1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年三月三十一日(金曜日)
午後二時三十五分開会
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本日の会議に付した事件
○電気事業会社に米国対日援助見返資
金等の借入金の担保に関する法律案
(内閣送付)
○電力問題に関する調査(電源開発五
ケ年計画完成後における地域別電力
原価の問題に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/0
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001・飯田精太郎
○委員長(飯田精太郎君) これより電力委員会を開会いたします。ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/1
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002・飯田精太郎
○委員長(飯田精太郎君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/2
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003・門屋盛一
○門屋盛一君 政府がこの法律案を出して来ると、時を同じくして、まあ来月の上旬には再編成に関する法律案を持つて来るというのですが、そうでなくして、再編成というものはまだいつできるか分らぬというときなら、この質問は要らぬのですが、再編成を持つて来ることが分つているのだから、この法律を通した直後に再編成の場合には、この先取特権に対する保全はどういうふうにしてなさるつもりであるのか……。分りますか、今再編成の法律案が出て来ますね。そうしてその再編成より一足先にこの対日援助見返資金の借入金の担保に関する法律案が出ている。これより前に復金に対する担保がある。復金も日発一社を対象にして貸している。それから対日援助見返資金も日発一社を対象にして貸している。これが再編成では政府の意図するところによると九つに分割する。そうすると、そのときには日発一社の財産が分けられるわけですね、その財産に移動が来ます。この財産の移動によつて担保力がなくなるわけですね、日発というものは……。その場合これは如何なる法律によつてどういうように処置なさるつもりか。こう聞いた方が早分りかも知れない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/3
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004・菊地淳一
○説明員(菊地淳一君) 日本発送電の財産が各地区の会社に分れますと、その債務もやはり各会社に分れて参りますことになりますので、それをどういうふうに分けるかということについては問題がございますが、大体その財産に応じて債務を分けるということにいたしますと、現在の担保と同じ担保力を持つて各地区に分れて行くということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/4
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005・門屋盛一
○門屋盛一君 これは仮定的に分り易く言えば、私が貸した方の側ですね。今までは日発がずつと一社で経営しておつた。その経営状態によつてこの担保力というものがあるわけです。それを分けるのに、分ける法律を作る折に、貸主は国である。復金も全額国庫投資だからいいようなものであるが、貸主の承諾なしに分けてやるということは、これはできないわけではありませんか。借主の形が変つて来るのじやないですか。そういうことが法律で以つて左右されるということになることは、これは憲法上の大問題になるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/5
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006・飯田精太郎
○委員長(飯田精太郎君) ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/6
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007・飯田精太郎
○委員長(飯田精太郎君) 速記を始めて下さい。外に御質疑ありませんか……。それではこの法案はまだ衆議院で審議中でありますから、質疑はこの程度にして置きたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/7
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008・飯田精太郎
○委員長(飯田精太郎君) 次に、先程申しました電源開発五ケ年計画完成後における地域別電力原価の問題について、政府側の御説明を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/8
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009・豊島嘉造
○説明員(豊島嘉造君) それでは只今お配りいたしました開発後における地区別の電力原価の試算について御説明申上げます。これはいろいろな仮定が入りまして、又作業といたしましても、大変な大作業でありますので、極くただ御参考のために一応お渡しいたしましたが、この前提を変えますと、多少この数字も変つて参ると思います。これをやりますのに十人の者が罐詰になつて一生懸念にやつたものでありますから、一つそれを御了承を願つて置きます。
これには一番初めに大体これを作りました時の仮定の條件が書いてございます。第一番目には、これは昭和二十五年度の裡原価を一番先にしまして、それに今後開発されるものを附加えて、どうなるかというような計算でございます。二十五年度の需給計画の試案によりますと、石炭は一年五百一万トンを消費する。そうして地区間の融通電力は、原価としては供給側の原価を取りまして、その融通は二十四年度の計画程度に融通があるものとして計算いたしました。これは豊水年、渇水年で相当融通電力も変りますから、一応そういうような計画を元にして計算をいたしました。その次に、再評価いたしますと、又価格が変つて来るのでありますから、再評価に基く減価償却の算定に当りましては、再評価の計算根拠といたしまして、物価指数は大蔵省作成の固定資産再評価最大倍数表によりまして、且つその減価償却は定率法によりました。その点は一つの仮定であります。それから三番目には、開発後の原価算定に当りましては、昭和二十四年度及び昭和二十五年度の計画中、昭和二十九年度までに完成する設備を、発電設備、送電設備、変電設備等をその地区別に帰属するように考えております。この帰属につきましても、まだこれは法律で決定いたされないのでありますから、はつきりしたことは申されませんが、現在の我々の考えております帰属によつて一応計算いたしました。そういたしまして、それぞれの原価を求めまして、これを現在の裡原価に加算して作つたのであります。従いまして地区間の融通電力は昭和二十五年度裡原価の場合と同樣にいたしまして、それに新らしい水力発電所中、その発生電力が当然他地区へ融通されるものと予想される分は、その電力を購入する地区の原価に算入いたしました。尚、電力の損失につきましては、五ケ年計画では最終目標を二二%ということにいたしておりますが、この場合限度は大体三〇%でございますが、その損失は丁度その約半分の四%だけ損失が減つた。