1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月十九日(水曜日)
午後一時四十六分開会
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委員の異動
四月十八日委員大畠農夫雄君辞任につ
き、その補欠として岡田宗司君を議長
において指名した。
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本日の会議に付した事件
○農業協同組合法の一部を改正する法
律案(内閣提出・衆議院送付)
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001・楠見義男
○委員長(楠見義男君) それではこれから委員会を開会いたします。本日は農業協同組合法の一部を改正する法律案を中心に、いたしまて御審議を煩わします。尚農林大臣は衆議院及び参議院の関係の委員会から出席を要求されておりますので、余りゆつくりと時間は取れないと思いますから、できるだけ集中して御質疑をお願いいたします。打越協同組合部長はもう直ぐ出席されます。それから官房長は今参議院の内閣委員会の方で農林省設置法の一部を改正する法律案の説明をしておりまして、これも済みますれば参ると思いますが、金融関係では金融課長が見えております。申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/1
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002・藤野繁雄
○藤野繁雄君 現在農村は行詰りの状態に陥つておるのでありますが、農村不況の原因はどこにあると大臣はお考えになつておるか、又どうすれば農村は立直るとお考えになつておるか、その点先ず最初にお尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/2
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003・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 農村不況の原因については勿論いろいろあると存じますが、第一は金融の枯渇ということと、それから現金の收入が従来のごとく随時ないということが、非常な一つの一悩みになつておると思います。又、税制の改革をいたすのでありますが、現在の税制におきましては農村の負担も相当過重なんでありますが、今回の税法の改正によりましては、二・六程度の減税になるように大蔵省としては推算いたしておるのでありますが、何を措きましても先ず今日は金融の枯渇ということが第一の今恐慌に、不況に陥つておる原因と、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/3
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004・藤野繁雄
○藤野繁雄君 農村不況の原因は只今大臣からのお話の通りであるといたしましたならば、私などは農村不況打開のためには、過去において農村が行詰つたときの例に倣いまして、農村の経済更生計画を立てると同時に、一方の方においいては農協自体が農協の拡充計画を立てまして、両々相俟つて行かなくちやできないと思うのであります。ただ政府に縋るだけではできないのであつて、農協にみずから立ち上るような方策を講じて行かなくちやできないと思うのでありますが、農協がみずから立ち上るような方策について如何に考えておられるか、この点お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/4
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005・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) お説誠に御、尤もでありまして、従来のように国家の助成、国家の保護ということのような手薄い問題では、到底今農村の不況を回復することは困難と思うのであります。過去においては、農村更生運動がやかましくありまして、これは五ケ年計画であると存じますが、各府県の町村において、その町村の実体について、それぞれの調査をし、その欠陥を認めて、その欠陥を是正する面において、いろいろの方策が立てられたのであります。その結果必ずしも私が百が百共更生したとは存じませんが、併しいずれの町村におきましても、自己の欠陥を認めさしたということは、何よりも私は手柄であつたとかように考え、るのであります。従つて現在の農村の不況対策におきましても、今お話のように農村自体が、自分がどうして農業経営をやつているかといふことを先ず第一に認めるということが必要でありますので、農林省におきましては、この農家の経営につきそれぞれがその自分の経営しておる実体を掴む、把握する意味においての経済調査を、最も簡易にやらせることに昨年来手を付けております。相当の計画も立ちましたので、本年は更にこれを推進いたしまして、各地方に代表的な区域を定めてやつて行きたいと思うのであります。いずれにしましても、農村みずから自分の欠陥を認めるということに先ず第一歩を踏み出して貰わなければならんと思います。政府におきましては、従来いつかも申しました通り、食糧充実ということが忙しいために、農村の経営を第二義的に考えまして、食糧増産にひたむきに進めて来たということは、これは否定できない事実と思います。これであつては、いわゆる国家に対する犠牲が余りにも多いのでありますので、今日自給度が高まつて、自給自足の途が講ぜられるというわけではありませんけれども、いろいろ闇価格の変動、或いは輸出入の関係等より食糧事情もやや緩和したような形勢を辿つて来ておりますし、今後輸出の増進については食糧というものに対しての輸入も、相当今までよりも楽になつておる情勢でありますので、この際は農村自体の経営を主体として考えて行く、いわゆる地方的な農業経営の面において、その経営の上において有利であるということは、場合によりましては食糧増産ということに背馳するような場合があるかも知れません。あるかも知れませんけれども、それ自体農業経営の面において有利である、合理的であるということならば、そういう指導をして行かなければならんと思います。又今後は輸出の面でも相当開かれておりますので、輸出の農産物の生産或いは郊外地における農業におきましては、園芸或いは酪農というようなものを採入れて、そうしてその農業経営が経営自体合理的にやるように指導をして行くべきであるという政策を持ちたいと、かように考えておるわけでありますが、いずれにしましても、お説の通り農業者が自分の現在やつておる、経営いたしておるところの欠陥を先ず第一に認めて、その欠陥に対して是正の方法は個人的の場合もありましようが、どうしても今日の力弱き、小さく分散しておる農業といたしましては、協同組合の力でなければならないという、ここに考を及ぼして初めて本当の農業協同組合が組織され、農業協同組合の組織の成果を挙げるのではないかと、かように考えておりますので、そういう方面に指導方針を立てて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/5
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006・藤野繁雄
