストを引下げて行かなければならないのでありますが、コストの引下げのための手段といたしましては、インフレのために失つたところの資金量と経費とのアンバランスを是正するために、資金量の増加に期待するということが唯一の残された途ではないかと思うのであります。勿論私共といたしましても、できるだけ郵政事業の繰入金を節減し、或いは又其の他の方法によつて経費の節約を図つて、コストの切下げに努力いたしておりますが、尚それだけでは根本的な解決になりませんので、只今預金部資金は約一千八百億程度に達しましたが、昔の状態とこれを比較して見まするに、概ね戦争中及び戦前におきましては、通貨発行高の二倍半というのが常態でございました。然るに現在は三千億程度の通貨発行高に対しましてまだ、千八百億程度でございますからして、そこには大分食い違いがあるわけでございます。これがつまり資金コストの高い最大の理由であります。尚赤字の最大の理由でございまするが、これは預金部の総資産の中に占める低利の国債の比率が比較的大きいということによるものでありまして、只今尚五百十億円余りに達する国債を所有しておりまして、その国債のうち約四百五十億円は三分五厘でございます。その残りのものも平均いたしまして四分足らずの金利にしか廻りません。そうしますると、これを仮に五百億といたしまして三分五厘といたしますと、利廻りといたしまして三分六厘五毛でございますから、六分のコストがかかつておるのに対しまして運用の利廻が三分七、八厘、そこで二分何厘かの……二分二、三厘の逆鞘になるわけでありまして、五百億といたしましても、十一億円、或いは十二億円に達する程度の赤字がそこに国債のために生じて来るわけでございます。そこで預金部といたしては非常に苦しいところでございまするが、その分を只今許されておりまする運用の範囲で多少でもカバーいたしまして、預金部の独立採算に近附けるために、地方公共団体に対する貸付、これの金利等を多少高目にしております。二十三年度におきましては概ね九分五厘程度に貸付けしておりまして、これの利鞘を以て赤字を幾らかでも減らす。二十四年度におきましても、多少は下げましたが、平均九分二、三厘程度になつております。併しこのように国債の金利と預金部資金とのコストの逆鞘の部分を地方公共団体の負担によつてのみ解決して行くということでは、甚だ面白くないことでありまして、本来国債の金利と地方債の金利とはそう大きく開くベきものではないというまあ見解を持つておりますので、できるだけ早い機会にこれを引下げて行きたい。そうして又地方公共団体の苦しい財政の状態を幾らかでも緩和したいというふうに考えておるわけでありまして、能う限りこれの金利の引下に努力して行きたいと思います。併しながら一気にそこに持つて行きまするには、相当の赤字繰入を一般会計から貰わなければなりませんので、いろいろな事情を考慮いたしまして、明年度の予算におきましては一応八分五厘の利子を予定しておるわけであります。併しながらすでに一方におきまして見返資金の金利等は普通の……普通のと言いましても或る限られた範囲でありますが、普通のプライヴエイトな企業に対しても七分五厘という金利で貸付けしておる。その場合に、地方公共団体がそれよりも高い金利で借りるということは如何にも好ましくないことでありますので、せめて早い機会に七分五厘若しくはそれ以下にまでは下げねばならないんじやないかというふうに考えておるわけであります。そういういろいろな事情を考慮いたしまして、取敢えず予算面におきましては八分五厘程度に見込みましたけれども、可能な限りにおいてはもう少し下げたいというふうにも考えておるわけであります。
大体主な点を申し上げましたが、この外に預金部といたしましては公団に融資しております。農林関係の五公団に融資しておるわけでありますが、これの金利は只今までは地方公共団体の金利と全く歩調を一にしております。私達が若し、個人的な意見を申上げて失礼でございますが、本来ならば国債の金利は新らしく発行いたします前には……、現在五分五厘でございまして、五分五厘の国債であれば、そう大きな逆鞘にもなりませんけれども、三分五厘が非常に多いので、その逆鞘によつて赤字が起るんだという現況が是認せられますならば、五分五厘と三分六厘五毛、或いは四分程度の国債との差額の程度まで、若し一般会計から繰入して貰えるならば、地方財産等に対する負担は、これをもつと現状よりも軽くすることができて、国債と地方債との金利の開きが縮まつて合理的になるんではないかという感じを持つております。併しそう申しますると、ここで先程申しましたように十億円以上の繰入を頂かねばならんことになりますので、それはこの際全般の見地から好ましくないので、できるだけ赤字を縮める意味におきまして、地方債の金利も八分五厘程度というように計上しておると思います。赤字三億円の精算の基礎につきましては、非常に細かい数字があるわけでございますけれど、一応ここに利子收入と歳出を掲げて置きました。若し更に細かい御質問がございましたら御説明いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/6
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007・木内四郎
○木内四郎君 実は私が預金特別会算の收支の状況を伺いたいと思つたのは、あなたが後段において御説明になつた九分五厘ですね。これが余りにも預金部資金としては高過ぎるということを感じましたので、あなた方は一体どういうふうな考えを持つておられるか、預金部は九分五厘も地方債の利子を取らなければならんのかということを伺いたいためであつたが、あなたが或る程度まで御自分から御説明になりましたので、大体のところは了解しましたが、それにしても私共は、この九分五厘というものは、地方貸付の利子としては、やはり利率として高いと思う。三分足らずの利子で預つておつて、又そういう郵便貯金をやつておるということを自分で考えて知つておる人々に対して、九分五厘で地方に貸付けるということは非常に高いし、又高く感じるのも尤もだと思う。そこでできるだけこれを引下げて貰いたいと思うのですが、それに関連してちよつと伺いたいことは、この九分五厘は最高であつたのですかどうですかということです。それが一つ。過去にそれよりも高いことがあつたかということ。
