1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月二十一日(金曜日)
午前十一時五十二分開会
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本日の会議に付した事件
○富裕税法案(内閣提出・衆議院送
付)
○資産再評価法案(内閣提出・衆議院
送付)
○関税法の一部を改正する法律案(内
閣提出・衆議院送付)
○地方自治法第五十六條第四項の規定
に基き一税関監視署及び税関支署監
視署の設置に関し承認を求めるの件
(内閣提出衆議院送付)
○租税特別措置法等の一部を改正する
法律案(内閣選付)
○昭和二十五年の所得税の六月予定申
告書の提出及び第一期の納期の特例
に関する法律案(内閣送付)
○予算執行職員等の責任に関する法律
案(内閣送付)
○国家公務員共済組合法の一部を改正
する法律案(内閣送付)
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001・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 只今より大蔵委員会を開きます。
富裕税法案、資産再評価法案、関税法の一部を改正する法律案一地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び関税支署監親署の設置に関し承認を求めるの件、租税特別措置法等の一部を改正する法律案一昭和二十五年の所得税の六月予定申告書の提出及び第一期の納期の特例に関する法律案を議題として審議を進めたいと思います。質疑のおありの方はお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/1
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002・波多野鼎
○波多野鼎君 昨日も少し質問したのですが、外人の所得税特別措置の問題ですが、これは措置法の一部を改正する法律案の第三條ですね。これについてですが、一般的な問題として、どうも独立国になろうとしている我々の感じから言うと、外国人だから日本の税法の一部を軽減して適用するという特別優遇的な扱い方をするということは、日本国民として甚だ不満です。外資導入という問題も勿論あるだろうけれども、それ程までして外資導入しなければならんかという気持も非常に強いのです。我々は……。かの明治時代を顧みるまでもなく、例の治外法権だとか、関税自主権の問題などをめぐつて、相当長い間苦労して来た歴史もあるし、こんなものを作つて又後でどういう苦労をしなければならんかという問題も関連して考えて行くと、非常に私はこの規定については疑問を持つのですが、この内容と言いますか、こういうものを作らなければならなかつた理由というようなものを少し話して貰いますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/2
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003・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 只今の波田野委員のお気持、誠に私達も御尤もな点が多いと考えておるところもあるのでございますが、確か資料をお手許にお配りしたかと思いますが、何しろ我が国の所得税は、所得水準が一般に低く、而も所得税に相当な收入を期待するという関係からいたしまして、相当税負担が高くなつております。殊にアメリカと比べますと、同じ所得の場合における負担額というものの間におきましては非常な開きがありまして、この負担を、日本に参りまして日本の経済の復興等に寄與して頂く外国人の方々に同じにして貰うということは、どうも私共如何なる点から考えましても、少し行き過ぎと申しますか、過ぎる点があるのではないか。何と申しましても、我が国の現状を以ていたしますれば、やはり相当な外資が入つて来る、そうして外国人に日本に来て頂きまして、それで本当に経済なり、文化の復興を図るということが急務であることは、恐らく波田野委員もお認めになるかと思いますが、そのような点から考えますると、日本の所得税法をそのまま適用して、尚且つ日本において十分に活動をして貰うという見地からいたしますると、どうも柳かやはり負担が高過ぎはしないかということが考えられるのでございます。従いましてそのような趣旨からいたしまして、私共といたしましては、やはり負担として堪えられ得る程度の負担にいたしまして、それで外資の導入を促進し、或いは技術の導入を図り、或いは又文化の向上等に努めまして、それによつて日本の経済の本当の復興を図り、一刻も早く自立経済が確立できるようなふうに持つて行くべきではないか、このように考えておる次第でございまして、そういう点からいたしますると、本法律案は私はやはり現状から考えて見まして、今お話のような点もございまするが、尚別個の見地からいたしまして、やはり適当ではないかと考えるのでございます。表をお手許にお配りしてあるのでございますが、この表は負担の比較表でございます。イギリスと比べますと、必ずしも日本は一定以上の所得者には高くございません。アメリカと比べますと、如何にも高くなつております。従いましてアメリカから日本に外資と一緒に来たり、或いは技術の指導に来るというような場合におきまして、日本の税法のままでは到底入つて来られないのが実情ではないかと考えるのでございます。然らばそういうことなくしてやつて行けるかということになりますと、今の日本の現状を以ていたしますと、やはり私はそういうことが是非必要じやないかということを考えますと、日本の国民一般の負担との一種の調整を図りまして、この程度の特別な優遇を図りまして、外国人に日本に来て貰いまして必要な活動をして貰うことになりますことが、やはりこの際としましては我が国の行くべき途じやなかろうかと、こういう点を考えまして原案を作成いたした次第でございます。従いまして、又これは同時にそれぞれ社債がこれは相当長期なものでございますので、特に期限を附けるということは、どうしても意味がございませんので、これは期限を附けておりませんが、その他の個人の給與所得等に対する所得税の軽減につきましては、外資導入に関連して参ります面につきましては、五ケ年の期限を附けております。それから過渡的に今日本で経済活動を営んでおられるところの各種の外国人に対する所得税の特例につきましては、二ケ年の期限を附けております。これは御承知の通り現在は非円所得と申しますか、円以外のドルによりまして取引が行われたその所得に対しましては、現在まで課税いたしておりません。この法律が出ました後におきましては、恐らく課税し得ることになるものと見ております。そうなりますると、現状と比べますと、やはり日本の国民と同様ではございませんが、相当な負担をして頂くということにもなりますし、現在の我が国のいろいろな環境を考えますと、このような法律案の成立を図りまして、経済文化の向上を期するということは、やはり必要不可欠の措置ではなかろうかど、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/3
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004・波多野鼎
○波多野鼎君 第五條の三にある大学とか、高等学校に教員として来て貰う、国並びに地方公共団体が招聘するというのは、これは話は分ると思う。併し外国の営利法人が日本で営利事業をやつて行くというのに、それくらいのことは考えて来るのが当り前じやないかと思うのですがね。政府、公共団体が招聘することは、それは優遇して行かなければ工合が悪いということは分るが、それ程まで頭を下げなければならんということはないと思う。もう一つ、外資導入をしなければ日本経済が復興できないというような意味のことも我々は考えられるのだが、導入の仕方にもいろいろあるので、今の日本の経済のいわゆる民族資本と言いますか、日本の資本が生きて行くためには余り入つて来て貰つては困るという面がある、僕らはよく分らぬけれども、そう考えると、競争に堪えられない日本の企業というものが外国人の手に握られてしまうという懸念さえも一方にはある。国民の生活水準が仮に上るにしても、その生活水準の上る原動力と言いますか、それを握つておるのは外国資本になつてしまう。大部分外国人がそれを握つておるのだと、日本の国を貸して外国の資本によい利潤を儲けさせるということになる危險も一面にあるということを考えなくちやならん、もう門戸を開いてしまつて、誰でもおいでなさい、おいでなさいということで、税法の方でも特別の措置を講じますよということでは、少しだらしないという感じがするのですよ。そういう点は政治的な問題になつて、法律の問題じやないかも知れんけれども、今言つたような点を考えると、私はどうしてもこれは納得できない。大蔵大臣に一遍私はそういう点が聞きたいと思つておつたのですが、條文的に言うて、今あなたの言われた期限を切つておるということも、これはよく分るのだが、一旦こういうものを作れば、二年後或いは五年後になつて日本人と同じようにやるぞと言つたつて、それはできるものじやない。そのときになつて日本の税法がうんと改正されて、税負担が非常に軽くなるということが予想できれば別だけれども、そういう予想が現在立ちにくい。二年後或いは五年後に彼らの税負担が日本人と同じ負担にすると言つたつて、ちよつと聞きそうもないし、できにくいことだと僕は思う。そこで何とか他の途をもう少し考えなかつたのですか。これは税法そのものというのじやなくて、何か先程話があつたドルによつて給與を受けるというものを特別扱いにするとか、何とか、日本の円で、ドルを円に換算して給與を受けるのは日本の税法云々、それに特別措置を講ずるというのじやなくて、他の面で何かなかつたのですか、そういう点の経緯はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/4
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005・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 実は今お話の点につきまして問題が二つあると思いますが、さつき申上げました経過的な措置といたしまして、二十五年分、二十六年分に限りまして、これは広く五割控除で課税することにいたしております。この場合は今お話の従来ドル所得でとにかく日本で相当取引されておりまして、その所得に対しましては課税いたしていないのでございますが、ドルの流通はこれ又日本としましては好ましからざることでございますので、これは漸次範囲を縮小することになる見込でございます。それと共にやはり日本へ来て日本の税金を全然納めないということは、これ又適当でございませんので、やはり日本におりまして、或る程度の事業活動をやつたり或いは所得があつた場合におきましては、それぞれ所得税なり、法人税等を納めるという方向に持つて行くべきだということは、正に私共もそのように行えておるのでございまして、それをやるにつけまして、暫定的に二十五年度、六年度に限りまして五割控除することにいたしたのでございます。この場合は比較的範囲が広いのでございまして、バイヤーとか、その他の商社、これは全部これに該当するわけでございます。ただこの場合もやはり軽減しますのは所得税だけでございまして、法人税は大体アメリカの法人税と比べて日本の法人税は高くございません。むしろ若干低目かと思うのでございますが、従いまして法人税につきましては特別に措置はしていないのでございますが、個人の所得税につきましては如何にも負担が激しく違い過ぎますので、そのような点を考慮いたしまして、過渡的に二分の一の控除をするという方法を採用いたしたのでございます。尚その他の面につきましては、実は法文の趣旨では謳つておるのでございますが、或いは内容をもう少し説明するのが遅れたかと思いまするが、相当業種を限定するつもりでございます。