そういうふうな二六%ということで計算いたしたのであります。これは相当末端の電気の損失でありますから、原価計算にもこれは相当利いて来るものであります。それから発送変電設備の原価算定に当りましては、金利は七・五%、減価償却は定額法によりまして、固定資産税は取得価格の一・七五%を取りました。その他の経費は大体今まで基準を設けておりまして、その基準によつて計算いたしております。で初めての表を御覽になりますと、左側に北海道から九州に亘りましての地区が書いてございまして、右側の再評価前、再評価後とありますが、左側の四つの行は全然再評価しないといたしました場合に、二十五年度の裡原価が開発後にどうなるか。右の方はそれ自体が、再評価された場合の二十五年度の価格原価、それが開発後はどうなるかというような計算であります。例えば北海道で申上げますと、一番左の二十五年度の裡原価は、一キロワツト・アワーが三円二十四銭、これが一番下の、全国の平均で行きますと、二円九十八銭、これが開発後は、北海道の三円二十四銭が三円七十三銭、それから全国の二円九十八銭が三円十六銭、こういうふうに上りまして、地域差の方で御覽になりますと、全国の地域差を全国を一〇〇%といたしまして、地域差を勘定いたしますと、左から二番目の行に北海道は三円二十四銭で一〇九%、それから例えば九州は三円九十銭で一三一%、それから一番安い北陸を一〇〇といたしますと、北海道は二九五%、一番下の九州は三五一%、全国が二六八%、こういうふうになります。それから右の方で再評価後で申しますと、同樣に北海道の四円十二銭が、全国平均で行きますと、一〇八%でありますが、北陸を一〇〇といたしますと、二八一%になる。それから九州は四円八十九銭が、全国平均では一二八であるが、北陸をベースにしますと、三三二%、こういうふうになります。それから一番下の全国で御覽になつて頂きまして、全国平均の一キロワツト・アワー当りの二円九十八銭は、これは開発された後は三円十六銭、大体一〇六%になるわけです。再評価の場合におきますと、全国の三円八十二銭が三円八十六銭になりまして一〇一%、僅か一%だけ上る。大体そういう傾向でございまして、これを掻摘んで御説明申上げますと、電力の原価は全国的に見ますと、開発による影響は大して大きくありません。現状と比べまして、現状を一〇〇としますと、開発後は再評価前の全国的に見まして一〇六%、再評価後に比較いたましますと、一〇一%ということになります。それから水力地帶におきまして、既設水力に対しまして、開発水力が割高であるために、総合原価が上昇して来るものは北陸だけでありまして、大体これは再評価後でございますが、一一八%でございます。それから火力を主とする地帶におきましては、今後は優秀火力が沢山できまして、石灰の消費率も下りますし、それから低カロリーの比較的安い炭を使えるということになりまして、開発水力による原価の上昇を、火力が安くなるということでカバーいたしまして、総合原価は僅かに上昇するか、若くは安くなります。再評価後で申上げますと、関西では九七%になります。中国で同じく九七%、それから九州では一〇一%、こういうふうな数字になります。それから地域差は、開発後は先程申しました通り縮小いたします。例えば全国を再評価後について申上げますと、全国を一〇〇といたしますと、現状の最高は中国が一四七であります。最低が北陸の三八でございますが、これを北陸を一〇〇といたしますれば、開発後の最高は中国の一四二、最低は北陸の四五であります。それから現状の最高は中国が三八三でございます。開発後の最高は中国が三一四と下つて参ります。この計算いたしました場合の石炭費が、原価にどういうふうになつておるかということを御説明申上げますと、この計算では、北海道では一九・三%でございます。関西では二三・九%、九州では三二・一%、関東では一〇・一%、中国で二七・九%、中部で一四・四%、四国で一九・九%、全国で見ますと、一九・三%ということになつております。それからこの計算で販売電力量は、全国で二十五年度は二百二十八億七千一百万キロワツト・アワー、これは作りました時の前提でございますが、それで開発後は二二%増でございます。それで発電量の増加分は水分で約四十億、それから火力で十一億、それだけのキロワツト・アワーが増加する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/9
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010・結城安次
○結城安次君 水力四十億というのは、どれくらいのキロワツト・アワーですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/10
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011・豊島嘉造
○説明員(豊島嘉造君) これは九十一万キロでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/11
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012・門屋盛一
○門屋盛一君 これは発電炭で押えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/12
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013・豊島嘉造
○説明員(豊島嘉造君) さようでございます。この計算は先程の三の所にも書いてございますが、二十四年度及び二十五年度の計画中、これが二十九年にできたらということでございますから、まだ今後我々の五ケ年計画としては、二十六年も二十七年もあるわけですから、今一番はつきりしておるところの水力ができた場合にどうなるか。結局建設いたしまして、どういうふうになるかという傾向を見たわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/13
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014・門屋盛一
○門屋盛一君 議事進行について……。これは速記が余程忙しいならば、付けなくてもいいのじやないでしようか。今日は委員会をぱつとやつておりますから、別に論争もないのだから速記は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/14
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015・飯田精太郎
○委員長(飯田精太郎君) それでは速記はこれでよろしうございます。本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十九分散会
出席者は左の通り。
委員長 飯田精太郎君
理事
石坂 豊一君
門屋 盛一君
水橋 藤作君
小川 久義君
委員
栗山 良夫君
石原幹市郎君
北村 一男君
中川 以良君
深川榮左エ門君
鎌田 逸郎君
田村 文吉君
村上 義一君
結城 安次君
佐々木良作君
政府委員
資源庁長官 始関 伊平君
経済安定事務官
(動力局長) 増岡 尚士君
説明員
経済安定事務官
(電力局電力開
発部長) 豊島 嘉造君
経済安定事務官
(電力局業務部
長) 菊地 淳一君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714853X01319500331/15
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