それからあなたから伺えば、預金部の資金のうちで五百十億円も低利国債を持つておるから、それが響いて来るというお話で、それは又尤もだと思うのですが、それに関連して二十四年度において、政府は二千二百億も国債その他のものを国庫の負担で償還しておることになつておる。そのうちから一体預金部はどのくらい償還を受けたのか。日本銀行の金庫の中に金をどんどん入れ、日本銀行所有の国債を償還したのじや何にもならない。預金部はどのくらい受けたか。受ける金が少かつたらなぜ沢山償還を受けることに努力されなかつたかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/7
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008・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 地方の金利が九分五厘と申しましたが、実際に行いました貸付のうちで、最も高い金利のものは九分六厘でございました。二十三年度資金について最高が九分六厘、後九分四厘、九分二厘というふうな金利の種分けになつておりますが、本年度資金につきましては最高九分四厘、それと九分二厘、九分という三段階でやつております。で、これに関連いたしまして、低利国債の償還の問題でありまするが、二十四年度におきましては国債……、一口に国債償還と申しましても、最も金額的に大きかつたのは復金債の償還であります。これは二十三年度において余裕金を以て預金部が購入いたしましたのが、四十億円余りございました。これは本年度末までに償還になるのでありまして、その点だけは影響がございました。ところがこれはむしろ預金部としては、金利の点から言えば有利なものでありまして、この償還は決して有難くないわけであります。本年度の国債につきましては、主として日銀がオペレーシヨンによりまして民間の金融機関からこれを買上げまして、民間の金融機関がその金を、或いは興銀債とか社債とかいうふうなものに投資するというような恰好で、市中の操作に使つていたわけであります。預金部に償還の努力をしなかつて点は、先ず償還をして頂くためには、これを他に運用するという途が開かれてなかつたわけでありまして、それが昭和二十一年一月のマーカツト少将覚書というものがございまして、今までの運用の制限の範囲においては、すでに現在ある国債償還を全然含まないでも、現在日々増加しておりますところの預金部資金の総額をも使い切らん。未だに相当額の余裕金を常に保有しているという現状におきましては、国債の償還だけを、我々の方が要求いたしましても片ちんばなものになる。つまり運用の予定なくして国債償還を受けて、それを余裕金として遊ばして置くということになりますると、結局はその国債償還のための資金は、何らかの意味において国民の間から吸收されたものである、その金を預金部が余裕金として遊ばせるということは、金の行方から言えば日本銀行の中に入れてします、それだけ通貨收縮の要因となるということでありますからして、我々としてはそういう運用の途が開かれない場合において、国債償還のみをやつて貰う、つまり採算の面からだけ考えるというわけには参らなかつたわけであります。併し明年度は紐付でないところの国債償還、つまりはつきりと償還される先の予定せられておらない、確定しておらないところの債務償還が約一千億ございます。この一千億の国債をデイスインフレの線を守りながら償還するためには、どうしても預金部の保有国債を相当程度……、只今金額で予定しておりますのは三百五十億円でございます。三百五十億円の低利国債を預金部に償還をする。而もその三百五十億円は確実に市中に流れて行くという形において運用されねばならん。こういうことになつておりますので、運用の面まで、その債務償還の面までを併せて目下関係方面と折衝中でございます。
併しながら元来預金部の資金は、戦前におきましてもおのずから運用の範囲に制限がございました。従つて無制限に誰にでも貸付け得るというようなものではあり得ないと思うのであります。以前におきましては只今でも規定としては生きておりまするが、特殊法人或いは特殊法人に対する貸付や特殊な組合に対する貸付或いはそれらのものの発行する債券の引受というようなことをやつておりましたが、只今は特殊法人というものの範囲が非常に狭くなつて政府保障の債券というものが最近出る例はない。又組合金融というものを考えます場合にも、組合の経由金融機関としては昔は特殊銀行を使つておりましたが、今は特殊銀行という考え方は今までは少くとも止めさせられるような方向に向つておる。最近又債券発行が五つの銀行だけに認められることになりますれば、再びその特殊銀行的な色彩も出て来るでありましよう。いろいろそういう経由金融機関の問題もございまするし、簡単には結論が出せないのでございますが、一応我々としてはどうしても来年度の全般の資金計画、国全体の資金計画から与りましても、この預金部資金を以て社債を引受ける、併し社債を引受けるためには今の社債の発行限度では足らない。再評価後において或いはそれ以前において何らかの措置によつて社債の発行できる限度を引上げなければならん。そういういろいろな問題が伴いますが、とにかく民間資金、民間産業資金としてこれを活用したい。そうすればその金利は一般の金利にこれは従うわけでありまするからして、九分或いはそれ以上に廻つて来る。それによつて赤字がどんどん解消せられる。逆に出た余裕金を以て地方債の金利の引下げに充てることができると、かように考えておるわけであります。三百五十億円を来年度償還し得るか否か、それによる運用が又可能であるか否かは今後の問題でありまして、非常に不確定のものでありまして、予算には計上しておりませんが、実際上はそういうふうにするように努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/8
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009・木内四郎
○木内四郎君 あなた方事務当局の方を別に責めるわけではないのでありますけれども、今日の金詰りの状況になつた原因は、御承知のように予算自体が非常なまあデフレの予算である、これは争う余地はないと思う。従つてこのデフレの予算に対してこれをデイス・インフレに持つて行くためには、金融の方面で補わなければならんことは明瞭です。ところが政府は金融政策においても全く施策を誤つて今日の状態に来ていると思う。まあ挙げ出せばいろいろありますが、そのうちで政府資金の運用を誤つた最も主なるものは見返資金の運用、それから続いて世間で一般に言われているものは預金部資金ですね。そこであなた方はさつきお話になつたように預金部資金の運用ができないと、手許に非常に余りがあつたから国債を償還して貰つても何にもならかつたと言われるけれども、それ自体が私は非常な問題だと思うのです。恐らく去年の夏頃から年末にかけていつでも百数十億から二百数十億の余裕金をあなた方の手許から持つておいでになつた。それを放出しないで今日になつて、漸く市中銀行に一部を預けるというようなことをやられたことが非常に誤まりではなかつたかと思うのです。それにつけても運用ができなくて手許に余裕があつたからということじや預金部資金の大量に必要とする今日、ちよつと説明にならんと思うのですね。どういうわけで預金資金が昨年度において運用ができなくなつたか。あなた方が運用しなかつたからです。その事情を分り易く説明して貰いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/9