今後五ケ年間に亘つてやりまする外資の導入に関して、軽減する分並びに外国技術者に対して軽減する分につきましては、相当業種を限定するつもりでございまして、これこそ本当に日本の産業の復興に必要な業種であつて、而も何とかしまして外資が入つて来たり、或いは外国技術者の優秀な技術を大いに取入れる必要があるというような業種に限定する見込でございます。大体におきまして、業種の範囲はそういう趣旨からいたしまして、外資会員会等ともよく連絡をとりまして、協議を経た上で大蔵大臣が指定するということに規定いたしておるのでございます。今考えております点は、大体金の製錬、それから硫酸アンモニア、石灰窒素、過燐酸石灰、こういう化学肥料を中心にしました化学工業、それから塩化ビニールその他のやはり特殊の合成繊維工業、それから発電業、それから鉄工業、それから石油の採取業、そういうものを先ず主たる事業として考えて貰いたい、このような事業は大体におきまして異論のないところじやないかと思いますが、先ず真先に業種として規定いたしたいと考えておりますが、その外に特殊の精密機械工業とか、或いは電気通信の機械工業、そういう業種をやはり日本経済の復興のために、どうしても外資が入つて来なければうまく行かぬ、或いは入つて来れば非常にうまく行く、又技術的に考えましても技術水準が著しく違いまして、技術の改善を図る余地が非常に多い。それによりまして、日本の経済に延いては全体としましていい結果をもたらすというものをよく選定いたしまして、それを大蔵大臣が指定いたしまして、そういう事業に対する外資と一緒に入つて来た人、或いは技術指導に来た人、そういう人々の給與所得に対する所得税を五割控除しまして課税しよう、こういう趣旨でございますが併しそれだけでは若干足りませんので、補助的に更に考えております問題は、銀行業、新聞業、弁護士業、公認会計士業、このような業種はやはり外資が相当入つて来まして、円滑に行きますためには、どうしても必要と考えられますので、そのような業種も別に追加いたしました。そうしまして、いずれもこういう種類の事業を営む会社、企業に雇用されておりますところの外国人に対しまして、特別の措置を講ずるようにというふうにいたしたのであります。勿論弁護士業とか、公認会計士業は自由職業でございますので、これは雇用されていなくても、独立して事業をやりましても該当するのでございますが、大体におきましては、一定の給與を貰いまして、日本へ外資と一緒に入つて来た人、或いは技術指導にやつて来た人々、そういう人々に対しまして、余りにも高い日本の所得税を相当軽減いたしまして、それぞれ有効な活動をして貰おうというわけでございまして、今の所得税の高さ並びに諸般の事情から考えます。と、やはりこの際としましては、こういう方法を講じますことが国全体といたしましていいのじやなかろうか、こういう考えでございます。勿論日本人の一般の負担が非常に重うございますので、そういう点も十分考えなければならないと思いますが、同時に今申上げましたような事情を考えまして、この法律案を作成いたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/5
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006・波多野鼎
○波多野鼎君 第五條の「日本経済の健全な発展のため外国資本」云々と、第五條の中頃ですか、同じ頁の、「日本経済の健全な発展のため外国資本又は外国技術」、これを今のお話のように相当限定することになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/6
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007・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/7
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008・波多野鼎
○波多野鼎君 それはどの法律によつて限定することになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/8
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009・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) この業種につきましては、情勢によつて若干違う事情も出て参りまするし、それから今外資委員会で外資が入つて来ましたときに相当細かに吟味して審査を加えておるようでありますが、そのような方面と連絡が必要でございまするので、その業種はこの法律の今の五條におきまして「第一項に規定する事業の種類は、大蔵大臣が外資委員会に協議した上、これを定めて公表する。」ということにいたしております。この方針は今申上げましたように相当限定しまして、真に日本経済の発展のために必要なものを選ぶという方針で行つて運用して参りたいと、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/9
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010・波多野鼎
○波多野鼎君 もう一つ利子の問題ですが、日本の金利は非常に高いのです、外に比べれば……アメリカの方に比べればうんと高いのだが、こういう金利の問題などについて問題は起きなかつたのですか。同じような意味で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/10
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011・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これは恐らく金利の問題は、アメリカから資本が入つて来ました場合に、日本に入つて来ますと金利水準がアメリカ本国の場合より高い金利が得られますので、入つて来る條件といたしましては、それで相当な好條件になるのではあるまいかと考えておるのでございます。ただ一番問題は、これを関連いたしまして別途に今法律案を作成中でございます。近いうちに恐らく提案する運びになると思いますが、あとの送金問題と申しますか、事業活動から生じました收益、或いは投資から生じました收益を、或いは外国人が日本において働いて得た所得の残りをドルで送金すると、こういう問題につきまして或る程度それを確保するという措置がどうしても必要じやないか、そういう点につきましては、別途に外資の導入に関する法律といたしまして、目下別途立案いたしまして、今国会に御審査願うべく取進めております。一方そのような措置も講じ、他方税制におきまして、このような措置を講じて参りますれば、相当外資が入りいい條件を作ることになりはせんかという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/11
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012・波多野鼎
○波多野鼎君 ちよつと私の言い方が惡かつたから、少しこんがらがつておるようですが、ドル資金を持つて来て日本で使うという場合は、それでいいと思うのですが、外国の技術などが入つて来て、そうして日本の資金を使うという場合も考えられるので、そういう場合について問題は起きないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/12
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013・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 日本の金利水準が一般に高いということは、大体恐らくアメリカの、殊に実業家等はそう感じておるだろうと思います。そういうことにつきましては、金利水準はやはり低下の方向に行くべきだという考え方が一般に強いようでございます。それでこれは私の所管でございませんが、大蔵省といたしましても、今の銀行の貸出金利につきましては、将来引下げ方向に極力そういう努力をしたいという一般方針になつておりまして、先般も若干でございますが、徐々に引下げ方向の政策をとつております。ただ御承知の通り非常に全体としましては、やはり貨幣資本はインフレによりまして、或いは敗戰によりまして相当欠乏しておるというのが一般の状況かと考えまして、余りにこれは又無理な低金利にいたしますと、逆に資本の望ましい蓄積ができて来ないという点も考えられますので、大勢はかような方向に向わせるという方向で、極力この経済の発展、資本の蓄積もできて、而も金利も或る程度下りまして、事業資金も円滑に調達し、投資されるようにして行くべきものじやないかと、かように考えております。大体の方針はやはり大蔵省としましても金利水準は徐々に低下を図るべきだ。これは一般的に一致した見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/13
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014・波多野鼎
○波多野鼎君 そこで外国人が事業を営む場合に、日本の資金を使うというようなことも考えられると思うのだが、そういう社債の利子などについて、特別の待遇をして呉れというようなことの要求はないかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/14
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015・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) まだそこまで具体的に余り話を聞いたことはございませんですが、或いはこの法律と別に、さつき申上げました導入外資に関するものが近くあれしますので、そのときに理財局から来まして細かい事情を御説明いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/15
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016・波多野鼎
○波多野鼎君 実は私が恐れるのは、段々そうやつて行つて、恐らくそういうことが問題になると思うのだが、どんどん外国の事業家の活動が非常に有利になる、やり易いような條件ができて行くと、日本の事業家達は手を上げてしまうだろうと思う。そういう点を立案される場今にも十分考慮して貰いたい、今後の問題として考慮して貰いたいということを希望するわけなんです。
それからもう一つさつきの送金の問題ですね。これは例のあれがあるのですね。映画会社などが日本にフイルムを送つて来まして、随分日本金として溜めておるのがあるわけです。送れないから……。ああいうのは現在どんなふうになつておるのですか。関連した問題だが、大分聞かれたのですよ。向うで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/16
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017・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) この映画会社とか、雑誌社等が円の取引をやりまして、日本で收益がありますと、その資金は原則として特別勘定で外国銀行の営業資金として預けさせまして、解除を認めない方針で現在も参つております。而してこれに対しましては、やはり法人税というものを、それぞれその所得税は納めて貰つておるのでございますが、尚この残つておりまするその資金を今後どうするかということは、さつき申しました今後の外資導入に関連した営利資金をドルに換えて本国に送らせる場合にどうするかという問題の一つとして、恐らく解決を見るということになるのではないかと考えますが、まだ確たる具体方針が決まつていないのではないかと私承知いたしておりますけれども、尚その問題は別に理財局から場必要がございますれば、お答えしても結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/17
