1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年三月十三日(月曜日)
午後二時十九分開会
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本日の会議に付した事件
○少年院法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○少年法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関
する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○民事訴訟法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○裁判所職員の定員に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣送付)
○裁判所法等の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○矯正保護作業の運営及び利用に関す
る法律案(内閣送付)
○公述人の選定に関する件
○証人喚問に関する件
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001・伊藤修
○委員長(伊藤修君) これより法務委員会を開会いたします。少年院法の一部を改正する法律案と、少年法の一部を改正する法律案、両案を一括議題に供します。前回に引続きまして質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/1
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002・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 少年院法、少年法の一部改正をします法律案の質疑につきまして、丁度法務総裁もお出まし頂いておりますのでございますから、この際法務総裁に伺いたいと思つております。それは第一国会以来毎回毎に殆んどこの少年法と少年院法との一部改正が出て参ります。このことは勿論との社会事情、その他の変つて参りますことにつきまして、殊にこの少年を相年にしておりますことでございますから、法律の改正されるのは止むを得ないとは申しながら、私はやつぱりここに一つ考えなければならない根本的の国策としての問題がございますのじやないかというように考えておりますので、その点につきして法務総裁の御意見を伺いたいと思つておりますが、今度の少年院法で少年観護所と少年鑑別所とが一緒になりまして少年保護鑑別所になりましたのでございますが、このことなんかとにかく少年矯正保護の点につきまして、一歩前進いたしておりますことではございますし、又そうなければならないことでございますので、大変喜ばしいことなんですけれども、このことなんかも、もつと始めから分つておることではないかというようにも考えられますのでございますが、大体から申しますと、家庭裁判所と今度一緒になりました少年保護鑑別所、それから矯正保護の施設というものはね三位一体の実を持ちますような実体でなければならないと思つておりますのでございますが、その点から申しますと決定機関と執行機関とが系統が違つておりますし、これの一元化の必要というような問題も根本問題の一つに触れるのじやないかというように私は考えておりますのでございますけれども、その三位一体の実を持ちますそのお互い同士の相互の協力連絡、或いは事務の迅速というような点につきましても、まだここに幾多の内部的の工作につきましても問題がございますのじやないかと考えるのでございますが、もう一方最高裁判所及び法務府外の厚生省関係、文部省関係といつたようなところのその関係においても、又ここに根本の問題がございますのじやないか、それは四十五議会でございましたか、少年法が始めて通過いたしましたとこに、そのときの速記録を読んでみましても、内務省の方の感化院法との関係で随分これは問題があつたように記憶いたしておるのでございますけれども、その後ずつとやつぱり何か畑争いのような感じが始終いたしておりますということは、この仕事のために非常に私は残念なことだと思つております。ところが末端に参りますというと、末端ではそういうようなことを申しておりましては仕事の運営ができないものでございますから、厚生省関係も法務関係も緊密なる連絡を取つて仕事は大体運ばれておるように思いますけれども、若しも畑争いのような感じが今尚ございますとするならば、それは本部において机の上でプランを立てるところに問題があるのじやないかというふうに私は思つております、現に今一番問題になつておりますのは、十四歳以下の不良少年でございます。これはだんだん悪質になりまして而も集団的になり、そうして最近におきまして私共法務委員が手分けをいたしまして全国的に調査いたしました結果などから見ましても十四歳以下の子供の掏摸の集団犯罪が非常に増しております。そうして末端におきましては法務府関係でございましようが、厚生省関係でございましようが、実に小さい子供達の犯罪ということについてどこも悩んでおりますのでございます。それで年齢の点などにおきましてもこれは悪質の十四歳以下のところの子供についてどこが取扱うのが本当でございましようか、つまり年齢の点などにつきまして随分国会でも今まであつちこつちのやり取りをいたしましたけれども、もつともつと根本的に考えなければならないのではないか、つまり私は少くも大事な子供を対象といたしまして、そこに苟も畑争いと思われるようなことが絶対にありもしませんでしようけれども、若しもあるといるならば、それは大変由々しい問題であろう、先達ても一、二ヶ所で聞きましたことでございますけれども、保護されております子供達がこれは兒童福祉法の方の教護院などの話もございましたけれども、私共が泥棒しまして国家のお世話になるということが、先生方の御飯が食べられる元になるのではないかということを申しておる。そんなことは本当に由々しい問題でございまして、やはり保護しておる、形は保護だけれども、やはり私共としてはいる方がよいのだというような言葉を聞くというようなことは私共としてはとても苦しいことなのでございます。それでそういう点につきましてもつと法務府といたしまして大臣のこの点などにつきます根本的の国策としてのお考えは如何でございましようかと存じます。それで私が今丁度……、総裁も非常に公平な立場にお立ちになつていらつしやいますし、最高裁判所の家庭局にいらつしやる宇田川、内藤局課長も実際に執務にお当りになつて、而もいいお仕事をお残しになりまして、私共はお仕事に対して尊敬もし、敬服もしている方々が今その御当局にいらつしやいますときに、何とかここに一つ根本的な問題に触れて頂きまして、若しできますならば、法務府で扱います子供はこれは犯罪者と限られておるような感じを持つておるのでございますから、ここで一つ法務府も厚生省も、それから文部省も、その辺で特別に扱われなければならないような子供達は全部のところから統合されまして、特別に犯罪少年であるといつたような感じを持たせないようなことでもするような方法ができるならば、一番助かるのではないかというようなことを私は長年考えておるのでございます。
この法案の審議に当りまして、私は政府の御当局にも伺いたいと思いますが、指紋の問題なども、指紋を取つて貰つては困るというような……、少年が非常に嫌うので、指紋がないために年齢を偽わつたり氏名を偽つたりする子供達が非常に沢山ありますことは統計に現われておる通りでございますけれども、その程子供達は自分が不良或いは犯罪少年でありながら、その極印を捺されるような感じております。これは私共といたしましてもできるだけ極印を捺さないようにすることが必要でございます故に、何とかここに一つ打つて一丸とするような、そしてできるならば兒童省と申しますか、少年省と申しますか一つの省でも設けるような意気込で、この際立案をして頂くようなことができませんでしようかという、常々私の希望なり考えなりを申上げまして、法務総裁の御意見を伺いたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/2
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003・殖田俊吉
○国務大臣(殖田俊吉君) 先ず少年法、少年院法の改正をしばしばお願いしておりまして、これは私は宮城委員と全く御同感でありまして、実はこんなにたびたび一体改正案を出すのはおかしいじやないか。何とか考えがありそうなもんじやないかということを、実は事務当局と話合つておつたのであります。