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010・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) それは先程も御説明申上げましたが、昭和二十一年の一月に出た覚書というものでございまして、これは未だにそのままに変更せられない。この変更方につきましては、非常に何回も関係方面と折衝いたしましたし、大臣の方からも努力せられた例が多分にあるのでございます。併し預金部資金というもの、又その主流を成している郵便預金、そういうものに対する考え方が私達日本側と向うとの間に大分開きがある。それは向うの例では殆んど全部が国債の購入に当てられておる。郵便貯金自体がもう国債を売るような観念で行われております。郵便貯金で貯蓄されたものは殆んど全部国債に向けられておる。この預金部の制度は世界におきましても日本は相当古い筈なんです。先輩国としてはベルギー、フラランスとかありますけれども、郵便貯金という制度も古いし、又預金部の制度も相当古い。ところが関係方面の方ではその制度自体が非常に新らしい。郵便貯金制度も新らしい。一九一十年にできたのであります。何十年か遅れてできまして、而もその際に世界の制度を研究してやつたんですが、運用の範用を最も狹い範囲のものにとつた、そういうふうな見解の相違がありまして、預金部というものの同様の制度が多数の国にありますが、その中に非常に彈力性のある運用をしているところと、狹い制度を附した運用をしているところといろいろな型がある。そこで私達としては預金部の従来の在り方が相当彈力性のあるものでございましたから、そういうような方向に是非とも戻したいという気持で交渉しておつたのであります。デイス・インフレの線から言えば、むしろそれは糧券も国債も重大であるから、糧券の運用で結構だというふうな制約を受けまして、遺憾ながら糧券の運用のみに余裕金を使つたわけであります。その余裕金があるから国債の償還が理由にならんとおつしやいます点は、経理の面から言えば、確かに糧券であつても、要するに三分六厘五毛は一分一厘利がいいのであります。確かに糧券の方がいいのですけれども、糧券をそういう方法で殖やすということは、それだけ通貨を日銀へ放り込んだという恰好になります。それを他の面でカバーしようとしますれば、結局日本銀行の金融機関に対する貸出を増加しなければならない。ところが最近は、それがむしろ銀行側も貸出の増加を嫌い、日銀側としては、最近は是非借りて欲しいという態度で臨んでいるにも拘わらず、金融機関自体が先行の不安、焦付きということの懸念もありますし、又預金に対する貸付の増加の割合が百パーセントに達するというような状態では、これ以上の貸付はできんというような消極的な面が出て参ります。どうしてもそれで穴を埋めるということはできない。そういうわけでありますからして、国債の償還した分は、やはり預金部の運行が現状の通りでありますれば、金融機関を通じて、何とかして市中に押出して行かなければならない。こういう見地で、本年度は日銀のオペレーシヨンによつて来たのでありますが、最近は紐付きのオペレーシヨンが利かない、無條件で買上げてやる程度しか行かないという状態でありますから、いろいろな点で甚だ不本意ながら、現在までに至つておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/10
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011・木内四郎
○木内四郎君 私はこれ以上質問いたしませんが、できるだけ預金部資金の会計の改善に努力されて、九分五厘、来年は八分五厘という予定だそうですが、できるだけ一つ償還貸付金の金利を引下げるように、努力をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/11
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012・木村禧八郎
○木村禧八郎君 余裕金ですね、どのくらいになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/12
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013・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 只今二月末日までの資料を持つて参つたつもりだつたのですがちよつと忘れましたので、大変申訳ないのですが私の記憶で申します。約二百八十億円と記憶しております。一月末におきましてはもつと少いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/13
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014・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この二百八十億というのは、それは結局日銀勘定へ行つて落ちてしまうわけですね、通貨との関係においては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/14
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015・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 通貨との関係では、それは日銀が持つております食糧証券を確保するのでありますから、余裕金が増加するということが結局通貨の減る要因ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/15