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018・波多野鼎
○波多野鼎君 その映画会社などの持つ、何と言いますか、貸付料と言いますか、利益などは、そういうものは外国銀行じやなければ預からないのですか。日本の銀行も預かることができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/18
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019・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 勿論それは日本の銀行も預かり得ると思うのですが、併し特別勘定というふうになつております。確かこれはドルに換えて本国に送れないということになつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/19
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020・木内四郎
○委員長(木内四郎君) この法案について、この間質問したのですけれども、速記がなかつたから、ちよつと念のために明らかにして置きたいと思うのですが、この法案は大体外資を持つて来る、それの対価いていろいろ所得税法その他の便宜を図ろうとするものと思うのですが、或いは外資、或いは外国技術について……。ところがここで一つ問題になるのは、第五條の四においては二つ挙げて、「本條の規定施行前に所得税法の施行地において本邦通貨以外の通貨をもつて合法的に得た所得を有していた者」、それから「本條の規定施行後に合法的に所得税法の施行地に居住することとなつた者」と、こう二つあるのですけれども、今御配付になつたものを見ると、朝鮮人が五十九万余、中国人が二万一千余、それから台湾人が一万六千余というような多数の第三国人の方もおられるし、そういう人は今私が読上げたこの一号と二号によつて二十五年度、二十六年度において何か利益を得るごとになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/20
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021・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) この第五條の四は、先程もちよつと御説明申上げましたように、とにかく現在のところ円以外の通貨を以ちまして所得税法施行地で取引が行われました場合におきましては、その所得に対しましては所得税を課税していないのでございます。ところが先程申上げましたように、これは適当でないので、一面におきましては円以外の通貨の流通の範囲を狭めますと同時に、他面におきまして、そういう所得に対しましても所得税を課税するようにいたしたい。私共もそういうことになることを期待いたしておるわけでございますが、そういう場合におきまして、先程申上げましたように、日本の所得税法が非常に高いために、一時に非常に高い負担になりますので、こういう規定を設けまして、経過的に軽くいたしたいという趣旨で、この第五條の四の規定を作成いたしたのであります。従いまして今御指摘の第五條の四の一号が正にそれに該当するわけでございまして、この方は大体そういう趣旨通りに大体において相成るかと考えられます。問題は今委員長の御指摘の第二号でございますが、これにつきましてはいろいろ研究して見たのでございますが、今まで入つて来ていまして、そうしてドル等の取引を行いまして、所得のあつた者、これは二ケ年間軽減するということになりますと、今後入つて来る者でありまして、従来のようなドルの取引が認められるとするならば、当然一定の軽減を受けるであろう人が、今後入つて来た場合におきまして、全然特別な規定を設けないということになりますと、これ又少し負担の過重を来す虞れがございまするので、一号の関係のものとの権衡を図る意味におきまして、本法の規定施行後に、所得税法施行地に入つて来られた人に対しましても同様な措置をやるという趣旨でございます。而うしまして、これは飽くまでも合法的に入国して来られた方々だけに限りますので、勿論国籍によつて差別はいたしておりませんから、合法的に所得税法施行地に入国される限りにおきましては、アメリカ人であろうと、イギリス人であろうと、中華民国の人であろうと、台湾の人であろうと、全部これに該当するわけでございますが、実際問題といたしましては、大体において一号に準ずるような人々が多いのではないかと考える次第でございます。まあ併し建前といたしましては、特別に国籍による差を付けておりませんので、この條件に該当いたします以上は、すべてこの規定によりまして、三ケ年間だけは特別の五割の控除が認められる、このようなことに相成る次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/21
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022・木内四郎
○委員長(木内四郎君) そこでその点を明らかにして置きたいのですが、「本條の規定施行後に合法的に所得税法の施行地に居住することとなつた者」とあるが、今後第三国人が入つて来て国内で商売をやる人は、今あなたの言われたように、免除されておる人達の権衡上当然二ケ年間商売をやつていた所得に対しては半分に負けて貰うということになる、そうすると、権衡上前にいる人はどうなるか。今統計を見ると、朝鮮人が五十九万余、中国人が二万一千余台湾人一万六千余おるが、この人達は一号で大体所得税が半分にされるのか、されないのであるか。本邦通貨以外の通貨を以て所得を有していた者、曾つて有していたことがあればいいのだから、大部分の人はこの一号によつて免除されるが、新らしく来た人は免除されるか。この五十九万とか何とかいう人は全部免除されると見ておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/22
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023・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 所得税法施行地において本邦通貨以外の通貨で合法的に取引できるという人は、確か今関係方面の特別の許可を得て、或る一定の人に限定されてやつておるようであります。従いまして、この範囲は非常に従来から相当狭いのでありましで、お話のように数多くの中国の人や朝鮮人の人は、大部分これには該当しないと考えでおる次第であります。従いましてそういう方々は今まですでに日本の一般の外国人と同様に円の所得でございますから、所得税法等の規定に従いまして、それぞれ納税して貰うことになつておりますから、又現実に納税して貰つた実績も相当あります。そういう者に対しましては五條の四の規定の特例の適用は先ず大体ないと御解釈になつて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/23
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024・木内四郎
○委員長(木内四郎君) それでは午後一時半まで休憩いたします。
午後零時三十六分休憩
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午後一時二十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/24
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025・木内四郎
○委員長(木内四郎君) これより休憩前に引続き委員会を開きます速記を中止して……。
午後町二十九分速記中止
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午後一時四十八分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/25
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026・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 速記を始めて下さい。御質問がありましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/26
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027・天田勝正
○天田勝正君 租税特別措置法の関係ですが、外貨が入つて来るか否かの基礎といたしまして、先程来論議されておりましたように、日本の税が過重であるという原因からも、入つて来ることを阻害するという面もありましようけれども、反面例えばこの場合アメリカ等から入つて来ることを想定しておるとは思いますが、そのアメリカ側におきまして、圏内の投資が飽和点に達したか否かということも、外国へ投資する一つの基準になろうと思うのです。そういう観点からいたしますと、今日のアメリカは、国内産業に対する投資は一応飽和点に達して、従つてどこかの国に投資をするというような段階にあるのではなかろか、こう私は判断するわけなんです。それならば特段と我が国における税法を軽減することによつて外資導入の便を図るという措置を講じなくてもよいのではなかろうか、まあこういうことなんですが、そういうことに対しまして大蔵当局としては、それにも拘わらず、こうした今回の特別措置法の措置をとらなければ外資の導入が困難である、こういう御見解でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/27
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028・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) お話の通り、特に外資を期待しておりますのは、大部分はアメリカと考えられるわけでありまして、アメリカにおきましては資本か相当豊富でありまして、いろいろな方面に投資されておるということは確かにその通りだろうと思うのでありますが、併し私共まだ実は本当のところは或いはよく分らないような点があるかも知れませんが、国内でどうしても投資先がなくて、外国へでも行かざるを得ないというような実情にあるようには聞いていないのでありまして、最近の実情は、アメリカから帰つた諸君の話を聞きますと、国内も好景気でありまして、投資の機会等も相当多いらしうございまして、やはり私共もアメリカから相当の資本を送つて貰いますためには、いろいろな方面において、少くとも支障となるべき部分を排除して置かなければ、なかなか入つて来ないのではないか、勿論こういう措置をとりましただけで、直ぐ入つて来るかと申しますと、そうもなかなか行かぬと思います。特に世界の諸般の政治情勢、国際情勢等が多分に影響があると思いますが、併しいずれにいたしましても、相当な危険を冒して来るということにもなるかと思いますし、やはり日本で外資導入を期待する以上は、少くとも税制の面におきましても、この程度の措置を講じないと、なかなか思うような外資が入つて来ないのではないか、これをやりましても、まだなかなか簡単に行かないのではないかと思いますが、ただこういう措置を講じて置きますれば、一つの重要な障害が排除されて入つて来易くなるのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/28
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029・伊原隆