ところが御承知のように、この法律ができますときに、我々の考えだけでなくいろんな外部の考えも入つておりまして、急にこれを立法し、施行しましたために思わざる事情が続々と出て来て、従つて甚だ不手際でありますけれども、法律の方を改正して行かなければならないということもございまして、それから又例のパール法ができましてパール法ができましたために又それと調和を図らなければならんという事情も出て参り、更に又これを十分な準備が整いません、例えば物的人的にいろいろの設備の拡張を必要とするのでありますが、その点は財政に関するところ非常に多いのでありまして、なかなか今日の財政緊迫の時代におきましては、思うように参りかねるのであります。従つて準長期間を十分に置きたいということを申しておつたのでありますが、それが又他の事情によりまして準備甚だ不十分であるにも拘わらず、施行しなければならんということに立至りまして、自然法律の規定と実際運用とが適合しない。その間の財政的措置を講じつつこれを、法律の規定を実現して行くというようなことになりましたために、しよつ中そこに齟齬がありまして法律の方が行き過ぎまして、設備の方が整わない、設備が整いませんから先ず法律のその分の適用を延ばさなければならんということもありましたりして、もう両方の法律が今度で確か立法されまして以来、もう三遍目ぐらいなこれは改正になつておると思うのです。こういうことでは又この後も改正があるのではないか、大変心配でもありますので十分検討いたしたのでありますが、もう大体今度の改正を以て終りといたしまして、この両法律は、その後は特別な事情が発生しない限り改正をしないで、済みそうであります。先ず今日のところこれで御承知を願いたいと思うのです。
それから只今のお話のその問題は、これは最も根本問題でありまして、一体少年というものを特別の対象といたしまして、そうしてその犯罪の面、或いは道徳上の面からこれを矯正、改善して行くということにつきましては、大人の問題より、より以上の問題があるのであります。それは十分考えなければならんことでありまするが、まあ今日の家庭裁判所、少年法というもので、これはまあその方面に向つての改善が一歩、二歩進んで参つておるのであります。併しそれから又昨年来政府におきましても、少年対策を今頻りに研究いたしております。併しいずれの場合におきましても、根本は、この戦争中もそうであつたでしようが、終戦後殊に敗戦の結果経済上、社会上その他の面におきまして非常な変動がありましたために、少年に対する保護と申しますか、少年に対する扱い方が非常にむずかしくなり、又犯罪、何かとそれに類する不道徳が非常に殖えておるということは否むことのできない事実でありまして、私は段々終戦後の動揺がなくなりまして、日本の社会が復興して参る。或ひは恢復して参るに従いまして、段々かような悪い傾向は減つて来るものとは考えます。これは大人の犯罪について考えると凡そ同じような傾向になつて参るものとこれは考えておるのでありますけれども、併しながらいつになつたらさようになるか、又一つの時代の風潮といたしまして、必ずしも今申したような原因からのみじやなく、何か外の原因でさような悪い、風潮が爛漫して来るということもあるのでありまして、ただ成り行きに委してばかりおられません。余程考えなければならんことと考えます。現在におきましては法務府で扱います少年と、或いは厚生省で扱います少年、或いは文部省もこの間に入つて参るのでありまするが、これを単に年齢によつて区別をしておる、その年齢の区別が一体よいことであるやら悪いことであるやら、或いは年齢を、もつと少年の年齢を、犯罪少年の年齢を上げる方がよいじやないかという考えもあります。或いは又下げた方が手取り早いという考えもあるのであります。それから又これらに対する取扱い方、設備、或いは教育の方法、改善の方法等にいたしましてもいろいろと問題があるように存ずるのであります。これを極く特殊の極端なる例をとつて見ますれば、それはいずれか一方にはつき分るのでありますけれども、仲間がボーダーラインになつておるところが多いのであります。これを成る程と皆さんの納得いたすように処置をすることが、甚だ困難のように思うのであります。只今お話のごとく兒童省というような特殊の一つの行政機関を作りまして、それが全部を扱う、これも一案であります。併しながらそれにいたしましてもやはり年齢の区別がございますし、或いは不道徳の程度、傾向の又区別も出て参るのであります。おのおのそれに応じた設備なり、組織なりをやつて行かなければならん。同じ問題はやはり残るのであります。只今のところ財政上の余裕がありませんから、特別な機関を設けるということは甚だ困難でありましようが、要するに広い見地から全体の問題を総合して考えます。そうして各省に分れておりましても、お互の機関がそれぞれできるだけの協力をする。そうして連絡をよくして行く。そうして成るべくお互いに議会を開くなりその他相談をするなりいたしまして、協調の取れたでこぼこのないような政策を立つ行くということが、当面の喫緊事ではないかと考えておるのであります。私はよく、この頃は見かけませんけれども、省線などに乗りますというと、殊に夜分遅くなどは戦災孤兒と思われるような少年少女が沢山乗つておりまして、そうして寝所もないようでありますし、又職業も決まつたものは勿論ないでありましよう。非常な汚れた着物を着ておりまして、髪はぼうぼうとしており、私はよくおじさんお金を呉れなんと申しますから、ときどき恵んでやりましたけれども、決して人の恩情になじみません。可哀相に思つてやりましても、案外反抗をいたしましたり、更につけ上つて来たりする、度し難き悪性に落ちておる者が多数でありまして、私は後ではもう彼らに会いましても、実は同情しなくなつたようなこともあつたのであります。併しこれではいけないのでありまして、もつと広い見地から、もつと思いやりを持つてやはり処置をすべきものであるとは今でも考えておるのであります。只今内閣でずつと続けておりまする少年の対策の委員会等で、もつともつところの問題を練りまして、そうして成案を得次第それを具体化して行くというより、只今のところ実は手がないのであります。ただその責任の地位におりまする私共が、常にそれを念頭に置き、そうして研究を怠らない、そうしてなるべく案ができ次第それを実施して行くということの外に、今のところどうもこれという決め手もないように思うのであります。私共の能力が甚だ不十分でありまして、又平素の研究も不十分なのではないかと密かに実は憂慮をいたしておるような次第であります。只今お話のごとく政府だけでなく、皆さんも非常に御心配になつて頂いておるのであります。この上ともに一つ御協力を賜わりまして、なるべく早いうちにできるだけの手当をして参りたい、こう考えます。それができませんときには、ますますどうもこの世の中は悪くなつて行く。少年はいずれ年々、年を取つて参りますから、それが直ちに青年の犯罪層に送り込まれて参る、いずれから見ましても非常なこれは大事なことであり、旦つ又喫緊事でありまして、世間が思うようにそんなにただ特殊の慈善家とか或いは社会事業家の問題ばかりでないと思います。その点におきましては、宮城委員と私共も全く御同感であります。ただ今申上げるようなことで甚だ不徹底な状態であります。この上一層私共は努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/3
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004・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 有難うございました。昨年来当法務委員会で各委員が手分けをしてお調べになりました項目の一つといたしまして、先程法務総裁が仰せになりました内閣の青少年の犯罪の対策の委員会がどういうふうに実際に効果的に運営されておるかということも、調査項目の一つに挙げられておりましたのでございまして、調査をいたしましたのでございますが、これがなかなか下部に参りますというと、殆んどそんなものは知らないというところもございましたし、又一、二度委員会を開きまして集まつたけれども、大した効果はなかつたというようなところが、全国的におしなべての声でございましたのでございます。それで折角ああいう大々的に各省手を握つて連絡を取つてという立案だけは甚だ立派にできて喜んでおりましたのでございますが、今申上げるような結果でございます。その一番難点はどこでございましようかと申しますと、やはり金がないということでございます。地方に参りますれば参ります程、予算措置ができていないものでございますから、なかなか大事なこの子供の問題につきましても、旅費まで出してそこに集まるというようなこともたびたびはできない、又それから割出されます何か施設なんということになつては、もうかいもくむづかしいことだというようなことなので、どうかしてこれは大蔵省においての予算措置を少し取つて頂くように一層のお骨折りをお願い申上げまして、法務総裁に対します私のお尋ねはこの程度にしておきます次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/4