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016・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは糧券に持つておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/16
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017・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/17
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018・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから市中銀行に昨年末預け替えしましたね、あの金利ですね、それと無盡ですな、それから市街地信用組合、特殊会社ですね、それに貸出しをした金利はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/18
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019・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 一銭九厘です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/19
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020・木村禧八郎
○木村禧八郎君 市中銀行ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/20
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021・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 全部同しであります。国庫金の指定預金とこんがらがつておるかも知れませんが、国庫指定預金と預金部資金の預金とは又別途になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/21
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022・木村禧八郎
○木村禧八郎君 指定預金はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/22
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023・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 指定預金は二ヶ月ものと三ヶ月ものと四ヶ月ものとあり、二ヶ月ものが一銭六厘、三ヶ月もので一銭七厘、四ヶ月ものが一銭七厘で同様であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/23
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024・木村禧八郎
○木村禧八郎君 地方公共団体に地方債の要求があると思うのですが、それはどのくらい実現できるかどうか知りませんが、どのくらいの要求がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/24
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025・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 只今まで私達が集めた資料によりますれば、要求は県独自で、県負担のみで行う事業これを單独事業と称しておりますが、それが七百数十億円であります。それから公共事業で地方負担を伴うものがございますが、その地方負担額は三百二、三十億と記憶しておますが、それについては地方としては一応概ね地方負担額の全額の起債を希望しております。これは昨年の例等から言いましても、本当に全額を希望しておるかどうかはつきりいたしません。一応要求としては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/25
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026・西川甚五郎
○西川甚五郎君 最近新聞に出ておりました簡易保険の問題でありますが、運用問題ですが、郵便省との間にいろいろ問題があると思いますが、大蔵省の方としてこの点について一応お話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/26
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027・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) この簡保の独立事業につきましては、実は前々の国会でございますか、郵政委員会から出まして、衆議院及び参議院の決議ができたのです。そうしとそれによりますれば、できるだけ早く簡易保険を独立運営さして、採算関係をよくしようかということになつております。できるならば速記の方を遠慮して頂いた方がいいと思うのでございますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/27
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028・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) それでは本案に対する御質疑はちよつと中止をお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/28
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029・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) この場合開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会からする繰入金に関する法律案を議題といたします。