○政府委員(伊原隆君) 今のお話に関連いたしまして、近いうちに外資導入に関連いたします法律を国会の御審議を願うようになると思うのであります。そういうふうな場合におきましても、大体の考え方は今平田主税局長がお話しいたしました通り、我々の聞いておりますところでは、アメリカ等も国内の投資の利廻りが相当高くなつておるようであります。簡単に六、七%という利廻りは株であつても直ぐ得られるようでありますが、もう一つは方々の国でやはりアメリカの資本、殊に民間資本の導入ということに努めておるようでありまして、結局競争ということにもなりますので、今度国会で御審議願います外資導入法等も両立いたしまして、税の方でもできるだけの措置を講じて頂く、こういう考え方で今度の税のやつができたようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/29
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030・天田勝正
○天田勝正君 次は技術の導入の関係でありますが、私は日本の最高技術水準というものが一向外国に劣つているものではない。平均水準からいたしますれば、成る程劣つておりまするけれども、技術の教授を受けるという面からすれば、国内の技術を以てしても事足りるのではなかろうか、こういう考えを持つているわけです。元来日本の研究機関と事業体との結付きがスムーズに行きませんために、この日本の研究された技術が製造部面に活用されておらない、こういうことは識者が常に指摘しているところでありまして、過日の新聞に報道されておりましたが、アメリカ等におきましては、大学の研究機関等が軍、官、或いは民間等から委託研究等を受けて、これが直ちに製造工業へ結付くという行き方をとつておりまして、そのために研究された成果というものは直ちに生産力の上昇になるという行き方をとつております。日本におきましては、優れたる研究があるにも拘わらず、これが実地に応用されない。そういう面を打開いたしますならば、敢て税法関係におきまして、かような措置をとらなくても補い得る、これが私の見解であります。一例を挙げで申しますならば、現在問題になつております種痘につきましても、旧来の種痘の方法が、最近におきましては特にアメリカの指導によりまして、前の切るという行き方でなしに、針で突くという行き方に変つております。併しこれは依然としてその痘苗といたしますれば、葡萄状球菌が入つている、いわゆる濁つた痘苗であります。然るに日本の伝研の矢追研究室で研究しました痘苗を以てすれば、いわゆる精製痘苗、葡萄状球菌が全く入つておらない純粋なる痘苗、この方法は注射でありまして、あとに何らの傷痕も残らない。而も今までのアメリカ指導による新らしい種痘の方法を以ていたしましても、これが付かないということになれば、免疫性は高まらないのであります。ところがこの注射式によりますれば、精製痘苗による注射式によりますれば、葡萄状球菌等がございませんために、仮に付かなくても免疫性は高まるのみならず、傷痕は全く残らない。而も副作用がいい意味の副作用でありまして、これをホルモン剤と共に併用するということになりますれば、若い人でありましたならば、非常に或る部分の成育が高まつて行く。その他いろいろな薬、注射剤と併用いたしまして、すべてがその効果を高めるということは、すでに実証済でありまして、このことは多分昭和二十一年だと記憶しておりますが、サムス准将も新聞に談話の形で言われたこともあり、モールトン氏も言われたことがあります。日本にこれだけの研究があるのか、ところがこれが事実は、実地に移されておらないというのが日本の現状でございます。こういうような場合に自分の方の仕組みが悪いために、外国から技術を導入しなければならない、その導入するために税法までも変えるということは、余程研究の要があるのではなかろうか、こう思うのですが、非常に廻りくどい長い説明でございましたけれども、いろいろな面で、研究という面と生産工業という面の結付きということは指摘されておるのでありますから、こういうことについて何か税法改正の場合におきましても、専門ではございませんが、大蔵省等でも一つ関係官庁といつも御協議願わなければならんと思うのであります。そこで冒頭に戻りますけれども、さような幾多の例がありまするために、私は技術の面では格段の措置をする必要はないのではないか、ただ日本経済を再建せしめるために外国資本の支配を受けない程度の外資の導入ということならば、これはよろしいけれども、こういう技術導入、それに附随する所得というものまで別に軽減を図るということの必要はなかろうということが結論でございますが、それらに対する一つ事務当局の御見解を承つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/30
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031・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 技術に関する天田委員の非常に御造詣深いお話を承つた次第でございますが、私官界におりまして余り専門ではございませんので、立入つたお話はし難いと思うのでありますが、確か今天田委員のお話になりましたようなことも恐らくあるのではないかと考えますが、併し私共一般的にやはり聞いておりますところによりますと、技術の立遅れということは、やはり相当著しいものが一般的にあるのではないか。勿論相当例外もございましようし、或いは事によりますと、むしろ進んだ研究等が行われておりまして、それが実地に行われていないためにうまく行かないという例がある。相当これはあるかと思いますが、一般的にはやはり各種の、殊に午前中申上げましたような重要産業の面におきましては、いろいろ立遅れている面も多いように聞いているのであります。又一つは單に技術が遅れているという、研究が遅れているということの外に、これは私素人の推測でございますが、その技術を実際にアプライすると申しますか、工場なり、その他に適用するという面において、又その枯術がなかなか日本においては完全に行つていないのじやないか。設備、設計配置、それから後の工場の管理といつたようなことにつきましても、進んだ技術と密接に関連いたしまして、能率よく動いて行く、こういう面におきましては、これは私共非常に素人でございますけれども、恐らくアメリカ等に比べますと、まだ開きが現在の日本においてはあるのではないかということをよく聞いているのでございます。従いまして、そういう面につきましては私は相当優秀な技術者に来て頂きまして、日本のそういう方面の生産の組織等の改善を図つて貰うということであれば、相当能率が上りまして、それによりまして技術が日本経済全体に好影響を来すということになるのではないかということを、まあ素人でございますが、よく聞いているのでございます。そういたしまして今の税法のままでございますと、午前中も説明しましたように、アメリカの本国に比べますと非常に高い所得税になるわけでございます。そうしますと、そういう技術者を日本に招聘しようという場合におきまして、結局税金が高いだけ、やはり相当高給で迎えなければなかなか来て貰えない。こういうことでありますと、結局日本の今の企業の状態ではなかなか技術者を招聘することには参らないということにもなりまするし、まあ午前中申上げましたように、アメリカよりも尚若干それでも高くなりますが、まあ併し日本の一般の納税者に比べますと、五割控除になりまして、相当軽減して優遇するということでありますれば、何とかその他の條件がうまく行きまして、来て貰いまして、全体としまして相当復興なり、能率の増加に貢献して頂くことができるのじやないか。このような趣旨で技術の方につきましても、外資と一緒に来なくても、その技術者の給與所得につきまして優遇の措置を講ずることにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/31
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032・天田勝正
○政府委員(平田敬一郎君) 技術に関する天田委員の非常に御造詣深いお話を承つた次第でございますが、私官界におりまして余り専門ではございませんので、立入つたお話はし難いと思うのでありますが、確か今天田委員のお話になりましたようなことも恐らくあるのではないかと考えますが、併し私共一般的にやはり聞いておりますところによりますと、技術の立遅れということは、やはり相当著しいものが一般的にあるのではないか。勿論相当例外もございましようし、或いは事によりますと、むしろ進んだ研究等が行われておりまして、それが実地に行われていないためにうまく行かないという例がある。相当これはあるかと思いますが、一般的にはやはり各種の、殊に午前中申上げましたような重要産業の面におきましては、いろいろ立遅れている面も多いように聞いているのであります。又一つは單に技術が遅れているという、研究が遅れているということの外に、これは私素人の推測でございますが、その技術を実際にアプライすると申しますか、工場なり、その他に適用するという面において、又その技術がなかなか日本においては完全に行つていないのじやないか。設備、設計配置、それから後の工場の管理といつたようなことにつきましても、進んだ技術と密接に関連いたしまして、能率よく動いて行く、こういう面におきましては、これは私共非常に素人でございますけれども、恐らくアメリカ等に比べますと、まだ開きが現在の日本においてはあるのではないかということをよく聞いているのでございます。従いまして、そういう面につきましては私は相当優秀な技術者に来て頂きまして、日本のそういう方面の生産の組織等の改善を図つて貰うということであれば、相当能率が上りまして、それによりまして技術が日本経済全体に好影響を来すということになるのではないかということを、まあ素人でございますが、よく聞いているのでございます。そういたしまして今の税法のままでございますと、午前中も説明しましたように、アメリカの本国に比べますと非常に高い所得税になるわけでございます。そうしますと、そういう技術者を日本に招聘しようという場合におきまして、結局税金が高いだけ、やはり相当高給で迎えなければなかなか来て貰えない。こういうことでありますと、結局日本の今の企業の状態ではなかなか技術者を招聘することには参らないということにもなりまするし、まあ午前中申上げましたように、アメリカよりも尚若干それでも高くなりますが、まあ併し日本の一般の納税者に比べますと、五割控除になりまして、相当軽減して優遇するということでありますれば、何とかその他の條件がうまく行きまして、来て貰いまして、全体としまして相当復興なり、能率の増加に貢献して頂くことができるのじやないか。このような趣旨で技術の方につきましても、外資と一緒に来なくても、その技術者の給與所得につきまして優遇の措置を講ずることにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/32
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033・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 技術の輸出と申しますか、外国への発展につきまして、只今いろいろ御意見を承つた次第でございますが、今お話の最後の点につきましては、もう少し具体的なお話を承わりませんと、簡単にお答えするわけにも参らないと思います。今日本から外国に対しまして一年以上技術研究のために勉強に行つておられる人が少しおられるようでございます。こういう人につきましては、まあ所得税の扱いにおきましては成るべく有利に解釈して、所得税等が無理にならないような解釈を下すということにはいたしておりまするが、特別にそういう場合におきまして、立法等の措置を講じてやるかやらないかということにつきましては、まだ具体案を私共の方は持合せていないのでありまするが、御意見ございますれば、よく承わりまして、十分研究して見たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/33
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034・天田勝正