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005・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 法務総裁が出席されているので、私もこの機会にお願いをいたしておきたいと思いまするのは、私の見ておりまするところによると、戰争の犠牲は各方面に亘つておりまするが、何といたしましても一番大きな被害者と見るべきものは、その敗戰国の青少年であると思つております。これは非常な大事な時代に国内の混乱に遭い、前途の方針を立てる途上において、戰争に協力しなければならないようなことにもなつておりまするばかりでなく、思想的にも殆んど一生をかけたる大きな思想上の変化を見るに至つております。今青少年が殆んど市井に汎濫をいたしておりまして、各裁判所を廻つて見ますると、どの裁判所におきましても法廷に立つ者の大部分は青少年であります。而もその青少年が單独でやるまでにはまだ進んでいない、概して集団、即ち他の友人の力と相俟つて、いわゆるその勢いに捲き込まれて、共に不正の道に突進しているというふうな玄状でありまして、救い難き程度までに非社会性が進んでいるとも見られない青少年が可なり多いと思います。戰後処理といたしましての重要な国家事業といたしましては、これまでは食糧不足のために、專ら国民の食糧方面に対して国を挙げて全力を挙げて参つたのでありまするが、当時青少年の面につきましては、割合に後廻しに遭つているような状況であります。私共はむしろ戰後処理といたしましては、国家の立場からいたしますれば、何としても食糧問題と相同等なる価値において、戰後処理の一つとして大きくこれを採上げなければならんのではなかろうかと思います。然るにこれを施設の予算面からみますると、すでに何千億という国費を使つておりまするに拘われませず、青少年に関しまする不良化防止について費やしておりまする国費というものは、全国費中の極めて少額のものに過ぎないのであります。これはやはり考え方自体が私は戰争による青少年は一番大きな第一義的な被害者であるという考えを私は持つておらなければならんことだと思います。そういたしまするならば自然とこのいわゆる青少年の不良化防止に対しまする国家施設というものに対しましては、相当な予算を以て国は第二の国家を担当する青少年に対する手当ができて行くものだと思います。勿論青少年の、不良になりまする各個のものにはそれぞれの違つた意味の理由もありましようけれども、概してやはり道義頽廃、世相の非常な荒廃によりまするものに、知らず知らずの間に巻き込まれておりますものが殆んど大部分と申上げてよいのではないかと思います。先程来青少年の不良化防止に対しまする総裁のだんだんと対策に対する御意見があつたようでありますが、どうか法務の当局にありまするものの理解は、これは恐らく私共の見ておりますることと全然同一であろうと思いますが、併し少くとも大蔵省あたりの考え方というものは、私共のようなふうに深刻に考えていない。そのいわゆる認識が先ず以て大なる私は必要なことではなかろうかと思います。私共も機会あるごとにその点は主張してみたいと存じておりまするが、尚一つ責任当局といたしまして、法務府におきましても、この点については本当に戰後処理の国家的、私は第一義的の義務であるというふうな考えの下に、大蔵省あたりも考えて、施設は更に更に一つ一段と充実して頂くことに御努力を願いたいということをこの機会においてお願いいたして置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/5
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006・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/6
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007・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それでは少年法の一部を改正する法律案の第十九條の第二項でございます。家庭裁判所は、調査の結果、本人が二十歳以上であることが判明したときは、決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。という点でございますが、この点は実に従来私共が心配いたしております年齢の点で、保護処分の決定を誤つたときの手当が是正されることになりまして、非常にこうなれば喜んでおることなんでございますが、これにつきましてちよつとお伺いしたいと思うことなんでございます。
この少年法の第三條第一項第二号つまり虞犯少年として通告や報告又は送致されたものに対しましても、やはり年齢超過のときに送致することになつておるのでございましようかどうでございましようか、ちよつとお伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/7
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008・關之
○説明員(關之君) 御説明申上げます。大体この少年法は十四歳以上二十歳未満のものを対象としておるのでございまして、今のお尋ねの点は現在の少年法十八條にその規定ができておるわけでございます。十八條は、「家庭裁判所は、調査の結果、兒童福祉法の規定による措置を相当と認めるときは、決定をもつて、事件を権限を有する都道府県知事又は兒童相談所長に送致しなければならない。」下の方の場合は、十四歳未満の者に対する事件のためには現行法に規定してありまして、そこで十分賄い得ると、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/8
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009・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 この十四歳以上の子供で通告、報告の場合はどうなるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/9
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010・關之
○説明員(關之君) 十四歳以上の場合には通告、報告ということはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/10
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011・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 少年保護司の報告がございますし、一般からの通告はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/11
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012・關之
○説明員(關之君) そういうのはありますが、それは当然各それぞれの事件は全部家庭裁判所に集まりまして、それで家庭裁判所の処置として行われます。それでそれが現行法の規定によつてその点は十分賄い得ることになつているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/12
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013・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 そのときでございますね。通告事件でも報告事件でも万一年齢が超過しておりましたような場合には、やつぱりこの今度の改正の規定によりますというと、それを検察庁に送りまして、そうして検察庁で刑事訴追をするということになるわけじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/13
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014・關之
○説明員(關之君) そういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/14
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015・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 若し、これがそうでないとすれば、ここに何とか、虞犯少年を除く、その旨を明確にする必要がないのかということが伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/15
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016・關之
○説明員(關之君) この虞犯少年の場合はちよつと検察庁の方に送ることもできませんし、それに対しては、二十歳以上の虞犯少年の場合でございますね。そういうわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/16