○藤野繁雄君 只今大臣の答弁の通りといたしましたならば、私などはより一層農業組合の拡充を計画せなくちやできないのでありまして、この農業協同組合の拡充計画をするためには、如何なる指導連を以て当らせるという考であるか、この点お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/6
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007・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 今日の指導連に対しましても、いろいろの御非難があろうと存じますが、今日の連合会組織につきましては、従来随意でありましたのを行政措置を加えて来たのでありますが、これを法的に今回企画をいたしまして、それぞれの従来農業会の誤つた筋道を渡らない程度に、法的に連合組織を認めるということに改正いしてて参つたのでありますが、今日の指導連に対しましても、出資等の面かち十分なる活動はあり得ない。而も指導連という大きい名前を掲げながら、実体が挙らないということになつておるのも相当あると思いますが、この指導連の技術指導というような農業指導というようなことは、国家のやつておりまするこの改良局から派遭いたしております農業普及員というものを充実いたしまして、これと相協力してこの面の仕事をいたしまして、そうして指導連の方の負担を幾らかでも軽くするという方針を採つて行くべきであるとかように考えております。農業普及員も本年二千五百名増加いたすとにいたしましたが、それではまだ各村に一名位の普及員しかでき得ませんので、更に今後予算措置等によりまして、これを全部に普及いたしましてそうしてこの指導連の地方における目的と相協力いたしまして、この協同組合の発達を助長いたしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/7
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008・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今後の農協の発達を図るためには信用事業の連合会、事業を行うところおのおのこの連合会の発達を期せなくちやできないのでありますが、すべての農業団体の指導をするのについては、今後より以上に指導連の活動によらなくちやできないと思うのでありますが、この指導連を政府において独立するように今回計画されておるところのことは、時代の要求に応じて最も適切であると考えるのでありますが、この指導連を独立経営させるのについては、如何なる方策を講じたならば独立経営ができるとお考えであるか、又この指導連の事業は十條の第一項及び十号まで大体において規定しておられるのでありますが、四号、及び五号の事業も或る程度加味せなくてはできないんじやなかろうかと思いますが、今普及員の関係も説明せられたがこの点更に御説明を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/8
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009・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 指導連が経済的な連合会であるということが、今回連合会組織の上においての相当非難の点となつておるのでありまして、指導連というものを独立さし、信用経済面から切り離したのでありますが、併し單位の協同組合におきましては、御承知のように下部組織においてはこの販購の仕事をなし得る状態でありますので、指導連もこの指導の面ついて、これもの單位組合の指導をするということに私は仕事をなし得ると思うのでありますが、ただ指導連の組織が余り單純であつて、組織力が非常に弱いというような点も、連合会の面においては考えさせられると思うのでありますが、従つて今申しましたように、できるだけこの指導連合会の肩を軽くするという意味におきまして、従来考えておりましたことと、政府の今回の農業普及員というものの仕事の方との相連絡によりまして、指導連の目的を達するように私はいたして行くということが、指導連の経済の上においても成り立つことではないか、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/9
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010・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今回の法律が可決せられたならば、毎年一回定例の検査をしなくちやできないのでありますが、これに要するところの人員と経費はどのくらいを要するのであるというお考であるか、お尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/10
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011・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 事務的なことでありますので、員数等のことは後程部長が参りましてお答えすると思います。御存じのようにこの法案の決定いたしましたのは二月の末でありましたので、当初予算にその監査の経費を見積ることができ得なかつたのでありますが、これは予備費等の準備もありますし、この法案の御決定を願いますれば、監査に対する経費はその必要のものは支出することができると、かように存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/11
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012・藤野繁雄
○藤野繁雄君 又農協の拡充計画を立てるといたしましたならば、現在の行詰つている農協の育成強化の方法を講じなくちやできないと思うのでありますが、これに対する経費をどのくらい予定しておられるのか、お伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/12
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013・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) この予算の数字も後程お答えいたさせますが、御存じのように従来の農業会と違いまして、余り立入つての指導監督は許されないのであります。ただ職員なり幹部の協同組合に対する修養、教養と申しますか、そういう面のいわゆる指導者の講習会等を開きまして、そうして協同組合の運営をうまくやらすように職員の養成に努力いたして行くことでありまして、従来のように事業に対して助成するというようなことは今日許されないのでありますので、そういう指導面についての経費を見積りまして進んで参りたい、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/13
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014・藤野繁雄