○天田勝正君 具体的に申上げますならば、この措置法によりまして、例えば半額免除とかいう規定があれば、そこで発明発見者に対しまして、やはりこれと同様な半額免除、これは決して何か商売をして儲けた、十銭の雪のを十二銭に売つた結果が蓄積されて儲けになつたというようなものではないので、頭脳と努力によつて人類全部にその恵沢が及ぼされるという筋道のものであるから、そこで外国技術者にこのように半額免除ということがあるならば、やはり国内の技術者に対しても、そういう措置をとるということによつて日本の技術を守るという行き方、これは発明発見すべての場合であります。同時に非常に有力な著述、こういうことも考えなければならないと思うのです。それは露伴がいなければ、あの露伴文学というものは我々は見ることができなかつた、漱石がいなければ漱石文学というものは我々は見ることかできなかつた。そういうものに対しては、これは一つの審査委員会等を設けることによつてその判定を下して、その比率につきましては又別に定めまして、その基準に則つて軽減して行くという措置が必要ではなかろうかというのが概略の構想なんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/34
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035・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今のお話は相当或る程度広い範囲に亘つておるのでございますが、今回の所得税法の改正によりましても、学術に対する顯著な貢献者を表彰するものとして、又顕著な価値がある学術の研究を奨励するものとしまして交付しまする金品に対しましては、所得税を控えるようにするという規定を新たに設けたのであります。今の天田委員のお話は、もう少い範囲が広い範囲に亘つておるようでございますが、尚これの範囲を超えますものにつきましては将来研究したいと思いますが、私共といたしては、取敢えず今度の所得税法におきましても、若干そういう御趣旨に副うかと思いますが、そういう措置を講じて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/35
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036・九鬼紋十郎
○九鬼紋十郎君 そういつたことに関連してなんですが、この前確か所得税の改正法案のときだつたと思いますが、そのときに外国人に対する所得税の軽減ということについて、私大蔵大臣に質問したときに、技術者の優遇について考慮しているのだという話で、その他の人についてに今のところ考えていないという御答弁だつたのですが、この法案を見ると宗教団体、或いは学校こういつたのが例に入つておりますが、宗教団体なんというのは、その後特に考え方が変つて来ましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/36
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037・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今私が申上げましたのは、日本人の技術者に対して特別に優遇する方法はないかという天田委員のお話でありましたので、その問題に対してお答えいたしたわけであります。外国から日本に来ておる人の優遇に関しては御指摘の通り、外食と一緒に入つて来る管理者等の責任者、或いは責任技術者、或いは技術指導者で入つて来たところの技術者、その外に先般申上げましたように公認会計士、弁護士、それから学校の先生、宗教家、こういうようなところは今後九ケ年間五割の軽減をいたしまして、経済と文化の復興に資しよう、こういうことにいたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/37
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038・九鬼紋十郎
○九鬼紋十郎君 その学校ですが、大学又は高等学校と書いてあるのですが、ミツシヨン・スクールなどの、それ以下の程度のはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/38
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039・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これは特に外国から来て頂きまして、いろいろ外国知識等の向上を図るためには、先高等学校程度以上でないと意味をなさないのじやないかという趣旨で、大学、新制高等学校というところに止めることにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/39
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040・九鬼紋十郎
○九鬼紋十郎君 この趣旨を適用して、低級のものまでやるというような考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/40
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041・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 小学校等にまで拡張いたしますと、必ずしも日本に本当に必要だと、来て貰いたいという範囲だけじやなくて、もつと広い該当者が出て来る虞れもございまするし、特に税の軽減をいたしまして、外国知識の向上を図つて貰いたいという範囲は、先ず高等学校程度のところでいいのじやないか、こういう考えでございまして、この学校に関する限りにおきましては、これを更に中学校、小学校まで拡張することはいけないのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/41
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042・木内四郎
○委員長(木内四郎君) ちよつと念のために伺つて置きたいのですが“租税特別措置法等の一部を改正する法律案の第五條の四、これについては午前中も質問いたしましたのですが、この第一項の一号と二号即ち、「本條の規定施行前に所得税法の施行地において本邦通貨以外の通貨をもつて合法的に得た所得を有していた者」、「本條の規定施行後に合法的に所得税法の施行地に居住することとなつた者」、この二つは外資導入にはそう直接の関係はないし、余り有利なものではないと思うのでありますが、これに対しましても権衡上二十五年及び二十六年分の所得については減税の措置を講じよう、こういうことらしいのですが、これが経過的のものであれば、昭和二十五年分、即ち一年だけでいいのじやないかというような気がするのです。殊に二項の「本條の規定施行後に合法的に所得税法の施行地に居住することとなつた者」については、そういう感じがするのですが、これを二年というふうにした理由を伺いたいと思うのであります。殊にこれは二年ということになつているが、今後又これの延長をしなければならんようなことになると非常に面白くないと思うのです。できれば私共はこれを一年、即ち二十五年分だけにしたらどうかという気がするのですが、これを二年分にされた理由と、今後の政府の所信を伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/42
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043・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) この規定は先般も御説明申上げましたように、まあ現在この外国人で非円所得のものに対しましては、所得税は課税いたしてないわけでありますが、今後におきましては非円通貨の流通の範囲も漸次狭められると同時に、やはり所得税は、日本において所得がある以上原則として所得税を課税するという方向になるものと、私共期待いたしておりまして、又その見込があるわけでございますが、そういうことを前提にいたしまして、この規定を設けたのでございます。即ち現在まで課税いたしておりませんのでございますが、たびたび申上げておりますように、我が国の所得税はアメリカの所得税等に比べまして非常に高うございますので、一挙に全額課税しますと如何にも負担に急激な増加を来して一現在日本においていろいろこういうような経済活動に従事しておられるところの外国人等が、どうもおられなくなるということになつたのでは、やはり日本経済及び日本国民全体のためにも面白くないのじやないかという意味におきまして、経過的措置といたしまして、五割の控除を認めることにいたしたのであります。その際その期限を一年にするか、二年にするかということは確かに問題でありまして、今委員長の御説の通り、これを全く経過的なものと解釈するならば、或いは一年でいいんじやないかという議論も確かに有力に成立つのではなかろうかと思います。ただ一つはこの法律の施行が若干遅れまして、まあ大体七月以後になるのではないかと思うのでありますが、そうなりますと、事実上本年は半年になる、それでは如何にも短か過ぎるというので、もう一年延長しまして、二十六年分も同様な措置を講ずることにしたらどうかと、そういう趣旨からいたしまして、二十五年と二十六年に限りまして、この十分の五の控除をすることにいたしたのであります。従いましてこれはそのような性質を持つておりますので、二十七年以後におきましては、むしろ前の外資導入に関する優遇、或いは技術者の優遇、それぞれ前の法文によりまして、必要な措置を講ずることにいたしまして、このような暫定的な、経過的な措置は、私共も今後続けて行くということは余り適当ではなかろうと、こういうように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/43
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044・木内四郎
○委員長(木内四郎君) そうすると、二十六年で打切つて、今後は継続する考えはないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/44
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045・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 私共の考えは現在のところそのような考えでおります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/45
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046・木内四郎
○委員長(木内四郎君) この際お諮りいたします。資産再評価法案を議題として審議を進めたいと思うのでありますが、本案につきましては、すでに連日愼重審議を重ねて参りましたので、この際質疑は終了いたしましたものと認めて、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/46
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047・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。それでは資産再評価法案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/47
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048・黒田英雄