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017・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 そうでございます。それが誤まつて家庭裁判所の事件になつたのでございますね。それで事件になりましたがあとになつて見たらこれはやはり通告事件であつた、報告事件であつたけれども、年齢が超過していたという場合はどうすればいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/17
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018・關之
○説明員(關之君) その場合には現行法の建前から申しますと、その場合には十九條によりまして家庭裁判所は、調査の結果、審判に付することができず、又は審判にするのが相当でないと認めて審判不開始の決定をするわけです。そうしてそれが誤まつて保護処分になつたような場合には、今度の改正によりまして、二十七條の二の改正によりまして、是正されることになると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/18
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019・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それから第二十七條の二でございますが、保護処分と刑事処分とは本質的に違つておるから、一旦執行した保護処分を取消し、刑事訴追しても、憲法第三十九條に違反はしないというこの間の御説明だつたのでございますが、この保護処分といつても、やはり強制処分でありますから、そのためにも一つ家庭裁判所においてこれを取扱うことになつたのだと思いますが、そこで少年法の第四十六條でございますが、その少年の第四十六條には、保護処分の効力が規定されておりまして、「保護処分がなされたときは、審判を経た事件について、刑事訴追をし、又は家庭裁判の審判に付ずることはできない。」というようになつております。
それで私もこの憲法の第三十九條の解釈はこういうふうにも解釈されると思いますし、それからこの四十六條の保護処分のことも牴触しないと思いますけれども、併し法の精神から申しますというと、一旦保護処分を受けておりました者が、刑事訴追をされまして、そこで保護処分をもう一度される規定もあるのでございますけれども、刑事訴追をされました場合に、刑の執行猶予を科せられましたときには、実際は、執行猶予になつておるのではないのでございますか。その点如何でございましよう。その問題は若しくも執行猶予になつておりますと、或る場合に、惡質である者が、訴追されたために、野放しになつてしまつて、本人のためにもならんし、社会のためにもならんというな事件が起つているように思つておりますけれども、その点を心配して伺つているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/19
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020・關之
○説明員(關之君) 今のお尋の点でありますが、二十二歳の者を十九歳と誤まりまして保護処分をいたします。これは法律上間違つた審判でありますから、是正されなければならないわけであります。是正して若し初めから二十二歳の成年であるということが分つておりますれば、他の一般の刑事訴追の比較考量の上から見て、これは当然刑事訴追をしなければならない。こういうような案件と、そうして刑事訴追もできない単純な起訴猶予として社会に出してしまう。こういう二つのケースがあるだろうと思います。それで刑事訴追をするのは、これは検察官の手に移りまして、訴追をいたしまして、刑務所の方に入れるなり、執行猶予になつて、そこで措置されるのであります。そうでなく訴追はできない。併し結局起訴猶予処分しかできないという者に、今の御心配のような点があると思います。併し法律の全体の立場から見まして、二十歳以上の者につきましては今のところ特別にそれを保護するとかいうような措置がないのでありまするからして、これは又新らたに立法を考慮するならばいざ知らず、現物法の建前としては、誠に止むを得ないところではないかというような考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/20
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021・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 少年法の第五十五條では、裁判所が事実上このような保護処分、條文を持つておりませんが、保護の措置を講ずることができるようになつておると思つておりますが、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/21
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022・關之
○説明員(關之君) 少年法の建前としまして、やはり審判時に二十歳未満であるということが要件でありまして、それを越しておりますれば、法律の建前上そこに審判権がないということになると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/22
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023・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 今のは起訴猶予のときでございますが、執行猶予のときはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/23
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024・關之
○説明員(關之君) 執行猶予になりますと、これは犯罪者予防更生法によりまして保護観察の措置になる場合とが考えられております。そうして今は司法保護事業法によりまして執行猶予をする者にも若干の緊急的な保護をなし得るような規定があるわけであります。今のところそれだけのことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/24
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025・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それからもう一つ年齢の超過の点につきましてはよく分りましたが、名前を偽ります子供が非常に多いように法務府の資料にも出ております。これについて何かお考えはございませんでしようか。先程法務総裁にお伺い申しました中にも、指紋の点にちよつと触れて見ましたのですが、指紋を取ることは少年が非常に嫌うので、今のところされないというように伺つておりましたのでございますが、非常にやはり費用の点もあるのかも知れませんが、私は指紋を取ることを少年が恐れて厭だというところに、やはりこつちとしたら指紋を取つて置けば偽名をしましても分るという、そこにも一つ狙いがあるのじやないか。これが取られないということは、或いは予算の関係ではないかと思いますが如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/25
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026・關之
○説明員(關之君) 第一名前を偽つた場合でありますが、実際の事例といたしますれば、名前を偽つている者は多く年齢も偽つているようなことになつているわけであります。併し名前のみを偽つた。甲が乙と称したというような場合におきまして、年齢が偽りがないということになりますと、審判としては、その年齢の甲と称する乙に対して審判があつたわけでありますから、名前のみの偽りについては法律上措置を必要としないのであります。
そうしまして次に指紋の問題でありますが、これは少年院の実際といたしましてはお尋ねのようなことがあると思うのでありますが、尚よくどういうふうにしてそれをやるかという点についてはもう少し研究して見たいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/26
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027・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 この指紋を取りますということは、非常に費用が要りますことなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/27
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028・關之