○藤野繁雄君 さつきからいろいろとお尋ねしたりでありますが、農村の行詰つているものの経済更生計画、又農協の拡充計画をやつて行きますのについては、大臣からお話のあつた通りに、相当の資金を要すると考えているのでありますが、この行詰つているところの農協の拡充計画をやる、又行詰つているところの農村の経済更生計画をやるのについては、どれくらいの資金があればできるとお考えであるか、見通しの資金計画をお尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/14
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015・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) 今日の農業協同組合の全般に亘りまして、今内容の調査を進めているのであります。先般も一応数字が出ましたが、余り私は農業協同組合のために公表したくないのでありますが、貯金の支拂が停止されているもの、或いは貯金の支拂を停止せざるを得ないような情勢にあるもの等をいろいろの段階に分けて、あらかたな調査ができているのでありますが、それによりますと、少くとも八十億円ばかりの差当りの資金を融資せなければ、これらの協同組合が維持できないというふうな調査ができておりますので、さて八十億円を果して出し得るかという問題につきましては、相当これは考慮を拂わなければならん重大な問題が残されておると思います。殊にそれより先んじまして、農業会から資産の引継ぎにつきまして、五十余億円の融資がなければ、この資産の引渡しができないという要求もあります。又今度の問題は金額は小さくありますけれども、報奨物資に対する跡始末等、それからそれへといろいろの問題が重なつて参りましたので、政府といたしましてはできるだけ早く一つ一つこの解決を図つて行きたいと考えておるわけでありますが、今お尋ねのような協同組合の全部を更生せしめるということは、そう簡單には参りませんと思います。又更生するにいたしましてもどれだけの資金が要るか、又その要る資金をどういうふうにして廻すかということについては十分の検討を加えなけらば、今どれだけの金があれば更生できるということを申しかねると思うのでありますが、何分中央農林金融金庫におきましても、今内部の充実を図つておりますので、各組織協同組合から四億円の出費を得なければ、見返資金から二十億の融資もできないので、その四億円の出資が果して農協としてなし得るかどうかという問題に今ぶつかつておるのであります。若しこれが幸いに八億円になりますれば、二十億と併せまして二十八億の資金によりまして、五百六十億円、そのうち四百億円は貯金になつておりますが、相当の金が廻るにいたしましても、先程申上げましたような金額の全部には達しませんので、この方面につきましては尚十分実態を調査しました上においての金額等を定まなければならんと思うのでありまして、今何程あればこれらの組合を更生し得られるかということは簡單にお答えできないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/15
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016・岡村文四郎
○岡村文四郎君 協同組合法に対する質問も縷々ありますが、先ずそれは後にして、大臣が非常に努力をされ、今庫で各方面と交渉されて参つて来ております報奨物資の解決が、私実は先頃出張いたしておりました間に大分話が進んで、閣議で決定になつておるということを聞きまして、大変喜んでおつたのでありますが、未だにその決定にはなつたがあとの措置が進まないで、依然としておるというお話であります。これは誠に困つたことであります。今日大臣にその間の事情をよく伺つて、然る後に又お尋ねしようと思いますから、現在の報奨物資に対しまする金融その他のことがどうなつておりますか、一応お話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/16
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017・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) これはいろいろ御心配をかけたのでありますが、昨日閣議におきまして一応方針を決定いたしましたのであります。これがよく臨時的な措置と、それから前後措置とがこんがらがつて解釈される懸念があるのでありますが、御承知の通りに不渡手形が非常に発行されておりまして、問屋も破滅になり、然らずんば協同組合も破滅するという段階になつておりますので、取敢ず金融措置を取らなければならないというので、約十八億ばかりの金があれば何とかこの手形の問題について、一応の目度がつき得るということで、これは金利も定めまして、その問題は一応解決したのであります。然るにその後の値下りに対する問題はどうかという問題が第二に起つて参りましたので、それにつきましては、衣類におきましては、尚処置し得られる金が三億四千万円でありまするか、これは政府の説としてでき得る目度がついておるのでありますが、大体の調査によりますと、約十三億円ばかりの金が要る。この金に対しましては、何とか政府として処置を採らなければならない。その処置はどうしてでも採ろうということに昨日閣議で申合せをいたしたのであります。然らばそれはどういうふうにしてやるかということにつきましては、予算のない突発問題でありますので、こういうようにしてやる、ああいうようにしてやると、具体的なことは無論関係方面との折衝の経過も必要でありますし、何とかしてこの十三億の値違いの問題につきましては、政府の責任において解決いたしたい。それは今できる、できるが、どういうようにしてやるか、こういう具体的な問題につきましては、まだ申上げる段階になつておりませんが、政府といたしましてはそういう問題について、いわゆる手渡ししていない、残つておる残留しておる品物に対しましては、市価に合うような処置を採る。その金額は凡そ十三億程度であるが、それに対しましては何らかの処置を探つてこれを処理するということを昨日申合せをいたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/17
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018・楠見義男
○委員長(楠見義男君) 速記を中止して下さい。
午後二時十二分速記中止
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午後三時四十八分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/18
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019・楠見義男
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて。では本日はこの程度で散会いたします。
午後三時四十九分散会
出席者は左の通り、
委員長 楠見 義男君
理事
羽生 三七君
池田宇右衞門君
藤野 繁雄君
委員
門田 定藏君
北村 一男君
柴田 政次君
加賀 操君
徳川 宗敬君
岡村文四郎君
国務大臣
国 務 大 臣 森 幸太郎君
政府委員
農林事務次官
(大臣官房長) 平川 守君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714988X02819500419/19
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