○黒田英雄君 修正の動議を提出します。第四十五條の第三項であります。資産再評価を行なつた法人が再評価の申告をする規定の第三項に、「申告書の提出期限が昭和二十五年七月三十日前である場合において、当該法人が同年四月三十日までに納税地の所轄税務署長に申告書の提出の延期の届出をしたときは、当該法人は、同年七月三十一日まで当該申告書の提出を延期することができる。」ということになつておるのでありますがこの法案の審議が大分愼重審議されまして遅れましたので、これを四月三十日までということは少し無理があるように思うのであります。これを五月十五日までということに修正をいたす動議を提出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/48
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049・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 外に御意見はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/49
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050・天田勝正
○天田勝正君 社会党は資産再評価法案には反対いたします。その理由をただ一点だけ申上げますが、第三條の各号のうち、五、六、七等の規定を見ますと、これらの農業、水産業、中小企業、こうした協同組合等も他の法人と同様に扱われることが明らかになるのでありまして、元来これは法人税の関係からいたしましても、私共はこれらの協同組合は所得はないものである。所得とみなされる峯のは、元来過重に取立てられておるという結果が利益のごとくみなされる、価値がそこに生じたかの感を與えておるだけに過ぎない、こういう見解をとつておるのであります。そこでこの資産の見方にいたしましても、そうした各農業者、或いは漁業者、中小企業者がそうした実際の価値以上な価値によつて、価格によつて買取つた結果がそうなつた、或いは負担金等によつてそうした資産ができたというようなことなのでありまして、これらをこの法律を適用して同じように課税するということは、極めて妥当を欠くという観点からいたしまして、先ず本法案に反対しなければならない。
第二点といたしましては、すでに質疑の際に各委員がいろいろ御指摘になつたのでありますが、それらに盡きまするけれども、到底この資産再評価法案は適当に運用される見込が立てられないという点であります。
この二点を以ちまして反対理由といたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/50
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051・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 外に御意見はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/51
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052・九鬼紋十郎
○九鬼紋十郎君 私は本案について、只今黒田委員からの修正案の点を除きまして、本案に賛成するのでありますが、この資産再評価問題が考えられた当時と、現在の経済情勢とを考えますと、相当の変化が来ておるのでありまして、事業界は非常に不振になつて来ましたので、この法案の目的とするところが果して十分に達成できるか、できないかというようなことについては、多少危惧を持つておるのでありまするが、併しながらこの再評価によつて、従来最も合理的な経営に欠けておつたところの資産の償却といつたものが、これで以て一応達成せられますので、その点についてはこの法案について全面的な賛意を表したいと思うのであります。ただこの法案の趣旨を十分に事業界が理解しまして、この目的達成のために適当な、成るべく揃つて適当な資産の再評価をして合理化を図ることを要望して、賛意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/52
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053・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 外に御意見はございませんか。……外に御意見がございませんければ、討論は終局したものと認めて、直ちに本案の採決をすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/53
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054・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認めます。
先づ黒田委員より提案されました修正案について採決をいたします。黒田委員の修正案に賛成の方の御挙手を願います。
〔挙手者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/54
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055・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 多数と認めます。よつて黒田委員の修正案は多数を以て可決せられました。
次に、只今修正案が可決されました部分を除きまして、原案全部を議題にいたして採決いたします。賛成の方は御挙手を願います。
〔挙手者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/55
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056・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 多数と認めます。よつて修正部分を除いた部分も多数を以て可決せられました。よつて資産再評価法案は多数を以て修正すべきものと決定いたしました。では例により御署名願います。
多数意見者署名
黒田英雄 伊藤 保平
九鬼紋十郎 西川甚五郎
平沼彌太郎 玉屋 喜章
小宮山常吉 高瀬荘太郎
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/56
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057・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 次に、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び税関支署監視署の設置に関し承認を求めるの件を議題といたしまして審議を進めたいと思います。本案につきましても、すでに愼重審議を重ねて参りましたので、すでに質疑は終了したものとして直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/57
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058・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認めます。それでは直ちに討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。……別に御発言もなければ、討論は終局したものとして、直ちに採決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/58
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059・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認めます。それでは直ちに地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び税関支署監視署の設置に関し承認を求めるの件の採決を行います。本案に賛成の方の御挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/59
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060・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て承認すべきものと決定いたしました。では例により御署名を願います、
多数意見者署名
黒田 英雄 伊藤 保平
九鬼紋十郎 天田 勝正
西川甚五郎 平沼彌太郎
玉屋 喜章 小宮山常吉
高瀬庄太郎
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/60
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061・木内四郎
○委員長(木内四郎君) それでは、富裕税法案その他今朝以来議題となつておる各案について御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/61
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062・天田勝正
○天田勝正君 この富裕税法は所得税の補完税として制定せられる意図はよく分るのです。但しこの法案の趣旨に副えるか、副えないかは、的確にこれらの申告があり、又査定を行われるかどうかということにかかつて来るだろうと思うので、そこで過去におきまして財産税を徴收しておりますが、その財産税を算定いたしましたときの課税価格よりも富裕税が高いというのには、一体どういう理由があるかと言えば、いろいろな所得の蓄積、それから資産の評価換、所得税法の適用以外の所得の蓄積であるとか、相続をしたとか、闇所得といつたような、こういうようなものが一応考えられると思うのです。そこでこうしたものがいろいろ理由としては錯綜しておるのでありますが、申告の課税価格と財産税の課税価額とが開きがありまして、この開きについて本税の適用を受ける申告者がなかなか的確なる説明をできない。特に富裕税法に照しまして、その説明ができないということになりますると、過去のいろいろな税の例から見ましても、税務署側はこれを一方的に押付けて来る、或いはそれを理由にいたしましん所得税に対して過小に申告をしておるのではなかろうかとか、いわば脅迫がましいこともやつて来るであろうということは想像に難くないのであります。元来この法案が補完税であるとともに、大口所得者の基礎資料にするというのも大きな眼目でありますけれども、こういうことによつて富裕税の正確な申告が期せられないということになることを我々は虞れるのでありまして、そこでこの法案の中か、或いは所得税法なりその他関係の法令の中に、そうした議題があつても、所得税の追及をしないというような規定を設ける必要がありはしないか、こう考えるので、これについて本法案には何らの規定もないと思いますけれども、政府はこのことにつきましてはどういう考えでおられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/62