○説明員(關之君) 紙だけの問題でありますからして、そんなに費用はかからないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/28
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029・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 私は少年が非常に嫌うということに連関してでございますけれども、国民一般が指紋を取つて置いたら非常に重宝じやないかというふうに思つておりますが、余り費用がかかることで、それもできないのでございましようかと思つておりました。それで費用の点を伺つたのでございます。
それから少年院法の方をよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/29
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030・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 一括しておりますから、どうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/30
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031・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 少年院法の第二條の第四項に、特別少年院は、今までは十八歳でございましたのを、引下げて十六歳以上、二十三歳までの者を收容することになつておりますが、この十八歳を十六歳に引下げられましたから、尚そういう懸念を持ちますけれども、非常に広巾の犯罪少年を雑居させるという点につきまして、この保護矯正の面から如何なものでございましようか。それに何かの措置が講じられることになつておりますのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/31
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032・關之
○説明員(關之君) この点につきましては立案の当初が十八歳になつておりまして、これを引下げるということは相当重大な問題であつたのであります。ところがさて少年院等の皆さんの実際の実務の経験から申しますと、十六歳、十七歳ぐらいの少年には非常に惡性の度合が進んで、若しその少年を中途のままに放置いたしますければ、直ぐボスになりまして、一般の少年が困る。これは十八歳、十九歳の者よりも尚且却つて惡性の者が場合によつてはあるのであるからして、これはこういう者も特別少年の中に収容して、その惡性の度が同じように進んでいるという者をここに統一してやつて貰わなければ困る。こういう切なる希望によりまして、それならば十六歳以上は置かんというように、いろいろ検討いたしまして十六歳にして、そうしてそのような年齢の者も特別少年院に収容し得る途を開いてもよかろうということになつて、これを改正することを考えた次第でございます。それでさて特別少年院において、それならば十六歳の者と十八歳の者と区別するかという問題になると思うのでありますが、現在のところではそこまでは考えておりませんが、併し実際にそこに十六歳、十七歳の者を収容して、十八、十九の者を強制保護の対象とした場合はどういう結果が生ずるか、その結果の如何を十分に考慮いたしまして、若し区別してそこをやるということが必要であると分りますれば、そういうような措置を採りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/32
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033・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 私の大変心配いたしておりますことは、十六歳ぐらいの子供は取扱が非常にむずかしい、殊に気を付ければこのくらいの年頃でございましたら、強制保護の効果も著しくなると思つておりますので、そういう子供を例えば二十歳以上の子供達と雑居させておるというようなことは、結果から見たち却つてまづいことになるのじやないかという点を私懸念いたしておるのであります。それだからここに何とかして収容します場所を区別するなんというようなことも一つの方法じやないかというように考えておりますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/33
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034・關之
○説明員(關之君) 実際の運用の段階になりますると、只今の御意見は私共として十分に活かしてやつて行くようになると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/34
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035・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それから少年観護所と少年鑑別所が一緒になりまして少年保護鑑別所となりましたことは非常に宜しいことでございますが、この際に保護鑑別所の内容の改善ということが考えられておりますのでしようか。予算措置はどういうふうになつておりますでしようか。それを伺いたいのであるります。ということはずつと見て歩いておりますというと、今までの観護所というのは全く刑務所よりもひどいという感じがするような、実にあわれな観護所が全部ではございませんけれども中にございまして、そのためだろうかと思いますが、逃走率から申しましても少年院の二五%に対して、観護所の逃走率は三六%に上つております。それだから尚ああいうふうに嚴格に全く牢屋のような感じで人に見せたがらないといつたような、かばうというような気持のする所が中にございましたのです。それでこの際ただ一緒になつたというだけでなくて、施設の改善と、それから鑑別所の職員がまだ充実していない所が可ならあるように伺つて参りましたのですけれども、その鑑別所の職員を充実する点も予算措置に連関すると思いますけれども、その点如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/35
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036・關之
○説明員(關之君) ちよつと只今のお言葉の中で逃走率の問題でありまするが、少年院の方の逃走率は二五%でございますが、観護所の方は三・六%です。ですから観護所の方はやはり非常に少ないのでございます。そうしまして少年保護鑑別所の予算的措置でありますが、二十五年度におきましてはやはり二十四年度通りの大体の予算でございます。これは只今鬼丸委員からも御指摘になつた通り、私共としましては一生懸命やつておるのでございますが、国の財政上どうしても私共の希望通りに予算を頂くことができず、そのために鑑別所も極めて不十分な施設で、不十分な職員でスタートを切つております。そうして又特に鑑別所は極めて職員が技術家を要するわけであります。而もその技術が医学或いは精神学、心理学というように極めて特殊部門でありまして、この人員もなかなかおいそれと右から左に充実することができないで困難しておるのであります。ことろが最近におきまして追々そういう特殊の技術を持つた方々の希望者もありまして、今年一杯かかりますければそういう方々を各鑑別所に一人二人揃えまして、予定通りに機能を発揮し得るようになるのではないか、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/36
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037・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 今の観護所の逃走率が三六%と読みまして、点が私の方には落ちているものですから非常に心配をいたしたのでありますけれども、それが三・六でございましたら大変喜びます。今のお答えで大体分りましたのでございますが、鑑別所に参つて見ますというと、いや御覽になる必要はございませんまだ何もございません、開店休業でございますというような所がずいぶんございましたので、これは少年保護の上においても、最も中心をなさなければならない鑑別所の仕事でございますから、職員の充実なんかは早急にいたされることを希望申上げます。
それから第十六條の二でございますが、少年保護鑑別所が一般の民間から資質の鑑別を求められた場合には、鑑別所は相当時間その少年を収容しなければならないような場合があると思いますが、この点はどういうことになりますでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/37