御質疑は終つたように思いますので、質疑終了として直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/29
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030・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もないようでありますから討論は終結したことといたしまして直ちに採決に移ります。開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を原案通り可決することに賛成のお方の御挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/30
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031・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議におきます委員長の口頭報告の内容は、例によつて委員長にお委せ願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/31
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032・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。尚委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の御署名を附することになつておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
伊藤 保平 森下 政一
玉屋 喜章 西川甚五郎
平沼彌太郎 木内 四郎
油井賢太郎 高瀬荘太郎
藤井 丙午 木村禧八郎発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/32
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033・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) それでは再び大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として審議の続行をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/33
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034・西川甚五郎
○西川甚五郎君 先程に継続いたしまして、速記お止め願つて事務官の方から事情を伺いたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/34
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035・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) それでは速記をちよつと止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/35
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036・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/36
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037・平沼彌太郎
○平沼彌太郎君 ちよつと伺いたいが、二十五年度において預金部で赤字が出ておるようですが、過去の二、三年はどんな状況だつたんですか。赤字であつたのか黒字であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/37
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038・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) お答えいたします。この二、三年は赤字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/38
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039・平沼彌太郎
○平沼彌太郎君 そうしますると、大体預金部の資金は郵便貯金が主であるように見えるのでございますが、郵便貯金として国家的にこれだけの大きなことをやつていて、相当の利益が挙つていなくちやならんと思うのですが、それが赤字である理由はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/39
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040・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) そういう点は先程コストの問題として申上げましたが、非常にコストが高くなつた、それに対して運用する方が制限されておりますために、殊に国債の安いものを持つておつたために逆鞘になつておつたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/40
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041・平沼彌太郎
○平沼彌太郎君 併し地方の郵便局におけるところの預金の吸収状態が非常に高率になるような宣伝その他の費用をかけておるんでございまして、これらの、つまり昨日あたりも町へ行つていますと、郵便局の人が大勢行列で預金を勧めておる。チンドン屋なんかやつておるんですが、あんなことまでやつて地方の金を集めてやる政策も余りよくないし、赤字になるような運営をして国民に迷惑をかめということはどうかと思うのですが……別に私はこれに対する答弁は伺わなくても、将来の問題として申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/41