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063・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 富裕税の適正の執行ということは、今天田委員の御指摘の通り非常に重要な問題でございまして、やはりこの税法に従いまして財産価額がよく調査され、それに基きまして適正な納税をして頂くということが大いに必要だと私共考えております。そのためには昨日波田野委員に対していろいろお答えいたしたのでありますが、まあ富裕税は非常に納税者の数がその外の課税から見ますと少いと見ております。大体私共の調査によりますと、四、五万人程度ではなかろうかと見ておりますが、従いましてこれらの納税者の方々につきまして、よく趣旨を徹底いたしまして、先ず第一は適正な申告をして頂くと同時に、税務官庁におきまして能率のある役人によく調べさせまして、正しい更正決定をするというようなことで徴收すべきものだと考えております。その際に御指摘のように、今までの所得の関係が一緒に調べられて、その関係が問題になりはしないかというお尋ねかと思いましたが、その辺少しどうも私聞き取れなかつたのでありますが、そのような趣旨でございますれば、それに対しましてはたびたび申上げておりますように、やはりこの所得税が大きく拔けておりまして、そのために財産が相当殖えておる、こういう場合におきましては、真面目に納税しておられた方はやはり相当な重税であるに拘わらず納税義務を果しておられますし、所得税をうまく納めて行かなかつた方は財産の形で残つて、それを富裕税くらいの年々の名目的な財産税程度で済ますということも如何かと考えられまして、やはりそれは程度によるかと思いますが、やはり相当従来の所得税を明らかに課税すべきものが課税洩れになつておるというものにつきましては、やはりそれ相当の調査をいたしまして納税して頂くというのが負担の公平を得るゆえんではなかろうか、それがためにそのことを目的といたしまして、余り微細なことまで調べるのは如何かと考えますけれども、やはり相当そういうことによりまして財産が殖えておる場合におきましては、やはり或る程度の課税はいたしまして、負担の公平を図るのが正しいことではないかと考えます。若しもこの富裕税が前回のような財産税でありまして、非常に高率な一時課税でありますれば、或いはこの課税により目的を達しますので、そういうようなことは必ずしも必要はないと思いますが、この程度の課税になりますと、やはり前の分を全然目をつぶるというわけには参らないかと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/63
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064・天田勝正
○天田勝正君 私の言い廻しが大変下手でありまして、御答弁もお困りになつたようですが、一つは富裕税と前の財産税の課税価格との開きが当然あると思うのですが、そういつた場合に今回のは誤まりであるという行き方で責められる、脱税であるというような責め方をされはせぬかというのが一つの心配なんです。次は、そうした開きがあるのは先に挙げましたように、これは所得税法の適用を受けて、その所得の蓄積である。こういうものや、再評価したから資産がこう変つて来たのだというもの、或いはそういう所得税法などには関係なしに、籤が当つたというので殖えたとか、相続税法の適用を受ける相続をしたとか、今度の所得税法におきましても適用を受けない範囲のものを、親戚或いはその他の知人等から貰つたからこれだけの財産になつた。まあいろいろな殖えて来た根源というものがあると思う。ところが納税義務者の方は、それはこの分は要するに所得税法の適用を受けて、これだけ前に所得税で納めておるのだから、当然これだけ財産が殖えて来たのだ。この分は相続の分で殖えたのだ。或いは同じ相続でも税を適用されない面でこれだけ貰つたのだとか、或いは資産が評価換したからこれだけ殖えたのだとか、ずつと税法的な知識があつて区分して、こういうわけでこの変化が来たのであるということが明示できる人ならば一向差支えない。まあ恐らくこれに当嵌まるような方は割合に一般の庶民と違いまして、説明をできる人とは思いますけれども、全部がそういうふうに税法的に説明ができないという場合、先に申上げたような、それは一体それならば、今までの所得税をどだい誤まつた申告、或いは故意に脱税せんとして申告してはいないかという、こういうようなことが、今まででも所得税に関係いたしまして、いわゆる脅迫がましい事例も沢山あつたから、この場合でも起りはせんかということを私は案ずるのです。これは過去の例から押しまして、案じますので、それだからさようなことがなく、正確な申告をせしむるためには、本税法か或いは関係の税法に対して、さような追及を行わないという規定をする必要がありはせんかと、こういう質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/64
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065・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今お話のように財産税のときの、この前の財産税の課税価格と、最近の富裕税を課税した場合の同じ人の財産額は、余程一般的に価額の差があるということは、これは当然だろうと思います。その間物価が相当騰貴いたしておりまして、土地にしろ、家屋にしろ或いは株式にしろ、又その他あらゆる資産が相当値上りを見でおりますし、これは私共一般的に富裕税の課税価格と財産税の課税価額との間には、相当な開きがあるということは、当然なことじやないかと思います。ただ例えば財産税の、この前は全然財産税を納めていなかつた人が、相当大きな財産をその後蓄えておると、こういう場合におきましては、その財産の蓄積がどういう原因でできたかということは、これはやはり場合によれば調査する必要があることも生ずると思います。そうしませんと、その間におきまして、まじめに所得を申告されまして納税された人と、やはり不公平になる場合も出て参りますので、やはり全然そういう場合にタツチしないと、こういうわけには参らない。やはりそういうのは一つの資料でございまして、そのことで直ちに、いきなりそれじや所得税を乗つけたものとして認定するかということになりますと、それはなかなか必ずしもそうは行かぬのじやないか、やはりよく調べまして、調べた上で的確な所得をやはり別に計算いたして課税して行くということにすべきものではないかと思います。その際にお話のように、何でもかんでも殖えたのは所得税から抜けたのだと、こういうことで行きますのも乱暴な話でありまして、勿論こういうような相当な資産家になりますと、勿論納税者の方々も相当よく分つて頂けるかと存じますが、他方税務官庁におきましてもよく実際を調べまして、その上で適正な納税をして貰うということに行くべきものではなかろうかと考えます。その際余り微細なところまで一々行きますのは、これは運用の妙を得たものではないと思いますが、それかと言いまして、相当大きな差違が出て来ておりますのに対しまして、これをそのまま放任して置きますと、單に富裕税だけを今後納めて貰えば結構ですと、こういうわけにも参らないのではないかと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/65
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066・天田勝正
○天田勝正君 私先にいろいろ変化した原因の中に、七つばかりその理由を挙げたつもりですが、その中で闇所得というのも申上げたと思います。で主として今局長の御答弁を聞いておりますと、闇所得の点についでは追及しなければならんというようなふうに聞いたわけなんですけれども、そう承知してよろしうございますか。それならば私も一向差支えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/66
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067・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) まあこれは闇所得、当然年々所得税を課税すべき所得があつたにも拘わらず、その所得税を納めていなかつたために特に財産が殖えて来たと、こういう場合におきましては、やはりその所得税につきまして、適正に所得を査定して納めて貰う。この必要はあろうかと考えるのでございます。実際問題はお話の通り、闇とは申上げにくいかも知れませんが、とにかく申告していない人と思いますから、性質のいかがわしいものがその中に相当大きな部分でないか。ただ財産を持つておりましても、それがただ値上りしたというだけでは、勿論それは何ら所得税の課税の対象にすべきものでございません。それから或いは他人からはつきり贈與を受けまして、贈與者に対しまして贈與税が支拂われておる。こういうことによつて財産が殖えた。こういう場合も勿論それが故に所得税を課税するというわけには参らないかと思います。大体そういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/67
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068・天田勝正
○天田勝正君 局長の御説明は私にもよく分るのですがね。変化したのが所得税法の適用を受ける所得でその蓄積だ。或いは資産の評価換だ。或いは籤に当つたような税法の適用を受けない所得の蓄積だ。これだつて今は二百万円というものがありますから、相当考慮に入れなければならん。或いは相続税その他財産税法のときと今度の合算基準が違つておりますから、そういうことにもよるというようなこと、まあその外に今言つた闇所得で、当然その闇所得の中で今まで税を納めなければならなかつたのを申告しなかつたということも、いわば大きい闇所得のうちに私共考えておるわけなんで、そこでただそれがさつき言う籤に当つたから所得税の適用外の資本の蓄積だという場合は、納税者がこれはこの分だということをはつきり説明、表示ができるならば、これは世話ないのですね。ところが事実はそういうようなことができない場合に、不当ではないかというような追及を受ける危険がある。だからまあ具体的に條文改正という場合には、所得税法の適用を受けた所得の蓄積、或いは資産の再評価換、或いは宝籤、その地の所得税法の適用外の所得の蓄積、或いは相続税法云々、これらのものについては追及をしないと、こういうことにして、これ以外の闇所得に対しては追及する。今まで申上げましたのも、申告していないやつは当然闇所得ということにすれば、事は明らかではなかろうかと、私はそう考える。で局長のおつしやるように、申告すべきものをしなかつたものは、それは追及せざるを得ない。理窟は成る程割り切つて、そう考えられるのです。ところが事実はどうかと言いますと、農業所得の上から見たつて、誰が見たつて、去年と今年では今年の方が多いということは不当であり、それだけの所得のないのが、そう見積られておる、税務署側でも要するに不当に多く査定しておるということもあり得るのですから、だから一応そういう成規に済んだものについては適用しない。著しく変つておるという闇所得についてはこれは追及すると、こういう方法をまあ條文に書くのはなかなか厄介だと思いますけれども、そういう親切な処置が必要ではなかろうか、当人の方だけそれは申告が違つておつたから怪しからん、追及する、官の方ではそうした誤まりがあつても一向追及されないという結果になるだろうということも案ずるわけです。どうですかね、そうやつても何にも差支ないと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/68