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038・關之
○説明員(關之君) 第十六條の二でありまするが、この規定はお尋ねのようなことは考えていないのであります。これは全くそういう収容というような強制力を使わずに、少年を鑑別して貰いたいというような委嘱を受けた場合いたす、こういうだけの規定でございまして、別に収容の点は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/38
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039・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それから第十七條の二「少年院から退院し、若しくは仮退院し、又は少年保護鑑別所から退所する者が、」云々と書いてございます。ここには旅行或いは衣類の支給のことでございますが、これ以上に最も問題になりますのは、帰ります家もないし、それから保護者がないというような者についてどこでも困つていらしたように私は見受けて参りましたが、この点は如何でございませうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/39
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040・關之
○説明員(關之君) 少年院から仮退院いたします者は、パール法関係の少年保護観察所において適当なる保護をなすことになつていて、それらは一応賄えるものと考えられるのであります。ところが少年鑑別所から退所、この場合の事例としてはそこから退所した者について保護の方法が全然ないということは殆どないのではないか。おおむね鑑別所から直接少年院に送る、そうでなければそれから保護観察所に移るのでありますから、やはりそういうような方法で一応法律の規定といたしましては、何らかの保護方法があるというふうに思つておるのでありまするが、さて実際の問題になりますと、適当な個人もなければ適当の所もないという者が多くて困つているということを私共しばしば聞いているところで、そういう実際問題についてはどうもまだ十分でないということは私共も同感であります。何とかその点はいたしたいと思つておりまするが、やはりそれも孤兒院の問題である、或いは予算の問題、いろいろの問題で行詰つておりますし、今困難の点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/40
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041・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 少年院から退院いたしましたり、仮退院にいたします者を本当に容れます収容所、一時でも収容しますところがないということは、随分沢山の場所で今度聽いて来たことなんです。それでこの点について何とか一つもう一層御考慮願いたいと思つております。
それから十七條の三でございますが、「少年院又は少年保護鑑別所の長は、収容中に死亡した者の遺留金品について、親権者、後見人又は親族から請求があつたときは、請求者にこれを交付しなければならない。」この場合交付すべき順位はどういうふうになつているのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/41
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042・關之
○説明員(關之君) これを死亡でありまするから、そこに相続ということが起るわけでありまして、相続ならば民法の規定によつて行うということに相成るのであります。法律的に申しますと、そういうことに相成るのでありまするが、この書きました「親権者、後見人又は親族」こういう順序のうちの一番その者を相談し得る適格者ということを大体考えまして、これを少年院の方で一応調査して、その者に交付するというような大体のことに相成るのではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/42
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043・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それは何も民法上に規定された順位による、こういうわけではございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/43
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044・關之
○説明員(關之君) さようでございます。それじやどうしても民法による順位でなければ交付し得ないということになりますると、いろいろこういう人人の地理的関係であるとか、ころいろな條件でその人が出て来ないとか、その人が請求して来ないとかいうようないろいろなことがございますからして、必ずしもそれに拘泥いたしませんが、要するにそういうことを一応頭に入れて置いてそれを交付する。特に相続上後日問題が生ずるとか、例えば相続上後日問題が生ずるとか、例えば相当大きな金銭であるというような問題になりますると、一層法律的には嚴格にいたしまして、民法上の原則によつてこれをやるというようなことに相成るかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/44
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045・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 今後の調査の結果をもう少し最高裁判所、法務府当局に承わりたい問題が沢山ございますので、今日はこの程度にしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/45
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046・伊藤修
○委員長(伊藤修君) それでは下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、民事訴訟法の一部を改正する法律案、裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案、裁判所法等の一部を改正する法律案、矯正保護作業の運営及び利用に関する法律案、以上各案を一括議題に供します。前回に引続きまして質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/46
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047・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 裁判所法等の一部を改正する法律案第六十一條の三のところでございます。少年調査官補の規定のところでございますが、「少年調査官補は、上司の命を受けて、少年調査官の事務を補助する。」とございますが、この少年調査官と、それから調査官補のこの職務の具体的な差異はどんなことでございましようか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/47
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048・野木新一
○政府委員(野木新一君) 少年調査官の職務は裁判所法六十一條の二に規定されており、今は少年保護司と申しますが、「裁判所法第三十一條の三第一項第二号の審判すなわち少年法で定める少年の保護事件の審判に必要な調査その他少年法で定める事務を掌る」ということになつておりまして、細かいことは少年法でそれぞれ規定されておるわけでございますが、少年調査官補はその調査官の職務を補助する、調査官の命令を受けてその補助的役割をするという意味でありまして、補助である限りは少年調査官の権限に属していることは一般についてできるものと、そういうように解釈したします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/48
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049・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 例えば同行しておりますときに、子供に逃げられたというようなことですが、その責任はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/49
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050・野木新一