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042・油井賢太郎
○油井賢太郎君 預金部資金の現在の、いわゆる集めた金の集まり先と、それから貸出先の明細を一つ資料に出して頂きたい。これが一点と、それから各地方の地方公共団体や何かにお貸しになるときには、何か地方的な枠を予め決めておやりになるのか、その点が第二点。それから又貸出に当つてはどういうふうな制度で以て、どんな協議をして貸出すのか。この三点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/42
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043・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 資料の点は別に差上げますが、そのうちでどこからどれだけ集まるかという問題は、郵便貯金なら郵便貯金ということでよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/43
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044・油井賢太郎
○油井賢太郎君 集まる資金別に一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/44
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045・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) それから貸出の方法は、その枠を決めてやるかどうかという点、これは総枠が先ず決まりまして、総枠の中で概ね事業の内容に従いまして、大体の目途を決め、その目途別に更に細分いたしまして、どのような事業には今年度はどの程度の長期資金を集めるということを決めまして、それによりまして、事業起債詮議方針というものを先に作ります。この詮議方針に従いまして、地方自治庁と大蔵省側とが起債を如何にするかということを協議いたします。そういう方針を採つております。それで第二第三の点のお答えをしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/45
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046・油井賢太郎
○油井賢太郎君 協議機関は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/46
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047・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) 大きな枠につきましては預金部資金運用審議会、これに我々はすべての運用の計画をかけることになつております。但し短期資金の運用については一年以内或いは六ヶ月以内という期限のものに限り審議会の議を経ないで実行できるということにいたしております。長期のものは全部運用審議会にかけて決定するということになつております。併し非常に細かい個別の市町村名から県名まで掲げたものはやつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/47
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048・油井賢太郎
○油井賢太郎君 その審議会の構成はどんな構成ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/48
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049・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) これは前に、確か参議院の大蔵委員会と思いますが、資料の提出を命ぜられまして差上げてあると思いますが、大体申上げますと、大蔵大臣、それから大蔵政務次官、大蔵事務次官、会計検査院事務総局次長、日銀総裁、その外関係官庁の次官といたしまして厚生、農林、郵政、建設、経済安定本部、こういう方面の次官でございます。それから学識経験者といたしまして別に只今十二名おりますが、学識経験者とはなつておりますが、大体各方面を代表するように、県知事代表、それから市長代表、町村長代表というような恰好で、それらの概ね全国の役員をしておられる方、それから学識者として商大教授井藤半彌氏とか、荒井誠一郎さんとか、その外勧銀、興銀総裁、市中銀行代表者……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/49
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050・油井賢太郎
○油井賢太郎君 了承。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/50
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051・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/51
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052・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 御異議ないようでありますから、本日はこれにて散会いたします。
午後四時十二分散会
出席者は左の通り。
理事
黒田 英雄君
伊藤 保平君
委員
森下 政一君
玉屋 喜章君
西川甚五郎君
平沼彌太郎君
木内 四郎君
油井賢太郎君
高瀬荘太郎君
藤井 丙午君
木村禧八郎君
政府委員
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 佐藤 一郎君
説明員
大蔵事務官
(銀行局預金部
資金課長) 高橋 俊英君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X02119500310/52
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