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069・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 結果は大体天田委員のお話になつておるのと、そう大きな違いはないと思いまするが、私申上げておりますのは、富裕税が仮に創設されなくても当然のことでございますが、所得税は五ケ年間は、時効が切れるまでは、やはり一遍決定いたしました後におきましても、その決定が正しくないということが、その後の調査によつて明らかになりますれば、やはり正しい更正決定をいたしまして、それによつて納税せしめるというのが本筋なのでございます。これは併し余り長くそういう状態に置きますと、社会の一般的秩序を維持するという上において、妥当でございませんので、まあ一般にそういうものについては五ケ年の時効という制度がございますが、その間におきましては、やはり飽くまで正しい納税義務を果させるというのが法律の一般原則になつておりまして、富裕税に関連して過去の所得がはつきりなつた場合に、それをどうするかということについてお答えしたわけでございまして、漠然とただ財産が殖えておるからというだけで、よく原因を調べもしないでいい加減な決定をするということは、これは正しくないと思います。やはりどういうわけで殖えておるかということもよく調べた上で、そうしまして正しい調査ができましたならば、課税洩れ等の所得等につきましても、それぞれ決定をして行く、これがやはり正とい行き方であろう、たださつき申しましたように、余り零細なものまで、一々僅かな差まで追及するといつたような行き方、これはさつきも言いましたように、運用必ずしもよろしきを得ないことではないかと思いまするが、まあ相当纏まつたものか、そういうものを端緒としまして、調査ができた場合において、そういうものはやはり放つて置く方がいいのだということに行きますのは、これは必ずしも又負担の公平を得るゆえんではなかろうと、このように考える次第でございます。従いまして、この問題は何かそういうことを法文化するということになりますと、尚更むずかしい問題でございまして、いろいろ御意見等もよく承つておきまして、当局としましても、できる限り正しい運用の方向に行きますように努めたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/69
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070・天田勝正
○天田勝正君 よく分ります。私も何しろその理由とするところが七つもあるのでありますから、これをなかなか法律の條文に明定するということは至難だと、而も扱い面に多くのことがかかつておるのでありますから、これを直ちに法律に織込めということを主張するのじやありませんけれども、今のお話を伺つておりますと、扱う面、それを特に末端の職員に徹底せしむるためには、通牒等を発することによつて補うという措置がとられなければならんと思いまするが、そういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/70
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071・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今御懸念のような点につきましては、大分各方面からいろいろあるようでございまするが、私共はやはり今申上げましたように、若し財産が殖えておるのならば、どういうわけで殖えておるかというようなことは、御指摘のようなこともよく説明してやりまして、過去の所得の調査、決定等につきましても、飽くまで適正を期するようにということは、十分注意をいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/71
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072・天田勝正
○天田勝正君 この際先に質問いたしました租税特別措置法の点について一点だけ念を押して置きたいと思いまするが、よろしうございますか。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/72
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073・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 若しできれば質疑はこの程度にしておきまして、予算執行職員等の責任に関する法律案の提案の理由と、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案の提案理由を大体聞いて置きたいのですが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/73
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074・木内四郎
○委員長(木内四郎君) それでは政府委員から提案理由を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/74
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075・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 只今議題となりました予算執行職員等の責任に関する法律案の提出の理由を御説明申上げます。
従来から現金又は物品の出納保管を掌る出納官吏については、善良な管理者の注意を怠り、その保管に係る現金又は物品を亡失毀損したときは、弁償の責を免れることができないものと会計法上規定されておりましたが、直接現金又は物品の出納保管をしない、いわゆる歳出の命令系統に属する予算執行職員の不当行為に関しては、特別な弁償責任の規定はなかつたのであります。これは、予算執行の事務が現金又は物品の出納保管の事務のように單純な会計事務でない関係から、それに関し特別な責任を課しますと種々のむずかしい問題が派生することが予想され、かねてから論議の対象とはなつていたにかかわらず、実現し得なかつたものであります。
ところが終戦後の予算執行の状況に鑑みまするに、職員の非違行為に基く損害の発生が増加し、このため会計検査院から不当であるとして批難される事項が積年増加の傾向にあるのであります。国民の租税を主たる財源といたしまする国家財政において、かくの如き不当経理の多いことは甚だ遺憾に堪えないところであります。そこで予算執行職員が法令又は予算に違反した支出等の行為をすることを防止し、予算執行の適正を期するため、当該職員に対する弁償責任等の制度を確立することが当面の急務となつたと存じられ、この法律案を提出いたした次第であります。
次に本案の要点を申し上げますと、先ず、第一に、この法律の適用を受けます職員の範囲は、支出負担行為担当官、同認証官、支出官、資金前渡官吏、繰替拂等出納命令官、これらの者の代理官及び分任官、以上の者の事務を取り扱う都道府県の吏員並びに以上の者からその補助者としてその事務の一部を処理することを命ぜられた職員とし、又、その職務の範囲は、これらの職員の行う予算執行の職務であります。
第二に、弁償責任の要件は、故意又は重大な過失に因り法令又は予算等に違反して支出等の行為をしたために国に損害を與えた場合とし、責任者複数の場合は、損害の発生に寄與した程度に応じて個別的に弁償責任を負うものとするものであります。
〔委員長退席、理事黒田英雄君委員長席に着く〕
第三に、弁償責任の検定、弁償命令及び再検定に関しては、弁償責任の有無と弁償額の検定は、会計検査院が行い、弁償命令は任命権者が行うものであります。又各省各庁の長は検定前においても弁償命令をすることができ、後に弁償責任がないとの検定がなされたときは、利息に相当する加算金を附して、既納に係る弁償金を還付することとし、又、再検定は、請求があるときは、五年までの間において会計検査院がしなければならないものとし、請求があつたときは口頭又は公開審理を行い、陳述又は書面による意見開陳の機会を十分保障することとするものであります。
第四に、懲戒処分の要求は、国に損害を與えた場合は故意又は過失に因つたことを條件に、又、国に損害を與えなかつた場合は故意又は重大な過失に因つたことを條件に、会計検査院がその職員の任命権者に対してその要求をすることができるものとし、懲戒処分をするか否かは任命権者の自主的判断に委ねることといたしますが、任命権者は懲戒処分をすることが適当であるかどうかを調査し、これについて適当な措置をするとともに、その結果を会計検査院及び人事院に通知する義務を負い、半面会計検査院もみずからなした要求が不当であると認めたとき等においては、その要求を取消さなければならないものとするものであります。
第五に、事前審査及び弁償責任の減免等に関してであります。事前審査につきましては、会計検査院の事前審査を受けてした支出等の行為については、有責任の検定も懲戒処分の要求もすることができないものとし、この場合において法令又は予算に定める事項の解釈については、大蔵大臣が意見の表示をし得る途を開き、弁償責任の減免については、国会の議決に基かなければならないものとし、又、上司から不当な要求を受けてなした予算執行職員の本意でない行為についての弁償責任は、その命令をした上司が負うものとする保護規定を設けようとするものであります。
第六に、公団等の予算執行職員にもこの法律の規定を準用せしめ、又、公団等の出納職員には、新たに国の出納官吏と同様の弁償責任を課するものであります。
最後に、これらの問題の及ぼす重要性に鑑みまして、この法律による重要な決定事項は、会計検査院において検査官会議に附議し、検査報告に記載して国会に報告しなければならないこととする等、会計検査院法の一部を改正するための條文を附則に置いております。
以上の理由と内容によりましてこの法律案を提出いたしました次第であります。
何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを希望いたします。
次に、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案の提出の理由について御説明申上げます。
国家公務員共済組合法は、昭和二十三年の第二国会において成立いたしまして、法律第六十九号を以て同年七月一日から施行されておりますが、その後の諸般の情勢の変化と実施の実情とに顧みまして、今回その一部について所要の改正を加えようとするものであります。
次にその主要な改正点について御説明申上げます。
先ず第一の改正点は、共済組合の長期給付における既納年金受給者に対する年金額の増額であります。
昭和二十三年六月末日以前に発生いたしました既給年金は昨年第五国会において成立いたしました国家公務員共済組合法の一部を改正する法律第百十八号等によりまして恩給受給者と同様概ね三千七百円水準まで引上げられ現在に至つておりますが、その後一般給與水準の改訂もあり、既給年金受給者の生活の実情等をも勘案いたしまして、これを昭和二十五年一月分以降六千三百円水準まで引上げることといたしたのであります。
第二の改正点は、法務府設置法の改正等に伴いまして組合の設置区分を行政機構に即応するよう改める等、組合の設置区分につき若干の改善を加えようとするものであります。又第三の改正点は、組合が行う事業に対する非課税の範囲を若干拡張いたしますると共に、これに伴つて必要といたしまする條文の一部整理を行うものであります。
尚最後にこの法律案の実施に要する費用、即ち、既給年金者に対する年金額の引上げ措置による組合所要財源の増加は国庫の負担といたすものでありますが、この費用につきましては、既に昭和二十五年度予算に所要額を計上いたしております。
以上御説明いたしました通りでございますので、何とぞ御審議の上速かに御賛同あらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/75
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076・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 本日はこの程度で散会いたします。
午後四時六分散会
出席者は左の通り。
委員長 木内 四郎君
理事
波多野 鼎君
黒田 英雄君
伊藤 保平君
九鬼紋十郎君
委員
天田 勝正君
玉屋 喜章君
西川甚五郎君
平沼彌太郎君
高瀬荘太郎君
高橋龍太郎君
小宮山常吉君
米倉 龍也君
政府委員
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
大蔵事務官
(理財局長) 伊原 隆君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X04019500421/76
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