○政府委員(野木新一君) 少年調査官補が少年調査官を補助して同行状の執行をしている場合には、直接的には少年調査官補が責任を負い、ただそういうものを命令したいという点について、少年調査官も又責任を負う場合がある、そういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/50
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051・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 少年法の第七條、これは少年保護司の報告、それから第十三條、これは少年保護司の同行状の執行、それから同じく少年法の第二十六條は少年保護司の決定の執行でございますが、こういうことは少年調査官は今まで、今度は行うことになると思いますけれども、行う仕事の性質から申しまして、こういうことは少年調査官補の職務としてはどういうことになるのですか。という意味は何も代行するという意味でなしに、職務として調査官補の責任としたらどんなことでございましようか。もつと私は本当の調査官というものは、もつともつと大事な仕事が随分あると思つております。例えば試験観察の制度なんということが今はあまり完全に行われていないようでございますけれども、これを本当にやることが仕事の非常な大切なことでございますし、その大切な仕事などを調査官がいたしまして、今申しましたような職務は調査官補でできることじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/51
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052・野木新一
○政府委員(野木新一君) 或いは例えば只今おつしやいました少年法第十三條の同行状の執行というようなものは、或いは考え方によつては調査官補が執行されてもいいじやないかというような考え方もあるかも知れませんが、この第前としては、やなり一応少年調査官が本年執行義務を持つておつて、少年調査官補をしてそれを補助させるという考えで差当つて出発したい、そういう考えであります。尚少年調査官の職務につきましては、附則の第三号で「各家庭裁判所は、当分の間、最高裁判所の定めるところにより、少年調査官補に、少年調査官の職務を行わせることができる」。という経過的の規定を償いてあることに御留意願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/52
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053・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それで当分の間は、調査補官が仕事をすることになつておりますのでございますが、これはこの調査官補を何か養成して、その有能な者だけを調査官とするというような御意図でもございますでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/53
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054・野木新一
○政府委員(野木新一君) この附則三号の経過規定の趣旨は、少年調査官の地位を非常に高めますので、今の少年保護司をそのまま少年調査官に取換えるわけに参りませんので、少年保護司の或る者は少年調査官補をするわけであります。少年調査官補を尚訓練して、少年調査官にするという途も開けているものと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/54
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055・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それでは何か養成機関でもお設けになつて養成なさろう、或る期間養成なさつて調査官にしようというような御意図をございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/55
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056・野木新一
○政府委員(野木新一君) 御承知のように、最高裁判所には司法研修所がありまして、ここで裁判所職員の教養訓練をしておるのであります。そこで今の少年保護司、少年調査官補などもここに入れまして訓練して、優秀なものは少年調査官にする。そういうことを考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/56
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057・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それから今仰せになりましたように、少年調査官の仕事というものは、非常に重要なこの仕事の中心になるものだろうと思つておりますのでございますが、一級官と申しまするのは、本当の報酬はどのくらいな金高になるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/57
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058・野木新一
○政府委員(野木新一君) いわゆる十三級職で、平たく言えば局長級、そういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/58
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059・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 この一級官に婦人を少しは採用しようという御意図がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/59
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060・野木新一
○政府委員(野木新一君) これは最高裁判所の方から御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/60
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061・宇田川潤四郎
○説明員(宇田川潤四郎君) 調査官補の訓練は、従来少年保護司の訓練として司法研修所の方でこれを行なつておりました。将来これがどうなるか、ちよつと今のところ、書記官研修所というようなものが今度の裁判所法の改正によつて設立されることになつておりますので、その法案が通れば、どちらかということについては今協議中でありますので、しかとお答えできないのであります。
次に少年調査官の一級官の制度が、今度裁判所法においてできるというようなことについて、婦人を一級官の少年調査官に登用しては如何かというお話でございますが、これについては所管が人事局の所官でもありますし、私個人といたしましては、将来はそういうものができて然るべきだと存じておりますけれども、今のところ、そういう制度を以て臨むということは、ここではお答えできないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/61
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062・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 私は希望といたしましては、仕事の性質上、どうしても婦人の調査官を一級官で採用して頂きたいと思つております。成るべくならば家庭裁判所の判事に続々婦人の判事を御採用下さいまして、そうして母としての裁判を一つさして頂きたいという希望を申上げておきます。
尚、最高裁判所の方がお出ましでございましたから、ちよつと伺いたいのでございますが、家庭裁判所の所長の兼任は、いつ頃解決できますでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/62
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063・宇田川潤四郎
○説明員(宇田川潤四郎君) この問題も裁判官会議の専権に属しますので、今日ここで何ともお答えできないのでありますけれども、早く専任の処置を受けろといふ声がありますので、裁判官会議の方でも、こういう問題について考慮しておるものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/63
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064・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 今兼任していらつしやる所長は、どのくらいいらつしやいましようか。それと、裁判官で欠員が可なりございますと思いますが、その数はお分りでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/64
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065・宇田川潤四郎
○説明員(宇田川潤四郎君) 家庭裁判所の専任の所長は、全国で十一名であります。兼任の者が三十八名。尚ここに資料がございませんので、家庭裁判所の判事が現在どのくらい欠員があるかということにつきましては、はつきりお答えができませんが、今度判事補が相当数任命されますので、多少の欠員があつても、これは近き将来充足されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/65
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066・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 所長の兼任を早くお解き下さいまして、専心この家庭裁判所の方に力をお注ぎ下さいます所長のできますことを希望いたしますのと、欠員補充を早くして頂きたいということ、それから今一つはこの全国の家庭裁判所を歩いて見ますと、本来から申しましたら少年事件と家事事件とは別個の機関によつて取扱うことが不合理だということでできたわけでございましようが、実際見て参りました結果では、殆んど遊離しておりまして、片方は刑事裁判所のような気分でございますし、片方は全く民事の離婚の訴訟のような事件ばかりといつたような、実に極端に申しますと水と油との感じがするようなところもなかにございましたのでございますが、どうかしてもう少し裁判所長なり、それから直接の判事の方に、今は多分民事の方が多いと思いますけれども、如何でしようか、もう少し少年のことを理解して少年に興味のあるような裁判所長なり判事を少し配置して頂きたいと思つておりますが、これは希望者がございませんでございましようか。それとも今までの少年審判所長を当てるというようなわけには参りませんのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/66
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067・宇田川潤四郎
○説明員(宇田川潤四郎君) さような問題については、先程申上げましたように家庭局の所管でありませんので、お答えし難いのでありますが、家事事件と少年事件を総合的に運用するというようなことについては、家庭局といたしましても関心を持つておりまして、会合その他においても如何にして総合的に運営するかということをつねづね論じておる次第でありまして、遠からず現在のように少年事件と家事事件が全く遊離して運営されることは多少とも緩和されるのじやないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/67
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068・伊藤修
○委員長(伊藤修君) では裁判所の方に希望申上げて置きますが、次回までにもう少し御解答がはつきりできるようにお調べ願つておきたいと思います。裁判官会議にかこつけず、御方針ということがあると思いますので、その御方針を伺つておるのでありますから、裁判官会議がどうであろと、裁判所の方針を伺つておるのでありますから、次回までに調べて御答弁願いたいと思います。他に何か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/68
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069・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 若しそういうことであるといたしますならば、私は今宮城さんの希望されます趣旨と同様であつて、折角家庭裁判所の独立を規定されまして、それぞれ専任の所長を置くことが決められたに拘わりませず、五十近くの中で、僅か十一……、ただ制度だけを作つて、結局有名無実に終つておりますことは非常に遺憾であります。成る程定員の不足等の理由もありましようけれども、私の聞く範囲におきましては、さような理由ではなく、家庭裁判所を一般裁判所と同格のものにしたいというようなことで以つて予算と並行しつつ睨み合して専住所長を置くというようなこともかねがね聞いております。これは誤れることも甚しい。さような人事の扱だけではなくして、制度を活かすということに狙いをおかなければならんにも拘わらず、人間の配置によつて格式を上げるとか、或いはそうした庁舎なんかというようなことは問題ではないと思います。その点は大変私は裁判所が誤つておると思いますから、これもやはり御考慮を願いまして、併せて一つお答えを頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/69
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070・伊藤修
○委員長(伊藤修君) それでは各案に対するところの質疑は次回に継続することにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/70
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071・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 次にお諮り申上げたいことがありますが、来る十六、十七の両日に亘るところの公聴会の公述人を先に理事会において決定いたしましたので、決定した部分について御報告申上げます。矢野範二、北里良夫、春日良雄、大川博、野澤一郎、山本淳一、稲垣修一郎、田中和夫、馬場敬治、番場嘉一郎、鈴木武雄、恒田文次、藤林益三、大橋光雄、萩藤公彦、金森久、内藤圓治、以上だけが決定いたしております次第であります。尚この外に一両名公述人は追加することはあるかも知れませんけれども、以上決定の部分についてはお承認を願うことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/71
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072・伊藤修
○委員長(伊藤修君) それでは異議ないものと認めまして、以上の分だけは御決定を願うことにいたします。尚日にちもありませんですから、一両名追加があるかも存じませんが、これは一つ委員長に御一任を願いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/72
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073・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 次に過般御決定を願いましたところの五井産業事件につきまして、理事会におきまして来る十五日に証人を換問し、調査を開始することに決定いたしましたが、理事会決定通り御承認を願うことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/73
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074・伊藤修
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。尚本件に関しまして、事が機微に属しますから、証人換問その他の手続に対しましては、委員長に御一任願うことに御了承願いたいと思います。委員長は理事会に諮つて協議いたしまして、逐次進行させたいと思いますが、これ又御了承をお願いいたしたいと思います。……ではさように決定いたします。明日は午前十時より開会することにいたします本日はこれを以て散会いたします。
午後三時四十七分散会
出席者は左の通り。
委員長 伊藤 修君
理事
鬼丸 義齊君
岡部 常君
宮城タマヨ君
委員
大野 幸一君
鈴木 安孝君
松村眞一郎君
国務大臣
法 務 総 裁 殖田 俊吉君
政府委員
検 事
(法制意見総務
室第四局長) 野木 新一君
説明員
法務府事務官
(刑政長官総務
室主幹) 關 之君
最高裁判所長官
代理者
(家庭局長) 宇田川潤四郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715206X01119500313/74
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